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【艦これ】提督「墓場島鎮守府?」不知火「その3です」
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210 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/11/21(土) 14:50:02.73 ID:I8THug57o
提督「で、榛名。お前の望みはどうなんだ? 正直に言いな」
榛名「正直に……」
榛名「……」
榛名(榛名の望みは、提督と……)
榛名「……」カァァ
提督「?」
榛名「あ、あの、榛名は……し……その……」
榛名「……(提督と)……し、幸せに、なりたい、です……!」カオマッカ
提督(なんで顔を赤くしてるんだ?)クビカシゲ
榛名「……ですが、その……」
榛名「あの出来事を、忘れることだけは、できません……」
提督「……」
211 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/11/21(土) 14:50:48.63 ID:I8THug57o
榛名「短い間でしたが、一緒に戦った仲間です……全滅こそしましたが、お互いを鼓舞しながら戦ったのは事実です」
榛名「勿論、榛名は幸せになりたいですが、みんなを忘れてまで幸せになりたいとは思っていません……」
提督「……なるほど」
榛名「提督、申し訳ありません……」ペコリ
提督「謝んな。お前が忘れちゃだめだって言うんなら、それでいいじゃねえか」
提督「ただ、そうやってずっと罪の意識を抱え込んでたんじゃあ、多分お前は早かれ遅かれ潰れちまう」
提督「それで死んで昔の仲間の恨みだなんて話になったら、それこそマジに怨霊扱いされて、浮かばれるものも浮かばれねえ」
提督「電や摩耶、霧島あたりもそうだが、お前らみんな優しすぎて罪悪感が強すぎるんだ。許されたくて罰して欲しいって考えてるだろう?」
提督「だから俺は忘れろって言ったんだ。完全にじゃなくてもいい、少しは自分を許してやれ」
榛名「……」ウルッ
提督「で、前を向いて、たまに振り返ってその時だけ思い出しゃあいいさ。ずっと後ろ向いて歩いてたら危ねえからな」
榛名「提督……!」ウルウル
212 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/11/21(土) 14:51:33.22 ID:I8THug57o
提督「……どうだ? 少しはお前の望んだ答えにはなったか?」
榛名「はいっ! ありがとうございますっ!!」ダキツキッ
提督「うおっ!?」
榛名「榛名、これほどまでにご心配いただいて、感激ですっ!」ギュウ
提督「……ま、昔のことに縛られ続けてもしょうがねえしな」
榛名「いえ! 榛名は、提督に縛られるのならいくらでも……!」スリスリ
提督「なに?」
榛名「……あ」
提督「……」
榛名「……な……」カオマッカ
榛名「なんでもないですぅぅぅうううう!!!」ダット!
提督「……大丈夫かあいつ」ポカーン
<ハルナハダイジョウブデスゥゥゥゥ!
提督「本当かよ」
213 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/11/21(土) 14:52:18.06 ID:I8THug57o
* 酒保内の個室 *
龍驤「……」ゴソゴソ
雲龍「……」ニコニコ
古鷹「……」ニコニコ
明石「……付け心地はどうですか?」
龍驤「よ、ようわからんけど……これでどう、かな……?」クルリ
明石「うん、いいんじゃないですか? このサイズのブラジャーなら!」
雲龍「可愛いわ」パチパチ
古鷹「良かったですね!」
龍驤「おおきに……ほんま、おおきにな!!」ウルウル
龍驤「それもこれも古鷹のおかげや……! めっちゃ痛かったけど、それだけに感無量や!」
龍驤「ほんまにおっぱいが作れるとは思ってもなかったで!!」
古鷹「でも、この形で固定するためには、マッサージはもう少し続けないといけないんです」
龍驤「うちとしては引き続きお願いしたいけど……古鷹、今後も面倒見てもらってええかな?」
古鷹「はい、任せてください!」
214 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/11/21(土) 14:53:03.02 ID:I8THug57o
雲龍「ねえ明石」テマネキ
明石「はい?」
雲龍「こっちの可愛い柄のと、こっちの綺麗なの、今龍驤がつけてるサイズであるかしら」カタログトリダシ
明石「あー、ありますね。取り寄せてみましょうか」
雲龍「ええ、お願い」
龍驤「なんや、うちのことはええから、雲龍も自分のを買おたらええやん」
雲龍「……ないの。こういう可愛いのが……」シュン
龍驤「そ、そうなん……?」
明石「あー、確かにサイズが大きすぎると、そもそもの種類がないんですよ」
明石「龍驤さんが今つけてるジュニアブラだと、やっぱり可愛いデザインが多いんですけどね」
龍驤「そういうもんなんか……」
明石「そういうのでなければ、私たちみたいに戦場に出るような人向けの下着は実用一辺倒の味気ないのしかありませんし」
龍驤「あー、あのプロテクターみたいなあれかぁ」
明石「雲龍さんにもおすすめしたんですが……」
雲龍「龍驤に触ってもらえなくなるから嫌」
龍驤「ちょっ」セキメン
明石「仲がおよろしいことで」ニヤァ
古鷹「仲良きことは美しきかな、ですね!」ニコニコー
龍驤「……大天使と小悪魔がおるなあ」
215 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/11/21(土) 14:53:48.55 ID:I8THug57o
* 夕方 入渠ドックそばの大浴場 *
明石「提督! できましたよ!」
提督「すげえな……うちの明石は大工でもやっていけそうだな」
増築して作られた個別の風呂<デェェェン!
明石「お風呂と更衣室のセットを3組! 防音処理もしてるので、これで個別にゆっくり入れます!」
明石「お湯は大浴場のお湯をそのまま引いてますから、個別の温度調整はできませんけど、このお風呂用にだけお湯を沸かすこともできますよ!」
提督「十分だ。これまで個別の風呂は、俺の部屋のシャワールームしかなかったからな。利根や如月もこれなら安心だろ」
提督「ありがとうな明石。妖精たちもいい仕事してくれたぜ」
島妖精たち「「いえーい!」」サムズアップ!
明石「戦艦のみなさんにも、出撃の合間に手伝っていただいてるんで、お礼を言ってあげてくださいね!」
提督「ああ、わかった」ウナヅキ
提督「……こういうときに、間宮や伊良湖がいれば良かったんだがな」
明石「? 何の話です?」
216 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/11/21(土) 14:54:33.29 ID:I8THug57o
提督「以前N大尉の鎮守府に行ったときに初めて間宮や伊良湖に会ってきたんだが、アイスとかが人気なんだってな」
提督「それで、大昔に妖精に助けてもらったときにアイスとかを御馳走してたのを思い出したんだ」
明石「ああ、そういえば聞きましたね、そのお話」
提督「今回もそれに近いものを用意したかったんだが……」チラッ
明石「?」
提督「いや、これだけの仕事をしてもらってアイス程度じゃあ、子供へのお駄賃みたいでいまいちなあ……」
提督「なんかこう、ねぎらいというか、ご褒美というか、働きに見合ういいものがないかと思ってなあ」
明石「あー……でも、この前はあのマルチ工具買ってもらいましたし、そのほかの工具も間に合ってますし……」
明石「あ、そうだ」
提督「?」
217 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/11/21(土) 14:55:19.59 ID:I8THug57o
* 個人浴場の更衣室 *
明石「まさか私が一番最初に使うことになるとは思ってませんでしたね〜」ヌギヌギ
提督「お前が着替えてる最中は俺は退室しててもいいだろ……」ウシロムキ
明石「そう言って逃げる気ですね?」モゾモゾ
提督「逃げねえよ」
明石「はい、着替え終わりましたよ、こっち向いてください」Tシャツキガエ
提督「……」クルリ
明石「マッサージ、しっかりお願いしますね!」
* *
明石「うーん、もうちょっと強くしてもいいですよ?」
提督「……」モミモミ
明石「あっ……うん、丁度いいです……んん〜……っ」
提督「お前の両肩、鉄板でも入ってんのか?」
明石「まあ、艦娘ですから! 艦種柄、重たい資材とかしょっちゅう運んでますしねー」
218 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/11/21(土) 14:56:03.87 ID:I8THug57o
提督「クレーンも積んでるし、か」モミモミ
明石「ええ、そうで……くぅんっ」
提督「変な声出すなよ」
明石「いいでしょうが、誰もいないんですし……んっ、んくぅ……!」
提督「……」
明石「ほらぁ、手が止まってますよ〜?」
提督「わかったよ……」グリッ
明石「くはぁんっ! あぁ……そこ、いいっ……んんっ……!」ウットリ
提督「……」グリグリ
明石「んあっ、い、いい……ごりごりして、あっ、あ、あああ〜〜……!」
提督「……」ギュッギュッ
明石「す、すご……っ、てい、とく……上手……んひっ……!」
明石「あっ、そ、そこっ……もっと、そこ、強く……あぁんっ、や、声出ちゃうぅ……っ!」
提督「……」
明石「あぁん、や、やめちゃだめです……っ、もっと、もっとしてぇぇええ!」
提督「……」
219 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/11/21(土) 14:56:52.40 ID:I8THug57o
* *
明石「……っはぁ……すっごい気持ちよかったぁ……!」スッキリ
明石「提督、ありがとうございました!」
提督「おう……」グッタリ
明石「なんですか、その燃え尽きた灰みたいな顔色して」
提督「……今度から耳栓持ってくる」
明石「何言ってんですか。そんなことしたらマッサージする箇所がわかんないじゃないですか」
提督「俺を殺す気か」
明石「あら、普段から死にたがりの人が命乞いですか」
提督「こんな死に方じゃ死んでも死にきれねえよ」
明石「我慢してくださいよ。そもそもお礼がしたいっていうからマッサージをお願いしたのに、どうして提督が死にかけてるんですか」
提督「だったら少し黙っててくれよ。変な声聞かされて頭がおかしくなりそうだ。力が加減できなくなっても知らねえぞ」
明石「そう言う割には、とってもいい力加減でしたよ? 提督ってば握力とんでもないですよね?」
提督「おにぎり握るときに全力出すか?」
明石「あー、それもそうですねぇ。それにしても、提督のその握力、どうしてそんなに強いんでしょうねぇ?」
220 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/11/21(土) 14:57:38.13 ID:I8THug57o
明石「いくら鍛えたからって、人間がそんな握力を持つなんて、普通じゃありませんよ」
提督「……」
明石「まあ、それ以外にも、提督って何かと普通じゃありませんよねって、最近つくづく思うんですよねぇ……!」
提督「……何が言いたい?」
明石「……」
提督「……」
明石「提督。あなた、本当に人間なんですか?」
提督「……」
明石「……」
提督「お前にどんな意図があるかは知らねえが……一応は、な。一応は人間だ」ハァ
提督「この前の医療船で調べてもらったときの診断書、お前にも見てもらったと思うが、おかしなところはあったか?」
明石「……何もありませんでしたね」
提督「多分どこかに俺が人間として異常なところがあるんだろうが……」
提督「検査の精度にもよるが、人間ドックに入って特におかしなところが見つからなかったとなると、俺もどこを疑えばいいのかわからねえ」
明石「……そうですか」
提督「不服そうだな」
221 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/11/21(土) 14:58:19.38 ID:I8THug57o
明石「もうひとつ、気になることがあるんです」
明石「以前、私があなたの頬を引っ叩いたことがありましたが……私、本気だったんです」
提督「……なに?」
明石「提督には、私がここに流れ着いたときの経緯をお話ししましたよね」
提督「ああ……確か、口封じされたんだよな? お前が手を貸さざるを得なかった悪事の」
明石「はい。その口封じを、前の司令官は、北上さんに……私の友達にさせたんです」
明石「それと同じようなことをしたあなたが、どうしても許せなくて……!!」
提督「……」
明石「だから、あのとき、私は手加減なんかしてなかったんです。本気で殴ったんです」
明石「艤装を装備した艦娘の力がどんなものか、提督もご存知ですよね?」
明石「それなのに、どうしてあの程度で済んだんですか……?」
提督「……」
明石「それからもうひとつ。N提督の鎮守府へ治療にいきましたけど、1日で帰ってきましたよね? 骨にもひびが入っていたのに」
明石「艦娘洗脳ツールの騒ぎで有耶無耶になっていましたが、提督の回復力も人間じゃ考えられません」
提督「……」
222 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/11/21(土) 14:59:18.39 ID:I8THug57o
明石「しかも、あちらでは高速修復材を食べたそうですが……あれは人間が食べていいものかどうかすら、わかっていないんです」
明石「あなたの顔の怪我がすぐに治ったのは、その修復材のおかげではないんですか……?」
提督「……」
明石「どうなんですか、提督……!」
提督「……」
明石「……」
提督「わかんねえ」ウーン
明石「なっ!?」
提督「あの怪我も、言ってしまえばたかがビンタだと思ってたからな。顔が青くなっても、ぶっちゃけ何日かすりゃあ治ると思ってた」
提督「修復材の話も、言われてみればそうかもしれねえ。確かにあの怪我がすぐ治ったのはそうなのかもしれねえが……」
提督「それじゃあ俺が何者なのか、って言われても、どうにも答えようがねえ。むしろ俺が訊きたいくらいだ」
明石「……」
提督「俺としちゃあ、人間じゃなくなるってのはある意味お望み通りだ。ショックでもなんでもねえ」
提督「ただ、誰に言われたか忘れたが、仮に俺が人間じゃなくなったら、この鎮守府の管理を任せてもらえなくなったりしないか?」
明石「あ……た、確かに……!」アオザメ
223 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/11/21(土) 15:00:05.86 ID:I8THug57o
提督「仮に、俺の正体が艦娘と関係してるとかならまだいいんだ」
提督「っつうかこの前、那珂にも同じ質問をされたんだよな。で、そのとき俺が深海棲艦じゃねえか、って言われたって……話したよな?」
明石「う、え……そ、それ、冗談じゃなかったんですか!?」
提督「冗談なもんかよ。那珂に砲口向けられたんだからな?」
明石「ええぇえ!?」アワワワ…
提督「それでだ。お前は俺から深海っぽい雰囲気を感じたことはあったか?」
明石「い、いえ、そこまでは……」
提督「山雲みたいにそういう確証があるんなら話も早いんだが……」
明石「いやいやいや、そもそもあったら提督が鎮守府を任せてもらえたかどうかすら怪しくないですか!?」
提督「それもそうか」
提督「まあ、あとは俺が艦娘や深海に関りがあるんなら、泳げないのもどうなんだ、ってのはあるな」
明石「むしろ深海に関りがあるからこそ沈んでしまうとも考えられますよね……ル級さんと交流できてるのも……うわあああ」アタマカカエ
提督「俺に関していろいろと考察してもらってはいるが、これ、っていう確証がない」
提督「どうする? 俺をどうにかして、人間じゃないって証明したほうがいいか?」
明石「……」
提督「……」
明石「いえ……やめておきます」
224 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/11/21(土) 15:00:48.07 ID:I8THug57o
明石「私は、単純にあなたが何者なのかが知りたいだけで、あなたを追い詰めたり糾弾したりしたいわけではありません」
明石「私はこの鎮守府の平穏を脅かすつもりはありません。これ以上踏み込んで、取り返しのつかないことになるのは御免です」
提督「そうか」
明石「あの、提督? 提督は、小さいころから妖精さんと話ができていたんですよね」
提督「ああ」
明石「提督の弟さんには見えなかったんでしょうか」
提督「……そういやそうだな。見えてる感じはしなかった」
明石「だとしたら、隔世遺伝とか、一代限りの突然変異……と、考えざるを得ないですね」
明石「通説だと、なんらかのきっかけがあるはずなんですが」
提督「例えば?」
明石「私が聞いたことがある話だと、その方の祖父が海軍の関係者だった、とかですかねえ……艦に乗船した生存者や、開発者とか」
明石「艦娘と長く接触していた人の子供が、妖精さんを目で追ってたとか言う話もありましたが、これは最近の話ですし」
提督「俺のジジババの話は聞いたこともねえな……」
明石「仮に提督のお祖父さんが関係者だったとしたら、ご両親や弟さんにもなんらかの影響が出るはずなんです」
提督「そんな気配どころか、全否定だったから絶対ねえな。俺だけ何かあったってことか?」
225 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/11/21(土) 15:01:33.36 ID:I8THug57o
明石「提督が物心つく前に、その身になにかあったのかもしれませんね。艦娘なり、妖精さんなりと接触があったとか」
提督「けど、俺が生まれたのは妖精も来ないような山奥だぞ。関わりようがねえんだよな……」
明石「うーん……」
提督「妖精。今の話、聞いてたか?」
妖精「うん」ヒョコッ
明石「いたんですか!?」
提督「こいつ、気配消すのはうまいからな。で、俺に見つかる前に俺の村に来たことあったか?」
妖精「ううん、ないね。あの村に行ったの、わたしが最初じゃないかな?」
明石「妖精さんはどうして提督のいた村に行ったんですか?」
妖精「特に深い意味はないよ? わたしは散歩というか、散策のつもりで行ったんだ」
妖精「まさかこんなことになるなんて、思いもしなかったけどね」
明石「そうですか……」
提督「俺の正体が何者でも構わないが、お前らに危害を加えそうなら躊躇なく始末してくれていいからな?」
明石「冗談でもやめてくださいよそういうの……大和さんだけじゃなく、如月ちゃんとか金剛さんあたりも黙ってませんよ?」
明石「とにかく、この話は他言無用にお願いします、不確定情報も多いですし、憶測の域を出ないので。妖精さんも、いいですか?」
妖精「うん」
明石「誰が何を言い出すかわかりませんからね……よろしくお願いします」
226 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/11/21(土) 15:03:08.34 ID:I8THug57o
というわけで今回はここまで。
227 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/21(土) 15:54:40.45 ID:3uqJHgTNo
明石のお乳も揉みたい…心の底からそう思いました
228 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/22(日) 00:55:07.54 ID:eeYKgFi4o
お尻を揉みたい
時々手を滑らせてあのスリットに…むふぅ
229 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/22(日) 10:11:05.10 ID:2cSSaaoRO
魔人になる片鱗がでてきたか
後は罠達がいつ来るのか
230 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2020/11/27(金) 12:16:10.65 ID:RrGyHR6p0
こっち完結してから本編読むつもりだったけど、待てなかった...それでも墓場島の話を読んだ後に罠読んでるからなるほどってなる。まだその2まで行ってないけど...それと陸奥に驚いた。そこまで回復してんのかって。すごく面白い。更新楽しみに待ってます!
231 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/11/28(土) 21:08:56.65 ID:69Vo60mdo
こっちはまだまだ描くネタがあるので、当分は追いつかないかと……。
では少しだけ続きです。
232 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/11/28(土) 21:10:04.33 ID:69Vo60mdo
* 夜 提督の私室 *
提督「今日は一段と振り回された気がすんな……寝るか」
扉<コンコン
大和「提督……大和です。入っても、よろしいでしょうか」
提督「本当に今日は多いな……」ハァ
提督「……入っていいぞ」
扉<チャッ
大和「し、失礼、致します」オズオズ
提督「? いつになく縮こまってんな。どうかしたか?」
大和「は、はい……お、折り入ってご相談がありまして」
提督「相談?」
大和「あ、さ、先に着替えさせていただきますね! 脱衣所、お借りします!」
トタタッ パタン
提督「……?」
233 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/11/28(土) 21:10:49.24 ID:69Vo60mdo
* *
大和(パジャマ姿でベッドの上に正座)「こ、このような姿で失礼します……」セキメン
提督「これまで何度もこの姿で抱き着かれて目を覚ましてんだがな……今更恥ずかしがることもねえだろ」
提督「まあいいや、それで相談ってのは?」
大和「……そのぉ……」
大和「最初に確認したいことがございまして……」
大和「提督は……甘やかして欲しいと、思ってらっしゃったり……する、のでしょうか?」
提督「それはねえな」
大和「で、ですよね!? ですよね……!」
提督「相談ってのはそのことか?」アタマカカエ
大和「い、いえ、本題はこれからでして……」モジモジ
提督「?」
大和「……私は……戦艦、大和です」
大和「日本海軍の技術を結集して建造され、国全体の期待を背負い、この国そのものの名を冠した、大型戦艦です」
大和「それゆえに、その……」
大和「誰かに、頼るといいますか……その……」
提督「……」
234 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/11/28(土) 21:11:34.62 ID:69Vo60mdo
大和「甘える、といったことを……したことがなくて……」モジモジ
提督「あー……」
大和「へ、変ですよね、大和がこんなことを言い出すなんて」
提督「……」ウーン
大和「あの、提督……?」
提督「大和が建造されてから、1年と経ってねえよな」
大和「は、はい」
提督「建造された直後から、足で立って、話もできる」
提督「考えてみりゃあ変な話だよなあ……」
大和「……」
提督「生まれるときには大きな体が用意されてて、記憶とかも準備されてる」
提督「そうだよな……お前らがどこから来たのか、よくよく考えてみれば理屈がわからねえ」
大和「は、はい……」
提督「だとしたら、甘えるなんて経験もしたことがねえ、か……」
大和「……そ、そうですね……」セキメン
235 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/11/28(土) 21:12:19.38 ID:69Vo60mdo
提督「……」
グイ
大和「きゃ!?」アタマヲヒキヨセラレ
提督「……こうだったか?」ナデ
大和「て、提督……!?」カオマッカ
提督「力加減がわからねえ。痛かったら言えよ?」
大和「い、いえ……!」
提督「そういや、たまに駆逐艦たちの頭を無意識に撫でたりもしてたな……なんとなく撫でたくなって撫でてたが」ナデナデ
提督「なんで撫でたくなったんだろうな……誉めてやりたいって感じでもねえし……」
提督「誉めるにしても、お前みたいに背が高いと、こうやって頭をなでられたりする機会もねえか」
提督「というより、普通に失礼だよな……子供扱いしてるようなもんだしなあ。でも、この世に現れてまだ間もないわけだし……」ナデナデ
大和「……」ギュゥ
提督「大和?」
大和「……ふぁい?」ポヤーン
提督「……」
236 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/11/28(土) 21:13:04.79 ID:69Vo60mdo
大和「……ふえっ!? も、申し訳ありません! き、気持ち良くて、つい!!」バッ
提督「気持ち良かったのか……?」
大和「はい……これまでにない経験でしたので」カオマッカ
提督「そうか。お前が良いならそれに越したことはねえ」
大和「……」モジモジ
提督「……」
大和「あのう……提督?」
提督「ん?」
大和「これから、なんですけれど……二人きりの時は、こんなふうに甘えても……」
大和「その、よろしい、でしょうか……?」ポ
提督「……ああ。それがお前の希望ならな。断る理由もねえ」
大和「ありがとうございます!」パァ
提督「相談ってのはこのことか?」
大和「はい!」ニコニコー
237 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/11/28(土) 21:13:49.67 ID:69Vo60mdo
提督「まあ無理もねえか。戦艦の艦娘は駆逐艦に比べて見た目も年上で、おまけにお前は背丈もあるしな」
提督「最初から大人で建造されたんじゃ、こんなこと言い出すのも勇気がいるか」
大和「提督、さっそくですけれど……!」
提督「うお!?」ダキツカレ
大和「少し、甘えさせてくださいね……!」スリスリ
提督「……なんか、これまでとあんまり変わってねえな……」
大和「えへへ……」スリスリ
提督(……子供みたいな顔してやがんな)
提督「ま、たまには緊張からといてやるのも、悪くねえか」ナデナデ
大和「はい……!」ゴロゴロスリスリ
提督「そろそろ寝るぞ。明かり消していいな?」
大和「はい!」
大和(私の、こんな子供みたいなお願いを聞いてくださる提督……)
大和(大和は、何があっても提督のために尽力致します……!)
大和(だから今だけは……)
提督「」スヤ…
大和「うふふ……」スリスリ
* 翌朝 *
大和「」スヤァ…
提督「……で、結局、抱き枕にされるわけか」ガッチリ
238 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/11/28(土) 21:14:34.32 ID:69Vo60mdo
* それから数日後 *
* 深夜2時 工廠 *
島妖精C「……と、まあ、今度はそういうことがあってね……」
島妖精E「また? このごろみんな提督に甘えすぎじゃない?」
島妖精F「提督も態度はアレだけど、艦娘のみんなには誠実だしねえ」
島妖精B「つくづくあの態度だけはねえ……」
島妖精D「それでも、提督のガードが緩くなってきてるのは確かかなあ……」
島妖精A「……」
島妖精E「Aちゃんどうしたの?」
島妖精A「風紀が……乱れている……!」
島妖精たち「「……」」
島妖精G「あー、それは……うん。まあ、そうね……」
島妖精D「提督も諦めて鍵をかけなくなっちゃったからねえ」
島妖精A「……資材もきりの良い数まで貯まった」
島妖精A「あの大和に対抗できる強さの艦娘が欲しい」
239 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/11/28(土) 21:15:19.85 ID:69Vo60mdo
島妖精F「……そんな子いるかなぁ」
島妖精C「そうなると、同じ大和型の武蔵くらいしかいないんじゃない?」
島妖精たち「「……うーん……」」
島妖精H「なに面白そうな話してるのさー」ヒョコ
島妖精たち「「うわああ!?」」
島妖精E「い、いたのか……」
島妖精H「うわー、ひっどい、なにそれー」
島妖精B「ていうかHちゃん、この前はたまたま建造ドックにいなかっただけじゃない」
島妖精E「いつも工廠の作業場にいるしね」
島妖精H「だからって声をかけないのはあんまりじゃない?」
島妖精A(作者が忘れてて、途中から出しても収まり悪いからって出さなかっただけなんだが)
島妖精G(Aちゃんメタい話はやめて)
島妖精A(こいつ……直接脳内に!?)
島妖精D「とりあえず落ち着け。また新しい艦娘を建造したいって話なんだから」
240 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/11/28(土) 21:16:04.19 ID:69Vo60mdo
* *
島妖精H「……ふーん、なるほどー」
島妖精D「というわけでだ。みんな提督が好きなのはわかるが、節度を持って接してほしくてねぇ」
島妖精G「暴走するみんなを止められそうな艦娘を建造したいんだよ」
島妖精H「それなら……ビスマルクはどうかな?」
島妖精G「ビ、ビスマルク!?」
島妖精E「……いいかもしれない。ドイツ艦だけあって規律には厳しいし」
島妖精F「どうせなら空母のグラーフ・ツェッペリンのほうが良くないかな。うち、空母不足だし」
島妖精B「でも、建造例ってあるの?」
島妖精F「……う、うーん、グラーフは聞いたことないなあ」
島妖精C「パラオでビスマルクを建造できた鎮守府があるらしいよ。あと、海域では探せないって情報もある」
島妖精F「あるのか……」
島妖精A「……やってみるか。ビスマルク狙い」
島妖精たち「「……!」」コクン
島妖精H(何か重要なことを忘れてる気がするけど……まあいっか)
241 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/11/28(土) 21:16:49.30 ID:69Vo60mdo
* 翌朝 執務室 *
扉<コンコン
陸奥「お邪魔するわね」チャッ
提督「おう」
陸奥「……!」
提督「? ……ああ、大淀と朝雲なら、今ちょっと外に出てる。じきに戻るはずだ」
陸奥「そ、そう……」
提督「その様子だと、一対一じゃあまだ俺が怖いか」
陸奥「……そうも言っていられないわ。このままじゃ、いつかみんなに気付かれてしまうもの」
陸奥「戦艦陸奥として、男性が苦手だなんて知れたら笑いものだわ……」
提督「そうか? ここの連中の何人かには知られてるだろ」
陸奥「それは、私の事情も知ってもらっているから……」
提督「……なんにせよ、俺はどっちでもいいがな。無理は推奨しねえ」
陸奥「……ありがとう」
提督「俺は何もしてねえよ」
242 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/11/28(土) 21:17:34.78 ID:69Vo60mdo
陸奥「そんなことはないわ。私がここで気持ち悪くしたとき、私を背負ってドックまで運んでくれたのはあなたでしょう?」
提督「普通だろ? 助け合いなんて、普段からお前らがやってることだ」
陸奥「……だとしたら、助けられたらお礼を言うのも、普通でしょ?」
提督「……なるほど」フフッ
提督「まあ、ここんとこ不安そうな顔も見せてなかったし、俺さえ干渉しなけりゃ……」
陸奥「それじゃ駄目だと思うのよ」
提督「!」
陸奥「いつまでも……私のことを心配させるのは、どうかと思うの……」コツ…コツ…
提督「……」
(提督にゆっくり近づいていく陸奥)
陸奥「……」
提督「……まだ、つらそうだな」
陸奥「……っ」
提督「背中向けりゃあ、もう少し近づけるか?」クルリ
陸奥「!」
243 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/11/28(土) 21:18:32.21 ID:69Vo60mdo
提督「……」
陸奥「……」コツ…コツ…
提督「……」
陸奥「……」
陸奥(私……この背中に、背負われてたのよね……)
陸奥「……」ス…
(陸奥が提督の背中にそっと手のひらで触れる)
提督「……!」
陸奥「……」
提督「……」
(陸奥がゆっくり提督から離れて)
提督「……大丈夫だったか?」
陸奥「……そうね……思ってたよりも、平然としていられたわ」
提督「そうか、ならいい」
陸奥「……なんていうか……ごめんなさいね、こんな艦娘で」
提督「悪いのはお前を怖がらせた人間どもだ。謝る必要はねえよ」
陸奥「……ありがとう、本当に」ニコ…
提督「……」アタマガリガリ
提督「ところで、一人でここに来るなんて珍しいな。何かあったのか?」
陸奥「え、ええ……明石に急いで伝えて欲しいって言われたんだけど。建造ドックが稼働してる、って」
提督「建造ドック? つうことは、また妖精たちか……?」
244 :
◆EyREdFoqVQ
[saga]:2020/11/28(土) 21:19:36.20 ID:69Vo60mdo
今回はここまで。
タイミング良く陸奥の話が出てきましたが偶然です。
245 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2020/11/29(日) 03:02:32.61 ID:92vKW/Eq0
乙。ついに〇〇型〇〇、○番艦、〇〇が!?
246 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/12/04(金) 18:53:11.65 ID:yylMO2zd0
>>245
隠しすぎ
半年ほど前にちらっと見た罠だらけの序盤とつながるあいつっぽいな。。
247 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/05(土) 12:53:19.35 ID:IvmCtElco
お待たせしました、続きです。
248 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/05(土) 12:54:16.82 ID:IvmCtElco
* 翌日 午前 *
* 提督の私室へ向かう廊下 *
初雪「……」テクテク
初雪(今日は、膝枕してもらえる日じゃない)
初雪(だから、代わりに司令官のお部屋のベッドで、お昼寝)
初雪(……名案!)フンス!
テクテク
初雪(……)
初雪(到着)
初雪(? ……部屋の中に、誰か、いる?)
初雪(誰だろ……)
コソ…ッ
ベッドの上にうつぶせになり顔を突っ伏している由良「すぅぅぅぅ……」
初雪「!?」
249 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/05(土) 12:55:02.20 ID:IvmCtElco
由良「……んすー……」
初雪「……」
由良「……すふぅぅぅぅぅぅ……」
初雪(由良さん……なにやってるの)アッケ
由良「」ムクリ
由良「」キョロキョロ
由良「」ゴソゴソ
初雪(……洗濯籠の中、漁ってる……)
由良「」Tシャツヲトリダシ
由良「すんすん……」
由良「んすうぅぅぅぅ……」
初雪(もしかして……におい、嗅いでる?)ヒキッ
250 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/05(土) 12:55:47.20 ID:IvmCtElco
初雪「……」
初雪(……お昼寝どころじゃなくなった……)
初雪(戻ろう)スッ クルリ
扶桑「あら?」
初雪「!?」ビクッッ
扶桑「どう……」
初雪「しーーーーっ!!」(小声)
扶桑「え、ええ……?」
初雪「はやく、こっち……!」フソウノテヲヒイテ
扶桑「????」テヲヒカレ
251 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/05(土) 12:56:33.11 ID:IvmCtElco
* 渡り廊下 *
初雪「……ここなら、誰もいない」キョロキョロ
扶桑「提督の部屋で何があったの?」
初雪「耳、貸して。ごにょごにょ……」
扶桑「……まあ。由良さんが」
初雪「一応、秘密にしておいて」ポ
扶桑「……初雪さんは、どうして提督のお部屋に?」
初雪「ん、お昼寝、したくて。あのベッド、すっごく気持ちいいから」
初雪「なんか、提督のお部屋、鍵をかけなくなった、って聞いたし」
扶桑「そう……それでなのね」
初雪「そういう扶桑さんは、どうしてお部屋に……?」
扶桑「私? いつも提督にお世話になっているから、少し身の回りのお世話をさせてもらおうかと思って……」
扶桑「例えば洗濯物がたまってないか、とか、お部屋が散らかっていないか、とか、ね」フフッ
252 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/05(土) 12:57:18.43 ID:IvmCtElco
扶桑「もし初雪さんが寝てたら、ベッドのシーツのお洗濯は、また明日だったわね」
初雪「……今は今で、恥ずかしくて部屋に入れないけど」
扶桑「ふふっ、刺激が強かったかしら」
初雪「うーん……どうだろ。っていうか、私、においって意識したことなかったし……」
初雪「はっ!? も、もしかして、私、汗臭い……!?」クンクン
扶桑「すんすん……大丈夫だと思うけど?」
初雪「うう……ちゃ、ちゃんとお風呂入る……」カオマッカ
< ユラサンナニヲシテルンデスカーー!
初雪「!?」
扶桑「! ……大淀の声だわ」
初雪「あー……」
扶桑「せっかく初雪さんが秘密にしてくれていたのにね?」
初雪「うん……」コク
初雪「まあ、周りに誰もいないみたいだし、部屋の周りに誰もいなければ、多分、大丈夫だと思うけど……」ミワタシ
253 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/05(土) 12:58:02.15 ID:IvmCtElco
* 提督の私室へ向かう廊下 *
??「提督の部屋はこちらでいいのだな?」コツコツコツ
島妖精C「そうだけど……なんで本人に会うより先に部屋を見に行こうとするのかな」
??「その人間の本質を見るには、本人のプライベートルームを見るのが一番早い」
??「お前たちは、この鎮守府の乱れた規律を正すために、私を建造したんだろう?」
島妖精G「あー、それは……うん。まあ、そうね……」
島妖精H「だからってねえ……」
??「見てわかるなら、そちらの方が話が早い」
??「話すだけならいくらでも隠し通せるし、私はそのような小細工は苦手だ」
??「さっさと証拠を掴んで突き付けるのが簡単だろう」
島妖精A(……これが脳筋というやつか)
島妖精G(それ、本人に直接言っちゃダメだよ?)
島妖精A(お前は電探妖精じゃないだろう! 直接脳内に話しかけてくるな!)
254 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/05(土) 12:58:47.32 ID:IvmCtElco
島妖精C「でも、提督の部屋って、ベッドと着替え以外なにもなかったんじゃない?」
島妖精D「最近は艦娘があれこれ持ち寄ってるらしいけど?」
??「やれやれ……どうやら本当に規律が乱れているようだな」
キャーキャー
??「おや? 誰かいるようだな」
島妖精B「何人かいるみたいだね?」
??「まあいい……失礼する!!」ガチャ!
ベッドの上に突っ伏している由良「え……!?」
ベッドの上に突っ伏している大淀「ええっ!?」
島妖精C「いや、その『えー』はこっちの台詞なんだけどなあ」
??「お前たち……一体何をしているんだ!?」
由良「ま、待って!? どうして……この島にあなたがいるの!?」
大淀「そうですよ! どういうことなんですか!?」
大淀「武蔵さん!!」
255 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/05(土) 12:59:31.76 ID:IvmCtElco
??→武蔵「知れたこと。この鎮守府を預かる提督准尉の人となりを、私なりに確かめに来たんだ」
由良「それでお部屋に来るってどういうことなの……」
武蔵「一番わかりやすいではないか。本人のプライベートがどのようなものか、部屋を見れば一目瞭然だろう」
大淀「ほ、本人にはお会いしたんですか!?」
武蔵「いや、まだだ」
大淀「だとしたら、勝手にお部屋に入ってはいけないでしょう!?」
武蔵「ほう。お前たちは許可を取ったのか」
大淀「」ギクッ
由良(大淀……)アチャー
大淀「と、とりましたとも。提督のベッドのシーツが汚れていないか、見に来たんです」
武蔵「ほう……それは本当か」ギラリ
島妖精E(苦しい言い訳だなあ)
武蔵「ということは、提督は自分の部屋の片づけを、数少ない艦娘にやらせているということか」
由良「」
大淀「」
島妖精B(あっ、逆効果だコレ)
256 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/05(土) 13:00:16.85 ID:IvmCtElco
武蔵「これはなかなか、叩き直し甲斐のある男と見て良さそうだ……くくくっ」
由良「ちょっ、ちょっとどうするのよ大淀!」オロオロ
大淀「し、仕方ないでしょう! どこかで提督には埋め合わせを……!」オロオロ
島妖精H(……まったく、しょうがないなあ)ヒョイッ タタタタ…
島妖精A「!」
武蔵「よし、大淀そこをどけ。徹底的に家探ししてやろう」
大淀「おやめください! 何の権限があってそんなことを!!」
武蔵「隠し立てするか……怪しいな」シャガミ
武蔵「ふむ……ベッドの下には何もないか。マットレスの下は」ガバッ
由良「む、武蔵さん!?」
武蔵「なにもなし……ここは洋服ダンスか」ガチャ
大淀「武蔵さんっ!?」
武蔵「なんだ? 異様に服が少ないな……」ゴソゴソポイッ
由良「ちょっ、勝手に漁っちゃ駄目だったら!」
257 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/05(土) 13:01:02.45 ID:IvmCtElco
武蔵「何を言う、後ろめたいものがなければ何を見られようと問題ないだろう?」ゴソゴソ
由良「だからって出してそのままじゃ……」
武蔵「やけに私物が少ないな。断捨離でもしてるのか?」ゴソゴソポイポイ
ガシッ
武蔵「うん?」カタヲツカマレ
大淀「いい加減にしとけよ……?」ビキビキビキッ
武蔵「!?」ビクッ
由良「!?」ビクッ
島妖精たち(うわあ)
大淀「だいたいなあ、当人にも顔を見せずに部屋に押し入って、タンスの中を物色するたあどういう了見だ……?」ミシミシッ
武蔵「」
由良「」
大淀「おまけに漁るだけ漁って散らかしっ放し……お片付けもできねえのかよ? あぁ?」ゴゴゴゴ…
由良「」シロメ
武蔵「あ、いや、その……」タジッ
258 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/05(土) 13:01:47.00 ID:IvmCtElco
大淀「元に戻せ」
武蔵「は、はい……?」
大淀「元に戻せっつってんだろうが」
武蔵「いや、私は……」
大淀「戻せねえんなら部屋に入ってくんじゃねえぞくそがあああ!!!」ドカーン
武蔵「ひいい!?」ダッ!
ドタドタドタ…
大淀「……」
大淀「はぁ……もう、こんなに散らかして。仕方ありませんね……」イフクヲオリタタミ
由良「」
大淀「あ」
由良「はっ!? なんだかものすごく衝撃的なものを見た気がしたんだけど!?」
大淀「き、気のせいでしょう……」メソラシ
* 一方その頃 執務室 *
提督「戻ったか……ん? 大淀はどうした?」
朝雲「補給してくるから、先に行っててって言われたんだけど」
提督「補給?」
259 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/05(土) 13:02:32.03 ID:IvmCtElco
* 鎮守府内 廊下 *
島妖精E「あれは武蔵が悪いよ……」
武蔵「な、なんだったんだあの大淀は……」
島妖精B「そっちに関しては私たちもびっくりだよ」
島妖精F「提督そっくりだったもんねー」
武蔵「あれが……提督の雰囲気、か」
島妖精C「うん、まあ、だいたいあんな感じかなー」
武蔵「あの大淀があの態度……! もしや、日頃から提督にきつく当たられているのではないか?」
島妖精D「いや、そういうわけじゃ」
武蔵「そうか、部屋を荒らせば自分が叱られるから……くっ、この武蔵としたことが迂闊だった!」
武蔵「提督め、艦娘に対するこの仕打ち……正さねばならんな!」
島妖精A「なあ、この武蔵、違う意味で迂闊じゃないか?」ヒソッ
島妖精G「あー、それは……うん。まあ、そうね……」ウーン
島妖精E「提督ってさあ、人の話を聞かない人、嫌いだよね」ボソッ
島妖精たち「「……」」タラリ
島妖精F「ねえ武蔵、そうじゃなくって」
武蔵「すまない、ちょっと話しかけないでくれ。どうやったら提督を説得できるか……うーむ」ブツブツ
島妖精B「ちょっ、武蔵ー!?」
260 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/05(土) 13:03:17.90 ID:IvmCtElco
* その30分後 *
* 墓場島 埠頭 *
島妖精H「……というわけでさー」
大和「武蔵が来たんですか!?」
朝雲「また妖精さんが建造したの!?」
島妖精H「そうだよー、って、大和の建造には私は関わってないんだけどさ」
朝雲「っていうか、なんでピンポイントに大和型が建造出来ちゃってるのよ……」
島妖精H「本当はビスマルクを建造したかったんだけどね」
島妖精H「でも、海外艦は海外に縁のある艦娘の力を借りないと、建造できないの忘れてたんだ」
朝雲「でもそれで武蔵さんが建造できちゃうとか、普通にすごい確率なんだけど!?」
提督「また戦艦が増えるのか……」
大和「も、申し訳ありません……」
提督「いや、お前が謝る必要はねえだろ。資材は問題だけどな」
朝雲「確かに切実よね。今の体制でも、戦艦の人たちは満足に出撃できてないし」
261 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/05(土) 13:04:19.13 ID:IvmCtElco
提督「駆逐艦の練度向上が急務になっちまってるな」
提督「若葉や朧みたいなやる気ある奴に頼りっぱなしってのもよろしくねえ」
提督「そのためにも今日は今日で、神通に率いてもらって能力を見るために出撃してるわけだが……」
ザザァ…
提督「おう、戻ってきたか」
神通「はい、水雷戦隊、ただいま帰還致しました」ケイレイ
吹雪「司令官! 今日は誰も中破しませんでしたよ!!」ブンブン
提督「そいつは重畳だ。黒潮と山雲の調子はどうだった」
黒潮「ま、まあまあやないかな?」ゼェゼェ
神通「砲撃時の構えも安定していますし、心配だったメンタル面の不安も解消したようですから」ニコ
不知火「残る課題は体力面だけですね」
黒潮「さすがに、出撃、久々やったから……」ゼェゼェ
提督「黒潮がこうなら、山雲は……」チラッ
如月「出撃自体がまだ数回目だもの、今日は少しハードだったと思うわ」ヤマグモニカタヲカシ
山雲「はー、はー……ちょおっと、疲れちゃった、かも……」ゼェゼェ
262 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/05(土) 13:05:16.78 ID:IvmCtElco
朝雲「山雲、大丈夫? 如月、山雲のフォローありがとね」ヨイショ
大和「提督、今回の出撃メンバーに朝雲さんを加えなかったのはどうしてですか?」
提督「朝雲が山雲のケアをしながら戦ったんじゃあ、山雲の実力が見えないからな」
神通「全体的に粗さが目立ちますが練度を考えれば当然でしょう、これからだと思いますよ」
朝雲「え? 山雲、無傷なの!? すごいじゃない!」ナデナデ
山雲「えへへぇ〜」ニヘラ
吹雪「不知火ちゃんがデコイになって動き回ってたからね!」
黒潮「せやなあ……不知火の動きがすごかったもんなあ」
神通「中将のところで鍛えられてるだけあります」ニコ
不知火「お、恐れ入ります」
黒潮「ああいうの見せられると、うちも頑張らなな、って思うわ」
提督「大破艦が出るかと思って大和を呼んだんだが、いらない心配だったな」
大和「何よりですね!」ニコッ
提督「よし、それじゃあ……」
武蔵「ここにいたか!」ザッ
全員「「!!」」
263 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/05(土) 13:06:01.88 ID:IvmCtElco
大和「武蔵……!」
吹雪「えっ、えええええ!?」
提督「お前が武蔵か……」
武蔵「いかにも! 大和型戦艦2番艦、武蔵! 推参だ!」ビシィッ!
黒潮「うっひゃああ! 大和型二隻が揃い踏みなんて、すごいやん!!」
不知火「ええ、ですが……」
如月「司令官……?」
提督「……」
山雲「なんだか〜、あんまり嬉しそうじゃないみたい〜?」
神通「朝雲さん、なにかあったんですか?」
朝雲「それがですね……」ゴニョゴニョ
神通「……なるほど……」
山雲「それじゃあ、あまり歓迎できないかしら〜」
武蔵「さて提督よ。この鎮守府の妖精たちによって建造されたこの武蔵、ある使命を帯びてここへ来た」
264 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/05(土) 13:07:01.72 ID:IvmCtElco
武蔵「それがなにかわかるか? わかるだろう提督! 貴様の行い、正してくれる!」
提督「知るか」
武蔵「」
島妖精H「ちょっ」
大和「て、提督!?」
朝雲「……」アタマカカエ
神通「まあ、予想通りといえばその通りですが……」ハァ
吹雪「な、何の話なんですか!?」
武蔵「提督、貴様、この期に及んでしらばっくれるとはどういうことだ!?」
提督「マジで知らねえよ。お前が何の用で来たかなんて知るわけねえだろが」
武蔵「……こ、この不躾な物言い……大淀のあの言動は貴様の影響か!」プルプル
提督「大淀?」
武蔵「ああ! 貴様そっくりだったぞ!」
265 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/05(土) 13:07:47.22 ID:IvmCtElco
提督「俺そっくり? ……本当かよ。誰か見たことあるか?」
如月「うーん、私はないわ」
大和「私もありません」
不知火「初耳です」
黒潮「うちもそんなん聞いたことないなあ」
朝雲「私たちもないわよね?」
山雲「聞いたことないわ〜?」
武蔵「馬鹿な!? 貴様と同じ調子で叱られたんだぞ!?」
提督「なんだそりゃ。確かに俺が自暴自棄になったときに大淀に叱られたことはあるが、言動が俺みたいになったって話はなあ」
大和「提督、大淀さんにも叱られてたんですか……」
吹雪「何回言ってもきかないんですね、司令官は!」プンスカ
提督「最近は言ってねえよ」
如月「考えても駄目ですからね?」ウフフー
266 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/05(土) 13:08:32.15 ID:IvmCtElco
提督「へいへい。とりあえずお前らは明石んとこ行って修理受けてこい」
武蔵「待て! 私の話は終わっていないぞ!」
提督「なんだよ……じゃあとっとと要件を言え」
武蔵「うむ……こほん。提督、貴様、艦娘に手あたり次第、手を出しているそうだな!」
全員「「……」」
武蔵「……何だその沈黙は」
提督「いや……俺、手ぇ出してるか?」クビカシゲ
武蔵「!?」
如月「いいえ、出してもらってないわ?」
大和「ですよね」
武蔵「!?」
山雲「司令さんから手を出すって、ないんじゃな〜い〜?」
黒潮「むしろ司令はんがいろんな人から手ぇ出されてる感じやんな?」
朝雲「司令が怒ってアイアンクローするって意味でなら手が出てはいるけど……」
吹雪「あはは……でも、最近は司令官が誰かにアイアンクローしてるとこ、見てないよね」
不知火「司令がそこまで怒ることも、最近はなくなりましたから」
267 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/05(土) 13:09:17.61 ID:IvmCtElco
武蔵「……おい、話が違うぞ妖精たち」
島妖精E「いや、武蔵ってば話を聞いてくれなかったじゃない」
島妖精A「私たちとしては、最近、艦娘たちが提督にくっつきすぎなのをどうにかしてほしいと考えていたんだ」
島妖精G「うん、提督が問題あるわけじゃないんだよね」
武蔵「それを早く言ってくれ……!」ガックリ
*
提督「それじゃあ何か。武蔵は、この鎮守府の風紀を正そうとしてたわけか」
武蔵「そういうことだ。気の緩み、規律の乱れは軍属である我々の規範とは真逆に位置するもの」
武蔵「平たく言えば、えっちなのはいけないというだけの話だ」
提督「それを言ったらお前の格好が一番の問題だろ」
武蔵「」
神通「提督、声に出てますよ?」
提督「わかってる」
不知火「……」アタマカカエ
268 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/05(土) 13:10:02.14 ID:IvmCtElco
武蔵「わ、私の姿はどうでもいい! 貴様こそ生活態度はどうなんだ!」
提督「生活態度? どうと言われてもな……俺、変なことしてるか?」
神通「さあ……特には。強いて言うなら、たまに不精しておひげが伸びているときがあるくらいですが」
如月「普段生活してる分には、司令官って几帳面よね?」
不知火「人の嫌なところばかり見ていますので、それが反面教師になったものかと推測しますが……」
神通「……なるほど……」
朝雲「なんかすごく納得できるわ……」
吹雪「さすが! 最古参だもんね、如月ちゃんと同じで!」
武蔵「えっ、最古参って……吹雪じゃないのか?」
黒潮「それがちゃうねんて、なあ?」
武蔵「……訳が分からなくなってきたぞ。提督に問題がないのなら、艦娘が提督にちょっかいを出しすぎだというのか?」
提督「まあ、確かに最近ガードを緩めすぎてる気がするな。新造艦娘にそこまで心配されるとなると、事態は深刻と見るべきか……」
不知火「え?」
269 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/05(土) 13:10:46.76 ID:IvmCtElco
提督「やっぱ寝るときに部屋に鍵かけるか」
如月「は?」ピシッ
大和「え?」ガーン
吹雪「そんなぁ! 駄目ですううう!!」ナミダメ
武蔵「!?」
ゴボボボッ
伊8「はっちゃん、なんだか嫌な話が聞こえてきたんですけど……?」ザブッ
黒潮「!?」
山雲「ど、どうやったら、海中から聞こえるの〜……?」
ザッ
金剛「Hey, 私も聞いてしまいマシタヨー……?」ユラリ
榛名「提督……本当にお部屋の鍵をかけてしまうんですか……?」ドロリ
武蔵「!?」ビクッ
270 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/05(土) 13:11:31.92 ID:IvmCtElco
朝雲「……司令、あなたいったい何人と寝てるんですか」
提督「何人? 何人は覚えてねえな……ここに来てないやつだと、電と朝潮と初雪と……」
武蔵「駆逐艦ばかりじゃないか! この犯罪者め!!」
提督「全員、俺が寝付いてからベッドの中に入り込んできてるんだがな。電なんか一人寝が寂しいって理由だし、無碍にはできねーだろ」
提督「丁度いいから訊くけどよ、お前らなんで鍵かけた俺の部屋に入れるんだ?」
如月「秘密よ?」
大和「内緒です」
金剛「Yes, it's Top secret デース!」
吹雪「言えません!」
伊8「いざとなったら扉を壊しますからいいですけど」
榛名「榛名もそれで大丈夫です!」
提督「……」アタマカカエ
島妖精C(そりゃー私たちが資材を貰った引き換えにやってたなんて言えないよねえ)
島妖精B(そのおかげで大和と武蔵が建造で来たわけなんだけどねえ)
271 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/05(土) 13:12:16.76 ID:IvmCtElco
朝雲「えーと……司令? 鍵、かけてたんですよね?」
提督「ああ」
朝雲「……」
提督「……」
朝雲「ということは、司令も本当に知らないんだ……」ガックリ
提督「だからさっきからそう言ってんじゃねーか」
武蔵「おい、信じるのか!?」
朝雲「ええ、信じるわ。司令はこの手の嘘をつかない人だし」
朝雲「なにより艦娘のことを優先する人だから、嫌がる艦娘を部屋に連れ込むなんて真似、絶対にしないもの。疑うだけ時間の無駄だわ」ハァ
山雲「朝雲姉がそこまで言うなら、間違いないわね〜」
武蔵「だとしたら、さっき提督の部屋にいた由良と大淀は何をしていたんだ?」
如月「は?」ハイライトオフ
大和「え?」ハイライトオフ
伊8「Was ?」ハイライトオフ
金剛「What ?」ハイライトオフ
榛名「はい?」ハイライトオフ
武蔵「!?」ゾクゾクゾクッ
朝雲「みんなして何やってんのよもう……」
272 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/05(土) 13:13:01.86 ID:IvmCtElco
吹雪「武蔵さん、何をしてたって何をしてたんですか!?」
武蔵「な、なにって、部屋を掃除していたと聞いたぞ……ベッドの上に乗っていたし、ベッドメークでもしていたのかと……」
神通(大淀さんは前からそうだと思っていましたが、由良さんもですか)
伊8(ということは、あの二人もナニかしてたんでしょうねえ)
提督「本当かそれ。ベッドくらいなら自分で直してんだが」
武蔵「そ、そうなのか……?」
大淀「ええ、その通りです」ザッ
由良「武蔵さん、ここにいたんですね」
提督「! 大淀と由良も来たのか」
大淀「はい、誤解のないように言っておきますが、私は時間が空いたので提督のお部屋の洗濯物がないかどうかを見に来ただけです」
大淀「そうしたら、由良さんがお部屋のベッドの上に寝ておりまして」
由良「ちょっ、大淀!?」
大淀「提督のお部屋のベッドがすごくいいものなので、どんなものか確かめに行ったんでは?」
由良「ま、まあ……そう、だけど」
由良(そういうことにしておいた方がいいか……)ポ
273 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/05(土) 13:14:01.93 ID:IvmCtElco
大淀「それで私も気になって、ベッドを拝借したところに武蔵さんがいらっしゃったんです」
黒潮「司令のベッドってそんなにええの?」
如月「ええ、私と大和さんで一番いいのを選んであげたの」
黒潮「ほえー……」
提督「……まあ、あれはあれでありがたかったけどな……」アタマガリガリ
武蔵「と、とにかくだ! 艦隊の規律を考えても、艦娘が提督と同衾するのはいかがなも」
大和「あぁ?」ギロリ
如月「なんですって?」ドロリ
伊8「ふーん……」ジロリ
榛名「本気で仰っていますか?」ヌラリ
武蔵「ひぃぃぃ!?」ビクゥッ
不知火「食い気味に反応しましたね……」
吹雪(抗議しようと思ったけど、その必要もなかった……)タラリ
金剛「皆さん、落ち着くデス。そこに関しては私も思うところがありマス」
榛名「金剛お姉様……?」
274 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/05(土) 13:14:46.86 ID:IvmCtElco
金剛「ひとつ教えてくだサイ。提督のベッドに、一番最初に潜り込んだのは誰デース……?」
提督「そりゃ如月だ。忘れもしねえ、俺の上に掛け布団みたいに覆い被さってたからな」
如月「やぁん」ポ
提督「次の日には電が入り込んでたな」
武蔵「おい!?」
提督「あの頃は人数も少なかったし、電は轟沈して流れ着いて間もなかったからな」
武蔵「ご、轟沈だと!?」
提督「さっきも言ったが、人の気配がない鎮守府で一人で寝るのが不安だったって話だ。如月もそうだったろ」
如月「そうね……あのときは、ただただ怖かったから。人肌が恋しかったっていうのはあるわ」
提督「電は今でもたまに入り込んでくるが、それでも暁や長門みたいな俺以外の頼る相手ができたから回数は減ったぞ?」
金剛「Hmm... やむにやまれぬ事情があったと……それでは仕方ありまセンネ」
金剛「正直に言えば、私は、提督のベッドに入る理由が単純な好意であればみんな控えるべきだと思っていマシタ」
金剛「提督と愛を誓いあっていないのに、ベッドに入り込むのは順番が違うと思ってマシタから」
武蔵「むう……」
金剛「But、不安を取り除くためというのであれば、それも言いづらいデスネ……一度轟沈している艦娘なら猶更な気がしマス」
黒潮「そう言われると難しいとこやなあ……」
275 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/05(土) 13:16:01.93 ID:IvmCtElco
金剛「こうなると、提督のベッドに入り込む理由が好意や愛情によるものなのか、不安の解消なのかが判別できまセンネ」
山雲「それはそうねえ〜」
黒潮「むしろどっちもあるんやないかな?」
金剛「武蔵もそう思いマスネ?」
武蔵「う、うむ……」
金剛「Okey ! それじゃ私も提督のベッドに遠慮なく入りマース!」Yes!
武蔵「なんでそうなる!?」
金剛「如月は提督が好きデース」
金剛「その如月は提督のベッドに入ってマス」
金剛「だから提督が好きな私も提督のベッドに入っていいデーース!」
武蔵「無茶苦茶だ!!」
金剛「Nooo ! これ以上ない見事な三段論法デース!!」
山雲「ちょおっと、強引じゃなーい〜?」
不知火「いくら何でも端折りすぎではないかと」
金剛「私だって提督は大好きデス! これ以上如月や大和に後れを取るわけにはいきまセーーン!」
276 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/05(土) 13:16:46.88 ID:IvmCtElco
金剛「燻ぶらせていた Burning Love !! テートクのためにッ! 完全燃焼デーーース!!」ドカーン!
黒潮「おおう、こりゃ司令はんもスミに置けへんなあ」
不知火「その前に完全燃焼ではスミになりそうですが」
黒潮「誰が上手いこと言え言うたん!?」ビシーッ
不知火「え!? し、不知火に何か落ち度でも……!?」オロオロ
黒潮「自覚しとらんかったんかい!」ビシーッ
吹雪「黒潮ちゃんが変なツッコミ入れるから戸惑ってるんでしょ!?」ビシーッ
金剛「ブッキーがいいツッコミ入れてマス……!」
黒潮「またまたあ金剛はん、真面目な吹雪がそんなこと言うわけ……ほんまや! 真面目か!」
吹雪「言い出しっぺは黒潮ちゃんでしょ!?」ビシーッ
山雲「朝雲姉〜、面白いわね〜」パチパチ
朝雲「お笑いやってる場合じゃないでしょ……」
伊8「脱線しましたけど、引き続き提督と一緒に寝るのは問題なしということで。いいですよね?」
榛名「賛成です!」キョシュ!
如月「異論なしよ!」キョシュ!
武蔵「いいのか……いいのかそれで」アタマカカエ
277 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/05(土) 13:17:31.92 ID:IvmCtElco
大和「武蔵……」カタヲポン
武蔵「大和……こんなことが、許されていいのか!?」
大和「余計なことはしないで?」ニコァ
武蔵「」
朝雲「武蔵さん、やめといた方がいいわ。大和さんてば、司令のことがすっごく好きだから」
山雲「あらぁ〜? 朝雲姉〜、武蔵さん、聞いてないみたいよ〜?」テノヒラフリフリ
武蔵「」
由良「失神してるみたいなんだけど……」ホッペツンツン
黒潮「んなアホな……」
大淀「滅茶苦茶迫力のある笑顔見せてましたからね。いくら武蔵さんでも建造されたばかりでは、さすがに……」
不知火「大和さん……」アタマカカエ
神通「さすがに少し大人げないかと……」アタマオサエ
提督「……大和。いい加減、変なプレッシャーかけんじゃねえって言ったよなあ?」ツカツカ
大和「あっ、提督、ちょっと待っ、あの、アイアンクローは、待っ、あ、ひぎぃぃぃぃいい!?」メキメキメキ
金剛「Oh, 久々に見ましたネ、提督のBrain Claw」
如月「司令官のことをまだまだ分かってない証拠よね」フフッ
伊8「まるで正妻のようなこの余裕」
吹雪「とりあえず、武蔵さんどうしましょう?」
榛名「明石のところに連れて行きますか?」
武蔵「」チーン
278 :
◆EyREdFoqVQ
[saga]:2020/12/05(土) 13:19:10.19 ID:IvmCtElco
今回はここまで。
由良さんのお目覚め(意味深)は
>>22
を参照です。
279 :
Liphistius_ki84
[sage]:2020/12/06(日) 00:55:40.31 ID:QXV1Y5vV0
なんかもうこっちはこっちでIFとして罠だらけとは別の未来に進んでほしい気もする。幸せになってくれぇ…
280 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/20(日) 20:52:07.77 ID:KchNE/3fo
少しだけ続きです。
281 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/20(日) 20:53:35.03 ID:KchNE/3fo
* 工廠 *
明石「いやあ、話は聞かせてもらいましたけど……」
利根「まさか武蔵が来ようとはの……」
武蔵「あ、ああ……その、よろしく頼む」
利根「う、うむ、こちらこそよろしく頼むぞ」
提督「……」
明石「提督、まーた何かしたんですか? あの武蔵さんが借りてきた猫みたいなんですけど」ジロリ
提督「何もしてねえっつうの」
明石「本当ですか? 提督って、こういう騒動の中心にいるってことに無自覚ですからねえ……」
武蔵「お、おい、明石! あまり提督にそういう態度を取っては、後々大変にならないのか!?」
提督「そうはならねえよ。大和にも言って聞かせるから、堂々としてていい」
明石「あ、もしかして大和さん絡みですか。じゃあ仕方ないですかね〜」アタマオサエ
武蔵「明石もそれで納得するのか……」
明石「私も大和さんには、出会ってすぐに主砲向けられちゃいましたからね」
武蔵「……」
提督「つっても大和だけじゃねえがな。とりあえず今後のためにも、武蔵には早速出撃してもらうつもりだ」
明石「大和型が二隻ですか……そうなると資材が不安ですねえ」
282 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/20(日) 20:54:20.53 ID:KchNE/3fo
朝雲「司令なら確かこっちに……あ、いたいた!」
山雲「お邪魔しまぁ〜す」
初雪「おお……本当に、武蔵さんだ……」
提督「なんだ、俺に用か? それとも武蔵の野次馬か?」
朝雲「野次馬じゃないわよ。山雲たちからお願いがあるの」
山雲「そうよ〜、武蔵さんに〜、お願いがあって来たの〜」
武蔵「……この武蔵にか?」
初雪「うん……良かったら、一緒に畑を見て欲しくて」
武蔵「ああ、それは構わないが……山雲と初雪が畑を見てるのか?」
山雲「そうよ〜」
武蔵「むう……非力な駆逐艦に力仕事を任せているというのは感心しないな」
明石「まあまあ、それぞれ役割分担してますから。厨房は比叡さんや大和さんにお願いしてますし」
提督「離島だから雑務は多いぞ。音響設備は霧島、裁縫や工作は長門や金剛、明石がやってるし」
提督「ほかにも掃除洗濯は陸奥や榛名や扶桑、資材搬入は山城によく手伝ってもらってるな」
提督「なんせ人間が俺一人だ、大体のことは自分たちでやらなきゃならねえ」
武蔵「……なるほど。いいだろう、この武蔵がこの地に喚ばれたのも何かの縁だ。よろしく頼むぞ」ニッ
提督「ああ。とりあえず希望があるなら言ってくれ、できるだけ沿うようにするからよ」
283 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/20(日) 20:55:04.95 ID:KchNE/3fo
* ところ変わって、M提督鎮守府あらため城塞鎮守府 *
通信機< RRRR... RRRR...
三日月「はい、こちら城塞鎮守府にございます」
三日月「O中尉! お久しぶりです! 三日月です!」
三日月「はい、知中尉ですね! しばらくお待ちください!」ピッ
三日月「司令官! O中尉からです!」
知中尉「お、ありがとう。もしもし?」
通信(O中尉)『よ、久しぶり。昇進おめでとう』
知中尉「んー、ありがとな。お前もおめでとう、お前も昇進だろ?」
通信『ああ。とりあえず三日月は元気そうで安心したよ』
知中尉「他の子も元気だぞ。最初は泣いたり喚かれたりで散々だったけどな……」
知中尉「でもまあ、うちの古参とも仲良くなれたし、今はまあ心配しなくても大丈夫だな……」
通信『? どうしたんだ、その奥歯に何か挟まったみたいな言い方……あ、もしかして、利根か?』
知中尉「……まあ、な」ハァ
284 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/20(日) 20:55:50.41 ID:KchNE/3fo
* 数時間前 *
利根改二「ちくま〜」ゴロゴロ
筑摩「はい、利根姉さん」ニコニコ
利根改二「ちくまはどこにも行かんよなあ〜」ギュウ
筑摩「はい、ここにいますよ、利根姉さん」キラキラ
利根改二「うむ、ちくまはわがはいとずーっといっしょじゃからなあ……」スリスリ
筑摩「勿論です、利根姉さん」キラキラキラキラ
* 回想ここまで *
知中尉「今じゃあ筑摩依存症とでも言うのかな? 俺も事態を軽く見てたってことだ……」
通信『うーん……筑摩、連れていかなきゃ良かったか? うちにいた筑摩も、利根と接触できなくてうずうずしてたから、良かれと思ったんだが』
知中尉「いや、良かったには良かったんだ。利根はこの鎮守府の功労者だ、筑摩が来る前まで、いつぶっ倒れるかわからないくらい憔悴してたんだし」
知中尉「そんな利根を何とかしたくて、俺がお前に筑摩を連れてきて欲しいって無理言ってお願いした結果でこうなったわけだからなあ」
知中尉「それに、あの地下室で大怪我してた利根の移動先まで面倒見てくれたんだ、俺たち全員、お前には感謝してるんだぜ?」
通信『……なんだか、弱みに付け込んだみたいで悪いな』
知中尉「三日月たちのことか? それはそれで話が別だ、気にするな」
285 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/20(日) 20:56:35.10 ID:KchNE/3fo
知中尉「つうかその話、一番悪いのは指揮を執ってたC提督とかいう奴だろ。ったく、本営にはひどい奴がいたもんだな」
通信『……まあ、な……』
知中尉「なんだその微妙な反応」
通信『あー、いや、そいつなんだけどな……自分の元上官に取り入ってるみたいなんだよ』
知中尉「は? マジか。なんでそんな奴らに好かれてんだよお前の元上官」
通信『そりゃ地位とお金が好きな類友だからだよ。自分が追い出されたのも金にならないからだって、この前話しただろう?』
知中尉「勘弁してくれよ、なんでそんな腹黒い奴らがテレビ出てニヤニヤしてんだよ。大丈夫なのかこの国」
通信『そんなの今に始まったことじゃないだろう。自浄作用が怪しいところまできてると思うぞ?』
知中尉「確かにそうだけどぶっちゃけすぎだろ……あ、そうだ思い出した。お前のところには電話あったか?」
通信『電話? いきなり何の話だ?』
知中尉「ああ悪い、テレビで思い出したんだよ。この前、テレビ局からこの鎮守府を取材したいって話が来たんだ」
通信『なんだって!? まさか引き受けたのか?』
知中尉「馬鹿、断ったに決まってるだろ。本営を通せ、で押し切ったさ」
286 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/20(日) 20:57:20.04 ID:KchNE/3fo
知中尉「本営は本営で、今更に広報部門の組織再編の話が上がってて、艦娘の話ができる広報担当も決まってない状態だろう?」
知中尉「待ちぼうけ食らって焦れたテレビ局が、無断で撮影したり取材しに来たりするケースも想定しておかないとまずいかもな」
通信『それもあり得るか。けど、さすがにリンガ泊地まで行くやつがいるかな?』
知中尉「十分あり得ると思うぜ。この鎮守府が、余所の鎮守府に演習場として使われていることをテレビ局も知ってるみたいだし」
知中尉「いろんな鎮守府の艦隊が集まるだろうから、取材にかこつけてでかい鎮守府に突撃取材したいんじゃねーか、って」
知中尉「うちの青葉も自分で考えて自画自賛してたから、テレビ局がそれをやらないとは思えないんだよなあ」
通信『警戒したほうがいいのか……』
知中尉「で、ここの責任者が俺だってことも周知の事実らしくてな。『知少尉ですか』って名指しで訊かれたんだよな」
知中尉「あいつら、そんなに偉くない俺みたいな僻地の鎮守府なら、上を通さなくてもワンチャンあると思ったんじゃねーかな……」
知中尉「M准将がいなくなって繰り上げで少尉になった俺が、この短期間で中尉に格上げだ。戦果を挙げてるお前とは話が違う」
知中尉「もしかしたら、本営からこっちに動かせるお偉いさんがいなくて、その場しのぎに俺を昇進させたのかもな」
知中尉「そうでなきゃあ、M准将のことを探られてもいいように、俺に全部責任をおっかぶせてしまう魂胆か」
通信『そんなことは……』
知中尉「ま、どっちにしたってテレビの話は全部拒否するさ。俺もM准将の話をほじくり返されたくないからな」
通信『……』
287 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/20(日) 20:58:05.25 ID:KchNE/3fo
知中尉「……M准将の話は、決して大昔の話じゃない」
知中尉「あの話がテレビ局なんかに知れ渡って面白可笑しくドラマに仕立てられたりでもしたら、戦時中とはいえこんな鎮守府、簡単に吹き飛んじまう」
知中尉「それに……なんでかんで、俺はM准将を尊敬してたんだ。俺が今この鎮守府をなんとか維持できてんのも、M准将を見てきたからだと思ってる」
知中尉「身内贔屓ではあるけどさ、形はどうあれあの人は自決したんだ。これ以上、あの人を辱めなくてもいいだろ?」
通信『そうだな……』
知中尉「ま、もしかしたらその話も、連中はもう知ってんのかもしんねーけどな……」
知中尉「ともかく。うちは通常営業しつつ、テレビ取材は全部お断り。撮影も厳禁、見たいなら余所に行け、で押し通す。これで行く」
通信『そこまでガード固めてるんなら、大丈夫そうだな』
知中尉「ん? もしかして心配して電話してきたのか」
通信『いや、むしろそのテレビ局絡みの件を話すつもりだったんだ』
通信『艦娘の情報を公表したせいで、本営の判断も仰がずにテレビ局の取材を受けて、変なことになってる鎮守府が出てきててね……』
知中尉「嘘だろ……?」
通信『しょうがないとは言いたくないが、民間からスカウトした『提督』たちはどうもその辺の意識が低くてなあ……』
通信『お前のところはいろんな『提督』が出入りするだろう? 今更だけど、心配になって電話したんだよ』
知中尉「……ちょっと特警と相談してくる。テレビ局が無断で入ってきてる可能性も考えとかねえと」
288 :
◆EyREdFoqVQ
[saga]:2020/12/20(日) 20:58:51.15 ID:KchNE/3fo
今回はここまで。
289 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2020/12/22(火) 22:56:19.25 ID:fJ0f66N20
乙。いつの時代もssの阿保提督共とマスコミはムカつくなぁ
まぁそういう設定にしてるスレ主さんの所為だけども...
どっかにそういう奴らが死にまくるssねーかな
290 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/12/24(木) 11:10:55.12 ID:LOD4Zw1o0
あぁぁぁ現実から逃げてたのにマスゴミが入るとぅぅぅ。
面白いことになりそうだ。()
291 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/24(木) 22:45:48.59 ID:qDazUU2Wo
メディアがまともなら騒がれることもありませんが、
なにかとフェイクニュースも紛れ込んでおりますし……
メッキが剥がれてきている気がしますね。
では続きです。
292 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/24(木) 22:46:38.34 ID:qDazUU2Wo
* 数週間後 *
* 墓場島鎮守府 執務室 *
黒潮「司令はん、また新聞読み返してるん?」
提督「こっちは一昨日のだ。今読んでんのは昨日の分」バサ
黒潮「新聞が、週に二回しか来ないんも不便やなあ」
大淀「仕方ありません、離島に毎日物資を届けていたら、それだけで輸送費が馬鹿になりませんから」
提督「そういうこった。そもそもパラオやらトラックやらの泊地への輸送がメインで、うちに来るのはそのついでだしな」
大淀「ですが、それもこの鎮守府の近海が安全になったことで得られた結果ですよ」
提督「前から言ってんだが、そりゃル級のおかげの方がでけえんじゃねえの?」
大淀「ま、まあ……ル級さんも、はぐれたり損害を受けて海域に入ってきた駆逐艦や潜水艦を、保護して余所の海域に送り届けてるみたいですし」
大淀「深海棲艦にとっても、非交戦地帯になりつつあります。私たちとしても望ましいと思いますよ」
黒潮「イ級とか、あの見た目でも話が通じるんやな……」
提督「ま、安全になったからって輸送艦が毎日来るようになったら、ル級も気軽にこっちに来れねえからそこは善し悪しだな」バサッ
293 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/24(木) 22:47:21.14 ID:qDazUU2Wo
大淀「提督、ニュースが見たいのでしたら、衛星通信のネットワーク機器を置いてもらうよう申請しましょうか」
提督「できりゃいいがな。ともかく中佐が邪魔だ……あの野郎、なんでかんでうちに通信機器を置かせるのだけは邪魔してくるからな」
提督「同じ理由で小型の船舶の申請も握り潰されてる。俺をとことんこの島に封殺しておきたいんだろうけどよ」ケッ
大淀「ゴムボートすらありませんからね。提督、泳げませんよね?」
提督「ああ。何やっても沈むから諦めた」
黒潮「沈むて……」
大淀「……救命胴衣も申請しておきます」
提督「まあ、そうそう必要にはならねえだろうがな。当分は島を離れるつもりもねえし」
提督「離れるとしたら……いや、それもねえか。死んだら骨を埋めるのもこの島だな」
大淀「提督?」ジトメ
提督「別にいいだろ、何十年後の話をしても。老後の話も駄目なのかよ」
黒潮「それはそれで気が早すぎると思うで〜?」ニガワライ
大淀「むしろ、何かといえば自殺したがる提督の口から老後なんて言葉が出るとは思いませんでしたよ?」ジトメ
提督「おう、自分でも寝言言ってんなーって感じだ。寝ながら仕事してんじゃねえの? 俺」
大淀「またいい加減なことを……」アタマカカエ
294 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/24(木) 22:48:08.38 ID:qDazUU2Wo
提督「なんにしてもだ、この島に引きこもってる分には気楽でいい。余所みたいに外野が口を出したり勝手に入ってきたりしねーし」
提督「妖精と話してても変な目で見られねえから、そういう意味でもこの島から出たくねーな」
黒潮「司令はん、とことん人間嫌いやな……」
提督「おうよ、好かれたくもねえし、注目されたくもねえ」
提督「そういや中佐の鎮守府で、テレビの取材班が来た直後に盗聴器が見つかって騒ぎになったって、赤城が報告がてらぼやいてたぞ」
黒潮「うえええ……」
提督「いらねえ首を突っ込みすぎなんだよ、奴らはよ。スクープと視聴率しか頭にねえからな」
大淀「艦娘の報道が過熱したせいで、メディアクルーの乗った船が沈められた事件も起きましたし……」
提督「ざまあ」
大淀「提督……?」ジロリ
提督「報道してたのは連中だ、海が危険なのはわかってたはずだぞ。痛い目見てちったあ学習しやがれってんだよ」
提督「そもそも他人の不幸で飯食ってる連中だ、飯の種ができて良かったなって言ってやりてえくらいだ」
提督「どうせその件も、反省しないで被害者ぶって海軍に責任転嫁するんだろうからな。救えねえ」ケッ
295 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/24(木) 22:48:51.41 ID:qDazUU2Wo
黒潮「なんか……責任感じるわ」シュン
提督「黒潮、お前が落ち込む必要はねーぞ。早かれ遅かれ、艦娘の存在はメディアにも知れ渡っただろうさ」
大淀「あの中佐が一枚噛んでいたとなれば、報道規制の解除も時間の問題だったんでしょうね」
黒潮「……うん」
提督「とはいえ、空母棲姫の一件のときはあんなに行動が早いと思わなかった。正直、侮ってたぜ……くそ」
提督「いくら赤城がいるっつっても、頼りっきりは良くねえな。少し考えねえと……」
扉<コンコン
敷波「司令官、いるー?」
提督「おう、入っていいぞ」
敷波「はーい、司令官、ちょっと来てもらってもいい?」チャッ
提督「何かあったのか?」
敷波「うん。また砂浜に艦娘が漂着したんだけど……」
296 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/24(木) 22:49:35.89 ID:qDazUU2Wo
* 入渠ドック *
電「あ、司令官さん! 黒潮ちゃん!」
提督「よう、敷波から聞いたぜ、お前が見つけたんだってな」
黒潮「五十鈴さんと筑摩さんやて?」
電「なのです」
提督「敷波もあまり慌ててなかったみたいだが、怪我の程度はそこまで深刻じゃないんだな?」
電「はい、小破した五十鈴さんとはドックへ来る途中に少しお話ししました。司令官さんともすぐお話しできると思うのです」
提督「筑摩の具合はどうだ?」
電「筑摩さんは中破でした。ただ、かなり疲れてるみたいで、いまはぐっすり寝てるそうです」
提督「そうか」
黒潮「五十鈴さんたちがここに漂着してきたんはなんでか聞いてる?」
電「詳しくは聞いていないのですが、鎮守府が差し押さえられたらしいのです」
提督「は?」
黒潮「差し押さえ? ……赤札でもべたべた貼られとったんかな」
電「そういうことみたいなのです」
黒潮「えええ……」
297 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/24(木) 22:50:21.36 ID:qDazUU2Wo
* それから1時間後 *
五十鈴「五十鈴です」ペコリ
五十鈴「まずはお礼を言わせて。私たちを助けてくれて本当にありがとう」
提督「おう。とりあえずどこの所属で、なんで漂流してきたか、話してくれるか」
五十鈴「ええ。まず、私と筑摩さんは利提督の鎮守府に所属していたわ」
提督「所属していた、ってことは、過去形か?」
五十鈴「そこはちょっと希望的観測も入っているんだけど……」
黒潮「確定しとらんの?」
五十鈴「そうよ? だって私たち、鎮守府から逃げてきたんだもの」
黒潮「逃げた!?」
電「……のですか!?」
五十鈴「それでなんだけど、ここの提督さん……提督准尉さんだったかしら。私たちのことはもう本営には伝えてる?」
提督「いいや、まだだが?」
五十鈴「そう、それなら良かった」ニコ
五十鈴「これは私の個人的なお願いなんだけど、私をこの鎮守府の艦隊に加えてもらえないかしら?」
298 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/24(木) 22:51:06.14 ID:qDazUU2Wo
提督「それがお前の望みか」
五十鈴「ええ、そうよ」
黒潮「ふーん……」
電「ということは、あの質問はしなくていいですね?」
提督「まあ、そうだな」
五十鈴「? どんな質問をしようとしてたの?」
提督「お前は生きたいのか死にたいのかどっちだ、ってな」
五十鈴「何その質問……」ヒキッ
提督「自殺志願者は相手にしないことにしてんだよ」
提督「どうしてあの時に殺してくれなかった、なんて逆恨みされても困るからな。死にたい奴は相手にしたくない」
五十鈴「だったら私は死ぬ気はないわよ?」
電「それなら歓迎するのです! ですよね司令官さん!」パァ
提督「ああ」
299 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/24(木) 22:51:51.68 ID:qDazUU2Wo
黒潮「……なあ司令はん。二人がなんで鎮守府から逃げてきたか、訊いてもええ?」
提督「そうだな。話せるか?」
五十鈴「ええ、勿論よ」コク
五十鈴「とりあえず何から話せばいいかしら。私たちの鎮守府はかなりの大所帯だったの」
五十鈴「200人近い艦娘が朝も夜もなく出たり入ったり、せわしないながら戦果をあげてる鎮守府だったわ」
五十鈴「内容としては、大きな戦果をあげるんじゃなくて、地味で小さな戦果をこつこつ積み上げていくタイプね」
電「それはそれで重要な役割に思えるのです」
五十鈴「そうね。でも、あの日……本営が艦娘の存在をテレビで発表してから、いろいろとおかしくなっちゃったのよ」
黒潮「テレビやて……?」
五十鈴「そう。話を戻すけど、利提督鎮守府の主なお仕事は、近海のパトロールや遠征航路の調査と護衛……」
五十鈴「漁船とそれに随伴する護衛船への帯同とか、地味なお仕事が多かったの」
五十鈴「海軍が活動するうえで重要な活動のはずなんだけど、それだけに軽視されて注目されてなかったのよね」
電「聞く限り裏方さんのお仕事ですからね……」
300 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/24(木) 22:52:36.11 ID:qDazUU2Wo
五十鈴「でも、その甲斐あって民間には良い感じに見られてたみたいでね」
五十鈴「艦娘の存在を隠さずに済むようになってからは、地元の人たちに感謝されてたらしいのよ。挨拶とかもしてもらったし!」ニコニコ
五十鈴「ただ、その後が問題で……」ウーン
電「……そこからがテレビの話ですか?」
五十鈴「そう。テレビ局から取材が来たもんだから、利提督が舞い上がっちゃって。俺の時代が来たとか言って、まあ大騒ぎ」
五十鈴「主力の艦隊引き連れてテレビの取材に応じたり、出演料? とかを貰ってどっかで飲んできたり……」
五十鈴「利提督の私生活も派手になっちゃって、出撃も厭世も疎かになってきて」ハァ
五十鈴「結果的に利提督鎮守府の資金繰りが厳しくなって、利提督もどこで作ったのかわかんない借金が増えてて」
五十鈴「主力の艦娘がどんどん引き抜かれて、鎮守府の施設や備品もどんどん差し押さえられて、利提督も雲隠れしちゃって」
五十鈴「このままこの鎮守府にいたら艦娘も売り飛ばされるなんて話が出て、利提督鎮守府はもう滅茶苦茶」
五十鈴「それで私も、お世話になった筑摩さんと一緒に逃げてきたってわけ」
電「それで差し押さえなのですか……」
黒潮「……なんでや……」
五十鈴「なんでって……」
黒潮「なんでこんな大事になっとん……」ウナダレ
301 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/24(木) 22:53:23.53 ID:qDazUU2Wo
黒潮「やっぱりうちがあんなことせんかったら良かったんかあああ!?」
五十鈴「ちょっ、どうしたの!?」
電「く、黒潮ちゃん落ち着くのです!?」
提督「おい黒潮。艦娘がテレビに出ることになったことを自分のせいだと思ってんなら、そりゃ違うぞ」
黒潮「違うもんかい! うちのせいで大事に……」
ガシッ
黒潮「い」アタマツカマレ
提督「……いいか黒潮? もう一回言っとくぞ?」
提督「お・ま・え・の・せ・い・じゃ・ね・え」ジロリ
黒潮「ヒィ」ミシッ
提督「返事は」
黒潮「ワ、ワカリマシタ」
提督「またくだらねえこと言い出したら、てめえの頭を握り潰すぞ」パッ
黒潮「ハヒ……」ガクブル
電「司令官さん……」アタマオサエ
302 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/24(木) 22:54:06.24 ID:qDazUU2Wo
提督「ったく、説得すんのも面倒臭えな」
五十鈴「それ、説得って言うの?」ヒキッ
提督「気にすんな。込み入った事情のある艦娘ばっかりなんでな、ちいと自虐が過ぎる奴も多いんだ」
提督「今の黒潮みたいに自分が原因じゃねえのにぐだぐだ言う奴は、無理矢理にでも前を向かせねえと駄目だな」ハァ
五十鈴「ネガティブな発言はしないほうがいいってこと?」
提督「いいや? 弱音吐きたいなら吐いてもいいさ、ただ、それに対する俺からのフォローに期待はすんな」
五十鈴「まあ、いいけど。せっかく生き残ったんだし、どうせなら前向きに……あ」
提督「? どうした」
五十鈴「確認したいんだけど……この鎮守府に、私以外の五十鈴はいるの?」
提督「いいや? お前と同じ顔は見たこと……なくは、ねえか。生きてるお前は初めてだな」
五十鈴「ちょっ……それ、どういう意味!?」
提督「あの浜に流れ着いてくる艦娘は珍しくねえが、お前らみたいに生きて流れ着いてくる奴らは珍しいんだよ」
五十鈴「うえぇ……!?」
303 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/24(木) 22:54:51.40 ID:qDazUU2Wo
黒潮「五十鈴はん、墓場島て聞いたことある?」
五十鈴「墓場島? き、聞いたことはないわ。物騒な名前ね……もしかしてここがそうなの?」
提督「ああ、この島がそう呼ばれてんだよ。この辺の潮流が特殊なせいで、轟沈した艦娘がよく打ち上げられてくるんだ」
電「司令官さんは、轟沈した艦娘をこの島の丘に埋葬しているのです。それでこの島は墓場島と呼ばれるようになりました」
提督「お前に似た奴も、埋葬したような記憶がある。同型かどうかはしっかり覚えてねえが……多分埋めてるな」
五十鈴「……」
黒潮「いや、埋めてるて、その言い方……五十鈴はんめっちゃ引いてるで」
提督「しょうがねえだろ。他に言い方あるか?」
電「司令官さんの発言にオブラートなんて気の利いたものはないのです」ハァァ
五十鈴「……ほんと、予想してたよりもひどい回答が返ってきて、正直ドン引きしてるんだけど……」
五十鈴「とにかく、私はここで普通に生活してもいいわけね?」
電「それは勿論なのです。ですよね、司令官さん」
提督「ああ」
304 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/24(木) 22:55:36.26 ID:qDazUU2Wo
黒潮「……」
電「? 黒潮ちゃんはどうしたのです?」
黒潮「うん? ああ……ちょっと失礼なこと、言ってしまうけど……」
黒潮「五十鈴はん、自分のいた鎮守府がえらいことになってんのに、あんまり悲しんでる感じやないよね?」
五十鈴「そうね。悲しいかって訊かれたら、私はそれほどでもないかしら」
五十鈴「仮に鎮守府が存続していたとしても、私はいずれ解体されてたわけだし」
提督「おい……どういう意味だそりゃ」
五十鈴「どういう意味もなにも、私、もう少し練度が上がったら、解体される予定だったのよ」
黒潮「!?」
提督「なんだそりゃ!?」ガタッ
五十鈴「そんなに珍しい話かしら。特定の艦娘は、改装すると珍しい装備が出来上がるの」
五十鈴「私の場合は電探なんだけど、それを作る方法がないから、数を手に入れるには五十鈴をたくさん改装するしかないのよ」
五十鈴「で、改装が終わって装備が手に入ったら、解体して資材にするか、近代化改装で他の艦娘の強化に使われるか」
提督「……」
305 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/24(木) 22:56:21.49 ID:qDazUU2Wo
電「司令官さん、五十鈴さんも言ってますけど、これはそんなに珍しい話じゃないのです」
電「大淀さんが悩んでいた解体任務も、これを見越しての話という説もありますし……」
五十鈴「私も他の五十鈴が解体されたりしてるのを見てきたから、ああ次は私の番かあ、って感じで割り切ってたつもりだったんだけどね」
五十鈴「でも、この鎮守府に私以外の五十鈴がいないなら、私が頑張らせてもらってもいいんじゃない?」ニコ
電「それは……そうなのです」
提督「……」
黒潮「解体される自分を見てきてたから、ここまで達観できてたってことやろな……」
提督「ま、いいけどよ……」ムスッ
黒潮「司令はん、そうは言うけどそのしかめっ顔……」
提督「気に入らねえってだけだ、くそが」ハァ
五十鈴「そこまで悲観することかしら。准尉さんも艦隊に同じ艦娘が二人以上になったこと、あるでしょ?」
提督「いや、うちの鎮守府の中ではねえな」
五十鈴「あら、そうなの?」
306 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/24(木) 22:57:07.58 ID:qDazUU2Wo
提督「とはいえ、確かに同じ艦娘が複数いるのは確かなんだよな。余所の鎮守府の長門や金剛や明石も見たし、利根や吹雪も見た」
提督「艦娘が最初から記憶を持っていて、かつ複数存在するのは、神霊の分祀によってできる説に似通ってる」
提督「同じ神様でも祀られ方によって性格が変わってくるのと似たようなもんで、艦娘に個性が出るのもその一環だとな」
提督「だからたくさん同じ艦娘が存在するし、仁提督が言っていた『艦娘を備品と思え』ってのも、そういう意味では一理ある」
提督「個人的には、受け入れたくはねえがな……」
電「司令官さん……」
黒潮「五十鈴はん、筑摩さんも同じ何人目かの筑摩さんなん?」
五十鈴「それは違うわ。利根型は筑摩さんは一人しかいなくって、利根さんは一人もいなかったの」
五十鈴「五十鈴は何人いたかしら。私の前に10人はいたと思うけど」
提督「偏ってんなあ……」
黒潮「この鎮守府も負けず劣らず偏っとると思うけどなあ?」
電「なのです」
提督「最後にもうひとつ訊いていいか? お前が鎮守府を抜け出してからその道中、羅針盤は見たか?」
五十鈴「羅針盤? 逃げてすぐは余裕がなくって見てなかったけど……その後で見ても全然あてにならなかったわ」
五十鈴「針がぐるぐる回ってて、どこへ行ったらいいかわからなくって」
307 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/24(木) 22:58:06.11 ID:qDazUU2Wo
五十鈴「二回だけかしら? 針がピタッと一方向を指すときがあったけど、その時以外は全然駄目」
提督「……ということは、もう元の鎮守府とは縁が切れてんだな」
五十鈴「え。なにそれ。そんな仕組みなの!?」
提督「所属する鎮守府から離反した奴はそうなるんだとよ」
黒潮「多分、その針が一方を向いたときも、危険が近づいたから近づくなって警告したんやろなあ」
五十鈴「初めて聞いたわよそんなの……」
提督「そりゃ、鎮守府から追放されなきゃ知る由もねえさ。うちの鎮守府には経験者が数人いるからわかる話だ」
五十鈴「数人……って、そんなに追放されてるの!? そんなこと何度も起こったら駄目でしょ……?」
提督「うちはうちでそういうのしか集まってこねえんだよ。こっちもこっちで偏ってんだ」
五十鈴「鎮守府と聞いて安心してたけど、想像以上にとんでもないところなのね、ここ」ガックリ
提督「まーな。まあ、ここに来たんなら、これ以上は悪くならねえようにするから、そこまで悲観すんな」
電「俗にいうブラックな鎮守府じゃないので、そこは安心してほしいのです」
提督「とりあえず誰かに鎮守府を案内させるか。電、誰か適任はいるか?」
電「同じ長良型の由良さんがいいと思うのです」
提督「由良? ……あいつと同型なのか? 制服が似てねえな」
308 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/24(木) 23:00:05.42 ID:qDazUU2Wo
電「長良型は一番艦から三番艦と、四番艦から六番艦までで建造時期に間があるのです」
電「五十鈴さんは長良型の二番艦、由良さんは四番艦なので、建造時期の差が制服の違いになってるのです」
提督「ふぅん……」
黒潮「ほな、由良はんと利根はん呼んでくるとええんかな?」
五十鈴「えっ、利根さんいるの? 良かった、筑摩さん喜ぶわ!」パァッ
提督「随分嬉しそうだな」
五十鈴「ええ! 筑摩さんには利根さんの身代わりにされてたし、私もやっと解放されるのね!」ルンルン
提督「……どういう意味だそりゃ」
五十鈴「どうって、そのままの意味よ? 私は利根さんの代わりにされてたの」
黒潮「まあ、確かに髪型はおんなじ感じやしねぇ」
五十鈴「一緒にご飯食べたりお風呂入ったり、寝るのも一緒で大変だったの。利根さんがいるなら安心ね!」
提督「……」
黒潮「……なんか、話しぶりから普通やない感じがするんやけど」
電「大丈夫なのですか……?」
提督「ところで、なんで五十鈴にははん付けで、筑摩はさんづけなんだ?」
黒潮「んー、筑摩さんとはまだ面と向かって話してないし、親しくもなってないしなあ」
電「じゃあ、電も電はんって呼んでもらえるですか!?」キラキラッ
黒潮「うんにゃ、同じ駆逐艦にはつけへんよ? 目上の人限定や」
電「」ガーン
309 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2020/12/24(木) 23:02:22.11 ID:qDazUU2Wo
今回はここまで。
利根とは違う意味で死の宣告を受けていた五十鈴の登場です。
既に二次創作ではだいぶ使い古された話ですが、
五十鈴の話の元ネタは皆さん御存知の電探増殖です。私もやりました。
那珂ちゃんの解体と同じくらいメジャーなネタではないでしょうか。
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