貴虎「何? 再びISの世界へだと?」

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202 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/04/12(金) 20:30:07.02 ID:vDg07YwJ0
ゴーレムE「!」

シュゥゥ……!
ボンッ! ボンッ!

ドカーン!!

ゴーレムE「……!」 ドウッ

簪「まだ来るの!?」

ゴーレムE「……」 バシュン! バシュン!

箒「はっ!」 ドウッ

ガキン! ガキン!

箒「っ、紅椿! 見せてみろ、お前の力を!!」 ガチャン

紅椿『装備展開:穿千』

紅椿『穿千:出力可変型ブラスター・ライフル』

箒「ええい、わけのわからない説明はいい!」 バッ

箒「左腕、もらったぞ!!」 バンッ!

ズバァッ!

ゴーレムE「!」

箒「任せた!」

簪「はぁっ!」 カチッ

ドドドドド……!
バシュゥゥ……

簪「アクアクリスタル……お願い!」

ボンッ! ボンッ!
ドカーン!!

ゴーレムE「ッ……」 ギギギギ……

簪「っ!? 効いてないの!?」
203 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/04/12(金) 20:40:09.35 ID:vDg07YwJ0
ピピッ

楯無『簪ちゃん……』 ザザッ

簪「っ、お姉ちゃん?」

楯無『お守りの出番ね……!』 パチンッ

ボンッ!

ゴーレムE「!!」

簪「っ! アクアクリスタルが……!!」

ボンッ! ボンッ!

ゴーレムE「……」

キィィィ……!
ドガーン!!

簪「あっ……やった……!」

簪「やったよ、お姉ちゃん!!」

楯無『イェーイ……!』 グッ

ヒュゥゥ……
スタッ

貴虎「終わったようだな」

簪「うん……ありがとう、貴虎」

貴虎「あぁ、私も礼を言う。よく戦ってくれた、更識」

簪「っ! うん!」

箒「貴虎、他のアリーナにも敵が!」

貴虎「わかっている。だが……すまないが、助けには行けない」

楯無「大丈夫よ、貴虎くん。他のコたちだって、専用機持ちなんだから」

貴虎「……そうだな。あいつらの実力を信じよう」
204 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/04/12(金) 20:49:45.42 ID:vDg07YwJ0
そのころ、各アリーナ


鈴「はぁっ!」 ズバッ!

ゴーレムA「……」 バタッ

鈴「ふぅ……セシリア」

セシリア「えぇ、終わりましたわね」

……
…………

シャル「はっ!」 グサッ!

ゴーレムB「……」 バタッ

シャル「やった……!」

ラウラ「あぁ……!」

ガシッ

シャル「みんなも無事かな?」

ラウラ「心配はいるまい」

シャル「……そうだね」
205 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/04/12(金) 20:50:31.30 ID:vDg07YwJ0
それから、しばらく経って


真耶「やはり、無人機の発展機……コアは未登録、回収できたのはふたつです」

千冬「……政府には、全て破壊したと伝えろ」

真耶「ですが、それでは学園を危険に晒すことになります!」

千冬「おいおい……私を誰だと思っている?」

千冬「学園のひとつやふたつ、守ってやるさ」

千冬(……命をかけて、な)
206 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/04/12(金) 21:00:06.42 ID:vDg07YwJ0
ところ変わって、保健室


楯無「ん……」 パチッ

簪「あっ、お姉ちゃん!」

楯無「簪ちゃ……っ!」 ムクッ

簪「動いちゃダメ! 傷、浅くないから……」

楯無「うん……」

楯無(こうして、簪ちゃんと話すの、何年ぶりだろう……)

楯無(あのとき、貴虎くんにお願いしたおかげかな……)

楯無(私、どうして彼にお願いしたのかしら……)

楯無「……」

簪「……あのね、お姉ちゃん」

楯無「ん?」

簪「……今まで、ごめんなさい!」

楯無「……」

簪「私、ダメな妹だから……」

楯無「……そんなことないわ」 ナデナデ

簪「っ!」

楯無「あなたは、私の大切な妹。とても強い、私の妹」

簪「っ……お姉ちゃん……!」 ポロッ

簪「お姉ちゃん……お姉ちゃん!!」 ポロポロ

楯無「……」 ナデナデ
207 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/04/12(金) 21:10:03.10 ID:vDg07YwJ0
そして後日、貴虎の部屋の前


簪「……」

コンコン
ガチャ

貴虎「誰だ……っ、更識か」

簪「あの……貴虎、これ」 スッ

貴虎「これは?」 ガサガサ

貴虎「……ヒーロードラマのDVD?」

貴虎(仮面ライダー……どこかで見たような姿だ)

簪「その……もし、よかったら……一緒に、見ないかなって……」

貴虎「……あぁ、すまん。今は……」

楯無「貴虎くーん、お客さんって誰ー?」 スッ

簪「え?」

楯無「あっ」

貴虎「っ……なぜ出てきた……」

簪「お姉ちゃん!? どうして、貴虎の部屋に……」

楯無「あっ、えっと……違うの、簪ちゃん。これは……」

簪「もしかして、お姉ちゃんと貴虎って……!!」

楯無「違うわ! 誤解よ、簪ちゃん!!」
208 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/04/12(金) 21:19:30.89 ID:vDg07YwJ0
貴虎(随分と慌てているな……珍しい)

貴虎(まったく、勝手に部屋に入るからだ。こいつには、いい薬だろう)

貴虎「……」

貴虎(先日の襲撃以来、斬月は起動しなくなった)

貴虎(案の定、スイカのロックシードも消えてしまった)

貴虎(俺は、この世界で戦う術を失った)

貴虎(だが……だからといって、絶望したわけではない)

貴虎(依然として、明らかになっていない謎が、数多く残っている)

貴虎(無人機の襲撃、亡国機業[ファントム・タスク]、織斑マドカ……)

貴虎(それらを紐解いていくことで、再び斬月が使えるようになるかもしれない)

貴虎(そうだ、俺は諦めない)

貴虎(全ての謎を解き明かし、必ず向こうの世界へ戻ってみせる!)
209 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/04/12(金) 21:20:30.02 ID:vDg07YwJ0
今回はここまで
次回は『第四話 ワールド・パージ』

次はOVAの内容だから、見たことない人にはわかりにくいかもしれない
あと、謎を解き明かすとか言ってるけど、このssはISのアニメ2期を下敷きにしてるから、そっちで明かされなかった謎は宙ぶらりんになると思う
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/12(金) 22:15:27.12 ID:Rgwy/uAz0
乙。
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/12(日) 18:15:27.46 ID:KV8aVE6W0
待ってまーす
212 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/17(金) 20:01:41.19 ID:dDM//58kO
それじゃ、続き投下していく
大変長らくお待たせして、本当に申し訳ない

何度も書き直したから、ところどころ描写が雑かったりくどかったりするかもしれない
そういう部分はノリで読んでほしい
213 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/17(金) 20:02:07.22 ID:dDM//58kO
『第四話 ワールド・パージ』


束「……」 ピッ ピッ

ピコン

束「おぉっ!」

束「うーん、そっかそっか。あそこにあるのかー」

ピピッ

???『束さま、パンが焼けました』

束「はいはーい!」 ピョンッ

タタタッ

束「お待たせー!」

束「わぁーっ、いい匂いだねー!」 スンスン

???「……」 ニコッ

束「で、クーちゃん。ちょっとお使い頼まれてくれないかなー?」

???「はい、なんなりと」

束「もー、堅いよ! クーちゃんは、束さんのことを『ママ』って呼んでいいんだよ?」

???「……すみません」

束「それで、お使いっていうのは……」 チラッ

束「わぁ! 今日のパンも美味しそう!」 パクッ

???「……」

束「うん、これこれ! うまいぞー!」 モグモグ

束「で、届けものをしてほしいんだよね」 ゴクッ

???「……はい」
214 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/17(金) 20:12:51.03 ID:dDM//58kO
ところ変わって、IS学園の食堂


箒「……」 ジーッ

セシリア「……」 ジーッ

鈴「……」 ジーッ

ラウラ「……」 ジーッ

簪「……あ、あの……」

簪(なに、この状況……)

鈴「で?」

シャル「まぁまぁ。鈴、落ち着いて」

シャル「ね? 簪さん、怯えちゃってるし」

ラウラ「やめろ、シャルロット。本当ならば、拷問か自白剤の投与を行いたいのを、私はギリギリ耐えているのだぞ」

簪「えぇっ……!?」

シャル「そういうこと言わないの」

シャル「簪さん。これ、どうぞ」 コトッ

シャル「喉、乾いたでしょ?」

簪「あ……ありがとう」

シャル「ふふっ……」 ニコッ

シャル「……それで、実際どうなのかな?」 ギロッ

簪「ひっ……」 ビクッ
215 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/17(金) 20:20:08.52 ID:dDM//58kO
簪「えっと……何が……?」

バンッ

箒「だ、だからだな! 貴虎と……だな!!」 ガタッ

セシリア「つ、付き合ってますの!?」 ガタッ

簪「っ!」 カァッ

簪「わ、私と貴虎は……そういうのじゃ……」

簪「それは、その……希望がないわけじゃ、ないけど……」

簪「……とにかく、そういうのじゃ……」

箒「……そ、そうか」

鈴「はぁ……」

ラウラ「……フッ」

簪「あの、えっと……」

シャル「あははっ。ごめんね、簪さん」

セシリア「どうやら、思い過ごしだったようですわね」

箒「すまなかったな、更識……さん」

簪「あっ……簪で、いい」

鈴「じゃあ、あたしらも呼び捨てでいいから」

簪「っ、うん!」

ラウラ「せっかくの同学年だ。今度、放課後に実戦訓練でもどうだ?」

簪「あっ……うん。ありがとう」 ニコッ
216 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/17(金) 20:30:34.42 ID:dDM//58kO
シャル「いいね、それ。けど……」

セシリア「それは、もう少し先になりそうですわね」

箒「この間の無人機の襲撃で、専用機は全部修理に回されてしまったからな」

鈴「パーソナルロックモードで、当分ISが使えないっていうのは、面倒よね……」

シャル「貴虎に至っては、学園の外までメンテナンスに行っちゃったしね」

簪「うん。あのときも……貴虎の斬月は、あまり良くなさそうだった」

ラウラ「待ち遠しいな。やはり貴虎とは、万全の状態で決着をつけなければ……」

バンッ

箒「っ! 何だ!?」

セシリア「照明が……!」

ガタンッ ガタンッ

簪「シャッターまで……!」

ラウラ「……シャルロット」

シャル「うん……緊急用の電源にも切り替わらないし、非常灯もつかない。おかしいよ」

ピピッ

千冬『専用機持ちは全員、地下特別区画へ集合。マップは転送する』

鈴「なんかヤバそうね……」

箒「……行こう、みんな」
217 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/17(金) 20:40:19.04 ID:dDM//58kO
貴虎「倉持技研……ここか」

貴虎(あの襲撃事件をきっかけに、俺は斬月の不調を織斑に知られてしまった)

貴虎(それから、学園で複数の検査を受けたが……結局、その原因は明らかにならなかった)

貴虎(そして、その結果を受けて……織斑から、ここで修理を受けるよう命じられた)

貴虎(何でも、斬月の開発元は、一応ここということになっているらしい)

貴虎(もっとも……サガラの用意したこの機体が、まともに修理できるかは疑問だが……)

貴虎(それでも、今のこの状況は、俺にとって非常にまずい。考え得る対応は、全て試してみるべきだろう)

貴虎「……」 テクテク

貴虎(暗いな……人の気配もない)

貴虎「……誰かいないのか?」

パッ

貴虎(っ、照明がついた……) クルッ

???「ヒヒッ!」 バッ

貴虎「っ!」 サッ

???「ヘイヘイ、そこのイケメン。ワタシの部屋でイイコトしようぜぇ?」 スッ

貴虎「……」 ガシッ

???「おっと、さすがに反応が早いなぁ」 パッ

???「アハハッ! 呉島クンだねぇ?」

貴虎「何者だ?」

???「ワタシの名前は篝火ヒカルノ。倉持技研第二研究所の『所長』だよ」

貴虎「……そうか」
218 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/17(金) 20:50:08.25 ID:dDM//58kO
ヒカルノ「話は聞いてるよ。なんか不調なんだって?」

貴虎「あぁ。斬月……私の専用機がな」

貴虎「一度、学園でも調査したが、原因を知ることはできなかった」

ヒカルノ「そのデータは、あらかじめもらってるよん。見た目の数値だけなら、万全って感じなんだけどねぇ」

貴虎「だからこそ、こうして専門の機関に依頼したい」

ヒカルノ「オッケーオッケー。IS本体の展開ができないんだよねぇ?」

貴虎「その通りだ。装備の展開は、まだ辛うじてできているが……」

貴虎(ロックシードに関しては、可能な限り情報を伏せておこう。不要な問題を発生させないためにも、な)

ヒカルノ「なぁるほどねぇ。まっ、とにかくコッチで見てみないことには、わからないな」

貴虎「時間がかかりそうだな」

ヒカルノ「そりゃそうだよぉ。キミは釣りでもして来なさい」

貴虎「いや、私はひとまず学園へ戻る」

ヒカルノ「そう? んじゃ、終わったら連絡入れよっか」

貴虎「構わん……あぁ、それと」

ヒカルノ「んー? なーんか気になるコトでもある?」

貴虎「装備に関してだが……既に外して、学園に置いてきている。よって……」

ヒカルノ「おっとぉ……ん、オッケー。じゃ、それは必要になったら、持ってきてもらうよ」

貴虎「あぁ。手間をかけさせるが、よろしく頼む」

貴虎(さて……斬月のことは、一旦ここに任せよう)

貴虎(調べなければならない謎は、未だ数多く残っている。時間を無駄にするわけにはいかない……)
219 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/17(金) 21:00:16.81 ID:dDM//58kO
そのころ、IS学園
地下特別区画


シャル「わぁ……」

箒「地下に、こんな場所があったなんて……」

コツコツ

千冬「全員、揃っているな」

鈴「はい!」

千冬「では、状況を説明しておく」

千冬「現在、学園の全てのシステムがダウン、ハッキングを受けているものだと断定する」

ピピッ

真耶『今のところ、生徒に被害は出ていませんが……何としても、学園のコントロールは取り戻さねばなりません』

真耶『そこで、皆さんにはこれから、ISコアネットワーク経由の電脳ダイブをしていただきます』

セシリア「電脳ダイブ……」

鈴「それって、もしかして……」

ラウラ「IS操縦者の保護神経バイパスから、電脳世界へと仮想可視化しての侵入……というやつか」

シャル「理論上可能なのは知ってるけど……」

箒「……」

千冬「各人スタンバイ、作戦を開始する!」

全員「「了解!」」

千冬「更識簪は、ダイブのバックアップを」

簪「はい」
220 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/17(金) 21:10:00.45 ID:dDM//58kO
……
…………

ゴォォォ……

箒「これが、電脳ダイブ……」

鈴「これってアレみたいよね。ほら、人間ドックだっけ?」

シャル「CTスキャンのこと?」

ピピッ

千冬『無駄口を叩くな』

ラウラ「……」

簪『それでは、仮想現実の世界に接続します』

簪『皆さんは、システム中枢の再起動に向かってください』

簪『では……始めます』

ピッ

『エントリー』

ピカーン
サァァァ……

箒(っ、光が……)

箒(意識が……遠のく……)
221 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/17(金) 21:10:54.32 ID:dDM//58kO
……
…………

簪「電脳ダイブ、成功しました」

千冬「よし……さて」 チラッ

楯無「……」 スッ

千冬「お前には、別の任務を与える」

楯無「何なりと」

千冬「まもなく、何らかの勢力が学園にやって来るだろう」

楯無「……排除、ですね」

千冬「そうだ。今のあいつらは戦えない」

千冬「悪いが、頼らせてもらう」

楯無「はい」
222 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/17(金) 21:20:04.06 ID:dDM//58kO
それから、電脳世界


箒「……ん……」 パチッ

セシリア「ここは……」

シャル「……何なんだろう、このドア」

ラウラ「おあつらえ向きに、5つあるな」

鈴「……入れ、ってこと?」

ピピッ

簪『多分、そう』

簪『この先は通信が安定しないから、各自の判断で中枢へ』

箒「了解した」 ピッ

ガチャ
ウィィィン……

鈴「っ、開いた……」

箒「……行こう」 スッ

セシリア「えぇ……皆さん、お気をつけて」 スッ

鈴「そうね。こうなりゃ、一丁やってやりましょ」 スッ

シャル「うん、頑張ろう」 スッ

ラウラ「健闘を祈る」 スッ

シュゥゥ……
ガチャン

……
…………

???『ワールド・パージ、開始』
223 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/17(金) 21:30:02.65 ID:dDM//58kO
それから、鈴の電脳世界?


鈴「ん……」 パチッ

鈴「……あれ!?」 ガタッ

鈴「何よ、ここ……学校?」 キョロキョロ

鈴「これ、中学のときのセーラー服……!」 サワサワ

鈴「っ……甲龍が、なくなってる……」

鈴「……こりゃ、罠ね」

ガラッ

鈴「っ!」 バッ

貴虎?「よう、鈴」

鈴「た、貴虎!?」

鈴(『今の』じゃない……あの頃の、中学のときの……)

貴虎?「……どうした?」

鈴「いや、えっと……何?」

鈴「そもそも、なんであたしのこと『鈴』って……」

貴虎?「なぜ、だと……?」

貴虎?「お前が、そう呼べと言ったんだろう?」
224 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/17(金) 21:44:20.96 ID:dDM//58kO
鈴「あたしが……?」

貴虎?「あぁ。俺と付き合い始めたときだ……まさか、忘れたのか?」

鈴「つ、付き合う!?」

鈴「付き合うって……あたしと貴虎が!?」

貴虎?「……本当に、どうした? 具合でも悪いのか?」

鈴「べ、別に……大丈夫」

鈴(どういうこと? ここは、そういう電脳世界なの?)

貴虎?「そうか……なら良かった」

貴虎?「実は……今日、鈴の家に行こうと思ってな」

鈴「えっ!?」

貴虎?「いいだろう、鈴?」

鈴「……うん」 コクッ

鈴(明らかに、おかしいのに……でも……)

鈴(なんでだろう……なんだか、気持ち良くて、逆らえない……)

鈴(そうよ……この世界こそ、あたしの……)

……
…………

???『ワールド・パージ、完了』
225 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/17(金) 21:53:00.43 ID:dDM//58kO
……
…………

ザーッ

鈴「ハァ……ハァ……」 タタタッ

ガラッ

鈴「ふぅ……」 ビシャビシャ

貴虎?「まさか、いきなり降り出すとはな……」 ビシャビシャ

鈴「本当ねー。あぁ、もうグショグショ……」

パサッ

鈴「あっ、タオル……」

貴虎?「少し動くな。拭いてやる」 フキフキ

鈴「う、うん……ありがと……」

貴虎?「体も拭いてやろう、鈴」

鈴「っ!? 何言ってんのよ、バカ!」 バッ

貴虎?「フッ……可愛いヤツめ」

鈴「もう……!」 タタタッ

ガラッ
ピシャン

鈴「ハァ……」 グデッ
226 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/17(金) 22:00:04.95 ID:dDM//58kO
鈴「……とにかく、着替えないと」 スクッ

ガラッ

鈴「ひゃっ!?」

貴虎?「鈴、シャワーを借りたぞ」

鈴「こ、ここ、あたしの部屋……っていうか、なんか着なさいよ!」

鈴(見ちゃった……貴虎の、裸……!!)

貴虎?「……」 ズンズン

鈴「ちょっ……貴虎……!」

貴虎?「……」ギュッ

鈴「あっ……あぁ……!」

貴虎?「鈴……お前が欲しい」

鈴「っ!!」

鈴「……………………うん」 ポソッ

貴虎?「……」 グイッ

ドサッ

鈴(っ、ベッドに……)

貴虎?「鈴……綺麗だ……」 サワサワ

鈴「あっ……たか、とら……」

貴虎?「脱がすぞ」 スッ

鈴「……うん……」

鈴(どうしよう……貴虎に、あたしの全部、見られちゃう……)

鈴(あたし……このまま、貴虎と……!!)

……
…………
227 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/17(金) 22:10:10.01 ID:dDM//58kO
そのころ、セシリアの電脳世界?


セシリア「……わかりました。そういうことでしたら、もっと各グループ企業が密に連絡を取り合ってくれないと、困りますわね」

『申し訳ありません。また後日、報告を』

セシリア「では」 ピッ

セシリア「ふぅ……」 スッ

チンッ

セシリア「ふふっ……」

コンコンコン
ガチャッ

貴虎?「お呼びですか、代表」

セシリア「むっ……もう! ふたりきりのときは、わかっているでしょう?」

貴虎?「フッ……そうだな、セシリア」

セシリア「そうですわ、貴虎さん……」

セシリア(呉島家は、代々オルコット家に仕える家柄で、昔からずっと一緒に……)

ザザッ

セシリア(っ……ずっと、一緒に……?)

セシリア(そう……まるで、世界から切り離されているように心地よい……)

セシリア(ずっと、浸っていたい……)

セシリア(ずっと……)

……
…………
228 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/17(金) 22:20:17.16 ID:Lt5qhgLT0
バスルーム


セシリア「さて、と……」 パサッ

セシリア(今日は、週に一度の特別な日……)

セシリア「はぁ……」 チャポン

セシリア(そう……貴虎さんが、背中を流してくださる日……!)

コンコンコン

貴虎?『セシリア、入るぞ』

セシリア「っ、えぇ! よろしくってよ」

ガチャ

貴虎?「では、さっそく始めよう」

セシリア「はい……お願いしますわ」

貴虎?「いくぞ……」 サワサワ

セシリア「っ! 貴虎さん……!」 ピクッ

セシリア(恥ずかしいですけど、やっぱり気持ちいい……)

セシリア(わたくし……このまま、貴虎さんと……!!)

……
…………
229 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/17(金) 22:28:56.22 ID:Lt5qhgLT0
そのころ、シャルの電脳世界?


シャル「ふんふんふーん」 フキフキ

シャル「ふぅ……よし」

「シャルロット……」 ボソッ

シャル「わぁ!」 ビクッ

シャル「お、驚かせないでください、ご主人さま……」

貴虎?「『ご主人さま』ではない」

貴虎?「一週間後には、もう『夫』だ」

シャル「ま……まだ、その……メイド、ですし……」

シャル(僕は、この呉島家に仕えるメイド)

シャル(妾の子で、いくところのなかった僕を、ご主人さま……貴虎が拾ってくれて……)

シャル(しかも、プロポーズまで……)

シャル(もうすぐ、僕と貴虎は……『ご主人さま』と『メイド』じゃなくて……)

貴虎?「なるほど……『まだ』メイドか。なら……」

貴虎?「俺の命令には、従うのだな?」

シャル「はい!」

貴虎?「フッ……」 グイッ

シャル「きゃっ……!」

貴虎?「俺だけの、愛しいメイド……」 ギュッ

シャル「あっ……貴虎……!」 ドキッ

貴虎?「俺のモノだと分かるよう、印をつけておこう……」

シャル(こ、これって……ついに、そういうことなのかな……)

シャル(僕……このまま、貴虎と……!!)

……
…………
230 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/17(金) 22:29:25.48 ID:Lt5qhgLT0
今日はここまで
続きはまた明日
231 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/18(土) 20:05:20.67 ID:x7MDP7cvO
それじゃ、投下していく
232 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/18(土) 20:05:55.26 ID:x7MDP7cvO
そのころ、ラウラの電脳世界?


貴虎?「……」 トントン

ラウラ「……」 ペラッ

貴虎?「……」 ジュージュー

ラウラ「……」 ズズッ

貴虎?「……」 カチャカチャ

貴虎?「……よし」 ピタッ

貴虎?「ラウラ、夕食ができたぞ」

ラウラ「おぉ、いつもすまんな」

貴虎?「気にするな。夫婦であれば、家事を分担するのは当然のことだ」

ラウラ「っ……そうだな。私たちは、ふ……夫婦、なのだから……」 テレッ

貴虎?「ところで、明日は休みだったな」 スッ

ラウラ「っ、あぁ……そうだ……」 チラッ

貴虎?「つまり……」 テクテク

ギュッ

ラウラ「っ! 貴虎……」

貴虎?「久しぶりに、お前と一緒の床につけるということか」 サワサワ

ラウラ「お、おいっ……まだ食事中だぞ……」

貴虎?「……いや、悪いが我慢できん」 グイッ

ラウラ「あっ……」

ラウラ(感じる……貴虎の、激しい熱を……)

ラウラ(私は……このまま、貴虎と……!!)
233 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/18(土) 20:13:12.81 ID:x7MDP7cvO
そのころ、ところ変わって


楯無「……」

ピッ

『侵入警報』

楯無「……さて、と……」

シュゥゥ……

兵士A「侵入完了」 スタッ

兵士B「こっちだ」 タタタッ

兵士C「配置につけ」 クイッ

兵士D「……なぜ、こんなに霧が……?」 カチャッ

「うふふふふ……」

兵士D「っ!」 クルッ

楯無「随分と短時間で突入してきたわね。常時監視してる、ってことかしら?」 バッ

扇子『迎賓』

兵士A「……」 カチャッ

ダダダダダッ

楯無「……」 スッ

バシャッ

兵士B「何っ!?」

兵士C「銃弾が、止まって……!」

楯無「ふふっ……なんちゃってAICよ」
234 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/18(土) 20:20:17.31 ID:x7MDP7cvO
楯無「ポチッとな」 パチンッ

ボンッ! ボンッ!
ドカーン!

兵士A「ぐぁああ!」 バタッ

兵士B「くっ……!」

楯無「どう? 清き熱情[クリア・パッション]のお味はいかが?」

兵士C「っ……」 スクッ

楯無「こういうのって、だーい好き……」

兵士D「うぉぉおおおお!!」 ブンッ

楯無「おっと……」 さっ

兵士A「くぅ……っ!」 カチャッ

兵士B「クソッ!」 カチャッ

ダダダダダッ

楯無「……」 ピョンッ

楯無「はぁっ!」 ブンッ

兵士C「ぐぁっ!!」 バタッ

楯無「はっ!」 ドカッ

兵士D「っ、うぅ……!!」 バタッ

楯無「ふっ……!」 ザッ

兵士A「っ!!」 バタッ

楯無「はぁああっ!!」 ドンッ

兵士B「ぐぁああっ!!」 バタッ

楯無「ふぅ……こんなもんかしら」 スッ
235 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/18(土) 20:35:44.84 ID:x7MDP7cvO
兵士C「うぅ……」 ガクッ

楯無「まったく、無粋なんだから……」 ピッ

楯無(国籍はアメリカに違いないわね……)

楯無(でも、システムダウンから突入までの時間差……なぜ、同時ではなかったのかしら……)

楯無「……っ! まさか、ハッキングは別の勢力……!?」

兵士D「くぅ……っ!」 カチャッ

バンッ!

楯無「がぁっ!?」 グラッ

楯無(まだ、動けたなんて……!) バタッ

ドクドク……

楯無(このままじゃ……誰か……)

楯無「たか、とら……くん……」

コツコツ……

兵士A「おい、その女を運ぶぞ……」 ヨロヨロ

コツコツ……

兵士B「あぁ……」 スクッ

「いや、それは不可能だ」

兵士C「何っ……!?」 バッ

貴虎「……」 コツコツ

兵士D「っ! あれは……斬月……!!」

貴虎「……生憎だが、今ここに斬月はない」 ピタッ
236 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/18(土) 20:43:01.95 ID:x7MDP7cvO
兵士A「っ……!」 バンッ!

貴虎「フンッ!」 ブンッ

ガキン!

兵士B「銃弾を、刀で……!?」

貴虎「学園へ戻ってみれば、なぜか正門にロックが掛けられ……」 カチャッ

キュィィン……
バキュン!

兵士C「ぐぁああっ!!」 バタッ

貴虎「無理に押し入ってみれば、あらゆるシステムがダウン……」

兵士D「うぉぉおおおおっ!!」 ブンッ

貴虎「ハッ!」 ズバッ

兵士D「がっ……!」 バタッ

貴虎「手がかりを求め歩いてみれば、遠くから銃声が聞こえ……」 ダッ

兵士A「っ!?」

貴虎「フッ!」 ドカッ

兵士A「うっ……」 バタッ

貴虎「何が起きたのか疑問だったが……まさか、こんなことになっていたとはな」 チャキッ

兵士B「ま、待て……!」

貴虎「ハァッ!」 ズバァッ!

兵士B「うわぁぁああああ!!」 バタッ

貴虎「ふん……」
237 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/18(土) 20:50:42.26 ID:x7MDP7cvO
貴虎(まったく……持ち歩くものだな、無双セイバーは)

楯無「……貴虎、くん……」

貴虎「動くな。すぐに手当てして……」

楯無「私は大丈夫……それより、この場所に行って……」 ピッ

楯無「みんなが危ない……だから、早く……!!」

貴虎「……わかった。だが、まずは……」 ガサガサ

貴虎「この水で傷口を洗え。口はつけたが、ある程度は清潔なはずだ」 スッ

貴虎「それから、このシャツを傷口に巻いて、上で結べ。圧迫し続ければ、いずれ血は止まる」 ヌギッ

楯無「ありがとう……」

貴虎「あぁ……では、行ってくる」 ダッ

楯無「……お願い、貴虎くん……」
238 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/18(土) 20:51:18.86 ID:x7MDP7cvO
そのころ、地下特別区画


簪「……」 ピッ ピッ

ビビッ

『WARNING』

簪「えっ……!?」

簪「これって……」 ピッ ピッ

ビビッ ビビッ
ビーッ ビーッ

簪「ダメ……このままだと、みんな戻れなくなる……!!」 ピッ ピッ

ビーッ ビーッ

簪「どうしたら……」

ウィンッ

「私だ! 誰かいるか!?」

簪「っ! 貴虎!?」 クルッ

貴虎「っ、更識!」 タタタッ

貴虎「一体、何があった?」

……
…………
239 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/18(土) 21:00:03.38 ID:x7MDP7cvO
ウィィィン……
ゴォォォ……

貴虎(これが、電脳ダイブのための装置……)

貴虎(更識の話を整理すると……先ほど、IS学園は何者かのハッキングによって無力化された)

貴虎(コントロール奪還のため、篠ノ之たちが電脳世界に侵入したが……同様に何かしらの攻撃を受け、目覚めることができない状態にある)

貴虎「そこで、私の出番というわけか……」

ピピッ

簪『貴虎……電脳ダイブでの、みんなの救出をお願い』

貴虎「あぁ、任せておけ」

貴虎(ミイラ取りがミイラ、という展開にならなければいいが……) チラッ

貴虎(そのために、万が一の保険として、これをつけた) スッ

カチャッ

貴虎(戦極ドライバー……これが、本当に役に立つかはわからない。だが……)

貴虎(この世界に来てから、いついかなるときも……俺は、このドライバーと共に戦ってきた)

貴虎(大丈夫だ。何かあっても、このドライバーなら……)

簪『気をつけて、貴虎……』

ピッ

『エントリー』

ピカーン
サァァァ……

貴虎(っ……似ている。この感覚は……)

貴虎(俺が、この世界に来たときと……)
240 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/18(土) 21:10:05.63 ID:x7MDP7cvO
電脳世界


貴虎(ここが、電脳世界……) キョロキョロ

貴虎(何もないな……この5つの扉以外は)

ピピッ

簪『その扉は、それぞれみんなが囚われてる電脳世界へ通じてる』

貴虎「なるほど……つまり、全員を助けるのなら、どれから行っても同じということか」

簪『うん』

貴虎「では……これにしよう」 スッ

ガチャ
ウィィィン……

簪『それは鈴が入った扉。だから……』

貴虎「この奥に広がるのは、あいつの電脳世界、というわけか」

貴虎(入る前に、ひとつ確認しておこう……) ガサガサ

貴虎(……確かにある。俺が、斬月から持ち出してきた装備が)

貴虎(この電脳世界が、どのようなものかは分からない。だが……これがあるなら、ひとまずは大丈夫だろう)

貴虎「さて……行くか」 スッ

シュゥゥ……
ガチャン

簪『お願い、貴虎……』
241 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/18(土) 21:20:03.98 ID:x7MDP7cvO
ところ変わって、鈴の電脳世界?


貴虎?「可愛いな、鈴……」 サワサワ

鈴「ま、待って……!」

貴虎?「いや、待たない」 グイッ

鈴「あっ……」

貴虎?「いくぞ、鈴」

鈴「たか、とら……」

ガラッ

貴虎「ここは凰の家……かぁっ!?」

鈴「っ! きゃぁぁああああああ!!!」

貴虎?「ん……?」

貴虎「なっ……俺、だと……?」

貴虎「……いや! そもそも何をしている、お前たち!?」

貴虎(なぜ凰は半裸で……俺に至っては全裸なんだ!?)

貴虎(そういうことか!? そういうことなのか!?)

貴虎(というより、なぜ俺と凰がこんなことを!?)

貴虎「何なんだ……この世界は!?」

鈴「た、貴虎……?」

鈴(違う……あれは、IS学園の制服……)

鈴(貴虎は目の前にいて……それが、あたしの理想で……)

鈴(理想……っ、あたしだけの世界……!?)

……
…………

???『ワールド・パージ、異常発生』

???『異物混入、排除開始』
242 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/18(土) 21:30:10.12 ID:x7MDP7cvO
……
…………

貴虎?「まさか、私の偽物がいるとはな……」

貴虎「偽物だと……それは貴様のことだろう!」

貴虎?「フッ……いいだろう。どちらが本物か……」 スッ

ウィィィン……
カチャン

貴虎?「決着をつけよう」

貴虎(っ! あれは戦極ドライバー……)

貴虎(それに、あのロックシードは……!)

貴虎?「変身」 スッ

ザシュッ

『ブドウアームズ!』

ピカーン

『龍ッ砲! ハッハッハッ!!』

ガシャン!

鈴「っ!? 何よ、その姿……」

貴虎「……アーマードライダー、斬月……!!」

貴虎?「ハッ!」 バキュン!

貴虎「っ……構わん、貴様がその気なら……」 サッ

ウィィィン……
カチャン

貴虎「変身!」 スッ
243 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/18(土) 21:40:05.81 ID:x7MDP7cvO
ガチャッ
キュイン

『ウォーターメロン』

ジジジジ……
ヒュゥゥ……

鈴「もしかして、向こうの貴虎も……!?」

ガチャッ
キュイーン

『ロックオン』

プォォォ……
ザシュッ

『ソイヤッ!』

ヒューン
ズボッ

『ウォーターメロンアームズ!』

ガシャッ
キュイィィィン……

『乱れ玉! ババババンッ!!』

ガシャン!
ガコーン!

貴虎?「ほう、まだ他の装備を持っていたのか……」

貴虎(そうだ。これこそ、俺に残された……戦極ドライバーで変身できる、最後のロックシード)

貴虎(一度だけ使用した、あのスイカ鎧のプロトタイプ)

貴虎(あのときは、体への負担が大きく、使いこなすことができなかった……)

貴虎(だが、ここは電脳世界。ならば……体への負担など関係なく、全力を発揮できるはず……!)

貴虎「覚悟しろ。容赦はしない……!!」
244 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/18(土) 21:50:05.35 ID:x7MDP7cvO
貴虎?「フン……」 バキュン! バキュン!

貴虎(ウォーターメロンガトリング!) スッ

ガキン! ガキン!

貴虎?「何っ!?」

貴虎「一撃で仕留めてやる……」 スッ

ザシュッ

『ソイヤッ!』

ギュオギュオギュオギュオ……

『ウォーターメロンスパーキング!!』

キュィィン……!

貴虎(圧倒的な火力で、薙ぎ払う!)

貴虎?「っ……!」 スッ

ザシュッ

『ブドウスパーキング!!』

ドドドド……!

貴虎「無駄だ!!」 カチッ

貴虎?「っ!!」 カチッ

ダダダダダッ!!
バババババッ!!

貴虎「悪いが、パワーが違う……!」

貴虎?「くっ……!」

キィィィ……
ドガーン!!

貴虎?「ぐわぁぁぁぁああああああああ!!!!」 サァァァ……
245 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/18(土) 22:00:04.33 ID:x7MDP7cvO
貴虎「……」 カチッ

シュワァァ……

貴虎「このロックシードは、返してもらうぞ」 パシッ

鈴「あっ……貴虎……」

貴虎「……大丈夫か、凰」

鈴「うん……」

鈴「貴虎……その、あたし……」

貴虎「……帰るぞ」

鈴「……うん」

貴虎「……話なら、全てが終わったあとに聞いてやる」

鈴「……ねぇ、貴虎」

貴虎「ん?」

鈴「その……ありがとう」

貴虎「……あぁ」

鈴「えへへ……」

鈴(そうよね……やっぱり、貴虎はこうでないと……)

鈴(あたしの理想の貴虎なんて……絶対、あたしが好きになった貴虎じゃないんだから)
246 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/18(土) 22:10:51.75 ID:UCR3Tj6F0
それから、扉の外の電脳世界


簪『一旦、鈴は帰還を。何らかの攻撃を受けた可能性も、否定できない』

鈴「了解」

簪『貴虎は、他のみんなの救助へ』

貴虎「言われるまでもない」

貴虎(さて……先ほどの戦闘で、わかったことがふたつある)

貴虎(ひとつは、やはりこの電脳世界では、肉体的な負担が存在しないこと)

貴虎(そして、もうひとつは……) チラッ

貴虎(どうやら敵は、俺のロックシードを奪った者と、同一らしいこと) カチャッ

貴虎(どうやって奪ったのか、それは不明だが……)

貴虎(凰の電脳世界に『偽物の俺』がいたのと、その『俺』が奪われたロックシードを使ってきたのは、無関係ではないだろう)

貴虎(もしかすると、この戦いの中で、また新たな手がかりを掴めるかもしれん……)

貴虎「よし……行こう」 スッ

ガチャ
ウィィィン……

簪『そこはセシリアの電脳世界。そこにも、さっきと同じ「偽物の貴虎」がいる』

貴虎「あぁ、そうでなければ困る」 テクテク

シュゥゥ……
ガチャン
247 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/18(土) 22:20:04.05 ID:UCR3Tj6F0
それから、セシリアの電脳世界?


貴虎「ここがオルコットの電脳世界……なのか?」 キョロキョロ

貴虎(しかし……ここは、どう見ても脱衣所……)

貴虎(つまり、あのドアの通じる先は……)

貴虎「……まさか、な」

貴虎(まさか、この奥に俺やオルコットがいるなど……あり得ない、はず……) ガチャッ

セシリア「……………………え?」 チャポン

貴虎?「……ん?」 チャポン

貴虎「……うわぁぁぁぁああああああああ!!!!」

セシリア「えぇっ!? きゃぁぁぁあああああああ!!!!」

セシリア「ど、どうして……貴虎さんが、もうひとり……!?」

セシリア(いえ、あの姿は……あちらの、貴虎さんこそ……)

貴虎?「騒がしいな、まったく……」

貴虎「黙れッ!! そもそも貴様、なぜオルコットと風呂に入っている!?」

貴虎?「なぜ、だと……?」

貴虎?「フッ……そんなもの、決まっているだろう」 グイッ

セシリア「きゃっ……」

貴虎?「つまり、こういうことだ」

貴虎「やめろっ!! お、俺の格好で……そんな、破廉恥なことを……!」

貴虎「オルコットから! 今すぐ! その手をどけろっ!!」
248 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/18(土) 22:30:04.56 ID:UCR3Tj6F0
貴虎?「そんなに私が気に入らないのなら……」 ザバァッ

貴虎「っ!? うわぁぁぁああああああ!!!」

セシリア「っ! きゃぁぁああああああ!!!」

セシリア(た、たたた、貴虎さんの……あ、あああれ、アレが……!!)

貴虎「貴様っ、せめて隠せ!!」

貴虎?「今、この場で決着をつけよう」 スッ

ウィィィン……
カチャン

貴虎「ベルトよりもまずタオルを巻けっ!!」

貴虎?「変身……」 スッ

ザシュッ

『イチゴアームズ!』

ピカーン

『シュシュッと! スパーク!!』

ガシャン!

貴虎「貴様……俺をここまで辱めるとは……!」 スッ

ウィィィン……
カチャン

貴虎「変身!」 ザシュッ

『ソイヤッ!』

ヒューン
ズボッ

『ウォーターメロンアームズ!』

キュイィィィン……
ガシャン!

『乱れ玉! ババババンッ!!』

貴虎「貴様だけは、絶対に許さん!!」 ダッ
249 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/18(土) 22:30:46.00 ID:UCR3Tj6F0
今日はここまで
続きはまた明日
250 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/19(日) 20:26:18.25 ID:aH/vc8ct0
少し遅れたけど、投下していく
251 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/19(日) 20:27:01.65 ID:aH/vc8ct0
貴虎?「……」 ブンッ

貴虎「甘い!」 ガキン!

貴虎?「っ!」

貴虎「ハァッ!」 ズバッ

貴虎?「くっ……!」

貴虎「逃がさん……」 チャキッ

貴虎?「っ……ならば!」 ガチャッ

『ロックオン』

キュイィィ……

『イチ……ジュウ……ヒャク!』

貴虎「……」 ガチャッ

『ロックオン』

ゴォォォ……!

『イチ……ジュウ……ヒャク!』

貴虎?「フンッ!」 ブンッ

『イチゴチャージ!!』

貴虎「その振りかぶった隙が……!!」 ダッ

『ウォーターメロンチャージ!!』

貴虎?「っ!!」

ズバァッ……!!

貴虎?「……」 バタッ

サァァァ……

貴虎「……貴様の敗因だ」 カチッ

シュワァァ……
252 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/19(日) 20:35:02.07 ID:aH/vc8ct0
貴虎(これで、イチゴのロックシードも奪還できたか……) スッ

セシリア「あの……貴虎さん……」

貴虎「……」

セシリア「その……申し訳ございません。わたくし……その……」

貴虎「……無理に言葉にする必要はない」

貴虎「みなまで言わずとも、私は理解している……つもりだ」

セシリア「っ、はい……!」

セシリア「……貴虎さん、ありがとうございます」

貴虎「あぁ……あと、オルコット」

セシリア「何ですの、貴虎さん?」

貴虎「ここであったこと、見たことを……全て忘れろ。今すぐ、絶対に」

貴虎「私の、その……なんだ、ほら……」

セシリア「あっ……えぇ、わかりましたわ」

貴虎「いいか? 絶対にだ。絶対に、だぞ」

セシリア「ご安心ください、貴虎さん。絶対に忘れますわ」

セシリア(忘れられるわけありませんわ……あんなに刺激的な体験……)

セシリア(こんなに恥ずかしがられるということは、つまり……あの貴虎さんは、きっと本物の貴虎さんと全く同じだったということ……)

セシリア(つまり、貴虎さんの裸は……!!)

貴虎「……オルコット?」

セシリア「っ! な、何ですの、貴虎さん?」

貴虎「本当に、忘れるのだろうな……?」

セシリア「も、もちろんですわ! ご安心くださいませ!!」

貴虎「……」
253 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/19(日) 20:44:34.85 ID:aH/vc8ct0
それから、シャルの電脳世界?


貴虎(本当にオルコットは忘れるだろうか……いや、考えても仕方のないことだ)

貴虎(今はデュノアの救出に専念しよう)

貴虎「この屋敷の何処かに、あいつはいるに違いない……」

貴虎(それも、偽物の俺と共に……)

貴虎(先ほどの世界でも『俺』は、俺から奪ったロックシードを使ってきた)

貴虎(ならば、きっとここでも……)

貴虎「……残るは、この部屋だけか」 スッ

貴虎「……」

貴虎(正直、開けるのが恐い……)

貴虎(凰は俺と……その、情事に至ろうとしていて……オルコットは、あろうことか、俺と入浴していた……)

貴虎(きっと、この世界でも……デュノアと俺が、何かしら破廉恥なことを……)

貴虎「……ええい、ままよ!」 ガチャッ

貴虎?「デュノア……」 ギューッ

シャル「あっ……貴虎……」 モジモジ

貴虎「……」

貴虎(メイド姿のデュノアを……俺が後ろから抱きしめている)

貴虎(ただ、それだけだ)

貴虎(甘い空気が漂ってはいるが、どちらも、ちゃんと服を着ている……)

貴虎「……平和だな、この世界は」
254 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/19(日) 20:53:02.45 ID:aH/vc8ct0
シャル「ん……? 今の声……」 チラッ

シャル「っ!? 貴虎!?」

貴虎「あぁ……私だ、デュノア」

シャル「なんで……!? だって貴虎はここに……」

シャル(……ううん、違う。この貴虎は……)

貴虎?「おっと……邪魔が入ったか」

貴虎「……お前は、今までの俺に比べて、随分と『まとも』だな」

貴虎?「そういうお前は無粋だな。俺とシャルロットの、ふたりきりの時間を邪魔するとは」

シャル「えっと……」

貴虎?「少し待っていてくれ、シャルロット。この邪魔者を、ここから追い出してこよう」 チュッ

シャル「あっ……」

貴虎「……」

貴虎?「……どうした?」

貴虎「いや……どれだけ『まとも』でも、お前が偽物であることに変わりはないと思っただけだ」

貴虎(首筋にキスなど……俺がするわけがない)

貴虎(……あぁ、しないはずだ)

貴虎?「フッ……では、どちらが本物で、どちらが偽物か……」

貴虎?「決闘で明らかにするとしよう」 スッ

ウィィィン……
カチャン

貴虎?「変身」 スッ
255 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/19(日) 21:03:06.34 ID:aH/vc8ct0
ザシュッ

『マンゴーアームズ!』

ピカーン

『ファイト・オブ・ハンマー!!』

ガシャン!

貴虎「あぁ、受けて立とう」 スッ

ウィィィン……
カチャン

貴虎「変身」 ザシュッ

『ソイヤッ!』

ヒューン
ズボッ

『ウォーターメロンアームズ!』

キュイィィィン……
ガシャン!

『乱れ玉! ババババンッ!!』

貴虎?「フッ!」 ブンッ

貴虎「ハッ!」 ガキン!

貴虎?「ほう、頑丈な盾だ」

貴虎「ハァッ!」 ザンッ!

貴虎?「フンッ!」 ガンッ!

貴虎「くっ……」

貴虎(このマンゴー鎧の装甲は、並大抵の攻撃では傷つけられん……!)
256 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/19(日) 21:12:03.46 ID:aH/vc8ct0
貴虎?「やはり、我々の実力は互角か」

貴虎?「なら……一撃でケリをつけるしかあるまい」 スッ

ザシュッ

『マンゴーオーレ!!』

ゴゴゴゴ……!

貴虎「あぁ……お前の言う通りだ」 スッ

ザシュッ

『ソイヤッ!』

ギュオギュオギュオギュオ……

『ウォーターメロンオーレ!!』

キュィィン……!

貴虎?「ハァァアアアアッ……!」 ブンッブンッ

貴虎(マンゴー鎧の必殺技は、マンゴー型のエネルギーを相手に投げるもの……)

貴虎(それに対抗するには、シールドにエネルギーを纏わせ……)

貴虎?「ハァッ!!」 ブンッ

ゴォォォ……!!

貴虎(……思い切り、弾き返す!!)

貴虎「フンッ!」 ブンッ

ガキィィ……!
バチッバチッ!

貴虎「くっ……ウォォォオオオオオオ!!!」

貴虎?「っ! まさか……!!」

貴虎「ハァァアアアアッ!!」 ガキン!

ゴォォォ……!
ドガーン!!

貴虎?「フッ……さすがは俺だ……」 サァァァ……
257 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/19(日) 21:21:06.49 ID:aH/vc8ct0
貴虎「……」 カチッ

シュワァァ……

貴虎(これで、マンゴーロックシードも取り返したか……) パシッ

シャル「貴虎……」

貴虎「……行こう、デュノア」

シャル「……」

貴虎「……デュノア?」

シャル「……貴虎、ごめん」

貴虎「……」

シャル「僕、やらなきゃいけないことがあったのに……忘れちゃってた」

シャル「この世界が、心地よすぎて……」

貴虎「……気にするな。他の連中も、そう変わらん」

貴虎(むしろ、あいつらの方が激しかった……)

シャル「……多分ね、貴虎……あの貴虎は、僕の『願望』だったんだ」

シャル「貴虎と、もっと一緒にいたい……貴虎に、僕だけを見てほしい……」

シャル「そんな……身勝手で、汚い願望……」
258 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/19(日) 21:30:25.84 ID:aH/vc8ct0
貴虎「……」 ポンッ

シャル「っ……貴虎……?」

貴虎「……誰にでもあるものだ。そのような黒い感情は」 ナデナデ

貴虎「それを受け入れるのは難しい。ときには、呑まれてしまうこともある」 ナデナデ

貴虎「だが……たとえ、そうなったとしても……そのときは、信頼できる仲間が助けてくれる」 ナデナデ

貴虎「今回の、私のように……な」 ナデナデ

シャル「……うん」

貴虎「……」 ナデナデ

シャル「っ……ねぇ、そろそろ……」

貴虎「っ! あぁ、すまない!」

シャル「ううん、全然! その……嬉しかったから……」

貴虎「そうか……」

貴虎(何をしているんだ、俺は……うつむいたデュノアを見ていたら、思わず手が……)

貴虎(どこか、光実に似た部分を感じてしまったのか……庇護欲をそそられてしまった……)

シャル「……貴虎、ありがとう」

貴虎「……あぁ」

シャル「やっぱり、貴虎は優しいね」

シャル(みんなのことも、今みたいに撫でたのかな……それとも……)

シャル(僕だけ……だったり……) チラッ

貴虎「……どうした、デュノア?」

シャル「……なんでもないよ、貴虎」

シャル(もし、そうだったら……すごく嬉しいなぁ……)
259 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/19(日) 21:41:01.14 ID:aH/vc8ct0
それから、ラウラの電脳世界?


貴虎「さて……次はボーデヴィッヒか」

貴虎(あいつの性格上、これまでの世界とは毛色が違うと考えた方がいいだろう)

貴虎(例えば……偽物の俺と、決着がつくまで延々と闘い続けている……とか)

貴虎(いや……さすがに、それはないと思いたいが……とにかく、今までのような甘い感じではないだろう)

貴虎「……行こう」 スッ

ガチャッ

貴虎?「ラウラ……」 チュゥゥ……

ラウラ「あっ……貴虎……」

貴虎「……」

貴虎「…………」

貴虎「……………………は?」

貴虎?「……」 チロチロ

ラウラ「やめ……舌を……入れ、るな……!」

貴虎「……」

貴虎(お前もか……お前もなのか、ボーデヴィッヒ……)

貴虎(お前は……お前だけは、違うと信じていたのに……)

貴虎?「……ん?」 ピタッ

ラウラ「ん……どうした、貴虎?」

貴虎?「なぁに、客が来ただけの話だ」 ニヤッ
260 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/19(日) 21:50:13.01 ID:aH/vc8ct0
ラウラ「客……?」 クルッ

ラウラ「っ!? もうひとりの、貴虎だと……!?」

ラウラ(別の貴虎……いや、本当に『別』なのは……)

貴虎?「安心しろ、ボーデヴィッヒ」 グイッ

ラウラ「っ、貴虎……?」

貴虎?「我々のラブラブ新婚生活を邪魔するような虫は、早々に叩き潰してくれる」 スッ

ウィィィン……
カチャン

貴虎?「変身……!」 スッ

ザシュッ

『スイカアームズ!』

ピカーン

『大玉! ビッグバン!!』

ガシャン!

『ヨロイモード!』

ズガン!

貴虎「っ、厄介なアームズを……!」 スッ

ウィィィン……
カチャン

貴虎「変身!」 ザシュッ

『ソイヤッ!』

ヒューン
ズボッ

『ウォーターメロンアームズ!』

キュイィィィン……
ガシャン!

『乱れ玉! ババババンッ!!』
261 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/19(日) 22:00:01.59 ID:aH/vc8ct0
ラウラ「っ! IS相手に、そんな装備で挑むつもりか!?」

貴虎「舐めるな。大きさでは劣るが……」 グッ

貴虎「出力は同格だ!」 カチッ

ダダダダダッ!

貴虎?「……」 ブンッ ブンッ

ガキン! ガキン!

貴虎(っ……馬鹿正直に撃っても、弾かれるだけか)

貴虎(だが、あの巨大な鎧に、無双セイバーで傷をつけることはできない……)

貴虎(やはり、隙を見てガトリングを撃ち込むしか、勝機はない!)

貴虎?「ハァ……ッ!」 ブンッ

ラウラ「やめろ! 家が壊れる!!」

貴虎「知ったことか! ここは電脳世界だ!!」

貴虎?「いや、ラウラの言う通りだ」 ピッ

ウィィィン……

『ジャイロモード!』

ガチャン!

貴虎?「場所を移そう」 ピッ

ダダダダダッ!
ドカーン!

ラウラ「っ、屋根が……!」
262 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/19(日) 22:10:10.71 ID:aH/vc8ct0
貴虎「……随分とお粗末な偽物だな。それでは本末転倒だろう」

貴虎(そして、詰めが甘い……!) カチッ

ダダダダダッ!

貴虎?「何っ……!?」

貴虎「お前は知らないらしい。スイカの鎧は、確かに飛行することができるが……」

貴虎「その形態では、腹部がガラ空きになることを!」 グッ

ダダダダダッ! ダダダダダッ!

貴虎?「ぐぅ……っ!!」

貴虎「ハァァアアアアッ!!」

ダダダダダッ!
ドガーン!!

貴虎?「グォォォオオオオオオ!!!」 サァァァ……

貴虎「フン……所詮、この程度か」 カチッ

シュワァァ……

ラウラ「……」

貴虎「……ボーデヴィッヒ」

ラウラ「……儚い……夢だったな……」 パタッ

スヤァ……

貴虎「……あぁ。いい加減、目覚めるときだ」
263 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/19(日) 22:19:14.57 ID:aH/vc8ct0
それから、扉の外の電脳世界


貴虎「最後は……篠ノ之か」

ピピッ

簪『気をつけて。多分、箒の世界にいる貴虎が、一番強い』

貴虎「……なぜ、そう思う?」

簪『おそらく、あの貴虎は、みんなの心にある「秘めた願望」が形になったもの』

簪『対象者の精神にアクセスし、心の奥底にあるソレを見せることで、外界と遮断させてしまおうという、敵の攻撃』

貴虎「……」

簪『けど、結局それは、妄想から生まれたものでしかない。そして、みんなの「妄想の貴虎」より「本物の貴虎」の方が、もっと強かった』

簪『だからこそ、これまでの戦いで、貴虎は偽物に勝ってこれた』

簪『けど……それは逆に言えば「本物の貴虎」に近ければ近いほど「妄想の貴虎」も強くなるということ』

簪『そして、きっと……箒は他の誰よりも、貴虎のことを理解してる』

簪『だから……もしかしたら、今度の偽物は、貴虎と同じくらい強いかもしれない』

貴虎「……そうか。ならば、話が早い」

簪『え?』

貴虎「あいつの想像によって、偽物の俺の強さが変わるなら……」 スッ

ガチャ
ウィィィン……

貴虎「その想像を上回るだけの力を、発揮すればいいだけだ」

シュゥゥ……
ガチャン

簪『貴虎……』
264 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/19(日) 22:20:02.16 ID:aH/vc8ct0
今日はここまで
続きはまた明日
265 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/19(日) 22:29:17.11 ID:z4GlCdrI0
今更ながら続編の存在を知ってこれは期待大
乙です!
266 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/19(日) 23:03:37.98 ID:ojTQyBAe0
乙。
267 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/20(月) 19:59:41.97 ID:X+MbZ9G00
それじゃ、投下していく
268 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/20(月) 20:00:29.97 ID:X+MbZ9G00
そのころ、箒の電脳世界?
IS学園、道場


箒「……」 グッ

貴虎?「……」 グッ

箒「……」

貴虎?「……」

箒「……ハァッ!」 ブンッ

貴虎?「……」 ブンッ

バシン!

箒「っ!」

貴虎?「面っ!」 ブンッ

パンッ!

箒「……」 スッ

貴虎?「……」 スッ

箒「ありがとうございました」

貴虎?「ありがとうございました」

箒「やはり強いな、貴虎は」

貴虎?「箒も、中々やるようになった」

箒「ありがとう……少し疲れたな」

貴虎?「では、部屋に戻るか。私たちの部屋に」

箒「そ、そうだな……」
269 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/20(月) 20:10:50.01 ID:f3nUjgOTO
箒(もうすぐ、私たちはここを卒業する。鈴やセシリアは、それぞれ自国の代表として、国に帰るらしい)

箒(そして、私と貴虎は……日本代表として、同じ道を歩む……)

貴虎?「……」 ジーッ

箒「っ、なんだ……どうした、貴虎?」

貴虎?「箒を見ていた」

箒「っ! やめろ、恥ずかしい!」

貴虎?「いい加減、慣れろ。恋人になってから、どれだけ経つと思っている?」

箒「そっ、そういうことを臆面もなく言うな!」

貴虎?「フッ……すまん。箒の可愛らしい反応が見たくて、つい……な?」

箒「まったく、貴虎は……」

貴虎?「……箒」

箒「……なんだ、改まって?」

貴虎?「これからも、ずっと……私と供にいてくれるか?」

箒「何を急に……と、当然だ」

箒「私も、その……貴虎と、ずっと一緒にいたい」

貴虎?「……ありがとう、箒」

箒「あぁ、もう!! 何なのだ、さっきから!」

貴虎?「何、決意を固めただけだ」

箒「決意?」
270 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/20(月) 20:20:16.86 ID:X+MbZ9G00
貴虎?「あぁ……箒。私は、お前が望む限り、お前の側にいる」

箒「っ、貴虎……」

貴虎?「そのために……」 チラッ

貴虎?「この世界を脅かすものは、徹底的に排除する」

箒「……どういう意味だ、貴虎?」

ガラッ

箒「っ、誰だ?」 クルッ

貴虎「……」 スッ

箒「なっ……!?」

貴虎「やはりここにいたか、篠ノ之。そして……」 チラッ

貴虎?「……」

貴虎「……俺も」

箒「なんだ、貴様……なぜ、貴虎と同じ姿を……」

貴虎?「……来たか」

貴虎「……まるで、待っていたかのような言い方だな」

貴虎?「待っていたとも。お前が来なければ、始まらない」

箒「何を言ってるんだ、貴虎……お前、こいつが何者なのか、知ってるのか!?」

貴虎?「下がっていろ、箒。これは、私同士の問題だ」

箒「私、同士……?」
271 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/20(月) 20:30:06.81 ID:f3nUjgOTO
貴虎?「お前を待っていた……ここで、お前を討つために」

貴虎「……」

貴虎?「私はお前を倒す。箒のために」

貴虎「篠ノ之のため……だと?」

貴虎?「そうだ。箒の幸福を守るため……そして、それを与え続ける、この世界を守るため……」 スッ

貴虎?「俺は、お前を倒す」

ウィィィン……
カチャン

貴虎「……そうか。では、私も言おう」

貴虎「私はお前を倒す。篠ノ之のために」

貴虎?「……」

貴虎「篠ノ之を目覚めさせるため……そして、偽りの夢を与え続ける、この世界を壊すため……」 スッ

貴虎「俺は、お前を倒す」

ウィィィン……
カチャン

貴虎?「……変身」 カチャッ

貴虎「変身……!」 カチャッ

ガチャッ
キュイン

『メロン』

『ウォーターメロン』

ジジジジ……
ヒュゥゥ……
272 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/20(月) 20:40:18.32 ID:X+MbZ9G00
『ロックオン』

『ロックオン』

プォォォ……
ザシュッ

『ハッ!』

『ソイヤッ!』

ヒューン
ズボッ

『メロンアームズ!』

『ウォーターメロンアームズ!』

キュイィィィン……
ガシャン!

『天・下・御・免!!』

『乱れ玉! ババババンッ!!』

テレレン
ガコーン!

貴虎?「ハァァ……ッ!」 ブンッ

貴虎「……ハァッ!」 ブンッ

ガキィィ……!
ガキン!

貴虎「ハッ!」 ブンッ

貴虎?「……」 スッ

ガキン!
273 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/20(月) 20:50:02.66 ID:X+MbZ9G00
貴虎?「フッ!」 ドガッ

貴虎「っ……」 ヨロッ

貴虎?「ハァッ!」 ブンッ

貴虎「……」 サッ

貴虎?「っ!」 スカッ

貴虎「ハァッ!」 ズバッ

貴虎?「くっ……!」 ヨロッ

箒「なんだ、この戦いは……」

箒(ふたりの貴虎……どちらの実力も、全く互角……)

箒(一体、どっちが本物なんだ……!?)

ガキン! ガキン!

貴虎?「お前もまた、箒のために戦うと言ったな! 本当にそう思っているのなら……」 チャキッ

貴虎?「なぜ、この世界を否定する!!」 ブンッ

貴虎「なぜ、だと……!」 スッ

ガキィィ……!

貴虎?「この世界は幸福だ。箒の望むものが、望むままに手に入る」 ググッ

貴虎?「箒にとって、これ以上に幸福な世界はない! それを……」

貴虎?「なぜ、貴様は否定する!!」 ブンッ
274 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/20(月) 21:00:07.93 ID:X+MbZ9G00
貴虎「決まっている!!」 ブンッ

ガキン!

貴虎「お前は今、これ以上の幸福はないと言ったな! だが、それは違う!!」

貴虎「この世界は、そもそもが偽り……泡沫の夢に過ぎない!」 グッ

貴虎「そんな都合のいい幻に沈むことが、幸福などであるものか!!」 カチッ

貴虎?「幻で何が悪い!!」 スッ

ダダダダダッ!
ガン! ガン!

貴虎?「現実にあるものは、恐れと不安! そして……理不尽な悪意ばかりだ!!」

貴虎?「貴様とて、それに幾度も曝されてきただろう!?」

貴虎「っ……!」

貴虎?「そのようなものを、二度と箒に味あわせない! 二度と、箒の笑顔を失わせない!!」 ザシュッ

貴虎「ぐっ……!!」 ヨロッ

貴虎?「そのために……この世界で、永遠の幸福を与え続ける。それの……」 チャキッ

貴虎?「一体、何が間違っている!!」 ブンッ

貴虎「っ、ウォォオオオオッ!!」 スッ

ガキィィ……!

貴虎「そうか……それが貴様の考えか」 ググッ

貴虎「ならば教えてやる。恐れや不安のない、永遠の幸福など……死んでいるのと変わらん!!」 ガキン!

貴虎?「何っ……!?」

貴虎「恐れがあるからこそ、人は他者と絆を紡ぐ……不安があるからこそ、人はそれに立ち向かう……!」

貴虎「それこそが……『生きる』ということだ!!」 ブンッ

貴虎?「っ、綺麗事だ!!」 ブンッ

ガキン!
275 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/20(月) 21:10:04.87 ID:X+MbZ9G00
貴虎?「それはただ、理不尽な悪意を……絶望を受け入れているのと変わらん!!」

貴虎「違う! 絶望を受け入れたのは、貴様の方だ!!」

貴虎?「何だと……!」

貴虎「貴様は篠ノ之を、この偽りの世界に閉じ込めた。それは現実との戦いを……絶望との戦いを憂い、諦めたからだ!!」

貴虎?「っ……!!」

ググッ……

貴虎「俺は知っている……絶望を受け入れた先に待つものを……」

貴虎「そして……希望とは、絶望に立ち向かうことでしか、生まれないことを!」

貴虎?「っ、ぐぅ……っ!」

貴虎「貴様が本当に『俺』なら、それを理解しているはずだ!!」

ガキン!!
ズザァァ……!

貴虎?「……だとしても、俺の決意は変わらない……」

貴虎「……」

貴虎?「現実との戦いは、辛く苦しいものだ。終わりも見えず、勝ち目すら見出せない……」

貴虎?「そのような苦しみから、箒を救い出せるのなら……!」

貴虎?「どんな絶望だろうと、俺は受け入れる!!」

貴虎「……そうか。それほどのものなのか、貴様の想いは……」
276 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/20(月) 21:20:32.04 ID:X+MbZ9G00
貴虎?「俺は箒を守る……現実から、絶望から……」

貴虎?「そのために……ここで貴様を討つ!!」 スッ

ジャキン!

『ハッ!』

ギュオギュオギュオギュオ……

『メロンスカッシュ!!』

貴虎「あぁ……よくわかった」

貴虎「決着をつけよう」 スッ

ザシュッ

『ソイヤッ!』

キュィィン……!

『ウォーターメロンスカッシュ!!』

貴虎?「ハァァアアアア……!!」 ダッ

貴虎「……ハァッ!!」 ブンッ

キンッ!
ズバァ……ッ!!

貴虎?「……」

貴虎「……」

貴虎?「……わかっていたとも」

貴虎?「間違っているのは……」 シュワァァ……

貴虎?「俺の方だと……」 バタッ

貴虎「……」 カチッ

シュワァァ……
277 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/20(月) 21:30:23.09 ID:X+MbZ9G00
箒「おい……貴虎?」

貴虎「……」

貴虎?「……」

箒「決着は、ついたのか……? 一体、どっちが『本物』なんだ!?」

貴虎「……俺たちの想いは、どちらも……」

貴虎?「……」

貴虎「……確かに『本物』だった」

ゴゴゴゴゴ……

箒「っ、地震が……!」

貴虎?「行け、箒。この世界は、まもなく消える」

箒「だが……!!」

貴虎?「行け!!」

箒「っ……」 クルッ

タタタッ

貴虎「……」

貴虎?「……箒を頼むぞ」

貴虎「……あぁ、任せておけ」

貴虎?「フッ……感謝する」 サァァァ……

貴虎「……さらばだ、あり得たかもしれない『俺』……」
278 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/20(月) 21:31:07.78 ID:X+MbZ9G00
そのころ、とある電脳空間


???「ここが、システム中枢……」 フワフワ

スタッ

???「これが、束さまの言っていた……織斑千冬専用機『暮桜』のコア……」 スッ

ピカーン
キュイィィン……
279 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/20(月) 21:40:05.36 ID:X+MbZ9G00
そして、箒の電脳世界?


ゴゴゴゴゴ……

貴虎(『俺』の言っていた通り、この電脳世界は崩壊し始めた)

貴虎(だが……俺はまだ、ここを動かないでいる)

貴虎(来る気がするからだ……今回の、黒幕が)

貴虎(なぜかはわからない。だが、確信が……っ!)

貴虎「……やはり、来たか」 クルッ

???「……」

貴虎「……何者だ?」

???「お初にお目にかかります。私の名は、クロエ・クロニクル」

貴虎「なぜ、わざわざ俺の前に現れた?」

クロエ「こちらを、お返しするために」 スッ

貴虎「っ、そいつは……!」

貴虎(白い服を纏った少女……間違いない。あのとき、俺の前に現れた……!)

少女「……」 フラッ

貴虎「斬月!!」 ガシッ

少女「……」 スゥゥゥ……

貴虎(っ、戦極ドライバーの中に……)
280 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/20(月) 21:50:16.50 ID:X+MbZ9G00
クロエ「主の使いは果たしましたので、此度はこれにて、退場いたします」 フワッ

貴虎「っ! 待て!!」

貴虎「貴様の目的は何だ!? なぜ俺から斬月を奪った!? 貴様の『主』とは……」

パッ

貴虎「っ……逃げたか……」

貴虎(クロエ・クロニクル……あの女、一体……)

貴虎(亡国企業[ファントム・タスク]の一員か、それとも……)

貴虎「……」

貴虎(なぜ、この世界の『俺』は、あそこまで篠ノ之に執着した?)

貴虎(篠ノ之の『願望』によって生み出されたから……本当に、それだけか?)

貴虎(あいつは、他の世界の『俺』とは、明らかに異なっていた)

貴虎(他の偽物が、それぞれの願望を強く表していたのに対し……あいつは、何よりも『篠ノ之を守る』ことに固執していた)

貴虎(もしも……それが、あのクロエという女の……ひいては、その『主』の意思を反映しているとしたら……)

……やぁ、初めましてだね。世界で唯一ISが使える男、呉島貴虎くん……

貴虎「……」
281 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/20(月) 21:51:06.51 ID:f3nUjgOTO
それから、現実世界


箒「ん……」 パチッ

シャル「あっ、箒!」

箒「……みんな……」 ムクッ

箒「そうか……私たちは、敵の攻撃のせいで……」

シャル「貴虎のおかげで、僕たちは戻ってこれたけど……」 チラッ

セシリア「肝心の貴虎さんが、まだ目覚めませんの……」
282 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/20(月) 22:00:04.95 ID:f3nUjgOTO
箒「っ、何っ!?」 ガバッ

タタタッ

貴虎「……」

箒「貴虎……」

鈴「目、覚まさないわね……」

セシリア「もしかして、わたくしたちと同じように……!」

簪「それはないと思う。システムはもう、解放されたから」

シャル「じゃあ、なんで……」

ラウラ「……キス、だな」

シャル「……え?」

箒「……はぁっ!?」

鈴「キ、キスってねぇ! アンタ、唐突に何言ってるのよ!?」

ラウラ「知らないのか? 昔から、眠れる者を醒ますのは……キスだ」

シャル「それ、お伽話のお姫様限定でしょ!?」

ラウラ「何を言う。副官がさっき言っていたぞ」

鈴「その副官、クビにしなさいよ!」

セシリア「お待ちになって! 試さずに否定するのは間違ってますわ!」

シャル「いや、これは試す必要ないと思うけど!?」

箒「な、なんだ……人口呼吸的なものだな!」

シャル「箒!?」
283 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/20(月) 22:21:40.30 ID:X+MbZ9G00
簪「なら、私も立候補する」

シャル「簪まで!?」

簪「勘違いしないで。私は決して貴虎とキスしたいのではなく、状況を鑑みて、何やら早急な対応が求められていると判断し、ひとつの打開案として、やや強硬な姿勢を取ってみてはどうかなと思ってみたものの、自分の意思を他人に押し付けるわけにもいかず、道徳的な観点からも……」

シャル「長いよ! しかも、ちょっと理屈っぽいし!」

鈴「本当よ! セシリアの縦ロール並みにグルグルしてんじゃないわよ!!」

セシリア「鈴さん、今なんと?」

簪「だって! 私だけワールド・パージにかかってないわけで……」

簪「本当は私だって、みんなみたいに貴虎と……!!」

箒「かかりたくて、かかったわけではない!」

簪「そのわりには、みんな嬉しそうだった!」

ギャーギャー
284 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/20(月) 22:22:21.19 ID:X+MbZ9G00
それから、しばらく経って
保健室


貴虎「……」 パチッ

貴虎「……今、何時だ?」 ムクッ

ガサガサ

貴虎「ん?」 クルッ

「貴虎くん、起きたの?」

貴虎(カーテンの向こうに人影……声から察するに……)

貴虎「更識か」

楯無「そう、お姉さんよ」
285 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/20(月) 22:30:04.93 ID:X+MbZ9G00
貴虎「……傷が深そうだな。点滴の影が見えている」

楯無「いやん! 貴虎くんのエッチ!」

貴虎「何がだ……」

楯無「簪ちゃんから聞いたのよ? 電脳世界で、好き勝手にいやらしいことしてたんでしょ?」

楯無「私に無許可で! 生徒会に無許可で!」

貴虎「誤解だ。それは私ではなく、敵に作られた偽物で……」

楯無「フンだっ」 プイッ

貴虎「何を拗ねている……」

楯無「……ねぇ、貴虎くん」

貴虎「……何だ?」

楯無「ありがとう、助けに来てくれて」

貴虎「……あぁ」

楯無「嬉しかったよ」

貴虎「……」

楯無「……あのさ、貴虎くん。私の名前……『楯無』っていうのは、更識家の当主の名前だって、言ったかしら?」

貴虎「……いや、初耳だ」

楯無「貴虎くんには……私の本当の名前、教えとくね」

貴虎「……」

楯無「……更識、刀奈」

貴虎「……いい名前だ」

楯無「……ありがとう」
286 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/20(月) 22:35:06.25 ID:X+MbZ9G00
そして、後日
倉持技研


貴虎「世話をかけたな」

ヒカルノ「いいってことよ。結局、動くようにはなったけど、その原因は分からず終いだしねぇ」

貴虎「……そうだな」

貴虎(斬月が動かなくなった原因。それはあの女……クロエ・クロニクルと、その『主』によるものだった)

貴虎(またひとつ、新たに調べなければならないことが増えてしまった……)

貴虎(だが……それらが、全て独立した問題だとは思えない)

貴虎(亡国企業[ファントム・タスク]と織斑マドカ。無人機とクロエ・クロニクル。そして……)

貴虎(真実に近づけば、それらの黒幕との対峙は、避けられないだろう)

貴虎(だが、そこにこそ……俺にとっての『希望』があるに違いない)

貴虎(ならば、絶対に諦めず、それを掴むだけだ)

貴虎(そして必ず、元の世界へ戻ってみせる!)
287 : ◆QNL99VWo9I [saga]:2019/05/20(月) 22:35:42.50 ID:X+MbZ9G00
今回はここまで
次回は『第五話 修学旅行』

内容的にアニメ2期の最終話まで書くけど、このssとしての最終話は別に用意するつもり
今回ほど遅くならないよう努力したい
288 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/07(木) 16:24:06.73 ID:KXGJDeNa0
再開はもう望めないよなぁ
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