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【二次創作】ダンガンロンパ Re:MIX【オリロンパ】ch.3
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1 :
◆hFluTDb/oi42
[!orz]:2019/07/28(日) 22:27:10.02 ID:RNtQXRcBO
【諸注意】
・何番煎じかもわからないオリロンパスレです
・以下の作品のリメイクとなっております。一部に軽い設定の変更が有ります
『元スレ』
【二次創作】安価で進めるオリロンパ リミックス
https://ex14.vip2ch.com/i/read/news4ssnip/1532086400/
・エタらない事を重視するため、展開等が速いかもしれません
・キャラクターは以下のスレから拝借しましたが、一部に才能や氏名の変更があります
※エタロンパのキャラを書き留めるスレ
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/17143/1499596380/l30
『プロローグ〜一章まで』
【二次創作】ダンガンロンパ Re:MIX【オリロンパ】
https://ex14.vip2ch.com/i/read/news4ssnip/1541335141/
『二章まで』
【二次創作】ダンガンロンパ Re:MIX【オリロンパ】Ch.2
https://ex14.vip2ch.com/i/read/news4ssnip/1553517832/
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1564320430
2 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/07/28(日) 22:31:05.34 ID:MYWNZgLQO
【彩海学園 生徒名簿】
【女子】
※身長や胸囲はフィーリングなのでおかしい部分は目を瞑ってください
【名前】瀬川 千早希(セガワ チサキ)
【才能】超高校級のコスプレイヤー
【身長】167cm
【胸囲】87cm
【好きなもの】クレープ
【嫌いなもの】カメラ
【名前】天地 りぼん(アマチ −−)
【才能】超高校級の家庭教師
【身長】154cm
【胸囲】64cm
【好きなもの】プラネタリウム
【嫌いなもの】宝くじ
【名前】御伽 月乃(オトギ ツキノ)
【才能】超高校級の童話作家
【身長】165cm
【胸囲】95cm
【好きなもの】雲
【嫌いなもの】尖ったもの
【名前】陰陽寺 魔矢(オンミョウジ マヤ)
【才能】超高校級のヒーロー
【身長】160cm
【胸囲】71cm
【好きなもの】竹刀
【嫌いなもの】ハムスター
3 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/07/28(日) 22:32:01.36 ID:MYWNZgLQO
【名前】古河 ゆめみ(コガ −−)
【才能】超高校級のスタイリスト
【身長】170cm
【胸囲】84cm
【好きなもの】流行りもの
【嫌いなもの】水たまり
【名前】臓腑屋 凛々(ゾウフヤ リリ)
【才能】超高校級の家事代行
【身長】163cm
【胸囲】74cm
【好きなもの】干したての布団
【嫌いなもの】火事
【名前】月神 梓(ツキガミ アズサ)
【才能】超高校級のアイドル
【身長】168cm
【胸囲】82cm
【好きなもの】ぬいぐるみ
【嫌いなもの】パクチー
【名前】照星 夕(テルホシ ユウ)
【才能】超高校級の柔道家
【身長】158cm
【胸囲】92cm
【好きなもの】マット運動
【嫌いなもの】避難訓練
4 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/07/28(日) 22:32:43.12 ID:MYWNZgLQO
【男子】
【名前】御伽 朝日(オトギ アサヒ)
【才能】超高校級のショコラティエ
【身長】170cm
【胸囲】76cm
【好きなもの】ハートマーク
【嫌いなもの】猫
【名前】駆村 沖人(カケムラ オキト)
【才能】超高校級の地域振興委員
【身長】187cm
【好きなもの】時雄島
【嫌いなもの】嵐
【名前】神威 スグル(カムイ −−)
【才能】超高校級の???
【身長】160cm
【好きなもの】マカロン
【嫌いなもの】抹茶ラテ
【名前】竹田 紅重(タケダ ベニシゲ)
【才能】超高校級の玩具屋
【身長】196cm
【好きなもの】狩猟
【嫌いなもの】ハイテクノロジー
5 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/07/28(日) 22:33:26.71 ID:MYWNZgLQO
【名前】吊井座 小牧(ツルイザ コマキ)
【才能】超高校級のイラストレーター
【身長】176cm
【好きなもの】日陰
【嫌いなもの】〆切間近
【名前】デイビット・クルーガー
【才能】超高校級のプロファイラー
【身長】184cm
【好きなもの】統計学
【嫌いなもの】イエダニ
【名前】飛田 弾(トビタ ハズム)
【才能】超高校級のダンサー
【身長】190cm
【好きなもの】美しいもの
【嫌いなもの】もんじゃ焼き
【名前】御影 直斗(ミカゲ ナオト)
【才能】超高校級の幸運
【身長】168cm
【好きなもの】醤油ラーメン
【嫌いなもの】ピーマン
6 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/07/28(日) 22:34:19.85 ID:MYWNZgLQO
※
頭痛が痛い。……間違えた、頭が痛い
ガンガンとハンマーを打ち付ける様な鈍い衝動。目の奥では、チカチカとした赤が瞬いている
逃げる様にギュッと目を瞑り、布団を頭から被る。……結論から言うと逆効果だった
この痛みは外からじゃなくて中から……私の内側が原因。心の中から響いてくるモノ
逃げ場を失った鼓動は頭の中を反響して、更に強い情動となって私の中を蹂躙していく
悪循環の無限ループ。これを断ち切るには、逃げるよりも根本の原因を探った方が早そうな気がする
……考えるまでも無いか。学級裁判、オシオキ、私はクロである彼女に、確かに親近感を抱いたんだ
自分を偽り続けて、本当の自分を見失う。ゲームや漫画ではよくあるシチュエーションだけど、実際にそんな人はいない
けど、クラス。ひいては社会という大きな一組織の中で生き残る為にはキャラを作るのは必須でもある
臓腑屋さんはきっとそんな人だったんだ。それに、私だって皆には言えない秘密が……
「……今何時?」
小難しい事を考えていたら、とろんとした睡魔の気配を察知する
時計を見ると、短針は九の文字を示している。少し速いけど、もう一眠りしようかな
精神的な疲労から回復するために目を閉じる。眠りに落ちるのは、そう難しい事じゃなかった
7 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/07/28(日) 22:35:10.33 ID:MYWNZgLQO
※
〜学級裁判数時間前〜
古河「御影ぇ……きちっと話してもらおか?」
御影「うわぁああ!! 来るんじゃかったー!」
デイビット「ハ、ハ、ハ。お手柔らかに頼もうカ、ここは懇親の場である故にネ」
月神「そうね……ふふっ、皆楽しそうで嬉しいわ」
駆村「………………」
駆村「悪いな、スグル。俺はお前に投票して……」
スグル「い、いえ! 大丈夫ですよ。それに、僕の為を思ってしてくれたんですから」
スグル「それに、駆村さんは秘密が見たいだけなんですよね? 僕が嫌いなんじゃなくて嬉しいです」
駆村「……俺が言える事じゃないが、スグルはもう少し人を疑った方がいいと思うぞ」
スグル「?」
駆村「それで、スグルの秘密なんだが……やっぱり才能の部分は塗り潰されていたからわからないな」
スグル「そうですか……どうして僕だけ才能を隠すんでしょう?」
駆村「さあな……それと、秘密に書かれているものなんだが」
駆村「『新世界プログラム』って、何の事だ?」
スグル「さあ………?」
8 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/07/28(日) 22:38:34.45 ID:MYWNZgLQO
【Chapter3】
善悪インヤン双方の悲願
9 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/07/28(日) 22:39:30.29 ID:MYWNZgLQO
※
月神「……………………」
竹田「……………………」
御影「……………………」
古河「……なあ、もうええんと違うか?」
月神「もう少し待ってましょう。もしかしたらそろそろ来るかも……」
古河「もう昼過ぎや! ええ加減にせえ!!!」
ぼん。と大爆発。ゆめみが怒っている。……無理もない
飛田「ぐぅおぅ……! 脳にキーンと来るぞ……!」
古河「じゃかあしいわ! そもそも瀬川はいつまで寝とるんや! おかしいやろ絶対に!」
朝日「あは。きっと疲れちゃったんだねぇ」
竹田「疲れてるの範疇か? 寝付きがいいとかそういう次元じゃねえだろうよ」
古河「もう我慢出来ひん、ウチらだけで新しい階を探索するで!」
……ゆめみは早く探索したいみたい。それを全員で宥めるを、かれこれ数回はやっている
私はそれを傍目で見ながら、お菓子を口の中に詰めていた。今食べているのはお気に入りのマシュマロ
ふわふわとした感触……至福。ついついもう一つ口に運んで……
朝日「月乃ちゃあん。そのマシュマロ、私にも一個欲しいなぁ」
月乃「殺すぞ」
10 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/07/28(日) 22:41:06.09 ID:MYWNZgLQO
朝日「ふえぇ。酷いよぉ」
月乃「……頭の中に糖分しか貯まってない朝日にはまだ甘い」
朝日「昔は優しかったのにぃ……」
しゅんとした顔の朝日……私の鏡写しの様な姿の兄は、哀しそうに髪を弄る
昔の話は嫌い。昔の兄は、本当に普通の子供だった癖に。でも、小さな頃から家で本を読んでいる事が多かったはず
朝日「月乃ちゃん。皆は探索するみたいだよぉ」
月乃「……流石に、一日中待つのは非現実的」
朝日「ねぇねぇ、一緒に行こうよぉ。月乃ちゃんと二人なら安心するもんねぇ」
月乃「……一人でいって」
自分と同じ顔。自分と全く違う、媚びた性格。甘える様な声にはうんざりする
何時からだっけ。兄を避け、嫌うようになったのは
私も行こう。遅れない内に……
朝日「あれぇ、スグルくぅん。どうしたのぉ?」
スグル「えっと、前までは瀬川さんが一緒に探索に来てくれたんですけど……」
朝日「来てないもんねぇ。ならぁ、私と一緒に行かない? 私も一人なんだぁ」
スグル「本当ですか? ありがとうございます!」
朝日「えへへ、せっかくだから手を繋ごうよぅ。優しく、ぎゅって握ってあげるねぇ」
月乃「……私も行く。全く油断も隙もない」
本当は置いていきたいけど、スグルもいるなら仕方ない
なるべく早く終わらせて、好みのお菓子でも食べていよう……
11 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/08/03(土) 20:04:39.94 ID:GxwKatA3O
※
月乃「……ついた」
スグル「はぁ、はぁ……すみません。少しだけ休憩させてください……」
月乃「……軟弱。もっと体力をつけるべき」
朝日「辛いならぁ、私に掴まっててもいいよぉ?」
スグル「だ、大丈夫で……うわっ!?」
朝日「うふふ。バテちゃったんだねぇ、私が支えてあげよっかぁ?」
朝日「ねね。やっぱり私と手を繋ごうよぅ。スグルくんは私の事、好きだもんねぇ〜」
スグル「えっと、はい……」
月乃「……付き合わなくていい。無視が一番」
月乃「……朝日には関わらない方がいい。お互いにとってもそれが最善」
朝日「あは。月乃ちゃん、もしかしてスグルくんに嫉妬しているのぉ? 可愛いなぁ〜」
月乃「……止めて」
朝日「月乃ちゃんも大好きだよぉ。一緒に手を繋ぐのってぇ、幾つ以来だっけぇ?」
月乃「朝日!」
朝日「ごめんなさぁい……」
スグル「あ、あの……二人とも、僕の事を心配してくださってありがとうございます」
スグル「もう大丈夫ですから……行きましょう」
朝日「えへぇ、どういたしましてぇ〜」
月乃「……礼には及ばない。早く行った方がいい」
12 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/08/03(土) 20:05:32.78 ID:GxwKatA3O
※
古河「お、珍しいやん。月乃もおるんか?」
月乃「……珍しい?」
飛田「朝日とスグルは仲が良いじゃあないか。他にも千早希とも一緒にいるな」
飛田「何故オレでは無いのだ……ぐぬぅぅぅ……」
古河「オマエウザいからに決まっとるやろ……」
……知らなかった。確かに、私は朝日を避けていた
けど、いつの間に……スグルには後で言おう
朝日「道具がいっぱい置いてあるねぇ。ここは何の部屋なのぉ?」
飛田「工作室だそうだ。月乃もふとした日常で、小道具やインテリアが欲しくなる時があるだろう?」
古河「そん時はここでチャチャッと造ればエエって事やな! DIYとか楽しそうやろ?」
飛田「フッ、日曜大工なんていうみっともない真似死んでもしたくないなぁ」
朝日「私も汚れちゃうしぃ……」
スグル「僕も少し……」
古河「なんなんオマエら!? 幾らなんでも男の癖に非力過ぎるやろ!」
朝日「オトコノコだもん……」
月乃「……わかった。次に行く」
朝日の手を引っ張って外に出る。その後ろをスグルがわたわたとついてきた
13 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/08/03(土) 20:08:20.23 ID:GxwKatA3O
※
月神「あら。三人とも、いらっしゃい」
朝日「わぁ、可愛いお洋服……私、ちょっと着てみようかなぁ」
月乃「……着たら二度と服が着られない体にする」
スグル「どういう事ですか……」
御影「ここは被服室だってさ! つまらないよね」
朝日「私は綺麗なお洋服が見れて幸せだよぉ?」
月乃「……服を選ぶ楽しみもわからないの。哀れ」
御影「なんでそこだけ意気投合するのさ!?」
月神「それにしても……今日は、月乃さんも二人と一緒にいるのね」
月乃「……今日は?」
月神「私の主観だけど……普段、朝日君はスグル君と一緒にいる事が多いの」
月神「二人ともとても仲が良くて……見てる私まで笑顔になるわ」
月乃「…………そう」
スグル「あれ? 月乃さん、どうしました?」
月乃「……次に行く。きたかったら好きにして」
朝日「あぁん、待ってよぉ〜」
14 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/08/03(土) 20:12:44.65 ID:GxwKatA3O
※
駆村「お、今日は月乃もいるのか。珍しいな」
月乃「……いたら悪い?」
駆村「いや、そんな事は無いんだが……」
駆村(なんか……やけに機嫌が悪くないか?)ヒソヒソ
スグル(さあ……?)ヒソヒソ
月乃「……ここは科学室。実験器具が置いてある」
朝日「わぁ〜お薬がいっぱいだぁ。ビタミン剤あるかなぁ?」
スグル「ビタミン剤、飲むんですか?」
朝日「栄養価がどうしても偏っちゃうからねぇ。外から摂取しないとダメなんだぁ」
竹田「止めとけ止めとけ。栄養ってのはメシを食わねえと摂った気分にならねえだろ?」
スグル「そういうものなんですか……?」
竹田「それに、ここにあるのは全部劇薬だ。下手に飲むとお陀仏になるぜ」
スグル「そっちを先に言ってください!」
駆村「まあ、ご丁寧にどの毒薬にも対応する解毒薬が置いてあるからな。最悪、ここまで取りに来れば問題は無いか」
竹田「つっても即死寸前まで持っていく奴もあるからな。下手なモンは口にすんなよ?」
朝日「はぁい。わかりましたぁ」
朝日「でもでもぉ、私の作るお菓子は愛情たっぷりだから甘くて美味しいよぉ〜」
月乃「……余計な事は言わなくていい」
スグル「あはは……」
15 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/08/03(土) 20:13:42.86 ID:GxwKatA3O
※
月乃「……ここで、最後のはず」
朝日「ここはぁ武道館だってねぇ」
スグル「凄いですね……凛とした空気を感じます」
照星「お! スグルんに先輩達、せっかくだしここでお茶でも飲んでいくっすか?」
照星「自分、こう見えても茶道をちろっと習ってたんっすよねー。天地先輩ともそれで仲良く話してたんっすよ!」
スグル「あ……。……ごめんなさい」
照星「別に謝る必要なんてないっすよ! 自分も、先輩達の背中を見てきてるんすから」
照星「もし、先輩達が間違っても自分はそれを理解したいっす……自分頭はよくないっすけどね!」
スグル「そんな事……素晴らしいと思いますよ」
照星「にひひっ! 素晴らしいなんてスグルんらしくない事言うもんじゃないっすよ! わしわし」
スグル「頭を撫でないでくださーい!」
16 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/08/03(土) 20:15:04.25 ID:GxwKatA3O
月乃「……ところで、あれは?」
陰陽寺「…………………………」
照星「なんか精神を統一するから話しかけるなって言ってたっすよ。武道家みたいっすね!」
朝日「それ、照星さんが言うのぉ……?」
照星「自分はゆるーくやるタイプっすから!」
月乃「……スタンスは人それぞれ。それを否定するのは良くない事」
朝日「今は多種多様なライフスタイルを尊重する事が大切だもんねぇ」
スグル「多種……えっ?」
照星「ら、らい……? って何っすか?」
月乃「……人の価値観を大切にするべき」
月乃「但し朝日はダメ」
朝日「そんなぁ〜……」
月神「皆、そろそろ集まるわよ」
スグル「はい!」
照星「陰陽寺先輩、もう終わりっすよ!」
陰陽寺「……………………」
月乃「……聞いていない」
月神「仕方無いわね……それじゃあ、陰陽寺さんには私から伝えておくわね」
朝日「それじゃあ行こっかぁ。皆が待ってるもんねぇ」
17 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/08/15(木) 13:38:40.43 ID:CZMuodwSO
※
駆村「結局、今回も成果は無しか……」
月乃「……モノクマも私達に反撃の手段は与えないはず。そういう意味では価値はあった」
古河「どこがやねん! 無意味やろこんなん!」
飛田「おいスグルッ、さっきから姿が見えないが、魔矢は何処に行った?」
スグル「それが……話を聞いてくれなくて……」
飛田「フン、役立たずめッ! お前の様な素性不明の人間の話を聞く奴がいないのは当然の事!」
飛田「思えば……才能の一つも話せない貴様なぞに頼った我々が間違っていたなッ!」
スグル「ご、ごめんな……」
朝日「飛田くん。それは酷いなって思うよぉ?」
照星「そーっすよ! それに、スグルんだけじゃなくって自分達もいたんすよ?」
竹田「虫の居所が悪いのはわかるけどよ、誰かに当たるのは良くねえよ」
飛田「……クッ!」
……ピリピリしているのが黙っていてもよくわかる
そろそろ他人への不満が噴出する頃。どこかで息抜きをするべきかもしれない
月乃「……朝日。…………朝日?」
18 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/08/15(木) 13:39:47.52 ID:CZMuodwSO
朝日「スグルくぅん。大丈夫ぅ?」
スグル「は、はい! 僕の事はご心配なく……」
朝日「心配するよぉ。スグルくん、見てて不安になるんだもん」
スグル「そ、そうですか……?」
朝日「……ねぇ、スグルくんって家族の事は覚えているのぉ?」
スグル「家族……ですか? ええっと……」
スグル「……確か、お姉さん。それと、お兄さんがいた気がします」
朝日「わぁ〜! スグルくんって末っ子なんだぁ」
スグル「二人とも、僕にとても優しくしてくれたんです。色々な事を僕に教えてくれて……」
朝日「スグルくん。お兄さんとお姉さんが好きなんだねぇ〜」
スグル「はい! ……でも、今は少し寂しいです」
朝日「あは。そうだよね……そうだぁ! 私の事、本当のお兄さんだと思ってもいいよぉ?」
スグル「え……? 朝日さんを、お兄さんに……?」
朝日「私ねぇ、ずーっと弟も欲しいなって思っていたんだぁ。オトコノコなら一緒に色々出来るもん」
朝日「月乃ちゃんもぉ、きっと喜んでくれると思うんだぁ。ね、私達の弟に……」
月乃「……勝手に決めないで」ゴツンッ
朝日「きゅう!?」
スグル「月乃さん!?」
月乃「……変な事を教え込まないで。兄さん」
月乃「……スグル。こっちに来て」
スグル「は、はい……」
19 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/08/15(木) 13:42:35.30 ID:CZMuodwSO
月乃「……………………」
スグル「あ、あの……月乃さん……」
スグル「もしご気分を害されたらすみません。僕が変な事を言ったせいで……」
月乃「……スグルが謝る必要は無い。悪いのは、全て私の兄」
月乃「……兄の下らない妄想に付き合わせてしまって、申し訳無い」
スグル「そ、そんな事は無いですよ!」
月乃「……朝日は昔からそうだった。いきなり勝手な事を言い出して……」
月乃「人の事を考えているふりして、結局は自分の事だけが大切なんだ。兄さんは」
スグル「……月乃さん?」
月乃「……なんでもない」
……珍しく熱くなってしまった。少しだけ
朝日「頭痛いよぅ……」
月乃「……自業自得」
スグル「怪我は……してませんね。よかったです」
「あ、あのー……」
瀬川「お、おはようございまーす……」
「「「………………………………」」」
20 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/08/15(木) 13:44:53.53 ID:CZMuodwSO
※
瀬川「あ、あはは……」
……視線が痛い。というか身体が若干軋んでる
理由はわかっている。単に同じ姿勢で寝続けていたから。……要は寝過ぎだ
視線の方はもっと単純。”お前何してたの?”という声が聞こえてきそうに呆れられていた
瀬川「その〜お腹すいちゃって、今何時かなーって思って起きてきたんだけど……」
月乃「……今、何時?」
瀬川「ん〜大体……六時くらい?」
古河「朝のか?」
瀬川「夕方のです……」
駆村「お前この時間まで寝てたのか……?」
瀬川「疲れてたんだもん!」
私だってずっと寝てた訳じゃないし……ただ、”まだ余裕あるかな〜”って思ってただけだし!
……二度寝しなきゃよかったかなぁ
月神「ま、まあいいじゃない。ご飯、食べる?」
瀬川「食べる!」
古河「動物かオマエは!」
仕方ないじゃんお腹減ってたんだし! 月神さんの渡してくれたご飯を口に頬張る。美味しい……
空腹に満たされていく幸福感。それに浸っていると聴こえてくるのはノイズの音……ノイズ?
振り向くと、砂嵐の映ったモニターが。それが意味する事を理解すると……がっくりと肩を落とした
21 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/08/15(木) 13:46:41.11 ID:CZMuodwSO
※
〜〜〜♪
ハルカ『よい子の皆ー! ココロオドルTVの時間だよー!』
ヨウ『ちゃんとコロシアイ学園生活をエンジョイしているな? 探索も既に終えたみたいだしな』
ハルカ『学園に眠る謎……ドキドキするね!』
ヨウ『それはただの動悸だろ』
ハルカ『動悸息切れには! 救sヨウ『もうそのネタは飽きてるんだよ!』
ハルカ『ちぇ。ならさっそく学級裁判を乗り越えた皆にプレゼントをあげようかな』
ヨウ『疲労も溜まってきたであろう中盤戦。そんなお前らに”大浴場”を解放しておいたぞ』
ハルカ『大浴場は一階の突き当たりにあるからね。すぐにわかると思うけど』
ヨウ『深い湯船にゆっくり浸かって、常日頃のストレスでも解消してくるといい』
ハルカ『それに、裸の付き合いってあるしね! 私も温泉ロケに呼ばれたかった……』
ヨウ『セル画だから水に浸かるとアウトだぞ』
ハルカ『……………………』
ヨウ『……………………』
『『鮮やかな!!!』』
ハルカ『遥かな明日を!』ヨウ『見届けよう!』
ハルカ『バイバーイ! 私も温泉入りたかった!』
22 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/08/15(木) 13:51:07.65 ID:CZMuodwSO
※
駆村「で、これからどうするんだ?」
月神「そうね……もう夜のご飯も終わったし、一度皆は部屋に戻って……」
御影「え〜せっかくだし大浴場行こうよ〜!」
飛田「そうだッ! ここにいる美女達の裸をこの眼に納める使命がオレにはあるッ!」
古河「言うと思うたわ……行くわけあらへんやろ」
月乃「……動機が不純。認めたくない」
竹田「あ〜……ちっと待てよ?」
竹田「そもそもの話なんだがよぉ、その大浴場ってどこにあんだ?」
スグル「確かに……見ていないですね」
朝日「瀬川さん。ここに来る時に見たぁ?」
瀬川「え……? ん〜……見てないと思うけど……」
少しぽわぽわとしていたけど、流石にそんなモノがあればここに来る時に気づくはずだもん
そもそも、そんな場所あった? 初めて聞いた場所なんだけど……?
照星「じゃあ探しに行くっすよ! もしかしたら、単に見逃しただけかもしれねーっすからね!」
古河「それはありそうやな……瀬川やし」
瀬川「無かったはずなんだけどなぁ……」
23 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/08/15(木) 13:55:00.41 ID:CZMuodwSO
※
古河「……で、ちっと歩いたワケやけど」
古河「あるやんけ! あるやんけ! 大浴場目の前にあるやんけ!!」
瀬川「あれ〜……? おっかしいなぁ……」
まさか本当にあるとは思っていなかった……というか、何で急に大浴場なんて出てきたの……?
確かにさっき通った時には、こんなものは無かったハズなのに、まるで急に生えてきたみたいな……
御影「まぁまぁいいじゃん細かい事はさ! 早く皆でお風呂入ろうよ!」
古河「入らん言うとるやろ! クドイわ!」
朝日「私はやってみたいなぁ……裸のおつきあい」
月乃「独りでやってろ」
月神「そうね……せっかく解放されたのだし、一度くらいなら入ってみましょう」
御影・飛田「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」
月神「ただし、男女は別けさせて貰うわね」
御影・飛田「「うわあああああああああああああああああああ!!!!」」
キーンと耳をつんざく絶叫。この世の終わりみたいなシャウトに、殆どは耳を塞いでいた
照星「あ、頭っ。頭に響くっすぅ……」
竹田「あーこりゃキツいな……うし。んじゃ野郎衆は戻るとするかね。行くぞ坊主共」
男子達が去っていく。残されたのは女の子だけだ
瀬川「……そう言えば、陰陽寺さんはいいの?」
古河「呼んでも来ぇへんやろどうせ」
そりゃそうか。丁度、さっきので変な風に汗もかいちゃったしお風呂に入るにはいいタイミング
大きなお風呂……どんなだろう? 楽しみだなぁ……!
24 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/08/15(木) 13:56:38.72 ID:CZMuodwSO
※
御影「……女子の皆はもう入ったかな?」
飛田「そうだな……そろそろ頃合いだろう」
朝日「御影くぅん。何の話をしているのぉ?」
駆村「……まさか、お前たち覗きに行く気か?」
御影「当然だろ! 何のために大浴場が用意されてると思ってるんだよ!」
スグル「えぇ!? そんな事は駄目ですよ!」
飛田「あくまでも崇高なる芸術的探索であり、断じて低俗な目的な覗きではないッ!」
朝日「本当かなぁ?」
御影「で、ボクと飛田クンと駆村クンとスグルクン以外の二人は来るの?」
スグル「ボク達は確定なんですか!? 嫌です!」
御影「ケッ、ノリ悪っ!」
飛田「もういい。貴様の様な男とも女とも取れない未熟な肉体の子供を同行させるのが間違いだッ!」
駆村「……なんだか、やけに仲がいいな」
御影「当たり前だろ! どれだけの時間を過ごしたと思ってるんだよ!」
飛田「オレ達は既に目的を同じとする同士! 仲違いなど起こす理由があるものか!」
御影(いざって時には飛田クンのせいにすればいいしね!)
飛田(仮にバレてもこいつの責任にすればいいだけだしなッ!)
駆村(絶対にろくでもない事を考えているな……)
25 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/08/15(木) 13:58:59.72 ID:CZMuodwSO
御影「で、他の二人はどう?」
朝日「遠慮したいかなぁ。皆に悪いしねぇ」
スグル「朝日さんの言う通りですよ!」
朝日「それにぃ、私は女の子よりぃ……ううん。何でもないやぁ」
御影「……ホントに?」
スグル「た、多分……」
竹田「あー……俺も辞めておくわ」
御影「えー!? 何でですか!?」
竹田「いやな……俺も坊主みてぇにまだ若ぇなら、まだ若気の至りで済むんだけどな……」
竹田「今の俺がやると、マジで洒落にならねえ犯罪になるんだよな……」
「「「あぁ……」」」
御影「じゃ、じゃあボクと飛田クンと駆村クンで行く事にしようか!」
駆村「いや、俺も出来ればいきたくないんだが」
飛田「フン、ヘタレが……ッ」
駆村「そうじゃないだろ……今、俺達は共同生活をしているのに相手に不安を与えてどうする?」
駆村「女子達もきっと不安なんだ。それなのに俺達が更に迷惑をかけられないだろ?」
スグル「そうですよ。駆村さんの言う通りです」
御影「うっ……それを言われると……罪悪感が……」
駆村「そもそも、俺には許嫁がいるからそんな事をする訳には……」
朝日「え? 許嫁……?」
駆村「あ」
御影「ちょっとちょっとどういう事だよ!? 駆村クン、彼女いるのかよ!?」
飛田「その話……詳しく聴かせて貰おうッッッ!」
26 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/08/15(木) 14:01:45.31 ID:CZMuodwSO
※
瀬川「おお。結構本格的……」
檜のお風呂。でいいのかな……? テレビで見た、旅館みたいなおっきな温泉
ちゃぷんと湯船に手を入れてみると、丁度いい温度のお湯が包み込んでくれた
照星「ひゃー! おっきいっす! 何だか泳ぎたくなっちゃうっすねー!」
月神「ダメよ。お風呂はゆっくり、百まで数えて肩まで浸からないと」
古河「オカンか! そんな長く入ってられんわ!」
月乃「……凄く大きい。胸がドキドキしている」
瀬川「わかりみが深いよ……大きなお風呂って、なんかドキドキしてくるよね!」
心なしか、皆のテンションもハイになっている気がする。私も何だか心が踊るなぁ!
あっ、そうだ。お風呂と言えば、当然あのイベントが起きるはず……
瀬川「そうそう。もし男子の皆が覗きに来たらどうする?」
古河「瀬川突き出しとけばええやろ。エロい自撮り撮るの好きそうやしな」
瀬川「やってないよ! 私は100%健全だもん!」
照星「でも興味はあるんすよね〜?」
瀬川「ノーコメントでお願いしまーす……」
エッチな自撮り……やってみたらフォロワー増えるかな? でも身バレした時のリスクがね……
それに、そんな事しなくても私は皆に見て貰える。うん、大丈夫だよ。多分……
月神「うふふ、仲が良いわね。それじゃあゆっくり入りましょう……」
27 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/08/15(木) 14:02:41.63 ID:CZMuodwSO
※
瀬川「ふぃ〜……」
とぷん。とぷんとお湯に沈む。滑らかなヴェールを纏わせるように、周囲の水を編み込んでいく
身体にまとわりつく感触が心地いい。暖かなお湯に迎えられて、凝り固まった私の意識は解れていった
どろどろになりそうな温度の中、私の意識も、トロトロに溶けていって……
照星「ひゃっほーう!」
瀬川「うぎゃっ!?」
月神「照星さん! 飛び込んじゃダメよ!」
照星「にひひひっ! スゲーっす! 凄くキモチイイっすよ、このお風呂!」
月乃「……同感。でも騒がしいのは止めてほしい」
古河「照星、月乃、お前らこっち来たらシバき倒すから覚悟しとけや」
照星「月乃先輩のおっぱい柔らけーっすね……指が沈んじゃうっすよ」モミモミ
月乃「……夕こそ。弾力とハリがしっかりしてる。健康的な肉体の証」モミモミ
瀬川「うぅ……私もそっち行こっかな……」
古河「瀬川もや。その胸引きちぎるで」
瀬川「ダイレクトに言った!? って痛い痛い痛いそこつねんないで、揉まないで!!」
古河「別にええやろ腹くらい! 見た目と雰囲気がアホっぽいクセに案外締まっとんなお前なぁ!」
なんなのそれ!? 体型が崩れない様に調整するのはレイヤーの嗜み……っておへそ穿らないで!?
月神「み、皆楽しそうね……でもそろそろ止めた方がいいかしら……?」
28 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/08/15(木) 14:04:08.18 ID:CZMuodwSO
※
御影「……見える?」
飛田「見えんな」
駆村「くそっ、見れないならもういいだろ……」
御影「そんな事ないよ! 許嫁の事皆にバラしてもいいのかよ!」
飛田「いやぁ驚いた。これが知られたらどんな風に見られるかなぁ?」
駆村「止めてくれよ……」
御影「でもおっかしいなー……なんかやけに湯気が多いと思うんだよな……」
飛田「声もくぐもっていて何を話しているかさっぱり聞こえん。どうなっている……」
「おい」
御影「何だよ駆村クン。バレるだろ!」
飛田「少し黙っていろッ、オレは今崇高な目的の為に全神経をすり減らしているのだッ」
駆村「は? 俺は何も言っていないぞ」
飛田・御影「「は?」」
「おい。もう一度だけ言う」
陰陽寺「邪魔だ、そこをどけ」
「「「…………………………」」」
29 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/08/15(木) 14:05:19.41 ID:CZMuodwSO
「ぎゃああああああああああっっっ!?!?!?」
月神「!? な、何!?」
瀬川「今のって……男子の声、だよね?」
古河「アイツら、まさか覗いてたんか!? 絶っ対許せへん!」
月乃「……でも、ならどうして悲鳴を?」
照星「そうっすねー。なんなら見せてあげたっすけどね! いひひ」
瀬川「呑気だね照星さん……」
陰陽寺「……………………」
瀬川「あ、陰陽寺さん来たんだ」
古河「丁度ええわ、外に男子おったやろ? そいつらは誰や」
陰陽寺「知らん。名前なんて覚えていない」
瀬川「結構時間経ってるのに!?」
月神「陰陽寺さん。別に彼らをどうこうするつもりは無いの。教えて頂戴?」
陰陽寺「御影、飛田、駆村だ」
月乃「……スラスラ答えた」
古河「あんのヤロウ……早速ぶちのめしたるわ!」
瀬川「絶対どうこうするつもりだ……あ、私もそろそろ出るね」
月神「そうね……ごめんなさい陰陽寺さん。ゆっくり浸かっていってね」
陰陽寺「言われなくてもそうするつもりだ」
ふいっと素っ気なく顔を背けて、お湯の中に浸かる陰陽寺さん
気のせいかもしれないけど……その顔は普段よりも穏やかに見えた
30 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/08/15(木) 14:07:19.68 ID:CZMuodwSO
※
スグル「あの……どうして三人は正座しているんでしょう」
竹田「察してやれ坊主。だが敢えて言ってやるなら見つかっちまったんだろうよ」
朝日「あは、皆恐ぁい。ところでねぇ、これチョコアイスなんだけど、食べてみるぅ?」
スグル「あ、いただきます……」
※
御影・飛田「「こいつが首謀者です」」
古河「そうなんか? 駆村?」
駆村「ふざけるな! 俺は無理矢理付き合わされただけだ!」
月乃「……でも、一緒に私達の裸を見た」
御影「見てないよ! というか見えなかったし!」
飛田「ぐうぅッ、何故あれだけ凝らしても一片も見えなかったのだ……」
照星「反省ゼロっすね。これはアウトっすよ!」
月神「でも、陰陽寺さんと約束したもの。今回の事は不問にするわ」
御影「ほ、ホント!?」
月神「だけど無罪放免にするのは出来ないから、三人は明日食堂の清掃をお願いね?」
飛田「クッ、何故オレがそんな事を……」
駆村「もう諦めろ……泣きたいのは俺の方だよ……」
この後、三人の処遇について一悶着あったけど最終的には月神さんの案で可決された
これ以上の話はまた明日に。という事で、今日の所は解散となった
……なんだか眠たくなってきたのは、お湯に浸かって気持ちよくなったからだと思いたい
31 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/08/15(木) 14:08:13.52 ID:CZMuodwSO
月神「皆、お休みなさい。私はもう少しだけ食堂にいようかしら……」
月神「……あら? これは……”勾玉”? いったい誰のものなのかしら……」
32 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/08/20(火) 21:44:49.21 ID:pBsD3Q3wO
※
朝日「スグルくぅん。こっちこっちぃ」
スグル「は、はい……あの、大丈夫なんですか?」
朝日「大丈夫だよぉ。女の子達は、もう入っているんだもん」
朝日「私達オトコノコだって……入っちゃったって問題無いよねぇ」
スグル「ところで……他の方々は?」
朝日「……えへへぇ。実はねぇ、誰にも教えていないんだよぉ」
朝日「私、スグルくんと二人っきりで入りたかったんだもん」
朝日「だから、今夜一緒にお風呂に入った事はぁ私とスグルくんだけの……ひ、み、つ。だよぉ?」
スグル「は、はい……」
朝日「それじゃあ……服、脱がせてあげるねぇ。腕をばんざーいってしてよぉ」
スグル「え……!? そ、それは流石に……!」
竹田「ん……? なんだ坊主か? こんな夜更けに何してんだ」
スグル「た、竹田さん!?」
竹田「おっ、もしかして坊主共も銭湯に用か? 若いのに風情がわかるじゃねえか」
朝日「じゃあ、竹田さんも……」
竹田「応ともよ。デカい銭湯なんざこのご時世、軒並み潰れちまったからなあ」
竹田「俺がまだガキの頃は、あちこちにあったんだけどな……っといけねえいけねえ。無駄話だな」
スグル「あ、あの! 竹田さんも一緒にどうでしょうか?」
竹田「あ? いいのか?」
スグル「はい。朝日さんも……いいですよね?」
朝日「うん。私は構わないよぉ」
竹田「有り難いねぇ。んじゃ、男だけの裸の付き合いでもやるとするか!」
33 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/08/20(火) 21:46:57.07 ID:pBsD3Q3wO
※
朝日「スグルくん。肌すべすべだねぇ」
スグル「そ、そうですか……あの、くすぐったいのでそろそろ……」
朝日「ん〜……もうちょっとだけねぇ」
竹田「よっ……と。いい湯加減じゃねえの……痛つ」
スグル「! 竹田さん。その肩、包帯を巻いているじゃないですか……!」
朝日「右腕……怪我しているんですかぁ?」
スグル「もしかして、臓腑屋さんに襲われた時に僕達を庇ったせいで……」
竹田「あー、気にしてんのか? しゃあねえだろ、反応しちまったんだからよ」
竹田「あそこでスグルの坊主らを見殺しにするなんざ大人の面子丸潰れだろ? 大人にはな、無茶してでも見栄を切るべき場面があるもんだ」
竹田「ま、何て言うかね……そんな気にすんなよ。あれは俺が好きでやった事だからよ」
スグル「……はい」
朝日「そういえば、前々から気になっていたんですけれどぉ」
朝日「竹田さんってぇ、どうしてその年で超高校級なんですかぁ?」
スグル「朝日さん、それは……」
竹田「なんだぁ? んな事が聞きたいのか。別に面白くもねえし長くなるぞ?」
竹田「けどまあ気になんなら話さねえ訳にはいかねえわな。百数えるつもりで聞いてくれや……」
34 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/08/20(火) 21:50:11.22 ID:pBsD3Q3wO
竹田「俺も昔は……坊主らと同じくらいの歳の頃は超高校級だったんだぜ?」
竹田「ま、俺の場合は親父の会社継いで発展させただけだからよ。他の連中とは事情が違うわな」
スグル「へぇ……昔から超高校級と呼ばれていたんですね」
竹田「だけどよぉ、親父が急にぽっくり逝っちまってな。今すぐにでも会社を建て直さなきゃならなくなっちまってな」
竹田「学業との両立は、どう考えても不可能だったんだ。だから俺は……」
朝日「学校を辞めて、会社に専念したんだぁ」
竹田「そういうこった。だからまあ高卒だな。俺の最終学歴はよ」
竹田「ん? 社長が高卒でもいいのかって? 俺は学歴よりも肩書きのが重要視されたのさ」
スグル「そうなんですか……」
竹田「……けどまあ、何も不都合が無いとは言え、ずっと高卒ってのはだせえだろ?」
竹田「だから、またここに来たのさ。箔をつけ直す為にな」
竹田「元々超高校級だったのも好都合だったな。鶴の一声で決まったのさ」
朝日「会社は大丈夫なんですかぁ〜?」
竹田「信頼のおける奴に任せてある。俺が帰れなくなっても大丈夫な様にな」
竹田「本当は姉貴が継いでくれりゃあ良かったんだがね……」
スグル「お姉さん。いるんですか?」
竹田「応。……ま、数十年くらい会ってねえんだけどよ」
35 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/08/20(火) 22:26:11.36 ID:iTX0uBg2O
朝日「会ってないのぉ? お姉さんなのにぃ」
竹田「ん……まあな。けど勘違いすんなよ。別に死に別れたって訳じゃあねえ」
竹田「駆け落ちしたのさ。何処の誰とも知れねえ男と、腹に身籠ったガキを連れてな」
竹田「そのせいで、親父もおふくろも姉貴の事は俺に教えてくれなかったな……勘当したらしいしな」
竹田「俺に教えてくれたのは、ガキは女で、育っていれば坊主らと同い年くらいって事しか知らねえ」
竹田「だからよ。姉貴が継げねえ以上は俺がやるしかねえ……仕方ねえ事なのさ」
朝日「でもぉ、駆け落ちするなんてすっごく情熱的なお姉さんなんだねぇ。私には出来ないかなぁ」
竹田「……朝日の坊主は月乃の嬢ちゃんと離ればなれになるの、嫌か?」
朝日「考えた事無かったなぁ……私達はずうーっと一緒にいるんだって思っていたんだもん」
朝日「小さな頃は、二人でよく遊んでたんだぁ。私が王子様で、月乃ちゃんがお姫様……」
朝日「もう、ずっと昔だから……月乃ちゃん。忘れちゃっているかもねぇ」
スグル「……きっと、月乃さんも朝日さんの事が大好きだと思いますよ」
朝日「ありがとぉ〜スグルくん、優しいねぇ」
スグル「あはは。そんな事ありませんよ」
竹田「ま。優しい所は坊主の美徳だ……そろそろ上がろうぜ。のぼせちまうと敵わねえからな」
「「は〜い」」
36 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/08/20(火) 22:28:04.36 ID:iTX0uBg2O
※
竹田「よっと、忘れ物はねえよな?」
スグル「はい。僕は大丈夫です」
朝日「私もだよぉ」
竹田「いやあ悪かったな。本当は坊主ら二人、水入らずだったんだろ?」
竹田「それをこんなオッサンが割り込んじまって、迷惑だっただろう?」
朝日「どこも迷惑なんかじゃありませんよぉ。私も楽しかったなぁ〜」
スグル「はい! 僕も、貴重なお話が聞けてとても嬉しいです!」
竹田「がっははは! そりゃあ俺も風呂に来た甲斐があるってモンだな!」
「……おい」
竹田「……あ? なんだぁ? 今の声は」
朝日「私も聞こえたけどぉ……だぁれぇ?」
陰陽寺「お前達がここにいたならちょうどいい」
陰陽寺「ここに落とし物があったはずだ。それはどこにある」
スグル「落とし物……? そんなものはありませんでしたけど……」
陰陽寺「………………そうか」
朝日「ねぇ、落とし物って何なのぉ? 私達も手伝うよぉ」
陰陽寺「必要ない。もう帰る」
スグル「あっ……! ……いっちゃいましたね」
竹田「ま、何にせよ話は明日だな……気を付けて帰れよ。坊主共」
朝日「はぁ〜い」
37 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/08/25(日) 12:48:33.63 ID:Ex8xBX3qO
※
「……んっ。ふぁああ〜」
なんだかよく眠れた気がする……温泉のお陰かな?
時計を見てみると、今は朝の六時を迎えようとしているみたい
まだ少し時間があるし、もう少し眠っていてもいいかな……
「……やっぱり、もう起きてよっと」
……いや、二度寝は間違いなく寝過ごすフラグだ
昨日はそれで酷い目にあったし……また同じ事になるのは避けたい所だ
たまには早起きして、皆を待ってもいいかもね!
そうと決まったらやる事は一つ。手早く髪を解かしていって、顔を洗う
鏡に写った私の顔は、紛れもなく今までの瀬川千早希の顔だった
38 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/08/25(日) 12:49:45.98 ID:Ex8xBX3qO
※
月神「あら……? おはよう。瀬川さん、今日は早いのね」
瀬川「まあ、たまにはいいかなって……」
駆村「せめて昨日にそう思ってほしかったよ……」
瀬川「ごめんなさーい……」
箒を持った駆村君に嫌味を言われた……よく見たら後ろで伸びてるのは御影君と飛田君だ
御影「うぅ……掃除ダルい……」
飛田「こんな地味な事……何故オレがしなければならぬのだ……」
月神「後少しよ、ファイト!」
駆村「そう言って窓拭きから廊下掃除、果ては料理の仕込みまでやらせたじゃないか……!」
瀬川「うわ、スパルタ……」
早起きして良かった。さりげに月神さんの教育方針がおっかない事がわかったんだもん……
三人が掃除しているみたいだし、私がドタバタ動くのも申し訳無いし、座って様子を観察してよう
瀬川「あ、ちょっとお水注いで貰えるかな?」
御影「それくらい自分でやってよ!?」
瀬川「いいじゃんちょっとぐらい……」
月神「あまり頼りすぎもダメよ? はい。お水」
瀬川「あ、ありが……」
「おい」
39 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/08/25(日) 12:51:39.60 ID:Ex8xBX3qO
瀬川「……っ!?」
ゾクリ。声が聞こえた途端背中に嫌な感覚が走る
聞こえてきた声には覚えがあるし、その声自体は何の感情も宿っていない
けど、発言した人……振り向かなくても理解できる程の冷たい殺気を振り撒きながら、進んで来るのがわかる
他の人も、恐る恐る声の主の方を向く。そこにいたのはいつも通りの仏頂面の……
いいや……仏頂面を通り越して怒り心頭有頂天な雰囲気を放出している……!
瀬川「お……陰陽寺、さん……?」
陰陽寺「……………………」
40 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/08/25(日) 12:53:05.54 ID:Ex8xBX3qO
御影「ヒィイイイ!!! な、何なのさ!?」
飛田「おおお落ち着け落ち着くのだ。流石に昨夜の件でオレ達を殺しに来た訳ではがぁぐ!?」
駆村「思いっきり動揺してるじゃないか! 思いっきり舌を噛んでるじゃないか!」
瀬川「あのー……私達に何かご用でも……」
陰陽寺「単刀直入に聞く」スッ
瀬川「単刀直入ってそっちの意味で!? 竹刀をこっちに向けないでよーっ!」
剥き出しの殺気と抜き身の竹刀を突き付けられる様な事をした覚えなんて無いのに!?
陰陽寺「僕の落とし物はどこだ。昨夜大浴場にいたならば、知っているはずだ」
飛田「落とし物……? そんなもの知らんッ」
陰陽寺「あの後、徹底的に学園内を捜索した。お前達が奪い取ったんだ」
御影「勝手に決めつけないでよ!? 本当にそんなモノ知らないってば!」
陰陽寺「嘘をつくな。渡さないつもりなら僕も手段を選ぶつもりはない」
瀬川「話を聞いてよ!? そもそも落とし物って何の事……」
月神「……もしかして、勾玉の事かしら?」
41 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/08/25(日) 12:54:05.91 ID:Ex8xBX3qO
陰陽寺「……!」
月神「キャッ!」
御影「月神さん!?」
陰陽寺「返せ……。それは、僕のものだ……!」
瀬川「お、陰陽寺さん……? 落ち着いて……!」
言うが速いか。目にも止まらぬ速さで距離を縮めたかと思うと、月神さんの首を握り締めている
このままじゃマズイ……下手しなくても月神さんが絞め殺される……!
飛田「ややや止めたままままま……」
駆村「もう飛田は黙っていろ! 陰陽寺、それ以上は見過ごせないぞ……!」
月神「い……今は、持ってきていない、の……」
月神「でも、確かに私が預かっているわ……後で、私の部屋に来てくれれば……!」
陰陽寺「……その言葉。確かに聞いたからな」
満足したのか、手を離す。月神さんは苦しそうに咳き込むと、呼吸を整えて立ち上がった
対する陰陽寺さんは、もうここには用はないとばかりに背中を向けて……
月神「……何処にいくの?」
陰陽寺「用は済んだ。ここに居る価値は無い」
駆村「いいや。陰陽寺にはここにいてもらう」
駆村「重大な話がある……それが終わるまで、食堂で待っていてもらうからな」
瀬川「重大な、話……?」
重苦しそうに切り出す駆村君。陰陽寺さんもその空気を察したのか、手頃な椅子に静かに座った
……早起きは三文の得。という諺が頭を過る
偶々早く来たせいで、何だか物凄い事に巻き込まれちゃった気がする……!
42 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/09/01(日) 11:29:30.52 ID:Vl9jRUY1O
※
瀬川「……”新世界プログラム”?」
食堂に全員が集まって少し、駆村君がおもむろに切り出してきたその単語
語感からして、何かのソフトウェアか、もしかして箱庭的育成ゲームかな……?
皆も聞き覚えが無いみたいで。首を傾げたり捻ったりを繰り返していた
古河「いや、知らんがな。何なんソレ?」
御影「と言うか、何で駆村クンがそんなモノ知っているのさ!」
スグル「それは……僕から説明します」
瀬川「スグル君?」
スグル「まず、先に話しておきたいのは……駆村さんは、僕に投票していたんです」
照星「え!? 駆村先輩はスグルんが嫌いなんっすか!?」
駆村「そんな訳ないだろ! 本当に嫌いならそもそも言い出さなければいいんだぞ!」
照星「それもそうっすね。サーセン!」
月乃「……兎も角、何故その新世界プログラムがスグルの秘密と関係があるの?」
スグル「はい。僕の秘密は……これなんです」
『超高校級の???神威スグルは、新世界プログラムの奪取に関わっている』
43 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/09/01(日) 11:40:45.22 ID:Vl9jRUY1O
瀬川「……? ドユコト?」
これが、スグル君の致命的な秘密……?
スグル「それが……僕にもわからないんです。記憶が曖昧だからだとは思いますが……」
竹田「奪取って事は誰かから奪い取ったんじゃあねえのか? 下手したら超高校級の強盗かもな!」
スグル「それは違う……と、思いたいです……」
照星「スグルんが強盗なんて無理っすよ。雰囲気がふにゃふにゃっすからね! いひひっ!」
スグル「ありがとうございます。照星さん」
古河「言うとくけど、褒められとらんからな」
朝日「でもぉ、そのプログラムがどうしたのぉ?」
駆村「スグルの才能に関する情報だからな。名前も出ているし誰か知っているかと思ったが……」
スグル「知らないなら解らず仕舞いですね……」
しょぼんと肩を落とすスグル君。自分に関わる情報かもしれなかったのに、解らなかったからショックなんだろうな
皆もその態度を見て何て声を掛けていいのかわからない。スグル君を見て哀しそうな顔を浮かべていた
”大丈夫だよ。私がついているから!”って言えば、好感度も上がるかな……よし!
瀬川「大丈夫だよ。私が」
モノクマ「新世界プログラムなら、ボクが説明致しましょう!」
44 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/09/01(日) 11:41:42.98 ID:Vl9jRUY1O
瀬川「ぎゃあっ!?」
スグル「瀬川さん、大丈夫ですか!?」
瀬川「な、何とか致命傷で済んだよ……」
急に出てきたから、椅子からひっくり返っちゃったよ……しかも逆に言われる側になったし!
瀬川「いきなり何なの!? 唐突に現れて唐突に脅かすの止めてよ!」
駆村「瀬川が勝手に驚いたんだろ……」
モノクマ「まあまあそんなに怒らないでよ。新世界プログラムの事について知りたいんでしょ?」
モノクマ「生徒の疑問に答えるのも学園長の大切な役目だからね。ボクが丁寧に解説しましょう!」
陰陽寺「どういう風の吹き回しだ」
飛田「そうだッ貴様の言う事等信じられるかッ!」
月乃「……デタラメを言っても私達には判断が出来ない。聞く価値は無い」
私達にはわからない……そりゃそうだ。モノクマが適当な事を言って私達を混乱させようとしているのかもしれない
月神「……モノクマ、帰って頂戴」
モノクマ「しょぼーん。生徒はいつか旅立つものとはいえ悲しいなぁ……」
モノクマ「あーあ。せっかくオマエラが知りたがる様な情報があるのになぁ」
御影「とっとと帰れよお前!」
全員からのブーイングを身に浴びながら、モノクマはすごすごと退散した
……かと、思っていたんだけど…………
45 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/09/01(日) 11:42:45.11 ID:Vl9jRUY1O
ハルカ『それでは、第一回新世界プログラムについての講義を始めまーす』
瀬川「うわぁ!? なんか始まったよ!?」
古河「シカトやシカト! 放っとけ!」
ヨウ『先に言っておくが、ちゃんと聞かないと毎日流すからな』
照星「メンド臭いっすね!?」
スグル「……仕方無いですね」
ハルカ『まず、新世界プログラムとは何か? という疑問にお答えします』
ハルカ『答えは”現実世界と同じ体験が出来る仮想空間システム”の事なんだよ!』
月神「現実と同じ仮想空間……? そんな事、本当に可能なのかしら」
瀬川「案外有り得るかもね。要はVRの進化系みたいなものでしょ?」
何かのアニメで、ゲームの中で過ごしてハーレムを作ってたのがあったっけ。あれみたいな感じかな
ヨウ『本来の用途はセラピー用らしいな。足の動かない人間に歩く体験をさせたりとかしたらしい』
ハルカ『へー凄く便利だね! そんな便利なものをどうしてスグル君は奪い取っちゃったのかな?』
ヨウ『くっくっく。便利な物には裏があるのさ。この世が光と闇の表裏一体である様に、シロの裏にはクロがある様にな!!』
御影「それはオセロでしょ!?」
古河「はぁ? それ言うんならリバーシやろ!」
月乃「……どっちでもいい」
竹田「静かにしな。そろそろ次みたいだぜ」
46 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/09/01(日) 11:44:04.35 ID:Vl9jRUY1O
ヨウ『このプログラムを作ったのは……超高校級の絶望だ』
ハルカ『え、えぇ〜っ!? あ、あの超高校級の絶望だってぇ〜!?』
スグル「……っ!?」
月神「スグル君!? どうしたの!?」
スグル「あ、頭が痛いっ……吐き気が……っ!」
飛田「は、吐くんじゃあないぞッ!?」
竹田「無理すんな坊主。そら、床に寝転がってろ」
竹田「俺の羽織で申し訳ねえが、無いよりかは幾分楽だろうよ」
スグル「あ、ありがとうございます……っ!」
脱いだ陣羽織の上に横になるスグル君。加齢臭とかで逆に気分悪くならないかな……とは言わないけど
ヨウ『超高校級の絶望とは、読んで字の如くだな。超高校級に絶望的な連中さ』
ハルカ『やりたい放題やり過ぎたせいで、世界から駆除されちゃったんだよね! ざまーみろ!』
ヨウ『で、その超高校級の絶望からの戦利品がその新世界プログラムという事さ』
ヨウ『本来の新世界プログラムはアバターを使ってコロシアイを行う……謂わばコロシアイシミュレーションと言うべき代物なのさ』
……コロシアイのシミュレーション。要するにデスゲーム系のアニメでよくあるアレなのかな?
某ソードでアートするオンラインゲームとかでもお馴染みの便利な舞台……少しやってみたいかも
ハルカ『なるほどなるほど〜……そんな危ない人達が作ったのにこんな平和な使い方が出来るなんて、バカと鋏は使い用って事だね』
ヨウ『そうだな。まあ今の新世界プログラムは安全に安全を重ねて”絶対にコロシアイが出来ない”様にある細工がされているがな』
47 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/09/01(日) 11:47:56.23 ID:Vl9jRUY1O
ハルカ『ふうん。なら安心安全だね! でもそれってどんな細工なの?』
ヨウ『知りたいのか? 別に俺達には関係無いじゃないか』
ハルカ『だって、ここってプログラムのな……』
ハルカ『……………………』
ハルカ『わーーーー!?!?!? どうしようヨウくん! ネタバレだよ!!!』
ヨウ『おおお落ち着け。まだどこがどうネタバレかは言ってないからまだギリギリセーフだろ多分』
ヨウ『ここは別の話題でお茶を濁そう。という訳で新しい校則について説明しておこう』
ハルカ『前回の臓腑屋さんみたいに、全員を皆殺しにしようとするのはこっちとしても困るんだよね』
ヨウ『と言う訳で、今後は【同一のクロが殺せるのは二人まで】というルールが追加されるぞ』
ヨウ『仮に同一のクロが三人以上殺害した場合、校則違反として処刑されるから覚えていてくれ』
ハルカ『はい! 皆はこのルールだけ覚えておいてね! 他は忘れていいからね!』
ヨウ『それじゃあまたな! 絶対に気にするなよ、いいな!』
瀬川「……何だったんだろう。今の」
スグル「さあ……?」
48 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/09/01(日) 11:49:39.83 ID:Vl9jRUY1O
本日ここまで
キャラの作成については後に話します
49 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/10/03(木) 22:50:14.92 ID:9EL7v5CGO
テレビが終わって、しーんと静まり返る。この無言の沈黙が痛い……
もう、いいかげん誰でもいいから何か話して……。とか考えていたら、竹田さんが口を開いてくれた
竹田「ま、なんだ。要するに一人のクロにつき二人までしか殺すなって事だろうよ」
駆村「そうでしょうね……安心すべきでは無いと、俺は思いますけど」
古河「なんでなん? 殺される数が減るんなら儲けもんやろ!」
月乃「……それは、また事件が起きる前提で話しているから。事件なんて起きない方がいい」
古河「…………せやったわ」
一人につき二人までしか殺せないって言われても、それが殺人の回避に繋がる訳じゃない
毒薬も出てきたし、少なくとも一人の手で皆殺しにされる危険性は無くなったって言えるけど……
月神「……大丈夫よ。もう、皆もコロシアイなんてしないって思っているでしょう?」
月神「コロシアイなんて、もう起きない。四人の為にも、私達はモノクマに負けちゃいけないの」
照星「そうっす! もう自分は負けねーっす、見ててください、自分の頑張り!」
うーん、皆張り切ってるなあ。私も頑張ろっと! 何かを!
……そうだ。いい機会だし、聞いておこっかな?
瀬川「そうだ、月神さんに聞きたいんだけど」
月神「何かしら?」
瀬川「結局、月神さんの秘密って、何なの?」
50 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/10/03(木) 22:51:53.29 ID:9EL7v5CGO
月神「……えっ?」
瀬川「いや、本当に気になっただけなんだけどね。でも隠し事するのはよくないでしょ?」
朝日「でもぉ、月神さんってぇ、確か自分で自分に投票してって言ってたよねぇ」
駆村「瀬川……お前、誰に投票した?」
瀬川「陰陽寺さんですごめんなさい……」
自爆した……陰陽寺さんの視線が痛い。物理的に
月神「だ、大丈夫よ陰陽寺さん。きっと大した事は書いていないから」
陰陽寺「ふん。どうだか」
うん。本当は大した事が書いてあるんだけど、それは秘密だ。言ったら殺される……
飛田「まぁまぁ言いじゃあないか。オレなんて可憐なレディの秘密を盗み見る事なんて出来ないから御影に投票しているしなッ!」
御影「よくないよ! 何してんのさ!?」
古河「少なくともオマエが言えた事ちゃうやろ!」
古河さんにド突かれてぶっ飛ぶ御影君。そりゃ、私と同じで私怨で入れたもんなあ……
御影「痛たたた……やったな! このチンピラ!」
古河「言うたな! このボンクラの役立たず!」
月神「二人とも、喧嘩は止めて!」
口喧嘩を始めそうな二人を、月神さんでは珍しく、強い勢いで制止する
とはいえ、それだけで止まる様な二人じゃない。手は出してないけどバチバチと睨み合いを続けている
月神「それで……私の秘密を知りたいのね?」
月神「私も、どんな秘密が渡されたのかは知っているわ。それはね……」
ぽつりぽつりと語り出す。月神さんの、少しだけ昔のお話を……
51 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/10/03(木) 22:57:30.26 ID:9EL7v5CGO
月神「まず、私の秘密についてなんだけど……家族が絡むの」
月神「それなら最初に、私の家族構成から話した方が良さそうね。私は、父と弟と暮らしているの」
瀬川「弟って幾つ!?」
スグル「そこは気になる所ですか……?」
月神「確か、小学6年生だから……12歳ね」
瀬川「やったぜ!」
御影「何がだよ!?」
重要な事だからね、私にとって! きっと月神さんに似た、可愛い子なんだろうなぁ〜
竹田「で、その弟さんが秘密に関係あんのか?」
月神「いやそれは……ううん。関係していると言えば、しているわね」
瀬川「マジで!?」
月神「私がアイドルになる切欠は、スカウトだったの。街で買い物をしていたら、突然……」
古河「よくあるやっちゃな。で、そのスカウトからアイドルになったんやろ?」
月神「そうなんだけど……私、一度断っていたの」
月乃「……何故? アイドルに憧れる少女は多い。私も羨ましい」
朝日「そうなのぉ? でも月乃ちゃんは私の一番のアイドルだから大丈夫だよぉ」
月乃「……………………!」ゴンッ!
朝日「痛いよぉ……」
照れ隠しなのか違うのか、鉄拳が朝日君のこめかみを撃ち抜く。今鈍い音したけど大丈夫だよね?
困惑を隠せない皆。月神さんは大丈夫、と声をかけて、話を続けていく……
52 :
◆hFluTDb/oi42
[saga]:2019/10/03(木) 23:03:22.85 ID:9EL7v5CGO
月神「……私の家は、あまり言いたくないけれど貧しい家だった。それでも、三人でなんとか暮らしてきたの」
月神「お母さんは、もういないから……」
照星「……事情は聞かないっすよ!」
月神「スカウトが来たのも、私がアルバイトをしている時だったの」
竹田「トップアイドルの原石もバイトする時代か、世知辛えなあ」
御影「あれ? お父さんいるんでしょ、バイトなんかしなくてもよくない?」
瀬川「女の子はお金が欲しいんだよ。貯めても貯めてもすぐに消えちゃうからね」
スグル「そ、そうなんですか……」
月神「そう。私はお金が欲しかったの……それに、レッスン代や衣装代なんて、とても払えない」
月神「……お父さん、体を壊して、ずっと車椅子で生活しているから」
陰陽寺「……………………」
月乃「…………それって」
月神「そうよ。私、動けないお父さんを置いてここに……アイドルとして来ているの」
泣きそうな、叫び出しそうな。月神さんの、無理に造った笑顔が痛々しい
家族を放置して、アイドルとして活動する事が、今でも苦しめているって理解出来るくらいには
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