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【シャニマス】ティモンディ・高岸「放課後クライマックスガールズ……?」
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219 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/11(日) 20:10:45.90 ID:dcYu6LIlO
〜ステージ裏〜
智代子「見て、果穂! 『ジャスティスV』が戦ってるよ!」
果穂「は、はいっ!」ドキドキ
樹里「控え室にいる時から静かだったけど、緊張してんのか?」
果穂「えっと……えへへ。ヒーローショーは大好きなので、嬉しすぎましたっ」ニコ
樹里(笑顔が硬いな……)
樹里「なんだよ、そんな嬉しかったのか〜」グニグニ
果穂「ずゅりちゃん、あたひであそばはいでふだはい〜」ウニャウニャ
樹里「へへっ」
樹里「……そんな緊張しなくていいんだよ。みんな、ヒーローを見に来てるんだしな」
樹里「言ってみたら、アタシらもジャスティスVの応援団みたいなもんだ。気楽にいこーぜ」
果穂「樹里ちゃん……はいっ!」
夏葉「樹里もなかなか良いこと言うじゃない」
樹里「なかなか、ってなんだよ。なかなかって」
智代子「私も良い言葉だと思うよ! 樹里先輩!」ニコッ
樹里「チョコ、お前なぁ……」
220 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/11(日) 20:12:15.49 ID:dcYu6LIlO
智代子「えへへ。それにしても、ヒーローショーって本当にすごいね!」
智代子「さっきなんて、テレビで見たアクションそのままだったよ!」
凛世「実際に拝見すると……とても、感動致します」
夏葉「みんなで予習した甲斐があったわね。生で見ると、更に良さが分かるわ!」
高岸「……」ポロポロ
智代子「ぷ、プロデューサーさんっ?!」
樹里「なんでアンタが泣いてんだ?!」
高岸「ジャスティスV……あんなに身体を張って、人々を怪物から救っていました……」
高岸「みんなの笑顔を守るために、ボロボロになって……ありがとう、ヒーロー!」ポロポロ
樹里「いや、まだ後半があるからな?」
凛世「ヒーローは……負けません……」
夏葉「そうよ。ジャスティスVを応援するためにも、私たちも頑張るわよ!」
221 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/11(日) 20:13:29.73 ID:dcYu6LIlO
・・・・・
果穂(みんな励ましてくれたけど)
果穂(あたし、ちゃんと上手くできるかな……)ドキドキ
果穂(客席でお父さんもお母さんも見てるから……がんばらないと……)ドキドキ
果穂(えっと、最初のセリフは……えっと……)ドキドキ
智代子(果穂の顔が険しい……樹里ちゃんがフォローしてくれたけど、やっぱり緊張してるんだ)
智代子「果穂、お水飲む?」スッ
果穂「あ、ありがとうございます! でも、大丈夫です!」
智代子「そっか。了解!」
夏葉「……」キリッ
智代子(夏葉ちゃんも、どこか雰囲気にトゲがあるような……気のせいかもだけど……)
智代子(万が一を、考えておくべき……?)
夏葉(……あんなに練習して、みんな本当に良いパフォーマンスが出来るようになったんだもの)
夏葉(私たちなら大丈夫。ここで躓くなんて、ないわ)
夏葉(そうよね、プロデューサー……)チラッ
222 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/11(日) 20:14:39.36 ID:dcYu6LIlO
凛世「……」
凛世(練習のとおりに、舞い、歌うだけ……)
凛世(どなたが凛世を見ていても、それだけでございます……)
高岸(控え室から出ていく、みんなの晴れ姿を見て……さっきは、つい涙が出てしまいました)
高岸(初めての舞台、それに立ち会えるなんて、こんなに嬉しいことはありませんよ!)ポロポロ
高岸(みんなには、楽しんで、やりきって欲しい! それだけです!)グッ
樹里(……なんか、気持ちわりぃ)
樹里(歯車が噛み合ってねー時みたいな……)
樹里(……こういう雰囲気の時のバスケの試合は、パスもシュートも決まんねーし、最悪だったな)チラッ
智代子「……!」
智代子(樹里ちゃん……)コクリ
樹里(チョコも気づいてるか。今、何か言わねーと……)
スタッフ「放課後さん、スタンバイお願いしまーす」
樹里(……行くしかねーか)スタッ
223 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/11(日) 20:18:09.46 ID:dcYu6LIlO
〜ステージ上〜
アナウンス「ジャスティスVヒーローショー・第2部の前に、放課後クライマックスガールズによる、特別ステージをお楽しみ下さい」
タッタッタッタッ……
観客A「なんだ……? アイドル?」ザワザワ…
女の子「見てー、ママ。あの子かわいい」ユビサシ
ママ「あら、ホントねぇ」
男の子「あたらしいヒーロー?」
果穂(わっ……すごい……)
果穂(いっぱいの人が、見てる……見られてる……)ドキドキ
果穂「はぁ……はぁ……」
果穂(心臓が、すごく早く……)ドクンドクン…
果穂(あれ? 何するんだっけ……えっと)ドクンドクン
果穂(──あっ!)
果穂父母「……」フリフリ
果穂(お母さんたち……笑ってる、手振ってる……!)ドクンドクン
ザワザワ……
女の子「おねーちゃんたち、何もしゃべんないね」
ママ「ねー、どうしちゃったのかしら」
224 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/11(日) 20:19:16.20 ID:dcYu6LIlO
果穂(──そうだ! セリフ……)
果穂「ぁ……」
果穂(えっと、えっと……)ハァハァ…
果穂「ぁの……わ、た……」
果穂(口の中が、からから……っ)ハァハァ…
果穂「……は、ぁ……っ……!」
果穂(のどが、苦しいっ……)ハァ…ハァ…
観客B「どうしたんだ?」ザワザワ
観客C「トラブルか?」ザワザワ
果穂「ハァ…ハァ…はぁっ……」
果穂(どうしよう……誰か……)ドクンドクン
果穂(プロデューサーさん……)ドクンドクン
果穂(助けて……!)グッ…
225 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/11(日) 20:19:57.59 ID:dcYu6LIlO
「──こんにちはーーーっ!!!!!」
キ──────────ンッ……
<12話中編・終わり>
226 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/12(月) 10:43:34.20 ID:83HeHsatO
ゴクぷは果穂可愛すぎか?
227 :
◆60viGNJ69k
[saga]:2020/10/12(月) 21:30:41.49 ID:ecHVy5wsO
お母さんに持たされた水筒の半分くらい飲んで、お腹たぽたぽになってそうです😌
12話後編書いていきます!
228 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/12(月) 21:32:06.58 ID:ecHVy5wsO
<12話後編・ハートが泣きそうでも>
〜ステージ上〜
シーン……
スタッフ(ハウリングで耳が死ぬとこだった……)
果穂(ちょこ、先輩……)
智代子「あ、あはは。すみません、大声出しちゃいました……」テレテレ
観客A「……は、はは……」
観客B「耳が……っ!」
男の子「うるさー……」
智代子(はぁ……心臓がドキドキする)ドキドキ
智代子(……こんな気持ちだったんだね、果穂……)
智代子(大変だったね、ゴメン……)
智代子(人前でアイドルとして話すのって、こんなに怖いんだね)
果穂(……!)ウルウル
智代子(……私、失敗しちゃうかもだけど……見ててくれたら嬉しいな)ニコッ
スタッフ「……大丈夫か、あの子ら……」
高岸「……智代子さん」
高岸(あなたなら、大丈夫! やれば、できる!)グッ
智代子(深呼吸……)スゥー…ハァー…
智代子(……よし!)キリッ
229 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/12(月) 21:33:42.44 ID:ecHVy5wsO
智代子「みなさん、初めまして!」フリフリ
智代子「誰も私たちのことを知らないと思うので、最初に自己紹介させてください!」
智代子「私たちは、アイドル戦隊・放課後クライマックスガールズ!」
智代子「略して、放クラですっ!」ニコッ
観客C「放クラ?」
観客D「アイドル……」
男の子「戦隊……!」
智代子「私は放クラのピンク、園田智代子!」
智代子(樹里ちゃん、お願い! 繋いで!)ウィンク
樹里(プロデューサーの用意した、この衣装の色……で良いんだよな?)
樹里(……任せろ!)コクリ
智代子「こっちは放クラ・イエロー……」
樹里「──西城樹里だ! よろしくな!」
樹里「次は……静かなるブルー!」ジャン
凛世「杜野凛世と……申します……」ペコリ
智代子(ナイス、凛世ちゃん……!)
230 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/12(月) 21:35:07.42 ID:ecHVy5wsO
智代子「四人目は〜……!」ジャジャン
夏葉「有栖川夏葉! 夏葉の葉は、グリーンの葉よ! よろしくね」
智代子「そして最後は〜! 我らがレッド! 元気ハツラツ・小宮果穂!」
果穂「……!」
智代子(果穂! がんばれ!)コクリ
果穂「小宮果穂です! えっと……ジャスティスVが大好きです!」ニコッ
観客A「おー……」
観客B「みんな、キャラ立ってんなぁ……」
観客C「レッド、可愛いな」
観客D「ピンクは中学生?」
女の子「ねえママ〜。わたし、イエローがすき〜」
智代子「私たちは今日、ジャスティスVを応援するために来ました!」
樹里「そう! アタシ達は、人を応援するヒーローなんだ!」
観客B「なんだそりゃ」
男の子「人を応援する……ヒーロー」
231 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/12(月) 21:35:54.89 ID:ecHVy5wsO
夏葉「私たちの歌を聞いて、みんなに元気になって欲しい!」
夏葉「そして一緒に、ジャスティスVを応援して欲しいの!」
観客ら「……お、おー……」
智代子「果穂……」ヒソヒソ
果穂「はいっ!」
果穂「では、みなさーん、聴いてください!」
果穂「私たちの歌! 『夢咲きAfter school』!」
・・・・・
232 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/12(月) 21:37:48.54 ID:ecHVy5wsO
放クラ「私たち 最高潮!」
果穂「いぇーい!」
放クラ「ビバ・アフター・スクール・イェーイェー!」
夏葉・樹里「ハイ! ハイ! ハイ! チーズ!」
放クラ「ビバ・アフター・スクール・イェーイェー!」
智代子・凛世「ハイ! ハイ! ハイ! ピース!」
果穂父母「果穂〜!」フリフリ
観客A「おー……」パチパチ
観客B「意外とちゃんと踊ってたな」パチパチ
観客C「そうだな」パチパチ
観客D「好きになっちまうよ……」パチパチ
男の子「……すごい」パチパチ
女の子「もーいっかい見たい〜」パチパチ
ママ「そうね〜」パチパチ
233 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/12(月) 21:38:53.34 ID:ecHVy5wsO
智代子(はぁ……はぁ……)アセダク
智代子(ところどころ失敗したけど……な、なんとか形にはなったかな……)
智代子(後ろのセッティングは……)チラッ
スタッフ(OKっす!)フリフリ
智代子(良かった……)
果穂「みなさーん! 聴いてくれて、ありがとうございましたーっ!」
凛世「元気に……なりましたでしょうか」
夏葉「じゃあここで、みんなでジャスティスVに声援を送りましょう!」
樹里「準備はいいかー?」
「はーい……」
智代子「聞こえないよー! もう一回!」
樹里「準備は、良いかぁーっ!」
「はーい!!」
234 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/12(月) 21:39:58.31 ID:ecHVy5wsO
果穂「ジャスティスV、頑張れー! で、お願いしますっ!」
果穂「せーのっ!」
「ジャスティスV、がんばれー!」
ゴゴゴゴゴ……
智代子(幕が、上がる……!)
智代子(みんな、捌けよう!)ウィンク
放クラ(……)コクリ
タッタッタッタッ……
<12話後編・終わり>
235 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/12(月) 21:40:28.78 ID:ecHVy5wsO
次回は明日更新します!
よろしくお願いします
236 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/12(月) 22:31:54.87 ID:vDisEZ3Zo
乙乙
237 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/12(月) 23:19:55.98 ID:stYf750Xo
ちょこセンパああああああああイ!!
かっこよ…!!
238 :
◆60viGNJ69k
[saga]:2020/10/13(火) 21:35:36.32 ID:FZ09iPdiO
乙ありです!!
智代子は高岸の影響か イケメンシーン多めなので、可愛いところももう少し見せていきたいと思っています。熱くてカッコイイ部分も凄い好きですが☺
13話書いていきます!
239 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/13(火) 21:36:39.41 ID:FZ09iPdiO
<13話・いい事あったんでしょう?>
〜キャスト控え室〜
ガチャリ……
みんな「はぁ〜……」グッタリ
みんな「……」
シーン……
果穂「……あ、あのっ」
智代子「──果穂、ゴメン!」ペコリ
果穂「えっ?!」
智代子「……私、果穂が緊張してるって分かってたのに、何もできなかった」
夏葉(……!)ピクッ
智代子「……大勢の前に立って喋るのがあんなに怖いんだって、今日、初めて分かったの」
智代子「セリフ分けとか演出とか……もっとよく考えておくべきだった。本当にごめん!」ペコリ
果穂(ちょこ先輩……違うんです……)フルフル
240 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/13(火) 21:38:11.55 ID:FZ09iPdiO
樹里「それはアタシも、同じだ……果穂が緊張してるの、アタシが一番先に気づいたから」
樹里「フォローしきれなかった。果穂に背負わせすぎた。ゴメン……」ペコリ
果穂(違う……違うんです、樹里ちゃん……!)
夏葉(……)
夏葉(……何をやっているの? 有栖川夏葉!)
夏葉(私が率先して謝罪しなければならないのに)
夏葉(……私の『焦燥』が、みんなを……果穂を追い詰めたんだから)
『私たちは……出来るかどうか、なんて考えなくていい』
『とにかく、ひたすら、やってみる。それだけでいいのよ!』
夏葉(根拠もなく発破をかけて、焚きつけて)
夏葉(それが、今日の失敗の原因……そうでしょう?)
夏葉「……」
夏葉(──あのとき私が、真っ先に果穂を助けなきゃいけなかったのに)
241 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/13(火) 21:40:22.17 ID:FZ09iPdiO
夏葉「……っ」
果穂「──ゴメンなさい!」ペコリ
夏葉「!」ビクッ
智代子「か、果穂……?」
果穂「実は今日、お父さんとお母さんが来てて……」
果穂「あたし、カッコイイところを見せるよ、って約束して……頑張らなきゃって……!」
樹里「……そう、だったのか」
果穂「でも、本番になったら、息が苦しくなっちゃって……声もっ、出なくて──!」ポロポロ
凛世「果穂さん……!」
果穂「だから、ごめんなさい……!」
果穂「うぅっ、うわぁぁぁぁぁぁぁん……」
242 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/13(火) 21:41:21.41 ID:FZ09iPdiO
樹里「な、泣くなよ……果穂のせいじゃねーって……」ナデナデ
智代子「そうだよ! 果穂は悪くないよ!」ギュッ
夏葉「……2人の言う通りよ。今日の失敗は、果穂のせいじゃない」
凛世「全員の……責任でございましょう」
夏葉「……」
果穂「うぅ……ひっぐ……」ズビ…
樹里「……ほら。鼻水拭けって」
果穂「……樹里ちゃーん……わぁぁぁん……」
樹里「だからもう……泣くなよぉ……」ウルウル
樹里「ほ、ほら……今日は、チョコのおかげで何とかなっただろ?」
樹里「アタシらは一人でやってる訳じゃねーんだし……」
智代子「まぁ、私もいっぱいいっぱいだったけどね……」アセアセ
243 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/13(火) 21:42:31.16 ID:FZ09iPdiO
智代子「樹里ちゃんにも、凛世ちゃんにも、夏葉ちゃんにも助けられたし。えへへ」ニコニコ
夏葉「そんなこと……」
智代子「だから、ね! もう泣かないで?」
智代子「反省会とかも後にしよう! 今日はお菓子たくさん持ってきたんだ!」ドサッ
凛世「実は、凛世も……ふふ」ドサッ
樹里「うおっ、すげー量だな」
智代子「今日ぐらいは、いっぱい食べても夏葉ちゃんも怒らないよね……?」
夏葉「……」
智代子「夏葉ちゃん……?」
夏葉「……ええ。ありがとう、智代子」
夏葉「今日は、パァーっとやりましょう!」
智代子「お墨付きが出たよ! 果穂、食べよー!」
果穂「……はい……!」ニコッ
夏葉「……」
凛世(夏葉さん……)
244 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/13(火) 21:44:30.38 ID:FZ09iPdiO
〜ステージ裏〜
高岸「本日は、ありがとうございました!」ペコリ
責任者「こちらこそ、急なオファーに対応して頂いて助かりましたよ」
責任者「新しい演出に挑戦しようと思ったのですが、準備に思いのほか時間がかかると分かって、右往左往していたのでね」
高岸「新しい挑戦! 素晴らしいですっ!」
責任者「それにしても……初仕事だと聞いていたのに、良いパフォーマンスでしたな」
高岸「はい! 僕も、そう思います!」
責任者「はっはっ。謙遜しないんですね、高岸さんは」
高岸「僕は、本気ですよ! 彼女たちなら、やれば、できる!」ニコッ
責任者「いやはや、面白い人だ」
責任者「……いやしかし。出てきて最初に黙っちゃった時は、ハラハラしましたなぁ」
高岸「それは、すみませんでした!」
責任者「ああ、いえ、謝って頂くことはないんですよ」
責任者「新人とは聞いていましたし、お互いボランティアでやっとる訳じゃないでしょう」
責任者「それに、こちらの期待以上のものを見せてくれましたし、何より観客の皆さまが喜んでいました」
高岸「そうなのですか?」
245 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/13(火) 21:45:54.00 ID:FZ09iPdiO
責任者「ええ。私はいつも、客席側で皆さまの反応を確認しているのですよ。だから、分かります」
責任者「お客様の喜ぶ顔以上の評価はない。それは、私たち劇団もアイドルも変わらないでしょう?」
高岸「はい! そう思います!」
責任者「……ですから、私としては感謝以外にありません」
責任者「ありがとうございました」
高岸「こちらこそ、チャンスを与えて頂いて、ありがとうございました!」ペコリ
高岸「……それで、一つだけお願いがあるのですが、良ければ聞いていただけませんか?」
責任者「ええ。実現については、中身によりますが」
高岸「ある女の子を、ジャスティスVに会わせてあげたいんです!」
責任者「ああ、確か真ん中の子が、大好きだと言っていましたな」
責任者「……構いませんよ。うちは、子供にはみな平等に、がポリシーですからね」
高岸「あはは! あなたは、大黒天のように太っ腹だ!」パァァ
責任者「はっはっは」
責任者「……どういう意味ですかな?」メタボ?
246 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/13(火) 21:47:15.24 ID:klHtIS5DO
それ下手すると仕事なくすぞ
247 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/13(火) 21:48:29.38 ID:FZ09iPdiO
〜キャスト控え室〜
樹里「……おい、食べ過ぎじゃねーのか?」
智代子「えー? もぐ、そんなもぐないよ?」
樹里「この腹は、取り戻すのが大変だな……」
智代子「怖いこと言わないで!」モグモグ
コンコン
樹里「なんだ? ……どうぞ」ガチャリ
スタッフ「失礼します!」
果穂「!」
果穂「──ジャスティス・レッド!」
夏葉「あら……どうして」
凛世「レッドさま……」
レッド「果穂ちゃん! 放クラのみんな! 今日は僕達を応援してくれてありがとう!」
レッド「君たちのおかげで、怪人・デビロードから人々を守ることができた」
スタッフ「レッドさんは、まだ握手していない子供がいる! って、探しに来てくれたんです」
果穂「あたしを、レッドが……!」
レッド「握手してくれるかい?」スッ
果穂「でも……」フルフル
樹里「……」
樹里「ほら、レッドが困ってるぞ。ヒーローを困らせちゃダメなんじゃねーの?」ポンポン
果穂「樹里ちゃん……」
果穂「……はいっ!」ギュッ
248 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/13(火) 21:50:12.51 ID:FZ09iPdiO
〜283プロダクション・事務所〜
ガチャリ
はづき「おかえりなさい、プロデューサーさん」
はづき「みんなは、もう?」
高岸「はい! 僕の全力の笑顔で、見送ってきました!」ニコッ
はづき「そうですか。プロデューサーさんも、今日はお疲れ様でした〜」
高岸「いえ、僕は大したことはしていません!」
高岸「みんなが、頑張っていただけです!」
高岸「……はづきさんも、いつもサポートありがとうございます!」
はづき「私は、大したことはしてませんよ〜」
はづき「……では、私は社長のところに行ってきますね。業務報告書、お願いします〜」
高岸「分かりました!」
249 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/13(火) 21:51:12.63 ID:FZ09iPdiO
高岸「……」
高岸(今日の初ステージ……)
高岸(放クラのみんなは、お客さんを元気にできました。きっと、夢も与えられたはずです)
高岸(だから、成功なんだと思います)
高岸(でも……)
高岸(みんなは、どうだったのでしょう?)
高岸(舞台の袖から見た果穂さんは、とても怖がっていた……)
高岸(僕は、本当に……みんなを前向きに、できていたのかな……)
\ ピコン /
高岸(スマホに、通知……)
高岸(智代子さんのツイスタ……みんなの、写真ですか)
250 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/13(火) 21:52:42.25 ID:FZ09iPdiO
園田 智代子
いいね!:Timon_Chan_ ほか2件
houkago_climax_pink
今日は私たちの初めてのステージ。みんな緊張で、それぞれちょこっとずつ失敗しちゃいました…
でも、これも経験なんだって思います
明日への糧にして、精進! バウムクーヘンのように年輪を大きくしていきます!
みんなを元気にするために!
写真は公演後に控え室で撮りました
みなさんも、ドームシアターでレッドと握手!
#放課後クライマックスガールズ #放クラ #ジャスティスV #初ステージ #小宮果穂 #西城樹里 #有栖川夏葉 #杜野凛世 #園田智代子
1分前
251 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/13(火) 21:53:52.87 ID:FZ09iPdiO
高岸(智代子さん……)
高岸(……)グッ
高岸「ただ、応援するだけじゃない……」
高岸「きっと僕には、まだできることがある」
高岸「それを、見つけるんだ」
*・・・・・・・・・・・・・・・・
放課後クライマックスガールズ
〈ファン人数〉1人
一回目の審査まで あと999人
W.I.N.G.本戦まで あと30→29週
・・・・・・・・・・・・・・・・*
<13話・終わり>
252 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/13(火) 21:55:05.56 ID:FZ09iPdiO
次回は後日になります!
よろしくお願いします
253 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/13(火) 21:57:59.75 ID:eT94y3O4o
おつー!
254 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/13(火) 22:25:27.78 ID:OmY/QOMmo
乙乙
255 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/14(水) 06:59:49.11 ID:3tNWZ7KIO
おつー
256 :
◆60viGNJ69k
[saga]:2020/10/16(金) 22:33:41.59 ID:p/DCZsfTO
乙ありがとうございます!お待たせしました
14話更新します!
257 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/16(金) 22:35:15.44 ID:p/DCZsfTO
<14話・少し遠回りさせてよ>
〜都内・商店街〜
樹里「悪ぃ、凛世! 待たせたよな」
凛世「樹里さん……」
凛世「あの、汗が……」
樹里「え? あぁ……学校から自転車で飛ばしてきたからさ」
凛世「そうなのですか……」
凛世(凛世との約束のために……樹里さんは、お優しいのですね)
樹里「それで、買うもんは……」
凛世「おぼえ書きでしたら、ここに……」スッ
樹里「サンキュ。これなら、ドラッグストアに行くだけで間に合いそうだな」
樹里「──ってそういや、お金……!」
凛世「それも、寮母さまから……」スッ
258 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/16(金) 22:36:58.72 ID:p/DCZsfTO
樹里「……悪ぃな。全部任せちまって……」
凛世「ふふ……凛世は……」
凛世「樹里さんが供をして下さるだけで、十分でございます……」
樹里「そ、そっか。お詫びに、荷物持ちはアタシに任せてくれ」
凛世「樹里さん……ありがとうございます」ニコッ
凛世「……では、参りましょうか」
樹里「おう! じゃ、アタシが案内するよ。この辺はだいぶ詳しくなったからな」
凛世「ふふ、では……お言葉に甘えて……」
259 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/16(金) 22:39:57.07 ID:p/DCZsfTO
・・・・・
店員「樹里ちゃん、いつもありがとねー」
樹里「おう! またなー」
樹里「ハンドソープ、柔軟剤、芳香剤……よし、これで全部だな」
凛世「はい……」
樹里「凛世も一緒に寮に戻るか? 何か用があるなら、ここで……」
凛世「あ、あの……凛世は、買いたい物が……」
樹里「お、そうなのか。付き合うぜ」
凛世「ありがとうございます……では、八百屋に……」
樹里「八百屋? 案内はするけど、野菜でも買うのか?」
凛世「はい……」
樹里「料理でもやんのか……? でも、うちの寮の食事って全部食堂だよな」
凛世「存じております……凛世は、寮の台所をお借りして、お料理の練習をしておりますゆえ……」
樹里「へー……」
樹里(アタシもやろうかな……最近、包丁握ってねーし……)
260 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/16(金) 22:42:06.17 ID:p/DCZsfTO
テクテク……
樹里「──おっちゃん、野菜買いに来たよ」
八百屋のおっちゃん「おう! 樹里ちゃんじゃねーか!」
八百屋「隣のべっぴんさんは?」
樹里「アタシの友達で、同じアイドルの凛世だ」
八百屋「ほう! この子が凛世ちゃんか。ホントにお花みたいに綺麗な子だ!」
樹里(お花みたい? 間違ってはいないけど)
樹里(なんで凛世のこと知ってんだ……?)
凛世「お会いできて光栄です……樹里さんの、叔父さま……」ペコリ
八百屋「……へ?」
樹里「ちょっ、凛世! おっちゃんはただのおっちゃんだ!」
八百屋「おう、ただのおっちゃんとはご挨拶だな!」
樹里「そ、それは……言葉のあやで!」
樹里「……ああぁーっ! この話は終わりだ!」
八百屋「はっはっはっ!」ガハハ
凛世「……?」
261 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/16(金) 22:43:09.65 ID:p/DCZsfTO
八百屋「ところで、凛世ちゃんは何を探しに来たんだい?」
凛世「大根と、じゃが芋を……」
八百屋「よっしゃ。じゃあ、ただのおっちゃんが良いのを包んでやっからな」
樹里「頼むぜ。アタシの顔を立ててくれよな」
八百屋「へっ。任せとけ」
凛世「……ふふ」
樹里「……? なんで笑ってんだ?」
凛世「その……樹里さんとおじさまの、掛け合いが……」クスクス
樹里「良かったな、おっちゃん。アンタ、面白いって」
八百屋「あたりめぇよ。ほら」スッ
樹里「ありがとな……確かに、良い野菜みたいだ」ゴソゴソ
262 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/16(金) 22:44:28.80 ID:p/DCZsfTO
八百屋「凛世ちゃんには、贔屓にしてもらわにゃならんからなっ!」
樹里「ただの目の保養目的だろ」
八百屋「バレたか」ニッ
樹里「まったく……じゃあ行こうぜ」
凛世「あの、ありがとうございました……」ペコリ
八百屋「おう! プロデューサーさんにも、よろしくな!」
凛世「はい…………?」
樹里(なんでプロデューサーのこと知ってんだ?)
凛世(どうして、プロデューサーさまのことを……?)
樹里(アイツと一緒に来たことなんて無いはずだけど……)
263 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/16(金) 22:46:09.79 ID:p/DCZsfTO
テクテク……
肉屋のおばちゃん「──樹里ちゃん! コロッケ、揚げたてのあるよ!」
樹里「あー、悪い……揚げ物は、しばらく控えたいんだ」
肉屋「あら、ダイエット?」
樹里「いや……アタシ、これでもアイドルだし」
肉屋「そういえば、そうだったわね」
樹里「そういえばって……」ガクッ
和菓子屋の爺「樹里ちゃん! 揚げまんじゅうあるよ!」
樹里「だから、揚げ物厳禁だっての!」
和菓子屋「なんだい、遂にデビューかい?」
樹里「まだテレビには出てねーけど……一応な!」
和菓子屋「そりゃあ、めでたい! ほら、これ持ってきな!」スッ
樹里「これ、おかきか。ありがとな!」
肉屋「うちも、牛の良いとこ包もうか?」
樹里「いや、気持ちだけで十分だよ。ありがとな」
264 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/16(金) 22:47:38.42 ID:p/DCZsfTO
凛世「樹里さん……もう有名人でございますね」
樹里「そ、そんなことねーよ」テレテレ
樹里「まあ……みんな、いい人達だからな」
樹里「こっちで生活するようになって、色々世話になってるし……」
肉屋「樹里ちゃん、そっちの子もアイドルなの?」
樹里「ああ。同じ放クラの凛世だ」
凛世「お初にお目にかかります……」ペコリ
肉屋「あら。樹里ちゃんに負けないくらい、綺麗な子ね〜」
凛世「いえ……」
肉屋「それにしても、あなたたちの……プロデューサーさん?」
肉屋「この間、良い食べっぷりだったわよ〜」
樹里「え?」
265 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/16(金) 22:48:47.01 ID:p/DCZsfTO
肉屋「うちのコロッケ、美味いですね〜って5個ペロリ! それで、もう5個買って持って帰ったの」
樹里「へ、へぇ……」
肉屋「あとね、お米の炊き方を聞いてきたの! 自炊でも始めたのかしら」
和菓子屋「俺も見たよ、あの恰幅の良いオレンジの兄ちゃん!」
和菓子屋「そこのラーメン屋で、大食いに挑戦してたんだけど」
和菓子屋「3.8キロの大盛りラーメンを、『やれば、できる!』って食っちまったんだよ!」
和菓子屋「もう、ホレボレしちゃったね!」
樹里「何やってんだアイツ……」
凛世「プロデューサーさま……」
凛世「この商店街にも、いらしていたのですね……」
樹里「そうみたいだな……しかも、かなりの有名人だ」
樹里「……アタシら、プロデューサーのこと全然知らなかったな」
凛世「……」
凛世(プロデューサーさまのこと……)
266 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/16(金) 22:51:09.61 ID:p/DCZsfTO
肉屋「樹里ちゃん。良かったらこれ、プロデューサーさんに」スッ
樹里「コロッケ……」
肉屋「またいっぱい買ってね、ってよろしくね」
樹里「……分かった。任せとけ」
肉屋「あと、これもあげる」
樹里「何だこれ? 祭りのチラシ?」
肉屋「そう。夜市っていって、お昼すぎから夜までやる、ちょっとしたお祭りでね」
肉屋「色々なイベントもあるのよ」
樹里「夏祭りとかとは違うんだな」
肉屋「そうね。夏はここでお稲荷様のお祭りもあるけど、これは商店街が主催なの」
凛世「商店街の、催し……」
肉屋「そう! だいぶ先なんだけどね。来てくれるでしょ?」
樹里「……気が向いたらな」
樹里(これ、事務所に貼っとこうかな)
267 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/16(金) 22:54:27.35 ID:p/DCZsfTO
樹里「じゃあ、また」
凛世「では……」
肉屋「またねー!」
和菓子屋「また来てくれよー!」
樹里「……」フリフリ
凛世「……ふふ」フリフリ
テクテク……
樹里「なあ、凛世」
凛世「……?」
樹里「……このあと、一緒に事務所行かねーか?」
凛世「はい……」
凛世「凛世も……同じことを、考えておりました」
樹里「そっか。へへっ」ニコッ
凛世「ふふ……」ニコニコ
*・・・・・・・・・・・・・・・・
放課後クライマックスガールズ
〈ファン人数〉1人
一回目の審査まで あと999人
W.I.N.G.本戦まで あと29→28週
・・・・・・・・・・・・・・・・*
<14話・終わり>
268 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/16(金) 22:55:22.37 ID:p/DCZsfTO
次回はあさってに上げる予定です!
よろしくお願いします
269 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/16(金) 23:10:35.08 ID:D8vP/lVmo
おつ!
よかった、ラーメンは激辛じゃなかったんだな!
270 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/17(土) 19:40:47.41 ID:MJdTJzBbo
乙乙
271 :
◆60viGNJ69k
[saga]:2020/10/18(日) 20:51:13.09 ID:Vp13bF5xO
おつありです!
他のユニットだったら激辛を食べさせられていた可能性があったので、放クラで良かったです😌
この世界の高岸には美味しいものを食べていて欲しい…
それと、15話なのですが
この話からマイナーなアイマスキャラ(名前だけ)とオリジナルモブキャラ(ライバルユニット)が出てきます
書いては上げ、書いてはあげ状態なのでどうなるか自分でも不安なのですが、解説役だったり高岸たちの掘り下げ役としての出番が多くなりそうです(メタい)。安易なヘイト集め役にはしません
よろしくお願いします
272 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/18(日) 20:52:55.76 ID:Vp13bF5xO
<15話・ねえねえ、テスト何点だった?>
〜283プロダクション・レッスンルーム〜
樹里「……ダンスのアレンジ?」
夏葉「そう。今度のオーディションで出される課題のようなものなのだけれど……」
夏葉「課題曲のうち指定された部分の小節を、私たちのオリジナルの振り付けで踊らなくてはならないの」
樹里「……んー?」
果穂「カダイキョク、ってなんですか?」
夏葉「課題曲っていうのは、W.I.N.G.のオーディションで使われる曲のことよ」
夏葉「いくつかあるのだけれど、曲の長さや審査員の好みから『Spread the Wings!!』や『Ambitious Eve』が採用されることが多いみたい」
果穂「それって……!」
智代子「両方とも、『夢咲きAfter school』の前からレッスンでやってた曲だね!」
果穂「はい! 知ってる曲でした!」
智代子「知らないうちにW.I.N.G.のための練習してたんだ、私たち」
夏葉「うふふ。無駄な練習なんて一つもない、ということね」
凛世「……全ての道はローマ……いえ、W.I.N.G.に通ず……」
智代子「凛世ちゃんに座布団一枚!」
凛世「ふふ、恐れ入ります……」
273 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/18(日) 20:54:40.45 ID:Vp13bF5xO
樹里「それにしても、なんで夏葉はそんな詳しいんだ?」
夏葉「それは、私たちの先生に色々教えてもらっているからよ」
樹里「へぇ……そうだったのか」
凛世「夏葉さんは、凛世たちのレッスンや日程も、先生方とお話ししていて……とても頼りになると……」
智代子「──えっ! そうだったの?!」ビックリ
夏葉「凛世……知っていたのね」
凛世「以前、プロデューサーさまとご相談なさっていたのを拝見して……恐らくは、そうなのだろうと……」
夏葉「そう……」
夏葉「ごめんなさい。みんなに伝えていなくて」
智代子「あ、そうじゃなくてっ! むしろありがたいといいますか……」アセアセ
果穂「今までのレッスンって、夏葉さんが考えてくれてたんですか?」
夏葉「いえ、内容はプロにお任せするわよ」
夏葉「でもスケジュール管理や疲労調整……これは、みんなのコンディションを見ながら、いつ、どういうレッスンをするか決めることね」
夏葉「その辺りは、ほとんど私がやっているわ」
果穂「……スゴい! スゴいですっ、夏葉さん!」キラキラ
夏葉「ありがとう、果穂。でも、そんな大層なことじゃないのよ」
樹里「──そんなことねーよ」
274 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/18(日) 20:56:15.30 ID:Vp13bF5xO
樹里「レッスンに加えて、そういう作業をしてたってことだろ?」
樹里「夏葉は一人で、アタシらのために動いてくれてたってことじゃねーか」
夏葉「樹里……」
智代子「樹里ちゃんの言う通りだよ! 夏葉ちゃん!」
凛世「夏葉さん……」
夏葉「……?」
凛世「踊りの振り付けは……凛世たちに、任せて頂けないかと……」
智代子「──凛世ちゃん! ナイスアイディア!」
果穂「分担、ですね!」
夏葉「みんな……」
夏葉「ありがとう。でも、気持ちだけ受け取っておくわ」
樹里「……なんだよ。素直じゃねーな」
275 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/18(日) 20:57:44.97 ID:Vp13bF5xO
夏葉「ふふっ、確かに意地もあるわね」
夏葉「でも……」
夏葉「ここでみんなに頼るだけなんて、有栖川夏葉らしくない。そうでしょう?」キリッ
樹里「!」
樹里「……そうだな!」
凛世「ふふ……」
果穂「夏葉さん、カッコイイです……!」キラキラ
智代子「じゃあ、夏葉ちゃん! みんな!」
智代子「一緒に振り付け、考えよっか!」
夏葉「ええ! 1位目指して、頑張りましょう!」
みんな「おー!」
276 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/18(日) 20:59:08.21 ID:Vp13bF5xO
〜オーディション会場・控え室〜
ガヤガヤ……
「フン。みんな、不景気な顔して。こんなんで私たちのライバルが務まると……」
「──えーちゃん、しーっ!」
「そういう自信過剰系キャラは、きょうび流行らないよ!」
「う、うるさいわね!」
「早く帰ってゲームしたい……」
ザワザワ……
智代子「結構、人多いね〜……」
夏葉「そうね……書類選考を通った選抜組とはいえ、私たちを含めて6ユニットいるはずよ」
樹里「この中から、1位と2位が残るんだよな……」
智代子(雰囲気がスゴいなぁ……この大部屋全体がピリピリしてる)
智代子(はづきさんは『新人アイドルの入口的な番組なので、あまり気負いせずに〜』なんて言ってたっけ)
智代子(……当たり前だけど、みんな本気なんだ)ゴクリ
277 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/18(日) 20:59:55.00 ID:Vp13bF5xO
果穂「ついにオーディションですねっ! 凛世さん!」
凛世「はい……」
凛世「果穂さん……緊張、していませんか……?」
果穂「……えへへ。ちょっとしてます」テレテレ
凛世「ふふ……凛世が、肩を揉んでさしあげましょう」モミモミ
果穂「ありがとうございますっ! 次はあたしが、凛世さんにやってあげますね!」
樹里(……今日は、いい雰囲気だな。なんとなくだけど)
樹里「……」
夏葉「樹里、どうしたの?」
樹里「え? ……まあ、なんでもねーよ」
夏葉「樹里……アナタ……」ピコーン
278 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/18(日) 21:01:15.41 ID:Vp13bF5xO
夏葉「──自分も肩を揉んでもらいたい、そう思っているのね?」
樹里「……は? ちっ、ちげーよ!」アセアセ
夏葉「遠慮する必要はないのよ? 肩を揉みながら、緊張をほぐすツボや疲労回復のツボを教えてあげるわ!」
樹里「や、やめろ! 誰も頼んでねーだろ!」
智代子「あはは……うちは相変わらずだなぁ」
智代子(でも……)
智代子(どんな時でもいつも通りでいられるのって、スゴい強みだよねっ!)
智代子(夏葉ちゃんも……この前みたいなトゲトゲしい感じもないし)
智代子(……今日の私たちは、最強な気がします! 見ててくださいね、プロデューサーさん!)グッ
279 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/18(日) 21:02:25.64 ID:Vp13bF5xO
コンコン……ガチャリ……
スタッフ「失礼します。オーディション参加者のみなさんは、一旦こちらに注目してくださればと思います」
アイドルたち「……」ザッ……
スタッフ「ありがとうございます。今日の審査をして頂く、3人の先生方をお呼びしています」
スタッフ「先生方のお話をしっかりと聞いて、今日のオーディションに臨んでください」
アイドルたち「はい!」
スタッフ「……では、歌田さんからお願い致します」
歌田「ありがとう。ボーカル審査を担当する歌田 音です、よろしく」
歌田「みなさんに言いたいことは、一つだけ。このオーディションを、入門編と思ったら大間違いだから」ドンッ…
アイドルたち「……!」ゾクッ
歌田「あなた達に誰も上手さなんか期待していない。だからこそ、私はあなた達の基礎力を見ている」
歌田「いつも機材の整った、狭いスタジオで歌えるなんて思わないで」
歌田「今日は野外ステージだと仮定して、腹から思いっきり声を出しなさい」
歌田「──良いわね?」
アイドルたち「はい!!」キヲツケ!
歌田「いい返事じゃない! 頑張ってね♪」
280 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/18(日) 21:03:42.87 ID:Vp13bF5xO
スタッフ「では次に、山崎さん、よろしくお願いします」
山崎「はーい。ビジュアル審査を担当する、スタイリストの山崎すぎおよ! よろしくね」
山崎「うーん……今日は、と……」ジロジロ…
山崎「綺麗どころが揃ってるわねぇ。で・も……」
山崎「ぜんっぜん素材が活かせてないわ!」
アイドルたち「……!」ビクッ
山崎「良い? ビジュアルというのは、単なる見た目の事じゃなぁ〜いの」
山崎「ポージング、衣装、髪の流れ方から、表情、視線、感情の作り方まで」
山崎「自分が相手に刻みつけたい印象を、視覚情報のトータルで作り上げるのがビジュアルなの」
山崎「……ま、初心者に全部を理解しろとは言わないわ! 今日は一つだけでも、頑張ってみなさい」
山崎「じ〜っくり、見てあげるわよ♡」ネットリ…
アイドルたち「……はい!」ゾワリ
281 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/18(日) 21:04:46.49 ID:Vp13bF5xO
スタッフ「……では、最後に軽口哲也さん。よろしくお願いします」
軽口「Hey,Yo!」
軽口「俺が審査員? ガチの審査良い? 全員落第、ルーキーには人災?」ギュイーン
アイドルたち「……」シーン
軽口「ダンスにゃノリ大事、ズレたら一大事、チームワーク大丈夫? 異常丸見えだぜ」チェケラ
アイドルたち「!」
軽口「気持ち繋がる、ダンシングガール、みんな見たがる、突破軽々! Hoo!」
軽口「技術だけじゃない、気持ちだけじゃない、両方あれば優勝夢じゃない」
軽口「Welcome to the W.I.N.G....」キマッタ…
アイドルたち「わぁ〜……」パチパチ
軽口「センキュー……」
スタッフ「三人の先生方、ありがとうございました」
スタッフ「ではオーディションに移りますので、5分後にステージにお集まりください」
ガチャリ……
282 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/18(日) 21:06:22.44 ID:Vp13bF5xO
智代子「なんか、すごい人達だったね……」
夏葉「三人とも業界のエキスパートね」
樹里「知ってるのか?」
夏葉「ええ」
夏葉「……でも今は、『Ambitious Eve』で気をつけるところ、最終チェックをしましょう」
樹里「そうだな」
果穂「はいっ!」
凛世「油断大敵……」
夏葉「凛世の言う通りよ!」
智代子「そうだね! ギリギリまで詰めておこう!」
樹里「ところで夏葉……」
樹里「今日は『目指すはもちろん一番よ!』とか言わねーのか?」
夏葉「……あら、忘れていたみたいね。うふふっ」
夏葉「2位まで通過できるけれど……私たちが目指すのはもちろん、一番よ!」
夏葉「頑張っていきましょう!」
放クラ「おー!」
283 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/18(日) 21:08:51.61 ID:Vp13bF5xO
〜オーディション会場・ステージ〜
スタッフ「では6組の皆さん、各ステージにスタンバイしてくださいね」
スタスタ……
アイドルたち「……」ゾロゾロ
夏葉(……)ゾクッ…
夏葉(W.I.N.G.協賛のオーディションは、円形に組まれた6つのステージとその中央にある審査員席という、特殊な形で行われる)
夏葉(中央の審査員に向けて、6組のユニットが同じ曲──課題曲を同時に歌い、踊り始める……)
夏葉(見渡すと、流石に圧巻ね。うふふっ)
スタッフ「……準備できましたでしょうか」
スタッフ「審査員の皆さまは……準備万端、のご様子ですね。よろしくお願い致します」
夏葉(プロデューサー……)
夏葉(どこかで見ているのでしょう?)
夏葉(感想……しっかり聞かせてもらうわよ)キュッ…
284 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/18(日) 21:09:59.75 ID:Vp13bF5xO
スタッフ「では、カウントのあとに曲が流れ始めますので、頑張ってください」
……1.2.3.4……〜〜♪
果穂「どこまで行けるの〜♪」
果穂「眺めてた〜♪」タタッ…
果穂「空に飛び込んだ〜♪」
果穂「あの日から〜♪」パーフェクト!
夏葉(その調子よ、果穂!)
夏葉(……マイクは常にONになっているわけじゃない。各組ランダムにONになり、ボーカル審査員はそれを聞き分ける)タタンッ
歌田「……」キイテマス…
夏葉(だから、常に全力で歌わなくてはいけない)スゥッ…
285 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/18(日) 21:11:51.69 ID:Vp13bF5xO
夏葉「高鳴ってる〜♪」
放クラ「ざわめいてる〜♪」
夏葉(更にダンスは……6組それぞれが重ならないタイミングで、オリジナルパートを組み込むことが指定されている)
軽口「……」ジーッ…
夏葉(つまり、課題で決められた振り付けはできて当たり前。オリジナルの部分こそが、ダンス評価のポイントになるはず……)キュキュッ
樹里「心の光は〜♪ 消えてない、ほら」
放クラ「消えない〜♪」グッド!
智代子(来る! オリジナルパート……!)
夏葉(……行くわよ! みんな!)
放クラ(──私たちは、ここから!!!!!)リンクアピール!
・・・・・
286 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/18(日) 21:12:58.33 ID:Vp13bF5xO
一旦、切ります!
続きは火曜にあげる予定です!
287 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/18(日) 21:56:46.29 ID:YJwULwy4o
おつおつ
丁寧な説明たすかる
288 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/18(日) 22:10:17.86 ID:F9VyDdzfo
乙乙
289 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/18(日) 23:51:58.89 ID:Y4tWjOHlo
おつ!
ほんの少ししか喋ってないけどライバルユニットのリーダーはえーちゃんだな俺は詳しいんだ
290 :
◆60viGNJ69k
[saga]:2020/10/20(火) 22:28:02.32 ID:u+Y4MsNWO
おつありです!
すごい見る目のある読者さんがいますね😆
続きあげていきます!
291 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/20(火) 22:32:03.03 ID:u+Y4MsNWO
〜オーディション会場・控え室〜
ガヤガヤ……
高岸「皆さん、お疲れ様でした! タオルです!」スッ
高岸「オーディションはどうでしたか?」
夏葉「もちろん、全力を出し切ったわ!」グッ
高岸「それは良かった!」
果穂「プロデューサーさんっ! プロデューサーさんから見て、あたし達はどんな感じでしたか?」
高岸「僕は、ステージ裏でカメラ越しに見ていましたが」
高岸「曲が終わったとき、みんな、フルマラソンを走った後のような顔をしていました!」
高岸「それを見て、やり切ったんだな、良かったぁっ! と感じましたよ!」
智代子「ヘトヘトだったもんね〜、私たち……」
凛世「はい……しばらく、立ち上がれませんでした……」
292 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/20(火) 22:33:20.49 ID:u+Y4MsNWO
樹里「具体的には、どんな感じだったんだ? ダンスとか……」
高岸「僕のおばあちゃんより、断然上手でした!」
樹里「……?」ウーン?
樹里「──って、盆踊りじゃねー!」
凛世「ふふ……」
智代子「樹里ちゃん、一瞬考えたね」
樹里「分かりづらかったんだよ!」
高岸「すみません! でも、本当に上手でした!」ニコッ
高岸「結果発表はすぐ始まりますが、休んでいてください!」
放クラ「はーい!」
293 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/20(火) 22:34:31.24 ID:u+Y4MsNWO
・・・・・
スタッフ「では、本日のオーディションの結果を発表いたします」
ドンドコドコドコ……ドン!!
スタッフ「1位26ポイント、放課後クライマックスガールズ。2位24ポイント、エルビヨンド」
放クラ「やった! イェーイ!」ハイタッチ!
「やったね、えーちゃん!」
「なんで2位なのよ……!」
「……あれが放課後かー……」
スタッフ「以上になります。呼ばれなかった皆様は、残念ですがご希望に添いかねる結果となりましたこと、ご了承ください」
スタッフ「後ほど、1位と2位のマネージャーの方と収録の打ち合わせを行います。よろしくお願いします」
スタッフ「では……失礼します」
ガチャリ……
294 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/20(火) 22:36:47.74 ID:u+Y4MsNWO
ワァァァァ……ウエェェェン……ドウシテ……ガンバッタノニ……
果穂「……っ」
高岸「良かったですね! 皆さん!」
夏葉「ええ……」
放クラ「……」シュン…
夏葉「……申し訳なさそうにするのは、一緒に戦った人達に失礼よね」
高岸「確かに、そうかもしれません……」
高岸「でも僕は、いつでも人を思いやれる、優しい放クラが大好きです!」
高岸「……喜びを分かち合うのは、事務所に帰ってからにしましょうか!」
果穂「……はいっ!」
樹里「ああ」
高岸「では、皆さんは帰り支度をしていてください!」
高岸「僕は、スタッフの方とお話をしてきます!」ダダッ
・・・・・
295 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/20(火) 22:37:58.89 ID:u+Y4MsNWO
〜オーディション会場・廊下〜
高岸「えーと……打ち合わせ場所は、どこでしょうか」キョロキョロ
「こっちよ。オレンジの人」トントン
高岸「……! ありがとうございます!」クルッ
高岸「おや? あなた方は……」
「分からないの? アナタのアイドルの隣で踊ってたのに」
「えーちゃん……普通、自分の知り合い以外はそんなに見ないって」
「ボクたち、無名だしね……」
「今はね、い・ま・は!」
高岸「なるほど! 隣の……」
高岸「確か、エルビヨンドだ!」
296 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/20(火) 22:39:01.61 ID:u+Y4MsNWO
高岸「放クラに負けないくらい、素晴らしいパフォーマンスでした!」パァァ
エイル「何よ、ちゃ、ちゃんと覚えてるんじゃない」テレテレ
シイナ「エイル、照れてる……」
シイナ「あ、ボクはシイナ。こっちがエイルとラビィ」
ラビィ「えーちゃん、すぐに顔に出るからね〜……」
エイル「う、うるさいっ! 本名加奈子のくせに!」
ラビィ「それバラすのやめてよ〜!」ウルウル
高岸「あはは! 皆さんは、仲がいいんですね!」
シイナ「別に、良くはない……と思う」
高岸「ところで、皆さんのマネージャーさんは……」
エイル「そんなの、いないわよ」
297 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/20(火) 22:39:52.21 ID:u+Y4MsNWO
高岸「えっ!」
ラビィ「私たち、セルフプロデュースなので……事務所には入ってますけど、活動自体は自分たちでやってます」
ラビィ「もちろん、大人の方に頼るときもありますけどね。なんだかんだいって高校生なので……」
高岸「それは……すごい!」パァァ
高岸「エルビヨンドさんは、自分が自分のマネージャーであり、プロデューサーなんですね!」
高岸(夏葉さんみたいだ!)
エイル「まあ、そういうことになるのかしら」
エイル「……ところで、アナタはマネージャーじゃなくてプロデューサーよね?」
エイル「どうしてここに……」
298 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/20(火) 22:40:56.38 ID:u+Y4MsNWO
「──Hey, Yo! スマイルマン!」
「やっと見つけたわ。283プロダクションのプロデューサーさん♡」
「……と、エルビヨンドの子たち」
高岸「!」
シイナ「……オマケみたいな扱い」
エイル「ちょっと! いくらなんでも酷いわよ!」
高岸「……お二人は、イエローマンとブルーマン!」
高岸「初めまして!」ニコッ
エイル(この3人、キャラが濃すぎでしょ!)
エイル(私の印象が薄くなっちゃうじゃない!)
299 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/20(火) 22:42:37.59 ID:u+Y4MsNWO
山崎「イエローマン、って失礼しちゃうわねっ」
軽口「レッドウーマン、別件で退場! スマイルマン、謁見に拝聴!」
高岸「僕に、お話がある、ということですか?」
エイル「私たちは?」
山崎「……良いわ、あなた達も聞きなさい」
山崎「今日のオーディションの得点、覚えてるかしら?」
ラビィ「はい! 放課後さんが26ポイント、私たちが24ポイントでした」
山崎「そう。1位と2位の差は、星2つ分……あなた達は、この差をどう考える?」
高岸「差、ですか」
エイル「アナタたち審査員がエコヒイキでもしなければ、実力差よね」
山崎「何ですって?」ピキッ
300 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/20(火) 22:44:29.28 ID:u+Y4MsNWO
軽口「俺たちゃ、いつでも真剣に採点! W.I.N.G.で一番、マトモな配点!」
軽口「舐めてんじゃねーよ?」イェア
シイナ「でも満足したらオーディションの途中で帰っちゃうこともある、って聞いたしなー……」
軽口「それは反省、いつかは更生……」ソーリー…
ラビィ「せ、先生方を疑うのはやめようよ!」
エイル「……はぁ」
エイル「……分かってるわよ」
エイル「私たちより放課後のパフォーマンスの方が良かったことぐらい」
山崎「……あら、あんなに動きながら他人を見る余裕があったなんて、なかなか見所があるじゃない♡」
エイル「ふん……」
301 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/20(火) 22:45:46.09 ID:u+Y4MsNWO
山崎「で、あなたは? オレンジマンさん」
高岸「僕は、皆さんに放クラの良さが分かってもらえたんだと、そう思っています!」
山崎「良さ、ね」
軽口「アマイぜ、スマイルマン!」
高岸「甘い……?」スンスン…
軽口「おい嗅いでんじゃねーぜ、匂いじゃねーぜ、俺のツッコミは皆伝だろうぜ?」
山崎「あ・な・た……自分のアイドルのこと、ちゃんと見れていないという自覚はある?」
高岸「ちゃんと、見れていない……?」
高岸「僕の視力は2.0ですよ!」ドンッ
エルビヨンド「……」
軽口「HAHA!」
302 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/20(火) 22:47:24.93 ID:u+Y4MsNWO
山崎「正直な話、放課後とエルビヨンドの間には星4つ分の実力差があったのよ」
山崎「でも、ある理由で差が埋まってしまった……」
山崎「正確には、放課後が得るはずだった星が2つ減ってしまった」
ラビィ「実力差を埋めてしまうほどのマイナスポイントがあった、ということですか?」
山崎「ええ、その通りよ」
山崎「放課後には、アイドルとして必要なものが欠けていた。私たちはそれを見逃さなかった」
高岸(アイドルとして必要なものが、欠けていた?)
シイナ「どういうこと? 訳わかんないよ……」
シイナ「ていうか、審査員の人とこんな話していいの? ルールとかないの? ボクたち大丈夫?」アセアセ
山崎「問題ないわ、今はプライベートだし。それに、1位か2位の片方だけにアドバイスしている訳じゃない」
303 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/20(火) 22:51:06.04 ID:u+Y4MsNWO
エイル「ふーん……じゃあ、私たちにもご指導を頂こうじゃない」
エイル「ライバルにだけドンドン塩が送られている状況は、いくらなんでも見過ごせないわ」
ラビィ「……ライバル?」キョトン
山崎「そうね。軽口、お願い」
軽口「OK。俺がダンスの構成変更からレクチャーしてやるぜ。Come on!」タタッ…
ラビィ「あ、ありがとうございます。じゃあ私とシイナで聞いてくるね」タタッ…
エイル「ありがとう。任せるわよ」
山崎「……じゃあ、本題に戻りましょ」
山崎「実力……言い換えれば、鍛え上げた技術や持ち前のセンス、天性の美貌。それは相対的な価値でしかない」
山崎「なぜならW.I.N.G.は減点方式じゃなく、限られたポイントを奪い合う戦いだから」
304 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/20(火) 22:52:00.94 ID:u+Y4MsNWO
高岸「……?」ウーン?
エイル「アナタ……プロデューサーなのに、分かってなかったの?」
高岸「すみません!」
エイル「し、仕方ないわね……」
エイル「さっき、山崎……さんが言っていたでしょう? 『星』って」
高岸「はい! 覚えています!」
エイル「星がつまりポイントな訳だけど、実は星の総数は決まっているのよ」
エイル「ユニット毎に100点満点で採点する訳じゃないから、審査員が『より良い』と思ったユニットにしか星は入らないの」
高岸「なるほど! だから奪い合いなのですか! ありがとうございます」
305 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/20(火) 22:53:49.63 ID:u+Y4MsNWO
山崎「分かったかしら? 相対的な価値、という意味が」
山崎「誰かより上手い、誰かより優れている、誰かより綺麗……じゃあ、6組全員が同じレベルで並び立ったら?」
高岸「……!」ピコーン
高岸「甲子園は、みんながハイレベル……技術やセンスだけでは、勝敗は決まらない!」
山崎「あえてツッコまないけれど……野球で例えたら、その通りね」
山崎「つまり決勝に近づくほど、今の放課後が持ち合わせている星4つ分のリードは価値を失っていくの」
山崎「……もちろんそれは、どのユニットも一緒。ね?」
エイル「……ええ」
エイル「だから相対的な価値じゃなく、絶対的な魅力があれば良いんでしょう? なぜなら……」
エイル「W.I.N.G.の決勝は、審査と──観客の投票で優勝が決まるから」
306 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/20(火) 22:56:40.63 ID:u+Y4MsNWO
高岸「えっ! そうなのですか?!」
エイル「……これも知らなかったのね」
山崎「ふふ♡ とはいえ、今から決勝の心配をする意味はないわ」
山崎「今の放課後は、ちょっと足が早い程度のウサギさん……」
山崎「途中で居眠りどころか、W.I.N.G.決勝にたどり着くことさえ叶わないのだし」
高岸「それはやっぱり、『何か』が足りていないからですか?」
山崎「そう。アイドルにとって最も基本的で、最も必要なものが」
高岸(……分からない)
高岸(『何か』ってなんだろう?)
307 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/20(火) 22:58:02.23 ID:u+Y4MsNWO
山崎「オンエアをしっかり見ることね、プロデューサーさん」
山崎「……アイドルの世界は、綺麗事では生き残れない。シビアな戦いを勝ち抜くには、あなたが頑張らないと」
高岸「……はい!」
山崎「じゃあ、私は行くわ。二人とも、またオーディションで会えることを願っているわよぉ〜♡」チュッ
スタスタ……スタスタスタ……
エイル「……入れ替わりで帰ってきた」
高岸「おかえりなさい!」
軽口「I'm back…」
ラビィ「えーちゃん、プロデューサーさん、ただいま戻りました」
シイナ「これ、メモ。後で動画も事務所に送ってくれるって……」
エイル「ふーん。思いのほか親切なのね……」
308 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/20(火) 23:01:13.37 ID:u+Y4MsNWO
軽口「──暗い顔だな、スマイルマン!」
軽口「山崎のアドバイス! いつも的確、マジでヤバイ! でもお前にゃデスボイス?」
高岸「……はい。録音した自分の声を、初めて聞いた時よりも、キツかったです」
高岸「それに……大事なことに気づけていない自分が、情けない……!」
高岸「でも……」
軽口「……?」
高岸「僕は、彼女たちのプロデューサーですから! 絶対に、W.I.N.G.決勝まで一緒に行きたいです!」ニコッ
エイル「……!」
高岸「だから、頂いた課題も、絶対に乗り越えてみせます!」パァァ
軽口「Fooh……」ニヤリ
軽口「Good luck, スマイルマン!」
軽口「お前なら、課題もクリアできるさ」フリフリ
スタスタ……
309 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/20(火) 23:02:44.62 ID:u+Y4MsNWO
エイル「……」
エイル「ねえ、放課後のプロデューサー」
高岸「はい!」
エイル「アナタの連絡先、教えなさいよ。あとで動画送るから」
高岸「えっ!?」ビクッ
ラビィ「えーちゃん?!」ビックリ
エイル「何をそんなに驚いてるの? 今のままじゃフェアじゃないのだから、当然でしょ?」
シイナ「敵に塩が〜、とか言ってたの自分なのに……」
シイナ「これ敗北フラグだよ絶対……」
エイル「うるさい。ほら、早くしなさいよ」
高岸「えっと、では名刺を……」スッ
310 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/20(火) 23:04:16.24 ID:u+Y4MsNWO
エイル「高岸……うん、覚えた」コクリ
エイル「──私たちのことも覚えておきなさいよ、高岸!」
エイル「そして次のオーディションでは、正々堂々、私たちが1位をとってやるんだから!」ドンッ
高岸「はい! 頑張ってください! 僕は、応援していますよ!」グッ
エイル「……いや、あなたは自分のアイドルを応援しなさいよ!」ビシッ
シイナ「高岸さんって面白いね……」
高岸「ありがとうございます!」
311 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/20(火) 23:05:11.23 ID:u+Y4MsNWO
エイル「……何だか肩透かしを食った感じだけど」
エイル「また会いましょう! 行くわよ、2人とも!」クルッ
ラビィ「行くって、えーちゃん……私たち、打ち合わせに来たんだよ?」
エイル「ぁ……っ」カーッ
シイナ「顔赤っ」
高岸「あはは!」
*・・・・・・・・・・・・・・・・
放課後クライマックスガールズ
〈ファン人数〉1,052人
一回目の審査まで あと999→0人
W.I.N.G.本戦まで あと28→25週
・・・・・・・・・・・・・・・・*
312 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/20(火) 23:06:14.97 ID:u+Y4MsNWO
〜後日・ネット掲示板〜
【新人】明日のアイドル一番星・反省会★2【発掘】
1:774プロダクション@夢いっぱい
無かったので
※前スレ:
http://pigeon.5ch.net/
…
2:774プロダクション@夢いっぱい
見てなかったがどうだったん
3:774プロダクション@夢いっぱい
両方のセンターが可愛かったんだ🥰
4:774プロダクション@夢いっぱい
どっちも並
でも光るものもあった
5:774プロダクション@夢いっぱい
お前らちゃんとWINGの投票したか
俺はアプリすら入れてなかったから焦った
6:774プロダクション@夢いっぱい
したぞ
7:774プロダクション@夢いっぱい
1スレ完走とかヤバい
キャプ画貼りまくりだったが
313 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/20(火) 23:07:35.21 ID:u+Y4MsNWO
8:774プロダクション@夢いっぱい
283プロ=翼は分かるが
109プロって何だ?東急か?
9:774プロダクション@夢いっぱい
凜世ちゃんとかシーナちゃんみたいな
無気力系しゅきしゅき
生まれてきてくれてありがとう😊
10:774プロダクション@夢いっぱい
凛世とシイナな
11:774プロダクション@夢いっぱい
キャラならともかく、元気な方が良いな俺は
12:774プロダクション@夢いっぱい
前スレに貼られてた奴
放クラのピンク↓
https://twista.com/houkago_climax_pink
エルビヨンドのシイナ↓
https://twista.com/ell_beyond_Shiina
13:774プロダクション@夢いっぱい
>8
109は東急で正解
エルビヨンドはこの前
一日駅長しててめっちゃ可愛かった
14:774プロダクション@夢いっぱい
略称放クラか
放課後呼びしてた
15:774プロダクション@夢いっぱい
>12
ピンクって武士キャラなの?
16:774プロダクション@夢いっぱい
>13
東急もアイドル事業に参入したのか…
さすがアイドル戦国時代
314 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/20(火) 23:08:44.87 ID:u+Y4MsNWO
17:774プロダクション@夢いっぱい
武士で草
18:774プロダクション@夢いっぱい
ピンクフォロー確定
19:774プロダクション@夢いっぱい
他のメンバーもツイ垢作れ
20:774プロダクション@夢いっぱい
放クラは素人同然
カメラの前で笑えないのもマズい
クール系ユニットじゃないだろし尚更
21:774プロダクション@夢いっぱい
エルビヨンドは
略すとしたらLBとかになるのかな
22:774プロダクション@夢いっぱい
放課後ってことは学校でライブとかある?
学祭で夢咲き聞きたい
23:774プロダクション@夢いっぱい
まあトークとかはこれからだろうよ
24:774プロダクション@夢いっぱい
グリーンだけ大人?
315 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/20(火) 23:09:56.95 ID:u+Y4MsNWO
25:774プロダクション@夢いっぱい
>20
全然楽しそうじゃなかったのは残念
26:774プロダクション@夢いっぱい
イエローはうちの娘の推しです
27:774プロダクション@夢いっぱい
色で喋るな
戦隊モノかよ
28:774プロダクション@夢いっぱい
>25
緊張してたんだろ…新人だぞ?
29:774プロダクション@夢いっぱい
これからコイツらの時代が来る
俺には分かる
30:774プロダクション@夢いっぱい
エイルが噛んだ時のラビィのフォローワロタ
・・・・・
<15話・終わり>
316 :
◆60viGNJ69k
[sage saga]:2020/10/20(火) 23:12:06.42 ID:u+Y4MsNWO
バトル漫画の解説回並に長くクドくなってしまった
すみません…
次回は後日更新します!よろしくお願いします
317 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/20(火) 23:20:57.87 ID:xO6GCpVfo
乙乙
318 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/21(水) 01:15:07.67 ID:I56vpEvWo
一発ネタかと思ったけどストーリーちゃんとしてるな…すまん侮ってた
ティンディ見るわ
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クオリティの高いサービスを貴方に
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