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【艦これ】神風「最初の一人」
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50 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/11/03(日) 01:40:11.83 ID:zM/Qwy++o
おつ
ムラムラ可愛い
51 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/11/14(木) 05:09:13.33 ID:ilPFB3QM0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【鎮守府:廊下】
叢雲「ここが男子トイレよ」
男「はい」
叢雲「…なんでさっきから敬語なのよ」
男「いや、なんか、すみません」
叢雲「あーもう!さっきのは忘れなさい!私も忘れるから!いいわね!」
男「えぇ忘れろっても「い い わ ね ?」アッハイ」
おっかねえ。
叢雲「さて、アナタが使いそうな施設はこんなところね。後どこか案内してほしいところはある?」
男「そうだな。ドックとか工廠なんかは必要になったら案内してもらうかな」
叢雲「さいで。あーそうだわ、部屋を忘れてた」
男「おう」
叢雲「一応要望通りあの子の部屋の隣と司令官の部屋の隣、2つを用意したわ。どっちにする?」
52 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/11/14(木) 05:09:44.61 ID:ilPFB3QM0
男「前者で頼むよ」
叢雲「りょーかい。で、理由は?」
男「2つ用意させた理由か?」
叢雲「ええ。前者を選んだ理由も」
男「一概には言えないが、概ね危険度の違いだな。安全なら側に居た方が都合がいい」
叢雲「なぁんだそれだけなの」
男「一体何を期待したんだよ」
叢雲「もっと私なんかが考えもつかない特殊な理由があるもんだと思ってたわ」
男「提督もそうだが、俺の事を特別視し過ぎだよ。精々カウンセラーもどきみたいなもんだぞ」
叢雲「珍しい仕事だもの、仕方ないでしょ」
男「それはまあわかるけどな」
53 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/11/14(木) 05:10:37.50 ID:ilPFB3QM0
叢雲「それと、敬語。使わないのね」
男「?どういう事だ」
叢雲「敬語よ。司令官には頑なに使い続けるくせに私達には使わないじゃない。初対面なのに」
男「あー悪い。気に触ったか?」
叢雲「別にそれはいいわよ。私としてはその方が楽だし。でも部外者は皆よそよそしく敬語を使ってくるか、下心丸出しで馴れ馴れしくしてくるかだから気になったのよ」
男「何故と言われるとなぁ。まあ実際の年齢はともかく艦娘って基本的に皆見た目は年下だし、なんとなく子供扱いしてしまうところはあるかもしれん」
叢雲「…へぇ」
男「あ、いや、別に見下してるとかそういう事じゃなくてだな」
叢雲「分かってるわよ。ただ、やっぱりアナタも変わってるわねって」
男「?」
何か妙に納得したという顔をされた。
その賢しら顔がなんだか癪に障るので問いただしてやろうと思ったがどうやら目的地に着いてしまったようだ。
54 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/11/14(木) 05:11:23.60 ID:ilPFB3QM0
叢雲「ここね」
一階。
鎮守府の端の方にある例の部屋の隣。
まだ彼女は寝ているのだろうか。
叢雲「でこれがこの部屋の鍵」チャリ
男「たしかに」
叢雲「…」
男「?」
差し出された鍵を受け取ろうと手を出したが叢雲は中々鍵を手放さない。
叢雲「ねえ、多分アナタは十二分に分かっていると思うけれど一応言わせて頂戴」
男「なんだよ改まって」
叢雲「他の艦娘と気軽に接触しない事」
男「…」
叢雲「たまにいるのよ、外からのお客様に。まあカワイー女のコばっかりだし?軽率に声をかけたくなるのは分からなくもないけれど」
男「ここも昔何かあったりしたのか?」
叢雲「無いわよ。幸いにも今のところは」
それは、よかった。
55 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/11/14(木) 05:11:55.20 ID:ilPFB3QM0
叢雲「鎮守府にとって司令官以外の人間は異物よ。それに過剰に反応してしまう娘がいないわけじゃない」
男「分かってるよ。よく」
叢雲「でしょうね。だからまあ、一応よ」
そう言うとようやく鍵を渡してくれた。
男「それじゃ、ご開帳」
隣の部屋と違い1つしかない鍵を開け部屋に足を入れる。
男「おーこりゃいい」
叢雲「急拵えだから簡素なものだけど、気に入ってもらえたなら幸いね」
男「十分だよ。所詮は仕事部屋だ」
56 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/11/14(木) 05:12:40.11 ID:ilPFB3QM0
部屋は一人暮らしには十分すぎる大きさだ。
大きな窓から午後の日差しがこれでもかと差し込んでいる。
家具はベットと仕事机にタンスのみ。
他はがらんと空いて何も無い。
叢雲「こっちがお風呂。と言ってもシャワーだけなんだけど。トイレは悪いけど向こうの共同の使ってちょうだい」
男「風呂まであるのか」
叢雲「元々人間用に作られてるのよ、ここ。使わなかったからこうして放置されてただけ」
なるほどね。人間用…作業員等を入れる予定があったのだろうか。しかしこの部屋…
男「…」
叢雲「隣とは大違いよね」
男「顔に出てたか?」
叢雲「司令官と同じ顔だったわよ」
男「そうかい」
叢雲「こっちは壁や窓を丈夫にする必要はなかったから広々と出来たわ。キッチンやトイレなんかが欲しいなら言ってちょうだい」
男「そこまでしてもらう気は無いよ」
叢雲「あ、勿論予算はそっち持ちよ?」
男「尚更いらん」
57 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/11/14(木) 05:13:15.21 ID:ilPFB3QM0
男「さて、後は荷物運びか」
叢雲「そう言えば外に止まってたのってワンボックスカーよね?そんなに荷物あるの?」
男「俺自身の荷物は少ないさ。男だしな。問題は仕事関係の方だ」
叢雲「手伝いはいる?」
男「んー正直欲しい」
叢雲「なら丁度いいわ。紹介しておきたい娘もいるしね」
男「紹介?」
叢雲「えぇ」
そう言うと恐らく仕事用であろう端末を取り出して連絡を取り始めた。
58 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/11/14(木) 05:14:02.75 ID:ilPFB3QM0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
江風『いよっす!江風ってンだ、よろしくな』
飛龍『飛龍でーっす。さっきぶりだね、よろしくぅ』
透き通るような赤紅色の長髪を揺らしながら右手を大きく挙げて挨拶する駆逐江風。この制服は確か改二か。白いマフラーが髪と共に揺れる。
近頃はすっかり見なくなった気がするブイサインでまるで十年来の友人かのようにノリノリで挨拶してきた元気娘飛龍。先程の食堂の件からしてもそうだが初対面だろうと人に対して遠慮がない。
以上二名。
叢雲『ご感想は?』
男『馴れ馴れしすぎやしないか』
叢雲『礼節に関して2人にこれ以上を求めるのは無意味よ』
男『いや俺は構わないが、お偉いさんとか来たらどうするつもりなんだ』
叢雲『絶対に合わせない』
飛龍『ねぇねぇ、呼び出されたと思ったらなんか悪口言われてない私達?』ヒソヒソ
江風『もっと個性的な挨拶とかの方がウケがいいンスかねぇ』ヒソヒソ
叢雲『そうじゃないわよ』
59 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/11/14(木) 05:14:48.73 ID:ilPFB3QM0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
男『というわけで2人に荷物運びを頼みたいんだ』
車へ向かいながら経緯を説明する。
江風『なるほどね。うンうン、任せとけって』
飛龍『でも私達をわざわざ呼ぶ程大層な荷物なの?』
叢雲『それは私も知りたいわね』
男『見りゃわかるよ。衣服とかは大した量じゃないからいいが、一個だけどうしても俺じゃ、いや人間じゃ厳しいものがあってな』
飛龍『なんだろー、人だと近づくのも危ういような薬とか?』
江風『核兵器とか?』
男『お前ら俺をなんだと思ってんだよ…』
叢雲『ほらさっさと行くわよ』
60 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/11/14(木) 05:16:06.69 ID:ilPFB3QM0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【廊下】
江風「」ジーッ
男「…」
駐車場はそう遠くない。廊下を渡り建物を出れば直ぐだ。しかし、
なんかすっげぇ見てくる。睨んでる訳じゃないが視線が凄い。
飛龍『えいっ』ペシッ
江風『あいてっ』
飛龍『あんまり見ない』
江風『えーだってさあ』
男『やっぱ気になるか?』
江風『そりゃもうモチのロン』
飛龍『まあ提督以外の人間ってあんまり見る機会ないしねぇ』
江風『そうそう。普段お偉いさンとかが来る時はウチらはたいてい出撃とか遠征だしさ』
男『ほお』
叢雲『たまたまよ、たまたま』
会わせない、とはそういうことか。
61 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/11/14(木) 05:17:01.78 ID:ilPFB3QM0
江風『でもやっぱこうして見ても提督とさほど変わらないように見えるな』
ん?どういう意味だ?
叢雲『そりゃそうでしょ』
飛龍『でもちょっーと提督のがヒョロいかなあ。でも提督の方が筋肉はあるわね』
男『見ただけで分かるのか』
飛龍『歩き方とかで』
男『マジかよ』
江風『なあなあ。アンタからはウチらはどう見える?』
男『見える?見えるって、そのまんま見えてるが』
江風『そのまんまってどんなさ』
男『そのまんまは、鏡に映る自分と同じって事だろ』
なんだ?何が言いたい?
江風『いや、だって鏡はただ反射してるだけじゃンか。そーじゃなくてアンタの瞳には何が見えてるかって話さ』
そう言って手で丸を作りメガネのように自分の目にかける。
62 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/11/14(木) 05:17:55.70 ID:ilPFB3QM0
男『瞳…』
言ってる意味が全然分からない。瞳だって鏡と同じ光の反射だ。
今俺の瞳に反射している姿は彼女達のそのまんまの姿。そうじゃないのか?
叢雲『無駄話はおしまい。ほら、見えてきたわよ』
飛龍『おーあれで来たの?』
男『まあな』
江風『お、じゃあ運転出来ンのか!いいなぁ私も運転してみたいんだよなあ』
叢雲『運転免許は厳しいらしいわね』
飛龍『そもそも私達外に出るのも一苦労だしね』
江風『あー地上も思いっきり走ってみてーなー』
飛龍『免許と言えば夕張とかはなんか持ってたよね』
叢雲『電気、なんとかみたなやつね。あれは私達でも簡単に取れるらしいわよ』
63 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/11/14(木) 05:19:11.71 ID:ilPFB3QM0
男『取ってどうするんだ?』
江風『なンかカッコ良さげじゃんか』
飛龍『あーなんかでっかいの見える』
男『ああそうだ。これが運んで欲しいブツだ』ガタン
白のワンボックスカー。その後部を開ける。
江風『うわ、なンじゃこりゃ』
飛龍『GANTZの四角バージョンみたいな』
江風『ドミネーターとかはいってそう』
叢雲『羊羹みたいね』
三者三様の反応。
江風『羊羹?』
飛龍『羊羹かぁ』
叢雲『悪かったわねばば臭くて!!』
誰もそんな事言ってない、とは勿論言わない。
64 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/11/14(木) 05:19:53.93 ID:ilPFB3QM0
中にあるのは車の白とは対称的に真っ黒な四角い箱。
縦横50cmほどの箱。端的に言ってデカい。
叢雲『これ重さはどれくらいなの?』
男『持ち上げてみりゃわかる』
江風『きひひ、まあ見てなって。ふんっ!ン!ん!?』
飛龍『うわービクともしない』
叢雲『重さ幾つよこれ』
提督『ギリギリ床が抜けないくらいらしい。200は確実に超えてるな』
江風『そりゃ持ち上がらないわけだ』
飛龍『それじゃ、改めて運ぶとしますかね』
江風『おう』
65 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/11/14(木) 05:20:26.54 ID:ilPFB3QM0
飛龍が車の中に入り反対側をもつ。
飛龍『せーの』
スッ、と先程までビクともしなかった箱が持ち上がる。
男『流石に艦娘パワーだな』
叢雲『なんなら車ごといけるわよ?』
男『それは勘弁だ。あ、一応割れ物注意だからな、落とすなよ』
飛龍『だいじょぶだぁって。ほらほら』ヒラヒラ
男『おい!手を振るな手を!』
江風『ちょ!飛龍さんバランスバランス!』ガクン
飛龍『え?わたっ、とと!』ガシッ
江飛『『セーフ…』』
男『人選ミスだろこれ』
叢雲『悪気はないのよ2人とも…』
66 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/11/14(木) 05:20:55.91 ID:ilPFB3QM0
江風『これ全部衣服なのか?』
男『違うよ。生活用品はこれと、これだ』
叢雲『カバン2つだけ?逆にこっちは少なすぎないかしら』
男『野郎の荷物なんて大したもんじゃないさ。必要なら適当に補充するしな』
飛龍『私としてはそっちの荷物も気になるところだな〜』
男『よく分からんが期待には答えられないと思うぞ』
飛龍『え〜見てみないとわかんないわよ』
男『ろくなことにならんのは分かる』
67 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/11/14(木) 05:21:24.94 ID:ilPFB3QM0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【鎮守府:廊下】
飛龍『your best ! my best !生きてるんだから』♪
江風『失敗なんて、メじゃない』♪
叢雲『少しは反省しなさいよ』
男『歌うのはいいが気を緩めるなよ』
飛龍『2人は!』
飛江『『プリキュア〜』』
男『…』
飛龍『うわやっば。目がマジだこれ』
江風『私は見えないから知りませーン』
飛龍『あズルい!箱に隠れるな!』
江風『ほら、私らちっさいから』
飛龍『いっつも大きくなりたーいって言ってるくせにぃ』
江風『それはそれという事で』
68 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/11/14(木) 05:22:10.18 ID:ilPFB3QM0
男「… 」
わざとやってんのかってくらい騒がしい。
叢雲「いえ、違うのよ…?一応意味のある人選なのよ…」
男「人馴れしてる、だろ?」
叢雲「分かってるなら話が早いわね」
男「でも慣れすぎじゃないかこれは」
叢雲「性分なのよ。飛龍は空母の、江風は駆逐艦の。2人とも中心的な立ち位置だから見知っておくといいわ」
男「コイツらがリーダーなのか?」
叢雲「リーダーってわけじゃないわよ。ただ、そうねえ、何か動く時必ず先頭で突っ走ってく、そんな感じよ」
男「なるほどね」
江風『あれ?なに話してンだ?』
飛龍『あー内緒話してるー。逢引だ逢引、提督に言いつけてやろ』
叢雲『んなわけないでしょ。ほら前見て』
69 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/11/14(木) 05:23:19.04 ID:ilPFB3QM0
江風『ところでよぉ、ひとつ質問なンだけどさ』
男『なんだ?』
江風『この箱ってあの紅ちゃんの隣の部屋に運ぶンだよな?』
男『そうだが、紅ちゃん?』
飛龍『あの娘の呼び名よ。名前がわからないのは仕方ないとして、呼び名くらいないと不便でしょ?』
江風『で、臨時で紅ちゃんってわけさ。発案は誰だっけかな』
男『なるほど』
飛龍『他にも眠り姫、赤ずきん、撫子、さくらとか色んな呼び方があるわよ。あ、さくらは真宮寺さくらのさくらね』
男『統一してないのか…』
真宮寺さくらって誰だ。
叢雲『それで、質問って何よ』
江風『ン、あ〜それな。この箱だけどさ、入口から入るのかなって。変形とかする?』
男『あ』
70 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/11/14(木) 05:26:06.78 ID:ilPFB3QM0
叢雲『え、ノープランなのそこ』
男『ま、窓から行けるか?』
飛龍『ベランダなら網戸とか外せばいけるんじゃない?』
男『じゃあそれで頼む』
飛龍『はーい、って逆方向じゃん!』
男『すまん、失念してた』
江風『こりゃ高くつくぜぇ調査官殿』
男『本当に済まない』
叢雲『ほらさっさと戻るわよ』
男『…なあ、一ついいか』
飛龍『ん?』
江風『んぁ?』
叢雲『何よ』
男『あの娘の名前、実際に呼んだりしてるのか?』
叢雲『呼ぶも何も、まともに会話だって出来てないわよ?』
男『そうか…そりゃそうだ』
ならいい。なら、いいんだ。
71 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/11/14(木) 05:27:10.16 ID:ilPFB3QM0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【部屋】
江風『ふぃーなンとか入ったな』
飛龍『大丈夫なのこれ?ほんとに床抜けない?』
叢雲『一階だしこれくらいなら、多分』
男『今んとこ抜けたことはないから大丈夫だとは思うんだがなあ』
江風『しっかしこの殺風景な部屋にこれだけドカンとあるとなンつーか威圧感が凄いよなあ』
飛龍『ますますGANTZね』
江風『いやいや、よく見ると確かに羊羹にも見えるかも』
叢雲『アンタ明日からトイレ掃除ね』
江風『あー!乱用だ!職権乱用だ!!』
72 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/11/14(木) 05:27:39.37 ID:ilPFB3QM0
飛龍『ねえねぇ!これ何に使うものなの?やってみてよー』
男『ダメだ。企業秘密だからな。そのためにこんな頑丈にしてあるんだから』
江風『じゃあさ、運搬のお礼にって事でちょっち見せてくれよ。先っちょ!先っちょだけでいいから!」
叢雲『なぁに言ってるのよ。あんだけふざけて運んだんだからチャラよチャラ。ほら行くわよ』
江風『ちぇー』
男『悪いな。礼はまた今度に』
飛龍『絶対だからね!』
江風『じゃねー』
バタン。
3人が部屋から出ていく。
73 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/11/14(木) 05:28:09.98 ID:ilPFB3QM0
男「…」
さてと、
忍び足で今しがた3人が出ていった扉までいく。
扉に耳を当てると廊下から声が聞こえる。
江風『飛龍さんはなンだと思います?』
飛龍『んー自白剤とか?」
江風『その発想はなかったっス…」
飛龍『現実的なとこだと思うんだけどなあ』
江風『そりゃあそうかもしれない、なくもないかもですけど。でも…』
飛龍の中で俺はどんなイメージなのだろうか…
だいぶ離れたのか2人の声が聞こえなくなる。
2人。
つまり叢雲は一緒ではない。
74 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/11/14(木) 05:29:13.99 ID:ilPFB3QM0
外から足音がする。
忍び足のようだが部屋の中と違い廊下では木製の床の軋む音を抑えることは出来ないようだ。
足音が、扉の前で止まった。
少し迷ったが、俺はドアノブに手をかけ
男「せいっ!」ガチャッ
叢雲「うきゃあ゛!」ドサッ
思い切り引いた。
どうやら扉に前のめりで寄りかかっていたらしい叢雲がこちらに倒れてきたので片腕で受け止める。
やはり駆逐艦は軽い。
叢雲「あー、えっとー」
男「新聞ならいらねえぞ」
叢雲「あははー失礼しましたー」
男「待てい」ガシッ
叢雲「グエッ」
75 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/11/14(木) 05:29:46.48 ID:ilPFB3QM0
叢雲「はぁ…しっかり対策済とはね」
男「信用されない立場だからな。盗み見盗み聞きには気をつけてるんだよ」
叢雲「前例があったわけね」
男「まあな。とはいえこうして俺を警戒する気持ちもわかるから強くは言えないんだがな」
叢雲「監視カメラ等がないのも知ってるってわけ?」
男「ああ。途中で設置されてもすぐ分かるぞ」
叢雲「…そのための箱、という事かしら?」
男「いい発想だ。不正解だけどな」
76 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/11/14(木) 05:30:14.11 ID:ilPFB3QM0
叢雲「ハイハイ私の負けよ。今日は大人しく引いておくわ」
男「少しくらいは様子を見てくれよ。俺を信用するかどうかはそれから決めてくれ」
叢雲「随分謙虚ね」
男「言ったろ、そっちの気持ちも分かるって」
叢雲「わかったわよ。それじゃ」
男「おいおい、扉くらい閉めてけよ」
叢雲「それじゃあなたが不安でしょ?なんなら執務室まで送って貰ってもいいのよ」
男「こんにゃろ」
叢雲「お返しよ」
チロと舌を出して得意げな表情で部屋を出ていく。
77 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/11/14(木) 05:31:25.48 ID:ilPFB3QM0
男「…こりゃ手強いな」
扉の下の隙間に滑り込ませるように置いてあったボタンのような物を拾い戸を閉める。
さっきの倒れかけた時に咄嗟に投げたか?
盗聴器かな。本当にバレるかどうかのテストといったところだろうか。
勿体ないからタオルでくるんでバックの中に入れる。
しかしこんなものを既に用意しているとは、思った以上に用心してるんだなここは。
男「それじゃ本格的に始めるとするか」
黒い箱から伸ばしたコードをコンセントに刺し電源を入れる。
聞きなれたモーター音とともに箱が変形しだす。
キーボード、モニター、パネル、アンテナ。色々なものがまるで裁縫箱のように展開される。
相も変わらず作者の趣味前回の無駄な細工だが。
起動に問題はなし。故障もなし。電波もちゃんと来てる。
キーボードを操作していつもの画面を出す。
78 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/11/14(木) 05:32:07.10 ID:ilPFB3QM0
ポン、という間の抜けた音とともに画面が切り替わる。どうやら起きていたようだ。
男「こっちは無事セッティング終えたぞ。仕事だ仕事」
「あ゛ーーー、仕事ねぇ…仕事…まだ早いんじゃない?」
寝起きなのかいつもの特徴的な声がさらに独特なものになっている。
そういえば以前に鼻声だと言ったら怒られたな。
画面には事務所が映っているが、肝心の話し相手の姿が見えない。
男「早い方がいいに決まってんだろ」
「締切終わったばっかで寝不足なのぉ〜休ませて」
画面の下で何かがもぞもぞと動いている。そこで寝てたのかこいつ…
男「お前の行動に口を出さないのは仕事をちゃんとやる場合だけだって言ったの忘れたかおい」
「ぶぇ〜ケチんぼ」
男「口を出すなって言うなら金ももう出さんぞ」
「ぐっ…分かった分かった分かりましたよぉー。で何するのさ」
79 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/11/14(木) 05:32:40.92 ID:ilPFB3QM0
男「今回の艦娘の特徴を全部送る。それで全軍艦のデータと照らし合わせてくれ」
「ちょっ!?全部!?全部って言ったあ!?」
男「海外艦の線は今のところなしだ。事前情報通り駆逐艦というのが有力だが如何せん記憶なしだ。一応他も頼む」
「うわぁマジかぁやべーやこりゃ」
男「外見的な特徴は機械じゃ判断できないからな。人がやるしかない。お前の得意分野だろ?」
「描くのはね…」
男「なにかわかり次第追加で送る。頼んだぞ」
「ラジャりましたぁ」
男「あーでもその前に」
「まだ何か」
男「風呂入って目え覚ましてこい」
「…やんエッチぃ」
声はすっかりいつものお調子者のそれに戻っていた。
80 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/11/14(木) 05:42:00.57 ID:ilPFB3QM0
秋刀魚が中々出なくてね…
江風は"ウチら"と"私ら"と"私達"のどれがらしいのかで凄く悩みました。
一応ですが基本的に人と艦娘はお互い別言語扱いなので言葉が通じないという前提の世界です。
81 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/11/14(木) 15:19:51.34 ID:oVFRrJn3o
乙
82 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/11/14(木) 16:42:09.00 ID:MyNhWqiEO
乙
83 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/11/15(金) 19:43:38.96 ID:2a4wj+Tso
おつおつ
「」と『』からそうかなとは思ってた
提督の資質に関しての新しい解釈いいね
84 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/11/22(金) 04:33:21.95 ID:q5DK4WWN0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
自分の部屋を片付けて隣の部屋に行ってみると彼女はまだ寝ているようだった。
さてこうなるとやる事がないな。
という事で少し早いが夕飯にしようと食堂に来たのはいいのだが、
男「忘れてた」
まだそれほど混んではいないがそれでもこの大所帯。それなりの数の艦娘が食堂にいる。
その彼女達の視線が全て食堂に入ってきた俺に向けられる。
決して好意的ではない視線が。
直前に妙に人馴れした飛龍達に会っていたせいかすっかり忘れていたが人間への反応なんてこんなものである。
85 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/11/22(金) 04:34:52.04 ID:q5DK4WWN0
男「…」
さてどうするか。
ここで引き返すのはかえって印象が悪い。
とはいえこの状況でゆっくり飯が食えるほど俺の精神は強くない。
仕方ない。すぐ食べられる物を選んで速攻で出るしか
飛龍『チャオー!えーっと、男さん?男君?様にしとく?』
男『うお!ビックリした。飛龍、と蒼龍だったな』
蒼龍『は、はい。蒼龍です』
ぎこちない反応。しかしこれが普通だ。飛龍の方が異常と言える。
姉妹艦だったか。どうやら飛龍に着いてきたようだ。
止めるわけでもなくかといって離れるわけでもなく、ついつい一緒に来てしまったと言った感じか。
男『男でいいと言ったろ』
飛龍『いやぁ呼び捨てはちょっとねぇ。あだ名とか付けたげよっか?』
男『断る』
艦娘との距離を縮めるにはいい手かもしれないが、単純に俺が嫌だ。
86 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/11/22(金) 04:35:28.05 ID:q5DK4WWN0
飛龍『他の鎮守府ではどんな呼ばれ方してたの?』
男『他の鎮守府か』
艦娘達との関係はお世辞にもいいとは言えないものばかりだったからなぁ。
男『あ、部下からは課長と言われてるな』
飛龍『課長なの?』
男『一応な』
飛龍『へー…ねぇ蒼龍、課長ってどれぐらい偉いの?』
蒼龍『ランクで言ったらフラタとかフラヲくらい?』
飛龍『あーんーなんか微妙なとこね。でも適度にムカつく』
よく分からんが馬鹿にされてる感がある。
87 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/11/22(金) 04:37:58.68 ID:q5DK4WWN0
飛龍『じゃ課長で』
男『まあその方が馴染みがある』
飛龍『蒼龍もそれでいいっしょ?』
蒼龍『うん。よく考えたら提督だって提督だもんね』
飛龍『確かに。あーっとそれより早く注文しようよ。課長は何にする?私のオススメはねぇ生姜焼き定食。蒼龍はメガ盛り焼肉定食ね』
蒼龍『ちょっと!たまによ!いや好きだけど、出撃とかで疲れてる時だけだから!』
飛龍『さらに食後にこのでかい方のパフェをねえ』
蒼龍『ひーりゅーうー』パタパタ
男『あーまあ艦娘は消費カロリーが大きいからな。よく食べるのはいい事だろう』
蒼龍『違う!違わないけど!違うから!』
うん、この騒がしさは確かに姉妹だな。
けして喧しくはなく、まるで軽快なリズムで鳴り続ける太鼓のような印象を受ける。
88 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/11/22(金) 04:38:35.84 ID:q5DK4WWN0
結局流れで3人とも焼肉定食となった。勿論メガ盛りではない。
飛龍『課長は嫌いなものある?』
男『キムチだけは今後一生食わないと決めている』
蒼龍『なんで?』
男『トラウマがな…』
飛龍『何やったらキムチなんぞにトラウマできるのよ』
男『内緒だ。こいつだけは墓まで持っていく』
飛龍『ちなみに提督は唐揚げが嫌いよ。何故か』
男『何故か』
飛龍『うん。何故か』
蒼龍『叢雲ちゃんも知らないんだって』
食堂の端の空いていたスペースに三人で座る。
俺と対面する形で飛龍蒼龍の並び。
89 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/11/22(金) 04:39:12.38 ID:q5DK4WWN0
案の定艦娘である2人は食べるペースが早い。あっという間に平らげてしまった。
俺も別に遅い訳では無いのだが。
男『2人はあの娘に会ったことはあるか?』
飛龍『あーさくらちゃんの事?』
蒼龍『撫子ちゃん?』
男『やっぱ呼び名はバラバラなのな』
飛龍『私は会ってないんだぁ。写真だけ。すっごく可愛かった』
蒼龍『私は寝顔だけチラッと。こう、ギュッとしたくなる感じの娘だった』
飛龍『分かるー。一緒に寝たい。お風呂とか入りたい』
蒼龍『ね!ね!絶対抱き心地いい!』
飛龍『絶対メイド服とか似合う!』
蒼龍『私は水着とか試したい!』
飛龍『髪なんかもいじりがいかありそうで!』
蒼龍『ウェーブかけたい!』
男『待て待て落ち着け』
女子トークになった途端ヒートアップする。
90 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/11/22(金) 04:39:44.31 ID:q5DK4WWN0
蒼龍『課長は抱きたくならなかった?』
男『なるか。そんな事したら殆ど犯罪者だろ』
蒼龍『え〜そうかな』グゥ
飛龍『あ』
男『…』
蒼龍『』カァ
真っ赤になった。蒼龍なのに。
飛龍『よし行こう!デザート食べに行こう!』
男『俺の事は気にするな』
蒼龍『もうダメ…お嫁に行けない…』
飛龍『はーい行きますよ〜ほれほれ〜』
91 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/11/22(金) 04:40:28.83 ID:q5DK4WWN0
青とオレンジの背中を見送る。
しかし飛龍はすごいな。コミュ力の塊みたいなやつだ。それに気遣いもできている。
蒼龍の方と一度話出せば飛龍と変わらない印象だが、それは彼女がいるからこそのように思える。
さっき話しかけてきたのもパッと見て俺の置かれた状況を察したからだろう。
おかげでこうしてスムーズに料理を頼めたし違和感なく食堂に紛れられている。
とはいえそれに甘えるというのもどうかと思う。二人が戻る前に茶碗をからにする。
飛龍『ただまー』
蒼龍『あ、課長もう食べ終わってる』
男『やっと食べ終わった、だろ?』
蒼龍『そろそろ怒りますよ』
男『冗談だよ。悪いが俺は先に戻るよ』
飛龍『えーパフェ食べないのー?今ならあーんしてあげるよ、蒼龍が』
蒼龍『なんで!』
92 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/11/22(金) 04:41:27.19 ID:q5DK4WWN0
男『俺にも仕事があるからな。それと飛龍』
飛龍『はいはい』
男『ありがとな』
飛龍『ん?何が』
男『いや、なんでもない』
飛龍『大丈夫?パフェ奢る?』
男『奢るほうかよ』
飛龍『感謝は気持ちじゃなくて態度で示してよね』
男『遠慮ねえなおい』
蒼龍『飛龍は色々と根に持つタイプだもんね』
飛龍『ふふん』ドヤァ
何故ドヤ顔。
だがまあ、この借りはしっかり覚えておこう。
93 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/11/22(金) 04:43:39.53 ID:q5DK4WWN0
コミュ力お化け筆頭艦娘飛龍
神風はまだ出てこない
94 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/11/22(金) 09:48:24.76 ID:ohuOlnUqo
おつおつ
わかる
95 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/11/22(金) 19:18:32.34 ID:6kseAc72O
神風と一緒にお風呂に入りたい人生だった…
96 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/11/30(土) 10:53:16.38 ID:chrHFR8Mo
おつかーレです
97 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/12/02(月) 04:28:06.03 ID:4Jx7eI/a0
腹ごしらえも済んだし一旦部屋に、
男「とその前に」
自室の隣の扉を開け中を確認する。
いつ目を覚ますかわからない以上こうしてちょくちょく確認するしかない。
カメラで監視という手もあるがそれはちょっとどうかと思うしなあ。
沈みかけた太陽の光は部屋にはもはや入ってはおらず室内はぼんやりと薄暗くなっていた。
神風「」
男「あー…」
落ちていた。ベッドから。
うつ伏せで床に這い蹲る彼女はその長い髪で身体を覆われているせいかますます貞子っぽく見える。
ピンクの貞子か…逆に不気味だな。
98 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/12/02(月) 04:28:41.42 ID:4Jx7eI/a0
男「…運ぶか」
別にこのまま床に寝ていても問題は無いのだが、見てしまった以上放っておくのもなんだし。
しかしどうしようか。体格は小学生程度とはいえ意識のない人間を持ち上げて運ぶのはそれなりに苦労する。
まあ起こしてしまったらその時はその時だ。
うつ伏せのからだを転がし仰向けにさせる。
顔にかかった髪を退けると彼女の穏やかな寝顔が現れた。
一向に浮かび上がってこないその不安定な意識は今どこで何を見ているのだろうか。
99 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/12/02(月) 04:30:12.93 ID:4Jx7eI/a0
肩の辺りと膝の下に手を入れお姫様抱っこの形で持ち上げる。
決して重くはないが意識の無い身体はまるで砂袋でも持っているかのようでとても持ちにくい。
腰に来るなこれ…すっかり鈍った身体については今後対策を講じるべきかもしれない。
男「ふぅ」ドサ
おっと、もう少し丁寧にベットに寝かせるべきだったか。
布団は、別に寒くもないしいいか。
さて戻ろう。
男「ん?」グィ
何かに服の裾を引っ張られた。
何か。
いやここに何かは一人しかいない。
まったく、今朝と同じくだな。
100 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/12/02(月) 04:30:49.66 ID:4Jx7eI/a0
男『あー、起こしてしまったかな?』
『起こす…私、寝てたの?』
男『ああ。ぐっすりとな。気分はどうだ』
『なんだかふわふわするわ。この前もそう』
男『この前、とは?』
『えっとね、叢雲と、司令官とお話した時よ』
男『ほほう。二人はなんて?』
『"妖精達が見えるか"って言ってたの。私、妖精なんて見た事ないから分からないと答えたわ』
男『それで』
『初めて見たわ。妖精っていうのを。とても小さくて可愛かった』
男『なるほど』
過去の船の記憶がない。そしてそれらを思い出そうとすると意識を失う。
しかしこうして艦娘として生まれてからの記憶はしっかりと残っているようだし、それを思い出そうとして意識も失わない、か。
当然妖精は知らない。
基本的な知識はやはりゼロか。
101 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/12/02(月) 04:31:44.78 ID:4Jx7eI/a0
部屋の明かりをつけ彼女と並んでベットに座る。
『えと、男さん、よね?』
男『課長と呼んでくれ。そちらの方が馴染み深い』
『課長なの?』
男『課長だよ。課長ってのは分かるか?』
『そこそこ偉い人』
男『…大体合ってる』
『課長さんはどうしてここに?貴方も鎮守府の艦娘なの?』
男『いや、俺は…人間だよ。司令官と同じね』
『貴方も、私とは違うのね』
男『そうとも言えるな。君は鎮守府についてどれぐらい知っている?』
『えっと、司令官が一番偉くて、その補佐を叢雲がしてて、他にも艦娘っていう人達がいっぱいいるって。それくらいしか聞いてないわ』
男『なるほど、ありがとう』
どうやら最低限の情報だけで留まっているようだ。これならば多少はやりやすい。
102 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/12/02(月) 04:32:19.65 ID:4Jx7eI/a0
男『俺は鎮守府の人間じゃない。この鎮守府は海軍に属するものだが、俺はその軍とは、まあ少し別の組織から来た者だ』
『…派遣の人?』
なんでそんな知識はあるんだよおい、とは言わない。そんな事で意識を失われては困る。
男『そんなところだよ、多分』
『何をしに?』
男『今回は、そうだな。教師としてだな』
『先生なの?』
男『そういう事もやっているんだ。例えば歴史なんかを教えたりな』
『歴史の先生なのね』
男『主に近代史だがな。でも好きなのは戦国時代だ。君は歴史と聞いてなにか連想するものはあるかい?』
『んーそうね。平安時代とかかしら』
男『大正時代なんかはどうだ?』
『大正時代?』
そう。彼女の唯一の特徴。
現時点で唯一の手掛かり。服装はどういうわけか大正時代のものに通じるものがある。何か覚えていればいいのだが。
103 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/12/02(月) 04:33:05.37 ID:4Jx7eI/a0
『あまりぱっと思いつくものはないわね』
男『…それもそうか』
なるほどな。大正時代という存在は知っているわけか。
もう少し踏み入ってみるか。
男『昭和時代なんかはどうだ?』
『昭和…えっと、大正の次で、それで…』コテン
男『ダメか…』
意識を失った彼女は俺の体によりかかってきた。
やはり大戦時の記憶が欠損していて、そこを中心に関連する記憶も抜けているようだ。
第二次世界大戦を中心にそれに近い記憶程抜けていて離れる程影響は少ないといったように思えるが、ここら辺はまだ検証次第だな。
104 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/12/02(月) 04:33:39.53 ID:4Jx7eI/a0
再び彼女をベットに寝かせ布団をかける。
そういえばこの分だと着替えもしていないようだが大丈夫なのだろうか。
パジャマとはいえずっとこのままというわけにもいくまい。風呂も、まあ寝たきりならそんなに要らないか?
いや、俺が心配してもしょうがないか。
明かりを消し牢屋に鍵をかける。
そう、牢屋だ。そう意識すべきだろう。
彼女をここから出すには、やはり相当な時間がかかりそうだ。
普段使われていないせいか明かりも少なくすっかり暗くなった廊下を執務室に向かって歩く。
105 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/12/02(月) 04:38:47.70 ID:4Jx7eI/a0
しーちゃんペンライトゲットだぜ
色々と忙しい時期ですが大規模作戦が始まってしまいました。
戦力層の薄い鎮守府なのでしっかり様子見です。
今後神風にはしっかりお風呂に入ってもらうし漏らしてもらう予定なのでそこまでは頑張ります。
106 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/12/02(月) 05:08:22.60 ID:QdK25AIvO
乙
これはお漏らしに期待せざるを得ない
107 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/12/02(月) 13:20:54.03 ID:rP+SrCKEO
神風ちゃんと言ったらお漏らしだからね仕方ないね
108 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/12/03(火) 12:32:40.38 ID:BXrInFt/0
おつ
次も楽しみに待ってる
109 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/12/09(月) 02:29:37.44 ID:PrUZMYEX0
男「失礼します」
執務室を扉をノックし声をかける。
提督「ああ、どうぞ」
『げっ!』
男「…ん?」
入室の許可に混じって何やら不穏な声がした。
ここで考えもなく扉を開けた自分を詰りたくなる。
瑞鶴『…』ムスッ
金剛『…』
提督「あー、お疲れさま」
男『邪魔でしたかな』
提督「いや構わないですよ。少し座って待っててください」
男『ええ』
110 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/12/09(月) 02:30:37.75 ID:PrUZMYEX0
ソファに座り提督の方を見る。
彼のいる立派な机の前にこちらに背を向け二人の艦娘が並んで立っていた。何かの報告の最中だろうか。
僅かに緑がかったツインテールと迷彩柄の巫女装束のような服という特徴的な姿をしているのは空母の瑞鶴だ。迷彩ということは改装はしているらしい。
チラと振り向き突然やってきた邪魔者に対して隠すこと無く敵意を向けてくる。高めの身長に反して幼さの残る顔はまるで膨れっ面をする子供のような印象を受ける。
もう一人はブラウンのロングヘアに白ベースに赤のラインというまさに巫女服といった容姿。世間での知名度も高い戦艦金剛だ。
しかし金剛は瑞鶴と違った。こちらを横目で一瞥したときのあの冷ややかな視線は思わず鳥肌が立つ程だった。
彼女がどういった意図を持っていたにせよ一般人でしかない俺にとってそれは殺意と何ら変わらない威圧感だった。
111 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/12/09(月) 02:31:34.33 ID:PrUZMYEX0
会話はどうやら船団護衛の編成についてのようだ。流石にこういった話は素人の俺には分からない。
しかしこれ長くなるだろうか…明らかに部屋の空気が重い。俺のせいで話し合いに支障が出てなければいいが…
提督「よし、じゃあ続きは明日の演習で試しながらにしよう。二人ともお疲れ様」
瑞鶴『はーい。提督さんもお疲れ〜』
金剛『お疲れ様デース提督ぅ!明日もよろしくネー』
二人が部屋の入口へ向かう。
機嫌の悪さを隠そうともしない瑞鶴とは対照的に普段と変わらない金剛。二人の性格がよく現れて
金剛『"課長さん"も、お疲れ様ネ』
男『…あぁ、お疲れ様』
そういう事か。怖い怖い。抑揚のない冷めた労いの台詞で察する。
課長呼びということは飛龍からの情報は鎮守府にちゃんと広がっているようだ。
わざわざ言ってきたという事は牽制、線引きという訳だ。流石は戦艦金剛と言ったところか。
112 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/12/09(月) 02:32:47.63 ID:PrUZMYEX0
提督「いやぁタイミングが悪かったみたいで申し訳ない」
男「構いませんよ。遅かれ早かれ彼女達とは接触しなければならないんだ」
提督「今叢雲を呼んだのでそのまま待っててください」
男「OK」
提督「僕も失礼して」ドサッ
机から離れソファに深々と腰を預ける。
男「どうですか、そこの椅子の座り心地は?」
来客に備えてか随分と立派に作られている机を見ながら問いかける。あの椅子では長時間の作業は負担だろう。
提督「それはどっちの意味で?」
男「え?あぁ、いや、ハハッ。貴方の思う方でいい」
思いがけない反応に、しかしつい笑いが零れた。
提督「堅苦しくてしょうがない。でもどうにも居心地がいい」
間違いなく本音だろう。そう確信させる目をしていた。"どちらの意味の回答でも"、それが本心だろう。
113 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/12/09(月) 02:33:26.77 ID:PrUZMYEX0
男「羨ましい」
提督「本気で?」
男「それなりに」
提督「座り心地はもう少し良くなって欲しいのですけれどね」
男「それは無理でしょうね。何せ作っているのがアレだ」
提督「あれ、いいんですかねそんな事言って」
男「椅子職人の話でしょう?」
提督「おっとそうでしたそうでした」
叢雲「あら、いつの間にか随分と打ち解けてるじゃない。それでいいのよ、それで」
提督「おー叢雲」
男「いつの間に…というか早いな」
叢雲「勿論。司令官の要望には即座に答えられるようにしているわ」ドヤァ
提督「もはやストーカーレベルだよね」ハハハ
叢雲「は?」ピキ
男「…」
褒めたつもりなんだろうなーこの男は。朴念仁なのか?
114 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/12/09(月) 02:34:34.19 ID:PrUZMYEX0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
叢雲「それで、どうだった?一日あの娘(こ)といて」
男「一日と言っても会話ができたのは二回だけだ」
提督「二回?午前中以外にも目を覚ましていたんですか?」
男「ついさっき。それなりに会話はできましたよ。何かを思い出させなければ会話自体はそれほど問題ない」
叢雲「問題は私達の目的がその思い出させる事って点ね」
男「とりあえず先の会話で今後の大まかな方針は決まった」
提督「ほう、それは」
男「まず彼女は鎮守府という組織を一切知らない。ここの事もここにいる3人と他に大勢の艦娘という人がいる、という認識しかない。それを逆に利用しようと思う」
叢雲「利用?」
男「俺が教師として彼女につく。艦娘とはこうやって生まれた時は何も知らないから勉強が必要なんだと言ってな」
提督「あー、あぁ!なるほど。それは良さそうだ」
叢雲「確かに…彼女の負担は少なそうね」
115 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/12/09(月) 02:35:55.00 ID:PrUZMYEX0
男「と言っても現時点での、あくまで大まかな方針です。様子を見つつ彼女の反応を見てその都度調整は必要になるでしょう」
提督「ならこれから暫くはこの時間にこうして集まって報告を聞き話し合うとしましょう。専門家じゃないけれど僕らも手伝いはできるはずです」
男「それはありがたい。ひとまずはそれで行こう」
叢雲「それで、細かい方針は何かあるの?」
男「方針というか、今とりあえず知りたいのは食事が必要かどうかかな」
提督「うん。何せあの調子だから今の今まで何も摂取できていないんだよね。艦娘である以上"栄養摂取"は不必要だけど"食事"は必要だ」
叢雲「とは言えいきなり食堂というわけにもいかないものね。何か簡単に持ち運べる軽い物でも用意させとく?」
提督「そうしてくれると助かる。俺としてもな」
116 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/12/09(月) 02:36:29.13 ID:PrUZMYEX0
叢雲「そういえば夕餉はどうしたの?完全にスルーしてたけど」
提督「あっ」
男「食堂で食べたよ」
叢雲「あら、やるわね」
提督「なんか来客感全然なかったから忘れてたね」
男「飛龍のおかげでな、助かったよ。明日からは気をつける」
叢雲「へぇ飛龍が。ふぅん」
提督「いつもは来客には別室で少し豪華なものを出したりしてるんですけどね。いやほんと申し訳ない」
男「馴染んでると言ってくれるならそれが一番ですよ」
叢雲「明日はどうするの?」
男「別室とまではしてもらわなくても、でも出来れば二人のどちらかとは一緒が望ましいな」
117 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/12/09(月) 02:37:07.08 ID:PrUZMYEX0
提督「ならそうしましょう。食堂に馴染めるように」
叢雲「…明日って報告書あったわよね」
提督「あ゛」
男「報告書?」
叢雲「近海の調査報告書よ。深海棲艦(ヤツら)の動向を週一くらいで報告しなきゃなのよ。どんな小さな動きも見逃さないようにね」
男「ほぉ。それは知らなかったな」
提督「」
叢雲「終わるの?」
提督「」
叢雲「…」
提督「」
男「これは?」
叢雲「日頃からコツコツやらない怠惰な男の哀れな末路よ」
提督「ホント申し訳ない」
118 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/12/09(月) 02:38:02.68 ID:PrUZMYEX0
叢雲「てことでアンタはそこで仕事。私が食堂行くわ」
提督「無慈悲な…」
叢雲「安心なさい。後で私がご飯持ってきてあげるから」
提督「えーじゃあ誰かに夕飯作ってもらおうかなあ」
叢雲「」ピクッ
男「作ってもらう?」
提督「秘書艦は日毎に他の艦に変わってもらったりしてるんですよ。そこでいつからかその日の秘書艦とご飯を食べるのが流れになってて、僕が作ったり向こうが作ったりと色々とね」
男「ほお」
艦隊内でのコミュニケーションのためか。中々いいアイデアだ。
しかし料理までできるのかこの男。
提督「日中はどうしても艦隊の運用に時間を取られるのでご飯を作ってくれたりすると空いた時間を他に回せましてね」
119 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/12/09(月) 02:40:01.36 ID:PrUZMYEX0
叢雲「な、なら一緒に食堂行けばいいじゃない」
提督「報告書書かなきゃだから行けないって話だろ?」
叢雲「」
男「…」
あ、これはあれか。察した。
提督「それに秘書艦の制度も君の負担軽減のためにやってる所もあるんだしそこまではしなくても大丈夫だよ」
叢雲「…そう」
男「よ、よろしく頼むよ」
叢雲「ッ…」キッ
うわ睨まれた。どう考えてもとばっちりだろ俺は。
120 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/12/09(月) 02:40:33.15 ID:PrUZMYEX0
提督「では明日からはそういう事で」
男「あ、ああ…」
いいのかなぁそういう事で。口出すことじゃないんだが。
叢雲「司令官っ!」バンッ
提督「うおっ!」
男「えっ?」
叢雲「徹夜よ」
提督「は?」
男「ん?」
叢雲「徹夜で終わらせるわよ」
提督「…へ?」
男「あー…」
目がマジだ。
121 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/12/09(月) 02:41:01.36 ID:PrUZMYEX0
提督「べ、別にそこまで急を要するものじゃなくないかい?」
叢雲「四の五の言わずにやるわよ。明日の仕事はいくつか私がやっておくからやるわよ」
提督「えぇ…」
男「…徹夜ってのはやったりするので?」
提督「たまに…」
叢雲「昔はしょっちゅうやってたものだけれど」
提督「若さは力だよ」
叢雲「まだ若造じゃない」
提督「二十後半辺りからくるんだよ、急に。呪いみたいなのが全身に」
叢雲「何よそれ」
男「…」
それは分かる。
122 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/12/09(月) 02:41:35.38 ID:PrUZMYEX0
提督「君達は寝なくても平気だけど僕らは寝ないと二三日は引きずられるんだよ…」
叢雲「いつもたっぷり寝てるんだからたまには頑張りなさいよ」
提督「えぇ…」
叢雲「ほら、やるからにはさっさとやるわよ!終われば寝れるんだから」
提督「やるとは言ってなくない?」
叢雲「 や る わ よ 」
提督「ハイ」
男「あーうん。頑張って」
叢雲「じゃまた明日」
提督「こっちの事はお気になさらず…」
男「気にはなるが、まあどうこういうものじゃない」
提督「それもそうだ。では、おやすみ」
123 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/12/09(月) 02:44:41.62 ID:PrUZMYEX0
E2までしか終わってない!
基本的に艦娘の好意的な態度しか見ないのでそうでない艦娘を書きたいなって。
人選は個人的睨まれてみたい艦娘トップ2からです。
124 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/12/09(月) 06:04:51.43 ID:yaI3S5dFO
乙
125 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/12/09(月) 20:31:11.66 ID:KS3efmdLo
おつ
126 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/12/31(火) 23:34:29.98 ID:2t2tJjtO0
男「…」
扉を乱暴に叩く音で目が覚めた。
ベットに寝たまま手探りでスマホを手繰り寄せ時刻を確認する。
朝の6:18。
一体何の用だ?そもそも誰が扉を叩いているのか。
寝起きの機嫌の悪さを自覚しながらそれでも少し急ぎめで入口まで移動し扉を開ける。
男『はいはい、何の用ですか』ガチャ
叢雲「私よ、おはよ」
妙なアンテナが喋った。いや違う。
目線を少し下げるとそこには叢雲がいた。
男「叢雲?おはよう、どうしたんだ?こんな時間に」
叢雲「マルロクマルマル。艦隊総員起こしの時間よ。だからあなたも一応、ね」
ニヤリと笑う。うーんこの顔、さては嫌がらせの類だなこれ。
男「なるほどね。そりゃご親切にどーも」
127 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/12/31(火) 23:35:11.03 ID:2t2tJjtO0
鎮守府の朝はどこも早い。
なんなら平日は灯りの消えない鎮守府だってある。
男「ここはいつもこの時間なのか?」
叢雲「そうね。6時に声掛けて、暫く猶予を与えた後布団にしがみついてる奴らを叩き起していくのよ」
男「ならこれからその叩き起しってわけかい」
叢雲「これからじゃないわ。今まさによ」
男「あぁなるほど。布団にしがみついてるとさっき叩かれていた扉みたくなってたわけだ」
叢雲「気をつけなさいよ。アナタは私達や扉と違ってそれほど頑丈じゃあないもの」
男「肝に免じておこう」
眠気はすっかり覚めていた。
128 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/12/31(火) 23:36:17.26 ID:2t2tJjtO0
男「君の今後の予定を聞いてもいいか?」
叢雲「全員の起床を確認。今日の各自の予定を改めて通達、各自目を通したか確認。早番の娘達の航路や日程を確認送り出し。夜番の娘達の帰投確認、で報告受けてとりあえずは朝餉ね。司令官は、まあ起きないでしょうけど」
サラッと簡素に答えたがこれだけでもどれほど忙しいかわかる。
今は端末等で事足りるとは言え百を超える部下をまとめあげるのは並の苦労じゃない。
早番というのは恐らく早朝からの遠征や船の護衛だろう。夜番はそれを夜通しやっている艦隊か。
男「改めて聞くとえらい忙しさだ」
叢雲「この身体じゃなきゃ三日持たないわよ。それでも司令官は睡眠を取れって言うけれどね」
男「そうなのか?」
叢雲「ええ。わざわざ秘書艦を交代制にしてまでね。いい夢を見ろって事らしいわ」
男「いい指揮官じゃないか」
叢雲「そう?押し付けがましいと思わないでもないわよ。夢なんか見なくたって、私はあの人の隣いにいる限りは人であり続けられると思うのだけれど」
129 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/12/31(火) 23:36:48.60 ID:2t2tJjtO0
男「あって欲しいという思いだよ。きっと」
叢雲「…ま、だから私から何か言ったりはしないのだけれどね」
提督と叢雲。二人の間にある信頼は少し変わったもののようだ。
最もその印象もお互いが人間だったら、という前提あってのものだが。
叢雲「それで、アナタの方はどうなのよ。今後の予定は」
男「あの娘の様子を見ているよ。起きるようなら一緒に朝食を摂りたいところだが」
叢雲「彼女次第ってわけね。はいコレ」
ポケットから何かを取り出す。ポケットあったのかその服。
男「これは?」
叢雲「アナタ用の連絡用端末」
130 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/12/31(火) 23:37:32.86 ID:2t2tJjtO0
渡されたのは昨日叢雲も使っていたスマホだった。
叢雲「基本的に連絡機能だけが入ってるわ。それも鎮守府内だけの。そこら辺はアナタなら分かってるでしょ?」
男「そりゃな」
情報漏洩には意外な事に国が徹底して対策をとっている。流石にアイツらでも艦娘という存在が如何に重要かは理解しているらしい。
その為基本的に鎮守府と外部の連絡手段はかなり限られている。当然俺の普段使っているようなスマホはここじゃ電波が入らない。
叢雲「その端末の機能レベルは一番最低限のものになってるわ。外部との連絡は私か司令官のみ。後は執務室のコンソールね。観覧用のパソコンの置いてある部屋もあるけど、履歴とか全部外に送られてるからバレるわよ」
男「観覧用ってのはつまり娯楽としてって事か?」
スマホを操作して確認する。うん。今まで使ったことのあるものと同じだ。
叢雲「調べ物のため、って名目だけど実際はアナタの言う通りよ。今時娯楽がテレビだけってのはつまらないでしょ?」
131 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/12/31(火) 23:38:36.20 ID:2t2tJjtO0
男「そりゃそうだろうな。よし確認した。何かあれば連絡する」
叢雲「連絡先は今のところ私と司令官だけ登録しといたわ。緊急なら電話。そうでないならメッセージでお願い」
男「…他の艦娘とも連絡先を交換したりできるのか?」
叢雲「可能よ。機能的にはね。でもその方がアナタはやりやすいかもね」
男「だから買い被りすぎだよ。分かった、ありがとう」
叢雲「それじゃ頑張ってちょうだい」
男「君もな」
右手をヒラヒラと振りながら去ってゆく小さな背中を見送る。
彼女を見て、はたしてその背中がかつて計り知れないほど沢山のものを乗せて海を渡っていたと分かる者がどれだけいるのだろうか。
少なくとも俺には分からなかった。
132 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/12/31(火) 23:39:25.60 ID:2t2tJjtO0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
さて仕事だ。切り替えよう。
顔を洗い歯を磨く。その後ギリギリ社会人らしく見えるラインのラフなシャツとズボンに着替える。
流石にまだ半袖を着る季節ではないが、長居する事を考えると先に仕入れておくべきかもしれないな。
そんな益体も無い事を考えながらお隣さん家の扉を開ける。
男「…変わらずか」
寝ていた。昨日と違い桃色貞子にはなっておらず寝かせたままの姿勢、つまり仰向けのままベットにいた。
寝相とは脳が深く寝ているから起こると聞いた事がある。それでいえば昨日はちゃんと眠れていたという事なのだろうか。
そもそも艦娘の睡眠ってどういう状態なんだ?
133 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/12/31(火) 23:40:35.31 ID:2t2tJjtO0
男『おはようございま〜す』ヒソヒソ
なんとなく小声で呼びかけてみる。別に寝起きドッキリというわけじゃないんだが。
『ん…〜』モゾモゾ
お?意外にも反応があった。つまり気を失っているのではなくあくまで睡眠状態にあるという事か。
男『ヒトナナマルマル。総員起こしから一時間たってるぞ』ユサユサ
身体を優しく揺すりながら普通に起こしてみる。
『んー…ん?』
男『よ、おはよ』
『おは、よう?』
普通に起きた。最初の頃より意識が安定してきているのだろうか?
『えっと、その、私また寝てたの?』
男『ああ、ぐっすりとな。今は朝の七時だ』
『朝…うーいつの間に寝てたのかしら』
134 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/12/31(火) 23:41:12.84 ID:2t2tJjtO0
男『そこら辺は気にしなくても大丈夫だよ。起きられるか?』
『えぇ。問題ないわ』
そう言って上半身を起こし大きく伸びをする。
『久々に朝に起きた気がするわね』
男『ならきっとそうなんだろうな』
『よッ痛っ!』
男『!?どうした!』
『あ!ち、違うの!ちょっと髪を引っ張っちゃって…』
男『髪?あぁそういう事か』
長座体前屈の姿勢からベットに手を付き立ち上がろうとして、その長い髪を手で押えてしまいピンと張ってしまったようだ。
『…』サラサラ
不思議そうに自分の髪を触る。記憶が無いと自身の身体すらままならないか。
135 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/12/31(火) 23:41:51.34 ID:2t2tJjtO0
男『身体に異常はないか?』
『異常?うーん、ないと思うけど、多分』
男『よし。なら朝食にしよう。一日三食が健康の基本だ』
『そういえば私何も食べて無いわね』
男『ちょっと待っててくれ』
スマホを取りだし叢雲にメッセージを送る。
男:彼女が起きた。とりあえず朝食を食べようと思う。
よし、これでしばらくすれば
叢雲:早いわね。了解。そっちに送るわ。
男『返信早いな…』
『ん?何何?』
男『叢雲からの返事がすげえ早くてな。よっぽど忙しいんだろうよ』
色々連絡取りまくってんだろうなあ。わざわざ朝食を持ってきてもらうなんて少し気が引けるな。
136 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/12/31(火) 23:42:24.49 ID:2t2tJjtO0
『そうじゃなくて!そのちっこい板よ。なんなのそれ?』
男『ん?あー、そうか。そうなるわけか』
船の記憶のみならず現代の記憶も欠けているのか。
男『スマホって言ってな。最新の通信機器だ』
『おぉー』
凄いキラキラした目で見てくる。確かに知らなければ随分と不思議なアイテムだろう。
男『ま、それはあとだ。とりあえずは朝食を食べる準備だな』
部屋を見渡す。
家具は下が二段のタンスになっているこのベットのみ。食べるとしたらこの木の床になるのか…まあ掃除はされているようだし別にいいか?
137 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/12/31(火) 23:42:52.83 ID:2t2tJjtO0
男『ん?』
『あら?』
廊下の方から何やら音がする。
男『なんだ?』
『足音かしら?』
随分と慌てた様子の足音がこちらにすごいスピードで近づいて、そして
飛龍『どーーっも宅急便でーーす!!』バァン!!
そいつは勢いよく扉を開けて入ってきた。
男『飛龍…』
相変わらず元気120%の様だ。
というか普通に彼女を他の艦娘に会わせてしまったが大丈夫かこれ!?
『…』ドンビキ
…すっげぇ引いてる。ドン引きしてる。無理もないか。提督、叢雲、俺ときて次がコレだもんな。
飛龍『…あのー、なんか反応が欲しかったり?』
男『廊下を走るな』
飛龍『えぇーそこぉ?よりによってそこぉ?』
138 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/12/31(火) 23:44:53.81 ID:2t2tJjtO0
男『というか何でお前なんだ。叢雲は朝食を、を?』
"送るわ"、とそう言った。なるほどな、送るってそういう意味か。
飛龍『だからその叢雲に朝食持ってってって言われたのよ』
男『OK理解した。ありがとう』
飛龍『どいたま〜』
叢雲はそう判断したわけか。確かに他の艦娘達に慣れさせるなら飛龍はかなり向いていそうだが、それにしたっていきなりすぎるだろ。
飛龍『というわけで私!航空母艦飛龍です!よろしくぅ〜』イェイ
『よ、よろしくオネガイシマス』
声が小さくなっていく。完全にビビって縮こまる小動物状態なんだが。
139 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/12/31(火) 23:45:41.72 ID:2t2tJjtO0
飛龍『ムフッ』
男『あ?』
なんだ?凄い気持ち悪い笑みを浮かべてなんか変な声を出しやがった。
一体何g
飛龍『会いたかったにょぉぉぉおおおお!!!』ガバァッ
『キャァァァアアア!!』ビクッ
それは艦娘の身体能力を遺憾無く発揮した動きだった。
僅かに体を斜めにし重心を前に倒しつつ膝を瞬時にバネにし彼女に飛びかかった。
それは淀みないスムーズさで気づいた時には彼女は飛龍によって再びベットに寝かせられていた。
もっとも今の布団は飛龍だが。すげぇな見事にルパンダイブしたのに衝撃を自分の腕だけで殺してやがる。流石艦娘。
140 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/12/31(火) 23:46:49.40 ID:2t2tJjtO0
飛龍『ムフッ』
男『あ?』
なんだ?凄い気持ち悪い笑みを浮かべてなんか変な声を出しやがった。
一体何g
飛龍『会いたかったにょぉぉぉおおおお!!!』ガバァッ
『キャァァァアアア!!』ビクッ
それは艦娘の身体能力を遺憾無く発揮した動きだった。
僅かに体を斜めにし重心を前に倒しつつ膝を瞬時にバネにし彼女に飛びかかった。
それは淀みないスムーズさで気づいた時には彼女は飛龍によって再びベットに寝かせられていた。
もっとも今の布団は飛龍だが。すげぇな見事にルパンダイブしたのに衝撃を自分の腕だけで殺してやがる。流石艦娘。
141 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/12/31(火) 23:47:44.84 ID:2t2tJjtO0
飛龍『あ゛あ゛あ゛ちっちゃーい!ちんこいちんちくりんー!!うわほっそ腕細!髪スベスベーウリウリ〜』
クリスマスプレゼントに欲しいぬいぐるみを買ってもらった子供でもここまで全力で堪能はしないだろってくらい抱きついて堪能してる…
『んーー!!んんん!!??』バタバタ
よしこれは流石に助けた方がいいなうん。
飛龍『ん?』ピタッ
男『お?』
止まった?
飛龍『…A、じゃないBか!Bはあるな!』
『んん!!??』
男『変態かお前は!』ベシッ
大した効果は見込めないが反射的に頭を叩いてしまった。
142 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/12/31(火) 23:48:39.44 ID:2t2tJjtO0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
飛龍『あはは』
男『あははじゃねえよ変質者』
『』
飛龍『あははー…ごめんつい』
彼女は俺の後ろに隠れて飛龍に対して警戒態勢全開だった。当たり前だ。
飛龍『だって仕方なくなくなくない?』
男『仕方なくねえよ』
どうせろくな理由じゃねえ。まっくこいつは頼りになるんだかならないんだか…
飛龍『いやぁでもようやくちゃんと会えたわね、さk『あ゛あ゛あ゛ストォォプ!!飛龍ストップ!!』…え?』
『?』
男『あ、いや、その…』
やっべ思わず声を荒らげてしまった。
飛龍『えと、何が?ん?』
男『あー悪い。少し急用を思い出したすぐ戻る』
『え、ええ、分かったわ』
143 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/12/31(火) 23:49:24.66 ID:2t2tJjtO0
飛龍『じゃあここで待ってるねー』
違ぇよお前も来るんだよ。今更不審がられることを気にしてもしょうがない気もするが、一応彼女に気づかれないように飛龍にアイコンタクトを送る。
気づけ!お前もちょっと外に来い!
飛龍『…?』
そうだこっちを見ろ!汲み取れ!
飛龍『……!』
お!
飛龍『!』パチンッ
すっごいいい笑顔でウィンクされた。
男『少し飛龍借りるぞ』グイッ
飛龍『えちょっ!』
『ええ!?』
144 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/12/31(火) 23:49:58.81 ID:2t2tJjtO0
飛龍と共に廊下に出て戸を閉める。
飛龍『どうしたのよ急に。ウィンク変だった?』
男『んなわけあるか…』
飛龍『じゃ何よ』
男『…名前だ』
飛龍『名前?』
男『これは、まあ俺が言ってなかったのが悪いっちゃ悪いんだがな。飛龍、さっき彼女の事"さくら"って言いかけたろ』
飛龍『あーうんうん。言いそびれたけど』
男『"彼女を名前で呼んではいけない"』
飛龍『…はい?え、なんで?』
男『あ、いやほら。本当の名前が見つかる前に渾名があるのも変だろ、な?』
飛龍『はぁ、まあそれもそうか。でも呼び名がないのは不便じゃん』
男『そこら辺は、今提督と相談中だ』
飛龍『ふーん、ならしゃーないか』
とっさの事だったから凄い雑な誤魔化し方になったが、まあ納得したようなのでいいか。
145 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/12/31(火) 23:50:42.94 ID:2t2tJjtO0
男『ともかく、彼女には不用意に接触するな』
飛龍『そんなに徹底するものなの?記憶がないってだけで』
男『あぁ、だってお前らは…』
飛龍『お前らは?』
男『悪いなn『何でもないってのはなしね』…』
飛龍『なら、昨日の貸し、ここで返してもらおっかな〜』
男『…お前ら艦娘は危ういからだよ』
飛龍『…それって人にとってって事?』
男『存在が危ういって事だ。彼女は特にな』
沈黙が廊下を埋める。飛龍の真剣な顔はなんというか、叢雲とは別の凄みがあった。
146 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/12/31(火) 23:51:25.00 ID:2t2tJjtO0
飛龍『そっか。じゃ私は退散した方がいいかな。朝食は届けたし』
男『悪いな』
飛龍『悪いかどうかは、私が決めるから』
男『そりゃそうか』
飛龍『それじゃ!』
いつもの調子で変なポーズをとりつつ、部屋の前から立ち去ーらなかった。
男『飛龍?』
飛龍『ねえ、一個だけあの子に質問させてくれない?』
質問してもいいか、という問ではなかった。
質問をさせて欲しいという願いを口にした。
先程の真剣な顔に戻って。
男『…内容による』
147 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/12/31(火) 23:52:00.45 ID:2t2tJjtO0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
飛龍『たっだいまー、朝ごはん食べよー』
『は、はい!』
男『あんまり怖がらせんなよ』
飛龍『怖がらせてない!怖がらせてないから!』
男『あれ、そういや肝心の朝食は?』
飛龍『これこれ』
『それは、お弁当?』
飛龍『そうそう。ホントは遠征とか遠出する娘用に用意されてるんだけどぉ、その予備のやつを丁度いいから食べちゃおって。余ったら勿体ないしさ』
男『そりゃありがたい。見ての通り食べる場所なくてな。弁当なら食べやすい』
飛龍『あー確かになんもないわねここ』
とりあえずは机を用意した方がいいかなこれは。後で考えておこう。
148 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/12/31(火) 23:52:28.43 ID:2t2tJjtO0
『えっと、じゃあどこで食べようかしら』
男『弁当だからな。ベットに腰かけてか、床でピクニックか』
飛龍『床は止めといた方がいいと思うけどね。それじゃ配達員はここでばいなら!』
『ば、ばいなら〜』
古い…
飛龍『あそうだ!配達代代わりに一つ質問してもいい?』
『え、私に?』
飛龍『そう!』
なるほどそう来たか。恩着せがましい気もするが質問の仕方としては悪くない。
『いいけれど、あまり答えられる自信はないわよ?』
149 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/12/31(火) 23:53:55.68 ID:2t2tJjtO0
飛龍『そう大したことじゃないって〜』
ベットに腰かけ緊張からか体を少し強ばらせる彼女の目の前に目線を合わせる形で屈む飛龍。
じっと、真剣に、でもやさしく彼女の薄らと桜色が透ける瞳を見つめる。
飛龍『貴方、何処か行きたいところはない?』
『行きたい、所?』
飛龍『そう。自分はそこに向かいたい。辿り着かなくてもいいから目指したい。そんな場所』
『うーん、えっと…ごめんなさい。ちょっとよく分からなくて』
飛龍『…そっか!ごめんごめんなんか変に重苦しくしちゃって。性格診断テストみたいなもんだからあんま気にしないで?それじゃバイビー!』ピューッ
『行っちゃった…』
男『なんだったんだ?』
『さあ?』
男『とりあえず朝食にするか』
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