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絵里「例え偽物だとしても」
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770 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 19:49:29.15 ID:hEQnKdja0
絵里「………」
絵里(ここで私は一つ思う、このまま戦いを続けててもそれぞれが見たものを返し合ういたちごっこになる。それは不毛であり意味のない戦いに過ぎない、なら短期決着が望ましい)
絵里「……よしっ」
絵里(その時私は一つの道を見つけた、この相手に————私に勝つ方法を)
絵里(私一人じゃ勝てなくても、“みんなの力”を使えば勝てるのよね、私にだって)
絵里「…じゃあラストスパートと行きましょうか」
絵里(私個人の始まりのトリガーは今引かれた、ショットガンの舞をしながら近づく相手に私は姿勢を低くして近づいた)
えりち「っ!この舞に近づくの?」
絵里「ええ、私はそれが良いと思ったから」
771 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 19:50:14.47 ID:hEQnKdja0
絵里(あの時の希の動きは双方にショットガンを持つことで片方でトリガーを引いてももう片方を撃つことで反動を相殺する仕組みで、銃があってこそのよく出来た戦術だ)
絵里(ただしそれは力業でもなければ希だけが出来る業でもなく、工夫を何重にも施し、メリットとデメリットを計算しつくした希の有する力でも出来るようにした業であったと思う)
絵里(この動きのメリットは相手を寄せ付けない、相手を無理矢理動かすことが出来る、手数で勝つことが出来たりと火力面では強い)
絵里(だけどその動きは————)
絵里「片方の足を上げないと成立しないのよね!!」
えりち「!!」
絵里「もらったぁ!」ズサー
絵里(あの動きは重心をどちらかの足に置いてバレエのような舞を射撃と共にするまさにダンスそのもの、片足を上げることで次へのステップをすぐに行えるように、そしてそれを連鎖的に行えるようにした最大の特徴であり最大の弱点)
絵里(銃が無い今は近づくことも不可能ではない、あの片足を————重心を弾くことが勝利への第一歩なのよ)
772 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 19:54:36.64 ID:hEQnKdja0
えりち「あっ……」
絵里「これがことりの力よ!」ドカッ
絵里(バランスの要であった片足をスライディングで崩して宙に浮かせ、その後すぐにスライディングを解除して飛び膝蹴りをした)
ことり『強くてごめんねっ!』
絵里(あの時ことりが見せてくれた飛び膝蹴りを真似た、右足から天を統べる鳳凰のよう凛々しく飛んで、左膝で“打撃”を行うのではなくこの左膝を相手の背中に“めり込ませて”相手を吹き飛ばす。中国拳法で鍛えられたキレの良さは他の人の飛び膝蹴りとはまた違う強さがあった)
えりち「っあぁ…!がっ………」
絵里「えっ…ちょっと……」
絵里(背中から私の蹴りを受けた相手は派手に宙を舞い横へ吹っ飛ぶのではなくて上へと吹っ飛び胸から地面へと叩きつけられ、大量の血を口から吐き出して動かなくなった)
絵里(…これは相手がアンドロイドだから分かるけど、私の蹴りは確実に背中辺りにある何か重要なシステムを担う何かを壊した。その結果機能が一時停止してる可能性が高くみんなの力を使わずともことりの力だけでKOさせてしまった)
773 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 19:55:52.02 ID:hEQnKdja0
絵里「……やっぱり私…」
絵里(目を開けたまま、口を開けたまま動かない相手…ううん私を見て思うのはやはりこの力は使うべきものではないというのが分かる)
絵里(拳銃も持ってなかった私が今では格闘だけでこんなことができるなんて思いもしなかった)
絵里「………」
絵里(確かに相手が言う通り、誰かを守る為の力があるのは誇らしいことだと思うけどこの力はいくらなんでも人間離れしすぎてるし、ましてやアンドロイドの括りにも到底嵌められたモノじゃない)
絵里(この力を持って私は何を全うするのだろう、この力の存在を知っていながら私はどういう生き方をするのだろう)
絵里(分からないけど…分からないけど私という化け物が死んで私は心底安心した)
『…やっぱりあなたは自殺で生涯を終わらせたのね』
絵里(…そう、そうなってしまうのよ。今ならよく分かるわ)
絵里(だって私は死にたくないもの、死にそうになったら必死に抗って逃げたり戦ったりして生き延びたい生き物なんだもの)
絵里(だけど生き延びた分強くなっていく私はあのまま生き続ければきっと軍神と謳われた穂乃果以上にアンドロイドという歴史に名を深く刻むことになるのでしょう。だからそんな物語がここで止まってよかった、正義感という私が、私という正義感が私の死を心から喜んでいた)
774 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 19:57:14.02 ID:hEQnKdja0
えりち「…ぷはっ」
絵里「!」
えりち「はー…負けたわ」
絵里「…私の勝ちね」
えりち「ええ」
えりち「…さっきも言ったけどあなたは強くなりすぎてる」
絵里「ええそうよ、だから私は平和を崩さない為に死ぬ運命にあるのよ?よく分かったでしょ?」
えりち「いいや、あなたは生きる運命にある。何故ならあなたには守るべき人がいて、知るべき真実があるから」
絵里「…あなたは一体何を知っているの?」
えりち「……少なくとも、あなたよりかは遥かに知っていることが多いはずよ」
775 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 19:58:32.83 ID:hEQnKdja0
絵里「…じゃあ聞くわ」
絵里「私の知るべき真実っていうのはどこにあるの?」
えりち「ええ、答えてあげる。それは————」
えりち「——小原鞠莉がいるあのホテルの最上階よ」
絵里「………」
えりち「そこにあなたが一番知りたい真実があるわ、あなたはそこでこれまでとこれから全部を含めたとしても最大となる選択に迫られる」
えりち「あなたは死ぬ前にターニングポイントを作りなさい、死を語るのはそれからよ」
776 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:00:21.92 ID:hEQnKdja0
絵里「…まるで私が生きていてそこに行けって言ってるような口振りね」
えりち「ええ、生きてるもの」
えりち「…いや、具体的には死んでるけどね」
絵里「…何を言ってるの?」
えりち「あなたは死んだわ、人間の脳に当たる記憶保存領域に鉛玉を撃ち込んだからね、記憶保存領域の内部を破壊したことによりあなたの記憶は機械的に保持が出来なくなる。壊れた記憶保存領域からしちゃあなたの記憶は存在不明、解析不能なモノになってしまうからまさにTHE ENDって感じ」
えりち「でもおかしいと思わない?記憶保存領域が壊れてるのになんであなたの記憶は今もこうして保持されてるの?」
絵里「それは…」
絵里「………」
えりち「…分からないでしょ?当然よ、だって知るはずがないもの」
絵里「…どういうこと?」
777 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:01:33.72 ID:hEQnKdja0
えりち「あなたは私————私はあなた」
えりち「ここまで言えば分かる?」
絵里「………分かりたくない」
えりち「正直ね、でもごめんなさい。分かってもらうわ」
えりち「私という存在が生きてるからあなたはまだ記憶を保持していられるのよ」
えりち「あなたには真実を知る権利があるの、だからその真実を知ってもらうまで私はあなたを殺さない」
絵里「…じゃあ私があなたを今ここで殺せば私は死ぬの?」
えりち「ええ、死ぬわ」
絵里「………」
778 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:02:29.22 ID:hEQnKdja0
えりち「さっき戦って分かったわ、まだあなたには戦う気力がある。生きる力を完全に失ったわけじゃない」
えりち「勝ちたいって思えるならもうそれでいいわ、小原鞠莉のところに往って小原鞠莉に勝ってきなさい」
絵里「…無茶言うわね」
えりち「でも、その無茶をやろうとしてたのはあなたでしょう?」
絵里「………」
えりち「…残念だけど今ここで私を殺そうとは思わないほうがいいわよ、私とあなたは平行線の存在。今という状態じゃあ何をしたって変わらないわ」
えりち「だって同じ存在なんだもの」
絵里「………」
えりち「元々私はあなたが死んだ時に埋め込まれる新しい記憶だった、けどいいわ。私の命をあなたにあげる」
えりち「この命こそが最後の命。私とあなたは一心同体なの」
えりち「だからこの私が託した命で退廃した世界を変えなさい、あなた自身の力で」
絵里「………」
779 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:04:06.56 ID:hEQnKdja0
えりち「返事は?」
絵里「…何故私にそこまでするの?」
えりち「あなたは私だけど、私はあなたではないからよ」
絵里「……意味が分からないしさっきと言ってることが違うんだけど」
えりち「同じ存在でも、違う私たち————でも今の本当のあなたっていうのは生まれた時から記憶を保持してるあなたでしょう?あなたが生きている以上私はあなたを応援するわ」
えりち「これは“私”としてのけじめなの」
えりち「私、命に盲目じゃないから」
絵里「……そう、分かったわ」
780 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:04:55.11 ID:hEQnKdja0
絵里「なら初代絢瀬絵里に免じてここはあなたの命を貰うわ」
えりち「ええ、ありがとう」
絵里「…お礼を言うのは私なんだけど?」
えりち「あなたは私、私はあなた。だから嬉しいのよ」
絵里「………」
絵里(私という人物はこういう人なのかしら…少し考える)
絵里(確かに私は正義感の強いアンドロイドよ、決して自分の持つ強さを曲がらせることのない自分を強く持った人格が備わってる)
絵里(でも、自分の命をあげる?私が?当事者でもなんでもないしこれに関しては考えたくもないから一概には何とも言えないけど私はそんな人が良いアンドロイドだとは思わない)
絵里(……これが“次の私”なのかしら)
781 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:06:07.69 ID:hEQnKdja0
えりち「とにかくあなたは後数分後には現実へとトリップする、記憶保存領域は壊れてるしおそらく頭には穴が空いたまま、だけどあなたはそれでも正常よ」
絵里「…なんなのそれ」
えりち「私のおかげよ、だからあなたは諦めるまでは最後まで強く生きていきなさい」
絵里「……ええ、分かったわよ」
えりち「素直でよろしい、じゃあね」
えりち「私は常に私でありなさい」
絵里「……なにそれ」
えりち「偽物の命なんて、この世にはないんだから————!」
絵里(その言葉はよく木霊した、この何もない世界で、この穴の開いた私の頭の中で、何重にもなって木霊した)
絵里(————視界が真っ白になった、そう感じた一瞬を最後に私の感覚全てが消えた)
絵里(それは現実へ向かう為の動作であり、臨死体験とでも言っておきましょうか、ある意味仮死を体験した瞬間でもあった)
782 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:07:23.22 ID:hEQnKdja0
絵里「ん……んん……」
絵里(次に意識が戻ってきた時は目を開ける前から自覚した)
絵里(私、生きてるって)
絵里「…はっ」
絵里(だから強く目を見開いた)
絵里「……ここって」
絵里(匂いだけでも分かるこの懐かしい感じ、レジスタンスであったみんなと生活を共にして、時には刃物にもなり兼ねない言葉が飛び交った小さな戦場でもあり、みんなの笑いが集う楽園でもあったこの場所…)
絵里「…家だ」
絵里(明かりが何一つついてない真っ暗なリビング、いつも回ってるはずの天井扇も回ってなくて、横になっていたイスから降りて真っ暗な地面を歩けば当たる金属の感覚)
絵里「これ……」
絵里(せつ菜の武器だ、リビングのテーブルには曜のハンドガンがあり、このリビング・ダイニングに無造作にみんなの武器が散らばってた)
783 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:08:29.47 ID:hEQnKdja0
絵里「………」
絵里(…荒れたんだ、なんとなく想像がつく)
絵里(私がリーダーなんだから、その私が死んだら統率が取れなくなって何をすればいいのか分からなくなるのよね、もし私がことりや曜の立場だったら私だって荒れるもの、ずっと泣くもの)
絵里(…でも、そんなみんなが今ここにいない)
絵里「…みんなっ!」
絵里「………」
絵里(返事は無かった。寂しさを誤魔化す為に完全に閉じられたカーテンを少し開ければ月明かりが私の視界を奪う。だから眩い月明かりから外れればここら辺に転がってる武器が照らされてこのリビングにみんなの持つ武器全てがあることが分かった)
絵里「……っ」ダッ
絵里(家中を駆け回った、私や曜がいつも寝てる寝室、お風呂、図書室、ことりや善子が寝てた寝室、トイレ、この家全てを回ったけど誰もいなかった)
絵里「………」ジワッ
絵里(みんないなくなっちゃった)
絵里(私がいなくなってみんな戦う意味がなくなったのかしら…そう思うと私の物語ももう、終わってしまったのかも)
784 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:11:04.77 ID:hEQnKdja0
絵里「うううぅううううっ………」
絵里(ただ単純に悲しかった、今まで戦線を共にした仲間全員が消えた。それに私は実質ルビィを殺した、私の無駄な死が人数不利を作ってルビィを死へ一気に近づけた)
絵里(二代目の私からエールを貰ったのはすごい励みになったけど、現実がこうじゃ見えるのは絶望だけ)
絵里(……いや、自業自得なのは分かってるんだけどまさか自殺してから現実へ戻ってくるなんて考えてるわけないでしょ?)
絵里(それにあの時の私は本当に死を望んでいた、あの時ほど自分がイヤになったことはない)
絵里(…事実、今でも私は人間離れを起こしているわけだし)
785 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:12:33.14 ID:hEQnKdja0
絵里「うぅ…うぇえええあああああああ…!!」ポロポロ
絵里(戻ってきた現実は相変わらず退廃的で、死にたくなるほど絶望的でどうすればいいか分からなくてただ泣いた。涙を我慢する必要なんてなくて募りに募った悲しみ全てが赤子のように泣く私の口から出てた)
絵里(これからどうすればいいんだろう、私一人で鞠莉のところへ行けるのかしら?)
絵里(…否、無理があるわ)
絵里(ならどうすればいいの?私は私に問う)
絵里(……ダメね、他の方法も見つかるはずがない)
絵里(こんなお先真っ暗じゃ涙も枯れることを知らないままでいるようで、今はただ…ただただ泣き続けるだけだった)
786 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:14:19.54 ID:hEQnKdja0
「絵里…ちゃん…!?」
絵里「!!」
絵里(それは突然声が聞こえた。昨日聞いた…いや今日聞いたばっかなのに数年ぶりくらいの懐かしさを感じるこの声————その声に私は目を丸くした)
絵里「こ、ことり…?」
ことり「絵里ちゃんなの…?絵里ちゃんなの!?」
絵里「ええ!ことりなのよね…!?」
ことり「うんっ!ことりだよ!絵里ちゃんに助けてもらったことりだよ!」
絵里「うぅ…うわああああああああああん!」
ギューッ
ことり「わぁ!?ど、どうして絵里ちゃんが…?」
絵里「帰ってきちゃったのよぉ…!」
787 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:14:49.79 ID:hEQnKdja0
曜「ことりちゃんどうし————って絵里さん!?」
絵里「曜!曜よね!?」
曜「な、なんで絵里さんが……」
タッタッタッタッ
穂乃果「絵里ちゃん!?」
絵里「みんな…!」
絵里(ことりの存在に気が付けば玄関の方の扉が開いててそこから曜や穂乃果がやってきた。それを見て安心した、仲違いを起こしたり分裂したりしたわけじゃないんだって)
788 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:15:56.01 ID:hEQnKdja0
ルビィ「…絵里さん」
絵里「ルビィ…ごめんなさい……」
ルビィ「…どうして、あんなことしたんですか?」
絵里「…そうよね、言わなきゃダメよね」
穂乃果「…何があったの?」
曜「私も気になる、そして絵里さんがこうして今ここにいる理由も」
ことり「私も」
絵里「ええ、話すわ。全てを」
絵里(私は私自身の機能について、自殺してから今に至るまでの事、そしてこれから行うべきことの三つを話した。どれもこの世界では初めて話すことで聞いてる誰もが驚きを隠せないようでいた)
曜「それじゃあ希ちゃんの探してた標準型アンドロイドXっていうのは……」
絵里「…ええ、多分私の事」
ことり「私の中国拳法が使えるって…」
絵里「実際使ったけどよく真似出来てたわ」
ルビィ「…絵里さんは人間だよ、ちゃんとした人なんだから」
絵里「…ありがとう、ルビィ」
絵里(しかしみんなのその後の反応といえば驚きもあったけど何より温かった。こんな大罪を犯した私でも許してくれるみんなの優しさが逆に痛かった)
789 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:16:40.01 ID:hEQnKdja0
えりち『あなたは最強に最も近いアンドロイド、敵の技術を全て吸収する兵器————そして強い正義感を持っていることで様々な者を引っ張っていく守られ愛されるリーダーのような存在を自分に確立させる人との生き方が分かっているアンドロイド』
絵里「………」
絵里(分かる気がする)
絵里(……いや、自分を優しいとかそういう風に思うつもりはないけど、私ってちゃんとリーダーをしてて引っ張っていってるんだなって自覚はある)
絵里(人間関係に恵まれてるんじゃなくて、人間関係を上手いように操ってるのが私なんだ)
絵里(そしてそれが本能的に、感情的に行ってるから私は私を憎めない。私が心から思うことがその人にとって最高の選択になるんだから改めて私の存在が強く見えた)
790 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:18:12.11 ID:hEQnKdja0
絵里「…あれ?花丸とせつ菜は?」
ことり「え、それはぁ……」
ルビィ「………」
絵里「…何?」
絵里(…だけど現実が良いことばかりじゃないのはもう知ってる、今まで笑顔やら安堵の息をついてたみんなが急に顔を曇らせた時には何かを察した)
穂乃果「…花丸ちゃんは死んだ、せつ菜ちゃんは意識不明の重体」
絵里「えっ……」
穂乃果「…花丸ちゃん、自爆特攻をしたんだ。私とせつ菜ちゃんだけじゃあの二人に勝てないからって」
絵里「……そんなことが」
曜「…だから、そんな花丸ちゃんの死や絵里さんの今まで繋いでくれた道を無駄にしない為にも最後まで頑張ろうって私たち決めたんだよ」
ことり「…多分、私たちの銃はもう敵に割れてる。街中で銃声がしたならそれは私たちだってすぐにばれちゃうからまだ知られていない武器でせつ菜ちゃんを真姫ちゃんのところへ連れてくために外へ行こうって言って武器を整えたんだ」
絵里「…あ、じゃあこの武器は……」
曜「そうだよ、とりあえずここの武器庫にあった武器をいっぱい持ってきて自分に合う武器を取っていったんだ」
絵里「なるほど……」
791 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:19:20.87 ID:hEQnKdja0
絵里「…花丸が死んでせつ菜が目覚めない……」
絵里「…となると残り戦えるのは私たちだけになるのかしら?」
ルビィ「…そうだね」
ことり「…うん」
穂乃果「随分と減ったね……」
曜「五人か……」
絵里「…こうなっては仕方ないわ、この五人で鞠莉のいるホテルの最上階を目指しましょう」
絵里(戦いは増えるモノと減るモノが一緒な出来事だ)
絵里(生きてる人が減り、死人が増えるこの出来事では時間によってもたらされる変化がとてもよく分かった)
絵里(最初こそたくさんいた、敵も味方もね)
絵里(でも今は敵も味方もほとんどいない、千歌も善子も果南も…凛も海未もにこもいない)
絵里(やはりこの東京では——ううん、東京のせいにはしない)
絵里(この戦いという出来事には死と正面から向き合わないといけないらしい)
絵里(…そんなこと分かってたけどね。でも気付くと周りは死んだ人たちばっかりだったから少し過去が淡く見えた)
792 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:20:08.41 ID:hEQnKdja0
穂乃果「……小原鞠莉のいるホテルの最上階に行くならどう考えても実行は今日の夜だよ、Y.O.L.Oまで破壊したんだ、流石に政府も黙っちゃいないよもう」
曜「その通りだよ、政府が戦いに絡むとなると逃げることは可能だけど挑むのはかなり難しい」
曜「だからおそらく今日が最初で最後のチャンスだよ」
ルビィ「…うん、ルビィもそう思う。ホントなら今すぐにでも行きたいけどそれだと準備不足だからね、明日ならまだ政府も対応に追われる頃だからまだ間に合うと思う」
ことり「…じゃあいよいよなんだね」
絵里「……ええ、果林と梨子がY.O.L.Oのアンドロイドを殺しに動いてたのも一枚鞠莉が噛んでるらしいわ、だから今この混沌の時に行くべきよ」
穂乃果「…うん」
793 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:22:15.85 ID:hEQnKdja0
絵里「……ってあれ?そういえば果林と梨子はどうなったの?」
曜「それならY.O.L.OのアンドロイドにEMPグレネードを当てて終わったよ」
絵里「え?」
曜「一番最初に戦った時私が銃弾を避けることに驚いてたからEMPグレネードの知識も無いんだろうなぁって思ってたけど案の定やっぱりなかったよ」
ことり「…死んだ絵里ちゃんを連れて帰る時に会ったけど“私たち必要なくない?”みたいなこと言いあってて人生楽しそうだなって思ったよ」
曜「…まぁ私たちに対して敵意が無いのはすごくいいことなんだけどね」
絵里「やっぱりEMPグレネードって強いのね……」
曜「まぁね、でもアンドロイド相手に投擲物は基本当たらないからそれを当てることが出来た二人の腕は本当にすごいよ」
曜「絵里さんにも勘違いしてほしくないんだけど、EMPグレネードは万能武器じゃないからね」
曜「コストが高くて量産も出来ないからちゃんと使い時を見極めないといけないよ」
絵里「難しいのね…」
794 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:27:39.74 ID:hEQnKdja0
ルビィ「…亜里沙ちゃんと雪穂ちゃんは私が殺した」
絵里「!!!」
ルビィ「……ごめんなさい」
絵里「…そう、いいわ。気にしないで、元々私が殺す相手だったんだから」
絵里「……それにしてもよく亜里沙を殺せたわね?」
ルビィ「…ルビィもあの時は狂ってたよ、絵里さんが死んで泣いてた亜里沙ちゃんを狂った衝動で殺してその後雪穂ちゃんとタイマンをして勝った」
穂乃果「狂ってたって何?」
曜「それは同じ事思ったかな」
ルビィ「…絵里さんが死んだショックみたいなものだよ、自然と笑いが出てきて目の前にいる生き物を殺したくなっちゃって……」
絵里「……ダイヤもそうだったわ、ダイヤという名前に恥じない壊れない精神を持っていたものけど、ルビィの件で一度壊れてしまうと心の修復が利かなくなって性格がどんどん曲がっていった」
絵里「…私はそこまでダイヤとは関わりがなかったけど、ルビィが目覚めなくなってからのダイヤは一目見て変わってしまったというのが分かった」
絵里「だから遺伝…なんだと思うの」
穂乃果「……そっか」
曜「そうなんだ……」
795 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:28:29.44 ID:hEQnKdja0
絵里「……ええ」
絵里(…まぁ覚悟はしてたけどやはりきついものがあった)
絵里(あんな純粋無垢な妹の死に様を見なくて済んだのが不幸中の幸いと言っておきましょう、戦闘型アンドロイドなのに一度も戦闘をしたことがないというのは嘘偽りもなく、それ故に亜里沙は戦いのリスクをもろに受けて死んだ)
絵里(…もし、次の亜里沙が私の元へつくとしたら今度はどんな亜里沙なのかしら)
絵里(そしてそれを愛せるのか————今の私には新しい亜里沙を愛することが出来る自信がない)
絵里(……やっぱり、東京は道徳が廃れた場所だ)
絵里(東京のせいにはしたくないけど、東京じゃなかったらきっとこうじゃなかったのよ)
796 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:29:41.19 ID:hEQnKdja0
ことり「……とにかく準備しようよ、今こんな話してても誰も得しないよ?」
絵里「…その通りね、準備しましょう?またあの時みたいに楽しく生きていかなきゃ!」
曜「うんっ!よしっ!準備しよう!もう出し惜しみは無しだよ!使える物は全部使っていこう!」
穂乃果「…分かったよ、やるよ!勝利を取るよ!」
ルビィ「…うんっ!」
絵里(あぁ良かった、自分が使う武器を整え始めるみんなを見て私は強く思った)
絵里(————この五人で戦っていく)
絵里(…いや、正確には六人よね。真姫も入れなきゃいけないもの)
絵里(最後の戦いで歴史を変える人物として選ばれた私たちはどこまで往けるのかしら)
797 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:31:06.94 ID:hEQnKdja0
ガチャッ
絵里「!」
真姫「…!絵里…!?」
絵里「真姫!」
真姫「し、死んだって聞いてたのにどうして…?」
絵里「まだ死んでなかったの!だから…今日——今日の夜に決めにいくわ」
絵里(準備が始まると同時に、選ばれし人物の六人目がやってきた)
真姫「…よかった、私絵里が死んだ時私も死のうって思った、私も絵里の仲間として生きていくと決めた以上、絵里が死んでもうやれることはなかったから」
真姫「……でも死ねなかった、怖くて、怖くて…」
真姫「…絵里、あなたが生きているのなら私もまだ生きれるわ」
真姫「…本当に良かった」ギューッ
絵里「……私も真姫に会えてよかったわ」ギュッ
絵里(私と真姫はお互い強く抱き合って、気が済むまで相手の温もりを感じたところでようやくツッコミが入った)
ことり「…重くない?真姫ちゃんの愛」
穂乃果「私も同じ事思った」
798 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:32:31.54 ID:hEQnKdja0
曜「うーんアリだと思うけどなー真姫ちゃんは絵里さんに尽くしてるし」
ルビィ「うんうん、ルビィも良いと思う」
真姫「ちょっ…尽くしてるってなによ!」
曜「違うの?」
真姫「ちが…うと思うわ」
ことり「そこ迷うんだ…」
絵里「…まぁいいわ、とにかく各自準備をしましょう、今回の戦いでは爆発物は最低限でいいわ、ホテルの最上階を目指すからグレネードは正直使えない、今回の作戦では屋内戦を強いるから動きやすい軽装でいいわ」
ことり「了解だよ」
絵里(ことりがお風呂へと向かうのを見てそれぞれ自分のやることをやり始めるのを見て私も動き出す、真姫も機材をたくさん持ってきたらしく最後の戦いではオペレーターになるらしい)
絵里(曜とルビィは銃器のチェックをし、穂乃果は目的地の情報を集めてた)
絵里(そんな私は夏真っ只中の夜に戦いをすれば汗はべとべと、だからそれを洗い流す為にことりと一緒でお風呂に入ったのだけど、そんな時思った)
絵里「……本当に穴が空いてる」
絵里(9mmの弾が私の頭を突き抜けたことによって空いた穴が気になった、この様子じゃ記憶保存領域が壊れてるっていうのもウソではなさそうだしますます私の存在が意味不明になってくる)
絵里(あの新型アンドロイドも複数命があるとは言ってたけど、じゃあその複数の命はどのような意味があって複数の命とされてるのかしら…)
絵里(…頭と胸を撃っても死なないとなると、後はお腹と足と肩を撃てば死ぬのかしら?いや、そんな単純じゃないのかしら…?)
絵里(考えれば考えるほど深みにハマっていって謎が解けそうにないわね…)
799 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:34:28.51 ID:hEQnKdja0
絵里「…いや、分かるのよね」
絵里(そう、それが知りたきゃ鞠莉のいるホテルの最上階へ向かえばいいのよね)
絵里(そこに全ての真実が眠ってる、私はそれを知りたいからこの現実へ戻ってきた)
絵里「……待ってなさい、鞠莉」
絵里(これは私からあなたへの————宣戦布告よ)
ことり「……あのー」
絵里「ひゃああ!?!?」
ことり「いやなんで驚くの!?最初から私いたよ!?」
絵里「い、いや全然気付かなかったわ…」
ことり「えぇ…気配隠してたわけじゃないのに……」
絵里「ご、ごめんなさいね、ちょっと今日の夜のことで集中してて……」
800 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:35:41.27 ID:hEQnKdja0
ことり「……まさか絵里ちゃんとこんなことするなんて思いもしなかったよ」
絵里「私もよ、最初は敵だったのにね」
ことり「…今も分からないの?」
絵里「えっ?」
ことり「…私を助けた理由だよ、あの時絵里ちゃんは自分でも分からないって答えたじゃん」
ことり「私を助けても意味なんてなかったはずだよ、曜ちゃんや矢澤にこには見つかるし死ぬ危険性も充分にあった、それなのになんで?」
絵里「……私が助けるべきだと思ったから助けたのよ」
絵里「例え敵だろうと、目の前でことりが殺されそうになってたなら助けるべきだと私は思ったの」
絵里「あそこで見殺しにしたら私は一生後悔する、必死に逃げることりの姿を見てられなくて、私が助けなくて誰がことりを助けるんだって自分を奮い立たせたの」
絵里「…今ならよく分かるの」
絵里「私、人が殺せないんだって」
ことり「………」
絵里「人が殺せないから、ことりを見殺しになんか出来ないの」
絵里「またことりが死にそうになった時はきっと…いや絶対に助けるわ」
801 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:36:20.70 ID:hEQnKdja0
ことり「…うぅ……!」ジワッ
絵里「えっちょっとことり!?」
ことり「うぅうううう…!ぅ絵里ちゃん優しすぎるよぉ…!」
絵里「そ、そうかしら……」
ことり「…よかった、私絵里ちゃんの背中を追いかけることが出来て」
ことり「苦しいことはたくさんあったけど、それと同じくらい嬉しいことや楽しいこともあった」
ことり「私、この戦いが成功に終わったら絵里ちゃんの学校に通ってみたい!」ニコッ
絵里「…!」
ことり「…なんて、無理かなぁ?」エヘヘ
絵里「…ううん、無理じゃないわ。あそこはアンドロイドを平たく見てくれる人がいっぱいいるからきっと楽しいわよ」
ことり「うんっ!」
絵里(…今、この上ないくらいに幸せを感じた)
絵里(…なんでかって?)
絵里(考えれば分かるでしょ?ことりが笑ったのよ?)
絵里(感情保管領域に欠如が見られることりが、笑ったのよ?)
802 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:37:11.64 ID:hEQnKdja0
ことり『感情の欠如だよ、果南って人に胸を撃たれて私の心から喜びという感情が消えた』
ことり『だから私は笑えない、怒るとか泣くとか悲しむとかは出来ても喜ぶことは出来ないの…』
絵里(…奇跡だ、奇跡としか言いようがないわよ)
絵里(ことりが喜びの感情を取り戻した、それが嬉しくて嬉しくて…嬉しすぎて何故か涙が出てきた)
絵里「うぅぅううことりぃ…!」ギューッ
ことり「わっちょ、ちょっとどうしたの絵里ちゃん!?」
絵里「死ぬんじゃないわよことりぃ…!」
絵里(困り顔して笑うことりを見ればたちまち心は大空へと舞い上がった、もうすぐゴールなんだから…私の目指したエンドロールならもうすぐなんだからここで後ろを向いてなんかいられない)
絵里「よしっ!じゃあ私準備してくるわね!」
ことり「え、えぇ!?お風呂は!?」
絵里「シャワーだけで充分よ!今の時点からスパートかけてやるんだからっ!」ダッ
ことり「えぇ…もっとゆっくりしてればいいのに…」
絵里(やる気に満ちた私は装備の支度をしにいった)
803 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:38:18.92 ID:hEQnKdja0
絵里「…あなたたちは相変わらずこだわりが強いのね……」
曜「ん?あ、絵里さんおかえり〜」
ルビィ「ルビィのスナイパーはこれしかないから!」エッヘン
絵里「あははは…」
絵里(リビングに戻れば武器の手入れをしてる二人がいて、アタッチメントや外見の汚れなど至らないところがないか入念に確認してて、曜に関しては終わったと思えば私や穂乃果の武器までチェックしてるからすごい情熱が伝わってきた)
曜「スコーピオンEVO…いつ見ても恐ろしい武器だなぁ」
絵里「…強いのは分かるんだけど、大して強みを発揮できてないような気がするのは私だけ?」
曜「そんなことないよ、絵里さんが強みを実感できないのはスコーピオンを相手にしたことがないからなんだよ、相手にするとその凄まじい発射レートに驚くことになると私は思う」
絵里「そういうものなの?」
曜「うん、そうだよ。ただ今回はホテル内とその周辺での戦闘を想定した際にはスコーピオンの弱みと強みがハッキリするよ」
804 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:40:16.47 ID:hEQnKdja0
絵里「どうして?」
曜「スコーピオンの強みは連射速度が速いから例えアンドロイドだろうとも避けるのが辛い手数の多さと一瞬で狙ったところに蜂の巣を作るその火力かな」
曜「逆にスコーピオンの弱みは手数に集中してる分一発が小さいから壁を貫通する威力が無くて、アンドロイド相手ならそこまで致命傷を与えられないこと、また反動が強すぎるから狙ったところにあまりいってくれないところも弱みかな」
曜「ホテル内はエントラスト以外ならとにかく角が多いと思う、その場合は近距離から中距離を想定した銃を持つべきだけどスコーピオンは中距離が対応出来ない銃だから数十メートル空いた距離を一直線で戦うとなるとスコーピオンはあまり機能しないものとなる」
曜「でもその逆は比類なき強さを発揮する、サブマシンガンという身軽さを重視したにも関わらず恐ろしい火力を持つスコーピオンは近距離でなら兵器と化すよ、あの路地裏以上に狭い道でスコーピオンなんて対になった状態じゃ避けれるはずがないからね」
曜「だからもし絵里さんがホテル内で戦ったならなるべく近づいて戦うようにしよう、それがベストな戦い方だよ」
絵里「…分かったわ、そこまで教えてくれてありがとね、曜」
曜「お安い御用であります!」ビシッ
805 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:41:07.78 ID:hEQnKdja0
ルビィ「…ルビィずっと思ってたんだけど、スナイパー主体のルビィに今回の作戦で輝ける場所あるのかなぁ…?」
絵里「………」
曜「…確かに」
曜「屋内でスナイパーは荒業すぎるし武器を変えるとかしないとルビィちゃんは戦えないかも…」
穂乃果「…いや、正直武器はそこまで関係無いと思う」
絵里「え?」
絵里(武器について三人悩んでいたらダイニングの方でパソコンとにらめっこする穂乃果が口を開けた)
穂乃果「鞠莉ちゃんのいるホテルには特にこれといった名高いアンドロイドや人間がいないんだよ、もちろん警備隊とかその辺はいるだろうけどそれより問題なのはセキュリティだよ」
曜「…確かに、鞠莉ちゃんのその技術は希ちゃんと花丸ちゃん、そして私を合わせた三人の力でさえ敵わなかった、その堅すぎるセキュリティをどう崩していくかも課題になってくると思う」
ルビィ「…でもルビィパソコンとか分からないよ…?」
絵里「…正直私もそこまで……」
806 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:41:42.39 ID:hEQnKdja0
曜「うーん…穂乃果ちゃんってどのくらい機械に詳しい?」
穂乃果「いや、私もあんまり詳しくはないよ。希ちゃんにパソコンの使い方を一通り教えてもらっただけだもん」
曜「そっか〜うーん厳しいね、こういう時希ちゃんとかがいてくれたらすっごく楽なんだけど…」
穂乃果「………」
絵里「…困ったわね」
真姫「…機械なら私に任せてくれない?」
ルビィ「!」
絵里「真姫…大丈夫なの?」
真姫「とーぜんよ、そりゃあ鞠莉って人に敵うかは分からないけど私、機械には相当な自信があるわ」
真姫「そうでなきゃ機材なんて持ってこないわよ」
絵里「そ、そうよね」
807 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:42:30.75 ID:hEQnKdja0
曜「…でも機械に強いのと機械に詳しいはまた別だよ、鞠莉ちゃんのホテルにあるパスワードやカードキー型の扉みたいなロックシステムをハッキング出来る?それが出来なきゃ意味がないよ」
真姫「舐めないで、何年絵里と一緒にやってきたと思ってるのよ?喧嘩っ早い絵里をアシストする為にずっと機械を触ってきたんだからハッキング程度なら余裕よ」フフンッ
穂乃果「…でもあんまり無理はしないほうがいいよ、鞠莉ちゃんのシステムだもん、希ちゃんが無理だったんだから出来なくても誰も責めないよ」
真姫「…分かってるわよ、でもやってみなきゃ分からないじゃない!」
穂乃果「…それはそうだね」
真姫「見てなさい!今にぎゃふんといわせてやるんだから!」ダッ
絵里「あ、真姫…」
ルビィ「行っちゃったね……」
絵里「あれは真姫本気ね…」
808 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:43:51.62 ID:hEQnKdja0
穂乃果「実際どうなの?真姫ちゃんって」
絵里「少なくとも昔馴染みであった私、千歌、善子、果南、ルビィ、真姫の中ならダントツで機械が強かったわ」
絵里「元々私や果南が誰かと喧嘩ばっかしてたのもあって、真姫自身自分が戦闘的に無力だって分かってたみたいだったから、そういう技術面で自分を伸ばしていったの」
絵里「…だから私は真姫を信じるわ、無理な時はまた新しい入り方や上り方を考えましょう」
曜「そうだね、できることをしてる真姫ちゃんは立派だよ、だから私たちもそれに応えよう?真姫ちゃんがハッキング出来ても私たちがちゃんとしなきゃ意味ないんだから」
穂乃果「うん、その通りだよ」
ルビィ「…じゃあルビィもう寝るね、来る時まで後は寝て備えるよ」
ルビィ「絵里さんの寝室借りるね、おやすみ」
絵里「え、ええ分かったわ、おやすみ」
穂乃果「おやすみルビィちゃん」
曜「おやすみ!」
絵里(ルビィはもうほとんどの準備が終わったらしく、最後の準備である睡眠をしに寝室へ行ってしまった)
絵里(ルビィにおやすみの挨拶をして見送った後ルビィがいたところを見れば、いつも持ってる赤色のスナイパーと赤色のハンドガンがあり、私がそれを瞳に映すと不意に部屋の明かりに反射してルビィの武器が煌きだした)
809 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:44:35.13 ID:hEQnKdja0
曜「…なんというか歳と見た目に似合わぬ強さだよね、ルビィちゃんって」
絵里「それがルビィの武器だからね」
絵里「姉であるダイヤにも弱いという自分だけを見せて生活してきたし、強者の所以ってきっと自分を弱者にみせるところから始まると思うの」
絵里「小さい体で大きな敵の喉を喰いちぎるようなその姿がルビィには合いすぎてる」
穂乃果「…確かにね」
穂乃果「……希ちゃんが生きてればきっと喜んだんだろうね、ずっと探してた殺し屋と会えてあの時の
強さを今でも維持してるんだもん」
絵里「そうね…でもきっと無理だったわ、ルビィは最近まで眠っていたもの、死ぬ運命にあったなら会えるはずもないわ」
穂乃果「…その通りだよ」
810 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:45:59.74 ID:hEQnKdja0
曜「……穂乃果ちゃんの探してる人は見つかった?」
穂乃果「…ううん、見つかってない」
曜「心当たりはないの?」
穂乃果「………無いと思う」
絵里「どんな人を探してるの?」
穂乃果「…それが私もよく分からないんだ」
絵里「分からない?どういうこと?」
穂乃果「……私が知ってるのはその探してる人が私にとってとても大切な人だっていうことだけ、後は全部曖昧なんだ」
穂乃果「私は一回死んで記憶保存領域のリセットがかかった、だけどそれでも私は感じてるの」
穂乃果「この胸に宿る輝き……その正体を知りたいの」
絵里「輝き……」
811 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:46:52.37 ID:hEQnKdja0
曜「…絵里さん、穂乃果ちゃんが探してる人はね、穂乃果ちゃんが死ぬ前の親友とか家族なんじゃないかって希ちゃんが言ってた。でもその人は一向に現れないんだよ」
絵里「そ、そうなの……」
穂乃果「でもいいんだ、これを悲観する気は全く無いし」
絵里「どうして?」
穂乃果「この戦いに勝ったら、私は私の探してる人を探すよ」
穂乃果「もちろん、絵里ちゃんの背中を追いながらね」
穂乃果「だからこの戦いは絶対に生きて勝つよ、誰も死なずにね」
絵里「…そうね、全力を尽くしましょう」
絵里(穂乃果もことりと同じでやることを見つけたようだった、だから尚更負けられない)
穂乃果「私も寝るよ、正直今日はもう疲れたよ…作戦実行までの時間で気が済むまで寝てるよ」ガタッ
スタスタスタ
穂乃果「…あ、絵里ちゃんの寝室で寝るね」
絵里「ええ、分かったわ」
穂乃果「おやすみっ!」
絵里「おやすみなさい」
曜「おやすみー!」
絵里(そうして穂乃果も眠りについてしまった、流石戦闘慣れしてる人はこの辺の準備は早く、ダイニングのテーブルには穂乃果の武器と投げ物と紫色のシュシュが一つ置かれていた)
812 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:47:51.34 ID:hEQnKdja0
曜「…やっぱり穂乃果ちゃんは真面目だなぁ」
絵里「どうしたのよ急に」
曜「あのシュシュは希ちゃんのだよ、せつ菜ちゃんも穂乃果ちゃんも髪を片方だけ結ぶサイドテールみたいな髪型をしてるから二つあるシュシュを一つずつ使って希ちゃんの形見を離さないつもりでいるんだよ」
絵里「へえ…」
曜「…きっと絵里さんも後少ししたら希ちゃんと同じくらい慕ってくれると思うよ」
絵里「そうなの?あまり自信はないのだけれど…」
曜「大丈夫、絵里さんはもう充分に主としての役目をこなしてる」
絵里「…そう、曜にそう言ってもらえるならよかったわ」
曜「えへへっ」
絵里(曜のとびっきりの笑顔も何故か今は哀愁漂う笑顔に変わっていて、一度舞い上がった心もそろそろ今目の前にある恐怖に目を向け始めてるのかもしれない)
絵里「…曜はこの戦いに勝ったら、何をするの?」
曜「そうだなーうーん…分からないな…」
絵里「えー…何よそれ」
曜「だって私お金が欲しくて対アンドロイド特殊部隊に入ってたけど、お金はもういらなくなったし、なんか作るって言っても今は作るモノないしなー」
813 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:48:55.85 ID:hEQnKdja0
曜「んー……あ、そうだ!」
絵里「ん?」
曜「私はこの戦いに勝ったら」
曜「私がやることを探しにいこうかな!」
絵里「…ふふふっ曜らしいわね」
曜「曜らしいって何さー!」
絵里「んふふふふっなんでもないわ」
曜「もー何さー……」
絵里(曜ってこういう人よね、強いんだけどまずその前に曜は面白くて元気な人だ)
絵里(戦いの後もこういうやりとりができるように努めないといけないわね、メーターを振り切ったやる気は更に限界を超えていた)
814 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:49:50.65 ID:hEQnKdja0
曜「じゃあ私も寝るよ、絵里さんの部屋でね」
絵里「あはは…私ではないんだけどね…」
曜「絵里さんの寝室であることは間違ってないからね、じゃあおやすみ!」
絵里「ええ、おやすみ」
絵里(姿が見えなくなる最後の最後まで曜は笑顔で寝室へ向かっていった)
絵里「……最後か」
絵里(これでリビング・ダイニングにいるのは私一人だけ、ことりは未だにお風呂だし真姫は現在進行形で機械と戦ってるしそれ以外はみんな寝た)
絵里「……終わりなのね」
絵里(ラストバトルの前夜は、今まで以上に感慨深いモノになっていた。何度も言うけど、もうすぐ終わりなのよ。ゴールなのよ。答えの在り処なのよ)
絵里(願わくばその終わりが良い意味であることを私は願うだけ)
815 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:51:13.47 ID:hEQnKdja0
絵里「……よしっ」
絵里(その場に立って通常より弾薬が多く入った拡張マガジンのついたスコーピオンを片手に下げ、目を瞑り戦いの意識を研ぎ澄ました。覚悟が決まれば目を見開き銃にセーフティーがかかっているかを確認して私も寝室へと向かった)
絵里「……ふふふっ可愛い寝顔ね」
絵里(そうして静かに寝室の扉を開ければ可愛い寝顔をした三人が私をお出迎えしてくれてた)
絵里(相変わらず曜は面積を取ってるしルビィはダンゴ虫のように丸く縮こまってるし、穂乃果は予想以上に寝相が悪い)
絵里(そんな中でわざとらしく空いているベッドの中央で横になった、目覚めた時が決戦の時間。だけどそれまではこの幸せな気持ちをみんなと共有していたい)
絵里「…おやすみなさい、みんな」
絵里(ある意味でこの寝室で起こる“最後の眠り”はどこまでも心地の良い今までに感じたことのない幸せの香りがした)
816 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/10/07(月) 21:05:30.01 ID:hEQnKdja0
今日はここで中断。
再開は明日か明後日にします
817 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/10/07(月) 21:13:27.08 ID:N9GeQvif0
亜里沙に関してはもっとショック受けると思ってた・・・
いよいよ最終決戦って感じ出てるなあ
818 :
◆iEoVz.17Z2
[sage]:2019/10/09(水) 19:25:09.26 ID:0ZphuHNv0
ちょっと緊急事態なので報告させてください。
自分はいつもPCの方からこちらへ書き込みを行っていますが、現在何故かPCから書き込みが出来なくて、スマホならどうだと思いこれを書き込んでいます。
とはいえ、正直言えばスマホで書き込みが出来たところで解決になるわけでもなく、自分の持つ携帯の機種が古いのか、ただ単にここが重いのかは分かりませんが、このサイトを開くのにえらい時間がかかるので正直スマホで投下はあまり良くないなと思っています。
して、解決法としましてはこのまま8時まで待ってみてそれでも(PCの方で)書き込みが出来ないようだったら、ここまで見てくれた方には大変申し訳ないのですが、他の板で最初から書かせていただこうかなと思っております。
ホントのこといって、SS速報はあまり人がいないと思っていましたが、その中でもこんな長い作品にわざわざ応援を書き込んでくれる方、見てくれている方にイヤな思いをさせるのはこちらとしてもいいモノではありませんが、だからといって完結させずに終わらせるのはもっとイヤなのでそこはご了承願えたらなと思います。本当にすいません。
819 :
◆iEoVz.17Z2
[sage]:2019/10/09(水) 19:30:24.55 ID:0ZphuHNv0
スマホからは書き込み出来るんですね…。
結論の方は追って報告します。
820 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/10/09(水) 22:11:43.36 ID:fisWr3pto
いずれにせよ最後まで読みたいから待ってます
解決策が見つかるといいね
821 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/10/09(水) 22:51:59.14 ID:WSmBm0020
容量不足とかでは?
part2立ててみたらいいかも
822 :
◆iEoVz.17Z2
[sage]:2019/10/10(木) 18:41:47.84 ID:wesiesbo0
テスト
823 :
◆iEoVz.17Z2
[sage]:2019/10/10(木) 18:53:20.93 ID:wesiesbo0
昨日の八時にまで書き込みできなかったら他の板で立てるとはいいましたが、昨日だけで判断するには不十分だと思い一日待ってみましたがなんか今日はPCの方からでも書き込めました。
昨日書き込めなくなった、今日書き込めるようになった原因は不明ですが、昨日の寝る時にPCの更新をしたので、それが解決の要因になったのかな、と現時点では考えています。
そして、現在こうしてPCの方から書き込みが行えてる以上、別の板で立てる必要性はもう無くなったのでこのままここでえりちの物語を書こうかと思います。お騒がせしてすいませんでした。
824 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 18:58:27.46 ID:wesiesbo0
〜数時間後
絵里「………」
ルビィ「あれが……」
曜「オハラホテル…だね」
ことり「たかーい……」
穂乃果「あのホテルの最上階に……」
絵里「…待ってるのよ、鞠莉が」
絵里(夜景という名の人口宇宙の中で聳え立つホテルをビルの上から見つめる私たち)
絵里(あのホテルが瞳に映るだけで緊張が段々と漂い始めた)
825 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 19:00:37.17 ID:wesiesbo0
曜「…風が強いね」
穂乃果「でも雨が降る様子はないよ」
絵里(その風は歓迎であったのかしら、警告であったのかしら。そしてその風は追い風だったのかしら、それとも向かい風だったのかしら)
絵里(どちらにせよ、髪を常に靡かせる強い風は緊迫感を煽り黄昏を作りだした)
真姫『こちら真姫、こっちはいつでもおっけーよ』
絵里「ええ、了解」
曜「いよいよだね…」
ルビィ「緊張してきた…」
ことり「私も……」
絵里「…私も超緊張してるけどとりあえず作戦のおさらいをするわよ」
穂乃果「うん、了解だよ」
絵里(これがラストバトル)
絵里(強風に煽られれば煽られるほどそういう意識が出てくる。今私が背にしてるあの建物で終止符が打たれるのよね)
絵里「すう…はぁ……」
絵里(緊張を抑えるために一度大きく深呼吸をした。覚悟を決めてゆっくり目を見開けば自然と戦いの意識は研ぎ澄まされ、みんなの顔も引き締まったものになってた)
826 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 19:02:30.98 ID:wesiesbo0
絵里「まず前提条件として、無駄な殺傷は避けること」
絵里「鞠莉がいるここで事を大きくしてしまっては元も子もないわ、Y.O.L.Oは跡形なく消し飛ばしたから私たちの痕跡も消えてるけどここでは絶対に痕跡が残る。だから戦闘をしても殺すのは少し考えて」
曜「前から聞いてたけどすごいハードなミッションだよねー今回」
穂乃果「そうだねー」
絵里「ええ、それで今回は2と3の動きでいくわ、先行する二人と後衛、或いは追手の殲滅をする三人よ」
絵里「ルビィと私は2、それ以外が3ね。私たちは突貫するから3は注意を引いたりして」
曜「了解でありますっ!」
絵里「侵入に関しては真姫が用意してくれたこのカードキーでなんとかして」
絵里「…真姫、ありがとう」
真姫『いいわよ別に』
絵里「真姫がハッキングして大体のシステムはこのカードキーを認証場所にかざすだけでいけるはず、もしいけないようだったら……壊して進みましょう」
ことり「そんなんで大丈夫かなぁ…」
827 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 19:05:06.44 ID:wesiesbo0
絵里「大丈夫よ、というかプラン通りに事が進むわけないんだからそこは臨機応変に、そして柔軟に対応していきましょう」
穂乃果「そうだね、もう何やったってもいいんだから出来ることに全力を尽くそう」
絵里「…よしっじゃあ行きましょう」
「うんっ!」
絵里(もう後戻りはできない)
絵里(待つのは死か————それとも生か)
絵里(…それを決めるのは誰でもない私で、その未来を照らすのは他でもない私の銃)
絵里(————それじゃあ、銃弾で物語を語りましょうか?)
828 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 19:06:21.15 ID:wesiesbo0
〜
曜「うわー…分かってたけど人いっぱいだなぁ……」
穂乃果「…殺傷は極力避ける、か」
ことり「難しいね……」
ことり「私たちは揺動でしょ?どうすればいいのかなぁ?」
曜「簡単だよ、殺さずに揺動なんて“これ”を使えばいいんだよ」
穂乃果「これ?」
曜「スタンとスモークグレネード、これだけで視界と聴覚の情報が消える。後は様子見すればいいよ」
曜「せーのっと!!」ポイッ
829 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 19:07:57.01 ID:wesiesbo0
ピカーン!
曜「よしっ大成功、ちょっと様子見する位置を変えよう。ここにいたらさっきのグレネードの飛んでくる方角を見てばれると思うから」ダッ
穂乃果「了解」
ピッ
曜「こちら曜、とりあえず下はてんてこ舞いって感じだよ、そっちはどう?」
〜
絵里「絵里よ、曜の見立て通り二階に窓が空いてる部屋を発見したからそこから侵入したわ」
ルビィ「怖かった……」
絵里「…このラペリングってやつは意外にもスリリングね……ルビィは恐怖のあまり顔面蒼白よ」
830 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 19:09:36.36 ID:wesiesbo0
曜『あはは………とりあえず侵入出来たなら何よりだよ。こっちはこっちでやってるからそっちも頑張ってね』
絵里「ええ、もちろんよ」
絵里「それじゃあね」
曜『うん!それじゃあ』
ピッ
絵里「…よしっじゃあ行きましょうか」
ルビィ「うん、分かった」
絵里(侵入した部屋から出て周りを確認する、ここから先は見つかってはいけない、隠密行動を心掛けて用心深く歩みを進めていく)
絵里(…のだけど、下で陽動を行ってくれたおかげで上は筒抜け状態。流石一流ホテルの警備は報告が早いけど、早いせいで警備隊や宿泊客の移動も早くて私たちも早く行動できた)
831 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 19:11:16.36 ID:wesiesbo0
スタスタスタ
絵里「……待って」
ルビィ「!」ピタッ
絵里「………この角の先に足音がする」
絵里「人数は……おそらく一人ね、こっちへ来るわ」
絵里「…待ち伏せして気絶させましょう、この先に階段があるから迂回もできないわ」
ルビィ「………」コクコク
絵里(万が一のことを考えてゆっくり進む中で段々と聞こえるこの静寂をかき消し残響を伝わせる足音に私たちは一度足を止めた)
絵里(あくまで私たちは隠密行動をしてる、だからルビィも言葉を使わずに身振りや手振りで返事をしてて私もかなり声を抑えて喋ってたけど、足音が近づけば近づくほど緊張感が加速してたちまち口は開かずの扉になってしまった)
832 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 19:13:32.13 ID:wesiesbo0
スタスタスタ
絵里「………」
ルビィ「………」
スタスタスタ
絵里「…今!」ダッ
ルビィ「うん!」ダッ
「!」
絵里(足音の人物が角を挟んですぐそこまで来ただろうという時ルビィと一緒に飛び出した。まず私が相手のお腹に向けて肘打ちをし、そしてそれを食らい怯んだ相手の頭にルビィが跳び蹴りをかました)
絵里(————はずだった)
833 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 19:18:56.83 ID:wesiesbo0
「はっ!」
絵里「何っ…!?」
絵里(私の右肘で出した肘打ちを左回りに体を捻ることで攻撃を躱し、次に来るルビィの蹴りはしゃがんでよけた。そして更には蹴りの後隙で無防備なルビィの背中に入る肘打ち、続けざまに私の頭に飛んでくる回し蹴りと相手は回避からすぐさま攻撃に転じ私たちの進行は突然止まった)
ルビィ「ぐぇっ!?」
絵里「くっ…」
絵里(ルビィは背中に強く肘を打たれたことで近くの壁に叩きつけられ、私は私の頭に歯向かう蹴りを右上腕を使いヒット直前で受け止めた)
834 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 19:19:28.34 ID:wesiesbo0
「私に近接で勝とうなんて片腹痛いですわ」
ルビィ「!!!」
絵里「あなたは……」
ルビィ「……お姉ちゃん」
絵里「ダイヤ……」
ダイヤ「ルビィ…病院で聞きましたがやはり生きていたのですね……」
ルビィ「………」
835 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 19:20:14.35 ID:wesiesbo0
ダイヤ「…しかしどうしてですか?この絵里という方の下でつく意味を考えなかったのですか?」
ルビィ「…それはどういうこと?」
ダイヤ「この方は言ってしまえば反社会的勢力なのですよ?自分らの目的のために破壊の限りを尽くして人々に迷惑をかけたのですよ?」
絵里「………」
絵里(確かにその通りかもしれない、現状アンドロイドでテロリズムを心に宿すのはマイノリティであり反旗を翻す為に銃を持って行動を起こすのは確かに常識的じゃないし過激だ)
絵里(…だから正直ダイヤには返す言葉がなかった)
ルビィ「お姉ちゃん、それは違うよ」
ダイヤ「!」
絵里「ルビィ……」
絵里(だけど、ルビィは考える素振りもなく即答だった)
836 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 19:21:35.47 ID:wesiesbo0
ルビィ「私は小さい頃から善子ちゃんや絵里さん、そして千歌さんや果南さんとかアンドロイドと一緒に大きくなってきたからアンドロイドの気持ちはよく分かる」
ルビィ「だけどお姉ちゃんはアンドロイドの生活を知らない、だから好き勝手言えるんだよ」
ルビィ「アンドロイドだからっていう理由だけでいじめをうけた」
ルビィ「……そんなのをルビィの眼で見てきたらアンドロイドが何か行動を起こしたくなるのも分かるよ、だって理不尽なんだもん、納得できないもん、意味分からないもん」
ルビィ「それを何も知らないお姉ちゃんの口からあーだこーだ言ったらアンドロイドの心には更に火はつくの分からない?」
ダイヤ「…!」
ルビィ「…お姉ちゃんは認めてくれなかったよね、ルビィがアンドロイドと関わるのを」
絵里「………」
ダイヤ「………」
ルビィ「お姉ちゃんみたいな人がいるからアンドロイド差別は収まらないんだよ」
837 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 19:22:28.08 ID:wesiesbo0
ルビィ「……でも、ルビィはお姉ちゃんのことが大好きだよ」
ルビィ「ただね」
ルビィ「アンドロイド差別をする人を好きになるなんて無理にも程があるよ」カチャッ
絵里「る、ルビィ……」
絵里(殺意と敵意丸出しでダイヤの顔に銃口を向けたルビィに思わず私は唾をのんだ)
ダイヤ「……ルビィ」
絵里(そして言うまでもなくそのルビィの言葉はダイヤにとって死刑宣告のようなものだった。何かを抑えるような力が拳に宿ると手がぷるぷると震え始めて不意に出たダイヤの“ルビィ”という呼び声は実に弱々しくてすぐに消えていった)
838 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 19:23:15.95 ID:wesiesbo0
ルビィ「絵里さん、お姉ちゃんはルビィに任せて先へ行って」
絵里「え、でも……」
ルビィ「いいの、黒澤家の問題は黒澤家の人だけで解決するよ」
ルビィ「…それに見て」
絵里「え?」
ルビィ「あそこ、監視カメラがあるのに誰一人ここへ来ない」
ルビィ「ルビィたちは今見られてるのに誰もこないんだから、きっと鞠莉さんは来るのを待ってるんだと思うよ」
ルビィ「だから絵里さんは往って、ルビィが思うに今最上階に上る資格があるのは絵里さんだけだと思うから」
絵里「……分かったわ、でも無理はしないようにね」
ルビィ「…うんっ!」ニコッ
絵里「…それじゃあね」ダッ
839 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 19:25:02.32 ID:wesiesbo0
タッタッタッタッ
絵里「………」
絵里(本当にこれでよかったのかしら、エレベーターに乗り、ドアが閉まってから思う)
絵里(…私がダイヤとルビィの話にどうこう言える話じゃないけど、もっと穏便に済ませられたんじゃないかって……)
絵里「……いや、無理ね」
絵里(…そう思ったけど無理そうね、私がダイヤの妹でルビィが善子のようにいじめられてるのを見たらルビィと同じ事をするでしょう)
絵里(アンドロイドを大切にしたい自分の一番近くにいるのがアンドロイドに差別意識を持ってる姉だなんて言ったらイヤになるし、嫌いになる)
絵里(それなのに好意で向こうからずりずり寄ってきてきちゃあルビィも銃口を向けたくなるわよ)
絵里(ダイヤに悪気がないのは分かってる、だけどルビィの意志とは対極の位置にあるダイヤの意志は残念だけど平行線で双方が永遠に理解出来ない交感になるでしょう)
絵里(…だからきっとここでも始まるんでしょうね、一方的な正義と一方的な正義の戦いが)
絵里(……いや、もし私の考えが外れていたならきっとルビィも違う行動を起こすのでしょうけど)
絵里(もし、ルビィと私の考えが同じだったらルビィは————)
840 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 19:27:25.66 ID:wesiesbo0
〜
ダイヤ「……さっきの跳び蹴り、驚きましたわ」
ダイヤ「鞠莉さんや果林さんなどから聞きました、ルビィは戦える子だというのを」
ダイヤ「…しかしですね、正直言うとルビィが力を隠しているのは知っていましたわ」
ルビィ「…!?」
ダイヤ「理由の方はお答えできませんが、やはりルビィの力は私の考えをいつも超越してくる」
ダイヤ「その力が……羨ましくて……憎いですわ」
ルビィ「………」
ダイヤ「…アンドロイドの件については謝罪しますわ、ごめんなさい」
ダイヤ「……しかし」
ダイヤ「今更考えを曲げたところでもう遅いでしょう?ルビィ、あなたから向けられたその銃口と殺意——それは殺し合いをお望みですか?」
ルビィ「…そうだよ、ルビィが絵里さんの下で就く以上、ルビィが善子ちゃんを忘れない以上、ルビィがアンドロイドの事を好きでいる以上はお姉ちゃんとは敵同士、ルビィだって今更お姉ちゃんに考えを改めてほしいなんて思ってないよ」
ダイヤ「…そうですか」
841 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 19:29:23.18 ID:wesiesbo0
ダイヤ「……私はルビィの事が大好きです、今も昔もずっと…」
ダイヤ「ルビィが長い眠りについた時に私は強くなろうと決心したのです、いつまでも刀に囚われてないで、現代を生き抜く為に銃を学ばないとと思い必死に勉強をして今では対アンドロイド特殊部隊という強さは指折りの人間しか入れないところに所属しました」
ダイヤ「…ですが、そうですよね。そういう問題じゃないではないのですよね」
ダイヤ「私が育むべきだったのは生き物を殺める為の物理的な強さではなくて、広い心を創る精神的な強さだったのですね…」
ルビィ「………」
ダイヤ「ただ、ここ数年で手にしたこの力が無駄だったとは思いません」
ダイヤ「……何故なら、今ここでルビィと対等に戦うことが出来るのですから」カチャッ
ルビィ「…!」
ダイヤ「侮るつもりはありませんわ」
ダイヤ「いくら大好きな妹だからとはいえそう易々と殺されるわけにはいきません、ここは東京————ルビィもここで育ったというのならその言葉の意味は当然分かるでしょう?」
ルビィ「……戦いで勝負をつける」
ダイヤ「その通り、だから容赦は致しませんわ」
ルビィ「…ルビィもだよ」
842 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 19:31:09.29 ID:wesiesbo0
ダイヤ「………ふぅ」
ルビィ「………」
ルビィ(お姉ちゃんの深い息を吐く姿はお姉ちゃんの近くにいた人なら誰だって知ってる、あれは武士としての精神統一みたいなものでもあって人を殺めることを全てに置いた証拠でもある)
ルビィ「……っ」
ルビィ(深い息を吐いたと同時に飛んでくる鋭い眼差しに思わず後ずさりした。長いこと眠ってたしお姉ちゃんのことはよく知らないけど、対アンドロイド特殊部隊に入れるのならきっと相当強く、それ以前に黒澤家として、武術を学んだ身としてその一つのハンドガンを両手で下げた時のスレンダーな姿はまるで刀を持っているかのような錯覚さえ感じてしまう)
ルビィ「……はぁ」
ルビィ(だけど、ルビィも黒澤家の人間だよ)
ルビィ(小さい頃からスナイパーを使っていたルビィの集中力を舐めないでほしい、ただ一点だけを————殺すことだけを考えて撃つまでの緊張感、ルビィはそれさえも振り払ってトリガーを引いてきた)
ルビィ(スナイパーで人を殺めるのに比べたらこの緊張だって可愛いものだよ、そう考えるルビィに宿るのは勝利への強い意志、この意志を持ってお姉ちゃんを————)
ルビィ(————殺すよ)
843 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 19:32:55.44 ID:wesiesbo0
ダッ
ルビィ「決めるっ!」バンッ!
ルビィ(狙いは心臓、頭という小さな的を狙おうとすると目線でばれる、ならそれよりお姉ちゃんと顔を合わせながら的が大きい胸を狙うのが得策。人間と人間の戦いはほぼ一瞬で決まる、アンドロイドなら話は違うけど、人間相手なら攻めたもん勝ち!)
ダイヤ「はっ!」シュッ
ルビィ(だけどそれを避けるお姉ちゃんにはもう驚かない、お姉ちゃんの靴にも曜さんの作ったアシストが施されてるんだよね、分かってるつもりだよ)
ルビィ(だから回避と同時に放たれたお姉ちゃんの銃弾の存在もなんとなく分かってた)
ルビィ「やあっ!」ズサー!
ルビィ(射線は見えてないけど銃口の向いてる位置が上向きだったのを確認してルビィはスライディングをして銃弾を避けた)
ダイヤ「お覚悟ですわ!」
ルビィ「望むところだよお姉ちゃん!」
ルビィ(お互いトリガーを一回引けば縮まるルビィとお姉ちゃんの物理的距離は近接戦闘の始まりの証。ここの戦いを制した人が勝ちだよ、だからこの一瞬の戦いにルビィの全てを注ぐ)
844 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 19:34:07.49 ID:wesiesbo0
ルビィ「せいのッ!」
ルビィ(近づいたのはルビィ、だから攻撃を仕掛けるのはルビィからで、そんなルビィの一発目は絵里さんもよく使ってる後ろ回し蹴り)
ダイヤ「くっ…」
ルビィ(苦しそうな顔はするけど普通に片腕で受け止めてくる様子を見るにやっぱり生半可な技じゃ攻撃は通らないし倒せないなと思う)
ルビィ「もう一回!」
ルビィ(だからこそルビィは用意してたよ、次の一手をね)
ルビィ(後ろ回し蹴りをガードされた後は逆さ回りでもう一回後ろ回し蹴り、そしてその後がガードされてようがされなかろうがそのまま回し蹴り、と反撃の隙も与えない連続攻撃をお姉ちゃんにお見舞いした)
ルビィ『お姉ちゃんに比べたらっ!』
ルビィ(ことりさんと戦った時にも似たようなことをした。後ろ回し蹴りからの後ろ回し蹴り————それは常識では考えられない動きだ)
ルビィ(それ相応の運動神経が必要で、その動きを完璧にこなすための勇気と瞬発力がいる。後バランス感覚とか色々)
ルビィ(でもそれ以前にルビィはそれを可能にするポテンシャルがあった)
845 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 19:35:26.12 ID:wesiesbo0
ダイヤ「ッ…!!」
ルビィ(体が小さいこと)
ルビィ(ルビィはお姉ちゃんのようにスレンダーな体には育たなくて、だからルビィに刀は似合わなかった。体が小さいと走る時もお姉ちゃんより大股にしないと追いつけないし、精神的に強気に生きていけない————つまりそれはマイナスだらけの体だった)
ルビィ(……だけど少なくともルビィのこの小さな体がプラスに働くこともあった。それが運動神経に関わることだったんだ)
ルビィ(ルビィは絵里さんやお姉ちゃん、ましてや穂乃果さんや曜さんと比べても手は小さいし足の長さが短い、だけどそれは蹴りや殴りを行う時の空気抵抗に関わってくる)
ルビィ(足が短ければ短いほど空気抵抗による重さのようなものを受けにくくなるし、例えそれがほんのごくわずかな差でもバカには出来ない。実際その影響でルビィはこの動きが可能だし、ことりさんはこの動きに驚いてた)
ルビィ(だからことりさんほどの体格だとあの動きは難しいのだと思う…多分……)
ルビィ(…まぁね、この動きはとにかく常識外れな動きでお姉ちゃんも流石に予想出来ないからこれに対して対策が出来るはずもなく、ましてや初めて見る動きだというのに)
ルビィ(避けれるはずないよね)
846 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 19:36:16.02 ID:wesiesbo0
ルビィ「これで終わりッ!!」
ルビィ(これもあの時と同じ、二回目の後ろ回し蹴りが頭にヒットしてここからずっとルビィのターン)
ルビィ(今回は二つ目に続き三つ目の蹴りもおまけとして入ったから結果的に、お姉ちゃんは頭に強力な蹴りを受けてその直後にお腹に同じように強力な蹴りを押し込まれた。そうすればお姉ちゃんは仰向けに倒れてそこで戦いは実質終わりを迎えた)
バァン!
ルビィ(ルビィが二回目のトリガーを引いたのが最後、大きな銃声が鳴った直後にその世界から音が消えた)
ルビィ(倒れたお姉ちゃんは目を開けたまま動かない、立ってる私も目を開けたまま動かない)
847 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 19:38:32.94 ID:wesiesbo0
ルビィ「………」
ルビィ(ルビィはただお姉ちゃんから広がる赤を無感情で見つめてた)
ルビィ(結局ルビィがお姉ちゃんの気持ちを理解することはなかった。ルビィだって薄情じゃない、お姉ちゃんがルビィの為に強くなってくれたのはとても嬉しいし、こうして終わりを迎えてはお姉ちゃんは一生報われない存在だ)
ルビィ(だからそこに同情は出来るし、今となっては一緒に生きる道も存在してたのかもしれない)
ルビィ(でも、時間は巻き戻せない)
ルビィ「………」
スタスタスタ
ルビィ「……終わったんだね」
ルビィ(お姉ちゃんに近づいて脈を確認して放った言葉はすぐに消えた。止まった鼓動はいうまでもなく死の証拠、今も広がり続けるこの血だまりは終わりの証拠)
848 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 19:41:17.78 ID:wesiesbo0
ルビィ「…これでよかったのかな」
ルビィ(ふと呟いたその言葉。これでよかったっていったらウソになるけど、これが当然の結果といっても納得はできる)
ルビィ(……ただ、ルビィの足元を飲む血だまりに落ちる涙はどうにもこうにもルビィが後悔を感じてる証拠だった。昨日涙は枯れたはずだったのに、また無限に溢れ出るのはどうしてだろう)
ルビィ(あぁ…これなんだね…あの時の亜里沙ちゃんの気持ちって……)
ルビィ(殺すまでは出来るけど、殺した後がどうしようもないんだ。どちらかというとそれは“自分が殺されるから抵抗するしかない”というところから始まる殺意なわけで、決して相手を殺したくて殺したわけじゃない)
ルビィ(…ルビィ、この気持ちを抱いてる亜里沙ちゃんを殺したんだ)
ルビィ(……最低だなぁ)
ルビィ「……んん」
ルビィ(…でも、こんなとこで泣きじゃくってるだけの弱いルビィにはなりたくない。お姉ちゃんに勝った今、お姉ちゃんより強く生きていかないといけないのがルビィの務め)
ルビィ(絵里さんが死んだ時も残りのメンバーだけでなんとか頑張っていこうって決めて自分を強くもったんだ、だからルビィは涙を拭って手に持ってたハンドガンを強く握った)
849 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 19:43:34.09 ID:wesiesbo0
ルビィ「……あれ?」
ルビィ(ふとしてお姉ちゃんの死体を見つめると、お姉ちゃんの持ってるハンドガンに目がいった)
ルビィ「これ……?」
ルビィ(そのハンドガンは普通の人からすれば何もおかしくないただのハンドガン、だけどルビィから見ると何かがおかしい)
ルビィ「ぶろーにんぐはいぱわー…?」
ルビィ(お姉ちゃんの銃に刻まれたこのハンドガンの名前らしきもの。手にもってモデルを確認すれば更に疑問符は増えていった)
ルビィ「……こんなハンドガンあったっけ」
ルビィ(ルビィが持ってるのはブローニングというハンドガンで、このお姉ちゃんが持ってるのは次世代モデルにあたるのかな。でもこんなハンドガンあったっけ……銃にはすごく詳しいけど、こんなハンドガン知らなくてちょっと違和感を覚えた)
ルビィ「…あるよね」
ルビィ(それは今気にすることじゃない、そう判断したルビィはお姉ちゃんの形見としてこのブローニング・ハイパワーを持ってそこを後にした)
850 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 19:44:59.46 ID:wesiesbo0
ルビィ「……絵里さん」
ルビィ(流石高級ホテルといえるような近未来エレベーターの前につくと、現在エレベーターがある位置は最上階を示していた)
ルビィ(きっと絵里さんはもう鞠莉さんと会ってる、そこでは絵里さんは何を知るのだろう。予想も出来ないや)
ルビィ「……よしっ」
ルビィ(深呼吸をして、エレベーターを押した。けどエレベーターが動かなかった)
ルビィ(疑問に思いながら数回エレベーターで上がるためのボタンを押してるけど反応しない。だから気付いた)
ルビィ(上で何か起こってる、これは————罠だということに)
851 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 19:45:30.71 ID:wesiesbo0
ルビィ「ッ!!!」ダッ
ルビィ(そう思ったルビィはエレベーターのすぐ近くにあった階段へ突っ走った、短い脚じゃ階段も一つ飛ばしでしか登れないし絵里さんや曜さんと比べちゃそもそも速度が遅い)
ルビィ(だけど走らなきゃ。今本気で走らないでいつ本気で走るんだ、何十階とあるこの階段は本気で走らなきゃ間に合わない!)
ルビィ(そう自分自身の戒めや、昂る感情が奮いを立てて汗も一瞬で過ぎ去ってしまうほどルビィは焦ってた。足音の残響すら置いていかれて、時々つまずきそうになっても無理矢理足をねじって前へ進む)
ルビィ(待つのは生か死、それを確かめる為に今は真実への階段を上る)
ルビィ(そうしてルビィは————)
852 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 19:47:08.06 ID:wesiesbo0
〜
曜「穂乃果ちゃん後ろ!」
穂乃果「なっ…!」
ことり「せやぁっ!」ドカッ!
ことり(スタンとスモークを投げてから約二十五分後くらい経った今、下は大騒乱だった)
ことり(スタンとスモークは時間が経てば効果も薄くなるしそれは有限、だから私たちが見つかるのも時間の問題で見つかれば見つかったで今度は組手のようなものが始まった)
穂乃果「た、助かったよ」
ことり「いいよ、気にしないで」
ことり(十数人、それも全員拳銃を持ってる相手に近接だけでやり合うのは辛くて、いくら私たちが上手く立ち回れるからとはいえ数の暴力もあるし、武器の性能差を経験だけで埋めるのは無理に近かった)
853 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 19:49:11.71 ID:wesiesbo0
バンッ!
穂乃果「! はぁっ!」シュッ
ことり「ほっと!」シュッ
ことり(三人全員殴りと蹴りだけを駆使して相手に近づいて一人ずつ無力化していく、だけど伊達に最上級ホテルの警備をしてるだけあって統率はかなり取れてて全員が射撃に集中するのではなくてそれぞれ近接か射撃かの役目を持って行動してる)
ことり(そんな相手に三人だけで挑むのは正直荷が重い、戦いながら何度もそう感じた)
穂乃果「よい…しょっと!」ドカ!
ことり「後は任せて!」ダッ
タッタッタッタッ!
ことり「ふんっ!とりゃー!」ドカッ!
ことり(いつも穂乃果ちゃんは最前線にいる人で、どんな相手でも恐れずに立ち向かう勇敢な人だ)
ことり(だからこの戦いでもまず穂乃果ちゃんが先行する、だから私はその穂乃果ちゃんのカバーをする。穂乃果ちゃんが相手のお腹に肘打ちを入れた後は、私が大きな踏み込みと一緒に掌底をかまして相手を吹っ飛ばした)
854 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 19:50:41.17 ID:wesiesbo0
曜「スタン投げるよー!」
ことり「! うんっ!」
穂乃果「了解だよ!」
ことり(そうして後ろから飛んでくるスタングレネードはここ周辺全ての人間の視界を奪う。私と穂乃果ちゃんで殲滅を行って曜ちゃんは追撃がこないように辺りをかき乱す役目をやってもらってる)
タッタッタッタッ
穂乃果「悪いね!私たちも本気でやってるから!」
ことり「痛いと思うけどごめんねっ!」
曜「二人とも殺さないようにね…」
ことり(フラッシュに備えた特殊なゴーグルをつけてる私たちには曜ちゃんの投げたスタングレネードは効かない、だから相手の視界を奪ってる間に近づいて殴り、或いは蹴り飛ばす)
855 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 19:52:12.49 ID:wesiesbo0
ことり「よしっ」
穂乃果「ふう」
ことり(穂乃果ちゃんと連携して数人を殴って蹴って吹っ飛ばしたら、背中を寄せ合って周りを見渡した)
ことり「…囲まれたね」
穂乃果「どうしようか…」
曜「はいはーい!そんな時は渡辺曜にお任せ!」バンッ!
ことり(そういいながら曜ちゃんは天上に向かって銃を発砲、そうすると銃声に反応した数人が曜ちゃんの方を向いたので、私たちはその間を使って曜ちゃんの方向にいる警備員一人に、穂乃果ちゃんはスライディングで相手を宙に浮かせて私はその宙に浮いた相手に飛び膝蹴りをしてそこからどかした)
856 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 19:53:57.22 ID:wesiesbo0
曜「ぃよしっ!いいね二人とも!残りの人もだいぶ少なくなってきたよ!」
穂乃果「このくらい余裕だよ」
ことり「ねっ」
曜「よーし!後の人たちをちゃちゃっと片付け——————」
ドカーン!
ことり「……え?」穂乃果「え?」
ことり(一歩、二歩、三歩と進んだ曜ちゃんが眩い赤い爆発と共に突然消えた。もう少し近かったら肌が焼けていたかもしれないし、そうでなくても火傷をしてしまいそうな熱が私に伝わってきて、私と穂乃果ちゃんを吹き飛ばす爆風は困惑の声を出してからやってきた)
857 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 19:56:01.29 ID:wesiesbo0
ことり「ぐっ……」
穂乃果「急に何…!?」
ことり(後ろに数m吹き飛ばれたけど空中で体勢を立て直して着地は怪我無く出来た。だけどそのすぐに飛んでくるモノに私は顔を青くした)
ことり「ッ!?!!!?」
穂乃果「よう……っ!」
曜「……っぁ」
ことり(私たちの前まで飛んできて見せたその姿————頭から血を流して顔の一部が黒く変色してる。ころころと転がって仰向けの状態で止まると見える曜ちゃんのその顔はあまりにも絶望に満ちていて、口が空いたままであまりにも厭世的でトラウマになりそうだった)
曜「…あっ………」
ことり(倒れる曜ちゃんの場所からはじわりじわりと血が広がっていって、首の皮一枚繋がってる状態で生きてはいるみたいだけど、ほぼ死んでるようなものだった)
ことり「曜ちゃん!!!?」
ドカーン!
穂乃果「くっ……一度逃げよう!!」
ことり(曜ちゃんをおんぶした穂乃果ちゃんはそう言った。驚く暇も与えてくれない爆撃がことりたちを襲うもので事態は一気に形勢逆転を迎えた)
858 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 19:58:43.39 ID:wesiesbo0
タッタッタッタッ
ピッ
ことり「真姫ちゃん!」
真姫『こちら真姫、どうかした?』
ことり「曜ちゃんが死んじゃう!!!」
真姫『どういうこと?落ち着いて状況を説明して」
ことり「爆発を受けて曜ちゃんがっ!」
真姫『出血は?』
ことり「もう酷いよ…このままじゃ死んじゃう!というかなんで生きてるのかが分からないくらいだよ!」
真姫『ならいい?まず頭の出血を止めなさい、そうしてすぐにこの位置へ向かって』
ことり「…!ここは……」
ことり(フラッシュに備えたゴーグルに浮かび上がる電子地図に目を丸くした、どこだろうこれ……)
859 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 20:00:47.49 ID:wesiesbo0
真姫『私の今いる位置よ、黒い車の中にいるからすぐに来て』
ことり「ち、近くない?なんでこんなところに……」
真姫『私の提案よ、あの家からじゃ電波も届きにくいからね、それに私にだって出来ることはあるし』
真姫『そう、例えば治療とか』
ドカーン! ドカーン!
ことり「この爆撃は何!?」
穂乃果「グレネードランチャーだよ!多分後二発か三発は来るよ!」
ことり「そんなここはホテルの立地でしょ!?なんでそんな…!」
穂乃果「私たちが危険な存在として認識されたのかもね…」
860 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 20:03:22.81 ID:wesiesbo0
ことり「…矢澤にこでももっと考えて撃つと思うけどなぁ」
穂乃果「にこちゃんは堅実だもんね」
穂乃果「…それで真姫ちゃん、話は聞いてたけど今すぐ向かうのは無理だよ、追手が来るんだもん。このまま真姫ちゃんのところへいったら真姫ちゃんも一緒に巻き込まれちゃう」
真姫『それは……そうね』
穂乃果「仮に今から戦って20分で決着がついたとしたら曜ちゃんは助けられる?それとも死んじゃう?」
真姫『…それは曜を見てないから何とも言えないけど、曜がどれだけ耐えられるのかにもよるわ』
861 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 20:04:54.96 ID:wesiesbo0
穂乃果「…曜ちゃん」
曜「……ぁ」
穂乃果「20分耐えられる?」
曜「………」フルフル
ことり「…!」
ことり(ごくわずかだけど、死にかけの曜ちゃんは首を横に振った)
穂乃果「…じゃあ十分は?」
曜「………」フルフル
穂乃果「五分」
曜「………」フルフル
穂乃果「……三分」
曜「………」フルフル
862 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 20:06:14.23 ID:wesiesbo0
穂乃果「……二分、二分もつ?」
曜「………」コクコク
穂乃果「…そっか、なら制限時間は二分だよ」
真姫『…えっ二分…?』
ことり「……分かった」
穂乃果「二分後にそっちに行くね、真姫ちゃん」
真姫『えっちょっと待っ————』
プツンッ
863 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 20:08:04.88 ID:wesiesbo0
穂乃果「……ねえことりちゃん」
ことり「何?」
穂乃果「どうして制限時間は二分って私が言ったのに、驚かないの?」
穂乃果「普通そこは無理でしょって驚く場面じゃない?それなのにことりちゃんはあたかも当然のように受け入れてくれた」
ことり「………」
穂乃果「…ラブライブ」
ことり「…!!」
穂乃果「記憶を失っても、何故かこの言葉だけは覚えてた。この言葉だけは記憶を失う前の言葉だってことが分かった、そしてそれが忘れちゃいけない言葉だって強く自覚が持てた。その名の通り業務用アンドロイドである私が生きることを愛す、私が変化を望もうとした証拠なんだって思ってる、ラブライブっていうのは」
穂乃果「だからそれだけ記憶を失う前の私はその言葉に強い想いを抱いてるんだって思った、記憶を失っても失われない私に沁み付いた何かが私の心にはあったんだ」
864 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 20:09:33.96 ID:wesiesbo0
穂乃果「ことりちゃん、手を貸してよ」
ことり「えっ」
ギュッ
穂乃果「……ほら、やっぱりことりちゃんは私の知ってる温もりとそっくりなんだもん。機械的に判断して、純度100%の温もり」
ことり「………」
穂乃果「最初に会った時からおかしいって思ったんだ、私はことりちゃんの事知らないのにことりちゃんは何故か私の事をよく知ってた」
穂乃果「絵里ちゃんと話す時は鼓動のスピードが遅いのに、私と話した途端鼓動のスピードが加速する、なんで私と話すことに緊張してるんだろうって」
穂乃果「他にも色々あるよ、初めて会ってからあの家の図書室で話をした時、ことりちゃんは儚そうな淡い笑顔をしてた。それが儚いって分かったのは花丸ちゃんも同じ笑顔をよくしてたからね、そしてそれは間接的に過去に何かを抱えてる人なんだって私は確信したよ」
ことり「………それで?」
865 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 20:10:51.93 ID:wesiesbo0
穂乃果「あの時手を握った時には明らかな手応えがあった、ここまで私の探してる人の温もりと合致する人…いやもう本人なんじゃないかって思うほどの人は初めてだったよ」
穂乃果「希ちゃんの合致率は63パーセント、花丸ちゃんの合致率は41パーセント、せつ菜ちゃんの合致率は18パーセント、念のためと思って握ったにこちゃんに関しては3パーセントだったよ」
穂乃果「だけどことりちゃん自身が否定をするからきっと違うんだって思ってたよ」
穂乃果「…だけど、今確信したよ」
穂乃果「ことりちゃん、あなたは私が記憶を失う前にずっと一緒にいた人でしょ?」
ことり「……!」
穂乃果「私のペアでもないのにことりちゃんはせつ菜ちゃんと同じくらい…いやそれ以上に息のあった動きが出来てる、私の行動癖を知ってて、私がやるであろう行動をもう知ってての動きをしてる」
穂乃果「それはつまり私が記憶失うずっと前から戦線を共にしてきた人なんだよね?ことりちゃんは初期型、私も初期型、昔から一緒でも何もおかしな話じゃないんだよ」
866 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 20:12:09.41 ID:wesiesbo0
ドカーン!
ことり「……気付いちゃったんだね、穂乃果ちゃん」
ことり(爆発が近くで起きても動じない私たちがそこにはいた)
ことり(例え記憶を失っても、私の事をどこかで覚えていてくれるのは何とも穂乃果ちゃんらしかった)
ことり(別にばれたくないって思ってたわけじゃない、だけど秘密にしておいた方が悲しまずに済むと思ってずっと逃げてた。前の穂乃果ちゃんとは別人だって思ってても、ニッコリとした笑顔や最前線を突っ走るあの姿は何も変わらなくてもどうしても昔の穂乃果ちゃんと重なってしまう)
ことり(穂乃果ちゃんと喋ると緊張する、心があたふたする。昔の穂乃果ちゃんより真面目で笑顔の数も減った穂乃果ちゃんといると心が苦しくなる)
ことり(だけどやっぱり穂乃果ちゃんは穂乃果ちゃんのまま。記憶を失ってもどこか冷静だし戦う時に見せる背中はとても大きく感じる、笑ってなくてもなんだかんだ優しいし、軍神としての強さも失ってない)
ことり(だからそっと傍で穂乃果ちゃんを見てるのがことりにとって幸せだった。もう悲しくなりたくないから、もう何も起こってほしくないから私は進展よりも停滞を望んだんだ)
ことり(それなのに穂乃果ちゃんは私のことに気付いちゃったんだね……)
ことり(別にイヤなわけじゃないよ、でも…ことりの心が揺れだすのはもはや避けられないことだよ)
867 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 20:15:18.30 ID:wesiesbo0
ことり「…当たり前じゃん、穂乃果ちゃん動きを知ってるんだから連携が取れないわけないじゃん」
穂乃果「……やっぱり」
ことり「だって…ずっと昔からいた人のこと忘れられるわけないじゃん!どんなに辛い思い出抱えてたってことりにとっては大切な思い出なんだもん!」
穂乃果「…穂乃果だってそうだよ!今は記憶を失って何もわかんないけどことりちゃんの事大切にしてたっていうのは覚えてる!この体で感じてる!!」
穂乃果「穂乃果にとってことりちゃんは運命の人だったもん!!!」
ことり「!!」
穂乃果「……会いたかった」
ギューッ
ことり「………ことりもだよぉ!!」ポロポロ
ことり(穂乃果ちゃんに“運命の人”って呼んでもらえるだけでもうこの上ないくらいに幸せだった)
ことり(気付いたら笑えるようにもなってて、それもこれも全て絵里ちゃんのおかげだよ。幸せを運んでくれることりたちのリーダーに、穂乃果ちゃんの主に)
ことり(東京を変える人物として相応しい人だよ)
868 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 20:17:45.28 ID:wesiesbo0
穂乃果「…さて、ことりちゃん」
ことり「んん…」ゴシゴシ
ことり「何?」
穂乃果「真姫ちゃんから無線を切ってからもうすぐ一分半だけどどうする?」
ことり「……三十秒もあれば充分だよ」
ことり「倒す必要なんてないんだから」
穂乃果「うん!そうだね!」ダッ
ことり「行こう!」ダッ
ことり(そう言って穂乃果ちゃんは曜ちゃんを背負いながら走り出し、後に続くことりは残った全てのスモークとスタンを一定の間隔をあけて投げた)
ことり(するとどうだろう、後ろで大きな煙幕が上がった途端に飛んでくるグレネードランチャーの弾二発に対しては、私たちがほぼ同じタイミングで後ろを向きそれぞれ別々の弾を撃って空中爆破させた)
869 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 20:19:09.18 ID:wesiesbo0
穂乃果「えへへっやっぱり分かってるね」
ことり「元相棒だからね♪」
ことり(穂乃果ちゃんが右にいるにも関わらず撃ち落とすのは左のグレネード弾っていうのは知ってる、こういう局面に陥った時、穂乃果ちゃんは自分の方向とは逆の方を撃ち落としてクロスファイアを作りたがる、その方がかっこいいからって言ってたのを覚えてる)
ことり(そうして前を向いて走り出せばすぐに左へ大きく曲がって相手の視界から外れた。ここで左に行くのはずっと昔から困ったら左に行こうって根拠も無しに胸張って言ってたから)
ことり「はっ」ピョーン
穂乃果「ほっと!」ピョーン
ことり(横に橋があっても飛び越えられる川ならジャンプで飛び越えるのも知ってる、その方が風が当たって気持ちいいからって言ってるのも覚えてる)
タッタッタッタッ
ことり「真姫ちゃん!」
真姫「二人共!大丈夫?」
穂乃果「追手は撒いた、後は曜ちゃんをよろしくね」
真姫「ええ、任せない」
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