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絵里「例え偽物だとしても」
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870 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 20:20:51.04 ID:wesiesbo0
曜「……ぅ」
真姫「あなたたちは今からどうするの?」
穂乃果「絵里ちゃんがどうなってるか知ってる?」
真姫「絵里からはとうとう最上階に上るっていう連絡が最後、ルビィはそもそも連絡がないわ」
ことり「絵里ちゃん最上階に行ったんだ……」
真姫「……無事だといいわね」
穂乃果「………」
真姫「どうする?行くのもよし、ここに残るのもよしだと私は思うわよ」
ことり「……二人に応答を入れられない?」
真姫「………無理ね、電波の届かないところにいるみたいだわ」
ことり「うーん………」
871 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 20:22:36.65 ID:wesiesbo0
穂乃果「……待とう、絵里ちゃんが生きてるのを祈って私たちは待とう」
穂乃果「今ここで出てもまた見つかって辺りが騒然とするだけだよ、確かに私たちが最上階に行くことで変わることもあるだろうけどハイリスクすぎる、そしてそこにリターンがあるのかすら分からない。今鞠莉ちゃんと一対一の状態の絵里ちゃんを邪魔するわけにはいかない」
穂乃果「だからここは待とう」
ことり「……分かった」
真姫「…そうね、賢明な判断だと思うわ」
穂乃果「………」
ことり「………」
真姫「………」
「何もないといいけど……」
872 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 20:24:03.37 ID:wesiesbo0
〜
絵里「……うん、お願いね、うん、それじゃあ」
真姫『ええ、それじゃあね』
絵里「……はぁ」
絵里(もしかしたらこれが最後の応答になるかもしれない、そう感じながら真姫に最上階に行くと連絡をした)
絵里(果たして何が待ってるんだろう、考えたくないような気がして思考を停止させ興味のままで終わらせたけど、もうすぐしたらイヤでも見ることになる)
絵里「十二…十三…十四…」
絵里(現在の階を示す数字が増えるにつれ増していく緊張感)
絵里(これが最上階まで来たらとうとう私の目標地点にまで到達する)
873 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 20:25:24.37 ID:wesiesbo0
絵里「………三十」
絵里(長かった。このエレベーターに乗るのにどれだけ苦労したんだろう、様々な死線を超えて、たくさんの感情が巡って、絶望をイヤと味わって、自殺までした)
絵里(だけど、こうして私は真実を知る者としてこのエレベーターに乗っている)
絵里(————ここからが本番)
絵里(ゴールが終わりじゃない、ゴールに何があるかが重要だ)
874 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 20:27:21.27 ID:wesiesbo0
絵里「……四十六」
ピコンッ♪
絵里「………」
絵里(最上階である四十六階につくと鳴る軽快な効果音。しかし扉は開かない)
絵里「…ここに当てるのね」
絵里(エレベーターの階を入力するところの上に、カードを読み取るっぽい場所があった。だからここに真姫が用意してくれたカードをかざした)
『————コード613、機密ID認証をしました。ウイルス、スパイウェアの確認無し』
『ロックを解除、扉が開きます』
ウィーン
絵里「………」
絵里(セキュリティによる何重にもかけられたロックの解除が終わると、扉が開いた)
875 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/10(木) 20:31:22.86 ID:wesiesbo0
スタスタスタ
絵里「………」
絵里(その先はとても広く、奥は全面ガラス張りの社長室。床はロイヤリティ溢れる絨毯が敷かれていて、入って斜め左にあるテーブルには分厚い本の束がいくつもあって、右の壁には様々な資料が貼り付けられている)
絵里「……ようやくなのね」
絵里(私の目線の先にあるイスに座る誰か。私が声を発することで外を向いていたイスがゆっくりとこちらを向き始めた)
絵里(あぁ、ようやくなのね)
絵里(やっとこそで私は————)
876 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/10/10(木) 20:38:47.45 ID:wesiesbo0
今日はここで中断。
昨日は色々ありましたが今日はこうして何事もなく投下できていて安心しています。
再開は明日か明後日、おそらく次が最終回になります。
877 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/10/10(木) 20:45:51.89 ID:CGlVK3gD0
いよいよラストかー
あの子が序盤以来出てきてないのが気になるな・・・
878 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/10/11(金) 16:01:33.03 ID:HR93flPJ0
なんというかFPSの知識で書いてるんだなって感じ
879 :
◆iEoVz.17Z2
[sage]:2019/10/12(土) 21:42:52.71 ID:U3SzFWDY0
すいません、台風の影響もあってちょっと今日は投下厳しいので明日か明後日にやります。
880 :
◆iEoVz.17Z2
[sage]:2019/10/12(土) 21:43:27.21 ID:U3SzFWDY0
すいません、台風の影響もあってちょっと今日は投下厳しいので明日か明後日にやります。
881 :
◆iEoVz.17Z2
[sage]:2019/10/12(土) 21:44:23.95 ID:U3SzFWDY0
なんか連投しちゃいましたけど気にしないでください
882 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/10/13(日) 18:47:34.05 ID:u5IEOG0O0
名残惜しいけどもう終わっちゃうのか…
ことりが穂乃果に対してそっけないと感じてたけどこういう理由があったんだな。
883 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 19:50:32.02 ID:raJY7OxV0
鞠莉「…待っていたわ」
絵里「鞠莉……」
鞠莉「海未とにこに銃弾を放った時からあなたは絶対にここに来ると思ってた」
鞠莉「アンドロイドの生みの親にしてアンドロイドの差別を作り上げた私のところに来るのはもはや分かっていたこと」
絵里「………」
鞠莉「…でも、ここに来るまでのあなたは様々なDifficultyに遭遇してきた」
鞠莉「対アンドロイド特殊部隊との衝突、仲間の突然の裏切り、大切な仲間の死、自殺、愛すべき妹との殺し合い」
鞠莉「それを全て乗り越えてここまで来たのよ、まずは私からおめでとうを言いたいわ」
絵里「…ふざけないで、私の今までのしてきたことはおめでとうなんて綺麗な言葉で収められるものじゃないし収めていいものでもない」
絵里「そもそもなんで鞠莉が果南が裏切ったことや私が亜里沙と戦ったことを知ってるの?ましてや自殺まで知ってるのはおかしいんじゃない?」
884 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 19:53:09.04 ID:raJY7OxV0
鞠莉「私は常に私でありなさい」
絵里「……!」
鞠莉「聞き覚えない?」
えりち『私は常に私でありなさい』
絵里「まさかあなた…!!」
鞠莉「そうよ?」フフフッ
鞠莉「私がえりち、あなたの二代目になる予定だった記憶よ?」
絵里「…どういうことよ、あなたは死んで終わりの人間じゃない。仮にアンドロイドが機械的に記憶の移動が出来たとしてもあなたは機械仕掛けの記憶を有していないから記憶の移動が出来ないわ」
鞠莉「ええ、人間の脳を有してる私だけじゃ出来ない。けどそれを補助する機械を使えば記憶の移動も可能になるっていったら信じてくれるかしら?」
絵里「そんなこと出来るの…!?」
885 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 19:59:50.65 ID:raJY7OxV0
鞠莉「——ええ、私はそれをソウルボックスと名付けた。それは脳に存在する意識という概念の発生源を見つけた時に私は考えた」
鞠莉「テキストやワードにはコピー&ペーストなんて便利な機能があるじゃない、それと同じ原理よ、意識の源が分かったのならその意識の源をスキャニングして、解析する。そして解析して得たデータを元に、私の脳にあるニューロンをアンドロイドを作ったのと同じ方法で人工的に再現して、機械的に私の記憶をコピーした」
鞠莉「するとどうなる?機械化された私の記憶がそこには出来て、ソウルボックスを埋め込んだアンドロイドの機械化された記憶が私の今この胸に刻まれているソウルボックスへやってくる、それを他のアンドロイドと連携させれば私はそのアンドロイドを乗っ取ることが出来る。そうして私はもはや半永久的な不死身になったのよ」
絵里「そんな馬鹿げた話が————」
鞠莉「あるのよ」
絵里「!!」
鞠莉「これを使えばクローンだって作れる、もちろんそんなことはしないけどね」
鞠莉「元々アンドロイドは私が作ったのではなくて私と希で作ったのよ、その中で私たちは相手が特定の行動をすることでそれを読み取りこちらも特定の行動をする、という人間とロボットが差別化されるようなものにはしたくなかった」
鞠莉「希には強いこだわりがあった、まるで人間みたいなんじゃなくて、人間そのものとして機能させたいという強い思いがあった」
鞠莉「だから私たちはここのホテルのスタッフに脳のスキャンを協力してもらってをニューロンの可視化をして、意識の源を発見した。アンドロイドの脳は機械仕掛けよ、意識はあるけど記憶の保存は全て機械で行ってる。だから私たち人間の脳に存在する細胞や神経は別に要らなくて、記憶の移動に関しては記憶の機械化が出来た時点で十分に可能だった」
鞠莉「そうして長い年月を経てソウルボックスという機械があるのだけれど、実際の成功例をあなたはもう知っているでしょう?凛を殺したのは誰?」
絵里「……!!!」
886 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 20:01:56.38 ID:raJY7OxV0
鞠莉「そう、私よ?」
鞠莉「あなたの身体を借りて私があの戦場に立ったわ、あの時は死ぬかと思ったわ。だって目覚めたら背中にナイフが突き刺さってるんだもの」
絵里「な、なんで…凛は対アンドロイド特殊部隊でしょ?仲間じゃない……」
鞠莉「凛という人物とあなたという人物を天秤にかけた結果よ?私にとってあなたの方が重要だったの」
絵里「…それはどうして?」
鞠莉「————標準型アンドロイドX、聞いたことある?」
絵里「!!!」
鞠莉「その様子だと聞いたことあるのね、どこから漏れたかは知らないけどアンドロイドを作っていく中で私はとあるアンドロイドにそういう特殊な呼称をつけた」
鞠莉「標準型アンドロイドXという特別性を持たせるためにね」
887 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 20:04:54.34 ID:raJY7OxV0
鞠莉「第一に、それは人間でなきゃいけなかった」
鞠莉「目に見えて強い戦闘型でもなければ、目に見えて人間とはまた違う業務型でもない。人間に最も近い標準型でなきゃいけなかったの」
鞠莉「そして第二に、それは識別コードが私の誕生日でなきゃいけなかった」
絵里「!」
鞠莉「あなたの識別コードを今のうちに確認しておきなさい?」
鞠莉「第三に、それは私が死んだ時に自動で記憶が飛ぶ対象でなきゃいけなかった」
鞠莉「ソウルボックスは近年に開発された代物よ、そんなものを有象無象のアンドロイドが有してるわけもなく、標準型アンドロイドXという呼称をつけるにあたってはそのアンドロイドの胸にソウルボックスを埋め込んで、私が死んだ時自動で私の胸のソウルボックスに入っている私の記憶がその標準型アンドロイドXに転移するように作った」
絵里「……!」
鞠莉「最後第四に、それは私とそっくりなアンドロイドでなきゃいけなかった」
鞠莉「私の分身であるような、そしてそれが作られる頃には私がソウルボックスを利用してそちらの身体に移動しても違和感のないようなアンドロイドでなきゃいけなかった」
888 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 20:06:11.74 ID:raJY7OxV0
絵里「……それが私?」
鞠莉「そうよ、識別コードF-613、名前は絢瀬絵里、高校三年生」
絵里「………」
鞠莉「あ、そうそう、なんであなたに絵里って名前がついたか知ってる?」
絵里「…知らないわ」
鞠莉「あなたは私————私の分身、そしてもう一人の私。そういうコンセプトで作られたアンドロイドなのよ」
鞠莉「Electric Loot Identity」
鞠莉「その頭文字を取ってELI、そう…だからあなたは絵里なのよ」
絵里「…意味が分からないわ、その単語に込められてる意味がまるで分からないんだけど?」
889 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 20:08:53.15 ID:raJY7OxV0
鞠莉「さっき言ったわよね、あなたは私だと」
鞠莉「あなたの特徴は何?」
絵里「特徴…?」
絵里「………」
鞠莉「…そうね、あなたはちゃんと言われるまで自覚しない人だもの。私とそっくりだわ」
鞠莉「あなたは一度見た動きを即座にコピーする」
絵里「!」
鞠莉「……私がそうだったの」
鞠莉「テレビで見たプロレスの技や時代劇の剣捌き、サスペンスでやってた犯行の手口、実際に見たプロのタイピング、他にも色々見てきたわ」
鞠莉「そうしてく中で私は歳をとればとるほどやれることが多くなってることに気付いた、それも全てが職人レベルでね」
鞠莉「だから私は七年前というまだ中学生でもない時にアンドロイドの開発に成功した」
絵里「………」
890 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 20:10:18.75 ID:raJY7OxV0
鞠莉「私もね、希に言われるまでは気付かなかったわ。自分のこの才能に」
鞠莉「私はこの才能を誇りに思った、けどね、私のやってることがいくらすごくてもそれって率直に言ってしまえば」
鞠莉「他人の個性を盗んでるだけに過ぎないのよ」
絵里「…!!」
鞠莉「気付いた?Electric Loot Identity、それぞれを直訳して電子、盗む、独自性————その三つの単語のうち、後ろの二つから形成される人物が私なのよ」
鞠莉「この才能が人を傷つけるっていうのを知ったのは運動会の時、クラスで一番速い子のフォームを見て覚えてそれを真似て学年一位の座についた」
鞠莉「そのクラスで一番速い子、泣いてたわ。それはもう大泣き」
鞠莉「他にも中学の美術はプロのを見て先に覚えてたからダントツで上手かった、私が上手すぎたせいでクラスで絵がとっても好きだった子の熱意を殺してしまった、差を見せつけすぎて現実を直視させてしまった」
鞠莉「料理番組を意図せずとも数百と目にしてきたから私は料理がものすごく上手かった、調理実習は私の料理が上手く出来過ぎて逆に上手く出来なかった子がバカにされてた」
鞠莉「私のこの才能は色々な人を傷つけすぎた、だからこの才能はプラスではなくてマイナスのニュアンスとして扱われるべきだと思って私はElectric Loot IdentityのLの部分をLootにした」
鞠莉「…これで分かったでしょう?ELIという名前の意味が」
891 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 20:10:46.32 ID:raJY7OxV0
絵里「……ええ、よく分かったわ。この力はあまりにも人間離れしすぎてる、それは鞠莉と戦ってる時によく分かった」
鞠莉「…そうよ、この才能は恐ろしすぎるの」
鞠莉「希はこの才能を才能とは呼ばなかった、多分希の優しさかしら」
鞠莉「行動記憶体質って、希はそう言ってた」
絵里「行動記憶体質……」
鞠莉「そう、あなたもその体質なのよ」
892 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 20:11:48.12 ID:raJY7OxV0
絵里「……じゃあ私が頭を撃ち抜かれても生きてるのは何故?記憶保存領域が壊れてるはずでしょ?」
鞠莉「あなたの死は私の死と同義だからよ、事実あなたの命はもう消えた。だけど私の命が残ってる」
鞠莉「私の胸に埋め込まれたソウルボックスが私の心臓の鼓動を検知しなくなったら自動的に機能を停止してあなたも死ぬわ」
絵里「…じゃあ今の私はゾンビなの?」
鞠莉「いや死に至る痛みを感じたらあなたのシステムが自動でシャットダウンするから死ぬわよ、今は死を誤魔化してる状態にすぎないの」
絵里「……今ここで鞠莉を殺せば私も死ぬのかしら?」
鞠莉「ええ、その通りよ」
カチャッ
鞠莉「……私を殺すつもり?」
絵里「ええ、あなたを殺すわ」
893 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 20:13:28.42 ID:raJY7OxV0
鞠莉「私を殺したらあなたも死ぬのよ、それでもいいの?」
絵里「いいわ、元々はない命だもの、もうどう使ったって後悔なんてないわよ」
鞠莉「……やっぱりあなたは私と同じね、その頑固な感じは私を見てるみたいだわ」
絵里「…それは嬉しくないわね」
鞠莉「素直に喜んでもいいのよ?」フフフッ
絵里(最上階に上ってから様々な情報が私の脳へ伝達した。えりち————いや、鞠莉が言ってたその“真実”ってやつはパンドラの箱だった)
絵里(アンドロイドの抱える過去のその全貌が見えたような気がして、私というアンドロイドと、鞠莉という人間の関係がよく分かった)
絵里(…そして、それが分かった上で取った行動は鞠莉を殺すこと)
絵里(今ここで鞠莉を殺して、私も死ぬ)
894 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 20:15:13.33 ID:raJY7OxV0
絵里「……!その武器は…!」
鞠莉「ええ、あなたと同じ武器よ、スコーピオンEVO A1とPR-15、さいっこうにcoolな武器構成だと思うわ」
鞠莉「私も生きとし生ける東京を知ってる人間だからね、抵抗空しく殺される気はないわよ」
絵里「…そう」
絵里(…きっと鞠莉の立場に私がいたらきっと私は鞠莉と同じ事を言っていた、そのことに少し驚いてしまった)
絵里(東京が好きでここにいる私、どんな相手でも抵抗をする私、どんな相手でも勝てないとは思わない私がいる。そんな私がいう言葉はきっとその鞠莉の言葉なんでしょう)
鞠莉「last battleに相応しいわね、あなたと私」
鞠莉「最強対最強の戦いよ?」
絵里(そういいながら鞠莉は曜がいつも使ってる射線が見えるゴーグルをかけ、スコーピオンを下げて戦闘態勢に入った。これがラストバトル、これが天下の分け目)
絵里(泣いても笑ってもこれで最後)
絵里「すぅ…はぁ…」
絵里(鞠莉から目を離さず呼吸を整える為に息を吸って吐いた。私の人生の集大成——秘められた私の想いと宿る強き思いを乗せて私は————)
絵里(————ラストバトルへのトリガーを引いた)
895 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 20:18:24.21 ID:raJY7OxV0
絵里「はっ!」ダッ
絵里(発砲と同時に鞠莉に近づいた、願わくばこれで終わってほしいけどやっぱり鞠莉はスコーピオンのトリガーを引いた分すべての弾を回避してきて、跳躍の際に靴の裏がほんのり光ってるのを見て鞠莉も曜と同じで跳躍アシストを使ってるのを確認出来た)
鞠莉「あなたはこれを避けられるかしら?」
バリバリバリバリ!
絵里「っ!?」シュッ
絵里(とんでもない数の射線が私の瞳に映る。果南のアンダーバレルショットガンや希のショットガン二丁の射線に劣らないその手数の多さに目を丸くした)
曜『そんなことないよ、絵里さんが強みを実感できないのはスコーピオンを相手にしたことがないからなんだよ、相手にするとその凄まじい発射レートに驚くことになると私は思う』
絵里「ちっ……」
絵里(曜の言う通りだ、トリガーを引くことで鳴る恐ろしい銃声は恐怖の権化で、それと共に飛んでくる数えきれない銃弾は一発自体は小さいもののトリガーを引きっぱなしなら弾の全てが連なった状態で飛んでくる、そんなのを受けたらひとたまりもない)
絵里(スコーピオンの弾丸を初めて見た私は左へ大きく跳躍、動き自体はよかったものの驚きで少し反応が遅れて結果的に上腕に銃弾一発が掠った)
896 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 20:23:16.50 ID:raJY7OxV0
タッタッタッタッ
鞠莉「あの時の再戦といきましょう!」
絵里「ええ、そうねっ!」
絵里(私が走り出せばまるで鏡のように同じスピード、同じ体勢、同じタイミングで鞠莉も走り出し、結果的な距離の縮まりは近接戦闘の始まりの証だった)
鞠莉「ふっ!」
絵里(しかし攻め方は少し特殊で大体ここで飛んでくるのはストレートやフックなんかの殴りなんだけど、鞠莉が行ったのは私の前で止まって上段蹴りで、どうやら鞠莉は私が一度見たものをコピーするという特性を知っている以上みんながしてるような行動では攻めてこなさそうだった)
絵里「はっ!」ガシッ
絵里(でも、上段蹴り自体は見たことある。それをしゃがんでよければ第二の蹴りが飛んでくるのでしょう?それは知ってる、だから私は避ける選択をしたのではなくて鞠莉の足首を掴んで受け止める選択をした)
絵里(そうして私は掴んだ足首を引っ張って鞠莉のお腹に膝蹴りをして、そのまま怯んだ鞠莉の足首をもう一度強く引っ張り後ろに流し鞠莉の後頭部目掛けて蹴りを————)
鞠莉「はい、残念」ドカッ
絵里「ッ…!?」
絵里(——入れることが出来なかった)
897 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 20:25:47.94 ID:raJY7OxV0
鞠莉「受け止められるのは想定済み、この場合希みたいに反撃するためのコラテラルダメージを受けるのがいいのよね、私は希の動きを何十回と見てきたからこれには自信があるの」
鞠莉「私、受け手なものでね」フフフッ
絵里「ぐっ…うぅううう…!!」
鞠莉「ごめんなさいね絵里、私はあなたより戦闘経験豊富だから」
絵里(鞠莉は後ろに流され私の視界から外れた瞬間にバランスを元に戻しもう片方の足で私の横っ腹に蹴りを入れてきた)
絵里(アンドロイドにも劣らない蹴りの威力はおそらく後二発でも受ければ体がおかしくなる、だからもう食らえない、食らっても一発…だから次攻撃する時はちゃんと行動を選んでやらないといけない)
鞠莉「そんなゆっくり起き上がってたら死ぬわよ?」バリバリバリバリ!
絵里「!」
絵里(鞠莉の蹴りの痛みが全然消えなくて起き上がるのが辛かった、でもそんなゆっくりしてたら死ぬのは確かに間違ってない)
絵里(しかし幸いにも片足はもう既に立ってる状態だったからなんとかすぐ回避行動に移れた。ただ、これじゃあ跳躍の勢いが足りなくて銃弾をもろに受ける、だからとりあえず右に跳躍をした後すぐに左へスライディングして、あの時の果南のようなジグザクの形で避けた)
898 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 20:28:47.53 ID:raJY7OxV0
絵里「今度こそ行くわっ!」タッ
鞠莉「ええかかってきなさい!!」
絵里(そうして回避すれば自然と痛みは消えていく、そうなればたちまち起こる近接戦闘は今まで戦ったどの相手よりもハイレベルなものだった)
絵里(右ストレートを繰り出せば体を捻って避けられすぐに反撃の後ろ回し蹴りが飛んでくる、それを少し姿勢を低くして回避し私も負けじと振り返り鞠莉の顎にアッパーカットを入れる、けどそれも体を少し反って回避され、それはもう回避をしたら反撃をして、反撃されたら回避をするの繰り返しだった)
絵里「はぁ…はぁ…本当に人間なの…?」
鞠莉「ん、んん……私はあなただからね…」
絵里(一進一退の攻防を続けて汗も出始め息も切れ始める、しかしアンドロイドの体力についていける鞠莉という人間は一体何者なんだ、どれだけすごい人間なんだと不思議になってくる)
899 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 20:30:31.18 ID:raJY7OxV0
鞠莉「そんなことより…早く決着をつけましょうか…長期戦にでもなったら私が負けちゃうからね!」ダッ
絵里(私の問いに答えてすぐに鞠莉は動き出す、いくらアンドロイドの体力についていけてるとは言ってもやはり人間であるのは変わりなく、長期戦に持ち込まれて不利になるのは既に分かっているみたいだった)
絵里「…ええそうね!」ダッ
絵里(だけど、それが分かったところで私の戦法は変わらない。逃げに徹するわけでもないし攻めることをやめるわけでもない)
絵里(私だってすぐに決めたい、だって正直私だってこのまま持久戦をしてたら動けなくなって負ける未来しか見えない。なら鞠莉が望むように、私が望むように私も鞠莉と同じように突っ走った)
絵里「はっ!」
鞠莉「食らって!」
絵里(お互いスコーピオンの弾をリロードする暇なんてなく、この期に及んでは考えることが一緒。前へ走りながらスコーピオンの残弾を相手に向かって発砲、そしてその後する行動も全く同じで、お互い射線で心臓を狙ってるのが確認出来てるからそこはスライディングで一気に距離を詰めながら回避)
900 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 20:31:57.94 ID:raJY7OxV0
絵里「…!!」
絵里(蹴りが届く位置まで来て鞠莉が次にする行動はさっきと同じ上段蹴り、それが分かったのはさっきのフォームを見てたから)
絵里「………」
絵里(上段蹴りを初めて見た時はしゃがんでよけた、けどそれだと追撃が来てしまう)
絵里(だからさっきは足首を掴んで反撃に転じた、けどそれでも鞠莉には通用しない)
絵里(ならこの攻撃はどうする?安定択で攻撃に付き合わない?それともまた受け止める振りをしてフェイント?)
絵里(……いや、違う)
絵里「っ!」タッ
絵里(ここで弱気になっても勝負はつかない、鞠莉は私、なら私は鞠莉だ。如何なる状況においてもコンディションはほとんどが同じ)
絵里(鞠莉が体力切れなら私も体力切れだし、鞠莉の限界が私の限界だ)
絵里(…でも違う)
901 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 20:34:20.55 ID:raJY7OxV0
絵里(私と鞠莉の決定的な違いで私は勝負にいかなきゃいけないみたいだ)
絵里(確かに私は鞠莉で、鞠莉は私。そこは素直に認めよう)
絵里「だけど違う!!!」
鞠莉「!」
絵里「鞠莉!これが私と鞠莉の違いよ!!!」
絵里(ここが勝敗の分かれ目だった)
絵里(鞠莉の上段蹴りと私の上段蹴りが交わった直後に発生する小さな衝撃波を感じた瞬間、鞠莉の蹴りは私の蹴りの威力に負け体勢を崩した)
絵里(そうして私は追撃にフルパワーの飛び後ろ回し蹴りを鞠莉のお腹にヒットさせ、吹き飛ばし壁に叩きつけた)
902 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 20:38:32.74 ID:raJY7OxV0
鞠莉「がっ…けはっ…!うっぷっ……」
絵里「はぁ…はぁ…はぁ……」
絵里(————私と鞠莉の違い、それはアンドロイドか人間であるかの違い)
絵里(アンドロイドは人間より運動神経がよくて、力は強い、例え戦いで人間がアンドロイドと並べてたとしてもそれは表面上に過ぎなくて、武器という小細工がない戦いで交えれば力の差はすぐに出てくる)
絵里(鞠莉、あなたはきっと見たことがないのでしょう?)
絵里(色んな人の動きを見て最強を積み上げてきたけど、鞠莉と同じ立場にいる私の力を見たことがないでしょう?)
絵里(文字通り鞠莉は最強だ、だけどその最強のコピーであり、戦闘的な意味で人間の上位互換種族であるアンドロイドの私の力は、見るだけじゃ分からないでしょう?)
903 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 20:40:46.23 ID:raJY7OxV0
絵里「………」
スタスタスタ
鞠莉「あ…ぅ……」
絵里(口からよだれを垂らす鞠莉にハンドガンの銃口を近づけた)
絵里(このトリガーを引けば全てが終わる。そう、何もかも全てが終わるのよ)
絵里(始まればいつかは終わる、それが今日なんだとしたら随分と長いようで短い日々だった)
絵里(様々なモノを失った、鞠莉を殺して得るものがあったとしてもきっと失ったモノの数に勝ることはない)
絵里(この戦いで数多くの命が失われた、果たしてその全てが失う必要のある命だったのかしら。今となってはもう分からない)
絵里(振り返ってみればあのままずっと多少の差別を受けながらも平和な暮らしをしていればよかったのかもって思う、だけどレジスタンスになってから得たものには値段とか価値とかそんなものじゃ推し量れない最高のモノだってあったはず)
絵里(ことりや穂乃果、曜やせつ菜————出会いだってたくさんあった)
絵里(だけど、そのレジスタンス生活も今日でおしまいね)
絵里(目を見開いた私はゆっくりとトリガーに指をかけた)
904 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 20:41:48.47 ID:raJY7OxV0
プルプルプル
絵里「……!」
鞠莉「……ぅ?」
絵里(……まただ)
絵里(鞠莉に銃口を向け、トリガーに指をかけた瞬間に手が震えだした)
絵里『私が…私が…!』
絵里『……なんで』
絵里(何回目だろう、この手の震えは)
絵里(震えた手に力を込める為にもう片方の手を絡めて、無理矢理トリガーを引こうとした)
905 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 20:42:31.21 ID:raJY7OxV0
絵里「くっ……なんで…なのっ…!!」
絵里(トリガーが引けない、怖い、怖い、怖い)
絵里(これを引いたら人が死ぬ、私は人を殺すことになる。鞠莉という忌々しい相手を前にしても、今までずっと殺すつもりでいた相手を前にしても、殺すことへの恐怖心が拭えてなかった)
絵里(どうして私は人が殺せないのかしら、どうして私は殺すことが怖いのかしら)
絵里(……それはいつまで経っても分からない永遠の謎みたいだった)
906 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 20:53:52.83 ID:raJY7OxV0
鞠莉「……ふんっ!」
絵里「あっ!?」
鞠莉「はぁッ!」
絵里「ぐふっ…!?」
絵里(あの時のように堂々巡りをしてれば下る甘々な覚悟を持ってた私への天罰)
絵里(尻もちをつき壁に寄り添っていた鞠莉は突然私の足に突き蹴りをいれてきて、トリガーに対して戸惑っていた私は避ける術なく命中するけど、アンドロイド特有のバランス感覚はこれだけじゃ決壊せず怯むだけに留まる)
絵里(だけど間髪入れずに飛んでくる追撃の更なる突き蹴りに対してはどうなるのかしら?)
絵里(……答えはとっても簡単、それに対応できずお腹に強烈な蹴りがめり込んで私はさっきの鞠莉と同じように吹き飛ばされた)
絵里「かっ……なんで…ッ!」
鞠莉「殺さないなら私が殺してあげる、私を殺す時間はたくさんあったのよ、それなのにあなたは殺さなかった」
鞠莉「だから恨むのなら私を殺すことが出来なかった自分を恨むことね」
絵里「……くっ」
絵里(仰向けに倒れる私に向けられた鞠莉のハンドガンの銃口。私自身動けなくはないけどここで動いたら撃たれて死ぬでしょう)
絵里(鞠莉の瞳にはちゃんとした殺意がある、数秒前に私もその瞳の影を宿してれば鞠莉を殺せたのかしら)
907 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 20:54:25.78 ID:raJY7OxV0
鞠莉「じゃあね、絵里」
絵里(トリガーにかけた指に力が加わるのを感じた私は力強く目を瞑った)
絵里(こんな最後は不甲斐ないけど、ある意味私らしい最後だ)
絵里(東京で人一人殺せないんじゃきっとこうであるべきだったのよ、甘い考えを求めているなら東京から離れるべきだったのよ)
絵里(私の人生を起動修正できるポイントはいくつもあった、そこで私は東京を選んだ)
絵里(殺される直前になって、今更鞠莉を恨むなんてことはしない)
絵里(……もう、悪いのは私なんだから)
908 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 20:55:30.26 ID:raJY7OxV0
スカッ
絵里「………?」
鞠莉「………」
絵里(だけどどうしてかしら、鳴り響くのは弾が込められていない空の発砲音だけ)
絵里「…ん、ま、鞠莉……?」
絵里(ゆっくり目を見開けば、既にハンドガンを下げてる鞠莉がそこにはいて、瞳を大きく揺らしながら私を見ていた)
鞠莉「………わけないじゃない」
絵里「…え?」
鞠莉「殺せるわけないじゃない!!」
絵里「!!」
鞠莉「あなたは私とかそれ以前にあなたは私の作ったアンドロイドなのよ…?そんな私のアンドロイドを私が殺せるわけないじゃない……」
鞠莉「だから殺しは対アンドロイド特殊部隊の人に任せてたのよ……」
絵里「鞠莉……」
909 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 20:57:12.67 ID:raJY7OxV0
鞠莉「やっぱりあなたは私よ、誰かの為って時にしか人を殺せなくて、だけどいざ殺せる状況になっても相手を殺せないの、殺すことが出来ないの」
鞠莉「絵里、あなたはここに来るまで人を一回でも殺した?凛は私が殺したのよ、それ以外であなたは人を殺せたの?」
絵里「……殺せてない、殺せなかった」
鞠莉「…知ってるわ、だってあなたは私なんだもん」
絵里「………」
絵里(私はゆっくりと立ち上がった)
絵里(鞠莉のハンドガンは最初から弾が入ってなかった。そして鞠莉も私と同じで理由も無しに人を殺せない人だった)
絵里「…あなたは一体何者なの?仲間なの?敵なの?」
鞠莉「……仲間よ」
鞠莉「私も希も気持ちは同じだった、アンドロイドと仲良くしたい。アンドロイドを人間として扱ってほしい。私たちはアンドロイドの味方なのよ」
910 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 20:57:48.03 ID:raJY7OxV0
絵里「なら————」
鞠莉「待って、一つ昔話をさせてくれない?」
絵里「昔話…?」
鞠莉「ええ、一番初めに作られた識別コード1のアンドロイドのお話よ」
絵里「…いいわよ、聞いてあげる」
鞠莉「ありがとう」
鞠莉「そうね…どこから話しましょうか」
鞠莉「じゃあアンドロイドを作った理由から話しましょう」
絵里「アンドロイドを作った理由…」
鞠莉「ええ、実は梨子にはちょこっとだけ話したことがあるの、その時にはアンドロイドを作った理由は言わなかったんだけどね」
鞠莉「アンドロイドを作った理由、それは————」
鞠莉「————海未の為だった」
911 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 20:59:51.94 ID:raJY7OxV0
絵里「…海未?あの青い髪の…」
鞠莉「ええ、海未は産まれてすぐに事故で家族全員を失った孤児だったのよ。きっと親の顔も覚えてないでしょうね」
鞠莉「元々私と海未が出逢ったのは海未が十歳の時———いえば私がアンドロイドを作った年だった)
鞠莉「海未はとっても臆病で人見知りが激しくて知らない人じゃ会話もまともに出来ないくらいに弱い子だった、元々孤児ということもあって小原家が海未を引き取ったのだけど、それでも会話が出来たのは私だけだった」
鞠莉「なんでかって?それは私の親はとても厳しい人だったからよ」
鞠莉「臆病な海未が厳しい私の親とまともに会話が出来るはずがなかったのよ」
絵里「………」
鞠莉「だから私は海未を強くしてあげたかった、私以外とも喋れるようになってほしかった」
鞠莉「だから私はアンドロイドを作ったのよ」
鞠莉「人間と瓜二つ、ちゃんと意識があって自我がある。一番最初に作ったアンドロイドの名前はしずくという名前だったわ、海未のように礼儀正しく優しい子だった。けどね、アンドロイドは何もないと破壊を生み出すことに気付いたの」
絵里「破壊?」
鞠莉「ええ、当時のアンドロイドっていうのは標準型だとか戦闘型だとかそういうタイプにわけられてたわけじゃなくて普通に人間として造っただけのアンドロイドだった」
鞠莉「結果しずくは一日で海未と友達になったの、ここまでならよかったねって言えるでしょ?」
912 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 21:01:42.72 ID:raJY7OxV0
絵里「…何かあるの?」
鞠莉「…そうよ、タイプもわけられてなかった初期型のアンドロイドには課した目標があまりにも簡単すぎたのよ」
絵里「課した目標?」
鞠莉「戦闘型には戦うっていう目標がある、業務型には業務をこなすっていう目標がある、標準型には人間らしく生きるっていう目標がある」
鞠莉「この三つは死ぬまで達成できない目標なのよ、争いは無限に発生するし、業務だって減ることはない。人間らしく生きるなら死ぬまで人間らしく生きなきゃ達成できない。そういう永久的な目標があるの」
鞠莉「でも初期型にはそれがなかった、海未と友達になるっていう目標を課しただけで、それを一日で達成してしまったしずくは後に破壊的衝動を自発的に生み出した」
鞠莉「それから何度と試行錯誤してもその破壊的衝動を抑えることが出来なかった、何故か人を殺すし身の危険を感じると何らかの過激な対抗手段を持って反撃してくる」
鞠莉「いえばアンドロイドはイレギュラーな存在なの、私が作ったにも関わらずまだ謎の多いミステリーな存在なの」
絵里「………」
鞠莉「…そう、それでなんで私がアンドロイドの味方なのにアンドロイドを差別するような発言するのか、それはね—————」
913 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 21:08:06.05 ID:raJY7OxV0
ルビィ「絵里さん!!!」
絵里「!」
鞠莉「!」
絵里(鞠莉の話を聞いていたら突然階段へ続く扉があいてルビィが大きな声で私を呼んだ)
絵里(その声に私も鞠莉も反応して首をかしげた?)
ルビィ「あ、う…えっと……邪魔しちゃった…かな…?」
絵里「いえ、いいわ。それより来てくれたの?」
ルビィ「もちろんだよ!絵里さんを助ける為だもん!」
絵里「…そう、だけどその必要はないらしいわ」
ルビィ「えっ……」チラッ
絵里「…今の鞠莉は大丈夫よ」
ルビィ「そ、そうなの?」
絵里「ええ」
絵里(警戒するルビィをなだめる私だけど、こんなにも鞠莉を受け入れるのが早いんだなって我ながら不思議に思ってしまった)
絵里(こんな平和的な私がいるんじゃ、今まで戦ってきた私がバカみたいじゃない……)
914 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 21:12:15.00 ID:raJY7OxV0
ルビィ「あ、だ、だったらえっと、聞いてほしいことがあるの!」
絵里「ん?どうしたの?」
ルビィ「かよさんが!かよさんが狙撃されちゃうよ!!」
鞠莉「花陽が?どうして?」
ルビィ「えっと…かよさんのライブ、今日やっててここの階段からライブ会場が見えてたんだけどその数百m離れたビルの屋上にスナイパーのスコープに反射してる光っぽいものがあったの!」
鞠莉「Really?勘違いじゃない?」
絵里「……いや、ルビィはスナイパーで戦線を潜り抜けた猛者よ、スナイパーのことなら私や鞠莉より詳しいはずよ」
鞠莉「…ならいいわ、今花陽の防衛任務についてる果林と梨子に連絡するまでだわ」
鞠莉「果林、梨子、応答して」
ザー…ザー…ザー……
ルビィ「……応答しないね」
絵里「………」
鞠莉「果林、梨子、緊急事態よ、今がどんな状況でもいいから応答しなさい」
ザー…ザー…ザー…
鞠莉「…ウソでしょ」
ルビィ「やっぱり向こうで何かあったんじゃ……」
915 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 21:13:43.69 ID:raJY7OxV0
絵里「…!スナイパーに狙撃されるかもしれないんでしょ!?なら今すぐにでも向かわないと助けられないじゃない!」
鞠莉「!!!」
ルビィ「う、うん…」
鞠莉「なら今すぐにGoingでしょ!?そうよね絵里!?」
絵里「え?ええ!」
鞠莉「花陽は守らないといけないわ、あの子を死なせることは————」
絵里「…?」
絵里(鞠莉って花陽の事知ってたのね、どうでもいいかもだけどそう思った)
花陽『はい、私、鞠莉さんに気に入られてるみたいで、鞠莉さん直属の対アンドロイド特殊部隊っていうのは対アンドロイドの前に特殊部隊であるので、SPみたいなボディーガードをすることもあるんですよ』
絵里「……!」
絵里(…いや、既に布石はあった。だからつまりはそういうことなんでしょう)
絵里(私も花陽の事は助けたい、その気持ちは鞠莉と一緒。人が死ぬのを分かっててそれを見捨てるなんてことは)
えりまり「絶対にしたくない!!」
916 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 21:15:13.48 ID:raJY7OxV0
鞠莉「行きましょう!!」
絵里「ええ!ルビィも行くわよ!」ダッ
ルビィ「う、うん!」ダッ
鞠莉「どこ行ってるのよ!」
絵里「え?だってエレベーターで下に降りるんでしょ?」
鞠莉「何言ってるのよ!それじゃあ時間がかかるじゃない!」
絵里「…まさか」
絵里(喋りながら何かを手に持って私を招く鞠莉を見て私は何かを察した)
鞠莉「そうよ!このパラシュート一つでここから飛び降りましょう!」
ルビィ「え、ええ!?」
鞠莉「時間がないの!」
絵里「……んあぁもうどうなっても知らないわよ!?」
鞠莉「come on!」
絵里「ルビィ、怖いかもだけど耐えなさいよ」ダッ
ルビィ「えっ……」
917 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 21:17:19.04 ID:raJY7OxV0
ダッ
絵里(急いでパラシュートバッグを背負い、ルビィを抱っこして、そして強く鞠莉の手を握って私は走り出した)
絵里「鞠莉!あの硝子撃って!」
鞠莉「了解よ!」バンッ!
パリーン!
絵里「行くわよー!!!」ピョーン
ルビィ「ぴぎぃいいいいいいいいいいいいい!?」
鞠莉「シャイニー!!」
絵里(摩天楼に響くルビィの悲鳴と鞠莉の楽しそうな一声。銃弾で散る硝子と共にこの重力場へ飛び出した)
絵里(ルビィは抱っこしてるからいいけど、鞠莉とは手を繋いだ状態ってだけで、パラシュート無しのスカイダイビングをしてるようなもの、だからこの手は離してはならない)
918 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 21:18:10.55 ID:raJY7OxV0
鞠莉「…私が離さないわ」
絵里「!!」
絵里(以心伝心とはまさにこの事なのかしら、それとも鞠莉と繋いだ手が力んでしまって悟られたのかしら)
絵里(風の音で声も一瞬でかき消されてしまう中で鞠莉の声は風に邪魔されることなく透き通って聞こえた)
絵里「着地するわよ!鞠莉はルビィに掴まって!」
鞠莉「ええ!」ギュッ
ルビィ「ぴぎっ…」
絵里「よっと」
絵里(そうして風に揺られながら着地。パラシュートを開いた為にもうこのバッグやパラシュートは邪魔でしかないので急いで外してすぐに花陽のライブ会場に向かう体勢を整えた)
絵里「る、ルビィ大丈夫?」
ルビィ「あ、足が震えて動かない……」
絵里「じゃあ私がおんぶするわ…」
ルビィ「ご、ごめんなさい……」
919 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 21:19:46.32 ID:raJY7OxV0
絵里「よしっ行くわよま————」
鞠莉「これに乗りなさい!二人とも!」
絵里「——って、え?」
ルビィ「なにあれ……」
鞠莉「車に決まってるじゃない、これで向かう他ないでしょ?」
絵里「車って鞠莉、運転免許証持ってるの?」
鞠莉「当たり前じゃない!ゴールド免許よ!」
絵里「…なら大丈夫か」
絵里(車なんて聞いて悪寒しかしなかったのだけど、ゴールド免許って胸張って言ってるから安心した)
絵里「ひゃああああああああああ!?」
ルビィ「ぴぎいいいいいいいいいいいいい!!」
鞠莉「かっ飛ばすわよおおお!!!」
絵里(……そう錯覚してたみたいだったわ)
絵里(さっきまでのシリアスはどこにいったのか、天井のない超高級車に乗った矢先、ゴールド免許なのかと疑う荒すぎるドライビングに私もルビィも絶叫だった)
920 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 21:20:49.34 ID:raJY7OxV0
絵里「ゴールド免許っていくら運転が酷くても一度も運転しなきゃゴールド免許じゃない!!」
鞠莉「教習所の時は超真面目に普通の上位免許を取りに行ったんだからゴールド免許なのよ?」
絵里「というか鞠莉の年齢じゃゴールド免許取れなくない!?」
鞠莉「それは気のせいデース!」
絵里「何なのよそれはぁ!!!」
絵里(一応信号は守ってはいるけどあまりにも荒い。こんな破天荒なことに付き合わされてると今まで鞠莉を殺すために色々してきた自分が本当に馬鹿みたいに思えてくる)
絵里(ルビィはルビィでおそらく鞠莉に対して本来とは違う意味で恐怖を植え付けられたでしょうね……)
921 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 21:24:23.38 ID:raJY7OxV0
絵里「真姫!聞こえる!?」
ブウゥウウゥウン
絵里「鞠莉うるさいわよ!」
鞠莉「エンジン音は消せないのよ!」
真姫『…どういう状況?』
絵里「話は後!とにかく花陽のライブ会場に来て!」
鞠莉「その無線私にも繋げない?」
絵里「え、でも鞠莉って…っ!?」
絵里(赤信号で止まってるのをいいことにイヤホンをかけパソコンを用意してる鞠莉を見て言葉を失った、事故を起こせば終わりなのにどんだけリスキーなことをしてるのよ…)
鞠莉「それで繋げない?」
絵里「わ、分かったわ。この携帯の電波に入ってきて」
鞠莉「了解よ」カタカタカタカタ
絵里(ふざけながら真面目にパソコンをタイピングしてるのを見てると鞠莉という人物がよく分からなくなる。最上階に行ってから鞠莉に引っ張られっぱなしだ)
絵里(……でも、不思議と悪い気はしなかった。一緒に行動しててこの何も企んでなさそうな純粋な感じはむしろ心地いい感じがして、鞠莉は私で私は鞠莉————同じ存在だからこそ裏に何もないことが分かってしまって鞠莉への信頼はこの短い時間でとても厚くなったような気がした)
922 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 21:27:13.69 ID:raJY7OxV0
鞠莉「hello!」
真姫『は、はろー……』
鞠莉「私たちは今花陽というアイドルのライブ会場に向かってるの」
絵里「花陽がスナイパーに狙われてるかもしれないの、だから急遽だけど花陽を助けにいくわよ」
ことり『花陽?アイドル?それってあの高校一年生の?』
絵里「ええ、昔助けてもらったことがあるの。だから今度は私が花陽の事を助けてあげたいの」
穂乃果『…それはいいけど、鞠莉ちゃんは信用出来るの?私にとって鞠莉ちゃんと戦線を共にするっていうのはにわかにも信じ難いことなんだけど』
真姫『…ええ、それは正直私も思う』
真姫『今まで敵だったのに急に味方になるのはなんかおかしいんじゃない?』
鞠莉「それは………」
絵里「…いや……」
真姫『え?何?』
絵里「今は鞠莉を信じていいわよ」
鞠莉「絵里……」
絵里(私は鞠莉の事を知ってる、もし鞠莉が私であるなら私と戦線を共にした時点で裏がない。それは私がそうだから、私が鞠莉であるなら鞠莉は私と同じ気持ちを抱いてるはずだから)
絵里(……今の鞠莉は信じていいでしょう)
923 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 21:28:23.43 ID:raJY7OxV0
穂乃果『…分かった、じゃあその花陽ちゃんって子のライブ会場に向かえばいいんだね?」
鞠莉「いや、待って」
鞠莉「向かうならこっちね」
絵里「そこは……」
絵里(鞠莉がパソコンを使って真姫のパソコンにどこかの位置情報を送ってた、鞠莉のパソコンを確認すればライブ会場周辺のいくつかのビルに赤点がついてた)
真姫『これは…?』
鞠莉「その殺し屋がいると思わしきビルよ、あなたは分からない?」
ルビィ「う、うーんと……階段から見たのが西で、飛び降りて向かった方も西だから……」
ルビィ(思い出して…!)
ルビィ(階段を上ってる時に見えた光…近くに大きなアンテナがあって…かなり高いビルで…でも距離はそこそこあって…だけど丁度ライブ会場が見えるようにビルが並んでて……)
ルビィ「………」
ルビィ(ライブ会場があっち、ならそのスナイパーがいるビルはどう考えても向こう……)
ルビィ「……!」
ルビィ「あれ!あれだよあれ!!」
鞠莉「あれ…ってあれね!」
924 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 21:29:36.22 ID:raJY7OxV0
絵里「じゃあこのマップでいうと…ここよね!」
鞠莉「ええ!聞いて!このマップだとライブ会場が中央辺りにある緑色の建物なの、その緑色の建物から西一直線にあるビルの赤点!そこに向かって!」
真姫『わ、分かったわ』
穂乃果『行ってどうする?そのスナイパーを止めればいいの?』
鞠莉「止めたいけど止めれるかしら…」
真姫『この距離ならすぐにつくわ、とりあえずいくしかないわよ』
ことり『そうだね』
ルビィ「任せて、ルビィが時間を稼ぐよ」
カチャッ
絵里「…!」
絵里(オープンカーで、しかも高速で走ってるというのにルビィはトランクフードに片足を乗っけてそのスナイパーがいると思わしき屋上に向かってスナイパーを構えた)
絵里(さっきまで絶叫してたのにスナイパーを持つと急に変わるのは何ともルビィらしくて、ルビィのスナイパーの射線を確認をしてても射線がぐらぐらと揺れることなくレーザービームのようにただ一点を貫いていた)
925 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 21:30:33.88 ID:raJY7OxV0
鞠莉「こ、ここから撃つつもり!?」
絵里(そして流石に鞠莉もルビィ以上のスナイパーテクニックを見たことがなかったのでしょう、目を丸くして驚いてた)
ルビィ「すぅ……」
ドォンッ!
ルビィ「はぁ………」
ルビィ「ちょっと屋上から飛び出してたスナイパーの銃口にヒットさせたよ、でも当たりが浅いから多分壊すことは出来てないと思う…」
鞠莉「い、今のを当てたの…」
絵里「さ、流石ルビィね…」
ルビィ「これで少しは下へ意識を向けることが出来たはず」
ルビィ「後はお願い!」
真姫『ええ、分かったわ』
ことり『もちろんだよっ』
穂乃果『任せて!』
926 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 21:31:10.58 ID:raJY7OxV0
絵里「…あれ?そういえば曜は?」
ことり『あ、えっとね……』
絵里「…?」
真姫『ちょっと大怪我をしたの、今喋るのもおそらく辛いだろうけど死んではいないわ、安心して』
絵里「そ、そうなの…」
ルビィ「曜さん……」
絵里「…まぁ、とりあえずお願いね」
真姫『ええ、了解よ』
ピッ
絵里「…とんでもないことになってるわね」
絵里(無線がきれると悟りだす私の心)
絵里(私鞠莉と仲良くなるためにあそこに行ったわけではないんだけど…なんて思っちゃって、しかもその後にみんなして花陽を助けにいくんだから想像も出来ないわよ、曜も喋るのも辛くなるくらいに大怪我したって言ってるし)
927 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 21:32:04.00 ID:raJY7OxV0
ルビィ「…花陽さんを助けた後、ルビィたちと鞠莉さんは……どうなるの?」
絵里「……まだ、決まってないかしら」
絵里(…正直言って、この結果は私の予想していなかった未来だ)
絵里(もし、世界がいくつもあって同じ世界の同じ私がいたとしたらこの未来はきっと…そう多くはないはずよ)
絵里(鞠莉を殺す為に動いてきたのに、鞠莉が仲間のような存在になってしまっては私は不完全燃焼だし、心が晴れたとは言えない)
絵里(だけど、鞠莉を殺して私の心が晴れるわけじゃない)
絵里(ここから色々あったとしても、また平和に暮らすのが一番なのかしら)
絵里(……いや…ここで色々してきたから平和には暮らせないのかも…ってそれはどうか知らないけど、とにかく私たちの未来は何も分からない状態だった)
鞠莉「花陽を助けることが最優先事項よ、その他の話は全部後」
絵里「……ええ、そうね」
ルビィ「…うん、分かった」
928 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 21:34:37.29 ID:raJY7OxV0
鞠莉「花陽は東京のみならず日本のトップレベルのアイドルよ、だからファンの数は尋常じゃないし、今回のライブに参加してるファンの数もおそらく数えられたものじゃない、今丁度ライブ中だからライブ会場の外にわんさか人がいるわけじゃないとは思うけど移動には充分気をつけなさい、はぐれる可能性もあるわ」
絵里「なるほど…分かったわ…」
鞠莉「今回花陽の使ってる会場はドームみたいな全方位から見渡せるような感じじゃなくて一つの方向をみんなで見る舞台型の会場よ、だから最悪ステージへの侵入も出来る…いや、最悪じゃなくてもステージへ上がって直接花陽を助ける可能性の方が高い」
ルビィ「アナウンスで避難しろーっていうのはダメなの?」
鞠莉「それだとまるで意味が無いわ、だって花陽は人間なんだから避難しろって言われても避難してる最中に撃たれて死ぬわ」
ルビィ「あ、そっか…」
鞠莉「私たちがあのビルに行くっていう考えもあったけどそれもダメ、あそこにいって屋上に上るまでの時間とライブ会場にいって花陽を直接助けるまでの時間はどう考えても花陽を直接助ける方が早いわ」
絵里「…なるほど、じゃあ私たちがやることは」
絵里「一早くライブ会場に入って、ステージに上がり、花陽を助けることね」
鞠莉「その通りよ、私は花陽の事務所のスポンサーやってるからステージ裏には上がらせてくれるはず、だから早く行きましょう」
絵里「ってうわぁ!?」
ルビィ「ぴぎっ!」
絵里(そういい突然アクセル全開にしてくるもので心だけが置いていかれてまた声を出してしまった、真面目だろうと不真面目だろうとどんな鞠莉でも運転は相変わらず荒かった)
絵里(…が、しかしそんな荒い運転に気を取られてるだけじゃない。突然私たちに歯向かう射線に目を丸くして戦いの意識を急激に研ぎ澄ました)
929 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 21:35:54.55 ID:raJY7OxV0
絵里「射線!あの屋上から!」
絵里「…!ルビィに向いてる!ねえ鞠莉もっとスピードあげて!」
鞠莉「了解よ!!」ブウウン
絵里「んくっ……」
カチャッ
ルビィ「…ホントだ、こっち向いてる」
絵里「撃てる?」
ルビィ「…!!身を引いたよ…?」
鞠莉「…!そいつアンドロイドよ!ルビィの射線が見えてる!」
絵里「アンドロイド…!?」
鞠莉「当たらなくてもいいわ!射線で威嚇して!さっきルビィが一発当てたから射線だけでも充分脅威になるわ!」
鞠莉「絵里もやって!!」
絵里「え、ええ!!」カチャッ!
絵里(そういいあの屋上が見える限りハンドガンの銃口を当て続けた)
930 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 21:36:33.68 ID:raJY7OxV0
絵里「……今って花陽のライブ中でしょ?」
鞠莉「ええ、そうよ」
絵里「なんで相手は撃たないの?花陽はもうステージに上がってるはずよ、殺すのが目的ならさっさと撃てばいいじゃない」
ルビィ「確かに……」
鞠莉「……何か他にあるのかも」
ピッ!
絵里「!」
真姫『ねえ絵里聞こえる!?』
絵里「え、ええどうしたの?」
真姫『スナイパーの件だけど絵里はおかしいって思わない?』
絵里「おかしい?何が?」
真姫『殺すのが目的なら今ライブしてる花陽を撃てばもう終わるじゃない』
絵里「!」
931 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 21:38:04.43 ID:raJY7OxV0
真姫『それなのに何故か花陽は死んでない、おかしいでしょ?』
絵里「ええ、それを今私たちも話してたところだったの」
真姫『そ、そうだったの?』
絵里「ええ」
真姫『…まぁとにかく私たちも絵里との無線を切った時におかしいって思ったの、だから穂乃果と私でネットを駆け巡って見つけたの!』
絵里「何を?」
真姫『花陽が死ぬタイミングを!!』
絵里「!!」
932 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 21:39:28.18 ID:raJY7OxV0
鞠莉「oh what!?どういうこと!?」
穂乃果『殺し屋っていうのは依頼人がいないと成立しない、だから多くは殺し屋サイトみたいなのを所有してることが多くて、またその殺し屋サイトっていうのは大体表面上は普通のサイトなんだけど例えばサイトの一番上にあるロゴの一部分だとかサイトの端っこに透明なリンクが貼ってあるとか何らかの方法で本来の殺し屋サイトにいけるんだよ』
絵里「へぇ…」
穂乃果『だから花陽ちゃんを狙ってる殺し屋を希ちゃんや花丸ちゃんが残してくれた情報網で片っ端から調べた、そしたらヒットしたよ!しかも実行日が今日!』
絵里「!!」
穂乃果『その殺し屋サイト、本当かどうかは知らないけどアンドロイドがいるみたいなんだ!だからスナイパーの精度は相当いいよ!絶対に撃たせちゃいけない!』
ルビィ「アンドロイド…!?」
絵里「それってさっきの…!!」
鞠莉「…もはや確定ね」
絵里「それで花陽が死ぬタイミングっていうのは?」
穂乃果『それは————』
穂乃果『孤独なheavenを歌い終わり次第殺害を実行するらしいんだ!!』
933 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 21:40:24.56 ID:raJY7OxV0
絵里「孤独なheaven?」
鞠莉「花陽の代表曲よ、花陽といったらまずこれというくらいに、そして花陽を知らなくても孤独なheavenは知ってるという人がいるくらいに有名で、花陽を飾る曲なの」
ルビィ「ルビィも花丸ちゃんからたくさん聞かせてもらったけどものすごくよかったよ、まず開幕のウィンドチャイムから感じるボルテージがすごくて!」
鞠莉「ええ!そして片思いの子の気持ちを綴った切ない歌詞もまた魅力の一つ……」
ルビィ「いつもはワイワイとした盛り上がる曲を歌ってるのにも関わらず孤独なheavenは真面目で切なくて、いつもの花陽さんとのギャップも楽しめる一曲だよね!」
鞠莉「そう!そうなのよ!ウィンドチャイムに続くどこまでも奥ゆかさを感じてしまうダークトーンなピアノ!そしてサビ前ではドラムが最前線を仕切ってボルテージを上げてくれたりCメロではギターが織りなすノスタルジーのようなものが良い味出してて後ろの演奏の良さはまさにexcellent!」
ルビィ「Cメロ後の“言えないよ…”は感情移入しちゃって本当に鳥肌が立つよ!」
鞠莉「Yes!あれは花陽の良さが詰まってるのよぉ!そして花陽も当事者になり切ってるようなあの必死な顔も必見!そう、まさにあれは——」
ルビまり「奇跡の歌!!」
絵里「そんな曲が…」
934 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 21:42:18.74 ID:raJY7OxV0
ルビィ「まだその孤独なheavenは歌われてないの?」
ことり『今ライブ中継見てるけどまだ歌われてないよ』
真姫『…とまぁそんな感じなの、あなたたちも花陽のライブ中継開いて孤独なheavenが流れたらもうすぐだと思って』
キラキラキラ
絵里「!」
絵里(そんな時ある音が流れた。最初はどこからともなくというようなどこから鳴ってるのかもわからなかったけど、よく耳を澄ませばそれは無線から聞こえてるものだということに気付いた)
『すぅ…あなたへのHeartbeat…熱く…熱く——————♪』
絵里「!!」
絵里(そして次に流れるメロディと共に乗せられた声に鳥肌が立った)
絵里(この透き通った声、高校一年生とは思えない大人びた雰囲気、声から感じられる本気度のようなもの)
絵里(ルビィの言う最初のウィンドチャイムが鳴った瞬間聞こえるファンの歓声を聞くとまるで別の世界へ誘われたかのような錯覚と高揚の気分になっていた)
935 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 21:43:20.11 ID:raJY7OxV0
絵里「これ……!」
絵里(私の心も乗せられて…いやその花陽さんの声に心を奪われてしまって、無線から聞こえるその花陽さんの言葉一つ一つがとても恋しく感じてしまう)
絵里(確かにこれは、奇跡の歌だ)
ルビィ「!!!」
鞠莉「この曲は……!」
ことり『わぁ!?始まっちゃったよぉ!』
穂乃果『えぇ!?』
真姫『ついた!ついたから行って!』
ことり『う、うん!』ダッ
穂乃果『任せて!』
真姫『絵里!孤独なheavenが始まった!』
真姫『時間がもうないわ!!』
936 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 21:44:07.09 ID:raJY7OxV0
絵里「なら急がなきゃ!!鞠莉!」
鞠莉「言われなくてもアクセルぜんっかいよッ!!」
絵里「孤独なheavenが終わるまでどのくらいかかる!?」
鞠莉「約四分半よ!孤独なheavenが終わるまで後四分くらい!」
絵里「四分って…!」
真姫『そんな無茶な————』
鞠莉「無茶じゃないわ!」
真姫『!』
鞠莉「私たちなら出来る!後四分もあれば充分よ!」
鞠莉「今は一秒たりともバカには出来ないわ!」
937 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 21:45:23.14 ID:raJY7OxV0
『——————眠たげなのね。後ろからそっと語り掛けるの』
鞠莉「…っ!ついた!こっちもついたから行きましょう!」
絵里「ええ!」
ルビィ「うんっ!」
絵里「真姫!行ってくるわ!」
真姫『え、ええ!』
ダッ
タッタッタッタッ
絵里「間に合って…!!」
絵里(オープンカーを駐車場の適当な場所に留めて会場へ突っ走った、ルビィは携帯で花陽のライブ中継を開いてて、今ここに、今ここで————)
絵里(————ロストソングがクレッシェンドを含み始めた)
938 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 21:46:02.17 ID:raJY7OxV0
ピッ
鞠莉「!」
果林『こちら果林よ』
鞠莉「果林!?どこに行ってたの!?」
果林『説明は後、それより今から』
果林『防衛対象に殺意を抱くアンドロイド三体と交戦するわ』
梨子『同じく私もです』
鞠莉「…!それってあの屋上の?」
果林『あの屋上かは知らないけど、屋上で、殺害方法はスナイパーよ』
鞠莉「…分かった、気をつけなさい」
果林『了解』
梨子『了解です!』
ピッ
鞠莉「……だけど時間を遅らせることは無理そうね」
939 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 21:47:31.54 ID:raJY7OxV0
〜
果林「初めて会ってから一回も姿を見なくなったから何をしてるのかと思えばこんなことを企んでたなんてね」
果林「綺羅ツバサ」
ツバサ「別に企んでたわけじゃないのよ?これも殺し屋としてお仕事の一環だから」
梨子「それでもあの花陽ちゃんを殺すなんてアンドロイドとして道を踏み外してます!」
英玲奈「別に我々はアンドロイドの道を往こうとはしていない、殺し屋として生きていくと決めた以上殺すことを重点的に置いた道を往くだろう」
果林「…何故人を殺すの?」
ツバサ「平和な世界っていうのは案外つまらないものなのよ、知ってる顔と毎日笑いあって、時に苦難を乗り越えて過ごしていく日々…最初はそれで充分だと思っていたけど、つまらないって感じた途端急に生きることに対してやる気が失せた」
ツバサ「当時目標だった成績学年一位も何やってるんだろうなーんて悟っちゃってイヤになったわ」
ツバサ「だからこそ私たちは殺しという新たな境地へ辿り着いた」
梨子「…!」
鞠莉『何も無いと、破壊を生み出すということに』
梨子「これ……」
梨子(鞠莉さんの言ってたことだ、もしかしたらこのアンドロイドもその類のアンドロイドなのかもしれない)
940 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 21:49:57.26 ID:raJY7OxV0
ツバサ「元々私たちは全員戦闘型アンドロイド、だから戦う事に特化してたし、ちゃんと殺害目標を立てて行う殺害っていうのは面白いほどに心が満たされるというか…やり遂げた気分になれるのよ」
梨子「………」
梨子(全ては鞠莉さんの言うことに沿っていた。アンドロイドという生き物は目標を失うと破壊を生む、それは本当だったんだ)
梨子(このアンドロイドの場合、殺しを目標としてしまった以上は人という生物が消えるまで永遠に殺しを目標にするのだと思う)
梨子(…やっぱりアンドロイドはまだまだ危険な存在だ)
果林「…そう、それは分かったけど、そろそろ二人の後ろにいるスナイパーの子にも喋ってもらえないかしら?」
あんじゅ「えー私?」
果林「あなたがそのスナイパーを下げてくれれば私たちとしてはミッション完了なんだけどね」
あんじゅ「それは無理かしら」
果林「…そう、なら話はもう終わりね」
941 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 21:51:28.12 ID:raJY7OxV0
カチャッ
果林「これよりミッションを開始するわ」
果林「梨子」ダッ
梨子「はいっ!」ダッ
梨子(あのスナイパーがさっさと花陽ちゃんを撃たないのが引っかかるけどいずれにせよ撃たないのであればこちらとしても好都合だ)
梨子(だから決めるなら即行、私たちが動き出すと同時に動き出す射線をかいくぐって近づく刹那に高まる緊張感は全て銃弾が切り裂いた)
梨子「はぁッ!」ババババッ
梨子(射線が見えてる者同士銃弾が当たらないのは基本、相手から飛んでくる銃弾を避けたら今度は私たちのターンで、私が発砲をする)
942 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 21:52:35.84 ID:raJY7OxV0
英玲奈「おっと」シュッ
梨子(だけど相手もそれを避けるのは当然、するとたちまち発生する接近戦。ナイフを首元目掛けて横に振れば体を反って回避され、相手の後ろから飛んでくるカバーの銃弾は右に飛び退き回避した)
梨子「はっ…ふッ…!」
梨子(だけど避けても尚まだ飛んでくる銃弾は全てのあの後ろのスナイパーからの攻撃。銃弾を避けること自体はそこまでの事だけど追撃に来る英玲奈というアンドロイドの攻撃が鬱陶しかった)
英玲奈「人数の有利はやはり偉大だなっ!」ブンッ
梨子「ちっ……」
梨子(私がなんとか銃弾を避ける中で右ストレートが私の顔に向かってくるもので、それを姿勢を低くして片手を地につけた状態で回避)
梨子「そっちも見えてる!」シュッ
梨子(何故片手を地につけたのかといえば、それは次に来る銃弾を前転回避する為で、地についた手を使って勢いをつけた)
ツバサ「じゃあ、こっちの銃弾は見えてた?」
梨子「!」
943 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 21:54:40.54 ID:raJY7OxV0
果林「梨子っ…!」
梨子(果林さんは負けてない、けど戦ってる合間に撃たれたその銃弾に、果林さんは焦ってた)
梨子「そんなっ…!!」
梨子(そんな果林さんの顔を見て悟った)
梨子(私、死ぬんだって)
梨子(偏差撃ちに偏差撃ちを重ねた人数の有利をもろに受けた戦いだった、放たれた銃弾は果林さんの手じゃ止めることも出来なくて、前転回避を終えた直後にはもう迫ってた銃弾だったから私も回避が出来ない)
梨子(見える射線は私の頭を射貫いてる)
梨子(流石に急ぎすぎたかな…最後になって自分の行動に対して反省をした)
梨子(だけど、これでよかったんだと私は思う。元々私の人生なんて腐ってたものだ、アンドロイドを殺す為だけに生きている私は元々死ぬべき存在なのだ)
梨子(…それに花陽ちゃんを守る為に、鞠莉さんからの任務な為に、私が出来ることを尽くして死ぬのなら戦人冥利に尽きるまでだ)
梨子「…はぁ」
梨子(死を受け入れた私は小さな溜め息と共に目を閉じた)
944 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 21:55:58.84 ID:raJY7OxV0
穂乃果「させないっ!」バンッ
カンッ!
梨子「!!」
梨子(一つの銃声と同時に私の目の前で飛び散る火花と甲高い音に目を見開いた)
梨子(そして見開いて尚意識があって、自分の手を開いて閉じてを繰り返しててようやく自分が生きてることに気が付いた)
梨子「あなたは……」
穂乃果「…助けたわけじゃないよ、ただ目の前で人が殺されてるのを見ていい気分になる人はいないから」
梨子「……ありがとう、穂乃果ちゃん」
梨子(突然現れた穂乃果ちゃんは私に飛んでくる銃弾を穂乃果ちゃんの放った銃弾で跳ね飛ばした)
梨子(アンドロイドだから射撃の精度はもちろんその弾速を機械的に見て自分がどこにどのように撃てば目的が銃弾と接触するかが分かる。だから穂乃果ちゃんはそれを実行して私を助けてくれた)
梨子(その時の穂乃果ちゃんのクールな眼差しといったら痺れてきちゃって、これが軍神たる所以なんだなって思った)
梨子(強いだけが全てじゃないって)
945 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 21:58:06.97 ID:raJY7OxV0
ことり「こっから逆転だよっ」
穂乃果「絶対に勝つ」カチャッ
英玲奈「…軍神と南ことりが来たことは正直驚いたが、そろそろ時間のようだ」
穂乃果「…!」
ことり「この声…」
果林「何?どういうこと…?」
ツバサ「聞こえる?この歓声」
ツバサ「東京ドーム以上に人を動かしたこのライブの歓声はかなり離れたここまで聞こえてくる凄まじいものよ」
ツバサ「そしてその歓声の元である歌、そして人物————」
ツバサ「——————孤独なheaven、小泉花陽」
946 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 21:59:53.32 ID:raJY7OxV0
ツバサ「…あんじゅ!」
あんじゅ「了解よ」カチャッ
ことり「! 待って!」ダッ
梨子「それはダメ!」ダッ
果林「撃つ気!?させないわ!!」
あんじゅ「ほいっと」ポイッ
ことり「っ!グレネード!?」シュッ
果林「ちっ…」シュッ
梨子「わっ…」
梨子(スナイパーのアンドロイドはスナイパーを構えるのではなくて腰にかけてあったグレネードを投げて私たちを注意と視界を奪った)
梨子(そのせいであのアンドロイドを止めるべくして動く足も止まり、トリガーを引くためにある手もグレネードの爆破範囲から外れるのに精一杯で手を動かすことが出来ず、突然の不意打ちグレネードにみんな怯んでしまった)
947 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 22:01:03.18 ID:raJY7OxV0
穂乃果「そんなの希ちゃんに比べたら手品にも届かないよ!!」ダッ
英玲奈「無駄だ」バンッ
穂乃果「舐めないで!」シュッ
梨子(だけど、穂乃果ちゃんだけは足も手も止まらずにあのスナイパーのアンドロイドに牙を向けた)
梨子(もうすぐ爆発するというのにそれすらも恐れずに、転がるグレネードを蹴ってグレネードを相手に返却した)
梨子(これが軍神たる所以……その勇ましくグレネード如きで怯まない姿は私たちとの格の違いを知らしめている気がした)
948 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/10/14(月) 22:01:27.44 ID:/GuFGKn50
もう今日の更新は無さそうだな
949 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 22:02:29.90 ID:raJY7OxV0
ツバサ「流石軍神だけど、それも無駄よ」
穂乃果「偽物…!?」
ツバサ「惜しかったわね、もしこれが本物のグレネードだったら私たちは死んでいた。けど生憎そんな危険性を秘めたグレネードを投げるほど私たちはバカじゃないの」
穂乃果「ッ……!」
梨子(穂乃果ちゃんが決死の判断で蹴り返したグレネードは着弾しても地面に転がるだけだった、ピンはちゃんと抜かれてるのに、でもそれはただのおもちゃで——私たちはまんまと嵌められた)
あんじゅ「さよなら東京の歌姫!!」ドォンッ!
ことり「あ………」
梨子「そんなっ…」
穂乃果「間に合わなかった…!!」
果林「……くそっ」
梨子(凄まじく低い銃声がビルからこの摩天楼へ響くと聞こえる絶望感)
梨子(ファンの人が騒いでる。穂乃果ちゃんは強く握った拳を下げて悔しさが隠しきれてない、果林さんも下を向いて喋らないまま、ことりちゃんに関しては崩れ落ちてる)
950 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 22:03:28.89 ID:raJY7OxV0
梨子「…鞠莉さん」
梨子(一人虚しく呟いた)
梨子(鞠莉さんは今どういう反応をしてるんだろう、気になるけど考えたくない)
梨子(私自身、鞠莉さんの命令だからっていう理由以上に花陽ちゃんを守りたかった)
梨子(それなのに守れなかった)
梨子「……鞠莉さん」
梨子(……この場に残るスナイパーの銃声は、私の心にいつまでも悔しさという残響を発生させていた)
951 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 22:05:09.15 ID:raJY7OxV0
〜四分前
タッタッタッタッ
絵里「どうやってステージまでいくの!?私この会場全然知らないわよ?」
鞠莉「もう時間がないわ!とりあえず入って関係者用のところからステージ裏まで突っ走りましょう!」
ルビィ「そんな許可も無しにいって大丈夫なの?」
鞠莉「そんなこと気にしてる場合じゃないわ!」
『————見つめることも、迷惑ですかと…』
絵里「なんか会場外なのに人いっぱいじゃない!?」ピタッ
鞠莉「会場内にいなくても花陽の声は聞こえるからそのおこぼれを狙ってこうして集まるのよ!」
ルビィ「どうやっていくの…?」
鞠莉「正面突破しかないでしょ!」ダッ
絵里「仕方ない…ルビィ行くわよ!」
ルビィ「え、うんっ!」
絵里(会場を前にして分厚い人混みと遭遇した私たちは一斉に足を止めた。迂回は多分出来るけどそんなことしてたら曲が終わる、ここは正面から行くしかなくて考える暇もなく鞠莉は止めた足を再び人混みの方向へ動かし始めた)
952 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 22:05:55.79 ID:raJY7OxV0
絵里「ルビィ、少し私の元へ来て」
ルビィ「う、うん」
絵里(鞠莉は人混みの中へ突っ込んでいった、けど私はルビィをおんぶして会場に行くためにかかっている橋の手すりを走った)
ルビィ「え、絵里さんそれ大丈夫!?」
絵里「心配しないで!いくわよっ!」
絵里(手すりが無くなれば私はそこから大ジャンプ————人混みを一気に跳び越えてここで聞いてるファンを抑えていた警備員の列さえも跳び超えた)
鞠莉「絵里!」
絵里「ええ!」
絵里(そうして着地した頃に後ろから声が聞こえて振り替えれば警備員の抑制をスルーしてやってくる鞠莉がいて鞠莉がある程度近くにきたら再び私とルビィは走り出した)
953 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 22:07:10.27 ID:raJY7OxV0
『————放課後のバス停の前で』
タッタッタッタッ
絵里「ここからどう行くの!?」
鞠莉「ステージ前にはちょっと深い水があるから正面から花陽を助けるのは不可能よ!だからステージ裏から行くしかない!その為には入ってすぐ左にある関係者用の通路を通ってそこから花陽に近づく必要があるわ!!」
絵里「了解よ!」
「————同じクラス?隣のクラス?」
絵里(入口を超えるとライブの中継じゃなくても聞こえてくる)
絵里(心臓の鼓動と共鳴しだすこの音と声、今も上がり続ける会場のボルテージを肌で感じることができる)
鞠莉「……やはりすごいわね、花陽は」
絵里「ええ…これは心が奪われてしまうわ」
絵里(関係者用の通路を走る際に交わしたそんな言葉はすぐに花陽の歌にかき消された)
絵里(無限に広がっていく波状攻撃のような強い音色と印象を与えていくこの歌————この歌を聞けば聞くほど花陽を守らなきゃという気持ちが強くなっていく)
954 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 22:08:29.15 ID:raJY7OxV0
絵里「!!!」
鞠莉「!!」
ルビィ「ど、どうしたの?」
絵里「花陽に射線が向かってる…」
鞠莉「まずいわね…」
ルビィ「…!ならルビィが威嚇するから二人は先に行って!」カチャッ
絵里「え、でも」
ルビィ「いいから行って!花陽さんを助けるんでしょ!」
絵里「!!」
絵里(ルビィの必死の声でさえ花陽の歌声やファンの歓声にかき消されてしまう、けどルビィの思いは充分なほどに伝わった)
絵里(スナイパーのトリガーに加わる強い力はルビィの本気の表れ。普段は見せない強気な表情を私に見せることでルビィの真剣さはより分かりやすいものになっていた)
955 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 22:09:53.44 ID:raJY7OxV0
絵里「…分かった、頼んだわよ」
ルビィ「任せてっ!」
絵里(ルビィはその場で片膝を立てて向こうの屋上に向かってスナイパーの銃口を向けた。そこの角度から果たして見えるものなのか疑問なところだけど動かないということはきっと見えてるのでしょう)
絵里「行きましょう」
鞠莉「ええ!」
絵里(そうして私たちも花陽のところに向かって走る。ルビィの事や私たちの事を気にするスタッフはいっぱいいたけどそんなのに構ってられない。今はとにかく分け目もふらずに走って走って走り続けるだけだった)
『————抱きしめたい…』
絵里(悲愴感が広がるピアノの音色と哀愁漂うギターの音色が合わさり、歌もそろそろクライマックスへ入ろうとしてて、私の身体もクライマックスな汗を流してた)
絵里(そろそろ雌雄を決するでしょう)
絵里(音で切羽詰まる私の心の行方は————)
956 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 22:11:13.52 ID:raJY7OxV0
「言えないよ……」
絵里「はああああッ!」
鞠莉「もうすぐよ!!」
絵里(花陽の声にエフェクトがかかりだした。会場のボルテージもこの上ない最高潮なのが分かる、だからそのボルテージに乗せられて私たちの足もより加速していく)
「————私だけの、孤独なheaven」
絵里「…っ!!!」
鞠莉「まずい!射線がっ!!」
絵里(はっきりと見えるその射線。真っ赤な線が花陽さんの頭を貫くその様はこの瞳に焼き付いて見える)
957 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 22:12:50.76 ID:raJY7OxV0
絵里「花陽ッ!!」
絵里(クライマックスなメロディは私の限界を限界でなくしてくる。充分に加速した足は更なる加速を遂げてやっとステージ裏まで来た)
絵里(心臓に響くビート、心に刻まれたその金声、熱が迸るボルテージ、感情さえ司るメロディ)
絵里(私を本気にさせる花陽の心)
絵里(全てが合わさったカオスなフィールド————その階段を私たちは上って——)
「——————熱いねheaven……♪」
ドォンッ!
958 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 22:15:01.82 ID:raJY7OxV0
花陽「わっ!?」
絵里(広大な人口宇宙の中で響くひっくい銃声が鳴る刹那——直後、この世界で流れる時間は何もかもがスローになり、この世界からほとんどの音が消えた)
『花陽です!私…花陽って言うんです!だからもし…助けが必要だったら絶対に助けますから!』
絵里(すると、突然花陽さんの声がどこからともなくこの世界で木霊し始めた)
花陽『ふふふっ照れてる絵里さんも可愛いですね』クスッ
絵里(そして次に、いたずらっ子みたいに笑う花陽さんの顔が浮かんできた。結局、今になっても私を助けてくれた理由はよく分からない)
花陽『私、絵里さんのファンなんです!音ノ木坂高校のビューティフルスター!』
絵里(理由らしい理由も、なんだかふにゃふにゃしてて変な感じだし、やっぱり花陽さんは不思議な人だ)
959 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 22:16:04.34 ID:raJY7OxV0
花陽『だからまた今度、お会いした時はもっといっぱいお話しましょう♪』
絵里(でも…そしてだからこそ私は花陽さんを助けたいのよ)
絵里(命を助けてもらった恩があり、次を作りたい私がいる)
絵里(助けたい————抱く思いは当然鞠莉と同じ、だから鞠莉と一緒にこのステージで翔ぶの)
絵里(勢いをつけて、足にこれまでの全てを賭す。これまでの苦難を乗り越え、死を直視して、それでいてようやく手にしたこの翼の耀きで私は————)
えりまり「いっけえええええええええ!!!」
絵里(このクソみたいな東京《ミライ》を変えるのッ!!!)
960 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 22:17:02.83 ID:raJY7OxV0
絵里「はぁ…はぁ…はぁ…」
鞠莉「たす…けれた…?」
花陽「え、絵里さん…?鞠莉さん…?」
絵里「…うぅううううううう…!はなよぉ…!!」ギューッ
鞠莉「よかった…!ぐすん…よかったわ…!!」
花陽「わわわっ…ど、どうしたんですか!?」
絵里(花陽の歌声が無くなり後奏が鳴り始めた同時に飛んでくる銃弾————それを私と鞠莉で花陽に向かって飛び込み抱き着くことで回避させた)
絵里(花陽に当たらなかった銃弾はステージ後ろのモニターを割り、会場は大パニック。だけど、今も後奏として響くこのメロディは紛れもない勝利のメロディであり、今も溢れでる涙の源でもあった)
961 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 22:19:34.85 ID:raJY7OxV0
ピッ
真姫『絵里!大丈夫!?どうなった!?』
絵里「…勝ったわ、勝ったわ……」
絵里「花陽を助けれたわぁ…!!!」
穂乃果『そ、それホント!?』
絵里「ええ!やったわ!!」
ことり『よ、よかったぁ…』
ルビィ『ルビィもよかったよぉ…』
穂乃果『ごめん…止めれなくて……』
鞠莉「いやいいわ、多分あの状況じゃ私たちが行っても止めることは出来なかった。だから仕方ないことよ」
962 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 22:20:56.71 ID:raJY7OxV0
曜『おめで…とう……』
絵里「曜!?大丈夫なの?」
曜『なん…とか……ね』
絵里「そう…よかったわ……」
花陽「もしかして花陽を助ける為に……」
絵里「当たり前じゃない」
鞠莉「その為に私たちここまで本気で走ってきたんだから」
花陽「あ、ありがとうございます!」ペコリッ
花陽「花陽狙われてるなんて気付かなくて…お二人にはなんてお礼したらいいのか…」
絵里「お礼なんていいわ、それよりもこれは私と鞠莉だけの力じゃない」
963 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 22:21:48.35 ID:raJY7OxV0
真姫『…ふふふっ』
穂乃果『あははっ』
ことり『えへへへ……』
ルビィ『んふふふっ』
曜『よーそろー……』
絵里「寛容で強く、絶望にも負けなかった私の仲間や」
善子『ヨハネよ!』
果南『絵里は人に言えないことがありすぎるんだよ、抱えないで言ってよ?私たち親友でしょ?』
花丸『だからいつまでの話になるか分かりませんが、しばらくの間ここでよろしくお願いします』
にこ『あんたらを狙って悪かったって話よ、私も目が覚めたわ、あいつらとはいたくないもんでね。海未には悪いけど』
せつ菜『……とにかくよろしくお願いしますね、絵里さん』
絵里「……今、ここにはいないけど、彼女たちも寛容で強くて、私を信じてついてきてくれた大切な仲間」
絵里「そのみんなの力が合わさって花陽を助けることが出来たの」
964 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 22:23:24.32 ID:raJY7OxV0
花陽「…そうだったんですね」
花陽「あれから…また色々あって…それでも絵里さんが生きていてくれてて、花陽はすごく嬉しいです」
花陽「Y.O.L.Oが爆破されたと聞いた時は、少し不謹慎ですけど花陽嬉しかったんです。絵里さんがまだ生きてるって思って…」
花陽「だからまた…こうして会えたこと…そして助けてくれたこと…すごく嬉しい!」ニコッ
絵里(勝利のBGMがまだ響いてる。この胸に宿した勝利があまりにも大きすぎる)
絵里(後ろのモニターは黒く染まってしまったけど、それでもステージはまだキラキラしてる)
絵里(…これなのかもしれない、このキラキラ輝いた場所。この心躍る素敵な場所)
絵里(この“輝き”を私はずっと待ってたのかもしれない)
絵里(ここにいる時はアンドロイドとか人間とかどうでもよくなる気がする…いやそれは根本的にはいけないことだけど、今は…この勝利を胸に宿してる今はそれでいいのよ)
絵里(この余韻はいつまで、続くのかしら…?)
965 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 22:24:36.84 ID:raJY7OxV0
〜
ツバサ「あーあ、やり逃しちゃったわね」
英玲奈「やはりあの金髪二人は厄介そのものでしかないな」
あんじゅ「あらら、やっぱり殺し屋って難しいものね」
穂乃果「よくもやってくれたね」
果林「…正直、あなたたちの殺しに対する考え方には興味あるけど花陽を殺そうしてた以上は私たちの敵にしかなりえない、悪いけどここで死んでもらうわ」
梨子「その通りです!」
ツバサ「あぁごめんなさい、もう戦う気なんてないから」ピョーン
ことり「っ!?飛び降りた!?」
英玲奈「悪いな、だが消化不良なのはお互い様だ。ここは痛み分けといこうじゃないか」ピョーン
あんじゅ「ばいば〜い」ピョーン
966 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/14(月) 22:25:18.43 ID:raJY7OxV0
穂乃果「っ!逃がさない!」ダッ
ことり「ダメ!穂乃果ちゃん追っちゃダメ!」ギュッ
穂乃果「どうして!?あの三人はここで殺さないとまた何かするよ!?」
ことり「穂乃果ちゃんにはここから飛び降りて確実に助かる術があるの!?ここで死んじゃったらまたみんなとの出会いが消えちゃうよ!」
穂乃果「っ……」
果林「…やっぱりあの三人、謎ね」
梨子「鞠莉さんの言ってた通りのアンドロイドとして典型的な破壊衝動を抱いてますね」
果林「ええ、まぁいずれまた会うことになるでしょう」
果林「だって、彼女らもこの東京が好きなアンドロイドだから」
967 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/10/14(月) 22:26:34.91 ID:raJY7OxV0
終わりがすぐそばまで来ていてこんなこと言うのも難ですが、ちょっと三十分くらい席外します。
また戻ってきます。
968 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/10/14(月) 22:53:24.03 ID:raJY7OxV0
戻りました。
終わりはもうすぐなんですけど、このスレだけで完結出来るかは微妙で、中途半端なところで区切ってスレを立てないといけない状況にはしたくないので、この時点で次のスレを立てようと思います。
969 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/10/14(月) 22:57:26.86 ID:raJY7OxV0
絵里「例え偽物だとしても」 part2
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