【SW】ジェダイ「私を…弟子に、してください…」【オリキャラ】

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2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/04(火) 19:24:05.46 ID:WeM7ymwC0


 遠い昔、遥か彼方の銀河系で……

3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/04(火) 19:25:23.22 ID:WeM7ymwC0


 STARWARS
エピソード3.6 運命の向こうに


オーダー66を生き延びたジェダイの騎士、シンノ・カノス。

500年の時を経て復活したシスの暗黒卿、ダース・ネーア。

二人は対極の存在でありながら意気投合し、反乱同盟軍に加わり銀河帝国への逆襲を開始した。

ある時彼らは、帝国の傀儡政権であるヤマタイト王国の君主ミコア姫の遭難を察知する。

現地豪族ザイン・ザ・ハットとの戦闘の末に彼女を保護し、外交カード扱いを超えて仲間意識を育むシンノたち。

しかし彼の判断でミコア姫とともに保護した闇商人イシュメールが反乱軍基地の位置を漏らし、帝国軍の攻撃を招いてしまう。

司令官テダッフ・シカーグを含む多大な犠牲を出しながらも脱出に成功するが、今度は謎のシス卿ダース・テイティスが襲撃を仕掛けてミコア姫を誘拐してしまった。

失意の底のシンノはフォースと一体化した先達クワイ・ガン=ジンの導きを得て、惑星ダゴバへ向かう……
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/04(火) 19:26:21.80 ID:WeM7ymwC0

「お前に出来るのか?」


 暗闇の中から鏡像が浮かび上がり、問いかける。


鏡像「散々仇敵と慣れ合っておきながら今更騎士の道にすがって、それで彼女を救えると……本当にそう思うのか?」

シンノ「……思うとも。そう信じる」


 シンノ・カノスは胸の内に痛みを感じつつも、努めて堂々と応える。


シンノ「形になった力が、結果が、証明が必要なんだ。俺の間違いを清算し、二度と間違わないために!」

鏡像「それがジェダイ・マスターとして正しい在り方だと思うか?」

シンノ「より多くのものを守ることは、人としてもジェダイとしても正しいことだ!」

鏡像「……フン、いいだろう……しかし、お前が本当に純粋なジェダイならそう焦ることもないだろうにな」


 鏡像は思いがけず簡単に引き下がったが、今度は皮肉るような口調で謎めいたことを言う。
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/04(火) 19:27:27.31 ID:WeM7ymwC0

シンノ「……どういう意味だ?」

鏡像「お前は知っているんだ。絶望が、諦観が、後悔が、自分の中にあることを。だからこそそれを否定しようとやっきになっている」

シンノ「否定するのは間違いだとでも?」

鏡像「いいや。最強のジェダイマスターとしての自負をもって臨めば、この状況を打破するチャンスがあるのは事実だ」


 鏡像が、自分そのものが、自分の顔を覗き込む。


鏡像「しかしもし失敗すれば、お前は暗黒面に沈む。体と心を蝕むヘドロの中で永遠に苦しみ続けることになる」

鏡像「その時手を差し伸べてくれる者はいない。がむしゃらな戦いの中で、人間性とともに振り捨ててしまっているからだ」


 その言葉は呪いの釘のごとく胸に突き刺さった。
シンノは僅かに気圧されつつも、応える。


シンノ「……上等だ、俺はやり遂げてみせる。ジェダイとして」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/04(火) 19:28:15.66 ID:WeM7ymwC0

 一方、遠く離れたQC宙域の惑星クマモッテ……その首都、ヒュガー。
しとしとと降り続く雨の向こうから、その街並みを見下すものがある。
QC宙域における分離主義者残党の本拠地、キャッスル・クマモッテ。
その黒々とした建造物のサイズ感は城というより山に近く、うずくまった怪獣のような威圧感をもって城下を睥睨していた。


マクシャリス「失礼します、マクシャリスです」スタスタ

スターバル「スターバルもおりますぞ。姫殿下はいらっしゃるかな?」ズカズカ


 その一室に、白い軍服を着た青年とカリーシュの男が入室する。
窓の傍で椅子に座っていた少女は眉を顰め、嫌味に返す。


ミコア「いらっしゃるに決まっているでしょう、閉じ込められているのですから。愚鈍をアピールしないでくださる?」


 その胸元で緑色のホロクロンがきらりと光った。
ミコア・ロト・ヤマタイト――銀河帝国の庇護を得てQC宙域を支配するヤマタイト王国の最高指導者、執政官である。
惑星クイナワ上空での遭難以来公には行方不明となっていた彼女は、心通わせた反乱同盟軍の面々と引き離され護送される途上で分離主義者に捕らわれ、軟禁の憂き目に遭っていた。
スターバルは露骨に機嫌を損ねる。


スターバル「チッ……お元気か、かともお聞きしようとしたが不要らしいですな。憎たらしいほど元気でいらっしゃる!いや、呑気かな。敵中でよくもまあ――」

マクシャリス「スターバル、お前の本分は接待ではないだろう。無理に喋らずともよい……不自由を強いていることは心から申し訳なく思います、ミコア姫」


 マクシャリスは部下を黙らせたあとミコアに謝罪し、テーブルを挟んだ向かいの椅子に腰かけた。
慇懃で物腰柔らかな態度を取っているが、この青年こそが彼女を捕えている悪の親玉。
ドゥークー伯爵の甥にして残党の取りまとめ役、マクシャリス・セレノーラント・ドゥークーである。


ミコア「ふん、本当に申し訳なく思うなら私を解放するがよい」

マクシャリス「それが、そういうわけにはいかないのです。こちらにも事情がありまして。本当に申し訳ない」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/04(火) 19:30:00.48 ID:WeM7ymwC0

 マクシャリスは薄っぺらな謝罪を重ね、手で窓を示す。

 
マクシャリス「今の私に出来ることと言えば、この眺望のあるスイートルームを提供することくらいです」

ミコア「眺望?よくおっしゃること、雨やら何やらでほとんど見えませんよ」


 王女は相手の言葉を鼻で笑う。
実際窓の外は酸性雨とスモッグで霞み、ほとんど真っ白だった。


マクシャリス「いえ、これがこの星で最高の眺めですよ。年に何度か晴れますが、見えるのはスラムばかりですからね」

ミコア「見えないほうがマシだとでも?」

マクシャリス「ええ。鉄屑をぶちまけたような風景が雑然と、漠然と、地平線まで続く――すでにお察しかもしれませんが、この星はすでに『死んで』います」

マクシャリス「風は毒、雨も毒。そんな中に住む人はと言えば、狂った流れ者と、ねじ曲がった原住民だけ」

ミコア「だがそんな汚れた場所だからこそ、お前たちも帝国から隠れることができるのだろう?猫から逃げ回るネズミのように」

スターバル「!?貴様ッ!我々をネズミなどと――」

マクシャリス「これは痛いところを突かれましたな。その通りです」


 マクシャリスはミコアの言葉をあっさりと肯定した。
鼻白むスターバルをよそに、ですが、と話を続ける。


マクシャリス「このような死んだ星に長く留まっては、分離主義運動そのものが遅滞する。ましてやその支配の利権に胡坐をかいて進歩を拒絶するような輩は――」


 その時コムリンクがコール音を鳴らし、彼の話を遮った。
マクシャリスは発信者名を確認して笑みを漏らす。


マクシャリス「おや、噂をすればなんとやら……」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/04(火) 19:31:04.26 ID:WeM7ymwC0

「『乗り越えた』ようじゃのう」


 緑色の肌をした小柄なエイリアンの老人がシンノを迎えた。
彼こそ、かつてのジェダイ評議会唯一のグランドマスター。
オーダー66に始まる虐殺を生き延びた唯一のジェダイマスターでもある。


シンノ「マスター・ヨーダ……」


 シンノは師の言葉に違和感か疑念のような感覚を覚えたが、口に出すのは止めた。
一つ間違えれば弱音になってしまいそうだった。


ヨーダ「……では約束通り、お前を『ジェダイマスター』と認めよう」


 シンノはその言葉に途方もなく長い歴史の重みを感じ、息を呑んだ。
ヨーダは懐を探り、筒状のものを取り出してシンノのほうへ差し出す。


シンノ「これは……ライトセーバー?マスター・ヨーダの……」

ヨーダ「お前にやろう」

シンノ「えっ!?とんでもない、いただけません!畏れ多い!」

ヨーダ「畏れる必要などない。ここにいる爺は政治家一人満足に見透かせず、さりとてねじ伏せることもできなかった、どうしようもない軟弱者よ」

ヨーダ「そのライトセーバーも、オーガナ議員が気を利かせて取り戻してくれたはいいが……もはや儂には、それを満足に振るう力など残ってはおらん」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/04(火) 19:32:21.72 ID:WeM7ymwC0

 ヨーダは陰のある笑みを零す。
……長寿種族である彼は、どれほどの同胞の死を看取ってきたのだろうか。
彼らにジェダイの誇りを託されながら、皇帝の所業を黙って見ているしかない現状はどれほど辛いだろう。


ヨーダ「ゆえに、もしも……もしも誰かが今度こそ暗闇を切り開いてくれるのなら、儂は喜んでこの刃を譲り渡そう」

シンノ「……!……」


 シンノは差し出されたライトセーバーの中に、幾重にも重なり合う無数のジェダイの顔を幻視した。
自分に背負えるのか……背負うしかない。
そう決めたから。


シンノ「……おっ……お、お預かり、します……!」


 シンノは震える手で金属筒を受け取り、爆発寸前の爆弾か何かのように恐々と懐に収める。


『ポポピーポ』

シンノ「ヒイッ!?」ビクッ


 その時背後から唐突に電子音が響き、シンノは飛び上がった。
泡を食って振り返ると、そこには見慣れた赤い頭のアストロメク・ドロイドがいる。


シンノ「なんだ、驚かさないでくれよR3……」

R3-C3『ポポピーポ プウウー』

シンノ「基地からWウィングに通信?何て言ってきてるんだ」

R3-C3『ピポポ ピポポ』

シンノ「――何!?あの賞金稼ぎが基地に!?」


 事態の急転に仰天するシンノを見て、ヨーダは厳かに目を細める。


ヨーダ(……来おったか。こやつがこの星を出発すべき時が)
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/06(木) 00:28:38.95 ID:b/SgyFCtO
続き来てるやん!
期待
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/08(土) 09:11:40.15 ID:MaKX1Jdm0
ようやく続きが来たか・・・!
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/09(日) 13:41:57.73 ID:B33tz3oz0

ナインス「ぐあっ!」ドタッ


 尋問官ナインス・ブラザーは非殺傷出力のライトセーバーで強かに打ちのめされ、無様に転倒した。
右手の義手からライトセーバーが零れ落ち、ただの金属筒になってトレーニング・フロアに転がる。


マーズ「……尋問官殿、やはりまだ義手が馴染んでおられないのでは」


 対するジヒス・マーズはさして疲れた様子もなく、粛々とジット・セーバーを収める。
相変わらず無感動な口調がナインスの癪に障った。
セーバーを拾いつつ立ち上がり、膝を払う。


ナインス「……黙れ。余計なお世話だ」

マーズ「……私は両手ともに義手ですので、少しでしたらアドバイスを――」

ナインス「黙れと言ったのが聞こえなかったか?ワイマッグの妾ごときが生意気な口を利くな!」

「おやおや、尋問官殿オ!そう聞き苦しいことをおっしゃるものじゃありませんよオ!」


 入口の自動扉が開き、慇懃無礼な文句とともに新たな人影が現れた。
ひょろりとした長身の体を帝国保安局の黒い制服に包んだ男だ。


ナインス「チッ……エージェント・サギ……」

サギ「申し上げたくはありませんが、クイナワでの失敗でお立場が芳しくないのでしょう?敵を作るような発言はお控えにならないとオ……」ニヤニヤ
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/09(日) 13:43:14.60 ID:B33tz3oz0

 サギは人格的にも能力的にも最低の男だが、ナインスに比べれば皇帝にかなり近い立場にいた。
ナインスは歯を食いしばって罵倒したい衝動をこらえたが、思わぬところから援護射撃が飛んでくる。


マーズ「エージェント・サギ。言いたくはないが、私の上司はターキン総督にコネがあってな」

サギ「!?マーズ管理官……」

マーズ「今は艦隊司令官付補佐官だ。QC宙域方面第二艦隊司令官付補佐官」

サギ「マーズQC宙域方面第二艦隊司令官付補佐官……」

マーズ「クイナワではお前も失敗しただろう、それもウォーカー一個大隊全損ときている。あらためて総督に報告すべき事項かもしれんな」

サギ「そ、それはア……ど……どうか、ご容赦を」

マーズ「お前の態度次第だな。それで、何をしにきた?嫌味を言いに来たのか」

サギ「えっとオ……シカーグ総督が、ナインス・ブラザー殿をお呼びで……」

ナインス「初めから言え、無能が!」


 ナインスはそう吐き捨てて、憤然とトレーニング・ルームを後にする。
サギの慇懃無礼も、マーズにかばわれたことも、あらゆることが気に入らなかった。


ナインス(シンノ・カノス……何もかも、シンノ・カノスに敗れてからだ。全て奴のせいだ!)


 右手の機械義手がその情動を馬鹿正直に反映し、ライトセーバーを軋むほど強く握りしめた。
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/09(日) 13:44:29.22 ID:B33tz3oz0

ヨーダ(……すまんのう、シンノ)


 Wウィングは林冠の隙間をすり抜け、徐々に高度を上げていく。
ヨーダは小さな隠れ家の窓からそれを見上げ、密かに詫びた。


ヨーダ(儂はお前に押し付けすぎたかもしれん。オーダー66を少年の時分に迎え、特別な運命の下にあるわけでもないお前に……)

ヨーダ(しかしもしお前が皇帝を倒し、いずれ来るべき「選ばれし者」が平穏で純粋な環境でフォースのバランスを築いたならば、その時こそ数多のジェダイの犠牲が完全な形で報われるのだ)


 いかにもジェダイらしい善性絶対主義思想。
後進を茨の道に追いやることになるとしても、そのメソッドを選ぶことに迷いはない。
しかしヨーダは同時に、胸の内に侘しい風を感じてもいた。
遺跡の中を吹き抜けるような、すえた臭いのする風を。


ヨーダ(……儂は……古きジェダイは、世界を新しい世代に譲り渡すべき時を迎えておったのかもしれん……それも、とうの昔に)


 机上の小さな引き出しを開ける。
こまごましたガラクタを退けて、奥底から色褪せた写真を取り出す。
顔いっぱいに笑みを浮かべたヒューマノイドの少女がピースを決め、ヨーダ自身と並んで映っている。


ヨーダ(……ベルネアよ。儂はまた、導き方を間違ってしまったのか?)


 目を上げるが、銀翼はもう見えない。
今頃は大気圏を脱し、ハイパースペース・ジャンプに突入している頃だろうか。
老人は淡い望みとともに託した言伝が達成されることを祈り、フォースの加護を祈った。
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/09(日) 13:45:55.95 ID:B33tz3oz0

アジアス『参上シマシタゾ、がすたー殿』

バスタ「ああ、アーチ公!」


 ジオノージアンのアジアス・ジ・アーチと、ニモーディアンのバスタ・ガスター……
独立星系連合残党の指導者のうち二名が、キャッスル・クマモッテの一室にて、ごく少数の側近とともに密会していた。


バスタ「念のためお聞きしますが、マクシャリスの手の者につけられてはいませんか?」

アジアス『私ヲ誰ダトオ思イカ。尾行者ハイナイ、安心メサレヨ』


 アジアスは昆虫種族特有の耳障りな声を電子翻訳機で同時翻訳して答える。
バスタは心中で胸をなでおろした。


バスタ「そうですか、それはよかった……何せ奴の耳に入ったら大変なことですから」

アジアス『……マサカ、反乱計画カ?まくしゃりすトすたーばるハ、今ヤ残存勢力ノ九割ヲ掌握シテイル。無謀ダ』

バスタ「奴への攻撃ではありますが、武力によるものではありません。情報によるものです……アーチ公は、西塔の最上階に留置されている捕虜についてご存知ですか?」

アジアス『……みこあ・るま・やまたいと。惑星くいなわデ遭難シテ帝国ノ手ヲ離レタ、やまたいと公国ノ執政官……』

バスタ「さすが、お耳が早い。では帝国軍が奴を血眼になって探している、というのは?」

アジアス『血眼……ソレホドマデニカ?』

バスタ「姫個人の利用価値はともかく、誘拐されたことで帝国軍はメンツが丸潰れなんですよ……つまり、つまりですよ」
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/09(日) 13:47:19.85 ID:B33tz3oz0

 バスタは興奮を抑えきれないといった様子で顔を近づけ、言う。


バスタ「姫の身柄か……それが無理ならば居場所だけでも、帝国に渡すことができれば……」

アジアス『馬鹿ナ!ソレハ裏切リダゾ、がすたー殿!正気カ――ゲホゲホッ!』ザザッガリガリ


 アジアスは激昂のあまりむせ返り、翻訳機にノイズを混じらせた。
バスタは泡を食って弁解する。


バスタ「裏切りなどではありません!現実的な妥協です……いいですか、姫との交換条件ならば、この惑星クマモッテの支配権は安堵させることができるはずです」

アジアス『ヒューッ、ヒューッ……コンナ錆ビツイタ星一ツ、確保シタトコロデ何ニナル?』

バスタ「少なくとも我々の指導の下、ドゥークー伯爵が志した分離主義の精神の命脈を保つことができます」

アジアス『まくしゃりすノ下デハ、ソレガ出来テイナイト?』

バスタ「奴の専横ぶりは度が過ぎます!あの闇雲な権利集約で、我々がこの星に確保していた利権をどれだけ削り取られたか……!」

アジアス『ソレハソウダガ……シカシ、話ガズレテイルヨウナ……』

バスタ「よくお考え下さい。姫の保護に貢献したという実績があれば、帝国は我々を受け入れざるを得ない。我々の種族もクローン戦争以来の冷遇をはねのけることができるのですよ!」

アジアス『……ソウカ、種族……』


 アジアスは腕を組んで考え込んだ。
この話を密告されれば処刑を免れないバスタはハラハラした表情でそれを見守る。
やがてジオノージアンの老人は、厳かに口を開く。


アジアス『……いんたーぎゃらくてぃっく銀行ニ知リ合イガ居ル。彼ヲ通シテ帝国ト交渉シテミヨウ』

バスタ「……!はい!私も少し情報収集をしてみます、くれぐれもマクシャリスには露見しないようにお気をつけて……!」

アジアス『当然ダ』


 話は決まった。
反乱者たちは側近たちを引き連れ部屋を出て、いまだ残るコネクションを通じて陰謀を練り始める。
……空っぽになった部屋では、天井の隅にある通気口の蓋の奥で、小さく赤いランプが瞬いていた。
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/23(日) 17:00:29.89 ID:YYi/2Prio
あらー
更新完全に止まっちゃったかー
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/01(月) 00:18:51.68 ID:MZ1MujXE0

 一方その頃、シンノとR3C3はとうにQC宙域に到着していた。
二人を乗せたWウィングはカグマシャ星系にある惑星タンガシムへと降下する。
この辺境の惑星は寒冷かつ乾燥した厳しい気候をもち、その分帝国の監視も甘いことから反乱軍のアジトとなっていた。


ユスカ「おかえりシンノ!」

リズマ「マスター!お疲れ様です!」

シンノ「ああ、わざわざ出迎えありがとう二人とも……」


 反乱軍基地入口にて、シンノは姉妹の歓迎に疲れ切ったような笑顔で応じた。
ユスカとリズマがそれを察して顔を見合わせたとき、シンノに横合いから黒い何かが飛びかかった。


ネーア「シンノーーっ!」ピョーンッ

シンノ「ぐわっ!?」ガシッ


 ダース・ネーアだ!
シス卿はシンノの肩に飛びつき、無遠慮に頬擦りする。


ネーア「妾が居ないんで寂しかったじゃろう?え?よいよい!言わずともわかっておるぞよ〜」グリグリ

シンノ「ちょ……離……」モゴモゴ

ネーア「おっこの紀章!ジェダイ・マスターになったんじゃな!妾からもおめでとうと言っておこうかの、皮肉込みで!」グリグリ

シンノ「待……やめ……」モゴモゴ

ネーア「まったくそこまでいくのにどれだけの苦行を課されたことやら!だからシスの修行にしておけと言ったろうに……」グリグリ

シンノ「――ふざけるな、離せ!」ブンッ

ネーア「ぎゃあ!?」ドタッ
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/01(月) 00:20:25.15 ID:MZ1MujXE0

シンノ「――!だ……」


 シンノはそれを力任せに振り払ってから、ハッとした。
ネーアは尻餅をついた姿勢のままぽかんとしている。


シンノ「……リズマ、例の捕虜のところに案内してくれ」

リズマ「えっ?あ……はい」


 結局、シンノはネーアにそれ以上触れないままその場を後にした。


ユスカ「え?何あれ、感じ悪っ……ネーアちゃん大丈夫?」

ネーア「あ、ああ、大丈夫じゃ……厳しい修行で気が立っとったんじゃろ。妾もちょっと調子に乗ってしまったぞよ」

ユスカ「そう?それにしてもシンノらしくないな……修行先で何があったのやら……」


 ユスカは首をかしげながら二人のあとを追う。
ネーアが黒ローブを払っていると、赤いアストロメク・ドロイドが姿を現した。


R3C3『ポポピーポ』

ネーア「おうR3、そなたも久しぶりじゃの」

R3C3『ポポピーポ プウウー』

ネーア「……ははあ、ダゴバでそんなことが」


 シスは苦笑し、複雑な感情を言葉の裏に滲ませた。


ネーア「変わらんのう、マスター・ヨーダは……」
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/01(月) 00:21:18.56 ID:MZ1MujXE0

クネー「だから、ジェダイを呼べばすぐにでも喋ってやると言っているだろうが」


 QC反乱軍基地の捕虜取調室にて、女賞金稼ぎクネーはつねに横柄な態度だった。


バヤット「なぜ俺が相手では喋らんのだ!」


 それがQC反乱軍司令官バヤットの癪に障った。
モン・カラマリの魚面のこめかみに青筋が浮かんでいる。


クネー「あたしの持つ情報を有効活用できるのはジェダイだけだからだ。そこに確実に伝えられる保証なしに喋ってアドバンテージを失うのは下策とみた」

バヤット「ケッ、何がアドバンテージだ……いいか、お前はジェダイを過大評価している」

クネー「何かやらかしたことでもあるのか?」

バヤット「ああ。あいつが連れ込んだイシュメールとかいう闇商人が基地の位置を帝国にバラしてくれてな。我々はあやうく全滅のところだった」

クネー「イシュメールが?バカな、それはあり得ない」

バヤット「ッ……何故貴様にわかる?」

クネー「奴は悪人ではあるが下衆ではない。恩のある相手を、それもよりによって奴の仇である帝国に売るなど……」

バヤット「状況からしてそうとしか考えられんのだ!」

クネー「そもそもジェダイなら人柄くらいある程度見抜けるだろう、本当に危険人物なら連れてこないはずだ。仲間を信じられないのか?」

バヤット「……」

クネー「……QC宙域の反乱軍は優秀な指揮官に率いられると聞いていたが、代替わりでもしたか?」

バヤット「……今は……今は俺が、指揮官だ」
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/01(月) 00:22:41.87 ID:MZ1MujXE0

シンノ「失礼する」

リズマ「失礼します……司令官、マスターをお連れしました」


 そのとき、取り調べ室にジェダイたちが入ってきた。


クネー「おう、やっと来たか」

バヤット「……ふん、俺は邪魔者のようだな」


 バヤットは不貞腐れたように言い捨てて部屋を出る。
リズマがその背中を心配そうに見送る一方、シンノは彼に代わって着席する。


シンノ「クネー、といったか……何の真似だ。自分で襲った場所にぬけぬけと戻ってくるとは」

クネー「そのセリフは聞き飽きたぞ、シンノ・カノス。ぬけぬけと戻れるような手土産のほうが重要だと思わないのか?」

シンノ「手土産だと?」

クネー「ミコア姫の居場所だ」


 賞金稼ぎはそう言って、相手を見透かしたようにニヤリと笑った。
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/01(月) 00:26:13.33 ID:MZ1MujXE0
/間が空いてしまい大変申し訳ないです。改善します
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/01(月) 00:41:36.51 ID:gnUDyO4Lo
やったー
更新きたー(歓喜
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/01(月) 01:16:41.18 ID:2K3VYOIHO
乙やで
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/01(月) 22:40:14.82 ID:Qsoj1bKf0
>ぬけぬけと戻れるような手土産のほうが重要だと思わないのか?

いい台詞、好きだ。
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/03(水) 00:13:09.76 ID:qnV25u8w0

ナインス「『惑星クマモッテ』……」


 惑星ハクカ上空に浮かぶ帝国軍衛星基地「ダン・ザ・フロー」……その作戦室。
ナインス・ブラザーは怪訝そうな顔で惑星の立体映像を眺め、コメントする。


ナインス「典型的な辺境の星ですね。地上の模様を見る限り文明はあるようですが、インナーリムのように繁栄しているわけでもなさそうですし」

タクージン「だからこそ、アナクロニストどもには絶好の隠れ家なわけだ」


 QC宙域総督であるタクージン・シカーグは戦略テーブルにつき、顔の前で手を組んでいる。
分離主義者残党のアジトの位置が密告されてから一日。
ハイパースペース越しに送り込んだ探査ドロイドによって裏は取れた。
そしてこの件に関するパルパティーン皇帝からの指示は、たった一つだった――「反乱分子は完全に殲滅せよ」。


タクージン「まあ何にせよ、我々は奴らを『完全に殲滅』するだけだ」

ナインス「この情報を寄越した密告者の処遇は?」

タクージン「何か交換条件を出していたようだが知ったことではない、『完全に殲滅』する……シンプルでいいことじゃないか、戦争に集中できるものな!」


 タクージンはそう言ってくつくつ笑う。
マンダロリアン・アーマーを着込んでいるあたり、今回も自ら戦場に出るつもりでいるらしい。


ナインス(そうだ、俺も今度の働きで証明してみせる……シンノ・カノスやジヒス・マーズよりも優秀であることを!)
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/03(水) 00:13:41.55 ID:qnV25u8w0

シンノ(『惑星クマモッテ』……)


 夜の帳の下りた反乱軍秘密基地。
シンノは停泊する宇宙船の上部に寝転んで空を見上げていた。
この惑星タンガシムは寒冷だが、それだけに空気が澄んでいるので星がよく見える。
頭上の無数のきらめきの中には、クネーがミコア姫の居場所として挙げた惑星もあるはずだった。


シンノ(クネーは丸ごと分離主義者の勢力圏になっていると言っていたが……奴らにまだそんな余力があったとは信じがたいな)


 吐き出した白い息が夜空に消えていく。
クネーは惑星ヤクシムでミコア姫を捕縛した帰途、分離主義者のインターディクター・クルーザーに拿捕された。
それ以来昨日まで惑星クマモッテにある彼らの基地に囚われていたが、ダース・テイティスに救出され、この反乱軍基地に逃げ込むよう指示されたというのだ。
またもあの謎のシスにこちらの居場所が露見している。


シンノ(それにしても、テイティスはどうやってこちらの位置を特定しているんだ?考えられるのは発信機だが、ヤクシムでの奴はそんなものを取り付ける時間はなかったはず……しかし……)


 一番気がかりなのは、テイティスの意図が丸っきり読めないことだ。
クイナワではわざと手加減してシンノにミコアを引き渡し、一転してヤクシムでは全力で奪いに来て、今度はまたシンノをミコアのところに誘導している。


シンノ(あのシスは一体何の目的でこんなことを……なんにせよ奴がシスである以上、今の俺には排除する以外の選択肢など存在しないわけだが)

「マスター?」

シンノ「うおっ!?」ビクッ


 シンノは背後から声をかけられ、慌てて身を起こし振り返る。
ジェダイの衣装の上からコートを着込んだリズマ・ショーニンが立っていた。
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/03(水) 00:14:23.02 ID:qnV25u8w0

リズマ「あっすみません、驚かせるつもりはなかったんです……」

シンノ「……いや、気づかなかった俺の未熟だ」


 シンノは口ではそう言ったが、本当は別の原因があることに気づいていた。
クイナワでシカーグ将軍の死を招き、ヤクシムでミコア姫を攫われ、ダゴバでマスターに任じられヨーダからセーバーを託された。
そのすべてが今の自分には負担となり、精神的な余裕を奪っているのだ。


リズマ「星を見ていらっしゃったんですか?」

シンノ「ああ、寝付かれなくてな……リズマもか?」

リズマ「私はマスターと少しお話ししたくて。ここにいらっしゃるかなと思ったので」

シンノ「よくわかったもんだ。フォースか?」

リズマ「いえ、ただの女の勘です。フフフ」

シンノ「ククク、なんだそりゃ」


 リズマはシンノに肩を並べる形で腰を下ろす。
視線を地上に下ろすと、反乱軍の艦船や戦闘機がツンドラの大地で羽根を休めているさまが一望できる。
隅の方には、クネーが乗ってきたというテイティス所有の宇宙船「クラウソラス号」も見えた。
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/03(水) 00:15:08.36 ID:qnV25u8w0

シンノ「で?何だ、話したいことって」

リズマ「それは……ええと」


 リズマは口ごもったが、やがて意を決したように言う。


リズマ「……マスター。私はまだ『弱い』でしょうか?」

シンノ「……どういう意味だ?」

リズマ「少し、不安なんです。自分がジェダイ・ナイトとして十分な力量だとか、心構えだとか……そういったものを持てているのかどうか」

シンノ「なんだ、そんなことか。お前のことはマスター・ヨーダにも話したが、あの方もナイトの叙任に――」

リズマ「マスターにお聞きしたいんです」

シンノ「俺に?……俺だって、お前は一人前だと思っている。ハクカからこっち、お前の協力なしじゃ厳しい戦いばかりだった」

リズマ「……それなら、もう少し私を信頼していただけませんか」

シンノ「もう最大限信頼しているさ」

リズマ「じゃあなぜ、独りで苦しんでいらっしゃるんですか?」


 シンノは心臓を鷲掴みにされたような衝撃を覚えた。


リズマ「ダゴバから帰ってきてからのマスターは変です。まるで大きな荷物を背負い込んで悶え苦しんでいるみたい」
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/03(水) 00:16:06.83 ID:qnV25u8w0

シンノ「……荷物なんかじゃないさ、とんでもない」


 リズマのほうを見られないまま懐を探り、ダゴバで手に入れたライトセーバーを取り出す。


シンノ「見ろよこれ、マスター・ヨーダの武器だぜ。俺はグランドマスターからシスを倒す使命を受けたんだ。ジェダイの騎士としてこれ以上名誉なことは――」

リズマ「これは私が預かっておきます」ヒョイッ

シンノ「ああっ!?おい!」


 リズマはさっとそれを奪い、自分の胸の内ポケットに収めてしまった。


シンノ「お前なあ!それを授かったのはジェダイ・マスターの俺であって……!」

リズマ「私を最大限信頼してくださってるんですよね。マスター・ヨーダも認めてくださっていると、たしかに聞きましたよ」

シンノ「……」

リズマ「……マスター」


 そしてシンノが取り返そうと伸ばした手に触れ、自分の手で包み込む。
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/03(水) 00:17:06.04 ID:qnV25u8w0

ユスカ(あー!艦内でも暖房止まると寒いわねこのド田舎星ィ!クッソクッソ)カンカン


 ユスカは心中で悪態を吐きながら宇宙船内の階段を登っていた。
彼女はシンノとリズマが居ないのに気が付き、二人だけで作戦会議をしているのだろうと推測していた。


ユスカ(取調室で何の算段をつけたのか知らないけど、次のアクションには当然私も参加するべきよね!あんな危なっかしい状態のシンノを放っておけないし!)


 主だった部屋はあらかた探し終え、残るは船体上部……屋上くらいのものだ。
階段の果てにそこへ通じる扉を見つけ、押し開け――


リズマ「……マスター」


 開きかけた扉の向こうから聞こえたのは、聞き慣れた妹の声。
しかし何か底の知れない響きを感じて、ユスカは立ち竦んだ。
図らずも盗聴のような形で、リズマとシンノの会話が漏れ聞こえる。


リズマ「私、頑張って鍛錬しました。旅の途中も、クイナワでも……マスターがダゴバに行っている間は、マスター・ガン=ジンから教えを受けていました」

シンノ「マスター・クワイ・ガン=ジンから……!?」

リズマ「だって、いつまでも守られるばかりじゃ嫌だから。私だって、マスターの力になりたいから」

リズマ「だからマスター。あなたの『荷物』、私にも背負わせてください!」
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/03(水) 00:18:10.73 ID:qnV25u8w0

シンノ「……リズマ……俺は……俺はっ」


 間が空く。


ユスカ(……えっ、何よ、何の話よ、これ)


 吹き込む外気の冷たさも感じない。
早鐘のような心臓の鼓動がひどくうるさい。


シンノ「俺はキツかった!クイナワからこっち、全部全部だ!」

シンノ「何で将軍死んじゃってんだよ!何でミコア攫われてんだよ!ジェダイマスターってなんだよ、どうすりゃいいんだよあのセーバー!」

シンノ「何で……何でこんなことになっちまってんだ。俺はただカッコよく、守りたかっただけで……今はもう、本当全部、キツいんだ……」


 最後のほうはすっかり消え入りそうな声だ。
ユスカはその弱弱しさに驚いた。


ユスカ(……ああ、シンノ、辛かったんだ。そりゃ、そうだよね……ジェダイだって人間なんだし)


 そして彼の弱弱しさを知ろうともしなかった自分に呆れた。


ユスカ(……私、全然気づかなかったや……)
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/03(水) 00:19:03.56 ID:qnV25u8w0

リズマ「……そうですよね、キツいですよね」

リズマ「でもマスター、その『荷物』、私も背負いますから」


 星明かりの下、リズマは柔らかく微笑みかける。
冷たい夜の大気の中で、包み込まれた手だけが温かかった。


シンノ「……そうか」

シンノ「ありがとうな」


 やっとそれだけ言って、顔を背ける。


シンノ「畜生、雨が降ってきたかな」

リズマ「……ふふ、そうかもしれませんね。中に戻りましょうか」
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/03(水) 00:19:44.84 ID:qnV25u8w0

 リズマはそっと手を離して、目元を拭いつつ立ち上がった。
シンノもそれに続き、艦内に通じる扉へ向かう。


シンノ「グスッ、とにかく明日は朝一でクマモッテに向かうからな。今夜はもう寝ておけ!」

リズマ「はい、マスター!……あれ、ドア半開きになっちゃってたな……」


 リズマが訝しげにドアの閉まりを確認する一方で、シンノはもう一度星空を見やる。
いくらかぼやけてはいるが、さっきまでよりずっと奇麗にきらめいている。
悲しいほど奇麗に。


「しかしもし失敗すれば、お前は暗黒面に沈む」


 胸の奥に打ち込まれた言葉が疼いた。
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/08(月) 21:15:54.86 ID:FueSF3ON0

 ――翌日。
宇宙から見た惑星ハンカッタは灰色と錆色のまだら模様である。
その上に群がる蟻のように見えるのは、衛星軌道上に浮かぶ無数のデブリだ。
そして今、蟻の群れの上に、機影が一つ姿を現す。
シンノのWウィングだ。


R3-C3『ポポピーポ プウウー』

シンノ「ジャンプ終了。周囲に機影は……無いな」

リズマ「レーダー衛星の類も見当たりませんね」

クネー「デブリの中に少しは混じってるだろうが、大半はクローン戦争時代のロートルだ」

ネーア「しかし、この船もそうじゃなかったかの?ステルス性とか大丈夫なのか、シンノ?」

シンノ「……」ムッツリ


 機内にいるのはシンノ、リズマ、クネー、ネーアの四人。
これがミコア姫救出作戦の総戦力だ。
リズマはユスカにも誘いをかけたが、どういうわけか断られてしまったという。


ネーア「おいシンノ?返事をせんか」グイッ ガクガク

シンノ「シスとは口を利かん」ムスーッ

リズマ「マ、マスター……昨日あれほど……」

ネーア「昨日?昨日シンノと何かしたのか?」

リズマ「いや、それは、その……ちょっとお話――」

ネーア「言えないようなことか!カアーッ、スケベじゃのう!スケベスケベ!」

シンノ「スケベじゃあないっ!好き勝手言ってると放り出すぞ!」

ネーア「あっれええーっ口を利かないんじゃなかったかのー!?」

クネー(何だこいつら……)
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/08(月) 21:16:36.86 ID:FueSF3ON0

 ガゴオンッ!


シンノ「ぐうっ!?」
リズマ「きゃあっ!?」
ネーア「ぬあっ!?」
クネー「うおっ!?」


 突如ブラスターキャノン光弾が後方から飛来し、すぐ横にあった人工衛星の残骸を爆砕した。
飛散した破片がWウィングを激しく揺さぶる。


クネー「まさか、分離主義者か!?」

ネーア「言わんこっちゃないぞよ!」

シンノ「くっ……!」グインッ


 シンノはすぐさまデブリの濃い空間に機体を逃げ込ませた。
ガゴンッ!ガンッ!ゴゴンッ!
避けきれないデブリが機体を乱打する。
ズドンッ!
さっき回避したリング型宇宙ステーションの廃墟が光弾を受けて爆散した。


シンノ(追ってきている……!しかしこの撃たれ方なら、敵は単機!)
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/08(月) 21:17:09.10 ID:FueSF3ON0

 最後にミサイル衛星の残骸を潜ると、ぱっと視界が開けた。
デブリ地帯を抜けたのだ。
リズマはすでに機体尾部の銃座に着席し、後方を警戒していた。
その視界に追跡者が飛び込んでくる。


リズマ「敵機補足!あれは――Xウィング!?」

シンノ「Xウィングだと!?」


 シンノも後方モニターでその特徴的な四枚の主翼を確認した。
しかし反乱軍のものとは違い、宇宙の闇に溶けるような黒に塗り上げられている。
ヤクシムで反乱軍からXウィングを奪って逃げた敵を連想する。
フォースの気配がその直感を裏付ける!


シンノ「……ダース・テイティス……!」

クネー「テイティスだと!?バカな!私がいることは察しが付くだろうにッ!」


 クネーが驚愕の声を上げた。
彼女はテイティスの指図で動いていたのに、他ならぬテイティスに殺されそうになっているのだ!


テイティス「……試させてもらうぞ、シンノ・カノス」


 黒いXウィングのコックピットには、まさしくダース・テイティスが居た。
四つの黄色い目を細め、汚れた惑星の上に浮かぶWウィングの機影を見据える。


テイティス「この先に行く資格があるかどうか……!」
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/08(月) 21:17:57.61 ID:FueSF3ON0

シンノ「うおおおお……!」グインッ

テイティス「ぬうん……!」グインッ


 戦いは始まった。
ハンカッタへ降下を図るWウィングと、そのたびに大気圏突入コースを塞ぎにかかるXウィング。
大小の機影はデブリ地帯のすぐ下でもつれ合い、絡み合うようにして軌跡を紡いでいく。


ネーア「おのれっあの傍流があ!リズマ銃座変われっ!」

リズマ「馬鹿言わないでください!――ああもう、ミコア姫はあんなに当ててたのに……!」バシュバシュバシュ

クネー「おいジェダイ、あまりここで場外乱闘していると分離主義者に気づかれるぞ!」

シンノ「そんなことわかってるッ!」グインッ


 ズドオンッ!
下から掬い上げる軌道で放たれた光弾がミサイル衛星を直撃し、派手に爆発する。
しかしシンノはその炎を避けて降下することなく、逆に機首を上げた。


R3-C3『プアアーン!』


 機体上部に顔を出しているR3は燃える破片を浴びて悶絶!
しかしWウィングは宙返りする形で、直進するXウィングの上方に占位した!
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/08(月) 21:18:28.36 ID:FueSF3ON0

シンノ「取った!落ちろお!」バシュバシュバシュ

テイティス「!」グインッ


 交錯!
Wウィングは勢い余って危険な角度で大気圏に突入しそうになり、慌てて機首を起こす。
Xウィングは右の主翼に空いた穴から白煙を上げつつも姿勢を回復し、それに相対した。


テイティス(ヤクシムの時よりはるかに成長している……稽古でもつけたか。あるいは何か精神的な成長……)

シンノ(仕留めきれなかった……!長引かせられないってのに!)


 二羽の猛禽はつかず離れずの距離感を保ちつつ相手の出方を伺った。
しかし思いがけない形でその均衡は崩れる。
TIEファイターがデブリ帯を突き抜けて戦場に乱入してきたのだ!
それは一機ではない!二機!三機!四機!五機!
猛禽の縄張り争いに介入するカラスの群れのごとく、双方に攻撃を浴びせる!


シンノ「何!?」

テイティス「!?バカな、これは!」


 二機はそれをかわし、あるいは反撃するが、敵は際限なく増え続けた。
両者はみるみるうちにハンカッタ側へ押しやられ、降下を強いられて、遥か彼方雲の下に消えていった。
やがてデブリ帯の奥にスター・デストロイヤーが四隻、姿を現す。
……帝国軍の到着だ。
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/08(月) 22:01:53.79 ID:FueSF3ON0
>>35-39
「ハンカッタ」は「クマモッテ」の誤りです。
申し訳ありません
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/09(火) 00:52:11.28 ID:pq0DwmuhO
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/09(火) 02:33:58.22 ID:J0S024Pbo
命名の由来は「博多」「熊本」なのかな?
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/10(水) 00:40:19.29 ID:7t9TBZ+FO
いつ分離主義者に見つかるかわからない状況なのに帝国軍がスターデストロイヤー4隻もの数で乗り付けてくるとか混沌の予感しかしない。
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/11(木) 00:01:25.43 ID:4BUNXgpn0

 ゴウッ!
機体側面のスライドドアを開くと、外気が突風となって吹き込んだ。
地平線まで広がる雑多なスラムの景色が猛烈な速度で通過していく。


ナインス(ウップ、汚らしい空気!街並みも汚らしい)


 ナインス・ブラザーが心中でそう毒づくと、呼応するかのようにTIEボマーの編隊が飛来。
まず巨大な檻のような形の古い変電所が、続いてその周辺のスラムが丸ごと爆砕された。
連なった鈍い響きがゾディアックの機体を微振動させる。
ワンテンポ遅れて熱気が吹き付け、若き尋問官は眉をしかめる。


タクージン「クッフフフ、いい幕開けだ!この鉄の焼ける臭いを感じないことには始まらん!」


 対してタクージン総督は至極上機嫌にそう言い放ち、兵員室壁面のホロモニターを起動した。
青白い3Dグラフィックで惑星クマモッテが映し出され、ついで首都ヒュガーの立体地図にまでズームインする。


タクージン「最終確認!我々のミッションはシンプルだ。ミコア・ルマ・ヤマタイトを捜索し、身柄を確保、脱出!」

タクージン「しかるのち衛星軌道上に待機する艦隊から艦砲射撃を行い、クローン戦争の亡霊どもを完全に絶滅する。ターミネート・セパレーティスト(分離主義者を抹殺せよ)!」

「「「「ターミネート・セパレーティスト!」」」」


 タクージンお抱えの四人のマンダロア兵がクローン戦争時代の合言葉を唱和する。
いずれも共和国時代から彼の下で戦場を巡ってきた精強たちである。
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/11(木) 00:02:11.42 ID:4BUNXgpn0

タクージン「ジルコ!セラ!貴様らはナインス・ブラザーの隊だ」


 タクージンはその内二人と尋問官を呼び、立体地図の一地点を指し示す。


タクージン「貴様らはここのドロイド工場に降下し、搬入用地下通路から分離主義者の本拠地キャッスル・クマモッテに突入せよ!」

ジルコ「イエッサー!」
セラ「イエッサー!」

ナインス「イエッサー……」

タクージン「マイヤー!デクタポルカ!貴様らは俺と一緒だ。奴らが逃亡を図る恐れがある故、発着場に降下して先回りする!」

マイヤー「イエッサー!」
デクタポルカ「イエッサー!」

タクージン「OK!質問は無いな!?」

ナインス「総督。分離主義者の頭目を発見した場合、その排除とミコア姫の確保、どちらを優先すべきですか?」

タクージン「無論ミコアだ。しかしどちらか一方しかできないような無能は俺の軍団に必要ない!両方完全に遂行せよ!」

ナインス「イエッサー……!」


 尋問官は胸中で鬱屈した闘志を燃え上がらせた。
彼には予感があった。
この戦いから繋がる因縁、あるいはこの戦いそのものが、クイナワの雪辱となるという強烈な予感が!
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/11(木) 00:02:40.06 ID:4BUNXgpn0

リズマ「一体何故今ここに帝国軍が!?」ダダダ

ネーア「そんなこと妾が知るかっ!」ダダダ

シンノ「喋ってねえで走れーっ!」ダダダ


 ドドドドドドキュンッ!
空からの機銃掃射が襲い来る!
シンノ・リズマ・ネーアの三人は死に物狂いで走り、鉄屑を満載したスピーダー・トラックの陰に飛び込んで難を逃れた。
口惜し気に飛び去るTIEファイターを目で追うと、ヒュガー中心街が赤々と燃えているのが見えた。


シンノ(一体何人が犠牲に……銀河、帝国……!)ギリッ

リズマ「あれっ、クネーさんは!?」

ネーア「カタナを置き忘れたからWウィングに戻ると言っておったが……」

『すまない、あれは嘘だ』


 クネーの声は空から降ってきた。
三人がぎょっとして見上げると、Wウィングがホバリングしている。
キャノピー越しに見えるのは操縦席に座るクネーと、その背後でスマキにされて転がっているR3の姿!
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/11(木) 00:04:07.85 ID:4BUNXgpn0

シンノ「クネー!?どういうことだ、何の真似だそれは!」

クネー『悪いが私はここで降りさせてもらう。もうあのシスに義理立てすることもないんでね』

ネーア「何をいまさら!トチ狂ったか!?」

リズマ「それを持っていかれたら私たちどうやって帰れば!?」

クネー『船を奪えばいいだろう。あいにく私はあんたたちジェダイほど頑健じゃないんで安全第一なんだ、恨むなよ』

R3-C3『プアアーン!』ガタガタ


 R3の叫びも虚しく、Wウィングは高度を上げる。
そして襲いかかってくるTIEファイターをひょいひょいとかわしつつ、酸性雨の雲の上へと姿を消した。


リズマ「な……なんという……」ポカーン

ネーア「ぬうあああーっ!女狐!薄汚い女狐!絶対に許さん!地の果てまで追いかけてシス式で落とし前をつけさせてやるのじゃあああふしゅああーっ!」ガンガン

シンノ「……リズマ!ネーア!」

リズマ「はっはい!?」ビシッ
ネーア「何じゃあ!?」ジロリ

シンノ「もう起きたことは仕方ない。ミコアは俺たち三人だけで救い出す」
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/11(木) 00:05:04.83 ID:4BUNXgpn0

 その語調は冷静かつ自信に満ちていた。
クネーへの恨み事を言うどころか、むしろ不敵に笑って言ってのける。


シンノ「思えばラグナロクで大勝ちした時と同じメンツじゃないか。このほうがよっぽどいいぜ」

リズマ「……!はい、私たちならできますよ、マスター!」

ネーア「……ふん、大勝ちってほど大勝ちでもなかった気がするぞよ。一人くらいどてっぱらに風穴が空いてた気がするのう」

リズマ「ネ、ネーアさん……!」

ネーア「……しかしまあ、シンノ」チョイチョイ

シンノ「何だ?」


 ネーアはシンノを屈ませ、その肩を叩いて言う。


ネーア「ようやくジェダイ・マスターらしい面構えになってきたものじゃ。姉弟子として誇らしいぞよ」ポンポン

シンノ「シスとしてじゃなく、か?そりゃどうも、先輩」

リズマ「……姉弟子?シス?あの、すみません、話がよく見えないのですが……」

ネーア「ふむ……ではあらためて自己紹介させてもらおうかの」


 そして黒ローブをはためかせ、赤いライトセーバーを振りかざし、高らかに名乗りを上げた。


ネーア「妾は名はダース・ネーア。マスター・ヨーダの教えを拒否し暗黒面の道を選んだ、極悪非道の暗黒卿よ!」
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/11(木) 00:06:56.05 ID:4BUNXgpn0
/>>42正解です。他の固有名詞も九州の地名や歴史のもじりが多いです
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/11(木) 03:00:37.46 ID:2QQzxGLT0
自分で極悪非道って言うといい子にみえる
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/11(木) 19:18:56.75 ID:10tv51fUo
この話が終わったら番外編か何かで
シンノに連れられてダゴバへ行きヨーダと再会するネーアちゃんとか見てみたい

ネーア「500年の眠りから目覚めたらロクにフォースも使えない小娘になってしまいました」
みたいな再会をしたりとか

ヨーダ「シンノを頼むぞ」
ネーア「シスの暗黒卿に頼むのですか?」
ヨーダ「ほほほ。……頼んだぞ、ベルネア」

力の衰えたジェダイマスターと力を失ったシスの暗黒卿が
余所余所しくも再会を喜んでいる様な、悲しんでる様な
ソフトな感じの元師弟の話みたいな
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/12(金) 00:04:11.58 ID:kz/7WdKj0

スターバル「ミコア姫!緊急事態ですぞ、一刻も早く地下のシェルターに……」ズカズカ


 スターバルは数体のマグナガードを従えてキャッスル・クマモッテ西塔最上階の部屋に入室した。
窓の外でドロイド・スターファイターがTIEファイターに撃墜され、遥か眼下のスラムに落ちて爆発する。
カリーシュの将軍はスイートルームをせわしなく歩き回ったが、あるはずの人影がない!


スターバル「居ない!?奴め、どこへ行った!?」キョロキョロ

マグナガードA『ばするーむニモ居マセン』ガチャッ

マグナガードB『くろーぜっとノ中モ空デス』ガチャッ

マグナガードC『冷蔵庫ニモ見当タリマセン』パカッ

スターバル「グウウウウ……!一体どこから逃げた、あの小娘があ!」ズバアッ


 スターバルは苛立ちまぎれにライトセーバーでテーブルを破壊したあと、おそろしい剣幕でマグナガードたちに命じる。


スターバル「城内全域に緊急放送だ!あのメスガキを草の根分けても探し出せーッ!」
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/12(金) 00:05:17.54 ID:kz/7WdKj0

 同時刻、城下正門前では、ストームトルーパーの集団が警備のドロイド部隊と戦闘に突入していた。
敵の目をミコア姫救出部隊から逸らすための陽動作戦である。


トルーパーA「死ね!鉄屑どもが!」バシュバシュ

トルーパーB「ガラクタの体に風穴空けてやる!」バシュバシュ

トルーパーC「てめえらのクローン戦争はここで終了だ!」ピンッ ポーイ


 ズドオン!
グレネードがバトル・ドロイドの集団に飛び込み、炸裂!


バトルドロイドA『ウワー!』ガシャン
バトルドロイドB『ギャアーッ!』ガシャン

バトルドロイドC『ウワワ、チクショー!』バシュバシュ

スーパーバトルドロイド『――!』バシュバシュ

スーパータクティカルドロイド『断固死守セヨ!連合ノ荒廃コノ一戦ニアリ!』バシュバシュ


 しかしドロイド部隊も果敢に反撃し、門の上に設けられたブラスター砲座までが火を噴いた。
ストームトルーパーたちは慌てて遮蔽に逃げ込み、銃のエネルギーパックを交換する。


トルーパーA「畜生、今まで退治してきたようなショボい残党どもよりちと手強いな……!」ガチャガチャ

トルーパーB「この分じゃワイヤーで壁を越えた第三分隊に手柄を取られるぞ、急がなけりゃあ!」ジャキッ
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/12(金) 00:06:32.04 ID:kz/7WdKj0

 しかし彼らは気づかなかった。
第三勢力たるジェダイが背後からまっしぐらに走ってくることに!


シンノ「邪魔だああああああっ!」ゴウッ

トルーパーA「うおお!?」ポーン
トルーパーB「ぎゃああ!?」ポーン
トルーパーC「うごわーっ!?」ポーン


 フォース・プッシュ!
ストームトルーパー部隊はバラバラに吹き飛ばされ、各々壁や路面に激突して壊乱!


バトルドロイドC『ナ、ナンダア!?味方!?』

スーパータクティカルドロイド『じぇだいダト!?ヨクワカランガアイツモ敵ダ、撃テ!』バシュバシュ

スーパーバトルドロイド『――!』バシュバシュ

シンノ「久しいな、ブリキ野郎ども……!」シュタタタタ


 シンノは走る速度を緩めず、そのまま戦場を縦断!
フォースの予知と身体能力ブーストを頼りにドロイドたちの弾幕をも潜り抜ける!
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/12(金) 00:06:58.43 ID:kz/7WdKj0

シンノ「フンッ!」ズバアッ

スーパータクティカルドロイド『ナ、ガ――!?』ガシャンッ

シンノ「ハアッ!」ズバアッ

スーパーバトルドロイド『!?』ガシャンッ


 そしてすれ違いざまライトセーバーを振るい、たちまち二体をスクラップに変えた!


バトルドロイドC『ウワーッ!ドウスリャイインダーッ!』

リズマ「せやあっ!」ズバアッ

バトルドロイドC『ドウニモナラニャーッ!』ガシャン


 少し遅れてリズマが到着し、残る一体を破壊!


ネーア「はあーっ!」バリバリーッ


 ドカーンッ!
ネーアがフォース・ライトニングで門の上のレーザー銃座を爆砕!
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/12(金) 00:08:06.33 ID:kz/7WdKj0

ネーア「周りは妾が見張る、速く門を開けい!」

シンノ「よし、リズマ!合わせろ!」

リズマ「はいマスター!」


 二人のジェダイはシスに背中を預けておいて、正門の重厚な門扉に手を差し伸べた。
目を閉じて精神を集中すると、たちまち市街の戦闘音が遠ざかる。
その静寂の中に、自然のフォースの流れを感じ取る。


シンノ(フォースが「わかる」ぞ、以前よりもはっきりと……マスター・ヨーダの修行だけじゃない、リズマと一緒なら……!)

リズマ(マスターと二人なら、道を開ける!)


 二人が示し合わせたごとく同時に目を見開き、手をぐっと引く。
フォースの力場が働き、門扉を振動させた。
その振動はたちまち明確なベクトルを持ち、重い金属を動かし、押し開く!


シンノ「開いた!行くぞリズマ、ネーア!」

リズマ「お供します、マスター!」

ネーア「ヒャッハー!お次はどこじゃーっ!」


 三人はキャッスル・クマモッテ1Fに突入し、立ちふさがるドロイド部隊を撫で斬りにしながら前進!
バイタル区画への道を見出し、「KUMAMOTTE-BIG4」と書かれた扉を蹴り開ける!
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/12(金) 00:09:13.90 ID:kz/7WdKj0

 中は体育館のように広い空間で、その中央には背丈10メートルほどの巨大な影があった。
蜘蛛じみた四本の脚をもつボディの上から人の上半身が生えたような異形のマシーンである!


ネーア「げえっ、何じゃあれは!?」

リズマ「巨大な、ドロイド……?」

シンノ「いや、あれは……!」

『ムーン?また現れおったか、帝国軍の雑魚どもめら!』


 それが今、ガシガシと耳障りな音を立ててシンノたちのほうへ向き直る……周囲に散乱するストームトルーパーたちの死体を踏みつぶしながら。


『ン?ライトセーバー……?まあ何者でもよいわ!この部屋を押し通ろうというのなら誰であれ磨り潰すのみ』

メク『ニモーディアン最高の頭脳にしてクマモッテ四天王の先鋒たるこのメク・マーケン様の手にかかって死ぬことを誇りに思うがよいわ!』


 頭部のキャノピー越しに、醜悪なエイリアンの操縦者がジェダイたちを見据える。
しかし三人は少しも怯むことなく、挑戦的にライトセーバーを振りかざす!


シンノ「ふん、そんな誇りは御免だね」ブオンッ

リズマ「意地でも押し通らせてもらいます!」ブオンッ

ネーア「カカカカカ!さあ、ドゥークーとグリーヴァスの後を追う心の準備はよいか!?」ビシューンッ
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/12(金) 02:35:25.92 ID:UE88swjYo
あら、ネーアちゃん徐々に力が強くなって来てる感じなのかな?
『この体フォースの加護カッスカッス』とか言ってたのが懐かしい
あれだな!チョコ・バーだな!
チョコ・バー食ってフォース貯めて来たんだなww
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/14(日) 19:52:46.36 ID:q+PKilBu0

メク『ほざけ、気狂いジェダイ・ワナビーどもが!消し炭にしてくれるわ!』カチッ


 ジャコン!ゴウッ!
マシーンの下部から火炎放射器が展開し、ジェダイとシスめがけ業火を噴出した!


シンノ「散れっ!」ダッ


 三人はシンノの号令の下散開し、これを回避!


リズマ「はあっ!」サッ ブンッ


 リズマはストームトルーパーの死体からイオングレネードを拾い、マシーンめがけ投擲する!
ドオンッ!
機械類を犯すプラズマエネルギーが爆ぜ、電光が閃く!


ネーア「やったか!?」

メク『ムッフッフッフッフ!効かんなあ!』


 しかし白煙の向こうから姿を現した敵機は、損傷軽微!
対イオン兵器防御が施されているのだ!
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/14(日) 19:53:38.11 ID:q+PKilBu0

メク『貴様から地獄に送ってやるぞ、女ァ!』カチッ


 ジャキジャキ!ドドドドドドドドドドキュン!
マシーン両腕部のブラスターガトリング砲がリズマめがけ火を噴く!


リズマ「くうっ……!」チュインチュインチュインチュイン!


 リズマは秒間数十発のペースで降り注ぐ弾雨をかろうじて防ぐ!
シンノやクワイ・ガン=ジンによるトレーニングがなければたちまちハチの巣にされていたような苛烈な攻撃である!


シンノ「そこまでだあっ!」バッ ブオンッ!

メク『むおおっ!?』


 そのとき横合いからシンノが飛び込み、マシーンの右腕を切断!
体勢を崩させ、射撃を中断させる!


ネーア「間抜けめ、背中ががら空きじゃあっ!」バッ ガシッ!


 さらにネーアが敵の背中に飛びついた!
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/14(日) 19:54:13.81 ID:q+PKilBu0

ネーア「おらっ!おらあ!」ドジュッ!バズンッ!


 そのままライトセーバーで装甲を滅多刺しにする!
メクが座するコックピットに警報音とアラート表示の赤い光が満ちる!


メク『チイーッ!クソガキがあ!』カチッ


 ギュ、グイイイインッ!
メクはマシーンの上半身を高速回転させて反撃した!


ネーア「ぬわわわわわわわわわーっ!?ぐへっ!」グルングルングルン ズデーッ


 ネーアは遠心分離機のように振り回された挙句地面に放り出される!
クラクラしながらも顔を上げると、脚を高く振り上げる敵機の姿!


メク『踏み……ウップ、オエ……踏み潰してやる!』

ネーア「げえーっ!?」

リズマ「ネーアさん!危ない!」バッ


 ズシンッ!
間一髪、リズマがネーアを抱え上げて退避!
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/14(日) 19:55:15.91 ID:q+PKilBu0

メク『ハエどもがちょこまかと!死ねーっ!』カチッ


 ドドドドドドキュンッ!
左腕ブラスターガトリング砲の火箭が追う!


リズマ「そんな野蛮な武器ではジェダイの騎士を捉えることなどできませんよ……!」シュタタタタタ


 しかしリズマ、ネーアを抱えたまま巧みな回避機動を繰り出してこれをすり抜ける!


ネーア「わーいよいぞよいぞー!やーいでくのぼうここまでおいでー!」キャッキャ

メク『むがあああっ!貴様らも共和国と同じか!この俺を、メク・マーケン様を愚弄するのかーッ!』ドドドドド

シンノ「俺を忘れてもらっちゃこまるな……!喰らえ!」グオッ


 さらにシンノが切断した右腕をフォースで持ち上げ、横合いから投げつけた!


メク『おごあっ!』ガシャーンッ


 腕は頭部のコックピットに直撃!
キャノピーが弾け飛び、メクは激しい衝撃に晒されて悶絶!
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/14(日) 19:56:15.28 ID:q+PKilBu0

ネーア「今じゃリズマ!妾をあそこまで投げい!」

リズマ「投げ……!?はい!せいやあっ!」ブンッ


 シス卿テイクオフ!


メク「ムウウーンッ……何っ!?」


 どうにか意識を取り戻したメクが見たのは、宙を舞う黒ローブの少女の姿だった。


ネーア「今度こそ終わりじゃ!たあああああーっ!」ブウンッ!


 ライトセーバー、唐竹割り一閃!


メク(バ、バカな……こいつら、本当は、本当に、本当の、ジェダ――)


 赤い刃はメク・マーケンの体を正中線上で断ち切ったばかりか、巨大マシーンの胸板、腹、下腹部までも掻っ捌く。
ネーアが着地して飛び退いた直後、マシーンは尻餅をついて擱座し爆発した。
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/14(日) 19:56:58.58 ID:q+PKilBu0

ネーア「ふう……」パンパン クルッ


 ネーアはローブについた煤を払ったあと、ジェダイ二人の方を振り返って言う。


ネーア「楽勝じゃったな」

リズマ「えっ、あ、はい」

シンノ「ああ、踏み潰されそうになってた奴なんていなかったな……」

ネーア「しかしリズマ、よくシスの暗黒卿を助けてくれたのう?」

リズマ「えへへ、マスターの妹ですし……私にとってもハクカ以来の仲間ですから」

ネーア「リ、リズマ……そなた……」ジーン

『ガガッ……緊急放送!緊急放送!』


 三人が一息吐いたとき、天井のスピーカーが喚き始めた。


ネーア「おっ、何ぞよ何ぞよ」

リズマ「これは……分離主義者の連絡放送!」

シンノ(しかしこの声、どこかで……)

放送『……独立星系連合の全兵士に告ぐ!こちらはバランタスカ・シブ・スターバルである!』

シンノ「!」


 その名前を聞いた時、シンノの記憶が連鎖的にフラッシュバックした。
クローン戦争時代……カンター宙域、惑星イバラックの戦い……そこで相対したカリーシュの将軍!
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/14(日) 19:57:52.27 ID:q+PKilBu0

シンノ「まさか、あのスターバル将軍が……この惑星クマモッテに!?」

ネーア「知っているのかシンノ!?」

リズマ「お二人とも、今は静かに!」シーッ

放送『現在我々は帝国軍の卑劣なる奇襲を受けつつあり、諸君におかれてはその正当なる迎撃に全力を注いでいることとは思うが……もう一つ、注意を払うべきインシデントが生じた!』

シンノ(注意を払うべきインシデントだと……?)

放送『それは――ミコア・ルマ・ヤマタイトである!』

シンノ「ミコア!?」
リズマ「ミコアですって!?」
ネーア「ミコアじゃと!?」

放送『銀河帝国の最上級重要人物であるこの女は我々の捕虜となっていたが、つい数時間前、この騒ぎに生じて脱走し行方をくらませたのだ!』

シンノ「脱走!?」
リズマ「脱走ですって!?」
ネーア「脱走じゃと!?」

放送『緑色のネックレスを下げたヤマタイティアンの少女であるから、兵士諸君にも容易に判別はできるはずである。発見次第司令部に通報すべし!以上放送終わり!ガガッ』

ネーア「聞いたか、脱走じゃと!やるのうあいつも!クイナワでもちょこちょこいいとこ見せてはおったが――」

シンノ「大変だ……!二人とも、先を急ぐぞ!」ダッ

リズマ「あっ、マスター!?」
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/14(日) 19:59:00.49 ID:q+PKilBu0

 三人は入口の向かい側にエレベーターを発見し、飛び乗った。
次の「四天王」がいると思しきフロアまで直通である。
ズズウン……
低い振動が上昇中のエレベーターを震わせる。
城内のどこかに帝国軍機が投下した爆弾が落ちたのだろう。


シンノ「ミコア姫は分離主義者にとっても貴重な人質のはずだ。下手に脱走して戦場に迷い込むくらいなら、厳重に警護されていたほうが安全だったのに……!」

リズマ「うう……きっと、彼女も必死でやったことなんでしょうけれど……」

ネーア「まあ警護してる分離主義者を狙って爆弾が落ちるかもしれんし、一概に悪手ともいえんがのう」

シンノ「それだけじゃない。帝国軍が衛星軌道上からの艦砲射撃というもっとも手っ取り早い殲滅手段を取らないのは、ミコア姫が巻き添えになるのを恐れているからだ……」

リズマ「帝国軍はいったいどこからミコア姫の居場所を知ったのでしょう?」

ネーア「どうせまたテイティスじゃろ。あいつやることなすこと意味不明じゃし」

シンノ「それはわからないが、とにかく帝国軍はミコア姫の身柄を狙っている。それさえ確保してしまえば、残りを艦砲射撃で焼き払いにかかるのは想像に難くない」

ネーア「……それは何かまずいのか?なんだかんだ人質扱いの分離主義者よりは、帝国軍に渡る方がミコアの身柄はまだ安全ぞよ」

リズマ「私たちもまとめて焼き払われることになるんですよ」ヒソッ

ネーア「ぎゃあああああ!大変じゃ!大変じゃ!」ワタワタ

シンノ「それにさっきのスターバル将軍は、小グリーヴァスとも呼ばれた冷酷無比の男……この混乱のこともある、分離主義者の手に渡れば今度はミコア姫本人が危険だ!」

ネーア「なんじゃそれ、どっちにしろバッドエンドぞよ!どうするんじゃ!」

シンノ「俺たちがミコア姫を確保するしかない……分離主義者よりも帝国軍よりも早く、だ!」
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/14(日) 19:59:35.74 ID:q+PKilBu0

 エレベーターが停止し、扉が開く。
三人は直線の廊下を進み、突き当りにあった「KUMAMOTTE-BIG4」と書かれた扉を押し開けた。
中はまたも大部屋で、壁の一面がトランスパチスチール張りの大窓になっている。


「……マーケンがやられたか。しかし奴は我々の中では最弱……クマモッテ四天王の面汚しよ」


 窓を背にして胡坐をかいていた人物がすっくと立ちあがり、手にした長柄の武器で地面をガンと突いた。
元々はトカゲ人間ともいうべき容貌のエイリアンだったようだが、全身を銀色の装甲に覆っているあたりあからさまにサイボーグである。


シュバルゴン「俺はテクノ・ユニオン最強の戦士、シュバルゴン!」

シンノ「貴様が二人目の四天王だな」ブオンッ

シュバルゴン「いかにも。その手の武器、ここまで辿り着いた腕前、どうやら本物のジェダイらしいが……このフロアは断じて通さん!」ガシャッ ゴウッ!


 そのサイボーグは背中からウィング型のジェットパックを展開し、垂直上昇!


ネーア「飛んだあ!?」

シンノ「ミコア姫はまだ城の深部に――この先にいるはずなんだ!突破するぞ!」

リズマ「イエス、マスター!」

シュバルゴン「一千年続いた貴様らの伝統も、テクノロジーの鎧は貫けぬものと知るがいい!」ガシャッ ズドドドドドドドドッ!


 シュバルゴンが胸部装甲を展開し、その内側から数十発のマイクロミサイルをばらまくように発射した!
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/15(月) 07:03:15.13 ID:udtSaQhmo
>>64
>リズマ「えへへ、マスターの妹ですし

「妹」扱いなの?
姉弟子だから「姉」かと思ったけど、
ちっこい子=「妹」枠扱いって事?
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/15(月) 11:39:32.46 ID:ROIv2Fpg0
まさかの四天王最弱ネタww
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/07/20(土) 19:47:15.54 ID:+26XygKj0
/多忙につき次回の更新は27日以降となります
/不規則になってしまい申し訳ありません
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/28(日) 19:32:56.92 ID:klFZwLqf0

管制ドロイドA『34区画、トランスポートステーション南方に敵部隊の進入を確認。第5、6中隊迎撃せよ』

管制ドロイドB『東方の荒野地帯に敵ウォーカー部隊の降下を確認。イオンカノン砲台、制圧射撃開始』

管制ドロイドC『北北東から敵戦爆連合、およそ50機が接近しつつあり。各対空砲弾幕展張!』


 一方キャッスル・クマモッテ内のドロイド軍司令室は、帝国軍の攻撃への対応に忙しかった。
壁面の大型モニターにはヒュガーの地図が大写しになり、自他の部隊の動向が表示されている。
管制ドロイドたちは各々のコンソールでその情報を確認しつつ、各部隊に指示を飛ばしていた。


アガメムノン『せれのーらんと公、コノ分デハ半日ガ限界デス』

マクシャリス「ふん、やはりな……こんな旧態然とした城に籠って戦えるほど、奴らは甘くないということだ」


 その中央でスーパータクティカルドロイドのアガメムノンとマクシャリスが言葉を交わす。
マクシャリスはこの危機的状況にあっても動揺を露わにしないばかりか、微笑さえ浮かべている。
手元のコンソールを操作し、スターバル将軍への通信回線を開く。


マクシャリス「スターバル。応答せよスターバル、こちらはマクシャリス・セレノーラント・ドゥークー」

スターバル『ザザッ、ガリガリ……公、セレノーラント公!申し訳ありません、帝国軍の通信妨害が城内にも……ガリガリガリ』

マクシャリス「構わん。ミコア姫の捜索状況はどうだ?」

スターバル『はっ、目下全力で捜索中ですが……ザザザ……いまだ発見できておらず……ガリガリガリ』

マクシャリス「ほどほどにして引き上げろ、時間は有限だ。ミコア姫はあくまで帝国軍を引き付けるエサでしかないんだからな」
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/28(日) 19:33:54.64 ID:klFZwLqf0

 それだけ伝えて通信を切り、椅子を立つ。


マクシャリス「私はそろそろヴェンジェンスに移る。後のことは任せたぞ……アーチ公とガスター殿のこともな」

アガメムノン『承知シマシタ』


 そしていつもの白マントを羽織り、颯爽と司令室を後にした。
ドロイドたちが忙しく行き交う廊下を、マグナガードを引き連れて悠々と進む。


マクシャリス(計画通り。すべて俺の計画通りだ)


 懐から手のひら大のスパイダー・ドロイドを出して弄ぶ。
ドロイドは赤いランプをチカチカさせながらマクシャリスの腕を登り、肩に乗った。


マクシャリス(もはや「スター・サクリファイス作戦」は誰にも止められん……!)


 心中でそう独り言ちて、マントを翻しつつ発着場へ向かう。
彼にとってクマモッテ四天王は忌むべき旧体制の一部であり、捨て駒でしかなかった。
そのため彼らの戦闘に特別の関心を払うことはなく、その相手がジェダイであることばかりか、その戦場に一人の少女が迷い込んだことにも気づくことはできなかったのである。
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/28(日) 19:35:02.64 ID:klFZwLqf0

シュバルゴン「ゼヤアッ!」ブンッ

ネーア「くうっ……!」バチバチッ


 シュバルゴンのエレクトロ・ハルバード攻撃!
ネーアはかろうじてライトセーバーで受け止めるも、その重さに体勢を崩す!


シュバルゴン「隙ありァ!」ブウンッ

ネーア「おごっ!?」ドガッ


 そこを狙って尻尾の打撃が叩きこまれた!
地面をバウンドしながら吹き飛ぶシス卿!


シュバルゴン「トドメだ!」ジャキッ

リズマ「ネーアさん!危ない!」ブウンッ

シュバルゴン「ぬおおっ!?」シュゴーッ


 シュバルゴンは前腕部に仕込んだブラスターで追撃を図るが、背後からリズマに斬りかかられて中断!
背中に浅い傷を残しながらもジェットパックで空中へ退避!
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/28(日) 19:35:48.86 ID:klFZwLqf0

リズマ「くっ、また空中に……!」

シュバルゴン「フハハハハ!貴様らのサイコキネシスもこの高さまでは届くまいて!」シュゴーッ


 シュバルゴンが高笑いしつつ地上のリズマに反撃を加えようとした、その時!


「おおおおおお……!」ダダダ

シュバルゴン「ハハハ、ハ?」クルッ


 背後から聞こえてきたのは、気合の声と連なった足音。
振り返る。


シンノ「うおおおおおおーっ!」ダダダ


 ジェダイマスターが壁を斜めに駆け上ってくる!


シュバルゴン「何ーっ!?貴様、バカな!そんなことが!」

シンノ「落ちろ!鉄トカゲーっ!」ブンッ

シュバルゴン「ぐおああーっ!?」ドガッ


 シンノの飛び蹴りがガードに先んじて敵の鳩尾に突き刺さる!
シュバルゴンは青い血液と金属片を撒き散らしながら吹き飛び、背中から壁の大窓に激突!
破砕音とともに大窓に蜘蛛の巣状の亀裂が生じる!
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/28(日) 19:37:07.68 ID:klFZwLqf0

シュバルゴン「ぐっは、貴様ら……こんなことで、俺を……!」モガモガ

ネーア「ハアーッ……無限のパワーを!食らえーっ!」ズババーッ

シュバルゴン「ぐわあああああ!?」バリバリバリ


 そこへネーアが追い打ちとばかりにフォース・ライトニングを浴びせる!
窓全体が粉砕!
シュバルゴンも空中へ放り出されるが、かろうじて窓の縁にしがみつく。


シュバルゴン「ゴボッ、貴様、その技……まさか、シス、の……」

ネーア「しつこい!」ゲシッ


 ネーアはその手を蹴り飛ばし、二人目の四天王をフロアから放逐した。


ネーア「ハアーッ、ハアーッ……前座のくせに生意気なんじゃ……」

シンノ「ネーア!大丈夫か、さっきのダメージは!」タタタ

ネーア「なに、大事な――ゲフッ!ゴホッ!――大事ない、ぞよ」

リズマ「絶対大丈夫じゃないじゃないですかあ!」
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/28(日) 19:38:16.98 ID:klFZwLqf0

シンノ「ミコア姫のことは気になるが、少し休んでいくか?俺もちょっとキツくなってきたところだ」


 ジェダイマスターの顔にも疲労の色が現れ始めている。
衛星軌道上におけるテイティスとのドッグファイト。
地上での帝国軍・ドロイド軍との戦闘。
そしてクマモッテ四天王……メク・マーケンはともかく、シュバルゴンは並みのジェダイナイトよりよっぽど強い難敵だった。
クローン戦争中でもこれほどの過酷な連戦はなかっただろう。


ネーア「そりゃありがたいのう、妾はそろそろチョコ切れで……」

リズマ「あっ、こっちに冷蔵庫がありますよ。シュバルゴンのものでしょうか」ガチャッ

シンノ「飲み物はないか?火事場泥棒みたいで気が引けるが、いただいていこう」


 しかしその小休止はすぐに遮られることとなる。
足元から重い振動が伝わってきたのだ。
それは爆撃のものと違って体の芯を揺すぶるような響きを伴い、十秒近く持続した。


リズマ「……今のは……地震?」

ネーア「モグモグ、このタイミングでか?なんじゃろな……なんか怪しいぞよ」

シンノ「……何かあるな。二人とも、悪いが休憩は終わりだ。先を急ごう」


 シンノとリズマはスポーツドリンクを飲み干し、ネーアはチョコレート・バーの残りを口を放り込んで、シュバルゴンのフロアを出る。
三人目の部屋へ通じるエレーベーターの中、シンノは呼吸を整えつつ思考を巡らせた。


シンノ(大がかりな仕掛けができるとしたら、ホームグラウンドである分離主義者だが……ドゥークーの亡霊どもめ、いったい何を企んでいる?)
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/28(日) 19:44:12.69 ID:klFZwLqf0
/>>68ネーアはハクカ以来シンノの妹を詐称していたので、それを引き合いに出した形です
/次回の更新は2日以降になります
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/29(月) 09:28:51.57 ID:3lqT0lJpo
>>77
そう言えばシンノが自分の妹と紹介していましたね
すっかり忘れてました
申し訳ない

次回の更新までにもう一度1作目から読み返して来よう
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/04(日) 01:16:58.65 ID:XW/qdEbd0

 同時刻、惑星タンガシムは昼時だった。
反乱軍基地は相変わらず曇り空の下で寒風に晒されている。


バヤット(今回の補給はかなり充実していたな。これでひとまず艦隊行動がとれるようになった)ガチャッ


 その司令官であるバヤットは補給物資の確認を終え、施設内に戻った。
コートを脱いで従兵に任せ、一人廊下を進みつつ思考を巡らせる。


バヤット(しかし本隊も余裕はないだろうに、これだけQC方面軍にリソースを割いてくれるというのは……)スタスタ


 QC宙域の反乱軍には、惑星ハクカで帝国軍の衛星砲台ラグナロクを破壊した実績がある。
他の宙域での戦績が鳴かず飛ばずな現状、反帝国勢力全体から期待を集めるのは自然な成り行きだ。
しかしそれは今は亡きシカーグ将軍とジェダイたちに支えられたものであり、バヤットからすれば諸手を上げて受け入れることは難しい。


C7-BDB『ナアゆすか、モウワカッタカラ機嫌ナオセヨオ……』


 廊下に面した半開きの扉から、ドロイドの呆れたような声が漏れ聞こえる。
バヤットは何気なく立ち止まり、中の様子を窺った。
C7-BDBとユスカがこちらに背を向ける形でソファに腰かけている。
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/04(日) 01:17:37.15 ID:XW/qdEbd0

ユスカ「簡単に言わないでよ……ああ、私、本当バカみたい。今まで散々馴れ馴れしく理解者面してさ……まるっきりピエロよね……」ズーン

C7-BDB『チョットバカシ鈍感ダッタッテダケデ落チ込ミスギダロオ……テイウカ悪カッタト思ウナラ、しんのタチニツイテ行ケバヨカッタジャネエカ。腕ップシデ挽回シロヨ』

ユスカ「そんなことできるわけないじゃない、どんなツラして会えっていうのよ!」ガーッ

C7-BDB『イキナリキレンナヨ、情緒不安定カ!テイウカオ前、しんのノコトニ限ッテ動揺シスギダロ。恋シテンノカ?エ?』

ユスカ「ああ、恋……そうだったのかもしれないわね……」

C7-BDB『ウッソダロオ前』

ユスカ「でももう何もかも手遅れよ。そもそもジェダイでもないくせに一丁前に仲間になった気になってたのが間違いなのよ……リズマの一人勝ちよね……ふふふ……」スック

C7-BDB『オ、オイ……ドコ行クンダ』

ユスカ「ちょっと手首でも切ろうかなって」

C7-BDB『落チ着ケェ!』

バヤット「……」


 ……盗み聞きのような真似をしてしまった。
取っ組み合う二人の背中を後目に、扉の前を離れる。


バヤット(……俺はあんな風に仲間を想ったことがあっただろうか)


 「仲間を信じられないのか?」――女賞金稼ぎの言葉が脳内で反響する。
部下は信用できるが、仲間は信用できない。
兵士は信用できるが、ジェダイは信用できない。
不確かだからだ。
それがバヤットという男だった。


バヤット(……いや、今更こんなことを考えても仕方がない。シンノたちを身一つで送り出してしまった以上、俺が彼らにしてやれることはもう何もない)

バヤット(そう、何もかも手遅れなんだ)
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/04(日) 01:18:23.11 ID:XW/qdEbd0

シンノ「はあっ!」ブウンッ

スサンノ「ぬああっ!」ボウッ


 バチッ!バチチ!
シンノのライトセーバーと敵の炎の剣が衝突し、鍔迫り合いとともに火花を散らす!


リズマ「せいやあっ!」ブウンッ

スサンノ「なんの!」バチッ


 敵は二刀流!
横合いからのリズマの攻撃はもう一方の炎剣に弾かれる!
さらに敵はその勢いのままに体をひねり、シンノめがけ回し蹴りを繰り出す!


スサンノ「喰らえい!」ブンッ

シンノ「ぐはあっ!?」ドガッ


 シンノはこの巧みな攻撃を受け損ね、吹き飛ばされる!
背中から壁に叩きつけられ、その手からライトセーバーが弾け飛ぶ!
シンノは泡を食ってセーバーに手を伸ばすが、敵はその隙を見逃さない!


スサンノ「もらった!」ビュビュンッ


 両手の炎剣をシンノめがけ投擲!
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/04(日) 01:19:10.22 ID:XW/qdEbd0

ネーア「させぬぞ!はあっ!」シュバッ ブウンッ


 しかしその軌道にネーアが割り込み、ライトセーバーで炎剣を撃墜!


シンノ「ネーア!助かった!」パッ


 シンノはその隙に体勢を回復し、ライトセーバーを拾って構えなおす。


スサンノ「ふむ、その動き……そこの小娘、やはりシスか」


 敵は落ち着き払って分析する。
その風貌は、緑色の甲冑に身を包んだ鎧武者。
スサンノ・リ・ヤマタイト……「三人目」であるこの男はそう名乗った。


ネーア「ハア、ハア……そうとも。よくわかったのう?」

スサンノ「ヤマタイト王族は元来シスの血よ。ゆえにこのような技が伝わっておるのだ」ヒュパパ


 スサンノが両手で印を組むと、空中に二振りの青白い炎の剣が生じた。
それを掴み取り、再び二刀流となる。


シンノ(あの炎、フォース・ファイアーの……!)ゴクリ
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/04(日) 01:19:46.08 ID:XW/qdEbd0

ネーア「カカカカカ!そんな大層な印まで組んで、剣の一本二本を作るだけとはな……そこまで劣化した技を使える程度でシスの末裔を気取るとは片腹痛いわ!」

シンノ「……俺たちは何も分離主義者を潰しに来たわけじゃない、お前の同族……ミコア・ルマ・ヤマタイトを助けに来ただけだ。それでもあくまで立ちふさがるのか?」

スサンノ「応。リ家とルマ家は三代前より王位を争い、先の大戦においても独立星系連合と共和国に分かれて相対した間柄ゆえ……ハアッ!」シュバ ブウンッ


 スサンノは鎧の重量を感じさせない俊敏な動きで踏み込み、斬りつける!


シンノ「くうっ!」バチバチッ


 シンノはかろうじて受け止め、再度鍔迫り合いに入った。
敵が兜の下から鋭い眼光を覗かせる。


スサンノ「奇異なのは我輩より貴様らよな。なぜジェダイがヤマタイトの姫君を求める?」バチバチ

シンノ「ミコアは俺たちの仲間だ。それがお前たち危険なテロリストに囚われている……助けに行くのは奇異でもなんでも、ないだろう!」ブウンッ


 シンノはセーバーを強引に振り抜く!
スサンノの右手の炎剣が切り裂かれ、爆散!


スサンノ「仲間だと!ヤマタイト王国の傀儡君主が、帝国の手先が、仲間だと言うか!」ブンッ シュバッ


 スサンノは残る左の剣でシンノを牽制しつつ飛び下がる。
そこへ横合いからリズマが斬りかかった!
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/04(日) 01:20:30.94 ID:XW/qdEbd0

リズマ「やああっ!」ブウンッ

スサンノ「くっ、貴様もジェダイか……!」

リズマ「ミコアさんの仲間でもあります……!道を!開けなさい!」ブウンッ

スサンノ「ええい、鬱陶しい!ヤマタイトの教え、曰く!」バチバチ ヒュパパ


 スサンノはリズマの攻撃をあしらいつつ、空いた手で印を組む。
手の前に火球が生じる!


ネーア「リズマ!それは防げん、避けろ!」

リズマ「っく――!」サッ

スサンノ「カアッ!」ボウッ


 火球はたちまち一抱えもあるサイズに膨れ上がって射出される!
リズマは地面スレスレまで体を沈めて回避し、バク転で距離を取った。
火球は彼女の背後の壁を焼くに留まり、三人と一人は再び一定の距離を置いて対峙する。


リズマ(くっ、攻めきれない……!)

シンノ(また仕切り直しか!時間がないってのに!)

ネーア(ハアハア、いい加減体がキツくなってきたぞよ……!)
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/04(日) 01:21:55.59 ID:XW/qdEbd0

スサンノ「ハアーッ……ヤマタイトの教え曰く、大いなるフォースの意思はあらゆる運命を決定づける。人の生死も然り」


 スサンノは左手の炎剣の腹を手でなぞった。
青白い炎は粘土細工のように引き延ばされ、剣から槍へと形を変える。


スサンノ「ミコアの運命にしても然りだ。死ぬべき運命ならば誰にも生かすことはできないし、生きるべき運命ならば誰にも殺すことはできまい」

シンノ「だから放っておけと?ゴメンだね。大切な仲間が、それも小さな女の子が死ぬ運命なんて、意地でも変えてやるさ」

スサンノ「運命は変えるものではない。フォースを知り、その因果を知ることによって、納得し、受け入れるものだ」

シンノ「じゃあお前はその暗黒面の力をなんのために使うんだ?」

スサンノ「運命をあるがままに執行するためだ。執着が過ぎるな、ジェダイ!」シュザッ


 スサンノが槍を抱えて踏み込む!


シンノ「言ってろ!」ブウンッ

スサンノ「ぬるいな!ハアッ!」バチッ ブウンッ

シンノ「くがっ……!」ガッ ズザザ


 シンノは先制攻撃を捌かれ、逆に遠心力を乗せた長柄の打撃に押しやられる!
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/04(日) 01:23:16.68 ID:XW/qdEbd0

リズマ「マスター!」ブウンッ

ネーア「おのれ!前座三号ーッ!」ブウンッ


 リズマとネーアが左右から斬りつける!


スサンノ「甘い!」パッ


 スサンノ、槍を床について棒高跳びのごとく跳躍!
リズマとネーアの刃は虚しく柄を打つ!


リズマ「な!?」
ネーア「に!?」


スサンノ「喰らえい!」ギュルンッ


 そのまま荒っぽいポールダンスのごとく体を回転させ、二者に蹴りを見舞う!


リズマ「きゃあっ!」ドガッ
ネーア「ぎゃああ!?」ドガッ
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/04(日) 01:24:21.34 ID:XW/qdEbd0

シンノ「くそっ……!だが!」ズザザッ


 シンノは姿勢を立て直し、スサンノの着地を狙ってフォース・プッシュを浴びせる!


シンノ「そこだああーっ!」ドウンッ

スサンノ「浅はかだな!」キュインッ


 しかしスサンノの鎧はこの攻撃を無効化した!
おそるべきはヤマタイト王朝のロストテクノロジー!


シンノ「何!?バカな、その鎧!」

スサンノ「運命をはき違え、自分の力を過信する。だから墓穴を掘る!」ヒュパパ

ネーア「がはっ……いかん!シンノ!」

スサンノ「カアーッ!」ボウッ


 先ほどより一回り大きい特大の火球が放たれる。
シンノは渾身の攻撃を空振りした直後、隙だらけの姿勢のまま、死の輝きが迫ってくるのを見た。


シンノ(……俺、死ぬのか?こんなところで……?)

リズマ「――マスターッ!」


 ドオンッ!
……火球が炸裂し、ジェダイマスターの影を呑み込んだ。
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/08/05(月) 14:29:19.28 ID:KD1C1Q1ko
マスターッ!
火球が炸裂し、ジェダイマスターの影を呑み込んだ。

シンノ「あっぶねー、俺の影死んだわ」

んなわけあるか!
と言う所で乙でした
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/11(日) 23:05:43.91 ID:uBfqx30h0

トルーパーA「オラオラ!道を開けやがれ!」バシュバシュ

バトルドロイドA『ギャー!』ガシャンッ

トルーパーB「ガラクタどもがーっ!」バシュバシュ

スーパーバトルドロイドA『!?』ガシャンッ


 一方クマモッテ・キャッスルに隣接したドロイド工場では、帝国軍が防衛部隊と交戦中だった。
ストームトルーパーたちは製造設備の陰から次々に出現するドロイドたちを排除しつつ、城内に通じる地下通路を目指す。


トクティカルドロイド『全力ニテ阻止セヨ!ココガ最終防衛線ナリ!』

バトルドロイドB『ウワー!来ルナ、ばけつ頭ドモー!』バシュバシュ

バトルドロイドC『来タラ撃ツゾ!撃ツゾーッ!』バシュバシュ

トルーパーA「畜生め!もう撃ってるじゃねえか!」サッ

トルーパーB「ええい、なんだって工場なんかにこんな大部隊がいやがる!?」サッ

トルーパーA「ほんとだぜ、まさかこっちの動きを――」

『キュイイイイイイイイ』ガシンガシン


 掩体に隠れるトルーパーたちに、横合いから接近する影あり!
四本の脚で爬行する異形のスパイダー・ドロイドである!
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/11(日) 23:06:35.76 ID:uBfqx30h0

トルーパーA「!危ねえ、どけっ!」ドンッ

トルーパーB「何!?」

スパイダードロイド『キュイイイイ』バシュバシュバシュ

トルーパーA「ぐわあああーっ!」ドバ

トルーパーB「バカな!オスカーッ!」

スパイダードロイド『キュイイイイイ……』チキキ


 スパイダードロイドが一人目を仕留め、二人目に照準を合わせたその時。


ナインス「ハアアーッ!」ブウンッ


 隣のプレス機の上に尋問官が姿を現し、飛び降りざまライトセーバーを振り下ろした!


スパイダードロイド『キュガガガーッ!?』ズバ ガシャンッ


 スパイダードロイドは真っ二つに切り裂かれ、擱座する。
ついでナインス・ブラザーは地下フロアへの入口に陣取るドロイド集団を睨み、左手でライトセーバーを投擲!


ナインス「邪魔だーッ!」ビュウンッ

トクティカルドロイド『グワーッ!?』ズバッ

バトルドロイドB『ギャアーッ!』ズバッ

バトルドロイドC『ウワーッ!』ズバッ


 密集していたドロイドたちはまとめて胴体を両断され、大破!
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/11(日) 23:07:12.70 ID:uBfqx30h0

トルーパーB「じ、尋問官殿……!」

ナインス「貴様らは弾避けなど考えず突っ立ってブラスターを撃っていればいいんだ。できないならトルーパーなどやめてしまえ」


 ナインス・ブラザーはトルーパーにそう言い捨て、走った。
フォースでセーバーを引き寄せ、掴み取る。
地下フロアへ通じる扉を四角形に切り抜き、蹴破って、突入。
それだけの動作の中でも、尋問官は焦燥を覚えずにはいられなかった。


ナインス(まさか敵がこちらの動きを読んで待ち構えているとは……想定外のタイムロスだ。本来ならとうに城内へ突入し、ミコア姫の身柄を確保できていたものを!)タタタ


 数階層分が吹き抜けになったコンベアー・フロアに出るとすぐ、ジェットパックを背負った味方が合流する。
別ルートで侵入したマンダロア兵たちである。


ジルコ「ナインス・ブラザー殿!」シュゴー スタッ

セラ「遅れて申し訳ありません。敵の待伏せを受けまして」シュゴー スタッ

ナインス「どこも同じだ。総督の隊はどうした!」タタタ

セラ「向こうも事情は同じのようですが、間もなく発着場に突入できるとのことです」タタタ

ナインス(いよいよ急がねば……タクージン総督にも、シンノ・カノスにも、遅れるわけにはいかん!)


 そう考えてから、ハッとする。


ナインス(――今のは、フォースの予感か?シンノ・カノスが、ここに!?)
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/11(日) 23:07:45.48 ID:uBfqx30h0

スサンノ「――な」

シンノ「はあああああーーーっ!」ブウンッ


 ザンッ!


スサンノ「に」


 スサンノの右腕が槍ごと断ち切られ、宙を舞った。
シンノ・カノスは装束の端が少し焦げてはいたが、無傷だった。
それが今、スサンノの正面、足元の床に「着地」する。


スサンノ(どうやって――どうやってあの一撃をかわした)


 スサンノの思考は混乱の極みにあった。
それでも左手では反撃の印を結ぶ。
しかしその作業は、この状況にあってあまりにも「遅すぎた」。


リズマ「やあああーっ!」ブウンッ


 背後からリズマが踏み込み、追い抜きざま、敵の背中めがけ横一閃。
火花が散る。
スサンノはのけぞり、一歩、二歩後ずさって――そのまま、仰向けに倒れ込んだ。
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/11(日) 23:08:33.69 ID:uBfqx30h0

シンノ「ハアーッ、ハアーッ……やった、のか」ガクリ


 シンノは立ち上がろうとしたが果たせず、膝をついた。


リズマ「はあ、はあ……最後のは少し、危なかったですね」ガクリ


 リズマも座り込んで肩で息をする。


シンノ「ああ、ありがとうリズマ。お前の助けがなければ――」

スサンノ「ゴボッ、なるほど……そうか」


 スサンノが口を利いた。
シンノとリズマは緊張の面持ちで視線を向ける。
すわ復活かつ思われたが、敵は立ち上がることもできず、一言喋るたび血を吐いている有様だ。


スサンノ「女、貴様が……貴様があの瞬間、サイコキネシスで空中へ跳ね上げて……避けたのだな」

リズマ「……ええ、そうです。私がいる限り、マスターを殺すなんて絶対にさせませんから」

シンノ「リズマ……」
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/11(日) 23:09:32.58 ID:uBfqx30h0

ネーア「あたた……しかし、解せんのう。スサンノとやら」


 ネーアが打撲傷をさすりながら進み出て、末期の鎧武者を見下ろす。


ネーア「いやしくもヤマタイトの王族とあろうものが、門番なんぞに甘んじるとは」

スサンノ「カッ、ハハハ……我輩は、クマモッテ四天王にあらず。この部屋は本来、スターバルが守護すべき空間……」

シンノ(スターバルが、三人目の四天王……)

ネーア「ならばなぜ妾たちの前に立ちふさがった」

スサンノ「死地を、得んがためよ……帝国の僕に成り下がったヤマタイトにも、勝ち馬に乗ること一つできなんだ我輩にも、未来はない」

スサンノ「だが我がリ家の歴史はすなわち、臣下たち、政敵たちの歴史。マクシャリスのような愚物に、骸まで、利用は……ならばいっそ、それこそ、この城を上り詰めるような勇士に……カハッ!ヒューッ、ヒューッ」


 スサンノはいよいよ今際の時を迎えながらも、絞り出すように言葉を続ける。


スサンノ「行け、勇士たちよ、ゴボッ!四人目は、ドゥークーの、秘密の、アプレンティス……奴は、我輩よりも、なお……ゲホ、ゴボッ」

スサンノ「……我輩、は……貴様らを、見て……いる……」

スサンノ「……」


 やがてその言葉も止まり、緑の鎧武者は動かなくなった。
フロアを静寂が支配し、城外の戦闘音が遠く響く。
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/11(日) 23:10:25.85 ID:uBfqx30h0

シンノ「……ドゥークーの弟子だと……」

リズマ「またシスですか……まさか、テイティスみたいな……」

ネーア「あー、冗談じゃない……あんなのが何人もいたらたまんないぞよ」

シンノ「ハアーッ、とにかく行こう……下手に休むと疲れが一気に来そうだ」


 三人は気丈に歩を進め、次の部屋へ続くエレベーターへ乗り込んだ。
すでに全員が疲労の極致にあり、会話はない。
モーターの微振動、外の戦闘の低い響きが、シンノの眠気を誘う。


シンノ(クッ……いかん、いかん)ブンブン


 彼がかぶりを振ったところで、さらなる振動が襲った。
上下左右に揺すぶるような強烈な振動である。


ネーア「わたた!?」フラフラ

リズマ「マ、マスター!これは!」

シンノ「また地震か……!」


 一体この城に……惑星クマモッテに、何が起こっているのか。
エレベーターは停止せずに上昇を続け、目的のフロアへ到着した。
三人はもはや決まりきった作業とばかりに廊下を進み、「KUMAMOTTE-BIG4」と刻まれた扉を押し開く。


ネーア「オラオラーッ!次はどいつじゃあ!ボロボロのクタクタじゃが相手になったるぞよーっ!」バアンッ

「あっ、ネーア様!?」


 三人は目を剥いた。
そこにいたのはまさしく、彼らが求めるミコア姫だった!
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/11(日) 23:11:01.08 ID:uBfqx30h0

シンノ「ミコア姫!?」
リズマ「ミコア姫!」
ネーア「ミコア!?」キョロキョロ

ミコア「リズマ様も――ああっ、シンノ様!」タタタ


 ミコアはシンノの顔を見るといよいよ喜色満面になり、ぱっと彼に駆け寄って抱き着いた。


ミコア「私を、助けに来てくださったのですね……!嬉しいです、なんとお礼していいか……!」ギュー

シンノ「ははっ、ははは!礼なんていいんだ、姫が無事なら……!」

ネーア「……なんか怪しいのう、幻術とかじゃないじゃろうか……そもそも、なんでこんなところにいるんじゃ?リズマも変じゃと思わんか」クルッ

リズマ「……ミコア姫とはいえ、マスターに抱き着くなんて……ジェダイの戒律が……」ブツブツ

ネーア「うわあそなたそんなキャラじゃったか」

シンノ「怪しいったって……ああ、そういえば、この部屋の四天王はどこにいるんだろう?」

ミコア「四天王……?もしかして、あの方でしょうか」


 ミコアは片手でシンノの足にしがみついたまま、部屋の奥の方を指し示した。
そこは床が広範囲に渡って焦げていて――その中央に、黒焦げの焼死体が一体あった。


シンノ「な、何だあれは!?誰だあれは!」

ミコア「わかりません、何か黒い服を着た、怖い顔の方でしたが……」
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/11(日) 23:12:39.73 ID:uBfqx30h0

 ミコアは死体から顔を反らし、胸元のホロクロンの鎖をぎゅっと握りしめる。


ミコア「私、閉じ込められていた部屋から抜け出してこの部屋に逃げ込んだのですが、あの方に捕まりそうになって……でも、そうしたらテイティスがやってきて、このように……」

シンノ「テイティスがここに!?」

リズマ「奴が、こちらの先回りを……?抜け道か何かが……」

ネーア「あんな四天王なんてふざけたシステムを作っておいて抜け道がありますなんて、そりゃないじゃろ……!」

シンノ「しかしスサンノより強かったらしい四人目を殺すなんて、奴以外にはそうそうできるものじゃないのはたしかだが……」


 四人が休憩がてら状況を分析していた、その時。
奥の扉が二本のライトセーバーに貫かれ、切り抜かれて、破壊された!


スターバル「――グハ!グッハハハ!ついに見つけましたぞミコア姫ェ〜!」ブウンッ

マグナガードA『!』ジャキッ
マグナガードB『!』ジャキッ
マグナガードC『!』ジャキッ
マグナガードD『!』ジャキッ


 踏み込んできたのはスターバル将軍と四体のマグナガード!
一人一人の技量はともかく、総合的な戦力はさっきのスサンノより数段上だ!


シンノ「に……逃げろォ――ッ!」ダッ

ネーア「賛成ーッ!」ダッ

ミコア「ええっ、た、戦わないのですか!?」

リズマ「ミコアさんも早く!」ダッ

スターバル「侵入者とはジェダイだったか!構わん、全員なます切りにしてくれるわーッ!」ダッ
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/27(火) 01:03:46.56 ID:6YDoCLh60

 管制施設を出たとたん、頬に熱風が吹き付けた。
マクシャリスは宇宙船格納庫の屋根越しににヒュガー市街を見やる。
砲声と爆音が連なり、燃える街並みを繰り返し紅蓮に染め上げた。


マクシャリス(よく燃えるものだ。油汚れに塗れていればそれも道理か)


 マクシャリスは純白のマントに付着した煤を煩わし気に払う。
帝国軍はとうに少数精鋭での電撃作戦に失敗し、力押しに切り替えてストームトルーパーの大部隊を送り込んできている。
しかしその手はいまだこの発着場には及んでおらず、むしろスターデストロイヤーからの艦砲射撃に対する人質となっている。
分離主義の首魁はそれを織り込み済みで、悠々と戦艦ヴェンジェンスへ向かう。
そこへ横合いからロケット弾が飛来し、彼を警護していたマグナガードの一体を吹き飛ばした。


マクシャリス「……これは」


 飛散した破片が頬を掠め、血が一筋流れる。
残るドロイドたちが銃を向ける先に、視線を寄越す。


「よう若造、いかしたマントじゃねえか。よっぽど偉いんだろうな」シュゴー スタッ


 金属製のコンテナの上に、ジェットパックを背負った男が降り立つ。
ブラスターピストルを手の中で回しつつ、T字のスリットが入ったヘルメット越しにマクシャリスを睥睨する。


マクシャリス「……マンダロリアン・アーマーとは……もしや、タクージン・シカーグ総督ですか」

タクージン「おうよ。そういうお前はマクシャリス・セレノーラント・ドゥークー」

マクシャリス「ほう、私をご存知でしたか。しかし総督御自ら敵陣の只中に突入するとは、リスクマネジメントの観点から言えばいささか問題があるのでは?」

タクージン「俺は現場主義なんだよ、文句を言う奴は全員ブラスターで黙らせてきた。だから俺は誰かに撃ち殺されずに今ここにいる」
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/27(火) 01:04:19.83 ID:6YDoCLh60

マクシャリス「なるほど、戦争屋民族らしい合理的思考ですな」

タクージン「そうとも。どうだ、アナクロニストの非合理的思考で破れそうか?」

マクシャリス「それだけでは、なんとも。しかしもう一つ」


 マクシャリスがマントの内から手を差し伸べる。
タクージンはその掌中に金属製らしき円柱型の武器を見とめた。


タクージン「貴様、それは……」

マクシャリス「フォースの教えも加えれば、あるいは打ち破れるかもしれませんな」


 円柱の先端から白い光の刃が生じて、ライトセーバーとなる。


タクージン「……ククッ、ククク……面白い」


 タクージンはヘルメットの内から笑みを漏らし、自らも左手でセイント・セーバーを抜いた。
金色の刃が鞘走り、マクシャリスに突きつけられる。


タクージン「採点してやろう。伯父上の猿真似がどの程度のものか!」


 ――ズズ、ズズン!
何度目かの地震が戦闘の口火を切った。
管制施設と宇宙船の陰から二人のマンダロア兵が飛び出し、ドロイド部隊に銃撃する。
マクシャリスとタクージンは互いに踏み込み、白と金が交錯する!
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/27(火) 01:04:57.43 ID:6YDoCLh60

 ジェダイとシスと姫君はクマモッテ城内を下へ下へと逃げ続け、その果ての扉を押し開いた。
あたりは薄暗く広い空間で、彼らは作業用と思しき空中回廊の只中に出たらしい。
天井からはいくつもクレーンが下がり、遥かな眼下の下層フロアには無数のコンテナが山を成している。
シンノは回廊の先にある輸送用レールウェイに目をつけた。


シンノ「ハアハア、これに乗るぞ!」

リズマ「ど、どこに通じてるんですかこれ!?」

ネーア「そんなこと気にしてる場合じゃないぞよ、ゲホゲホッ!」ドタドタ

ミコア「このレバーでスタートするんでしょうか!?」グイッ


 ガコン!
レールウェイが急発進し、四人は暗闇の中に飛び込む。
一瞬遅れて先ほどの扉からスターバルらが踏み込み、彼らの背中が遠ざかっていくのを目にする。


スターバル「カアーッ!ジェ、ジェダイどもーッ!」ダンダン

マグナガードA『将軍、逃ゲラレマシタ』

スターバル「見ればわかるわ、間抜けが!あれに合流するレールウェイを探せーッ!」
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/27(火) 01:05:34.93 ID:6YDoCLh60

ネーア「ハッハー!おさらばじゃ!ぜえぜえ、ゲホッゲホッ!」ガクリ

ミコア「ネ、ネーアさん!?お体が……!」


 風を切って暗闇の中を進むリフトの上で、ミコアは狼狽した表情で他の三人を見回す。
彼らは揃って床に座り込み、肩で息をしていた。


シンノ「ハアハア、いい加減ヤバいかもな……!」

リズマ「私は、まだ――ゲホッゲホ!まだやれます……!」

ネーア「妾はもう嫌じゃ、限界ぞよ!囚われのお姫様助けたんだからもう終わりでいいじゃろお……!」

ミコア「み、皆さん……私のために、これほど――」


 ミコアはその責任を感じてか深刻そうな面持ちだったが、ふと顔を上げた。


ミコア「今の音は……?」

シンノ「音?」


 やがてその響きは残る三人の耳にも入った。
地下の大空間に轟くいくつもの銃声と爆音!
遅れて眼下に見えてくる、ストームトルーパーたちとドロイドたちの戦闘の光景!
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