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【艦これ】提督「墓場島鎮守府?」不知火「その3です」
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674 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/11/01(月) 23:11:49.56 ID:E47MV3sY0
墓場島艦娘の事情知ってるからこそ留とクルーの態度が腹立つ
これだと提督のED発覚した時の反応が気になるな〜
675 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/11/04(木) 09:03:35.21 ID:SFmAUNwlO
普通に提督が無能なだけだろ
1人くらい見せしめで首でも引きちぎればよかったのに
676 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/11/04(木) 13:12:39.67 ID:8a1Fwen70
>>675
んなことすればもっと面倒なことになるからやらんやろ…さすがに
677 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/11/06(土) 19:13:57.14 ID:iVU0iCaX0
コイツらマワす気なのか…何て外道な…
678 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/11/06(土) 21:34:04.89 ID:QFZZCwjk0
>>672
>>677
sageしような
679 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/06(土) 22:27:41.62 ID:xRpQIcl0o
少々短めですが、続きです。
680 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/06(土) 22:28:45.98 ID:xRpQIcl0o
* 鎮守府埠頭 *
ザザーン…
クルー3「……」
クルー3(わからないな……)
クルー3「……」
クルー3(ここの准尉は、轟沈した艦娘を私兵にして好き勝手していると聞いていたが、だいぶ話が違うようだ)
クルー3(准尉のあの態度からして、余程島に入られたくない、後ろめたいことをしているのかと思ったが……)
クルー3(艦娘たちは、話を聞いたように閉じ込められて虐げられているようでもなければ、性的な関係を強いられているようでもなかった)
クルー3(もし、ここの誰かが苦しんでいて、外部に助けを求めたいというのなら、俺の取材に誰かしら答えてくれてもいいはずなのに)
クルー3(まさか逆に、この島から出て行けと忠告されてしまうって、どういうことなんだ……?)
クルー3「……」
クルー3(そもそもこの島に来たのは、留さんたちのせいで沈んだ艦娘の回収のためであって)
クルー3(加古や鳥海を連れて行くことができればそれで良かったんだ)
クルー3(だが、鳥海はともかく、加古が反抗して帰るのを拒否した……これがまたわからない)
681 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/06(土) 22:29:30.58 ID:xRpQIcl0o
クルー3(遠大佐の鎮守府を見学させてもらったときも、あの個性的な艦娘たちがちゃんと言うことを聞いていたし)
クルー3(轟沈したとはいえ、数日前までは遠大佐の下にいた艦娘が、明確に嫌だと反発する姿なんて初めて見た)
クルー3(轟沈して心変わりするのなら、同じ海軍にいる准尉にだって反発するだろうに……)
クルー3「……」
クルー3(そもそも、艦娘は、艦隊の司令官である提督には忠実で、彼の号令の下、命を賭して戦うものだと思っていた)
クルー3(それが、轟沈もしていないのに命令に歯向かっただの、鎮守府を火の海にしただの、他の艦娘に嫉妬しただの……)
クルー3(あの艦娘が言っていたことが本当だとしたら、あまりに想定外過ぎる)
クルー3(艦娘が人間に反抗しないという前提があるから、留さんみたいな我儘な人でも艦隊の指揮ができそうだと思っていたのに)
クルー3(そうじゃないとなると、あの人に制御しきれるのか? この企画、最悪途中で投げ出すかもわからないぞ……?)
クルー3(もしそうなったら、誰が責任を取るんだ……? いや、責任なんてレベルになるのか……!?)
クルー3「……」
クルー3(考えれば考えるほど矛盾してくるな……民間人から『提督』に適性のある人材を募ったというが、どのくらい成功してるんだ?)
クルー3(准尉だってそうだ。あの傍若無人な態度で、どうやってこの鎮守府の艦娘を従えてきたんだ?)
クルー3(色目を使ったり媚を売ったりするようなタイプには思えないし……)
クルー3(かといって無理矢理言い聞かせるようなタイプなら、彼に反発する艦娘だって出るはずだ)
682 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/06(土) 22:30:16.27 ID:xRpQIcl0o
クルー3(それなのに、加古は彼には反発するような素振りを見せてない……)
クルー3(准尉は、この島でいったい何を任されているんだ……?)
クルー3「……」
クルー3「……」
クルー3(わからない。まったくわからない)
クルー3(……なにかあるはずだ、この島にしかない何かがあるはずなんだ。あの艦娘が言ったことを思い出せ)メモトリダシ
クルー3(ここは、轟沈した艦娘が集まる島……准尉以外に人間はいないと、あの艦娘は言った)
クルー3(誰も近寄らない理由がある。問題はそこだ……なんでこの島がそんな扱いなのか)
クルー3(なんでこの島に誰も近寄らないのか、それがわからないと何が悪いのかがさっぱりわからないぞ……?)
ザザーーン…
クルー3「……艦娘が、この近海で哨戒してるんだったよな」
クルー3「地道に聞き込むか……」
683 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/06(土) 22:31:00.70 ID:xRpQIcl0o
* 千歳と足柄の部屋 *
足柄千歳「「カンパーイ!」」カンッ
クルー6「か、乾杯……」カンッ
千歳「……」グィーーーッ
足柄「……」グビグビグビ
クルー6「……ふ、二人とも、すげー飲みますね……」
足柄「ぷはぁ……んー、まあね。割と飲む方じゃない?」
クルー6「割と……」アッケ
千歳「そうね、でも今日は控えめにしてるわよ?」
クルー6「ひ、控えめっすか……!?」
足柄「控えめよ控えめー。というか、あなたも今時珍しい控えめな子よね? テレビ局のスタッフにしては、大人しいっていうか」
千歳「そうねえ? 取材なんかだともっとぐいぐい来る人ばっかりだったけど」
クルー6「や、まだバイトで、入って1か月なんすよ……思い切って入りのいいバイト探してたら受かりまして」
足柄「それで初仕事がここなの?」
684 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/06(土) 22:31:46.11 ID:xRpQIcl0o
クルー6「ええ、まあ。シンカイセーカン? ってのが暴れ始めてから、景気悪くなって入る予定だった会社が潰れて」
クルー6「それからは浪人しながら自転車であちこち回って、就活しながらバイトで食いつないでたんですけど」
足柄「苦労してんのねえ」
千歳「で、まだ就活してるの?」
クルー6「ええ、まあ。人に恵まれないっつうか、どーも上司が問題ある人ばっかりで……正社員は夢のまた夢っす」
クルー6「こんなだから、誰かと仲良くなる前に、はいさよーなら、ってばかりで。パスポートもとったのにそこじゃ使わないまま辞めましたし」
クルー6「今の職場にバイトで入ってからも、荷物持ちと接待ばかりで出会いもなくて……人の名前や物や場所を覚えるだけで精一杯すよ」
クルー6「研修期間なんかも全然作ってもらえなかったし……なんかすいません、俺、愚痴ってばっかっすね」
千歳「それはいいわよ。いきなりこんな島に連れてこられて、気の合う人もいなくて、そんな気分になっちゃったんでしょ?」
クルー6「あ、いや、まあ……3さんにはそれなりに気にかけてもらってたんすけどね」
千歳「ああ、あのちょっと張り切ってた人?」
クルー6「ええ。報道の関係者の乗った船が襲われた事件、あったじゃないすか。あの船に仲のいい人が乗ってたみたいで」
クルー6「かたき討ちのために艦娘の取材をして、そんで少しでも艦娘の活動を支援しよう、って感じで張り切ってるんす」
クルー6「で、まあ、今回の取材も、沈んだ艦娘を返さないで独り占めにしてる人から取り返そうって話みたいで」
足柄「え?」
685 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/06(土) 22:32:30.51 ID:xRpQIcl0o
クルー6「協力的ならそれはそれで交渉を……って、なんか俺、変なこと言いました?」
千歳「ええ……だいぶ変よ?」
足柄「轟沈した艦娘は、深海棲艦になる可能性がある、って話、聞いたことないの?」
クルー6「え……」
千歳「おかしいと思ったのよ。留提督が一方的に話を進めてるから、話が伝わってないのか確認したかったんだけど」
足柄「これで確信犯だってことが判明したわね。意図的にこっちが口を挟む暇も与えてくれなかったってことかしら」
クルー6「ちょっ、待ってください、艦娘が沈むと深海棲艦になるんすか……!?」
足柄「実際に見たことはないけど、そうだって言われてるの」
クルー6「それ、3さんも知らないすよ、多分……つか、その話、本当なんすか?」
クルー6「本当だったら留さんたちだって、そんな危ないことしようなんて考えないはずっすけど……!」
千歳「本当か、って言われると、それがわからないのよ。実際に誰かが見たわけじゃなくって、過去にそういうことがあったから、ってだけよね?」
足柄「確かに言われてみれば……この島に流れ着いた艦娘も、深海棲艦になったって話は聞いていないし……」
足柄「でも、この島だけの特例なんでしょ? 轟沈した艦娘を運用していい、って話自体が」
クルー6「マジすか……」
686 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/06(土) 22:33:15.85 ID:xRpQIcl0o
千歳「むしろそれ以外でも評判悪くて、みんなこの島に近寄らないって話だものね」
クルー6「え、なんすかそれ」
千歳「この島に立ち寄った人は、みんななにかしらの災難に遭ってる、って話よ」
クルー6「えええ……」
足柄「……実際、波大尉も、この島への上陸こそしなかったけど、あの後荒れまくったしねぇ……」
千歳「まあ、ひどかったわね。喧嘩別れになっちゃったのが本当に悲しいわ」
足柄「あれってさ、自分の幸福論を全否定されても仕方がない人と出会っちゃったのが致命的だったわよね、やっぱり」
千歳「だからって准尉を責めるのも筋違いだし、こればっかりはねえ……」
クルー6「もしかして……俺たち、すごい場所に放り込まれた感じっすか」
千歳「そうかもしれないわね。私たちもどうなることやらだけど」
* * *
* *
*
687 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/06(土) 22:34:00.45 ID:xRpQIcl0o
* 鹿島たちの部屋 *
ガンビアベイ「Zzz...」
山風「」スヤァ…
鹿島「……」
鹿島「……」
鹿島「……眠れない……!」
鹿島「仕方ない……わよね。いつもなら夜間演習で駆逐艦のみなさんを指導してる時間なのに……」ムクッ
鹿島「みんなは、どうしているのかな……」
鹿島「……」
鹿島「どうして遠大佐は私たちを連れてきたのかな……」
鹿島「こんなことを、している場合じゃないのに……」ウツムキ
鹿島「……」
鹿島「……?」
688 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/06(土) 22:34:45.60 ID:xRpQIcl0o
鹿島「窓の外に誰か……?」スクッ
スタスタ…
窓<ギィ…
鹿島「……」
鹿島「……」
鹿島「誰もいない……誰かの気配があったような気がしたんだけど」
鹿島「……」
扉<コン…コン…コン…
鹿島「……!?」
鹿島(弱々しいノックの音……!?)
扉の外からの声「た……す、けて……だれ、か……」
鹿島「こ、この声……テレビクルーの……」
声「クルー1……です……」
鹿島「ど、どうしたんですか!」
声「腹が……痛くて……!」
鹿島「……!」
689 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/06(土) 22:35:30.73 ID:xRpQIcl0o
声「みんな……酔っ払って……誰も、起きない、ん、です……!」
声「誰でもいいから……ここの、艦娘に……助けを……!」
鹿島(……どうしよう……二人が寝ているのに、扉を開けて留守にする訳にはいかないわ……)
ドサッ
鹿島「え……!?」
シーン…
鹿島「ど、どうしたんですか!? しっかりしてください!」
鹿島「1さん! 1さん!? ……仕方ない……行くしか、ありません!」
ガチャッ
部屋の前で倒れているクルー1「」
鹿島「1さん!? しっかりしてくださ……!」
クルー2「今だ!」ガシッ
留提督「よし、早く入れ!!」ダッ
鹿島「な……!」ガシッ
ドタドタドタ バタン
690 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/06(土) 22:36:30.95 ID:xRpQIcl0o
留提督「鍵かけろ! 急げ!」
クルー7「はいっ!」カチャッ
クルー4「……」
鹿島「……は、放しなさ……むぐっ!?」
留提督「静かにしててね、鹿島ちゃん……?」ニヤリ
クルー2「留さんの言う通りでしたね! 艤装外すと力が出なくなるって話!」
鹿島「……!」
留提督「ああ、昔の悪友に教えて貰ったんだよ。そいつはドジこいて捕まっちまったけどな」
クルー1「留さん、これで口塞ぎましょう、ついでにこれも……」タオルトロープトリダシ
留提督「おっ、準備いいなあ!」
クルー1「いやあ、留さんの着任が待ちきれなくて持って来ちゃいましたよ」ギリッ
クルー2「1さん縛るの好きだもんねえ」
留提督「そっかそっか、じゃあ僕が呉の鎮守府に着任したら好きな子選ばせてあげないとね〜」
鹿島「……!?」
691 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/06(土) 22:37:15.43 ID:xRpQIcl0o
クルー7「っていうか、1さん演技うまかったっすねえ」
留提督「ほんとほんと! びっくりだよ!」
クルー1「バラエティとかやってると、たまに俺たちに演技しろとか無茶ぶり来るんすよねえ」シュル ギチッ
留提督「ああ、駆り出されるときあるもんねえ」
クルー7「うほおおお……山風ちゃんの寝顔、たまんねえええ……」ジュルリ
クルー1「お前ら、留さんに感謝しろよ? わざわざお前らの好みの艦娘を連れてくるように、遠大佐にお願いしたんだからな?」
クルー2「マジありがとうございます!」
クルー7「ありがとうございます! いやー、先輩もお目が高いっすね!」
クルー4「い、いや、俺はそんなつもりじゃ……」
留提督「さあて、鹿島ちゃんもそろそろ脱ぎ脱ぎしましょうねえ〜」ニタニタ
鹿島「むぐ……!」ジロッ
クルー1「お前らも手早くやれよ?」
クルー7「うーっす!」
クルー2「ぐへへへ、マジもんの洋モノ金パツ巨乳だぁ……!」
692 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/06(土) 22:38:00.58 ID:xRpQIcl0o
山風「ん……え? な、なに……!?」キョロキョロ
ガンビアベイ「……!?!?」ビクッ
クルー7「なにって、これからナニしちゃうんだよぉ?」ノシカカリ
山風「……!? い、いやぁ……いやあああ……!!」ノシカカラレ
ガンビアベイ「No... 無理、無理です……!」
クルー2「何が無理なんだよ! どいつもこいつも、女どもはお高くとまりやがって……!」
クルー2「お前らはおとなしく股開いてイエスイエス言ってればいいんだよ!」バシッ
ガンビアベイ「!?」
鹿島「むぐー!(山風さん! ガンビアベイさん!!)」
留提督「ほらほら、あっちも始まったみたいだし、鹿島ちゃんもおとなしく……」
ブンッ!
クルー1「危ない!」ガシッ
鹿島「……!」
クルー1「こいつ、留さんに蹴りを入れようだなんて……」
693 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/06(土) 22:38:45.80 ID:xRpQIcl0o
留提督「ああ、いいよいいよ、こういうときは……」
ブンッ!
鹿島「っ!」バキッ
留提督「2、3発殴っときゃおとなしくなるよ」
ガッ! ゴスッ!
鹿島「ん、ぐ……っ!」アオアザ
クルー1「顔はまずくないですか?」
留提督「修復できるんでしょ? 大丈夫だよ」ニヤニヤ
鹿島(……どうして)
鹿島(どうして、こんなことに……遠大佐は、何を考えてるの……?)
鹿島(どうしてこんな男に、ここまで好き勝手させられるの……!? 悔しい……悔しい……ッ!!)
山風「いやぁ……くさいよぉ……! 酒臭い……煙草臭いぃ……!!」ジタバタ
ガンビアベイ「No... Help... Please heeelp us... !」
鹿島「……」ジワッ
694 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/06(土) 22:39:45.88 ID:xRpQIcl0o
クルー7「そんじゃあ、早速いただきますかねえ!」
クルー4「……」
クルー4(おい、止めろ! ロリが好きなのは罪じゃないが、手を出すのはアウトだろ! Yesロリータ、Noタッチだろ!)
クルー4(ここで止めなきゃどうなるかわかんねえぞ!? 艦娘が絶対服従とは限らないって聞いただろう!)
クルー4(それに、こんなことを黙って見過ごすことが人として本当に正しいことかよ!! 守らなきゃいけないだろう!?)
クルー4「あ……」
クルー4(馬鹿言うな、こんなおいしい場面、そうそうあったもんじゃないぞ? ここまで来てヘタレる気か?)
クルー4(それに、俺一人でこいつらをなんとかできると思ってるのか? 止めたところで袋叩きに遭って終わりだぞ?)
クルー4(下手すりゃ殺されるかもしれないし、余計なことを言えばこの後の仕事にだってどう影響するかわかんねえよ!)
クルー4「……う……」
クルー4(それで得られるものがなんだって言うんだ! 止めなきゃ後悔するぞ!)
クルー4「……ぐ……」
クルー4(いいから一緒にヤっちまえ! タマついてんだろうが! 欲望に素直になっちまえよ!)
クルー4「……っ……」
695 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/06(土) 22:40:32.03 ID:xRpQIcl0o
クルー2「どうした……?」
クルー4「……や……」
クルー1「?」
クルー4「やめろおおおおおおおおおおお!!!」
クルー7「!?」ビクッ
クルー4「……はー、はー……」ドクン…ドクン…
留提督「……あーあ。しらけるなあ」
クルー1「黙らせますか」
カチャンッ
留提督「……!」
クルー1「扉の鍵が……!?」
扉<ガチャ
全員「「!?」」
提督「……よぉ」
696 :
◆EyREdFoqVQ
[saga]:2021/11/06(土) 22:41:20.39 ID:xRpQIcl0o
今回はここまで。
697 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/11/07(日) 00:25:52.42 ID:7sIp7N0H0
流石4 同志の鑑
698 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/11/07(日) 02:44:52.87 ID:NAN1t8IG0
4のやつ、やるやん。やっぱりロリコンは紳士だった!ロリコンに下衆はいねぇ!もしいたならそいつはロリコンじゃない…ただの変態だ!
699 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/11/07(日) 06:05:11.69 ID:tCq6ccfP0
乙
今回の無礼者一行には最大限に酷い目に遭って欲しい
700 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/11/07(日) 18:38:37.82 ID:4ucaHv6q0
南無阿弥陀仏
701 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/11/07(日) 23:50:19.33 ID:8zudNUCKo
裁きの時間だ
702 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/11/08(月) 01:21:28.97 ID:XU1RLXLN0
いざ、南無三っ
703 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/11/09(火) 12:05:36.50 ID:V+W2a8xQ0
次はまだか?
704 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/11/09(火) 20:31:01.19 ID:9dmay0EU0
まんまとハマってくれましたねぇww
気になるのは4と6を提督がどうするかだよなぁ
毎度投稿を切る場所が丁度いい
705 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/11/10(水) 14:00:49.63 ID:Cem6l4RZO
阿部定の刑
706 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/11/19(金) 08:16:43.34 ID:T1WrqLRcO
レイプ未遂現場を実名付きでビデオに撮って脅すが妥当かな
707 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/20(土) 02:53:48.20 ID:zSOq3Kobo
正直、この辺りの悪役の台詞回しを考えるのはかなり苦痛です。
どうしても陳腐な台詞しか出てこないし、表現を過激にするわけにも行かず……。
というわけでちょっと時間がかかりましたが、続きです。
708 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/20(土) 02:54:32.51 ID:zSOq3Kobo
提督「邪魔すんぞ」ズカズカ
留提督「ちょっと、勝手に入ってこないでくださいよ」
提督「……」ミギミテ
提督「……」ヒダリミテ
提督「はぁ……気分が悪いな。吐きそうだ」
クルー7「だったら出ていきゃいいのに……邪魔しやがって」ボソ
提督「……」ジトッ
クルー2「おい4、おまえ、准尉が来るの知ってたのか?」
クルー4「い、いや、そんなつもりは」
クルー2「すっとぼけてんじゃねえぞ! 最初からグルだったんだろ!? こいつに尻尾振って、見逃してもらおうって考えてたんだろ!!」
クルー1「おい、そうなのか?」
留提督「准尉、うちのクルーを懐柔したというのは、本当ですか?」
提督「……」
クルー2「おい、無視してんじゃねえ!」
提督「……」スタスタ
709 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/20(土) 02:55:18.02 ID:zSOq3Kobo
鹿島「……!」
提督「殴られたのか?」カシマニチカヨリ
留提督「ちょっと、勝手にうちの鹿島に触らないでくださいよ!」ウデツカミ
提督「……」グイ
留提督「ちょっ……ば、馬鹿力……っ!?」ヒッパラレ
提督「口を塞いでるタオルを外すぞ。痛かったら悪いな」シュル…
鹿島「……!」
留提督「おい! 俺の艦娘に、勝手な真似をするなって言ってんだろ!」
留提督「だいたい、勝手に鍵を開けて入ってくるのが非常識だろぉ!? プライベートの時間だってのがわからないのか? ねぇ?」ズイ
提督「……息がくせえ」ボソッ
留提督「……っ!」
バキッ!
提督「……」
鹿島「ぷは……准尉さん!!」
提督「ふん……」
710 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/20(土) 02:56:20.21 ID:zSOq3Kobo
留提督「生意気な態度もそこまでにしておけよ? 俺は日本に戻ったら大佐になるんだ」
鹿島「!?」
留提督「遠大佐は、日本に帰ったら俺に大佐としての全権を譲ってくれると約束してくれた」
留提督「呉の大将にも、俺の父さんを通してその話をしてある」
鹿島「そ、そんな権限、許されるわけありません!」
クルー1「ところが留さんの御父様にはあるんだよ……!」ニヤリ
クルー1「留さんの祖父はもと日本海軍の関係者、そして御父様もその流れで今の呉の大将とは大親友であると同時に、世界的な映画俳優でね」
クルー1「過去には災害のあった地域に、そして今回は深海棲艦の被害を受けた地域や、海軍に対して多額の寄付をしているんだ」
クルー1「いわば、留さんの御父様は海軍のスポンサーなんだ」
鹿島「だからって……!」
クルー1「留さんの御父様のお力添えがあって、今回の取材や、留さんの海軍への着任の件も含めて、お世話になれているんだ」
留提督「そういうこと。今回の企画でも、絶海の孤島に大破して漂流した艦娘が閉じ込められていることを大々的に放送する予定なんだ」
留提督「態度を改めれば、お前も協力者としてテレビに出してやろうと思ったけど、全然そんな感じじゃないしね?」
提督「……」
711 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/20(土) 02:57:32.26 ID:zSOq3Kobo
留提督「そういうわけなんで。明日になったら、この島から、出てってもらいますよ」ニィ
留提督「文句を言ってもいいけれど、大佐の権限で、あなたを牢屋に入れてやることもできるんですよぉ?」
留提督「わかってますか? じゅ、ん、い?」
提督「……」チラッ
山風「……!」
ガンビアベイ「……!」
提督「おい、鹿島」
鹿島「! は……はい!」
提督「お前はどうする? これからどうしたい?」
留提督「おい、何を……」
提督「俺は艦娘と話をしに来たんだ。お前じゃねえ」ギロリ
留提督「っ……!」ビクッ
鹿島「……私たちと、話を……?」
提督「そうだ。この島に来た艦娘にはな、俺はよくこう聞いてんだよ」
提督「死にたいか、生きたいか……ってな」
全員「「……!?」」
712 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/20(土) 02:58:17.52 ID:zSOq3Kobo
クルー4「し、死にたいって……」
提督「それがいなくもねえんだ。世を儚んで生きる希望もなく、ただ世界を恨んで、目に入るものすべてをぶち壊してからら死にたいってだけのやつがよ」
提督「でだ、鹿島。お前はどうする」
鹿島「……」
提督「死にたいって言うのなら見捨ててやる。どこへなりとも失せやがれ」
提督「生きたいって言うのなら手伝ってやるよ。お前に望みがあるのなら、俺のできる範囲で手を貸そうじゃねえか」
鹿島「……」
提督「俺は、お前が言葉に出さない限りは手を貸さねえ。テレパシーなんか使えねえからな」
留提督「おい、いい加減に……」
鹿島「准尉さん!!」
留提督「!」
鹿島「私は、死ぬ気はありません……ですが、こんな人たちの下で働く気もありません!」
鹿島「お願いです! 山風さんとガンビアベイを助けてください! 私はどうなってもかまいませんから!!」
留提督「……おい」
鹿島「こんな人たちに、国防を……この世界の守護を、任せるわけにはいきません!!」
713 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/20(土) 02:59:02.13 ID:zSOq3Kobo
留提督「な、何を言ってんだ! 俺はお前たちの上官だぞ!? それを……」
鹿島「何が上官ですか! 泣いて嫌がる相手を嘲笑うような、情けない下衆を迎え入れるなんて、恥以外の何者でもありませんっ!!」
留提督「……」
提督「わかった。さて、山風とガンビアベイだったな? お前らはどうだ?」
ガンビアベイ「ワ、私も、鹿島さんと、同意見です! こんな人たち、無理です! 無理ー!!」
ガンビアベイ「だから早く……Please help us, hurryyy !!」
山風「私も……同じ、だけど……」
提督「だけど?」
山風「か、鹿島さんも、助けてぇ……!」
提督「ふふ……ああ。わかった」ニヤリ
クルー1「……」ジャキッ
鹿島「准尉さん! 後ろ!!」
ガッ!
714 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/20(土) 02:59:48.20 ID:zSOq3Kobo
クルー1「……!」
(提督の背後から振り下ろそうとしたクルー1の警棒を持つ腕を、不知火が受け止めている)
不知火「……司令」
提督「んー?」
不知火「少し油断しすぎではありませんか?」ウデヒネリ
クルー1「あ、あだだだだだ!?」グリッ
提督「そんなことねえさ、無防備を装ってるだけだ。これでも、お前らを信頼してんだぜ?」ニヤ
提督「だからこの場は任せる」
提督「やれ」
不知火「了解しました。出番ですよ」スッ
ババッ
クルー7「ぐえっ!?」ドガッ!
白露「よくも山風をいじめてくれたねえ……!」クミフセ
山風「し、白露、お姉ちゃん……!」
クルー2「ぐるじ……たす、け……」チョークスリーパー
黒潮「助けて? どの口が言うんよ……っ!」ギチッ
クルー2「あが……!」
715 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/20(土) 03:00:32.00 ID:zSOq3Kobo
摩耶「おらっ! てめーも来やがれ!」
クルー4「ひぃい!?」エリクビツカマレ
山風「あ! あの……その人は、違うから……優しく、してあげて……!」
摩耶「ん? そ、そうなのか? あー……その、悪かったな」ポンポン
クルー4「げ、げほ……いや、いいんだ。俺も……悪い人間だ」
提督「とりあえず、現行犯、だな?」
不知火「はい」
留提督「……おい、なにやってんだよ」
提督「ん?」
留提督「お前! 俺たちに歯向かってんじゃねえよ! 俺は大佐になるんだぞ! お前の上にも、もう報告してんだぞ!」
留提督「俺たちに手を上げればどうなるか、わかってんのか!? テレビにだって放送されるんだぞ!!」
提督「……で?」
留提督「!? そ、そうじゃねえだろ! お前の、お前の立場は……おまえ、なんか……!」
提督「……」ジッ
留提督「……っ」タジッ
提督「……」ジーッ
留提督「よ……寄るな!」ダッ
白露「あ、逃げた」
黒潮「寄るな、て、司令はんは見てただけやん」
摩耶「なっさけねえな……」ハァ…
716 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/20(土) 03:01:17.37 ID:zSOq3Kobo
留提督(また外に逃げれば……!)
扉<バンッ!
三隈「あら、お待ちしておりましたわ」
ズラッ…(廊下に居並ぶ巡洋艦娘たち)
留提督「……」
最上「で、どうしよっか? この部屋から逃げる人がいたら、好きにしていいって言われてたけど」
三隈「ねえ最上さん、私、この人を撃ってもいいかしら?」
五十鈴「三隈さん、また男の人の大事なところを撃つつもり?」
利根「気持ちはわかるが、それはさすがに……」
最上「いいんじゃないかな」
五十鈴「いいの!?」
由良「提督さんなら許してくれそうよね、ねっ」
神通「実弾はさすがに死んでしまいますから、演習用の弾を一人一発まででお願いしますね」
五十鈴「あれ、人間が受けても大丈夫なの?」
利根「う、うむ……当たり所に依る……いや、どこに当たっても骨折しそうじゃな」
留提督「……」ガクゼン
扉<パタン
最上「あ、逃げた」
由良「残念」ムー
717 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/20(土) 03:02:17.95 ID:zSOq3Kobo
不知火「おや。部屋に戻ってきましたね。怖じ気づきましたか」
クルー1「留さん……!」
黒潮「大人しく『ごめんなさい』すればええのになあ?」ギチッ
クルー2「……っ」ピクピク
ガンビアベイ「そ、それで許してあげるんですか……」
白露「ううん! 絶対許さないよ!」ギリッ
クルー7「ぎゃああああ!」
摩耶「……なあ提督? わざと捕まえねーで泳がせてんだろ? 性格くそ悪いな、おまえ」ヒソヒソ
提督「まあな」ニヤ
留提督「……くそ」
留提督「くそおおおお!!」ダッ
窓<バンッ!
ダダッ
白露「で、今度は窓から逃げちゃった、と」
山風「お、追わなくて、いいの……?」
提督「ああ。そっちもそっちで罠はってるからな。それはそれとして……」
718 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/20(土) 03:03:17.44 ID:zSOq3Kobo
提督「鹿島、山風、ガンビアベイの3人には、申し訳ないことをした」ペコリ
鹿島「じ、准尉さん!?」
ガンビアベイ「な、なんであなたが謝るんですか!?」
提督「俺がこいつらの暴走を煽って、この状況を作ったからだ」
鹿島「……!」
クルー1「……俺たちを、はめたのか!?」
提督「ここまではまると思わなかったがな。決定的な不始末を引き起こすよう、酒を用意して気を大きくさせ……」
提督「俺の艦隊は哨戒に出たと嘘の情報を流し、かつ鎮守府内をわざと無人にして、こいつらが動きやすい環境を作ったのは事実」
鹿島「……」
提督「そうして馬脚を現したところを、一網打尽にするつもりだった。お前たちを囮にして、な」
ガンビアベイ「Oh...」
提督「だからこそ俺はお前たちに謝らなければいけないし、鹿島の顔の怪我は、俺の落ち度としか言いようがない」
鹿島「!」ハッ
提督「……許す許さないは別にして、治療はさせてもらいたい」
摩耶「許さなくてもいいってことか? おまえ、それでいいのかよ」
提督「ああ、恨まれて当然のことをしたからな」
鹿島「……」
719 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/20(土) 03:04:02.69 ID:zSOq3Kobo
ドォン!(窓の外から響いてくる砲撃音)
山風「きゃあ!?」ビクゥ
ガンビアベイ「What !?」
鹿島「な、何の音ですか!?」
提督「始まったか」
鹿島「い、いったい何を」
ドォン!
山風「ひっ!?」
ドォンドォン!
ガンビアベイ「……」
ドドドドォオン!
摩耶「……この音、空砲だよな?」
白露「うん、爆発音ではあるけど、打撃音じゃないよね」
鹿島「……」
山城「ふふ、ふふふふ……」ヌゥッ(山城が笑いながら窓の外から部屋をのぞき込む)
山風「!?」ビクッ
720 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/20(土) 03:04:47.32 ID:zSOq3Kobo
山城「ああ……不幸だわ」ニィッ
山城「窓から逃げ出すなんて有り得ないでしょ、って言ったのに、まさか本当に窓から逃げ出そうとするなんて」
山城「おかげでこんな夜中に窓の外で張り込みよ? 何が悲しくて夜更けにこんなところで待ってなきゃいけないのと思ってたんだけど」
提督「でも、正解だったよな?」
山城「ええ、ええ……その通りよ。なんて不幸なのかしら」ニマァァ
山城「おかげで、一緒に張り込んでいた大和型と金剛型、そして扶桑お姉様と一緒にあの男を取り囲んで、私の号令で一斉砲撃したんだもの」
山城「なんで空砲なのかしら、実弾だったらこれ以上なく気分爽快だったのに。あぁ、不幸だわぁぁ」ポヤァァ
摩耶(くそ幸せそうじゃねーか……)
黒潮(恍惚の表情て、こういう顔を言うんやろなあ)
提督「で、首尾はどうだった」
山城「見てもらった方が早いわよ」ユビサシ
留提督「」ピクピク
提督「泡吹いてぶっ倒れてやがるな」
霧島「空砲ではありますが、撃ったときに砲口から勢いよく熱風が出ますので、その衝撃も影響したのでしょう」
比叡「普通に反動もすごいもんね!」
721 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/20(土) 03:05:33.04 ID:zSOq3Kobo
武蔵「それに、大和と榛名の迫力がすさまじかったからな……鬼気迫るものがあったというか」
金剛「我が妹ながら、ドン引きデース……」
扶桑「そうねえ。でも、その不安の元凶もああなったことだし……」ニコニコ
榛名「敵の首魁を打ち取りました!」ハイタッチ
大和「これで安心ね!」ハイタッチ
提督「……ま、そうだな」
クルー1「……留さん……」
提督「さてと、とりあえずこいつらは牢屋にぶち込んどくか。武蔵、留提督の運搬は頼んでいいか?」
武蔵「ああ、任せろ」
提督「摩耶、こっちの連中も手分けして連行してくれ。神通は牢屋への道案内頼む」
神通「承知しました」
クルー1「……あんた」
提督「ん?」
クルー1「ただで済むと思うなよ……!」
提督「……ふーん」
最上「負け惜しみかな?」
クルー1「!?」ギッ!
722 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/20(土) 03:06:17.04 ID:zSOq3Kobo
三隈「もがみん!」シーッ!
利根「最上は素直に思ったことを口に出し過ぎじゃぞ……」アタマオサエ
五十鈴「ほら、そっちの二人も連れて行くわよ」
クルー2「」グッタリ
クルー7「」グッタリ
由良「って、ちょっとやりすぎじゃない?」タラリ
提督「そりゃしょうがねえよ、白露は姉妹艦やられそうになったし、黒潮は昔の怒りを思い出してるし」
提督「こいつらに腹を立ててたのも俺は理解できる。二人が溜飲下げるくらいには痛めつけてもバチは当たらなねえよ。なあ?」
黒潮「せやせや」ウンウン
提督「それに場面が場面だから駆逐艦は連れて行かないつもりだったが、この二人はたっての希望だったしな」
白露「五月雨と島風が大人しく留守番してくれてて良かったよー」
五十鈴「とにかくこいつらも持っていきましょ。担架を持ってくれば良かったかしら」
白露「こんなふうに担いでいくと楽だよ。こうやって、ブロックバスターみたいに横から入って……」
三隈「ブロック……?」
白露「プロレス技だよ。知らない?」
由良「知らないわ……」
723 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/20(土) 03:07:02.38 ID:zSOq3Kobo
白露「こういうふうに担ぎ上げて、後ろへ倒れ込む技がブロックバスターだよ。で、こういう担ぎ方をファイアーマンズキャリーって言うんだけど」
摩耶「良く知ってんなあ……」
白露「担ぐ相手のお腹側と背中側を逆にすると、アルゼンチンバックブリーカーとか、タワーブリッジとかになるよね!」
神通「そ、それはいいですから、とにかく連れて行きましょう? 案内しますから」
白露「はーい!」
摩耶「あ、そうだ、こいつはどうすんだ?」
クルー4「……」
提督「……おい、山風。お前、こいつはどうする? 牢屋に入れるか?」
山風「え……っと……」チラッ
山風「……そこまで、しなくていいと、思う」
提督「そうか。じゃあ、あんたは部屋に戻って大人しく寝ててくれ。俺の気が変わらないうちにな」
クルー4「わ、わかった……」
クルー4「それから、その……本当に、申し訳なかった。嫌な思いをさせてしまって……すまなかった」ペコリ
山風「……」コク
提督「よし、不知火と利根は執務室へ行って大淀に報告してくれ。あと他の連中は……」
クルー6「なんか、騒がしいっすね」スタスタ
足柄「准尉? なにかあったの?」スタスタ
724 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/20(土) 03:07:49.68 ID:zSOq3Kobo
提督「ああ、なにかあったぜ。お前らこそどうしたんだ?」
足柄「さっきまで彼と飲んでて、お開きにしたところよ」
クルー6「すいません、いろいろ愚痴を聞いてもらってました」
足柄「そんなのお互い様よ!」バシバシ
クルー6「いてて!?」
提督「ふーん。そっちは平和そうだな」
足柄「で、何があったのよ」
提督「ああ、いろいろあってな……ちょっと面倒臭えことが……」
クルー4「……准尉さん。それなら、俺が説明しますよ。なにがあったか、ちゃんとお話しします」
クルー6「?」
* *
クルー6「……マジっすか……はぁ……マジっすか」
足柄「なんで二回も言うのよ」
クルー6「そんくらいショックだったってことっすよ。はぁ……犯罪じゃないっすか、こんなの」
クルー6「4さんはあれっすか。土壇場で理性が帰ってきたって感じすか」
クルー4「……まあ、な。関わったら社会的に死んでただろうし、当然と言えば当然なんだが、勇気出して良かったよ……」
725 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/20(土) 03:08:32.39 ID:zSOq3Kobo
クルー4「はあぁ、これで俺もめでたくクビか……次の仕事、どうすっかな」
足柄「勇気……って、どうせこうなるなら、この部屋に入る前に嫌だって言えば良かったじゃない」
クルー6「同調圧力ってやつっすよ。言えばどうなるか、わかってるよな? みたいな空気感、あるじゃないっすか」
提督「こいつの肩を持つわけじゃねえが、こんなもん持ち歩いてるような奴が上にいたんじゃ、大怪我してた可能性もあったな」スッ
足柄「なにそれ、警棒?」
提督「だな。下手に歯向かってたらこいつで殴られて、下手すりゃ殺されてたかも、だな」
クルー4「……」
提督「ともかく、こいつも証拠品として押収、明日にでもやって来た特警にでも押し付けるさ」
足柄「ここまで準備してたってことは、最初からこういうことを想定してたのかしら」
提督「いや、わかんねえぞ。こんなもん持ち歩いてるところを見ると、日常的に暴力的な奴だったんじゃねえの?」
クルー6「まあ、ちょっとパワハラ気味なところもあったっすけど……」
クルー4「かもしれないな。俺たちみたいに長く一緒にいると麻痺してきて、まあこの人だししょうがない、って思うようになっちまうし」
クルー4「今回の事件も、そういう感覚がまずかったんだろう。酒が入って気が大きくなって、なんとかなるの感覚で暴走して」
クルー4「……言いたくないですけど、甘く見てた……高をくくってたんでしょうね。留さんがいるから、たいしたことにはならないと」
726 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/20(土) 03:09:17.70 ID:zSOq3Kobo
提督「そりゃあ、留提督の父親がいるからか?」
クルー4「ええ。1さんが言ってましたが、この企画も留さんのお父さんが呉の大将さんと仲良しだから通ったって話ですし……」
クルー4「留さんのお父さんが、留さんの起こしたいろんな不祥事を揉み消してるって噂もちらほらありますので」
提督「なるほどねえ……今後はその黒幕がどう出るか、か。面倒臭えな」フー
足柄「面倒って……」
提督「あとは遠大佐が何を考えてるか、だな。なんでこんな奴に大佐の役職を譲る気でいるんだ? そこがわからねえ」
足柄「えええ!? ゆ、譲るって、そんなことできるの!?」
提督「それこそ、留の父親のコネか何かで捻じ込むつもりだったんだろ。実際にできるかどうかは別としてな」
提督「けど、大佐の椅子を遠大佐が譲る気でいるのは事実っぽいからな。そこが俺は一番気になってんだ。何かメリットあんのか?」
足柄「あるわけないわよ、失職でしょ? ……でも、その気でいるのよね?」
提督「そうなんだよなあ……」
727 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/20(土) 03:10:02.22 ID:zSOq3Kobo
クルー4「ところでお前、5さんと一緒じゃなかったのか?」
クルー6「いえ、俺に一人で行けみたいな感じで、一人でどっか行っちゃったんですよ。野暮用とか言って」
クルー4「野暮用? こんな夜中にか?」
クルー6「そうっす。3さんも戻ってきてないんすか?」
クルー4「ああ……」
提督「2人が行方知れず、か」
クルー6「3さんは風に当たってくるって言ってたんで、埠頭に行ったはずなんすけど」
提督「その埠頭にさっき川内が行ったんだが、誰もいねえって話だったぞ」
クルー6「そ、そうなんすか」
提督「やれやれ。随分好き勝手に動いてくれたもんだ。捜索は明日の朝から始めるぞ、今夜はもう消灯だ」
足柄「そういえば遠大佐たちはどうしたの?」
提督「寝てるってよ。ぐっすりだそうだ」
足柄「ええええ……?」
728 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/20(土) 03:10:47.08 ID:zSOq3Kobo
* 一方そのころ *
* 墓場島 北東の砂浜〜伊8が作った露天風呂へ通じる道への入り口 *
ザザーーン…!
(鼻歌を歌いながら、砂浜へ歩いてくるクルー5)
クルー5「うまく撮れてっかなあ。撮れてっといいなあ、ひひっ」
ザザーーン…!
クルー5「それにしても今日は波が高えな。艦娘が海に出てるせいか?」
クルー3「……おい」
クルー5「うお!? な、なんだお前かよ……焦らせんなよ」サッ
クルー3「おい、今お前が隠したカメラ、長時間撮影できる定点カメラだったよな?」
クルー5「……」
クルー3「こっちに何があるんだ? お前、ここで何を撮ってたんだ?」
クルー5「……」
クルー3「お前、以前厳重注意を受けたよな? 俺は覚えてるぞ。私物のカメラを撮影現場に持ち込んで、更衣室に仕込んで隠し撮り……」
クルー5「お前なあ!」
クルー3「!」
729 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/20(土) 03:11:37.93 ID:zSOq3Kobo
クルー5「昔っからごちゃごちゃうるさいんだよ! 俺のやることにいちいち口を出すな!」
クルー3「な……ふざけんな! お前がくっだらねー真似ばっかりしてるからだろうが!」
クルー5「くだらねーと思うんなら放っとけよ! 神経質すぎんだよお前は! この前だって屋上でタバコ吸ってたのチクりやがって!」
クルー3「お前が無神経すぎるんだよ! タバコくらい喫煙室で吸えよ!」
クルー5「ちょっとくらいいいだろうが! 灰皿持ってったんだぞ!? くそったれ!」
クルー3「おい、どこへ行く! 話は終わってないぞ! だいたいそのカメラ……」
クルー5「お前には関係ねえだろ!」
クルー3「俺はわかってるんだぞ! お前、この先に温泉があるのを地図で確認してたよな! そこに置いて盗撮してたんだろ!」
クルー5「チッ……あーはいはいそーですよ! そう答えりゃ満足か!?」
クルー3「ふざけんなよ! そんなもので小遣いを稼ごうだなんて、見下げ果てた奴だ!」
クルー5「あぁ!? 金目当てじゃねえよ! 俺が個人で楽しむだけだ、売ったら足が付くだろうが!」
クルー3「信じられるかそんなこと!」
クルー5「俺はこれまで撮った画(え)を売ったことなんかねえよ! 勝手に決めつけんじゃねえ!」
クルー3「そんな言い訳、通じると思うか!!」
クルー5「俺はこれでもわきまえてんだよ。撮られたことが誰にも知られず、俺以外の誰にも見られないなら、迷惑にはならねえだろうが!」
クルー3「……お前……!」
730 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/20(土) 03:12:32.10 ID:zSOq3Kobo
クルー5「それに、誰かに公開しなくても撮影しただけでNGだって言うんなら、お前だって同じだろうが!」
クルー3「誰が同じだ!? 一緒にするな!」
クルー5「同じだろ! ここの提督は撮影禁止って言ってたんだろ! なのにカメラ持ち込もうとした留さんたちを止めなかったのはなんでだよ!」
クルー3「それは、もしここの提督が悪人だったら、証拠を掴むためにカメラは必要だろう! 必要悪だ!」
クルー5「自分に都合よく解釈してんじゃねーよ! 結局お前の屁理屈でどうとでもなるんだろ!?」
クルー3「違う! 悪人が定めた法律なら、守らなくて当然だろう!」
クルー5「はぁ!? お前が法律なのかよ! お前が良いって言うなら何やってもいいのかよ! 偉そうなこと言ってんじゃねーぞ!」
クルー5「で、結局ここの提督は悪人だったのか? もしそうじゃなかったら、お前のやったことも無断撮影で悪だよなあ!?」
クルー3「そ、そうなったら真摯にお詫びすればいいだろう!?」
クルー5「お詫びぃ? 謝ればいいってか? そんな軽いもんで済ませんのか!」
クルー5「無実を言い張ってた相手を勝手に犯人と同等に扱って、何もなかったらごめんなさいで済ますってか! 立派だなあおい!」
クルー3「お前……!」
クルー5「お前がこの島の取材の志願したのって、この鎮守府に閉じ込められて迫害されてる艦娘を保護するつもりで来たんだろ?」
クルー5「それが、ここの艦娘も困ってる様子がなくて、提督准尉を糾弾する当てが外れて……」
クルー5「振り上げたこぶしを下す場所がなくなって、それでさっき風に当たるとか言い出したんだろ?」
クルー3「……」
731 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/20(土) 03:13:17.68 ID:zSOq3Kobo
クルー5「どうせこんな島に来たって、得られるもんは何もねーんだ。轟沈した艦娘はワケあって海軍に復帰できねーって話らしいし」
クルー3「は!? な、なんでお前、そんなこと知ってるんだ……!?」
クルー5「お前も集めた情報を鵜呑みにするんじゃなくて、裏を取れって言われなかったのかよ? 今時取らねえか、そういうの時間かかるしなあ」
クルー3「そ、そうじゃない! なんでそれを知ってて、なんでこの島に……なんで留さんたちを止めなかったんだ!?」
クルー5「言って聞く人じゃねーよ、あの人は。言うだけ無駄無駄」
クルー5「1さんだって留さんの腰巾着だし、下手なこと言って機嫌損ねたらどうなるかわかんねえって、お前も知ってるだろう?」
クルー3「だからって、そんな重要なことをなんで黙ってんだよ……」ヨロッ
クルー5「お前みたいに逐一報告してたら、あの人たちがなんて言うか想像つくだろ?」
クルー5「俺たちの邪魔をするな、って突っぱねられて終わりさ。最悪、次から仕事に呼ばれないなんてこともあり得る」
クルー3「っ……!」
クルー5「俺が、お前がこの島に来るのをさり気なく反対してたのもそういうことだよ!」
クルー5「お前が自分の正しさを証明したくてこの島に乗り込んだとしても、どうせ無駄骨だったんだからなあ!」
クルー3「……じゃあ」
クルー3「じゃあお前は、なんのためにこの島に来たんだよ!」
クルー5「そりゃあ仕事のためだ。ディレクターと主演男優がお仕事に来たんだ、付き従ってカメラを回すだけさ」
クルー5「失敗するのがわかっていても、言う通りにして迂闊な進言もしない。ちょっと気を回して、やる気を出すフォローをしてやりゃあいい」
732 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/20(土) 03:14:17.43 ID:zSOq3Kobo
クルー5「考え方を変えろよ。今回の仕事はな、失敗したのを放送するのが仕事なんだ」
クルー3「……」
クルー5「艦娘の運用には複雑な事情があって、留提督たちにその試練は乗り越えられなかった、ってさ」
クルー5「トライして結果NGだった企画だってこれまでたくさんあったろ? それでいいんだよ、必ずしも予定調和にならなくていいんだ」
クルー5「その上で、協力的な態度を示せば、失敗も次の糧になるってもんだ。お前みたいに、身勝手で場違いな思惑を現場に持ち込むなよ」
クルー3「お、お前がそれを言うか……お前が、それを言うのか!?」ガシッ
クルー5「うおっ」エリクビツカマレ
クルー3「ディレクターやアイドルに従っていれば、何をしてもいいってのか!? お前がやってることは犯罪だろう!?」
クルー5「だからいちいちうるせえよ! 俺なんか可愛いもんだ、あっちじゃもっと派手なことやってんだからな!」
クルー3「……どういう意味だ」
クルー5「そんなもん言わなくたってわかってんだろ。艦娘のひとりやふたり、手を付けたって代わりなんて大勢いるだろ」
クルー3「……は? お前は……知ってたのか」
クルー5「今更イイ子ちゃんぶるなよ、童貞じゃねーんだからお前だって気付いてたろ? それか、見ないふりでもしてたか?」
クルー5「ま、どうせヤれても2番手か3番手だし、それよりも俺はこっちの方がいいしな……ひひっ」
クルー3「……」ボーゼン
ザパーン…!
クルー5「おらっ、いい加減、手を放せよ!」バッ
クルー3「……」
733 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/20(土) 03:15:17.51 ID:zSOq3Kobo
クルー5「ったく……あの人たち、まだヤってんのかな。しゃーねえ、乱交に混ざりたくもねーし、もう少し時間潰して疲れたってことにして寝るか」
ガッ!
クルー5「ぐあっ!?」ヨロヨロッ
クルー3「……幻滅したよ。許せねえ」
クルー5「お、お前、なにしやがる……」
クルー3「艦娘ってのは、俺たちのために戦ってるんだぞ!?」
クルー5「そ、そうかもしれねえけど……」
バキッ!
クルー5「がっ!」ドサッ
クルー3「かもしれねえじゃねえよ! そうなんだよ! 今、俺たちがこうやって海を行き来できるのも、艦娘がいるからだぞ!」
クルー3「それを! かもしれない、だと!? ふざけんな!」バキッ
クルー5「ぐえ……っ」ドシャッ
クルー3「挙句の果てに風呂場の盗撮まで……俺がこの島に来るのを反対したのは、それがしやすくなるからって言うのが一番の理由じゃないのか!」
クルー5「く……ほんっとうに、うるせえな! こんな電気も電波も通ってねえような島に、誰が好きで来るんだ!?」
クルー5「ロケに来るのに、娯楽が何もねえとか、やってられっかよ! くそ、なんで俺だけ、お前なんかに殴られなきゃなんねーんだ……」
734 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/20(土) 03:16:02.12 ID:zSOq3Kobo
クルー3「……こんなもの……」
クルー5「はっ! お、おい、カメラはよせ!」
クルー3「こんなものがあるから……!」
クルー5「よせって言ってんだろ!!」ドガッ
クルー3「!」ズシャア
クルー5「くそ……仮にも会社の備品なんだぞ。壊したら弁償しなきゃなんねーだろ、ちくしょう……」
クルー3「会社の備品だって……? お前、そんなことのために持ち出したのか……!」ジリッ
クルー5「く……つ、付き合ってられるか!」ダッ
クルー3「逃げるな!!」ダッ
ザッザッザッザッ…
クルー3「はあ、はあ……待て!」
クルー5「く、くそ……砂が水吸ってて重てえし、月が雲に隠れて暗いわで走りづれえ……」
ガッ
クルー5「うわあ!?」ズデーン
735 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/20(土) 03:17:02.48 ID:zSOq3Kobo
クルー5「ああくそっ、何に躓いたんだ……」
クルー3「や、やっと追いつい……な、なんだ? これは……」
(ゆっくりと月を覆っていた雲が薄れて砂浜を少しずつ照らしていく)
(二人の足元が見えるようになって現れたのは、砂浜に打ち上げられた艦娘の死体)
クルー5「ひ……!?」ズザザッ
クルー3「う、うわあああ!?」
クルー5「な、なんだこれ……艦娘か? 艦娘が死んでんのか!?」
クルー3「嘘だろ……お、おい、大丈夫か……?」
クルー5「ば、馬鹿! 頭吹っ飛んでんだぞ……それで生きてたら化け物だ……!」
クルー3「だ、だが……艦娘ってのは不死身なんだろ?」
クルー5「知るかよ! 現にこうやって死んでんじゃねえか!」
クルー3「け、けど、工廠に連れて行けばどんな怪我も治って、蘇るって……」
クルー5「そ、そんなわけあるか! 艦娘は死んだら深海棲艦になるって俺は聞いたんだからな!?」
クルー3「は!? じゃ、じゃあ、なんでこいつは深海棲艦になってないんだよ!」
クルー5「だから知るかって言ってんだろ!」
736 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/20(土) 03:18:17.24 ID:zSOq3Kobo
クルー3「もしかして、まだ間に合うんじゃ……おい、この艦娘を鎮守府に……工廠に連れて行くぞ! 手伝え!」ガシッ
クルー5「何言ってんだお前!? 嫌に決まってんだろ! 放せよ!」
ザザーッ
クルー3「!」
ザバーン!
クルー5「うわっぷ!?」バシャーン
クルー3「な、なんだ今の高い波は……!」ビッショリ
クルー5「……おい、よく見ろ。もしかして、こいつら、流れ着いてきたのか……?」
クルー3「こいつら? こいつらって……あ、あああ……」
クルー5「3……いや、4体いるか? こいつら全部、この浜に……今みたいな強い波で、押し流されて……」
クルー3「と、とにかく、誰かにこれを知らせないと……へきしっ」
ザザァ…
クルー5「な、なあ、海の上に誰かいるぞ」
クルー3「艦娘か? おーい!」
??「……!」
クルー3「気付いたみたいだな、助かった……あれは長門か?」
クルー5「……いや……」
??「……」ザザァ…
クルー3「ん? あれ……?」
クルー5「あ……あれは……」ガタガタ
??→ル級「……」
737 :
◆EyREdFoqVQ
[saga]:2021/11/20(土) 03:19:37.32 ID:zSOq3Kobo
今回ハ、ココマデ。
738 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/11/20(土) 10:45:27.18 ID:4ASkvtmc0
妹のために静かにブチギレる白露お姉ちゃん好き過ぎる
乙
739 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 11:00:18.73 ID:j4bX3jwW0
5…逝ったな
740 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/11/21(日) 03:41:31.82 ID:9R3zz0qR0
3と5の会話パートすげーな。
>>1
の文章力が溢れ出してるわ。
ル級さん、タイミング悪すぎですよ…さて、5はどうあがいても牢屋だとして、ちゃんと艦娘に対する敬意があって、善悪を自分なりにわかってる3が墓場島の全貌を目の当たりにした時の反応が気になるな。
741 :
一般の艦これ好き
:2021/11/21(日) 22:00:26.86 ID:3h7LDheI0
もうね、この人が神でいいと思うの。
話の構成、抑揚、口調、全部好き
742 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/11/24(水) 08:29:26.33 ID:7YZUb8Y70
ル級先輩が来た!これで勝つる!!
743 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 10:46:01.64 ID:K5+fZQPfo
続きです。
744 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 10:47:02.08 ID:K5+fZQPfo
* 翌日 早朝 *
* 北東の砂浜 *
霧島「司令、こちらへどうぞ」
提督「おう。ほれ、お前らもキリキリ歩け」
手を縛られた留提督「どうして僕がこんな扱いを……」
遠大佐「……自分の行いを省みてはどうかね」ジロリ
留提督「く……っ」
手を縛られたクルー1「なんであの2人は縛られてないんだよ……」
クルー4「……」
クルー6「……」
提督「そりゃお前らみたいに不届きな真似をしてねえからな」
手を縛られたクルー2「直前で怖じ気づいただけのヘナチンのくせに……」
手を縛られたクルー7「やっぱり、あいつ最初から准尉とグルだったんじゃないすか?」
提督「俺は最初から全員しょっ引きたかったんだがな。山風と足柄が許せっつったからそうしてるだけだ」
雷「あの……准尉さん、私たち、どうして砂浜に案内されてるの?」
745 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 10:47:48.57 ID:K5+fZQPfo
提督「この島が墓場島って呼ばれていることは知ってるよな?」
雷「え? ええ……知ってるわ、轟沈した艦娘が流れ着いてくる島だから、って……」
提督「それを改めて説明してやろうって話じゃねえか。よく見ろよ」
雷「え……えええ!?」
遠大佐「……こ、これは……!?」
(砂浜に流れ着いた艦娘たちを、電たちが囲んでいる)
電「ぐすっ、ぐすっ」
電の背中をさする由良「……」
敷波「摩耶さん、この子たちって……」
摩耶「ああ。B提督の艦隊の……あん時の艦娘たちだな……」
遠大佐「提督准尉。これはどういうことだ……!?」
提督「どうって、見ての通り、聞いての通りだろうが。知ってんだろ? この島がどんな島かを……!」
提督「少し前にテレビでも放送されたっていう、空母棲姫の戦い……あいつらはその戦いで轟沈した艦娘だ」
クルー2「轟沈、って、そういう……マジかよ……」
クルー6「う……」フラッ
クルー4「お、おい、大丈夫か」
クルー7「ちょっ、俺こういうの駄目……うぷっ」ヨロヨロ
746 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 10:48:32.02 ID:K5+fZQPfo
雷「こんな……こんなに、轟沈させられたの……!?」
留提督「なんだよこれ……なんなんだよ、これは!」
提督「これ? その言い草こそなんなんだよ、失敬な奴め」
留提督「そうじゃねーよ、なんで艦娘が死んでんだよ……!」
提督「ああ? 何言ってんだお前? ……まさか艦娘が死なないと思ってたのか?」
留提督「聞いてない……こんなになるなんて聞いてないぞ! 艦娘ってのは、いくら怪我したって修復材ぶっかけりゃ直るんだろ!?」
留提督「どんな大怪我しても戻ってこれるんだろ!? 死ぬわけがないって……!」
提督「なんだそりゃ? どこから湧いて出てきた、そんな話」
留提督「だ、だって、そうじゃなきゃ艦娘が海で見つかるなんて有り得ないだろ!?」
留提督「轟沈だって、しばらく動けなくなって一時的に眠ってるだけなんだろ!?」
提督「海で? ……ああ、もしかしてドロップ艦を、轟沈した艦娘が蘇ったもんだって考えてるわけか」
提督「説としちゃあ興味あるが、そいつは多分違うな。そもそも艦娘は不死身なんかじゃねえ」
留提督「そんな!? 深海棲艦だってすぐ復活してるじゃないか! あいつら、倒してもすぐ復活してくるだろう!? 艦娘だけ死ぬなんて……」
提督「そいつも多分違うな。俺が思うに、連中は復活してるわけじゃねえ」
提督「喩えは悪いが、おそらく魚とか蟻みたいに、同じ顔した奴がいっぱいいて、次から次と生まれ出てきてるだけなんじゃねえかな?」
747 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 10:49:17.14 ID:K5+fZQPfo
留提督「遠大佐! こいつの言うことは本当なんですか!?」
遠大佐「いや、それは私にもわからない」
遠大佐「しかし、深海棲艦が海に無尽蔵に出てくる以上、深海にも建造ドックと同じものがあって、大量生産されているという見方はある」
留提督「……」
提督「艦娘も、同じ顔、同じ名前の艦娘が複数存在してんのを、お前らも見たことあるだろ?」
提督「だが、そいつら全員が全員、性格や嗜好まで完全一致してるわけじゃねえし、艦娘になってからの記憶を共有してるわけでもねえ」
提督「ただ似ているだけの別人……と呼ぶには無理があるが、双子や三つ子が何十人、何百人にもなったようなもんだと、俺は思ってる」
留提督「……」
提督「ところでお前ら、艦娘を解体したことあるか? 毎日の任務にも出てくるんだ、やったことある奴のが多いんだろ?」
雷「それは……」
遠大佐「ああ、ある。日々の任務に指示されているからな」
提督「で、だ。お前らは、解体した艦娘を、元に戻せるのか? 建造したそいつは、どこかで解体された記憶を引き継いできたことがあるか?」
遠大佐「……」
留提督「……」
748 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 10:50:01.93 ID:K5+fZQPfo
提督「同じ艦娘を建造したり発見したりしても、そいつがどこかで解体した艦娘の記憶を引き継いだりしてたことなんか、なかっただろ?」
遠大佐「……ああ。確かに、それはない」
留提督「……」
提督「仮に魂というものが存在して、巡り巡って再び同じ艦娘として生まれたとしても……」
提督「過去に解体した、もしくは沈んだ艦娘の記憶が失われていたのなら、それは死んだのと同じじゃあねえのか?」
提督「……死ねば終いさ。それが艦娘であっても、人間であっても。そうだろ?」
留提督「……」
クルーたち「「……」」
遠大佐「……そろそろ戻ろう。呉からの船が戻って来るんだろう?」
提督「慌てんな。お前らをここに連れてきた一番の理由がまだ残ってる」
クルー2「?」
クルー1「……まさか」
霧島「司令、こちらです」
提督「ああ。ついてこい」
留提督「なんだって言うんだ……」
749 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 10:50:51.01 ID:K5+fZQPfo
ザッザッザッ…
クルー4「……え? あれってもしかして……」
クルー1「おい、嘘だろ……やめてくれよ……!」
クルー3の水死体「」
クルー5の水死体「」
遠大佐「!!」
クルー2「うわあああああ!?」
クルー6「……そんな」
クルー1「もう駄目だ……もう、終わりだ……」ガクッ
提督「おい、誰でもいいから確認しろ。この2人は、お前らと一緒に来たテレビクルーの2人で間違いないな?」
クルーたち「「……」」
雷「准尉さん、クルーさんたちが亡くなってすぐ確認するのはさすがに無理よ……心の準備ができてないと思うわ?」
提督「ふん。しゃあねえな」
雷「あの……この二人が発見されたのはいつなの?」
提督「5時ごろか? 夜明けと同じくらいに砂浜を見回ったときに見つけて、その時点でこうなってたんだよな?」
750 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 10:51:46.85 ID:K5+fZQPfo
霧島「はい。それからこちらを……若干ですが、争った形跡が見られます」
提督「……顔にあざができてるな。殴り合いでもしたか?」
霧島「1人は埠頭に行ったということでしたので、そこで殴り合って海に落ち、溺れてこの浜に流れ着いた、と推測しています」
提督「んー……まあ、そのくらいしか思いつかねえな。案内もしてねえ砂浜へ夜中に二人で来る理由がわかんねえし」
提督「しかし、こいつら何を争ってたんだ? この二人、仲が悪いのか?」
クルー4「……え、ええ、まあ……良いとは言えませんね」
クルー4「同期だけれど、3さんは真面目で融通が利かなくて、5さんは要領はいいけど犯罪スレスレのことも平気でやる人でしたから」
提督「……面倒臭え関係だな。そんな奴等を同じ部署に入れてて大丈夫なのかよ」
クルー4「社長はバランスをとるためって言ってましたけどね……最終的には1さんがよく取り成して、双方納得させてましたよ」
提督「ふーん」
雷「埠頭からここまで流されてくるものなの?」
提督「この島の潮の流れは普通じゃない。だからこそ轟沈した艦娘が浜に流れ着いてくる。この島に来る輸送艦もたまにこっちに流されるくらいだ」
提督「それで海に落ちたんじゃあ、余程泳ぎが達者でない限りはこうなっても不思議とは思わねえがな」
クルー4「なくは、ないのか……2人が泳げたかどうかは俺も知らないし、今となっては確かめようもないか」
提督「服も着てるし、おまけに夜中だ。海に落ちて岸がどっちかわからなくなったら、助かるとは思えねえな」
雷「……」
751 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 10:52:34.91 ID:K5+fZQPfo
クルー6「なんで……なんでこんなことに……」
クルー6「3さんは艦娘を支援したくて、この撮影班に入ったんですよ。それなのに、こんなのって……」
提督「おい。事故や災害ってのは、悪人だけを殺すのか?」
クルー6「……」
提督「俺はお前らにこの島に入るな、帰れと言った。夜中も大人しくしてろと言った」
提督「それを無視して外に出た奴が、本当にいい奴なのか?」
クルー6「でも……っ」
提督「そこまでこの世は都合よく出来ちゃいねえよ。手前に都合の良いことばっかりほざいてんじゃねえ」
クルー6「……」
留提督「……だからって、まさか、死者が出るなんて、ないだろ……」
提督「おい。よりによって、お前がそんな台詞を吐いてんじゃねえぞ」ズイ
提督「いいか? 艦娘を『沈める』ってのは、こういうことだからな?」
留提督「……っ」
提督「鳥海と加古は、たまたまこの海岸に打ち上げられて、たまたま命が助かった。運が良かったってだけの話だぞ?」
提督「あいつらも、こいつらみたいに、なっていたかもしれねえんだ……お前の命令によってな」
留提督「……!!」ビクッ
752 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 10:53:33.17 ID:K5+fZQPfo
提督「お前は軽い気持ちで『行け』と言ったんだろうが、艦娘にとっては命懸けだ。深海棲艦だって死にたくないから必死に抗ってくる」
提督「俺たちは、その艦隊指揮を執った責任を取る立場にある。それが俺のような准尉であろうと、大佐であろうとな」
提督「ま、その艦娘をレ○プしようとしてた奴らが、死ぬのは残酷だ、とかほざくんなら……」ギロリ
霧島「司令」
提督「……とりあえず、見せたかったもんは以上だ。鎮守府に戻りな」
留提督「う……」
クルー2「……戻りましょう、留さん」
留提督「……あ、ああ」
クルーたち「「……」」ゾロゾロ…
提督「……霧島」
霧島「はい」
提督「勢い任せに要らねえ説教までしちまうところだった。ありがとな、止めてくれて」
霧島「いえ……」ペコリ
ウワアアア!
提督「んん、なんだ?」
753 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 10:54:16.92 ID:K5+fZQPfo
霧島「あれは……さっきのクルーの一人ですね」
クルー7「なんでですか! なんで5さんが死ぬんですか!!」
クルー2「おい、落ち着け!」
クルー7「あの人だけっすよ! 俺が番組でヘマしたのを笑って慰めてくれたのは!」
クルー7「飯おごってもらったし! 企画も取り上げてもらったのに……これからだって時に、なんで死んでんですか!!」
クルー7「ちくしょう……ちくしょおおお!!」
霧島「彼らにあまり良い印象がなかったのですが、そういうわけでもないのですね……」
提督「悪人と呼ばれる奴にも、いいところはあるだろうさ。カンダタだって蜘蛛の命を助けたことがあるんだぜ」
提督「ただ、それでそいつのやった事を帳消しにできるかと言えば、それとこれとは話が別だ」
霧島「……はい」コク
提督「さてと、霧島も案内ご苦労さん。あとは摩耶達と一緒に、こいつら弔うの手伝ってやってくれ」
霧島「了解しました。司令はこれから船の出迎えですか」
提督「ああ。ただ、その前にあいつを問い詰めねえとな」
754 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 10:55:01.82 ID:K5+fZQPfo
* 墓場島鎮守府 埠頭 *
提督「さてと……テレビの連中は牢屋に戻ってもらった」
遠大佐「……それで、私に訊きたいこととは?」
雷「……」
提督「そっちの秘書艦も薄々感付いてるんじゃねえの。あんた、なんであんな奴に、手前の大佐の階級を譲ろうとしたんだ?」
遠大佐「……」
提督「あんたのせいであの留提督が増長したのは自覚してるか? ちょっと酒で酔わせただけでこのざまだ」
提督「自分の艦隊を手に入れて、好き勝手できると思ってフライングで鹿島たちに手を出しやがった」
提督「こんな奴らを海軍に引き入れて、どうしようって言うんだ? これだけ手を煩わせておいて、説明なしってのはねえだろ」
遠大佐「……」
雷「司令官……お願い、私にも理由を教えて。私たち、これまで一緒に戦ってきたじゃない……!」
遠大佐「……雷……」
提督「……」
遠大佐「わかった……話そう。准尉のような、口の利き方も知らん生意気な小僧にまで聞かせねばならんのは癪だがな……!」
755 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 10:55:46.69 ID:K5+fZQPfo
雷「彼に話すのが癪、って……!?」アセアセ
遠大佐「こんな生意気な、甘やかされたクソガキには理解できまいよ!」
提督(面倒臭え奴……)ブゼン
雷「し、司令官! 落ち着いて!? 深呼吸して、ゆっくり……」
遠大佐「……す、すまん、取り乱した……」
雷「それじゃ司令官、話せる? 聞かせてもらえる?」
遠大佐「ああ。私が大佐を譲ろうとしたのは……」
雷「したのは……」ゴクリ
提督「……」
遠大佐「何もかも嫌になったからだ」
提督「……」
雷「……は?」
遠大佐「嫌になったのだよ……何もかも! 確かに私は大佐だが、艦娘が現れ、この私を飛び越えて少将になった若造が何人いると思う!?」
遠大佐「私だって努力はしている! なのに、あいつらは得体の知れない装備を開発して、聞いたこともない戦術で海域を解放していくんだ!」
遠大佐「私のほうがキャリアは長いんだぞ!? それをあいつらは、私と話すときも艦娘を侍らせてへらへらいちゃいちゃと……」
遠大佐「目上の者であるはずの私に対する敬意が微塵も感じられんのだ!!」
756 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 10:57:01.83 ID:K5+fZQPfo
雷「し、司令官はよくやってるわ!」
遠大佐「だが、現実は残酷なものだよ……私の知らぬ間にあいつらは独自の情報網を作り上げ、深海への対応をマニュアル化していたんだ」
遠大佐「その情報を見せられて私は愕然とした。斬新すぎてまったく意味が分からんのだ……! は、ははは……なんと、なんと情けない」
遠大佐「私もいつの間にか、古い流儀、古いやり方に縛られた、時代に置き去りにされた人間だったんだ」
雷「司令官……駄目よ、そんなんじゃ! しっかりして!」
遠大佐「ああ、しっかりと、自分の立ち位置を確認したよ。ふふ……恐ろしいな、若さというのは。それに引き換え私はどうだ?」
遠大佐「……だから、もういいんだ。私がこれ以上、この席に固執しても、なんの進歩もない……老兵は去るのみなんだ」
遠大佐「今だから言えるが、私は彼らに嫉妬していたんだろう……その思考の柔軟さも、才能も、環境も」
雷「嫉妬……?」
遠大佐「ああ、彼らの顔つきを見ればわかる。それに私は聞いてしまったんだ、彼らの会話を」
遠大佐「何を話していたと思う? 友達のこと、恋人のこと、両親のこと……家族のこと……!」
遠大佐「彼らは、私が持っていないものを、すべて持っていたんだ……!」ブワッ
提督「……」
遠大佐「この地位になるまで、必死になって勉強し、恋すら知らずに働いてきた私には、彼らの存在が眩しすぎるんだ……!!」
遠大佐「准尉も政治家の息子という恵まれた環境だったそうじゃないか。お前のようなリア充には、俺の苦難は理解るまい!」
提督「……」
757 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 10:57:46.85 ID:K5+fZQPfo
遠大佐「私は……女性が嫌いだった。母だったあの女は、私が5つの時に男を作って逃げた!」
遠大佐「父も、私が中学に上がるころに付き合い始めた女に骨抜きにされ、高校を出てすぐ二人でどこかへ消えた……」
遠大佐「父が私を育ててくれたことは感謝している……だが、私と父の人生を狂わせた、女性に私はどうしようもない嫌悪感を持っていたんだ」
遠大佐「そんな思いを抱いた私が、まともに女性と接するなんて不可能だ。そこへ、この深海棲艦騒ぎ……艦娘の出現だ」
遠大佐「女性との接し方すら知らない陰キャの私が、彼らにかなうわけがなかったんだ……!!」
提督「……」
雷「司令官……」グスッ
遠大佐「だから私は今の地位を捨て、最初からやり直す道を選んだ」
遠大佐「留とかいう男に地位を譲ろうとしたのも、私の苦労の1割でも味わってもらいたかったがゆえだ」
遠大佐「あの傲慢な陽キャが、私よりはるかに学も力もある若者たちに、打ちのめされればいいと思っていた」
遠大佐「その前に、准尉が彼らを叩きのめしてしまったようだがね……」
提督「……」
遠大佐「私は気付いてしまったんだ」
遠大佐「私は心の奥底で嫉妬していたんだよ。彼らの幸せな境遇を……私も、それを欲しがっていたんだと」
遠大佐「艦娘たちといることで、それに気付いてしまったんだ……!」
758 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 10:58:32.08 ID:K5+fZQPfo
雷「大丈夫よ、司令官には私がいるじゃない!」
遠大佐「ありがとう、雷……その通りだ。私には、雷がいる」
雷「司令官……!」
遠大佐「だからこそ……だからこそ、雷。君に、頼みがある」キッ
雷「うん……司令官、なぁに?」
遠大佐「私の……私の母親になってくれ!!」
雷「」
提督「」
.
759 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 10:59:17.12 ID:K5+fZQPfo
* 鎮守府内 執務室 *
スピーカー『母親になってくれ!!』
室内の艦娘たち「「ぶーーーーーーーーっ!?」」ズドガラドシャァ
扶桑「……みんな、派手にずっこけるわね?」
五十鈴「ずっこけるわよ、こんなの聞かされたら!」ムクッ
吹雪「私の部屋に取り付けたマイクを司令官が持って行ったのは、これを聞かせたかったからかぁ……」
千歳「い、いくらなんでも、准尉さんだってこんな答えを聞くことになるなんて思ってもなかったと思うんだけど!?」
武蔵「……つまり、なんだ? 遠大佐は最初から全てを投げ捨てるつもりだったということか?」
足柄「そういうことよね……多分。はた迷惑な話だけど」
* 鎮守府内 通信室 *
利根「まあ、退役しようというのなら、後釜なんぞ気にしないというスタンスもわからんでもないが……」
予備スピーカー『……』
榛名「提督たちも驚きすぎてて、次の言葉が出てこないみたいですね……」
那珂「なんていうか、今回来た人たちが残念過ぎていろいろショックだよぉ……」ガックリ
鳥海「ええ、本当に……」ガックリ
加古「……」グンニョリ
神通「その……胸中、お察し致します……」
760 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 11:00:02.07 ID:K5+fZQPfo
* 埠頭 *
遠大佐「……」
雷「」
提督「……」
雷「……!」ハッ!
提督「……」
雷「……は、ははおやっ!?」アセアセッ
遠大佐「あ、ああ、そうだ!」
雷「そ、そんな……そんなの……駄目よ……っ!」モジモジ
提督「……」
* 執務室 *
如月「ねえ、声の調子からして、雷ちゃん喜んでないかしら」
筑摩「ま、まだそうとは……」
スピーカー『いや、正直に言わせてもらいたい。雷……君をお母さんと呼ばせて欲しいんだ!!』
スピーカー『はうっ!』トゥンク!
陸奥「……ちょっと、喜んでるみたいよ?」
大和「い、いろんな愛情表現があるのですね……」ヒキッ
761 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 11:00:46.93 ID:K5+fZQPfo
* 通信室 *
予備スピーカー『いや、ここはママと呼んだほうがいいかな!?』
予備スピーカー『はぁぁぁんっ』ズキューン
鳥海「」シロメ
加古「」ズルベチャー
那珂「ちょっ、加古さんが椅子から転げ落ちちゃったよ!?」
利根「しっかりするんじゃあああ!」
榛名「こ、これをこの二人に聞かせたのは失敗だったのでは……」タラリ
神通「いえ……聞かせないわけにもいかないと思います、けど……」アタマオサエ
* 埠頭 *
提督「……」
雷「マ、ママ……? 私が、司令官の、ママ……!?」
遠大佐「そうだ! 私が、本当に欲しかったのは、愛情だ……母親の愛だ!!」
遠大佐「気付いてしまったんだ! これが自分の素直な欲求だってことに!」
遠大佐「お願いだ! 私の……私のママになってくれ!! 雷!!」
雷「」ズギャァァーーン!
762 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 11:01:47.02 ID:K5+fZQPfo
雷「」
雷「」
提督「……」
雷「も、もう、仕方ないわね……! いいわ、この私が、司令官のママになってあげるわ!」ズバァーーン!
遠大佐「ほ、本当か!? やったあああ!!」ワーイ!
提督「……」
遠大佐「ママ! ママと呼んでいいんだね! ママ!! ママーーーー!!」
雷「も、もう、がっつきすぎよ! 落ち着いて!」
遠大佐「うん!」
雷「その、じゃあ、改めて……おいで?」リョウテヒロゲ
遠大佐「ママーーーー!!」ダキツキー
遠大佐「ずっと……ずっとこうしたかった! こうしてみたかったんだ!!」
雷「もう、昨晩のベッドの中でもたくさん甘えてきてたじゃない!」ナデクリナデクリ
提督「……」
763 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 11:02:31.94 ID:K5+fZQPfo
遠大佐「あのときはまだ我慢していたんだよ! でも今は違う! やっと、自分に偽りなく、ママに甘えられる!!」
遠大佐「全然違うんだよ!」
雷「ふふふっ、わかったわ! 今日からもたくさん頼っていいんだからね?」ナデナデ
遠大佐「ママァァァァァァアアア!!!」ダキツキー
提督「……」
雷「……あ、えっと……」
提督「……」(←無言で頷く)
雷「そ、それじゃ、失礼するわね! 船が来たら呼んで貰えると嬉しいわ!」
提督「……」(←無言で頷く)
雷「それじゃ行きましょ! 司令官!!」テヲツナギ
遠大佐「うん、ママ!!」ニッコニコー
提督「……」
提督「……」
提督「……」
暁「……しれーかん?」コソッ
霧島「失礼します」スッ
764 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 11:03:17.67 ID:K5+fZQPfo
提督「……」
暁「し、司令官、大丈夫?」ツンツン
提督「ん……う、おお、暁か。霧島はどうした?」
霧島「私は、砂浜の作業がひと段落つきましたので、ご報告にと。お取込み中だったようなので、待機しておりました」
霧島「なにやら大変なことになったようですが……暁はなぜこちらに隠れていたんです?」
暁「暁は、雷が暴走しないか、見張るように言われてたの。結果的に、取り押さえたりするような事態にはならなかったけど……」
提督「とりあえず、二人とも見てたか? 今のやりとり」
暁「ええ、見てたわ……少し頭が痛くなっちゃったけど」
霧島「私も途中からですが……その、なかなか衝撃的と言いますか……」
提督「……」
暁「司令官?」
提督「ああ、悪い。肝心の俺が、理解が追い付かないっつうか、理解したくないっつうか……とにかく今あったことを頭が咀嚼したがらねえ」
霧島「……ああ……」
暁「……まあ、そうよね……」
提督「んー……ともかく、なんだっけ? えーと……」クビカシゲ
霧島「司令……だいぶ混乱してらっしゃいますね」
765 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 11:04:01.98 ID:K5+fZQPfo
暁「え、ええっと……まとめると、遠大佐は、今の立場や地位を捨ててでも、家族の愛っていうか、母親からの愛情が欲しかった、ってことかしら」
霧島「そうね……全部投げ捨てるからこそ、留提督が付け入る隙になった、と考えられそうね」
提督「……あー、なんとなく、頭が整理できてきたぞ……?」
霧島「司令、大丈夫ですか? 所属の艦娘への説明はできそうですか?」
提督「ああ、それは大丈夫だろ。これまでの会話はこのマイクで拾って、執務室で聞いてもらってる。もうスイッチオフにしていいか」プチ
暁「いいと思うけど……これ聞いてて、みんなどう思ってるのかしら」
提督「どうだろうなあ……」
霧島「少なくとも、遠大佐が少しおかしくなったのは周知したほうがよろしいかと」
提督「……少し、か?」
霧島「いえ、遠大佐の名誉のために控えめに表現させていただきましたが……」
暁「遠大佐、どう見ても壊れちゃったとしか思えないんだけど」
* 執務室 *
如月「なんていうか、いろいろな意味でショックな話ね……」
扶桑「そうね。聞いてる限りの様子だと、遠大佐は童子帰りしたってことかしら」
足柄「母親の愛情が欲しくて、精神だけ子供になった、ってこと? わからなくはないけど……」
千歳「ずっとストレスを感じていて、それが今回爆発した、ってことなのかしら……」
766 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 11:04:47.25 ID:K5+fZQPfo
筑摩「……」
五十鈴「筑摩さん? どうしたの、大丈夫?」
筑摩「いえ……私も、利根姉さんにあんな風に接していたのかと……」
陸奥「あんな風……って、遠大佐みたいに? あそこまで酷くはなかったと思うけど」
武蔵「筑摩の場合は、違う意味で大変だったがな。甘えたいというより、ひたすら迫りたがっていた、というか……」
筑摩「……」
大和「……」ズーン
武蔵「! どうした大和、お前も顔色が悪いぞ」
大和「だ、大丈夫よ……」
大和(ああ、私も提督に甘えたいのに……私もあんな風に気持ち悪く見られてたらどうしよう……)
大和「ううっ……」グスッ
武蔵「お、おい!?」
如月「大和さん!? 本当に大丈夫!?」
大和「は、はい、だいじょ……うううう」ボロボロ…
如月「……大和さん、お部屋に行きましょ? 少し落ち着かないと……」
武蔵「そうだな、一緒に行こう。つらいときは私や明石にも頼るといい」
大和「……うううっ」コクン
767 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 11:05:46.97 ID:K5+fZQPfo
* 通信室 *
那珂「加古さん落ち着きました?」
加古「あー、うん。いちおーね……」
加古「あのひとがヤケになったからこその、あの指揮だってことは、まあ理解できたっていうか……」ハァァァ…
加古「やられたあたしたちはたまったもんじゃないけど、これで縁が切れるって言うんなら、まあ無理矢理にでも納得するけど……」チラッ
那珂「……」チラッ
鳥海「え……エヒッ……ひは、あヒヒ……っ」マッシロ
神通「鳥海さん! しっかりしてください! 鳥海さんっ!!」
鳥海「ウヒ、ハヘッ……グゲッ、アガガガ」ガクガク
利根「神通! 鳥海を明石のところへ連れて行くぞ! これはもう吾輩たちの手には負えん!」チョウカイセオイ
神通「は、はい!!」
ワーキャー ミチヲアケロォォ
加古「鳥海は真面目すぎるんだよなあ……指揮が雑になっても信じてたわけだし。思い詰めてたりしなきゃいいなって思ってたんだけど」
那珂「あの様子はやばいよね……提督さんにも連絡しておかないと」
768 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 11:06:47.86 ID:K5+fZQPfo
榛名「……」アオザメ
那珂「榛名ちゃんも大丈夫?」
榛名「いえ……提督も同じように、ご両親から愛情をいただいていない方でしたから、同じようなお気持ちになったりしないのかと……」ブルブル
那珂「それは大丈夫じゃないかなあ? 提督さん、甘やかされるの好きじゃないみたいだし……」
那珂「どっちかって言うと艦娘を甘やかしすぎるタイプだよね。放任主義に見えて、ちゃんと私たちのこと見てくれてるしー」
榛名「そ、そうだと良いんだけれど……その、途中から一言も発さなくなっていたので……!」ソワソワ
那珂「そういえば……! 榛名ちゃん、ここは私がいるから、見てきてあげたら?」
榛名「は、はいっ! お願いします!」
ガチャ タタタッ…
加古「……ここの提督も訳ありなの? すごい心配されてたけど」
那珂「家庭の事情はちゃんと聞いたわけじゃないけど、遠大佐と同じか、それ以上に不運なんじゃないかなー?」
加古「マジかー……」
769 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 11:07:38.55 ID:K5+fZQPfo
今回はここまで。
770 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/11/28(日) 22:55:46.87 ID:KEB7/AJ5O
更新乙
3と5は死んだか
ル級見てあわてふためいて転落からの溺死っぽそう
771 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/11/29(月) 03:01:07.48 ID:h0Z9vnliO
更新乙です。遠大佐指揮下の子たちや死んだクルーには悪いが、あまりにもあんまりなオチで笑うしかないわ……うだつの上がらない中間管理職って傍目からは昼行灯に見えても大変なのかもねぇ。
772 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/11/29(月) 06:18:07.31 ID:7zXwyTTx0
なんだ、3死んじまったのか。嫌いになれないやつだったからどこか惜しいな、
遠大佐…あんたそういう…いや、雷が喜んでるなら、いいか。
773 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/12/05(日) 22:27:43.37 ID:1mbWFkSso
続きです。
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