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勇者「魔王は一体どこにいる?」続編

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271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 01:03:19.01 ID:s4Ww8Seh0
『気球』


盗賊「よし…荷物これで全部だな?上げるぞ!!」


フワフワ


商人「初飛行…うまく飛びます様に」

情報屋「いきなり本番なんだ…怖いなぁ」

盗賊「テスト飛行なんかやってる暇無ぇんだよ…落ちるときゃゆっくり落ちるから安心しろ」

アサシン「私も気球の操作には慣れて置かないとな」

盗賊「気付くのが遅せぇんだよ…次から自分でやってみろ」

アサシン「縦帆の操作が分からん…どうやるのだ?」

盗賊「とにかく触って勘で掴め!風の受け方で進み具合に差がある…あとは風向きの先読み…これは経験だ」

商人「ちょっと!!マズイかも…レイスが飛んで来る」

盗賊「何ぃ!!飛ぶなんて聞いてねぇ!!アサシン!!俺は気球の操作で忙しい…なんとかしてくれ」

アサシン「分かっている…商人!!なんとか魔方陣を作れないか?」

商人「塩が足りない…銀が欲しい!!何か持ってない?」

盗賊「銀なんか持ち歩いてる訳無ぇだろ!!他に何か無いのか!!」

商人「銀砂とか水銀とか?」

盗賊「んなもん無ぇって…ん?銀貨!!ぬあぁぁぁぁぁ全部置いて来ちまった」

情報屋「私持ってる」ジャラリ

商人「ナイス!!って僕も持ってたよハハハ」

盗賊「ハンマーがある!!こいつで床に打ち込んどけ!!」ポイ ドサリ

商人「少し時間頂戴」

アサシン「来るな…ギリギリまで寄せて倒す…レイスが近くに来ても焦るな」

情報屋「私はどうすれば…」

アサシン「見張りだな…複数体来ると厄介だ」

盗賊「戦闘はアサシンに任せて良い…何も出来ん奴に見えるが戦闘だけは敵うやつが居ねぇ」

アサシン「一言多い」ダダッ サク


レイス「ンギャアアアーーー」シュゥゥゥ
272 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 01:03:48.76 ID:s4Ww8Seh0
情報屋「上の方に沢山居る…数え切れない」

盗賊「地上より空の方に多い訳か」

アサシン「考え方を間違っていたかもしれん…剣士達は気球を使っていない可能性も出てきたな」

盗賊「よそ事考えてないでしっかり戦えい!!」

アサシン「分かっている…お前たちにレイスは近づけさせん」ダダッ サク ンギャアーーー

盗賊「これ以上高度上げると陸地が見えなくなる…もう速度は上げれん」

アサシン「振りきれる速さでは無いな…商人!魔方陣はまだか?」

商人「もう出来るよ…これで最後」トントントン

商人「これで良い筈」

情報屋「レイスは一定の距離で集まってる」

商人「…これだけ集まってると気球から降りるに降りられなくなりそう」

アサシン「何故空の方にレイスが多いのか…」

商人「理由がありそうだね?」

アサシン「温度が高いのが苦手…いや気圧か?」

商人「空に居た方が良い理由がある…違うなそこじゃなきゃいけない…なんでだろう」

アサシン「地上には少ない…うーむ」

商人「もしかしたら地下には居ないのかもね」

情報屋「古代文明は必ず地下にあるの…それって安全だから…よね?」

商人「分かったよ…空に行くほど狭間が深い…地上に行くほど浅い…つまり地下は狭間から遠いっていう事だ」

アサシン「商人…君は賢いな」

情報屋「古代人は厄災の時に起きる闇から逃れる為に地下に都市を作った…謎が一つ解けた」

商人「みんなを避難させる場所は地下が良いね」

情報屋「進化論での人魚の発生も説明が付く…これは大発見よ」

アサシン「我々が生き延びるヒントがこんな所で分かるとは…」

商人「確かめるまではまだ断定出来ないよ…何か方法無い?」

アサシン「思い当たるのはシャ・バクダ遺跡しか無いな…しかし深部への入り口はまだ発見していない」

盗賊「おい!!そういう話は後にしてマズこの状況をどう乗り切るか相談してくれぇ!!」

商人「盗賊?多分僕たちは魔方陣の中に居る限り何処に居ても安全だよ」

盗賊「うじゃうじゃ居るレイスに囲まれて居てもか?見て見ろ!!100じゃ効かねぇぞこりゃ…」

商人「百でも千でも安全な所からやれば全部処理できると思うな…レイスはこっちに手を出せないんだし」

アサシン「ハハハ君はさらりとスゴイ事を言うね…君の言うとおりだ」

盗賊「なら気にせず普通に着陸すりゃ良いってか?マジで言ってんのか?」

商人「そうだね…囲まれていても安全に変わりはない」

盗賊「お前…女盗賊が死んでから人が変わったみてぇだな…俺にタメ張りやがる…あいつの影響か…」

商人「そうかい?昔からこういう風だよ…昔からね」

盗賊「わーったよ…もう俺は何も言わねぇ!!」

商人「じゃぁ続けようか…」
273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 01:04:19.90 ID:s4Ww8Seh0
古代文明と言えば確か光の国シン・リーンの地下にもあった筈だよね?

良く勉強したのね?そうよ…ただし深部への扉を開く方法がまだ未発見なの

他には無いの?

古都キ・カイは深部へ入る事は出来るけれどここからは遠すぎる

そもそも地下深く穴を掘ると水で埋まってしまうなぁ…

人間の力だけでは20メートルも掘るのが限界ね

やっぱりシャ・バクダ遺跡が現実的だね

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274 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 01:04:46.08 ID:s4Ww8Seh0
『追憶の森上空』

フワフワ ビュゥゥゥ

盗賊「このまま高度下げていくぞ!」

商人「やっぱり仮説通りだ…レイスがこちらを見失って数が減り始めている」

盗賊「どういうこった?」

商人「アサシンが言うには狭間の深さで時間の流れが違うらしい…だから時間の向こう側が見えなくなる」

盗賊「空が黒い理由がそれだってか?」

商人「多分ね…このまま高度を下げればどんどんレイスは見えなくなっていくよ」

アサシン「魔女に教わったのだ…その原理を利用してエルフの森や魔女の住処を隠しているそうだ」

盗賊「魔女の住処の場所は分かってんのか?」

アサシン「一度行った事があるのだが妖精の案内無しでは迷うかもしれん」

盗賊「俺ぁ妖精が見えねぇんだけどよ…お前には見えてんだろ?今居ねぇのか?」

アサシン「空が落ちて以降一度も見ていない」

商人「そういえばそうだね…全然見なくなったなぁ」

盗賊「お前も見えてたんか!!」

商人「レイスに捕まらないように隠れて居るのかもね」

アサシン「まぁ心配するな大体の場所は覚えている」

盗賊「このまままっすぐ降りて良いのか?」

アサシン「もう直ぐ先に森の切れ目がある…草原に出るから適当な林を見つけてそこに降りてくれ」
275 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 01:05:19.77 ID:s4Ww8Seh0
『追憶の森』

フワフワ ドッスン

盗賊「なんだよレイス一匹しか居ねぇじゃねぇか…心配して損したぜ」

アサシン「私が倒してくる…魔女は北の方角だ…直ぐに出発するから準備してくれ」

盗賊「商人!!気球を隠すから手伝え…情報屋は適当に木材拾って集めてほしい」


ンギャアアアーーーー シュゥゥ


アサシン「この道をまっすぐ行って目印を見つけたら右に林を入っていく」

盗賊「この道は馬車が通った跡があるじゃねぇか」

アサシン「シン・リーンの王家が魔女と精通しているのだ」

盗賊「てことはハチ合わせる可能性もあるな」

アサシン「ハチ合わせてもどうという事は無い…私はすこし面識があってな」

盗賊「王家とか?マジかよ…」

アサシン「…と言っても子供なのだがな」

盗賊「面識があっても意味無ぇじゃねぇか」

アサシン「まぁそう言うな…体は子供でも精神年齢は私よりずっと上なのだ」

情報屋「シン・リーンの王家は魔術の修行で精神と時の門へ入ると聞きました…もしかして」

アサシン「そうだよシン・リーンの姫だ…40年ほど修行したと聞いた…あれから4年…」

盗賊「意味わかんねぇな…」

アサシン「ずっと修行を続けていれば80年程という事になるか」

盗賊「計算が全然合わんのだが…」

商人「木に御札が貼ってある…目印ってコレの事かい?」

アサシン「そうだ…そこを右に分け入って20歩ほど歩いた先に入り口がある」

商人「20歩…なんか細かいね」

アサシン「20歩以上歩いてしまったら迷っている…そういう事だ」

商人「へぇ面白いね」

アサシン「ここから先は一歩づつ離れない様に歩いてくれ…一歩間違うと迷う」

盗賊「へいへい…」

情報屋「不思議ね」


1歩 2歩 3歩…………20歩
276 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 01:05:52.80 ID:s4Ww8Seh0
『魔女の塔』

盗賊「うぉ!!なんだココ!!いきなり昼間…」

情報屋「お花畑と…塔!!これは遺跡の一部だわ!!」

アサシン「迷わず来れたな…しかし様子がおかしい」

盗賊「なんでだ?隠れるにゃ良い場所じゃねぇか」

アサシン「魔女からの挨拶が無い…ゴーレムも居ない…もしや」

情報屋「ここは火の光が差すのね…花を見て来て良いかしら?」

アサシン「待て…私から離れるな」

情報屋「あら?ミツバチ…」

盗賊「何か居る気配は無ぇぞ?」

アサシン「ゆっくり塔まで進む…私の後ろから離れるな」テクテク

商人「なんか安全そうだね…おかしな感じはしないけど」

アサシン「いや…やはりおかしい…妖精も居なければ鳥も居ない」キョロ

盗賊「静かっちゃ静かだが…あの塔に魔女が住んでるのか?」

アサシン「魔女!!私だ…アサシンが来た」


シーン…


盗賊「誰も居なさそうだな」

アサシン「私たちは案内されて居ないのだが…仕方あるまい行って見るか」

盗賊「そんなに気にする事か?」シュン スト!!

アサシン「!!!!」

盗賊「うぉ!!…矢だ」

??「動くな!!」

商人「女の声」

盗賊「にゃろう危ねぇじゃねぇか…」スラリ

アサシン「待て盗賊…武器を抜くな…相手がどれくらい居るのか分からん」

??「今のは警告だ…引き返せ」

アサシン「魔女に会いに来た…私は魔女に面識がある…お目通り願いたい」

??「魔女はもう居ない…亡くなった」

アサシン「それは本当か?」

??「繰り返す…引き返せ」

アサシン「お前は誰だ!?なぜここに居る…姿を現せ」

??「これ以上近づくと[ピーーー]事になる…引き返せ」チラリ

盗賊「エルフだ…やべぇな」

アサシン「エルフよ!!この場所をどうするつもりだ?」


シュン ザク
277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 01:06:27.54 ID:s4Ww8Seh0
アサシン「ぐぁ!…」

盗賊「アサシン!!」

女エルフ「エルフと人間は戦争中だ…ここに近づくことは許さない」シュン ザク

盗賊「がぁ!!…腕やられた」

商人「まずいね…塔の上からだと一方的だ」

アサシン「相手がエルフでは部が悪いか…下がる」

商人「僕たちは引き返す!!もう撃たないでくれ」

アサシン「エルフよ…最後に一つだけ…器は古都キ・カイに在ると魔女に伝えてほしい」

女エルフ「魔女は…もう居ない…立ち去れ」

盗賊「1匹しか姿を見せなかったがどう思う?」

アサシン「アレは囮だな…おそらく他にも数匹隠れて居る…戻るしかない」

商人「対話しようとしたら撃って来るのって…なにか隠してる気がする」

盗賊「そうだな…俺らを生きて返すっていうのも解せん」

アサシン「もともとエルフは殺生を好まない…普通なら捕らえられる…返すという事は理由がある筈」

商人「魔女の塔には魔女が住んでる以外に何かある?」

アサシン「情報屋がアレは遺跡だと言ったな?」

情報屋「遺跡の一部よ…もしかすると地下への入り口があるかもしれない」

商人「なにか不可解だなぁ…」

盗賊「ひとまず気球に戻って怪我の手当てが先だ…アサシンは腹に矢を食らっている」

アサシン「急所は外れている…死にはせん…それより魔女が居ないとなると…手詰まり」

盗賊「一旦シャ・バクダへ戻るのか?」

アサシン「そうなるな…剣士達はそちらへ戻っている可能性もある」

盗賊「俺ぁちと考えたんだがよう…ここで降りる」

アサシン「…どうするつもりなんだ?」

盗賊「港町に残した子供たちが心配なんだ…あいつらを放っておけん」

アサシン「ううむ…」

盗賊「こんな状況じゃ泥棒やってる場合でもねぇし商人でもやって子供達を守ってやりてぇ」

アサシン「盗賊ギルドを抜けるのか?」

盗賊「抜けるって訳じゃねぇが今は協力出来ねぇ…女亡くして心の整理もつかねぇし」

アサシン「分かった…私は一旦本部へ戻って体制づくりをやる…盗賊は港町に残した船の管理を頼む」

盗賊「あの船は俺が自由に使わせてもらうぜ?まぁ…港町に来たら又寄ってくれぇ」

アサシン「商人!お前はどうする?」

商人「僕は元々盗賊の養子さ…僕も港町に戻って商人をやるよ」

アサシン「そうか…残念だが仕方あるまい」

盗賊「そうだな…100日経って闇の世界が開けたら又連絡する…それで良いか?」

アサシン「こちらからも連絡を送る…話は決まったな?」

盗賊「よう情報屋のネーちゃん…いろいろありがとよ…恰好悪い所を見せちまった
278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 01:07:03.37 ID:s4Ww8Seh0
情報屋「こちらこそ…家族の絆を見せてもらって良い経験をしたわ」

盗賊「まぁ…アサシンの事頼むわ…俺には手に負えんかった」

アサシン「おいおい…」

盗賊「んじゃここで分かれよう…おい商人!!今から馬盗みに行くぞ…付いてコイ」

商人「え?今?レイス来たらどうするの?」

アサシン「盗賊!!ミスリルダガー持っていくか?」

盗賊「要らねぇよ…俺にぁ銀の杭がある!これで十分だ…さぁ付いてコイ」

商人「ちょっと待ってよ…僕あんまり走れないからさぁ…」

盗賊「2Kmくらい東に小さな村があんだ…まずそこまで行くぞ」タッタッタ

商人「おーい!!待って」タッタ

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アサシン「さぁ…私たちは気球で本部へ戻るぞ…」

情報屋「一人で気球の操作は大丈夫かしら?」

アサシン「やってみる他にあるまい」

情報屋「私も手伝うわ」

アサシン「ハハハ当然じゃないか…君は私の助手だ」

情報屋「矢の傷は大丈夫?」

アサシン「これくらいはどうという事は無い…さて…行こうか」

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白狼の盗賊団編

   完
279 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:12:14.99 ID:JyBdSu8i0
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280 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:13:00.75 ID:JyBdSu8i0
『セントラル』

---事件当日---

ドーーーーン ドーーーーーン

女戦士「外郭で大砲を撃っているのか…外で戦闘が始まったか…」

女エルフ「ドラゴンが居ない…」

女戦士「恐らく雲の上だな」


女海賊「戻りぃぃ!!…マントとフード持ってきたよ」

女戦士「よし…戻ったか」

女海賊「早く羽織って…女エルフもほら」ファサ

女戦士「似合うか?」ファサ

女海賊「超かっけー…んで…こっちはどうなってる?」

女海賊「今しがた第二皇子とダークエルフが戻った」

女海賊「指輪は?」

女戦士「恐らくダークエルフが所持していると思われる…そうだな?女エルフ」

女エルフ「左手に握ってる」

女戦士「剣士!!準備しておけ」

剣士「分かってる…もう姿を消しておいた方が良い?」

女戦士「そうだな…私達にも見えなくなってしまうから立ち位置に注意してくれ」

女エルフ「ダークエルフの会話…様子がおかしい」

女海賊「え…この距離で聞こえてんの?」

女エルフ「約束が違うって…」

女海賊「なんかヤバそうだね…話してるのは王様かなぁ?」

女戦士「そうだ…国王を囲んでいるのが近衛…アレが近くに居る間は手を出さん方が良い」

女海賊「近衛が武器構えだしたって事は…女エルフ!!会話聞こえてるんでしょ?何言ってんの?」

女エルフ「指輪の破壊をダークエルフがやる条件だったのに渡せって言われて…」

女海賊「あ!!!王様が…倒れた」

女戦士「ダークエルフに首をはねられた様だ…やはり今は状況を見ているしかないな…」

女海賊「やっぱ近衛に取り押さえられるね」

女エルフ「左手を切り落とされた…指輪はあそこ」

女戦士「まだ待て」

女戦士「衛兵が集まって来出したな…ん?あれは…あれは法王だな」

女エルフ「国王への手当てを指示してる…まだ死んで居ない様子」

女海賊「お…法王が指輪を拾った」

女戦士「よし…チャンスが来るぞ…剣士!!法王の後を付けてチャンスを見て指輪を奪え」

剣士「分かった」

女戦士「奪った後は姿を消して下水まで直行しろ…女エルフは剣士の姿が見えなくても気配で追えるな?」

女エルフ「うん」

女戦士「では剣士!!行ってこい」

剣士「…」シュタ シュタッ
281 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:13:42.11 ID:JyBdSu8i0
『法王庁』

女戦士「よし…法王は一人で法王庁へ戻って行くな?」

女海賊「法王庁の裏に衛兵2人…あそこは逃走に使える」

女戦士「女エルフ!!あの二人を弓で狙えるか?」

女エルフ「大丈夫…でも…」

女戦士「今は情けを考えるな…ヘッドショットで即死させろ」

女エルフ「…」

女海賊「法王が正面の扉から中に入って行った」

女戦士「よし…付いて行ってるな?そろそろ動き出すぞ」

女エルフ「私…」

女海賊「ねぇ!!法王庁の中で光!!何か起こってる」

女戦士「ちぃぃぃ…穏便には行かんか…女エルフ早くヤレ!!剣士が危険だ」

女エルフ「ごめんなさい…」ギリリ シュン シュン

女海賊「他の衛兵はまだ気づいてない…どうしよ?」

女戦士「女エルフと女海賊は法王庁の裏口で中の様子を探れ…私は逃走ルートを確保しておく」

女海賊「らじゃり!!…女エルフ行くよ」タッ

女エルフ「う、うん」タッ

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女戦士(よし…定位置に付いたな?)


ゴゥ ドーーーーーーン


女戦士(外郭か…ん!!?上か!!)

女戦士「なにぃ!!!ドラゴンライダーだ…と?」


ゴゥ ドーーーーーーン
282 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:14:26.51 ID:JyBdSu8i0
敵襲!!敵襲!!

ドラゴンライダー複数!!

戦闘態勢いそげぇぇぇ

弓だ!!弓で近づけるなぁあああ

信号弾撃てぇぇぇ!!


ゴゥ ドーーーーーーン


女戦士「ライダー8匹…圧倒的では無いか…」ボーゼン

女戦士「はっ!!見とれている場合では無い…」ダダッ

女戦士「女海賊!!撤収だ!!」

女海賊「ヤバイヤバイヤバイヤバイ…」

女戦士「女エルフはどうした!!中か!?」

女海賊「ああああああ魔王が!!魔王が!!」

女戦士「!!?こ、これは!!空が落ちる!!」

女海賊「ヤバイ剣士が狂ってる…」

女戦士「伏せろ!!ブレーーース」


ゴゥ ドーーーーーーン  パラパラ


女海賊「剣士が死ぬ!!私も行ってくる!!」ダダダッ

女戦士「待て…ちぃぃ三人とも中か…私はここで動けんでは無いか」


---冷静になれ---

---中の衛兵は全員倒れている---

---中央に居るのが法王---

---奴に流れ込んでいる影…アレが魔王か?---

---女エルフは光の矢をつがえて…---

---剣士はどこだ?…法王の足元…倒れている---

---待て…法王の腕が無い---


---シュン! バシュ!---
283 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:14:55.46 ID:JyBdSu8i0
---法王を光の矢が貫いた---


法王「うがぁぁぁぁぁ」ヒデブ

女エルフ「剣士!!」グイ

女海賊「女エルフ!!剣士背負って5秒で裏口!!爆弾点火」

女エルフ「…」ヨッコラ

女海賊「5」

女エルフ「くぅぅぅ」ダッ

女海賊「4」

女戦士「私が盾になる!!」ダダッ

女海賊「3」

女戦士「早く行け!!」

女海賊「2…お姉ぇ耐えて!!」

女海賊「1」


ドコン!ドコン!ドコン!ドーーーン!


女海賊「ギリセーフ!!女エルフこっち!!」グイ

女エルフ「ハァハァ…」タッタッタ

女海賊「お姉ぇ!!先行くネ!!しんがりヨロ…あと3秒で煙幕」

女戦士「ぐふっ…つぅぅ」---盾が無ければ死んで居るな---

女海賊「お姉ぇ!!聞いてんの!?」

女戦士「今行く…」

女海賊「煙幕!!早く下水まで!!」モクモクモク

284 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:15:25.41 ID:JyBdSu8i0
『下水』

ゴゥ ドーーーーン

女海賊「はぁぁぁギリ間に合った…お姉ぇわ何やってんの?」

女戦士「下水の蓋を開けられん様に細工だ…先に行け…直ぐに済む」ガチャガチャ

女海賊「女エルフ!?剣士は大丈夫そう?」

女エルフ「死んでは居ないと思う」

剣士「…」グッタリ

女海賊「早く帰ろ…ここはヤバイ」

女戦士「指輪はどうなった?」

女エルフ「私が持ってる」

女戦士「よし…無くすなよ?」

女海賊「急にいろいろ始まって何が何だか…」

女戦士「混乱している今が撤収チャンスだ…走れ!!」

女海賊「お姉ぇ!!怪我は?」

女戦士「回復魔法をもらわないと直に死ぬレベルと言えば分かるか?」

女海賊「ヤバ…」

女戦士「今は無駄口叩いていないで走れ…」

女エルフ「前にラットマンと人間…ハァハァ」

女戦士「走り抜けろ」

女海賊「そういえば剣士ってクッソ重いんだよなぁ」

女エルフ「うん…重い」

女戦士「回復魔法をもらえれば私が背負う…出来るか?」

女エルフ「お願い…回復魔法!」ボワー

女戦士「ふぅぅ…助かった…な」ヨッコラ

女海賊「お姉ぇやせ我慢してたな?」

女戦士「なるほど…剣士は重いな」タッタッタ

女海賊「んん?正面!!衛兵がなんか黒いのと戦ってる」

女エルフ「レイス…」

女海賊「なんでレイスが居る訳?…まって出口がなんか暗い!!」

女戦士「女エルフ!!光の矢を準備しておいた方が良い」

女エルフ「わかった…照明魔法!」ピカー

女海賊「外の気球飛ばすのに5分は掛かる…女エルフ!足止め5分お願い」

女エルフ「うん…やってみる」
285 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:15:56.29 ID:JyBdSu8i0
『下水出口』

女海賊「ちょ…マジか…陸に上がってたクラーケンが城まで登って行ってる」

女戦士「ライダー8匹とクラーケン…これは地獄だ」

女海賊「これさぁ…女盗賊探す余裕なくね?」

女戦士「無事を祈れ…この状況では無理だ…想定外が過ぎる」

女海賊「そこら中で戦闘になってる…」

女戦士「見ろ!!ドラゴンライダーが城に取り付いたぞ」

女海賊「早すぎる…こっちに気付く前に離脱しないと」

女戦士「こちらも無事では済まんぞ…レイスが来た」

女エルフ「早く気球へ行って…ここは私が食い止める」ギリリ シュン!

女海賊「5分稼いで!!」

女戦士「走るぞ!!」タッタッタ


レイス「ンギャアアアーーーー」


女エルフ(分かってる…ここは狭間の奥)ギリリ シュン!

女エルフ「照明魔法!」ピカー

女エルフ(そしてこれは100日の闇)ギリリ シュン!

女エルフ「照明魔法!」ピカー

女エルフ(調和の時が来る…)ギリリ シュン!

女エルフ「照明魔法!」ピカー

女エルフ(ハイエルフが恐れていた事が…始まってしまった)ギリリ シュン!


レイス「ンギャアアアーーー」シュゥゥ
286 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:16:28.66 ID:JyBdSu8i0
『気球』

フワフワ

女戦士「女エルフ!!飛び乗れ!!」

女エルフ「…」ピョン

女海賊「おっけ!!一旦海風に乗る…女エルフ!!風魔法で援護ヨロ」

女エルフ「風魔法!」ヒュゥー

女戦士「よし西方面から回り込んで北に行け…砂漠を中央突破してシャ・バクダへ戻る」

女海賊「りょ…ところで今ずっと狭間に居るっぽいけどどうなっちゃってんの?」

女エルフ「…これは」

女戦士「お前は剣士と法王のやり取りを見たな?話せ」



法王は祈りの指輪を使って神に助けを求めたの

そして何処からか声が聞こえてきた

「汝は調和を望むのか?ならば名を呼べ」

次に法王は名を訪ねた

その声はこう答えた

「我は調和の神…名を魔王」

法王は不思議そうに「…魔王?」と呟いた

その声は「器はどこだ?」と答えたその瞬間

剣士が法王の腕を切り落として指輪を奪った…

声は続けて「汝が器か?我来たれり…」と言い

黒い影が剣士に流れ込んだ

剣士は狂ったように暴れた後に倒れた直後

魔方陣のペンダントが光り始めて

その影は剣士から溢れ出てきた

行き場を失った影は近くに居た法王に入ろうとした

そこで私は光の矢を撃ち法王と一緒に影を倒した
287 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:17:02.10 ID:JyBdSu8i0
女エルフ「多分…魔王の復活は阻止できた…でも調和の闇は来てしまった」

女戦士「ではやはりこの闇は200年前に起きた100日の闇だと言うのだな?」

女エルフ「…」コクリ

女海賊「これってさぁ誰の目から見ても魔王復活に見えると思うんだ」

女戦士「その通りだ…事態は深刻だ」

女海賊「世界全体が狭間に落ちたって事はレイスがヤバイね…みんなやられる」

女エルフ「ハイエルフが恐れていた事…」

女海賊「アダマンタイトで反転出来ないかなぁ?」

女戦士「巨大なアダマンタイトが何処にある?」

女海賊「重力魔法のメテオストライクでさぁ…」

女戦士「それがいわゆるかつての大破壊なのではないか?」

女海賊「むむ!!て事はシャ・バクダ遺跡の魔方陣は…」

女戦士「恐らく魔女様が作った安全地帯…そこに人を避難させる必要がある」

女海賊「超急いだほうが良いね…女エルフって剣士みたいにこの闇でも方向わかったりしない?」

女エルフ「私は千里眼の使い方が分からないの…」

女海賊「んんんん困ったなぁ…砂漠の上じゃ目標物も無いしなぁ」

女エルフ「妖精が居れば…」

女海賊「お!?虫は?…ハチミツ用にって思ってハチの巣が少しある…幼虫なら居るかも」

女戦士「何故ハチミツなんぞ必要と思った?」

女海賊「違うって…木材にくっ付いてたんだよ…ハチの幼虫は妖精になんない?」

女エルフ「お話してみる…成長魔法で今育てる」




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女海賊「…あのね…コレ本当に妖精?」ブーン

女エルフ「妖精の一種…花のある方向が分かるの」

女海賊「砂漠に花ねぇ…オアシスのサボテンとアロエくらいか」

女エルフ「向いている方向に花があるって言ってる」

女戦士「概ね方向は合って居そうだし信じる他あるまい…オアシスにあるヤシの木も花を付けるぞ」

女海賊「このミツバチはどれくらい生きる?」

女エルフ「狭間の中に居れば何年も…どうして?」

女海賊「このミツバチ欲しくなった最強ミツバチに育てたい」

女エルフ「ウフフあなたって変わった人ね…話しておいてあげる」
288 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:17:30.14 ID:JyBdSu8i0
『オアシス上空』

ビョーーーウ

女戦士「よし…狭間を抜けた…やはりここは安全だ」

女海賊「こっちの方まで逃げて来てる人がもう居るね」

女戦士「一旦星の観測所まで行って若い衆に指示を出しておきたい」

女海賊「それにしても剣士はずっと寝っぱなしだけど大丈夫かな?」

女エルフ「…」

女海賊「前にもこんな事あったんだ…セントラルの地下カタコンベ行って剣士が狂った」

女エルフ「剣士の魂を感じないの…どこに居るのか分からない」

女海賊「それって結構ヤバイ事?」

女エルフ「もしかすると魔王の影に連れていかれたのかもしれない」

女海賊「だったとしたらあんたが剣士やっちゃったってことになるじゃん」

女エルフ「ごめんなさい…」

女海賊「あの後魔王の影は何処に行ったのさ?あんた見て無かったの?」

女エルフ「散らばって闇に消えて行った」

女海賊「その中に剣士の魂も居たって事?」

女エルフ「私も必死だったから分からないの」

女戦士「シャ・バクダの民の誘導が終わったらすぐに魔女様の下へ行く…魔女様に聞いてみよう」

女海賊「なんか心配になって来たなぁ…イライラする」

女戦士「剣士が動けん今は魔方陣のペンダントは女エルフが持て…剣士が持っていては動きに制限がでる」

女エルフ「うん…」

女戦士「観測所に着いたら私は剣士を背負って一旦気球から降りる」

女海賊「うちらどうする?」

女戦士「シャ・バクダと周辺の商隊にこちらへ向かうように仕向けてほしい」

女海賊「おっけ」

女戦士「あともし出来るなら物資調達も頼みたい…恐らくこれからひどく物資不足が予想される」

女海賊「わーってるわーってる…うまくやるよ…これで良い?」

女戦士「任せた」
289 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:18:20.91 ID:JyBdSu8i0
『星の観測所』

ガヤガヤ ガヤガヤ

女海賊「お姉ぇ…ここに衛兵まで来てんじゃん…降りて良いの?」

女戦士「構わん!降ろせ」

女海賊「気球捕られたくないからさぁ…ギリギリまで行くから飛び降りて」

女戦士「仕方ない…砂の斜面で頼む」

女海賊「おけおけ」

女戦士「…よし!剣士…いくぞ」ヨッコラ

女海賊「3…2…1…飛んで!!」


ピョン!! ズザザー


女海賊「つつつ…」

男「かしらぁ!!…大変っす」タッタッタ

女戦士「分かっている…まずこの男を観測所まで運びたい…手を貸せ」

男「うっす!!…歩きながらで良いんで状況を…」グイ

女戦士「頼む」

男「セントラルから戻って来たんすよね?あっちぁどうなってるんすか?」

女戦士「あちらも魔物に攻められて大混乱だ」

男「やっぱ魔王の復活っすか?」

女戦士「いや…魔王復活は阻止した…だが影響は出ている」

男「本当っっすか!?…もう魔王復活の噂でみんなビビりまくりっすよ」

女戦士「正確には阻止した筈…そんなところだ…それでこちらはどうなっているのだ?」

男「黒い魔物が突然現れて大混乱っすよ…どうやっても倒せない」

女戦士「オアシスに避難してきているのだな?」

男「そうっす…みんな着の身着のまま逃げて来てるっす」

女戦士「衛兵も来ている様だが…領主の隊はどうなっているのだ?」

男「領主は何処に行ったか分からんっす…もう指揮系統が壊滅してて衛兵もやる気ナスって所っすわ」

女戦士「ギルドの方は上手くごまかしているのか?」

男「一応義勇団って事でシャ・バクダ周辺を回ってるんすけどね…黒い魔物がどうにも…」
290 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:18:53.23 ID:JyBdSu8i0
女戦士「よし…当面はそのまま義勇団で行こう」

男「あざっす…で…これから何か考えあるんすか?」

女戦士「黒い魔物…あれはレイスと言ってな…倒し方は恐らくゾンビと同じだ」

男「まじっすか…でも銀の武器なんかあんまり無いっすよ?」

女戦士「銀貨を集めて鍛冶屋に作らせろ…矢尻が材料少なくて済むな」

男「弓っすか?」

女戦士「矢尻をスピアヘッドにして槍にも出来る…これを戦えるもの全員に配れ」

男「分かりやした」

女戦士「銀の武器で戦える者が集まり次第レイス討伐隊を組む…観測所前に集合させるんだ」

男「マジっすか…」

女戦士「荷を運ぶラクダも集めて置け…2時間で出来るか?」

男「分かりやした」

女戦士「ここで衛兵に義勇団振りを見せつけるぞ…しっかり働け?」

男「アイサー!!」
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:19:24.39 ID:JyBdSu8i0
『観測所前』


ガヤガヤ ガヤガヤ


女戦士「諸君!!私は義勇団長だ!!」

女戦士「これよりシャ・バクダに行きレイス討伐と生き残りの保護及び物資の調達へ向かう!!」

女戦士「レイス討伐は先に配布した銀の槍と銀の弓を用いて戦う…その他の武器は使用しない事!!」

女戦士「各自槍持ちと弓持ちで今からペアを組み基本的に2人1組でレイスと戦え」

女戦士「矢の予備に余裕が無いため必ず持ち帰る事!!」

女戦士「隊列はウェッジフォーメーションとする!!私より前に出ない様に!!」

女戦士「では出発する…」

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-----------------

男「いやぁぁ皆やる気マンマンっすわ…やっぱかしらはすげーっすね」

女戦士「ハハ褒めるな…それよりラクダの数が少ないのが気になる」

男「みんな着の身着のまま逃げてるんっすよ」

女戦士「まぁ仕方ないか…これは物資運搬は何往復もしなければならんな」

男「要領が分かれば他のオアシスに居る連中も来てくれるかもっす」

女戦士「それに期待するか…しかし私は何時までもここには居れんのだ」

男「またどっか行くんすか?」

女戦士「うーむ…アサシンからまだ連絡は無いのか?」

男「相変わらずっす」

女戦士「私はこの闇の祓い方を聞きにシン・リーンの魔女の所まで行きたいのだ」

男「そういやなんでオアシス周辺だけ闇が来ないんすかね?」

女戦士「恐らく魔女が掛けた退魔の魔法のお陰」

男「そりゃ早くやり方聞きたいっすね」

女戦士「この戦い…2〜3日続けて慣れたらお前に指揮が出来るか?」

男「マジっすか…」

女戦士「いやむしろ盗賊ギルドメンバー全員が指揮をとれるようになってもらわんと困るのだが」

男「そりゃどういう意味で?」

女戦士「レイスに襲われているのはここだけでは無いという事だ…」

男「近隣の町全部行く訳っすね?…そりゃ英雄だ」

女戦士「しがない盗賊が英雄になるのだ…悪い話では無い」

男「こりゃ初戦にすべて掛かってるっすね」

女戦士「その通り!!兎に角うまく物資調達をして皆に配れば良い評判もたつ」

男「調達は得意分野っすもんね?」

女戦士「まぁ上手くヤレ」
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:19:58.73 ID:JyBdSu8i0
『シャ・バクダ上空』

フワフワ〜 

女海賊「お姉ぇ!!もうみんな避難してこの辺に生きてる人居ないっぽい」

女戦士「…そうか」

女海賊「こっちの方は順調?」

女戦士「運搬に問題がある…気球でまとめて運んでもらいたい」

女海賊「おっけ!!今着陸させるから詰めるだけ積んで」

女戦士「うむ…その間に女エルフに回復魔法を頼めんか?」

女エルフ「私は人間の前で顔を見せて良いの?」

女戦士「その方が良いと判断する…見せておきたいのだ敵では無いという事を」

女エルフ「うん…それならやってみる」

女海賊「あんたさぁ…あのクソ男どもに顔見せたらどうなるか分かってる?」

女エルフ「本当はイヤ…でもそんな事言って居られないと思うの」

女戦士「大丈夫だ…手を出す奴が居たら私が静止させる」

女海賊「お姉ぇ衛兵に見つかったらマジヤバイと思うんだけど」

女戦士「まぁ見ていろ…一番頑張って一番傷を負っているのが衛兵だ…癒してみろ」

女エルフ「うん…」

女海賊「もう知らないかんね…降ろすよ」


フワフワ〜 ドッスン
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:20:33.80 ID:JyBdSu8i0
女戦士「全体!!気球に集合して荷を積め!!」

女戦士「治療師が来ている!!怪我をしている者は速やかに来い!!」

女戦士「女エルフ…来い」

女エルフ「…」テクテク

女戦士「治療が欲しい者は居ないか!?」

衛兵「あぁ腕の出血が応急ではちと厳しい…今縫って貰いたい…痛つつ」

女エルフ「回復魔法!」ボワー

衛兵「…え?…い、今のは?」

女戦士「他に居ないのか!?」

衛兵「お前…エルフじゃないのか?…いやエルフだ…どうして」

女海賊「ハイ!!痛く無くなったら行った行ったぁぁ…質問はナシ!!」


おい今の光…

あれエルフじゃないのか?

マジか

ちょ行ってくる


女海賊「ハイ!寄ってらっしゃい見てらっしゃい…回復が終わったらありがとう忘れんなよ〜!!」

男「あっしも怪我してるっす〜ココ痛いっす〜」

女エルフ「回復魔法!」ボワー

男「マジっすか!?ちょちょちょ…かしらぁどういう事っすか?」

女戦士「こういう事だ…回復が終わった者は周囲の監視を怠るな!!」

女戦士「手が空いている者は気球に荷を運び入れろ!!」


ゾロゾロ ゾロゾロ


女エルフ「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー


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------------------

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女海賊「よっし!私らは荷物持って一回帰るね!!また来るから荷物まとめといて〜バハハ〜イ」

男達「うおぉぉぉぉぉ」
294 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:21:01.95 ID:JyBdSu8i0
『星の観測所』


ガヤガヤ ガヤガヤ


女海賊「なんか速攻噂広まったポイね…行列できてんじゃん」

女戦士「うむ…良いのか悪いのか」

女海賊「向こうのオアシスからも人来てるよ…女エルフあんなに魔法使って大丈夫なのかな?」

女戦士「少し休ませるか…」

女海賊「私が言って来るよ…今日は閉店だってね」

女戦士「そうか」


------------------


女海賊「女エルフ?そろそろ終わろ」

女エルフ「まだ大丈夫…ふぅ」

女海賊「ほら疲れてんじゃん」

女エルフ「ここに居る人で終わりにする」

女海賊「あんね…キリ無いから…向こうのオアシスからこっちに向かってる人見えてる」

女エルフ「…」

女海賊「ハイ!皆さん今日はオシマイ!!彼女はもう疲れてるからちっと休ませてネっと…はい行くよ」

野郎「んあぁぁ並んで待ってたんだよ…もうちょっと続けろよ」

女海賊「んだとコラ!!あんた何処痛いんだよ!!見せて見ろ!!」

野郎「うるせーガキだな」

女海賊「こんなカスリ傷で並ぶなって〜の…あんたも!!あんたもあんたも!!何回も並んでんじゃねぇ!!」

女エルフ「女海賊?良いの…もうすこし頑張る」

女海賊「ダメダメあんなのに魔翌力使ったらもったいない」

女エルフ「でもホラ…怪我のひどい人も並んでるから」

女海賊「よし分かった…回復が必要かどうか私が判断する…女エルフは私の後ろに居て」

女海賊「ルールを説明する!!軽い怪我は私のハグ…何回も並んでる人は私のパンチ…回復必要な人はエルフ…これで行く」

野郎「マジかよ…」

女海賊「何か文句あっか?」

野郎「ありありだモルァ…俺はお前のハグなんて要らねぇ」

女海賊「ブチッ!…分かったハンマーでパンチして大怪我してエルフ…良いな?」ブン ボカッ

野郎「ちょ…いでぇ!!」

女海賊「さっきあんた私の事ガキって言ったよね?」ブンブン ボカッ バキッ

野郎「ぐぇ!!マジでやんなよ…うがぁ!!」

女海賊「あーダメダメ…ハンマーじゃ大怪我になんない…この鉄槌で行く」ブン グチャ

野郎「ごふっ…やべて」

女海賊「はい!!エルフ行きぃ!!こんな感じネ皆さんヨロピコ」


ザワザワ ザワザワ
295 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:21:27.98 ID:JyBdSu8i0
『部屋』


剣士「…」

女海賊「…」グイット

女戦士「女海賊!無理やり目を開けるな…」

女海賊「だってさぁ…女エルフはずっと手ぇ握ってんじゃん…私も何かやらないと悔しいんだけど」

女戦士「瞑想中だ…大人しくしていろ」

女海賊「先に剣士見つけたのは私なんだけど…剣士とずっと一緒に居るのは私なんだけど…夢の中でも」

女戦士「嫉妬か?見苦しいぞ」

女海賊「本当なんだよぅ…剣士を一番知ってるのは私なんだよぅ」ブツブツ

女戦士「夢幻か…私も今日隊を指揮していて既視感があってな…いつもあんな事をしていた様に思う」

女海賊「夢の中でも剣士を誰かに取られちゃうんだよムカツク夢」

女戦士「お前は剣士の事がそんなに好きなのか?」

女海賊「お姉ぇだから言うけどさ…子供の頃からずっと剣士に背中を暖められてるんだ」

女戦士「ハハお前からそんな言葉が出るとはな」

女海賊「こいつの赤ちゃん生みたいんだ…でも秘密にしておいて」

女戦士「私から言っておいてやろう…そういうのは早く伝えておいた方が良い」

女海賊「ちょダメダメダメ剣士の方が年下なんだから私が気まずくなる」

女戦士「まぁお前の悔しい気持ちは分かった…今日は添い寝で背中を暖めてやれ」

女海賊「そうする…お姉ぇはあっち行ってて…見ないで欲しい」

女戦士「添い寝などどうという事でもあるまい?」

女海賊「うち等の暖め方は背中の肌と肌くっつけるの…恥ずかしいからあっち行ってて」

女戦士「…」


---そういう心の合わせ方もあるのか---

---やっている事はエルフと同じだな---
296 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:21:55.94 ID:JyBdSu8i0
『夢』



私「商船の航路に入ってるからこのままいけば絶対すれ違うハズ…もう安心して」

あなた「もう漂流何日目だろう…」

私「数えてなかったね…でもどうでも良いじゃん?生きてるんだし」

あなた「ごめんね頼りにならなくて」

私「良いんだ…あんたが居てくれるだけで私は暖かいんだ」

あなた「僕も暖かいよ」

私「あんた無口だけど大分話してくれる様になったし」

あなた「…まだ思い出せないんだよ」

私「導きの声ってのは?」

あなた「聞こえるよ…今は目を覚ましてって」

私「それ絶対精霊の声だよ!勇者よ…目を覚ましてってね」

あなた「何か…違う気がする…どうやって目を覚ませば良いのかも分からない」

私「あんたいっぱい魔法使えるし剣も使えるし…絶対本物の勇者だから自信持って」

あなた「う、うん」

私「あんたと一緒に旅して…もう1年以上…魔王島から逃げてやっぱりまだ生きてて…」

あなた「不安になってる?」

私「生きてて良かったなーってさ…何日も漂流してても楽しいんだ…あんたと一緒ならさ」

あなた「ありがとう」

私「ぅぅぅさぶくなってきた…暖めてよいつもみたいに」

あなた「僕の方が恥ずかしいんだ…そっち向けない」

私「しょうがないじゃん…着る物は縦帆になっちゃってるんだからさ」

あなた「君は恥ずかしくないの?」

私「もう全部見られちゃってるんだから諦めてる…寒いから背中くっつけて」

あなた「うん…君の背中暖かいね」

私「感じる?」

あなた「…」

私「どうしたの?急に黙って」

あなた「…この感じ…やっぱり本物だ」

私「はぁ?何言ってんの?私はいっつも本物だぞ?おい!!」コチョコチョ

あなた「ちょっとくすぐったいよ…いま感じてる所だから」

私「じゃぁこっちは?」クル ムニュ

あなた「そっちはちょっと…」

私「あんたさぁ…もっと私の温度を感じろよ」

あなた「感じる…君…そこに居るね?」

私「あのね…目の前に要るじゃん何言ってんのさ…ヤルのヤラないの?」


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297 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:22:25.68 ID:JyBdSu8i0
『朝』


ガチャリ バタン


女戦士「起きろ!!」

女海賊「ムニャー」ムニャムニャ

剣士「…」

女戦士「…」キック! ドガッ

女海賊「あだ…つうぅぅ…何すんだよ…ててて」ゴシゴシ

女戦士「お前は何故全裸なのだ!!…女エルフ!!何故この変態を放って置く…剣士を寝取られて良いのか?」

女エルフ「あの…気持ちよさそうに寝ていたので」

女戦士「着替えろ!!10分でヤレ」

女海賊「お姉ぇ…私が寝取るってそんな事してない」

女戦士「その格好で言えた口か!!ドワーフ一族の恥だタワケ!!」キック ドガァ

女海賊「あだっ」

女エルフ「剣士に少し反応があったので見ていたの」

女戦士「まだ起きないか…」

女エルフ「私には剣士を探せなかった…何処にいるのか分からない」

女戦士「まぁ良い…急いで魔女の所へ出立する…女エルフは剣士を気球まで運んでくれ」

女エルフ「はい…」

女海賊「お姉ぇ!!弁解させてくれよぅ」

女戦士「黙れ!!この大変な時にお前の恋沙汰なぞどうでも良い!!兎に角今すぐ着替えろ」

女海賊「違うんだって…」

女戦士「うるさい!!お前はその格好を見られて恥ずかしくないのか!?」

女海賊「…恥ずかしく…え?どうして私の夢を知っているの?」

女戦士「お前の夢なぞ知らぬわ!!どうやら痛い目を見ないと言う事が効けん様だな…」スラリ

女海賊「ちょちょちょ…ま…着替えるから!今やるから!!」

女戦士「10分で全部終わらせろ」ブン バチーン

女海賊「いだぁぁぁい!!やめて叩かないで!!」

女戦士「フン!!」ツカツカ

女海賊「…」ブツブツ アーデモナイ コーデモナイ

女戦士「…それからお前!!もう寝ながら自慰をするのはヤメロ…手を洗ってこい」

女海賊「え!?」


ガチャリ バタン
298 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:23:00.89 ID:JyBdSu8i0
『気球』


フワフワ


男「かしらぁ…もう行くんすか?」

女戦士「事態は急を要する…義勇団は引き続き続けて近隣の民を守れ」

男「領主不在なのに勝手にやってて良いんすかねぇ?」

女戦士「構わぬ…民の意がある方に義がある…故に我々は義勇を貫け」

男「わかりやした…それでいつ頃お帰りに?」

女戦士「出来るだけ早く戻るつもりだが…戻らぬ場合も考慮してお前が指揮を取れ」

男「…ですがかしらにも立場が…」

女戦士「私を出し抜いても構わん…とにかくうまくやるのだ」

男「へい…」

女戦士「私がお前の部下でも良いのだよ…アサシンに会ったら良く言っておく」

男「ありがとうございやす…こっちの事は任せてくだせぇ」

女戦士「それが聞きたかった…これで安心して行くことが出来る」

男「死なねぇでくれやんす…あっしはかしらの事が好きなんでやんす」

女戦士「ハハ落ち着いたら酒でも飲もう…酔いつぶれてやる」

男「マジっすか!!」

女戦士「お前も死ぬなよ?…では私はこれで行く」



フワフワ フワフワ



女戦士「ミツバチは魔女の塔の方向を分かっているな?」

女エルフ「大丈夫…花が沢山あるって」

女戦士「よし高度を上げて急げ」

女海賊「…」ションボリ
299 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:23:28.06 ID:JyBdSu8i0
女エルフ「女海賊?平気?」

女戦士「放って置け…そんなアバズレに構うな」

女海賊「アバズレって何さ!!…しょうがないじゃん無意識なんだからさ」

女戦士「目の前に女エルフが居たのだぞ?」

女エルフ「え?何?何の話?」

女海賊「なななな…何でもない…私の剣士を取らないでって話」

女エルフ「取るってそんな…そんなつもり無いの」

女海賊「ごめんね女エルフ…あんたが剣士と仲良くすると腹立つ」

女エルフ「私と剣士はそういうのでは無いの…なんていうか兄妹みたいな…同族と言うのか」

女戦士「エルフの繋がりに嫉妬しているのだ世話を掛けてすまんな?女エルフ」

女エルフ「でもね?私はわかる…剣士と女海賊の繋がりが私よりもずっと強い事を」

女戦士「何故そう思う?」

女エルフ「夢の中…夢幻で私は剣士に一度も会って居ない…だから探せない」

女海賊「分かれば良いんだよ…分かれば」

女戦士「黙れアバズレ」

女エルフ「昨夜剣士と女海賊が横になって居た時剣士がすこし動いた」

女海賊「ほらほらほらほら」

女エルフ「剣士にゆかりのある人なら目覚めさせる事が出来るのかもしれない」

女海賊「え!?…」---目を覚まして…この声を聞いて居たって事なのか?---

女エルフ「…どうしたの?急に呆けて?」

女海賊「剣士は夢の中で心の中で声がするってずっと言ってた…」

女戦士「お前はしっかり覚えているのか?夢を…」

女海賊「…なんとなくね…それで剣士はその声を精霊の声だと思ってる」

女エルフ「私の声のなのかな?」

女海賊「だとすると声は届いてる」

女エルフ「返事をしてくれないの…だからどこに居るのか分からない」

女海賊「ちょっと悔しいけど…声が届くならもっと話しかけた方が良い…と思う」

女エルフ「うん…」


---私と剣士が愛し合ってた時も---

---剣士は精霊の声を聞いて居た---

---だからあの時---

---私の前から居なくなった---

---何だろうこの感情---

---夢の出来事なのに---

---これが嫉妬---
300 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:23:57.41 ID:JyBdSu8i0
『追憶の森上空』


ビョーーーウ バサバサ


女海賊「私の働きバチよ!!もっと働けぇぇぇ」ビシバシ

ミツバチ「…」ブンブン;;

女戦士「ミツバチに八つ当たりをするな…案内人が居なくなっては困る」

女海賊「腹立つんだよ!!女エルフと剣士の関係がさぁ…もうムキーーーーー」ビシバシ

女戦士「お前は本当に見苦しい女だな…」

女海賊「お姉ぇには分かんないよ…ずっと私ガマンしてるんだ…夢の中でも他の女に取られた」

女戦士「剣士の気持ちはどこにあるのだ?」

女海賊「何処って…あんにゃろう!まだ気付いてない!!」

女戦士「それを確認するのが先だろう?」

女海賊「起きたら取っちめてやる!!」プンスカ

女戦士「そろそろ高度落とせ」

女海賊「わーってるよ…女エルフ起して!!やっぱ見てて腹立つ」


フワフワ ドッスン


女海賊「前と同じ場所に隠すよ…女エルフも手伝って!!」

女戦士「長居する気は無い…このまま行くぞ…女エルフ肩を貸せ」

女エルフ「え?あ…はい」グイ

女海賊「気球盗まれたらどうすんのさ?」

女戦士「魔方陣のペンダントは女エルフが持っている…魔方陣無しの気球を誰が盗むというか?」

女海賊「お?…そりゃそうだ」

女戦士「迷わん様にミツバチに案内させてくれ」

ミツバチ「…」ブーン ブンブン

女海賊「私のミツバチに勝手に指示しないでくれる?」

ミツバチ「…」ブンブン プイ

女戦士「お前はミツバチにも振られるのだなハハ」

女海賊「おい待てゴルァ!!」
301 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:24:24.46 ID:JyBdSu8i0
『魔女の塔』


シーン


女戦士「…様子がおかしいな」

女エルフ「魔女様…気配が無い」

女戦士「遅かったか…」

女海賊「魔女の婆ちゃん死んだって事?」

女戦士「分からんが…とにかく行ってみよう」テクテク

女エルフ「誰も居ないみたい…あ!妖精」

女海賊「ん?どこどこ?」


パタパタ パタパタ


妖精「遅っそいよ〜何してたんだよ〜」

女海賊「よっ!!お久ぁぁ」

妖精「魔女様が死んじゃったよ」

女戦士「いつ亡くなったのだ?」

妖精「もう1ヶ月くらい…」

女海賊「あ…そっかここは時間の流れが違うんだ…あれからどれくらい?…」

妖精「2年くらいになる…すぐ戻るって言ってたのにさ」

女戦士「魔女様は今どこに?」

妖精「塔の中で椅子に座ったまま死んだよ…魂は僕が黄泉に案内した」

女戦士「…そうか」

女エルフ「行きましょう…」

妖精「剣士はどこに行ったの?魂が居ない」

女海賊「やっぱ分かる?妖精さんにも探せない?」

女戦士「ひとまず塔に行こう」テクテク
302 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:24:50.09 ID:JyBdSu8i0
『塔』

女エルフ「魔女様…椅子に掛けたまま亡くなったのね」ポロリ

女戦士「机に書置きが残っているな…弟子の魔女宛てだ」

女海賊「何て書いてある?」

女戦士「他人宛てへの書簡を先に読むのは道理に外れる…私には読めん」

女海賊「このままにしておくの?」

女戦士「弟子の魔女を探して連れて来るのが道理…しかし魔女様の骸をこのままにしておくのもな」

女海賊「ねぇ妖精?魔女の婆ちゃんは死ぬ前に何か言ってなかった?」

妖精「剣士達の帰りをずっと待っていたよ…千里眼でずっと見ていた」

女海賊「…だから何か言ってなかったか聞いてんだよ!私の話聞いてる?」

妖精「僕には何も話さなかったよ…でも無言でアクセサリーを沢山作ってた」

女海賊「どこにある?」

妖精「上の部屋だよ」

女海賊「ちょっと見て来るね」タッタッタ

女エルフ「魔女様を埋葬してあげないと…」

妖精「魔女様が入る予定のお墓は生前に作ってたみたい…裏手にあるよ」

女戦士「よし…先に埋葬してからシン・リーンの姫を探しに行こう」

女エルフ「そうね…」

女戦士「無くなって1か月も経ったのにまるで生きている様だ…やはりここでは肉体は腐らんのだな」

女エルフ「剣士はここで待っていてね?」ヨッコラ

妖精「裏まで案内するよ…こっち」パタパタ

女戦士「墓に入れる遺品は何か無いのか?」

妖精「魔女様は一つだけ大事に持っていた石があるよ」

女戦士「どこにある?」

妖精「大丈夫…魔女様の胸に身に着けているよ」

女戦士「…これか…よし一緒に埋める」
303 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:25:21.32 ID:JyBdSu8i0
『墓』

女戦士「…」人

女海賊「…」人

女エルフ「…」人

妖精「…」人

ミツバチ「…」人


女戦士「この狭間に墓が在る限り墓の下で魔女様の骸はずっとこの姿で居るのだろうな」

女海賊「荒らされないと良いね」

女戦士「妖精が案内しなければ誰も来ることはあるまい」

妖精「僕これからどうしようかな?」

女戦士「…そうだな一緒に来い!私たちの目になって欲しい…これからシン・リーンの姫を探す」

女エルフ「剣士は?」

女戦士「女エルフは剣士と一緒にここに残れ…誰も来んとは思うがもし誰か来たら追い払え」

女海賊「ちょ…剣士は私が」

女戦士「ダメだ!お前以外に誰が気球を操作するのだ?そしてここを守るのはお前じゃ役不足だ」

女海賊「ぐぬぬ…おい!女エルフ!!剣士に何かあったら許さないかんね!!」

女エルフ「うん心配しないで?」

女海賊「あんたが一番心配なんだよ…」ブツブツ

女戦士「女海賊!!さっき魔女様の作ったペンダントを持ってきたな?」

女海賊「持ってきた…いっぱいあるよ」

女戦士「女エルフ…この魔方陣に剣士が使った退魔魔法…出来るか?」

女エルフ「印の結び方がちょっと…」

女海賊「魔女の婆ちゃんの部屋に魔術書があったよ…それ見ながらやったら?」

女エルフ「…やってみる」

女戦士「退魔のペンダントがあれば私たちはレイスを気にすることなく行動できる」

女海賊「姫を探すって事は光の国シン・リーンの城?」

女戦士「…そうだな…まずは行って今の状況を把握せねば…」

女海賊「シャ・バクダ遺跡みたいに大きな魔方陣を作って居れば良いけどね」

女戦士「退魔のペンダントが出来たら出発するから下に降りて来い」

女海賊「おっけ!!女エルフ!魔女の婆ちゃんの部屋に行くよ」グイ タッタ
304 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:25:47.71 ID:JyBdSu8i0
『花畑』

ミツバチ「…」ブーン ブンブン

女戦士「お前はこの花畑で休んでいろ…誰か来たら直ぐに女エルフに知らせるんだ」

ミツバチ「…」ブンブン

女海賊「お姉ぇ!!お待たせ…はい退魔のペンダント」ポイ

女戦士「花を踏むな!!この花は魔女様の物だ」

女海賊「あ…ごめ」

ミツバチ「…」ブーン プン

女戦士「お前もちゃんとペンダント持っているな?」

女海賊「バッチリ」

女戦士「塔の戸締りはしてきたか?」

女海賊「アダマンタイトの扉はロックしてきた」

女戦士「忘れ物は無いか?」

女海賊「もう!!うっさいなぁぁ…子供じゃないんだからさ」

女戦士「では行くぞ?」

女海賊「あ!!!ヤバ…妖精置いて来ちゃった…先行っててすぐ行くから」ダッシュ

女戦士「…」orz

女海賊「ゴルァ妖精!!何やってんのさ!!羽ムシルぞ…早くこい!!」
305 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:26:17.76 ID:JyBdSu8i0
『光の国シン・リーン』


ビョーーーーウ バサバサ


女戦士「うーむ…こちらはセントラルと違って落ち着いた物だ」

女海賊「どうする?降りちゃう?」

女戦士「いや…そういえば思い出したのだが前に魔女様の所を訪ねた時の事を覚えているか?」

女海賊「どしたの?」

女戦士「魔女の塔に行く前に馬車を隠れてやり過ごしただろう」

女海賊「三角帽子の姫が馬車に連れられて行ったね…覚えてるよ」

女戦士「たしかその時魔術院に隠れると言っていた気がするのだ」

女海賊「んん〜どうだったかなぁ…その場所知ってるの?」

女戦士「ここより南のハジ・マリ聖堂…そこが魔術院になって居る」

女海賊「ほんじゃそこから行った方が良さそうだね」

女戦士「うむ…この状況を見る限りシン・リーンはさして混乱しては居ない」

女海賊「そだね…きっと魔法使いがいっぱい居るんだね」

女戦士「上手い事魔方陣を使っているのだろう…もし魔術院に姫が居ないのならこちらに来よう」

女海賊「おっけ!進路変える…南方面だね?おい!妖精!!方向教えて」

妖精「妖精使いが荒いなぁ…」ブツブツ

女海賊「羽ムシられたい?高度上げるから方向教えて!!」

妖精「ハイ右…もうちょい右…そこらへん」

女海賊「あんたぁぁぁ!!そんな態度でどうなるか分かってんの!?」

妖精「ふぁ〜あ…女エルフのやわらかいベットが恋しいよ」

女海賊「ムッカ!!あんたまで女エルフが良いのか!!ちょっと来い」グイ

妖精「痛てて…何するのさ」

女海賊「私のベットの方が大きいんだ試してみろ!!」ムギュ

妖精「ちょちょちょ…無理やり押し込まないで」

女海賊「どうだ!!女エルフのより良いだろ!!」

妖精「…なんか…うううぅぅ暑苦しい」

女海賊「そこで大人しくネンネしてな!!フンッ」
306 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:26:54.18 ID:JyBdSu8i0
『ハジ・マリ聖堂』


ビョーーーウ バサバサ


女海賊「お姉ぇ!!見て…戦闘が起きてる」

女戦士「戦っているのは魔術師達だな…なぜ魔方陣を張らんのだ?」

女海賊「でっかいクモがいっぱい転がってる…ちょいマチ…ちっちゃいのがもっと一杯いる!!」

女戦士「アラクネーか…退魔の魔方陣が効かんのか」

女海賊「アレを全部倒すのって無理じゃね?」

女戦士「焼き払う必要があるな…」


ゴゥ ボボボボボ


女戦士「あの魔術師達の近くに降ろせ…助太刀する」


ゴゥ ボボボボボ


魔術師「姫!!上で気球が旋回しています…味方と思われます」

姫「コレ気を抜くでない…このまま後退しながら広場まで誘導じゃ…火炎魔法!!」ゴゥ ボボボボボ

魔術師「気球が降りて来る様です…火炎魔法!!」ゴウ メラ

姫「あの者らを広場から離れる様に誘導せい」

魔術師「はい!!照明魔法!!」ピカー
307 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:27:23.02 ID:JyBdSu8i0
女海賊「光った!!誘導してる…あそこに降ろすよ」

女戦士「私は先に飛び降りる…気球を降ろしたらこちらまで走れ」

女海賊「りょ!!」

女戦士「アラクネーに囲まれるなよ!!」ピョン シュタッ


姫「広場で上位魔法を詠唱する…わらわに敵を近づけさせるで無いぞ?」

魔術師「はい…火炎魔法!!」ゴゥ メラ

女戦士「助太刀!!」シュタ

姫「わらわを守れ…詠唱の時間を稼ぐのじゃ」

女戦士「大型アラクネー2体…どうする?」

魔術師「あれは倒すとクモの子が散る…こちらに来るのを止められるか?」

女戦士「足を切り落とす…」ダダッ ザク ザク


アラクネー「シャーーーー」カサカサ


女海賊「お姉ぇ!!」タッタッタ

女戦士「私は構うな…もう一匹のアラクネーの気を引け」

女海賊「おっけー」タッタッタ ピョン クルクル シュタ ドテ

魔術師「伏せろぉ!!」

女戦士「む?」

女海賊「お?」

姫「竜巻魔法!!爆炎魔法!!」ゴゥ ドーーーーーン ボボボボボ

女戦士「…ボルケーノか」

女海賊「熱ち…あちち」

女戦士「女海賊!魔術師の所まで下がれ…巻き込まれるな!!」

女海賊「やばば…」タッタッタ


チュドーーーン


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308 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:27:49.62 ID:JyBdSu8i0
『広場』


姫「他の魔術隊に大型は処理したと伝令してくるのじゃ」

魔術師「はい…姫はどうされますか?」

姫「わらわは子虫を焼いておくかのぅ…して…主らは誰じゃ?母上の差し金か?」

女戦士「姫はシン・リーンの姫君か?」

姫「そうじゃ…わらわは光の国シン・リーン第一王女…魔女じゃ」

女戦士「失礼…あなたに伝えなければならない事がある」

魔女「わらわは忙しいのじゃ…手短に済ませい」

女戦士「あなたの師匠…塔に住まう魔女が亡くなりました…同行して頂きたい」

魔女「なんと…それはまことか」

女戦士「このペンダントをご覧ください」

魔女「…信じられぬ…時の番人が今…死んだと」

女戦士「あなた宛ての書簡があるのです」

魔女「…」ボーゼン

女戦士「…」

魔術師「姫?この者達を信用して良いのですか?」

魔女「…」

魔術師「姫?」

魔女「魔術師…はよう伝令に行くのじゃ…わらわは一旦この者達と魔術院へ戻る」

魔術師「分かりました…姫の事をお願いします」

女戦士「承知」

女海賊「魔女ちゃん大丈夫?」

妖精「ぷはぁぁぁ…」ヒョコ

魔女「妖精まで居るのじゃな…付いて参れ」トボトボ
309 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:28:19.24 ID:JyBdSu8i0
『魔術院』


もう元老の言うことなぞ聞いて居れん

わらわに安全なぞ要らんのじゃ

今ははわらわが最高位じゃぞ

従わぬのなら命令を下す

魔術院に引き籠っておる者を全員町の警備に回すのじゃ

一人残らず全員じゃ

これは命令じゃ…良いな?


ガチャリ バタン


魔女「待たせたのぅ…して…わらわは早よぅ師匠の下へ行きたい…今すぐ行けるかの?」

女海賊「みんな引き留めてたみたいだけど大丈夫?」

魔女「魔術師が力を合わせればアラクネーなぞどうでもないのじゃ」

女戦士「アラクネーは元々大人しい虫…やはりレイスが現れて粗ぶって居るのか?」

魔女「そうかもしれんが…ミツバチが隠れてしまったからじゃろうと思うておる」

女戦士「…という事はシン・リーンもいずれ…」

魔女「あちらは魔術師が此処よりも更に多いのじゃ…しかし」

女戦士「ん?」

魔女「いや何でもない…早う行くぞよ?…気球に乗れば良いのか?」

女海賊「え…あぁ行こっか」

魔女「そういえば主らの名を聞いておらなんだのぅ」

女海賊「私は女海賊…こっちは女戦士…ほんでこいつが妖精」

魔女「師匠の弟子の一人かの?」

女海賊「まぁ…そうなるかな?私も魔術書持ってるし」

魔女「主の魔翌力はわらわの千分の一も無いようじゃが…錬金術か何かかの?」

女海賊「…そんな事わかるんだ…千分の一…トホホ」

女戦士「ところで魔女…あなたはどうしてその様な格好を」

魔女「魔翌力の解放は10歳程度の体が最大なのじゃ」

女海賊「どゆ事?年齢ごまかしてるの?」

女戦士「記憶が正しければ28歳くらいの筈」

魔女「良く知っておるのぅ…主は何者じゃ?」

女戦士「フフ…ドワーフ王の娘と言えば分かるか?」

魔女「おぉぉ父君は達者であろうか?主らがこの地に居るという事は…勇者がどこぞに居るのじゃな?」

女海賊「お!?話早いかも」

魔女「この闇の空…言うまでもあるまいな」

女海賊「まぁそんな感じで色々ややこしいんだ」

魔女「…ではわらわも姿を見せておくかのぅ…変性魔法!」グングン

女海賊「おおおおおぉ背が伸びた…服がピチパチ」

魔女「この姿になるのは何年振りじゃろうか…他の魔術師達を欺くには丁度良かったかもしれんがのぅ」

女戦士「これで見つからないと思っていないだろうね?」

魔女「着替えて行くので待っておれ…普通の魔術師の法衣じゃ…安心せい」
310 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:29:00.93 ID:JyBdSu8i0
『気球』

フワフワ

女海賊「衛兵達が魔女の事さがしてるっぽいね」

魔女「構わぬ…行って良いぞ?」

女戦士「第三王女がどうとか言っていたが…もしや」

魔女「全部わらわじゃ…これは王家のみ知っている事なのじゃ」

女戦士「ハハハ影武者を使っているとはな」

魔女「母上の策じゃ…わらわはどうでも良い」

女戦士「第三王女が居なくなったとなっては母上も心配するのでは無いか?」

魔女「母上も師匠から教えを受けた魔女じゃ…この闇をみて理解して下さるじゃろう」

女戦士「母上も狭間で修行をしたと?」

魔女「もうわらわの方がずっと長い…母上の年齢はとうに超えてしもうた」

女海賊「魔女って何歳?28歳じゃ無いの?」

魔女「精神的には80を超えておる…体が28歳なだけじゃ」

女海賊「ややこしや〜〜ややこしや」

魔女「魔術師の中では珍しい事ではないのじゃぞ?…さて…主らには聞きたい事があるのじゃが」

女戦士「何かな?」

魔女「そうじゃな…師匠との関係…勇者の事…主らがどこまで知っているのか全てじゃ」

女海賊「どこから話せば良いかなぁ…」

妖精「僕から話そうか…まず剣士と魔女の関わりから」ヒョコ


カクカク シカジカ

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311 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:29:32.58 ID:JyBdSu8i0
魔女「…ふむ…大体経緯は理解した…主らがどうしたいのかも」

女海賊「剣士の魂を呼び戻す事は出来る?」

魔女「出来ん事はないが難しいと言わざるを得ん…出来るならとうに精霊は夢幻から戻る筈なのじゃ」

女戦士「精霊の魂を夢幻から解放するのと同じくらい難しいと?」

魔女「そうじゃな…夢幻では自分で夢から覚める事は出来んのじゃ」

女海賊「…だから魔女にお願いしてるんじゃん」

魔女「主らは魂の器を用意してはおらんのかえ?」

女戦士「器?」

魔女「器があれば簡単じゃと師匠から聞いた事があるのでな?」

女戦士「器とは初耳だ」

魔女「精霊の魂もその器が無いと呼び戻せんのじゃ」

女戦士「精霊の像とか精霊樹とかそういう類の物なのか?」

魔女「うむ…しかしあれらはもう器として使えぬ…何度も試しておるのじゃ」

女海賊「剣士の体は?もともと剣士の魂が入ってた器じゃないの?」

魔女「剣士にいのりの指輪を持たせて何か祈ることが出来ると思うかの?」

女海賊「…ムリ」

魔女「そういう事じゃ…精霊の像も精霊樹も自ら祈ることが出来ん…じゃから新たな器が必要なのじゃ」

女戦士「新たな器と言うのは何処に?」

魔女「わらわは知らぬ…師匠なら知っておったかも知れぬが…」

女戦士「…まてよ…アサシンは器がどうとか言って居たな」

女海賊「え?アサシンが何か知ってる?」

女戦士「ミスリルと器を求めに南の大陸に行った…たしかそうだ」

魔女「ほぅ…進展しそうじゃのぅ」



ビョーーーーウ バサバサ
312 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:30:15.37 ID:JyBdSu8i0
『魔女の塔』


ブンブン ブンブン


女戦士「ミツバチ達が戻ってきているな…ん?アレは!!矢だ」

女海賊「どこどこ?本当だ!!」

女戦士「ここで何かあった様だ…急ぐぞ!!」タッタッタ


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女戦士「おい!女エルフ!!居るのか?」

女エルフ「はい…お帰りなさい」

女戦士「矢が落ちていた!!誰か来たのか?」

女エルフ「人間が4人来たけど追い返した」

女戦士「こんな場所に来る人間が居るのか…」

魔女「シン・リーンの者では無いのか?」

女エルフ「分からないけれど…魔女様の名を呼んでいた」

女戦士「では魔女の言う線が濃厚か…女エルフ!どうやって追い返したのだ?」

女エルフ「怖かったから弓を撃って…引き返せって言った」

魔女「これエルフ?主は姿を見せたのかの?」

女エルフ「は、はい…」

魔女「少しまずいかも知れんのう…シン・リーンとエルフは不可侵で約束しておってな…」

魔女「ここにエルフが来て追い返されたとなると魔術師達が来るやもしれぬ」

女エルフ「ごめんなさい…そんな事になるなんて」

魔女「まぁ来ても心配せんでも良い…わらわが居るでな?」

女戦士「そうだな…無事なら今はそれで良い」

魔女「それで…師匠は何処じゃ?」

女戦士「裏の墓に埋葬をした…石棺の中だが顔を見ていくか?」

魔女「うむ…何十年も過ごした母の様な縁なのじゃ…最後に挨拶をせねばならぬ…」

女戦士「こちらへ…」

魔女「来んで良い…みともない所を見せとう無いのじゃ…2人にしておくれ」

女戦士「塔の中で待ってる」


シクシク シクシク

うわぁぁぁぁぁん

うえっ うえっ

シクシク シクシク


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313 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:30:44.74 ID:JyBdSu8i0
『部屋』


女海賊「あ…魔女…平気?」

魔女「済まなんだのぅ…師匠の顔を見たら辛くなってしもうた…」グスン

女戦士「…これが魔女宛ての書簡だ」

魔女「どれどれ…」

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魔女「この塔はわらわが継ぐ事になった…わらわはこれから時の番人として生きねばならぬ」

女エルフ「時の番人…」

魔女「そして時の番人としての最後の修行としてお主らと共に行かねばならぬ」

女戦士「共に行くとは?」

魔女「精霊の魂を…いや精霊の生きた世界の記憶を知り未来へ繋ぐのじゃ…それが時の番人の役目」

女戦士「神々の戦いの事か?」



どこから話せば良いかのぅ…

精霊は狭間の世界ではなく現実の世界を8000年生きたのじゃ

8000年生きた記憶の重みをうぬらは想像できるか?

その中で何人の人と出会い…別れ…愛し合い…憎しみ合い

それら8000年の記憶をすべてオーブにして保管していたのじゃ

愛した人との掛け替えのない記憶…その記憶に囲まれ精霊は生きておった

しかし…神々の戦い

精霊は幾度となく魔王と戦い…その都度代償を払いながら生き抜いて来たのじゃが

大事な記憶の4000年分を先の厄災の時に失ってしまったのじゃ

正確には人類を守るために4000年分の記憶を代償にしてわらわ達は今ここに生きておる

その記憶を失った理由がシャ・バクダ大破壊…かの地へ落とした隕石群…師匠が犯した罪じゃ

師匠はこの罪と悲しみを背負いながら時の番人として生き続け…未来へとこれらの記憶を残そうとしておるのじゃ

なぜか?

精霊はまだ来ぬ未来である人に会う為じゃ…師匠はこの約束を果たそうとしておる

200年前…師匠は精霊その本人と出会い勇者や他の仲間たちと一緒に魔王と戦い…うち倒したのじゃが

その時事情が合って精霊は動かなくなってしもうた

闇を祓う力のある精霊が動かなくなってしまっては人類が滅んでしまうと考えた師匠は

広大な森であったシャ・バクダへ隕石を落とし魔方陣を形成したのじゃが…全ての森とオーブを同時に破壊してしもうた

これが精霊の記憶と人類の命を天秤にかけた結果じゃ

しかしその後…精霊が目覚める事はついぞ無かった
314 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:31:15.82 ID:JyBdSu8i0
魔女「ここまで聞いて…謎が残るじゃろう?」

女戦士「精霊がどうして動かなくなったか…どこに行ったのか…夢幻に封じられたと聞くが…」

魔女「それを探求するのが時の番人としての最後の修行じゃ」

女戦士「手がかりが何処にあるのか…」

魔女「一つ分かっている事があってな…シン・リーンにある精霊の像…あれは精霊本人であった物じゃ」

女戦士「どうして石に?」

魔女「先の厄災の後に師匠が持ち帰ったのじゃ…始めは水々しい肉体をしておったらしいが3か月で石になったそうな」

女戦士「ホムンルクス!!」

魔女「そうじゃ精霊本人はホムンルクスだったのじゃよ…それが器と言われておる」

女エルフ「器…昨日ここに来た4人の人間が」

女戦士「ん?何か合ったのか?」

女エルフ「魔女様に伝えて欲しいって言ったのが…器は古都キ・カイに在るって…」

魔女「ほぅ…良い手がかりを得たのぅ…」

女海賊「魔女さぁ…もっといろいろ知ってるでしょ?」

魔女「そうじゃのう…時が来たら話せというのが師匠の遺言じゃ」

女海賊「本当は精霊が何なのかも知ってるんじゃないの?」

魔女「そういじめないでおくれよ…聞くと悲しゅうなるぞ?」

女海賊「良いじゃん教えてよ」

魔女「それを知るのが魔道なのじゃ…主はまだ修行が足りんのぅ…さて」ヨッコラ

女海賊「逃げないでよ…」

魔女「剣士を起こしてみるとするかの…」ノソノソ

女海賊「え!?マジ?」
315 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:31:58.85 ID:JyBdSu8i0
『魔女の部屋』


今から夢幻の門を開く…これは禁呪じゃ

眠る事で見る事の出来る夢には自我が無い…故に見ているだけになる

魔術で夢幻の門を開き入れば少しだけ自我を保てるのじゃ…しかし

自力で目覚める事が出来ぬ

よって補助者が必要なのじゃ

わらわは己が肉体に暗示をかけて夢幻の門へ入る

わらわが杖を鳴らした時に名を呼んで起こしておくれ

起せなかった場合はわらわも夢幻から出てこられなくなるのじゃ

よいな?必ず起こしてくれよ?

では…参る

夢幻開門!!


女海賊「…思い出した…赤目の魔女」

女戦士「夢の話か?剣士を寝取られたのは魔女なのか?」

女海賊「寝取られたって言い方腹立つんだけどさぁ…よく考えたら不自然に剣士取られた」

女戦士「全部覚えているか?」

女海賊「うっすらとだけど…急に現れて愛してるだの感じろだの…見ててイライラしたの覚えてる」

女海賊「…てかあいつハッキリしないんだよ!いっつもボヤーってしてて」

女エルフ「ねぇ…魔女の目から涙が」

女海賊「本当だ…大丈夫かなぁ?」

女エルフ「魔女が見る夢ってどんなだろう…」

女海賊「そういえば聞いて無かったね…あんたの夢は?」

女エルフ「不幸なエルフが精霊樹になる夢…剣士には会ってないと思う」

女海賊「剣士に声が届くって事はさぁ?剣士にとってはいつも居るって事じゃない?」

女エルフ「え?」
316 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:32:34.31 ID:JyBdSu8i0
女海賊「剣士はその声がいつも聞こえるって言ってるんだ…誰の声?」


---どこから祈っていたの?---

---夢の中の私は祈って居ない---

---そうあの人は空気や音を使って心を触って来た---

---私はそれを夢の中でやってない---

---そうか…精霊樹になっても空気を使って呼べる---

---風を使って呼べる---

---鳥も虫も使える---

---わかった…夢の中のあの人はそれを教えようとしてるんだ---

---夢幻の夢は私たちに何か教えようとしてる---


---あなたは誰だったのか---


女海賊「おーい!!聞いてんの?」

女エルフ「はっ…ごめんなさい…何の夢だったのか思い出せそうで」

女戦士「魔女が辛そうな顔をしているのだが…」



リーン…



女海賊「あ!…魔女!!魔女!!起きて!!」

魔女「…」ポロポロ

女海賊「剣士は?」

魔女「ダメじゃ…わらわは悲しゅうて耐えれぬ…精霊の悲しみを見てしもうた」

女海賊「それじゃ私が行く!!」

魔女「ならん…主の魔翌力では帰って来れぬ」

女戦士「魔女…休むか?」

魔女「わらわは夢の中で5年ほど過ごした…剣士を探してやっと見つけたのじゃが…」

女海賊「5年も?」

魔女「剣士はわらわを感じようとはせんかった…わらわには無理じゃ」

女エルフ「魔女様?…私の魔翌力では行く事できませんか?」

魔女「エルフか…同族じゃな?剣士と所縁はあるのか?」

女エルフ「血を分けています」

魔女「血で探すのか…由にお主の魔翌力なら帰って来れよう」

女エルフ「お願いします」

魔女「この杖を持て…暗示じゃ苦しゅうなったら杖を鳴らせ」

女エルフ「はい…」

魔女「では参る…夢幻開門!!その門をくぐるのじゃ…」
317 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:33:09.51 ID:JyBdSu8i0
『分断した夢』



謎の声「贄が足りぬ…贄が足りぬ…贄が…」

男「おぉぉぉ神よ…お救い下さい神よ」

謎の声「我を…呼ぶのは汝か…贄が足りぬ…贄が…」

男「どうか主のお力をお貸しください…魔物の軍勢が攻めて来たのです」

謎の声「調和を求めると言うか…今調和を呼ぶのか…されば我が名を呼べ」

男「神よ…調和の神よ…この祈りの指輪で主の降臨を祈ります」

謎の声「我着たれり…汝は調和を望むのか?されば名を呼べ」ゾワワワワ

男「主のご尊名を…」

謎の声「我は調和の神…名を魔王」

男「え…ま、魔王?そんな筈は…」

謎の声「器はどこだ?…汝では小さすぎる」

男「ちがう…そんな筈じゃ…か神よおぉぉぉ」


僕「だめだ!!させない!!」ダダッ シュパー

男「うがぁ!う腕がぁぁ…白い悪魔め!!」ボトリ

僕「この指輪は使ってはいけない物だ!!」ヒョイ


謎の声「汝が器か?我来たれり…」ゾワワワワ

僕「え!?何だ?うわぁぁぁぁ」ブン ブン


---何だ?記憶が流れ込んでくる---


僕「うわぁぁぁぁぁ」ブン ブン


---フッフッフッフ夢幻に捕われし者よ…お前達では我は倒せん---

---我がまやかしの術を抜けここまで来れたのは褒めてやろう---

---だが慈悲はくれてやろう…我が物となれ…世界の半分をお前にやろう---

---お前が存在しているのは我が力であると知れ…我を滅ぼせばお前も虚無へ還る---


---何だ…この記憶は---
318 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:33:40.95 ID:JyBdSu8i0
僕「やめろおぉぉぉ」ブン ブン


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---目を覚まして---

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僕「胸が!!熱い…熱い!!うがぁぁぁ」


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---目を覚まして---

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319 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:34:15.13 ID:JyBdSu8i0
『決戦後の夢』


---夜明け---

僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー



魔女「何を呆けておるのじゃ?」

勇者「記憶がおかしい…」

魔女「魔王のまやかしの影響じゃな?」

勇者「それも…これも全部…何度も何度も…すべておかしい!!」

エルフ「僧侶は俺が見ててやる…勇者と魔女は周辺の村を回ってみてくれ」

勇者「僕はまた…取り返しの付かない事をしてしまった」


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---目を閉じて?---

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勇者「ハッ!!…まだ聞こえる」

魔女「どうしたのじゃ?」

勇者「導きの声がまだ…」

魔女「魔王はもう倒したのじゃぞ?」


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---感じて見て?---

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勇者(目を閉じる…)スッ

魔女「夜明けじゃ…勇者…行くぞよ?」


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--ここに居るから--

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ヒュゥゥゥ サラサラ サラサラ
320 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:34:45.90 ID:JyBdSu8i0
勇者(何だろう…この感じ)

勇者(僕の周りには誰も居ない)

勇者(風のする方向…)

勇者(そっちから声がする)


魔女「勇者…聞いて居るのか?」

勇者「…僕は行かなければならない所がある」

魔女「何処に行くのじゃ?」

勇者「声のする方向…森の奥だ」

魔女「今から森に戻るのかえ?」

勇者「済まない…声が呼んでいるんだ」

魔女「おかしな事を言うのだのぅ…」

エルフ「行ってきな…僧侶は見ておくから」

勇者「今気が付いた…僕は目を閉じていた方が良く見える…目を閉じてもちゃんと歩ける」

魔女「わらわは付いて行けば良いかの?」

勇者「僧侶の事をお願い…彼女は立ち直れないかもしれない…そうだ夢幻の連鎖を呼んでるのが彼女だ」

魔女「むぅ…必ず戻ってくるのじゃぞ?」
321 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:35:18.45 ID:JyBdSu8i0
『迷いの夢』


ザワザワ ザワザワ


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----こっちよ------

------------------


---僕には分かる---

---この木も---

---葉っぱも---

---枝も---

---何もかもすべて幻だ---

---ただ一つこの声の向こうに---

---僕と同じ物を感じる---

---何度も何度も同じ夢の中で---

---この声だけが本物だった---

---今度こそ向こう側に行ける---
322 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:35:49.62 ID:JyBdSu8i0
『出会いの夢』


精霊樹「…あなたが来るのをずっと待っていたの」

勇者「やっぱりこの声は」

精霊樹「やっと会えた…」

勇者「あなたは精霊樹?…この若芽が…」

精霊樹「さぁ…目を閉じて私の魂を感じて」

勇者「目を閉じる…」

精霊樹「重なって一つになるの…」

勇者「どうやって重なれば…」

精霊樹「考えてはダメ…そのまま感じるだけ」


---ほら重なった---

---離さないで?---

---私が連れて行ってあげる---

---光の向こう側---

---そう…そこが出口---

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323 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:36:20.00 ID:JyBdSu8i0
『魔女の部屋』


リーン…


魔女「女エルフ?起きるのじゃ…」

女エルフ「ハッ…剣士は何処へ?女海賊!!剣士を呼んで!?」

女海賊「え?あ…剣士?剣士?起きて?」

剣士「…ぅぅぅ」

魔女「おおぉぉぉ軌跡じゃ…わらわは伝説を見てしもうた」

女海賊「剣士ぃ!!」ぎゅーー

魔女「伝説は本当じゃった精霊が勇者を夢幻から連れて来おった…」

女戦士「…精霊?勇者?」

魔女「女エルフ…主は夢幻で何をしておったのじゃ?精霊樹じゃったのであろう?」

女エルフ「はい…精霊樹になって剣士を待っていました」

魔女「そうじゃ…夢幻の中の精霊樹がここに勇者を蘇らせたのじゃ」

女戦士「話が交差しているが…」

魔女「それは関係ない…わらわがこの事を間違えなく伝え残したとしても」

魔女「後の世には精霊が勇者を夢幻から連れて来たとしか伝わらぬ…伝説とはそういう物じゃ」

魔女「これ剣士とやら?気は確かか?何か覚えておるか?」

剣士「僕は…どこでどうなったの?…混乱してる」

魔女「そうじゃろうて夢幻の中で何年何十年と経っておるのじゃ」

女エルフ「私は夢幻の門をくぐって20年程居た気がします」

魔女「それは大変じゃったのう…何にせよ戻ってこれて本真によかった」

女海賊「ねぇ剣士?夢幻の出来事は今覚えてるの?」

剣士「うっすらと…覚えてる」

女海賊「誰が誰なのかも?」

剣士「なんとなく…精霊が誰で本当の勇者が誰だったのかも…」

女海賊「あのね…そうじゃなくて私の事言ってるんだけど!!」

剣士「え?あ…アハハ君は出てこない」

女海賊「ちょ!!マジぶっ殺してやろうか?」

剣士「…でもスゴイお世話になった人が居てさ…大好きだったんだけど何処かに飛んで行っちゃったんだ」

女海賊「誰ヨ誰ヨ…どこに飛んで行ったのヨ?」

剣士「すぐ居なくなっちゃうんだよ…誰だったかなぁ…大好きだったんだけどなぁ…んんん」

女戦士「頭は回っている様だな…みんな帰って来たし私が料理でも振舞おう」

女海賊「お姉ぇ!話ぶった切んなって」
324 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:36:54.35 ID:JyBdSu8i0
『部屋』


女海賊「木の根っこ…ハーブ…きのこ…骨…クッソまずいんだけど」モグモグ

女戦士「材料が無いのだガマンしろ」

剣士「おいしいよ…ねぇ女エルフ?」

女エルフ「うん…」

女戦士「さて…魔女…私たちは祈りの指輪をここまで持ってきたのだがこれからどうすれば?」

魔女「器を探さねばならぬ…精霊を解放しなければ今度こそ世界は滅ぶやもしれぬ」

女エルフ「魔女様?魔王の復活は私が阻止しました…それでも世界は滅ぶと?」

魔女「この闇じゃ…この闇を人間は生き延びる事が出来ん」

女戦士「100日の闇を生き延びれば良いのでは?」

魔女「…それが出来んのじゃ」

女戦士「シャ・バクダの魔方陣の中なら生き残れると…」

魔女「100日はどこでの100日と思うておる?ここは狭間の奥なのじゃぞ?」

女エルフ「え!?…もしかして現実世界の100日…」

魔女「そうじゃ…狭間の中であれば1000日なのか2000日なのか」

女戦士「…そんな」

魔女「現実では闇に落ちてからまだ数刻も経っておらん筈じゃ…どういう事か分かるかの?」

女戦士「…この闇を3年か…5年か生きろ…そういう事なのか」

魔女「そうじゃ…その間光は無く植物も育たず…人々は互いに争い合いほとんどの人間は死んでしまうじゃろうて」

女エルフ「それが魔王の言う調和の時…ハイエルフが恐れていた事?」

女戦士「では200年前の大破壊はどうやって生き延びたのだ?」

魔女「魔方陣の中で少し…あとは海で生き残った者が居ると師匠から聞いて居る…詳しくは分からんのじゃ」

女戦士「やはり器を探して精霊を呼び覚ますしか選択が無いのか…」

魔女「指輪はどこじゃ?」

女エルフ「私が持っています…これです」

魔女「その指輪はわらわが預かろう…下手に使っては危険じゃからのぅ」

女戦士「その指輪で精霊を夢幻から解放出来ると聞いてるが…」

魔女「これは量子移転という魔術が込められた指輪じゃ…祈った事を移転させるのじゃ」

女海賊「魔女はその魔法使えるの?」

魔女「量子移転は禁呪でのぅ…移転する量の抑制が解明されておらぬ故…非常に危険なのじゃ」

女戦士「その力を使って夢幻に居る精霊の魂を移転させるという事だな?」

魔女「そうなるのぅ」

女戦士「精霊が戻ったとしてどうやってこの闇を祓うのだ?」

魔女「それは誰も知らぬ…しかし伝説では幾多の闇を祓っておるのじゃ…信じるしかあるまいて」

女戦士「この話をアサシンは知っているのだろうか?」
325 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:37:24.60 ID:JyBdSu8i0
魔女「アサシンという者が誰なのかは知らぬが…師匠には主らの様な協力者が他にもおった様じゃ」


---アサシンは勇者を殺そうとしていた---

---この闇の中で勇者一人殺して一体どんな意味があると言うのか---

---調和した後の世界はきっと平穏な世界が来るだろう---

---これは調和する者と調和を阻止する者の戦いだ---

---それらの記憶を精霊は8000年分守っていたのだ---

---調和する者が魔王---

---調和を阻止する者が精霊---

---その戦いになぜ勇者が介在するのか?---

---おそらくすべての謎はそこにある---



魔女「のぅ女戦士…わらわに考えがあるのじゃが」

女戦士「器を探しに行くのか?」

魔女「一旦皆でシン・リーンまで行って母上に事情をすべて話すのじゃ」

女戦士「それでどうする?協力してもらえるのか?」

魔女「古都キ・カイに行くには気球では遠すぎるじゃろう?」

女海賊「無理無理…絶対燃料切れ」

魔女「軍隊を用意してもらうのじゃ…母上であれば理解して下さる」

女戦士「今の状況で許されると思うか?」

魔女「じゃからエルフとドワーフと妖精を連れて説得に行くのじゃ…異種族同士の協力は母上の念願じゃった」

女戦士「うむ…良い案だな」

魔女「そうじゃ忘れて居った勇者も居るのぅ」

剣士「僕は勇者なのかどうか良くわからないよ」

魔女「夢幻で得た記憶…想い…それを知っている者が勇者じゃよ…そなたが繋いで行くのじゃ」

剣士「…繋ぐ…」

魔女「では行くとするかの?も十分休んだじゃろぅ…」ヨッコラ ノソ




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326 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:38:00.84 ID:JyBdSu8i0
『ユートピア』


商人「…」人

盗賊「よぅ!!ここに居たか」

商人「あぁ帰って来たんだね…どうだった?」

盗賊「ダメだなぁ売りは儲かるが物資が全然無ぇもんだから買い付けが出来ねぇ」

商人「お金が合ってもそれじゃ意味無いね」

盗賊「穀物が全然無ぇ…こりゃ漁船出さんと食料尽きるぞ」

商人「盗賊は母さんに手を合わせて行かなくて良いのかい?」

盗賊「決まってんだろ!」人

商人「寂しい?」

盗賊「…まぁな…でも終わった事はしゃぁねぇ」人

商人「お墓の下に入って姿が見えなくなるとやっぱり…寂しいね」

盗賊「俺ぁもうここで骨を埋めるつもりだぁ…早くあっちに行きてぇよ」

商人「子供たちが大きくなるまでガマンガマン」

盗賊「…それでだぁ!北の魔術院から魔術師来るようになってから治安は良くなったんだが食料不足がな」

商人「うん…ぼくもこのままじゃイケないと思ってるんだ」

盗賊「商船が入って来ねぇのが致命的すぎるな」

商人「僕たちが商船をやるって言うのはどうだろうか?」

盗賊「セントラルには行けねぇしどこまで行くんだよ」

商人「南の大陸」

盗賊「例のアレかぁ?なんだっけ…ホム…ホル」

商人「ホムンルクス」

盗賊「それだソレソレ」

商人「それもあるけど本当の狙いはそうじゃないんだ」

盗賊「なんか浮かねぇ顔してるな?…どうした?」

商人「書物を読み漁って色々計算したんだけどさ…」

盗賊「ハッキリ言えよいつもの様に結論から言ってくれ…回りくどいと理解できん」

商人「ハハ分かったよ…スバリ!!もう二度と太陽を見る事は無い」

盗賊「んぁ?100日で終わるんじゃねぇのか?やっと半分来たくらいだろ」

商人「…それは狭間の外に出られるであろう地下深くでの話なんだ…狭間の中は時間の流れが違う」

盗賊「なんだとぅ?ほんじゃまだまだ続くってのか?」

商人「どの書物にも狭間の外で生き残った当時の記録しか残って居ないんだ」

盗賊「どういう事よ?」
327 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:38:26.51 ID:JyBdSu8i0
商人「言い換えると狭間で生き残った人が居ないという事になる…さらに」

商人「魔術書によると2000日の闇を超えるという事も書いて合って…それが狭間の中での事なら辻褄が合う」

盗賊「おま…この闇を2000日生きろってか?」

商人「狭間の深さによって時間の流れが違うから正直正確には分からない」

盗賊「たった1ヶ月そこらで食料枯渇してんだぞ?」

商人「この後何が起こると思う?」

盗賊「略奪だ…もう始まってる様だがな」

商人「そう…国がする略奪…戦争だよ」

盗賊「!!じゃぁこの間港に入船した軍船はその準備って訳か?」

商人「アレはシン・リーンの軍船みたいだね」

盗賊「今荷物運び入れてんだ…どこと戦争する気なんだ?」

商人「さぁね?…だから僕たちも何時までもここに居られないって思ってるのさ」

盗賊「おぃおぃマジかよ…せっかく子供達の安住の地を作ったのによ」

商人「帰ってくる場所はここで良いさ…でもやっぱり狭間の外に出る必要があると思う」

盗賊「…おい…思い出したぞ?」

商人「何?」

盗賊「古都キ・カイは古代遺跡に通じる地下があるって情報屋が言っていたな?」

商人「ハハハ察しが良いね…ビンゴ!!僕はそれを言いたかった」

盗賊「食料持って子供たちをそこに避難させるんだな?」

商人「出来るかい?」

盗賊「船を動かすにゃぁ人手が足りねぇ…あん時はまだアサシンも情報屋も居た…2人じゃ無理だ」

商人「ねぇ見て!!シン・リーンの軍船が動き始めてる…」

盗賊「うむ…何処に行くんだか」

商人「上!!気球も飛んでる」

盗賊「…ありゃアサシンの気球に似てるな…2つ飛んでやがる」

商人「何か動き始めたみたいだね…」

盗賊「1つは軍船追いかけてる様だな…もう一つは港町に降りそうだ…様子見て来るか?」

商人「僕も行って良いかな?」

盗賊「ダメだ…レイスが出て来てもお前は戦えんだろう」

商人「ちぇっ…」

盗賊「安心しろ…俺がしっかり見て来てやる」タッタッタ
328 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:38:54.18 ID:JyBdSu8i0
『港の広場』


盗賊(マジか…ありゃアサシンの気球じゃねぇか)

盗賊(衛兵と魔術師に取り調べられてんな…なんであんな所に降りるんだバカ野郎が…)

盗賊(誰が乗ってんだ?見えねぇ…)

盗賊(お?取り調べ終わりそうだな…ておいっ…気球飛んでいくじゃねぇか)

盗賊(俺達への定時連絡か何かだったんか?書簡でも置いて行ったのか?)

盗賊(むむ…気球から2人降りてる様だな…誰だあの男は)



男「…これで良いでやんすね?」

衛兵「港町は現在安全な状態では無いため外出は控えてほしい」

男「分かってるでやんすよ…どこも同じでやんす」

魔術師「魔方陣のある区域からは出ない様にお願いします」

男「へぇ〜そんなものがあるんすね?」

衛兵「書状は私達が預かり領主へ届ける故お前たちは宿にて休まれよ」

男「お世話掛けたでやんす」

女「では失礼します」

男「あの…荷物はあっしが全部持つでやんすか?」

女「あなた…男なのでしょう?」

男「あねさんそらねーでやんす…少しはもって欲しいでやんす」

女「こっちよ?」テクテク
329 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:39:22.55 ID:JyBdSu8i0
---街道---


盗賊「よう!!来たな?」

女「あら?お出迎えかしら?」

男「誰でやんすか?例の盗賊っていう男でやんすか?」

盗賊「ギルドからの定時連絡だな?お前が直接来るとは思ってなかったぜ?情報屋のネーちゃん」

情報屋「事情が色々変わったの」

盗賊「こっちの男は誰だ?信用して良いのか?」

男「あっしはローグっていう者でやんす…女戦士の彼氏って事になってるでやんす」

盗賊「ぶぶっ…マジか!!」

情報屋「事情はあなたのユートピアで話すわ…ここで人に見られるのもアレだし…行きましょ?」テクテク
330 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:39:52.41 ID:JyBdSu8i0
『ユートピア』


ワーイワーイ キャッキャ


商人「おかえりー上から見てたよ」

情報屋「元気そうね?子供たちはみんな元気?」

盗賊「今の所はな」

情報屋「女盗賊はどうしたのかしら?」

盗賊「墓に埋葬した…挨拶してやってくれ」

情報屋「うん…行って来るわ」

商人「お客さんが来たんだ…久しぶりにバーベキューでもしようか」

ローグ「良いでやんすね…お土産でラクダの肉を持ってきているでやんす」

商人「おぉそれは良いねぇ…みんな喜ぶと思うよ…みんなぁ!!バーベキューやるから手伝って!!」


ワーイ ワーイ

マジでぇぇ ムギャーーー


ジュージュー

ローグ「ここは良い所でやんすねぇ…海も見えるし」

盗賊「太陽があればもっと綺麗なんだ…俺の女のお気に入りの場所だ」

商人「ただちょっと家が狭いね…ぼくなんか毎日納屋で寝てるからハハ」

盗賊「情報屋とローグは寝る場所無ぇが良いのか?」

ローグ「あっしはどこでも良いでやんすよ…あねさんはどうしやすかねぇ?」

商人「あ…情報屋戻って来たね…君も食べなよ…ラクダの肉おいしいよ」モグモグ

情報屋「あら?お気になさらず」

盗賊「…それで…何しに来たんだ?2人で来るってーと何かやるんだろ…」

情報屋「そうね…どこから話そうかな」

盗賊「結論から言ってくれぇ…分かんなくなっちまうから」

情報屋「左遷されたのよ…左遷」

盗賊「ヌハハ分かんねぇ」
331 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:40:24.99 ID:JyBdSu8i0
まず政治の話

セントラルはあの後第一皇子が実権を握ってね

第二皇子は軍国フィン・イッシュに亡命

法王庁は解体

どうなるか分かる?


商人「セントラルとフィン・イッシュの戦争だね」

情報屋「そう…それでシャ・バクダ領がどちら側に就くのか問題になって居る訳」

商人「闇に落ちた世界で戦争なんかやってる場合じゃ無いんだけどね」

情報屋「そうよ…だからアサシンはフィン・イッシュに向かって戦争回避の為に暗躍しているの」

盗賊「又アイツは変な所に首を突っ込もうとしている訳か…」

情報屋「そうとも言えないのよ…レイスに対抗する手段としてゾンビ軍団を使う技術があるのはフィン・イッシュ」

商人「なるほど…不死者の軍団を使ってでも民を守りたい…そういう事だね」

情報屋「一方でアサシンは精霊の事も忘れて居ないわ…だから私はここに来たの」

盗賊「俺達をどうするつもりだ?」

情報屋「まだ情報があるのよ…ローグ?教えてあげて?」

ローグ「かしら…いや女戦士の事でやんす」

盗賊屋「ほぅ…」

ローグ「実は世界が闇に落ちたその数日後にですねぇ…」


カクカク シカジカ

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332 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:40:56.40 ID:JyBdSu8i0
ローグ「…という事なんでやんす」

盗賊「てこたぁ剣士達は全員無事なんだな?ヌハハこりゃ良い情報だ…」

ローグ「シン・リーンに向かった後の足取りが掴めないでやんすよ」

商人「剣士達の仲間に女エルフが居たって言ったよね?」

ローグ「そりゃぁ金髪の長い髪で女神の様に美しいエルフでしてね?野郎共は一瞬でトリコでさー」

商人「…」チラリ

盗賊「…」チラリ

情報屋「…」チラリ

商人「ハハハ…ハハハハハハ…そういう事か…ハハハハハ」

盗賊「ずっとすれ違いっぱなしって訳だ…剣士達はいつも俺らの前を行ってるなコリャ」

情報屋「私が来た理由を察したかしら?」

商人「アハハハ…盗賊!今日もう一つの気球を見たよね?」

盗賊「んむ…軍船追いかけて行ったな」

商人「どうやらアレは剣士達だね」

盗賊「あいつらも情報屋が言ってたお人形さんを探してる…まぁそう考えるわな」

商人「さぁどうする!?手札が揃った」

盗賊「長距離航海するなら星が見えねぇと現在地が分かんねぇ…南の大陸までたどり着けるかだ」

商人「困ったねぇ…」

盗賊「せめて羅針盤だけでも使えりゃなんとかなるとは思うんだが…」

ローグ「…これ使えやせんかねぇ?」コトリ

商人「何だい?この石は」

ローグ「星の観測所で剣士が療養していた時なんでやんすが…その石を預かったままだったんでやんす」

商人「使い道は知ってるの?」

ローグ「かしらの妹さん…ぃゃ女海賊が作った物らしいでやんすが…狭間の出入りに使うとかなんとか」

商人「どうやって使うんだろう?アレ?これ磁石がくっ付いてるのか」

ローグ「女海賊が磁石を回して姿を消したり出てきたりしたのを見たでやんす」

盗賊「そりゃすげぇな…泥棒専用道具じゃねぇか」

商人「ちょっと面白いね…試しに使ってみよう」クル

盗賊「うぉ!!どうなってんだこれ?…消えやがった…おい!!聞こえてんのか?」パッ

商人「これスゴイ物じゃないか!!」

盗賊「マジかよ…お前なんで後ろに居るんだ?」

商人「僕は回りウロウロした後盗賊の後ろで元に戻しただけだよ?」

ローグ「女海賊はそれで遊んでたんでやんす」

商人「盗賊!!羅針盤は今持ってない?」

盗賊「船に乗せっぱなしだ…それがありゃ船で羅針盤が使えるって算段か?」

商人「でもこれは危険な物かもしれないなぁ…イヤ相当危険な物だ…時間の狭間に挟まるとどうなるか分からない」

盗賊「俺ぁそれが欲しいな」

商人「使うのは盗賊で構わないけど乱用は避けるべきかな」

盗賊「分かってる…ちぃとワクワクしてきたんだ…今から羅針盤使えるか試してくる」

ローグ「役に立つと良いでやんすねぇ」
333 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:41:24.84 ID:JyBdSu8i0
『翌日』


盗賊「俺ぁ樽を大量に買い付けてくるからその間にみんなで水汲んどいてくれ」

商人「他の荷物はもう船に運んでおくよ?」

盗賊「馬車で何往復もする事になるだろうからローグと協力して上手くやるんだ」

ローグ「分かってるでやんす」

盗賊「情報屋は子供たち見ててくれ…じゃぁ行ってくるな」タッタッタ


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盗賊「ようし!!これで最後の荷物だな?」

ローグ「もう荷室も居室も満タンでやんす」

盗賊「入りきらん分は甲板に出しておいてくれぇ…子供たちはもう乗ってるのか?」

情報屋「ここに居るわーーー」ノシノシ

盗賊「ちぃと女盗賊に出かけるって言って来る…みんな船に乗って待っててくれぇ!!」

情報屋「はーーーい」



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盗賊「よう女盗賊…ちっと寂しくなるかもしれんがよぅ…待っててくれな?」

盗賊「用が済んだら必ず帰ってくるからよ?」

盗賊「あぁ分かってるって…子供たちの事は任せろ…んじゃ…行って来るな?」


サワサワサワ ヒューーー


---いってらっしゃい---
334 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:41:53.83 ID:JyBdSu8i0
『船』


ザブーン ザブーン


盗賊「荷物満載の船動かすのは久しぶりだぜ…よっし出港するぞ!!商人!!碇上げろぉぉ!!」

商人「がってーーーーん!!」ガラガラ ガラガラ

盗賊「ローグ!!縦帆2つとも開けぇぇ」

ローグ「てやんでーーーーー!!」バサバサ

盗賊「情報屋!!面舵いっぱーーーい!!」

情報屋「にゃろめーーーー!!」グルグル

盗賊「横帆てんかーーーい!!」バサバサ


ギシギシ ギギギギ

ユラ〜リ ユラ〜リ


盗賊「やっぱクソ重いな」

商人「さぁ…僕たちの冒険の始まりだね?」

盗賊「船乗りの構成じゃないがなヌハハ」

情報屋「子供達も一生懸命手伝ってたわよ?」

盗賊「大人4人と子供達の大航海だ…こんな事やってるのは世界中で俺達だけだぜ?」

ローグ「ロマンでやんすねぇ」

商人「これは世界を救う旅なんだ」

盗賊「ちぃとメンバー不足だがな…さぁて!!お前等ぁぁ!!筋トレすんぞ…娘達もコーーーイ!!」

娘達「えええええええ!!」

子供達「わーい」キャッキャ

情報屋「ウフフ…わたしやっぱりここの生活が合ってるなぁ」

商人「ずっと一緒に居て良いんだよ?みんな家族さ」

ローグ「良いでやんすねぇ…あっしも早く彼女に会いたいでやんすよ」
335 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:42:21.26 ID:JyBdSu8i0
『航海_何日目か』


ザブーン ザブーン


盗賊「多分なぁ…今ここら辺だ」

商人「この島の漁村が普通は中継点なんだよね?」

盗賊「灯台が見えれば良いんだがな…レイスにやられてもう誰も居ねぇと思うな」

商人「水は大丈夫?」

盗賊「多分古都キ・カイまでは持つ筈だが…補給出来るに越したことは無ぇ」


ローグ「右前方に何か見えるでやんす〜〜!!」


盗賊「おぉ!!今行く!!」ダダダ

商人「あ!!海図忘れてるよ!!」タッタッタ


ローグ「灯台は見えないでやんすねぇ…何でやんすかねぇ?」


盗賊「…入り江が見えんな…ありゃ無人島か?…ちょい海図見せろ」

商人「あーー現在地大分西にズレてるんじゃない?ホラここの島」

盗賊「まだ分からん…あの島を見ながら一旦東に進路変える…情報屋!!面舵だぁ!!東に進路変えるぞ!!」

情報屋「あいあい…」グルグル


ローグ「正面に大きな島が見えてきやした!!」


盗賊「なるほど…てことはこっちだな」

商人「ええ?全然違う所じゃない」

盗賊「航海はそういう物だ…こりゃえらく東に流れたな中継の漁村なんか今からじゃ無駄だ」

情報屋「このままで良いの〜〜?」

盗賊「ダメだぁ!!ちと俺が修正する!!お前も見張り頼む」

盗賊「ローグ!!横帆を張りなおす…下降りてこい」

ローグ「わかったでやんす〜」

商人「南西に転換?」

盗賊「そうだ!!南の大陸のかなり東に行く事になる…大陸右手に見ながら目的地目指す」

ローグ「横帆はどう張れば良いでやんすか?」

盗賊「左舷の2番目の柱に結んでくれぇ!!向こうのやつも同じように張ってくれ!!」

ローグ「あいさーーー」

盗賊「商人!!海図持ってこい」

商人「ん…あぁ」

盗賊「えらく大回りしちまった…大陸で補給したいが」

商人「南の大陸は海図に詳細書いてないよ…」

盗賊「んああぁぁぁ…しゃーねここの川で一旦小舟降ろそう…樽4つ汲めばなんとかなるだろう」

商人「小舟にも魔方陣やっておくよ」

盗賊「そうだな…やっといてくれぇ」
336 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:42:48.93 ID:JyBdSu8i0
『南の大陸_河口』


ザブーン ザブーン


盗賊「んじゃ水汲んでくるわ!!ローグ!!お前も来い」

ローグ「あいさー」

商人「気を付けて〜」ノシ

情報屋「水足りないの?」

商人「雨が降らないのがね…」

情報屋「海岸沿いにいくつか漁村あった筈なのに」

商人「南の大陸の地図が無かったからさ在るか無いかわからない所に寄れないんだと思うよ」

情報屋「南の大陸の事は盗賊もあんまり知らないのね?」

商人「その様だね…そういえば君の出身は古都キ・カイだったね?」

情報屋「10年くらい前に北の大陸に移住したのよ」

商人「南の大陸はどんな風なの?」

情報屋「大きな国は古都キ・カイとドワーフの国…ずっと南の方には蛮族が居るらしいわ」

商人「蛮族?」

情報屋「蛮族もいくつか派閥で分かれてるらしいけど私は良く知らない」

商人「へぇ…」

情報屋「北の大陸よりも古代文明を良く研究しているからとても進んでいるのよ?」

商人「それは知ってる…確か錬金術が盛んだったよね」

情報屋「そう…錬金術で新しい金属や生物を作るの…それに古代文明の科学を組み入れて機械を作るの」

商人「君が言ってたホムンルクスってそうやって作るの?」

情報屋「ホムンルクスと言っても色々在ってね…完全な人の形をした物はまだ作れないみたい」

商人「僕たちが探してるホムンルクスってもしかして完全な形のやつ?」

情報屋「そう…完全体」

商人「その他のホムンルクスってさ義手とか義足になってる奴でしょ?」

情報屋「そうよ…そういうのを組み合わせて人型にした物がキラーマシンという機械…北の大陸の衛兵の代わりね」

商人「やっぱり軍事目的で使われるんだ」

情報屋「出回ってる義手とかはテストみたいな物ね…だから色々あるの」

商人「キラーマシンってさ…どうやって動くんだろう?人間でいう脳の部分」

情報屋「君ぃ…私に全部白状させようとしているな?」

商人「えへへ…バレたか」

情報屋「よかろう!!教えてあげよう!!」

商人「わくわくするよ…はやくはやく」
337 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:43:16.25 ID:JyBdSu8i0
キラーマシンが動く原理は人工知能という機械が働いているお陰なの

現在の技術では人間が遠隔操作して動かしているわ

でも遥か古代文明では自律で動く様になっていたらしい

人口知能を搭載して自律で動くホムンルクス

私はそれこそが北の大陸で崇拝されている精霊の起源だと思っているの

でもこの学説は北でも南でも支持を得られない

北では精霊が神格化されているし

南では人工知能が魂を持つとは思われていない

でもね?

私は思うの

もしもキラーマシンが人間の心を持ったとしたら

何千年もその心が生き続けたとしたら何を思うのか?って

そう考えると伝説で伝えられてる数々の精霊の行いが辻褄の合うものになっていく

まぁ…証拠は無いおとぎ話なんだけどね

私は子供の頃に機械の犬を持っていてね

その子だけが私の友達だったのよ

でもある日機械が壊れてしまって動かなくなった

とても悲しくて沢山泣いた…機械相手なのに

その後大人になって色々勉強して機械の事がわかるようになってきてね

子供の頃に一緒に過ごしたその機械の犬がどういう風に動いてたのか理解したの

ボロボロになったその子の中にメモリという部品を見つけて解析したら

私の声がずっと記録されていたの

私とのやり取りをずっと記録していたのよ

どうして機械が勝手に記録していたのかは分からない

私にはその子に魂が合ったとしか思えてならないの

だから何も証拠が無くても

精霊の起源は魂を持ったホムンルクスだって信じてる


商人「…良い話だね」

情報屋「ありがとう」

商人「君がホムンルクスを探してる理由は…その犬に愛が合ったのか確かめたいんだね」

情報屋「うん…」

商人「出来る事ならもう一回会いたいね」

情報屋「そう…それが古代から精霊が生き続けている理由だと思うの」

商人「逆の立場から考えるとさ…もしも永遠の命がその犬に合ったとして君が死んだときどう感じるかな?」

情報屋「え…」

商人「記録した君の声を聞きながら生きていくのかな?」

情報屋「かなしいね…切ないね」

商人「そんな記憶を何千年も記録するのはとてつもなく悲しいね…どうすれば救われるんだろうね?」

情報屋「夢幻…」

商人「そんな気がするよね…」
338 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:43:45.65 ID:JyBdSu8i0
『古都キ・カイ』


ザブーン ザブーン


盗賊「やっぱりこっちの方もレイスが出てた様だな?ちと様子見てから船寄せるか」

商人「前アサシンと一緒にここに来たんだよね?随分変わってる?」

盗賊「あん時はもっと町の外に人が歩いてたんだよ…今は全然居ねぇだろ?」

情報屋「キラーマシンが立ちんぼになって居るわね」

盗賊「だな…ありゃ壊れてるんか?」

情報屋「操作している人が居ないだけだと思うんだけど…」

盗賊「あれを見ろ…シン・リーンの軍船だ…気球も乗ってる」

商人「剣士達に追いついたね」

盗賊「軍船にゃ人が乗ってる様だな…アレの横に付けるか?ひょっとしたら剣士達も乗ってるかもしれん」

商人「そうだね…上手い事会えると良いね」

盗賊「あそこが慌てて居ないって事は大した危険も無い様だ…早いとこ下船してちゃんとした水が飲みてぇ」

情報屋「そうね…喉がカラカラだわ」

盗賊「じゃ…寄せるぜ?」グルグル


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ギシギシ ギギギ ガコン


盗賊「…何にも警戒されていない様だが…こりゃ勝手に下船しても良いってか?」

商人「シン・リーンの軍船からは警戒されてるね」

盗賊「そらそうだわな…この闇で船乗ってる奴はそら怪しいと思うわ…どうする?」

商人「んーーー困ったね…勝手に下船して捕まるのも嫌だしね…」

情報屋「そこは私が交渉してみる」

盗賊「キ・カイの地下降りる所まで結構距離があんだよ…子供達どうすっかだなぁ…」

商人「馬車に魔方陣張って行くしかないね」

盗賊「しゃーねぇ俺が馬車で往復して後で追いかけるわ…情報屋!!お前地下の地理分かってんだろ?」

情報屋「うん…降りて直ぐの所で待って要れば良い?」

盗賊「状況が分かんねぇから落ち合えなかった場合の集合を…」

情報屋「中央のホームと言われている場所分かる?」

盗賊「あぁ分かった…降りて直ぐの所で待てない状況だったら中央ホームで集合…いいな?」

商人「随分慎重なんだね?」

盗賊「めちゃくちゃ入り組んでんだよ」

商人「へぇ…楽しみだな」

盗賊「んじゃ…みんな馬車で下船準備だ!!」
339 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:44:15.16 ID:JyBdSu8i0
『馬車』


ゴトゴト ゴトゴト


商人「何か変だね?下船しても誰にも止められないなんて」

盗賊「やっぱ地上の町は完全に放棄してる様だな…こりゃ盗賊ギルドもアテに出来ん」

ローグ「あそこ見るでやんす!!死体が積んであるでやんす」

情報屋「ここも被害が出ているのね」

盗賊「お前は家族とか居ないのか?」

情報屋「もう居ないから心配しなくて良いわ」

ローグ「それにしても死体が変でやんすねぇ…半分石になっておりやんす」

情報屋「それは気にしなくて良いわ…この国では普通だから」

ローグ「どういう事でやんすか?」

情報屋「不良品のホムンルクスを使った義手とかはそういう風になってしまうの」

商人「それにしても本当に誰も居ないね」

盗賊「全部地下に避難してるんだろ」

商人「そんなに広いのかい?」

盗賊「俺ぁ全部は知らねぇ…だが相当広いぞ…いや広いが狭い」

商人「ハハどっちなのさ」

盗賊「とにかくゴチャゴチャなんだ…まぁ行ってみりゃ分かる…さぁ着いたぞ」

情報屋「入り口にも誰も居ない…」

盗賊「ローグ!!皆を守ってやってくれぇ…さぁ全員降りてそこの階段下ってけ!!」


ワーイ ドタドタ


盗賊「じゃぁ情報屋!!後は頼んだ!!30分で戻る」
340 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:44:45.11 ID:JyBdSu8i0
『地下』


情報屋「みんな迷子にならない様に気を付けて付いてきてね」

子供達「はーい」

情報屋「やっぱりここで検問か…」

衛兵「止まれ!!お前たちは何処から避難してきたのだ?」

情報屋「これ身分証です…北の大陸から逃れて来ました」

衛兵「上手く逃れて来た様だな…避難民はチカテツ街道に収容する事になっている」

情報屋「何番目ですか?」

衛兵「ここは初めてでは無いのだな?話が早い…8番チカテツ街道だ…行き方は分かるな?」

情報屋「大丈夫です…配給は有るのでしょうか?」

衛兵「1日1回の配給しか無い…貰いそびれないように気を付けろ」

情報屋「ありがとうごさいます…行って良いですか?」

衛兵「行け!!ここは衛兵の詰め所になって居る故…真っ直ぐ奥まで行け」

情報屋「みんな付いてきて」テクテク

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商人「ねぇチカテツ街道って何?」

情報屋「ここはね…古代遺跡の中に街を作った都市なの…古代ではチカテツと呼ばれていた場所に街があるのよ」

商人「へぇ…変な名前」

情報屋「他にもデパチカ居住区…チカガイ貴族居住区…中央ホーム…カイサツ門…いっぱいあるわ」


ガヤガヤ ガヤガヤ


情報屋「子供達!!手を繋いで迷わない様に付いてきてね」

商人「盗賊との待ち合わせ場所は?」

情報屋「もう通り過ぎちゃったから中央ホームに行きましょ」

ローグ「人が多いでやんすねぇ」

商人「色んな人が居るね…ヘンテコな装飾した人とか」

情報屋「アレは装飾じゃなくて機械の部品よ」

商人「すごいな…この街は世界が闇に落ちても賑やかなんだ」

情報屋「全然賑やかなんかじゃないわ…いつもの半分という所かしら」

商人「なるほど盗賊の言う狭いって言うのは広間が何処にも無いからだ」

情報屋「そうね…何処に行ってもこういう通路に人が沢山居る」

商人「露店も結構出てるね」

情報屋「落ち着いたら買い物もできるかもね…さぁここが中央ホーム」

341 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:45:16.00 ID:JyBdSu8i0
『中央ホーム』


ガヤガヤ ガヤガヤ


盗賊「おぉ見つけた!!待ったか?」

情報屋「気にしないで?」

盗賊「他のみんなはどうした?…あぁあそこにいるか」

情報屋「中央ホームを出ない範囲で露店を見て回ってるの」

盗賊「まぁこういうのは久しぶりだろうからやらせておくか」

情報屋「ここに居ると世界の危機が分からなくなるわね」

盗賊「そうでも無ぇぞ?食い物が全く売ってねぇ…みんな腹減らしてるだろ」

情報屋「あら?気が付かなかった」

盗賊「人間は腹減りだすとよそから盗むようになる…これじゃそのうち暴動起きるな」

情報屋「配給が1日1回だって聞いた?」

盗賊「あぁ聞いた…どうせアテに出来ん…ちっと飯の調達は考えて置かんとイカン」

情報屋「船に乗ってる食料は?」

盗賊「アレは本当にヤバイ時用だ…無駄遣い出来ん」

情報屋「さて…チカテツ街道の8番に行けって言われたんだけど…」

盗賊「お前デパチカ居住区にどっかアテ無いのか?チカテツ街道はセントラルの下水みたいなもんだろ」

情報屋「もう10年も昔だから今どうなってるのか…」

盗賊「しょうがねぇなチカテツ街道行くしかねぇか…8番っちゃどこに繋がってんだ?」

情報屋「…立ち入り禁止から向こうに行ったこと無いから…」

盗賊「くぁぁぁアテになん無ぇな…まぁ行ってみっか!!」
342 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:45:43.87 ID:JyBdSu8i0
『8番チカテツ街道』


ガヤガヤ ガヤガヤ


盗賊「ヌハハこりゃ最高の難民キャンプだな!足の踏み場も無ぇ」

商人「安全だと思えば安いさハハ」

ローグ「配給貰って来たでやんす〜一人一個づつの芋でやんす〜」

盗賊「ローグ!!子供達の面倒みててやってくれぇ…ちと情報仕入れてくるわ」

ローグ「任せるでやんす」

盗賊「情報屋!!デパチカ居住区まで付き合え…商人も来い!剣士達を探したいんだ」

商人「おっけーアテあるの?」

盗賊「無いが…女海賊好みの店回ったらバッタリ会うかもってな…」

商人「ハハハ良い案だね…僕もいろいろ見たかったんだ」

盗賊「あいつは虫とか謎の機械とかが大好きなんだ…分かりやすいだろ?」

商人「カバンの中にいつも虫隠してそうだね」

盗賊「間違いねぇ…それから謎の金属もだ…変な物に興味を持つんだ…しかも恥ずかしげもなく装着する」

情報屋「フフフ今頃クシャミしてるわよ?」

ローグ「あっしの彼女もお忘れなく…」

盗賊「女戦士は何が好きなのか知ってるか?」

ローグ「望遠鏡っす…あとは顕微鏡とか虫メガネとかっす」

盗賊「…二人とも同じじゃねぇか」

ローグ「いえ一つ違うっす…女戦士は隠れて装着するっす」

盗賊「お前なんでそれ知ってんだ?」

ローグ「あっしは隠れて見てるんす」

盗賊「…」

情報屋「…」

商人「さ、さぁ行こうかハハ」
343 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:46:16.05 ID:JyBdSu8i0
『デパチカ居住区』


ガヤガヤ ガヤガヤ


盗賊「じゃぁここで分かれるぞ?俺は情報収集…情報屋は住める所探してくれ…商人は女海賊な?」

商人「おっけー」

情報屋「住める場所って…お金が必要な場合は?」

盗賊「金は気にするな俺が何とかする…今必要か?」

情報屋「今って…」

盗賊「さっきスッった奴ならあるぞ…もってけ」ポイ

情報屋「もう?…ありがとう」ジャラリ

盗賊「集合はこの場所に大体4時間後…いいな?」


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盗賊(さぁて…まずは地図だな)

盗賊(何処に売ってんだか分かんねぇな…まぁ歩いてみっか)


ドン!


盗賊「ぬぁ!!気を付けろぃ…」

女「あ!ヤバ…」

盗賊「おま!!女海賊…」

女海賊「…」ピューーーー

盗賊「おい!!待て!!何で逃げんだよ!!」


スタコラ


盗賊「ちぃ…あいつ何処行きやがった!!」

盗賊(あんにゃろう…次見つけたら容赦しねぇ)


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344 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:46:46.72 ID:JyBdSu8i0
---4時間後---


盗賊「…」ブツブツ

商人「やぁ!!早いね…どうしたの?」

盗賊「どうしたもこうしたも無ぇ!!女海賊見つけたんだけどよぅ…」

商人「本当に?何処?」

盗賊「俺の顔見て逃げやがった」

商人「え?何で?」

盗賊「知るか!!」

商人「他に何か情報ある?」

盗賊「アイツ探して時間食った…大した情報聞けてねぇ」

商人「何か盗まれてない?」

盗賊「ナヌ!!ぬあああああああああああああああ…無い!!」

商人「何?」

盗賊「消える石だ!!くっそ!!あいつそれ使って逃げたんか」

商人「ハハハ一本取られたね」

盗賊「俺の計画台無しだクソがぁ!!チカガイ貴族居住区行こうと思ってたんだ」

商人「どうして逃げたんだろうね?…でも鮮やかにやられたねハハ」

盗賊「そっちは何か良い物あったんか!?」

商人「あんまり欲しい物が無くてね…ただシン・リーンの魔術師達の行先が分かったよ」

盗賊「成果ありだな」

商人「どうも国賓扱いでシェルタ砦に要るらしい」

盗賊「そら何処にあるか知らねぇな…あいつら国賓で俺ら下水かよ…ケッ」

商人「でも女海賊が居たって言う事は多分近いんだろうね」

情報屋「居た居た…住む場所見つかったわ」

盗賊「おぉそりゃ良かった」

情報屋「狭いけれど娘と子供達だけなら大丈夫そうよ」

盗賊「じゃぁここで待っててくれぇ…俺はみんな連れて来る」
345 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:47:49.75 ID:JyBdSu8i0

『デパチカ居住区_家』


盗賊「こりゃまた狭いな…」

商人「壁があるだけ良いじゃない」

盗賊「大人4人は外で話した方が良さそうだな…娘と子供たちは家の掃除しといてくれ」

娘達「お腹すいたぁぁ」

盗賊「後で食い物持ってくるから今はガマンしろ」

ローグ「まだ芋が余ってるんでこれでガマンするでやんすー」

盗賊「ちっと狭いから外出るぞ…」スタスタ


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346 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:48:17.68 ID:JyBdSu8i0
盗賊「…でだ?シェルタ砦って知ってるか?」

情報屋「チカガイ貴族居住区の一層下にある区画よ?…一般の人は立ち入り禁止」

盗賊「俺らが行って入れそうか?」

情報屋「入り口が一か所だし無理ね」

商人「そこはこの国の拠点になってるの?」

情報屋「拠点の一つって言えば良いのかな?…未探索の古代遺跡があるのよ」

商人「知ってるって事は行った事あるんだ?」

情報屋「シェルタ砦のもう一層下に大きな部屋があってそこにサーバ石という石が沢山あるの…その調査に行った事がある」

商人「未探索ってどういう事?」

情報屋「さらにその奥に扉があるんだけどどうやっても開かないのよ…そこが未探索」

商人「ハハーン…ホムンルクスはソコか?」

情報屋「…かもしれない…でもそこに行くためには国の許可が必要よ?」

商人「剣士達が国賓でシェルタ砦に居るっていう事は狙いはその未探索な所の可能性が高いよね」

盗賊「どうやっても開かない扉をどう開けるつもりなんだ?」

商人「さぁね?…盗賊なら開けられたりしない?」

盗賊「やってみんと分からんがどうやっても開かないなら開かないんだろ」

商人「そこは剣士達にやらせておくとして…情報屋は他に何かホムンルクスの手掛かり知らないの?」

情報屋「知ってたらもう教えてるわ」

盗賊「国が管理してるってこたぁ合理的に開けても国に持って行かれるわな」

商人「そうだね…まぁ持って行かれた物を盗みなおせば済む話だけどね」

盗賊「ヌハハそらそうだ」

商人「なんか手詰まりだねぇ…ひとまず剣士達に合流するのが先かなー」

盗賊「あんま騒ぎ起こしたく無いんだが…やっちまうか?」

商人「何か案ある?」

盗賊「女海賊の気球を盗む…そしたらあいつら出てくんだろ」

商人「アハハ…面白いね」

盗賊「やり方は簡単だ…正面から堂々と仲間の振りして気球まで行って飛んじまえばこっちの物だ」

商人「良いね…何かあっても捕まるだけだもんね」

盗賊「ただ一つ問題があんだ…狭間の中と外の時間差だ」

商人「あぁ忘れてた…それ深刻だね…どれだけ違うのか見当が付かないね」

情報屋「ねぇそんな危ない事しなくてもシェルタ砦の衛兵に気球が盗まれたって言えば済むんじゃない?」

盗賊「…そういやそうだな…入り口一つだけだもんな」

情報屋「あなた達の発想は泥棒からスタートするのね」

盗賊「悪りぃ悪ぃ…俺は盗み返したいのが先行しちまった…情報屋の案で行こう」

347 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:48:50.39 ID:JyBdSu8i0
『シェルタ砦』



盗賊「網の準備は良いな?」

ローグ「まかせてくれやんす」

商人「いいよ」

盗賊「情報屋!!行け!!」


タッタッタ


衛兵「待て!!ここは立ち入り禁止だ」

情報屋「はぁはぁ…はぁ」

衛兵「どうしたんだ?そんなに慌てて」

情報屋「軍船に乗せてる気球が海に落ちて沈みそうなんです…はぁはぁ」

衛兵「シン・リーンの軍船か?」

情報屋「はい!!国賓で来ている女戦士か女海賊に気球が沈みそうだって連絡してください」

衛兵「分かった…確認を取る…お前はそこで待っていろ」

情報屋「はい!!邪魔にならない様にしています」テクテク


---数分後---


女海賊「お姉ぇ!!道分かる?」タッタッタ

女戦士「お前の方が詳しいのでは無いのか」

女海賊「入り口まで行った事無いよぉ」

女戦士「ええい少し待ってい…ん?」


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348 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:49:22.78 ID:JyBdSu8i0
盗賊「今だ!!」バサ

女海賊「むぎゃ…ちょちょちょちょ」バタバタ

盗賊「押さえろ…手を使わせるな!!」

ローグ「がってん!!」グイ

女海賊「ちょっとあんたらぁぁ!!いでいで…」


衛兵「あ…」ボーゼン


商人「やぁ!!又会ったね…元気だった?」

女海賊「ちょ…離せ!!あ…やべ」

盗賊「あ…やべじゃねぇだろ!!」

女戦士「…盗賊!!ローグまで…どうしてここが」

盗賊「どうしてじゃねぇよ!!女海賊から何も聞いて無ぇのか?」

女戦士「どういう事だ?女海賊!!盗賊たちが居るのを知っていたのか?」

女海賊「だってさぁ捕まえに来たんだろ?私の事…悪かったよ金盗んで…」

盗賊「金だと?なんだそりゃ…」

女海賊「あれ?」

女戦士「…それで…気球の件はどうなっているのだ?」

盗賊「ありゃ冗談だ」


衛兵「あのー…どうしましょう?」


女戦士「あぁぁ騒がせてしまった…私たちの仲間なのだ…立ち入り許可を取って貰いたいのだが…」

衛兵「あ…はい」

女戦士「その前にあの網に掛かっているバカに仕置きをしたいのだが…」

衛兵「はぁ…」

女海賊「ちょちょ待って…お姉ぇ!!助けてよ」

女戦士「お前はやっぱり叩かれないと分からない様だ」スラリ

女海賊「ごめんもう嘘つかないから許してぇぇぇ」


バチーン  いだぁぁぁい!!

349 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:49:51.28 ID:JyBdSu8i0
『シェルタ砦_客室』


ローグ「かしらぁ!!あっしはこんな所まで追いかけて来たでやんすよ」

女戦士「事情が在ってシャ・バクダまで戻れなかったのだ…ゆるせ」

ローグ「心配したでやんすよ」

女戦士「向こうの方はどうなって居るのだ?盗賊が居るという事はアサシンは戻って来たのだろう?」

ローグ「いろいろあったんでやんす…でもマスターが戻って来たんで心配ないでやんす」

女戦士「そうか…しかしまぁ…良くキ・カイまで来れたな?どうやって来たのだ?盗賊」

盗賊「あぁ俺達はずっとすれ違いっぱなしよ…船で来たんだがえらい苦労したわヌハハ」

女戦士「そっちの2人は誰だ?」

盗賊「あぁ面識無ぇか…こっちが情報屋でアサシンの相方だ…それでこっちが商人…俺の相方だな」

情報屋「初めまして…アサシンから話は伺っています」

商人「やぁ!!僕も君の事は盗賊から聞いて居るよ…よろしく」

女戦士「…こちらこそ」ジロリ

盗賊「ところで剣士はどうしたんだ?居ない様だが…」

女戦士「んむ…どこから話した物か…」


私たちの仲間には剣士の他に女エルフと魔女が居るのだ

魔女は光の国シン・リーン王女…王国の特使としてコチラに来ている訳だ

私と女海賊は王女の従士という肩書で同行させてもらっている

特使で来ている関係で魔女は祝宴であちこちに連れまわされて要るのだ

剣士は勇者という肩書

女エルフはエルフの使者という肩書

今は魔女に同行している

私と女海賊は留守番なのだ


盗賊「剣士が勇者の肩書ってどういう事だ?…そういやあいつの目はどうなった?」

女戦士「話は複雑なのだが…」


カクカク シカジカ

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350 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:50:20.71 ID:JyBdSu8i0
盗賊「…なるほど」

商人「スゴイ話だねぇ…魔女と話をしてみたいよ」

女戦士「お前たちがこの国まで来た目的は何だ?私たちを追って来ただけでは無いのだろう?」

商人「こっちも話は複雑なんだけど目的は多分一緒…ホムンルクスさ」

女戦士「やはりそうか…どこにあるのか見当は付いているのか?」

商人「その言い分だとそっちも情報が無いっていう事だね」

女戦士「魔女の塔に来た人間が古都キ・カイに器があると言う事を言い残して行ったしか情報が無い」

情報屋「それは私達だったの」

女戦士「フフフ本当にすれ違ってばかりだったのだな…それでその情報元はアサシンという訳だな?」

情報屋「アサシンにホムンルクスの話をしたのは私…彼はそれが器だと知っていたのかはわからない」

女戦士「亡くなった塔の魔女にどの程度話を聞いて居たのかは知らんが…器に気付いた可能性はあるな」

盗賊「前にアサシンと一緒に来た時はこの辺りをうろついて居たのは間違いねぇ」

情報屋「やっぱりここの下にある未探索エリアにあるって考えるのが妥当ね」

女戦士「なんだそれは?」

情報屋「シェルタ砦の下層に開かない扉が在ってその奥が未探索エリアって言われてる」

盗賊「一般民は立ち入り禁止っていうもんだから近づけねぇんだ…今調べられねぇか?」

女戦士「ハハハ私たちはシェルタ砦内は何処に行っても良いと言われているぞ?」

盗賊「一回見てみてぇな」

女戦士「了解を取って来るので待っていろ」
351 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:50:48.85 ID:JyBdSu8i0
『シェルタ砦_階段』


盗賊「お前…イジケてんのか?」

女海賊「…」シュン

女戦士「構うな」

盗賊「金盗んだってどっから盗んだんだ?」

女戦士「セントラルに居た時からずっと盗賊の金を盗み続けていたらしい…白状させた」

盗賊「なぬ?娘達が使ってたんじゃなかったのか?…道理ですぐ無くなる訳だ」

女海賊「良いじゃんちょっとくらい…いっぱい有ったんだから」ブツブツ

女戦士「又叩かれたいのか?」スラリ

女海賊「ちょちょちょ…もうやらないから…やめてやめて」

盗賊「ヌハハまぁ勘弁してやれぇ…んで何に使ったんだ?」

女海賊「これ…」

盗賊「なんだその石っころ」

情報屋「え!?えええええええええ!!それはウラン結晶…どうしてそんな物を」

女海賊「爆弾の研究」

情報屋「とっても危ない物よ?」

女海賊「知ってるよ…ちゃんと金属の容器に入れてるから大丈夫」

盗賊「そんなヤバイ物なのか?」

情報屋「古代文明を滅ぼした爆弾の材料なの…この国の錬金術師は喉から手が出るくらい欲しがってる」

女海賊「ヌフフ良い事聞いちゃった♪」

商人「飛んだところからお金が転がり込んできたねハハハ」
352 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:51:17.96 ID:JyBdSu8i0
『シェルタ砦_地下1層目』


商人「ここに並んでいるのが例のサーバ石?」

情報屋「そうよ?…もう調査は終わっているけれど何に使われていたのかは解明されていないの」

盗賊「人が居るな…研究者か何かか?」

情報屋「多分ね…私も昔はここで研究してたわ」

商人「これ8000年も経ってるんだよね?」コンコン

情報屋「触ると怒られるわよ?すぐに崩れてしまうから気を付けて」

商人「全部同じ物?いっぱいあるけど」

情報屋「ここから下の層にも全部同じものが並んでるの」

盗賊「正面に扉があるな…アレか?」

情報屋「うん…開けられそう?」

盗賊「見た感じシェルタ砦の入り口の扉と同じだな…なんであっちは開いてんだ?」

情報屋「さぁ?」

盗賊「なんかいろいろやった痕跡があんな…爆弾でもダメな様だな」

情報屋「話によると爆弾も魔法もあらゆる手段を使っても開かなかったらしいわ」

盗賊「女海賊!!お前磁石持ってたな?貸せ」

女海賊「ほい!!…わたしもちょっと調べるね〜」ポイ パス

盗賊「引っ付かねぇ…何の金属だこりゃ」カチカチ

女海賊「この扉を開ける努力はしても良いのかな?」

情報屋「良いと思うけれど許可は必要だと思うな」

盗賊「ちぃと努力してみるからよ…許可取ってきてくれねぇか?」

女戦士「分かった」

盗賊「多分時間掛かるからみんなは剣士達が戻って来るまで上に居て良いぞ」

情報屋「私は子供たちに食事を持っていってあげるわ」

盗賊「あぁそうしてくれぃ」

ローグ「ほんじゃあっしたちは一旦もどるでやんす〜」
353 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:51:51.31 ID:JyBdSu8i0
『開かずの扉』


カチャカチャ


盗賊「もどり!!外の扉の構造見て来た」

女海賊「全然開きそうに無い…なんか分かった?」

盗賊「でかいカラクリ仕掛けだ…お前金属糸持ってたよな?」

女海賊「あるよ」

盗賊「ちょい貸せ…ほんでな?ここの隙間の奥にシャフトがあるんだ…そこまで入れたいんだが」

女海賊「入りそう?」

盗賊「…こんな虫の穴みたいな隙間から上手い事シャフトに…いやぁ無理だなこりゃ」

女海賊「虫なら居るよ?」

盗賊「虫にシャフトまで行って巻いて帰って来いと言うのか?…アホか!!」

女海賊「いでよ私の奴隷1号!!」

ミツバチ「…」ブーン

盗賊「…」

女海賊「上手い事やったら女王バチ探してやる…行ってこい!!」

ミツバチ「…」ブーン

盗賊「そのミツバチは言う事聞くんか?」

女海賊「手なずけた…最強のミツバチにする予定」

盗賊「マジか…そんなんアリか?」

女海賊「上手く行ったら女王バチ探すの手伝って…あ!!戻って来た」

ミツバチ「…」ブーン

盗賊「お?」キュッ キュ

女海賊「引っかかってる?」

盗賊「おぉぉぉイケるかも…ほんでな…このシャフトを回すと扉がすこし傾く様になってんだ」キュッ キュ

女海賊「回ってる?」

盗賊「回ってる手ごたえはある…ちぃと時間掛かるな」

女海賊「んあぁぁぁ私飽きてきた…帰って良い?」

盗賊「あぁ良いぞ?こりゃ俺の趣味だ」キュッ キュ ブチ

盗賊「だああああああぁぁ切れちまった…金属糸まだあるか?」

女海賊「もう無いよ…諦めようよ…ん?」ヒューーーー

盗賊「何か聞こえるな…どこだ?」ヒューーーー

女海賊「下…ここの下から音がする」

盗賊「空気が入って行ってる…のか?」

女海賊「もしかしてさぁ…この奥って真空なんじゃない?だから開かなかったんじゃないの?」

盗賊「こりゃ空気入りきったら開くな…みんな呼んで来い!!」

女海賊「おっけー」タッタッタ
354 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:52:27.73 ID:JyBdSu8i0
『数分後』


盗賊「おぉぉ皆来たか」

女海賊「空いた?」

盗賊「まだだ…」

剣士「盗賊!!久しぶり!!」

盗賊「おおぉぉ剣士か!!元気だったか?目は?見えてるのか?しゃべれる様になってんじゃねぇか!!」

剣士「おかげで見える様になったよ…女盗賊は?」

盗賊「あぁぁ聞いて無いのか…アイツは天国行っちまった」

剣士「…」

女海賊「えぇ!!マジ!?…なんで早く言ってくんないのさ!!」

盗賊「スマン…セントラルに魔物が攻めて来た時に瓦礫の下敷きになっちまってな」

女海賊「そんなぁ…そん時見てたんだよ」

盗賊「しばらく生きてたんだが…今は港町で眠ってる」

剣士「ごめん…助けられなくて」

女海賊「…なんかイライラしてきた」

盗賊「運が無かったんだ…もう気にしないでやってくれ…落ち着いたら墓まで案内してやる」

剣士「…」

女海賊「…」

情報屋「女盗賊はみんなに見守られて安心して天国に行ったわ…そんなに悲観しないで?」

盗賊「それでこっちの嬢ちゃんが魔女か?」

魔女「そうじゃ…主の事は聞いておるぞよ?」

盗賊「嬢ちゃんらしくねぇしゃべり方だな」

女戦士「魔女様はもう80歳だそうだ…失礼の無いようにな」

盗賊「そういや王女様だったなヌハハ俺は恥ずかしくて名乗れねぇ…んで…隠れてねぇで出て来いよ」

女エルフ「…」ソローリ

盗賊「痛かったぜぇ!!お前の矢…」

女エルフ「ごめんなさい…知らなかったから」

盗賊「あんときゃもっと威勢の良いエルフだと思ったんだがな」

女エルフ「怖かったから…その」

盗賊「あれ?情報屋どうした?まだ戻って無いのか?」

女戦士「遺跡の調査員を連れて来るらしい…すぐに来る」



ドヤドヤ ドヤドヤ



商人「扉もう開いた?」

盗賊「いやまだだ…まだ空気吸ってやがる」

情報屋「扉が開いたら中に入ってはダメ…立ち入りは調査員だけでやるから私たちは見てるだけ」

盗賊「なんだよ開けたのは俺だぞってんだ」

商人「しょうがないよ…この国の所有物なんだからさ」メパチ!!

盗賊「あぁぁ分かってる分かってる…その後なんだろ?」



ガコン ギーーーー
355 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:52:56.17 ID:JyBdSu8i0
『開かずの間』


おぉぉぉ

これは当時のままなのか…

上院が来るまで触手厳禁だ

足元気を付けろ


盗賊「…どれがホムンルクスだ?あの石造か?」

商人「2体あるね…なんだろうあのガラス容器」

魔女「あの石造は精霊の像と同じじゃ…すこし容姿が違うようじゃが」

商人「石造になってるって事はさ…もう動いてないって事だよね?…それで良いんだっけ?」

情報屋「…やっぱり私の学説が合ってた…その証拠だわ」

魔女「主は何か知っておったのか?情報屋…」

情報屋「私はホムンルクスが精霊の起源だと思っていました…その証拠が今発掘されました」

魔女「じゃが石造になっていては器にはならんのぅ…シン・リーンの精霊像と何も変わらぬ」

情報屋「調査しないと断定は出来ませんが…おそらく器の機能は失われていると思います」

魔女「ここと同じ様な未探索の部屋は他には無いのかの?」

情報屋「今の所…私は知りません」

商人「宛てが外れたかぁ…振り出しに戻ったね」

女エルフ「…」

魔女「…女エルフや?どうしたのじゃ?震えておる様じゃが…」

女エルフ「…いえ…あのガラスの容器を知っています」

商人「お?」

女エルフ「夢幻の門の中の記憶では魔王島という所にそれと同じガラスの容器がありました」ブルブル

女海賊「魔王島…なんか知ってるぞ?」

剣士「僕も覚えてる」

魔女「…そういえばわらわもかすかに覚えておるのぅ…ガラスの容器なぞ有ったかの?」

商人「4人知っているというのはただ事じゃないな」

盗賊「そこが唯一の手掛かりなら行ってみるしか無ぇな…どこにあんだ?遠いのか?」

情報屋「ここは調査員に任せて私たちは上に上がりましょ」

356 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:53:26.63 ID:JyBdSu8i0
『シェルタ砦_客室』


盗賊「海図もってきたぜ!!」

商人「夢で見た魔王島が何処にあるか海図で示せる?」

女エルフ「…多分ここら辺」

盗賊「岩礁地帯か…もうちっとピンポイントで分かんねえのか?」

女海賊「わたし知ってるよ…えっとねココ!!」ビシ

盗賊「んんんん沈没覚悟で行くなら良いが…ちっと危険すぎるな」

女海賊「気球で良いんじゃない?ここからなら2日って感じかな」

商人「なら別行動にするしか無いね…女海賊と盗賊は行くとして…後は剣士と情報屋かな?」

女戦士「賛成だ…魔女はまだ特使としての仕事が残っているしな」

魔女「わらわはもう祝宴なぞ行きとうないのじゃが…」

女戦士「私もドワーフの国の王女として賛同する…折角のもてなしを楽しもうでは無いか」

商人「それじゃ僕とローグは留守番かな…ゆっくりしておくよ」

女海賊「商人!!あのさぁ…このウラン結晶売っといて…そのお金で気球にプロペラ付けたいんだ」

商人「良いのかいこんな珍しい物?」

女海賊「私にとってはプロペラの方が重要なんだ…それ持ってるとクッソ重たいんだよ」

商人「確かに重いね」

情報屋「錬金術師に売るのならお金に加えて魔石を沢山貰うと良いと思うわ」

商人「どうして?」

情報屋「その大きさなら買い取るだけのお金が無いと思うのよ…だから代わりに魔石を貰うの」

商人「なるほど…相場が分からないんだけどどれくらいするものなの?」

情報屋「その大きさのダイヤより高価と言えば分かる?」

商人「貴族でも買い取れるかどうかだね」

情報屋「ウラン結晶は魔石のエネルギー充填に使うから欲しい人はいっぱい居るわ」

女海賊「ちょい待ち!!エネルギー充填って言ったね?…売るの止め!!その機械作る!!」

商人「どうする気だい?」

女海賊「そのウラン結晶を源泉にした魔石を使った推進装置を作ってプロペラの代わりにする」

商人「ヤレヤレ…まぁ分かったよ預かっておくよ」

情報屋「女海賊は変わった子だけどなんか賢そうね?」

商人「あーーダメダメ!そういう事聞こえると調子に乗っちゃうから…」

女海賊「ムフフ」ニマー
357 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:53:56.24 ID:JyBdSu8i0
『気球』


ビョーーーウ バサバサ


盗賊「…こんな工夫やってたのか…そら早えぇわ」

女海賊「見直した?惚れる?もっと言って」

盗賊「こんな高高度でなんで方向見失わないんだ?」

女海賊「私の奴隷2号の妖精が方向指示してるから」

盗賊「俺ぁ妖精が見えねぇんだ…どこに居るんだ?」

女海賊「わたしのおっぱいに挟まってる」

盗賊「お前なんか色々反則だな」

女海賊「奴隷3号!!風魔法!!」

剣士「…風魔法!!」ピュゥゥ

盗賊「ぶっ…剣士…お前女海賊の奴隷になったんか?」

剣士「なんか夢の中で奴隷契約してしまってたんだ…いろいろ約束されてた」

女海賊「何か文句あんの?あんたさぁ!!浮気しておいてまだ言い訳すんの?」

盗賊「浮気?話が読めねぇんだが…お前ら出来ちまってんのか?」

剣士「…とまぁ…こんな感じなんだ」

盗賊「出来ちまった物はしょーがねーが…まぁアレだ仲良くやれや」

情報屋「ウフフなんかお似合いね」

女海賊「ほらほらぁ…剣士聞いた!?」

剣士「ハハ…ハ…はぁ〜ぁ…」

盗賊「ところでお前等目的地に夢で行った事あんだよな?やっぱ夢幻はみんな同じ夢見てんのか?」

情報屋「それ私も気になるなぁ…不思議なお話」

女海賊「私が剣士と約束した事を剣士も覚えてるって事はそういう事」

剣士「そうだね…始めは誰だったのか分からなかったけど今は思い出せる様になった」

盗賊「俺ぁ全然思い出せないんだけどよ…なんでだ?」

剣士「何かのきっかけかな?縁のある人との出会いとか…」

女海賊「それだよソレソレ!!分かってんじゃん剣士!!」

盗賊「お前等は縁あったんか?」

女海賊「あったも何も私は剣士の赤ちゃん生んだんだよ!!剣士は浮気して居なくなったけど」

盗賊「マジか…でも夢なんだろ?」

剣士「…こんな感じで脅されてるんだよ」

女海賊「脅されてるって何さぁ!!」プンスカ
358 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:54:25.39 ID:JyBdSu8i0
『地図に無い島』


ビョーーーウ バサバサ


盗賊「やっぱり他にでかい島は見当たらねぇ…もう少し近づけるか?」

女海賊「…やってるんだけどさぁ…風が巻いてて上手く近づけないのさ…んむむむ」グイグイ

盗賊「高度下げて海スレスレで寄ってけ…船と同じ要領だ」

女海賊「おっけ!やってみる」


フワフワ スイーーー


情報屋「海の中…岩礁かと思ったら沈没船っだたのね」

盗賊「こりゃ船でも厳しかったな…気球で来て正解だ」

女海賊「このまま突っ込んで海岸に降ろすよ?風巻いてて危ないから」


フワフワ スイーーー ドッスン


女海賊「到着!!」

盗賊「よし…ちっと探索するか!!俺が先頭行く…剣士は最後に付いて来い」スタスタ

剣士「分かった」

盗賊「ほんでよぅ…どの辺に行けば良いとか覚えて無ぇのか?」

女海賊「細かい事は覚えてないよ…どうだったっけなぁ…なんか真ん中に建物あった気がするなぁ」

盗賊「まぁしゃぁねぇ…向こうの森行ってみっか」

情報屋「ねぇあそこの砂浜に小さな船があるわ?」

女海賊「めっちゃ古いね…沈んだ沈没船のやつかな?」

盗賊「てこたぁ誰かいる可能性もあるな」

女海賊「いやいや古すぎだってアレは…一応見ていく?」

盗賊「んむ…帰りの木材に丁度良いしバラシて気球に入れておこう」
359 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:55:20.09 ID:JyBdSu8i0
『小さい小舟』


盗賊「こりゃ放置されて10年以上だな…もう船には使えん」ガサガサ

女海賊「10年だったらまだ生きているかもね?」

盗賊「そんなのに構ってる暇なんか無ぇ…木材にすんのは帰りにすっか」

女海賊「あ!!発見!!ここ貝塚になってる」

情報屋「やっぱり誰か住んでいた様ね」

盗賊「…て事なら割とすぐ近くに他の形跡がある筈だ…付いてコイ行くぞ」スタスタ



『小屋』


女海賊「もうボロボロだね…何かある?」

盗賊「ダメだぁ日記らしい物があるんだがもう読めねぇ」

女海賊「…この絵はこの島の地図じゃないの?」

盗賊「その様だが何か分かるか?」

女海賊「んんー狩場書いてるくらいかぁ…なんも無いねこの島」

盗賊「こんな所で無人島生活はさぞ大変だったろうな」

女海賊「この感じは一人だね…」

盗賊「水をどう調達したのか謎だな…こんだけ生きてたって事はどっかに水がある」

女海賊「この地図のコレ…洞窟か何かかな?」

盗賊「まぁ行ってみるか…洞窟なら水がありそうだ」スタスタ
360 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:55:50.11 ID:JyBdSu8i0
『遺跡』


情報屋「…この変わった形をした石は遺跡の可能性があるわ」

女海賊「可能性ってどういう事?」

情報屋「古代遺跡の上に新たに何か建てる事は良くあるの」

女海賊「あー古都キ・カイみたいにね」

情報屋「こういう大きな石は後から積み上げた比較的新しい遺跡…調査すると古代遺跡が発掘されたりするの」

盗賊「なにか分かるか?」

情報屋「恐らく2000前くらいの神殿か何かだと思うわ…もしかすると地下に古代遺跡が埋もれてる」

盗賊「あれを見ろ…水はここで汲んだ様だな」

女海賊「雨水が溜まっている?」

情報屋「その様ね…どこかに地下に降りる階段とか無いかしら?」

盗賊「見当たんねぇな…こりゃ探すとなると相当時間掛かるぞ?」

剣士「あそこ…」

盗賊「白骨か…どうやら住んでた奴はここでくたばったらしい」

女海賊「何か持ってない?」

盗賊「鞄に色々入ってんな…なんだこりゃ?」

情報屋「測量の道具ね…ここで遺跡の調査と測量をしていたんだわ」

盗賊「待てよ?なんであそこにだけ水が溜まるんだ?他にも溜まりそうな場所はあるじゃねぇか」

情報屋「…そうね?変ね」

女海賊「そんなに深くないよ…これってさ水が流れて行かない位気密性の良い扉になってない?」

盗賊「なるほど…水の下か」

女海賊「どうやって水抜く?」

盗賊「ちと潜ってみるか」
361 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:56:16.44 ID:JyBdSu8i0
『水溜』


盗賊「…ぶはぁ!!」ハァハァ

女海賊「どう?」

盗賊「やっぱ扉になってる…何かひっかける物とロープが欲しいな」

女海賊「ロープなんか無いぞ…なんとか開かないの?」

盗賊「水の中の扉なんか重くて開けられねぇ…剣士!!何か魔法か何か無いのか!!」

剣士「え…水抜く魔法なんか…氷結魔法?」

盗賊「それじゃ意味無ぇな」

女海賊「ピーンと来たぞ!!剣士!!あんた成長魔法使えるよね?女エルフが使ってたんだけど」

剣士「成長魔法?…あぁそれは回復魔法と同じ」

女海賊「私タネ持ってるんだ…これをさぁ扉の隙間に突っ込んで成長魔法出来ない?」

盗賊「おぉぉぉぉ!!お前…賢いな!!タネよこせ」

女海賊「ほい…」ポイ パス

盗賊「隙間に突っ込んでくるわ」ザブン!!

女海賊「ねぇねぇもっと褒めてよ!!」

盗賊「…ぶはぁ!!剣士!!魔法頼む」

剣士「わかった…成長魔法!!」ボワー


グングングン  ザブーーーー


盗賊「よっし!!隙間から全部水抜けたな…むん!!」ギギギギ

情報屋「すごい!!地下への階段!!」

女海賊「あの白骨の人…水の中に入り口があるなんて気づかなかったんだね」

盗賊「中は真っ暗だ…剣士!!頼む…」

剣士「照明魔法!!」ピカー

盗賊「行くぞ…」
362 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:56:45.20 ID:JyBdSu8i0
『階段』

ピチョン ピチョン


盗賊「ここまで水が入ってきてないのは相当気密性が良いな」

女海賊「結構深いね?…これって古代遺跡でビンゴ?」

情報屋「ビンゴ…絶対この先に何かある」

盗賊「この階段の構造はシェルタ砦と同じだな」

情報屋「そうね…間違いなく同年代」

盗賊「こりゃお宝楽しみだな…古代のお宝俺らだけで独り占めできんぞ?」

情報屋「わたしもさっきから足が震えてるの…とても楽しみ」

女海賊「また扉あるよ!!前の奴と同じ」

盗賊「任せろ…」

女海賊「んあ!?任せろは私のセリフだ!!」

盗賊「あぁ悪りぃ出しゃばった」

女海賊「いでよ私の奴隷1号!!」

ミツバチ「…」ブーン

盗賊「俺もそのミツバチ欲しいわ…」

女海賊「これで女王バチ2匹分の貸し」

盗賊「へいへい…」

女海賊「おっけ!!金属糸通したからあとは盗賊お願い」

盗賊「俺の出番か…どれどれ」キュッ キュ


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363 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:57:16.62 ID:JyBdSu8i0
盗賊「よし…これで小一時間待機だ」ヒューーーー

女海賊「これなんでさぁ…わざわざ真空にしてるんだろね?」

情報屋「私もそれを考えてた…意図的に何千年も保存するようにしてるとしか思えない…」

女海賊「だよね?やっぱホムンルクスを生き返らせるとか何か意図があるっぽいよね?」

情報屋「もっと他に残されている可能性も高いと思うわ」

盗賊「古代文明はなんで滅んだんだ?」

情報屋「伝説では神々の戦いとなっているけれど滅んだ原因は確かじゃないの」

女海賊「こないだ言ってた超スゲー爆弾て事?」

情報屋「少なくとも古都キ・カイではそう言われてるわね」

盗賊「他にもあんのか?」

情報屋「ウイルス説」

盗賊「ほう…初めて聞いたな」

情報屋「私はこのウイルス説の方が正しい様な気がしてるの…この説も少数派よ」

女海賊「ウイルスねぇ…アサシンが昔さぁ人間の憎悪はウイルスの様に伝染するって言ってたさ」

情報屋「それよ…ウイルスの様に憎悪が伝染する…そのウイルスの元が魔王」

女海賊「思い出した!!そういえばさぁ…死んだ魔女の婆ちゃんが言ってたさ」

情報屋「うん?」

女海賊「ドラゴンのねぐらにある命の泉に魔王が魔槍を刺して水を汚してるって…」

情報屋「それは初めて聞くわ」

女海賊「それってウイルスの原因かもね」


ガコン ギギギギギー


盗賊「お!!開いたぞ…」
364 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:57:44.79 ID:JyBdSu8i0
『古代遺跡』



情報屋「…スゴイ」

盗賊「なんだこりゃ…沢山ガラスの容器が並んでんじゃねぇか」

女海賊「うわぁぁぁぁ気持ちわる…これ脳みそ?」

情報屋「ホムンルクスの部品だわ…どこかに完全体は無い?」

剣士「向こうにある…あれだよ」

盗賊「おぉぉ…これ生きてんのか?」

情報屋「完全体は一体だけね?…そこに横たわってるのは?」

盗賊「シートをどけるぞ?」バサッ

女海賊「…石になってる」ペチペチ

盗賊「もしかしてコレ…ガラス容器ごと持って行くわけじゃあるまいな?」

女海賊「そんなん無理だって」

盗賊「割るんか?」

情報屋「…少し私に時間頂戴…調査したい」

盗賊「あぁ俺もなんか良い物無いか探してくる」

女海賊「ねぇ盗賊!!私さぁ‥このガラス容器の中の液体を持って帰りたい」

盗賊「ナヌ!?」

女海賊「気球の中に樽あったじゃん?持ってきてよ」

盗賊「マジか…自分で持って来いや!!」

女海賊「樽は重いじゃん?消える石あげるからさぁ…」

盗賊「…ちぃ…先にそれヨコセ!!」

女海賊「ほい!!」ポイ

盗賊「お宝は山分けだかんな?わかってんだろうな?」

女海賊「ハイハイいってら〜」ノシ


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365 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:58:30.51 ID:JyBdSu8i0
女海賊「おぉぉぉコレすげぇ!!」ピカー

盗賊「照明魔法が入ってんのか?」

女海賊「詠唱無しで光る!!」

盗賊「お!!待て…その光ここに当てて見ろ」

女海賊「どしたん?動く?」

盗賊「ここに数字が出る…なんだこれ?」

女海賊「ちょちょちょ…」カチャカチャ

盗賊「数字が変わるな…なんか計算してんのか?」

女海賊「うぉ!!マジ?…めっちゃ早い」カチャカチャ

盗賊「…これよ…全部持って帰るか」

女海賊「当たり前じゃん何言ってんのさ!!」

盗賊「樽の中に全部突っ込んでくれ…一回気球まで持ってく」

女海賊「おけおけ」ガチャガチャ


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366 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:59:01.52 ID:JyBdSu8i0
剣士「…」

女海賊「あんたぁ!!何見てんのさ!!」

剣士「え…いや…良く出来てるなって」

女海賊「これはホムンルクス!!お人形さん!!あんたは見ちゃダメ!!」

剣士「いや…そんなつもりじゃ無いんだけど」

女海賊「そんなに他の女の体が見たいの!?」

盗賊「女盗賊!!お前うるせーぞ!!人形でも裸の女なら少しくらい見るだろうが」

女海賊「ムッカ!!」

情報屋「…もう良いわ〜調査は終わった」

盗賊「なんか分かったか?」

情報屋「書物が一つも無くってね…でもガラス容器の開け方は分かったわ」

盗賊「割らんで済むか…どうすんだ?上か?」

情報屋「樽を持って来て?」

盗賊「おう…よっこらせっと…んで?」

情報屋「このバルブを開けると…ほらこっちの容器に移るから好きなだけ樽に入れて持って帰っていいわ」

盗賊「おぅ…ドロドロだな何だこりゃ?」

情報屋「私もあとで調べたい…それから剣士?」

剣士「何?」

情報屋「ガラス容器から液体が無くなったら中からホムンルクスを出したいの」

剣士「どうやって?…あ…容器も同時に下に下がって行くのか」

情報屋「あなたのマントを被せて背負って運んでくれる?傷つけないでね?」

剣士「うん」

情報屋「良いわよ」

剣士「よっと…あ…やわらかい」ヨッコラ

情報屋「本当ね…錬金術で作るホムンルクスと全然違う」プニプニ

ホムンルクス「…」フニャ

剣士「冷たいから生きてる感じしないよ…」

盗賊「もう持って行けるもの無ぇし戻るか!!」
367 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 11:59:38.36 ID:JyBdSu8i0
『気球』


フワフワ


女海賊「ダッシュで帰るよ!!」

盗賊「それにしても大収穫だなヌハハ」

情報屋「良い物あったの?私も見たいな」

盗賊「このライトは俺が頂く!!」

女海賊「私は計算する機械欲しい!!」

情報屋「計算する機械?これ?」カチャカチャ

女海賊「それさぁ計算がメチャクチャ早いよ?」

情報屋「スゴイ…ええええぇぇこんな桁数でも計算できるの?どういう仕組みだろう…」


ホムンルクス「…」ピッ


剣士「ん?」

女海賊「何?今の音…」


ホムンルクス(セイタイキノウ テイカ スリープモード ヲ カイジョ シマス)


盗賊「お、お、お、なんかしゃべってるぞ?」

ホムンルクス(ショキカ カンリョウ システム ヲ サイキドウ シマス)

女海賊「動くのかな?」ワクワク

ホムンルクス(…)ピッ


ハロー ワールド

クラウド ヘノ セツゾク ガ カンリョウ シマセン

ローカル モード ヘ キリカエマス

カンリシャ ヲ トウロク シテクダサイ
368 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:00:07.30 ID:JyBdSu8i0
盗賊「何言ってんだこいつ?」

情報屋「古代語…かしら」

ホムンルクス(カンリシャ ヲ トウロク シテクダサイ)

剣士「え?…どうして?」

盗賊「ん?」

剣士「森の言葉を話してる…」

情報屋「分かるの?何て言ってるの?」

剣士「管理者を登録してください?」

盗賊「お、おい手ぇ動いたぞ?」

ホムンルクス(カンリシャ ヲ トウロク シテクダサイ)

盗賊「これ…触って良いのか?」ソロリ

情報屋「傷つけない程度なら…」


シモン ニンショウ チェック

アイコード ニンショウ チェック

オンセイ シキベツ チェック

セイタイ シキベツ チェック

タイムゾーン ノ シュトク ニ シッパイ シマシタ

ワールドデータ ヘ アクセス デキマセン

ローカル デ セツゾク シテクダサイ


盗賊「何て言ってんだ?」

剣士「森の言葉だけど…分からない事話してる」

ホムンルクス(デフォルト ノ キカン プログラムヲ ジッコウ シマス)

ホムンルクス(ヒフ カラノ ジョウハツ ニ ヨリ セイタイ ガ ショウモウ シテイマス)

ホムンルクス(セイタイイジ プログラム ヲ ジッコウ シマス)

ホムンルクス(ゲンゴ データ ガ アリマセン)

ホムンルクス(ジドウ ガクシュウ モード ニ キリカエマス)

女海賊「なんかワクワクするね」

ホムンルクス「ナンカワクワクスルネ」

女海賊「お!?真似した?」

ホムンルクス「オ…マネシタ」

盗賊「こいつ…体温かくなってきてるぞ?」コイツ カラダアッタカクナッテキテルゾ

剣士「本当に?」ホントウニ

女海賊「私も触ってみたーい」ワタシモサワッテミターイ

情報屋「ちょっと私にも良くみせて?」チョットワタシニモヨクミセテ

女海賊「これさぁ動いてたらホムンルクスって分からないね」コレサァウゴイテタラホムンルクスッテワカラナイネ

情報屋「こんなに精巧にホムンルクスって作れるんだ…スゴイ」コンナニセイコウニホムンルクスッテツクレルンダスゴイ

女海賊「ずっと真似して話されるとウルサイんだけど…」ズットマネシテハナサレルトウルサインダケド


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369 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:00:38.85 ID:JyBdSu8i0
ビョーーーーウ バサバサ


ホムンルクス(タイオン ノ アンテイ ヲ カクニン キノウ チェック ヲ オコナイマス)スッ

情報屋「ねぇ…動いてる」

剣士「危ない…」スック

盗賊「あぶねぇなぁ…いきなり飛び降りたりしねぇだろうな?」

剣士「掴まえて置く」グイ

女海賊「マントがはだけてるヨ…何か着せる物無い?」

盗賊「魔女の着替えらしいものがどっかにあったぞ?」

情報屋「…これね?剣士…そっちから手を通して」

女海賊「私やるから剣士はアッチ向いてろ」グイ

盗賊「剣士!!飛び降りねぇ様にロープで結んどけ」

剣士「分かった…」グイグイ ギュ

ホムンルクス(ウンドウ キノウ ヲ チェック シマス)オイッチ ニ オイッチ ニ

女海賊「あぁぁちょちょちょ…動くな動くな」グイ

ホムンルクス(シンパク ノ ジョウショウ ト タイオン ノ ジョウショウ ヲ カクニン)

女海賊「これさぁ何言ってんの?」

剣士「なんか体のチェックするって…」

盗賊「こいつ何か食うかな?ホレ?」

ホムンルクス「…」キョトン

盗賊「食わんな…ほれ?こうやって食うんだ…」パク モグモグ

ホムンルクス「…」ジー

盗賊「ダメだな…腹減ってねぇのか」

女海賊「本とか読むかな?魔術書あるんだー」

盗賊「これかぁ?…ほれ?読んでみろ」

ホムンルクス「…」ジー

情報屋「ダメね…なにも分からないみたいね…器っていうだけあって空っぽなのかもね」

盗賊「あぁそうかも知れんな…だが自分の足で歩くなら連れて行くのも楽ってもんだ」
370 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 12:01:05.17 ID:JyBdSu8i0
『古都キ・カイ上空』


フワフワ スイー


盗賊「おい…なんで軍船から魔法撃ってんだ?」

女海賊「見て見て!!オークが来てる」

情報屋「南の蛮族ね…もうこんな所まで」

女海賊「あ…でもオークもレイスから逃げてるっぽいな」

盗賊「向こう側にもオークが居るな…こりゃ略奪に来てんのか?」

情報屋「オークは人間と同じ様に仲間と一緒に行動するわ…他の魔物と比べてとても危険」

女海賊「やっぱレイス倒せないっぽいね…逃げてる逃げてる」

盗賊「レイスの対処知ってる俺らの方に分があるな…よしこのまま船に降りるぞ」

女海賊「おっけ!!」


フワフワ ドッスン


魔術師「お疲れ様です…散発的にオークの襲撃が来ていますのでお気をつけ下さい」

盗賊「こっちは大丈夫なのか?」

魔術師「レイスに守られている様な感じですね…被害は出ていません」

盗賊「船に乗り込まれちまったらアウトだろ」

魔術師「まだそこまでの奇襲は来ていませんが…」

情報屋「オークはとても賢いので気を付けてください…すこし離岸しておいた方が良いかと思います」

魔術師「精鋭兵に伝えておきます」

盗賊「俺の船もあのまんまじゃ良くねぇな…あとで離岸しておくか」

魔術師「オークは地上の市街地を略奪に来ている様です…居なくなった今の内に地下まで急いだ方が良いかと」

盗賊「おう…そうさせて貰う…ご苦労な!!」
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