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【艦これ】提督「墓場島鎮守府?」不知火「その3です」

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574 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/05(日) 11:45:08.63 ID:wjOZiD+y0
>>573
3日は攻めるねぇww
575 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/09/05(日) 12:56:20.06 ID:WAM6fwFIo
現在、文章を十分書けるのが3週間ペースなので、
そろそろとヤマをはってる人はだいたい当たるんではないかと。
私の投稿の周期を把握している方もいらっしゃるようですし。

では続きです。
576 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/09/05(日) 12:57:03.15 ID:WAM6fwFIo

 * 少し時間をさかのぼり *

 * 島の南東 丘の上 *

留提督「まさか外に出たとは誰も思ってないだろうなあ……」

留提督「それにしても、なんだ? ここ」

 (丘の斜面に立ち並ぶ墓標代わりの艦娘の艤装群)

留提督「艦娘の背負ってる、船の装飾? なんでこんなもの置いてんだろ。まあいいや、電話しよっと」


 * 一方 墓場島鎮守府 埠頭に停泊している遠大佐の巡視船内 *

島妖精「……きみたちも詳しく聞いてないのか」

鹿島の装備妖精「はい。いきなり連れてこられて、私たちも戸惑ってるんです」

山風の装備妖精「この島に来るなんて聞いてないし、艤装を外して連れていくなんて……」

ガンビアベイの装備妖精「Muri...」

妖精「なんで装備を外すことになったんだろう……」

鹿島妖精「艦娘が非武装なら、敵意がないことをわかってくれるはず、って、土下座して頼まれたんです」

山風妖精「危ないって言ったのに……」

ベイ妖精「Murii...」
577 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/09/05(日) 12:57:47.38 ID:WAM6fwFIo

島妖精「どうする、一旦提督に報告するか?」

妖精「そうだね……」

 ♪ジャーンジャジャンジャーン

妖精「?」

クルー5「はい、もしもし?」

妖精「……電話の音かぁ」

島妖精「今の電話は音楽が鳴るんだな」

鹿島妖精「電話っていうか、今のスマホはなんでもできますよ?」

島妖精「すまほ?」

山風妖精「うん、スマートホン。電話だけじゃなくて、写真や動画も撮れるし……」

島妖精「写真!? おい、まずいぞ……」

妖精「しっ……!」

クルー5「あー、駄目でしたかー。じゃあ、准尉を追い込む作戦で行くんですね」

島妖精「んなっ!?」
578 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/09/05(日) 12:58:32.08 ID:WAM6fwFIo

クルー5「わかりました、じゃあ俺たちも島に乗り込んでネタ探してきます!」

クルー5「見た感じ、こっちは誰もいませんね。はい、見つからないように行きますんで! 衛星写真の地図もありますし大丈夫っすよ!」

クルー5「連絡とれるの俺だけですけど……衛星電話なんて料金高くて普通使えませんし、普段から海外への渡航経験あるのも俺だけですから」

クルー5「はい、任しといてください! 留さんも気を付けて!」

妖精「……!」

島妖精「地図だと……?」

クルー5「おい、俺たちも出るぞ!」

クルー6「え、マジで行くんすか?」

クルー7「行くに決まってんだろ? じゃなきゃこの企画、落ちるぞ?」

クルー6「や、ガチのマジで大丈夫なんですか? いくら下っ端でも海軍のいち司令官っすよ?」

クルー5「大丈夫だって、准尉なんて大佐から見たらずっと下なんだから、遠大佐がなんとかしてくれるって!」

クルー6「だといいんすけどねえ……大丈夫なんすかね、あの准尉って人」

クルー7「ぐずってないで行くぞ、いまフリーの俺たちが撮れ高あるネタ探さねえと放送できねーぞ」

クルー6「しゃーねーっすね、行きますかあ」

クルー5「みんなカメラは持ったな!? 行くぞォ!」

クルー6「うーっす」

クルー7「へーい」

クルー5「もうちょっと気合入れろよ!」

 ゾロゾロ…
579 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/09/05(日) 12:59:17.84 ID:WAM6fwFIo

島妖精「やっぱり2グループ目がいたか……」

妖精「ねえ、テレビ局の関係者は何人来たの?」

鹿島妖精「今の人たちで全員です」

妖精「ということは、全部で8人だね……」

島妖精「わたしたちはあの3人を追いかける。お前は提督に報告を頼む」

妖精「うん……!」

 タッ

妖精「……」

山風妖精「みんな、大丈夫なのかな……」

ベイ妖精「Mow, Muriie...」

妖精「……ねえ、この船の乗組員さんは?」

鹿島妖精「いますけど……」

妖精「誰か私たちの姿が見える人、いないかな?」

山風妖精「見える人はいないみたいです」

妖精「そっか……とりあえず、提督に相談かな」

ベイ妖精「Baaaay... Come baaaack... Come Back hurry...」プルプル

妖精「それより大丈夫かなこの子」

鹿島妖精「ま、まあ、この子はわたしたちが見ますから……」
580 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/09/05(日) 13:00:02.42 ID:WAM6fwFIo

 * 島の南東 丘の上 *

留提督「ふう……これで良し、っと」

敷波「……ちょっと。なにしてんの? 提督の服を着てるっぽいけど、誰?」

留提督「うお!? な、なんだ、おいもちゃんかあ」

敷波「はぁ?」カチン

留提督「ちょっと休ませてよ。今朝からいろいろあって疲れてるんだ」

敷波「ちょっと!? 艤装に座んないでよ!!」

留提督「ギソウ?」

敷波「そこに座るなって言ってんの!!」

留提督「えー? じゃあどれだと座っていいの?」

敷波「いいから立ち上がって!」

山城「……だわ」

敷波「……あ」クルリ

山城「ああ、不幸だわ……何あの軽そうな男。なんで時雨の艤装に汚い尻を乗せてるの?」ゴゴゴゴ

敷波「あーあ……」
581 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/09/05(日) 13:00:48.72 ID:WAM6fwFIo

留提督「ん? あれ、誰だっけ……ああ、あれか! 不幸姉妹!」

山城「はぁ?」ピキッ

留提督「髪が短いのはどっちだっけ……妹の方かな? 確かに不幸そうな顔してるなあ」

山城「……敷波。なに、あいつ」

敷波「知らないよー。あたしだっていきなり芋呼ばわりされるし。めちゃくちゃムカついてるんだけど」

山城「そう……お掃除始めたいけど、いいわよね?」

敷波「ここでやらないならいいんじゃない? あたし、布巾持ってくる」

山城「ええ、お願い。それじゃあ、まずはネズミを捕まえるところから……」ヌラリ

留提督「はっ!」バッ

山城「って、逃げてんじゃないわよ!!」

留提督「やばいやばい! 何に怒ってんのかわかんないけど、あの不幸姉妹は使えなさそうだなあ……!」

山城「なにあいつ、逃げ足速すぎよ……!」
582 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/09/05(日) 13:01:32.02 ID:WAM6fwFIo

 * 鎮守府そばのビニールハウス *

初雪「……水やり終わり」

初雪「……休憩しよ」

(ビニールハウスの片隅にビーチチェアとパラソルのセットが置いてある)

初雪「よいしょ……」ゴロン

初雪「……」

初雪「……」ウトウト

留提督「うおおお、なんだこれ!?」

初雪「!?」ビクッ

留提督「すげー、畑あんじゃん! ダッ○ュ村みたい! 何作ってんの!?」

初雪「!? !?」オロオロ

留提督「あー、なんだピーマンか、ハズレだなー。こっちはなんだろ……うわ、泥だらけだ! きったねー!」ガサガサ

初雪(いきなり入ってきて……なに? この人……)アゼン

留提督「あれ? 君も艦娘? ここでサボってんの?」

初雪「……は?」
583 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/09/05(日) 13:02:17.72 ID:WAM6fwFIo

留提督「あ、君、ゲームとかいっぱい持ってる子だよね! 匿うついでにちょっと部屋に連れてってよ!」ズイッ

初雪「!?」

留提督「なんか知らないけど、みんな怒ってんだよね。せっかく俺たちがみんなを助けようって言うのにさあ!」

初雪「!?!?」パニック

留提督「ここの提督に監禁されてるんでしょ? 証拠掴んで公表して、自由にしてあげるからさ!」

留提督「こんな島から脱出すれば、ゲームだっていろいろ買い放題だよ! 早く行こうよ!」ウデツカミ

初雪「ひっ!?」ビクッ

留提督「大丈夫! 僕は君の味方だから!」グイグイ

初雪「い、いや……はなし、て……!」

扶桑「……あら? はつゆ……」

留提督「うわ、やばっ!! 不幸が追いかけてきた!」

 ダダッ

扶桑「きゃ!? ……今の、誰かしら。初雪さん、今走っていったのは……」

初雪「……」ガタガタ

扶桑「初雪さん……?」
584 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/09/05(日) 13:03:16.93 ID:WAM6fwFIo

初雪「……ふそう、さん……! こ、こわか、った……!」ウルウル

扶桑「え? ……大丈夫よ、心配いらないわ。さっきの人は、走ってどこかに行ってしまったから」ダキヨセ

初雪「ほんと……?」ヒシッ

扶桑「ええ。それにしても、あの人はここでいったい何をしようとしてたのかしら……」

初雪「……ゆうかい、されそうに、なった……!」ガタガタ

扶桑「え……!?」

武蔵「おい、何があった!?」

山雲「畑が荒らされて……こっちに足跡があるわ〜」

武蔵「提督のような服装だったが……もしや留提督か、遠大佐がここにきたのか!?」

若葉「すまない、こっちに留提督が来なかったか!?」

山城「扶桑お姉様は無事なの!?」

山雲「ねえねえ、いったい、なにがあったの〜?」

若葉「実は……」

館内放送『ジジー……カシャッ』

扶桑「あら……?」
585 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/09/05(日) 13:04:02.55 ID:WAM6fwFIo

 * 鎮守府の西側の林 *

留提督「おっかしいな、なんであんなに反抗的なんだ? 艦娘ってのは、提督に対して従順じゃなかったのか?」

留提督「やっぱり他の鎮守府だからかなあ……となると、やっぱりこの鎮守府を制圧しないと駄目か」

留提督「スタッフのみんなが鎮守府の弱みを見つけてくれると話が早いんだけど……」キョロキョロ

 スマホ<♪ッチャッチャッチャーンピロピロピローン

留提督「おっと! もしもし?」

スマホ『もしもし、留さん無事ですか!?』

留提督「うん、だいじょぶだいじょぶ! 生きてるよー!」

スマホ『いや、笑ってる場合じゃないっすよ! 聞きましたか今の放送!』

留提督「放送? なにかあったの?」

スマホ『留さんたちを捕まえろって、准尉から艦娘に指示が出たんです!』

スマホ『それも、生死は問わないって物騒な文言つけて!』

留提督「うわ〜……それじゃあ、この島にやばいものがあるって決定ってことじゃん! なにか見つけた?」

スマホ『まだですけど、留さんは狙われてるんですから、マジで気を付けてくださいよ!?』

スマホ『俺たちはマークされてないから自由に動けますんで、もう少し探してみますけど!』
586 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/09/05(日) 13:04:47.18 ID:WAM6fwFIo

留提督「おっけー、それじゃあ引き続き……なんだこれ」

スマホ『どうかしたんすか?』

留提督「いや、これ……骨だ」

スマホ『ほ、ほね?』

留提督「やっべえ、人骨だ! これ多分、人の骨だよ!」

スマホ『えええ!? ほ、本当すか!?』

留提督「マジだよこれ! すっげえ、やっぱやばいんだよこの島!」

スマホ『重要な証拠じゃないっすか! ちゃんとカメラで撮ってくださいよ!』

留提督「わかってるって! うおお、やっべーー!」ゴソゴソ

スマホ『動画で撮影するときは声を入れないでください!』

留提督「わかってるって言ってんじゃん! おお〜……マジやべえ〜……!」パシャパシャッ

スマホ『とにかく、そういうのがあるってわかった以上は、こっちにも何かあるはずです!』

スマホ『俺たちも探しますんで、留さんは無理しないで安全確保でお願いしますよ!』

留提督「おっけーおっけー! そっちも気を付けてね!」

 ピッ

留提督「ビデオモードでも撮影……っと……」ジー

留提督「早く持ち帰って編集してもらわないと……!」

留提督「やっべえ、俺、悪い提督から艦娘を助け出すヒーローになるんじゃね?」ワクワク
587 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/09/05(日) 13:06:28.34 ID:WAM6fwFIo
少し短いですが、今回はここまで。
588 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/09/05(日) 14:57:08.89 ID:++VYHg9H0
3日以内当たった!うおおおおおお
589 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/05(日) 18:01:45.38 ID:YBWXBh7hO

セリフのほとんどがmuriのベーイ妖精ェ…
590 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/05(日) 18:08:50.83 ID:wjOZiD+y0
>588 まじかよ!? 運いいっすねww
あぁ俺のバケツ100....
591 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/09/05(日) 19:12:34.37 ID:E9JlGnsv0
今までの勘違い提督の中でも群を抜いて気持ち悪い...
592 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/09/09(木) 15:13:25.37 ID:8Tb3SQHN0
地雷踏みまくってますね
593 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/09/14(火) 22:32:08.09 ID:nFn2ij2jo
続きです。
594 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/09/14(火) 22:33:03.44 ID:nFn2ij2jo

 * 鎮守府内 食堂 *

足柄「生死は問わない、って、過激すぎるわよ!?」

提督「別にいいだろ。そもそもこの島の半分は未開拓なんだ、俺だってこの島にどんな毒を持ってる生き物がいるか把握してねえんだぞ」

提督「そうでなくても転んで死ぬことだってあり得る。そういう意味でも回収を最優先しろって話じゃねえか」

提督「それにああ言えば、この島が危険だって認識もするだろ。それがわかんねーなら野垂れ死ねと言ってやりたいがな?」

千歳「一番危険なのはその過激すぎる准尉の思想だと思いますけど……」

島風「あー、提督!! おっそーい!!」

提督「おう、悪いな。で、潮は大丈夫か?」

潮「は、はい!」

黒潮「潮はええけど、なんか陸奥はんが具合悪そうなんよ……」

陸奥「大丈夫、ちょっと気分を悪くしただけよ」

白露「私たちが明石さんところに連れてってあげたほういいかな?」

提督「お前らじゃなくて、頃合い見て長門と一緒に行ってくれ」

島風「えっ!? 私たちじゃないの!?」

提督「お前らは黒潮に何やったのか覚えてねえのか」ジトッ

黒潮「……」ジトッ

白露「……あ、あははは〜」
595 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/09/14(火) 22:33:48.50 ID:nFn2ij2jo

提督「まあいい。で、潮を囲んだ連中がどこに行ったかなんだが……」

潮「そ、それが……」

 * *

長門「……というわけで、どうやらここに来たテレビ局の一人は、艦娘が提督には絶対に逆らわないと信じて来たみたいなんだ」

提督「なんだそりゃ?」

島風「よくわかんないですねー?」

黒潮「随分都合のいい設定やなあ……」

長門「私たちが轟沈せずに余所の鎮守府から離反して来たと言ったら、かなりショックを受けていたようでな」

提督「そういう理屈か……あんまり言いたかねえが、艦娘は未だ海軍の備品扱いだ」

提督「人間に対して逆らうことはない、って認識があって、それを見た連中がそれを普通と認識すりゃあ、そうもなるかもな」

潮「で、でも、どうしてそれがそんなにショックなんでしょう……」

提督「人間が手も足も出ねえ深海棲艦を倒せる艦娘が人間に襲い掛かったら、絶対かないっこねえよな?」

提督「人間を攻撃しないはずの猛獣が、実は歯向かう危険があるとしたら、恐ろしさから殺せと言ってくる奴がいてもおかしくねえ」

潮「そんな……」

提督「逃げた奴がそういう胸糞悪い考えでいたとしたら、陸奥が気分悪くするのも無理はねえんじゃねえか?」

黒潮「あー、そういう……」
596 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/09/14(火) 22:34:33.54 ID:nFn2ij2jo

千歳「あの、准尉? この島には、轟沈した艦娘が流れ着いてくるんではなかったの?」

提督「いいや? その認識で合ってるが、そうでないやつもいる、って話だ。ここにいる艦娘は、全員轟沈しちゃいねえよ」

提督「事情はそれぞれだが……前の鎮守府の司令官がとった行動のせいでこの島に来ることになった、いわば避難してきた艦娘だ」

足柄「霞ちゃんもそうなの!?」

提督「んー……そっちはあとで当人から聞いてくれ。つうか、今日は厨房にいるよな? 騒ぎの時に出てこなかったのか」

長門「貴様が言っただろう、関係ない艦娘は極力この件に顔を出すなと。霞はそれを守っているだけだ」

提督「あー、そういやそうだった……」

 <シレイカーン!

提督「ん?」

朝潮「はぁ、はぁ……こちらにいらっしゃいましたか!」

提督「なんだそんなに慌てて」

朝潮「よ、妖精さんからご報告がございます!!」ビシッ

妖精「朝潮ちゃんに運んでもらったから早く来れたよ」ヒョコッ

提督「報告……って、何かあったんだな?」

 * *
597 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/09/14(火) 22:35:18.21 ID:nFn2ij2jo

提督「……やっぱり別動隊がいやがんのか」

妖精「とりあえず島のみんなに協力してもらってるけど、手分けして島の中を撮影しようとしてるみたいだよ」

提督「奴らが乗って来た船の中に、居残りしてる奴はいるか?」

妖精「いないね。テレビのクルーは留提督含めて全部で8人だって」

提督「ほーう……そんじゃあ、またお上に告げ口作戦で行くか。手紙書くから船にまでもってってくれるか?」

妖精「うん、まかせて」

長門「なんだその告げ口作戦というのは」

提督「詳しくは後でな。ちょっと急ぎてえし」

足柄「……准尉、あなた、妖精さんと話ができるの!?」

提督「ん? なんだ、知らなかったのか……つうことは、留提督や遠大佐もこのことは知らねえんだな?」

千歳「え、ええ、多分、そういうことになるのかしら。そもそも妖精さんの話題すら上がらなかったし……」

提督「そういうことなら、足柄と千歳は俺が妖精と話せるってこと、あいつらには内緒にしておいてくれ」

千歳「承知しました」

朝潮「そ、それから、司令官……大変申し訳ありません!!」バッ

提督「ん? どうした?」

朝潮「留提督を、見失いました……!」

提督「見失った?」
598 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/09/14(火) 22:36:22.09 ID:nFn2ij2jo

朝潮「留提督が窓から外へ逃げたところまで、若葉さんと把握しておりましたが……」

朝潮「手分けして捜索に向かったものの、朝潮はその後の足取りを掴むことができず……!」

朝潮「何の手掛かりもないままに、妖精さんを連れて戻ってきてしまいました……!」ウルウル

提督「そうか。別にいいぞ?」

朝潮「大変申し訳ありま……えっ」

提督「そんな深刻になるな。見失ったもんはしょうがねえ」

朝潮「で、ですが」

提督「若葉がまだ戻ってこねえってことは、向こうで何かを掴んでる可能性もある」

提督「最終的にあいつがこの鎮守府のことを放送しなけりゃいいだけの話だ」

朝潮「え、あの……私の処分は」

提督「ねえよ。確かに任務に失敗したかもしれねえが、まだ俺たちの負けが決まったわけじゃねえ」

朝潮「司令官……!」

提督「まだまだ打つ手は残ってるさ。とりあえず朝潮と白露、島風は一緒に来い」

島風「おうっ!?」ビクッ

提督「何びっくりしてんだよ」

白露「だって提督、私たちを頼る気配、全然なかったじゃないですか!」

提督「事態が変わったからな。とりあえずついてこい」

足柄「私はここに残っててもいい? 霞ちゃんと少し話したいんだけど。あ、勿論、邪魔はしないわよ!?」

提督「ん? ああ……長門、一応付き合ってやってくれ」

長門「承知した」
599 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/09/14(火) 22:37:04.15 ID:nFn2ij2jo

 * それからしばらくして *

 * 夕方 鎮守府内会議室 *

留提督「いやあ、まいったまいった」ドロダラケ

クルー1「どうしたんですかその恰好!」

留提督「いやー、調子に乗って林の中をうろうろしてたらこんなふうになっちゃってね〜」

提督「毒蛇がいるかもしれねえってのに、のんきなもんだぜ」

クルー2「いるんですか!? 毒蛇が!」

提督「調べてねえから知らねえよ」

クルー4「調べてないんですか!」

提督「だから何があるかわからないから立ち入るな、ってなるんだろうが」

クルー1「なんて無責任な……」

提督「勝手に島にやってきて勝手に手付かずの林に立ち入って勝手に怪我したら俺の責任かよ? ふざけんな」

提督「そもそも俺はお前らに帰れと言ったぞ。俺の言うことを聞かない連中が俺に責任を押し付けんじゃねえよ、くそが」

クルー3「……それはそうと准尉さん、売店とかに留さんの着替えは売ってないんですか?」

提督「いらねえとよ。明石に酒保開けてもらって、そこで売ってる服で我慢しろっつったんだがな」
600 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/09/14(火) 22:37:48.44 ID:nFn2ij2jo

留提督「趣味じゃないんだよね、安物な上に普通より高いし。他にないの?」

提督「他なんかねえよ、この島の在庫はあの酒保の分だけだ。その酒保を開いただけでもありがたいと思えってんだよ、贅沢ばっか言いやがって」

留提督「だとしてももうっちょっと趣味のいい服、用意しててほしいんだけど。ああ、あとシャワー貸してくれない?」

提督「もう帰れよ……なんで風呂まで恵んでやんなきゃなんねえんだ、この馬鹿野郎が」ゲンナリ

留提督「……」

クルー2「ちょっ……いくらなんでも言い過ぎじゃないですか!?」

提督「馬鹿は馬鹿だろうが。てめえらのやってることは、勝手に他人ん家に入って冷蔵庫開けて文句言うガキより躾がなってねえって言ってんだよ」

提督「着替えたい服がないならそのままにしてるか洗濯しろ。たらいと洗濯板なら貸してやる」

提督「艦娘が帰ってきたときに艤装の海水を流す水場があるから、日が落ちる前にそこで全部洗ってこい」

クルー3「そこまで目の敵にしなくても……」

提督「ああ? さっきから俺は何度も、お前らを歓迎してねえ、っつってんだろが」

提督「轟沈した艦娘の扱いはさっき説明したよなあ? 鳥海や加古を助けるっつう名目自体、上が通すとは思えねえんだよ」

提督「この島に来る前に、ちゃんと上に報告して了解貰って来たのか? それを証明するものを、お前らは何かしら俺に示したか?」

提督「その撮影許可証だって、呉の鎮守府で撮影するときのやつじゃねえのか? 俺には何の連絡も来てねえんだぞ?」

提督「ほんの少し前まで、艦娘の存在は海軍の機密情報扱いだった。艦娘の詳細を知りたいのはなにもテレビ局だけじゃねえ」

提督「お前らが、テレビ局を装ったスパイだって思われても仕方ねえんだよ」
601 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/09/14(火) 22:38:36.30 ID:nFn2ij2jo

クルー4「で、でも、この人のお父様は有名な」

提督「だから知らねえって言ってんだろ、んなことは!」

提督「いくらテレビの世界で有名だろうが、そんなもん、俺たちにも深海の連中にも知ったこっちゃねえっつったろ!」

提督「そのくだらねえ印籠を振りかざして海軍の船に乗って! 海軍巻き添えにして海底に沈みやがったのがお前らの仲間じゃねえのかよ!」

全員「「……」」

提督「はー……ったく、なんでこんな連中に一日潰されなきゃなんねえんだ。マジ面倒臭えぞ、くそが」

 ブォォォーーーーン!

提督「……!」

クルー1「な、なんだ、今の音!」

雷「私たちの船の音じゃない!?」

クルー3「ちょっと!? あの船、動いてないですか!?」

留提督「遠大佐!? なんで勝手に船が出航したんですか!?」

遠大佐「わ、私は何も聞いてないぞ!?」

提督「……なんだそりゃ。つまり、お前ら置いて日本に戻ったってことか?」

留提督「そんな話、聞いてないんだけど!?」

提督「あぁ? 俺に言うなよ、お前らの船だろ?」
602 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/09/14(火) 22:39:33.11 ID:nFn2ij2jo

クルー3「どういうことですか!?」

クルー4「撮影機材は船に積みっぱなし?」

クルー1「バッテリーもか!?」

クルー2「船に残ってるスタッフはどうしたんだ!?」

クルー4「冗談じゃないぞ……これからどうするんだ!? 日本に連絡しないと!」

留提督「准尉! この島に船はないの!? 追いかけてよ!」

提督「ねえよ、んなもん」

留提督「は!?」

提督「この島には、船やボートの類は一切ねえっつってんだよ」

クルー4「そんな馬鹿な!?」

クルー2「どうやって日本に帰るんですか!?」

提督「そんなの知るかよ……」

クルー3「准尉さんだって日本に帰るときどうしたんですか!?」

提督「あぁ!? 俺は日本になんか行かねえよ」

クルー3「そういう意味じゃなくてですね! 里帰りとかどうするんですか!」

提督「……駄目だこいつら」ハァ

鳥海「……」
603 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/09/14(火) 22:40:18.45 ID:nFn2ij2jo

クルー4「それより日本に連絡!」

留提督「遠大佐は!?」

雷「今、遠大佐の鎮守府に電話中よ!」


 * *


遠大佐「そうか。わかった、急いでくれ

 ピッ

雷「司令官、鎮守府のみんなはなんて言ってたの?」

遠大佐「……船が引き返したという連絡自体、私の電話で初めて聞いたそうだ」

雷「えええ!?」

遠大佐「今、どういうことか調べてもらっている。1時間以内にもう一度連絡を貰うことにした」

クルー1「とにかく、連絡はついたんですね」

クルー2「良かったあ……」

留提督「安心したらお腹がすいちゃったなあ。船が戻ってくるまで時間があるんでしょ? 時間も時間だし、ごはん食べようよ」

提督「ああ? 飯だ?」

雷「テレビのスタッフさんがお弁当用意してきたの! 千歳さんが持ってるはずよ!」

提督「……千歳が? そういう話ならちょっと待ってろ、千歳呼んでくる」
604 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/09/14(火) 22:41:03.56 ID:nFn2ij2jo

 * 執務室 *

千歳「ええ、持ってきてますよ……」ガックリ

提督「なんだ、いきなりテンション下がったな」

千歳「だって……」トボトボ

 千歳の持ってきた大きな木箱<ガシャッ

提督「でけえ荷物だと思ったが、こいつはなんだ?」

千歳「私の飛行甲板です」

提督「これがか。確かに滑走路は書いてあるが……」

千歳「本当はね、この中に私の艦載機が載せてあるの……」

 千歳の飛行甲板箱<ガパッ

千歳「でも、今回は私の艦載機は載せてなくって……今は冷蔵庫の代わりにされてるんです」

提督「は?」

千歳「ほら、これ、保冷剤。中に断熱シートも敷いてて。これがお弁当でしょ? こっちが缶ビールで……」ハイライトオフ

提督「……お前の艦載機は」

千歳「……」ズーン

提督「持ってこられなかったと……」

千歳「せっかく航空母艦になったのに、私は何を運んでるのかしら……」ドヨーン


 * 工廠 *

雲龍「雲龍型輸送艦ですって?」キュピーン

龍驤「いきなりどしたん?」
605 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/09/14(火) 22:41:48.09 ID:nFn2ij2jo

 * 会議室 *

クルー3「人骨!?」

留提督「うん。この島やばいよ? あいつが何を企んでるか、わかったもんじゃない」

鹿島「……」

山風「じんこつ……!?」ガタガタ

ガンビアベイ「Oh my god ...」ガタガタ

留提督「あいつが俺たちに冷たい態度を取り続けてるのは、そういう後ろめたい部分があるからだと思うんだ」

加古「……」

鳥海「そんな……」オロオロ

雷「大丈夫よ! なにかあっても、私がみんなを守るわ!」

遠大佐「ああ、頼りにしているよ、雷」

雷「ええ、任せて!」ニコニコ

クルー1「ただ……留さん、俺たち帰りの船がないんですよ?」

留提督「大丈夫だよ、僕のお父さんに連絡を入れておいたし!」

クルー1「そ、そうですか……! それなら安心ですね!」
606 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/09/14(火) 22:42:34.11 ID:nFn2ij2jo

鳥海「お父様……? 留提督のお父様は、海軍の関係者なんですか?」

クルー2「いや、超有名な俳優さんだよ。海軍にご友人がたくさんいらっしゃるんだ」

留提督「呉の大将さんとも知り合いなんだ!」ムフー

鳥海「そんなつながりがあったんですね」

留提督「そういうことさ! いざとなったら、お父さんが何とかしてくれるよ!」

加古「……」

 扉<ゴン

提督「おい、弁当持ってきたぞ」ガチャ

鳥海「えっ、いまのノックだったんですか!?」

千歳「失礼しますね」ガラガラー

提督「ったく、艦載機の格納庫を冷蔵庫代わりにするとか、何考えてやがんだ」ガシポイガシポイ

 (提督が格納庫の中の弁当箱を無造作に掴んで机に投げるように置く)

提督「酒まで持ってきやがって。どこで晩酌する気だったんだ? くそが」ガシャンガシャンガシャン

クルー1「ちょっ! 缶ビールもっと大事に扱ってくださいよ! 缶がへこむし! 開けたときに炭酸であふれるでしょ!」

提督「今すぐ飲むわけじゃねえだろ、気にすんなそんなもん」
607 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/09/14(火) 22:43:18.23 ID:nFn2ij2jo

提督「これで全部か? 保冷材とか余計なもんも全部出しちまえ、どうせもう使わねえだろ」ポイポイポイ

千歳「じ、准尉! あとは私がやりますから!」アセアセ

提督「ん? ああ、悪いな、お節介だったか」

 扉<コンコンコン

霧島「失礼致します」チャッ

クルー7「い、いててて! ら、乱暴にすんなよ!」

クルー1「!?」

霧島「司令、島内で工作活動を行っていた不審者、3名を捕縛しました」

クルー7「こ、工作活動って……俺たちは怪しいもんじゃないです!」

霧島「説得力がありませんね。見知らぬ人間がうちの島でこそこそしていたら、怪しいという感想以外出てきません」

摩耶「ったくよー、撃たれなかっただけ運が良かったと思えよな!」グイッ

クルー5「だから痛いっての! 引っ張るなよ!」

最上「抵抗するから僕たちだって力づくになるんじゃないか」

三隈「こちらの方みたいに無抵抗なら、乱暴にはいたしませんわ」

クルー6「……」ホールドアップ
608 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/09/14(火) 22:44:06.47 ID:nFn2ij2jo

クルー5「お前、なんで言われるがままなんだよ!」

クルー6「俺、死にたくねーっすから」

留提督「みんな!?」

クルー5「留さん!? 良かった、無事だったんですね!」

クルー1「おいおい、全員船を降りてたのか!?」

クルー7「は、はい、降りてしばらくしてたら、いきなり船が出航してまして……」

提督「つまり、お前らも勝手に島の中を歩き回ってやがった、と」

全員「「……」」

千歳「……あら?」

提督「どうした」

千歳「これだと、お弁当の数が足りなくないですか? 可愛い柄のランチボックスがひとつと、紙箱入りの豪華なお弁当が9つ……」

提督「あん? なんだ、人間の分しか用意してねえんじゃねえのか」

千歳「そうだとしても、このランチボックスを入れると、全部で十個ですよ?」

雷「そのお弁当は私と司令官のよ!」キョシュ!
609 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/09/14(火) 22:44:48.54 ID:nFn2ij2jo

提督「それでもふたつ……いや、よっつ足りねえな。遠大佐と秘書艦除けば、人間8人と艦娘5人だろ?」

クルー4「そ、それは……」

クルー6「あー、すんません。艦娘の分は弁当準備できてないっす」

千歳「えっ、じゃあ一個多いのは」

クルー6「留さんの分っす。そういう指示だったんで」

提督「……」

クルー2「留さんが急にこの艦娘たちも連れて行こうって言うから……!」ゴニョゴニョ

提督「千歳と足柄の分も用意してねえとこ見ると、最初から艦娘の飯を準備すること自体、頭になかったみたいだな?」ジロリ

クルー6「重油でいいって聞いたっすから」シレッ

千歳「……」

雷「ご、ごめんなさい! 私たちが準備できなくて……!」

遠大佐「この3人を連れて行くことになったのは急に決まったことなんだ」

遠大佐「千歳と足柄の両名についても、合流したのは今朝出立前だ。我々の準備不足だ、すまない」ペコリ

提督「……仕方ねえな。この3人と千歳たちの分はこっちで準備する。大したものは用意できねえが、我慢してくれ」ハァ…
610 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/09/14(火) 22:45:34.03 ID:nFn2ij2jo

留提督「良かったあ、鹿島ちゃん一緒にご飯食べようね!」

鹿島「……」ゾワッ

提督「は? お前らはお前らでここで食えよ。こいつらは食堂に連れて行く」

留提督「はあ!?」ガタッ

提督「はあ!? じゃねえよ、こっちにわざわざ飯を持って来させようってか!? そこまで御膳立てしてられっか!」

提督「この部屋の机だって座れて10人程度だってのに、どうやったら全員で飯が食えると思ってんだよ!」

留提督「だったら僕たちも食堂に」

提督「さっきまで勝手に出歩いてた奴がふざけたこと言ってんじゃねえ! 便所以外でてめーらをこの部屋から出す気はねえぞ!」

留提督「なんでだよ!」

提督「なんで……って、お前は人の話聞いてねえのかよ」ゲンナリ

最上「すごいねー、こういうのを厚顔無恥って言うんだっけ?」

霧島「……」ヒキッ

三隈「最上さん!?」ヒィィィ!?

摩耶「いや、思ってても口に出すなよ……あたしもそう思うけど」ボソッ

留提督「横暴だろ! こっちの遠大佐はお前の上官だぞ!」

提督「それがどうした、こっちはこの鎮守府の責任者だ。郷に入らば郷に従えよ。客なら客らしくその家長に従いな」
611 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/09/14(火) 22:46:22.57 ID:nFn2ij2jo

提督「こちとらあくまで『厚意』で『部外者』を鎮守府においてやってんだ。俺のやることが不満なら、早く島から出ていけってんだよ」

留提督「船もないのに! 泳いでいけって言うのか!」

提督「船がなくなったのはお前らの都合だろ。不満なら出ていけ。出ていきたくないなら俺の言うことに従えって言ってんだ。至極単純だろうが」

留提督「遠大佐! いいんですか、こんな下っ端にここまで言われて!」

遠大佐「……あまり言いたくはないが、君のこの島での権限を剥奪してもいいんだぞ」

摩耶「ああ!?」ギロリ

霧島「司令? このような行為こそ横暴と言うべきでは?」

提督「落ち着け。まあ、権限くらいやってもいいぞ。その時はこの島の艦娘全員集めて通達する。その代わり……」

遠大佐「その代わり……?」

提督「うちの艦娘が、お前らの決定にどんな反応を示したとしても、俺は責任取らないからな?」

遠大佐「どういう意味だ?」

提督「事情は様々だが、轟沈させられた過去を持つ艦娘の面倒を、お前がちゃあんとみていられるか、って話だよ」

提督「何度も言ってるが、轟沈した艦娘は深海棲艦になるってのが通説だ。本営だって根拠なく言ってるわけじゃねえ」

提督「この島に人間は俺一人。憲兵にも特警にも常駐を拒否されたくらいだ。俺が危惧してること、理解できるよなあ?」

遠大佐「……っ」

雷「……そ、そのときは私が司令官たちを守るわ!」

提督「ああ、そうかい。ま、やれるもんならやってみな」フン
612 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/09/14(火) 22:47:03.74 ID:nFn2ij2jo

提督「それからもうひとつ、この島には、轟沈して流れ着いた艦娘だけじゃなく、余所の鎮守府から異動させられてきた艦娘もいる」

クルー3「!」ビクッ

留提督「はあ!? 今更都合のいい嘘をつくな!」

クルー4「い、いえ、それは本当なんです! 俺が会った戦艦長門がそう言ってました!」

留提督「え!? ながもんいるのここ!?」

提督「で、そのなかには、その時の提督に歯向かって提督に危害を加えた艦娘や、鎮守府そのものを焼失させた艦娘もいる」

遠大佐「……!」

摩耶(あたしのことだろうなあ……)ウーン

三隈(三隈のことですよね……)

提督「俺がいなくてもそいつらを抑え込める自信があるなら、俺を解任してみればいいさ。俺は止める気ねえからな?」

留提督「あんた……俺たちを脅すつもりか!」

提督「俺は事実を述べてるだけだ。つうか、この島に来るんだったら、ここがどんな場所か、もうちょいしっかり調べておけよ」

提督「とにかく、お前らはもうこの部屋から出るな。これ以上、この島の艦娘たちの居場所を引っ掻き回すんじゃねえ」
613 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/09/14(火) 22:48:10.64 ID:nFn2ij2jo

留提督「だからって鹿島たちだけを連れて行くのはないだろう!? どうなんですか遠大佐!!」

遠大佐「ふむ……千歳と足柄はともかく、鹿島と山風、ガンビアベイは私の部下だ。それを君が勝手に連れ回すのはどうかと思うが?」

提督「ん……確かに。それはそうだな」

留提督「おおっ!」

提督「そういう話なら、遠大佐とその秘書艦が食堂に同行するのは認める。が、留提督とその一味の退室は不可だ」

留提督「あああああもおおおおおお! なんでそうなるんだよおおおお!」バンッ!

提督「そうなるだろうが。自分がやったことを省みろよ、もう説明すんの面倒臭すぎんぞ……」ハァ

提督「ともあれ、加古と鳥海も一日座りっぱなしで疲れたろ。食堂へ向かうぞ」

鳥海「は、はい!」スクッ

加古「……」ガタッ

提督「遠大佐たちも準備しな。お前たちもだ」

鹿島「は、はい……! みなさん、行きましょう」スクッ

ガンビアベイ「Y, Yes...」ビクビク

山風「うう……」ビクビク

留提督「……くそぉ……!!」ギリギリッ
614 : ◆EyREdFoqVQ [saga]:2021/09/14(火) 22:49:03.24 ID:nFn2ij2jo
今回はここまで。
615 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/16(木) 13:06:01.47 ID:OFnX5ecu0
乙。
提督チームの切り札は中将への手紙で
留提督御一行の切り札は骨の写真かな?
そうなると墓場島が流刑所扱いな話も出てくるかも
まぁ今一番気になるのは雷だけどな。
616 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/17(金) 06:25:47.57 ID:bN3nuc1W0
中将は骨のことしってるっけ?後クルー達が写真を出しても面倒くさくなるだけで害は、無さそうかな?
617 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/17(金) 06:26:52.88 ID:bN3nuc1W0
中将は骨のことしってるっけ?後クルー達が写真を出しても面倒くさくなるだけで害は、無さそうかな?
618 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/09/17(金) 17:37:18.26 ID:7XDi4fnV0
留提督が大和の存在知ったらまた暴走すんだろな
619 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/18(土) 19:38:14.21 ID:LIvc/NqH0
>>618ありそうで怖い
620 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/09/28(火) 18:26:01.11 ID:9ec7IEnk0
>>618
そういえば今まで提督は大和について触れてなかった...!?
そうなる可能性は微レ存というか十分にあると見た
621 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/05(火) 23:05:52.35 ID:pZt3Y4vNo
それでは続きです。
622 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/05(火) 23:06:46.63 ID:pZt3Y4vNo

 * 食堂 *

 ガヤガヤ…

陸奥「へーぇ、潮ちゃんが代筆したの?」

潮「は、はい! あの船の乗組員さんに渡すお手紙だそうです……!」

長門「潮がいきなり呼び出されたから、何があったかと思ったんだが……」

潮「私の字の方がしっかりしてるから、と……」

陸奥「それで実際に効果があったのよね。すごいじゃない」

潮「あ、ありがとうございます……!」

長門「……それにしても、遠大佐は事の重大性を理解しているのか?」

陸奥「できてないんじゃないかしら。仁提督のときは、彼自身がこの島のことを理解してなくて、話し合いで済んだからそれまでだったけど」

陸奥「今、来てる人たちは最初から轟沈経験艦を引き取る目的で来てるわけでしょ?」

陸奥「本営の意図を無視してタブー視されていることをやろうとしてるからこそ、上に報告せずにここへ来たんじゃないの?」

初春「そうであろうなあ」ズイッ

陸奥「!」

不知火「失礼します」
623 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/05(火) 23:07:33.96 ID:pZt3Y4vNo

長門「おお、初春と不知火か。お前たちも夕餉か」

不知火「はい。遠大佐の顔も見ておけと司令からの指示がありまして」

初春「近くに座らせてもらって、様子を探ろうと思っての。少し遅めに参じたわけじゃ」

陸奥「ふぅん。どんな人なのかしら」

初春「秘書艦が雷と聞いておるが、どのような人物かは掴めておらんでの」

不知火「まだ遠大佐はこちらに来ていませんね」

長門「ああ……おや? あれは……」

潮「もしかして……あの人たち、ですか?」


霧島「こちらが食堂です」

雷「ありがとう霧島さん!」

遠大佐「なかなか賑やかだな。一度轟沈した艦娘が多いとは思えないほどだ」

敷波「!」

朝雲「!」

敷波「……」ヒソヒソ…

朝雲「……」コクコク

敷波「……」タタタッ

朝雲「……」タタタッ
624 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/05(火) 23:08:16.39 ID:pZt3Y4vNo

遠大佐「……歓迎はされていないようだが、当然か。仕方ない」

雷「司令官、大丈夫よ。私がいるじゃない!」ニコッ

遠大佐「ああ、ありがとう」


不知火「目標確認。近くに行きましょう」

初春「うむ、それでは参ろうかの」

陸奥「気を付けてね」ヒラヒラ


加古「はぁ……やっと外に出られた。留提督ってば話を聞かないくせに、しつっこいんだよぉ」

雷「加古さん、そんなに戻りたくないの……?」

加古「だって、戻ったらこれから先、ずーっとあいつがついて回るんでしょ? 悪いけど、あたしはこっちの鎮守府のほうがいいよ」

雷「……」

加古「ていうかさ、留提督がいないから訊きたいんだけど、遠大佐もなんであんな奴の言うことに何も口出ししないのさ」

鳥海「それは私も同感です。留提督の説得は説得と呼べるものではなく、ただのご自身の希望の押し付けでしかありません」

鳥海「あらかじめ着地地点が決まっていて、是も非もなく強引にそこへ持ち込もうとしている……そんな印象を受けました」

遠大佐「……」
625 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/05(火) 23:09:01.14 ID:pZt3Y4vNo

鹿島「あの……私たちは、何のためにこの島に連れてこられたのでしょうか?」

鹿島「言われるがままにこの島に来て、言われるがままに艤装を外し……今の私たちはなんの戦力にもなりません」

鹿島「遠大佐、あなたは……あなたたちはいったい、何をしようとしているのですか……!?」

山風「……」

ガンビアベイ「……」

雷「司令官……!」

遠大佐「……すまない。今はまだ、話すことはできない」

雷「……」

ガンビアベイ「E, Excuse me, わ、私たちが、この島の鎮守府に入ったのは、ここの提督准尉? の、お考え、ですよね?」

遠大佐「……ああ、それはそうだ」

ガンビアベイ「それは、どうしてなんでしょうか……? 私、疑問です」

山風「う、うん、それは、不思議……あの人、ずっと、私たちを、睨みつけてた……」

鹿島「どういうことなんでしょう……」

雷「うーん……」
626 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/05(火) 23:10:01.14 ID:pZt3Y4vNo

霞(エプロン着用)「随分辛気臭い顔してるわね」

ガンビアベイ「!?」ビクッ

山風「!?」ビクッ(←鹿島の陰に隠れる)

千歳「あら、霞ちゃん! 久し振りね!」

霞「お久し振りです、千歳さん。摩耶さんから聞いたけど、夕餉を準備してなかったんですって?」

千歳「そうなの。私と足柄、それからこちらの3人……」

鹿島「練習巡洋艦、鹿島です。こちらは駆逐艦山風と、航空母艦ガンビアベイです」

霞「ふぅん……」

山風「……」オドオド

ガンビアベイ「H... Hello...」ビクビク

霞「そんなに怯えなくていいわよ。もうすぐご飯ができるから、もう少し待ってなさい」クルリ スタスタ…

雷「あ、ありがとう……!」

摩耶「お、みんな来たんだな。とりあえず適当な場所に座ってくれよ」

雷「ええ、それじゃあ、お言葉に甘えましょ! 司令官! みんなも座って!」イスヒキ

遠大佐「ああ、ありがとう」ニコ
627 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/05(火) 23:10:46.91 ID:pZt3Y4vNo

霧島「あなたたちも、気分はすぐれないかもしれないけれど、良かったら食べていって」ニコニコ

鹿島「あ、ありがとうございます……」

山風「……」ジー

ガンビアベイ「……? 山風、どうしたの?」

山風「う、ううん、なんでもない……」

雷「私たちのお弁当はあるけど、みんなのご飯が来てから頂きましょ! みんなで食べたほうがおいしいもの!」

遠大佐「そうだな、雷」ニコニコ

三隈「私たちも一緒にいただくんですの?」

最上「特に何も言われてないから、自由でいいんじゃない?」

不知火「失礼します、こちらにご一緒よろしいでしょうか」

最上「うん、いいよ!」

三隈「提督の代わりに遠大佐の見張り……ですか?」ヒソヒソ

初春「うむ、まあそんなところじゃ」ヒソヒソ

加古「あたしもこっちに座っていい?」

最上「うん!」
628 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/05(火) 23:11:31.54 ID:pZt3Y4vNo

鳥海「私もこちらに失礼しますね……」

三隈「あら、鳥海さんもですか?」

鳥海「ちょっと離れて冷静になろうかと思いまして……」

足柄(エプロン着用)「待たせたわね! 今日の夕餉を持って来たわ!」バーン!

霞「ちょっ、足柄さん!? わざわざ配りに行かなくても、取りに来させればいいじゃない!」

足柄「あ、そっか、ごめんね?」テヘペロー

千歳「足柄、あなた厨房のお手伝いしてたの?」

足柄「話の流れでね。私たちの夕餉が用意されてなかったのはこっちの不手際だし、ただで御馳走になろうだなんて不作法だと思わない?」

千歳「そうだったの……ごめんね霞ちゃん、いきなり押しかけて、迷惑だったでしょう?」

霞「大丈夫、全然迷惑じゃなかったわ。むしろ足柄さんの手際が良いからすごく助かっちゃって」

千歳「だったら良かったけど……そういえば、足柄は波大尉のところでも厨房でいろいろ作ってたものね」

足柄「以前はゲン担ぎと私の好みでトンカツばかり揚げてたけどね〜」

千歳「全然野菜が出ないから、波大尉から『艦娘と一緒にするな』って、叱られちゃったのよね」

霞「え……」
629 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/05(火) 23:12:31.62 ID:pZt3Y4vNo

千歳「ほら、足柄って一点豪華主義的なところがあるじゃない? 火力第一みたいなところとか」

霞「あー……そんなところまで『飢えた狼』してなくてもいいのに」

足柄「そ、そんな呆れたような顔しないでよ!?」

霞「足柄さんらしいと言えばらしいのよね、そういうとこ」

霞「でも、この島じゃあ肉も卵も貴重品だから、トンカツはあまり作る機会ないのよね……」

千歳「それで今日のメニューが魚の竜田揚げなのね」

最上「それと高菜のチャーハンと中華スープかー! おいしそうだね!」

三隈「ここが離島であることを忘れてしまいますわね……」

雷「みんなのご飯もきたみたいだし、私たちも食べましょ、司令官!」ベントウヒラキ

 弁当『いかにもな愛妻弁当です!』

千歳(……ご飯にピンクのハートマークが……)

足柄(あれ、キャロットグラッセかしら……ハート型になってる……)

霞(手が込んでるわね……卵焼きにハムとチーズが巻かれてるし、ちゃんと彩りも考えられてるわ)

雷「ちょっ、どうしたの!? みんなこっち見て固まってる!?」

千歳「あ、ああ、すごいわね、って……」

比叡「あれ? みんなどうしたの?」

霞「べ、別に何でもないわ、大丈夫よ」
630 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/05(火) 23:13:17.20 ID:pZt3Y4vNo

千歳「ちょっと、なんで比叡さんが厨房から出てきたの」ヒソヒソ

足柄「これ作ったの比叡さんよ?」ヒソヒソ

千歳「ちょっ……!?」

足柄「そんな顔しないの! 私も驚いたけど、絶対おいしいから大丈夫よ!」

千歳「そ、そう? 足柄がそう言うなら、信じるけど……」

加古「いやもうあたし、お腹すいたし眠いし、早く食べて寝たいんだけど……」

摩耶「まあ、そうだな、食べるかあ」テアワセ

不知火「ええ、いただきます」テアワセ

雷「それじゃ、私たちもいただきます!」チャッ

遠大佐「ああ、いただきます」

霞「……ちょっと待って、なんで遠大佐がお箸を持ってないの……」ハッ

雷「司令官、はい、あーん!」ニコー

遠大佐「あーん」

霞「!?」ピキッ

千歳「!?」カシャーン(箸を落とした音)

足柄「!?」バキィ(箸を圧し折った音)
631 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/05(火) 23:14:01.63 ID:pZt3Y4vNo

雷「おいしい?」ニコー

遠大佐「うん、おいちー」ニヘラー

霞「」シロメ

千歳「」シロメ

足柄「」シロメ

霧島「んがぐっ!? げほ! げっほ!」ドンドンドン

摩耶「き、霧島さん大丈夫っすか!?」セナカサスリ

不知火「」ブボァ

初春「」ブボァ

三隈「」ベチャア

最上「三隈!? ちょっと待って、ふきんを持ってくぅわああ!?」ガシャーン

鳥海「最上さん!?」

比叡「」アッケ

鹿島「チャーハンおいしいですね!」タニンノフリ

ガンビアベイ「お魚もおいしいです!」タニンノフリ

山風「もぐもぐ……」カンゼンムシ

加古「……うん、やっぱここのご飯おいしいわ……」モキュモキュ


陸奥「なにあの地獄絵図……」

潮「長門さん、なんだか見覚えのある光景が……」

長門「えらく久々な気がするな……3度目か?」

陸奥「そうなの!?」
632 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/05(火) 23:14:46.44 ID:pZt3Y4vNo

 * 一方 会議室 *

留提督「まったく! ふざけやがって、あのバカ准尉!」モッチャモッチャ

クルー1「ほんっとに失礼な奴ですよね!」

留提督「お父さんへも電話したし、明日の朝には准尉もこの鎮守府から追放だ!」

留提督「僕が大佐になったら呉で過労死するまでこき使ってやる!」

クルー1「そうしてください。こんな態度の悪い提督、初めてです!」

クルー4「そうなったら、この島に代わりの人を立ててもらわないといけないですけど……いくら海軍でもこんな島に来る人いますかね?」

留提督「うーん、どうだろ?」

クルー6「……というか、この島、本当に大丈夫なんですかね」

留提督「ん? どういう意味?」

クルー6「准尉がさっき言ってましたけど、この島の艦娘が提督に歯向かった、って話ですよ」

留提督「どうせ嘘でしょ。准尉の言うことは聞いてたじゃんか」

クルー4「でも、さっきも言いましたが俺も長門からはそう聞きましたよ? 我々が声をかけてた島風とか潮って艦娘もそうだって言ってました」

留提督「えー、ほんと?」

クルー3「私もさっき、工廠にいた艦娘から話を聞いてきたんですが……」

クルー3「そいつが言うには、艦娘が鎮守府を火の海にしたことがあるみたいな口振りでして……」

クルー3「さっき准尉も同じこと言ってましたから、嘘じゃないのか、って……」

クルー全員「「……」」
633 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/05(火) 23:15:31.40 ID:pZt3Y4vNo

留提督「それこそ嘘なんじゃないの? なんでそんな危ないやつが、この鎮守府であの生意気な提督におとなしく従ってるのさ?」

留提督「第一、少佐でも大尉でもなく、准尉だよ准尉! 下っ端だよ! 裏で話を合わせてるんじゃないの?」

クルー6「だとしたら、あの人、本当に准尉なんですかね?」

留提督「……どういう意味?」

クルー6「裏で話を合わせられるくらいなら、本当はもっと偉いか……権限っていうか、権力があってもいいじゃないですか」

クルー6「准尉のくせに遠大佐にも噛み付いてたの、気になりません? 実は身分を隠してるとか……」

クルー4「なんのために……?」

クルー2「あの見た目で実は将官だなんてことはなさそうですが……齢いくつなんでしょうね、あの人」

クルー1「20近いガキに見えるけどなあ……威厳とか全然なさそうだろ」

留提督「憲兵や特警がいないから調子に乗ってんじゃないの? 人間が一人もいないとしたら、威張り放題じゃん」

クルー6「……そうだとしたら、この鎮守府で一番偉いのに、なんで階級が准尉なんすかね?」

クルー全員「「……」」

クルー2「それは……」

クルー1「……お前、どう思う?」

クルー7「い、いや、なんでですかね……」

クルー5「単純に左遷されたとかじゃないのか?」
634 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/05(火) 23:16:16.55 ID:pZt3Y4vNo

クルー6「だとするとまずいっすね」

クルー5「なんでだよ」

クルー6「左遷させられるような人材が一人で管理させられてるわけっすよね? マジでヤバイんじゃないすか、この島」

クルー全員「「……」」

クルー6「人骨転がってたのもそういう理由じゃ……」

クルー2「縁起でもないこと言うな!!」

クルー1「空気読めねえ奴だな!」

クルー6「あー……すんません。もう黙ってます」

クルー6(……でもヤバイことは確実だよな……)ウーン

クルー4「いや、でも、あり得るか……?」

クルー1「なんだよさっきから!」

クルー4「いや……ふと思ったんだけど、もしかして、准尉が本営に敵対してて謀反を企てているとか、だったら……」

クルー全員「「!?」」

クルー4「おかしいと思ったんですよ。艦娘が提督に逆らうなんて話、これまで聞いたことなかったし!」

クルー2「轟沈したり、反逆したことのある艦娘を集めてるとなると……うわっ、洒落にならないぞ!?」
635 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/05(火) 23:17:01.88 ID:pZt3Y4vNo

留提督「うーん、そこまでヤバイかなあ?」

留提督「本当に危険だったら、お人好しの鳥海から、ここの准尉は危ないよ、って話が聞けてたと思うんだけど?」

クルー7「……弱みを握られてるとか?」

留提督「そうかなあ? あいつ、他人庇って轟沈するくらいだよ? 嘘なんかつけなさそうだし、じゃなきゃ挙動不審になってると思うんだ」

留提督「それにこの島、骨を見つけた以外は本当に何もなかったんだよね。みんな、外で他に何か見つけたりした?」

クルー7「すみません、俺は見つけられませんでした」

クルー5「俺は見つけましたよ! 北の岩山に洞穴があったんです!」

クルー1「お!」

クルー5「丁度人が入れそうなくらいの穴が開いてて、奥の方が広々としてて!」

クルー5「隠れ家に使えそうな、いい感じに不気味な穴でしたよ!」

クルー4「へーえ……」

留提督「人が入った形跡とかは?」

クルー5「そこまでの道に踏み固めた跡があったんで、そこは間違いないです!」

留提督「それは怪しいなあ……!」

クルー5「明日はそこを探索してみますか!」

留提督「そうだね! 明日の朝にもこの島を提督准尉から取り上げて、改めてカメラを回して探索開始だ!」
636 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/05(火) 23:17:45.95 ID:pZt3Y4vNo

クルー2「面白いネタが撮れるかもしれませんね!」

クルー1「それじゃあさっそく、下見に行ってきます!」スクッ

 ガチャ!

大和「……」ニコニコ

武蔵「どこへ出かけるつもりだ?」ニヤニヤ

クルー1「」

武蔵「なんだその顔は。貴様らの監視のためにわざわざこの大和型が出向いてやったのだ、不服か?」

大和「提督から、もしあなた方がこの部屋から出ようものなら、即座に砲撃して良いと仰せつかっています」

武蔵「私も、好きに叩きのめせと提督にお墨付きをいただいた」

全員「「……」」

大和「そういえば、あなたでしたね? 朧さんに粗相した人間は」ギロリ

クルー1「ひっ」

武蔵「畑を荒らした上に仲間に狼藉を働いたとあっては、捨て置けというほうが無理というもの」ギロリ

武蔵「これ以上この鎮守府で好き勝手させるわけにはいかん」

武蔵「一歩でもこの部屋から外に出てみろ。その時は……ふんっ!!」ブンッ!

 (武蔵が右ストレートを放ち、クルー1の顔の前で寸止めすると、その衝撃で、ぶわっ、と風が舞う)

クルー1「ひえ……!」ヘナヘナ
637 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/05(火) 23:18:31.41 ID:pZt3Y4vNo

武蔵「次は止めんぞ。この部屋諸共、貴様の首から上が吹き飛ぶと思え」

武蔵「さあ、ドアを閉めてやろう。挟まれて脚が体とおさらばしないように気を付けろ?」ニィッ

クルー1「ひ、ひいいい!!」ズザザザッ

 扉<パタム

留提督「……」

クルー3「留さん本当に大丈夫なんですか!?」

クルー7「大和と武蔵ですよ!?」

クルー2「なんでこの鎮守府に大和型が揃ってるんだ!?」

クルー4「すげー……初めて見た」

クルー6「どっちもでかかったっすね……」

クルー5「けど、これじゃ下見は無理ですね……」

留提督「いいよいいよ、今は大人しくしておこう。そっか、大和と武蔵もいるんだ〜。うちの艦隊、豪華になるね!」

クルー1「え? ええ、まあ……そういう話でしたね」

留提督「この島の指揮権、どうせ准尉から取り上げるんだ。あの二人も呉に連れて帰って、みんなをびっくりさせようよ」ニヤニヤ
638 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/05(火) 23:19:46.46 ID:pZt3Y4vNo

 * 一方 部屋から少し離れて *

武蔵「これで良かったのか?」

大和「ええ、良かったと思うわ。もし私がやっていたら、寸止めせずに平手打ちしてたかもしれないし……」

武蔵「だとしたら間違いなく奴の頭がすっ飛んでいただろうな……」

大和「感情が抑えきれなかったのよね……提督のお部屋に無断で入った時点で、到底許してはおけない存在と認識してたから」ドロリ

武蔵「ま、まあ、そう、か」ヒヤアセ

大和「あ、でも武蔵は別よ? この島の艦娘だし、この島の規律のことを思ってやったわけだし」ニコニコ

武蔵「目の濁りというか……その笑顔が怖いんだが」ヒキッ

大和「そ、そう? 私も未熟ね……」ウーン

提督「よう。悪いな、門番みたいな真似させて」

大和「提督……!」

武蔵「気にするな。私も初雪を拐かそうとした奴らの顔を見ておきたかったところだ」

武蔵「しかし、いろいろと良かったのか? あいつらはこの鎮守府から艦娘の引き抜きを狙っているんだろう?」

提督「そうらしいな。ま、俺としては連中の本性を早めに見ておきたくてなあ」

武蔵「本性?」
639 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/05(火) 23:20:46.28 ID:pZt3Y4vNo

提督「昔、N中佐がここに来て大和を見たとき、元の目的忘れて大和に懸想したんだよ」

提督「同じように連中がお前たちを見てどんな反応を示すのか、早く知っておきたくてなあ。大した反応を見せないならそれでいいし」

提督「調子に乗るようなら更に煽って持ち上げて、一番高いところから一気にぶち落とす」ニヤァ

武蔵「……なあ、この男は大丈夫なのか?」

大和「え、ええ、大丈夫よ?」

提督「連中に冷静な判断をさせないためとはいえ、二人を餌にしてるみたいでお前たちも気分が悪いと思うが、そこはまあ、勘弁してくれ」

武蔵「まあ、そういう策だというのなら従うが……今の口振りからすると、私たちが配属されている鎮守府は珍しいのか?」

提督「大和も武蔵も珍しいらしいぞ。箔がつくって意味でも、大和型の着任を望んでる鎮守府は多いって聞いてる」

大和「私が本営に行ったときも、私の周りに人だかりができていましたからね……」

提督「とりあえず中の様子は妖精たちに探らせてるんだが……さらっと聞いた感じだと、留提督の父親が呉の鎮守府の大将と知り合いらしいな」

武蔵「そういうコネがあるのか。大丈夫なのか?」

提督「こっちが優位なのは変わらねえよ。まず、轟沈した艦娘を連れ帰るってのがどれほどおおごとかを奴らは理解してねえし」

提督「仮にあいつの父親が呉のトップと懇ろだとしても、周囲からは猛反発を食らうことは間違いない」

提督「無理を通したリターンに比べてリスクが高すぎるし、そんなことすりゃ本営にも、最悪憲兵たちにも目を付けられるだろう」

提督「そもそも憲兵すらこの島に駐在するのを拒否されたほどだ。目を付けられるどころの話じゃねえだろうなあ」

提督「呉のトップがそこまで突っ走る無能なら、本営からもでかい釘がぶっ刺さるだろうさ。留提督の思い通りに動くなんて有り得ねえ」

武蔵「ふむ……だといいのだが」
640 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/05(火) 23:21:31.57 ID:pZt3Y4vNo

提督「それにこっちには『あれ』がいるからな。どんな手を使ってでも、この島から連中を追い出してくれるさ」ニヤリ

大和「あれ……とは?」

提督「『あれ』は『あれ』だ。定時連絡で赤城に確認したが、あんな目に遭っても『あれ』は未だに大和にご執心だと」チッ

大和「まさか……」ゾワワッ

提督「その大和を新参の留提督が横から掠め取ろうとしてたとあっちゃあ、『あれ』も面白くもねえだろう」

提督「いい気味だぜ、殺したいほど憎い俺たちを守るために『あれ』が必死になるんだからなあ……!」

大和「」アオザメ

提督「腐ってても『あれ』が今の俺の直属の上司なんだ、せいぜいこの島を荒らされないよう、奔走して貰おうじゃねえか。ククク……!」ニヤァァ

武蔵(……この男、本当に大丈夫なんだろうな?)タラリ

大和「て、提督……」ガタガタ

提督「……あー、嫌なもん思い出させちまったか、大丈夫だ、心配すんな」

大和「提督……!」ヒシッ

提督「お前を中佐なんかにゃあ渡さねえよ。勿論、留提督にもな」ナデナデ

大和「うう……」グスン

武蔵「……」

武蔵(まあ、大和がこれほど信頼しているのなら、信じてもいいのかもしれんな)フフッ…
641 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/05(火) 23:24:16.44 ID:pZt3Y4vNo

 * それからしばらくのち 執務室 *

提督「こちら××島鎮」

通信『どういうことだ准尉。なぜ部外者の侵入を許した!』

提督「守府……なんだ中佐か。これまでの状況は赤城に伝えたとおりだぞ」

提督「何の連絡もなしに呉の遠大佐と留提督が乗り込んできて、自分のところで沈めた艦娘2隻と話がしたいって言うんだ」

提督「大佐が相手じゃ、話を聞かないわけにもいかねえだろ」

通信『留とか言う奴は何者だ』

提督「芸能人らしい。スタッフと一緒にテレビカメラ数台引き連れてきやがった」

通信『っ! 何も撮影させてないだろうな……!!』

提督「撮影許可は出してねえよ、カメラもデジカメだが一台見せしめに潰してやった。それでも隠し撮りしてる可能性は否めねえな」

通信『なぜすぐ報告しなかった!』

提督「こっちで準備した会議室から奴等が脱走して家探しを始めたんだよ! 捕まえんのに苦労したぜ……ったく」

通信『ちぃ……! どいつもこいつも勝手な真似しやがって……!』

提督「今は全員とっ捕まえて会議室に閉じ込めて、艦娘に見張らせてる。あいつらが乗ってきた船も一旦呉に戻ったはずだ」
642 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/05(火) 23:25:02.08 ID:pZt3Y4vNo

通信『待て、なんで船が呉に戻ったんだ。寝泊りさせる気か!』

提督「まあ、そうなっちまうが、それにはいくつか理由がある」

提督「留提督は、轟沈した艦娘をそのまま連れ帰って運用するつもりでいる。遠大佐はその危険性を見過ごそうとしている」

提督「だが、俺は、轟沈した艦娘をここ以外で運用する話は聞いてない」

通信『……』

提督「だから俺は、その船の乗組員に、遠大佐が本当に呉の上官に許可を得てこの島に来たのか、確認するよう手紙を送って依頼した」

提督「それでもし、呉の上官がそのことを把握してなかったら、遠大佐たちの独断だろうから一度日本に引き返すよう提案した」

提督「あいつらが轟沈したことのある艦娘を引き連れて呉へ戻るのを防ぐためにな」

提督「それから、この島で撮影したであろう写真や動画を持ち出すのを防ぐ目的もある。これは俺たちの都合の話だ」

提督「結果的に船がこの島から出港したってことは、上には連絡がいってない、って話で確定なんだろう」

通信『ふん、そういうことか……なら、まだ手は打てるな。貴様にしては上出来だ』

通信『それで、奴等の目的はなんだ?』

提督「まずはテレビに映すためのネタが欲しいんだろう。留提督が轟沈した艦娘を初めて助け出したって話題になれば、評価されると思ってるらしい」

提督「そしてそれを土産に、留提督が呉で何らかの地位を得られるような働きかけをしているようだ。大佐になる、とかほざいてたぜ」

通信『馬鹿な……!? どこでそんな話になっている!?』

提督「それはわからねえよ。もうひとつわからねえのが、遠大佐の目的だ。なんでそこまでして留提督を支援してるのか、まったく見当が付かねえ」
643 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/05(火) 23:26:01.43 ID:pZt3Y4vNo

提督「轟沈した艦娘が深海化する話も、留提督の一味は信じちゃいないようだったが……」

提督「呉に轟沈艦を連れ帰ればどうなるか、少なくとも遠大佐は理解してないとは思えねえ。あいつは俺みたいに民間の出じゃねえらしいからな」

通信『……』

提督「それからもうひとつ。留提督は俺を島から追い出して、呉で働かすつもりらしい」

通信『はぁ!? どういうことだ!』

提督「自分が歓迎されなかった逆恨みだろ。そのついでに大和やら長門やら引き抜くつもりみたいだしな」

通信『んな……なんだとおおお!?』キーン

提督「く……マイクに向かって叫ぶんじゃねえよ、くそが……!」

通信『大和を引き抜くだと!? ふざけるな! 赤城! すぐに呉鎮守府に連絡を取れ!』

通信『准尉! 貴様はそいつらを見張っていろ! 歯向かうようなら牢屋にでもぶち込んでおけ! いいな!』

通信『ブチッ』

提督「……思ってた以上に効果覿面だな。あの様子じゃあ、まだ大和を諦めてねえってか……やれやれ、面倒臭え」

不知火「司令、これで良かったんですか?」

提督「ん? ああ、とりあえずはな。呉のお偉いさんの相手をする分には、あいつの方が多少手馴れてるだろう」
644 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/05(火) 23:27:01.47 ID:pZt3Y4vNo

提督「それから、大和の話でぶっ飛んじまったが、あいつにとってもこの島を家探しされるのは不愉快みたいだ、ってのがわかったし……」

提督「少しは真面目にあいつらを島から追い出すために奔走するはずだ」

不知火「そうでしょうか……」

提督「そのはずさ。拠点としての価値に乏しいこんな島を、中佐が後生大事に確保しとくのには、なにか理由があるはずだ」

提督「ともあれ、あいつの弱みは、いくらでも握っとくに越したこたあねえからなぁ」ケッケッケッ

不知火「司令……顔が悪党になってますよ」ヒキッ

提督「おう……そんなに悪かったか」

不知火「はい。それから、人骨を見つけたと言っていますが……」

提督「それは別に驚かねえな。ここも戦場になってるんなら、ひとりやふたり人間が死んでてもおかしくねえだろ」

提督「だいたい、俺がここに来るより前の犠牲者だ。この話を追及されるべきは当時の管理者である中佐であって、俺は丸投げするしかねえ」ニヤニヤ

提督「精々、俺たちのために駆けずり回って苦労するがいいさ……!」

妖精「……顔が完全に悪役だ」

不知火「……悪役ですね」
645 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/05(火) 23:28:57.92 ID:pZt3Y4vNo

提督「さてと、いい気分に浸るのは後にして……不知火、氷とクーラーボックスは千歳に渡したか?」

不知火「は、はい。釣りに使っているので、若干魚臭いですが……それと、酒保で売られているお酒も少々足しておきました」

提督「そうか」ニヤッ

 扉<コンコンコン

千歳「千歳です」

提督「おう、入ってくれ」

千歳「失礼します。准尉、クーラーボックスとお酒を届けて参りました。ついでに私が持ってきた缶ビールも一緒に冷やしておきましたけど……」

提督「そこまでやってくれりゃあ、向こうも気分いいだろ。お疲れさん」

提督「魚臭えのもビニール袋で包んどきゃいくらかましだろ。日本人は酒が冷えてねえとうるせえからな」

不知火「どういうことですか……?」

提督「敵に塩ならぬ、酒を送ってやっただけだ。まあ、それ自体が罠なんだが」

千歳「え?」

提督「酒に酔わせて寝たところを退治したのが八岐大蛇……丁度あいつらも8人だったよなあ」ニヤリ

千歳「あ、あの……というか、たったあれだけのお酒で酔っ払って寝るとは思えないんだけど……」

提督「気分が良くなって気が大きくなってくれりゃいいのさ。酔っ払いってのは後先考えねえからなあ」ニヤニヤ

千歳「悪い顔してるわね……」タラリ

不知火「ええ……いつものことです」ハァ

提督「日没と一緒にランプと酒のつまみと綺麗なお布団まで用意してやりゃあ、さぞかし羽目を外してくれるだろうぜぇ……!」クックックッ…
646 : ◆EyREdFoqVQ [saga]:2021/10/05(火) 23:30:03.85 ID:pZt3Y4vNo
というわけで、今回はここまで。
647 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sneg]:2021/10/06(水) 03:24:53.25 ID:/caWTwOK0
バケモン(留提督)にはバケモン(中佐)をぶつけンだよぉ!で笑ってしまった
大和が騒動の一つになるとは思ってたけどまさかここで中佐まで動かすとはwww
648 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/06(水) 11:43:05.66 ID:vIHKNx7KO
毒を以て毒を制する、か…こりゃ荒れるぞ
649 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/06(水) 18:25:24.01 ID:4oL1MDjeO
乙!
更に面白くなって来たのね!
650 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/06(水) 19:25:56.82 ID:kcV1Cm6d0
oh..予想のだいぶ斜め上を行ってくれましたね...
にしても両陣営の思惑がサッパリわからない...
651 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/07(木) 12:32:07.56 ID:B5GW3dTB0
俺らが予想を立てる度に予想外の展開を作りやすくなっている…なんて巧妙な罠!さすがです。
652 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/17(日) 19:36:29.66 ID:55oNo2Lc0
支援
653 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/29(金) 15:56:02.58 ID:ACBCtoamO
ここの提督さん、生い立ちからして大変なんだけど本人が陰徳を積み上げているのに、それに報いられそうな助けの手も敵対者と一緒に払い退けてしまって間接的に事態を悪化させてまっているのが切なく感じますねえ…はっちゃんの治療が上手く行って、少しずつでも前に進んで罠だらけバッドエンド回避してくれると良いんだけどなあ
654 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/31(日) 04:59:43.11 ID:1Zz/4l1GO
>>653
もう最終回っていうか最後どうなるかは完結してるよ
655 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/31(日) 17:55:36.04 ID:txAHe89eo
続きです。
656 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/31(日) 17:56:15.97 ID:txAHe89eo

 * 夕食後 会議室 *

留提督「8時消灯!? いくらなんでも早すぎだよ!」

提督「阿呆か。この鎮守府で夜中に騒ぐ必要がどこにある」

遠大佐「鎮守府そのものの防衛は大丈夫なのか……!?」

提督「うちの場合はこれまでこうやってやり過ごしてきたからな。そもそもこの辺の不安定な潮の流れのせいで寄ってこないってのも一因だ」

提督「それに、発電機の燃料代が馬鹿にならねえ。だから基本的に夜間は通信機と保冷庫を動かす電力だけ確保して節約運転してんだよ」

提督「ま、今夜はお前らがいるから、大和たちを夜間哨戒させてしのぐつもりだ」

留提督「え、大和を外に出すの?」

提督「万一に備えてうちの艦娘に見張らせんだ。やらなくていいってか?」

留提督「あ、いや……うん、しょうがないか……」

提督「寝室も一応用意した。寝るだけの部屋なんで、晩酌はここで済ませてからそっちに移動してくれ」

提督「部屋割りは遠大佐と秘書艦の雷で一部屋、留提督とテレビスタッフ7人は4人ずつで二部屋。誰がどっちで寝るかは適当に決めてくれ」

提督「あとは遠大佐の艦娘3人で一部屋、足柄と千歳が2人で一部屋。寝室の場所も広さもばらばらだが、まあ我慢しろ」

留提督「我慢しろ、ってその言い方……」イラッ
657 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/31(日) 17:57:01.18 ID:txAHe89eo

提督「それから、艦娘たちはすぐに寝るそうだ」

留提督「えええ!? 一緒に呑まないの!?」

提督「艤装もねえし、役には立てないから、大人しくしてるとよ。だから酒の席も遠慮するって話だ。だよな、遠大佐?」

遠大佐「ああ。我々も今日は早めに就寝する」ウナヅキ

留提督「なんでそこで付き合いで一緒に呑めとか言わないんだ……!」ブツブツ

提督「そういうわけなんで、今さっき鹿島たちを風呂へ案内した」

留提督「えええええ!?」ガタッ

提督「何をそんなに驚いてんだよ」

留提督「……いや、なんでもない」ストン

提督「? よくわかんねえな……」

提督「とにかく、夜間哨戒のためにうちの艦娘は大半が海に出る予定だ」

提督「その分、鎮守府の中で何かあっても対応できねえから、くれぐれも、大人しくしてろよ?」ギロリ

全員「「……」」

提督「風呂については、大浴場の隣に個室の風呂が3つ併設してある」

提督「今は鹿島たち3人が入ってるから、出たら次に足柄と千歳を呼ぶ。あんたたちはその後でいいな?」
658 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/31(日) 17:57:46.36 ID:txAHe89eo

遠大佐「私と雷は一緒で構わないぞ」

提督「……は?」

雷「どうかしたの? 准尉さん?」

提督「一緒に入るのか? 風呂に……」

雷「ええ! いつも私が司令官の背中を流してあげてるのよ!」

提督「」

クルー2(准尉が固まった……)

留提督(さすがにロリは範囲外……なのか?)

クルー1(如月はロリじゃないのか……?)

提督「……お前らも風呂に入りたいなら20時までに申請しろ。人数が多いから時間は守れよ、これ以上の特別扱いはしねえ」

クルー5(考えるのを拒否して話題を変えたな……)

留提督「個室にお風呂はついてないの?」

提督「ねえよ、そんなもの! ぶっちゃけ真水も蝋燭も貴重品なこの島で、そんな要求通ると思ってんじゃねえ」イライラ

留提督「……」

提督「ここで飲み食いするときも、電池式のランプは貸してやる。満月だから月明かりでも十分だと思うがな」
659 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/31(日) 17:59:00.77 ID:txAHe89eo

提督「それから風呂の希望者はいねえのか? いなけりゃ風呂場が開くのは明日の朝だぞ」

クルー1「入らせてもらいましょうよ、汗もかいたし……」

クルー6「留さんの服も洗っとかないとまずいっすよ?」

クルー7「寝るときはパンツ一枚でもいいと思いますけど……」

クルー5「余所の番組でも野宿するようなロケあるじゃないですか。風呂に入れるならありがたいもんですよ」

クルー1「下着も使い捨てで買っておきましょうよ。経費はうちで出しますから」

留提督「……しょうがないなあ」ムスッ

クルー5「そんならついでに俺たちの下着も買いましょうよ。贅沢言ってられないんですから」

クルー2「お前、経費って聞いたからそれ言い出しただろ」

クルー1「自腹切れ、自腹」

クルー5「ひっでぇ!?」

 ハハハハ…

提督「……風呂の解放は19時15分から19時45分までだ。酒保はその前後15分開けておく」

提督「19時から20時までは案内役に武蔵を付けさせる。昼間みたいに逃げ出そうものなら、覚悟しておけよ……?」
660 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/31(日) 17:59:46.09 ID:txAHe89eo

遠大佐「それは私から言って聞かせておくよ。これ以上君に手間はかけさせない」

提督「……? だといいがな。んじゃ、俺は執務に戻るぞ」

 扉<ガチャッ

伊8「あ、出て来た」

榛名「提督!」パァッ

提督「なんだお前たち、わざわざ部屋の外で待ってたのか?」

伊8「はい」コク

榛名「提督、今夜、榛名はお部屋にお邪魔いたしますね!」

全員「「!?」」ギョッ

提督「なんだそりゃ? 別にいいけどよ」

全員「「!?!?」」

榛名「本当ですか!? 榛名、感激です!!」ウデニダキツキー

全員「「」」
661 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/31(日) 18:00:31.08 ID:txAHe89eo

提督「そんな話、別に今じゃなくてもいいだろ。で、はっちゃんは何の用だ」

伊8「はっちゃんは榛名さんの付き添いです。報告は報告でありますけど、それは執務室に戻りながら話します」

提督「ん、そうか……」

 扉<バタン

クルー4「……行ったか……」

クルー5「なんだったんだ、今の……」

クルー7「部屋に行くとか言ってたよな……」

クルー1「やっぱりそういうことなのか……?」

留提督「イチャイチャしやがって……本っ当にむかつくやつだな、あの准尉ってのは」イライラ

雷「もう、留提督! もともと私たちを追い出すつもりだったのに、お夜食まで出すって言ってくれたんだから、ひどいこと言っちゃだめよ?」

留提督「う……」

遠大佐「まあまあ、雷も落ち着いて」

雷「でも司令官? 私、いろいろと気になるわ! 加古さんたちを連れ戻すなんて話、もともとなかったじゃない!」

雷「いろんな鎮守府に聞いて回ったでしょ? 轟沈した艦娘は呼び戻しちゃ駄目だって!」

遠大佐「雷……」

雷「司令官、私は心配なの……司令官は、なにか無茶なことをしようとしてない……?」

遠大佐「大丈夫だよ雷。不安にさせてしまったのなら謝る。だが、心配はいらないよ」ニコ

雷「司令官……!」
662 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/31(日) 18:01:15.95 ID:txAHe89eo

遠大佐「……ああ、そうだ、ところで雷。私たちがどの部屋に泊まるか聞いてなかったな。准尉に部屋がどこか聞いてきてもらえないか?」

雷「! そういえばそうね! 私が聞いてくるわね! 准尉さーん!」

 扉<ガチャバターン

遠大佐「……留君」テマネキ

留提督「は、はい」チカヨリ

 グイ

留提督「!」

遠大佐「君の思い通りにならずに苛立っているようだが……」ヒソヒソ

遠大佐「君に望みがあるように、私にも私の望みがあるからこそ、君に全面的に協力しているんだぞ?」

遠大佐「ここで君が軽率な行動をとろうものなら、君にも私にも未来はない」

留提督「……そ、そうかもしれないけど」

遠大佐「我々の……君たちの目的は、轟沈した艦娘を救い出し、英雄として君を海軍に大々的に迎え入れることだ。違うのかね」

遠大佐「いくら君のお父様が海軍に顔が利いたとしても、私の地位を君に譲るつもりだったとしても……」

遠大佐「今、ここにいる君は、私の客将だ。弁えたまえ……!」

留提督「……っ!」

 扉<コココンッ

雷「司令官! お風呂の後に教えてもらうことになったわ! お風呂へ行くときに私たちの荷物も持っていきましょ!」ガチャー

遠大佐「おお、そうか! それじゃ、準備しようか!」ニコニコ

留提督「……」
663 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/31(日) 18:02:00.87 ID:txAHe89eo

 * 執務室へ向かう廊下 *

提督「やっぱり、あいつは鹿島を狙ってるってか」

伊8「鹿島さんたちからこれまでの反応を聞く限り、鹿島さんに好意っていうか下心を持ってる、って感じですかね」

提督「下心ねえ……」

伊8「榛名さんをあの場でけしかけたのも、ああいうシーンを見せておけば動揺するかと思いまして」

提督「お前の仕業かよ。で、どうだったんだ?」

伊8「すっごい反応してましたよ。表情が死んでるのに目が殺気立ってたっていうか、これ以上なく嫉妬してたっていうか」

提督「……」

伊8「あ、それと、はっちゃん見てる人も結構いましたよ。胸部とか臀部とか脚部とか。ちちしりふとももってやつですね」

提督「その表現……」アタマオサエ

伊8「黒潮ちゃんの危惧してた感じになりそうですか?」

提督「まー、そうなりそうだな……そうなって欲しくねえけどよ」

伊8「……最初から本性が見たくて煽ってたのに、今更になって怖じ気づいてるんですか」

提督「風呂に案内した時の鹿島の落ち込み様が半端なかったからな。萎縮しまくってて消え入りそうって言えばいいのか」

提督「艤装がなくて戦力にならねえ上に、この鎮守府に迷惑かけるって立場なもんだから、目に涙いっぱい溜めててよ」
664 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/31(日) 18:02:46.66 ID:txAHe89eo

提督「罪悪感が少々キツいが、あいつらを暴走させるための餌だからな。悪いが人身御供になってもらうさ」

伊8「奇稲田比売ですね」

榛名「くしなだひめ……?」

提督「八岐大蛇の生贄に差し出された娘だよ。須佐之男が助けて嫁にしたっていう」

榛名「よめですか!?」

提督「どこに反応してんだよ」

伊8「提督は鹿島さんのことはお嫁さんにしないと思うけど」

榛名「そ、そうですよね!」

提督「つうか俺は結婚しねえから嫁も何もねえよ、って何度も言ってんだろ」

榛名「そ、そうですよね……」シュン

提督「お前はさっきから極端だな。ほれ、少し元気だせ」アタマナデナデ

榛名「はいっ! 榛名は大丈夫です!!」シャキーン キラキラキラッ

提督「だから極端に元気になりすぎだろ……少しでいいんだぞ」

伊8(ちょっとうらやましい)ムー
665 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/31(日) 18:03:31.14 ID:txAHe89eo

提督「ま、ともかくだ、何事もなきゃあそれでいい。明日の朝になりゃあ中佐の息のかかった連中が、遠大佐たちを連れ戻しに来るからな」

伊8「だったら、何もしなくてもいいんじゃないですか?」

提督「俺があいつらにお灸を据えたいだけだ。勝手が過ぎるし、牢屋にぶち込んで一晩見張っておかねえと、何しでかすかわかんねえ」

提督「つうか、今一番の気になるところは遠大佐の企みだ。できればそっちを汲み取りたいんだが……あの秘書艦も、どこまで知ってんのかね」

伊8「なんとなくですけど、あまりよくわかってなさそうですね?」

提督「んー……やっぱそういう感じか。あの駆逐艦にとってろくでもねえ話じゃなけりゃいいんだが」

伊8(他人の秘書艦なのに、心配し過ぎだと思うんだけど)

榛名「提督は、人には厳しいですけれど、艦娘には本当にお優しいですよね」

提督「!」

伊8「!」

榛名「榛名、少し焼きもちを妬いてしまいます」シュン

提督「……」

伊8「……」

提督「俺、そんなに甘いか?」

伊8「少しは自覚したほうがいいと思いますよ?」ジト
666 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/31(日) 18:04:16.04 ID:txAHe89eo

 * 21:00 会議室 *

朝雲「お刺身お持ちしましたー!」

電「空いたお皿はお下げするのです」カチャカチャ

吹雪「焼酎と氷とお水、ここに置いていきますね! 失礼しました!」ペコリ

 扉<ガチャ パタン

クルー7「ぐへへ……駆逐艦は可愛いなあ」ヒック

クルー4「お前なあ……」

クルー7「なーにカマトトぶってんですかセンパーイ。知ってますよ、4さん、俺と同じ趣味の先輩でしょー?」

クルー4「ぐ……っ」

クルー7「あー、つくづくここに雷ちゃんがいないのが寂しいぜ。あの子にお酌して欲しかったなあ」

クルー1「遠大佐がそれを許してくれるかねえ? それより、4ちゃん酒が足りねーな。昼間の話、まだ気にしてんのかよ」

クルー4「え、ま、まあ……」

留提督「昼間の話ってぇ、提督に歯向かう艦娘がいるって話?」

クルー4「そ、そうです」

留提督「そりゃあれだよ、外れ引いたんだよ、外れ。遠大佐のとこの艦娘も、ここの艦娘もみんな従順じゃん」

クルー5「あの横暴な提督准尉の言うことを、ここの艦娘は全員大人しくきいてんだぜ? 何かあったに違いないよなあ」

クルー1「ああ。ありゃー間違いなく、ヤることヤってるよな」

クルー7「うわー、マジすか!?」
667 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/31(日) 18:05:01.22 ID:txAHe89eo

クルー1「俺がたまたま准尉の部屋に入ったとき、大和とか金剛とかいたからなあ」

クルー7「駆逐艦は!?」

クルー1「そういやいたよ、一人いた!」

クルー7「うっわああああ! マジすかあああ!!」

クルー5「真っ黒確定っすね!」

留提督「ってことは大和は中古かあ。もらっちゃおうと思ったけど、どうしようかなあ」

クルー2「もらうだけはもらっちゃいましょうよ。なんでも資材を大量消費するから、使いづらいらしいですよ?」

留提督「そうなんだ?」

クルー2「練度上げるだけなら、鹿島と一緒に演習だけに出すといいとか聞きました!」

留提督「ふーん……」

クルー5「いやー、それにしても鹿島って子、めっちゃエロいっすよね!」

クルー7「ほんとほんと、目の保養目の保養」

クルー2「お前ロリコンじゃなかったのかよ」

クルー7「見るだけならなんでもいいぜー? 手は出さねえからいいだろー?」

 ギャハハハハ…

クルー6「……」
668 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/31(日) 18:05:46.14 ID:txAHe89eo

クルー6(話のノリについていけねー……)

クルー6(俺も3さんみたいに外に行きゃー良かったかな)グビッ

留提督「……」ポケー

クルー1「? どうしました?」ヒソヒソ

留提督「んー? ああ……鹿島ってマジでイイ体してんだよなあ。顔も小悪魔チックでよー……どう見ても男誘ってるとしか思えねー」

留提督「思い出したらもうムラムラしてきててさ。さっき便所に行ったとき、見張りらしい見張りがいなかったから……」

留提督「やるなら今がチャンスなんだよ。今頃ベッドでおやすみなんだろ? ……なあ?」

クルー1「お……ということは」

留提督「……やるか?」

クルー1「やりますか!」

留提督「ああ……ただ、ノリの悪い陰キャにチクられても面白くないし、なあ」チラッ

クルー5「6のやつですね……それだったら俺にいい考えがありますよ」コソッ

クルー5「千歳と足柄の部屋に連れてってサシで飲ませてやるんです」

クルー1「え?」

留提督「あいつそういう趣味なの?」

クルー5「あの二人と挨拶した時、顔赤らめてましたからね、あいつ」

クルー1「よく見てんなあ」ククッ

留提督「怖え〜」ヒヒッ
669 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/31(日) 18:06:30.87 ID:txAHe89eo

クルー5「共犯者は多い方がいいっすからね。俺がここから連れ出して部屋に押し込めますんで、その隙に行っててください!」

クルー1「いいのか?」

クルー5「適度に出来上がったあたりで俺も後から合流しますんで、先に楽しんでていいですよ!」

クルー7「?」

クルー4「何の話だ?」

クルー6「?」

クルー5「よお、6! お前、ちょっと付き合え!」ガシッ

クルー6「えっ!? な、なんすかいったい!」

クルー5「お前が一人で寂しそーに飲んでるから、いいトコロに連れてってやろうって話じゃねーか!」グイッ

クルー6「は、はあ!?」

クルー5「ほら、ビールとつまみ持てよ!」オシツケ
670 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/31(日) 18:07:26.32 ID:txAHe89eo

 * 鎮守府内 廊下 *

クルー5「さっきの駆逐艦、あの二人が9時まで厨房手伝うって言ってたよな? だとしたらそろそろ部屋に戻ってくると思ったんだが……」キョロキョロ

クルー6「ちょっと、勝手にうろうろしていいんすか……!?」

足柄「あら? あなたたち、どうしたの?」

千歳「飲み会はもうおしまい?」

クルー6「あ……!」

クルー5「いえいえ、待ってたんですよ、お二人を!」

足柄「待ってた? 私たちを?」

クルー5「そうそう。こいつ、俺たちと飲んでても全然楽しそうじゃないんで! だったら仕事してきた二人を労ってこいよと!」

クルー6「え? ええ、えええ!?」オロオロ

足柄「ふーん……まあ、やぶさかではないけど?」

千歳「……そうね。缶ビール1本くらいなら、付き合ってあげてもいいかしら」

クルー5「よぉし! それじゃあ、こいつのことはお願いします!」バシッ

クルー6「痛ってえ!? ちょっ、お、俺一人すか!? どこ行くんです!」

クルー5「野暮用! あと小便だ!」

クルー6「……」

千歳「なんだか大変ねえ」

足柄「それじゃ、軽くいただきましょうか」

千歳「ほら、君も早く部屋に入って」

クルー6「……は、はい」セキメン
671 : ◆EyREdFoqVQ [saga]:2021/10/31(日) 18:08:20.80 ID:txAHe89eo
というところで今回はここまで。
672 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/11/01(月) 06:45:44.02 ID:hU3aM3xE0
投稿お疲れ様です!毎回楽しみです。あいつら(クルー6以外)に何かバチが当たれと思います。
673 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/01(月) 18:08:19.46 ID:HM+/2D7H0
6が不憫だなぁww
この調子で行ったら明日朝にとんでもないことになる予感...
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