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照「京ちゃんなんて知らない」京太郎「2度も言った!」
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335 :
◆oiHx77pVqQ
[saga]:2021/10/31(日) 23:15:37.38 ID:y4S6iuVL0
咲「そうだ、ガム食べる?」
京太郎「いいね。何味?」
咲「なんだっけ、ピンク色…ベリー系? はいどうぞ」
京太郎「はいどうも」
咲「…実は今日のために買ったんだよね」
京太郎「…なに、ガム?」
咲「うん。お姉ちゃんと会話が行き詰まったら渡そうかなぁって」
京太郎「…それはちょっとおもろいかも」
咲「お、おもろい…かぁ…」
京太郎「まぁ、渡す機会なくてよかったじゃん。点棒の代わりにするくらいでさ」
咲「…怒られちゃうよ」フフッ
336 :
◆oiHx77pVqQ
[saga]:2021/10/31(日) 23:17:48.26 ID:y4S6iuVL0
京太郎「そういやさ」
咲「なぁに?」
京太郎「龍門淵の人と結構仲良いじゃん。思った以上」
咲「そうかな。普通じゃない?」
京太郎「いやまぁ…普通の人なら普通なんだけどさ。咲だし」
咲「えー……まあね。しょうがないと思うよ」
京太郎「素直じゃん」
咲「『己を知れば百戦危うからず』って言うじゃない?」
京太郎「…自己分析が大事ってことか?」
咲「そんなところ。京ちゃん良く勉強してるじゃん」
京太郎「漢文だろ?」
咲「そう。…なんか嬉しいね」
京太郎「なにが?」
咲「同じこと勉強してるでしょ…遠くにいても。クラスメートみたいに、話せる」
京太郎「なるほどね。確かに」
337 :
◆oiHx77pVqQ
[saga]:2021/10/31(日) 23:19:04.73 ID:y4S6iuVL0
京太郎「ほら、自分のほうから話しかけて俺のこと言ってたって聞いたからさ」
咲「あー…そうだったかも」
京太郎「どういう風の吹き回しかって思ったわ。でもさ」
咲「うん」
京太郎「なんなら自分から麻雀部に入るって言いだしたときから、か……なんていうの、しっかりしたなぁって」
咲「私?そう?」
京太郎「おう。…おどおどしなくなったっていうかさ」
咲「うーん…慣れるのって大事だなぁって気づいたかも。思い切ってやってみたら案外怖くなかった、的な?」
京太郎「……」スッ ナデナデ
咲「ふみゅっ」
京太郎「頑張ったな」
咲「……うん」プイッ
338 :
◆oiHx77pVqQ
[saga]:2021/10/31(日) 23:20:03.70 ID:y4S6iuVL0
咲「…もう!そうやって女の子たちを誑かしてるんでしょ!」
京太郎「誑かすって……いや、よっぽど親しくないとさすがに」
咲「……お姉ちゃんは?」
京太郎「…えっと」
咲「…わかったから。さっきも出た言えない件」
京太郎「いやまあ…言えないようなことはしてないけど…多分」
咲「多分、ね……」
京太郎「いや、してない!点棒に誓って」
咲「なにそれ…」
339 :
◆oiHx77pVqQ
[saga]:2021/10/31(日) 23:22:05.38 ID:y4S6iuVL0
咲「…まあ、仕方ないか」
咲「京ちゃん、昔からお姉ちゃんのこと好きだし」
京太郎「……えっ?」
340 :
◆oiHx77pVqQ
[saga]:2021/10/31(日) 23:24:00.40 ID:y4S6iuVL0
咲「…『えっ』じゃないよ。なに、自分の気持ちにすら鈍感だってこと?」
京太郎「えっ、いや、……いやそんな」
咲「じゃあ訊くけど、胸に手を当てて考えて。最近だって、お姉ちゃんのこと可愛いって思ったことあるでしょ」
京太郎「……」
咲「一回だけじゃないよね」
京太郎「……」
咲「昔から可愛いって思ってたでしょ」
京太郎「…俺、責められてんの?」
咲「違うけど……ある意味では」
京太郎「え?」
咲「…それは置いといて、何なら自分よりお姉ちゃんの方が大切だと思ってる」
京太郎「……それは」コクン
咲「何でもしたいと思ってる。……そのくらい大切で、可愛くてしょうがない人、普通は『好き』って言うと思うよ」
341 :
◆oiHx77pVqQ
[saga]:2021/10/31(日) 23:24:41.60 ID:y4S6iuVL0
京太郎「可愛くてって…」
咲「かわいいでしょ、お姉ちゃん」
京太郎「……まあ」
咲「『まあ』じゃないよ、ほんとに…」
京太郎「…咲から見ても、そう見える?」
咲「好きで追いかけて行ったってこと?…まあ、そう見られてもおかしくないよね、とは」
京太郎「そう、か…」
咲「今までも言われたんだ」
京太郎「事情知ってる人から、何度かね」
咲「事情知ってるって、龍門渕のみんなとそっちの部長さんくらいじゃないの」
京太郎「そうだな。…そうだわ」
咲「それで?」
京太郎「…そんなんじゃないって、その度説明してきた」
342 :
◆oiHx77pVqQ
[saga]:2021/10/31(日) 23:25:56.91 ID:y4S6iuVL0
京太郎「え、なんつーか……俺って最低じゃね?」
咲「…どうして?」
京太郎「上手く言えないけどさ……結局俺自身のために行動してただけじゃないかって」
咲「…そんなことないよ、って言うのは簡単だけど」
咲「そうやって自分を責めて欲しいわけじゃないのは分かってくれると思うけど、……何より京ちゃんは私たちのために動いてたよ」
咲「京ちゃんがいなかったら、こうやって仲直りできてないんだから。自信持っていいんだよ」
京太郎「…はあ、咲から慰められるとか世も末よ」
咲「…無理しなくていいから」
京太郎「…ありがとな」
咲「どういたしまして」
343 :
◆oiHx77pVqQ
[saga]:2021/10/31(日) 23:27:04.59 ID:y4S6iuVL0
咲「で、なんですけど」
京太郎「あっはい」
咲「実際どうなの?」
京太郎「……だいたい照さんが」
咲「お姉ちゃんがどう思ってるかは一回置いとこう」
京太郎「……なんか納得した、っていうか」
咲「…納得?」
京太郎「自分の行動とか感情とか振り返ってみて…そういう気持ちがあってのことだとしてもおかしくない、もっと言えばそれで説明できるってことね。そう気付かされた」
咲「…なんか理屈っぽい。男子ってそうなの?」
京太郎「どうだろ。俺が頭でっかちなだけかも知れん」
344 :
◆oiHx77pVqQ
[saga]:2021/10/31(日) 23:28:46.70 ID:y4S6iuVL0
咲「そういう話、友達としないの?」
京太郎「咲から友達という発想が出るとは」
咲「怒りますよ?」
京太郎「…わりーわりー」
咲「もう…」
京太郎「無くは無かったけど…なんだっけ、『今は部活が大事』とかなんとかはぐらかした気がする」
京太郎「いや…実際そうだったんだよね、全国決まったすぐ後くらいでさ。自分のこともそうだし、チームのためにできることはやろうって…」
咲「頑張ったんだ」
京太郎「自分なりにね。出来たかどうか知らんが」
345 :
◆oiHx77pVqQ
[saga]:2021/10/31(日) 23:29:18.06 ID:y4S6iuVL0
咲「お姉ちゃんのために?」
京太郎「…まあ、それはそうなんすよね。約束しただろ?」
咲「うん。…やっぱり京ちゃんはすごいや」
京太郎「どうした急に」
咲「…改めてそう思っただけ。だから…」
京太郎「だから?」
咲「…ううん、なんでもない」
>キンコーン 次は〜
咲「あっ、降りなきゃ」スッ
京太郎「…次の駅だぞ」
咲「えっ」
京太郎「咲さんさぁ…」
咲「…えへへ」テヘペロッ
346 :
◆oiHx77pVqQ
[saga]:2021/11/01(月) 00:14:29.00 ID:iLgLdMEY0
京太郎「ほんと、俺無しでよくやってるよ」
咲「……そうだよ。頑張ってるんだから。京ちゃんのおかげで」
京太郎「…俺のおかげ?どういうこと?」
咲「…ヒミツ。それは自分で考えてよニブチンさん」
京太郎「なんだよそれ…」
京太郎「…ああ、照さんのことは持ち帰って考えてみるよ。なんていうか、引っ掛かるものは今までもあったからさ」
咲「そう…わかった」
京太郎「あっでも、まだなにも確定じゃないからな。お願いだから先走って照さんに話したりするのはマジで勘弁。普通に死ねる」
咲「…どうしよっかなー」
京太郎「お願いです神様咲様仏様ー!」
咲「…そんなことするわけないじゃない。心配しないで」ニコッ
京太郎「さ、咲様ぁ…」
咲「はいはい、ウザイから辞めてね」
京太郎「ウザい!?咲がそんな言葉を…」
咲「…親じゃないんだから」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
347 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/11/02(火) 00:55:37.73 ID:eEdP9ree0
乙!
あーー咲さんいじらしい…
好き
348 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/11/02(火) 10:35:31.73 ID:ib4sOvxbo
乙
349 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/11/02(火) 17:17:54.21 ID:tRxKRwTUO
このスレ京照も白糸台ももちろんとても可愛いのだけど京咲めっちゃ可愛い
おつ
350 :
◆oiHx77pVqQ
[saga]:2021/11/04(木) 23:07:54.71 ID:gxQy8acc0
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
一「…ご所望のミルクティーをお淹れしました」
透華「ありがとう。…ねえ、少しおしゃべりしていきませんこと?」
一「透華様のお望みとあらば。…エプロンくらい外しても?」
透華「もちろん。自分の飲み物も用意していいですわ」
一「ではお言葉に甘えて」
透華「こちらが冷めないうちに、ね?」
一「…もう、最初からそのつもりだったんじゃん」
カチャン コトン
トプトプトプ
351 :
◆oiHx77pVqQ
[saga]:2021/11/04(木) 23:09:43.55 ID:gxQy8acc0
透華「一は、この夏を楽しめました?」
一「…そりゃ楽しかったよ。大会出れなかったのは本当に残念だけど、…なんていうの、外から見れたのはいい経験になったと思うな。あらよっと」スッ
一「お待たせ、しました」カチャ カチャ チョコン
透華「良い茶葉でしょう?」
一「そうだね…屋敷で淹れるのには及ばないけど」
透華「ふふっ…これは一本、取られましたわ」
352 :
◆oiHx77pVqQ
[saga]:2021/11/04(木) 23:12:49.63 ID:gxQy8acc0
透華「…衣も楽しんでくれていたようで、何よりですわ」
一「そのためにこれまでやってきたからね…あそこのファミレスね」
透華「微笑ましかったですわ。エビフライを頬張る衣」
一「目線が保護者じゃん…ああ、落ち着く香り」
透華「夜分は温かい飲み物がやはりベスト。心地よい眠りには欠かせないですわ」
一「普通は冷たい麦茶でも飲んじゃうところだなあ」
透華「…そうなんですの?」
一「少なくとも昔のボクはそうだったね。住んでる環境から全然違うし比べようがないけど」
透華「でも悪くないでしょう?」
一「それはもちろん」カチャン
353 :
◆oiHx77pVqQ
[saga]:2021/11/04(木) 23:20:11.76 ID:gxQy8acc0
一「衣は…打ちたかっただろうな、とは思う」
透華「そう、ですわね…」
一「でもさ、あの決勝は……あれで良かったと思うんだよね。こんな言い方していいかわかんないけど」
透華「構いませんわ。続きを」
一「去年は…確かに手のつけようがないくらい強かったし、それでいいところまで勝ち上がれて、ボクたちも連れて行ってもらった」
一「けど…怖かった。最初に打った時のを引きずってるって言われればそうかもしれないけど…」
一「でも今は違う」
透華「…今の衣は、麻雀を打っていますわ」
一「そうだね。今は楽しんでると、思う」
透華「…宮永さんには感謝しなければいけませんわ。次は負けませんけど」
一「強気だね。…ボクも同意見だけど」
透華「それでこそ龍門渕四天王、ですわ」
一「…久々聞いたなぁそれ。正直誰も覚えてなさそうだけど」
透華「私たちの実力は一過性の流行り言葉で語れるものではないのですわ」
一「まあね」
354 :
◆oiHx77pVqQ
[saga]:2021/11/04(木) 23:22:42.13 ID:gxQy8acc0
透華「ところで……」
一「…ところで?」
透華「…一、ここでやり残したことはないんですの?」
一「……なんのことかな」
透華「一が一番分かっていると思いますが」
一「……はあ。……まあ透華だし、いいか。別に隠してたつもりじゃないし、言わなかっただけで」
透華「そうなんですの?」
一「まあね。…まずね、やり残したことはなんにも無いんだよ」
透華「えっ。…でも京太郎さんと次いつ会えるかなんて分かりませんわよ」
一「ああもう、伏せてたのに言っちゃった。もう!」
透華「ご、ごめんなさい…?」
355 :
◆oiHx77pVqQ
[saga]:2021/11/04(木) 23:23:32.24 ID:gxQy8acc0
一「まあいいんだよ。いつか透華にはちゃんと言うつもりだったから。……だから他の人には秘密。約束して?」
透華「…指切り、しましょうか?」スッ
一「…なんか透華が言うと冗談に聞こえないな。じゃあ…」スッ
一「指切りげーんまん、嘘ついたーら、…針千本は現実的じゃないよなぁ」
透華「なんでも仰いなさい」フンス
一「…嘘ついたーら、ええと、透華にボクの私服着てもーらう!」
透華「…断じて誰にも明かしませんわ」
一「そんな嫌がらなくていいじゃん…自分で言ったことだけどさあ」
356 :
◆oiHx77pVqQ
[saga]:2021/11/04(木) 23:27:39.49 ID:gxQy8acc0
透華「…とにかく、どう思っていらっしゃるのかしら?京太郎さんのこと」
一「…なんか修羅場めいた台詞だね」
透華「そ、そう?……確かにそうかもしれませんわね…」
一「お嬢様学校で高飛車な同級生に呼び出されて…みたいなね」
透華「…こんなときどう切り込んでいけば分かりませんの。なかなかこんな話をする機会もございませんし…」モジモジ
一「それもそうか」
一「うん、……好きだよ。彼のこと」
357 :
◆oiHx77pVqQ
[saga]:2021/11/04(木) 23:30:01.73 ID:gxQy8acc0
透華「おお…!」パアァァ
一「…なにその反応」
透華「初めて見ましたわ…他人への好意を告白するさまを」
一「そりゃそうでしょうよ。見せ物じゃないんだから」
透華「ね、どこが好きなんですの!?」
一「元気だなあ…さて、どこから話そうかな」
358 :
◆oiHx77pVqQ
[saga]:2021/11/04(木) 23:44:54.54 ID:gxQy8acc0
まあボクたちの環境下で、同世代の男子と接する機会なんてないわけでさ。警戒しちゃうのは仕方ないよね。
でもハギヨシさんが連れてくるっていうんだから、最低限の信頼は置いてたんだよね。見た目ちょっと…軽そうだなって思ったけど。
…思ったより話しやすかったのはそう。礼儀正しかったし、でもいつまでも他人行儀ってわけじゃなくて。
あと印象としては、麻雀にすごく真剣だなぁって。
一局ごとにいろいろ訊ねてきてさ…あんまり必死そうだからボクも真面目に答えるしかできなかったんだけど。
359 :
◆oiHx77pVqQ
[saga]:2021/11/04(木) 23:46:18.39 ID:gxQy8acc0
何日か経って突然聞いてきたんだよね。真面目な顔してさ、
『その鎖…重くないすか?』って。
…なんか可笑しくってさ、吹き出しちゃって。
『笑うなんてひどいじゃないすか、ずっと気になってたんすよ』とかなんとか言ってて、
あ、この子面白いなって。
…ボクの私服を初めて見たときの顔はホント傑作だったよ。目を白黒させてさ……
いやいや、見せるつもりは毛頭なかったんだよ?なんかタイミングが合っちゃっただけで。
その辺りから扱いが今みたいになっちゃったんだけどさ。
でもそういう…丁々発止? そんなやり取りができるのが楽しかったんだよね。
360 :
◆oiHx77pVqQ
[saga]:2021/11/04(木) 23:48:47.28 ID:gxQy8acc0
仲良くなるにつれて…まあこれはボクに限らず龍門渕の他の子もそうだけど、彼の事情もだんだん教えてくれるようになって。
チャンピオンが幼馴染で、追いかけて東京に行くんだって聞いて、
……まあ本人が言ってたのとニュアンスは違うけどさ。
でもそういうことじゃない? ボクはそういうことだとしか受け取れなかった。
そりゃ頑張らないと、とか言いながらすっごいモヤモヤが胸の奥に湧いてきて、
…ああ、これが嫉妬なんだ。
ボク、ついこの前の夏、東京で遠目に見たチャンピオンに妬いてるんだって。
その意味も…すぐに気づくわけで。
361 :
◆oiHx77pVqQ
[saga]:2021/11/04(木) 23:52:12.97 ID:gxQy8acc0
だからって彼を止めたりできない。そんなのただのエゴだし…
だいたい会ってたった数ヶ月、歳が一つ上なだけでたいした人生経験もないボクに、彼の人生に口出しする権利なんてないし、彼のためになるとも思えない。
いくらそれなりに慕ってくれてるとはいえ、さ。
…彼がいよいよ東京行きの準備が忙しくなってこっちに顔を出さなくなってからも、どうにか振り向いてくれないかな、ってボクなりにいろいろ頑張ってはみたんだよね。
こまめに連絡とってさ、ネット麻雀も定期的に打つ約束して、出来るだけ話聞いたりして。
必死?…まあそうかもしれない。なんせ初めてのことだったからね、何もかも。
362 :
◆oiHx77pVqQ
[saga]:2021/11/04(木) 23:53:31.08 ID:gxQy8acc0
でもそうやって話を聞けば聞くほど、彼について知れば知るほど、彼の中にいるチャンピオンと、
その妹の……みんなは知らなかったわけだけど、宮永さんの存在の大きさに気づいちゃったんだよね。
ああ、ボクは二番目にすらなれないんだって。
だから…今のままがいいやって。
三枚目のポジション、誰にも埋められない位置でいようって。
もう…決心してたから。
363 :
◆oiHx77pVqQ
[saga]:2021/11/04(木) 23:54:24.69 ID:gxQy8acc0
透華「一…あなた」
一「頑張らなかったら、もっと楽でいられたのかも。知らなければ……」
一「でもね、後悔はしてないよ。やれることは十分やった。…そうそう」
スタッ テクテク
ガサゴソ
一「ほらこれ」スッ
透華「…京太郎さんとお二人で…いつ撮ったんですの?」
一「みんなで写真撮ったちょっと後にね。思い出くらい貰っても罰は当たらないでしょ」
透華「……いい写真」
一「そう!…なのにさ、あいつ『写真ください』の一言もないんだよ?だから…だから送ってやんない」
透華「……一」
364 :
◆oiHx77pVqQ
[saga]:2021/11/04(木) 23:55:27.24 ID:gxQy8acc0
一「はい!ボクの話はもうおしまい!」パンパン
透華「…私、なんて言えば……そう、感動いたしましたわ!」
一「えぇ…」
透華「一が人知れずそんなに心を痛めていたなんて…人を愛して…こういった話をするのが夢だったとか宣おうとしてた私が恥ずかしいですわ」
一「大袈裟だよ…言っちゃってるしさ」
一「…なら、次は透華が話す番だよね?」
透華「…えっ」
一「なに意外そうな顔してんのさ。恋バナってそういうもんでしょ?お互い持ち寄ってさ」
透華「そ、そうなんですの…?でも私…」
365 :
◆oiHx77pVqQ
[saga]:2021/11/04(木) 23:56:30.23 ID:gxQy8acc0
一「うーん、好きなタイプとかでもいいよ?…好き、とまではいかなくても、格好いいと思うくらいはあるでしょ?」
透華「……難しいですわね」
一「たとえば萩原さん…ハギヨシさんは?」
透華「…身近にいる以上、彼が基準になるといえばそうかもしれませんわね。…執事として95点」
一「満点じゃないんだ」
透華「ハギヨシが満足していないのにこちらで合格点を出すのは失礼でしょう?」
一「…ツッコミたいところはいろいろあるけど、ハギヨシさんのことよくわかってるのはわかった」
366 :
◆oiHx77pVqQ
[saga]:2021/11/04(木) 23:57:50.16 ID:gxQy8acc0
透華「…言い訳でしかありませんが、受けてきた教育の影響は大きいと思いますわ」
一「まあわかんなくはないけど」
透華「それに…龍門渕家を背負って行く以上、自由恋愛が許されるとは到底思えませんの」
一「…それは透華が決めるべきことなんじゃないの、次期当主様?」
透華「…一も言うようになりましたわね……成程」
一「なにが成程なのさ、一人で納得しないでよっ」
透華「いえ……あなたみたいに、いつか私も誰かを愛する時が来るのかしらと」ニコッ
一「……来るといいね」
一「…透華はミーハーで面食いだと思ってたんだけどなあ」
透華「ミーハー…?よく分かりませんが、まずハギヨシ以上に見目麗しくなくてはダメですわ」フンス
一「あっ、そこはそうなんだ…」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
367 :
◆oiHx77pVqQ
[sage saga]:2021/11/05(金) 00:00:33.35 ID:2fQC9Q850
や っ と 夏 が 終 わ っ た
3年以上かかってるの笑うしかない
次の投稿はおそらく来月です
368 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/11/05(金) 06:52:31.76 ID:ec/D0EZqo
乙
369 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/11/05(金) 10:55:31.86 ID:OrqQkdU+o
乙
かなしい
370 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/11/09(火) 18:09:13.42 ID:dCyCEnhv0
乙乙はじめちゃんせつねえ…
こうして続いててくれるだけでもほんとありがたいです
371 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/11/10(水) 05:32:10.88 ID:a5OJEhIh0
心情描写すごくいい
なあに全然待てるぜ
372 :
◆oiHx77pVqQ
[sage]:2022/01/31(月) 00:36:41.62 ID:m5l8PNYao
生存報告
1月中に上げたかったんですが今ひとつまとまらず
諸々忙しい時期ですが早めに来れるように頑張ります
ちなみに里帰り編の予定
373 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/01/31(月) 17:46:28.81 ID:JJ/lGAUHO
報告乙、生きてて何より
楽しみに待ってます
374 :
◆oiHx77pVqQ
[sage]:2022/03/29(火) 22:18:43.98 ID:AsluJ4e0o
(書いてます、どうかお待ちを)
375 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/03/29(火) 23:02:01.23 ID:1HhhPknvO
生存報告乙
待ってますね〜
376 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/04/01(金) 01:20:28.31 ID:g04SOX5w0
まだまだ待ってますよ
377 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/16(月) 15:09:59.39 ID:CQWiEfJco
( ^ω^ 三 ^ω^ )ヒュンヒュン
378 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/06/16(木) 19:36:30.62 ID:eTAxUgzXo
( ^ω^ 三 ^ω^ )ヒュンヒュンヒュン
379 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/07/23(土) 15:04:13.20 ID:AY2Y8kkKo
( ^ω^ 三 ^ω^ )ヒュンヒュンヒュンヒュン
380 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/21(日) 09:26:36.81 ID:dCcaH5HGo
( ^ω^ 三 ^ω^ )ヒュンヒュン
381 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/09/23(金) 22:12:09.67 ID:RnZ3kg6zo
(^ω:;.:...
382 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2022/12/20(火) 10:44:56.10 ID:WWTI6Q6L0
はい
383 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2024/12/01(日) 01:01:48.85 ID:QEtFuilz0
まってる
384 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2024/12/23(月) 10:40:02.98 ID:x9UwNu8T0
何年振りかで見に来たがまだあったのかこの掲示板
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