【シャニマス】ティモンディ・高岸「放課後クライマックスガールズ……?」

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270 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/17(土) 19:40:47.41 ID:MJdTJzBbo
乙乙
271 : ◆60viGNJ69k [saga]:2020/10/18(日) 20:51:13.09 ID:Vp13bF5xO

おつありです!
他のユニットだったら激辛を食べさせられていた可能性があったので、放クラで良かったです😌
この世界の高岸には美味しいものを食べていて欲しい…

それと、15話なのですが
この話からマイナーなアイマスキャラ(名前だけ)とオリジナルモブキャラ(ライバルユニット)が出てきます
書いては上げ、書いてはあげ状態なのでどうなるか自分でも不安なのですが、解説役だったり高岸たちの掘り下げ役としての出番が多くなりそうです(メタい)。安易なヘイト集め役にはしません
よろしくお願いします
272 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/18(日) 20:52:55.76 ID:Vp13bF5xO

<15話・ねえねえ、テスト何点だった?>


〜283プロダクション・レッスンルーム〜


樹里「……ダンスのアレンジ?」

夏葉「そう。今度のオーディションで出される課題のようなものなのだけれど……」

夏葉「課題曲のうち指定された部分の小節を、私たちのオリジナルの振り付けで踊らなくてはならないの」

樹里「……んー?」

果穂「カダイキョク、ってなんですか?」

夏葉「課題曲っていうのは、W.I.N.G.のオーディションで使われる曲のことよ」

夏葉「いくつかあるのだけれど、曲の長さや審査員の好みから『Spread the Wings!!』や『Ambitious Eve』が採用されることが多いみたい」

果穂「それって……!」

智代子「両方とも、『夢咲きAfter school』の前からレッスンでやってた曲だね!」

果穂「はい! 知ってる曲でした!」

智代子「知らないうちにW.I.N.G.のための練習してたんだ、私たち」

夏葉「うふふ。無駄な練習なんて一つもない、ということね」

凛世「……全ての道はローマ……いえ、W.I.N.G.に通ず……」

智代子「凛世ちゃんに座布団一枚!」

凛世「ふふ、恐れ入ります……」
273 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/18(日) 20:54:40.45 ID:Vp13bF5xO

樹里「それにしても、なんで夏葉はそんな詳しいんだ?」

夏葉「それは、私たちの先生に色々教えてもらっているからよ」

樹里「へぇ……そうだったのか」

凛世「夏葉さんは、凛世たちのレッスンや日程も、先生方とお話ししていて……とても頼りになると……」

智代子「──えっ! そうだったの?!」ビックリ

夏葉「凛世……知っていたのね」

凛世「以前、プロデューサーさまとご相談なさっていたのを拝見して……恐らくは、そうなのだろうと……」

夏葉「そう……」

夏葉「ごめんなさい。みんなに伝えていなくて」

智代子「あ、そうじゃなくてっ! むしろありがたいといいますか……」アセアセ

果穂「今までのレッスンって、夏葉さんが考えてくれてたんですか?」

夏葉「いえ、内容はプロにお任せするわよ」

夏葉「でもスケジュール管理や疲労調整……これは、みんなのコンディションを見ながら、いつ、どういうレッスンをするか決めることね」

夏葉「その辺りは、ほとんど私がやっているわ」

果穂「……スゴい! スゴいですっ、夏葉さん!」キラキラ

夏葉「ありがとう、果穂。でも、そんな大層なことじゃないのよ」

樹里「──そんなことねーよ」
274 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/18(日) 20:56:15.30 ID:Vp13bF5xO

樹里「レッスンに加えて、そういう作業をしてたってことだろ?」

樹里「夏葉は一人で、アタシらのために動いてくれてたってことじゃねーか」

夏葉「樹里……」

智代子「樹里ちゃんの言う通りだよ! 夏葉ちゃん!」

凛世「夏葉さん……」

夏葉「……?」

凛世「踊りの振り付けは……凛世たちに、任せて頂けないかと……」

智代子「──凛世ちゃん! ナイスアイディア!」

果穂「分担、ですね!」

夏葉「みんな……」

夏葉「ありがとう。でも、気持ちだけ受け取っておくわ」

樹里「……なんだよ。素直じゃねーな」
275 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/18(日) 20:57:44.97 ID:Vp13bF5xO

夏葉「ふふっ、確かに意地もあるわね」

夏葉「でも……」

夏葉「ここでみんなに頼るだけなんて、有栖川夏葉らしくない。そうでしょう?」キリッ

樹里「!」

樹里「……そうだな!」

凛世「ふふ……」

果穂「夏葉さん、カッコイイです……!」キラキラ

智代子「じゃあ、夏葉ちゃん! みんな!」

智代子「一緒に振り付け、考えよっか!」

夏葉「ええ! 1位目指して、頑張りましょう!」

みんな「おー!」
276 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/18(日) 20:59:08.21 ID:Vp13bF5xO

〜オーディション会場・控え室〜


ガヤガヤ……


「フン。みんな、不景気な顔して。こんなんで私たちのライバルが務まると……」

「──えーちゃん、しーっ!」

「そういう自信過剰系キャラは、きょうび流行らないよ!」

「う、うるさいわね!」

「早く帰ってゲームしたい……」


ザワザワ……


智代子「結構、人多いね〜……」

夏葉「そうね……書類選考を通った選抜組とはいえ、私たちを含めて6ユニットいるはずよ」

樹里「この中から、1位と2位が残るんだよな……」

智代子(雰囲気がスゴいなぁ……この大部屋全体がピリピリしてる)

智代子(はづきさんは『新人アイドルの入口的な番組なので、あまり気負いせずに〜』なんて言ってたっけ)

智代子(……当たり前だけど、みんな本気なんだ)ゴクリ
277 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/18(日) 20:59:55.00 ID:Vp13bF5xO

果穂「ついにオーディションですねっ! 凛世さん!」

凛世「はい……」

凛世「果穂さん……緊張、していませんか……?」

果穂「……えへへ。ちょっとしてます」テレテレ

凛世「ふふ……凛世が、肩を揉んでさしあげましょう」モミモミ

果穂「ありがとうございますっ! 次はあたしが、凛世さんにやってあげますね!」

樹里(……今日は、いい雰囲気だな。なんとなくだけど)

樹里「……」

夏葉「樹里、どうしたの?」

樹里「え? ……まあ、なんでもねーよ」

夏葉「樹里……アナタ……」ピコーン
278 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/18(日) 21:01:15.41 ID:Vp13bF5xO

夏葉「──自分も肩を揉んでもらいたい、そう思っているのね?」

樹里「……は? ちっ、ちげーよ!」アセアセ

夏葉「遠慮する必要はないのよ? 肩を揉みながら、緊張をほぐすツボや疲労回復のツボを教えてあげるわ!」

樹里「や、やめろ! 誰も頼んでねーだろ!」

智代子「あはは……うちは相変わらずだなぁ」

智代子(でも……)

智代子(どんな時でもいつも通りでいられるのって、スゴい強みだよねっ!)

智代子(夏葉ちゃんも……この前みたいなトゲトゲしい感じもないし)

智代子(……今日の私たちは、最強な気がします! 見ててくださいね、プロデューサーさん!)グッ
279 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/18(日) 21:02:25.64 ID:Vp13bF5xO

コンコン……ガチャリ……


スタッフ「失礼します。オーディション参加者のみなさんは、一旦こちらに注目してくださればと思います」

アイドルたち「……」ザッ……

スタッフ「ありがとうございます。今日の審査をして頂く、3人の先生方をお呼びしています」

スタッフ「先生方のお話をしっかりと聞いて、今日のオーディションに臨んでください」

アイドルたち「はい!」

スタッフ「……では、歌田さんからお願い致します」

歌田「ありがとう。ボーカル審査を担当する歌田 音です、よろしく」

歌田「みなさんに言いたいことは、一つだけ。このオーディションを、入門編と思ったら大間違いだから」ドンッ…

アイドルたち「……!」ゾクッ

歌田「あなた達に誰も上手さなんか期待していない。だからこそ、私はあなた達の基礎力を見ている」

歌田「いつも機材の整った、狭いスタジオで歌えるなんて思わないで」

歌田「今日は野外ステージだと仮定して、腹から思いっきり声を出しなさい」

歌田「──良いわね?」

アイドルたち「はい!!」キヲツケ!

歌田「いい返事じゃない! 頑張ってね♪」
280 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/18(日) 21:03:42.87 ID:Vp13bF5xO

スタッフ「では次に、山崎さん、よろしくお願いします」

山崎「はーい。ビジュアル審査を担当する、スタイリストの山崎すぎおよ! よろしくね」

山崎「うーん……今日は、と……」ジロジロ…

山崎「綺麗どころが揃ってるわねぇ。で・も……」

山崎「ぜんっぜん素材が活かせてないわ!」

アイドルたち「……!」ビクッ

山崎「良い? ビジュアルというのは、単なる見た目の事じゃなぁ〜いの」

山崎「ポージング、衣装、髪の流れ方から、表情、視線、感情の作り方まで」

山崎「自分が相手に刻みつけたい印象を、視覚情報のトータルで作り上げるのがビジュアルなの」

山崎「……ま、初心者に全部を理解しろとは言わないわ! 今日は一つだけでも、頑張ってみなさい」

山崎「じ〜っくり、見てあげるわよ♡」ネットリ…

アイドルたち「……はい!」ゾワリ
281 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/18(日) 21:04:46.49 ID:Vp13bF5xO

スタッフ「……では、最後に軽口哲也さん。よろしくお願いします」

軽口「Hey,Yo!」

軽口「俺が審査員? ガチの審査良い? 全員落第、ルーキーには人災?」ギュイーン

アイドルたち「……」シーン

軽口「ダンスにゃノリ大事、ズレたら一大事、チームワーク大丈夫? 異常丸見えだぜ」チェケラ

アイドルたち「!」

軽口「気持ち繋がる、ダンシングガール、みんな見たがる、突破軽々! Hoo!」

軽口「技術だけじゃない、気持ちだけじゃない、両方あれば優勝夢じゃない」

軽口「Welcome to the W.I.N.G....」キマッタ…

アイドルたち「わぁ〜……」パチパチ

軽口「センキュー……」

スタッフ「三人の先生方、ありがとうございました」

スタッフ「ではオーディションに移りますので、5分後にステージにお集まりください」


ガチャリ……
282 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/18(日) 21:06:22.44 ID:Vp13bF5xO

智代子「なんか、すごい人達だったね……」

夏葉「三人とも業界のエキスパートね」

樹里「知ってるのか?」

夏葉「ええ」

夏葉「……でも今は、『Ambitious Eve』で気をつけるところ、最終チェックをしましょう」

樹里「そうだな」

果穂「はいっ!」

凛世「油断大敵……」

夏葉「凛世の言う通りよ!」

智代子「そうだね! ギリギリまで詰めておこう!」

樹里「ところで夏葉……」

樹里「今日は『目指すはもちろん一番よ!』とか言わねーのか?」

夏葉「……あら、忘れていたみたいね。うふふっ」

夏葉「2位まで通過できるけれど……私たちが目指すのはもちろん、一番よ!」

夏葉「頑張っていきましょう!」

放クラ「おー!」
283 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/18(日) 21:08:51.61 ID:Vp13bF5xO

〜オーディション会場・ステージ〜


スタッフ「では6組の皆さん、各ステージにスタンバイしてくださいね」


スタスタ……


アイドルたち「……」ゾロゾロ

夏葉(……)ゾクッ…

夏葉(W.I.N.G.協賛のオーディションは、円形に組まれた6つのステージとその中央にある審査員席という、特殊な形で行われる)

夏葉(中央の審査員に向けて、6組のユニットが同じ曲──課題曲を同時に歌い、踊り始める……)

夏葉(見渡すと、流石に圧巻ね。うふふっ)


スタッフ「……準備できましたでしょうか」

スタッフ「審査員の皆さまは……準備万端、のご様子ですね。よろしくお願い致します」


夏葉(プロデューサー……)

夏葉(どこかで見ているのでしょう?)

夏葉(感想……しっかり聞かせてもらうわよ)キュッ…
284 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/18(日) 21:09:59.75 ID:Vp13bF5xO

スタッフ「では、カウントのあとに曲が流れ始めますので、頑張ってください」


……1.2.3.4……〜〜♪


果穂「どこまで行けるの〜♪」

果穂「眺めてた〜♪」タタッ…

果穂「空に飛び込んだ〜♪」

果穂「あの日から〜♪」パーフェクト!


夏葉(その調子よ、果穂!)

夏葉(……マイクは常にONになっているわけじゃない。各組ランダムにONになり、ボーカル審査員はそれを聞き分ける)タタンッ

歌田「……」キイテマス…

夏葉(だから、常に全力で歌わなくてはいけない)スゥッ…
285 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/18(日) 21:11:51.69 ID:Vp13bF5xO

夏葉「高鳴ってる〜♪」

放クラ「ざわめいてる〜♪」


夏葉(更にダンスは……6組それぞれが重ならないタイミングで、オリジナルパートを組み込むことが指定されている)

軽口「……」ジーッ…

夏葉(つまり、課題で決められた振り付けはできて当たり前。オリジナルの部分こそが、ダンス評価のポイントになるはず……)キュキュッ


樹里「心の光は〜♪ 消えてない、ほら」

放クラ「消えない〜♪」グッド!


智代子(来る! オリジナルパート……!)

夏葉(……行くわよ! みんな!)

放クラ(──私たちは、ここから!!!!!)リンクアピール!


・・・・・
286 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/18(日) 21:12:58.33 ID:Vp13bF5xO

一旦、切ります!
続きは火曜にあげる予定です!
287 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/18(日) 21:56:46.29 ID:YJwULwy4o
おつおつ
丁寧な説明たすかる
288 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/18(日) 22:10:17.86 ID:F9VyDdzfo
乙乙
289 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/18(日) 23:51:58.89 ID:Y4tWjOHlo
おつ!
ほんの少ししか喋ってないけどライバルユニットのリーダーはえーちゃんだな俺は詳しいんだ
290 : ◆60viGNJ69k [saga]:2020/10/20(火) 22:28:02.32 ID:u+Y4MsNWO

おつありです!
すごい見る目のある読者さんがいますね😆
続きあげていきます!
291 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/20(火) 22:32:03.03 ID:u+Y4MsNWO

〜オーディション会場・控え室〜


ガヤガヤ……


高岸「皆さん、お疲れ様でした! タオルです!」スッ

高岸「オーディションはどうでしたか?」

夏葉「もちろん、全力を出し切ったわ!」グッ

高岸「それは良かった!」

果穂「プロデューサーさんっ! プロデューサーさんから見て、あたし達はどんな感じでしたか?」

高岸「僕は、ステージ裏でカメラ越しに見ていましたが」

高岸「曲が終わったとき、みんな、フルマラソンを走った後のような顔をしていました!」

高岸「それを見て、やり切ったんだな、良かったぁっ! と感じましたよ!」

智代子「ヘトヘトだったもんね〜、私たち……」

凛世「はい……しばらく、立ち上がれませんでした……」
292 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/20(火) 22:33:20.49 ID:u+Y4MsNWO

樹里「具体的には、どんな感じだったんだ? ダンスとか……」

高岸「僕のおばあちゃんより、断然上手でした!」

樹里「……?」ウーン?

樹里「──って、盆踊りじゃねー!」

凛世「ふふ……」

智代子「樹里ちゃん、一瞬考えたね」

樹里「分かりづらかったんだよ!」

高岸「すみません! でも、本当に上手でした!」ニコッ

高岸「結果発表はすぐ始まりますが、休んでいてください!」

放クラ「はーい!」
293 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/20(火) 22:34:31.24 ID:u+Y4MsNWO

・・・・・


スタッフ「では、本日のオーディションの結果を発表いたします」


ドンドコドコドコ……ドン!!


スタッフ「1位26ポイント、放課後クライマックスガールズ。2位24ポイント、エルビヨンド」

放クラ「やった! イェーイ!」ハイタッチ!

「やったね、えーちゃん!」

「なんで2位なのよ……!」

「……あれが放課後かー……」

スタッフ「以上になります。呼ばれなかった皆様は、残念ですがご希望に添いかねる結果となりましたこと、ご了承ください」

スタッフ「後ほど、1位と2位のマネージャーの方と収録の打ち合わせを行います。よろしくお願いします」

スタッフ「では……失礼します」


ガチャリ……
294 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/20(火) 22:36:47.74 ID:u+Y4MsNWO

ワァァァァ……ウエェェェン……ドウシテ……ガンバッタノニ……


果穂「……っ」

高岸「良かったですね! 皆さん!」

夏葉「ええ……」

放クラ「……」シュン…

夏葉「……申し訳なさそうにするのは、一緒に戦った人達に失礼よね」

高岸「確かに、そうかもしれません……」

高岸「でも僕は、いつでも人を思いやれる、優しい放クラが大好きです!」

高岸「……喜びを分かち合うのは、事務所に帰ってからにしましょうか!」

果穂「……はいっ!」

樹里「ああ」

高岸「では、皆さんは帰り支度をしていてください!」

高岸「僕は、スタッフの方とお話をしてきます!」ダダッ


・・・・・
295 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/20(火) 22:37:58.89 ID:u+Y4MsNWO

〜オーディション会場・廊下〜


高岸「えーと……打ち合わせ場所は、どこでしょうか」キョロキョロ

「こっちよ。オレンジの人」トントン

高岸「……! ありがとうございます!」クルッ

高岸「おや? あなた方は……」

「分からないの? アナタのアイドルの隣で踊ってたのに」

「えーちゃん……普通、自分の知り合い以外はそんなに見ないって」

「ボクたち、無名だしね……」

「今はね、い・ま・は!」

高岸「なるほど! 隣の……」

高岸「確か、エルビヨンドだ!」
296 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/20(火) 22:39:01.61 ID:u+Y4MsNWO

高岸「放クラに負けないくらい、素晴らしいパフォーマンスでした!」パァァ

エイル「何よ、ちゃ、ちゃんと覚えてるんじゃない」テレテレ

シイナ「エイル、照れてる……」

シイナ「あ、ボクはシイナ。こっちがエイルとラビィ」

ラビィ「えーちゃん、すぐに顔に出るからね〜……」

エイル「う、うるさいっ! 本名加奈子のくせに!」

ラビィ「それバラすのやめてよ〜!」ウルウル

高岸「あはは! 皆さんは、仲がいいんですね!」

シイナ「別に、良くはない……と思う」

高岸「ところで、皆さんのマネージャーさんは……」

エイル「そんなの、いないわよ」
297 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/20(火) 22:39:52.21 ID:u+Y4MsNWO

高岸「えっ!」

ラビィ「私たち、セルフプロデュースなので……事務所には入ってますけど、活動自体は自分たちでやってます」

ラビィ「もちろん、大人の方に頼るときもありますけどね。なんだかんだいって高校生なので……」

高岸「それは……すごい!」パァァ

高岸「エルビヨンドさんは、自分が自分のマネージャーであり、プロデューサーなんですね!」

高岸(夏葉さんみたいだ!)

エイル「まあ、そういうことになるのかしら」

エイル「……ところで、アナタはマネージャーじゃなくてプロデューサーよね?」

エイル「どうしてここに……」
298 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/20(火) 22:40:56.38 ID:u+Y4MsNWO

「──Hey,  Yo! スマイルマン!」

「やっと見つけたわ。283プロダクションのプロデューサーさん♡」

「……と、エルビヨンドの子たち」

高岸「!」

シイナ「……オマケみたいな扱い」

エイル「ちょっと! いくらなんでも酷いわよ!」

高岸「……お二人は、イエローマンとブルーマン!」

高岸「初めまして!」ニコッ

エイル(この3人、キャラが濃すぎでしょ!)

エイル(私の印象が薄くなっちゃうじゃない!)
299 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/20(火) 22:42:37.59 ID:u+Y4MsNWO

山崎「イエローマン、って失礼しちゃうわねっ」

軽口「レッドウーマン、別件で退場! スマイルマン、謁見に拝聴!」

高岸「僕に、お話がある、ということですか?」

エイル「私たちは?」

山崎「……良いわ、あなた達も聞きなさい」

山崎「今日のオーディションの得点、覚えてるかしら?」

ラビィ「はい! 放課後さんが26ポイント、私たちが24ポイントでした」

山崎「そう。1位と2位の差は、星2つ分……あなた達は、この差をどう考える?」

高岸「差、ですか」

エイル「アナタたち審査員がエコヒイキでもしなければ、実力差よね」

山崎「何ですって?」ピキッ
300 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/20(火) 22:44:29.28 ID:u+Y4MsNWO

軽口「俺たちゃ、いつでも真剣に採点! W.I.N.G.で一番、マトモな配点!」

軽口「舐めてんじゃねーよ?」イェア

シイナ「でも満足したらオーディションの途中で帰っちゃうこともある、って聞いたしなー……」

軽口「それは反省、いつかは更生……」ソーリー…

ラビィ「せ、先生方を疑うのはやめようよ!」

エイル「……はぁ」

エイル「……分かってるわよ」

エイル「私たちより放課後のパフォーマンスの方が良かったことぐらい」

山崎「……あら、あんなに動きながら他人を見る余裕があったなんて、なかなか見所があるじゃない♡」

エイル「ふん……」
301 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/20(火) 22:45:46.09 ID:u+Y4MsNWO

山崎「で、あなたは? オレンジマンさん」

高岸「僕は、皆さんに放クラの良さが分かってもらえたんだと、そう思っています!」

山崎「良さ、ね」

軽口「アマイぜ、スマイルマン!」

高岸「甘い……?」スンスン…

軽口「おい嗅いでんじゃねーぜ、匂いじゃねーぜ、俺のツッコミは皆伝だろうぜ?」

山崎「あ・な・た……自分のアイドルのこと、ちゃんと見れていないという自覚はある?」

高岸「ちゃんと、見れていない……?」

高岸「僕の視力は2.0ですよ!」ドンッ

エルビヨンド「……」

軽口「HAHA!」
302 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/20(火) 22:47:24.93 ID:u+Y4MsNWO

山崎「正直な話、放課後とエルビヨンドの間には星4つ分の実力差があったのよ」

山崎「でも、ある理由で差が埋まってしまった……」

山崎「正確には、放課後が得るはずだった星が2つ減ってしまった」

ラビィ「実力差を埋めてしまうほどのマイナスポイントがあった、ということですか?」

山崎「ええ、その通りよ」

山崎「放課後には、アイドルとして必要なものが欠けていた。私たちはそれを見逃さなかった」

高岸(アイドルとして必要なものが、欠けていた?)

シイナ「どういうこと? 訳わかんないよ……」

シイナ「ていうか、審査員の人とこんな話していいの? ルールとかないの? ボクたち大丈夫?」アセアセ

山崎「問題ないわ、今はプライベートだし。それに、1位か2位の片方だけにアドバイスしている訳じゃない」
303 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/20(火) 22:51:06.04 ID:u+Y4MsNWO

エイル「ふーん……じゃあ、私たちにもご指導を頂こうじゃない」

エイル「ライバルにだけドンドン塩が送られている状況は、いくらなんでも見過ごせないわ」

ラビィ「……ライバル?」キョトン

山崎「そうね。軽口、お願い」

軽口「OK。俺がダンスの構成変更からレクチャーしてやるぜ。Come on!」タタッ…

ラビィ「あ、ありがとうございます。じゃあ私とシイナで聞いてくるね」タタッ…

エイル「ありがとう。任せるわよ」

山崎「……じゃあ、本題に戻りましょ」

山崎「実力……言い換えれば、鍛え上げた技術や持ち前のセンス、天性の美貌。それは相対的な価値でしかない」

山崎「なぜならW.I.N.G.は減点方式じゃなく、限られたポイントを奪い合う戦いだから」
304 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/20(火) 22:52:00.94 ID:u+Y4MsNWO

高岸「……?」ウーン?

エイル「アナタ……プロデューサーなのに、分かってなかったの?」

高岸「すみません!」

エイル「し、仕方ないわね……」

エイル「さっき、山崎……さんが言っていたでしょう? 『星』って」

高岸「はい! 覚えています!」

エイル「星がつまりポイントな訳だけど、実は星の総数は決まっているのよ」

エイル「ユニット毎に100点満点で採点する訳じゃないから、審査員が『より良い』と思ったユニットにしか星は入らないの」

高岸「なるほど! だから奪い合いなのですか! ありがとうございます」
305 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/20(火) 22:53:49.63 ID:u+Y4MsNWO

山崎「分かったかしら? 相対的な価値、という意味が」

山崎「誰かより上手い、誰かより優れている、誰かより綺麗……じゃあ、6組全員が同じレベルで並び立ったら?」

高岸「……!」ピコーン

高岸「甲子園は、みんながハイレベル……技術やセンスだけでは、勝敗は決まらない!」

山崎「あえてツッコまないけれど……野球で例えたら、その通りね」

山崎「つまり決勝に近づくほど、今の放課後が持ち合わせている星4つ分のリードは価値を失っていくの」

山崎「……もちろんそれは、どのユニットも一緒。ね?」

エイル「……ええ」

エイル「だから相対的な価値じゃなく、絶対的な魅力があれば良いんでしょう? なぜなら……」

エイル「W.I.N.G.の決勝は、審査と──観客の投票で優勝が決まるから」
306 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/20(火) 22:56:40.63 ID:u+Y4MsNWO

高岸「えっ! そうなのですか?!」

エイル「……これも知らなかったのね」

山崎「ふふ♡ とはいえ、今から決勝の心配をする意味はないわ」

山崎「今の放課後は、ちょっと足が早い程度のウサギさん……」

山崎「途中で居眠りどころか、W.I.N.G.決勝にたどり着くことさえ叶わないのだし」

高岸「それはやっぱり、『何か』が足りていないからですか?」

山崎「そう。アイドルにとって最も基本的で、最も必要なものが」

高岸(……分からない)

高岸(『何か』ってなんだろう?)
307 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/20(火) 22:58:02.23 ID:u+Y4MsNWO

山崎「オンエアをしっかり見ることね、プロデューサーさん」

山崎「……アイドルの世界は、綺麗事では生き残れない。シビアな戦いを勝ち抜くには、あなたが頑張らないと」

高岸「……はい!」

山崎「じゃあ、私は行くわ。二人とも、またオーディションで会えることを願っているわよぉ〜♡」チュッ


スタスタ……スタスタスタ……


エイル「……入れ替わりで帰ってきた」

高岸「おかえりなさい!」

軽口「I'm back…」

ラビィ「えーちゃん、プロデューサーさん、ただいま戻りました」

シイナ「これ、メモ。後で動画も事務所に送ってくれるって……」

エイル「ふーん。思いのほか親切なのね……」
308 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/20(火) 23:01:13.37 ID:u+Y4MsNWO

軽口「──暗い顔だな、スマイルマン!」

軽口「山崎のアドバイス! いつも的確、マジでヤバイ! でもお前にゃデスボイス?」

高岸「……はい。録音した自分の声を、初めて聞いた時よりも、キツかったです」

高岸「それに……大事なことに気づけていない自分が、情けない……!」

高岸「でも……」

軽口「……?」

高岸「僕は、彼女たちのプロデューサーですから! 絶対に、W.I.N.G.決勝まで一緒に行きたいです!」ニコッ

エイル「……!」

高岸「だから、頂いた課題も、絶対に乗り越えてみせます!」パァァ

軽口「Fooh……」ニヤリ

軽口「Good luck, スマイルマン!」

軽口「お前なら、課題もクリアできるさ」フリフリ


スタスタ……
309 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/20(火) 23:02:44.62 ID:u+Y4MsNWO

エイル「……」

エイル「ねえ、放課後のプロデューサー」

高岸「はい!」

エイル「アナタの連絡先、教えなさいよ。あとで動画送るから」

高岸「えっ!?」ビクッ

ラビィ「えーちゃん?!」ビックリ

エイル「何をそんなに驚いてるの? 今のままじゃフェアじゃないのだから、当然でしょ?」

シイナ「敵に塩が〜、とか言ってたの自分なのに……」

シイナ「これ敗北フラグだよ絶対……」

エイル「うるさい。ほら、早くしなさいよ」

高岸「えっと、では名刺を……」スッ
310 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/20(火) 23:04:16.24 ID:u+Y4MsNWO

エイル「高岸……うん、覚えた」コクリ

エイル「──私たちのことも覚えておきなさいよ、高岸!」

エイル「そして次のオーディションでは、正々堂々、私たちが1位をとってやるんだから!」ドンッ

高岸「はい! 頑張ってください! 僕は、応援していますよ!」グッ

エイル「……いや、あなたは自分のアイドルを応援しなさいよ!」ビシッ

シイナ「高岸さんって面白いね……」

高岸「ありがとうございます!」
311 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/20(火) 23:05:11.23 ID:u+Y4MsNWO

エイル「……何だか肩透かしを食った感じだけど」

エイル「また会いましょう! 行くわよ、2人とも!」クルッ

ラビィ「行くって、えーちゃん……私たち、打ち合わせに来たんだよ?」

エイル「ぁ……っ」カーッ

シイナ「顔赤っ」

高岸「あはは!」


*・・・・・・・・・・・・・・・・

放課後クライマックスガールズ
〈ファン人数〉1,052人 

一回目の審査まで あと999→0人
W.I.N.G.本戦まで あと28→25週

・・・・・・・・・・・・・・・・*
312 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/20(火) 23:06:14.97 ID:u+Y4MsNWO

〜後日・ネット掲示板〜


【新人】明日のアイドル一番星・反省会★2【発掘】

1:774プロダクション@夢いっぱい
  無かったので
  ※前スレ:http://pigeon.5ch.net/

2:774プロダクション@夢いっぱい
  見てなかったがどうだったん

3:774プロダクション@夢いっぱい
  両方のセンターが可愛かったんだ🥰

4:774プロダクション@夢いっぱい
  どっちも並
  でも光るものもあった

5:774プロダクション@夢いっぱい
  お前らちゃんとWINGの投票したか
  俺はアプリすら入れてなかったから焦った

6:774プロダクション@夢いっぱい
  したぞ

7:774プロダクション@夢いっぱい
  1スレ完走とかヤバい
  キャプ画貼りまくりだったが
313 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/20(火) 23:07:35.21 ID:u+Y4MsNWO

8:774プロダクション@夢いっぱい
  283プロ=翼は分かるが
  109プロって何だ?東急か?

9:774プロダクション@夢いっぱい
  凜世ちゃんとかシーナちゃんみたいな
  無気力系しゅきしゅき
  生まれてきてくれてありがとう😊

10:774プロダクション@夢いっぱい
  凛世とシイナな

11:774プロダクション@夢いっぱい
  キャラならともかく、元気な方が良いな俺は

12:774プロダクション@夢いっぱい
  前スレに貼られてた奴
  放クラのピンク↓
  https://twista.com/houkago_climax_pink
  エルビヨンドのシイナ↓
  https://twista.com/ell_beyond_Shiina

13:774プロダクション@夢いっぱい
  >8
  109は東急で正解
  エルビヨンドはこの前
  一日駅長しててめっちゃ可愛かった

14:774プロダクション@夢いっぱい
  略称放クラか
  放課後呼びしてた

15:774プロダクション@夢いっぱい
  >12
  ピンクって武士キャラなの?

16:774プロダクション@夢いっぱい
  >13
  東急もアイドル事業に参入したのか…
  さすがアイドル戦国時代
314 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/20(火) 23:08:44.87 ID:u+Y4MsNWO

17:774プロダクション@夢いっぱい
  武士で草

18:774プロダクション@夢いっぱい
  ピンクフォロー確定

19:774プロダクション@夢いっぱい
  他のメンバーもツイ垢作れ

20:774プロダクション@夢いっぱい
  放クラは素人同然
  カメラの前で笑えないのもマズい
  クール系ユニットじゃないだろし尚更

21:774プロダクション@夢いっぱい
  エルビヨンドは
  略すとしたらLBとかになるのかな

22:774プロダクション@夢いっぱい
  放課後ってことは学校でライブとかある?
  学祭で夢咲き聞きたい

23:774プロダクション@夢いっぱい
  まあトークとかはこれからだろうよ

24:774プロダクション@夢いっぱい
  グリーンだけ大人?
315 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/20(火) 23:09:56.95 ID:u+Y4MsNWO

25:774プロダクション@夢いっぱい
  >20
  全然楽しそうじゃなかったのは残念

26:774プロダクション@夢いっぱい
  イエローはうちの娘の推しです

27:774プロダクション@夢いっぱい
  色で喋るな
  戦隊モノかよ

28:774プロダクション@夢いっぱい
  >25
  緊張してたんだろ…新人だぞ?

29:774プロダクション@夢いっぱい
  これからコイツらの時代が来る
  俺には分かる

30:774プロダクション@夢いっぱい
  エイルが噛んだ時のラビィのフォローワロタ


・・・・・


<15話・終わり>
316 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/20(火) 23:12:06.42 ID:u+Y4MsNWO

バトル漫画の解説回並に長くクドくなってしまった
すみません…
次回は後日更新します!よろしくお願いします
317 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/20(火) 23:20:57.87 ID:xO6GCpVfo
乙乙
318 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/21(水) 01:15:07.67 ID:I56vpEvWo
一発ネタかと思ったけどストーリーちゃんとしてるな…すまん侮ってた

ティンディ見るわ
おつ
319 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/21(水) 01:15:38.28 ID:I56vpEvWo
ティモンディだ
320 : ◆60viGNJ69k [saga]:2020/10/23(金) 23:53:47.70 ID:MEATrBFOO
乙ありがとうございます!
そう言ってもらえて嬉しいです!頑張って考えた甲斐があります
ティモンディのTwitterもYouTubeも面白いのでぜひ!

16話更新します!
321 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/23(金) 23:54:50.68 ID:MEATrBFOO

<16話・DON'T BE SHY>


〜283プロダクション・事務所〜


凛世「……」カキカキ

凛世「……」カキカキ…

果穂「凛世さん……終わりましたっ」

凛世「……はい」

凛世「では、いざ……」スッ…

果穂「……」ジーッ

凛世「……」

果穂「……」ドキドキ

凛世「……」ペラ…

果穂「……っ」ビクッ

凛世「……」

果穂「……」ドキドキ

凛世「……ふふ」コクリ

果穂「……!」

凛世「お見事で、ございます……」ニコッ

凛世「では、花丸を……」キュキュッ

果穂「わぁー! やったー!」パァァ
322 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/23(金) 23:56:38.19 ID:MEATrBFOO

凛世「果穂さんは……お勉強も、得意なのですね」

果穂「えへへ」

果穂「凛世さんに教えてもらったので、分からないところも簡単に解けちゃいました!」

凛世「いえ……凛世は、何も……」

果穂「そんなことありません!」

凛世「……!」

凛世「ふふ……」

凛世「果穂さんは、飲み込みが早く……とても、教え甲斐がありました」

果穂「ふふふっ、ありがとうございますっ!」

果穂「あたし、次は算数の宿題を頑張ります!」

凛世「果穂さんなら、やれば、できます……」ギュッ

凛世「凛世も……見ていますから」ニコッ

果穂「はいっ!」
323 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/23(金) 23:57:54.37 ID:MEATrBFOO

凛世「……」カキカキ

果穂「……あの、凛世さん」

凛世「はい……」

果穂「凛世さんは、何を書いてるんですか?」

凛世「これは、手紙でございます……」

果穂「お手紙……?」

凛世「凛世の父母と、姉様に向けて……したためております」

果穂「お父さんとお母さんとお姉さん、ですか?」

凛世「はい……」

凛世「凛世は、しばしば……実家や姉様に、手紙を送るのです……」

凛世「今日は、この間のオーディションのことや……日々のあれこれ……」

凛世「そして、放クラの皆さまのことを……」

果穂「……あたしのことも!」

凛世「ふふ……」

凛世「とても元気なこと、誰にでも優しいこと、ヒーローがお好きなこと……」

凛世「果穂さんのことを書くと……楽しい気持ちが、あふれて参ります……」

果穂「そうなんですか! えへへ」テレテレ

果穂「……あ、あたしも」

凛世「……?」

果穂「誰かにお手紙、書いてみようかな……」

凛世「……!」

凛世「はい」ニコニコ

凛世「ぜひ……」
324 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/23(金) 23:59:10.69 ID:MEATrBFOO

ガチャリ


樹里「おはようございまーす」

凛世「おはようございます」

果穂「樹里ちゃん! おはようございます!」

樹里「二人だけか?」

凛世「はい……プロデューサーさまは、社長さまとお話を……」

果穂「ちょこ先輩は電車で移動中で、夏葉さんはもうすぐ着くそうです!」

果穂「って、プロデューサーさんが言ってました!」

樹里「そっか。二人は何してたんだ?」

果穂「あたしの学校の宿題を凛世さんに見てもらってました!」

樹里「へぇ……どれどれ……?」

樹里「おー……全部当たってる。さすが、アタシらの果穂は優秀だな!」ナデナデ

果穂「わぁー! 樹里ちゃん、くしゃくしゃしないでくださいー!」ニコニコ

樹里「へへっ」ナデナデ

凛世「ふふ……」ニコニコ

樹里(そういや、今日のレッスンは何やるんだったかな)

樹里(……?)

樹里(ホワイトボードのスケジュール表、更新されてる……)ジーッ

樹里(……って)

樹里「──はあぁっ?!」

凛世・果穂「?」


・・・・・
325 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/24(土) 00:00:32.77 ID:ld2ZwCvNO

〜283プロダクション・社長室〜


高岸「失礼します!」ガチャリ

天井「……お前か。座れ」

高岸「アイヤァ〜!」ストン

天井「床に座……」

天井(ちゃんと椅子に座っている、だと?)

天井「……ひとまず、1次審査の突破おめでとう。よくやった」

高岸「ありがとうございます! 放クラのみんなが、頑張った成果です!」

高岸「僕ではなく、みんなを、褒めてあげてください!」パァァ

天井「ふっ。相変わらずだな」

天井「……こうしてお前と話をするのも、久しぶりのような気がするな」

高岸「社長がお忙しい身ですし……放クラも、ありがたいことに、仕事が増えましたから!」

天井「ああ。それはお前の報告書からも把握している」

天井「ところで……」ペラ…

天井「この間のオーディションの報告書だが……『審査員の山崎さんや軽口さんから、多くの御指導を賜り〜』……」

天井「……なんだこれは」

高岸「はい! お二人から、プロデューサーとしてのアドバイスや、課題を頂きまして……」

高岸「『放クラには、アイドルとして足りないものがある』と」

天井「そういったことはコレに書かずとも良い」

高岸「そうなのですか! すみません」

天井「まぁ、いいだろう。それで……」
326 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/24(土) 00:01:42.76 ID:ld2ZwCvNO

天井「お前はその『課題』について、どう思う?」

高岸「はい! オンエアを見て、僕にも分かりました!」

高岸「放クラのみんなは、いつも素敵な笑顔を見せてくれているのに」

高岸「テレビの中のみんなは、全然、笑っていませんでした……」

天井「『課題』は、笑顔か」

天井「……」

天井「……単純なように見えて、根深い問題だな」

高岸「はい」

天井「それで。お前はどうしたい?」

高岸「僕は……」

高岸「みんなに、笑っていて欲しいです!」

高岸「テレビの前の人々にも、放クラのみんなの良いところを、知って欲しい!」ニコッ

天井「アイドルは人々の前で笑顔を振りまくのが仕事だ」

天井「それが出来ないならW.I.N.G.で勝ち残ることはおろか、アイドルを続けることも難しいだろう」

高岸「……同じことを、山崎さんもおっしゃっていました!」

高岸「でも、僕には……無理にでも笑え、なんて言えません!」

天井「……ふん」
327 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/24(土) 00:02:48.35 ID:ld2ZwCvNO

天井「やれば、できる。これはお前のフレーズだろう?」ビシッ

高岸「はい! でも、違うんです!」

天井「……何が違う」

高岸「僕はみんなに、挑戦を楽しみながら、ベストを尽くして欲しい!」

高岸「その先に、『やってみたら、できた!』という、幸せな結果が待っている!」

高岸「そういう意味を、込めているんです!」グッ

天井「……なるほど。ならば、現実としてどうする?」

高岸「みんなが笑えるように、僕がなんとかしてみせます!」

天井「ほう……」ニヤリ

天井(お前ならそう来ると思っていた……が)

天井「高岸……それは所謂、修羅の道だ。お前にとって良い結果を招くとは限らないぞ」

天井「それに……私との『約束』もあることを忘れるな」

高岸「『W.I.N.G.で優勝できなければ、僕はみんなのプロデューサーを、辞めなければならない』……」

高岸「忘れていませんよ!」ニコニコ

天井「……」
328 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/24(土) 00:04:01.01 ID:ld2ZwCvNO

天井(……自分が辞めることなど、微塵も恐れていない……それほどまでに、彼女たちを……)

天井(お前の覚悟は、揺るがないのだな)

天井「……そうか」

天井「さて……私は知っての通り、甘くはない」

天井「だが試練だけを与えるのは、私の好むやり方ではない」

天井「それに、件の2人……いや、3人には……私も浅からぬ因縁がある……」ボソリ

高岸「……?」

天井「高岸、私からのアドバイスだ」

高岸「はい!」

天井「お前の初心を思い出せ」

高岸「僕の、初心……?」

天井「そうだ。面接、スカウト……」

天井「ただひたすらにお前らしく突き進んでいた頃を」

天井「今のお前は、あの頃に比べて少し…………」

高岸「……社長?」キョトン

天井「いや……何でもない。忘れろ」

天井「考えるな、とは言わない。ただ、お前の持つ愚直なまでの真摯さが、お前の進む道には必要だろう」

高岸「僕の、真摯さ……」

天井「そうだ。今まで通り、ひたむきにアイドルと向き合い続けるんだ」
329 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/24(土) 00:05:11.89 ID:ld2ZwCvNO

天井「そして……お前に限ってはありえないが……アイドルをコントロールしようとはするな」

天井「……理解したか?」

高岸「はい!」

天井「ならいい。分かったなら、さっさと行け」

高岸「はい!! ありがとうございました!」


ガチャリ……シーン……


天井「『アイドルをコントロールしようとはするな』……」

天井「よもや私の口から、あんな言葉が出てこようとはな……」


タバコ……トリダシ……カチッ……ボッ……


天井「……」スパー…

天井(高岸……お前なら、この試練を乗り越えられる)

天井(不思議だが、そんな確信があるのだ……)

天井「ふっ……」

天井「私は……夢を見ているのか。アイツに……」


『ごめんなさい……プロデューサー……っ……!』


天井「……」

天井「あの時、壊れてしまった夢を……」

天井「……」
330 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/24(土) 00:06:52.27 ID:ld2ZwCvNO

〜283プロダクション・事務所〜


高岸「ただいま戻りました!」ガチャリ

凛世・果穂「おかえりなさい」

樹里「──プロデューサー!」

高岸「はい!」

樹里「なんだよ、アレ!」ユビサシ

高岸「アレ?」

高岸「……ああ! 取材のことですね! 今朝電話があって……」

樹里「ち、ちげーよ!」

樹里「あ、いや、それも気になるけど……夜市の話だっ!」

高岸「なるほど!」

高岸「樹里さん達が喜ぶと思って、商店街の皆さんと、以前からお話ししていたんです!」

高岸「それで、やっと話がまとまって」

高岸「夜市で行われるミニライブの、前座をやらせていただけることになりました!」

樹里(プロデューサーが、アタシらの為に……)

果穂「ライブ……!」キラキラ

凛世「商店街の、みなさまの前で……」キラキラ

高岸「もしかして、嫌でしたか?」

樹里「い、嫌じゃねーけど……」

樹里「急だったから、ビックリしたっつーか……」ボソリ

高岸「すみません」
331 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/24(土) 00:07:56.84 ID:ld2ZwCvNO

果穂「……プロデューサーさん」

高岸「はい! 何ですか? 果穂さん」

果穂「プロデューサーさんが帰ってくる前、樹里ちゃん、スゴく嬉しそうにしてました!」

樹里「──か、果穂!」

果穂「ふふっ、くしゃくしゃのお返しです!」ニコニコ

凛世「ふふ」ニコニコ

樹里「……っ」カァッ

高岸「喜んでくれたなら、良かった!」パァァ

樹里「あーもうっ!」バッ

樹里「プロデューサー!」

高岸「はい!」

樹里「……アタシが、商店街のみんなに世話になってることも知ってるだろ?」

樹里「アンタはあそこの人気者だしな」

高岸「樹里さんほどではないですよ!」ニコニコ
332 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/24(土) 00:08:40.69 ID:ld2ZwCvNO

樹里「っ……ともかく!」

樹里「やるからには、全力だからな」グッ

高岸「……はい!」

高岸「もちろんです!」ニコッ

凛世「プロデューサーさま……」

凛世「……凛世も、商店街のみなさまに……日々の恩返しをしたく……」

高岸「はい! 一緒に頑張りましょう!」グッ

凛世「……!」ニコニコ

果穂「プロデューサーさん! あたしも!」

高岸「はい! もちろん、果穂さんの力も必要です!」

高岸「みんなで、夜市を!」

高岸「リオのカーニバルよりも、盛り上げてみせましょう!」

高岸「僕たちなら、やれば、できる!」サンバ!


*・・・・・・・・・・・・・・・・

放課後クライマックスガールズ
〈ファン人数〉1,052人 

二回目の審査まで あと8,948人
W.I.N.G.本戦まで あと25→24週

・・・・・・・・・・・・・・・・*


<16話・終わり>
333 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/24(土) 00:09:11.41 ID:ld2ZwCvNO

次回は後日です! よろしくお願いします
334 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/24(土) 10:37:16.02 ID:xtt+3QfBo
おつー
シャニマス全然知らんので申し訳無いけど社長は何処までオリジナル要素なんです?
335 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/24(土) 13:22:14.72 ID:y6vZ2xXko
乙乙
336 : ◆60viGNJ69k [saga]:2020/10/26(月) 21:33:13.41 ID:RLJ0UJj6O
乙ありです! お待たせしてすみません
社長まわりの設定に関しては、
・W.I.N.G.編で負けたり途中審査をクリアできなかったりするとその時点でプロデュースが終わり、というシステム的な部分

・アイドルの個性を大事にし、会社やプロデューサーの方針をアイドルに押し付けないという信念

・過去にアイドルのプロデューサーをしておりそれなりに実績を残したが、大きなすれ違いを経てアイドルが引退するという過去

この辺りが公式からパクっているもので、あまりブレないように注意しています!

余談ですが、対照的に放クラメンバーと高岸はだいぶブレてるので、今までの文章を読み返しながら自分でも葛藤してます。でも開き直って書きます!
「こんな雰囲気のキャラクターなんだな」ぐらいに読んでもらえたら嬉しいです
337 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/26(月) 21:34:30.55 ID:RLJ0UJj6O

<17話・高鳴ってる、ざわめいてる>


〜283プロダクション・レッスンルーム〜


智代子「……なるほど」

智代子「商店街のために、夜市を盛り上げたいと」

樹里「……頼む。チョコと夏葉にも、手伝ってほしいんだ」

夏葉「そんなに深刻そうな顔をしなくていいのよ、樹里」

夏葉「私たちは仲間なんだから」

智代子「そうだよ! 樹里ちゃん!」

智代子「ライブもあるんだったら、頑張るのは当たり前だもん!」

樹里「……サンキューな、二人とも」ニッ

夏葉「うふふっ。それに……」

夏葉「樹里と凛世がいつもお世話になっている方々に、お礼をしないといけないものね!」

智代子「ふふっ! そうだね!」ニコニコ

凛世「凛世たちのために……ありがとうございます……」ペコリ

樹里「そ、そういうお節介はいらねーよ」

果穂「それで、あたし達は何をしたらいいんでしょう?」

智代子「そこだよね〜……うーん……」
338 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/26(月) 21:35:20.53 ID:RLJ0UJj6O

凛世「お店のお手伝いは、いかがでしょう……?」

樹里「売り子なら、たぶん手伝わせてくれるだろけど」

夏葉「名案ね!」

樹里「オッケー。手伝わせてくれるとこがないか、あとで聞いて回るとして……」

果穂「ライブの宣伝をして、いっぱい見に来てもらいましょう!」

智代子「私たちが広告塔になるってことだね! 賛成!」

樹里「宣伝か……どうすりゃ良いかな」

みんな「うーん……」

夏葉「私にひとつ、考えがあるわ」

樹里「なんだ?」

夏葉「簡単なことよ。私たちのファンを増やせばいいの!」

凛世「なるほど……ファンの皆さまに、来ていただくと……」

智代子「──あっ! それなら私もアイディアがあるよ!」

智代子「あのね、だいぶ前からやってる私のツイスタなんだけど……」

智代子「最近、すっごくフォロワーが増えてるんだ! みんな放クラのピンクで覚えてくれて……」

凛世「ふふ……凛世も、拝見しております」

夏葉「私も見ているわよ。智代子は写真を撮るのがとても上手だから、参考にさせてもらっているの」

果穂「あたしも! プロデューサーさんのスマホを借りて見てます!」

果穂「ちょこ先輩のツイスタは、放クラのアルバムみたいで大好きですっ!」ニコニコ

智代子「三人とも、ありがとう! えへへ」テレテレ
339 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/26(月) 21:36:42.45 ID:RLJ0UJj6O

樹里「チョコ……」

樹里「……ふぉろわー、ってなんだ?」

智代子「私のツイスタを見てくれてる人、って意味だよ!」

樹里「なるほど……悪い、水差しちまったな」

智代子「そんなことないよ、樹里ちゃん! それでね……」

智代子「ツイスタで夜市の宣伝をしたら良いんじゃないかなー、って」

夏葉「あら、素敵じゃない!」

智代子「でしょ!」

果穂「あたしもやりたいです!」キラキラ

智代子「うん! 一緒にやろう、果穂!」ニコッ

凛世「……樹里さん」

樹里「ああ」コクリ

樹里「……みんな、ありがとな」

凛世「ありがとうございます……」

樹里「とりあえず整理すると、当日の売り子とツイスタでの宣伝、そしてファンを増やす……」

樹里「順番的には、アタシらのファンになってもらって、ツイスタを見てもらって、当日来てもらうって感じになると思う」

みんな「……」コクリ

樹里「だからまずは……デカいオーディションを受けて、またテレビに出たい」
340 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/26(月) 21:37:34.63 ID:RLJ0UJj6O

夏葉「ええ。プロデューサーには私から頼んでおくわ」

智代子「オーディションに出るなら、レッスンも頑張らないとだね!」

果穂「やることがいっぱいで、ワクワクしてきましたー!」

樹里「……」

智代子「樹里ちゃん」

樹里「な、泣いてねーよ」

智代子「何も言ってないよっ!?」ドキッ

凛世「ふふ……」

夏葉「泣くにはまだまだ早いわよ!」

樹里「だから泣いてねー!」

果穂「ふふふっ!」

果穂「樹里ちゃんと、凛世さんのためにも!」

果穂「みんなでがんばりましょー!」

みんな「おー!」
341 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/26(月) 21:38:28.09 ID:RLJ0UJj6O

智代子「……じゃあ、話がまとまったところで休憩再開ーっ!」

智代子「今日はね、美味しいチョコレートをみんなと食べようって……」ゴソゴソ

トレーナー「──話は聞かせてもらったわよ!」バンッ

智代子「……先生っ?!」ビックリ

トレーナー「オーディションを受けるなら、そのぶん私も気合い入れていくから」

トレーナー「覚悟決めて食らいついてきなさい!」

みんな「はーい!」

智代子「お菓子タイムが……」

凛世「ふふ……」

凛世「頑張ったあとのチョコは……なおさら格別でございます……智代子さん」ニコニコ

智代子「チョコだけにね……っ!」


・・・・・
342 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/26(月) 21:39:13.57 ID:RLJ0UJj6O

夏葉「どんな……憧れも……」タタッ

夏葉「全部……叶える〜♪……」キュキュッ


ガチャリ……


高岸「失礼します」

高岸「……!」

夏葉「あら、プロデューサー」スタ…

高岸「すみません、邪魔してしまいましたか?」

夏葉「うふふっ、そんなことないわよ」アセダク

高岸「それなら良かったです。ドリンクを、どうぞ!」スッ

夏葉「ありがとう」

夏葉「……」ゴクゴク

高岸「……」

高岸「今日もこんなに遅くまで、一人で居残り練習ですか?」

夏葉「ええ。夢は銀河一のアイドルだもの、立ち止まっていられないわ」

夏葉「……他の四人を揶揄しているつもりはないわよ?」

高岸「分かっていますよ!」

夏葉「……そう」
343 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/26(月) 21:40:47.01 ID:RLJ0UJj6O

高岸「……」

高岸「……夏葉さん、無理してはいませんか?」

夏葉「プロデューサーには、私が無理しているように見えるの?」

高岸「とても、頑張っているように見えます!」

夏葉「……やって当たり前のことをしているだけよ」

高岸「そんなことありませんよ!」

高岸「僕には見える! あなたの流した汗が、努力という名の、湖を作っているのが!」

高岸「その努力湖がいつか努力海になったとき、とても綺麗な日の出が、見られるはずです!」パァァ

夏葉「……!」

高岸「でも……それとは別に、心配もしているんです!」

高岸「太陽はいつだって、自分のペースで昇って、自分のペースで沈みます」

高岸「太陽のように熱いあなただから、自分のペースを守って、頑張ってほしい!」

夏葉「ふふっ……ありがとう」

夏葉(そんなことを言ってくれるのは……アナタだけね)

夏葉(外からは、私たちの努力の「結果」しか見えないのに……)

夏葉「でも、プロデューサー。本当に心配は要らないの」
344 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/26(月) 21:42:48.51 ID:RLJ0UJj6O

夏葉「実はこの居残りもね、私のスケジュールに含めてあるのよ?」

夏葉「アナタも知っている通り、みんなのレッスンのスケジュールは私が管理しているけれど」

夏葉「アナタに咎められたあの日から……私のスケジュールも、先生にちゃんと指導を受けているわ」

高岸「そうだったんですか」

夏葉「ええ。だから……」

夏葉「私は、大丈夫」グッ

高岸「……はい!」

夏葉「……それよりも。プロデューサー」

夏葉「これは何?」ピトッ…

高岸「えっ?」

夏葉「クマ、出来てるわよ。私よりアナタの方が無理してるんじゃないかしら?」

高岸「そんなことないですよ! 毎日夜10時には、しっかり寝ています!」

夏葉「……うふふっ。もう……」

夏葉「どんなに忙しくても、睡眠はしっかりとること」

夏葉「私たちのためとはいえ、アナタが無理をしているのなら見過ごせないわ」

夏葉「……それとも、私がアナタのスケジュールを管理してあげたほうがいいのかしら?」

高岸「いえ、大丈夫ですよ!」アセアセ
345 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/26(月) 21:44:21.00 ID:RLJ0UJj6O

夏葉(こんなこと、私が言えた義理ではないわね……)

夏葉(だからといって……無理がどうのと言っていられる場合でもない)

夏葉(私は、一番にならなければならないのだから)


天井『もし放課後クライマックスガールズが優勝できなかった場合……』

天井『お前にはプロデューサーを退職してもらう』

高岸『はい! 僕は、彼女たちを信じていますから! 大丈夫です!』

天井『ふん。覚悟はできているようだな』


夏葉(……)

夏葉(私は、W.I.N.G.で優勝しなければならないのだから)

夏葉(次のオーディションも負けられない)


果穂『でも、本番になったら、息が苦しくなっちゃって……声もっ、出なくて──!』

果穂『だから、ごめんなさい……!』

果穂『うぅっ、うわぁぁぁぁぁぁぁん……』


夏葉(っ……)

夏葉(もうみんなに負担はかけられない)

夏葉(……頑張るしかないのよ、有栖川夏葉)

夏葉(私ができることを、限界までやるしかない)
346 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/26(月) 21:45:23.99 ID:RLJ0UJj6O

夏葉「……」ニコッ

夏葉「ねえ、プロデューサー」

高岸「はい!」

夏葉「今日、みんなと話し合ったの」

夏葉「夜市を盛り上げるために、私たちに何ができるかって」

高岸「僕ももちろん、お手伝いしますよ!」

夏葉「ありがとう。それでね、夜市の前に大きなオーディションに出てみようって案が出たのよ」

夏葉「……正確には、私が言い出したのだけれど」

高岸「オーディションですか!」
347 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/26(月) 21:46:19.75 ID:RLJ0UJj6O

・・・・・


山崎『今の放課後は、ちょっと足が早い程度のウサギさん……』

山崎『途中で居眠りどころか、W.I.N.G.決勝にたどり着くことさえ叶わないのだし』

高岸『それはやっぱり、『何か』が足りていないからですか?』

山崎『そう。アイドルにとって最も基本的で、最も必要なものが』


高岸(……僕の出した答えは、みんなの笑顔)

高岸(でも、これが山崎さんの課題の答えなのか、確証はない)


天井『アイドルは人々の前で笑顔を振りまくのが仕事だ』

天井『それが出来ないならW.I.N.G.で勝ち残ることはおろか、アイドルを続けることも難しいだろう』


高岸(……課題はまだ、乗り越えられていない)


夏葉『私たちは……出来るかどうか、なんて考えなくていい』

夏葉『とにかく、ひたすら、やってみる。それだけでいいのよ!』


高岸(……!)

高岸(そうだ……)

高岸(夜市のために、みんなが前向きになっているんだ)

高岸(やれば、できる!)

高岸(勝ち負けなんかよりも、みんなの挑戦したい気持ちを、大事にしていこう!)


・・・・・
348 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/26(月) 21:47:07.84 ID:RLJ0UJj6O

夏葉「ファンが増えたら、私たちを見るために夜市に来てくれる人が増えるかもしれないでしょう?」

夏葉「……どうかしら?」

高岸「……」ニコッ

高岸「はい! 僕も賛成です!」

高岸「この間よりも、大きなオーディション! 受けましょう!」

高岸「放クラなら、やれば、できます!」パァァ

夏葉「ええ! やってみせるわ!」

夏葉「だから、ちゃんと見ていてちょうだい」

高岸「はい! もちろんです!」

夏葉「うふふっ! じゃあ居残り練習も、もう少し付き合ってもらおうかしら?」

高岸「任せてください!」

高岸「──そうだ! 歌は僕が歌いましょうか?」ピコーン

高岸「セザッウィーン! いこう♪」

高岸「今、羽ばたく時間〜♪」エクセレント!

夏葉「あら、プロデューサーは歌も上手なのね」

高岸「ありがとうございます!」

高岸「ちなみに僕の十八番は、上を向いて歩こう、です!」ドンッ


<17話・終わり>
349 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/26(月) 21:47:48.63 ID:RLJ0UJj6O

次回は水曜日に更新します! よろしくお願いします!
350 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/26(月) 21:51:28.77 ID:XB3fWnqho
乙乙
351 : ◆60viGNJ69k [saga]:2020/10/28(水) 19:14:49.79 ID:uV0iKxtAO

乙ありです!
18話、更新します!
352 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/28(水) 19:15:47.54 ID:uV0iKxtAO

<18話・全員で存分にハイテンション>


〜オーディション会場・廊下〜


夏葉「……じゃあ、プロデューサー。楽屋挨拶、行ってくるわね」

高岸「はい! 審査員の皆さんにも、放クラの笑顔と元気を、わけてあげてください!」

果穂「はいっ! 行ってきます!」ニコッ

放クラ「……」フリフリ


スタスタ……


高岸「……」フリフリ

エイル(……)コソコソ

ラビィ「えーちゃん、何してるの……」ヒソヒソ

シイナ「ストーカー」ヒソヒソ

エイル「違うわよ! あ、こっち来る!」ヒソヒソ


タタッ


エイル「──あら! 偶然ね、高岸!」
353 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/28(水) 19:17:18.87 ID:uV0iKxtAO

高岸「エイルさん! エルビヨンドのみなさんも、このオーディションを受けるんですね!」

エイル「ええ、そうよ。再戦の機会は意外と早く訪れたってワケね」

エイル「やっぱり私たちは運命のライバル……」

シイナ「まあ、ここで高岸さんと会ったのは完全に意図的なんだけど」

エイル「や、やめっ!」

ラビィ「あ、あはは……すみません、相変わらずこんな感じで……」

高岸「仲が良くて、素敵なチームだと、僕は思いますよ!」パァァ

ラビィ「そんな……ありがとうございます」テレテレ

エイル「……こほん」

エイル「ところで、高岸……この間私が送った動画は、ちゃんと役に立ったのかしら?」

高岸「はい! おかげでレッスンの質というか、レベルが上がった気がします!」

エイル「そう。それなら良かったわ」

エイル「相手が強くなきゃ、叩きのめす甲斐もないってモノよ」
354 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/28(水) 19:18:49.37 ID:uV0iKxtAO

シイナ「いい加減、そのビッグマウスもやめて欲しいんだけどなー」

シイナ「付き合うほうもしんどい……」ゲッソリ

高岸「……?」ジロジロ

シイナ「な、なに……ボクの顔に何か……?」ビクッ

高岸「皆さん、少し目が赤いような……充血、ですか? 大丈夫ですか?」

エイル「!」

ラビィ「……高岸さん、すごいですね」

ラビィ「実を言うと、今日のために睡眠時間を削って練習してきたんです」

ラビィ「それに……何度かオーディションも受けて、ファン人数も7000人を突破しました!」

高岸「それは、すごい! 頑張ってきたんですね!」

シイナ「めちゃくちゃ大変だった……」
355 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/28(水) 19:19:28.15 ID:uV0iKxtAO

エイル「……まったく、なんでそんな目ざといのよ」

高岸「野球好きは目が良いので!」グッ

シイナ「あー……なるほど」

エイル「納得するな!」

高岸「……みなさん、それぐらい気合いを入れてきた、ということですね!」

エイル「まあ、そうね。今日は公開オーディションだし」

エイル「お客の前でみっともないステージはできないから」

シイナ「……」コクリ

ラビィ「そうだね」グッ

高岸「はい! お互い、ベストを尽くして戦いましょう!」


・・・・・
356 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/28(水) 19:20:36.45 ID:uV0iKxtAO

〜オーディション会場・ステージ〜


ガヤガヤ……ザワザワ……


観客A「……え? アイドル、生で見れないの?」

観客B「ああ。会場そのものがステージみたいなもんでさ」

観客B「ドームとかのセンターステージ形式に似てるけど、客席はないんだよ。ドームほど広くないから」

観客B「つってもここはステージ裏だから声は聞こえるし、デカいモニターはあるし、ライブビューイングみたいなもんだな」

観客B「……てか、ちゃんと説明あったはずだけど」

観客A「なんだよ〜、せっかく抽選当たったのに……」ガッカリ

観客B「無料じゃ文句言えねーって」

観客A「……そんなもんかぁ。テンション下がるなぁ」

観客B「シーッ……始まるぞ」


・・・・・
357 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/28(水) 19:22:08.65 ID:uV0iKxtAO

智代子「……うぅ〜……」ブルブル

夏葉「智代子、緊張しているの?」

智代子「む、武者震いだよ!」

智代子「……って言いたいところだけど、ダメだ〜。足震えてるよ、あはは……」ガクガク

樹里「実はアタシもだ。2回目でも慣れないもんだな……」

智代子「うん……それに、今日はお客さんも見てるんだもんね……」

樹里「ああ……凛世は、落ち着いてんな」

凛世「いつも通りで……ございます……」

果穂「──みなさん! アレ、やりましょう!」バーンッ

智代子「アレ?」

果穂「円陣ですっ!」

樹里「……おお! やるか!」

凛世「ふふ……景気づけに、ぴったりですね」

夏葉「うふふっ、そうね! やりましょう!」

智代子(果穂……私たちを盛り上げる余裕ができてる……!)

智代子(いつの間にか成長しちゃって……嬉しい反面、少し寂しいよ……!)

果穂「ちょこ先輩……?」キョトン

智代子「あ、ゴメン! 私も混ぜて!」
358 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/28(水) 19:23:14.13 ID:uV0iKxtAO

「放課後クライマックスガールズ! 最強のアイドルに…… 変身!!!!!」


エイル「……」ジーッ

シイナ「ちょうど対面だからよく見えるね」

エイル「そ、そうね」

シイナ「……」

ラビィ「良いね、ああいうの」

シイナ「うん。なんか一丸って感じ……」

ラビィ「……私たちも考えてみよっか、かけ声」

エイル「ふふっ、それも悪くないわね」ニコッ

エイル「……」

エイル「……ラビィ、シイナ。カメラはあそこね。審査員席の前」

ラビィ「分かった」

シイナ「おっけー……」

エイル「……ふぅ」

エイル「っ……」キリッ

エイル「──届けるわよ、向こうまで」


・・・・・
359 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/28(水) 19:24:28.48 ID:uV0iKxtAO

ビジュアル審査員(……さてと。前評判だと放課後とエルビヨンドの2トップだけど)


放クラ「Spread the Wings 行こう!」

エルビヨンド「今 始まる奇跡〜♪」


ダンス審査員(ふむ……)

ビジュアル審査員(出だしから、2組とも存在感を放っている……)


樹里・智代子「Start Up‼」

果穂「新しい夢に あつまった〜♪」タタッ

凛世「You & Me YES‼」キュッ

夏葉「やわらかい羽を」

放クラ「ぎゅっと つないで〜♪」パーフェクト!


ラビィ「Look Up‼」

シイナ「誰も見たことない翼〜♪」

エルビヨンド「私たちの空に 広げよう〜♪」パーフェクト!


ダンス審査員(実力は噂通りだな)
360 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/28(水) 19:25:44.39 ID:uV0iKxtAO

夏葉「どんな憧れも〜♪」ジャンプ!

樹里「全部 叶える〜♪」キュキュッ


夏葉(踊れてる……)

夏葉(今までのステージの中でも、一番上手に)

夏葉(このまま完璧に踊り切れれば、きっと……!)


果穂(夏葉さん……スゴい!)

果穂(あたしも、もっと、もっと!)


智代子(夏葉ちゃんのダンス、いつも以上にキレてる)

智代子(私も食らいついていかないと、置いていかれる!)


樹里(みんなが夏葉の勢いに引っ張られてる)

樹里(アタシも、負けてらんねぇ……!)


凛世(凛世は、どなたが見ていても……)

凛世(ただ……プロデューサーさまのために……)


果穂「そんな未来〜♪」

果穂「信じてみない?」ニコッ


凛世(…………)

凛世(果穂さん……激しいダンスの中で……)

凛世(あれほど、楽しそうに……)
361 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/28(水) 19:27:51.35 ID:uV0iKxtAO

歌田「……」

歌田「放課後……悪くない。ポテンシャルはやっぱり、図抜けている印象ね」

ダンス審査員「同感です」

歌田「それに拮抗するエルビヨンド。だいぶ場慣れしているように見えるわね」

ビジュアル審査員「以前、別のオーディションで見かけました。実力がついてきたんでしょう」

歌田(『明日のアイドル一番星』のときとは一味違う、ということね)


ラビィ「強く 願えたら〜♪」フリフリ

シイナ「それはもう」

エイル「本物だよ!」ウィンク


歌田「ダンスの間に手を振る余裕さえある」

歌田「でも、それ以上に気になるのは……」

歌田「──私たちの方を見ている彼女たちと、全く目が合わないこと」

審査員たち(……!)ハッ

ビジュアル審査員(彼女たち、一体どこを……)

ビジュアル審査員(──まさか……!)

ダンス審査員(カメラの先にいる、客に向かって……!)
362 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/28(水) 19:29:29.72 ID:uV0iKxtAO

・・・・・


観客A「……ヤバい」

観客A「ヤバいヤバいヤバい! 今目が合った! エイルと目が合った!」

観客A「俺のこと見て手振ってた!」

観客B「は? んな訳ないだろ」

観客A「いやいや、マジだって!」

観客B「嘘だろ……」ジーッ

ラビィ「翼を広げて〜♪」

エイル「君とどこまでも〜♪」フリフリ

観客B「……うわ」

観客B「マジじゃん。俺のエイルじゃん。エイルVRじゃん」

観客A「……は?」

観客B「モニター越しなのに、なんか、目の前にいるみたいな……」

観客B「すっげーリアル感……」

観客A「これステージ最前列と変わんねーよ!」

観客A「今日、来てよかった!! ありがとう!」パァァ

観客B「……お、おう」

観客B「俺も……来てよかった」ニコニコ


・・・・・
363 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/28(水) 19:31:01.34 ID:uV0iKxtAO

エイル(聞こえる、ファンの声が)

エイル(私たちの歌がちゃんと届いたって、分かる!)ニコニコ

エルビヨンド「あの空の彼方〜♪」エクセレント!


歌田(文字通り、他の5組と見ているものが違う)

歌田(初めから審査なんてレベルでは戦っていなかったのね)

歌田「……」ニヤリ

歌田(エルビヨンド……)

歌田(一足先に、アイドルの本質に気づき始めたということかしら)

歌田「ふふっ♪」

歌田「……」スタスタ…

ビジュアル審査員「……歌田さん? どこに……」

ダンス審査員「止めるな」

ダンス審査員「審査が終わったんだ」

ビジュアル審査員「えっ?」

ダンス審査員「……もう満足したんだよ、あの人は」
364 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/28(水) 19:32:29.44 ID:uV0iKxtAO

〜オーディション会場・廊下〜


……ダダダッ


「──待ってください!」

歌田「……」クルッ

歌田「……283のプロデューサーね」

高岸「はい!」

高岸「歌田さん! まだステージの途中ですよ!」

歌田「ええ。でも審査は終わったの」

歌田「これ以上見続けても、星の配分は変わらない。だから帰るわ」

高岸「そんな!」

歌田「あなたに私を止める資格はない」

歌田「私を止められるのは、魂を揺さぶるようなアイドルのステージだけ」

高岸「魂を、揺さぶる……」

高岸「放クラはそうじゃなかった、ということですか?」

歌田「放課後だけじゃないわ。どのユニットも、まだそのレベルには至っていないわよ」

歌田「でも……」

歌田「レッスンルームの鏡の前でやるようなパフォーマンスに、感動するわけがないでしょう?」ドンッ

高岸「!」
365 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/28(水) 19:35:32.84 ID:uV0iKxtAO

歌田「──あなたたちには誰も上手さなんて期待してない」

歌田「新人アイドルに、私が必ず言う言葉よ」

高岸「上手さ……」

歌田「もちろんダンスや歌の上手さだって、最終的には必要になるし、審査の対象よ」

歌田「だけど、私が言いたいのは……」

歌田「目指す頂(いただき)を間違えないように、ということ」

歌田「あなた達がなりたがっているのは、歌手でもダンサーでも……ましてやモデルでもない」

歌田「そうでしょう?」

高岸「……!」ハッ

歌田「じゃあ、失礼するわ」スタスタ……

高岸「……」


・・・・・


スタッフ「参加者の皆様、お疲れ様でした」

スタッフ「審査の結果を発表いたします」

スタッフ「『ゆうがたワイド・アイドル一番』オーディション、第1位……26ポイント」



スタッフ「──エルビヨンド!」

スタッフ「第2位……24ポイント、放課後クライマックスガールズ!」


*・・・・・・・・・・・・・・・・

放課後クライマックスガールズ
〈ファン人数〉11,367人 

二回目の審査まで あと8,948→0人
W.I.N.G.本戦まで あと24→22週

・・・・・・・・・・・・・・・・*


<18話・終わり>
366 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/28(水) 19:36:11.92 ID:uV0iKxtAO

次回は後日です。よろしくお願いします!
367 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/28(水) 20:55:01.84 ID:RfonNWSyo
368 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/28(水) 21:13:14.25 ID:ce4U4raeo
おつー
ドンッのタイミング草
369 : ◆60viGNJ69k [saga]:2020/11/02(月) 18:52:25.27 ID:DsRZggHFO

おつありです!お待たせしました!
予期せずギャグになってしまいましたかね
今後もドンッは乱用していきますw
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