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商人「夢に染まる林檎の果実」
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20 :
◆cZ/h8axXSU
[sage saga]:2020/05/15(金) 23:13:58.27 ID:kC1nNXbZ0
少女「お姉ちゃん感じ悪いよー」
商人(こっちは同郷の人間とはあんまり会いたくないんですよ!!色々と訳アリで!!)
少女(……一体何やったの)
商人(何かやらかしたこと前提!?それにコイツ……)
巫女「あ、ここがウチの泊まる宿でしたか。面倒だったんでさっき貸し切りにしてしまったけどまぁこのくらいの出費はいいか」
商人「お前かああああああああーーーーーー!!テメェこの野郎金に物言わせやがってこちとら今しがた追い出されてだな!?」
少女「はいはい落ち着け金貰っただろうが」
商人「ムッキー!!覚えてろ!!後でどうなっても知らんぞ!!」
巫女「面白い人ですね貴女のお姉さん」
少女「退屈はしないよ、うん」
21 :
◆cZ/h8axXSU
[sage saga]:2020/05/15(金) 23:15:05.50 ID:kC1nNXbZ0
……
パチッ……パチッ……
少女「結局宿取れなかったね。
商人「時間が時間でしたからねー」
少女「宿は別に入ってもいいって兎ちゃん言ってたんだから素直に入れてもらえばよかったじゃん」
商人「なんか恩着せがましくて嫌です。大体あの生意気そうな顔よ」
少女「それで町から少し離れた所で野宿と……移動するの手間なのに」
商人「それに……」
商人(アイツ、私達が店開いてた時にこっち見てた奴だな)
少女「それで、どうすんの?しばらくあの町を拠点にするんでしょ?」
商人「ええ、私の探しているものがこの近くにあるハズなので」
少女「お宝?」
商人「そうですね……とても大切なものです」
少女「大切……」
22 :
◆cZ/h8axXSU
[sage saga]:2020/05/15(金) 23:15:49.22 ID:kC1nNXbZ0
商人「さて、子供はもう寝る時間ですよ」
少女「うん……そだね」
商人「……膝枕でもしましょうか?おいで」ポンポン
少女「うん、おやすみなさいお姉ちゃん」
商人「はい、おやすみなさい……」
少女「ん……すぅ」
商人「……」
23 :
◆cZ/h8axXSU
[sage saga]:2020/05/15(金) 23:16:18.87 ID:kC1nNXbZ0
商人(あんまり時間がありませんね)
商人(モタモタしていると……間に合わなくなる)
商人(手に入らなかった場合は最悪……)
少女「……」
商人「大丈夫」
商人「必ず……貴女を……」
24 :
◆cZ/h8axXSU
[sage saga]:2020/05/15(金) 23:17:30.87 ID:kC1nNXbZ0
――――――
―――
―
商人「ウェーイラッシャイラッシャイ」パンパン
商人「ヤスイヨヤスイヨー」パンパン
少女「二日目にしてとうとう手抜きか」
商人「うっさいな、私の客引きが不服か!?」
少女「べつにー。あ、こちらこういった商品です。いかがですか?」
少女「お代は……はい。ありがとうございまーす」
商人「……」
少女「どうしたの?早く客引きに戻ってよ」
商人(立場が逆転してしまった……)
25 :
◆cZ/h8axXSU
[sage saga]:2020/05/15(金) 23:18:24.26 ID:kC1nNXbZ0
少女「出来るヒトがやるべきでしょこういうのは。お姉ちゃんの見た目なら客引き問題ないだろうし」
商人「私を撒き餌にしやがって……よっぽど変なヤツは追い返してますけど」
少女「着物着てるだけで十分目は引くから、ナンパが目的の人はもう昨日の騒ぎで懲りてるでしょ」
商人「いやー、そういう訳でもなさそうですよ」
少女「?」
「ねぇねぇお嬢さん、この後……ゴフッ」
巫女「ウチが名家の者だと知って声を掛けたんですか貴方は。このまま内蔵抉りだして売り飛ばしましょうか?」ゴリゴリ
少女「ヒェッ」
商人「やるなぁアイツ」
26 :
◆cZ/h8axXSU
[sage saga]:2020/05/15(金) 23:20:32.13 ID:kC1nNXbZ0
巫女「おや林檎ちゃん、奇遇ですね」
商人「ケッ、こっち来やがったか」
少女「こんにちは兎ちゃん」
巫女「こんにちは。お姉さんは相変わらず態度悪いですね」
商人「そりゃどうも。で、お前ここに何しに来た」
巫女「別に。市場を見て回っていただけですけど」
少女「何か買っていきますか?」
巫女「そうですね……色々と見せてください」
27 :
◆cZ/h8axXSU
[sage saga]:2020/05/15(金) 23:21:41.70 ID:kC1nNXbZ0
少女「どうぞー、今出してる商品はこちらです」
巫女「ふむ……」
商人「ヘッヘッヘ、おめーじゃこの品々の良さは分からんだろう」
巫女「さぁ?ウチはお金持ちですからこういった品を見る目には自信ありますよ」
商人「あー何だったらいいですよ、今から買う一品だけ半額にしてあげますよ。勿論値段を見ずに」
巫女「このお皿」
商人「!!」バッ
少女(取り上げおった……)
巫女「……まぁいいです、じゃあこの髪飾り」
商人「!!!」バッ
少女「えぇ……」
28 :
◆cZ/h8axXSU
[sage saga]:2020/05/15(金) 23:22:32.25 ID:kC1nNXbZ0
巫女「何するんですか林檎ちゃん」
ゴゴゴゴゴゴゴ
商人「思ってたんだけど"ちゃん"付けで呼ばれるのって地味に腹立ちますね。特に貴女からそう呼ばれるのは」
ゴゴゴゴゴゴゴ
巫女「……」
商人「……」
商人「テメェなんでよりによって元取れなくなるような高いの選ぶんだよ!?超能力者か何かか!?私を破産させたいのか!?」
巫女「選べと言ったのはそちらでしょう。それに従っただけですが何か?」
商人「ダーッハッハッハ!!選べなんて一言も言ってねぇよバーカバーカ!!」
少女「程度が……程度が低い……ッ」
巫女「じゃあこれでいいです、これください」
商人「まーいどアリーーー!!そちら3桁の商品でございまーすアーーーーーハッハッハ!!超気分いい!!」
巫女(この人本当に面白いですね)
少女(遊んでくれてありがとうございます)
29 :
◆cZ/h8axXSU
[sage saga]:2020/05/15(金) 23:23:36.23 ID:kC1nNXbZ0
巫女「ところで、出ている商品はこれで全部ですか」
商人「!」
少女「まだ沢山あるけど日替わりで出していく予定だよ。今日は雑貨の日」
巫女「そうですか。ではまた明日も来ます」
少女「うん、それじゃあ……」
商人「明日は残念ながらお店はお休みですよ」
少女「え?」
巫女「……そうですか」
30 :
◆cZ/h8axXSU
[sage saga]:2020/05/15(金) 23:24:18.12 ID:kC1nNXbZ0
商人「おおっと!忘れもんだ、コイツもオマケしときますよ」
巫女「これは?」
商人「特製の飴ちゃんです。うちで買い物した人に渡してるんです」
巫女「ふむ、ではいただきます」
少女「あ、ありがとうございましたー!」
商人「毎度アリー」
31 :
◆cZ/h8axXSU
[sage saga]:2020/05/15(金) 23:25:18.32 ID:kC1nNXbZ0
少女「……お姉ちゃん、明日休みなんて聞いてないよ」
商人「今決めた事ですからね」
少女「そんな無茶苦茶な……」
商人「アイツ、市場を見て回っている割には他の店に顔も出さないし、最初からウチが目的だったんじゃないですかね」
少女「そうなの?」
商人「ええ。多分私達が"何か"を持っていると踏んだのでしょう」
少女「何かって何さ」
商人「なんでも、ですよ」
商人「昼前か……それより丁度良かったです。今日はもう早めに店を閉めましょう」
少女「えー、結構ノってたのに」
32 :
◆cZ/h8axXSU
[sage saga]:2020/05/15(金) 23:26:57.18 ID:kC1nNXbZ0
商人「よっと、今から冒険に出かけますよ。必要なものだけ持って荷物は貸倉庫に預けて……」
少女「いつも急だね……」
商人「行動は早い方がいいんです!」
少女「はいはい、いつもの事だもんね」
商人「いつもすみませんね」
商人(まだ憶測ですがアイツも私と同じ目的なら早い所探しておいた方がいいですね)
33 :
◆cZ/h8axXSU
[sage saga]:2020/05/15(金) 23:27:46.59 ID:kC1nNXbZ0
小休止
続きはまた明日
34 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2020/05/16(土) 04:54:45.80 ID:Xbw6+dry0
待ってました
35 :
◆cZ/h8axXSU
[sage saga]:2020/05/16(土) 22:27:22.87 ID:T1Hms2gv0
遅れます
36 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/17(日) 23:56:16.87 ID:g2OV2jm60
再開
37 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/17(日) 23:56:55.02 ID:g2OV2jm60
……
商人「大丈夫?疲れてませんか?」
少女「うん、平気だよ。お姉ちゃんこそちょっと疲れてない?」
商人「そう見えます?んー……体力落ちてんのかなぁ」
少女「頑張れおばあちゃん」
商人「こんな美少女に向かって年寄り扱いはやめろ」
少女「自分で言うのか……」
38 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/17(日) 23:57:24.33 ID:g2OV2jm60
少女「随分と町から離れたけど、どこに向かうのさ」
商人「何処へでも。大まかにしか目的地が分からないんで」
少女「そんな無謀な……それに人が寄り付きそうにないこんな森で」
商人「寄り付かないのが都合がいいんですよ。正直誰かに見られたい物でもないですからね」
少女「お宝だから?」
商人「そそ」
39 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/17(日) 23:58:04.38 ID:g2OV2jm60
商人「しっかし見つからんなぁ」
少女「というより本当にこんな所に何かあるの?」
商人「もうちょい行動範囲広げるか……」
少女「明後日までには戻るんでしょ?そんな調子でいいの?」
商人「まぁ無ければ無いでまた探しに来ますよ」
商人「とは言え早く見つけないと……」
少女「……」
商人「ん?どうしました?」
少女「お姉ちゃん、誰かいる」
商人「え?」
40 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/17(日) 23:58:47.04 ID:g2OV2jm60
「……」
商人「ありゃホントだ。こんな所で何やってんだ」
少女「それは私達にも言えるよ……どうする?」
商人「どうするも何も積極的に関わらなくてもいいでしょう。どっち道私達もあんまり人に見られたくはないですし」
少女「うーん……」
商人「それにこんな所に居るようなヒトですし、逃げてきた極悪人とかだったらどうするんですか」
少女「そだね、このままこっそり行っちゃおうか」
商人「そうそうこのままこっそり……」カサッ
商人「あぁん?」
41 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/17(日) 23:59:45.65 ID:g2OV2jm60
商人「ぎゃああああああああああああああああああああああああ!?」
「ッ!」
少女「お姉ちゃーーーーーーーーーーん!!」
商人「おあああああああああああ!?罠だあああああああああああああ!?宙づりだああああああああああああ!?」
少女(うるさいなぁ……)
商人「いかんパンツ見える!!ちょっとこのロープ切って!!」
少女「心配するのそこ?ってかお姉ちゃん刀差してるでしょ」
商人「おっとそうだった、コイツで……」
タッタッタッタ!!
ジャキンッ!!
商人「え?は?」
42 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/18(月) 00:00:44.93 ID:Dxavt+YR0
ドグシャ
商人「ウボァ」
少女「落ちた……」
「だ、大丈夫ですか……?」
少女「あ、さっきの……」
商人「うご……あが……」
「あの……」
商人「大丈夫な訳ねぇだろ見て分かんねぇのかテメェ!?ってかコレテメェが仕掛けた罠か!?ああぁん!?」
「ヒッ!ご、ごめんなさい、まさかヒトがこんな所に来るなんて思ってなくて……」
商人「こんのやろう喧嘩売りやがってどうしてやろうか……」ジリジリ
少女「どうどう、落ち着け落ち着け、ワザとじゃないんだから」
「ごめんなさい!!ごめんなさい!!」
43 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/18(月) 00:02:15.67 ID:Dxavt+YR0
「……」
商人「それでだ」
「……」シュン
少女「そんなに落ち込まなくていいよ、お姉ちゃん頑丈だから」
商人「余計な事言わんでいいから!!貴女こんな所で何してたんですか。見たところただの冒険者……?みたいですけど」
「私、武者修行の旅をしている者です。獣用の罠を仕掛けて狩りをしようとしていたのですが……結果はお察しの通りです」
少女「武士っぽいけど」
武士「はい、その通りです。貴女方は着物を着ていらしていますけどやっぱり東洋の?」
商人「そーですねぇ、まぁそれはどうでもいいとして随分と大物が捕れたじゃないですか」
武士「も、申し訳ないです……」ショボン
少女「お姉ちゃんもう反省してるみたいだし……」
商人「ったく、足に痕が残ったらどうしてくれんだよ」フーフー
44 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/18(月) 00:03:02.74 ID:Dxavt+YR0
武士「貴女方はどうしてこんな場所に?」
商人「旅商人なんですがね、今はすぐそばにある町を拠点にして商売してるんですよ私達は」
商人「で、今日は仕入れでここまで来てるんです。ま、大したもんは無さそうですけどね」
少女(嘘は言わないが本当の事は言わないスタイル)
武士「……近くに町あるんですか?」
商人「そりゃそうでしょう。ここら辺まで足を延ばしてるって事は商売が盛んなあの町が目的でしょうし」
武士「よ、よかったぁ……」
商人「なんでそんな喜ぶ……」
45 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/18(月) 00:04:04.47 ID:Dxavt+YR0
武士「いえ、私かれこれ1週間ほどこの森を彷徨っていまして……」
商人「この規模の森で1週間って器用だなオイ!?」
武士「じ、実は旅に慣れていなくて……それで……」
ギュルルルル
少女「お姉ちゃんやめてよこんな時に」
商人「流れ的に私じゃねぇだろ」
武士「重ね重ねごめんなさい……何か食べるものを恵んでいただけないでしょうか……」
商人「ったく、あんな罠に引っかかるような動物も居ないでしょうし、大方食うに困っていたんでしょう」
少女「引っかかった人がなんか言っとる」
商人「しゃーないですね、はいコレ」
武士「わぁ!!おむすび!!こんな場所に来て祖国の食べ物を口にできるなんて思ってもみませんでした!!いただきます!!」ハムッ!!
46 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/18(月) 00:05:07.17 ID:Dxavt+YR0
武士「おいひい……おいひい……」モグモグ
少女「あれお姉ちゃんの今日の夕食でしょ?よかったの?」
商人「別にいいですよ、飢えて死なれるよりは」
少女「うーん、じゃあ……足りなかったら私の分も食べる?」
武士「ありがとうございます!!」モグモグ
商人「……よかったんですか?」
少女「私もお姉ちゃんと同じだよー」
武士「いやぁ助かりました!!昨晩ぶりのゴハンです!!」
商人「吐け!!今すぐ吐け!!吐き出して私達に詫びろ!!」ギリギリギリギリ
武士「あがががががが!!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」
少女「ハハッ、なんだこれ」
47 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/18(月) 00:06:00.98 ID:Dxavt+YR0
武士「ふぅ、重ね重ねありがとうございます!」
商人「結局全部喰いおった……」
少女「でもこのヒト本当に食料持って無かったみたいだよー」
武士「お恥ずかしながら昨日の時点で全て使い果たしてしまって……」
商人「もういいよ、私のゴハンは帰ってこないんだ……」クスン
48 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/18(月) 00:07:03.85 ID:Dxavt+YR0
武士「お詫びと言っては何ですが、こんな森の中です!お二人が町に戻るまで護衛を務めましょう」
商人「いえ、いいです」
武士「えーーーーー!!なんでですか!!これでも腕は確かですよ!!」
少女「いやいやお姉ちゃん強いから」
商人「試すか?お?」グイグイ
武士(この人可愛いのにヤのつく職業みたいでこわい……)
49 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/18(月) 00:08:46.49 ID:Dxavt+YR0
商人「しかも貴女町までの道が分からないからあわよくば私達について行って脱出しようと考えてるでしょ」
武士「ギクッ……ま、まぁそうとも言いますが」
少女「町までの道なら別に……ここ真っ直ぐ突っ切るだけでも森は抜けられるよ」
武士「そ、そうは言いましても一人じゃ心細くて……出来ればおともさせてください!!」
商人「イヤです」
武士「えーーーーーーー!!たすけあいましょうよおねがいしますぅ!!」ガクガクガク
商人「あ゛ーーー」ガタガタガタ
少女(面倒な人助けちゃったなぁ)
50 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/18(月) 00:09:33.07 ID:Dxavt+YR0
商人(あんまりアレ探してるの見られたくないんだよなぁ……チッ、しゃーないか)
商人「予定変更です、町へ一旦帰りましょう。ゴハンも無いですし」
少女「うーん、それがいいのかなぁ」
商人「ええ、まぁ本当は余裕ないですが後日改めて……」
武士「ありがとうございます!!町までしっかり護衛させていただきます!!」
商人「……」
商人(まぁ悪い娘じゃなさそうなんだけどなぁ)
51 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/18(月) 00:10:04.49 ID:Dxavt+YR0
商人「えっと、帰り道はっと……」ガサガサ
武士「そういえば知っています?」
商人「その手の導入から知ってるという事はまず無いからどうぞ」
武士「いえ、この森に伝わる秘宝と言うものがあるらしいんですよ」
少女「へー秘宝かぁ」
少女(多分お姉ちゃんが探してるやつだな)
52 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/18(月) 00:10:40.81 ID:Dxavt+YR0
武士「実は情けない話、私それを探しに来て迷子になってしまう事に……」
商人「あはは、そう広い場所でもないのにおっちょこちょいですねぇ」
武士「ええもう……慣れない事をしたもので」
商人「その秘宝、どんなものなんです?」
武士「あ、やっぱり気になりますよね!!」
武士「なんでも"黄金の果実"と呼ばれる"神器"らしく、それを手に入れれば人生の成功を約束されるとか!!」
商人「へぇ……」
少女「こういう伝承とかって誰が伝えんだろう」
武士「私の国にむかーし棲んでいた神様がお伝えになられたそうです。具体的な話は無いそうでしたけど」
53 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/18(月) 00:11:12.96 ID:Dxavt+YR0
少女「……」
少女「っていうか神器って何?」
商人「あぁそこからか……」
武士「神器っていうのは……そう!えっと、なんか凄いパワーを秘めたアイテムです!」
商人「簡潔に言ってしまえばそうなんですけど、少し違いますね」
武士「というと?」
商人「呪いと祝福の表裏一体のモノですよ、アレは」
武士「?」
54 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/18(月) 00:12:32.59 ID:Dxavt+YR0
商人「神が創りし禁忌の道具……愚か者に祝福を、聖なる者に災いを」
商人「人々が追い求める争いの火種、絶対的力の象徴」
商人「人間の手に余る代物……決してヒトの手に触れてはならないものです」
武士「て、哲学か何かでしょうか、私はちょっとわからないですけど……」
商人「まーつまり、そんなあるかどうかわからない眉唾な物を探すよりも現実を見ろって話です」
武士「厳しい……」
55 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/18(月) 00:13:25.43 ID:Dxavt+YR0
商人「色々と国々に伝説が残ってるんですよ。これはこういった神が創った素晴らしい道具だって話がね」
少女「ふーん伝説って?」
商人「ああ!ま、貴女はその神器を見つけて何がしたいかは知りませんけど、私が言えるのは"やめた方がいい"ってことくらいですね」
少女(スルーされた)
武士「むぅ……」
商人「納得できてないって顔ですね。貴女が神器を求めてる目的、言い当てましょうか?」
商人「ズバリ、名声」
武士「ふぐぅ!!」
少女「図星かぁ」
56 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/18(月) 00:15:03.67 ID:Dxavt+YR0
商人「冒険者にあるまじき行動からしてその線は無し。身なりがいい事と家紋入りの防具をつけてる辺りそこそこ名がある家……追いはぎとか出ない限りはね」
武士「そんな事は絶対にしません!!武士の名折れです!!」
商人「でしょうね。立ち振る舞いや言動からしても貴女武芸は修めてますがさっきのからして恵んでもらって当然、助け合うのが当たり前……と、どうもお嬢様っぽいですけど」
商人「もしかして止められてたのに家飛び出してきました?」
武士「ほぐぁ!?」
少女(分かりやすい人だなぁ)
武士「ま、まったくもってその通りです……」
商人「ケッ、どいつもこいつも金持ちが!!」
57 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/18(月) 00:19:25.41 ID:Dxavt+YR0
武士「私の家は……確かに名家と言えば名家です。分家ですけど」
武士「本家と違って功績が無いんです、だから……」
商人「神器を手に入れるのが手っ取り早いと」
武士「はい!そうしてかつて神様の言い伝えにあったこの地の神器を欲したという事です!!」
少女「いいじゃん、家族思いで」
商人「悪いことじゃないですけど貴女一人がやる事でもないでしょうに」
武士「いいえ、これは家を継ぐ私の役目。旅一つ出来ない娘に家長が務まるでしょうか!!」
商人「志が高いのは結構!嫌いじゃないですよ、そういうの」
武士「えへへぇ……」
商人「神器は見つかりましたか(小声)」
武士「……」プルプル
少女「虐めない虐めない」
58 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/18(月) 00:19:53.54 ID:Dxavt+YR0
商人「まぁ神器に係わると碌なことが無いので、功績が欲しいなら他所で頑張ってください」
武士「ぷぅ!!」プクー
少女「膨れちゃったよ」
商人「さてと……」
少女「そういえばお姉ちゃん、さっきから来た道と違う場所歩いてる気がするけど」
商人「あ、分かります?」
商人「迷っちゃった☆」
少女「っざけんなゴルあああああああああああああああああああ!!!!」
武士「ああああああああああああああ!!おかあさあああああああああああああああああん!!」
59 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/18(月) 00:22:03.47 ID:Dxavt+YR0
商人「慌てない慌てない、何の為に旅商人してると思ってるんですか」
少女「金儲け」
商人「HAHAHA。違いないが違う」カチャ
少女「これ……昨日何に使うか分からなかった道具だ」
武士「……何だろう、不思議な感じがします。これは……魔法?」
商人「おや、貴女もしかして魔法使えます?」
武士「えーっと、まぁ……」
商人「なら話は早いですね。これをこうして……」
60 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/18(月) 00:24:29.88 ID:Dxavt+YR0
パァァ
商人「ほら来た」
少女「おぉ……矢じりっぽいのが出てきた!!これどういう道具なの?」
商人「これは魔方位磁針と言うものです」
少女「駄洒落か」
商人「普通の方位磁針として使えるのは勿論、魔力を注入する事でマーカーを置いた地点を指示してくれる道具です。こういった森の中や岩場でも使えるんで便利ですよ」
武士「凄い、こんなものが……」
商人「私がこうして旅商人をしているのは、こういった人間が作った"カワリモノ"の道具を見て回りたいって理由もあるんです」
少女「カワリモノねぇ」
武士「珍しい道具と言う事ですか」
商人「そそ、それも人の手で創った物を!!」
商人「さて、出口が見えてきましたよ」
61 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/18(月) 00:25:23.59 ID:Dxavt+YR0
……
武士「何から何までありがとうございました!!」ペコッ
少女「いいよそんなの!」
商人「そうですね。ヒトとの出会いは一期一会……せっかく出来た縁ですもの。大事にしましょう」
武士「か、感動しました!!もし国に帰ることがあれば是非ウチに来てください!!」
商人「まぁどこの家か分からないからアレですけど……」
武士「はッ!!申し遅れました!!私、戦家(せんけの)イクサと申します!!」
商人(戦家(せんけ)!?こりゃまた厄介な……)
少女「どうしたのお姉ちゃん」
商人「あ、いえ、聞いた事のある名前だったので」
62 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/18(月) 00:26:11.66 ID:Dxavt+YR0
武士「それでは私はこれで!あー、宿宿〜♪あったかいお風呂〜♪」
少女「じゃあねイクサちゃん!!」
商人「あ、オイちょっとマテ」
武士「はい、なんでしょう?あ、お名前聞いてなかったですね!」
商人「あぁ私は林檎です。それはいいんですけど……」
武士「はい?」
63 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/18(月) 00:27:47.87 ID:Dxavt+YR0
商人「……」スッ
武士「?」
商人「……」ススッ
武士「あの……この手はなんでしょう?」
商人「まだ貰ってませんよ?」
商人「食事代」
武士「は?」
少女「は?」
64 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/18(月) 00:28:26.35 ID:Dxavt+YR0
武士「あ、あのー……さっきのおむすび……ですか?」
商人「イエス。まさか護衛にもなってない護衛でチャラだなんて思ってないですよね?」ニッコリ
少女「ガメツイ……」
武士「そ、そうですね!!何も出さないなんて失礼ですよね!!アハハ……これどうぞ!!」
商人「……何ですかコレ」
武士「いえ、あの。お金……」
商人「ンなもんケツ拭く紙にもなりゃしねぇよ!!」チャリーン!!
武士「あうっ!!」ビシッ
少女(どう見ても小銭だよ)
65 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/18(月) 00:28:58.34 ID:Dxavt+YR0
武士「あ、あ、あの……祖国のお金ではダメでしょうか……」ウルウル
商人「ダメに決まってんだろ!!この国の金出せ金!!」
武士「ひぃ!?か、換金とか……」
商人「やってねぇよ。つーかこの町でも換金してくれんぞそんな遠いどこかも分からんような国の金なんぞ」
武士「えぇ!?そ、それじゃあ宿も……」
商人「宿どころか飯にもありつけんぞ」
武士「」
商人「まぁまぁ、ここはいい話があるんですけどぉ」ポンポン
66 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/18(月) 00:30:15.08 ID:Dxavt+YR0
――――――
―――
―
翌日
商人「ウェーイラッシャイラッシャイ」
武士「ヤスイヨヤスイヨー」
商人「おうコラ!!もっと腹から声だせ声!!」
武士「ひぃっ!?」
少女「悪魔だ……」
巫女「増えてる……」
67 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/18(月) 00:31:06.98 ID:Dxavt+YR0
小休止
68 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/18(月) 14:10:32.12 ID:Dxavt+YR0
ちょっと再開
69 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/18(月) 14:10:58.82 ID:Dxavt+YR0
巫女「こんにちは林檎ちゃん。賑やかになってるけど」
商人「おう、また来やがったか。ええ、ちょっと奴れ……バイトが捕まったので早速頑張ってもらってます」
巫女「奴隷……」
巫女「まあそれはいいです。昨日はお休みするとウチは聞いていたんですが」
少女(いいのか……)
商人「色々と予定変更があったんですよ」
武士「あはは……森で私を助けたせいで予定狂わせてしまって申し訳ないです」
巫女「森……」
商人(説明口調で余計なこと言うな!!)
70 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/18(月) 14:11:25.22 ID:Dxavt+YR0
巫女「それで、今日は何を売っているんですか」
少女「今日はこれ!化粧品だよ!」
巫女「……参考までに聞きたいのですが、明日は何を売るんですか」
商人「えっと……明日は武器ですね」
巫女「明後日は……」
商人「食料品」
武士「明々後日は?」
少女「衣類」
巫女「統 一 性 !!」クワッ!!
商人「うわビックリした!?叫ぶこたぁ無いでしょうに」
巫女「そういうの見るとイライラするんですよウチ!!」
71 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/18(月) 14:11:54.22 ID:Dxavt+YR0
商人「私は旅商人ですからね、種類に拘りは無いので言ってもらえれば基本的に何でも取り扱ってますよ」
商人「ま、オメーみてーなブルジョワが欲しがるようなもんは無いかもしれないけどな、HAHAHA☆」
巫女「ホント口悪いですね」
武士(この二人なにかあったの?)
少女(お姉ちゃんが一方的に敵視してるだけかな……)
巫女「ところでそこの武士っぽい人」
武士「あ、はい、武士ですよー」
巫女「見たところ同郷みたいですね、林檎さんたちと同じく」
武士「あ、そうですね。私戦家イクサと申します」ペコ
巫女「ウチは兎です。しかし戦家ですか……」
武士「あ、知ってるんですか?」
72 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/18(月) 14:13:13.90 ID:Dxavt+YR0
巫女「戦争屋だって事はよく存じてます。貴女は見たことが無いので分家の方ですね?」
武士「はい!あ、でも戦争屋って呼び方はちょっと……」
巫女「ふむ、では控えます」
巫女「本家の方とはよく家柄の関係でお付き合いがあるので」
武士「え?そんな方が護衛も付けずに一人でこんなところに……?」
少女「こ ん な と こ ろ」
商人「失礼極まりねぇ言い方だなオイ」
73 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/18(月) 14:14:02.96 ID:Dxavt+YR0
巫女「探し物も兼ねて……仕事で来てるんですよ、ウチこう見えても商売人ですので」
商人「あぁん?貴女も商売人でしたか」
巫女「えぇ、ウチは元々名家ですけど商売を本格的に始めたのはウチからですよ。自分で始めた事でまだ従業員も居ないので人を付けずにやってます」
少女「実質一代目かぁ」
巫女「色々と伝手はありましたけどね」
商人「いいねぇスタートラインが私と違って」
巫女「……立派じゃないですか、旅商人」
商人「?」
74 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/18(月) 14:14:28.57 ID:Dxavt+YR0
巫女「ではこの化粧水いただけませんか」
少女「はい!では……これで!」
巫女「どうもです」
巫女「……」
商人「なに?」
巫女「今日は飴ちゃんくれないんですか」
商人「はいはい……ほらよ」
巫女「ん。それともう一つ……情報売ってくれませんか」ペロペロ
商人「情報?」
75 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/18(月) 14:14:56.06 ID:Dxavt+YR0
巫女「それとも取り扱いはしてません?」
商人「いんや、物によるね。言ってみ」
巫女「"黄金の果実"について」
武士「!」
商人「この町の近くに中規模の森があるでしょ。そこにあるんだとよ」
巫女「……それは」
76 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/18(月) 14:15:32.45 ID:Dxavt+YR0
商人「その程度の情報は持ってるんじゃないですか?情報源はそこのイクサですし」
武士「私が持ってる情報なら多分兎ちゃんの方が詳しいと思うけど……」
巫女「なるほど、イクサさんも黄金の果実狙いですか……まぁ、そうですね」
商人「この程度、お代はいらないんでとっとと帰んなさいな。こっちは忙しいですし」
武士(そこまで忙しくは……)
少女(前日と比べての模様)
77 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/18(月) 14:16:43.41 ID:Dxavt+YR0
巫女「……」
商人「なんです?まだ何か聞きたいんですか?」
巫女「単刀直入に聞きます」
巫女「林檎ちゃん、貴女黄金の果実……持ってるんじゃないですか?」
武士「え!?」
少女「うそ!?」
78 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/18(月) 14:17:15.41 ID:Dxavt+YR0
少女「ど、どうなのお姉ちゃん!?」
武士「林檎ちゃん!!言い値で買う!!言い値で買うからそれください!!」
商人「えぇい金持ちの本性を出すな!!この文無しが!!」
巫女「金額の話になったらウチが勝つに決まってるでしょ。不毛な争いは無しにしましょう」
武士「つらい」
商人「はーいはいストップ。何を勘違いしているのか知りませんけど私はそんなもの持ってませんし知りません」
巫女「初日にこの売り場で貴女が落とした物を見ました!!あんな光っている果実は……」
商人「コレの事?」ヒョイ
巫女「そう!それ!!」
79 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/18(月) 14:18:33.41 ID:Dxavt+YR0
商人「これただ色付けただけのリンゴですよ」シャクッ
巫女「あ……」
武士「食べたー!!」
商人「ほら普通のリンゴだ。その黄金の果実がどんなものかは私には分からないですけど、そんな大層なもん持ってたらとっとと売り飛ばして林檎ちゃん御殿でも作ってますよ」
巫女「……」
商人(むしろ探してるのは私の方だっての……)
巫女「また来ます」
商人「私が何か知ってると思ってるんだろうけど、何回来ても無駄ですよ」
巫女「……それとは関係無しに来ます」
商人「そうですかい」
80 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/18(月) 14:18:59.26 ID:Dxavt+YR0
武士「……」
少女(お姉ちゃん、どうしてそんなもの用意して……)
武士「……」
少女「……イクサちゃん?」
武士「よしんば、これが本物の黄金の果実だとしたら」
武士「いや逆にこの程度の偽装なら本家を欺けるか……?」
少女「お願い、よからぬことは考えないで。神器で人生一発逆転狙わないで」
81 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/18(月) 14:19:27.29 ID:Dxavt+YR0
商人「はー、なんか白けたなぁ」
商人「ちょっと私休憩がてら市場調査でもしてきます。イクサ、ちょっとこの娘と店番お願いします」
武士「あ、分かりました」
少女「お姉ちゃんどこ行くつもり?」
商人(このままバックレます)
少女「オイふざけんな」
商人(まーまー話を聞きなさい)
82 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/18(月) 14:20:14.14 ID:Dxavt+YR0
商人(わざわざイクサを抱え込んだのは理由があるんですよ)
少女(うんまぁ……同じもの探してるライバルなのに一緒に行動するのはおかしいと思ってたけど)
商人(ここで貴女と商売させてコイツを足止めします。その隙に私が森へ行って黄金の果実を探してきます。責任感強い子ですから仕事を途中で投げたりはしないでしょう)
少女(私を置いていく気?)
商人(私も本当は一緒に行動したいですけど我慢してください。効率のいいやり方でやろうとしてるだけで)
商人(私の足なら一日かからずにあそこまで行って帰ってくるのはワケないですし)
商人(それに……貴女を一人にはさせたくなかったから)
少女「……」
商人(何かあったらイクサか……あの兎ちゃんでも頼ってください。貴女なら邪険にされないでしょう)
商人(その隙に私が勝者になります)
少女「言い方ァ!!」
83 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/18(月) 14:20:41.69 ID:Dxavt+YR0
武士「どしたの二人とも?」
商人「いえいえこちらの話です」
少女「イクサちゃん、今日お姉ちゃん遅くなりそうだから二人で店番だって」
商人(そこは伝えなくていいのに)
少女(騙す形は悪いよ流石に)
武士「ええ、構いませんよ。それじゃあ二人で頑張ろー!!」
少女「おー!!」
商人「……」
商人(ごめんなさいイクサ、こんなにいい子なのに裏切るような事をして)
商人(でも……心を鬼にしろ!!"林檎"!!)パンパン
84 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/18(月) 14:21:08.28 ID:Dxavt+YR0
小休止
85 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/05/20(水) 03:37:53.56 ID:ekCEp+eBo
はーじまーってたー
イノミュみてきましたよー
86 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/21(木) 04:20:12.95 ID:ylBcWnh30
再開
87 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/21(木) 04:20:59.92 ID:ylBcWnh30
――――――
―――
―
商人(黄金の果実は……必ずしも必要なものではない)
商人(アレは最終手段のつもりだった……だが、その最終手段に頼らざるを得なくなった)
商人(それは、"私自身"が決断した事だ。そう、例え"私"が望まなかった事だろうと)
商人(あそこで大人しく強行していれば、あんなものを探す必要も無かっただろう)
商人(だが……あの娘がそれを許さなかった)
商人(だからだ。最終手段が入れ替わってしまった)
88 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/21(木) 04:21:25.78 ID:ylBcWnh30
商人「町からしてもそうでしたけど、この地も随分と様変わりして……」
商人(ちょっと前に来た時とは随分と地形が変わっている……気がする)
商人(まぁ私がその時さほど興味を示していなかったというのもあるんだろうけど)
商人(そのせいで黄金の果実の場所が分からんわけで)
商人「さーて、探すって言っても手掛かり無しはキツイな」
89 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/21(木) 04:22:02.57 ID:ylBcWnh30
商人(無理矢理森を燃やして文字通り炙り出す……何てことしたら確実に果実も焼けるだろうしなぁ)
商人(なるようにしかならんか……しかし)
商人「ところで……だ」
商人「誰です?さっきから私をつけてきているのは。町を出た時からずっと私を見てますよね」
ガサッ
「よく分かったな」
商人「割と気配漏れていたもので……いや誰だよ兎だと思ってたぞ、ここに来て新キャラかよ」
「何を訳の分からん事を言っている」
90 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/21(木) 04:22:43.35 ID:ylBcWnh30
商人「何の用ですか?私今忙しいんですけど」
「何も持たない人間を襲う程こちらも暇ではないんでな」チャキン
商人(族か……)
「町に金持ちの東洋人が居ると聞いてな。身ぐるみ剥ぎに来た」
商人「何?」
「金と……そうだな、あと金目の物だ。お前が差しているその武器も貰おう」
商人「あの……」
「なんだ」
商人「それ別人です」
「……」
商人「……」
91 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/21(木) 04:23:18.65 ID:ylBcWnh30
ブンッ!!
商人「うぉあっぶねぇ!?何すんだゴルァ!?」
「剣は当てるつもりは無かったぞ、お前が当たりに来た。脅しただけだ」
商人「だろうね!!避けた方向に刃飛んできたからね!!」
「お前の動き、戦い慣れしてるな。何者だ」
商人「何物もなにもただの旅の商人ですよ。あ、私襲っても商品は町に置いてきてあるので意味ないですよ」
「この際もうどうでもいい。金目の物だけ貰っていくぞ」
商人「チッ、そうなるか」
92 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/21(木) 04:23:49.60 ID:ylBcWnh30
「諦めろ、怪我をするぞ」
商人「お前が諦めろ、怪我じゃ済まなくなる前に」
(コイツ……強いな)
商人(斬り結ぶ前から力量を見ているな……さて、なるべく穏便に済ませたいんですが)
「……」ボソボソ
商人「ん?」
「凍てつけ」
「刃よ!!」ピキンッ
商人「これは!?」
93 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/21(木) 04:24:24.92 ID:ylBcWnh30
ギィン
商人「氷の刃ッ!!」
「避けたな。今度は当てるつもりだったのだが」
商人(周囲が一気に氷漬けに……コイツ、使い慣れてるな)
商人「お前、魔法が使えるのか」
剣士「あぁ、剣士だがな。どうだ、驚いたか」
商人「ええまぁ……このご時世に堂々と魔法を使ってくる相手なんて滅多にいないですからね」
剣士「……驚いているのか?」
商人「ええ、ですから。魔法なんて差別の対象ですよ、これ使って犯罪でもしようものなら鬼の首とったように魔法の存在を認めない連中が……」
剣士「驚いたのなら金目の物置いてどっかいけ」
商人「えぇ……」
94 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/21(木) 04:25:24.55 ID:ylBcWnh30
剣士「どうした、怖いだろう?」
商人「いや別に……」
剣士「?」
商人「?」
剣士「おかしいな、これを見せると大体どんな相手でも従うのだが」
商人「そりゃまぁ剣片手に持った奴が魔法まで使って来たら大半そうするでしょうけども……炎よ」ボワッ
剣士「……あれ?」
商人「おあいにく、驚きはするけど屈しはしませんよ」
95 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/21(木) 04:26:13.11 ID:ylBcWnh30
剣士「なるほど、お前も魔法が使えるという訳か。まぁいい」
商人「よくねぇよ、見逃してやるからとっととどっかいけ」
剣士「見逃す?」
商人(しまった口が過ぎた)
剣士「予定変更だ、丁度お前も魔法が使えるようだしフェアな条件だろう」
剣士「どちらが見逃す方の立場か……決めるぞ」ジャキン
商人「狂戦士め……」キッ
96 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/21(木) 04:26:42.04 ID:ylBcWnh30
ギィン!!
剣士「ク……」
剣士「クヒヒ……」
剣士「クハハハハハハハハ!!」
商人「チッ、思っていたより暴れる!!」
剣士「いいぞ!いいぞ!!戦いはいいぞ!!」
ザンッ
商人「木が……随分とまあいい切れ味だな!!」ガッ
剣士「フン、逃げ回るだけの腰抜けが」
商人(こっちは本気で戦えねぇんだよ馬鹿!!)
97 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/21(木) 04:27:28.57 ID:ylBcWnh30
ブンッ
商人「ッ」
ブンッ
剣士(当たらん)
商人「しっかしまぁ、暇はないとか言っておきながら私に構うなんて随分と暇を持て余しているじゃないかっとと!!」
剣士「出した刃の収まりどころが分からなくなっただけだ」ブォン
商人「オイふざけんな!?そんな理由で戦ってんのか私達は!?」
剣士「十分だ。そら」
商人「おあ!?」バッ
98 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/21(木) 04:27:54.03 ID:ylBcWnh30
剣士「お前は何故攻撃してこん。これでは弱い者いじめだ」
商人「族をやっておいて何をいまさら……そうやって弱い人間から物を奪ってきたんでしょう」
剣士「金持ちは強いと行く先々の老人たちからよく聞かされた。だから金持ちを襲っていたが……違うのか?」
商人「ちげぇよ純粋だな!?……いや違わないけど!!パワーイズマネー!!」
剣士「そういえば腕っぷしが強いのは用心棒だけでまともに戦っていた金持ちはいなかったな」
剣士「まぁどっちでもいい。私は今戦えればそれで満足だ」
商人「くっそ!!」
99 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/21(木) 04:28:22.78 ID:ylBcWnh30
商人「ッ!?しまった、岩場か!!」
剣士「追い詰めたぞ。逃げ隠れ出来るような木はここには無い」
商人「石を盾にして隠れりゃ問題ないでしょう」
剣士「私の刃は鉄をも断つ。あきらめてその武器よこせ、命までは取るつもりはないが最悪の事態が起こっても知らんぞ」
商人(思った以上に甘ちゃんらしいが……ダメだな、これ以上魔法使わせたまま暴れられたら危険だ)」
商人(……しゃーない、やるか)
剣士「?」
100 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/21(木) 04:29:04.38 ID:ylBcWnh30
商人「……」カタッ
剣士(武器に手を……?抜くのか)チャキン
商人「"炎剣・真撃(しんうち)"」
商人「抜いちまったらもう止められねぇぞ!!」ズァッ!!
剣士「何だ……これは……」
剣士「炎が……刃に」
バキッ
剣士「ん?」
商人「あぁん?」
101 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/21(木) 04:29:50.99 ID:ylBcWnh30
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
商人「は?」
剣士「地面が!?」
ガララララララララ
商人「落ちたああああああああああああああああああああ!?」
剣士「……フン、どうやらお互い暴れすぎたようだ」
商人「暴れてたのお前だけだよ!?」
剣士「何を言っている、お前地面を物凄い蹴りながら移動していたじゃないか。私だけのせいにするな」
商人「半分私におっかぶせようとしてんじゃねぇよ!?オイ何澄ました顔してやがる!?」
剣士「私悪くないし」
商人「とうとうブン投げたぞコイツ!?」
剣士「そんな事はどうでもいい」
商人「よくねぇよ!?オイ責任取れゴルァ!?」
剣士「落ちているのに元気だなお前は」
商人「落ちているのに冷静だねお前はあああああああああああああああああああああああーーーーーーーーー!!」
102 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/21(木) 04:30:19.77 ID:ylBcWnh30
……
少女「ありがとうございましたー」
武士「売り上げ好調だったね」
少女「お姉ちゃんいなくなった途端これだ」
武士(果たして林檎ちゃんは必要な存在なのだろうか)
少女「さて、今日はこの辺にしようか」
武士「林檎ちゃん帰ってこなかったね」
少女(もう日も暮れる……遅くなってるって事は何かあったな……お姉ちゃんの事だから死ぬようなことは無いだろうけど)
武士「えっと、どうしよっか。待つ?」
少女「ううん、市場のリサーチの他にちょっと大きい所からの仕事も溜めこんでたからそっち優先しちゃってるんだと思う。よくあるんだ」
武士「こんな小さな子に負担掛けるなんて困ったヒトですね」
少女「しょうがないよ、お姉ちゃんも立場があるから」
少女(あぁ、シレっと嘘を付けるレベルになってしまった……)
103 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/21(木) 04:31:10.88 ID:ylBcWnh30
武士「それじゃあ宿に戻ろっか。昨日と同じところだよね」
少女「うん。片付けてから行こう」
武士「うーん!!しかし働くって何て素晴らしいんだろう!私も旅商人やってみようかな」
少女「イクサちゃん向いてないからやめた方がいいよ」
武士「ストレートォ!!」
少女「まぁ、こういうのは向いてる向いてないじゃなくて、楽しんだもの勝ちなのかな」
武士「林檎ちゃんの事?」
少女「うん、お姉ちゃん商売下手だけど私が見てきた限りだとずっと楽しそうにしてるから」
武士「お姉さんのこと好きなんだね」
少女「へへ、大好きだよ」
104 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/21(木) 04:31:51.51 ID:ylBcWnh30
「あの、すみません。もう店じまいですか?」
少女「いらっしゃいませ、まだ大丈夫ですよ」
「そうですか……買い取りをお願いしたいのですが」
少女(買い取りか……私査定とかやったこと無いけど)
武士「はい!勿論大丈夫ですよ!!」
「それじゃあお願いします。ちょっと困っていたもので」パァァ
少女「なんで勝手にそういうこと言うの!?お客さん喜んじゃってるよ!?」
武士「え?出来ないの?」
少女「やったことねぇよ!?いきなり店の主に聞かないで二つ返事でOKするんじゃねぇよ!?だからお嬢様なんだよ!!」
武士(林檎ちゃんそっくりでこわい……)
105 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/21(木) 04:32:43.25 ID:ylBcWnh30
「あの、やっぱり駄目でしたか?」
少女「あ、ゴメンなさい、その、私まだ駆け出しで経験が無く……」
「それでも構いません」
少女「え?」
「これは……大した価値の物ではないので」スッ
少女「指輪だ……」
「お値段はそちらで好きなように決めていただいて構いません」
「もう私には必要のないものなので」
少女「……」
106 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/21(木) 04:33:58.73 ID:ylBcWnh30
「貸し露店のようですけど、出ていく予定はないですか?」
少女「はい……当分はまだこの町に留まる予定ですが」
「それでは後日お伺いいたします。その眼で、しっかりと貴女の目で値段を決めてください」
少女「え、あ。数日お預かりになるという事ですか!?」
「はい」
少女「私が持ち逃げしてしまうような人間だったら……」
「貴女はそんな事をするんですか?」
少女「いいえ、決してそのような事はしません」
「それならそうして頂いても……いいのですけどね」
少女「え……」
「ではお願いします」
107 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/21(木) 04:34:40.99 ID:ylBcWnh30
武士「行っちゃった……」
少女「時間かけてでも値段を決めろってことか……」
武士「あの人にとってどうでもいい物なのかな」
少女「……」
少女(名前が書いてある……)
少女(これきっと……)
108 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/21(木) 04:35:23.58 ID:ylBcWnh30
……
武士「いやぁ早速日給出るなんて思いもしなかった!!」
少女「一応働いてもらった分だしこっちも支払う義務は勿論発生するしね、当然」
武士「んふふ、人生初のお給料、これで何買おうかなぁ」
少女「でもそれお姉ちゃんの提示した食事代にほど遠いからまだウチに拘束されてるよ」
武士「かなしい、でもがんばる」
少女(強制力一切ないのにそこに疑問を持たない辺り本当にお嬢様なんだなぁ……いや、正直イクサちゃんいてくれないと私も人手足りなくて困るんから何も言わないけど)
109 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/21(木) 04:35:59.32 ID:ylBcWnh30
巫女「何の話をしているんです」
武士「あ、兎ちゃんこんばんわ」
巫女「はいこんばんは。こんな時間にも持ち込みでお仕事ですか」
少女「うんまぁ……いや、兎ちゃんなんでこんな所に居るの。ここ違う宿だよ」
巫女「気が変わってウチもここに泊まることにしたんです。あっちは寝心地悪くて」
少女(こりゃ私達を追ってきたな)
110 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/21(木) 04:36:54.24 ID:ylBcWnh30
巫女「林檎ちゃんいないんですか」
少女「お姉ちゃんはちょっと用事で数日離れるかもって」
武士「あれ、数日単位だったんだ……」
巫女「貴女は何を見てるんですか」
少女「指輪だよ。値段つけて買ってくれって言われちゃった」
巫女「高そうですね」
少女「うん、高いよ。多分7桁は余裕で超える」
武士「え……そんなものを言い値で売るって事ですか?」
巫女「正確な目利きですね……しかし変わった人も居るんですね」
111 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/21(木) 04:37:30.73 ID:ylBcWnh30
少女「名前が入ってるから婚約指輪か婚約指輪かな」
巫女「!そんなもの……」
少女「ほら、ここ」
武士「THESTAR……ジス……いや、星?」
巫女「&XENO……まぁ読み方なんて色々ありますし気にするほどでもないでしょう」
112 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/21(木) 04:38:11.70 ID:ylBcWnh30
少女「私は試されているのだろうか……」ガクガクガク
巫女「そこまで思いつめなくても当たり障りなくそれっぽい値段で吹っ掛けてやればいいじゃないですか」
武士「そ、それはダメ!!そんな相手に悪い……」
巫女「悪いのはそんなよく分からないような店で処分しようとしたそのヒトですよ」
武士「うーん……」
少女「でもこれもしも何らかの事件に巻き込まれた代物だったら……」
武士「事件?」
少女「……一応考えられる線は」
113 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/21(木) 04:39:16.84 ID:ylBcWnh30
少女「1.呪いのアイテムの処遇に困り、特に関係の無い私達に黙って丸投げ」
武士「ヒェッ、辻褄があう……」
少女「でも禍々しいものは感じないからそれは無いかなー」
巫女「そうですね。そういうものは割と一発で分かったりします。手に持ったらそういう感覚しますし」
武士(触った事あるのか……)
少女「2.単純に盗品。足がつきそうだったためとっとと流した」
巫女「一番ありえそうですね。ウチも覚えがあります」
武士「えぇ……」
巫女「善意の第三者です。詳細は知らないフリです」
少女「それも無いかな……」
巫女「というと?」
少女「これを私に出してきたあの女の人……凄く辛そうな顔してた」
114 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/21(木) 04:40:20.57 ID:ylBcWnh30
武士「手放したいのか手放したくないのかよく分からないね」
巫女「まだ未練があるとかそういう話ですか。ウチそのようなお付き合いしたこと無いのでそういう感情わかりません」
少女「……ふむ、まぁ悩んでも仕方ないし、時間も貰ってるからじっくり考えるよ。これは私が受け取った仕事だからね」
巫女「困ったら頼ってもいいんですよ」
武士「そう!!私だって働く仲間なんだから!!」
少女「イクサちゃんはいいかな」
武士「」
115 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/21(木) 04:41:00.68 ID:ylBcWnh30
巫女「そういえば今更ですが」
少女「?」
巫女「お名前、聞いてなかったですね」
武士「あ、私もだ。ごめんなさい、失礼だったね」
少女「あぁ、いいのいいの、気にしないで」
少女「私、名前無いから」
巫女「え……」
武士「今……なんて?」
116 :
◆cZ/h8axXSU
[saga]:2020/05/21(木) 04:42:23.99 ID:ylBcWnh30
小休止
117 :
◆cZ/h8axXSU
[sage saga]:2020/05/21(木) 09:59:44.15 ID:ylBcWnh30
婚約指輪か婚約指輪ってなんやねん名無しちゃん結婚指輪か婚約指輪だよ……
118 :
◆cZ/h8axXSU
[sage saga]:2020/05/24(日) 15:24:05.92 ID:AX80HbLV0
再開
119 :
◆cZ/h8axXSU
[sage saga]:2020/05/24(日) 15:24:33.35 ID:AX80HbLV0
――――――
―――
―
武士「ウェーイラッシャイラッシャイ」
巫女「……」
武士「ヤスイヨヤスイヨー」
巫女「……」
武士「なんで一緒にやってくれないの」
巫女「なんでウチがやらなきゃならないんです」
武士「今日お店手伝ってくれるって言ったのにー」
巫女「あの娘一人で大丈夫か気になったから様子見てるだけです。客引き以外なら手伝いますけど」
少女「いらっしゃい、これはですね……」
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