【シャニマス】ティモンディ・高岸「放課後クライマックスガールズ……?」

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170 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/06(火) 22:20:23.75 ID:5Vzk1z8FO

凛世「智代子さん……?」

智代子「凛世ちゃん、あのね……」

智代子「私、ずっと気になってたんだ。何でマメ丸は樹里ちゃんを追いかけてきたんだろう、って」

樹里「それはアタシも気になるけど……なんか分かったのか?」

智代子「うん……たぶんだけど、マメ丸はその名刺の匂いを辿って、樹里ちゃんに行き着いたんだと思うんだよね」

凛世「名刺の……匂い……」
171 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/06(火) 22:21:01.43 ID:5Vzk1z8FO

夏葉「確かに犬は、人の汗や足の裏の匂いを嗅ぎ分けるのが得意だけれど……」

夏葉「プロデューサーの名刺に、そんなに汗が染み込んだとは思えないわ」

智代子「そっか〜……閃いたと思ったんだけどなぁ」ガッカリ

樹里(……あれ? アタシがスカウトされた時って、確か……)ウーン?

高岸(果穂さんに名刺を渡したときは……えっと……)ムム?

凛世(樹里さんと、プロデューサーさまが……難しいお顔を……)
172 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/06(火) 22:21:27.12 ID:5Vzk1z8FO

ガチャリ


はづき「──みなさ〜ん、社長がいらっしゃいましたよ〜」

高岸「遂に、スタメン発表ですね!」ドキドキ

高岸「では、社長室に行きましょう!」
173 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/06(火) 22:22:00.52 ID:5Vzk1z8FO

〜283プロダクション・社長室〜


天井「……おはよう」

みんな「おはようございます」

天井「お前たちのプロデューサーには予め話しておいたが、今日は放課後クライマックスガールズの今後について、重要な話がある」

天井「心して聞くがいい」

みんな「はい!」

天井「……いい返事だ」

高岸「……」ニコニコ

天井「さて、結論から話そう。放クラには、W.I.N.G.優勝を目標に活動を展開してもらうこととする」
174 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/06(火) 22:22:30.93 ID:5Vzk1z8FO

樹里「ウィング、って……あのW.I.N.G.か?!」

はづき「その、W.I.N.G.ですよ〜」

はづき「ワンダー・アイドル・ノヴァ・グランプリ……」

はづき「その頭文字をとって、通称W.I.N.G.です」

果穂「あたし、テレビで見たことあります! すっごいキラキラしてました!」キラキラ

智代子「私も!」

凛世「凛世も、一度拝見しました……とても華麗で、煌びやかで……」

夏葉「良いじゃない。トップを目指さなければ、張合いがないもの!」

高岸「はい! 僕たちなら、優勝、できますよ!」
175 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/06(火) 22:23:11.48 ID:5Vzk1z8FO

天井「ふっ。W.I.N.G.はそんなに甘くないぞ」

天井「はづき」

はづき「はい! ご存知のとおり、W.I.N.G.は新人アイドルの祭典ともいわれる、すごいライブです」

はづき「そんなライブだけあって、出場資格を得るのも大変なんです〜……」

高岸「甲子園と一緒です! 地方予選を勝ち抜かないといけない!」

天井「なかなか鋭いな。その通りだ」

智代子(あ、その通りなんだ……)

天井「W.I.N.G.本戦への出場には、大雑把に4回の予選を勝ち残らねばならない」
176 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/06(火) 22:24:04.36 ID:5Vzk1z8FO

はづき「私からも説明を!」

はづき「エントリーしたアイドルは、全4回のシーズン毎に審査を受けます」

はづき「そのとき、シーズン毎の基準をクリアしていないと本戦出場への資格を失ってしまうんです〜」

果穂「シーズン……?」

凛世「審査……どういったものなのでしょう……?」

はづき「1シーズンは8週間。全体で32週間かけて4回の予選を行うということですね〜」

はづき「審査では、そのアイドルの『ファンの数』が評価されます」
177 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/06(火) 22:25:14.68 ID:5Vzk1z8FO

夏葉「多くの人を魅了したアイドルが本戦に出られるというわけね」

智代子「ちなみに、最後の審査基準は何人なんですか?」

天井「……50万人だ」

みんな「えぇーっ!?」

樹里「そんなの……」

高岸「大丈夫です! できますよ!」グッ

樹里「いや、いくらなんでも!」

天井「高岸。お前と違って、ずいぶんと弱気なようだが?」

高岸「謙遜してるだけですよ! 本当はできる人ばかりですから!」ニコッ

天井「ふん……まぁいい」

天井「私も鬼ではない。優勝への道筋を少し示してやろう」

高岸「お願いします!」
178 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/06(火) 22:26:40.49 ID:5Vzk1z8FO

天井「審査はファン数で行なわれる。では、ファンを増やすにはどうしたらいい?」

高岸「練習を、頑張る! 試合に出て、打ったり、投げたり、捕ったりする!」ブォン

天井「ふむ。夏葉、お前はどうだ」

夏葉「そうね……」

夏葉「知名度と実績、その両方が必須かしらね」

夏葉「プロモーションと並行して各地でライブをするとか……」

夏葉「私たちが他のアイドルと違うことを、みんなに知ってもらう必要があるわ」

天井「……合格だ。流石だな」

夏葉「ふふ、舐めないでちょうだい」
179 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/06(火) 22:27:37.35 ID:5Vzk1z8FO

天井「さて夏葉の話を具体的にすると、営業と番組オーディションの2つの要素に分けられる」

天井「営業で地盤を広げて固め、テレビに出演することでファンを増やすということだ。実際はもっと複雑だが、認識としてはこれでいい」

果穂「……?」ウーン?

高岸「……?」ウーム?

夏葉(あら、私としたことが……)

夏葉「……果穂には後で説明してあげるわね」ヒソヒソ

果穂「夏葉さんっ! ありがとうございます」ヒソヒソ

夏葉「いいのよ。小難しい話ばかりでごめんなさい」ウィンク
180 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/06(火) 22:28:55.47 ID:5Vzk1z8FO

凛世「テレビ番組……」

樹里「テレビ出演じゃないとファンを増やせないのか?」

天井「ほとんどの場合、そうだ」

樹里「それって、何か変じゃねーか……?」

天井「ふむ。これは説明しておく必要があるな……」

天井「W.I.N.G.はその性質上、一般的な『ファン』の定義とは少し異なる」

天井「はづき」

はづき「はい〜」
181 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/06(火) 22:30:03.12 ID:5Vzk1z8FO

はづき「普通、ファンの人数は事務所であっても完璧には把握できません」

はづき「ファンクラブの会員数やCDの売上などで、ある程度は分かるかもしれませんが……」

夏葉「確かに、そうね」

はづき「そのためW.I.N.G.では、W.I.N.G.に協賛するテレビやラジオ番組のオンエア中に」

はづき「視聴者が公式のアプリを使って投票をすることで、ファンを数値化するという方法をとっています」

天井「イベントなど、例外もあるがな」

智代子「そういえば、私も投票したことあるなぁ。まさか自分がされる側になるなんて」

智代子「……ふふ。好きなアイドルに何回も投票したりしたなぁ〜」

凛世「何回も……?」

はづき「それも出来ますね〜。番組一回につき、一人一票入れられますので」
182 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/06(火) 22:31:54.02 ID:5Vzk1z8FO

樹里「……つまり、オーディションを勝ちまくってテレビ番組に出まくればいいのか?」

天井「そういうことだ」

樹里「じゃあ、営業は? 関係あるのか?」

天井「簡単な話だ。視聴率──これに営業が関わってくる。知名度を上げるための足がかりだからな」

天井「出演するアイドルの知名度が上がれば番組の視聴率も上がり、全体の投票数も増える。つまり、一度の出演で得られるファンの数も増える」

天井「もともと視聴率の高い人気番組に出演するのも手だが、オーディションはより激しく、厳しくなるだろう」

天井「それに……営業で様々な業界の人間に顔を売るのも、お前たちにとって大事な下積みだ」

樹里「なるほどな」

天井「こうした仕事に加えて、日々のレッスンがスケジュールに組み込まれる」
183 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/06(火) 22:32:51.69 ID:5Vzk1z8FO

高岸「1シーズン目開始は来週です! ハードな32週間になりますよ!」

高岸「でも、大丈夫です! 僕たちなら、やれば、できる!」パァァ

天井「ふっ、期待しているぞ。話は以上だ」

高岸「はい! ありがとうございました!」ペコリ

みんな「ありがとうございました」

天井「……おい高岸、お前は残れ」

高岸「アイヤァ〜!」キヲツケ!

高岸(……)ブルブル

夏葉(なぜ、震えているのかしら……)

高岸(居残り練習……怖い!)ブルブル

夏葉(……?)

高岸「でっ、では、皆さんは、レッスンルームに向かってください!」

智代子「わかりました!」

果穂「行ってきまーすっ!」ガチャリ
184 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/06(火) 22:34:24.93 ID:5Vzk1z8FO

バタン……ススッ……


夏葉(ごめんなさい、プロデューサー)

夏葉(昨日の予感がどうしても気になるの)

夏葉(アナタが、何かを隠しているような気がしたから……)

夏葉(……)ゴクリ

夏葉(こうしてドア越しに聞き耳を立てるのは卑怯だけれど、確かめさせてもらうわね)スッ…


スススッ……


凛世(夏葉さん……?)


<10話・終わり>
185 : ◆60viGNJ69k [saga]:2020/10/06(火) 22:35:11.00 ID:5Vzk1z8FO

次回はあさっての予定です
よろしくお願いします!
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/06(火) 22:58:15.87 ID:RmjVTRE8o
乙乙
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/07(水) 00:53:52.59 ID:cfvfYZuwo
あの始球式がさらにグッと来たの、間違いなくこのssのお陰です!
ありがとう!!
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/07(水) 07:11:18.10 ID:dl++A02FO
おつー
189 : ◆60viGNJ69k [saga]:2020/10/08(木) 20:10:34.02 ID:t7Thrc2+O

おつありです!
自分のSSがティモンディ布教に繋がったなんて光栄です
ありがとうございます!

11話、更新します!
190 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/08(木) 20:12:45.37 ID:t7Thrc2+O

<11話・エビバディ・レッツゴー!>


〜283プロダクション・社長室前〜


天井『……放課後……優勝できなかった……』

天井『……してもらう……』

高岸『……はい! 彼女たち……信じて……』

天井『……覚悟はできて……』

夏葉(そんな……!)
191 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/08(木) 20:14:47.11 ID:t7Thrc2+O

・・・・・


凛世(夏葉、さん……?)タタタッ

凛世「……夏葉さん」

夏葉「!」ビクッ

夏葉(盗み聞きを、見られた……?)

夏葉「……あら、凛世。どうしたのかしら?」

凛世「いえ……その……」

凛世「お戻りが遅いので……何かおありでしたら……」

夏葉「そう……」

夏葉(今聞いた話を凛世に……いえ、みんなに聞かせる訳には……)

夏葉「ふふ、大丈夫よ」

夏葉「ちょっとプロデューサーに聞きたいことがあって、ここで待っていたの」

高岸「──高岸、です!」ドンッ

夏葉「!」ビクッ
192 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/08(木) 20:16:05.96 ID:t7Thrc2+O

高岸「夏葉さん?」キョトン

夏葉「あ、あら……ちょうど良かったわ」

夏葉「……今日からのレッスンなのだけれど、みんなのメニューを調整したいと思って」

高岸「はい! では、トレーナーさん達にも連絡をとりましょう!」

夏葉「ありがとう。助かるわ」

高岸「それと、僕たちの歌のことなんですが……」

凛世「……」

凛世(夏葉さん……やはり、何か……)

凛世(凛世は……)


・・・・・
193 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/08(木) 20:18:17.58 ID:t7Thrc2+O

〜283プロダクション・レッスンルーム〜


トレーナー「はいワン、トゥー、スリー、フォー!」

樹里「……ッ!」キュキュッ

トレーナー「ウン、ター、ンタ、ターン」

凛世「……」シュタタッ

果穂「はっ!」クルクル

トレーナー「タッ、タッ、タッタッタッ」

トレーナー「はいフォー、メー、ション!」

夏葉「フッ……」タッタッ

智代子「……うわっ!」ドタタッ


ドシーン


智代子「いたた……夏葉ちゃん、ゴメン!」

夏葉「大丈夫よ。智代子は、立てる?」スッ

智代子「あ、ありがとう!」ギュッ

トレーナー「今、チョコちゃんの出だしが遅かったわね。注意して」ビシッ

智代子「はい!」
194 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/08(木) 20:19:35.74 ID:t7Thrc2+O

トレーナー「夏葉ちゃんは……珍しく集中できてないわね。どうしたの?」

夏葉「ごめんなさい。少し考え事をしていたの」

凛世(夏葉さん……)

夏葉「でも、次こそ大丈夫よ!」グッ

トレーナー「そう。頼むわよ!」

トレーナー「あと、凛世ちゃんも少しテンポが遅れてる。けど、それ以外は問題ないかな」

凛世「……ご指導、恐れ入ります」

トレーナー「果穂ちゃんは……元気がありあまってるみたいね! ターンが一回多いわよ」

果穂「えへへっ。わかりました!」

樹里「先生、アタシは?」

トレーナー「特に課題は見当たらないわ。その調子で、頑張って!」

樹里「うしっ!」ガッツポーズ!

トレーナー「じゃあ、一旦休憩ね! 5分後再開するわよ」ガチャリ

みんな「……はぁ〜」バタタ
195 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/08(木) 20:21:19.93 ID:t7Thrc2+O

智代子「凛世ちゃんも果穂も、体力あってスゴいなぁ〜。私、足がもつれちゃって……」

果穂「えへへ。みんなでダンスするのが楽しくって、ずーっと踊っていたいです!」

凛世「ふふ……凛世も、果穂さんと同じ心地にございます……」

智代子「さっきも、二人とも楽しそうに踊ってたよね! すごく伝わってきた!」

智代子「私も早く追いつきたいよ〜……」

夏葉「あら。最初に比べたら、智代子もかなり成長したわよ」

樹里「そうだな。三人のときはすぐへばってたけど……今のチョコは、ちゃんと踊れてる」

智代子「ほ、ホントに?! 二人ともありがとう!」テレテレ

智代子(毎日のランニングの成果が出た、ってことなのかな?)
196 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/08(木) 20:22:24.81 ID:t7Thrc2+O

樹里「……そういや、夏葉が注意されたの初めて見たな」

智代子「確かに、そうかも。ボーカルレッスンとかでも、夏葉ちゃんはいつもバッチリなのに」

果穂「夏葉さん……」

凛世「…………あ、あの」

夏葉「──みんな、心配してくれてありがとう。でも、私は大丈夫よ!」

夏葉「カトレアのこと、ちょっと考えてただけなの」

凛世「……」

樹里「カトレア……?」

夏葉「あら、話したことなかったかしら。うちで飼っているゴールデン・レトリバーなのだけれど……」

197 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/08(木) 20:23:32.71 ID:t7Thrc2+O

高岸「──失礼します!」ガチャリ

凛世「プロデューサーさま……と、トレーナーさま」

夏葉「来たわね」

高岸「はい!」ニコニコ

高岸「……皆さんに、大事なお知らせがあります!」

樹里「な、なんだよ……改まって」

トレーナー「安心して。嬉しいニュースよ」

高岸「これを見てください!」ドドンッ
198 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/08(木) 20:24:31.76 ID:t7Thrc2+O

樹里「5人分の、衣装?」

果穂「キレイですっ! 可愛いですっ!」キラキラ

樹里「制服っぽいけど……悪くねーな……!」

智代子「それでこっちは……音楽プレイヤーかな? 全員分あるみたいだけど」

凛世「プロデューサーさま……これは……?」

高岸「この中に、皆さんが歌う曲がひとつ、入っています!」

智代子「そそ、それって、私たちの曲ってことですよね!」

高岸「はい! 皆さんへの、応援歌です!」ニコッ

樹里「どっちだよ」

凛世「ふふ……主題歌でございますね」

果穂「わーっ! 主題歌!」キラキラ
199 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/08(木) 20:25:45.32 ID:t7Thrc2+O

夏葉「早速、聴いてみてもいいかしら?」

高岸「もちろんです!」

高岸「曲名は、『夢咲きAfter school』です!」


エビバディ レッツゴー!

ビバアフター スクール イェーイェー……

ネーネー チョット ハーナーシキイテー……

……ワタシターチ サーイコウチョー! イェー!


みんな「おー……!」

夏葉「素敵な歌詞ね。私たちにピッタリじゃない!」

樹里「これ……アンタが準備したのか」

高岸「はい! 応援歌を聴けば、やる気がどんどん、湧いてきますからね!」

高岸「ファンの方だけじゃない……聴いた人全員に、元気になってもらいたいです!」パァァ

凛世「聴いた人、全員に……」

智代子(みんなを、元気にできるアイドル……!)

智代子「ふふっ! そうですね!」ニコニコ
200 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/08(木) 20:27:13.66 ID:t7Thrc2+O

樹里「へへっ。心配しなくても、こっちはやる気十分だ!」グッ

果穂「はい! 早く歌ってみたいですっ!」ワクワク

高岸「気に入ってもらえたなら、僕も嬉しいです!」

トレーナー「お披露目に向けて、今日からこの曲の練習をしていくから」

トレーナー「気合い入れていくわよ!」

みんな「はーい!」


*・・・・・・・・・・・・・・

放課後クライマックスガールズ
〈ファン人数〉1人 

一回目の審査まで あと999人
W.I.N.G.本戦まで あと33週

・・・・・・・・・・・・・・*


<11話・終わり>
201 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/08(木) 20:28:08.36 ID:t7Thrc2+O

次回はあさっての予定です!
よろしくお願いします!
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/08(木) 20:34:01.04 ID:21JpAG0io
おつー!
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/08(木) 20:59:15.19 ID:xYIWATrco
おつ乙
204 : ◆60viGNJ69k [saga]:2020/10/10(土) 18:16:08.98 ID:GK3gcWLzO

おつありです!
今日、明日、あさってと、12話の更新をしていきます
205 : ◆60viGNJ69k [saga]:2020/10/10(土) 18:17:16.93 ID:GK3gcWLzO

<12話前編・みんなで輝いて>


〜283プロダクション・レッスンルーム〜


トレーナー「はいワン、エン、トゥー、エン、スリー、エン、フォー」

トレーナー「ストップ。凛世ちゃん、もっと頭下げられる〜? ……うん、それで良いわ」

トレーナー「智代子ちゃん、3拍目の踏み込みはもっとダイナミックに」

智代子「こうですか!」ドン

トレーナー「うーん……1拍目に身体を大きくスウィングさせる感じで。その反動を使って〜」

智代子「こっ、これ以上はっ!」ググ…

トレーナー「そんなんじゃ、W.I.N.G.優勝は夢のまた夢よ!」

トレーナー「私は優勝を目指して、最高のパフォーマンスを求めているの! それに応えてみせて!」

智代子「うぅっ! はい……!」グググ…
206 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/10(土) 18:17:58.97 ID:GK3gcWLzO

高岸「頑張れ! 智代子さん! 出来るよ! 智代子さん!」ニコニコ

トレーナー「ほら、プロデューサーさんも応援してるわよ!」

高岸「失敗したっていいんだ! 限界まで挑戦しよう!」

高岸「その経験が積み重なって、いつしかバウムクーヘンのような、大きな年輪になる!」

高岸「積み重ねるからこそ、美味しくなるんだ!」ファイト!

樹里「なんか最後おかしかったけど……チョコ、がんばれ」

果穂「ちょこ先輩! ファイトですっ!」

凛世「智代子さん……応援、しています」グッ

智代子「みんな……」

夏葉「智代子」

智代子「夏葉ちゃん……」

夏葉「みんなも聞いてちょうだい」
207 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/10(土) 18:18:51.22 ID:GK3gcWLzO

夏葉「私たちは……出来るかどうか、なんて考えなくていい」

夏葉「とにかく、ひたすら、やってみる。それだけでいいのよ!」ビシッ

「はい……!」「だな!」「はいっ!」

夏葉「──さあ、やるわよ! 一緒に!」ニコッ

智代子「うん!」ニコッ

高岸「……ひとりひとり、一本一本が団結して、僕に感動を与えてくれる!」

高岸「うどんのような放クラに、感謝だ! ありがとうっ!」パァァ

樹里「食いもんばっかじゃねーか。腹減ってんのか?」

高岸「はい!」グゥ
208 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/10(土) 18:19:48.07 ID:GK3gcWLzO

トレーナー(社長には、『最大級に厳しく指導しろ』なんて念を押されたけど……)

トレーナー(……この子達と、このプロデューサーなら、どんな壁も乗り越えてしまう。そんな気がする)

トレーナー(本当に、優勝してしまうかもしれないわね)

トレーナー「準備は良いかしら?」

みんな「はい!」

トレーナー(みんな、良い顔をしてる……)

トレーナー(彼女たちの熱にあてられて、私の心にも火がついたみたい)

トレーナー「……ふふ」

トレーナー「じゃあ、また最初から!」

トレーナー「いくわよ! ワン、トゥー、スリー、フォー!」
209 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/10(土) 18:20:41.52 ID:GK3gcWLzO

・・・・・



トレーナー「……ふぅ。みんな、頑張ったわね」

トレーナー「15分休憩。その後、ボイストレーニングね!」

みんな「はぁ〜い……」ヘトヘト

樹里「さ、流石にキツい……」

夏葉「ええ。でもその分、成長を実感したわ」キリッ

凛世「智代子さん……」

智代子「……」グッタリ

果穂「ちょ、ちょこ先輩っ……」ガーン

樹里「今は、休ませてやろうぜ……」

果穂「はい……あたし、トイレに行ってきます!」

凛世「行ってらっしゃいませ……」
210 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/10(土) 18:21:55.00 ID:GK3gcWLzO

ガチャリ


高岸「本当……はい!……」

果穂「……?」

果穂(プロデューサーさん……?)

高岸「ありがとうございます!」

高岸「頂いたチャンス、無駄にはしません!」

果穂(誰かと電話中みたい……)

高岸「……それも、大丈夫です! 新人だから、なんて関係ないですよ!」

高岸「やれば、できる! 子達ですから! ……はい!」

果穂(……)ソワソワ

高岸「では、また! 失礼します!」
211 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/10(土) 18:22:54.67 ID:GK3gcWLzO

高岸「……よし!」ガッツポーズ

果穂「プロデューサーさん……?」

高岸「!」

高岸「果穂さん!」ニコニコ

果穂「今の、お仕事の電話ですか?」

高岸「よく分かりましたね! そうですよ!」

果穂「おつかれさまですっ!」

高岸「ありがとうございます! ばっちり、チャンス掴みました!」

果穂「もしかして……ライブ、できるんですかっ!」パァァ

高岸「はい!」ニコッ

果穂「やったーっ! みんなに知らせてきます!」ダダッ

果穂「……の前に、お手洗いに行ってきます! えへへ」タタタッ

高岸「はい! 行ってきてください!」
212 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/10(土) 18:24:11.44 ID:GK3gcWLzO

・・・・・


果穂「──みなさん、聞いてください!」ガチャリ

樹里「戻ってきていきなりだな」

凛世「果穂さん……?」キョトン

果穂「さっき、プロデューサーさんがお電話してて……」

高岸「僕たちの初ステージが、決まりました!」

智代子「えぇーっ!?」ガバッ

樹里「……おっ。起きた」

智代子「嬉しいですけどっ! どういうことですか?! プロデューサーさん!」

高岸「はい! とある劇場で、ヒーローショーがあるのですが」

高岸「途中の休憩のタイミングで、セッティングなどを、しなければならないようで……」

高岸「その間の10分を、埋めて欲しいと!」
213 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/10(土) 18:25:04.53 ID:GK3gcWLzO

凛世「ヒーローショーの、合間に……」

凛世「楽しみでございますね……果穂さん」

果穂「はいっ! やる気全開です!」キラキラ

樹里「早速、本番って訳か……」

智代子「樹里ちゃん、緊張してる?」

樹里「……ちょっとな」

樹里「でも、アタシは……プロデューサーと夏葉の言葉を信じて、やるしかねーと思う」

夏葉「……ふふ。ありがとう、樹里」

夏葉「プロデューサー。いつもの、お願い」

高岸「はい!」
214 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/10(土) 18:26:20.43 ID:GK3gcWLzO

高岸「初めての舞台。みなさんなら、会場いっぱいに、笑顔を届けられます!」

高岸「放クラは、笑顔のプロテインですから!」

樹里「また食べ物かよ」

智代子「笑顔のプロテイン……ふふっ」

夏葉「なかなか良い比喩ね!」

高岸「たとえ失敗しても、大丈夫!」

高岸「最後まで笑って、踊って、歌いましょう!」グッ

高岸「みんななら、やれば、できる!」パァァ

みんな「おー!」


*・・・・・・・・・・・・・・・・

放課後クライマックスガールズ
〈ファン人数〉1人 

一回目の審査まで あと999人
W.I.N.G.本戦まで あと33→30週

・・・・・・・・・・・・・・・・*


<12話前編・終わり>
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/11(日) 09:05:02.64 ID:f0HISAgPo
乙乙
216 : ◆60viGNJ69k [saga]:2020/10/11(日) 20:06:49.64 ID:dcYu6LIlO

乙ありです!
続き書いていきます!
217 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/11(日) 20:07:38.83 ID:dcYu6LIlO

<12話中編・トラブルもスイッチして>


〜ドームシアター・キャスト控え室〜


高岸「では皆さん! 本番まで、ゆっくり休んでいてください!」

みんな「はーい」

果穂「……」ゴクゴク

果穂「ぷはー……」

樹里(すげー水飲んでんな……)

凛世「プロデューサーさまは……」

高岸「はい! 皆さんは、着替えなどもありますし」

高岸「僕は、スタッフ控え室にいますので、何かあったら呼んでください!」

夏葉「分かったわ。じゃあ、また後で」

高岸「はい!」ガチャリ
218 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/11(日) 20:09:15.33 ID:dcYu6LIlO

夏葉「……じゃあ、それぞれの準備の前に、軽くセッティングの確認をしましょう」

みんな「はーい」

夏葉「今日の公演の時間は、予定では10分。舞台の後方は幕で隠されていて、そこでスタッフが後半の演出の準備をするの」

凛世「中引幕……」

夏葉「そう。だから、私たちはステージの前半分で踊ることになるわ。フォーメーションの時は、いつもより狭いから気をつけて」

みんな「はーい」

樹里「予定では、って言ってたけど……もしかして、準備が長引いたらアタシらが場を繋がなきゃなんないのか?」

夏葉「ええ。そのつもりでいた方が良いわね」

智代子「おおう……初仕事なのに、結構大変な役回りだね……」

凛世「その分、期待されている……ということでございましょう……」

夏葉「その通りよ! 私たちの実力が試される、良いチャンスだわ!」

智代子「……そうだね! 頑張っていこー!」

みんな「おー!」
219 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/11(日) 20:10:45.90 ID:dcYu6LIlO

〜ステージ裏〜


智代子「見て、果穂! 『ジャスティスV』が戦ってるよ!」

果穂「は、はいっ!」ドキドキ

樹里「控え室にいる時から静かだったけど、緊張してんのか?」

果穂「えっと……えへへ。ヒーローショーは大好きなので、嬉しすぎましたっ」ニコ

樹里(笑顔が硬いな……)

樹里「なんだよ、そんな嬉しかったのか〜」グニグニ

果穂「ずゅりちゃん、あたひであそばはいでふだはい〜」ウニャウニャ

樹里「へへっ」

樹里「……そんな緊張しなくていいんだよ。みんな、ヒーローを見に来てるんだしな」

樹里「言ってみたら、アタシらもジャスティスVの応援団みたいなもんだ。気楽にいこーぜ」

果穂「樹里ちゃん……はいっ!」

夏葉「樹里もなかなか良いこと言うじゃない」

樹里「なかなか、ってなんだよ。なかなかって」

智代子「私も良い言葉だと思うよ! 樹里先輩!」ニコッ

樹里「チョコ、お前なぁ……」
220 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/11(日) 20:12:15.49 ID:dcYu6LIlO

智代子「えへへ。それにしても、ヒーローショーって本当にすごいね!」

智代子「さっきなんて、テレビで見たアクションそのままだったよ!」

凛世「実際に拝見すると……とても、感動致します」

夏葉「みんなで予習した甲斐があったわね。生で見ると、更に良さが分かるわ!」

高岸「……」ポロポロ

智代子「ぷ、プロデューサーさんっ?!」

樹里「なんでアンタが泣いてんだ?!」

高岸「ジャスティスV……あんなに身体を張って、人々を怪物から救っていました……」

高岸「みんなの笑顔を守るために、ボロボロになって……ありがとう、ヒーロー!」ポロポロ

樹里「いや、まだ後半があるからな?」

凛世「ヒーローは……負けません……」

夏葉「そうよ。ジャスティスVを応援するためにも、私たちも頑張るわよ!」
221 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/11(日) 20:13:29.73 ID:dcYu6LIlO

・・・・・


果穂(みんな励ましてくれたけど)

果穂(あたし、ちゃんと上手くできるかな……)ドキドキ

果穂(客席でお父さんもお母さんも見てるから……がんばらないと……)ドキドキ

果穂(えっと、最初のセリフは……えっと……)ドキドキ

智代子(果穂の顔が険しい……樹里ちゃんがフォローしてくれたけど、やっぱり緊張してるんだ)

智代子「果穂、お水飲む?」スッ

果穂「あ、ありがとうございます! でも、大丈夫です!」

智代子「そっか。了解!」

夏葉「……」キリッ

智代子(夏葉ちゃんも、どこか雰囲気にトゲがあるような……気のせいかもだけど……)

智代子(万が一を、考えておくべき……?)

夏葉(……あんなに練習して、みんな本当に良いパフォーマンスが出来るようになったんだもの)

夏葉(私たちなら大丈夫。ここで躓くなんて、ないわ)

夏葉(そうよね、プロデューサー……)チラッ
222 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/11(日) 20:14:39.36 ID:dcYu6LIlO

凛世「……」

凛世(練習のとおりに、舞い、歌うだけ……)

凛世(どなたが凛世を見ていても、それだけでございます……)

高岸(控え室から出ていく、みんなの晴れ姿を見て……さっきは、つい涙が出てしまいました)

高岸(初めての舞台、それに立ち会えるなんて、こんなに嬉しいことはありませんよ!)ポロポロ

高岸(みんなには、楽しんで、やりきって欲しい! それだけです!)グッ

樹里(……なんか、気持ちわりぃ)

樹里(歯車が噛み合ってねー時みたいな……)

樹里(……こういう雰囲気の時のバスケの試合は、パスもシュートも決まんねーし、最悪だったな)チラッ

智代子「……!」

智代子(樹里ちゃん……)コクリ

樹里(チョコも気づいてるか。今、何か言わねーと……)

スタッフ「放課後さん、スタンバイお願いしまーす」

樹里(……行くしかねーか)スタッ
223 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/11(日) 20:18:09.46 ID:dcYu6LIlO

〜ステージ上〜


アナウンス「ジャスティスVヒーローショー・第2部の前に、放課後クライマックスガールズによる、特別ステージをお楽しみ下さい」


タッタッタッタッ……


観客A「なんだ……? アイドル?」ザワザワ…

女の子「見てー、ママ。あの子かわいい」ユビサシ

ママ「あら、ホントねぇ」

男の子「あたらしいヒーロー?」

果穂(わっ……すごい……)

果穂(いっぱいの人が、見てる……見られてる……)ドキドキ

果穂「はぁ……はぁ……」

果穂(心臓が、すごく早く……)ドクンドクン…

果穂(あれ? 何するんだっけ……えっと)ドクンドクン

果穂(──あっ!)

果穂父母「……」フリフリ

果穂(お母さんたち……笑ってる、手振ってる……!)ドクンドクン


ザワザワ……


女の子「おねーちゃんたち、何もしゃべんないね」

ママ「ねー、どうしちゃったのかしら」
224 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/11(日) 20:19:16.20 ID:dcYu6LIlO

果穂(──そうだ! セリフ……)

果穂「ぁ……」

果穂(えっと、えっと……)ハァハァ…

果穂「ぁの……わ、た……」

果穂(口の中が、からから……っ)ハァハァ…

果穂「……は、ぁ……っ……!」

果穂(のどが、苦しいっ……)ハァ…ハァ…

観客B「どうしたんだ?」ザワザワ

観客C「トラブルか?」ザワザワ

果穂「ハァ…ハァ…はぁっ……」

果穂(どうしよう……誰か……)ドクンドクン

果穂(プロデューサーさん……)ドクンドクン

果穂(助けて……!)グッ…
225 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/11(日) 20:19:57.59 ID:dcYu6LIlO

「──こんにちはーーーっ!!!!!」


キ──────────ンッ……


<12話中編・終わり>
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/12(月) 10:43:34.20 ID:83HeHsatO
ゴクぷは果穂可愛すぎか?
227 : ◆60viGNJ69k [saga]:2020/10/12(月) 21:30:41.49 ID:ecHVy5wsO

お母さんに持たされた水筒の半分くらい飲んで、お腹たぽたぽになってそうです😌
12話後編書いていきます!
228 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/12(月) 21:32:06.58 ID:ecHVy5wsO

<12話後編・ハートが泣きそうでも>


〜ステージ上〜


シーン……


スタッフ(ハウリングで耳が死ぬとこだった……)

果穂(ちょこ、先輩……)

智代子「あ、あはは。すみません、大声出しちゃいました……」テレテレ

観客A「……は、はは……」

観客B「耳が……っ!」

男の子「うるさー……」

智代子(はぁ……心臓がドキドキする)ドキドキ

智代子(……こんな気持ちだったんだね、果穂……)

智代子(大変だったね、ゴメン……)

智代子(人前でアイドルとして話すのって、こんなに怖いんだね)

果穂(……!)ウルウル

智代子(……私、失敗しちゃうかもだけど……見ててくれたら嬉しいな)ニコッ

スタッフ「……大丈夫か、あの子ら……」

高岸「……智代子さん」

高岸(あなたなら、大丈夫! やれば、できる!)グッ

智代子(深呼吸……)スゥー…ハァー…

智代子(……よし!)キリッ
229 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/12(月) 21:33:42.44 ID:ecHVy5wsO

智代子「みなさん、初めまして!」フリフリ

智代子「誰も私たちのことを知らないと思うので、最初に自己紹介させてください!」

智代子「私たちは、アイドル戦隊・放課後クライマックスガールズ!」

智代子「略して、放クラですっ!」ニコッ

観客C「放クラ?」

観客D「アイドル……」

男の子「戦隊……!」

智代子「私は放クラのピンク、園田智代子!」

智代子(樹里ちゃん、お願い! 繋いで!)ウィンク

樹里(プロデューサーの用意した、この衣装の色……で良いんだよな?)

樹里(……任せろ!)コクリ

智代子「こっちは放クラ・イエロー……」

樹里「──西城樹里だ! よろしくな!」

樹里「次は……静かなるブルー!」ジャン

凛世「杜野凛世と……申します……」ペコリ

智代子(ナイス、凛世ちゃん……!)
230 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/12(月) 21:35:07.42 ID:ecHVy5wsO

智代子「四人目は〜……!」ジャジャン

夏葉「有栖川夏葉! 夏葉の葉は、グリーンの葉よ! よろしくね」

智代子「そして最後は〜! 我らがレッド! 元気ハツラツ・小宮果穂!」

果穂「……!」

智代子(果穂! がんばれ!)コクリ

果穂「小宮果穂です! えっと……ジャスティスVが大好きです!」ニコッ

観客A「おー……」

観客B「みんな、キャラ立ってんなぁ……」

観客C「レッド、可愛いな」

観客D「ピンクは中学生?」

女の子「ねえママ〜。わたし、イエローがすき〜」

智代子「私たちは今日、ジャスティスVを応援するために来ました!」

樹里「そう! アタシ達は、人を応援するヒーローなんだ!」

観客B「なんだそりゃ」

男の子「人を応援する……ヒーロー」
231 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/12(月) 21:35:54.89 ID:ecHVy5wsO

夏葉「私たちの歌を聞いて、みんなに元気になって欲しい!」

夏葉「そして一緒に、ジャスティスVを応援して欲しいの!」

観客ら「……お、おー……」

智代子「果穂……」ヒソヒソ

果穂「はいっ!」

果穂「では、みなさーん、聴いてください!」

果穂「私たちの歌! 『夢咲きAfter school』!」


・・・・・
232 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/12(月) 21:37:48.54 ID:ecHVy5wsO

放クラ「私たち 最高潮!」

果穂「いぇーい!」

放クラ「ビバ・アフター・スクール・イェーイェー!」

夏葉・樹里「ハイ! ハイ! ハイ! チーズ!」

放クラ「ビバ・アフター・スクール・イェーイェー!」

智代子・凛世「ハイ! ハイ! ハイ! ピース!」

果穂父母「果穂〜!」フリフリ

観客A「おー……」パチパチ

観客B「意外とちゃんと踊ってたな」パチパチ

観客C「そうだな」パチパチ

観客D「好きになっちまうよ……」パチパチ

男の子「……すごい」パチパチ

女の子「もーいっかい見たい〜」パチパチ

ママ「そうね〜」パチパチ
233 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/12(月) 21:38:53.34 ID:ecHVy5wsO

智代子(はぁ……はぁ……)アセダク

智代子(ところどころ失敗したけど……な、なんとか形にはなったかな……)

智代子(後ろのセッティングは……)チラッ

スタッフ(OKっす!)フリフリ

智代子(良かった……)

果穂「みなさーん! 聴いてくれて、ありがとうございましたーっ!」

凛世「元気に……なりましたでしょうか」

夏葉「じゃあここで、みんなでジャスティスVに声援を送りましょう!」

樹里「準備はいいかー?」


「はーい……」


智代子「聞こえないよー! もう一回!」

樹里「準備は、良いかぁーっ!」


「はーい!!」
234 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/12(月) 21:39:58.31 ID:ecHVy5wsO

果穂「ジャスティスV、頑張れー! で、お願いしますっ!」

果穂「せーのっ!」


「ジャスティスV、がんばれー!」


ゴゴゴゴゴ……


智代子(幕が、上がる……!)

智代子(みんな、捌けよう!)ウィンク

放クラ(……)コクリ


タッタッタッタッ……


<12話後編・終わり>
235 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/12(月) 21:40:28.78 ID:ecHVy5wsO

次回は明日更新します!
よろしくお願いします
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/12(月) 22:31:54.87 ID:vDisEZ3Zo
乙乙
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/12(月) 23:19:55.98 ID:stYf750Xo
ちょこセンパああああああああイ!!
かっこよ…!!
238 : ◆60viGNJ69k [saga]:2020/10/13(火) 21:35:36.32 ID:FZ09iPdiO

乙ありです!!
智代子は高岸の影響か イケメンシーン多めなので、可愛いところももう少し見せていきたいと思っています。熱くてカッコイイ部分も凄い好きですが☺
13話書いていきます!
239 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/13(火) 21:36:39.41 ID:FZ09iPdiO

<13話・いい事あったんでしょう?>


〜キャスト控え室〜


ガチャリ……


みんな「はぁ〜……」グッタリ

みんな「……」


シーン……


果穂「……あ、あのっ」

智代子「──果穂、ゴメン!」ペコリ

果穂「えっ?!」

智代子「……私、果穂が緊張してるって分かってたのに、何もできなかった」

夏葉(……!)ピクッ

智代子「……大勢の前に立って喋るのがあんなに怖いんだって、今日、初めて分かったの」

智代子「セリフ分けとか演出とか……もっとよく考えておくべきだった。本当にごめん!」ペコリ

果穂(ちょこ先輩……違うんです……)フルフル
240 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/13(火) 21:38:11.55 ID:FZ09iPdiO

樹里「それはアタシも、同じだ……果穂が緊張してるの、アタシが一番先に気づいたから」

樹里「フォローしきれなかった。果穂に背負わせすぎた。ゴメン……」ペコリ

果穂(違う……違うんです、樹里ちゃん……!)

夏葉(……)

夏葉(……何をやっているの? 有栖川夏葉!)

夏葉(私が率先して謝罪しなければならないのに)

夏葉(……私の『焦燥』が、みんなを……果穂を追い詰めたんだから)


『私たちは……出来るかどうか、なんて考えなくていい』

『とにかく、ひたすら、やってみる。それだけでいいのよ!』


夏葉(根拠もなく発破をかけて、焚きつけて)

夏葉(それが、今日の失敗の原因……そうでしょう?)

夏葉「……」

夏葉(──あのとき私が、真っ先に果穂を助けなきゃいけなかったのに)
241 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/13(火) 21:40:22.17 ID:FZ09iPdiO

夏葉「……っ」

果穂「──ゴメンなさい!」ペコリ

夏葉「!」ビクッ

智代子「か、果穂……?」

果穂「実は今日、お父さんとお母さんが来てて……」

果穂「あたし、カッコイイところを見せるよ、って約束して……頑張らなきゃって……!」

樹里「……そう、だったのか」

果穂「でも、本番になったら、息が苦しくなっちゃって……声もっ、出なくて──!」ポロポロ

凛世「果穂さん……!」

果穂「だから、ごめんなさい……!」

果穂「うぅっ、うわぁぁぁぁぁぁぁん……」
242 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/13(火) 21:41:21.41 ID:FZ09iPdiO

樹里「な、泣くなよ……果穂のせいじゃねーって……」ナデナデ

智代子「そうだよ! 果穂は悪くないよ!」ギュッ

夏葉「……2人の言う通りよ。今日の失敗は、果穂のせいじゃない」

凛世「全員の……責任でございましょう」

夏葉「……」

果穂「うぅ……ひっぐ……」ズビ…

樹里「……ほら。鼻水拭けって」

果穂「……樹里ちゃーん……わぁぁぁん……」

樹里「だからもう……泣くなよぉ……」ウルウル

樹里「ほ、ほら……今日は、チョコのおかげで何とかなっただろ?」

樹里「アタシらは一人でやってる訳じゃねーんだし……」

智代子「まぁ、私もいっぱいいっぱいだったけどね……」アセアセ
243 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/13(火) 21:42:31.16 ID:FZ09iPdiO

智代子「樹里ちゃんにも、凛世ちゃんにも、夏葉ちゃんにも助けられたし。えへへ」ニコニコ

夏葉「そんなこと……」

智代子「だから、ね! もう泣かないで?」

智代子「反省会とかも後にしよう! 今日はお菓子たくさん持ってきたんだ!」ドサッ

凛世「実は、凛世も……ふふ」ドサッ

樹里「うおっ、すげー量だな」

智代子「今日ぐらいは、いっぱい食べても夏葉ちゃんも怒らないよね……?」

夏葉「……」

智代子「夏葉ちゃん……?」

夏葉「……ええ。ありがとう、智代子」

夏葉「今日は、パァーっとやりましょう!」

智代子「お墨付きが出たよ! 果穂、食べよー!」

果穂「……はい……!」ニコッ

夏葉「……」

凛世(夏葉さん……)
244 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/13(火) 21:44:30.38 ID:FZ09iPdiO

〜ステージ裏〜


高岸「本日は、ありがとうございました!」ペコリ

責任者「こちらこそ、急なオファーに対応して頂いて助かりましたよ」

責任者「新しい演出に挑戦しようと思ったのですが、準備に思いのほか時間がかかると分かって、右往左往していたのでね」

高岸「新しい挑戦! 素晴らしいですっ!」

責任者「それにしても……初仕事だと聞いていたのに、良いパフォーマンスでしたな」

高岸「はい! 僕も、そう思います!」

責任者「はっはっ。謙遜しないんですね、高岸さんは」

高岸「僕は、本気ですよ! 彼女たちなら、やれば、できる!」ニコッ

責任者「いやはや、面白い人だ」

責任者「……いやしかし。出てきて最初に黙っちゃった時は、ハラハラしましたなぁ」

高岸「それは、すみませんでした!」

責任者「ああ、いえ、謝って頂くことはないんですよ」

責任者「新人とは聞いていましたし、お互いボランティアでやっとる訳じゃないでしょう」

責任者「それに、こちらの期待以上のものを見せてくれましたし、何より観客の皆さまが喜んでいました」

高岸「そうなのですか?」
245 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/13(火) 21:45:54.00 ID:FZ09iPdiO

責任者「ええ。私はいつも、客席側で皆さまの反応を確認しているのですよ。だから、分かります」

責任者「お客様の喜ぶ顔以上の評価はない。それは、私たち劇団もアイドルも変わらないでしょう?」

高岸「はい! そう思います!」

責任者「……ですから、私としては感謝以外にありません」

責任者「ありがとうございました」

高岸「こちらこそ、チャンスを与えて頂いて、ありがとうございました!」ペコリ

高岸「……それで、一つだけお願いがあるのですが、良ければ聞いていただけませんか?」

責任者「ええ。実現については、中身によりますが」

高岸「ある女の子を、ジャスティスVに会わせてあげたいんです!」

責任者「ああ、確か真ん中の子が、大好きだと言っていましたな」

責任者「……構いませんよ。うちは、子供にはみな平等に、がポリシーですからね」

高岸「あはは! あなたは、大黒天のように太っ腹だ!」パァァ

責任者「はっはっは」

責任者「……どういう意味ですかな?」メタボ?
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/13(火) 21:47:15.24 ID:klHtIS5DO
それ下手すると仕事なくすぞ
247 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/13(火) 21:48:29.38 ID:FZ09iPdiO

〜キャスト控え室〜


樹里「……おい、食べ過ぎじゃねーのか?」

智代子「えー? もぐ、そんなもぐないよ?」

樹里「この腹は、取り戻すのが大変だな……」

智代子「怖いこと言わないで!」モグモグ


コンコン


樹里「なんだ? ……どうぞ」ガチャリ

スタッフ「失礼します!」

果穂「!」

果穂「──ジャスティス・レッド!」

夏葉「あら……どうして」

凛世「レッドさま……」

レッド「果穂ちゃん! 放クラのみんな! 今日は僕達を応援してくれてありがとう!」

レッド「君たちのおかげで、怪人・デビロードから人々を守ることができた」

スタッフ「レッドさんは、まだ握手していない子供がいる! って、探しに来てくれたんです」

果穂「あたしを、レッドが……!」

レッド「握手してくれるかい?」スッ

果穂「でも……」フルフル

樹里「……」

樹里「ほら、レッドが困ってるぞ。ヒーローを困らせちゃダメなんじゃねーの?」ポンポン

果穂「樹里ちゃん……」

果穂「……はいっ!」ギュッ
248 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/13(火) 21:50:12.51 ID:FZ09iPdiO

〜283プロダクション・事務所〜


ガチャリ


はづき「おかえりなさい、プロデューサーさん」

はづき「みんなは、もう?」

高岸「はい! 僕の全力の笑顔で、見送ってきました!」ニコッ

はづき「そうですか。プロデューサーさんも、今日はお疲れ様でした〜」

高岸「いえ、僕は大したことはしていません!」

高岸「みんなが、頑張っていただけです!」

高岸「……はづきさんも、いつもサポートありがとうございます!」

はづき「私は、大したことはしてませんよ〜」

はづき「……では、私は社長のところに行ってきますね。業務報告書、お願いします〜」

高岸「分かりました!」
249 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/13(火) 21:51:12.63 ID:FZ09iPdiO

高岸「……」

高岸(今日の初ステージ……)

高岸(放クラのみんなは、お客さんを元気にできました。きっと、夢も与えられたはずです)

高岸(だから、成功なんだと思います)

高岸(でも……)

高岸(みんなは、どうだったのでしょう?)

高岸(舞台の袖から見た果穂さんは、とても怖がっていた……)

高岸(僕は、本当に……みんなを前向きに、できていたのかな……)


\ ピコン /


高岸(スマホに、通知……)

高岸(智代子さんのツイスタ……みんなの、写真ですか)
250 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/13(火) 21:52:42.25 ID:FZ09iPdiO

園田 智代子

いいね!:Timon_Chan_ ほか2件

houkago_climax_pink
今日は私たちの初めてのステージ。みんな緊張で、それぞれちょこっとずつ失敗しちゃいました…
でも、これも経験なんだって思います
明日への糧にして、精進! バウムクーヘンのように年輪を大きくしていきます! 
みんなを元気にするために!

写真は公演後に控え室で撮りました
みなさんも、ドームシアターでレッドと握手!

#放課後クライマックスガールズ #放クラ #ジャスティスV #初ステージ #小宮果穂 #西城樹里 #有栖川夏葉 #杜野凛世 #園田智代子

1分前
251 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/13(火) 21:53:52.87 ID:FZ09iPdiO

高岸(智代子さん……)

高岸(……)グッ

高岸「ただ、応援するだけじゃない……」

高岸「きっと僕には、まだできることがある」

高岸「それを、見つけるんだ」


*・・・・・・・・・・・・・・・・

放課後クライマックスガールズ
〈ファン人数〉1人 

一回目の審査まで あと999人
W.I.N.G.本戦まで あと30→29週

・・・・・・・・・・・・・・・・*


<13話・終わり>
252 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/13(火) 21:55:05.56 ID:FZ09iPdiO

次回は後日になります!
よろしくお願いします
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/13(火) 21:57:59.75 ID:eT94y3O4o
おつー!
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/13(火) 22:25:27.78 ID:OmY/QOMmo
乙乙
255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/14(水) 06:59:49.11 ID:3tNWZ7KIO
おつー
256 : ◆60viGNJ69k [saga]:2020/10/16(金) 22:33:41.59 ID:p/DCZsfTO

乙ありがとうございます!お待たせしました
14話更新します!
257 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/16(金) 22:35:15.44 ID:p/DCZsfTO

<14話・少し遠回りさせてよ>


〜都内・商店街〜


樹里「悪ぃ、凛世! 待たせたよな」

凛世「樹里さん……」

凛世「あの、汗が……」

樹里「え? あぁ……学校から自転車で飛ばしてきたからさ」

凛世「そうなのですか……」

凛世(凛世との約束のために……樹里さんは、お優しいのですね)

樹里「それで、買うもんは……」

凛世「おぼえ書きでしたら、ここに……」スッ

樹里「サンキュ。これなら、ドラッグストアに行くだけで間に合いそうだな」

樹里「──ってそういや、お金……!」

凛世「それも、寮母さまから……」スッ
258 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/16(金) 22:36:58.72 ID:p/DCZsfTO

樹里「……悪ぃな。全部任せちまって……」

凛世「ふふ……凛世は……」

凛世「樹里さんが供をして下さるだけで、十分でございます……」

樹里「そ、そっか。お詫びに、荷物持ちはアタシに任せてくれ」

凛世「樹里さん……ありがとうございます」ニコッ

凛世「……では、参りましょうか」

樹里「おう! じゃ、アタシが案内するよ。この辺はだいぶ詳しくなったからな」

凛世「ふふ、では……お言葉に甘えて……」
259 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/16(金) 22:39:57.07 ID:p/DCZsfTO

・・・・・


店員「樹里ちゃん、いつもありがとねー」

樹里「おう! またなー」

樹里「ハンドソープ、柔軟剤、芳香剤……よし、これで全部だな」

凛世「はい……」

樹里「凛世も一緒に寮に戻るか? 何か用があるなら、ここで……」

凛世「あ、あの……凛世は、買いたい物が……」

樹里「お、そうなのか。付き合うぜ」

凛世「ありがとうございます……では、八百屋に……」

樹里「八百屋? 案内はするけど、野菜でも買うのか?」

凛世「はい……」

樹里「料理でもやんのか……? でも、うちの寮の食事って全部食堂だよな」

凛世「存じております……凛世は、寮の台所をお借りして、お料理の練習をしておりますゆえ……」

樹里「へー……」

樹里(アタシもやろうかな……最近、包丁握ってねーし……)
260 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/16(金) 22:42:06.17 ID:p/DCZsfTO

テクテク……


樹里「──おっちゃん、野菜買いに来たよ」

八百屋のおっちゃん「おう! 樹里ちゃんじゃねーか!」

八百屋「隣のべっぴんさんは?」

樹里「アタシの友達で、同じアイドルの凛世だ」

八百屋「ほう! この子が凛世ちゃんか。ホントにお花みたいに綺麗な子だ!」

樹里(お花みたい? 間違ってはいないけど)

樹里(なんで凛世のこと知ってんだ……?)

凛世「お会いできて光栄です……樹里さんの、叔父さま……」ペコリ

八百屋「……へ?」

樹里「ちょっ、凛世! おっちゃんはただのおっちゃんだ!」

八百屋「おう、ただのおっちゃんとはご挨拶だな!」

樹里「そ、それは……言葉のあやで!」

樹里「……ああぁーっ! この話は終わりだ!」

八百屋「はっはっはっ!」ガハハ

凛世「……?」
261 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/16(金) 22:43:09.65 ID:p/DCZsfTO

八百屋「ところで、凛世ちゃんは何を探しに来たんだい?」

凛世「大根と、じゃが芋を……」

八百屋「よっしゃ。じゃあ、ただのおっちゃんが良いのを包んでやっからな」

樹里「頼むぜ。アタシの顔を立ててくれよな」

八百屋「へっ。任せとけ」

凛世「……ふふ」

樹里「……? なんで笑ってんだ?」

凛世「その……樹里さんとおじさまの、掛け合いが……」クスクス

樹里「良かったな、おっちゃん。アンタ、面白いって」

八百屋「あたりめぇよ。ほら」スッ

樹里「ありがとな……確かに、良い野菜みたいだ」ゴソゴソ
262 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/16(金) 22:44:28.80 ID:p/DCZsfTO

八百屋「凛世ちゃんには、贔屓にしてもらわにゃならんからなっ!」

樹里「ただの目の保養目的だろ」

八百屋「バレたか」ニッ

樹里「まったく……じゃあ行こうぜ」

凛世「あの、ありがとうございました……」ペコリ

八百屋「おう! プロデューサーさんにも、よろしくな!」

凛世「はい…………?」

樹里(なんでプロデューサーのこと知ってんだ?)

凛世(どうして、プロデューサーさまのことを……?)

樹里(アイツと一緒に来たことなんて無いはずだけど……)
263 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/16(金) 22:46:09.79 ID:p/DCZsfTO

テクテク……


肉屋のおばちゃん「──樹里ちゃん! コロッケ、揚げたてのあるよ!」

樹里「あー、悪い……揚げ物は、しばらく控えたいんだ」

肉屋「あら、ダイエット?」

樹里「いや……アタシ、これでもアイドルだし」

肉屋「そういえば、そうだったわね」

樹里「そういえばって……」ガクッ

和菓子屋の爺「樹里ちゃん! 揚げまんじゅうあるよ!」

樹里「だから、揚げ物厳禁だっての!」

和菓子屋「なんだい、遂にデビューかい?」

樹里「まだテレビには出てねーけど……一応な!」

和菓子屋「そりゃあ、めでたい! ほら、これ持ってきな!」スッ

樹里「これ、おかきか。ありがとな!」

肉屋「うちも、牛の良いとこ包もうか?」

樹里「いや、気持ちだけで十分だよ。ありがとな」
264 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/16(金) 22:47:38.42 ID:p/DCZsfTO

凛世「樹里さん……もう有名人でございますね」

樹里「そ、そんなことねーよ」テレテレ

樹里「まあ……みんな、いい人達だからな」

樹里「こっちで生活するようになって、色々世話になってるし……」

肉屋「樹里ちゃん、そっちの子もアイドルなの?」

樹里「ああ。同じ放クラの凛世だ」

凛世「お初にお目にかかります……」ペコリ

肉屋「あら。樹里ちゃんに負けないくらい、綺麗な子ね〜」

凛世「いえ……」

肉屋「それにしても、あなたたちの……プロデューサーさん?」

肉屋「この間、良い食べっぷりだったわよ〜」

樹里「え?」
265 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/16(金) 22:48:47.01 ID:p/DCZsfTO

肉屋「うちのコロッケ、美味いですね〜って5個ペロリ! それで、もう5個買って持って帰ったの」

樹里「へ、へぇ……」

肉屋「あとね、お米の炊き方を聞いてきたの! 自炊でも始めたのかしら」

和菓子屋「俺も見たよ、あの恰幅の良いオレンジの兄ちゃん!」

和菓子屋「そこのラーメン屋で、大食いに挑戦してたんだけど」

和菓子屋「3.8キロの大盛りラーメンを、『やれば、できる!』って食っちまったんだよ!」

和菓子屋「もう、ホレボレしちゃったね!」

樹里「何やってんだアイツ……」

凛世「プロデューサーさま……」

凛世「この商店街にも、いらしていたのですね……」

樹里「そうみたいだな……しかも、かなりの有名人だ」

樹里「……アタシら、プロデューサーのこと全然知らなかったな」

凛世「……」

凛世(プロデューサーさまのこと……)
266 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/16(金) 22:51:09.61 ID:p/DCZsfTO

肉屋「樹里ちゃん。良かったらこれ、プロデューサーさんに」スッ

樹里「コロッケ……」

肉屋「またいっぱい買ってね、ってよろしくね」

樹里「……分かった。任せとけ」

肉屋「あと、これもあげる」

樹里「何だこれ? 祭りのチラシ?」

肉屋「そう。夜市っていって、お昼すぎから夜までやる、ちょっとしたお祭りでね」

肉屋「色々なイベントもあるのよ」

樹里「夏祭りとかとは違うんだな」

肉屋「そうね。夏はここでお稲荷様のお祭りもあるけど、これは商店街が主催なの」

凛世「商店街の、催し……」

肉屋「そう! だいぶ先なんだけどね。来てくれるでしょ?」

樹里「……気が向いたらな」

樹里(これ、事務所に貼っとこうかな)
267 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/16(金) 22:54:27.35 ID:p/DCZsfTO

樹里「じゃあ、また」

凛世「では……」

肉屋「またねー!」

和菓子屋「また来てくれよー!」

樹里「……」フリフリ

凛世「……ふふ」フリフリ


テクテク……


樹里「なあ、凛世」

凛世「……?」

樹里「……このあと、一緒に事務所行かねーか?」

凛世「はい……」

凛世「凛世も……同じことを、考えておりました」

樹里「そっか。へへっ」ニコッ

凛世「ふふ……」ニコニコ


*・・・・・・・・・・・・・・・・

放課後クライマックスガールズ
〈ファン人数〉1人 

一回目の審査まで あと999人
W.I.N.G.本戦まで あと29→28週

・・・・・・・・・・・・・・・・*


<14話・終わり>
268 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/16(金) 22:55:22.37 ID:p/DCZsfTO

次回はあさってに上げる予定です!
よろしくお願いします
269 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/16(金) 23:10:35.08 ID:D8vP/lVmo
おつ!
よかった、ラーメンは激辛じゃなかったんだな!
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