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【シャニマス】ティモンディ・高岸「放課後クライマックスガールズ……?」
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319 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/21(水) 01:15:38.28 ID:I56vpEvWo
ティモンディだ
320 :
◆60viGNJ69k
[saga]:2020/10/23(金) 23:53:47.70 ID:MEATrBFOO
乙ありがとうございます!
そう言ってもらえて嬉しいです!頑張って考えた甲斐があります
ティモンディのTwitterもYouTubeも面白いのでぜひ!
16話更新します!
321 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/23(金) 23:54:50.68 ID:MEATrBFOO
<16話・DON'T BE SHY>
〜283プロダクション・事務所〜
凛世「……」カキカキ
凛世「……」カキカキ…
果穂「凛世さん……終わりましたっ」
凛世「……はい」
凛世「では、いざ……」スッ…
果穂「……」ジーッ
凛世「……」
果穂「……」ドキドキ
凛世「……」ペラ…
果穂「……っ」ビクッ
凛世「……」
果穂「……」ドキドキ
凛世「……ふふ」コクリ
果穂「……!」
凛世「お見事で、ございます……」ニコッ
凛世「では、花丸を……」キュキュッ
果穂「わぁー! やったー!」パァァ
322 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/23(金) 23:56:38.19 ID:MEATrBFOO
凛世「果穂さんは……お勉強も、得意なのですね」
果穂「えへへ」
果穂「凛世さんに教えてもらったので、分からないところも簡単に解けちゃいました!」
凛世「いえ……凛世は、何も……」
果穂「そんなことありません!」
凛世「……!」
凛世「ふふ……」
凛世「果穂さんは、飲み込みが早く……とても、教え甲斐がありました」
果穂「ふふふっ、ありがとうございますっ!」
果穂「あたし、次は算数の宿題を頑張ります!」
凛世「果穂さんなら、やれば、できます……」ギュッ
凛世「凛世も……見ていますから」ニコッ
果穂「はいっ!」
323 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/23(金) 23:57:54.37 ID:MEATrBFOO
凛世「……」カキカキ
果穂「……あの、凛世さん」
凛世「はい……」
果穂「凛世さんは、何を書いてるんですか?」
凛世「これは、手紙でございます……」
果穂「お手紙……?」
凛世「凛世の父母と、姉様に向けて……したためております」
果穂「お父さんとお母さんとお姉さん、ですか?」
凛世「はい……」
凛世「凛世は、しばしば……実家や姉様に、手紙を送るのです……」
凛世「今日は、この間のオーディションのことや……日々のあれこれ……」
凛世「そして、放クラの皆さまのことを……」
果穂「……あたしのことも!」
凛世「ふふ……」
凛世「とても元気なこと、誰にでも優しいこと、ヒーローがお好きなこと……」
凛世「果穂さんのことを書くと……楽しい気持ちが、あふれて参ります……」
果穂「そうなんですか! えへへ」テレテレ
果穂「……あ、あたしも」
凛世「……?」
果穂「誰かにお手紙、書いてみようかな……」
凛世「……!」
凛世「はい」ニコニコ
凛世「ぜひ……」
324 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/23(金) 23:59:10.69 ID:MEATrBFOO
ガチャリ
樹里「おはようございまーす」
凛世「おはようございます」
果穂「樹里ちゃん! おはようございます!」
樹里「二人だけか?」
凛世「はい……プロデューサーさまは、社長さまとお話を……」
果穂「ちょこ先輩は電車で移動中で、夏葉さんはもうすぐ着くそうです!」
果穂「って、プロデューサーさんが言ってました!」
樹里「そっか。二人は何してたんだ?」
果穂「あたしの学校の宿題を凛世さんに見てもらってました!」
樹里「へぇ……どれどれ……?」
樹里「おー……全部当たってる。さすが、アタシらの果穂は優秀だな!」ナデナデ
果穂「わぁー! 樹里ちゃん、くしゃくしゃしないでくださいー!」ニコニコ
樹里「へへっ」ナデナデ
凛世「ふふ……」ニコニコ
樹里(そういや、今日のレッスンは何やるんだったかな)
樹里(……?)
樹里(ホワイトボードのスケジュール表、更新されてる……)ジーッ
樹里(……って)
樹里「──はあぁっ?!」
凛世・果穂「?」
・・・・・
325 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/24(土) 00:00:32.77 ID:ld2ZwCvNO
〜283プロダクション・社長室〜
高岸「失礼します!」ガチャリ
天井「……お前か。座れ」
高岸「アイヤァ〜!」ストン
天井「床に座……」
天井(ちゃんと椅子に座っている、だと?)
天井「……ひとまず、1次審査の突破おめでとう。よくやった」
高岸「ありがとうございます! 放クラのみんなが、頑張った成果です!」
高岸「僕ではなく、みんなを、褒めてあげてください!」パァァ
天井「ふっ。相変わらずだな」
天井「……こうしてお前と話をするのも、久しぶりのような気がするな」
高岸「社長がお忙しい身ですし……放クラも、ありがたいことに、仕事が増えましたから!」
天井「ああ。それはお前の報告書からも把握している」
天井「ところで……」ペラ…
天井「この間のオーディションの報告書だが……『審査員の山崎さんや軽口さんから、多くの御指導を賜り〜』……」
天井「……なんだこれは」
高岸「はい! お二人から、プロデューサーとしてのアドバイスや、課題を頂きまして……」
高岸「『放クラには、アイドルとして足りないものがある』と」
天井「そういったことはコレに書かずとも良い」
高岸「そうなのですか! すみません」
天井「まぁ、いいだろう。それで……」
326 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/24(土) 00:01:42.76 ID:ld2ZwCvNO
天井「お前はその『課題』について、どう思う?」
高岸「はい! オンエアを見て、僕にも分かりました!」
高岸「放クラのみんなは、いつも素敵な笑顔を見せてくれているのに」
高岸「テレビの中のみんなは、全然、笑っていませんでした……」
天井「『課題』は、笑顔か」
天井「……」
天井「……単純なように見えて、根深い問題だな」
高岸「はい」
天井「それで。お前はどうしたい?」
高岸「僕は……」
高岸「みんなに、笑っていて欲しいです!」
高岸「テレビの前の人々にも、放クラのみんなの良いところを、知って欲しい!」ニコッ
天井「アイドルは人々の前で笑顔を振りまくのが仕事だ」
天井「それが出来ないならW.I.N.G.で勝ち残ることはおろか、アイドルを続けることも難しいだろう」
高岸「……同じことを、山崎さんもおっしゃっていました!」
高岸「でも、僕には……無理にでも笑え、なんて言えません!」
天井「……ふん」
327 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/24(土) 00:02:48.35 ID:ld2ZwCvNO
天井「やれば、できる。これはお前のフレーズだろう?」ビシッ
高岸「はい! でも、違うんです!」
天井「……何が違う」
高岸「僕はみんなに、挑戦を楽しみながら、ベストを尽くして欲しい!」
高岸「その先に、『やってみたら、できた!』という、幸せな結果が待っている!」
高岸「そういう意味を、込めているんです!」グッ
天井「……なるほど。ならば、現実としてどうする?」
高岸「みんなが笑えるように、僕がなんとかしてみせます!」
天井「ほう……」ニヤリ
天井(お前ならそう来ると思っていた……が)
天井「高岸……それは所謂、修羅の道だ。お前にとって良い結果を招くとは限らないぞ」
天井「それに……私との『約束』もあることを忘れるな」
高岸「『W.I.N.G.で優勝できなければ、僕はみんなのプロデューサーを、辞めなければならない』……」
高岸「忘れていませんよ!」ニコニコ
天井「……」
328 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/24(土) 00:04:01.01 ID:ld2ZwCvNO
天井(……自分が辞めることなど、微塵も恐れていない……それほどまでに、彼女たちを……)
天井(お前の覚悟は、揺るがないのだな)
天井「……そうか」
天井「さて……私は知っての通り、甘くはない」
天井「だが試練だけを与えるのは、私の好むやり方ではない」
天井「それに、件の2人……いや、3人には……私も浅からぬ因縁がある……」ボソリ
高岸「……?」
天井「高岸、私からのアドバイスだ」
高岸「はい!」
天井「お前の初心を思い出せ」
高岸「僕の、初心……?」
天井「そうだ。面接、スカウト……」
天井「ただひたすらにお前らしく突き進んでいた頃を」
天井「今のお前は、あの頃に比べて少し…………」
高岸「……社長?」キョトン
天井「いや……何でもない。忘れろ」
天井「考えるな、とは言わない。ただ、お前の持つ愚直なまでの真摯さが、お前の進む道には必要だろう」
高岸「僕の、真摯さ……」
天井「そうだ。今まで通り、ひたむきにアイドルと向き合い続けるんだ」
329 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/24(土) 00:05:11.89 ID:ld2ZwCvNO
天井「そして……お前に限ってはありえないが……アイドルをコントロールしようとはするな」
天井「……理解したか?」
高岸「はい!」
天井「ならいい。分かったなら、さっさと行け」
高岸「はい!! ありがとうございました!」
ガチャリ……シーン……
天井「『アイドルをコントロールしようとはするな』……」
天井「よもや私の口から、あんな言葉が出てこようとはな……」
タバコ……トリダシ……カチッ……ボッ……
天井「……」スパー…
天井(高岸……お前なら、この試練を乗り越えられる)
天井(不思議だが、そんな確信があるのだ……)
天井「ふっ……」
天井「私は……夢を見ているのか。アイツに……」
『ごめんなさい……プロデューサー……っ……!』
天井「……」
天井「あの時、壊れてしまった夢を……」
天井「……」
330 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/24(土) 00:06:52.27 ID:ld2ZwCvNO
〜283プロダクション・事務所〜
高岸「ただいま戻りました!」ガチャリ
凛世・果穂「おかえりなさい」
樹里「──プロデューサー!」
高岸「はい!」
樹里「なんだよ、アレ!」ユビサシ
高岸「アレ?」
高岸「……ああ! 取材のことですね! 今朝電話があって……」
樹里「ち、ちげーよ!」
樹里「あ、いや、それも気になるけど……夜市の話だっ!」
高岸「なるほど!」
高岸「樹里さん達が喜ぶと思って、商店街の皆さんと、以前からお話ししていたんです!」
高岸「それで、やっと話がまとまって」
高岸「夜市で行われるミニライブの、前座をやらせていただけることになりました!」
樹里(プロデューサーが、アタシらの為に……)
果穂「ライブ……!」キラキラ
凛世「商店街の、みなさまの前で……」キラキラ
高岸「もしかして、嫌でしたか?」
樹里「い、嫌じゃねーけど……」
樹里「急だったから、ビックリしたっつーか……」ボソリ
高岸「すみません」
331 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/24(土) 00:07:56.84 ID:ld2ZwCvNO
果穂「……プロデューサーさん」
高岸「はい! 何ですか? 果穂さん」
果穂「プロデューサーさんが帰ってくる前、樹里ちゃん、スゴく嬉しそうにしてました!」
樹里「──か、果穂!」
果穂「ふふっ、くしゃくしゃのお返しです!」ニコニコ
凛世「ふふ」ニコニコ
樹里「……っ」カァッ
高岸「喜んでくれたなら、良かった!」パァァ
樹里「あーもうっ!」バッ
樹里「プロデューサー!」
高岸「はい!」
樹里「……アタシが、商店街のみんなに世話になってることも知ってるだろ?」
樹里「アンタはあそこの人気者だしな」
高岸「樹里さんほどではないですよ!」ニコニコ
332 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/24(土) 00:08:40.69 ID:ld2ZwCvNO
樹里「っ……ともかく!」
樹里「やるからには、全力だからな」グッ
高岸「……はい!」
高岸「もちろんです!」ニコッ
凛世「プロデューサーさま……」
凛世「……凛世も、商店街のみなさまに……日々の恩返しをしたく……」
高岸「はい! 一緒に頑張りましょう!」グッ
凛世「……!」ニコニコ
果穂「プロデューサーさん! あたしも!」
高岸「はい! もちろん、果穂さんの力も必要です!」
高岸「みんなで、夜市を!」
高岸「リオのカーニバルよりも、盛り上げてみせましょう!」
高岸「僕たちなら、やれば、できる!」サンバ!
*・・・・・・・・・・・・・・・・
放課後クライマックスガールズ
〈ファン人数〉1,052人
二回目の審査まで あと8,948人
W.I.N.G.本戦まで あと25→24週
・・・・・・・・・・・・・・・・*
<16話・終わり>
333 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/24(土) 00:09:11.41 ID:ld2ZwCvNO
次回は後日です! よろしくお願いします
334 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/24(土) 10:37:16.02 ID:xtt+3QfBo
おつー
シャニマス全然知らんので申し訳無いけど社長は何処までオリジナル要素なんです?
335 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/24(土) 13:22:14.72 ID:y6vZ2xXko
乙乙
336 :
◆60viGNJ69k
[saga]:2020/10/26(月) 21:33:13.41 ID:RLJ0UJj6O
乙ありです! お待たせしてすみません
社長まわりの設定に関しては、
・W.I.N.G.編で負けたり途中審査をクリアできなかったりするとその時点でプロデュースが終わり、というシステム的な部分
・アイドルの個性を大事にし、会社やプロデューサーの方針をアイドルに押し付けないという信念
・過去にアイドルのプロデューサーをしておりそれなりに実績を残したが、大きなすれ違いを経てアイドルが引退するという過去
この辺りが公式からパクっているもので、あまりブレないように注意しています!
余談ですが、対照的に放クラメンバーと高岸はだいぶブレてるので、今までの文章を読み返しながら自分でも葛藤してます。でも開き直って書きます!
「こんな雰囲気のキャラクターなんだな」ぐらいに読んでもらえたら嬉しいです
337 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/26(月) 21:34:30.55 ID:RLJ0UJj6O
<17話・高鳴ってる、ざわめいてる>
〜283プロダクション・レッスンルーム〜
智代子「……なるほど」
智代子「商店街のために、夜市を盛り上げたいと」
樹里「……頼む。チョコと夏葉にも、手伝ってほしいんだ」
夏葉「そんなに深刻そうな顔をしなくていいのよ、樹里」
夏葉「私たちは仲間なんだから」
智代子「そうだよ! 樹里ちゃん!」
智代子「ライブもあるんだったら、頑張るのは当たり前だもん!」
樹里「……サンキューな、二人とも」ニッ
夏葉「うふふっ。それに……」
夏葉「樹里と凛世がいつもお世話になっている方々に、お礼をしないといけないものね!」
智代子「ふふっ! そうだね!」ニコニコ
凛世「凛世たちのために……ありがとうございます……」ペコリ
樹里「そ、そういうお節介はいらねーよ」
果穂「それで、あたし達は何をしたらいいんでしょう?」
智代子「そこだよね〜……うーん……」
338 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/26(月) 21:35:20.53 ID:RLJ0UJj6O
凛世「お店のお手伝いは、いかがでしょう……?」
樹里「売り子なら、たぶん手伝わせてくれるだろけど」
夏葉「名案ね!」
樹里「オッケー。手伝わせてくれるとこがないか、あとで聞いて回るとして……」
果穂「ライブの宣伝をして、いっぱい見に来てもらいましょう!」
智代子「私たちが広告塔になるってことだね! 賛成!」
樹里「宣伝か……どうすりゃ良いかな」
みんな「うーん……」
夏葉「私にひとつ、考えがあるわ」
樹里「なんだ?」
夏葉「簡単なことよ。私たちのファンを増やせばいいの!」
凛世「なるほど……ファンの皆さまに、来ていただくと……」
智代子「──あっ! それなら私もアイディアがあるよ!」
智代子「あのね、だいぶ前からやってる私のツイスタなんだけど……」
智代子「最近、すっごくフォロワーが増えてるんだ! みんな放クラのピンクで覚えてくれて……」
凛世「ふふ……凛世も、拝見しております」
夏葉「私も見ているわよ。智代子は写真を撮るのがとても上手だから、参考にさせてもらっているの」
果穂「あたしも! プロデューサーさんのスマホを借りて見てます!」
果穂「ちょこ先輩のツイスタは、放クラのアルバムみたいで大好きですっ!」ニコニコ
智代子「三人とも、ありがとう! えへへ」テレテレ
339 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/26(月) 21:36:42.45 ID:RLJ0UJj6O
樹里「チョコ……」
樹里「……ふぉろわー、ってなんだ?」
智代子「私のツイスタを見てくれてる人、って意味だよ!」
樹里「なるほど……悪い、水差しちまったな」
智代子「そんなことないよ、樹里ちゃん! それでね……」
智代子「ツイスタで夜市の宣伝をしたら良いんじゃないかなー、って」
夏葉「あら、素敵じゃない!」
智代子「でしょ!」
果穂「あたしもやりたいです!」キラキラ
智代子「うん! 一緒にやろう、果穂!」ニコッ
凛世「……樹里さん」
樹里「ああ」コクリ
樹里「……みんな、ありがとな」
凛世「ありがとうございます……」
樹里「とりあえず整理すると、当日の売り子とツイスタでの宣伝、そしてファンを増やす……」
樹里「順番的には、アタシらのファンになってもらって、ツイスタを見てもらって、当日来てもらうって感じになると思う」
みんな「……」コクリ
樹里「だからまずは……デカいオーディションを受けて、またテレビに出たい」
340 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/26(月) 21:37:34.63 ID:RLJ0UJj6O
夏葉「ええ。プロデューサーには私から頼んでおくわ」
智代子「オーディションに出るなら、レッスンも頑張らないとだね!」
果穂「やることがいっぱいで、ワクワクしてきましたー!」
樹里「……」
智代子「樹里ちゃん」
樹里「な、泣いてねーよ」
智代子「何も言ってないよっ!?」ドキッ
凛世「ふふ……」
夏葉「泣くにはまだまだ早いわよ!」
樹里「だから泣いてねー!」
果穂「ふふふっ!」
果穂「樹里ちゃんと、凛世さんのためにも!」
果穂「みんなでがんばりましょー!」
みんな「おー!」
341 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/26(月) 21:38:28.09 ID:RLJ0UJj6O
智代子「……じゃあ、話がまとまったところで休憩再開ーっ!」
智代子「今日はね、美味しいチョコレートをみんなと食べようって……」ゴソゴソ
トレーナー「──話は聞かせてもらったわよ!」バンッ
智代子「……先生っ?!」ビックリ
トレーナー「オーディションを受けるなら、そのぶん私も気合い入れていくから」
トレーナー「覚悟決めて食らいついてきなさい!」
みんな「はーい!」
智代子「お菓子タイムが……」
凛世「ふふ……」
凛世「頑張ったあとのチョコは……なおさら格別でございます……智代子さん」ニコニコ
智代子「チョコだけにね……っ!」
・・・・・
342 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/26(月) 21:39:13.57 ID:RLJ0UJj6O
夏葉「どんな……憧れも……」タタッ
夏葉「全部……叶える〜♪……」キュキュッ
ガチャリ……
高岸「失礼します」
高岸「……!」
夏葉「あら、プロデューサー」スタ…
高岸「すみません、邪魔してしまいましたか?」
夏葉「うふふっ、そんなことないわよ」アセダク
高岸「それなら良かったです。ドリンクを、どうぞ!」スッ
夏葉「ありがとう」
夏葉「……」ゴクゴク
高岸「……」
高岸「今日もこんなに遅くまで、一人で居残り練習ですか?」
夏葉「ええ。夢は銀河一のアイドルだもの、立ち止まっていられないわ」
夏葉「……他の四人を揶揄しているつもりはないわよ?」
高岸「分かっていますよ!」
夏葉「……そう」
343 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/26(月) 21:40:47.01 ID:RLJ0UJj6O
高岸「……」
高岸「……夏葉さん、無理してはいませんか?」
夏葉「プロデューサーには、私が無理しているように見えるの?」
高岸「とても、頑張っているように見えます!」
夏葉「……やって当たり前のことをしているだけよ」
高岸「そんなことありませんよ!」
高岸「僕には見える! あなたの流した汗が、努力という名の、湖を作っているのが!」
高岸「その努力湖がいつか努力海になったとき、とても綺麗な日の出が、見られるはずです!」パァァ
夏葉「……!」
高岸「でも……それとは別に、心配もしているんです!」
高岸「太陽はいつだって、自分のペースで昇って、自分のペースで沈みます」
高岸「太陽のように熱いあなただから、自分のペースを守って、頑張ってほしい!」
夏葉「ふふっ……ありがとう」
夏葉(そんなことを言ってくれるのは……アナタだけね)
夏葉(外からは、私たちの努力の「結果」しか見えないのに……)
夏葉「でも、プロデューサー。本当に心配は要らないの」
344 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/26(月) 21:42:48.51 ID:RLJ0UJj6O
夏葉「実はこの居残りもね、私のスケジュールに含めてあるのよ?」
夏葉「アナタも知っている通り、みんなのレッスンのスケジュールは私が管理しているけれど」
夏葉「アナタに咎められたあの日から……私のスケジュールも、先生にちゃんと指導を受けているわ」
高岸「そうだったんですか」
夏葉「ええ。だから……」
夏葉「私は、大丈夫」グッ
高岸「……はい!」
夏葉「……それよりも。プロデューサー」
夏葉「これは何?」ピトッ…
高岸「えっ?」
夏葉「クマ、出来てるわよ。私よりアナタの方が無理してるんじゃないかしら?」
高岸「そんなことないですよ! 毎日夜10時には、しっかり寝ています!」
夏葉「……うふふっ。もう……」
夏葉「どんなに忙しくても、睡眠はしっかりとること」
夏葉「私たちのためとはいえ、アナタが無理をしているのなら見過ごせないわ」
夏葉「……それとも、私がアナタのスケジュールを管理してあげたほうがいいのかしら?」
高岸「いえ、大丈夫ですよ!」アセアセ
345 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/26(月) 21:44:21.00 ID:RLJ0UJj6O
夏葉(こんなこと、私が言えた義理ではないわね……)
夏葉(だからといって……無理がどうのと言っていられる場合でもない)
夏葉(私は、一番にならなければならないのだから)
天井『もし放課後クライマックスガールズが優勝できなかった場合……』
天井『お前にはプロデューサーを退職してもらう』
高岸『はい! 僕は、彼女たちを信じていますから! 大丈夫です!』
天井『ふん。覚悟はできているようだな』
夏葉(……)
夏葉(私は、W.I.N.G.で優勝しなければならないのだから)
夏葉(次のオーディションも負けられない)
果穂『でも、本番になったら、息が苦しくなっちゃって……声もっ、出なくて──!』
果穂『だから、ごめんなさい……!』
果穂『うぅっ、うわぁぁぁぁぁぁぁん……』
夏葉(っ……)
夏葉(もうみんなに負担はかけられない)
夏葉(……頑張るしかないのよ、有栖川夏葉)
夏葉(私ができることを、限界までやるしかない)
346 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/26(月) 21:45:23.99 ID:RLJ0UJj6O
夏葉「……」ニコッ
夏葉「ねえ、プロデューサー」
高岸「はい!」
夏葉「今日、みんなと話し合ったの」
夏葉「夜市を盛り上げるために、私たちに何ができるかって」
高岸「僕ももちろん、お手伝いしますよ!」
夏葉「ありがとう。それでね、夜市の前に大きなオーディションに出てみようって案が出たのよ」
夏葉「……正確には、私が言い出したのだけれど」
高岸「オーディションですか!」
347 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/26(月) 21:46:19.75 ID:RLJ0UJj6O
・・・・・
山崎『今の放課後は、ちょっと足が早い程度のウサギさん……』
山崎『途中で居眠りどころか、W.I.N.G.決勝にたどり着くことさえ叶わないのだし』
高岸『それはやっぱり、『何か』が足りていないからですか?』
山崎『そう。アイドルにとって最も基本的で、最も必要なものが』
高岸(……僕の出した答えは、みんなの笑顔)
高岸(でも、これが山崎さんの課題の答えなのか、確証はない)
天井『アイドルは人々の前で笑顔を振りまくのが仕事だ』
天井『それが出来ないならW.I.N.G.で勝ち残ることはおろか、アイドルを続けることも難しいだろう』
高岸(……課題はまだ、乗り越えられていない)
夏葉『私たちは……出来るかどうか、なんて考えなくていい』
夏葉『とにかく、ひたすら、やってみる。それだけでいいのよ!』
高岸(……!)
高岸(そうだ……)
高岸(夜市のために、みんなが前向きになっているんだ)
高岸(やれば、できる!)
高岸(勝ち負けなんかよりも、みんなの挑戦したい気持ちを、大事にしていこう!)
・・・・・
348 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/26(月) 21:47:07.84 ID:RLJ0UJj6O
夏葉「ファンが増えたら、私たちを見るために夜市に来てくれる人が増えるかもしれないでしょう?」
夏葉「……どうかしら?」
高岸「……」ニコッ
高岸「はい! 僕も賛成です!」
高岸「この間よりも、大きなオーディション! 受けましょう!」
高岸「放クラなら、やれば、できます!」パァァ
夏葉「ええ! やってみせるわ!」
夏葉「だから、ちゃんと見ていてちょうだい」
高岸「はい! もちろんです!」
夏葉「うふふっ! じゃあ居残り練習も、もう少し付き合ってもらおうかしら?」
高岸「任せてください!」
高岸「──そうだ! 歌は僕が歌いましょうか?」ピコーン
高岸「セザッウィーン! いこう♪」
高岸「今、羽ばたく時間〜♪」エクセレント!
夏葉「あら、プロデューサーは歌も上手なのね」
高岸「ありがとうございます!」
高岸「ちなみに僕の十八番は、上を向いて歩こう、です!」ドンッ
<17話・終わり>
349 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/26(月) 21:47:48.63 ID:RLJ0UJj6O
次回は水曜日に更新します! よろしくお願いします!
350 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/26(月) 21:51:28.77 ID:XB3fWnqho
乙乙
351 :
◆60viGNJ69k
[saga]:2020/10/28(水) 19:14:49.79 ID:uV0iKxtAO
乙ありです!
18話、更新します!
352 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/28(水) 19:15:47.54 ID:uV0iKxtAO
<18話・全員で存分にハイテンション>
〜オーディション会場・廊下〜
夏葉「……じゃあ、プロデューサー。楽屋挨拶、行ってくるわね」
高岸「はい! 審査員の皆さんにも、放クラの笑顔と元気を、わけてあげてください!」
果穂「はいっ! 行ってきます!」ニコッ
放クラ「……」フリフリ
スタスタ……
高岸「……」フリフリ
エイル(……)コソコソ
ラビィ「えーちゃん、何してるの……」ヒソヒソ
シイナ「ストーカー」ヒソヒソ
エイル「違うわよ! あ、こっち来る!」ヒソヒソ
タタッ
エイル「──あら! 偶然ね、高岸!」
353 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/28(水) 19:17:18.87 ID:uV0iKxtAO
高岸「エイルさん! エルビヨンドのみなさんも、このオーディションを受けるんですね!」
エイル「ええ、そうよ。再戦の機会は意外と早く訪れたってワケね」
エイル「やっぱり私たちは運命のライバル……」
シイナ「まあ、ここで高岸さんと会ったのは完全に意図的なんだけど」
エイル「や、やめっ!」
ラビィ「あ、あはは……すみません、相変わらずこんな感じで……」
高岸「仲が良くて、素敵なチームだと、僕は思いますよ!」パァァ
ラビィ「そんな……ありがとうございます」テレテレ
エイル「……こほん」
エイル「ところで、高岸……この間私が送った動画は、ちゃんと役に立ったのかしら?」
高岸「はい! おかげでレッスンの質というか、レベルが上がった気がします!」
エイル「そう。それなら良かったわ」
エイル「相手が強くなきゃ、叩きのめす甲斐もないってモノよ」
354 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/28(水) 19:18:49.37 ID:uV0iKxtAO
シイナ「いい加減、そのビッグマウスもやめて欲しいんだけどなー」
シイナ「付き合うほうもしんどい……」ゲッソリ
高岸「……?」ジロジロ
シイナ「な、なに……ボクの顔に何か……?」ビクッ
高岸「皆さん、少し目が赤いような……充血、ですか? 大丈夫ですか?」
エイル「!」
ラビィ「……高岸さん、すごいですね」
ラビィ「実を言うと、今日のために睡眠時間を削って練習してきたんです」
ラビィ「それに……何度かオーディションも受けて、ファン人数も7000人を突破しました!」
高岸「それは、すごい! 頑張ってきたんですね!」
シイナ「めちゃくちゃ大変だった……」
355 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/28(水) 19:19:28.15 ID:uV0iKxtAO
エイル「……まったく、なんでそんな目ざといのよ」
高岸「野球好きは目が良いので!」グッ
シイナ「あー……なるほど」
エイル「納得するな!」
高岸「……みなさん、それぐらい気合いを入れてきた、ということですね!」
エイル「まあ、そうね。今日は公開オーディションだし」
エイル「お客の前でみっともないステージはできないから」
シイナ「……」コクリ
ラビィ「そうだね」グッ
高岸「はい! お互い、ベストを尽くして戦いましょう!」
・・・・・
356 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/28(水) 19:20:36.45 ID:uV0iKxtAO
〜オーディション会場・ステージ〜
ガヤガヤ……ザワザワ……
観客A「……え? アイドル、生で見れないの?」
観客B「ああ。会場そのものがステージみたいなもんでさ」
観客B「ドームとかのセンターステージ形式に似てるけど、客席はないんだよ。ドームほど広くないから」
観客B「つってもここはステージ裏だから声は聞こえるし、デカいモニターはあるし、ライブビューイングみたいなもんだな」
観客B「……てか、ちゃんと説明あったはずだけど」
観客A「なんだよ〜、せっかく抽選当たったのに……」ガッカリ
観客B「無料じゃ文句言えねーって」
観客A「……そんなもんかぁ。テンション下がるなぁ」
観客B「シーッ……始まるぞ」
・・・・・
357 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/28(水) 19:22:08.65 ID:uV0iKxtAO
智代子「……うぅ〜……」ブルブル
夏葉「智代子、緊張しているの?」
智代子「む、武者震いだよ!」
智代子「……って言いたいところだけど、ダメだ〜。足震えてるよ、あはは……」ガクガク
樹里「実はアタシもだ。2回目でも慣れないもんだな……」
智代子「うん……それに、今日はお客さんも見てるんだもんね……」
樹里「ああ……凛世は、落ち着いてんな」
凛世「いつも通りで……ございます……」
果穂「──みなさん! アレ、やりましょう!」バーンッ
智代子「アレ?」
果穂「円陣ですっ!」
樹里「……おお! やるか!」
凛世「ふふ……景気づけに、ぴったりですね」
夏葉「うふふっ、そうね! やりましょう!」
智代子(果穂……私たちを盛り上げる余裕ができてる……!)
智代子(いつの間にか成長しちゃって……嬉しい反面、少し寂しいよ……!)
果穂「ちょこ先輩……?」キョトン
智代子「あ、ゴメン! 私も混ぜて!」
358 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/28(水) 19:23:14.13 ID:uV0iKxtAO
「放課後クライマックスガールズ! 最強のアイドルに…… 変身!!!!!」
エイル「……」ジーッ
シイナ「ちょうど対面だからよく見えるね」
エイル「そ、そうね」
シイナ「……」
ラビィ「良いね、ああいうの」
シイナ「うん。なんか一丸って感じ……」
ラビィ「……私たちも考えてみよっか、かけ声」
エイル「ふふっ、それも悪くないわね」ニコッ
エイル「……」
エイル「……ラビィ、シイナ。カメラはあそこね。審査員席の前」
ラビィ「分かった」
シイナ「おっけー……」
エイル「……ふぅ」
エイル「っ……」キリッ
エイル「──届けるわよ、向こうまで」
・・・・・
359 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/28(水) 19:24:28.48 ID:uV0iKxtAO
ビジュアル審査員(……さてと。前評判だと放課後とエルビヨンドの2トップだけど)
放クラ「Spread the Wings 行こう!」
エルビヨンド「今 始まる奇跡〜♪」
ダンス審査員(ふむ……)
ビジュアル審査員(出だしから、2組とも存在感を放っている……)
樹里・智代子「Start Up‼」
果穂「新しい夢に あつまった〜♪」タタッ
凛世「You & Me YES‼」キュッ
夏葉「やわらかい羽を」
放クラ「ぎゅっと つないで〜♪」パーフェクト!
ラビィ「Look Up‼」
シイナ「誰も見たことない翼〜♪」
エルビヨンド「私たちの空に 広げよう〜♪」パーフェクト!
ダンス審査員(実力は噂通りだな)
360 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/28(水) 19:25:44.39 ID:uV0iKxtAO
夏葉「どんな憧れも〜♪」ジャンプ!
樹里「全部 叶える〜♪」キュキュッ
夏葉(踊れてる……)
夏葉(今までのステージの中でも、一番上手に)
夏葉(このまま完璧に踊り切れれば、きっと……!)
果穂(夏葉さん……スゴい!)
果穂(あたしも、もっと、もっと!)
智代子(夏葉ちゃんのダンス、いつも以上にキレてる)
智代子(私も食らいついていかないと、置いていかれる!)
樹里(みんなが夏葉の勢いに引っ張られてる)
樹里(アタシも、負けてらんねぇ……!)
凛世(凛世は、どなたが見ていても……)
凛世(ただ……プロデューサーさまのために……)
果穂「そんな未来〜♪」
果穂「信じてみない?」ニコッ
凛世(…………)
凛世(果穂さん……激しいダンスの中で……)
凛世(あれほど、楽しそうに……)
361 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/28(水) 19:27:51.35 ID:uV0iKxtAO
歌田「……」
歌田「放課後……悪くない。ポテンシャルはやっぱり、図抜けている印象ね」
ダンス審査員「同感です」
歌田「それに拮抗するエルビヨンド。だいぶ場慣れしているように見えるわね」
ビジュアル審査員「以前、別のオーディションで見かけました。実力がついてきたんでしょう」
歌田(『明日のアイドル一番星』のときとは一味違う、ということね)
ラビィ「強く 願えたら〜♪」フリフリ
シイナ「それはもう」
エイル「本物だよ!」ウィンク
歌田「ダンスの間に手を振る余裕さえある」
歌田「でも、それ以上に気になるのは……」
歌田「──私たちの方を見ている彼女たちと、全く目が合わないこと」
審査員たち(……!)ハッ
ビジュアル審査員(彼女たち、一体どこを……)
ビジュアル審査員(──まさか……!)
ダンス審査員(カメラの先にいる、客に向かって……!)
362 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/28(水) 19:29:29.72 ID:uV0iKxtAO
・・・・・
観客A「……ヤバい」
観客A「ヤバいヤバいヤバい! 今目が合った! エイルと目が合った!」
観客A「俺のこと見て手振ってた!」
観客B「は? んな訳ないだろ」
観客A「いやいや、マジだって!」
観客B「嘘だろ……」ジーッ
ラビィ「翼を広げて〜♪」
エイル「君とどこまでも〜♪」フリフリ
観客B「……うわ」
観客B「マジじゃん。俺のエイルじゃん。エイルVRじゃん」
観客A「……は?」
観客B「モニター越しなのに、なんか、目の前にいるみたいな……」
観客B「すっげーリアル感……」
観客A「これステージ最前列と変わんねーよ!」
観客A「今日、来てよかった!! ありがとう!」パァァ
観客B「……お、おう」
観客B「俺も……来てよかった」ニコニコ
・・・・・
363 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/28(水) 19:31:01.34 ID:uV0iKxtAO
エイル(聞こえる、ファンの声が)
エイル(私たちの歌がちゃんと届いたって、分かる!)ニコニコ
エルビヨンド「あの空の彼方〜♪」エクセレント!
歌田(文字通り、他の5組と見ているものが違う)
歌田(初めから審査なんてレベルでは戦っていなかったのね)
歌田「……」ニヤリ
歌田(エルビヨンド……)
歌田(一足先に、アイドルの本質に気づき始めたということかしら)
歌田「ふふっ♪」
歌田「……」スタスタ…
ビジュアル審査員「……歌田さん? どこに……」
ダンス審査員「止めるな」
ダンス審査員「審査が終わったんだ」
ビジュアル審査員「えっ?」
ダンス審査員「……もう満足したんだよ、あの人は」
364 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/28(水) 19:32:29.44 ID:uV0iKxtAO
〜オーディション会場・廊下〜
……ダダダッ
「──待ってください!」
歌田「……」クルッ
歌田「……283のプロデューサーね」
高岸「はい!」
高岸「歌田さん! まだステージの途中ですよ!」
歌田「ええ。でも審査は終わったの」
歌田「これ以上見続けても、星の配分は変わらない。だから帰るわ」
高岸「そんな!」
歌田「あなたに私を止める資格はない」
歌田「私を止められるのは、魂を揺さぶるようなアイドルのステージだけ」
高岸「魂を、揺さぶる……」
高岸「放クラはそうじゃなかった、ということですか?」
歌田「放課後だけじゃないわ。どのユニットも、まだそのレベルには至っていないわよ」
歌田「でも……」
歌田「レッスンルームの鏡の前でやるようなパフォーマンスに、感動するわけがないでしょう?」ドンッ
高岸「!」
365 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/28(水) 19:35:32.84 ID:uV0iKxtAO
歌田「──あなたたちには誰も上手さなんて期待してない」
歌田「新人アイドルに、私が必ず言う言葉よ」
高岸「上手さ……」
歌田「もちろんダンスや歌の上手さだって、最終的には必要になるし、審査の対象よ」
歌田「だけど、私が言いたいのは……」
歌田「目指す頂(いただき)を間違えないように、ということ」
歌田「あなた達がなりたがっているのは、歌手でもダンサーでも……ましてやモデルでもない」
歌田「そうでしょう?」
高岸「……!」ハッ
歌田「じゃあ、失礼するわ」スタスタ……
高岸「……」
・・・・・
スタッフ「参加者の皆様、お疲れ様でした」
スタッフ「審査の結果を発表いたします」
スタッフ「『ゆうがたワイド・アイドル一番』オーディション、第1位……26ポイント」
スタッフ「──エルビヨンド!」
スタッフ「第2位……24ポイント、放課後クライマックスガールズ!」
*・・・・・・・・・・・・・・・・
放課後クライマックスガールズ
〈ファン人数〉11,367人
二回目の審査まで あと8,948→0人
W.I.N.G.本戦まで あと24→22週
・・・・・・・・・・・・・・・・*
<18話・終わり>
366 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/28(水) 19:36:11.92 ID:uV0iKxtAO
次回は後日です。よろしくお願いします!
367 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/28(水) 20:55:01.84 ID:RfonNWSyo
乙
368 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/28(水) 21:13:14.25 ID:ce4U4raeo
おつー
ドンッのタイミング草
369 :
◆60viGNJ69k
[saga]:2020/11/02(月) 18:52:25.27 ID:DsRZggHFO
おつありです!お待たせしました!
予期せずギャグになってしまいましたかね
今後もドンッは乱用していきますw
370 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/11/02(月) 18:54:36.00 ID:DsRZggHFO
<19話・世界 サイジョウ 最愛 掴みたい>
〜283プロダクション・事務所〜
「……エルビヨンドの皆さん、ありがとうございました!」
「さて、お次のアイドルは……新進気鋭の自称・アイドル戦隊!」
「ほう……アイドル戦隊とは、斬新ですね」
「見た目も中身もバラバラな五人、コンセプトも奇抜と……」
「そんなユニットが、今日はどんな5色の爆発を見せてくれるのか!」
「では、放課後クライマックスガールズの皆さん、お願いします!」
「はい! みなさん、聴いてくださいっ!」
「夢咲きAfter school!!!!!」
「〜♪」
高岸「……」ジーッ
高岸「……」ニコニコ
ガチャリ
371 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/11/02(月) 18:55:45.19 ID:DsRZggHFO
樹里「お疲れ様でーす」
はづき「お疲れ様です」
高岸「お疲れ様です! 樹里さん」
樹里「ん、プロデューサー……」
樹里「この間の収録見てたのか」
高岸「はい!」
「ビバアフタースクールイェイェー♪」
樹里「……あ」
樹里「ちょうどアタシが映った。ひでー笑顔……」
高岸「そうですね……とても苦い飴を舐めているような……」
樹里「……ちょっとくらいは、フォローしろよな」
高岸「あはは! すみません!」
樹里「……」
高岸「……」
「ねえねえ、ちょっと話聞いて〜♪」
樹里「……」
樹里「……な、なんだよ」
372 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/11/02(月) 18:57:00.27 ID:DsRZggHFO
高岸「……?」キョトン
高岸「どうかしましたか?」
樹里「え? いや……」
樹里「きゅっ、急に黙るから、アタシに言いたいことでもあんのかと思って……」
高岸「言いたいこと、ですか……あ!」
高岸「今日の樹里さんは、いつもと違う匂いがしますね!」
樹里「!」ビクッ
高岸「これは、柑橘系……?」クンクン…
樹里「〜〜っ」カァッ
樹里「──嗅ぐなっ!」
樹里「ア、アタシは先に行ってるからな! アンタも時間までにはちゃんと来いよ!」
ダダダッ……ガチャリ……
高岸「樹里さん……」
高岸「何をしに事務所に……?」
はづき「……ふふふっ」クスクス
373 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/11/02(月) 18:58:02.25 ID:DsRZggHFO
・・・・・
〜数日前・オーディション後〜
高岸「──エルビヨンドの皆さん、一位おめでとうございます!」ニコッ
ラビィ「ぁ……」
エイル「……ええ。ありがとう」
エルビヨンド「……」シュン…
高岸「おや? 皆さん、元気がないみたいですが……」
シイナ「いや、気にしないで……」
シイナ「勝てるとは思ってなくて、びっくりしてるだけだから」
高岸「そうでしたか!」
高岸「僕は、どちらが勝ってもおかしくないと、思っていましたよ!」
エイル「……ふふっ」
高岸「……エイルさん?」
エイル「……はぁ……」
エイル「……なんかね」
374 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/11/02(月) 18:58:56.23 ID:DsRZggHFO
エイル「アナタが……負けたことを全然気にしてないみたいで、吹っ切れたっていうか」
エイル「あんな風に喧嘩を売っておいてなんだけど、アナタに対して変に気を遣おうとしてて……」
エイル「……とにかく、ありがとう。私たちを気持ちよく戦わせてくれて」
高岸「そんな! 僕は、何もしていませんよ!」
高岸「エイルさんがそう思うのは、皆さんが全力を尽くして、ステージをやりきったからです!」
高岸「だから、自分たちの頑張りに、胸を張ってください!」ニコッ
エイル「……!」
高岸「それに、負けたことはやっぱり悔しいです。でも、それ以上に……」
高岸「今日のオーディションは、見ていてとても興奮しました!」パァァ
高岸「放クラが、とても熱くなっていたのを見れて、嬉しかった!」グッ
エイル「……そう」
375 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/11/02(月) 19:02:33.45 ID:DsRZggHFO
エイル「分かったわ」ニコッ
ラビィ「私たち、次も負けませんからね!」
高岸「はい! また全力で、戦いましょう!」
シイナ「もう睡眠時間を削るのはやめようね……」
エイル「……それはそうと、今日は来ないのね」
シイナ「何の話……?」
エイル「審査員よ、審査員」
エイル「この間は、まるで高岸を探していたみたいに話しかけてきたじゃない」
ラビィ「そういえば……確かに?」
ラビィ「高岸さん、お知り合いだったんですか?」
高岸「いえ! あのとき、初めてお会いしました!」
高岸(そういえば、山崎さんや軽口さん……歌田さんまで、一目で僕を「283のプロデューサー」と……)
高岸(……どうしてでしょう?)
ラビィ「そうなんですか」
シイナ「まあ、あの人たちはW.I.N.G.でも特別だし……高岸さんを知っててもおかしくない……かも」
高岸「特別、ですか」
シイナ「うん」スッ
376 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/11/02(月) 19:03:50.45 ID:DsRZggHFO
シイナ「山崎すぎおは、有名アイドルお抱えの敏腕スタイリスト……彼の経営する都内4つの美容室は、もれなく予約半年待ち……」ペラ…
シイナ「軽口哲也は青森出身のダンサー……全盛期は世界大会5連覇、今はヒップホップ界の異端児と呼ばれている、とか……」ペラ…
シイナ「そして歌田音……元ミリオン歌手の超有名ボイストレーナー……今も曲を出してて、現役の時と同じくらい売れてる……」ペラ…
シイナ「そしてこの3人はW.I.N.G.決勝の審査員を歴任している、審査員の中の審査員……」
シイナ「一部では神のごとく信奉され、ゴッド3(スリー)と呼ばれているらしい……」
377 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/11/02(月) 19:04:47.67 ID:DsRZggHFO
エイル(……神、ね)
ラビィ「おー! 流石、メモ魔のしーちゃんだ」
高岸「すごい! シイナさんは情報通ですね!」
シイナ「……別に」フイ
シイナ「勝ち抜くには、審査員を知ることも必要だから……」
高岸「データ野球は、強いですからね!」グッ
エイル「──で、その歌田って審査員が今日、途中で帰ったのよ」
エイル「まったく。受けた仕事は最後までやり遂げなさいよね! いい大人のクセに!」
シイナ「……せっかく一位取ったのに、今日はアドバイスもらえないからイラついてる」
エイル「違うわよ!」
「──プロデューサー、ここにいたのね」
エイル「!」
エイル(この流れは、まさか……!)
エイル(……来たわね、歌田音!)ニヤリ
378 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/11/02(月) 19:07:42.01 ID:DsRZggHFO
高岸「夏葉さん!」
エイル(って、違うのかい!)ガクッ
ラビィ(えーちゃんが1人で顔芸してる……)
夏葉「エルビヨンドの皆さんも一緒だったのね」
高岸「はい! 打ち合わせの前に、少しお話をしていました!」
高岸「みなさんにご紹介します! こちらが、放クラのグリーン、有栖川夏葉さんです!」
夏葉「初めまして」ペコリ
夏葉「この前はダンスの動画をありがとう。何度も見返して、参考にさせてもらったわ」
エイル「……別に感謝なんて要らないわ。フェアな戦いをするためのハンデよ」
ラビィ「だから、そういう不遜系キャラは流行らないって……」
エイル「うるさいわね」
ラビィ「ゴメンなさい、夏葉さん。気を悪くしないでください」
夏葉「うふふ、私は平気よ。むしろ……」
379 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/11/02(月) 19:18:45.58 ID:DsRZggHFO
夏葉「アナタのような人は好きよ! だって、まるでライバルみたいじゃない?」
夏葉「私は、ユニットの仲間もよき競争相手だと思っているけれど」
夏葉「ただの敵じゃなくて、お互いに高め合いながら一位を目指すライバルは貴重だもの……」
夏葉「だから私は、こういう出会いを大事にしたいと思っているわ」
エイル「……!」
ラビィ「か、カッコいい〜……!」キラキラ
シイナ(あー……この2人、根っこがおんなじタイプなんだ……)
シイナ(髪も、赤とオレンジのロングで似てるし……雰囲気も喋り方もどことなく……)
エイル「やっぱり、ライバルというのは惹かれ合う運命みたいね」
エイル「……私はエイル。よろしく、夏葉」スッ
夏葉「こちらこそ、エイル」ギュッ
ラビィ「わ、私も握手してください! ラビィです!」
ラビィ「えっと、エルビヨンドのピンク髪で覚えてください!」スッ
夏葉「ツインテール、とても似合ってるわね! よろしく、ラビィ」ギュッ
ラビィ「ありがとうございますっ!」
380 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/11/02(月) 19:20:02.61 ID:DsRZggHFO
シイナ「じゃあボクは『銀髪のシイナ』で……」スッ
夏葉「よろしく、シイナ。今までに見たことないくらい綺麗な髪ね」ギュッ
夏葉「どんなケアをしているのか、気になるわ」
シイナ「ありがとう。これは地毛で、まあ、特に何もしてないんだ……」
シイナ「あっ、エイルは赤髪のちびっ子で覚えてね」
エイル「ちびっ子いうな!」
シイナ「でも業界の人たちは、大体そんな感じで覚えてくれてるみたいだけど」
ラビィ「『あの〜、真ん中の小さい赤い子!』 って言われるもんね」
夏葉「ふふっ」
高岸「あはは!」
エイル「笑うなー!」ギャー
高岸「大丈夫ですよ! エイルさんは、小さな巨人ですから!」ニコッ
エイル「どういう意味よ?!」
エイル「ていうか、アナタたちが大きすぎるのよ!」ビシッ
381 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/11/02(月) 19:21:12.57 ID:DsRZggHFO
夏葉「……」ニコニコ
夏葉(……三人がお互いの持ち味をよく理解していて、とても良いユニット……)
夏葉(ステージは見れなかったけど、きっと素晴らしいものだったのだと思う)
夏葉(……負けたのよね、私……エルビヨンドに……)
夏葉(動画のハンデまでもらって……)
夏葉(……っ)
夏葉(……悔しい。悔しくて仕方ない!)
夏葉(ここで負けているようじゃ、W.I.N.G.では勝てない……!)
夏葉(どうすれば、一位に……)
夏葉(私は……どうしたら良かったの……?)
高岸(夏葉さん……求めていた出演枠が取れたのに、あんまり嬉しそうじゃない……?)
高岸(やっぱり、何か……)
・・・・・
382 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/11/02(月) 19:23:08.20 ID:DsRZggHFO
「……プロデューサーさん……」
「お〜い……」
高岸「……?」
はづき「あの〜、起きてください〜」ユサユサ
高岸「!」ガバッ
高岸「……はづきさん」
はづき「気持ちよさそうだったので、ちょっと申し訳なく思ったんですけど」
はづき「もうすぐ時間なので起こしちゃいました」
高岸「時間……あっ! ありがとうございます」
はづき「いえいえ。相当、お疲れみたいですね〜」
はづき「最近たまにクマが出来てますし、ちゃんと眠れていますか?」
高岸「はい! 大丈夫です!」
高岸「僕はいつでも、全力全開ですよ!」ニコッ
はづき「ふふっ。無理はしないでくださいね」
はづき「……配信用の機材は全部、ここに揃えておきました」ジャン
高岸「ありがとうございます! これでみんなを、バッチリ撮影できます!」
はづき「はい〜。プロデューサーさんも、楽しんで来てくださいね」
高岸「はい! 行ってきます!」
ガチャリ
383 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/11/02(月) 19:25:59.19 ID:DsRZggHFO
「……それで、アイドル戦隊っていうのはどういう意味なのかな?」
「はい。私たちの初ステージが、とある戦隊ヒーローの応援をする公演で」
「そのときに『人を応援するヒーロー』、という意味を込めてアイドル戦隊と名乗り始めました」
「人を応援するヒーローねぇ……」
「で、今もそのまま、戦隊モノのコンセプトでアイドルをやってる訳だ」
「ちなみに、これは誰が考えたの? プロデューサー?」
「ちょこ先輩が考えてくれました!」
「ちょこセンパイ……?」
「あっ、私です……園田智代子、の『ちよこ』から、チョコって呼ばれてます! えへへ」
「ちよこでチョコ。良いね〜、俺もそう呼ばせてもらおうかな」
「はい! ぜひっ!」
はづき「……」ジーッ
はづき「みんな可愛いな〜……」ニコニコ
「さて、一旦CM挟みま〜す。CMのあとは!」
ピッ
はづき「よ〜し、お仕事がんばりますか」グッ
<19話・終わり>
384 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/11/02(月) 19:32:26.16 ID:DsRZggHFO
次回からはやっと楽しい回が始まる…予定です
後日更新します!よろしくお願いします
385 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/02(月) 20:03:34.13 ID:gTh5sGY/o
おつー!
えーちゃん!ちっちゃいえーちゃんカワイイ!
前田は元気でやってるのかきになる…
386 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/03(火) 17:07:34.43 ID:uM3Xznvwo
乙乙
387 :
◆60viGNJ69k
[saga]:2020/11/07(土) 18:52:12.61 ID:aFpqLnN4O
乙ありです!いつもありがとうございます!励みになります
この世界の前田は…今のところ自分でも謎ですね…
また出るかは分かりませんが、お楽しみにということで…
20話更新します!
388 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/11/07(土) 18:53:35.83 ID:aFpqLnN4O
<20話・待ち合わせた景色>
〜商店街〜
高岸「……準備、できましたよ!」
果穂「画面に『ちょっと待ってね』って出てます」
智代子「それ私が設定したやつ! そのままで大丈夫だよ!」
果穂「分かりましたー!」
高岸「ファンの方が、もうコメントを入れてくれていますね!」
果穂「『放クラ待機』、『初見です』……えーと……」
高岸「しょうげき、ですね!」
果穂「ありがとうございます! 『衝撃に備えろ』……って書いてあります!」
高岸「視聴者数も、100人を超えましたね」
智代子「そっか、もう見てくれてる人が……」
智代子「よ、よーし……」ドキドキ
高岸「──智代子さんっ、リラックス、リラックス!」
智代子「は、はい……!」
智代子「すぅ……はぁ〜……」
果穂「ふぅー……はぁー……」
高岸「お二人とも、楽しんでいきましょう!」
果穂・智代子「はい!」ニコッ
智代子「こほん。あー、あー……」
智代子「プロデューサーさん、お願いします!」
高岸「はい!」ピッ
389 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/11/07(土) 18:55:00.07 ID:aFpqLnN4O
智代子「──皆さん、こんにちは!」
智代子「放課後クライマックスガールズのピンク、園田智代子と!」ピース!
果穂「小宮果穂です! レッドです!」バーン!
『始まった!』
『きたー』
『こんにちは』
『2人が画面に近くてドキドキした』
『チョコちゃん!』
『果穂ちゃんかわいい〜〜♡♡』
智代子「チョコです! お忙しい中、ご視聴いただきありがとうございます」
智代子「声のバランスとか、大丈夫ですか……?」
果穂「ちゃんと映ってますかー?」フリフリ
『大丈夫だよー』
『自撮り?じゃないよねこれ』
果穂「カメラマンさんは、あたし達のプロデューサーさんです!」
高岸(……b)グッ
果穂「……カオダシはしないそうです!」
『プロデューサーってこういうこともやるんですね』
『カメラマンさんもファイト!』
『うわ、返事くれた!やば』
390 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/11/07(土) 18:56:22.59 ID:aFpqLnN4O
智代子「ふふっ、お返事もバンバンしていきますよー」
智代子「今、果穂が持っているタブレットで、皆さんのコメントを見ながら配信していきますので!」
果穂「これです!」ズイッ
『初配信なのに段取りがいいね!』
『しっかり者チョコちゃん』
『お前ら変なコメントすんなよ』
智代子「えへへ、ありがとうございます!」
智代子「放クラ初めての配信は、ここ! 中谷銀座商店街からお送りします!」パッ
『おー』
『ここ行ったことあるかも』
『会社のトイレから見てます』
『今日は他のメンバーはいない感じ?』
智代子「あ、えっと……実はですね……」
智代子「……別の場所で今、撮影の準備をしているところなんです」
391 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/11/07(土) 18:57:30.33 ID:aFpqLnN4O
智代子「その様子は明日以降に公開の予定でして、日によって生配信だったり〜動画だったり〜……」ゴニョゴニョ
果穂「──今日はあたしが、ちょこ先輩を独り占めします!」ギュッ
智代子「か、果穂っ?!」
高岸(ナイスフォローです! 果穂さん!)
『あら〜♡』
『やったぜ』
智代子「……あ、あと! アーカイブなどもツイスタでお知らせしますので」
智代子「途中からの皆さんも、途中で見れなくなっちゃう皆さんも、楽しんでいってくださいね!」
智代子(こ、こんな感じで大丈夫ですかね……?)チラッ
高岸(智代子さん、いい感じです!)
高岸(流石、放クラのディレクターですね!b)グッ!
智代子(……この調子で頑張ります!b)グッ!
『ありがとー!!』
『しっかりしてるね!』
『安心しました。仕事いってきます』
果穂「お仕事、頑張ってください!」
智代子「……じゃあそろそろ、今回の企画の発表にいきますか!」
392 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/11/07(土) 18:58:53.09 ID:aFpqLnN4O
『お?』
『なになにー?』
智代子「果穂、パネルどうぞっ!」
果穂「はいっ!」
果穂「中谷銀座カウントダウンチャレンジー!!」ドンッ
『おー』
『カウントダウンチャレンジ?』
『とは』
智代子「説明しますね!」
智代子「ここ中谷銀座商店街では、2週間後に夜市というお祭りが行われるのですが」
智代子「そこで放クラがミニライブをさせて頂けることになりまして……」
智代子「そのライブに向けて毎日、放クラメンバーが何かに『挑戦』するという企画になります!」
『なるほど』
『ライブ?マジ??』
果穂「マジですっ!」
智代子「ライブといっても、AMELIAさんという超有名なバンドさんの前に一曲歌うだけなんですけど」
果穂「あたしたちは前座です!」
智代子「そう! よく知ってるね!」
393 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/11/07(土) 19:00:23.26 ID:aFpqLnN4O
果穂「えへへ、凛世さんに意味を教えてもらいました!」
智代子「なるほど!」
果穂「みなさん、よかったら見に来てくださいっ!」
智代子「絶対、後悔はさせません!」キリッ
『アメリア?』
『アメリア知ってる!』
『引退したんじゃなかったっけ』
『おっしゃ、行きます!』
『生放クラ楽しみ!!』
『地方民だけど遠征するぜ』
果穂「いっぱいコメント、ありがとうございます!」
智代子「ありがとうございます!」
智代子「遠くからいらっしゃる方は、無理だけはなさらないようにお願いします!」
智代子「……説明も済んだところで、今日のチャレンジに参りましょう!」
智代子「今日は果穂の担当なんですが、実は私もまだ知らないんですよね〜……」
高岸(ちなみに僕も、知りません!)ドンッ
394 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/11/07(土) 19:01:31.45 ID:aFpqLnN4O
智代子「……果穂、お願い!」
果穂「はい! 今日は、『大食いチャレンジ』です!」ドンッ
智代子「──えっ!?」ビクッ
高岸(!?)ビクッ
『!?』
『えぇ』
『草』
『画面揺れたけどプロデューサーさんも知らなかったのかなw』
『初回から飛ばすねぇ』
『…がんばれ!』
果穂「ちょこ先輩には、あそこのラーメン屋さんで、3.8キロの大盛りラーメンに挑戦してもらいます!」
智代子「えっ、私? えっ!?」
『ドSかな?』
『いっぱい食べるちょこちゃんが好き』
果穂「ちょこ先輩、行きましょー!」ダダダッ
智代子「えっ……確かに特技は大食いだけど────!?」
・・・・・
395 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/11/07(土) 19:03:18.06 ID:aFpqLnN4O
〜ラーメン屋『荻上』〜
店主「お待たせしました……大盛り一丁!」
ドドンッ‼
智代子「ありがとうございます!」
智代子「……うわぁ〜!」アングリ
智代子(食べられるかな、私……)
果穂「スゴい、大きいです……!」
智代子「大きいね〜……!」
『おいしそう』
『すごい量』
智代子「確かにとっても美味しそうです……ドンブリは、比べるならうちの炊飯器より大きいですね……」
智代子「そしてネギが富士山のように高く積もっていて、存在感がすごいです……!」
智代子「……」スンスン
智代子「ん〜〜!!」
智代子「とても芳醇な味噌の香りが鼻をくすぐって、何枚も乗ったチャーシューに涎が止まりません」ニコニコ
智代子「麺は中太でちぢれていて、スープとよく絡みそうで……」
果穂「わぁ〜……!」ジュルリ
396 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/11/07(土) 19:05:24.41 ID:aFpqLnN4O
『レビューが上手!』
『グルメリポーターちょこ』
『大食い…これがアイドルのやることなのか』
智代子「私、グルメ番組を見るのが結構好きで、よく見てるんです! 今のはそれの真似といいますか……」
智代子「……って、アイドルらしくなかったですよね。あはは……」
智代子「でも私、食べることが大好きなので、大目に見てください!」テレテレ
高岸(アイドルらしくない……)
高岸(──いえ、そんなことありません!)
高岸(食レポ中の智代子さんの笑顔も、とても素敵ですから!)ニコッ
智代子(プロデューサーさんが笑ってる……よし、このまま頑張ろう!)
智代子「では! 伸びないうちにいただきます」
智代子「……ずるずるっ」
智代子「あづっ」
智代子「ずずっ……んっ、おいしい〜!!」キラキラ
果穂(おいしそ〜……!)
果穂(ちょこ先輩が食べてる物って、なんでこんなに美味しそうに見えるんだろう……?)
果穂(レッスンの休憩に食べるお菓子だって……)
果穂(あれ……ちょこ先輩って、いつも何か食べてる?)
果穂(じゃなくて……!)
果穂(見ているだけで幸せな気持ちになるのは、なんでだろう?)
397 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/11/07(土) 19:06:53.44 ID:aFpqLnN4O
高岸「……こちらの麺は、こだわりの自家製麺、なんですよね? ご主人!」
店主「はい! 今の形にするまで3年かかった、うちの自慢の麺になります」
智代子「3年!! そのご苦労の重みが、味の深みとおいしさに繋がっているんですね」
『すごい』
『うまそー!』
『食べ方めちゃくちゃ綺麗だね』
『今の、プロデューサーさんの声かな?』
『腹減ってきた』
『美味しそうに食べるなぁ』
果穂「ちょこ先輩、食べ方綺麗だねってコメントが!」
智代子「えへへ、ありがとうございます! 母によく躾けられました」
智代子「それでは、チャーシューも頂きます!」
智代子「……はむっ」
智代子「!」ピクッ
智代子「──口の中で、溶けちゃいました!」
果穂「あたしも! あたしも、食べてみたいですっ!」ワクワク
398 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/11/07(土) 19:08:21.48 ID:aFpqLnN4O
智代子「良いよー! はい、あーん」
果穂「あー……むっ……」
果穂「ん! ホントに、なくなっちゃいました!」
店主「チャーシューも自家製なんですよ。美味しいでしょう?」
智代子・果穂「はい!」キラキラ
智代子「このとっても美味しいラーメン、じっくり味わいたいところですが」
智代子「今日は大食いチャレンジなので、頑張って1時間以内の完食を目指します!」
果穂「ちょこ先輩が食べ切れなかったら、あたしも食べます!」
智代子「ありがとう、果穂〜!!」
智代子「では、いざ! やれば、できる!」グッ
高岸(頑張って、智代子さん! アフリカゾウのような大食いを!)
店主「よーい……スタート!」カチッ
・・・・・
399 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/11/07(土) 19:09:15.55 ID:aFpqLnN4O
すみません、一旦切ります!
400 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/07(土) 19:31:40.77 ID:OGETNGwko
旦乙
401 :
◆60viGNJ69k
[saga]:2020/11/07(土) 21:02:26.92 ID:EzsohnAQO
〜数日後・商店街・振興組合〜
八百屋「……おう、プロデューサーさん!」
高岸「理事長! こんにちは!」
八百屋「また、いつものかい?」
高岸「いえ! 今来たのは、ライブの打ち合わせでして」
八百屋「そうかい。あんたも大変さね」
高岸「好きでやってることですから!」ニコッ
八百屋「……そんな笑顔で言われちゃ、敵わねぇなぁ〜」
八百屋「そういや、凛世ちゃん達の動画、見させてもらってるよ」
高岸「……! どうでしたか?」
八百屋「いやぁ、最高だ!」
八百屋「俺ぁ料理はあんまり自信がねぇんだが、凛世ちゃんと樹里ちゃんが考えたメニューなら、ってんで頑張って作ってさ」
八百屋「それが美味いのなんのって……」
高岸「そうですか!」
八百屋「それに、あのチョコちゃんって子の食いっぷりなんて、傑作だねェ! はは!」
高岸「本人も、やり甲斐があったと、喜んでいました!」
八百屋「そうかいそうかい」ニコニコ
402 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/11/07(土) 21:03:34.75 ID:EzsohnAQO
八百屋「……いやぁ、プロデューサーさんにこんな話をするのもなんだが」
八百屋「うちの商店街も、再開発の話を持ちかけられて久しいからね」
八百屋「周りが次々に看板を下ろしていく中で」
八百屋「俺も、もうここいらで……なんて思う日もなかった訳じゃないが……」
高岸「……!」
八百屋「プロデューサーさん達のおかげでまた頑張れそうだ! なんて、うちの年寄り連中も色めき立っててな」
八百屋「はっはっはっ!」ガハハ!
高岸「嬉しいです……!」
高岸「放クラの頑張りで皆さんを元気づけられたなら、これ以上のことはありませんよ!」
八百屋「そういうあんたは、ちょっと見ないうちにだいぶやつれたんじゃねぇか?」
高岸「……そうですか?」
高岸(夏葉さんに、はづきさん……)
高岸(色んな人に似たようなことを言われてる気がするなぁ、あはは……)
高岸(夜市のライブが終わったら、心配されないようにいっぱい食べよう!)
403 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/11/07(土) 21:04:54.07 ID:EzsohnAQO
高岸「……トレーニングで、顔が引き締まったんですかね! あはは!」
八百屋「へっ、強がっちゃいけねぇよ」
八百屋「毎日遅くまで、この事務局でライブの準備してんだろ?」
八百屋「色々手作りしてるとか、なんとか……」
高岸「そこまでご存知でしたか。さすがですね!」
八百屋「あと、うちのカミさんが教習所のそばであんたを見たって」
八百屋「組合の若いもんと一緒だったらしいが」
高岸「!」
高岸「……実は、一緒に夜間講習を受けている方がいまして! 僕よりとても、上手なんですよ!」
高岸「免許も、もう少しで取れるところなんです!」
八百屋「……」
八百屋「それも、樹里ちゃんたちの為かい?」
高岸「そうかもしれませんね! あはは!」
高岸「これが僕の、やりたいことなので!」
八百屋「……そうか」
八百屋「……」
八百屋「プロデューサーさん……俺の話、ちょっと聞いてくれるか?」
高岸「はい! 何でしょう?」
八百屋「樹里ちゃんのことなんだけどな」
高岸「樹里さんの……?」
八百屋「樹里ちゃん……ここに越してきた頃な、あんな風じゃなかったんだ」
高岸「あんな風……」
八百屋「ちょっと陰があるっつうか、なぁ……」
高岸「!」
高岸(あの樹里さんが……!)
404 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/11/07(土) 21:06:42.00 ID:EzsohnAQO
・・・・・
〜八百屋のおっちゃんの昔話〜
八百屋「おう! そこの嬢ちゃん!」
樹里「……」キョロキョロ
樹里「……アタシ?」
八百屋「そうそう。見ない顔だなぁ、と思ってよ」
八百屋「最近、ここいらに引っ越して来たのかい?」
樹里「うん、まぁ……」
八百屋「なんだ、元気ねぇなぁ」
八百屋の奥さん「あらアンタ……この子、あれよ。アイドルの!」
八百屋「アイドルぅ?」
奥さん「すぐそこの283プロダクション……でしょう? 私、入ってくのを見かけたのよ」
樹里「ああ……今、そこの寮に入ってる」
八百屋「本当なのか。こりゃすごい子に声かけちまったなぁ。未来の大スターだ!」
樹里「そんなんじゃ……まだ、デビューもしてねーし」
405 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/11/07(土) 21:07:32.32 ID:EzsohnAQO
奥さん「そういえば、あの時一緒にいたお団子の子……あの子もアイドルなの?」
樹里「え?」
樹里「お団子……」
樹里「ああ……智代子っていって……」
樹里「同じユニットになる予定なんだ」
八百屋「ユニ……?」
八百屋「まあいいか。今度はその子も連れておいで! 野菜、安くしとくよ!」
奥さん「またアンタはそうやって……ゴメンね〜、お節介好きの若い子好きだから」
八百屋「おい……!」
樹里「いや、大丈夫……ていうか」
樹里「智代子は……友達じゃないし……」
八百屋「……ほ?」
樹里「同じユニットなだけだから」
八百屋「……そうか。そりゃ……すまなかったなぁ」
樹里「いや……あ、アタシ用事あるから」
樹里「じゃ、じゃあまたな」タッタッ…
八百屋「おう! また来てくれよー」
・・・・・
406 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/11/07(土) 21:09:14.02 ID:EzsohnAQO
高岸(まだ智代子さんと樹里さんしか居なかった頃、でしょうか)
高岸(放クラを結成する前の……)
高岸(樹里さん……何か理由が……)
高岸(……)
高岸(それに……『友達じゃない』、か)
高岸(そんな二人が、今では……)
高岸「……そんなことが」
八百屋「でもな、プロデューサーさん」
八百屋「この前、樹里ちゃんが凛世ちゃんを連れてきた時……」
樹里『アタシの友達で、同じアイドルの凛世だ』
八百屋「って言ってな」
高岸「!」
八百屋「……樹里ちゃんは、この商店街のみんなの娘みたいなもんでさ」
八百屋「まあ……今となっちゃ、5人全員大好きなんだけどよ」
八百屋「樹里ちゃんが今みたいに明るい子になったのは、あんたのおかげだって、みんな思ってる」
高岸「そんな……僕は……」
407 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/11/07(土) 21:10:55.54 ID:EzsohnAQO
高岸「僕じゃないです。きっと、放クラのみんなのおかげですよ!」
高岸「それに、樹里さんは元から明るい人でした!」
高岸「眩しいくらい明るく輝いていたから、スカウトしたんです!」パァァ
八百屋「へっ。上手いこと言うねぇ」
八百屋「そんだけ言うなら……プロデューサーさん」
八百屋「実の親でもないのに勝手極まりないとは思うが……」
八百屋「樹里ちゃんのこと、頼んでもいいか?」
高岸「……!」
高岸「──はい!」
高岸「樹里さんの笑顔、守ってみせます!」パァァ
高岸(約束、しましたから!)
八百屋「……おう」
八百屋「任せたぜ。俺たちはテレビ見ながら応援するからよ」
八百屋「ちゃんと、ウイング? っつーのも勉強したんだぜ? すごい大会に出てるんだろ?」
高岸「……はい! そうなんです! ありがとうございます!」
八百屋「なに、大したことじゃねぇよ」
八百屋「──そうだ。この後、飯に付き合ってくれねぇか? 凛世ちゃんたちの話も聞かせておくれよ」
高岸「あ、打ち合わせの後は、樹里さんと待ち合わせをしてまして……」
八百屋「おっと。そっちのが大事だな!」
八百屋「振られちまった! はっはっは!」
高岸「すみません! 次は僕から、お誘いさせてください!」
八百屋「おうよ!」ニッ
・・・・・
408 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/11/07(土) 21:11:50.16 ID:EzsohnAQO
〜商店街そばの神社〜
樹里・高岸「……おー!」
高岸「夕日が綺麗ですね!」
樹里「ああ……ここ、アタシのお気に入りの場所なんだ」
高岸「よく来るんですか?」
樹里「うん……」
樹里「境内まで長い階段を登るから、その間に色々考えたり……」
高岸「……大切な時間ですね」
樹里「……」コクリ
樹里「ここからだとさ。建物に隠れてた太陽が、はっきり見えて」
樹里「この街を……好きなものを一度に全部見られて……好きなんだ、アタシ」
樹里「……って、何言ってんだろな。夕日見たら、無駄にセンチメンタルになっちまった」
樹里「へへっ」
高岸「とても素敵な景色ですね」ニコッ
409 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/11/07(土) 21:12:39.53 ID:EzsohnAQO
『……はぁ、はぁ……』
『残り15分!』
『……ふぅ……うっ……』
『ずるずるっ……』
『──ごふっっ!!』
『あ゛ーっ! ちょこ先輩のお腹がパンッパンにな゛ってますーっ!』
樹里「……ふふ」
樹里(果穂がカメラの前に出て、上手い具合にチョコを隠したな……)
高岸「面白かったですか?」
樹里「ああ。このシーン、何回見ても笑っちゃうよな」
樹里「……スマホ、返すよ。ありがとな」スッ
高岸「どういたしまして!」
410 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/11/07(土) 21:14:15.25 ID:EzsohnAQO
高岸「……智代子さん、すごく頑張ってました!」グッ
樹里「……チョコはさ……」
樹里「いつも……誰かの為に、って頑張ってくれるよな」
樹里「ジャスティスVの公演のときも……いや、最初からか……」
高岸「智代子さんだけじゃないですよ」
樹里「……そうだな。みんな優しくて、すごくて……」
高岸「──樹里さんもですよ!」
樹里「アタシは、別に」
高岸「聞いてください!」
高岸「樹里さんと凛世さんのお料理チャレンジも、大食いに負けないくらい、すごい再生数なんですよ!」
高岸「八百屋のおじさんも、お二人の考えたメニューを作って食べてるんだって、言ってました!」
高岸「……それに、樹里さん達がオススメした野菜、売れ行きが良いそうです!」
樹里「……」
高岸「夏葉さんと果穂さんの、トレーニング・フードチャレンジも……」
樹里「見たよ。夏葉の『ここのコロッケは完全食よ!』ってセリフが、頭から離れないんだよな」
樹里「ツイスタでも『完全食』が流行ったらしいし……」
高岸「あはは! やっぱりすごいですね! 放クラのみなさんは!」ニコニコ
樹里「……」シュン…
高岸「……?」
411 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/11/07(土) 21:15:49.41 ID:EzsohnAQO
高岸「樹里さん?」
樹里「……実はさ」
樹里「料理動画は、凛世が考えたんだ。自分の練習してる分野なら、皆さんにお見せできるかもしれません、って」
樹里「アタシも料理はそこそこ出来るつもりだし、それに乗っかっただけで……」
樹里「アタシ、何もしてねーんだよな……」
樹里「……みんなと違って、アタシは、何にも……」ボソリ
高岸(樹里さん……あんなに張り切っていたのに、あのときの元気は……)
高岸「そんな悲しい顔をしないでください!」
高岸「それに、樹里さんは何もしてないなんて、ありえません!」
高岸「凛世さんだって、僕と同じように言うと思います!」
樹里「それは、そうだと思う。けど……」
樹里「アタシが自分に納得できないんだ」
樹里「……悔しいんだ。言い出しっぺの自分が、みんなの役に立ててないのが」
高岸「……」
樹里「夜市のことだけじゃない。アタシだけ、みんなと違う」
樹里「アタシだけ、ぼんやりしてる。アイドルになった意味も、目標も……」ウルウル
高岸「……!」
412 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/11/07(土) 21:18:11.39 ID:EzsohnAQO
高岸(……樹里さん……今までに見たことがないくらい、切なそうな顔を……)
高岸(それほど……)
高岸(……たぶん、自信がないんだ……今の樹里さんは……)
高岸(……)
高岸(……僕は、約束したんだ)
樹里『……約束だ。アイドルになるよ』
高岸『良いんですか? えーと……』
樹里『西城樹里だ。樹里って呼べよ』
高岸『分かりました! 樹里さん!』
樹里『ちゃんとアタシを、アイドルらしくしてみせろよ』
樹里『……プロデューサー』
高岸『はい! 任せてください!』
高岸『やれば、できる!』パァァ
樹里『……へへ、何だよそれ』
高岸(僕が……樹里さんを前向きにする!)
高岸(商店街のアイドルを、笑顔にするんだ……!)
413 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/11/07(土) 21:19:03.23 ID:EzsohnAQO
高岸「……」
高岸「樹里さんの目標、僕にも教えてください」
高岸「樹里さんは、どんなアイドルになりたいですか?」
樹里「どんな、アイドル……」
樹里「……」
樹里「アタシは……」
樹里「……自分の周りの人を笑顔にしたい……アタシの好きな人たちに、笑っていてほしい」
樹里「……かな」
高岸「それは、ファンの皆さんですか?」
樹里「うん……あと放クラも、商店街のおっちゃんたちも、プロ……──とにかく、みんなだ」
樹里「な? ぼんやりしてるだろ」
高岸「……そんなことありません!」
高岸「自分の力で、人を笑顔にしたい! 樹里さんはもう、立派な夢を持っていますよ!」
樹里「夢……」
414 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/11/07(土) 21:20:06.48 ID:EzsohnAQO
樹里「でもアタシは……自分の力じゃ、人を笑顔にできなかった」
高岸「そんなことないですよ!」
高岸「それに……」
高岸「樹里さんなら、みんなを笑顔にできます! 樹里さんの、大好きな気持ちさえあれば!」
樹里「……そんな簡単な話じゃねーって」
高岸「いえ! 簡単ですよ!」
高岸「樹里さんが、この商店街の大好きなところを、紹介すれば良いんです!」
樹里「大好きなところを紹介、っつったって……」
高岸「試しに、好きなところを挙げてみてください!」
樹里「……ん……」
樹里「全部、かな……」
高岸「全部ぅ!?」
樹里「ほら、無理だろ?」
高岸「──無理じゃない! できます!」
高岸「全部好きだなんて、素晴らしいじゃないですか! やりましょう、樹里さん!」ニコッ
高岸「樹里さんが好きなところ! 商店街の全部、紹介しましょう!」グッ
415 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/11/07(土) 21:21:00.85 ID:EzsohnAQO
樹里「そんなこと……」
高岸「できますよ!」
高岸「だって……ここからなら、商店街も全部見えますから!」
樹里「!」
樹里「……」
樹里(確かに、プロデューサーの言う通りだけど……)
高岸「この絶景と、商店街と、樹里さんのお気に入りの場所……」
高岸「全部、ファンの皆さんに紹介しましょう!」
高岸「タイトルは……そうですね……」
樹里「おい、勝手に話進めんなって!」
高岸「……すみません。嫌でしたか?」
樹里「そうじゃねーけど……」
樹里(……違う……)
樹里(あーもう……何でアタシは、いつもこうなんだよ!)
樹里(くそっ……)
樹里(恥ずかしいけど……チョコや果穂みたいに、素直に……)
樹里「……その……」ソワソワ
高岸「……?」
樹里「……ありがとう、プロデューサー」
高岸「!」
416 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/11/07(土) 21:25:16.64 ID:EzsohnAQO
樹里「アンタの案に乗る……じゃなくて……やるよ、アタシ」
樹里「プロデューサーと一緒に……」
樹里「好きなとこ全部、紹介する」ニコッ
高岸「……はい!」パァァ
高岸「──あっ!」ピコーン
樹里「こ、今度は何だよ……?」
高岸「タイトル、思いつきました!」
高岸「『樹里さんぽ』、はどうですか?」
高岸「樹里さんと、散歩を、かけてるんですが!」チェケラ
樹里「それは分かるけど……どうなんだ?」
高岸「あはは……微妙でしたね」
高岸「『挑戦』、『チャレンジ』の方をかけたほうが良かったかな……」
樹里「あ、いや。まあ、アタシは悪くないと思うけど……」ボソリ
高岸「樹里さんなら、良いタイトルもきっと、思いつきますよ!」ニコッ
高岸「すぅー……」
高岸「……樹里さんならっ!」
高岸「やれば、できるううううあああぁっ!」
夕日「……」ピカー
樹里「夕日に向かって叫ぶとか……!」
樹里「は、恥ずかしいからやめろ……ばかっ!」カァッ
*・・・・・・・・・・・・・・・・
放課後クライマックスガールズ
〈ファン人数〉11,367人
二回目の審査まで あと0人
W.I.N.G.本戦まで あと22→20週
・・・・・・・・・・・・・・・・*
<20話・終わり>
417 :
◆60viGNJ69k
[saga]:2020/11/07(土) 21:26:34.46 ID:EzsohnAQO
次は夜市回です!
また後日更新します!よろしくお願いします
418 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/07(土) 21:38:17.35 ID:WJSOZJBR0
乙!
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