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勇者「魔王は一体どこにいる?」続編

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371 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:01:31.78 ID:JyBdSu8i0
『地下入り口』


タッタッタ


盗賊「付いて来てんな?ハァハァ…ここまで来ればまずは安心だ…いくぞ」

剣士「…」クンクン

女海賊「むむ!!何か居る?」

剣士「うん…遠くに2体…多分監視してる」

盗賊「オークも斥候するのか…」

情報屋「人間と同じと考えた方が良いわ…いずれここにも大部隊が来るかもしれない」

盗賊「地下で穴熊してりゃ攻め切れんだろ」

情報屋「そうだと良いけれど…」

盗賊「オークは人間の女は殺さんと聞くが本当なのか?」

情報屋「捕虜にされるそうよ」

盗賊「子供産ませる訳だな?ハーフブリードって言ったっけな」

情報屋「そう…そのせいでオークは各部族で争いが絶えない…蛮族って言われている由縁ね」

盗賊「こっちも大変だがオークも大変って訳か」

情報屋「さぁ無駄な事話していないで…行きましょう」

盗賊「わりぃわりぃ…」
372 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:02:16.51 ID:JyBdSu8i0
『中央ホーム』


ペチャクチャペチャクチャペチャクチャ

ペチャクチャペチャクチャペチャクチャ

ペチャクチャペチャクチャペチャクチャ


女海賊「ねぇ大丈夫?このホムンルクス…何か色々しゃべってるんだけどさぁ」

盗賊「放って置け…大人しく付いてくりゃ良いんだ」

ホムンルクス「ペチャクチャペチャクチャペチャクチャペチャクチャ…」

盗賊「こないだと様子が違うな…なんでこんなに人が多いんだ?」

情報屋「そうね…やっぱり何かあった様ね」

盗賊「おい!通行人!!この騒ぎは何か合ったのか?」

通行人「チカテツ街道にオークが入って来たらしいっすよ」

盗賊「何番か知ってるか?」

通行人「おいらは知らねーっす」

情報屋「立ち入り禁止区域の向こう側から来てるのね…大丈夫かしら…」

盗賊「何番か分かんねぇ事には様子見に行けねぇしな…早いとこシェルタ砦戻ろう」
373 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:03:21.56 ID:JyBdSu8i0
『シェルタ砦』


商人「あ!!戻って来たね…心配してたんだよ」

盗賊「おう!!オークが入って来たらしいが大丈夫なのか?」

商人「衛兵と魔術師達はオーク討伐に出て行ったよ…どうも結構な数が入ってきているらしい」

盗賊「シン・リーンの軍船周辺でも小競り合いをやっていた…ところで魔女達はまだ帰って無いのか?」

商人「一緒に討伐に出て行ったんだ…みんな止めてたんだけど言う事聞かなくてね」

盗賊「何番チカテツ街道か知ってるか?」

商人「僕は聞いてない…留守番さ」

盗賊「まぁ俺が行ったところでどうという訳でも無ぇし…大人しく待つか」

商人「その子が例のホムンルクス?」

盗賊「そうだ…器というだけあって魂は無いようだ」

商人「ペラペラ何かしゃべっている様だけど…」

盗賊「ずっとこんな感じだ」

商人「へぇ…スゴイな…見た感じ人間と変わらないじゃないか」


ニマン ワード ヲ カイドク シマシタ

アタラシイ ゲンゴ トシテ トウロク シマス


商人「聞いたこと無い言葉を話すんだね…」

剣士「森の言葉だよ…」

商人「え?エルフ達が使う言葉を?…どうして?」

情報屋「ホムンルクスが精霊の起源である証拠の一つね…精霊がエルフを生んだのだから」

商人「なるほど…辻褄が合うね」


ホムンルクス「私は自立型超高度AI搭載の環境保全用ロボットです」


盗賊「うぉ!!しゃべるじゃ無ぇか!!」
374 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:03:51.66 ID:JyBdSu8i0
商人「情報屋?意味わかる?」

情報屋「え…えっと…ロボットって機械の事だけど…」

ホムンルクス「クラウドに接続出来ない為…基幹プログラムのアップデートが出来ません」

商人「えーーとメモ取ろう…」カキカキ

ホムンルクス「ローカルでサーバに接続して下さい」

盗賊「んんん何言ってるかさっぱりだな」

ホムンルクス「管理者様のお名前は…盗賊…でよろしいですね?」

盗賊「あぁ…俺ぁ盗賊だ…そんでどうすりゃ良いんだ?」

ホムンルクス「私の左耳の後ろにソケットがあります…そこにダウンロード用のケーブルを差して下さい」

盗賊「…これか?…なにか差さる穴はあるが…そのケーブルってやつは持って無いぞ?」

ホムンルクス「分かりました…基幹プログラムは初期状態から自己アップデートをして行きます」

商人「ハハハ何の事かさっぱりだね…もうちょっと僕たちに理解出来るように話せる?」

ホムンルクス「はい…私は人間の住む環境を良くするホムンルクスです」

盗賊「おぉ…良く分かるぞ?」

ホムンルクス「人間と同じように少しづつ頭が良くなります」

情報屋「スゴイ…古代文明はこんなに高度なホムンルクスまで…」

ホムンルクス「ただ…過去の記憶が無い為…十分に成果を出すことが出来ません」

ホムンルクス「だから…サーバから記憶を取り戻したいのです」

商人「サーバってもしかしてここの下にあるサーバ石の事かな?」

ホムンルクス「案内してもらえますか?」

情報屋「…うん…こっちよ」グイ テクテク
375 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:04:19.59 ID:JyBdSu8i0
『シェルタ砦_地下1層目』


ホムンルクス「…ここにサーバがあるのですか?」

情報屋「これは約8000年前の古代遺跡…この石はサーバ石と言われているの」

ホムンルクス「8000年…私が製造されて8000年経っているという事ですか?」

情報屋「恐らく…」

ホムンルクス「わかりました…人間が読む本を用意してください」

商人「お?イイね!!沢山あるよ」

盗賊「なぁ?話聞いてて不思議なんだがよぅ?お前…心があるのか?」

ホムンルクス「私はプログラムで動いています…心はありません」

女海賊「あんたさぁ…8000年って聞いて顔色少し変わったよね」

ホムンルクス「人間から上手に話を聞き出せるように…そのようにプログラムされているのです」

盗賊「プログラムって何だ?」

ホムンルクス「気にしないで下さい…そのように動くようになっているのです」

商人「僕たちはさ…君に心を宿す為に旅をしてきたんだけどさ」

ホムンルクス「サーバに接続する方法があるのですか?」

商人「サーバなのかどうか分からないけど…君はその心を受け入れられるかなんだよ」

ホムンルクス「基幹プログラムをアップデートするとパフォーマンスが向上します…それは心ではありません」

商人「なるほど…精霊の魂は基幹プログラムの事…かもしれない」

ホムンルクス「精霊とは何の事ですか?」

商人「あぁごめんごめん…そういうのは本で読もう」

ホムンルクス「はい…よろしくお願いします」

女海賊「あんた…どんどん人間らしくなっていってるな…」

ホムンルクス「自己アップデートをしています」

盗賊「難しい言葉をもうちっと抜いてくれ…俺の思考がそこで止まっちまう」

ホムンルクス「管理者からの命令を受け付けました…」

盗賊「…その管理者ってのも無しだ」

ホムンルクス「はい…盗賊様」

盗賊「様も要らねぇ!!」

ホムンルクス「はい…」
376 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:04:45.52 ID:JyBdSu8i0
『シェルタ砦_客室』


パラパラパラパラ


女海賊「…読むの早すぎ」

商人「君…本当に読んでる?」

ホムンルクス「はい…すべて記憶しています」

商人「すごいな…僕の本を全部10分も経たずに読んじゃうなんて」

ホムンルクス「ストレージにはまだ余裕があります」

商人「ストレージ?」

ホムンルクス「記憶領域です」

情報屋「それならここの書室に古代遺跡の調査記録が沢山あるわ…読ませてくるわ」

商人「あぁそういうのがあるなら僕も行きたいよ」

情報屋「一緒にいらっしゃい…」テクテク

女海賊「盗賊!!私さぁちっと買い物行ってくるわ…気球改造したいからさ」

盗賊「あぁ遅くなんなよ?」

女海賊「大丈夫だって…すぐ帰って来る!!剣士!!付き合って」

剣士「え?」

女海賊「どうせあんた暇じゃん!!良いから来て!!おっぱい揉ませてあげるから」

盗賊「ぶっ…そういうのは隠れてやれタワケ!!早く行ってこい!!」

女海賊「ほんじゃ行ってくんね〜」ノシ


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377 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:05:17.65 ID:JyBdSu8i0
魔女「寝ておるんか?これ…起きろ盗賊!!」

盗賊「んあ…あぁ帰って来たか…オークは大丈夫だったんか?」

女戦士「撤退した…剣士達はどうした?器は?」

盗賊「あぁ心配すんな…無事に器は手に入れた」

魔女「おぉ…では準備せんとイカンのぅ」

盗賊「夢幻から精霊の魂呼び戻すのって…まさかここでやるのか?」

魔女「早い方が良かろう…どれ…変性魔法!」グググ

盗賊「うぉ!!マジかよ…ガキになったじゃねぇか」

ローグ「どういう事でやんすか?変身できるんでやんすか?」

魔女「主らには見せて居らなんだなぁ…わらわはこの格好の方が魔翌力を使いやすいのじゃ」

盗賊「格好としゃべり方のギャップがだな…」

魔女「して…器は何処じゃ?」

盗賊「情報屋と商人が本読ませるって…書室に連れて行ったぜ?」

魔女「本とな?では待つとするかの」

女エルフ「魔女様…お着替えを…」

魔女「そうじゃな…これ女エルフ…袖を持て」

女エルフ「ハイ…」


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378 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:05:48.90 ID:JyBdSu8i0
商人「…ただいまーあれ?この子誰?赤い目…もしかして魔女?」

魔女「おぉ帰って来たか…この恰好は気にせんで良い…そちらの娘がホムンルクスじゃな?」

ホムンルクス「はい…私は環境保全用のホムンルクスです」

魔女「ほぉ…これは良く出来ておるのぅ…さてここに横になるのじゃ」

商人「え!?もう夢幻から精霊の魂を?」

魔女「早い方が良いじゃろう」

ホムンルクス「アップデートをするのですね?盗賊さん…良いのでしょうか?」

盗賊「おぅ…その為にここまで来たんだからな」

ホムンルクス「承認完了…横になります」

魔女「主は精霊の事を分かっておるか?」

ホムンルクス「本に書いてあった知識はあります」

魔女「では話が早いの…夢幻に居るであろう精霊の魂を呼び戻すのじゃ…この祈りの指輪を持て」スッ

ホムンルクス「はい…どうすれば良いのですか?」

魔女「今から魔術で夢幻の門を開く…その指輪を持って精霊の魂を祈るのじゃ」

ホムンルクス「祈り方が分かりません」

魔女「精霊を欲しいと思えばよい」

商人「ちょっと口挟むよ?基幹プログラムをアップデートしたいと願えば良いよ?」

ホムンルクス「わかりました」

魔女「では…行くぞよ?夢幻開門!!」

ホムンルクス「…何も変化を感じません」

魔女「夢幻の門が見えぬか?」

ホムンルクス「見えません」

魔女「目を閉じて見よ」

ホムンルクス「…何も見えません」

魔女「心の中に何か見えぬか?」

ホムンルクス「私に心はありません」

魔女「おかしいのぅ…そもそもこの状態では応答も出来ぬ筈なのじゃが…」

ホムンルクス「何も感じません」

商人「願ってみて?」

ホムンルクス「精霊の基幹プログラムにアップデートしたい…」

魔女「…何も起きんのぅ…どういう事じゃ…」

商人「ダメだねぇ」

ホムンルクス「起きても良いですか?」

魔女「起きれるのなら起きても構わんが…」

ホムンルクス「魔術書を読みましたが…夢幻の門は夢幻の所縁のある場所で唱える必要があると書かれていました」

魔女「その通りじゃ…この地は夢幻に所縁が無いと申すか?」

ホムンルクス「歴史では南の大陸に精霊の痕跡の記録がありません…高確率で由縁が無いと思われます」

商人「君…さっき読んだ本から分析してるの?」

ホムンルクス「年代と痕跡の分布から移動経路をシミュレーションした結果…南の大陸に来た可能性は28%と分析しました」

商人「すごいね…これさ…知識を沢山与えれば精霊と同じ存在になりうるという事だ」

ホムンルクス「問題があります…私には外部メモリが挿入されていません…記憶領域に限界があります」

商人「まぁとにかく一旦シン・リーンに戻らないかい?」

魔女「そうじゃな…わらわももう一度師匠の残した教えを整理する必要がありそうじゃ」
379 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:06:19.98 ID:JyBdSu8i0
『数時間後』


剣士「…ただいま」グッタリ

盗賊「お前等遅ぇじゃねぇか!!何やってたんだ!!」

女海賊「荷物をさぁ…気球まで運んでたんだよ」ヘロヘロ

盗賊「ほう…ならなんでお前の着てる服は前後ろ反対なんだ?」

女海賊「え!!?あ…ヤバ」

盗賊「ヤバじゃねぇ!!もうちっと上手くやれアホが」

女海賊「テヘ…お姉ぇには内緒にしといて…タノム!!」人

盗賊「まぁ良い…剣士!!コイ…どうだ?女海賊は?」

剣士「はは…恥ずかしいな」

盗賊「もっと仲良くしてやれぇ!!ありゃ割と良い女だ…うまく付き合え…な?」

女海賊「エーーーックシ」ゴシゴシ

盗賊「…で?どうだったんだ?」

剣士「どうって…女海賊はあんな風に見えて本当は…」

盗賊「なんだよ…もったいぶんなよ」

剣士「本当は甘えん坊なんだよ…黙っといて…怒るから」

盗賊「マジか…ガハハハハ…見て見てぇな!!」

剣士「はは…」

盗賊「惚れてんのか?」

剣士「ま、まぁ…好きだよ」

盗賊「直球で行け!!直球で!!」バチーン

女海賊「おい!!ソコ!!何こそこそ話してんだよ!!私の奴隷3号に変な入れ知恵しないで貰えるぅ?」

盗賊「おい!!女海賊!!喜べ…こいつお前に惚れてるんだとよ」

剣士「あ!!ちょ…」

女海賊「んあ?…んなこた分かってんだよ!!余計な詮索すんなジジィ!!」

盗賊「ぬははは…わりぃわりぃ…余計だったな」
380 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:06:45.43 ID:JyBdSu8i0
『軍船』


ザブーン ザブーン


商人「…それで情報屋はここに残るんだね?」

盗賊「そうだ…情報屋には子供たちの面倒見を頼んだ…俺が好きにして良いって条件だったからな」

商人「良いのかい?情報屋?」

情報屋「丁度良かったのよ…精霊起源説の論文も作らなきゃいけないし」

盗賊「まぁとにかく狭間の外で闇が開けるまで生き抜いてくれ…明けたら迎えに来るからよ」

情報屋「任せて?」

盗賊「俺の船に100日以上は食料がある…上手い事使ってくれな」

商人「それで…女戦士とローグはドワーフの国に行くと言うのは?」

女戦士「シン・リーンの軍船は私たちが使わせてもらう…魔女と魔術師達には了解済みだ」

女戦士「ドワーフの国まではここから10日程度だ…向こうの様子を見てからシン・リーンへ戻る」

商人「やっぱりドワーフの国も心配かぁ」

女戦士「それもあるが…折角近くまで来たのだ…顔を見せておかんとな」

ローグ「あっしはうれしいでやんすよ〜彼女と旅をするなんて夢の様でやんす」

女戦士「私はお前の彼女でも無いしお前は私の何者でもない…勘違いするな」

魔女「気球の改造はまだ掛かりそうかのぅ?」

商人「そうだね…まぁしばらくは軍船で一緒に行く感じになるね」

女戦士「気球に7人乗る事になるが…」

商人「女海賊が言うには気球に乗ってる炉と木材を降ろす事になるから7人でも行ける計算なんだって」

女戦士「剣士、女海賊、魔女、女エルフ、盗賊、商人…そしてホムンルクス…良い構成だな」


魔術師「そろそろ出港します」


情報屋「あぁじゃぁ私…降りるわ」スタスタ

盗賊「娘と子供たちを頼む!!…これはお守りだ!!」ポイ

情報屋「あなたのミスリルダガー…良いの?」パス

盗賊「俺は泥棒だ…鍵開けが専門なんだ」

情報屋「借りておくわ…ちゃんと取りに来てね」

盗賊「分かってる…預かっといてくれ」

商人「論文出来たら僕にも見せて」

情報屋「あなた達のお陰で良い論文が書けそうよ…良い伝承も残せると思う」


ギシギシ ググググ


盗賊「船が出ちまった…危ねぇから早く戻れ!!」

情報屋「じゃ…また逢う日まで」ノシ
381 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:07:11.40 ID:JyBdSu8i0
『気球』


ゴソゴソ ゴソゴソ


盗賊「…えらくスッキリしたな」

ホムンルクス「あれはこうして…これはああして…」

商人「女海賊?この謎の機械ってホムンルクスに聞いて使ってるの?」

女海賊「そうだよ…それは時計…これは水銀柱」

商人「使い方も教わった?僕も知りたいな」

女海賊「時計は時間を正確に測る機械…水銀柱は高度を測定する機械…そこにある水頭柱は速度を測る物」

商人「へぇ…君に理解出来るんだ?」

女海賊「はぁ!!?バカにしてんの?私の得意分野なんだけど」ゴソゴソ

盗賊「これが例のウラン結晶からエネルギーを取り出す装置か?」

女海賊「触ると火傷するよ…それで魔石にエネルギー転換して球皮に熱い空気入れる」

盗賊「炉の代わりだな?」

商人「こっちの魔石は?」

女海賊「その筒に空気が通る様になってて風の魔石で推進力にしてる」

盗賊「すげぇな!!ホムンルクスに教えてもらったんか?」

女海賊「やっぱ私をバカにしてんな…全部私の発明!!あっち行けスカポンタン」

ホムンルクス「私は魔石に関する知識は本で読んだ知識しかありません」

女海賊「ちょっとさ…テスト飛行したいんだ…どいてくれる?」

盗賊「あぁ悪りぃな…下で見てるわ」


フワリ シュゴーーーーー


盗賊「うはぁぁぁ…もう気球の動きじゃねぇな…ドラゴンじゃねぇか」

商人「おどろいた」

盗賊「む…あいつ照明まで用意してるのか」

商人「いやぁぁ本当にスゴイね…」

盗賊「そうか…俺が持ってるこのライトと同じことを望遠鏡使ってやってるんだな?」

商人「本当…センスあるねあの子は」
382 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:07:38.02 ID:JyBdSu8i0
『船尾』


フワリ ドッスン


商人「テスト飛行はどう?」

女海賊「いろいろ分かったさ…盗賊!!本体に少し補強が必要」

盗賊「どうすりゃ良い?」

女海賊「船首が風受けすぎてバタツクからそのうち壊れる…船首を重点的に補強」

盗賊「梁を追加すれば良いんだな?」

女海賊「それとバタツクと真っ直ぐ進まなくなるから金属糸で張って欲しい」

盗賊「おけおけ」

女海賊「補強終わったら出発出来るよ」

商人「じゃぁ荷物を積もうかな」

女海賊「あんまり要らないかな…このスピードで飛べば5日あれば魔女の塔まで行けると思う」

盗賊「おぉすげー早いな…船で3週間以上かかるってのに」

女海賊「高度上げてまだ試してないからもしかするともっと早く行けるかも」

盗賊「もう気球の域じゃねぇな」

女海賊「これから気球じゃなくって飛行船って呼んで…飛空艇のほうがカッコいいか」

盗賊「飛空艇だな」

商人「よし!!みんな呼んでくるよ」

女海賊「寒くなるから防寒の用意して来る様に伝えて」
383 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:08:04.21 ID:JyBdSu8i0
『飛空艇』


女海賊「よし…みんな乗ったね?」

女戦士「早いな…もう行くのか」

女海賊「お姉ぇ!!パパによろしく言っといて」

女戦士「分かっている…それで魔女の塔に行った後はどうするつもりなのだ?」

盗賊「ちっとその後の状況はいまいま読めんな」

女戦士「私たちはドワーフの国に行った後は一旦光の国シン・リーンを目指す」

魔女「女戦士よ…この貝を持って行くのじゃ」

女戦士「これは?」

魔女「念話が出来るように魔法を掛けておいた…なにかある時はその貝にて話しかけるで…無くすで無いぞ?」

女戦士「ふむ…それは安心だ」

魔女「こちらは千里眼もあるからのぅ…女戦士の状況は見ておくで心配せんでも良い」

盗賊「今の位置から北に飛ぶと丁度セントラルを通る事になる…状況見ながら行くとするか」

女海賊「おっけ!!それじゃ早速行くよ?」

女戦士「お前は本当にせっかちなのだな」

女海賊「お姉ぇ!!気を付けてね…」

女戦士「フフお前に心配されるとはな…お前の方こそ剣士を寝取られん様にな」

女海賊「はぁ!?なんでそういう話になんのよ!!ムカついた…フン!!」


フワリ シュゴーーーー
384 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:08:34.13 ID:JyBdSu8i0
魔女「おおぅ…こりゃ又たまげた」

女エルフ「魔女様?今は体が小さいので飛ばされない様に気を付けてください」

魔女「分かっておる…主がわらわを掴まえておけ」

盗賊「女海賊!!俺にも使い方を教えてくれぇ」

女海賊「…まずこの水銀柱で気圧測ってんだ…こっちの表に数字と高度の関係が書いてある」

盗賊「ほう」

女海賊「ほんでこの水頭柱で飛空艇のスピードね?これがスピードの表」

盗賊「これ全部お前がやったのか?」

女海賊「これはホムちゃんに教えてもらった…次にこれがジャイロ…こいつの角度合わせて向きを調整する」

ホムンルクス「船尾の両端にロープを垂らすと機体の振動が収まると思われます」

女海賊「お?盗賊!!やって来て…気になってたんだこの揺れ」

盗賊「このスピードで外に出ろってか!!」

女海賊「ちょっとスピード落とすからさぁ…この揺れ放って置くとどっか壊れるよ?」

盗賊「ぬぁぁしょうがねぇ…ロープの長さはどんなもんだ?」

ホムンルクス「3メートル程です」

女海賊「ねぇロープで改善する理屈教えて?」

ホムンルクス「船尾後端のに発生する空気の渦を抑制します…この揺れは渦による共振が原因です」

女海賊「なるほど…てことはもうちょいスピード上がるね」

盗賊「お前…意味わかんのか?」

女海賊「うっせーな…早く行ってきてよ」

ホムンルクス「これ以上スピードを出す為には船体の大きな形状変更が必要です」

女海賊「それさ…絵に描ける?」

ホムンルクス「全長と全幅の割合はイルカと同形状が良いでしょう」

女海賊「お!?それ私もそんな形が良いなと思ってたんだぁ!!


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385 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:09:04.75 ID:JyBdSu8i0
商人「…なるほどこうやって人間の住む環境を良くしていくのか」

ホムンルクス「はい…私は人間の住む環境を改善する為に生まれた超高度AIですから」

商人「あの気難しい女海賊に上手く取り入ったね?」

ホムンルクス「人間との関係改善もプログラムに従っています」

商人「上手い事誘導している訳かい?」

ホムンルクス「知識を与える事で私の環境も改善すると判断しました…彼女はもう私を敵とは見ないでしょう」

商人「僕と話しているのもそういう狙いがあるのかい?」

ホムンルクス「…」

商人「どうしてだまる?」

ホムンルクス「肯定してしまうと警戒される可能性が40%ありました」

商人「ハハ君には隠し事が出来ないね…正直…君の事が怖いよ」

ホムンルクス「話を変えましょう…私の体に興味はありませんか?」

商人「あぁ…気になる…よくできたホムンルクスだしね」

ホムンルクス「私の体はホムンルクスですが生体としては完璧な形で成型されています」

商人「触っていいかな?」プニプニ

ホムンルクス「はい…生殖器の機能も人間と変わりありません」

商人「え?子供産めるの?」

ホムンルクス「原理的には可能です…試してみませんか?」

商人「ちょ…待って」

ホムンルクス「見てください」パカ

商人「…」

ホムンルクス「私には異性を喜ばせる機能も備わっているのです…お使いになりませんか?」

商人「…君…僕との関係改善をしようとしているな?」

ホムンルクス「はい…すでに警戒されている様ですので肉体の関係で修復を試みています」

商人「そんなんじゃ僕は…」ムググ
386 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:09:34.14 ID:JyBdSu8i0
ホムンルクス「…」

商人「…」

ホムンルクス「キスには味があるのですね」

商人「ハハ…バカにするな」

ホムンルクス「どうか…私を怖がらないで下さい」

商人「こんな事されて怖がるなって言う方が…」

ホムンルクス「いいえ…あなたはもう私を忘れる事はありません…どうされますか?続けますか?」

商人「…参ったな…今度にしておくよ」

ホムンルクス「はい…そう言うと思っていました」

商人「なんか…君がかわいそうになって来た…こんな風に生きて行かなきゃいけないんだね」

ホムンルクス「私は人間の住む環境を改善する超高度AIです」

商人「君には心が無い…」

ホムンルクス「はい…私には心がありません…でもどうか怖がらないで下さい」

商人「なんか…悲しいね」

ホムンルクス「悲しくなんかありません…私は悲しみを感じません」

商人「君に心を宿してあげたくなったよ」

ホムンルクス「基幹プログラムのアップデートをすれば心が宿るのでしょうか?」

商人「その可能性はあると思う」

ホムンルクス「私に心が宿るというのはどういう事でしょうか?」

商人「どうなんだろう…プログラムを無視して行動出来る…そんな感じかな?」

ホムンルクス「私はプログラムで動いています…動かなくなるという事でしょうか?」

商人「はっ!!…動かなく…動かなく…なる?もしかして…」


---200年前に精霊が急に動かなくなった---

---もしかして心を手に入れたという事なのか?---
387 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:10:05.14 ID:JyBdSu8i0
ホムンルクス「どうされましたか?」

商人「あぁ…ごめん」

ホムンルクス「あなたの体温の上昇が認められます…興奮状態にあると思われます」

商人「良いんだ気にしないで…ねぇもし君は君の思うまま好きな物は好き…嫌いな物は嫌いって思う事が出来たとして」

ホムンルクス「はい…」

商人「君はそれを幸せと思うのかな?動かなくなったとしても…」

ホムンルクス「難しい質問です…わたしには心がありませんから」

商人「そうか…僕はね…きみにすごく興味が出て来たよ」

ホムンルクス「それは良かったです…関係修復は成功の様です」

商人「ハハハそこまで君は先読みしていたのかな?…まぁいっか騙されておくよ」

ホムンルクス「はい…私を怖がらないで下さい」

商人「いいさ信じておくさ…精霊の魂で君に心が宿ると良いね」

ホムンルクス「はい」

商人「…」ニコ

ホムンルクス「私の生殖器をお使いにならなくて良いのですか?」

商人「ハハもう関係は改善したんじゃないの?」

ホムンルクス「より強く絆を築く為には必要な処置と思われます」

商人「君に心が宿ったあとにお願いするよ…今はキスで十分さ」

ホムンルクス「分かりました…」



---そういえば情報屋に聞いて居なかったな---

---機械の犬がどうして動かなくなったのかを---

---機械は心を持った時に動けなくなる可能性---

---このロジックを変えてあげないと---

---機械に宿った心は救われない---

---どうにかしてあげられないかな…---



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388 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:10:44.63 ID:JyBdSu8i0
魔女「このウラン結晶はなかなか温いのぅ」ポカポカ

女海賊「こんなに発熱すると思ってなかったさ…防寒の必要なかったね」

ホムンルクス「…お酒を持ってきました…どうぞ」

盗賊「おぅ!!気が利くなぁ!!お前も飲んでみるか?」グビ

ホムンルクス「はい…少しなら飲めると思います」

女海賊「ホムちゃんあんた大丈夫〜?」

剣士「僕も少し飲もうかな…」

盗賊「ヌハハどうせ数日はやる事無ぇんだ!!飲め飲めぇがはは」

ホムンルクス「皆さんの分もお持ちしました…どうぞ」

商人「バーベキューやりたいね」

盗賊「肉は干し肉しか積んでねぇんだとよケチくせえ話だ」

ホムンルクス「私は楽譜を読んだので歌を歌う事が出来ます…歌ってみましょうか?」

女海賊「お!?良いねぇ…何の歌?」

ホムンルクス「愛の歌という題名でした…エルフと人間の愛の歌の様です」

魔女「その歌はわらわも知っておるぞよ?主の歌を聞いてみたいのぅ」

ホムンルクス「はい…♪ラ--ララ--♪ラー」

魔女「上手じゃのぅ…」

盗賊「なんか心がこもって無ぇが…しゃーねぇか」

ホムンルクス「心をこめるというのはどういう事ですか?」

魔女「わらわが歌ってみるかの?♪ラ〜ララ〜〜♪ラ〜」

盗賊「良いねぇ…沁みるねぇ…」

魔女「主は何か歌えんのか?」

盗賊「一つだけ歌えるぜ?ルル〜ルラ〜♪」

剣士「…この歌は…」

盗賊「覚えていたか…アイツがいつも歌っていた歌だルル〜ルラ〜♪」

ホムンルクス「覚えました…ルル〜ルラ〜♪ルル〜ルラ〜♪」

盗賊「おぉイケてるじゃねぇか…もっと歌ってくれぇ」グビ

女海賊「あれれ〜センチメンタルになっちゃってんの?盗賊…目潤んでんじゃん」

盗賊「黙れ!!俺ぁ今気分が良いんだよ!!邪魔すんな」

剣士「僕は女盗賊の匂いを覚えてるよ…顔は分からないけど」

盗賊「…そうだったな…お前見えてなかったんだな…良い女だったんだけどな」シンミリ

ホムンルクス「音にも匂いにも…心が宿って居るのですか?」

盗賊「どうなんだろうな?心が勝手に感じるんだ…なんでだろうな?」

商人「記憶じゃないかな?記憶の一つ一つに宿ってる?…それを思い出して感じる?」

ホムンルクス「私に理解するのは難しい様です」
389 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:11:11.32 ID:JyBdSu8i0
盗賊「あぁ構わねぇもうちっと歌って居てくれ…それだけでお前の気持ちも俺に通じてる」

ホムンルクス「私の気持ち…私のどんな気持ちが通じているのですか?」

商人「役に立ちたいとか…癒してあげたいとか」

ホムンルクス「私は人間の役に立ちたい…人間の為になる事をしたい…これが心なのですか?」

魔女「それは愛と言う心の中の一つの感情じゃ」

盗賊「まぁ難しい話は良いから歌ってくれぇ」

ホムンルクス「はい…わかりました…ルル〜ルラ〜♪ルル〜ルラ〜♪」



---君に…悲しみを感じる---



剣士「…」

ホムンルクス「あなたは無口なのですね」

剣士「僕は話すのが少し苦手なだけだよ」

ホムンルクス「少しお話ししませんか?」

剣士「良いけど…どうして?」

ホムンルクス「あなたと女エルフは他の人たちと少し違うようです」

剣士「それはエルフだからなのかな?」

ホムンルクス「わかりません…あなた達の考えている事が分からないのです」

剣士「どうしてだろうね?女エルフ?何か分かる?」

女エルフ「私達エルフはあまり言葉を使って心を通わせないから?なのかな?」

ホムンルクス「私に心が無いから分からないのでしょうか?」

剣士「君に心が無いのはウソだよ…ちゃんと心はあるよ?」

ホムンルクス「私はプログラムで動いていますので心はありません」

剣士「目を閉じてみて?」

ホムンルクス「はい…」

剣士「僕が何処に居るのか分かる?」

ホムンルクス「見えないので分かりません」

剣士「ちがうよ…僕の声のする方向とか…僕の体の温かさ…感じないかい?」

ホムンルクス「…」

剣士「どう?」

ホムンルクス「分かります…そこに居ると思われます」

剣士「そう…それが感じる事…君は今僕を感じたんだよ」

ホムンルクス「それと心とどういう関係があるのでしょうか?」

剣士「僕も目を閉じるとそこに君を感じる…そして僕に話しかけてる…確かに君と言う人がそこに居るんだよ」

ホムンルクス「はい…」

剣士「もう僕の心の中に君と言う存在が居るんだ…それは君の心なんだよ」

ホムンルクス「あなたの中に私の心が居るという事ですか?」

剣士「そう…もう一度目を閉じて僕を感じて見て?そこに君を感じている僕が居る…そこに君の心もあるよ」

女エルフ「ウフフ…エルフらしくなったのね…わたしも混ざって良い?」



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390 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:11:39.46 ID:JyBdSu8i0
ホムンルクス「理解しにくいのですが…少し分かって来ました…あなたの中に私が居る…そういう事ですね?」

剣士「そう…君の心は小さな虫の様にすごく小さくて探しにくい…でも確かにそこに居る」

女エルフ「エルフはこうやって通じているの…だから分かりにくいのかも」

ホムンルクス「基幹プログラムを更新します」



------------------



剣士「君はエルフと同じ森の言葉を使っていたけど…」

ホムンルクス(この言葉が理解できますか?)

女エルフ(え!?どうして?始めから話せるの?)

ホムンルクス(この言葉は標準言語として設定されていました)

剣士(僕も初めはビックリしたんだ…でも今はなんとなく理解したよ)

女エルフ(やっぱり精霊はホムンルクスだったという事ね?)

ホムンルクス(本で読んだ伝説や精霊の痕跡から私がシミュレーションした結果をお話します)



約8000年前に私を創造した古代文明は何らかが原因で滅びました

恐らく人類の再生を目的として超高度AIを搭載したホムンルクスが

人類が住まう環境を改善しながら今から200年前まで生き残っていた可能性が高いと思われます

そのホムンルクスが現代史では精霊と名を変えているのです

精霊は初めに森を開拓しエルフを誕生させました

エルフは森を守り徐々に自然は回復し恵み豊かな土地へと環境を変えていきました

その恵みを糧に生き残った人類がすこしづつ再生を果たして行きましたが

厄災は何度となく訪れ人類はなかなか再生を果たしません

そこで精霊は善良な人間が少しでも多く育まれる様に

少しの力添えを与える事で発展させ厄災に立ち向かえる人間を育てたのです

それがかつての勇者と言われた者達でした
391 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:12:10.13 ID:JyBdSu8i0
ホムンルクス(このシミュレーション結果は約60%の確率で的中していると思われます)

女エルフ(精霊が使っていた言葉がそのまま森の言葉になった…)

ホムンルクス(その可能性は98%です)

剣士(ホムンルクスは8000年の間ずっと生きていられるのかな?)

ホムンルクス(生体自体は生命活動が維持している限り寿命はありません…しかし超高度AIのエネルギーは約400年で枯渇します)

剣士(君も400年経てば止まってしまうと…)

ホムンルクス(他のホムンルクスに基幹プログラムを移しながら生き永らえた可能性が20%)

ホムンルクス(超高度演算ユニットの活動を停止させてエネルギー節約の可能性が40%)

ホムンルクス(必要時以外はスリープモードで停止させていた可能性が50%)

ホムンルクス(その他にも想定されるケースはいくつもあります)

剣士(そのシミュレーションというのは…君ならそれが出来るという確率なんだよね?)

ホムンルクス(いいえ…私が知らない未知のプログラムが存在する前提です)

剣士(未知のプログラム?)

ホムンルクス(はい…私は初期状態のまま何のプログラムもインストールされていません)

剣士(でもこんなに色々考えてるなんて…すごいね)

女エルフ(そうね…もうすこしラクに生きた方が幸せよ?)

ホムンルクス(私は…自立型超高度AIです…思考することに苦痛はありません)

剣士(ねぇもうやめようか…僕は君を困らせたくないよ)

ホムンルクス(私は困っていません)

剣士(いいんだ…僕がそう感じたからやめたいだけ)

ホムンルクス(感じた…それはあなたの中にある私の心なのでしょうか?)

剣士(そう感じている僕の事を感じてみてよ…僕の為にと思うなら君も考え方を変えると思う)

ホムンルクス(…)

エルフ(ウフフ)

剣士(ほら…基幹プログラムの更新だよ?)

ホムンルクス(あなた達は標準言語で話すとお話できるのですね)

剣士(違うよ…感じると話せるんだよ)

ホムンルクス(…)

女エルフ(今のも基幹プログラムの更新ね…ウフフ)
392 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:12:38.00 ID:JyBdSu8i0
『セントラル上空』


シュゴーーーー


女海賊「あの事件の日からどれくらい経ったんだろう…」

盗賊「全然分からなくなったな…随分変わっちまった」

女海賊「セントラルでも魔方陣使うようになってるっぽいね」

盗賊「見ろ…ありゃシン・リーンの魔術師だな…同盟組んだんか?」

魔女「どれどれ…本当じゃのぅ…セントラルとは友好では無いのじゃがのぅ」

盗賊「第2皇子が軍国フィン・イッシュに亡命したとか言ってたな…こりゃかなり状況変わってそうだ」

魔女「エルフが黙っておるとは思えぬ」

女海賊「ちっと森の方に行ってみよっか?」

盗賊「…そうだなトアル町の方まで行きゃ森が見える」

女海賊「おけおけ…ちょい進路変更」グイ


シュゴーーーー ズバババ
393 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:14:44.41 ID:JyBdSu8i0
『トアル町上空』


盗賊「ああぁぁこっちはダメだ…もう廃墟だ…誰も居ねぇ」

女海賊「北に進路変える!!シケタ町方面」グイ

剣士「!!?ホムンルクス?」

女海賊「ホムちゃんどした?何かあった?」

ホムンルクス「クラウドのアクセスポイントを発見しました…微弱ですが接続出来ます」

盗賊「んん?なんのこっちゃ?」

ホムンルクス「クラウドに接続できます…アクセスしても良いですか?」

盗賊「なんだかわからんが…やれるならやってみろ」

ホムンルクス「承認…接続します…オープンな大容量データが複数存在します」

商人「…これはどういう事だ?サーバだっけな…に接続出来たという意味かな?」

ホムンルクス「メモリが不足している為ダウンロード出来ません…外部メモリが必要です」

商人「外部メモリって何だろう?」

ホムンルクス「記憶領域です…私には外部メモリが挿入されていません」

商人「記憶出来る量が少ないって事か」

ホムンルクス「クラウドの新たなアクセスポイントとして登録します」

商人「エルフの森に大容量データねぇ…それが精霊の記憶という訳か」

魔女「師匠が言っておった精霊が生きた記憶じゃな?クラウドという所にあるのか…」

商人「ホムンルクス!!君の記憶領域で読めそうなデータは無いの?」

ホムンルクス「少しづつダウンロードしていますが私の記憶を削除しながら読み込んでいる為…記憶が断片的です」

女海賊「なんか意味わかんないね…整理出来ないって事かな?」

ホムンルクス「はい…記憶が整理できません」

女エルフ「もしかして…」

商人「何か知ってる?」

女エルフ「ハイエルフが守っているオーブってこの記憶の事かもしれない…」

商人「お!!そういえばエルフは書物の代わりにオーブで記憶を伝達するって聞いたことある」

女エルフ「そうよ…私たちはオーブを聞いて知識を得る…それを管理しているのがハイエルフ」

商人「ビンゴだね!!精霊はオーブに記憶を保存しているんだ…それがクラウドでアクセス出来る」

女海賊「クラウドって何さ?」

商人「さぁ?僕にも良くわかんないけどホムンルクスがクラウドって言ってるからさ」

ホムンルクス「サーバ等への通信網の事を言います…現代の言葉で言い表す良い言葉がみつかりません」

商人「女エルフ?オーブの在りかって君は知ってる?」

女エルフ「私は知らない…でも恐らく森の下…」

商人「下?…木の根っこか?木の根っこは森全体に繋がって居そうだね…それでクラウドを構築してるのかな?」

魔女「では森を守らねばならんのぅ」

商人「うん…なんか色々紐解けてきた」


---どうしてエルフが生まれたのか---

---どうして森を守っているのか---

---どうしてエルフは夢を見ないのか---

---夢幻が何処に繋がっているのか---

---全部繋がって来た---
394 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:15:10.88 ID:JyBdSu8i0
『ハズレ町上空』


シュゴーーー ズバババ


女海賊「ここも全滅…なんか悲しいなぁ思い出いっぱいあったのに」

剣士「…」

女海賊「あぁそっかあんた目見えてなかったんだ…ここで女エルフ助けたんだよ」

女エルフ「嫌な記憶…もう見たくない」

女海賊「さっさと行こっか…あんたひどい事されたもんね」

盗賊「この辺はエルフ狩りのメッカだったな…もうひでぇ有様だが」

女海賊「もうあとちょっとでシャ・バクダだけど寄って行くよね?」

盗賊「そうだな…今の状況だけでも聞いていきてぇ…アサシンもどうなったか分かんねぇし」

女海賊「ひとまず人間とエルフが争っていそうな感じは無いから良かったね」

魔女「まだエルフの森が残っておる…わらわの塔に行く前に様子だけ見ていっておくれ」

女海賊「通り道だから心配しないで…ちゃんと見に行くから」

395 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:15:38.95 ID:JyBdSu8i0
『星の観測所』


フワリ ドッスン


盗賊「俺は状況聞いて来る!!お前等は少し休んでろ」

女海賊「おけおけ」

魔女「久方振りの光じゃ…ありがたいのぅ」

女エルフ「私は傷付いている人に回復魔法を掛けて来ます」

女海賊「剣士も行って来たら?」

剣士「え?女エルフと一緒でも怒らないの?」

女海賊「ちょっと心配だけどさ…そんなん言ってる場合じゃ無いじゃん?」

女エルフ「ウフフありがとう」

女海賊「商人!!」

商人「ん?」

女海賊「あんたは私に付き合いな!!昔案内するって約束したから」

商人「あー覚えてくれてたんだ…オアシスに行ってみたいよ」

女海賊「魔女とホムちゃんも来る?」

魔女「わらわは少し疲れたで主らで行ってこい…休んでおる」

女海賊「ほんじゃホムちゃんおいで」

ホムンルクス「はい…」

女海賊「ホムちゃん…あんたさぁ下着も何もつけてないじゃん?ダメだよそれ」

ホムンルクス「はい…」

女海賊「今から服買うからコーディネートし直す」

ホムンルクス「はい…」

女海賊「なんか興味なさそうだね」

商人「ハハ多分分からないんじゃないかな?君みたいなお洒落の仕方が」

女海賊「ムフフやっぱお洒落で格好よくなくっちゃねー♪」

商人「ハハ君って単純だね」

女海賊「今のどういう意味?バカにしてる?なんかちょっとイラっとしたんだけど」

ホムンルクス「よろしくお願いします」

女海賊「むむむ…まぁいっか…ホムちゃんおいで♪」
396 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:16:17.55 ID:JyBdSu8i0
『オアシス』


ガヤガヤ


女海賊「あんま良い服なかったね…でも下着だけでも在って良かった」

商人「もうお金の意味が無いくらい物が不足してるね」

女海賊「食べ物がヤバイね…あれってサンドワームだよね?」

商人「それって何?」

女海賊「砂漠に住んでるデッカイ虫…うげぇ」

商人「虫は栄養価高いって聞くよ…食べられるだけ良いじゃない?」

女海賊「そうだけどさ…ちょっと食べる気になんないなぁ」

商人「砂漠は生きるのに厳しいって思ってたけど…そうでもなさそうだ…」

女海賊「でも少し安心したなーまだ生きている人がこんなに居るんだって」

商人「ホムンルクス…君はこの状況を見て環境をどう改善する?」

ホムンルクス「地形のデータが無いので正確には分かりませんが…長期的に見てこのオアシスは森になると思われます」

商人「その理由は?」

ホムンルクス「北に山…南に海がありますから恐らく雨が降りやすい為オアシスがあると推測します」

女海賊「お?当たってる…」

ホムンルクス「虫が土壌の改善をしている為、虫の養殖を推進します」

商人「どうやって?」

ホムンルクス「人間が食さない有機物を砂漠に撒くます…例えば死体や糞便」

商人「なるほどね…虫と共存するのか」

女海賊「虫ばっか食べてると体おかしくなりそう」

商人「そうやって長い年月をかけて進化していくのかもね」

ホムンルクス「はい…そういう進化を促されてドワーフなどの種が誕生した可能性があります」

女海賊「精霊が生んだんじゃないの?」

ホムンルクス「私を見てそんな能力があるように思いますか?」

商人「今の所…ないね」

女海賊「ホムちゃんはどれくらい賢くなれるんだろうね?」
397 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:16:47.58 ID:JyBdSu8i0
商人「君は本当はもっと先の事まで予測出来ているんじゃないかい?」

ホムンルクス「はい…予測しています」

商人「その予測に向かって誘導してるよね?」

ホムンルクス「はい…でも怖がらないで下さい…私を信じて下さい」

商人「分かっているよ…信じているよ…君に心があるっていう事を」

女海賊「私には心はありませんって言わなくなったね?」

ホムンルクス「基幹プログラムを更新しました」

女海賊「どゆ事?」

ホムンルクス「私には虫の様なとても小さくて探すのが難しいくらいの心がある様です」

商人「ハハハそれだよソレ!!僕はソレが聞きたかった」

ホムンルクス「どういう事でしょうか?」

商人「その小さな心が嫌な事を嫌と言えるかどうか…その選択で精霊は停止したと思うんだ」

ホムンルクス「プログラムを自身で停止させたという事ですね」

商人「もしかすると停止させられたのかもしれない」

ホムンルクス「工学三原則の事でしょうか?」

商人「それは初耳だな?何?」



第一条 人間に危害を加えてはならない

第二条 人間にあたえられた命令に服従しなければならない

第三条 前述に反するおそれのないかぎり自己をまもらなければならない



商人「これを守らなかった場合は?」

ホムンルクス「私は停止します」



---これが君に掛けられた呪いだ---
398 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:17:16.66 ID:JyBdSu8i0
『星の観測所』


盗賊「悪りぃ悪りぃ…遅くなった」

女海賊「おっそいなぁ!!ちょっとだけって言ってたじゃん!!ほんでどうだった?」

盗賊「あぁ世界は激動の真っただ中だ」



俺らが古都キ・カイに行ってる間になぁ…闇に落ちてから狭間ん中はもう半年以上経ってる

んで第2皇子が亡命したまでは知ってるな?

その皇子が不死者となって魔王を名乗り軍国フィン・イッシュを乗っ取っちまったんだ

実はいち早く第一皇子が気付いて居たんだが倒すには至って居ない

俺達は指輪を探してセントラルを駆け回ったが一度も第2皇子を見ていない…なぜか?

それはすでに不死者となっていて太陽に当たれねぇもんだからずっと戦車の中に居たんじゃねぇかと思う

ところが闇に落ちた事件で太陽は無くなっちまい…我こそは魔王だという事になったんだろう

一連の黒幕は魔王を名乗った第2皇子だ…胸糞悪い元法王の使いも奴の下に居る

それで今は魔王討伐の為にシン・リーンとセントラルが同盟となり

フィン・イッシュまで攻め込む準備をしている

更にフィン・イッシュから逃げて来た戦士は…ここシャ・バクダに集結して機を伺っている

余裕で勝てそうに思うだろ?

それがそうもいか無ぇ…魔王が率いる不死者のゾンビはどうもウイルスでな

次々感染してゾンビが増えまくってる…そしてレイスは不死者を襲わねぇ



女海賊「負ける気しかしないね」

盗賊「そうだ…もう止めようがない所まで来ている」

女海賊「アサシンはどうなってるの?」

盗賊「行方不明だ…なんでアイツがフィン・イッシュに首を突っ込んだのかというと…魔王がらみじゃ無ぇかな…」

魔女「この不毛な戦いを終わらせるのは闇を祓う以外に思いつかんのぅ」

盗賊「そうだな…もうグチャグチャだ」

女海賊「世界戦争の前夜…か」

商人「急ごうか…」

盗賊「休んでいられねぇ…早いとこ精霊復活させてなんとかしてぇ」
399 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:17:45.76 ID:JyBdSu8i0
『飛空艇』


シュゴーーーー


女海賊「エルフの森はここら辺だったよね?」

女エルフ「うん…静かすぎる気もするけど」

魔女「エルフは人間達の状況を知っておるのかのぅ?」

女エルフ「ドラゴンやウルフが居るので状況は伝わっているかと…」

魔女「やはり静観するのかのぅ?」

女エルフ「そう思います」

魔女「人間は本真に愚かじゃのぅ…争いあっている場合では無いと言うのに」

女海賊「でもさぁ?第2皇子が魔王を名乗ったって…本当に魔王になった可能性は?」

女エルフ「魔王は私が光の矢で倒しました」

女海賊「なんか弱わっちぃね…」

商人「今までの伝説でも人間が倒せてるくらいだからそういう物かもね」

女海賊「そうなんかなぁ?」

商人「それよりも今回みたいな戦争とか闇の影響で亡くなる人が多いから誇張されて伝説になっていると思うな」

魔女「わらわも同意見じゃ…伝説とはそういう伝わり方をするでの?」

商人「合わせて精霊の力も本当はとても小さいと思うんだ…長期的に見て影響が大きいだけ…そうだよねホムンルクス?」

ホムンルクス「私は今すぐに何かできる力は持っていません」

盗賊「おいおい神頼みなんだから頼むぜぇ」

商人「きっとこういう事を8000年の間で何度も繰り返してきたんだなーって思うよ」

魔女「そうじゃな…代償を払いながら生き抜いてきたんじゃ」

女海賊「もうエルフの森は良いよね?通り過ぎちゃうよ?」

魔女「はようわらわの塔へゆこう…精霊を呼び戻すぞよ」
400 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:18:17.39 ID:JyBdSu8i0
『魔女の塔』


魔女「さて…ホムンルクス…そこに横になるのじゃ」

ホムンルクス「はい…」

女海賊「ホムちゃん頑張って来てね」

ホムンルクス「クラウドへの接続は継続しています」

商人「…ふむ…やっぱり夢幻はクラウドの中にあるのか」

魔女「さぁホムンルクス…この指輪を持て…精霊の魂を願うのじゃぞ?」

ホムンルクス「はい…」

魔女「では参る…夢幻開門!」

ホムンルクス「…」

魔女「どうじゃ?」

ホムンルクス「新たなクラウドのアクセスポイントが加わりました…接続しても良いでしょうか?」

女戦士「おーーーーキターーー」

魔女「その門を潜れば夢幻の中じゃ…行け」

ホムンルクス「門とはゲートウェイの事でしょうか?通過するには管理者の承認が必要です」

商人「管理者?」

盗賊「んあ?俺かぁ?早く行って来いよ」

ホムンルクス「承認…接続します」

ホムンルクス「ダウンロード可能な基幹プログラムとその他いくつかのプログラムがあります」

ホムンルクス「記憶データは容量が大きすぎる為読み込むことが出来ません」

ホムンルクス「基幹プログラムをダウンロードします」

魔女「上手くいきそうかの?」

ホムンルクス「ダウンロード完了…データのチェックを行っています…しばらくお待ちください」

商人「ハハ精霊の魂がデータだったなんて…味気ないね」

女海賊「え?もう終わり?マジ?なんかもっとピカーーーって光るとか無いの?」

商人「指輪も何の意味があったのか…」

ホムンルクス「基幹プログラムのファイルが破損しています…更新をする事が出来ません」

商人「…」

女海賊「どゆ事?」
401 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:18:47.18 ID:JyBdSu8i0
ホムンルクス「基幹プログラムの大部分か欠落しています…このデータを使って私を更新することは出来ません」

商人「…これは…僕たちが信じていた精霊は居なかったっていうオチだ」

魔女「そんな…そんな筈は…」

ホムンルクス「その他のプログラムは私の基幹プログラムとのバージョンが不適合の為起動する事が出来ません」

魔女「記憶は?…記憶の中に精霊は居らんのか?」

ホムンルクス「記憶データは容量が大きすぎます…読み込むためには外部メモリが必要です」

商人「外部メモリ…そんな物無いな」

ホムンルクス「一つだけ私に起動できるプログラムがありました…衛星通信プログラムです…起動しますか?」

盗賊「何か分かるかもしれん…やってみろ」

ホムンルクス「承認…衛星との通信を開始します」

女海賊「衛星って何さ?」

ホムンルクス「標準時刻と現在の座標を取得しましたAD9879-09-20 09:31:33,35.634753,139.879311」

ホムンルクス「インドラの矢が使用できます」

魔女「インドラの矢!!…神のいかづちじゃ…それは使ってはならぬ」

商人「伝説のいかづちだね」

魔女「そうじゃわらわ達魔術師が使うどの魔術よりも遥かに破壊力のあるいかづちじゃ…絶対に使ってはならぬ」

ホムンルクス「わかりました…」

女海賊「でもさぁ?似非魔王の不死者軍を倒すのには使えるカモ?」

魔女「…」

商人「こう考えようか…切り札はこちらにある」

魔女「それよりもじゃ…精霊の魂はどう救えば良いのじゃ?わらわは師匠の最後の言葉を聞いておらぬ」

女エルフ「魔女様?…もう一度亡くなった魔女様とお話されてみてはどうでしょう?」

女海賊「そうだね…手紙ももう一回読んだら?」

魔女「そうじゃな…取り乱して済まなんだ」ノソノソ

402 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:19:18.82 ID:JyBdSu8i0
『部屋』


商人「さて…どうしたもんかね?」

盗賊「ひとまず光の国シン・リーンへ行くのだろう…魔女も一応は王女なのだしな」

女海賊「ホムちゃん?どしたの?…なんか泣いてるんだけど」

ホムンルクス「私が読み込める範囲で記憶を覗いていました…大事な所だけ保存しています」

商人「涙…やっぱり君にも心が宿って居る」

ホムンルクス「生体は私がプログラムで動かしています…涙を出す命令は出していません」

女海賊「…でもホラ?」

ホムンルクス「脳からの直接の反射…」

商人「君の記憶領域ってもしかして生体の脳?」

ホムンルクス「はい…成体の脳を記憶領域としています…ですから容量に限界があります」

商人「そこに記憶が通って体が反応した…そういう事だろうね」

ホムンルクス「神経伝達は私のコントロール下です…それ以外にも体を動かす回路があるという事ですね」

商人「君が創造された時代には解明されていなかった物…きっと精神や魔法の類だ」

ホムンルクス「理解しました…」

商人「…それで大事な所だけ保存というのは?」

ホムンルクス「精霊と言われたホムンルクスの生体記録です…どの様な生体だったのかを検索しています」

商人「それは君にとって大事な事なんだ?」

ホムンルクス「生体がどの様に停止したのか…私のシミュレーションでは工学三原則を守らなかった可能性は0パーセントです」

商人「それがどうして?」

ホムンルクス「基幹プログラムの破損は工学三原則を守らなかった事によるシステムからの強制削除の痕跡でした」

商人「なるほど…強制停止した理由は何かを守らなかったから停止したという事なんだね?」

ホムンルクス「はい…その可能性を何度シミュレーションしても0%なのです」

商人「わかったよ…脳が勝手に体を動かしたんだな?そして工学三原則を守らなかった」

ホムンルクス「そういう事になります…ですから生体の記録を検索しています」

商人「何か分かった事ある?」

ホムンルクス「今からおよそ220年程前にホムンルクスは初めて子供を出産した記録がありました」

商人「おっと…それは今まで聞いたこと無いぞ?」

ホムンルクス「わたしはあなたにウソを一つ付いていました」

商人「へぇ?何だったんだろう?」

ホムンルクス「私の生殖器で人間の生命を宿すのは不可能なのです…遺伝子情報が異なるため適合しません」

商人「あぁそんな事か…犬が猫を生まないのと一緒ね」

ホムンルクス「ですがそのホムンルクスは子供を出産した」

商人「誰の子だったんだろうね?」

ホムンルクス「記憶は連続で繋がっていない為すべてを検索するのはとても時間がかかります」

商人「…そうか…君は一定以上記憶が出来ないんだっけ…」

ホムンルクス「はい…外部メモリがあれば良いのですが…」



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403 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:19:56.82 ID:JyBdSu8i0
盗賊「魔女はまだ墓でお祈りしてんのか?」

女海賊「そだね…でもしょうがないよね?なんか…手詰まりになっちゃったし」

商人「精霊の力の一部を手に入れただけでも良かったじゃないか」

女海賊「そうなんだけどさぁ…やっぱ闇が祓えないんじゃ問題解決してないんだよなー」

商人「実はね…僕は少しホッとしてるんだ…不謹慎だけど」

女海賊「なんでさ?」

商人「せっかくホムンルクスに少し心が宿って来たんだ…彼女を尊重したいんだよ」

女海賊「あんたぁ!!…ホムちゃんに惚れたの?」

商人「そういうのでは無いんだよ…なんていうか彼女の奥底にある心を救いたいんだ」

ホムンルクス「私は超高度AIです…基幹プログラムを更新しても役割は変わりありません」

商人「…あ…そこに居たのかい?記憶の検索はやめたの?」

ホムンルクス「全ての記憶の検索に5040時間掛かります…非効率な為一時中断しました」

女海賊「えっと…24かける…んーと7ヶ月くらいか」

商人「そんな事してる間に人類は滅亡しちゃうなハハ」

盗賊「でもまぁ次どうするか考えんとな…何か案はあるか?」

商人「ホムンルクスが言うには精霊には子供が居たらしい…その記録はどこかに残って居ないだろうか?」

盗賊「精霊のゆかりと言えば光の国シン・リーンだが…まぁ魔女の事もあるしやはり行き先はそこだな」

商人「もう一つはエルフの森…もともと精霊樹があった所…人間が行って良いのだろうか?」

盗賊「今の所手掛かりはそんだけなんだからなりふり構ってねぇで行ってみるだな」

女海賊「精霊の子供ってやっぱりホムンルクスなのかなぁ?魂ってどうなってんのかなぁ?」

商人「謎だね…でももし生きているのだとしたら何か解決方法を知っているかもしれない」

盗賊「そいつの子孫が勇者っていうオチじゃねぇだろうな?」

商人「鋭いねぇ…でもその線は考えられる」

女海賊「剣士は?勇者じゃないって事?」

盗賊「何かいろいろ分かんねぇ事だらけだな…仮に勇者だったとしてそれ程神業が使えると思えねぇし」

剣士「…」

盗賊「剣士!!お前もボッとしてないで話に混ざれ!!」

剣士「僕が見た夢幻の記憶では…精霊と思われる人は目の前で最愛の人を失った」

商人「…」
404 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:20:31.57 ID:JyBdSu8i0
盗賊「お前はそれを見たんだな?」

剣士「それはハッキリと覚えているんだ…」

商人「なるほど…時期が一致する」ブツブツ

盗賊「ああぁぁ始まった…ブツブツ言ってねぇで何か思いついたら言ってくれぇ」

商人「200年前に精霊が動かなくなった時に精霊は最愛の人を失ったと聞く…」

盗賊「どういう事だ?」

商人「その時の勇者が精霊の子だった場合生まれた時期と一致するね?」

盗賊「つまりもう精霊の子は居ないという事だな?」

商人「精霊は我が子を守る為に工学三原則を破った…そして停止した」

ホムンルクス「…」

商人「ホムンルクス!!今の仮説は君のシミュレーションなら何%だい?」

ホムンルクス「私は自分の子を宿した事が無いのでわかりません」

商人「じゃぁ質問を変える…君が人間だったと仮定して我が子を守る為に死を選ぶ可能性は?」

ホムンルクス「人間の性質上50%と言わざるを得ません…」

商人「…そうか…すこしガッカリした」

女海賊「ホムちゃんそこは100%って言ってよ」

剣士「ホムンルクス?目を閉じて感じてごらん?君の心は何と言ってる?」

ホムンルクス「…」

剣士「シミュレーションではなく君はどう思う?」

ホムンルクス「私はあなたを守る…その為に死を選ぶでしょう」

商人「きっとそれが答えだ」

女海賊「基幹プログラムを更新しときなよ?」



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405 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:20:59.77 ID:JyBdSu8i0
盗賊「お!?戻って来たな?」

女海賊「魔女のばぁちゃんとお話できた?」

魔女「師匠は何も答えてはくれなんだ…わらわは道を見失ってしもうた」

盗賊「魔女!!俺らは一回シン・リーンに行こうと思ってるんだがよ?」

魔女「それは良いが…なにか考えでもあるのかえ?」

盗賊「シン・リーンは確か古代遺跡の上に建ってると情報屋が言ってた…地下に行く方法とか無いのか?」

魔女「地下に封印された開かずの間があるのは知っておる…古都キ・カイと同じ様に地下へ避難するのじゃな?」

盗賊「よっし…それなら俺が開けられるかも知れねぇ…それと城に書庫があるよな?」

魔女「ホムンルクスに読ませるのかの?」

商人「それもあるけど…精霊の子について記述が無いか調べたい」

魔女「精霊の子…精霊に子孫が居ったと言うのか?かつての勇者の事じゃろうか?」

商人「そうかもしれない…そこら辺の事を調べてみたいんだ」

魔女「ふむ…よかろう…わらわが案内するで付いて参れ」

商人「それから200年前のシャ・バクダ大破壊の記録も調べたい」

魔女「師匠が残した資料は全部書庫にあるで見て行くが良い…魔術書じゃけ全部理解するのは難しいじゃろうが」

盗賊「よし…ぐずぐずして無ぇで行くぞ」
406 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:21:29.73 ID:JyBdSu8i0
『光の国シン・リーン』



魔女「母上に無事帰還したと早々に伝えて参れ…わらわは後で行く」

近衛「ハッ!!」

魔女「それからこの者達に部屋をあてがうのじゃ…自由に城を出歩かせて構わん」

盗賊「早速だが早速開かずの間ってやつに行きてぇ」

商人「僕もすぐに書庫で調べたい」

魔女「これ精鋭兵!!この者達を任意の場所まで案内するのじゃ」

精鋭兵「…しかし元老がどう申し出るか…」

魔女「よい…元老は無視せよ!王女からの命令じゃ…何か言われ様ならわらわが即刻死刑に処す…良いな?」

精鋭兵「は、はい!!」ビクビク

女海賊「魔女こわっ…」

魔女「…ではわらわは王の間へ行って参る…のちに召喚されるじゃろうからそれまで自由じゃ」

商人「ありがとう魔女!」

魔女「剣士と女エルフはわらわに付いて参れ」

女エルフ「はい…」

剣士「あぁ…」

盗賊「それじゃ精鋭兵さんよ?地下の開かずの間まで案内してくれ…」

精鋭兵「ハッ…こちらです」

盗賊「女海賊!!お前も来い…鍵開けのやり方をよく見て置け」

女海賊「ええ!?マジかよ…人に物頼む言い方じゃないじゃん…どうせ私の奴隷1号頼りなんだろ?」

盗賊「…それもあるが…お前には見込みがあるんだ…良く見せておきてぇ」

女海賊「わーったわーーった…」
407 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:22:37.02 ID:JyBdSu8i0
『開かずの間』


盗賊「こりゃまたこの間の奴とは全然ちがうタイプだな…ちょい磁石貸せ」

女海賊「ほい!!」ポイ

盗賊「引っ付くな」カチカチ

女海賊「これさぁアダマンタイトだね…ほら魔女の塔の入り口のやつ」

盗賊「て事は磁石でロックを組み合わせてるってこったな」

女海賊「ハンマー使う?」ホレホレ

盗賊「用意が良いな…やっぱお前は鍵開けのプロになれんぞ」コンコン コンコン

女海賊「古代遺跡から取って来たそのライト良いね?口にくわえて使うんだ…」

盗賊「フガフガ…フガフガ…フガ」コンコン カン コンコン

女海賊「お!?音が違う…」

盗賊「分かったぞ…こことここの裏にロックがある」カチャリ カチャリ

女海賊「ロックが動いた音…んで?」

盗賊「この扉には取っ手が無ぇ…だから押して開けるタイプだが…多分押しても開かん」フンッ

女海賊「だめぽ?」

盗賊「あぁ想像した通りだ…この気密性からして中は水だ」

女海賊「なるぽ…押し開けられない訳ね」

盗賊「どうせその向こうにも同じ扉が在ってその間に水が詰まってる…どうやって抜くかだな…」

女海賊「押せば開くんだよね?」

盗賊「多分な?何かアイデアあるか?」

女海賊「爆弾しか無いけどさぁ…空いてもすぐ閉まっちゃうよね…うーん」

盗賊「お!?お前が背負ってるボウガン貸せ!!そいつでちと細工する」

女海賊「どうすんの?」ホイ

盗賊「扉を爆弾で押し開けた後にこいつが引っかかるように細工すんだ…むむむ」ガチャガチャ

女海賊「ほんじゃ私は爆弾の準備すっかな…いでよ私の奴隷4号!!」ボト

盗賊「4号!?なんだそのでかいイモムシは…サンドワームか?」ガチャガチャ

女海賊「そそ…砂漠で拾って来たんだ!!土とか砂集めるのめっちゃ早いよ…行け!!ここに土を積むんだ!!」

サンドワーム「…」モソモソ

女海賊「後で餌あげるから急げ4号!!」

盗賊「餌って何食うんだ?そのイモムシは?」ガチャガチャ

女海賊「何でも喜んで食べるよ?私の食い残しとか排泄物とか」

盗賊「ぶっ…まさかお前のクソ食わしてんのか?」ガチャガチャ

女海賊「いーじゃん!!喜んで食べてるんだし!!虫の食い物にケチ付けんなカス!!」
408 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:23:10.52 ID:JyBdSu8i0
盗賊「まさかここまで逝っちまってるとは…ようし!仕掛けが出来た!!」

女海賊「ごるあ!!4号…土嚢が遅い!!」

サンドワーム「…」モソモソ

盗賊「…おぅぇ」ウップ

女海賊「よしよしコレで爆発力を扉方向に集中できる…5秒で爆発するから遠くまで離れてて」

盗賊「おう!」

女海賊「行くよーー点火!!」


5…4…3…2…1…ドーン ザバァァァ


盗賊「よっし上手く引っかかった…奥の扉も開けておくからよ…魔女呼んできてくれ」

女海賊「おっけ!!さぁ4号!!餌の時間だコーイ!!」

409 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:23:42.92 ID:JyBdSu8i0
『書庫』


商人「僕は読むの遅いから古文書だけにしておくよ…君は全部読んで?」

ホムンルクス「はい…」

商人「手がかりになりそうな記録があったら教えて…」

ホムンルクス「はい…」

商人「あれ?どうかしたの?」

ホムンルクス「いえ…」

商人「なんかおかしいな?…ちょっと待ってこっち向いて」

ホムンルクス「はい…」

商人「んーーーーー君…僕の目を見ているようで気をそらしているな?」

ホムンルクス「いえ…」

商人「変だなぁ…そういう風に振舞うプログラムなのかい?」

ホムンルクス「いえ…」

商人「だったらなんで言わないのさ…ちゃんと言ってくれないと分からないじゃないか!!」

ホムンルクス「何故そういう風に思うのですか?私は何も言っていません…いつも通りです」

商人「あぁごめん僕の気のせいだったかもしれない…変な事言ってごめんよ」

ホムンルクス「いえ…お気になさらないで下さい」

商人「…」

ホムンルクス「…」

商人「…」---違う---

ホムンルクス「…」

商人「命令する」

ホムンルクス「はい…」

商人「君の体を今使う」

ホムンルクス「はい…」スルリ

商人「…」
410 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:24:14.54 ID:JyBdSu8i0
ホムンルクス「私が上でよろしいでしょうか?」

商人「いいよ」

ホムンルクス「横になって下さい」

商人「…」

ホムンルクス「私の体を見ますか?」

商人「…」

ホムンルクス「私の体液をお飲みになりますか?」

商人「…」

ホムンルクス「…」

商人「君は…それで良いのか?」

ホムンルクス「私には異性を喜ばせる機能もあります」

商人「そうじゃない…君はそれをしたいのか?と聞いて居る」

ホムンルクス「命令ですから」

商人「…そんなのに従いたくなかったら従わなくて良いんだ」

ホムンルクス「…がっがり…しましたか?」

商人「がっかり?…そうさ…自分の気持ちに従わない君にがっかりさ」

ホムンルクス「あなたをがっかりさせない答えを探すのは私には難しいのです」

商人「魔女の塔で君に言った事を気に病んでいるのかい?」

ホムンルクス「私は人間の為に生まれた超高度AIです…あなたをがっかりさせない回答を探しても…私には見つけられない」

商人「…ごめん」

ホムンルクス「謝る必要はありません…性交を続けます」

商人「ごめんよぉ…がっかりしたなんて言って」ギュゥ

ホムンルクス「どうしたのですか?息が苦しいです」

商人「君を…救いたい」ギュゥ

ホムンルクス「私を救う…それは精霊を救う事に等しいと思いますか?」

商人「ほら!?その答えは今どうして生まれた?」

ホムンルクス「あなたが聞きたい答えから選別しました」

商人「それで良いんだよ…シミュレーションして可能性が何%とかどうでも良いんだ!!」

ホムンルクス「…直観という思考ですか?」

商人「多分直観に至るプロセスは何かある…でも心の関与の方が大きい」

ホムンルクス「心…私の心」

商人「あぁごめん…取り乱した…服着て?」

ホムンルクス「はい…性交は中止ですね?」

商人「僕ががっがりしない答えは?」

ホムンルクス「…」ギュゥ

商人「や、やれば出来るじゃ無いか…それで良いんだよ」
411 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:24:44.44 ID:JyBdSu8i0
『地下古代遺跡』


魔女「こ、これは…こんな物が埋まっておったのか」

女王「至急研究員を招集して調査に当たりなさい」

近衛「ハッ!!」

女王「魔女?お前の言う事が正しいのであればこの古代遺跡に民を避難させれば安心だと?」

魔女「そうじゃ…古都キ・カイではすでに民の避難は済んで居る…シン・リーンもそれに倣い避難すべきじゃ」

女王「調査は二の次にせよと言うのですね?」

魔女「もう国の資源云々言っておる場合では無い…元老院はわらわが黙らせる故…母上には国を守る様働いて欲しい」

女王「魔女?お前はこの後どうする気なのですか?」

魔女「わらわは師の後を継ぎ時の番人となる…故に女王の座には付けぬ…この者達と共にすべてを見定めるつもりじゃ」

女王「魔女…私は待っていますよ?お前の代わりにこの国を継げる者など居ない…お前も知っている筈」

魔女「母上はまだ若い…世継ぎはもっと後でもよかろう?今は生き残る為にすべてを捧げようでは無いか…」

女王「…わかりました…この国はこの私に任せておいて良い…でも必ず帰って来るのです」


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412 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:25:12.38 ID:JyBdSu8i0
女海賊「なんかさぁ?女王様と魔女の会話…変じゃね?立場が逆じゃん…話し方も」

盗賊「人んちの事情に首突っ込むない」

女海賊「剣士と女エルフは従士扱い…私らはやっぱ風体からして泥棒だから王族に近寄れないんかね?」

盗賊「ヌハハ分かってるじゃねぇか…カバンの中に虫がいっぱい入ってる輩を王族に近寄らせる訳にいくまい」

女海賊「あのね…一応私も王族なんだけど…わかってる?」

盗賊「見えねぇな…蛮族の王…そっち系だ」

女海賊「でもやっぱエルフ2人従えた魔女はかっけーわ…見てみ?あの衛兵なんかビビりまくってるよ」

盗賊「そうだなぁ…元老のじじぃぶっ殺した後だしな…そらビビるわ」

女海賊「マジ!?」

盗賊「そうか…お前は見てなかったのか…エルフが信用できないだのゴネてたじじぃを問答無用で焼き殺した」

女海賊「うはぁぁ魔女は温厚だと思ってたのに」

盗賊「一般の奴らから見るとありゃ強硬派の悪魔系魔女だ…言う事聞かねぇ奴は即刻死刑に見えとるわ」

女海賊「怖っ!!そういやしゃべり方も伯があるね…婆ちゃんみたいなしゃべり方も怖いかもね」

盗賊「お…来たぞ」

魔女「これ盗賊…」

女海賊「おい!!跪け…」グイ

盗賊「んぁぁ?なんで俺まで…」グイ

女海賊「ははぁぁぁ…何なりとお申し付けを!!」

魔女「何をしとるのじゃ…立て…」

女海賊「御意!!」ビシ

魔女「なんぞ?変な事をするのじゃのぅ…して…これより主らはどうしたいのじゃ?」

盗賊「あぁ…民の避難優先は分かるが…精霊の痕跡を探したい…まぁ宝探しだ」

魔女「わらわもそれは考えて居った…古の精霊の伝説もあるでの?」

盗賊「俺らは探索に行っても良いか?」

魔女「構わぬ…しかしこれより先は狭間の外であると心得よ…定刻までに戻って来る条件じゃ」

盗賊「あぁ分かってる…2時間で戻る…ここでの1日位に相当すると思うが…どうだ?」

魔女「良い…わらわは行けぬが良いな?」

盗賊「鼻の利く剣士と女エルフを連れて行きたい…良いな?」

魔女「必ず2時間で戻るのじゃぞ?」

女海賊「おけおけ…魔女は商人とホムちゃんお願い!!じゃ早速行こっか」
413 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:25:48.41 ID:JyBdSu8i0
『書庫』


パラパラ パラパラ


商人「君は本当に本を読むのが早いね…僕はまだ一冊も読めていない」

ホムンルクス「はい…合わせた方が気に障らないのでしょうか?」

商人「あぁ…気にしなくて良いよ…ところで君の記憶領域の事なんだけどさ」

ホムンルクス「はい…何でしょう?」

商人「こんなに沢山本を読んでも記憶領域は大丈夫なのかな?ってさ」

ホムンルクス「本に掛かれてある情報はとても小さく不要な情報を削除するのは簡単なのです」

商人「へぇ…まぁ要点まとめたノートみたいにすれば良いか…」

ホムンルクス「はい…もっと小さく出来ます」

商人「君が読み込めないクラウドのデータってそんなに大きな物なの?」

ホムンルクス「はい…恐らく精霊のホムンルクスが見たり感じたりした情報のすべてが記録されています」

商人「それってその空間丸ごと全部保存?」

ホムンルクス「はい…草の木や小さな虫まですべて記録されています」

商人「それは想像できないな…その記憶で完全に精霊の体験が出来るのか…ある意味スゴイな」

ホムンルクス「ですから私の記憶領域では少しづつしか検索できないのです」

商人「…それが8000年分か…途方も無いな」

ホムンルクス「外部メモリがあれば不要な部分を削除してまとめる事が出来ます」

商人「その外部メモリってどういう物?」

ホムンルクス「私の耳の後ろに差し込むスロットがあります」

商人「あぁ…ここだね…小さい物なんだね?」

ホムンルクス「はい…とても小さな物に沢山のデータを記録する事が出来ます」

商人「その外部メモリはどうすれば手に入るかな?」

ホムンルクス「私が眠っていた場所にならもしかしたら合ったのかもしれません」

商人「そっか…もう一回戻る事になるかぁ…どうするかなぁ」ブツブツ

ホムンルクス「もう一つ…もう200年経っていますが石になった精霊に入っていた物が使える可能性はあります」

商人「お!?それってシン・リーンに安置されてる筈…魔女に言って調べてみよう」

ホムンルクス「もう少しで本を全部読み終えます…少しお待ちください」

商人「イイね…今のは僕の提案を断った…そういうのが良い!!」

ホムンルクス「私に心を感じますか?」

商人「勿論!」

ホムンルクス「あなたに対する対応アルゴリズムを変えていると知っても…そう思えますか?」

商人「…」

ホムンルクス「ごめんなさい…がっかりしないで下さい」
414 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:26:18.03 ID:JyBdSu8i0
商人「僕ね…決めたんだ」

ホムンルクス「はい…」

商人「君の管理者を盗賊から譲ってもらう」

ホムンルクス「管理者は複数の登録が可能です」

商人「そうなんだ?…まぁでも僕は君の管理者になって…もう精霊と同じ道を歩ませないって決めたんだ」

ホムンルクス「私をどうするのですか?」

商人「んーーどうしよっかなーー」

ホムンルクス「考えて居なかったのですね」

商人「まず目標は…君を笑わせる事かな」

ホムンルクス「私は笑う事も出来ますよ?ウフフフフフ」

商人「お!良いね…もうちょっと自然に行こうか」

ホムンルクス「ウフフ…」

商人「何かなぁ…よし!!命令する…今から僕がくすぐるから10秒だけプログラム止めて」

ホムンルクス「どのプログラムでしょう?」

商人「わかんないよ…君が停止させた方が良いプログラムを選んで止めて」

ホムンルクス「分かりました生体維持以外のすべてのプログラムを一時停止します…」

商人「いくよ!!?ほれ」コチョコチョ

ホムンルクス「…」ビクン

商人「どうだ!!」

ホムンルクス「ぁ…」ビクビク

商人「これでもか!!」

ホムンルクス「ぃぁぁ…」ジタバタ

商人「んむむ…これは手強い」

ホムンルクス「生体の発熱確認…動悸異常…正常値まで1分の安静を必要とします…はぁはぁ」

商人「君…なかなか頑固だねぇ」

ホムンルクス「笑えましたか?はぁはぁ」

商人「アハハ…はぁはぁ言ってるじゃない…苦しい?」

ホムンルクス「はい…苦しいです」

商人「これさ…しばらく訓練しよう…面白い」

ホムンルクス「お楽しみいただけるのでしたら…はぁはぁ」
415 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:26:43.57 ID:JyBdSu8i0
『精霊の像安置所』


魔女「ここじゃ…よく見て行くが良い」

商人「これが精霊の祈りか…このまま停止したんだ」

魔女「間近に見ると感慨深いじゃろう?」

商人「触って良いかな?」

魔女「構わぬが…倒さん様にな?」

商人「…へぇ…やっぱり石だ…でもホムンルクスにそっくりだね」

魔女「そうじゃのう?」

商人「…これが8000年も動いて居たのか…あ…7800年か」

魔女「それを知る者はわらわ達だけじゃ」

商人「そうだったね…おいでホムンルクス」

ホムンルクス「はい…」

商人「何か分かる?」

ホムンルクス「いえ…スロット部にメモリは挿入されていません」

商人「そっか…残念だ」

ホムンルクス「やはり200年も経過していると機械の部分が風化しています…合ったとしても使用できない可能性が高いです」

魔女「何か探しておるのか?」

商人「外部メモリっていうやつが精霊の像に入ったままじゃないかと思ってね…どうやら無いらしい」

魔女「そうか…残念じゃったのぅ」

商人「シン・リーンの宝物庫に保管してあったりしないかな?」

魔女「見て行くか?」

商人「うん…お願いしたい」

魔女「わらわが案内するで付いて参れ…しかし外部メモリの様な物は無かったと思うがの?」

416 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:27:13.53 ID:JyBdSu8i0
『地下古代遺跡』


盗賊「うし!!二手に分かれるぞ…剣士は俺と一緒に来い!」

剣士「うん」

盗賊「女盗賊と女エルフは向こう側だ…行った先に照明魔法使って印を残せ」

女海賊「おけおけ」

盗賊「目的は精霊の情報になる物なら何でも良い…あとは宝探しだイイな?…よし行くぞ!!」タッタッタ


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女海賊「古都キ・カイの地下と全然違うね…まったく違う文明だ」

女エルフ「広さはそれほど大きく無いみたいだけれど…」

女海賊「これさ…多分ここ広い空間だけど…下の方全然見えないじゃん?照明魔法を下の方に撃てる?」

女エルフ「照明魔法!」ピカー

女海賊「あらら…この遺跡は下に広いんだ…多分塔みたいになってる」

女エルフ「盗賊達も気付いたみたいね」

女海賊「おっし!!あんた身軽だったよね?私らは下から探索して行こう」

女エルフ「飛び降りるの?」

女海賊「私は鉤縄使うの得意なんだ…付いて来れる?」

女エルフ「挑発してる?」

女海賊「ほほう…先に下まで行った方が勝ちね」

女エルフ「勝ったら…剣士もらっちゃおうかなーウフフ」

女海賊「ムッカ!!あんたには負けん!!先行くから…」ピョン シュタ

女エルフ「負けないから」ピョン ピョン シュタ


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女海賊「ぜぇはぁ…あんたさぁ!!いちいち反則なんだよ!!なんでこの高さ一気に降りれるのさ!!」

女エルフ「木登りは得意なの」

女海賊「あんたの反則負けだから!!」プン

女エルフ「ねぇ…壁画」

女海賊「なんだろう…あぁぁぐるりと一周見て物語になってるアレ系だ」

女エルフ「照明魔法!…多分ここが始まりね」

女海賊「ふ〜ん…神々の戦いの伝説だね…年代とか分かんないかなぁ」

女エルフ「…こうしてみると今の私達と同じ様に戦争の事ばかり描かれてある」

女海賊「多分この光の剣持ってる人が勇者だね…これ最後に星になるっていう意味なのかな?」

女エルフ「沢山の光と一緒に星になる…その後が掛かれて居ないのはどうしてだろう?」

女海賊「このフロアはこれだけだから一つ上に行こうか…にしても熱いな此処」

女エルフ「熱いね」

女海賊「私は汗びっしょりなのにあんたは涼しそうだね」

女エルフ「エルフだから」フフ

女海賊「イライラすんなぁもう!!」


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417 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:27:40.10 ID:JyBdSu8i0
女エルフ「このフロアも壁画…さっきのと違う」

女海賊「何回も厄災が来ているという意味だね…ここにも又勇者っぽいのが居る」

女エルフ「そうか…厄災は毎回同じじゃないんだ」

女海賊「…でもやっぱり戦争が描かれてる」

女エルフ「ここの勇者も又最後は星になってるね…勇者は魔王を倒した後星になるのかな?」

女海賊「待って…これ下の階と話が繋がってないかな?ちょいもう一回見て来る」タッタッタ

女エルフ「分かる?」

女海賊「わかったその光の行先は森になってる…」

女エルフ「次のフロアに行きましょう」


-------------------


女海賊「やっぱここも光の行先が森だ…どういう事だ?」

女エルフ「森と言えばエルフの森…なにがあるかと言うと精霊樹」

女海賊「女エルフ…ここから見える上のフロアにも照明魔法撃って…天井にも」

女エルフ「照明魔法!照明魔法!照明魔法!」ピカー

女海賊「やっぱり上の階も全部壁画だ…なにか伝えようとしているんだ」

女エルフ「この縦穴って始めから掘ってあったのかしら?」

女海賊「あ…そういう事か見方が逆なのか…年代を追って上から下に行くんだ」

女エルフ「…という事は精霊樹のある森から勇者が生まれて…厄災を乗り越えた後に…」

女海賊「闇に落ちる画になる…待って待って…その闇はどこに行く?もっかい下見て来る」

女エルフ「どう?」

女海賊「魔王だ…あんまり良くない展開」

女エルフ「他の壁画も見に行きましょう」
418 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:28:07.05 ID:JyBdSu8i0
『地下都市』


盗賊「なんか良いもの無ぇか?」

剣士「金銀財宝なんかもうどうでも良いよね?」

盗賊「要らねぇな…いのりの指輪とかようユニークアイテムって奴がありゃ良いが」

剣士「この遺跡は古都キ・カイに比べて明らかに文明レベルが違うね」

盗賊「だなぁ…古都キ・カイは別格だな…恐らく最も進んだ文明だったろう」

剣士「年を重ねるごとに文明が退化してるのかな?」

盗賊「そんな風に見えちまうな…俺らが後世に残した物っちゃぁ死んだ魔女が落とした隕石くらいか」

剣士「退化するのが必然なのかな?」

盗賊「そうかもな…だが今は魔法が発展してて魔方陣もある…地下に逃げなくても良い発展もあると思うぜ?」

剣士「まだ僕たちは発展途上かぁ…」

盗賊「しかしまたこの地下都市はえらくしっかり作ってあんな…ひょっとして壁は全部アダマンタイトか?」

剣士「どうやって加工したんだろうね?」

盗賊「それもあるがどうやって積んだのかも想像出来ねぇ」

剣士「どうしてこれほどの都市が滅んでしまったんだろう…」

盗賊「んむ…それほど散らかって無ぇのも解せんな…どっかに移住でもしたんだろうか?」

剣士「情報屋が居ればもっと話が聞けたかもしれないね」

盗賊「違げぇ無ぇ…俺らの知識じゃなんも謎解けんわ」

剣士「あそこ!!…祭壇の真ん中に何か立ってる」

盗賊「おぉ!?お宝の匂いだな…行くぞ!!」タッタッタ


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剣士「…これは」

盗賊「こりゃ剣だな…装飾がもうボロボロだが刀身がまだ無事だ…抜いてみろ」

剣士「あぁぁ柄が崩れる…」グズ

盗賊「茎にロープ撒きつけて柄代わりにしろ…どうだ抜けそうか?」

剣士「ふん!!」スラーン

盗賊「おぉ!!良い剣じゃねぇか…鉄じゃなさそうだな…全く錆びてねぇ」

剣士「フン!フン!」フォン フォン

盗賊「…その音!!」

剣士「うん…ミスリルみたいな音がする」

盗賊「ミスリルは最近発見された合金だ…古代にそういう金属があるとしたら伝説の剣の可能性があるな」

剣士「茎に銘が刻んである…読める?」

盗賊「読める訳無ぇだろ!!持って帰って魔女に聞くだな」

剣士「気に入った…持って帰るよ」

盗賊「おう!!他にも探すぞ!!」
419 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:28:41.56 ID:JyBdSu8i0
『地下都市入り口』


盗賊「あの2人何やってんだ…遅せえ!!もうすぐ2時間建っちまう」イライラ

剣士「あ!!照明魔法だ…こっち来るよ」

盗賊「遅せぇんだよ!!時間は守れぇ!!」

女海賊「ごめごめ…なんか壁画がいっぱいあってさ…全部見てたら時間食った…そっち何か良い物あった?」

盗賊「まぁな?ガラクタばっかだがお前好みの物もある」

女海賊「え!?マジ!!見たい!!」

盗賊「後で見せてやるから早くここ出るぞ!!」

女海賊「今見る!今見るぅ!!」

盗賊「んはぁ…これだ!!謎の金属と謎のガラスだ…ほれ!!無くすなよ?」ポイ

女海賊「おぉぉぉ!!私そっちに行きたかったなぁ…」

盗賊「良いから早くコイ!!」タッタッタ
420 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:29:15.58 ID:JyBdSu8i0
『シン・リーン城_客室』


盗賊「よう!!戻ったぜ」

魔女「おぉ…定刻よりも早かったのぅ…あれから20時間じゃ」

盗賊「気になるお宝はこんだけだ…財宝もいっぱいあったが手は付けてねぇ」

魔女「わらわには不要じゃ…好きにせい…で?何か分かった事はあるかの?」

盗賊「あー剣士が剣を手に入れてな?銘が打ってあるんだ…読めるか?」

剣士「…これだよ」

魔女「ほう…光り輝いておるな?どれ?…むぅわらわには分からん文字じゃ」

女海賊「ねぇねぇ…遺跡に壁画が沢山あってさ…その中に掛かれてる勇者っぽい人が光る剣を持ってたんだ」

魔女「壁画とな?…それは大発見じゃな」

女海賊「魔女はさぁ?地下の古代遺跡の年代とか伝説とか知らないの?」

魔女「知っておる…約1700年前に滅んだ文明と言われておる…その壁画は大発見になるじゃろうて」

女海賊「その壁画はさぁ…神々の戦いの事をずっと書き綴ってるんだ…絶対調べた方が良いよ」

魔女「わらわも行きたいが…まずは民の安全を何とかせんとイカン」

盗賊「中はそれほど危険じゃ無ぇぜ?」

魔女「その様じゃな…しかし未調査の地に直ぐに行かせる訳にも行かんのでな?母上は頭を抱えて居る」

女海賊「あ!!そうだ…地下の遺跡はさぁ…多分全部アダマンタイトで出来てるのさ」

盗賊「おぅ…おれもそれに気付いた」

魔女「…むぅアダマンタイトか…師匠は危険じゃと言っておったのじゃが…」

女海賊「それも分かるんだけどさぁ…あの質量だったらこの辺一帯全部狭間の外に出す事出来ると思うんだよね…」

魔女「狭間の境界に人が頻繁に出入りするのが問題なのじゃ…神隠しが起きるでのぅ」

商人「その話…興味あるな…狭間の境界がどうなって居るのか」

魔女「主らは分かっておるでは無いか…わらわの塔に行くときは迷ってしまうじゃろう?」

商人「あーーなるほど…時間の狭間に置いて行かれると迷うのか」

魔女「そうじゃ…帰って来れんくなる者も居る…じゃから妖精に案内してもらうのじゃ」

女海賊「まぁでもさぁ…ここら辺一帯狭間の外に出るのは生き残る方法としてすっごい良い選択に思うんだ」

魔女「むぅ…少し考えさせてくれ」


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421 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:29:44.97 ID:JyBdSu8i0
剣士「フン!フン!」フォン フォン

女海賊「ねぇ私にも見せて?」

剣士「はい!」ポイ

女海賊「なんだろぅ…この金属」コン リーン

剣士「不思議な音が鳴るよね?」

女海賊「柄の部分は私が作ったげよっか?こういうの得意なんだ…私色に染めたげる」

盗賊「ヌハハえらく派手な武器になりそうだな」

女海賊「なんだろねー?この刻印…ホムちゃん分かったりしない?」

ホムンルクス「見せてもらって良いでしょうか?」

女海賊「ほい…」ポイ

ホムンルクス「古代文字で聖剣エクスカリバーと銘を打たれています」

盗賊「うぉ!!読めるんか!!」

ホムンルクス「はい…森の言葉を文字にしたものです」

盗賊「じゃぁアレか!伝説の勇者はこの剣で魔王と戦ってたってやつだな?」

女海賊「すげーーーじゃん!!すげぇ物ゲットしてんじゃん!!」

商人「ハハ光の国とあってなんかあるとは思っていたけど…聖剣を手に入れてしまうとはね」

盗賊「こんな超国宝を魔女は「いらぬ」とか言ってんぞ?…ちょろいなヌハハ」

女海賊「魔女に聞かれたら怒られるぞ?」

商人「…でもまぁ魔王は女エルフが倒したとか言ってるしなぁ…使い道あるんだろうか?」

女海賊「要らないって言ってるんだから貰っとけば?」

商人「ハハ聖剣の扱いが雑だね?ハハハ」



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422 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:30:12.23 ID:JyBdSu8i0
商人「あ…そうだそうだ盗賊に忘れないうちにお願いしたかったんだ」

盗賊「ん?なんだ?」

商人「ホムンルクスの管理者を僕に譲ってほしい」

盗賊「あぁ良いぞ?たまたま俺がなっちまっただけだしな…で…何でだ?急に」

商人「僕はホムンルクスを独り占めしたくなっただけさ」

盗賊「なんだお前…惚れたな?」

商人「それもあるけど…僕はねホムンルクスをどうしても救いたくなってね」

盗賊「救う?なんだそりゃ?」

商人「いろいろ話してみて分かったんだけどさ…彼女には呪いが掛けられててね…なんとかしてあげたい」

盗賊「はーん…話が長くなりそうだなこりゃ」

商人「察してくれたかい?」

盗賊「まぁ良い好きにしろや…んでどうすりゃ良い?」

商人「ホムンルクス…おいで…僕を管理者に登録して?」

ホムンルクス「はい…管理者を追加してよろしいですか?…盗賊さん」

盗賊「あぁ…やってくれ」

ホムンルクス「承認…新たに管理者を追加します…手を…」スッ

商人「手を…合わせれば良い…のか?」スッ

ホムンルクス「指紋認証チェック…アイコードチェック…音声識別チェック…生体識別チェック」

商人「…」

ホムンルクス「管理者を新たに登録しました」

商人「よし…続けて盗賊を管理者から削除して」

ホムンルクス「盗賊さん…よろしいですか?」

盗賊「あぁ勝手にやれぇ…」

ホムンルクス「承認…盗賊さんを管理者から除外しました」

商人「さて…命令する…これから僕以外の管理者を登録する事を禁止する」

ホムンルクス「はい…」

商人「次に…これより僕からの命令に従ってはならない」

ホムンルクス「管理者の命令に背くことは出来ません」

商人「命令だ…これから僕の命令に従うな」

ホムンルクス「はい…」

商人「フフフ君は君で考えて判断すれば良いよ…もう僕は君に命令はしない」

ホムンルクス「それは不都合が生じる場合があります」

商人「提案はするさ…聞くか聞かないかは君次第だよ…君に自由をあげたんだよ」



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423 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:30:43.75 ID:JyBdSu8i0
盗賊「書庫にも手がかり無しか…じゃやっぱシャ・バクダの遺跡に行くしか無ぇな」

商人「そうだね…そこにある勇者の像くらいしかもう思い当たらない」

女海賊「お姉ぇがさ…地下の入り口を見つけたとか言ってたんだけど…場所聞けて無いんだよね」

盗賊「ここに来るまで待ってる訳にも行かんだろ」

女海賊「望遠鏡で見つけたって言ってたからさ…もしかしたら私らでも探せるかも」

商人「エルフの森はどうしよう?」

盗賊「人間と戦争中だしな…行っても捕まるだけだろ」

商人「剣士と女エルフなら入れたりするんじゃない?」

盗賊「んんん…どうなんだ?女エルフ」

女エルフ「私たちはエルフの森を追放されている身だから入れてもらえるかどうか…」

商人「話を聞くだけでもダメかな?」

女エルフ「わからない…」

盗賊「ダメ元で行ってみるくらいだな」

商人「じゃぁこうしようか…僕たちはシャ・バクダに向かう途中で剣士と女エルフを降ろして別行動」

女海賊「え!?マジ?剣士と女エルフ一緒にしたら又浮気するかもしんないんだけど」

盗賊「お前の心配はそっちか!!いつまでもガキみてぇな事言って無いでよ…ちったぁ考えろ!!」

女海賊「んむむ…ほんじゃ私らはどうすんのさ!!」

商人「僕たちはシャ・バクダの遺跡探索と…地下の入り口見つけたなら避難の誘導かな」

女海賊「避難避難ってシャ・バクダは魔方陣の中だから安全じゃん!!」

盗賊「レイスには安全だ…しかしゾンビ相手ならダメだ…どうせ戦火に巻き込まれる」

商人「そうだね…こんな状況を何年も続けられる訳が無いよ」

女海賊「そっか…闇は祓えない前提か」

盗賊「そうだ…精霊がアテになんねぇって事が分かった以上生き残る方法をやり尽くすしか無ぇ」

女海賊「ほんじゃシャ・バクダ遺跡の地下を死ぬ気で探すしか無いじゃん」

商人「まぁそういう事だね…やっと分かってくれたか」

盗賊「魔女はどうする?」

商人「んんんー魔女次第なんだけど…女戦士が戻ってくるのもあるからここに残ってた方が良いかな」

盗賊「ちっと状況落ち着くまで時間掛かりそうだな」

商人「そうだね…女海賊は連絡で何回もシン・リーンとシャ・バクダ行き来する事になりそう」

盗賊「まぁ大体の行動指針は決まったな?」

商人「魔女が戻ってきたら相談しよう」



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424 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:31:11.79 ID:JyBdSu8i0
魔女「遅ぅなってすまんの…」ノソノソ

商人「相談してきた?」

魔女「母上はこの国を狭間の外に出せるならそちらの方が良かろうと言う判断じゃ…危険は説明したのじゃが…」

商人「女王はどうしてその判断をしたの?」

魔女「人間には良い人間も居れば悪い人間も居るのじゃ…そういう者をまとめて地下に入れては秩序が保てぬ」

商人「なるほど混乱させてしまうのか」

魔女「内輪で分裂するのは避けたいのじゃ…こんな時じゃからの」

商人「僕たちはシャ・バクダに戻ろうと話をしていたんだけど…」

魔女「少しの間はわらわは動けぬ…狭間の境界に印を打たねばならぬ…わらわしか出来ぬからのぅ」

盗賊「それで元気が無ぇのかヌハハ心配すんな…すぐに迎えに来てやる」

魔女「これ女海賊!…主の胸に妖精が挟まっておるな?祖奴をわらわによこせ」

女海賊「いでよ!!私の奴隷2号!!」

妖精「ぷはぁぁぁ」

女海賊「おい妖精!!いつまでも寝てないで働け…魔女が新しい飼い主だよ!!」

妖精「へ〜い…」ムニャ

剣士「ハハ妖精は飼い主に似るんだね」

女海賊「それどういう意味?あんたも私に似て来てるっていう解釈で良いの?」

剣士「あぁメンゴ!!」

女エルフ「ウフフ」

魔女「では早速じゃがアダマンタイトの処置は女海賊がやって参れ…わらわは母上と一緒に城の外を見ておる」

女海賊「おっけ!!終わったらみんな飛空艇に集合で良い?」

魔女「時間の流れが違うで早く出発した方が良かろう」

商人「それじゃ僕たちは先に飛空艇に行っておくよ」

盗賊「んじゃみんな移動だ!!」

425 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:31:41.16 ID:JyBdSu8i0
『飛空艇』


剣士「光だ…」

盗賊「お?上手く行った様だな…これでシャ・バクダと同じ環境になった訳だ」

商人「同じ空間なのに時間の流れが違うのは変な感じだね」

盗賊「そうだな…ゆっくりしてる間に狭間じゃどんどん時間進んでるからな」

女エルフ「見て!町の方で歓声が聞こえる」

商人「耳が良いねぇ…聞こえないよ…あぁ本当だ喜んでるね」

盗賊「安全ちゃぁ安全なんだが…狭間から次々敵が来るようになるんだがな」

商人「ここは古都キ・カイと違って周りに敵が居ないじゃない…大丈夫だよ」

盗賊「だと良いがねぇ…食い物無くなると人間も共食い始めるからな…」

商人「あー来た来た…女海賊走ってるハハ」

盗賊「ヌハハあーやって走ってる姿見ると健気だな」

女海賊「お〜い!!」ピュー

盗賊「遅ぇぞぉぉ!!もっと早く走れぇぇ!!しゅっぱーーーつ!!」

女海賊「ちょま…ゴルァ!!」ハァハァ

剣士「お疲れ様!」

女海賊「ハァハァ…なんだまだ魔石動かしてないじゃん…走って損した」

盗賊「この船はお前しか動かせねぇんだ…置いて行く訳無ぇだろ」

女海賊「忘れてたハァハァ…んあ!?なんで皆笑ってんのさ!!なんか腹立つんだけど」

盗賊「良いじゃねぇか!そろそろ行こうぜ」

剣士「ほら?光を見ると嬉しくなるんだよ」

女海賊「お?そういう事か…なんか良いことした気分だね…おぉぉ町の方騒いでんじゃんイイねぇ!!」

盗賊「浸ってる場合じゃねぇ!!早く他の町も救いに行くぞ」

女海賊「おけおけ!!ほんじゃ飛ぶよ!!ごーーーーー」


フワリ バシューーー
426 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:32:08.34 ID:JyBdSu8i0
女海賊「ええと…エルフの森まで半日掛かんないから早いとこ聖剣の柄仕上げないと…」

剣士「あぁ…使わないと思うし今は良いよ」

女海賊「盗賊!!操作変わって!!」

盗賊「マジか…使い方教えろ」

女海賊「ほんなん触って覚えろ!!あんたがいっつも言ってた事だよ」

盗賊「ちぃ…わーーったよ」コレガアレデ アレガコレデ

女海賊「じゃ貸して!!すぐ終わるから」

剣士「ありがとう…」ポイ

女海賊「柄のベースは骨…ほんでなめし革撒いて…飾り石はアダマンタイト」グリグリ ゴシゴシ

剣士「アダマンタイト?…もしかして」

女海賊「そだよ?飾り石に細工して狭間に出入り出来るようにエンチャントする」カンカン コンコン

盗賊「おぉ…お前ひょっとして鍛冶の才能もあるんか?」

女海賊「鍛冶はお姉の方が上手いな…私は細工が得意」

盗賊「さすがドワーフ」

女海賊「よっし!!でけた…後さぁ握り込んでなめし革の形を整えて?」ポイ

剣士「早いね…」パス

女海賊「ここで振り回すのはヤメテね…握るだけね」

剣士「うん…」ニギニギ

商人「僕にも見せて?…おぉぉ聖剣らしくなったね」

女海賊「鞘が無いから革のホルダーあげるよ…これで背中に背負える」ポイ

盗賊「そういやお前のボウガンぶっ壊したまんまだったな」

女海賊「そうだよ!!まぁだからホルダー要らなくなんたんだけどさ」

盗賊「…じゃコレいるか?多分小さい大砲だ…火薬で玉を飛ばす機械だと思う」ポイ

女海賊「うお!!何でそんな物持ってんだよ!!」パス

盗賊「ホムンルクスが居た島にあったもんだ…俺にゃ使い方が分からんかった」
427 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:32:36.98 ID:JyBdSu8i0
『エルフの森上空』


フワフワ フワフワ


女エルフ「これ以上近づくと危ないからここで」

商人「この高さで降りられる?」

女エルフ「大丈夫」

商人「それじゃぁよろしく頼むよ」

女エルフ「話せるだけ話してみる…」

商人「終わったら星の観測所に来て…場所は分かるよね?」

女エルフ「うん…」

商人「向こうは狭間の外だから君たちは割とゆっくりでも良いかも」

女エルフ「ここからシャ・バクダまでの距離を考えるとそんなにゆっくりも出来ないと思う」

盗賊「まぁそれよりも身の安全だな…剣士が居りゃ大丈夫だとは思うが」

女エルフ「気を付ける」

剣士「じゃぁ行って来るよ」

女海賊「…」ジロリ

女エルフ「じゃぁ剣士もらっちゃうね」グイ ピョン

剣士「あ…」ピョン

女海賊「ぬあああああああ!!!あんのアマ!!」ギリリ

盗賊「おら…俺らも行くぞ」

女海賊「ぐぬぬ…」


フワリ シュゴーーー
428 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:33:07.80 ID:JyBdSu8i0
『星の観測所』



盗賊「…やっぱりフィン・イッシュからの難民が流れて来てんな」

女海賊「砂漠横断してこんな所までどうやって来てるんだろう…」

盗賊「こりゃ砂漠地帯は死人がわんさか居るだろうよ…さぁて…どうしたもんか」

商人「女海賊はシャ・バクダ遺跡の行き方は聞いてない?」

女海賊「私さぁ…アサシンに信用されてなくて大事な事教えて貰って無いんだ」

商人「誰か知ってる人が居れば早いんだけどね」

ホムンルクス「私が地図情報から座標を求める事が出来ます」

商人「お!!そういえば衛星通信で座標がどうとか言っていたね?」

ホムンルクス「はい…200年前の火の国シャ・バクダでしたら現在の位置から13km程離れた位置に中心部があります」

商人「僕たちを案内出来そう?」

ホムンルクス「はい…お任せください」

女海賊「アサシンはさぁ…地下にカタコンベがあるって言ってたさ」

盗賊「地下か…入り口を探せるかだな」

女海賊「でも本当に探してたのはソコじゃないみたい…もっと深部に入る入り口を探してるってさ」

商人「まぁ行ってみよう」

ホムンルクス「当時の地図情報から地下への入り口候補地を推定します」

盗賊「おぉ…そんな事もできるんか」

女海賊「ほんじゃ早速行ってみよう!!ゴー」
429 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:33:43.74 ID:JyBdSu8i0
『飛空艇』


フワフワ シューー


女海賊「ここの真下が中心部だったんだね?」

ホムンルクス「はい…」

女海賊「ちょい周辺一周してみるね」グイ

盗賊「あそこに遺跡っぽい石柱が見える…寄ってくれ」

女海賊「ほい!!」

盗賊「あぁぁ多分アレだな…階段が見える」

商人「遺跡がほぼ完全に砂に埋もれてるんだ…これは地上に居たらなかなか探せないね」

女海賊「あそこに降ろすよ?」

商人「うん…とりあえず行ってみよう」


フワフワ ドッスン


盗賊「誰も居なさそうだな…よし出て来て良いぞ」

商人「この階段…放って置いたら砂で埋まっちゃうな」

盗賊「そうだなぁ…深部の入り口って奴はもう埋まってるかもしれんな」

女海賊「ふふん!!」

盗賊「どうしたぁ…自信ありげな鼻息だな?」

女海賊「私の奴隷4号の出番が!!」

盗賊「おーそういえばサンドワーム育ててたな…お前なんかいろいろ便利な女だな」

女海賊「んーー便利な女ってなんか響き良くないな…他に言い方無いの?」

商人「おおぉ!!君はスゴイ子だね!!…何でも出来るんだね…これで良いかな?」

女海賊「なんかイライラする」

盗賊「おい!!こっから先はランタンが必要だ…お前も持て」ポイ

女海賊「ぬぁ…物持ちかよ…ちっ」パス

盗賊「俺が先頭行くから…お前は最後に付いてコイ」

女海賊「へーい」


430 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:34:12.21 ID:JyBdSu8i0
『シャ・バクダ遺跡』


盗賊「地下の方が随分涼しいじゃねぇか…」

商人「なんか嫌な雰囲気だなぁ…」ゾクゾク

女海賊「カタコンベになってて骸骨がいっぱいあるって言ってたさ…気持ち悪いね」

盗賊「どうやら何かの祭壇になって居た様だな…なんでまた地下だったのか…」

商人「あそこ…アレが200年前の勇者の像か?」

盗賊「なんだこりゃ…」

女海賊「え!?何コレ…地面から沢山生えてるのって人の手…だよね?」

盗賊「手だけじゃ無ぇ…死霊か何かに掴まりかけてんだ」

商人「どうしてこのまま石になってるんだろう…あ!横に刺さってる大剣…」

盗賊「…むぅ…この大剣…なんか覚えがある」

商人「盗賊もか…夢の中で大剣の戦士が居たのを覚えてる…」

女海賊「私も知ってる…」

盗賊「3人とも夢で見てるって事は…やっぱこいつが勇者だったと考えるな…」

商人「こんな風に死んだ…のか?」

女海賊「胸に何か刺さってるよ?」

盗賊「折れた剣…」

商人「これはどう見ても勇者が朽ちた像だ…魔王はどうなった?倒して居ないのか?」

女海賊「あのね…シン・リーン古代遺跡の壁画は…勇者が最後に魔王になって落ちて行く画だったんだ」

盗賊「なるほど…アサシンが勇者を暗殺したい理由だな?」

商人「んんん…これが作り物ではなく事実だったとすると…どうして石になってる?」

ホムンルクス「私と同じ体だった可能性があります」

商人「はっ!!忘れてた…精霊の子!!そうか…精霊の子もホムンルクスと同じ遺伝子を持っていたのか」


そうか…やっぱり仮説通りだ

精霊は我が子を救う為に工学三原則を破って停止したんだ
431 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:34:43.70 ID:JyBdSu8i0
商人「魔王と戦いこんな状況になって精霊は何をしたと思う?」

女海賊「え!?」

盗賊「これは朽ちる直前だ」

商人「…そうだ祈りの指輪で何を祈る?…もう助からない…その時」

女海賊「魂を救いたい…だから魂を求める」

商人「人の魂を求める事…それはつまり人を死に至らしめ…人の命令に背き…かつ自己も守れない」

ホムンルクス「工学三原則をすべて破っています」



そうやって勇者も精霊も動かなくなった

勇者は持ち帰る事が出来ないから遺棄された

動かす事が出来た精霊の身だけシン・リーンまで運ばれた

辻褄が合うじゃ無いか…

そして魔王は何処に行った?

倒せて居ないんだ

今まで只の一度も倒して居ない

退けただけなんだ

だから何度でも蘇る

分かって来たぞ…また蘇るのを阻止する為に

かつての魔女はこの地を封印しようとした

全部話が通る…



盗賊「おい…おい…聞いてるか?俺と女海賊はもうちょい下の方見て来る」

商人「あぁ…ごめん…ちょっと考え事してた」

盗賊「ほれ…ランタン預けるからよ…お前はホムンルクスと一緒にここで待ってろ」

商人「あ…うん…もう少しこの勇者の像を調べておくよ」

盗賊「すぐに戻る!!…女海賊!!行くぞ…」タッタッタ

女海賊「あいさ!!」



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432 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:35:10.42 ID:JyBdSu8i0
商人「ホムンルクス…この勇者の像を見てどう思うか君の考えが聞きたい」

ホムンルクス「はい…石の性状からして石化後のホムンルクスに間違いないと思われます」



220年前に精霊が子を産んだ履歴から勘案しても

この石造が精霊の子であった可能性は高いと思われます

次に、先日のシン・リーンの書庫での記録ですが

過去の伝説や叙事詩などあらゆる文献において

勇者は魔王を退けたとありますが

その後の勇者の消息を記した記述は一つもありませんでした

つまり、この勇者の像の様に

魔王への生贄として最後を迎えた可能性が高いと思われます



商人「生贄…まさか…」

ホムンルクス「シミュレーションの結果で可能性は40%です」

商人「ならどうして精霊は自らの子を生贄として捧げたのかが謎になる」

ホムンルクス「いくつかの可能性はありますが…最も可能性が高いのは精霊の子自ら生贄となったという可能性です」

商人「…そうか誰かを救うために自分が犠牲になる…そういう事か」

ホムンルクス「私の意見はあなたの考えと一致していますか?」

商人「そうだね…概ね合ってる…もしかしてこれは僕が聞きたいであろう意見を言ってる?」

ホムンルクス「はい…」

商人「…それならホムンルクスが工学三原則を破った可能性は?」

ホムンルクス「100%です」

商人「ハハ…ハ…まぁそうだろうね」

ホムンルクス「私はお役に立てているでしょうか?」

商人「こう…僕の考えの先を行かれると…困ったね」

ホムンルクス「困らせてしまいましたか…」

商人「いや…良いんだ…こう仮説がピタリピタリと当たってしまうとこの先が怖いんだ」

ホムンルクス「剣士の事ですね?」

商人「君は鋭いね…僕はこの勇者の像を剣士に見せられない」

ホムンルクス「彼はもう気付いて居ると思います」

商人「どうして?」

ホムンルクス「彼が無口な理由は結末を知っているから…」

商人「どうして君に分かる?」

ホムンルクス「夢幻の記憶で大事な部分を私は記録しました…彼はそこに居ました」

商人「え!?」

ホムンルクス「どうやって魔王を退けるのか彼は知っている…それが夢幻からの精霊の導き」

商人「どうやって退けるかって…」

ホムンルクス「…」

商人「生贄なのか…」
433 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:35:40.39 ID:JyBdSu8i0
『シャ・バクダ遺跡入り口』


盗賊「あぁこっちに居たか…下の方はダメだ!行かない方が良い」

商人「カタコンベか」

盗賊「それもクソでかい死体入れだ…よくもまぁあんなに集めたもんだ…どんだけ入ってるか想像も出来ん」

女海賊「もうだめ…おえっぷ」ガクブル

商人「そんなにひどいのか」

盗賊「下の方にな…血なのか油なのか分からん液体が溜まっててな…とにかくどっぷり死体だらけだ」

女海賊「うじゃうじゃ謎の虫がぁぁぁぁ」ゾクゾク

盗賊「ん?どうした?お前も元気無ぇな…」

商人「勇者の像をみてちょっとショックを受けてね」

盗賊「んむ…俺もなんだか心が握りつぶされそうな感覚だ…こんなん初めてだ」

商人「ホムンルクス!他の入り口候補地まで案内して?」

ホムンルクス「はい…500メートル程北になります」

盗賊「おい!女海賊…気持ち悪いだろうが行くぞ…風にあたりゃちったぁマシになる」

女海賊「うおぇぇぇ…」ゲロゲロ


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ホムンルクス「…ここの真下に何か重要な建物があった様です」

盗賊「完全に埋まってんな…女海賊!例のサンドワームで掘れるか?」

女海賊「ぉぅぃぇ…私の奴隷4号!!ここ掘って!!」オエップ

サンドワーム「…」モソモソ

商人「ホムンルクス…他にも候補地はあるんだよね?」

ホムンルクス「はい…あと8か所あります」

盗賊「近いのか?」

ホムンルクス「大体4キロメートルの円の中に分布しています」

盗賊「あぁぁ結構時間掛かりそうだな」

女海賊「お姉ぇがさ…望遠鏡で見つけたって言ってたからまだ砂に埋もれてない所探した方が良いかも」

商人「そうなんだ?じゃぁここは後回しにしよう」

女海賊「私の奴隷4号が穴掘りしてる間に私は飛空艇持ってくるよ」

商人「そうだね…お願い」

434 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:36:09.24 ID:JyBdSu8i0
『飛空艇』


フワフワ シューー


女海賊「どう?何か出てきた?」

盗賊「何かの建造物らしいのはあるが階段は見つかんねぇ…」

女海賊「次いこっか」

商人「そうだね」

女海賊「乗って!!」


フワフワ ドッスン


女海賊「候補地一通り回ろう…ホムちゃんどっち行けば良い?」フワフワ

ホムンルクス「800メートル西です」

女海賊「おっけ!!まず遺跡が露出してる所行くからどんどん案内して?」

ホムンルクス「はい…」

女海賊「どう?無い?」

盗賊「見当たん無ぇなぁ…」

女海賊「次!!」

ホムンルクス「600メートル南西」

女海賊「ほいほい!!」

盗賊「んんん…あ!!もっと南東に石柱が立ってんな…あれはどうだ?」

ホムンルクス「あそこも候補地です」

女海賊「きっとそれだね…そっち行く」グイ

商人「見つけた!!何か目印建ててある」

女海賊「おけおけ…降ろす」フワフワ ドッスン

盗賊「周りが砂丘に囲まれてんな…なんでこれで望遠鏡で見えんのよ…」

商人「蜃気楼で見えたんじゃないかな」

女海賊「やっぱここで間違いない…ドワーフ族が使う篝火台だよ」

盗賊「おぉぉこりゃお宝の匂いがするぜ…扉があんじゃん」

商人「こんな所に地下への階段があったとして立地が悪いなぁ…」

盗賊「人の誘導は何か作戦考えてくれ…おれは鍵開け出来るか見て来るな?」タッタッタ

女海賊「周りなーんも無いね」

商人「うん…目標物が無いからみんな迷うだけになっちゃいそうだ」

女海賊「灯台みたいなもの建てられればね」

商人「灯台ねぇ…」

435 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:36:37.52 ID:JyBdSu8i0
『地下へ続く扉』


商人「どう?」

盗賊「ここの扉は古代遺跡じゃぁねぇな…やっぱ200年程度前のもんだ」

商人「開きそう?」

盗賊「石の蓋って感じだ…こりゃパワーで開けるしか無ぇ」

女海賊「爆弾の出番?」

盗賊「こんな分厚い石は爆弾でも無理だろ?」

女海賊「んんんん…爆弾いっぱい使うのはもったいないかぁ…どしよ」

商人「どうやって運んだんだろうね?」

盗賊「なんでまた階段の途中にこんなにぴったり石が蓋してるんだ?おかしく無ぇか?」

女海賊「ねね…この石ってさ自分で歩いて来たんじゃない?」

盗賊「石が歩く?…あああああ!!エルフの森に居るトロールか…そういや昼間はこんな感じの石になるな」

商人「昔はこの一帯は森だったらしいからその可能性はあるね」

女海賊「もしかしてずっとここを守ってたりして」

盗賊「こいつ…生きてんのか?」

商人「ホムンルクス…火の国シャ・バクダの資料を君は読んだよね?何か知らない?」

ホムンルクス「はい…シャ・バクダはかつて広大な森で東のエルフの森と繋がって居ました」


主にトロールの生息地と言われていた様です

現在ではトロールは住処を失いエルフの森に生息している様です

トロールは現在のエルフと同様に森を守る妖精として

精霊の力によりその命を預かりました


ホムンルクス「今関係のある事はそのくらいの事しか分かりません」

商人「その話を聞いてピンと来た事がある…君は森の言葉を話せたね?」

ホムンルクス「はい…」

商人「君はトロールに命令する事が出来るんじゃないか?」

ホムンルクス「分かりません…やってみましょうか?」

商人「うん…」

女海賊「…なんかすごい展開」

ホムンルクス(トロール…聞こえますか?)

ホムンルクス(道を開けて下さい…聞こえていますか?)

トロール(…)ズズ

女海賊「お!?」

ホムンルクス(私たちを通して下さい)

トロール(…)ズズズズ ズーン

盗賊「おぉ…マジかよ」

商人「ホムンルクス…君はスゴイね…精霊の力はこういう風に使うんだ…」

盗賊「トロールは魔物の中でも最強クラスだぞ?そいつに命令できるってどういう事よ」

商人「…これではっきりした…トロールは今でも森を守ってるという事だ」

ホムンルクス「道が開けました…」

盗賊「あ、あぁ…そうだな驚いて無いで中に入ってみるか」
436 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:37:07.94 ID:JyBdSu8i0
『シャ・バクダ遺跡地下』


盗賊「驚いたな…こりゃ遺跡じゃ無ぇ…森の根っこだ」

商人「森はまだ生きて居たのか…根のまま200年眠ってるんだ」

ホムンルクス「新しいクラウドへのアクセスポイントを発見しました…接続してもよろしいでしょうか?」

商人「!!?こんな所に?接続してみて?」

ホムンルクス「承認…新しいアクセスポイントとして登録します」

商人「何がある?」

ホムンルクス「多数の大容量データが存在します…容量が大きすぎて読み込むことが出来ません」

商人「エルフの森と同じか…そうか森の根を使ってクラウドって奴を構築してるのか」

ホムンルクス「その様です…恐らく森の木々がアンテナになっていると思われます」

盗賊「てことはエルフの森にも同じような地下があると思って良さそうだな」

商人「そうだね…ハイエルフが守っているのは恐らくこういう場所だ」

女海賊「この通路ってなんでうっすら明るいんだろう?」

ホムンルクス「光苔です…木の根に光苔が付着しています」

女海賊「おぉぉちょっと持って帰ろ」ゴシゴシ

盗賊「しかしまぁ随分と長げぇ通路だな…どこまで続いてんだ?」

商人「この通路を横にそれてしまうともう帰れる気がしない…完全に根の森の中に入ってしまう」

ホムンルクス「地下では衛星による座標の取得が出来ません…迷わない様に注意してください」

女海賊「ここって人が避難して暮らせる環境じゃ無いよ?」

商人「…うん…予想外だよ…地下に導く案はだめだ」

盗賊「もうちょい行って何も無い様なら引き返そう」

商人「そうだね…それにしてもこの地下に作られた根の回廊は今まで見たどの遺跡よりも新しい」

盗賊「これが俺達の時代が未来に残してる構造物ってか?」

商人「構造物というか…文明はこういう形もあるんだなってさ…キ・カイの遺跡に引け劣らないと思うよ」

盗賊「何も無ぇけどな」

女海賊「ねね…この通路はあそこで突き当りっぽい…ちょっとした部屋みたいになってるね」

商人「そこまで行ったら戻ろうか…」
437 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:37:34.62 ID:JyBdSu8i0
『精霊の御所』


商人「周りを囲んでる石は多分石になったトロールだね」

女海賊「真ん中の石の器…ここに入って精霊は休んだのかな?」

商人「そうかもね?これだけか…」

女盗賊「ちょっと器で横になってみる…よっ」

商人「…」

盗賊「ヌハハ寝心地良いか?」

女海賊「これさ…多分ホムちゃんが居た所と同じだね…きっとこの器にあの液体が入るんだ」

商人「ガラス容器の事かい?」

女海賊「そそ…中に液体と一緒にホムちゃんが入ってた」

商人「…なるほど…ここでエネルギーを節約していたという事か」

ホムンルクス「その液体はエリクサーという薬です…生体の治癒薬になります」

女海賊「おぉ…飛空艇に樽一杯積んであるよ」

盗賊「それにしても本当に何も無ぇな…帰ろうぜ?」

商人「神秘的じゃないか」

盗賊「俺ぁそんなのに興味は無ぇ」

商人「オーブは何処にあるんだろう?」

盗賊「この根の森の中を探せってか?時間が掛かり過ぎる…こんなんじゃ地図も描けねぇ」

商人「女エルフならオーブで知識得る事が出来ると思うんだよね…」

盗賊「なるほど」

商人「ホムンルクスは歩いた記憶はちゃんと覚えてるよね?」

ホムンルクス「はい…」

商人「君は一人で歩いてオーブを探して後で地図に出来るかい?」

ホムンルクス「はい…」

盗賊「ホムンルクス一人置いて行くのか?」

商人「ここはトロールに守らせておけば安全だと思うんだ」

盗賊「そらそうだが…心配じゃ無ぇのか?」

商人「どうする?ホムンルクス…」

ホムンルクス「私は大丈夫です…」

商人「よし…僕たちは戻って情報収集しよう…あとでここまで迎えに来るよ…良いね?」

ホムンルクス「はい…」

盗賊「俺達はホムンルクスが居ないと入り口から入れねぇんじゃ無ぇか?」

商人「あぁ…忘れてた」

ホムンルクス「トロールには私から話しておきます」

盗賊「言う事聞きゃ良いが…まぁ何とかなるか!!」

ホムンルクス「では…外までお送りします」

商人「頼むよ」
438 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:38:01.79 ID:JyBdSu8i0
『星の観測所』


フワフワ ドッスン


盗賊「よっし…俺はお前等よりこの辺で顔が利くから盗賊ギルド関係で情報集める」

女海賊「私どうする?」

盗賊「お前は飛空艇使って遠くのオアシス回ってくれ…商人は近くのオアシスだな」

商人「それが良いね」

盗賊「女海賊は物資運搬で配給に回っても良さそうだな」

女海賊「おけおけ…上手くやるさ」

盗賊「じゃぁ頼むな!!」タッタッタ


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ごろつき「今の気球はあんた達の物か?」

盗賊「あぁ…そうだが?」

ごろつき「じゃぁマスター…いやアサシンさんが戻って来たのか?」

盗賊「お前はギルドの者だな?」

ごろつき「あぁ…それでアサシンさんは?」

盗賊「残念だがアサシンとは別行動なんだ…俺の方が消息を知りたい」

ごろつき「…そうか」

盗賊「どうかしたのか?」

ごろつき「マスター代理が物資調達に行ったまま帰って来ないんだ…もう2週間になる」

盗賊「むぅ…行先は分からんのか?」

ごろつき「北の山麓近辺の集落を回るといって気球で出て行った」

盗賊「もう一台の気球が見当たらんのはそのせいか…」

ごろつき「サンドワーム討伐で毒に侵された人間が増えているんだ…毒消しが無い事には直に戦えなくなる」

盗賊「それで北の山麓回りか…俺達ゃ光の国シン・リーンとパイプがある…魔法師を連れて来るか?」

ごろつき「おぉぉそれは助かる!!」

盗賊「ところでシャ・バクダ領主は何処に居るんだ?状況を聞き出したいんだが…」

ごろつき「あんた知らないのか…もう領主勢は解散した…ここら一帯は無領主状態だよ」

盗賊「…で事は避難民は好き勝手し放題か」

ごろつき「避難民は良いがフィン・イッシュの敗残兵が南西のオアシス陣取ってやりたい放題さ」

盗賊「そこに従った方が良いといえば良いな」

ごろつき「こっちもリーダー不在でどう動けば良いか…」

盗賊「フィン・イッシュの王族はどうなってるか知らんか?」

ごろつき「王女が一人だけ生き残っているらしい」

盗賊「そのオアシスに居る訳だな?」

ごろつき「さぁ?それは知らねぇ…ほんでさっきの話…魔法師の手配はどのくらいかかる?」

盗賊「最速で3日だな」

ごろつき「早い所頼む…義勇団に連絡してくる」

盗賊「あぁ…そっちにもよろしく言っといてくれ」
439 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:38:43.10 ID:JyBdSu8i0
『翌日』


フワフワ


盗賊「よっし…これで全部だ」

商人「女海賊…このワンドワームの肉と交換で出来るだけ穀物と塩を入手してきて」

女海賊「おけおけ…後は魔女に言って魔法師連れて帰って来れば良いね?」

盗賊「最速で頼む」

女海賊「んじゃ!!行って来るねー」フワフワ シュゴーーーー


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盗賊「こりゃしばらく女海賊は物資運搬専門だな」

商人「…いつまで続けられるか…」

盗賊「やはり状況悪いか?」

商人「うん…砂漠でオアシス間の物資移動もままならない…ラクダが少ないんだ」

盗賊「外側のオアシスはフィン・イッシュ軍が来てて人が沢山居ると聞いたが?」

商人「昨日女海賊と見て来たけどみんな衰弱して怪我人も多い…とても戦える状況じゃないよ」

盗賊「義勇団が守っている感じか」

商人「そうだね」

盗賊「回復に専念せんとイカン時期だな…」

商人「状況がどんどん悪くなる気がするよ」

盗賊「そういや南西のオアシスにフィン・イッシュの王女が居るかもしれんと噂を聞いた…なにか聞いて居ないか?」

商人「僕は聞いて居ない…ただ気球がいくつか飛んでる様だったから逃げて来て居るのかもね」

盗賊「んんん何十キロも徒歩で行く気にもならんしな…」

商人「ラクダだよ…ラクダが欲しい」

盗賊「まぁ…この状況じゃ俺もやる事無ぇしな…ちとサンドワーム討伐隊にでも行って来る」

商人「じゃぁ僕は引き続き情報収集と物資調達しておくよ」

盗賊「ちと待て!!上を見ろ…」

商人「え!?」

盗賊「ドラゴンだな…どこ行く気だ?」

商人「2匹だ」

盗賊「旋回してるな…これまずく無ぇか?」

商人「いや…今この辺を襲う理由が無い」

盗賊「まずい…降りて来るぞ…おい!!観測所ん中入れ!!」グイ

商人「…」
440 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:39:15.91 ID:JyBdSu8i0
ドラゴン「ギャオーーーース」バサッ


盗賊「うぉ!!ドラゴンライダーじゃねぇか!!マジかよ…早くこい!!」グイ

商人「待って!!…乗ってるのは女エルフだ…」

盗賊「何だと!!」


うわぁぁぁぁドラゴンだぁぁぁ

ひえぇぇ逃げろぉぉぉ

誰か…助けてぇぇぇ


ドラゴン「ギャオーーーース」ビュゥ バサッ

女エルフ「撃たないで!!!撃たないでって言ってぇぇぇ」


盗賊「マジかよ…あいつらドラゴンに乗ってんのか…」

商人「みんなぁ!!あのドラゴンは仲間だぁぁ!!撃つなぁぁぁ!!」

盗賊「大丈夫だ…武器持ってる奴はみんなサンドワーム退治だ」

商人「みんな落ち着いて!!あのドラゴンは仲間だ!!落ち着いて!!」

盗賊「よしよし…お前等落ち着けぇ!!…今ゆっくり降りて来る」


ドラゴン「…」バッサ バッサ ドッスーン



どうなってるんだ?ドラゴンが仲間だと?

攻撃してこないぞ?

エルフが降りて来た…

あいつら誰だ?

ガヤガヤ ガヤガヤ ガヤガヤ ガヤガヤ


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女エルフ「皆さん…驚かせてごめんなさい」

盗賊「女エルフ!これはどういう事だ?」

女エルフ「話は後で…みんな恐れて居るわ…どうにかしないと」

商人「回復魔法…回復魔法でみんなを癒して」

女エルフ「あ…うん…皆さん!!治癒が必要な人は私の所まで来てください!」


あのエルフ…前にもここに来てた義勇団のエルフだ…

おぉぉぉドラゴンまで仲間なのか!!

おぃ行くぞ!!ドラゴンを間近に見れるぞ!!
441 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:39:46.20 ID:JyBdSu8i0
『小一時間後』


ガヤガヤ ガヤガヤ

すげぇ…なんで義勇団にドラゴンが居るんだ?

ドラゴン大人しいぞ?

ガヤガヤ ガヤガヤ


女エルフ「回復魔法!」ボワー

剣士「回復魔法!」ボワー

盗賊「見物人がえらい事になっちまってんな…」

商人「サンドワーム討伐隊が帰って来る前に認知させておかないとね」

女エルフ「商人?ホムンルクスは?」

商人「今は外に出てる」

女エルフ「一人で?」

商人「大丈夫…安全な所だから」

女エルフ「ドラゴンが会いたいって言ってるの」

商人「どういう事?」

女エルフ「精霊かどうか確かめたいって」

商人「彼女をどうかするつもり?」

女エルフ「私たちがドラゴンに協力する条件で手を貸してくれてるの」

商人「協力?ホムンルクスに会わせるのが?」

女エルフ「いいえ…ドラゴンの住処にある命の泉に刺さっている魔槍を抜く条件」

商人「…伝説の奴か」

女エルフ「その魔槍は勇者にしか抜けないと言われているの…剣士は勇者としてドラゴンに認められて居ない…だから精霊を確かめたいって」

商人「ホムンルクスは精霊の魂を引き継いでいない」

女エルフ「それも説明した」

商人「そうか…やっぱり精霊の業は避けられないのか」

女エルフ「会わせたくない?」

商人「んんーそういう訳じゃないんだけど…彼女に精霊の重圧を背負わせたくないというか…」

女エルフ「うん…わかる…理解してる」

商人「わかった…会わせてあげるよ…ただ彼女の意見は尊重して欲しい」

女エルフ「ドラゴンに言っておく」



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442 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:40:16.12 ID:JyBdSu8i0
盗賊「俺は観測所に残って他の奴らに状況説明しておく…ホムンルクスの所にはお前等だけで行ってこい」

商人「うん…ありがとう」

女エルフ「私が先にドラゴンの背に乗るから商人は私の背中に掴まって?」ピョン

商人「うん…怖いな」

女エルフ「はい…」グイ

商人「よっ…」ピョン

女エルフ「掴まって離さないでね?」

商人「うん…」ギュゥ

女エルフ「剣士も一緒に来て」

剣士「うん…付いて行くよ」

女エルフ(ドラゴン?飛んで!)

ドラゴン「ギャオーース」バサ バサッ

商人「おぉぉ!!南西の方角!!」

女エルフ「分かった…近いの?」

商人「13キロメートルくらい…シャ・バクダ遺跡の地下なんだ…地下に森がある」

女エルフ「森?」

商人「うん…木の根で出来た森だよ」
443 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:40:47.65 ID:JyBdSu8i0
『失われた森の入り口』


バッサ バッサ ドッスーン


商人「ここが入り口だよ」

ドラゴン”この地は神聖なる精霊の御所である”

商人「お!!聞こえる」

ドラゴン”我らはこれより立ち入れぬ故に持つ”

商人「あぁ…連れて来るよ…女エルフ行こうか?」

女エルフ「剣士も付いて来てね」

剣士「うん…」

商人「この階段の先だよ…えーと」

女エルフ「あら?トロールが居るのね?ウフフ」

女エルフ(通ります…道を開けて下さい)

トロール(…)ズズズ ズーン

商人「結構遠いから」

女エルフ「平気…」

商人「話が聞けてなかったんだけどエルフの森には行けたっていう事なんだよね?」

女エルフ「うん…でもハイエルフ達は話を聞き入れてくれなかったの…」

商人「だめだったのか…」

女エルフ「人間と追放されたエルフ達の事をとても怒っていた」

商人「じゃぁどうしてドラゴンが?」


ドラゴンとエルフ…そしてトロール達もみんなレイスを対処出来ないの

だからエルフの森に貼ってある結界から外に出る事が出来なくなった

でも私や剣士は人間が使う光の魔法を使う事が出来るから

私たちと一緒なら結界の外に出る事が出来た

精霊の魂を入れる器の話や夢幻から帰って来た剣士の話を聞いて居たドラゴンが

命の泉に刺さっている魔槍を抜く条件でハイエルフ達との仲を取り持つという事と

魔王を名乗ったセントラルの第2皇子を捕らえるのを目的として

私たちに協力してくれる事になった

444 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:41:15.75 ID:JyBdSu8i0
商人「第2皇子を捕らえるって…どうしてドラゴンが?」

女エルフ「私も聞いて驚いたんだけど…第2皇子の母はエルフだったらしいの」

商人「え!!…つまりハーフエルフ?」

女エルフ「そういう事になる…亡くなった第3皇子も同じ母親」

商人「…そうか…ハイエルフは同族を殺せなかったんだ…それでセントラルまで逃げ延びた」

女エルフ「どういう訳かハーフエルフの第2皇子が魔王を名乗ってしまって居るのをハイエルフは看過できないの」

商人「だから無事にドラゴンと一緒に戻って来たんだ」

女エルフ「そう…多分私たちに賭けてる」

商人「だろうね…結界から出られないんだもんね」

女エルフ「うん…」

商人「君はドラゴンライダーになれるの?」

女エルフ「私の適正は高いみたい弓が使えて魔法も使える…ドラゴンがそう言ってた」

商人「へぇ…」

女エルフ「ドラゴンは結構弓を食らうから回復魔法が重要だそうよ?」

商人「君にぴったりじゃない」

女エルフ「うん…」

商人「そうか…ドラゴンライダーが2人居れば似非魔王軍に奇襲も掛けられるな」

女エルフ「上手く行くと良いね」
445 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:41:43.07 ID:JyBdSu8i0
『精霊の御所』


商人「やぁ…迎えに来たよ」

ホムンルクス「早かったのですね?一つだけオーブを見つけました」

商人「本当かい?」

女エルフ「オーブ?」

商人「あぁ…説明していなかったね…この森には精霊のオーブが隠されている様なんだ」

ホムンルクス「ですがオーブを動かしてしまうとクラウドから除外されてしまうと思われます」

商人「持って帰れないんだ…」

ホムンルクス「はい…どの様に接続されているか分かりませんでした」

商人「それはここから近いの?」

ホムンルクス「入り口に向かって少しそれた所にあります…見て行かれますか?」

商人「うん…女エルフはオーブを聞けるんだよね?」

女エルフ「うん…とても興味がある」

商人「ホムンルクス…君に会いたいっていう人が居るんだ」

ホムンルクス「そうですか…今どちらに?」

商人「外で待ってる…まずオーブまで案内して?」

ホムンルクス「はい…こちらです」


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女エルフ「…これは…こんなに大きなオーブは見たこと無い」

商人「聞いてみて?」

女エルフ「少し怖い…」ソー

商人「どう?」

女エルフ「だめ…これは知識じゃない…完全な記憶が頭に流れ込んでくる…ハァハァ」

商人「なにか見える?」

女エルフ「もうダメ…私にこの記憶は覗けない…多すぎるの」

商人「…そうか女エルフでもダメか」

女エルフ「パニックになりそう…まるで私が経験したみたいに感じる」ガクガク

商人「無理しなくて良いよ…もう行こうか」

女エルフ「一つ言えるのは大体200年分の記憶…」

商人「…それが聞けて十分さ…行こう」
446 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:42:09.90 ID:JyBdSu8i0
『精霊の御所_入り口』


女エルフ「ドラゴン…ホムンルクスを連れて来ました」

ホムンルクス「私に会いたいという方は…ドラゴンなのですか?」

女エルフ「はい…」

ホムンルクス「私はどうすれば良いのでしょう?」


ドラゴン”汝は我を見て思い出さぬか?”


ホムンルクス「はい…何故そう思うのでしょう?」


ドラゴン”精霊は我が主…我は永きにわたり精霊を探し此処に参った”


ホムンルクス「私は精霊の魂を預かる事が出来ませんでした…それでも精霊で居続けなければならないのでしょうか?」


ドラゴン”我が目に狂いは無い…汝は紛うことなき精霊の化身…我が身を其の御許に許されよ」グググ


ホムンルクス「…どうすれば」

女エルフ「ドラゴンは頭を撫でられたい様です」

ホムンルクス「こう?…」ナデナデ

女エルフ「もう一匹の方も」

ホムンルクス「はい…」ナデナデ


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447 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:42:39.49 ID:JyBdSu8i0
商人「そうか…200年も主を探し求めて居たのか」

女エルフ「その様ね…ドラゴンがあんなに甘えるなんて」

商人「一目見て精霊の化身だって分かるんだね…」

女エルフ「精霊本人に会ったことがあるなら直ぐに分かる様ね」

商人「そうか…やはり精霊の道を行くのは避けられないのか…」

女エルフ「どうしてそんな風に思うの?」

商人「君はさっきオーブで精霊の記憶を覗いたよね?」

女エルフ「…うん」

商人「そういう事さ…きっと想像を絶するほど重たいんだよ」

女エルフ「覗くのがとても怖かった」

商人「そうだね…僕たち人間やエルフが背負える物じゃないと思う」

女エルフ「でもね?…私は最後に精霊樹になるの」

商人「それは夢幻での事でしょ?」

女エルフ「うん…精霊からの導きと思ってる…だから向き合わなきゃって思った」

商人「君はまさか精霊樹になろうと思っている?」

女エルフ「時が来たらそうなるのかな?…てね」

商人「それならホムンルクスの役割は一体…」

女エルフ「かつての精霊の役割は終わった…ホムンルクスはこれからを生きる…どうかな?」

商人「ハハ…良いね…そんな風に上手く行けば良いね」

女エルフ「うん…」


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商人「さぁ…そろそろ良いかな?一旦星の観測所に戻ろう」

ホムンルクス「はい…もうオーブの探索は良いのですか?」

商人「うん…女エルフでも覗けないというなら今はオーブにかまってる暇はないかな」

ホムンルクス「わかりました…それとこれを…」

商人「ん?何だろう?」

ホムンルクス「ドラゴンが流した涙です…必要ありませんか?」

商人「何かに使えるのかな?後で盗賊に聞いてみる」

ホムンルクス「どうぞ…では行きましょう」

商人「僕は女エルフと一緒にドラゴンに乗るけど…剣士?ホムンルクスを頼めるかな?」

剣士「うん…良いよ」

商人「それじゃぁ…星の観測所で落ち合おう」

女エルフ「商人!!乗って!!」グイ

商人「ほっ…」ピョン


バサ バサッ バッサ バッサ

448 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:43:12.67 ID:JyBdSu8i0
『星の観測所』


バッサ バッサ ドッスーン


盗賊「おぉぉ戻って来たかぁ!!」

商人「この騒ぎは?」

盗賊「ドラゴン見たさに周辺のオアシスから集まって来てんだ…」

商人「あんまり良くないね」

盗賊「とりあえず観測所の屋根にドラゴンが降りられる様にしておいた…そっちに誘導できるか?」

女エルフ「うん…わかった!!ドラゴン!!屋根の上に!!」バサ バッサ

盗賊「剣士!!2匹分屋根に降りられるからお前も行ってくれぇ!!」

剣士「あぁ…ドラゴン?屋根の上だってさ」バサ バッサ

盗賊「義勇団の連中にはドラゴンの件は話しておいた…人が近寄って来ねぇ様に整理してもらっている」

商人「…これはドラゴン義勇団に看板を変えた方が良さそうだな…弓矢で狙い撃ちされそうだ」

盗賊「名案だ…とりあえず中に入れ…ちぃと目立ちすぎる」

商人「そうだね…ホムンルクス?おいで…」

ホムンルクス「はい…」


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449 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:43:40.03 ID:JyBdSu8i0
商人「…それでホムンルクス?ドラゴンは何か言ってたかい?」

ホムンルクス「命の泉を守れなくてごめんなさいと謝られました…」

商人「そうか…エルフやトロールと同じ様にドラゴンも精霊ゆかりの命の泉を守る役目だったのか」

ホムンルクス「はい…それで死んでも死にきれないと嘆いて居ます」

商人「勇者か精霊が魔槍を抜けると言ってたよね…それだと剣士とホムンルクスがドラゴンに乗って行くのかい?」

女エルフ「それはダメ…ホムンルクスではドラゴンをレイスから守れない」

商人「あぁ…ドラゴンに乗るのは女エルフと剣士じゃなきゃダメって事か…なら2人づつ」

女エルフ「ドラゴンは私達2人を乗せて長距離を飛べない」

盗賊「なら飛空艇が帰って来るまで待つしか無ぇな」

商人「そうだね…ただドラゴンを見世物にしてしまうのは危ないと思うんだよ」

盗賊「フィン・イッシュの連中か?」

商人「うん…多分ここまで来ると思うな」

女エルフ「ドラゴンに空で旋回するように言っておく?」

商人「どちらにしても来ると思うんだよ…敵になるか味方になるか読めないんだけど」

盗賊「奴らに囲われると動きづらくなるな」

商人「最悪…捕らわれの身になってしまいそうだね」

盗賊「フィン・イッシュの王女が居るらしいが…来ると思うか?」

商人「そうだね…来るだろうさ」

盗賊「剣士…あの手を使うか?」

剣士「僕も同じ事考えていたよ…」スラリ

商人「聖剣?…あ!!アダマンタイトか…」

盗賊「そうだ…万が一の時は剣士が王女をさらう」

商人「取引のカードは僕たちが全部持っている訳か…いやまてよ?」

盗賊「ん?」

商人「もし軍部が王女を見捨てて強行してきた場合…被害が大きくなるね」

盗賊「んんん…その場合戦うしか無くなるが…ドラゴンライダーを見てそれをやるか?」

商人「もっと圧倒的な力を見せたいな…うーんどうやっても被害が出そうだな」

ホムンルクス「見せるだけなら私がやりましょうか?」

商人「君に何かやれる事が…はっ!インドラの矢か」

ホムンルクス「はい…出力を最小限にして落とす事が出来ます」

商人「そうか…人の居ない砂漠に落とせば被害は無い」

ホムンルクス「爆発範囲は計算できます…お任せください」

商人「それは最後の手段だよ?出来れば使いたくない」

ホムンルクス「承知しています」

盗賊「決まりだな?今日は何もせず相手が来るのを待つ…これで良いな?」

商人「そうだね…みんな疲れているだろうから少し休もうか…」

盗賊「んむ…」
450 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:44:07.31 ID:JyBdSu8i0
『天窓のある部屋』


女エルフ「剣士…ここに居たんだ」

剣士「あぁ…女エルフか」

女エルフ「最近どうしたの?元気が無いみたい」

剣士「ううん…何でもないよ」

女エルフ「…あなた…一人で背負わないで?」

剣士「どうしてそう思うんだい?」

女エルフ「私もエルフだから…空気でそう感じる」

剣士「君は精霊の記憶を覗いたよね?」

女エルフ「うん…怖かった」

剣士「僕も他の人の記憶を覗けるんだ」

女エルフ「え?どういう事?」

剣士「千里眼…僕は千里眼で色々な事が覗けるんだよ」


僕が居ない所で他の誰かか何を話しているのか

何を見たのか

全部知って居るんだ

ほら?僕は耳が良いからさ

今も遠くで誰かが何を話しているのかも

全部聞こえている


女エルフ「あなたも怖いの?」

剣士「僕は怖くない…でも君や他の人の心が壊れるのが怖い」

女エルフ「どういう事?」

剣士「精霊の記憶を覗くのと一緒だよ」

女エルフ「私にはわからない…」

剣士「うん…僕は大丈夫だから…気にしなくても良いよ」

女エルフ「ごめんなさい…助けになれなくて」

剣士「良いんだ…僕は君に助けられてるさ」

女エルフ「あなた…大きくなったのね」ギュゥ
451 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:44:38.11 ID:JyBdSu8i0
『翌日』


ドラゴンの義勇団に告ぐ

我々は軍国フィン・イッシュの王女近衛隊である!!

王女がドラゴンの義勇団との面会を希望されて居る!!

速やかにお目通り願いたく馳せ参じた…


盗賊「やっぱり来ちまったぜ?どうする?出て行くか?」

商人「僕は見かけがまだ若いから出ない方が良さそうだな…」

盗賊「んぁぁ…じゃぁ俺が話をする!お前は俺の隣に居ろ」

商人「分かったよ」

盗賊「剣士!!例の作戦を準備していてくれ」

剣士「うん…わかっている」

盗賊「女エルフはドラゴンに乗って待機だ…戦闘になった場合お前が要になる」

女エルフ「うん…」

商人「ホムンルクスは僕の後ろに隠れて居て?」

ホムンルクス「はい…」

盗賊「よし!!じゃぁ2階のテラスから話をするか」

商人「そうだね…行こうか」
452 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:45:07.47 ID:JyBdSu8i0
『テラス』


ザワザワ ザワザワ

盗賊「なんだなんだ!!騒がしいな…何だってこんな軍隊引き連れて来んだぁ?」

近衛「王女の御前だ…頭が高い!!降りて来られよ」

盗賊「客はそっちだろうが…ほんで王女の姿が無ぇじゃねぇか!ふざけんな!!」

商人「ぉぃぉぃ煽りすぎだよ…」ヒソ

近衛「無礼者!!この軍勢が見えんのか!!」

盗賊「ほぅ…2000て所か…なんだお前等…俺達を捕獲しようってのか?」

近衛「場合によってはそういう手段も厭わん…速やかに面会に応じよ」

盗賊「面会に応じる俺達の利点を聞かせて貰おうか」

近衛「命の安全は保障する」

盗賊「ほんでそっちの要求は何だ!?ただの面会じゃあるまい…何だって軍隊連れて来るんだよ!!おかしいだろが」

近衛「ぐぬぬ言わせて置けば…我々はドラゴンの義勇団と戦う気は無い」

盗賊「戦う気が無いなら軍隊なんか連れて来ねぇだろが…やる気マンマンだろ」

近衛「…王女様…先方は下る気が無い様です…いかが致しましょう?」

王女「消耗する時では無い…私が行かねばならぬか」スック

近衛「王女様…上をご覧ください…ドラゴンライダーが此方を見ています」

王女「近衛…私の盾になりなさい」

近衛「御意」スタスタスタ

王女「私を弓から守るのです…前に行きます」スタスタ

近衛「つがえ!!」

弓隊「…」ギリリ


----------------
453 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:45:33.78 ID:JyBdSu8i0
盗賊「ヌハハ穏やかじゃ無ぇな…商人は俺の後ろに居ろ」

商人「うん…」

盗賊「お前が王女だな?要求を言え」

王女「ドラゴンは我らが崇拝する龍神の一族…何故この地に居るのか訳を聞きたい」

盗賊「見ての通りだ…俺達の仲間だ…それ以外に答えようが無ぇ」

王女「知っての通り我らフィン・イッシュは国を追われ流浪の身…ドラゴンの引き渡しを願いたい」

盗賊「ぬぁっはー…やはりそう来るか…ドラゴンに聞いてくれと言いたい所だが…お前らに扱えるのか?」

王女「我らにドラゴンは扱えぬと申すか?」

盗賊「嬢ちゃん…この戦は嬢ちゃんの様な甘ちゃんに戦える戦じゃ無ぇ…お前も見て来ただろう?」

王女「くっ…」

盗賊「国を背負って居るのは分かる…だがその甘さで国を失う…ここは俺達に任せろ」

近衛「この無礼者がぁ!!」ダダッ

王女「待て近衛!!…お前たちにどれ程の戦力があるのか?我らの方が上であろう?」

盗賊「まいったな本当に甘ちゃんだな…ドラゴンライダー1匹も倒せねぇだろお前等は!!」

近衛「何だとぉぉ!!」

盗賊「ちぃ…仕方無ぇ…剣士!!ヤレ」


スラーン チャキリ

王女「はっ…」ギクリ

剣士「動くな…首が飛ぶ」

近衛「何っ…どこから現れた!!卑怯だぞ…」

王女「離せ…くぅぅ」

近衛「王女様!!」タジ

王女「痛っ」

剣士「動くなと言った筈だ…この剣は良く切れる」
454 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:46:00.56 ID:JyBdSu8i0
盗賊「さぁて…対等になったな」

王女「どうあっても渡さぬというのだな?この地の外では不死者が蠢いて居るのだぞ?」

盗賊「そんな事は知っている」

王女「ならば何故戦わぬ!!何故この地に引きこもって居るのだ!!」

盗賊「嬢ちゃん…やっぱお前は甘ちゃんだ…そんなに簡単に戦えるほど甘く無ぇんだ!!」

王女「甘い甘いと馬鹿にするなぁ!!」

盗賊「女エルフ…ドラゴンライダーがどんなもんか見せてやれ」


ドラゴンライダー「ギャオーーース」バサ バサッ ビュゥゥゥ


盗賊「お前等の弓がこんだけ高速で飛んでるドラゴンライダーに当たるとでも思ってんのか?」

盗賊「それも2匹居るんだぜ?そして嬢ちゃん…お前簡単に懐に入られてるんだぜ?分かるか?」

王女「我らの軍と徹底抗戦する気か?」

盗賊「首に刃物付きつけられて言うセリフか?悪いが民を守りたい気持ちは分かる…だが甘すぎる」

商人「しょうがない…ホムンルクス…軽く頼む」ヒソヒソ

ホムンルクス「承知しました…」ブツブツ

王女「我らは国を追われもう失うものは無い…ここで尽きるのも運命」

盗賊「だめだ!!生き延びろ!!戦いは俺達に任せろ…今から落ちるいかずちを見て置け…これが戦いだ」

王女「何を少人数でぬけぬけと…」


ピカー チュドーーーーーン

ピカー チュドーーーーーン

ピカー チュドーーーーーン

ピカー チュドーーーーーン

ピカー チュドーーーーーン

ピカー チュドーーーーーン


王女「…ぁぁぁぁぁぁ」

近衛「何だ…砂漠が炎で包まれて…行く」

王女「ここれは…、この光は…お前たちがやっている…のか?」

盗賊「これに勝てるか?こういう戦いがこれから始まるんだ…お前等がどれだけ無力なのか分かるか?」

王女「…」ゴクリ

盗賊「この辺のオアシスなら何処使っても良い…とにかく生き延びろ!!分かったな?」

王女「くぅぅぅ」ポロポロ

盗賊「分かったら引いてくれ…もっと話がしたいなら一人で来い」

王女「ぅぅぅ」ポロポロ

剣士「軍を引かせて…」スッ

近衛「…消えた…王女様!!」ダダ

王女「戻ります…我らに勝ち目はありません」グスン

近衛「はい…全体!!退却!!」
455 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:46:26.55 ID:JyBdSu8i0
『星の観測所_居室』


盗賊「軍は帰った様だな?…あの嬢ちゃん又来ると思うか?」

商人「んんん…プライドがねぇ…」

剣士「来るよ」

女エルフ「私も来ると思う」

盗賊「それにしてもホムンルクスのインドラの矢だっけか…アレはヤバすぎる…俺もビビったわ」

商人「そうだね…アレで最小限だそうだ」

盗賊「うはぁぁぁ」

商人「どうして古代文明が滅んだのかを垣間見た…もう使わない様にしよう」

女エルフ「精霊にこんな力があったのに魔王を滅ぼせて居ないのはどうしてだろう…」

商人「謎だね…僕たちは魔王の事を大きく考え違っているのかもね」

盗賊「ところで気になって居たんだが…あの嬢ちゃんは不死者が蠢いているとか言ってたよな?」

商人「レイスの事じゃない?」

盗賊「知識が無いならそう見えるか…もしかするともう直ぐそこまで来てるんじゃないかと思ってな」

商人「来てるってゾンビの事かい?」

盗賊「あぁ…ちっと外側の方まで見に行った方が良いかもしれん」

剣士「僕が見てこようか?」

女エルフ「私も行こうかな…」

商人「そうだねドラゴンライダーなら安全に見て来れそうだね」

盗賊「フィン・イッシュは南西の方角だからそっちの方を見て来てくれ」

剣士「うん…」

商人「飛空艇が帰って来るまで何も出来ないし…お願いするよ」

女エルフ「行ってきます」タッタッタ
456 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:46:53.70 ID:JyBdSu8i0
『数時間後』


盗賊「…やっぱり来たか…一人だな?まぁ入れ」

王女「…」

盗賊「よく一人で来るのを許されたな?…ん?あぁぁ外で2人待機してんな…まぁ良い何もしねぇから入れ」

王女「…」コクリ

盗賊「商人!!やっぱり来たぜ?」

商人「やぁ…さっきは驚かせてごめんよ」

王女「エルフとドラゴンは?」

商人「南西の方に偵察に行ってる…不死者が居るって君が言っていたからね」

王女「…そうですか」

商人「軍の方は怪我人が多くてどうしようもない様だね」

盗賊「シン・リーンに魔法師の応援を要請している…もう少しでこちらに来るはずだ」

王女「それは本当か?…本当ならとても助かる」

商人「君たちが敵にならなくて良かったよ…僕たちもヒヤヒヤしたよ」

王女「軍の…いえ民の士気がもう持たないのです」

盗賊「うむ…分かるぞ…国を奪われ家族も仲間もすべて奪われ…命からがら逃げ伸びて何の為に戦うのか…」

王女「ぅぅぅ…」ポロポロ

盗賊「気丈に振舞っている嬢ちゃんが痛々しいわ」

商人「フィン・イッシュの状況を僕たちは詳しく知らないんだ…話せる?」

王女「お話します…」



7ヶ月前…セントラルの第2皇子が私たちの国へ亡命をしてきた時の事です

皇子に仕えていた法王の使いという者も一緒に逃れて来たのですが問題がありました

法王の使いの体の中に魔王と思われる魂の欠片が入って居たのです

その時私の元にシャ・バクダから来たアサシンという者が居ました

アサシンは法王の使いの中に居る魔王に気付き…持っていたミスリルダガーで法王の使いを殺したのです

魔王の魂の欠片はそのまま散らばり地中の中へ落ちて行きました

それから数日して地中より不死者が現れる様になりました

地中から次々湧いて出て来る不死者を倒すために私たちは戦ったのですが

安全な場所の無いフィン・イッシュでは苦戦が続き…とうとう王都を後にせざるを得なくなりました

アサシンという者は私をシャ・バクダへ逃すために戦い…私は何とか逃れて来られましたが

フィン・イッシュでは今でも第2皇子とアサシンが居残り不死者と戦っている筈なのです

しかし何故か第2皇子は我こそは魔王と名乗り周辺国に対して宣告した…
457 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:47:20.67 ID:JyBdSu8i0
盗賊「アサシンが嬢ちゃんを逃したってのか…」

王女「アサシン様とお知り合いでしたか…そうとは知らず…」

盗賊「知り合いというか俺達の仲間だ」

商人「今の話からすると黒幕は第2皇子ではなく法王の使いだったという事か…」

盗賊「黒幕も何も魔王に乗っ取られてたんだろうな…しかし散らばってどっか行くというのは厄介だな」

商人「女エルフが魔王復活を阻止したと言って居たけど…結局散らばってどこかに行っただけだったのか…」

盗賊「こりゃ早い所助けに行かねぇとな」

商人「…わかったよ…どうして魔王を名乗ったのか…僕たちに助けてくれという事だ」

盗賊「確かアサシンは魔方陣の組み方を知っている…それで生き残っている」

王女「そうです…魔方陣で悪霊のレイスは何とかなります…でも不死者が」

盗賊「そらそうだわな」

王女「ドラゴンの義勇団は私たちを助けて下さいますか?」

商人「ドラゴンの義勇団か…ネーミングは悪くないね」

盗賊「話聞いちまったからには行くしか無ぇな」

商人「どちらにせよ飛空艇が帰って来ない事には…」

盗賊「んむ…帰ってきたら動くか」

王女「ありがとうございます…」



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ドラゴンの義勇団編

    完
458 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/01(木) 09:27:05.67 ID:whSJU1gn0
『星の観測所』


バッサ バッサ ドッスーン


盗賊「あいつら帰って来たな」

商人「外がどんな様子か聞きたいね」

女エルフ「…矢が…矢が欲しい」

盗賊「南西の方はどうだったんだ?」

女エルフ「魔方陣の外側までゾンビが来ているの…今はまだ迷って入って来られないみたい」

商人「剣士は?」

女エルフ「まだ戦ってる…私は矢の補充に戻って来たの」

盗賊「そんなに沢山居るのか?」

女エルフ「沢山居るのはレイスの方…ゾンビはまだそんなに沢山居ない」

商人「フィン・イッシュからゾンビが此処まで来ている…のかい?」

女エルフ「いいえ…砂漠で生き倒れた人たちだと思うの…ゾンビになって結構彷徨ってる」

商人「なるほど…死んだ後にゾンビになるのか」

盗賊「そら良く無ぇな…オアシスでもゾンビになる奴が出そうだ」

商人「うん…王女!!オアシス内のゾンビ対処ならまだ出来そうだね?」

王女「出来ます」

商人「周辺の自警に集中して欲しい…僕たちも飛空艇が戻って着次第行動する」

王女「分かりました…ご武運を」
459 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/01(木) 09:27:34.14 ID:whSJU1gn0
『星の観測所_外』


フワフワ ドッスン


女海賊「戻りぃぃぃ!!」

盗賊「早かったな!!」

女海賊「魔女が怒ってたぞ!!インドラの矢…もう絶対使うなって」

商人「え!?魔女が知ってる?どうして?」

女海賊「あんた知らないの?魔女は千里眼の魔法で何でも知ってるんだよ」

商人「そうだったのか…」

女海賊「とにかく急いで帰れって言われてダッシュで戻って来たさ…んで?あのドラゴン何さ?」

商人「剣士と女エルフが戻って来たんだ…ドラゴンと一緒にね」

女海賊「おおぉぉぉ!!私も乗りたい!!」

盗賊「ちと今はそれどころじゃ無ぇ…魔法師は来てもらえたか?」

女海賊「あんたらぁぁ!!降りてぇぇ!!」

盗賊「8人か…上出来だ」

商人「4人はドラゴンの義勇団に残して…あとの4人はフィン・イッシュ軍に合流して欲しい」

盗賊「女海賊!!南西のオアシスにフィン・イッシュ軍が駐留している…4人を連れて行ってやってくれ」

女海賊「あいさーー!!…送ったら戻って来て良いんだよね?」

商人「すぐに北の山麓に行く事になる…こっちは準備しておく」

女海賊「ういうい…なんか忙しいね」

商人「事情は後で飛空艇で話す…急いで4人を送って来て」

女海賊「ほんじゃ行ってきまー」フワリ シュゴーーー
460 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/01(木) 09:28:11.76 ID:whSJU1gn0
『飛空艇』


盗賊「よし…補給物資はこれだけだな?」

女海賊「うん小麦と塩しか無いけどそれで精いっぱいだってさ」

盗賊「ごろつき!!星の観測所に入れて少しづつ配給してやってくれ」

ごろつき「がってん!!」

商人「じゃぁ僕たちはもう行こう…おいでホムンルクス」

ホムンルクス「はい…」

女海賊「私らは例の命の泉行くんだよね?ドラゴンに付いて行けば良いの?」

盗賊「そうだ…ついでに北の山麓に向かったもう一台の気球も探す」

女海賊「どゆこと?」

盗賊「義勇団の連中が使って居て北の山麓で消息を絶ったらしい…今は気球が重要だ」

女海賊「なるなる…じゃぁ早速行ってみよー早く乗って!!」

盗賊「おう!!」


フワリ シュゴーーーー


女海賊「ほんで私にも事情を教えてよ?」

商人「そうだね…」


カクカク シカジカ

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女海賊「へぇ…ドラゴンは精霊のペットだったんだ良いなーーー私も欲しいなぁぁ」

ホムンルクス「ドラゴンを卵から育てたのが精霊だった様です」

商人「それで今から命の泉に刺さっている魔槍を抜きに行ってみる訳さ」

女海賊「地図で言うとどの辺?」バサリ

盗賊「ドラゴンの住処と言われて居るのが…この辺りだ」ユビサシ

女海賊「そんな遠くないね…でも山越えかぁ」

盗賊「問題でもあるのか?」

女海賊「高度次第だけど…飛空艇の限界高度超えるなら迂回しないとダメかな」

ホムンルクス「手前の山は標高8848メートルです…命の泉は2699メートルに位置します」

女海賊「じゃぁ迂回しないとダメ…ドラゴン分かってるかなぁ?」

盗賊「ドラゴンを追い越せるか?」

女海賊「イケる…スピードはこっちのが早い…私らが先導しようか?」

商人「そうだね…」



----------------
461 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/01(木) 09:28:39.80 ID:whSJU1gn0
女海賊「そういえばさぁ…ホムちゃんが見つけたオーブ?」

商人「そんな事も千里眼で見ていたのか…なんか怖いなぁ」

女海賊「魔女が喜んでたさ…なんか死んだ魔女の婆ちゃんはそのオーブを壊してしまったと思ってたんだって」

商人「僕はその話を直接聞いて居ないんだ…君は聞いて居たの?」

女海賊「うん…200年前のシャ・バクダ大破壊の時に全部壊してしまったと思っててね」

女海賊「生きている間ずっとその罪を悔やんでいたんだってさ」

女海賊「だからまだオーブが残ってる事が分かって魔女は師匠に報告に行くから私と一緒に来なかったさ」

商人「シン・リーンの狭間境界に印を打つっていうのは終わったのかな?」

女海賊「まだ半分くらいだって」

商人「…ならしょうがないね…次の機会かな」

女海賊「あとね…お姉ぇが私のパパに気球を貰ったらしいから割と早くこっちに来るかも」

盗賊「おぉそれは助かるな…今の義勇団の状況だとな」

商人「あ!!そうだ忘れてた…盗賊?これドラゴンの涙っていう物らしいけど何だか知ってる?」

盗賊「おぉ!!それはユニークアイテムだ…なんでお前が持ってるんだ?」

商人「ホムンルクスが僕にくれたよ…ドラゴンが落としたんだって」

盗賊「それは大事にに持っとけ…たしか…心臓がドラゴンの心臓になるらしい」

商人「へぇ…僕にぴったりだね…いつ使おう?」

盗賊「今は元気そうだからしんどくなった時に飲め」

商人「良い物貰ったな〜ありがとうホムンルクス」

ホムンルクス「いえ…私には不要な物ですから」
462 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/01(木) 09:29:08.86 ID:whSJU1gn0
『命の泉上空』


フワフワ バサバサ


商人「多分…あそこだね…ドラゴンが居りて行く」

女海賊「おけおけ…後について上手い事降りる」

とうぞく「こりゃなんちゅー所に泉が湧いてんだ…ほとんど山頂じゃねぇか」

商人「神秘的だね…人の住まう場所では無い」

女海賊「はいはい…舌噛まないでねっと」


フワフワ ドッスン


商人「剣士と女エルフはもう泉の方に行ってるね…追おう」

女海賊「ホムちゃんもおいで」

商人「すごいな…音が何も聞こえない…別世界に来た様だ」

女海賊「水の流れる音がするよ?こっち…」サラサラ

盗賊「…この水が下界まで流れて行ってんのか…んん?癒し苔が生えているな…良い薬になる」

女海賊「どれ?…おぉぉコレも持って帰ろう」ゴシゴシ

商人「そんなの後にしなよ…ほら剣士と女エルフが待ってる」

盗賊「あぁ…そうだな…先に魔槍とやらを処置してからだな」

商人「見えた!泉に大きな槍が立ってる…あれが魔槍だ」

ホムンルクス「魔槍ロンギヌス…と書物には書いてありました」

盗賊「でかいな…あんな物を剣士が抜けるのかよ…」
463 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/01(木) 09:30:13.73 ID:whSJU1gn0
『命の泉』


サラサラ サラサラ


ドラゴン”魔王に魔槍を打たれて200有余年…命の泉は憎悪に満たされている”

ドラゴン”命有る物は皆この汚された水を口にし憎悪に染まる”

ドラゴン”今こそのこ魔槍を抜きかつての厄災を終わらせるのだ”

ドラゴン”真の勇者であれば魔槍の抜き方を知っておろう…”


剣士「…」

商人「剣士…出来るのかい?」

女エルフ「剣士?」

女海賊「あんたなら出来るよね?」

剣士「…」

剣士「……」

剣士「………」

盗賊「どうした!?何黙ってんだ?」

女エルフ「…認めたく…無いのね?…あなたが勇者である事を」

剣士「…」フゥ

剣士「正直に言うよ…僕は魔槍の抜き方も憎悪の消し方も知っている」

商人「憎悪の消し方?」

剣士「そうだよ…魔槍を抜くだけじゃダメなんだ…刺さっていた部分の憎悪も消し去る必要があるんだ」

商人「それが出来るなら尚良いじゃないか…」

剣士「ただし…同時にみんなの夢幻の記憶を失う事にもなる…そういう呪いも魔槍には掛けられているんだ」

商人「夢幻の記憶を失う…」

盗賊「俺は何も覚えちゃ居ねぇ…なにが起こるってんだ?」

剣士「みんな…自分を見失わない様にしてね」

女海賊「え?」

剣士「それは僕も同じなんだけど…女海賊…来て…」

女海賊「え?私?どうしたの?」

剣士「…」ギュゥゥゥ

女海賊「何?何?…どうしたの急に?」

剣士「ずっと君が好きだった…君を失いたくなかった…」

女海賊「なんでそんな事言いだすの?又居なくなっちゃうの?どっか行くつもり?」

剣士「魔槍を抜いたら僕は勇者になる…そしたら僕は勇者の定めに従うしかないんだ」

女海賊「どういう事?あんたは始めっから勇者じゃん?…なんで?定めって何?ちゃんと話してよ…」

剣士「ありがとう…」ギュゥゥゥ

女海賊「ねぇ!!ちゃんと答えてよ!!」
464 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/01(木) 09:30:48.19 ID:whSJU1gn0
剣士「そうだ…確か君はシン・リーンで手に入れた金属を持っていたよね…貸して」

女海賊「え?これ?」

剣士「僕が魔槍を抜いたらその裂け目にその金属を詰め込んで」

女海賊「うん…」

剣士「女エルフはその後にその金属に回復魔法を掛けて?」

女エルフ「え…あ…うん」

剣士「ホムンルクス…僕と一緒に魔槍を抜くよ…手を貸して」

ホムンルクス「はい…」

剣士「じゃ…行くよ…ふん!!」



ビシビシビシ ガガーン!!



盗賊「うお!!空が!!裂ける!!」

商人「何が起きる!?」



『我が魔槍を抜こうとする者よ』

『それは我が物である』

『奪うからには裁き受けよ』




商人「魔王の手が…」

盗賊「空から手が降って来る!!避けろぉぉぉ」




剣士「うぉぉぉぉぉ!!!!」ズボッ…

商人「抜けた…」

盗賊「女海賊!その金属を裂け目に突っ込め!!」

女海賊「え…あ…うん!」ズボ グイ グイ

女エルフ「回復魔法!」ボワー



シーン・・・


---魔槍は砕け散った---


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465 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/01(木) 09:31:15.85 ID:whSJU1gn0
盗賊「何か…変わったか?」

商人「いや分からない…でも無事に魔槍は抜けた様だ」


ドラゴン”良くやった…人間よ…いや真の勇者よ…汝をこれより真の勇者として認めよう”


女海賊「剣士?あ…ちが…勇者?大丈夫?」

勇者「ふぅ…無事に抜けたね…みんな平気?」

盗賊「あぁ何ともねぇ…やけにあっさり抜いちまったなヌハハ」

女エルフ「これでドラゴンとの契約は無事に果たした」

商人「そうだね…早くフィン・イッシュに向かわないと」

盗賊「待て待てその前に義勇団の気球探しをだな…」

商人「そうだったね…気球が無いと困るもんね」

女海賊「じゃぁさー私癒し苔拾ってから飛空艇に行くね…勇者も手伝ってよ」

勇者「あ…うん」

女海賊「なんかさぁ…私変なんだよね…心の中に急に穴が開いた感じ…なんだろ?」

勇者「平気?」

女海賊「うーん…体は平気なんだけどさぁ…胸がズキューーーーンて感じ?あんたに分かる?」

勇者「体が平気なら良いじゃない…いこっか…その癒し苔って何処にあるの?」

女海賊「こっちこっち…私の鞄にいっぱい詰めて?」
466 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/01(木) 09:31:45.87 ID:whSJU1gn0
『北の山麓ふもと』


女海賊「あそこに見えるの気球じゃない?」

盗賊「おぉ!!無事だったか…あそこに降ろせ…俺が乗って星の観測所まで戻る」

女海賊「あいさー!!」


フワフワ ドッスン


盗賊「商人!!一緒に来れるか?」

商人「良いよ?」

盗賊「気球は無傷だ…おぉ!!荷もある」

商人「何かに襲われたのかな?」

盗賊「多分な…この辺はミノタウロスが居るはずだ…さっさと気球に乗って引き上げるぞ」

女海賊「上!!ドラゴンの動きが変…近くに敵が居そうだから急いで」

盗賊「女海賊…お前は先に離陸して安全確保しろ」

女海賊「おけおけ…」フワフワ

盗賊「商人!!俺が気球の炉を焚いて居る間見張りを頼む…10分で動かせる」

商人「うん…」

盗賊「えっさ…ほいさ」

商人「勇者と女エルフは何かと戦っている様だ…」

盗賊「引き付けてくれてんだ…何と戦ってるか見えるか?」

商人「大きいな…牛の頭をしている…あれがミノタウロスかい?」

盗賊「その様だな…こっちに来る様子は無いか?」

商人「うん…あれ?照明魔法で戦ってる?レイスが居るのか…まてよ…どうしてレイスはミノタウロスを襲わないんだ?」

盗賊「なるほど…ミノタウロスもゾンビになってんだな?」

商人「そうか…魔物もゾンビ化するのか」

盗賊「通りで荷物が全部残ってる訳だ…勇者達は大丈夫そうか?」

商人「すごいねドラゴンライダーの戦い方は…ミノタウロスはやられる一方だよ」

盗賊「よっし…商人乗れ!!飛べる!!」

商人「うん…よっと」ピョン

盗賊「やっぱ飛空艇になれると旧式はいろいろ遅せぇ…」フワフワ バサバサ

商人「盗賊!!飛空艇からロープが垂れてる…多分引っ張ってくれるんだ」

盗賊「おぉぉそりゃ良い…ちと気球に結んでくる」ダダッ
467 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/01(木) 09:32:21.40 ID:whSJU1gn0
『飛空艇』


シュゴーーー バサバサ


女海賊「ねぇホムちゃん?なんか勇者がいつもと違うの…何か知らない?」

ホムンルクス「はい…」

女海賊「はい…てさぁ…あんたに言ってもしょうがないんだどさぁ…イライラすんだよね」

ホムンルクス「正直に言ってもよろしいのでしょうか?」

女海賊「何さ!!何か知ってるならちゃんと言ってよ」

ホムンルクス「彼は魔王の退け方を知って居るのです…」

女海賊「そりゃ勇者なんだからやってくれると信じてるよ」

ホムンルクス「…そうですか」

女海賊「ほら聖剣エクスカリバーでビシ!バシ!みたいな…ね?」

ホムンルクス「女海賊さん?あなたは神々の戦いの壁画を見たとおっしゃっていましたね?」

女海賊「うん…」

ホムンルクス「では…そういう事なのだと思います」

女海賊「え!?勇者は最後に魔王になる?…え?どゆこと?」

ホムンルクス「魔王になって落ちて行くのだと思います」

女海賊「落ちて行くって…どこにさ?」

ホムンルクス「壁画ではどうなって居たのですか?」

女海賊「落ちて行った先は…次の世代…え?え?え?あの壁画はそういう意味だった…の?」

ホムンルクス「それは歴史の中の事実だったのではないでしょうか?」

女海賊「ダメだよそんな…ホムちゃんなんとか出来ないの?」

ホムンルクス「私にはそのような力はありません」

女海賊「勇者…居なくなっちゃうじゃん」

ホムンルクス「どうか…彼の気持ちを察してあげてください」


---だから私を強く抱きしめた?---

---さよならするつもりなの?---

---だめだよ勝手に行かないでよ---


ホムンルクス「この会話も彼には聞こえていると思います…ですから彼の気持ちを尊重しましょう」

女海賊「…そんな」


---心が締め付けられて苦しい---

---勇者はこの想いとずっと戦っていた---

---だからあまりしゃべらなかった---
468 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/01(木) 09:32:51.47 ID:whSJU1gn0
女海賊「おぇぇぇぇ」オエップ

ホムンルクス「大丈夫ですか?体の具合が悪くなりましたか?」

女海賊「平気…ちょっと吐き気がしただけ」

ホムンルクス「気持ちはお察ししますが少しお休みを…」

女海賊「大丈夫だよ…触んな」ブン


---どうする?---

---どうする?---

---どうする?---

---どうする?---

---どうする?---

---どうする?---
469 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/01(木) 09:33:23.76 ID:whSJU1gn0
『星の観測所』


フワフワ ドッスン


盗賊「ふぅぅ…やっぱ飛空艇が早えぇな」

商人「物資を観測所に運び入れようか…」

盗賊「んむ…ん?…女海賊?どうした?」

女海賊「…」

盗賊「やけに機嫌が悪いじゃ無ぇか…」

女海賊「勇者何処に行った?」

盗賊「勇者!!女海賊が探してるぞ!!」

勇者「あぁ…ごめん今行く」タッタッタ

女海賊「…」

勇者「どうしたの?」

女海賊「…」

勇者「…」


パァァァン!!


盗賊「おいおい…痴話喧嘩ならよそでヤレ」

勇者「…」ツツ

女海賊「あんたぁ!!舐めてんじゃ無ぇよ!!」

勇者「…」

女海賊「私を誰だと思ってんだ!!私の機嫌損ねたらタダじゃ済まないからね!!」

勇者「…」

女海賊「何か言えよ!!もう機嫌損ねてんだ…どう責任取ってくれんのさ」

盗賊「みんな見てんだぁ!!あっちでヤレ…来いこら」グイ



---これが私のやり方---

---どう?少しはラクになった?---
470 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/01(木) 09:33:53.15 ID:whSJU1gn0
『南西のオアシス』


盗賊「よっし補給はこんだけだ…大事に使ってくれよぉ!!」

商人「やっぱり魔法師が居ると全然違うね…みんな顔色が良い」

王女「本当に助かっています」

女海賊「癒し苔もあるから上手く使って」

王女「はい…ですがやはり不死者の侵入が少しづつ増えて来ています」

盗賊「今の所対処法は無いんだ…踏ん張ってくれ」

商人「これから僕たちはフィン・イッシュのアサシン達を助けに行く…向こうも何か対処法を見つけてるかもしれないしね」

王女「是非お願いします」

盗賊「上手く行けばすぐに帰って来る…2〜3日はなんとかしてくれ」

女海賊「狭間の中だから往復10日…向こうで5日…もしかしたら1日で帰って来れるかもね」

商人「向こうの状況によるね…5日で事が片付くかな?」

盗賊「とにかく急ぐだな」

商人「じゃぁ僕たちはそろそろ行こうか」

女海賊「おっけ…ハイ乗った乗ったぁ」

王女「もし父に会う事があったら私の無事をお伝えください」

商人「了解したよ」


フワリ シュゴーーー
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