男「旧校舎の伝わる六つの暗号?」

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1 : ◆7O7c5wT9T. [saga]:2020/08/22(土) 19:54:42.28 ID:dH/mvw+70
男(これは俺が体験した不思議な出来事である)

男(期間にして十二日。たった十二日間の事なのだが)

男(心に深く残る特別な日々になった)

男(全ての始まりは……そうだ)

男(夏休みまでに残り二週間を切ったあの日からだ)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1598093681
2 : ◆7O7c5wT9T. [saga]:2020/08/22(土) 19:55:41.53 ID:dH/mvw+70
一日目 火曜日

――放課後

教師「これで帰りのHRを終わります」

委員長「気をつけ、礼」

ガタガタ ガタガタ
ワイワイ ガヤガヤ

男「……」ボケー

男(高校生になって三ヶ月)

男(学校にも慣れてきた今日この頃)

男(夏休みが目前に迫っていることもあって、クラスメイト達はどこか浮き足立ってるように見えるが……)

男(まぁ俺には関係のない話である)
3 : ◆7O7c5wT9T. [saga]:2020/08/22(土) 19:56:47.79 ID:dH/mvw+70
男「さてと……」スクッ

友「男!この後、親睦も兼ねてクラスのやつら数人でカラオケ行くけど男もどう?」

男「ん?」

友「女子もいるよ!」

男「悪いけどパスするよ」

友「えーなんでさ!?」

男「俺がいても盛り下げるだけだし」

友「そんな事ないって!」

男「気を使うのも面倒だし」

友「かー!相変わらず冷めてんな〜」

男「別に冷めてはないだろ」
4 : ◆7O7c5wT9T. [sage]:2020/08/22(土) 19:59:20.10 ID:dH/mvw+70
友「そんでまた旧校舎に行くの??」

男「ああ、うん」

友「あんな薄気味悪いところよく行くよなぁ」

男「外観はな。中に入るとこれが意外と居心地がいいんだ」

友「その感覚がわからん!」

男「取り壊される前に堪能しておこうかと」

友「つか、フェンスがあるのにどうやって入り込んでるのさ?」

男「あー……それは――」

「おーい、行くぞー」

友「はいはーい!」

友「じゃあ男は不参加ってことでいいのね?」

男「ああ」

友「了解!じゃまた明日!」

男「おー」
5 : ◆7O7c5wT9T. [saga]:2020/08/22(土) 20:00:49.59 ID:dH/mvw+70
――――
――

スタスタ

男(夏休みの間に取り壊しが決定した旧校舎)

男(その夏休みまでの残り二週間を切った)

男(それまでに心置きなく堪能しておきたい)

男(旧校舎の雰囲気と、そこから見える景色を)

男「……」キョロキョロ

男「よし、人の気配はなし」

男(旧校舎を囲むようにフェンスガードが設置されている、が)

男(裏手にあるこの一箇所だけは結束されてない)

男「しょっ、と」

ガシャン

男(だからこうやって侵入するのも容易なんだ)

スタスタ

男「お邪魔します」ペコリ
6 : ◆7O7c5wT9T. [saga]:2020/08/22(土) 20:02:04.16 ID:dH/mvw+70
男(旧校舎の内部は木造を主体とした作りになっていて、どこか暖かさを感じる)

男(もちろん電気は通ってなく、明かりは窓から差し込む日の光だけなのだが……)

男(それがより一層幻想的な雰囲気を演出してくれている)

男(俺はこの雰囲気に心惹かれているんだ)

男(まぁ……経年劣化したコンクリートの外観は少し不気味である、それは否定しないが……)

男「でも……」ギシッ

男「木の床っていいよなぁ……」ギシギシ
7 : ◆7O7c5wT9T. [saga]:2020/08/22(土) 20:03:44.80 ID:dH/mvw+70
――旧校舎 3-1

男(3-1の窓際の席。ここが特にお気に入りの場所だ)

男「よいしょっと」ストン

男「まだだいぶ時間があるな……」ゴソゴソ

男「……」スッ

ペラ ペラ
ペラ ペラ
…………
……

男「ん」

男(そろそろか?)チラッ

男「おおっ」

男(俺がここを気に入っている理由の一つ)

男「何度見ても……いい景色だなぁ」

男(そう、この場所から見る夕焼けはとても素晴らしい)

男(小高い山の上に位置するこの学校では、旧校舎のこの教室から街が一望できるのだ)
8 : ◆7O7c5wT9T. [saga]:2020/08/22(土) 20:04:41.54 ID:dH/mvw+70
男「……」ジーー

男「……」ジーー

男「……」ジーー

男「ふむ」

男「さてと」ガタッ

男(旧校舎は日が暮れると真っ暗になるから、これ以上の長居は禁物だ)

男(撤退撤退っと)クルッ

??「……」ポロポロ

男「ふぁっ!!!???」ビクッ

??「……」ポロポロ

男「お、お、お、お、」パクパク

??「――さん……?」ポロポロ

男「お、お化けーーー!!!!」

??「!!??」ビクッ
9 : ◆7O7c5wT9T. [saga]:2020/08/22(土) 20:05:46.30 ID:dH/mvw+70
男(ふ、ふ、ふ、振り返ったら目の前にセーラー服を着た女の人がっ!!)

男(誰かが近付いてきたら床が軋むから絶対気付くはずなのに!!気配がなにもなかった!!)

男(しかもめっちゃ泣いてるし!!怖っ!!)

??「……」ゴシゴシ

男「あわわわ」ビクビク

??「あれ?」ジーー

男「ひぃ!!」

??「似てるけど……違う……」

男「…………はい?」

??「知り合いに似てたから……驚かせてごめんなさいね」

男「は、はあ……」

男(あ、あれ?なんか普通の人っぽい……?)

男(いや!いやいや!!足音聞こえなかったし!見たことない制服だし!やたらと美人だし!怪しい要素満載じゃないか!!)
10 : ◆7O7c5wT9T. [saga]:2020/08/22(土) 20:06:54.03 ID:dH/mvw+70
??「……」ジーー

男「うっ……」

??「ふふっ」

男「!?」

??「それにしてもお化けって……ふふふ」

男「だ、だっておかしいでしょ、こんな場所に人がいるなんて……」

??「それは君も同じじゃない?」

男「それは……」

??「安心して。私は死んでないから」

男「でもここの学校の生徒じゃないよね?」ジト

??「ここの生徒よ」

男「だってそのセーラー服。うちはブレザーだし」

??「あーこれは……」

男「……」

??「中途半端な時期に転入してきたから、制服はこのままでいいって」
11 : ◆7O7c5wT9T. [saga]:2020/08/22(土) 20:07:58.14 ID:dH/mvw+70
男「転入……?」

??「ええ、私は三年の黒髪っていいます。よろしくね」

男「三年?」

黒髪「ええ」

男「……先輩でしたか、それは失礼しました」

黒髪「ところで君は?」

男「俺は一年の男っていいます」

黒髪「一年生か……だから幼い感じがしたのね……」

男「はい?」

黒髪「あっ!私に対しては敬語じゃなくてもいいよ!」ニコッ

男「え?いや、結構です」

黒髪「えー、硬いなぁ男くんは」

男「硬くて結構です」

黒髪「……」ジーー

男「……」

黒髪「……」ジーー

男「なにか?」

黒髪「ううん、気にしないで」ジーー

男(気にしないでと言われても……見つめすぎでしょ)
12 : ◆7O7c5wT9T. [saga]:2020/08/22(土) 20:09:13.07 ID:dH/mvw+70
黒髪「あ!そうだ!」

男「ん?」

黒髪「なんで私がここにいるのか……知りたい??」

男(うわー……なんか面倒くさそうな流れになってきた……)

男(日も落ちてきてるし早いところ帰りたいんだけど……)

男(強行突破するか)

黒髪「ねえ?どう?知りたいでしょ??」

男「知りたくないです」

黒髪「えっ??」

男「暗くなってきてるからお先に失礼します」ササッ

黒髪「え?あれ?」

男「じゃあ」

スタスタ スタスタ

黒髪「あっ!ちょっと!もーー!!」

男「……」スタスタ
13 : ◆7O7c5wT9T. [saga]:2020/08/22(土) 20:10:09.31 ID:dH/mvw+70
――――
――

男(あの人は一体なんだったんだ?)

男(一応普通の人っぽいけど……)

男(いや、普通ではないな)

男(綺麗な長い髪で整った顔立ち)

男(旧校舎の雰囲気と相まって、とても神秘的で……)

男(まぁ……)

男(だからこそ余計に怪しいんだよなぁ)
14 : ◆7O7c5wT9T. [saga]:2020/08/22(土) 20:11:34.41 ID:dH/mvw+70
二日目 水曜日

――教室

友「は?セーラー服の三年生?」

男「ああ、見たことないか?」

友「んー……わっかんないなぁ……」

男「そっか」

友「同じ学年の人もまだ把握しきれてないのに、それが三年生じゃ特になぁ……」

男「悪い、気にしないでくれ」

友「でも男からそんな事聞いてくるなんて珍しいね」

男「そうか?」

友「そうだよ!いつも他人に興味なさそうにしてるじゃんか」

男「別に、そんな事はないけど……」

友「男はシャイボーイだからね」

男「いや……うーん」

友「あはは!」
15 : ◆7O7c5wT9T. [saga]:2020/08/22(土) 20:12:54.35 ID:dH/mvw+70
――放課後 旧校舎前

男「うーーーむ」

男「また遭遇しそうな気がする……」

男「一人で過ごしたいんだけどなぁ……」

男「仕方ない、今日はこのまま帰――」

「――くーん!」

男「は?」チラッ

黒髪「男くーん!」ブンブン

男「えぇぇぇ……」

黒髪「早くおいでー!!」ブンブン

男(旧校舎の三階からめっちゃ手を振ってくる黒髪さんが……)

男(うわ、めんどくさっ)

男「あ!」

男(てか!!教師にバレたら大目玉くらうのにあんなに目立つことして!!)

男「っ!」タタタタタ
16 : ◆7O7c5wT9T. [saga]:2020/08/22(土) 20:14:11.12 ID:dH/mvw+70
――旧校舎 3-1

男「はぁはぁ」

黒髪「そんなに急がなくてもいいのに」

男「はぁはぁ」

黒髪「それとも早く私に会いたかった、とか?」ニコニコ

男「あのさぁ……」

黒髪「ん?」

男「旧校舎は関係者以外立ち入り禁止!!」

黒髪「あら?」

男「それをあなたは大声で堂々と……何考えてんすか!?」

黒髪「それは……ふふ、ごめんなさいね」

男「ごめんなさいって……はぁ」

黒髪「でも立ち入り禁止の場所に出入りしてるなんて、男くんは悪い子ね」

男「それをあなたが言いますか」

黒髪「それもそうね」クスクス

男「ったく」
17 : ◆7O7c5wT9T. [saga]:2020/08/22(土) 20:15:13.26 ID:dH/mvw+70
黒髪「男くんはどうして旧校舎にきてるの?」

男「……」

黒髪「ねえ、どうして??」ジー

男「う……」

男(なんでこの人はいちいち見つめてくるんだ?)

黒髪「……」ジー

男「はぁ」

男「ここから街が一望できますよね?」

黒髪「ええ……そうね」チラッ

男「夕焼けが綺麗なんですよ」

黒髪「え……」

男(うわ……引かれた……)

黒髪「……」

男「……」

黒髪「…………」

男「どうかしましたか?」

黒髪「いいえ、なんでもないわ」
18 : ◆7O7c5wT9T. [saga]:2020/08/22(土) 20:16:33.43 ID:dH/mvw+70
男「あと、旧校舎の雰囲気が好きってのもあります」

黒髪「うんうん、わかるわかる!」

男「黒髪さんはどうしてここに?」

黒髪「私はここに用事があってね」

男「用事?」

黒髪「ええ」

男「立ち入り禁止の旧校舎に??」

黒髪「え、ええ……」

男「ふーん……」ジト

黒髪「ど、どうしてそんな目で見てくるの?」

男「だって転校生が旧校舎に用事って……ねぇ」ジト

黒髪「う……」

男「……」ジト

黒髪「ち、ちゃんとした理由があるの!」

男「理由??」
19 : ◆7O7c5wT9T. [saga]:2020/08/22(土) 20:17:32.21 ID:dH/mvw+70
黒髪「旧校舎に伝わる六つの暗号って知ってる??」

男「旧校舎に伝わる六つの暗号……?」

黒髪「ええ」

男「いや……そんなの知らないし聞いた事もないです」

黒髪「私はその暗号を解き明かしたいの」

男「やっぱり怪しい……」ジト

黒髪「うっ……でも本当のことよ」

男「ふーん」ジト

黒髪「……」

男「で、暗号は解けたんです?」

黒髪「いいえ」ブンブン

男「……」

黒髪「さっぱり分からないわ」

男「そうですか」
20 : ◆7O7c5wT9T. [saga]:2020/08/22(土) 20:19:47.11 ID:dH/mvw+70
黒髪「ちなみに暗号の一つは『黒3上2』ってやつなんだけど」

男「黒3上2……」

黒髪「ね?難しいでしょ?」

男「……」

黒髪「あっ……」ジー

男「……」

黒髪「ふふっ……」ジー

男「あの」

黒髪「はい?」

男「暗号が解ければ、旧校舎にはもう用無しですよね?」

黒髪「うん、そうなるね」

男(そうしたら邪魔されずに一人の時間を堪能できる)

男「……よし」

黒髪「?」

男「ついて来てください」スタスタ

黒髪「え??」

男「」スタスタ

黒髪「あ!ち、ちょっと!」
21 : ◆7O7c5wT9T. [saga]:2020/08/22(土) 20:20:57.13 ID:dH/mvw+70
――旧校舎 3-2

男「よいしょっと!」ガタガタ

黒髪「黒板の前に机を運んで……何をする気なの?」

男「もしかしたら、と思って」ガタガタ

黒髪「??」

男「はい、じゃあこれに乗ってください」

黒髪「ええ!?なんで!?」

男「あ、制服の女性にそれは失礼だったか……」

黒髪「え?う、うん……」

男「じゃあ俺が代わりに」ヒョイ

黒髪「……?」

男「うわっ、埃だらけだな」

黒髪「ねぇどういうこと?ちゃんと説明してよー!」
22 : ◆7O7c5wT9T. [saga]:2020/08/22(土) 20:21:58.00 ID:dH/mvw+70
男「あの暗号、もしかしたら3-2黒板の上じゃないかと思ったんです」キョロキョロ

黒髪「黒3上2……あ!!」

男「だけど……何もなさそうっすね。てか埃が邪魔だ」

ササッササッ

男「うおっ、ゲホゲホ!」

黒髪「わっ!すごい埃!!男くん大丈夫!?」

男「ゴホゴホ……んっ?なんだこれ?」ペリッ

男「紙きれ……違うこれは、和紙か?」ジー

黒髪「!!」

男「よいしょっと!」スタッ

黒髪「あ、あの!見せてくれる!?」

男「え?はい、どうぞ」スッ

黒髪「あー……そのまま見せてくれればいいから」

男「へ??」
23 : ◆7O7c5wT9T. [saga]:2020/08/22(土) 20:23:06.99 ID:dH/mvw+70
男「えーっと、はい」スッ

黒髪「“の”……か」

男「なんですかね、これ」

黒髪「……」

男「暗号とこれは関係ないっぽいな……」

黒髪「ううん、きっとこの紙切れこそが暗号の示したモノよ」

男「なぜそう言い切れるんです?」

黒髪「そ、それは……」

男「それは?」

黒髪「なんとなく……?」

男「はあ?」

黒髪「……」

男(わけわからん)
24 : ◆7O7c5wT9T. [saga]:2020/08/22(土) 20:24:31.86 ID:dH/mvw+70
男「じゃあ次の暗号教えて下さい」

黒髪「え!?」

男「面倒だから一気に片付けようかと」

黒髪「……」

男「見た感じ大した暗号でもなさそうですし」

黒髪「えーと、あはは」ポリポリ

男「?」

黒髪「他の暗号は忘れちゃって、てへっ」

男「は?忘れた?」

黒髪「ええ。暗号を書いた紙は家に保管してあるんだけどね……」

男「……」

黒髪「ごめんね?」

男「じゃあ明日その紙を持ってきて下さい」

黒髪「そ、それは……ちょっと難しいかなぁ〜、なんて……」

男「……」
25 : ◆7O7c5wT9T. [saga]:2020/08/22(土) 20:27:56.41 ID:dH/mvw+70
男「じゃあ今日はもう用はないですね」

黒髪「うん、そうなるかな?」

男「どうぞお帰りください」

黒髪「え!?酷くない!?」

男「俺は一人でのんびり過ごしたいんです」

黒髪「えー!折角だからお話ししましょう!」

男「お断りします」

黒髪「むー!ていうか男くん!」

男「ん?」

黒髪「なんか私に冷たくない!?」

男「だって……得体の知れない人物だし」

黒髪「ががーん!ひ、ひどい……」

男「自分で“ががーん”なんて言う人、初めて見ましたよ」

黒髪「むー!女の子には優しくしないとモテないよ?」

男「モテなくて結構です」

黒髪「やっぱり君は全然似てないっ!!」

男「はあ??」
26 : ◆7O7c5wT9T. [saga]:2020/08/22(土) 20:28:55.03 ID:dH/mvw+70
黒髪「むー」

男「……」ペラッ

黒髪「あー、つまんないなー」チラッ

男「……」ペラッ

黒髪「二人でいるのに読書始めるなんて人としてどうなのかなぁー?」チラッ

男「……」ペラッ

黒髪「ぶーぶー」

男「……」パタン

黒髪「!」

男「黒髪さん」

黒髪「なになに!?」キラキラ

男「うるさい」

黒髪「なっ……!!」

男「……」ペラッ
27 : ◆7O7c5wT9T. [saga]:2020/08/22(土) 20:31:20.89 ID:dH/mvw+70
黒髪「もー知らない!私怒ったからね!」プンプン

男「……」ペラッ

黒髪「男くんが帰るまで私も絶対に帰らない!!」

男「どうぞご勝手に」ペラッ

黒髪「むー……」

男「……」ペラッ

黒髪「……」ジー

男「……」ペラッ

黒髪「……」ジー

男「……」パタン

黒髪「……」ジー

男「あの」

黒髪「ん??」

男「それ、やめてもらえません?」

黒髪「ふふっ、男くんは見つめられるのが弱いのね!」

男「……」
28 : ◆7O7c5wT9T. [saga]:2020/08/22(土) 20:32:28.93 ID:dH/mvw+70
黒髪「あ!見て見て!日が落ちてきたわ!」

男「おお!」

黒髪「綺麗だねぇ」

男「そうですね……」

黒髪「なんかさ、夕焼け見てると感傷的な気分にならない?」

男「あーそれはわかる気がする」

黒髪「……」

男「そういえば昨日はなんで泣いてたんです?」

黒髪「え!?」

男「どうして号泣してたんですか?」

黒髪「な、内緒!」

男「はい?」

黒髪「秘密です!」

男「はあ……まぁ別にいいですけど……」
29 : ◆7O7c5wT9T. [saga]:2020/08/22(土) 20:33:31.04 ID:dH/mvw+70
――旧校舎 入り口

黒髪「じゃあね!男くん!」

男「帰らないんですか?」

黒髪「え?もちろん帰るよ?」

男「……」

黒髪「ほら!一緒に出てくるところを誰かに見られたら大変じゃない?」

男「はあ」

黒髪「だから時間差で出ようと思って」

男「まぁどっちでもいいですけど」

黒髪「うん!またね」

男「失礼します」

黒髪「……」
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