【ガルパン】みほ「私は、あなたたちに救われたから」

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331 : ◆eltIyP8eDQ [sage saga]:2019/06/23(日) 16:46:40.87 ID:+nuVNca90
あ、誤字発見。

>>321
まほ「家元、決勝見に来てください。あいつが『終わる』瞬間を見届けてください。それが……あなたの義務です」
             ↓
まほ「師範、決勝見に来てください。あいつが『終わる』瞬間を見届けてください。それが……あなたの義務です」



上記のように訂正します。
332 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/24(月) 18:09:45.26 ID:6R364Hp70
自業自得とはいえ流石にちょっと、しほりんが可哀想になってきたな。
333 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/26(水) 10:39:40.48 ID:gx/rDpCs0
パラレル対談会面白かった、その後にここ読み返すと頭が混乱しそうだw
334 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/26(水) 12:31:44.95 ID:7SHbpSu5o
>>330
エリカはもう居ないんだ……
335 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/27(木) 17:12:52.08 ID:NMqOcxucO
小梅ちゃん先々週からスタンバってそう
336 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/06/30(日) 00:13:19.16 ID:GvqkCp0m0





夢のような時間だった。


『みほ』


彼女がいて、私がいて。

それだけで、『世界』が輝いていた。


だから、それが『終わった』時、夢は、悪夢に変わった。

どれだけ泣いても、どれだけ叫んでも、悪夢から覚めることは無く。

気が付くと、夢はもう遠く、小さくなって、代わりに空っぽの私だけが残されていた。

だから私は、永遠に眠り続けるために、夢を見続けるために、私を捨てた。

それしか考えられなかった。

そして、




『だって……だってこれで、お前に罰を与えられるんだからなッ!!』



ようやく理解した。これは、夢なんかじゃない。現実なのだと。

私が、姉の現実を悪夢に堕としてしまったのだと。



『もう一度、全てを失え。それが――――お前への罰だ』



脳裏にこびりついたその声が、その表情が、私のしたことを理解させる。

あんな表情をする人じゃ無かった。あんな、憎悪に満ちた怨嗟を発する人じゃ無かった。

自分が、そうさせてしまった。


ならば、どう償えばいいのか。

わからない。だって私はまだ、何一つその術を見つけられていないのだから。

今の私には、命さえ自由に出来ないのだから。




私に、道を示してくれる人はもう、いないのだから。



337 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/30(日) 00:22:23.13 ID:PTO3S7Hqo
はじまった、期待
338 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/06/30(日) 00:29:18.80 ID:GvqkCp0m0






甲高いチャイムの音が、みほの意識を浮上させる。

どれだけ深い眠りについていようとも否応なしに目覚めを引き起こすその音は、ある種の条件反射を引き起こすのかもしれない。


一回。

二回。

チャイムが押されると、今度は扉の向こうから声が聞こえてきた。


沙織『みほー!!もう行くよー!!』


その聞きなれた声は、けれども今聞こえるには不自然で、みほは布団を跳ねのけるように起き上がるとまだ寝ぼけている頭を揺らしながら玄関に向かい、扉を開けた。


沙織「あー!まだパジャマなのー?良かった迎えに来て……」


扉の前で待っていた沙織は呆れと安心を混ぜ込んだようなため息を吐く。

対してみほはあっけにとられたまま目を見開いていた。


みほ「なんで……」


突然の訪問はみほの予定には無かった。

もちろん今日が決勝の日だという事は承知しているが、今までの試合と同様集合場所に各々集まる予定だと思っていたからだ。

みほが驚きと疑問で漏らした呟きに沙織は一瞬目を伏せると、眉尻を下げて微笑む。


沙織「……みほさ、お姉さんの事で色々悩んでそうだし、ちょっと朝起きるの辛いかなって。麻子はゆかりんたちに起こしに行ってもらってるよ」


先日のまほの訪問。その場には沙織たちもいた。

怒りなんて言葉では足りないほどのまほの激情を彼女たちも目の当たりにしていたのだ。

そしてその原因は他でもない自分で、つまり沙織たちはただただ巻き込まれただった。


だからみほはまず頭を下げた。


みほ「……ごめんなさい、迷惑かけて」

沙織「良いよ。迷惑かけてくれた方がずっと良い。何も言わずに、どっかいかれるほうがずっと嫌だから」


微笑みながら言われたその言葉に、みほは何も返すことが出来なかった。

唇を噛みしめ、ただじっと頭を下げる事しか出来なかった。

そんなみほの肩を沙織はポンと叩くとそのまま部屋に押し戻そうとしてくる。


沙織「……ほら!さっさと着替えて!!髪も梳かして!!朝ごはんにお弁当作ってきたからみんなで食べよう?」

みほ「……はい」


そのあまりにも真っすぐで優しい笑顔に、みほはただ力なく微笑み返した。


339 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/06/30(日) 00:51:51.01 ID:GvqkCp0m0






大洗の港から駅に向かい戦車を輸送できる特別列車に乗り込んでそのまま数時間。

大洗女子学園の面々がたどり着いたのは、富士の膝元にある東富士演習場。

今日行われる第63回戦車道全国高校生大会の決勝、黒森峰女学園対大洗女子学園の試合が行われる会場である。


優花里「戦車道の聖地!!まさか選手として来られるだなんてっ……!」


試合会場を見下ろしながら優花里が感激の極みといった様子で打ち震える。

優花里ほどではないにしろ沙織たちも同じことを思っていたようで、緊張、喜び、あるいは不安。

それらの感情が混ざった複雑な表情をしていた。

そして、そんな彼女たちの隣でみほだけは、無表情でじっと空を見つめていた。


340 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/06/30(日) 01:05:46.95 ID:GvqkCp0m0





決勝の試合会場にはそれまでの試合会場よりも更に大きいモニター、席数の増えた観覧席が設置されている。

そしてその裏では様々な出店が立ち並んでおり、試合前にそれらで楽しむ観客たちと共に文字通り祭りの様相を呈していた。


そんな喧騒から距離を取って。

試合会場の一角に置かれた整備場所(パドック)では、大洗女子学園の面々が間近に迫った決勝に向けて自車輛の最後の点検に勤しんでいた。


ナカジマ「一応西住さんのチェックもお願いしていい?」

みほ「あ、はい」


パドックの一つではあんこうチームの車輛であるW号が、あんこうチームと大洗の車両整備の責任者であるナカジマによる最終点検を受けていた。

刻一刻と迫る決勝を前に時間はいくらあっても足りず、少しでも、一つでも不備や不安の残らないよう皆集中していた。


「ミホー!!」


そんな時、唸るようなエンジン音と共に明るく、陽気な声がみほの名を呼んだ。

みほが振り向くと、みほたちの前にジープが停車し、ドアを飛び越えて降りてくる人物。


みほ「ケイさん……」

ケイ「久しぶりねミホ!!」


金髪を揺らし朗らかに笑うのは、サンダース大付属高校の隊長、ケイ。

ジープのハンドルを握ったままこちらを見つめる副隊長のナオミと、ケイとは逆にどこかしおらしい様子でドアを開け降りてきた同じく副隊長のアリサ。

3人と会ったのは一回戦ぶりであり(優花里はしばしばサンダースに出入りしていたので久しぶりというほどでもない)、しかしみほが気まずそうに目を伏せたのには別の理由がある。


ケイもそれを察したのか、先ほどまでの明るさを収めて静かに微笑む。


ケイ「今更だけど……ミホ、で良いのよね?」

みほ「……はい」


341 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/06/30(日) 01:19:54.06 ID:GvqkCp0m0



彼女たちに名乗った名は『西住みほ』ではなく、『逸見エリカ』だ。

ケイの口ぶりからみほは自分の現状はもう知られているのだと察し、降参するように頷く。

元より、ケイとナオミ……アリサも自分の正体なんて知っていたのだろうとはわかっているが。

やはりケイの瞳を見つめられないままそんな事を考えていると、


ケイ「ならミホ。……ごめんなさい」

みほ「え?ちょっ、何……」


ケイと、その隣に立つアリサが深々と頭を下げる。どういうことかとみほがとハンドルを握ったままのナオミを向くと、ナオミもまた申し訳なさそうに頭を下げた。

いよいよ混乱してきたみほの前で、頭を下げたままケイが声を出す。


ケイ「アリサを庇ってくれてたのね」

みほ「え……」

ケイ「本当にごめんなさい。何も気づかなくて。あなたに汚れ仕事させて」



その言葉の意味をみほは直ぐに察した。

サンダースとの試合、その中で対戦相手であるアリサが行った無線傍受。

戦車道のルールには反さないものの隊長であるケイの主義に反するその行い。

バレたらタダでは済まないという事はアリサも覚悟していた。

だからみほは、それを庇った。

口汚い言葉でアリサを、サンダースを罵り、自分に怒りを向けさせることでアリサのしたことを隠した。

それが結果的にアリサに重いものを背負わせ、それを見ていたあんこうチームの面々にも愁傷を抱かせてしまった。

だから、こうやってケイたちに頭を下げられてみほはむしろ申し訳なく思ってしまう。

ケイの隣で同じように頭を下げているアリサに向かって、みほは寂しそうに笑う。


みほ「……言っちゃったんですね」

アリサ「ミホ……ごめんなさい。あなたの気遣いを無為にした」

みほ「……良いんですよ。元々私が勝手にやった事なんですから。むしろ、余計な事しちゃいました。私が変に庇い立てたせいで拗らせちゃったんじゃ……」

アリサ「違うっ!!」


みほの言葉を、遮るようにアリサが声を張り上げる。

目元に涙を浮かべ、唇を噛みしめ、それをゆっくりと解く。


アリサ「違うわミホ。私は……」


その先は言葉にならず、嗚咽交じりに謝罪を繰り返すアリサ。

その肩をそっと抱いてケイがみほに向き直る。


342 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/06/30(日) 01:32:28.12 ID:GvqkCp0m0



ケイ「……アリサが、話したい事があるっていうから聞いてみたの。無線傍受の事、それをあなたが庇ってくれた事。それと……なんでアリサがそんな事したのか」

みほ「……」

ケイ「いっぱい怒ったわ。なんでそんな事したのか。なんで言ってくれなかったのか」

みほ「……アリサさんは、ケイさんのために」


それ以上言わないで。と、ケイは手みほの言葉を遮る。


ケイ「わかってる。わかってるわ。だから……たっぷりと反省会をしたわ。アリサと、私の二人でね」


ようやく泣き止んだアリサが、顔を上げて赤い目でみほを見つめる。

その姿を見てケイは嬉しそうに微笑む。


ケイ「アリサの気持ちに気づけなかったことを謝った。これからどうしたいのか、どうして欲しいのか。たくさん話した。受け入れられることもそうじゃない事も。一つずつ」


ケイとアリサの視線が合わさる。

彼女たちが一体何を話したのか、どういう結論を選んだのか、

みほにはわからない。だけど、きっと確かな絆が、一回戦を終えた時よりも強固な絆がそこに生まれたのだと感じた。


ケイ「ミホ、私は……正々堂々のフェアプレイが好きだわ」

みほ「……とても素晴らしい事だと思います」

ケイ「でもね、私は知らぬ間にそれをみんなに押し付けてた。ううん、それならまだよかった。アリサの……みんなの意見を聞かずにそれが正しいってみんなハッピーだって思ってた」


アリサがその言葉に辛そうに唇を噛みしめる。


ケイ「だから、アリサのしたことは遅かれ早かれ起きてたと思うの。アリサじゃなくて他の誰かであっても」


その言葉をみほは否定しなかった。

ケイの言う通りだと思っているからではなく、ケイがアリサと向き合って出した結論を否定したくなかったから。


ケイ「ミホ、あなたに辛い真似させたこと本当にごめんなさい。でも……ありがとう。私たちが向き合える機会を作ってくれて」



343 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/06/30(日) 01:47:12.10 ID:GvqkCp0m0


ありがとう。

その言葉をみほは自分の中で反芻する。

そんな言葉は自分に相応しくないと、吐き出しそうになるのを必死でこらえる。

やがて、ゆっくりと深呼吸をし、ケイを、アリサを見つめる。


みほ「ケイさん、アリサさん。私は……あなた達のようになれませんでした」


みほは思い直したようにかぶりを振る。


みほ「いえ、なろうとすらしてなかった。何も言わず、何も伝えず、いつか来る破綻なんて目に見えていたのに何もせずにいて……当たり前のように壊れた」


それはきっと手のひらに落ちた雪のように儚い夢だった。

いずれ溶けて、消えていくだなんてことわかっていたのに。永遠であって欲しいと願うばかりで何もしなかった。


みほ「なのに大洗の皆はそんな私をまだ信じるって言ってくれるんです」

ケイ「……良い仲間と出会えたのね」


ケイがそう微笑むとみほは悲しそうに笑い返す。

良い仲間。それは、間違いない。

自分にはもったいないほど、大洗の皆は優しく、善良な人たちだった。

だから、

344 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/06/30(日) 01:52:34.32 ID:GvqkCp0m0




みほ「ケイさん、私の戦車道は勝つ事だ。……以前そう言いましたよね」


みほの言葉にケイは無言でうなずく。


みほ「それは、今でも変わりません。あの時は、エリカさんであるために。エリカさんが唯一褒めてくれた事を汚さないために」

ケイ「……なら、今は?」


その問いかけに、みほは決意と諦観を込めて答える。


みほ「……みんなのために。みんなが諦めてないから。私を、信じてくれるから。だから私は、燃えカスの私を最後の一片まで燃やし尽くします。勝利を、目指して。結果がどうなろうとも」

アリサ「……決勝が終わったらどうするの?」


尋ねたのはアリサだった。

先ほど泣いたばかりなのに、また泣きそうな瞳でみほを見つめる。

それはまるで、今にも崩れそうな積み木を見るような目。


その視線を受け止めたみほは何一つ感情の無い表情で口を開く。


みほ「……生きる」


たった一言。

それが、全てだった。

ケイも、アリサも、何も言えなくなる。

そんな二人を見てみほはうっすらと笑った。


みほ「今は、それしか言えないんですよ。これだけは守らないといけないから」




その約束だけが、今もみほと『彼女』を繋いでいた。



345 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/06/30(日) 01:53:58.54 ID:GvqkCp0m0
ここまでー。
もうちょっとイベント会話が続きます。
最終章のパンフ後編買いに行かないと…

また来週。
346 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/30(日) 02:28:20.68 ID:wJF2XuqD0

完全お姉ちゃん派の俺としては、みほのスタンスが終始気に入らん。
悲劇のヒロイン気取ってるように見える。
エリカが死んで直ぐはまあ仕方ないけど、それからずっとそうだし、みほ自身に戻って心理描写が明瞭になった今はより一層そう思えてしまう。
347 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/06/30(日) 10:31:54.05 ID:13fmDWD/0
>>1ーシャ
エリみほ原理主義者過激派の俺としては両サイドの言い分憤りも分かるがまぽりんのは嫉妬から来てるってのがな
そんな羨ましいなら入ってくりゃ良かったやんと思う
踏み出せなかったのを転化してる分、不健全さではみぽりんのなりきりに劣るが、同じくらいこのキレ方は質悪い
348 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/01(月) 00:05:10.57 ID:BIUuwP4i0
>>346 >>347

みぽりんが悪い派と、姉御が悪い派か・・・。
それじゃあ間をとって、辻が悪いって事で。
349 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/01(月) 01:31:12.72 ID:00CQZqLq0
この話でここまで来たらもうそんな外部に原因を作って納得する事は出来ないよ
黒森峰も、大洗も
350 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/01(月) 23:05:43.08 ID:024Kn3Ek0
>>348
どっちかが悪いとかじゃないよ、どっちとも可哀想だしどっちとも面倒臭い子
みほのスタンスが気に入らないってだけ
351 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/02(火) 01:13:39.91 ID:hAhMzFBGO
誰が悪いかという話になるとみほとまほ2人とも悪いからね
というよりも、2人以外の殆どの人も大事な事を語ろうとしなかったせいでここまで拗れてきた訳だし
352 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/02(火) 11:20:05.25 ID:+6eS5Qxl0
誰がって、そりゃオトナが悪いよーオトナが

自分達の都合で従来の慣例押し付けて、見たくないモノ無視するために臭いものには蓋をして 少なくともみほ周りはそのやり方通してきた所為で
気づいた時には手遅れになってた感が大きい 原作からして、理不尽に押し付けられる逆境をひらめきと友情パワーで打破してく作品ではあるけど
353 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/04(木) 16:15:26.09 ID:Em5dcxR8O
生きる

このまるで目に光のないこの女の名前は西住みほという。一応、形式的にはこの物語の主人公である。
彼女は毎朝この道を歩いて職場に向かう。
一見端から見れば彼女は忙しそうなごく普通の社会人のようには見えるだろう。
しかし、それは大きな間違いである。
実際には彼女の心は全くの病的な状態にあり、その目にはなにも映ってはおらず、周囲に対しても完全に無感動そのものなのだ。
彼女はただ毎日機械めいて会社に出社しこの椅子に座って必要最低限の仕事をさも忙しそうにこなし他と一切の交流もなく椅子の人となる。
それがここ数年の彼女の全てである。恐ろしいことに他には本当に何もないのだ。
仮に彼女をそれなりに知る者であるならば、そこに虚無とでもいうのだろうか、言い知れぬような何か、もしくはもっと恐ろしいものの片鱗をかいまみることだろう。彼女は終始にこやかに何事もそつなくこなし微笑んではいるが、それはあくまで辛うじて整えた外面に過ぎず、事実、この西住みほという人間の一切合切は、生きているという演技なのである。

「西住くん、...君、やる気あるのかね?」

「...え...はい...すみません」

結論を言おう。この西住みほという人間は、今日から3ヶ月後の朝方、遺体で発見される。
死因は_自殺だ。
その前提の元、この物語は始まる。
これは西住みほ、最後の頑張り物語である。

ででーん。エンターエンターみっしょーん
354 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/04(木) 16:50:31.77 ID:A+Jw5l+8O
そんな未来が見える...
355 : ◆eltIyP8eDQ [sage]:2019/07/06(土) 01:14:31.47 ID:pcRR3pBI0
ちょっと今晩の投稿難しそうなんで明日でお願いします!!
356 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/06(土) 18:39:16.43 ID:KEZyX9bNO
大佐!大佐アアア!(あ、はい)
357 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/06(土) 23:15:15.25 ID:lp86NVty0
今更だけど週一更新ってすっげえ有難いことだよな
しかも常にハイクオリティ
358 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/07(日) 10:08:18.48 ID:QABo4zqRO
偉大なるガルパンss聖人だ
359 : ◆eltIyP8eDQ :2019/07/07(日) 23:42:51.86 ID:8KNquDFZ0



重く、深いみほの言葉は周囲の空気に重力を与える。

他でもないみほ本人が自分の言葉に膝をつきたくなるほどに。

アリサの顔はまたもや涙に濡れ、くしゃくしゃになる。

そして、いつもにこやかなケイもその表情を消し去り、じっと考え込むように目を閉じている。

これで、話は終わりか。

そう思ったみほが最後の点検に戻ろうとした時、ケイが口を開いた。


ケイ「……ミホ」

みほ「……なんですか」

ケイ「……いいんじゃないそれで?」

アリサ「はぁっ!?」


軽く、あっけらかんとした声に最初に反応したのはアリサだった。


アリサ「ちょ、ちょっと何言ってるんですかっ!?」

ケイ「えー?だってそれ以外言う事ないんだもの」


アリサが胸倉をつかまんばかりに詰め寄って抗議するも、ケイはめんどくさそうにアリサから目をそらす。


アリサ「なに言ってるんですかっ!?」

ケイ「大丈夫よ大丈夫。ノープロブレム!モーマンタイ!って事」

アリサ「広東語ですよそれはっ!!」


わめくアリサを無視してケイはみほへと向き直る。

その表情には笑顔と陽気さが戻っていて先ほどの重い空気は消え去っていた。


ケイ「ミホ、この世で最もポジティブな事って何だと思う?」

みほ「え……」

ケイ「それはね、生きてる事よ」


360 : ◆eltIyP8eDQ :2019/07/07(日) 23:58:39.05 ID:8KNquDFZ0



どういう意味かとみほが尋ねる前に、ケイは指で数えながら楽しそうな声を出す。


ケイ「生きていれば好きなもの食べられるしポップコーンとコーラ片手に映画見られるしみんなでバーベキューが出来るわ」

アリサ「食べる事ばかりじゃないですか…」


わめき疲れたのか、息を切らしながらアリサが突っ込む。

そんなアリサにケイはウィンクで返事をすると、やっぱり楽しそうにみほに話しかける。


ケイ「楽しい事は、生きてないと出来ないの。なら、生きるって決めたあなたにはもう何も言う事ないわ。だって、今のあなたはとってもポジティブなんだからっ!!」

みほ「……何の目的が無くても、価値が無くても、それどころか罪を重ねていても、生きていればそれでいいって言うんですか」

ケイ「いいのよ。どんなにバッドな人生でも、明日になればハッピーな事があるかもしれないんだから」


そんな事ない。

エリカを失った日から、明日に希望を持てた事なんてなかった。

みほにとってエリカは全てだったから。

全てを失ったみほは、その絶望と怒り。そして、エリカの言葉で辛うじて生きているだけなのだから。

だから、ケイの言葉を否定しようとする。

私に、幸せなんて訪れない。そんな日が来てはいけないと。

だけど、


みほ「そんな事、そんなの……」


明日に希望なんて無いと分かっているのに。

他でもないみほが、明日の絶望を信じているのに。


なのにケイの笑顔は明日の幸福を信じている。

自分のだけじゃない、みほの幸福まで。

その眩しさに耐えられず、みほは目をそらす。


そんなみほの仕草にケイは微笑みながらうなずく。


361 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/07/08(月) 00:17:00.56 ID:4imz0c/d0




ケイ「良いわよ。いくらでも泣いて。明日も泣くのなら明後日、それでもだめなら明々後日。いつか笑えるわよ。幸せに消費期限なんてないんだから」


そんな事を言われたところで肯定なんてできるわけがない。

だけど、ケイを睨みつける事も否定の言葉を出すこともできず、みほは唇をかみしめる。


すると、ケイは目をそらしたままのみほの視線に回り込むと、立てた人差し指をグイと突き付ける。


ケイ「それじゃあ最後に、あなたにホームワークをプレゼントするわ!!あなたの戦車道を、今日の決勝で示して」

みほ「……」

ケイ「あなたがどうありたいのか、それが出来るのか。試合の中で表現して見せて。あなただけの輝きをみんなに見せて」

みほ「私だけの輝き……そんなの」

ケイ「いいえ、あるわ。きっと」


その表情に笑顔は無かった。だけど、『信じている』と、言葉よりも強く伝えてきた。

大して話したこともない自分になぜそんな表情が出来るのか、みほにはわからない。

わからないのに、わかってしまう。

ケイが自分を信じているのだと。


そんな自分の気持ちさえ伝わってしまったのか。ケイは満足げにうなずくと手を振りながらジープへと戻っていく。


ケイ「それじゃあ私たちはそろそろ行くわね!!ミホ、頑張ってねっ!!」

アリサ「ちょ、隊長待ってっ……頑張ってミホ」


ジープに飛び乗るケイの後をアリサが慌てて追う。

ハンドルを握っているナオミがみほに一礼すると、そのまま返事を待たずにジープは去っていった。




362 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/07/08(月) 00:28:35.53 ID:4imz0c/d0





サンダースの三人が去っていき、みほは祭りの喧騒の中、じっとケイの言葉を反芻していた。


みほ「……私の、幸せ。それに……私の戦車道」


どちらもみほにとってあり得ない、遠いものだ。

どちらもエリカがいないのなら、あり得ないものなのだから。

それで終わりのはずなのに、みほは考え込んでしまう。


どれだけ考えても結論は変わらないのに。

とはいえ、決勝前の大事な時間をいつまでも堂々巡りな思考に費やすわけにはいかない。

みほは首を振って無理やり頭の中を切り替え、点検に戻ろうとする。

すると、


「あ゛ー!!いたいたー!!見つけたぞ西住ー!!」


濁音の強い声がみほを呼び止めた。

声の方を向くと大きなツインテールを揺らしながら必死でこちらに走ってくる影が一つ。

その特徴的なツインテールに、遠くからでもその影が誰なのか察することが出来た。


みほ「安斎さん……?それに……」


ツインテールの影に隠れてもう一つの人影を捉える。

もう一つの影は確かペパロニと呼ばれていた事をみほは思い出していた。


アンチョビ「ほらさっさとこいペパロニ!!」

ペパロニ「ドゥーチェが出店に目移りしてたんじゃないっすかー」

アンチョビ「お前だっていつの間にか焼きそば買ってただろっ!?」

ペパロニ「パスタも良いけどたまにはこういうのも良いっすよねー」

アンチョビ「だなっ!ってちがーうっ!!」


バタバタと騒がしい足音とそれに合わせてバタバタと振り回されるツインテールがみほへと向かってきた。

よく見るとペパロニはパックに入った焼きそばを抱えていた。

ようやく二人がみほの元にたどり着くと、息を切らしている二人にみほは恐る恐る声をかける。


みほ「あの……安斎さん?」

アンチョビ「アンチョビと呼べっ!!……って今はまぁいい。それよりも西住今時間はあるか!?」

みほ「え、ええ。大丈夫ですよ。まだ試合まで時間はありますし」


念のためナカジマに視線で確認を求めると、ナカジマは両手で〇を作って許可を出す。

どうやら最終チェックを代わりにやってくれるようだ。

363 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/07/08(月) 00:45:26.23 ID:4imz0c/d0


アンチョビ「そうか!!……あれ!?カルパッチョはっ!?」

ペパロニ「カルパッチョならあそこっすよ」


抱えた焼きそばを食べながらペパロニが目線で促す。

すると、その先で金髪の―――カルパッチョと呼ばれている少女がカバさんチームのリーダーのカエサルと向き合っていた。


カルパッチョ「たかちゃーん!!」

カエサル「ひなちゃん!!」


二つの黄色い声は少し離れたみほたちの元へもはっきりと届いてきて、その仲睦まじさにみほが羨望も込めて苦笑する。


アンチョビ「もーっ!!……まぁ、あいつはいいか」


苛立たし気に釣り上げた眉をすぐに戻すとアンチョビはみほへと向き直る。

そして、ツインテールが跳ね上がるほどの勢いで頭を下げた。


アンチョビ「西住!!この間はすまなかったっ!!」

ペパロニ「本当に悪かった!!」

みほ「え、え」


アンチョビに続いてペパロニも頭を下げる。

本日二度目の謝罪にみほはやっぱり混乱してあたふたとしてしまう。


アンチョビ「こいつが迂闊にお前の名前を言ったせいで、迷惑かけて…」

みほ「そんなこと……」


アンチョビが謝罪した理由に確かに覚えはある。

あの時の自分は逸見エリカを騙ってて『西住みほ』の名は出したことが無かった。

だから、それを聞いていた沙織が気になって調べてしまい、一時的とはいえ沙織と華の離反を招く結果にはなった。

だが、それはあくまでみほ自身の問題故であって、ペパロニや、ましてやアンチョビの責任ではない。

なので謝罪をされる謂れなんてないと伝えようとすると、頭を下げたままのペパロニが申し訳なさそうに話し出した。


ペパロニ「前に、姐さんが悩んだ様子であんたの名前を言ってて……だから、調べて……」

みほ「……」


ペパロニを庇うようにアンチョビがその肩を抱く。

364 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/07/08(月) 01:35:07.49 ID:4imz0c/d0



アンチョビ「言い訳するつもりじゃないがあの時の私は、お前と、お前の姉のと……逸見の事でちょっと、な……つい、呟いたのが聞かれていたんだ」

みほ「……なんで、あなたが?」


みほやまほ、エリカの件にアンチョビはなんの責任も無い。

悩む理由なんてないはずなのに。

そんな疑問にアンチョビはあっけにとられた様子で答える。


アンチョビ「そんなの……気にするに決まってるだろ。仲間の事なんだから」

みほ「仲、間……」


その言葉を口の中でつぶやく。


アンチョビ「試合では戦っても、同じ戦車道仲間だ。それが、あんな事になって心配しないわけないさ」


みほはこの間の試合で始めて会話をした。

顔こそ黒森峰の中等部時代に合わせた事があるが、それっきりだった。

なのにアンチョビはそんなみほも仲間だと思っていた。

その事実が、みほの心を僅かに揺らした。


みほ「……アンチョビさん」

アンチョビ「なんだ?」

みほ「……ありがとうございます」


先ほどとは逆にみほが頭を下げる。

当然下げられた頭に、今度はアンチョビが慌てふためいた。


アンチョビ「うぇぁっ!?なんでお礼なんていうんだ!?」


みほはゆっくりと頭を上げ、けれどもうつ向いたままポツポツと声を出す。


みほ「あなたは、ずっと私の事を気遣ってくれました。勝手に落ち込んで、勝手に逃げて、勝手にたくさんの人を傷つけていた私に」

アンチョビ「……」

みほ「あなただけじゃない、ケイさんも。本当に、感謝してます。私なんかのために、そんなにも優しくしてくれて」

アンチョビ「『なんか』じゃない。そんな事言うな」

365 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/07/08(月) 01:59:25.10 ID:4imz0c/d0



遮った声にほんのわずかに怒りが滲んでいたことをみほは察した。

吊り上がった眉がみほを睨みつけ、固く結んだ唇が意志の強さを表している。

だけど、すぐに唇は緩み、眉は下がり、アンチョビはみほの肩にトンと手を置く。


アンチョビ「本気で戦って、一緒に食事した。ならもう、私たちは友達だ。だから、お礼なんていらないさ。だから……」


言葉の先が霧のように散っていく。

大きく見開いた目がみほではないどこかを見ている。

どうしたのかとみほが尋ねようとすると、アンチョビが悲しそうに笑った。


みほ「……アンチョビさん?」

アンチョビ「……この言葉を、あいつにも言えてたらな」

みほ「え……?」


みほがどういう意味かと首をかしげていると、アンチョビはやはり悲しそうな笑みを残したまま、みほへ視線を戻す。


アンチョビ「……すまん、なんでもないよ。それじゃあ私たちはもう行くな。頑張れよ西住っ!」

ペパロニ「優勝しろよー!!」


止める間もなくアンチョビたちは去っていった。

先ほどの悲し気な笑顔なんてかけらも感じさせない元気な後ろ姿に、みほはもう一度頭を下げた。





なお、途中でペパロニによって回収されたカルパッチョが悲劇のヒロインさながらに「カエサル様ああああああああああああー!!」と叫び、同じように「カルパッチョオオオオオー!!」と手を伸ばすカエサルがいたが、

その二人以外のアンツィオとカバさんチームの面々は冷めた目で彼女たちのシェイクスピアを観劇していた。



366 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/07/08(月) 02:01:27.94 ID:4imz0c/d0
ここまでー
早く梅雨明けしてほしいです。
また来週。
367 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/08(月) 02:39:00.50 ID:VtDxCRsXO

ありがとうそしてありがとう
368 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/08(月) 02:40:41.36 ID:MC7MiuL8O
ケイさんの陽気力半端ねーす
みほちゃんを救うのはおケイだったか
こいつは僕も元気になっちゃうね
369 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/08(月) 11:38:49.66 ID:CN6ZeOfx0
更新乙
ケイもアリさも素敵
意外とキャラがよくわからないカルパッチョ
最新のドラマCDで、ペパロニに対して少し深堀されたのは嬉しい
370 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/08(月) 12:30:47.50 ID:yR3P4We+O
おつ
ケイはイイ女だよ
371 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/09(火) 21:21:13.56 ID:0yJET4lm0
乙です
「ケイさんが信じてくれている」ってことを信じられるんだから、絶対みほは立ち直れるよ
いくら時間がかかろうとも、いま自分を大切にできなくても、仲間や周囲の人々を信じられるのならまだ希望はある
天国からきっとエリカさんもみほとまほの平和を祈ってくれている……
372 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/07/14(日) 00:27:58.12 ID:LUa+0x7l0





アンチョビたちが人ごみに消えていった後もみほはじっとその方向を見つめていた。


みほ「それで、今度はあなたですか?」


みほは振り向かずに問いかける。

砂を踏みしめる音が返答をする。


みほ「ダージリンさん」


ゆっくりと振り向くと、そこにいたのはダージリンとお供のオレンジペコ。

決勝の熱気に充てられてるのかオレンジペコはせわしなく周囲を見ている。

対してダージリンはみほを見つめたまま、だけど時折視線を揺らしている。

みほは何も言わずにじっとダージリンを見つめ、彼女が口を開くのを待つ。

そして、


ダージリン「その……ごめんなさい」


開口一番、ダージリンの口から出たのは謝罪だった。

なんとなく想像はしていたがいざその通りになると流石に苦笑してしまう。


みほ「……今日は会う人みんな謝ってきますね。ダージリンさんはなんでですか?」

ダージリン「……あなたに、何もしてあげられなかった事」


冗談交じりに聞いたものの、返ってきた声はみほの知っているダージリンとは思えないほどしおらしく辛そうだった。


みほ「何もする必要なんてないのに?」

ダージリン「……その通りよ。これはただの自己満足。事実、あなたに謝ってちょっとすっきりしたわ」

みほ「現金な人ですね」

ダージリン「……そうね」

みほ「……調子狂うなぁ」


思わずついてしまった悪態に自分でも驚く。

それに、殊勝に、しおらしくうなずくダージリンにも。

みほが知ってる範囲ではダージリンはいつも余裕で人を食ったような態度しかとらず、おまけにある事ない事ふれ回るような人間だ。

なので、ダージリンに対してはみほは遠慮というか配慮に欠けてしまう。

とはいえ、今日のダージリンの弱々しい姿にキツ目の言葉を投げてしまった事にほんのわずかに後悔してしまい、フォローも兼ねてみほは自身の内心を吐露する。


みほ「ダージリンさん。言った通りあなたが何かする必要なんてないんです。事故の事も、その後の事も、今の私の事もあなたは何も気に病む必要なんてないんです」


ダージリンだけじゃないみんなそうだ。

みほの事をまるで自分の事のように気にかけ、心配して、胸を痛めている。

理解できない。そんな必要ないのに。

だけど、

373 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/07/14(日) 00:43:54.44 ID:LUa+0x7l0



みほ「だけど……そうやって気にかけてくれたことは感謝してます」


それでも、その気持ちを受け止められる程度には、

感謝の言葉を言える程度にはなっていた。

かつて、自身を思って優しくしてくれた人に酷い言葉を浴びせたのを思えば、多少はマシになったんじゃないか。

そう思うと同時に、こんなことすら碌にできなかった自分はやはりどうしようもないと自嘲してしまう。

すると、恐る恐るとダージリンがみほの顔を伺って尋ねてきた。


ダージリン「何か……私に出来る事はない?」

みほ「ありません」


即答すると、ダージリンは辛そうに唇をかみしめる。


―――しまった。また、刺々しくしてしまった。


みほは直ぐに次の言葉を探し、伝える。


みほ「……誰かに出来ることがあったのなら、きっと私はこんな事にはなってませんから。他でもない私が、差し伸べられた手を振り払ってきたんですから」


黒森峰にいたときからみんな優しかった。

自分だって自責の念に苦しんでいたのにそれを必死に押し殺してみほのために手を差し伸べてくれた人がいた。

それを、すべて無碍にしたのがみほだった。

近くにいた仲間に対してでさえその有様だったのに他校のダージリンに出来る事なんて無かっただろう。

差し伸べられた手を、自分はきっと口汚く罵って振り払っていただろう。

みほはそう確信していた。


みほ「あ、でも。私の事白雪姫ーって他校に言いふらしたことはちょっと怒ってますよ?」

ダージリン「ああそれは……謝るのはまだ早いわね」

みほ「え?」


重苦しい空気を何とかしようと軽口交じりに言った恨み言は少し余裕を取り戻した様子のダージリンによってさらりと躱される。

拍子抜けして間抜けな声を上げたみほをダージリンは舐めるように下から上へと視線を動かすと、 一瞬小さく笑って告げる。



ダージリン「だって……あなたはまだ白雪姫よ」

みほ「……どういう事ですか?」

ダージリン「眠ってるって事。いえ、目をつぶってるって言った方がわかりやすいかしら?」


得意げにほほ笑むダージリンに若干苛立ってみほが眉根を寄せる。

それを察したのか祭りの様子に嬉々としていたオレンジペコが慌てて、けれども澄ました様子でダージリンに忠告する。


374 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/07/14(日) 01:03:09.20 ID:LUa+0x7l0


オレンジペコ「ダージリン様。あんまり煙に巻くような話し方すると嫌われるってアッサム様にも言われたじゃないですか」

ダージリン「あら、ごめんなさい。……でも、わかるでしょ?」

みほ「……」


返答はしなかった。

それは今考えるべきことじゃなかったからだ。

ダージリンの言葉遊びに付き合えるほどの余裕は今の自分にはない。

なので、ここは無視をするのが正解だ。

……そんな内心の声を言い訳がましいと思う気持ちまでは無視できなかった。


ダージリン「それじゃあそろそろ行くわね。観客席から応援させてもらうわ」

みほ「……はい」


来た時のしおらしさはどこかへ捨ててきたのか、初めて会った時と同じ、余裕ぶった表情を取り戻したダージリンがオレンジペコを連れて立ち去ろうとする。


ダージリン「最後に。……みほさん、あなたにイギリスの格言を送るわ」


ああ、いつもの格言かとみほが呆れたように小さくため息を吐く。

それは隣に立つオレンジペコも同じなのか、ジトっとした目をダージリンに向けるとすぐに表情を引き締めダージリンの言葉を待つ。

けれども、彼女の口からいつもの気取った格言は出てこず、口を開いたままどこか上の空でみほを見つめていた。

オレンジペコ「……ダージリン様?」


どうしたのかと思ったのだろう、オレンジペコが心配そうに声をかける。

すると、ダージリンはゆっくりと口を閉じ、大きく鼻で息を吸って、大きく吐いた。

そしてもう一度大きく息を吸って、


ダージリン「……あなたの歩んだ道は、あなただけのものよ。過去も、今も、未来も。そして、過去も今も未来も、あなたを見守ってくれるわ。だから……頑張って進みなさい。あなただけの人生を」


そう言い切ると、スタスタと歩き去っていった。


375 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/07/14(日) 01:48:24.63 ID:LUa+0x7l0






大洗のパドックから離れ、観客席へと向かうダージリンの背中に、オレンジペコは先ほどから気になっていた問いを投げかける。


オレンジペコ「ダージリン様、今のは誰の格言なんですか?」


目の前の先輩は息をするようにあちこちで格言を吐く。

アッサム曰く、「昔はそんな事なかったんですけどね……」との事だが、あれやこれやと蘊蓄を交えて楽しそうに講釈するダージリンに付き合ってくれる同級生はそうおらず、

結果的に後輩でなおかつ同じ車両に乗ってる自分が彼女のお遊びに付き合う事になっていた。

格言を言った人物について知らないとダージリンは殊更得意げに説明してくるのでオレンジペコはアッサムから教えてもらったダージリンが参考にしているのと同じ格言の本を買ってあれこれと勉強していたのだ。

恐らく今後ダージリンと共にいる以外では使う事は無いであろう知識の吸収に時間を使うのは勿体ないと思わなくも無いが教養とは得てしてそんなものだと納得している。

……別にダージリンを嫌いとかそういう事は無いし、一年である自分を重用してくれる事に感謝と尊敬はしているが、それはそれとしてめんどくさい人だというのもオレンジペコの紛れもない本心なのである。

そんな風に色々思うところはあるものの、それでもここ最近は彼女の格言トークに付いていけていると自負していたが、先ほど彼女が言った格言には覚えがなく、

だというのにそれを知らない時にしてくる得意げな講釈が無いのでどうにも座りが悪い。

奥歯にものが挟まったような感覚を抱えたまま決勝の試合を観戦するのはあんまりにも精神的によろしくないと判断し、多少の長話は飲み込む覚悟で質問したのだが、



ダージリン「私」

オレンジペコ「へ?」


返ってきた答えにオレンジペコはあっけにとられてしまう。


ダージリン「たまには、自分の言葉を伝えたかっただけよ」

オレンジペコ「ダージリン様……とうとう自己顕示欲がそこまで……」


――元よりそのケはあったがまさかオリジナル格言まで作り出すだなんて……

先輩の将来にいくばくかの不安を抱いたオレンジペコにダージリンがむっと唇を尖らせる。


ダージリン「いいじゃない。ちょっとぐらいカッコつけたい年ごろなのよ」

オレンジペコ「いや普段からじゃないですか」

ダージリン「細かいわねぇ……それで、最後はあなた?」

オレンジペコ「え?」


376 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/07/14(日) 01:58:27.33 ID:LUa+0x7l0

突然、ダージリンの視線と声がオレンジペコから離れる。

オレンジペコが振り返ると、物陰から小さな影が出てきた。

その影は背の低さに思うところがあるオレンジペコよりもさらに小さく、

その人物はオレンジペコもよく知っている人物だった。


カチューシャ「……わかってたの?」

ダージリン「ええ。その可愛らしい姿は白ウサギよりも見つけやすいわ」


ダージリンは物陰から出てきた人物――カチューシャにいたずらっぽく笑いかける。

彼女の態度にカチューシャは腹立たし気に小さく舌打ちをする。


カチューシャ「……相変わらず意地が悪いわね」

ダージリン「ふふっ。……行かないの?」


カチューシャの悪態にダージリンは嬉しそうにほほ笑むと視線で促す。

その先には決勝前の準備にいそしんでいる大洗のパドックがあった。

カチューシャはダージリンの問いかけには答えず、その方へと向かっていく。


ダージリン「頑張ってカチューシャ。あなたは、私なんかよりもずっと強いわ」


背中に投げかけられたダージリンの声が聞こえたのか、あるいは聞こえなかったのか。

カチューシャの歩幅は大きくなり、強く大地を踏みしめて歩いて行った。

377 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/07/14(日) 02:22:57.15 ID:LUa+0x7l0






来客も途切れ、そろそろ決勝の合図が近づいてきたなと思っていた時、

みほの前に小さく、可愛らしく、けれども確かな気迫を持った少女―――カチューシャがやってきた。


カチューシャ「思ってたよりも元気そうね。めそめそしてるなら脛のあたり蹴ってやろうかと思ってたけど」


相変わらず不遜な態度を崩さずに値踏みするようにこちらを見つめてくるカチューシャに、みほは内心動揺する。


なぜ、ここに。

彼女が自分に言うべきことがまだあるのか。

だとしたら、どうすれば。


焦りと困惑に少量の恐怖が混じって額から汗が垂れてくる。

そんなみほの動揺はカチューシャからも見て取れるのだろう。

呆れたようにため息をついて彼女は口を開いた。


カチューシャ「言っておくけど、あなたの素性をばらしたこと、謝るつもりはないわよ。あんな状態が健全なわけないんだから」

みほ「あ、いえ……怒ってなんか……」


準決勝。

それがみほにとって大きな契機となった。

隠し通していた秘密は、嘘はいともたやすく明かされ、逸見エリカなんていないと知った大洗の仲間たちに大きな動揺と困惑を与えてしまった。

しかし、それが誰のせいかと言えば他でもない自分のせいで、謝られるつもりはもちろん怒るつもりなんてものもみほには毛頭なかった。

カチューシャもそれがわかっているだろうに、なぜそんな事をとみほが思った時、

カチューシャがふと目を伏せた。


カチューシャ「でも、あの事故の事は、私に責任があるわ」

みほ「え……」


顔を上げ、みほを見つめる。

一点の曇りもなく、一寸の揺るぎも無い瞳が、みほを貫く。


カチューシャ「あの時、V号を撃つように命令したのは私よ」


息を吸う。小さな、小さな体には不必要なほどたくさんの空気を吸う。

そして、



カチューシャ「私が、エリカを殺したのよ」



一瞬、彼女の声が震えたのを感じた。


378 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/07/14(日) 02:38:58.77 ID:LUa+0x7l0


カチューシャ「許しを請うなんて真似はしない。許されるような事をしていないから」


畳みかけるようにカチューシャは続ける。

ぎゅっと握りしめられた拳は震え、必死に怒りを、あるいは悲しみをこらえているように見えた。


カチューシャ「土下座でも何でもするわ。気が済むまで殴っても良い。誰にも文句なんて言わせない。だから、あなたの好きなようにしなさい」


その言葉を最後に、カチューシャは黙り込む。

みほは、じっとその姿を見つめ、ふっとため息を吐く。

そして、掠れて低くなった声で、それでも今できる柔らかな声色で語り掛ける。


みほ「……知ってましたよ。あなたが、撃ったことを」


知らないわけがない。

誰が撃ったかなんていの一番に調べた。

大好きだった人を失った。

その理由の一片まで知らないままじゃいられなかったから。


カチューシャはその言葉に口元だけで笑みを作る。


カチューシャ「……そう。なら、なおさら恨み骨髄じゃない?決勝前にスッキリさせてあげるわよ」

みほ「カチューシャさん。私は……あなたを恨んだことなんてありませんよ」


無理やり作った笑みが消え去り、じっとみほを睨みつけてくる。


みほ「あなたの事は知ってました。それでも、私は、私が一番悪いって、誰かを恨んでいるとすれば、私は私を恨んでいるんです。

   死んで欲しいと、殺したいと」


ああそうだ。誰が撃ったかなんて、何が原因だったかなんて何度も何度も調べた。

あの彼女との思い出が残る6畳一間で、何もかも失った世界で。

みほはずっと考えてた。誰が悪かったのか、何が悪かったのか。

……その結論はいつだって『自分』だった。

事故は仕方ない。その事故がどれほどのものなのかなんて当事者以外に分かるわけがない。

ならば、勝利のために引き金を引くことが責められて良い訳が無い。

そうだ。悪いのは自分だ。

あの時、エリカを助けられたのは自分だけで、なのに、助けられなかった。


――――私は、エリカさんに救われたのに。


379 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/07/14(日) 02:42:52.49 ID:LUa+0x7l0



何一つ恩を返すことが出来ず、何一つ成し遂げられなかった自分が、みほは許せない。

たくさんのものをもらったのに、それに縋ってばかりで一歩も進んでいなかった自分が、みほは許せない。

もしもあの時に戻れるのならば、あの濁流をもう一度目の前にできれば、きっとみほは迷わず飛び込むだろう。

飛び込んで、エリカを救って、それで、笑って水底に沈んでいくのだろう。


そんな夢物語を今でも夢に見る。

目覚めたとき、無様に生きている自分に吐き気がする。

手に持ったシャーペンを首に突き立てたくなる。

学園艦の遥か下の海に飛び込んでしまいたくなる。


それでも、生きている。


彼女が望んだから。

神様なんていないから。


そんなものがいるのなら、自分が生きていることを許すわけがないから。

だから、神はいない。

だから、生きるしかない。

だから、


みほ「だから……許すとか許さないとか。そういう事じゃないんです。そんな権利、私には無いんです」


カチューシャが気に病む必要なんて何一つない。

事故は仕方ない。偶然起きてしまったことを責めるだなんて不条理、あってはいけない。

ましてや、全ての原因が自分にあるのだから。


みほはカチューシャに微笑みかける。

彼女には前を向いて欲しい。

それが難しいだなんてことはわかっている。それでも、彼女は何も悪くないのだから。

彼女はただただ、仲間たちのために最善を尽くしただけなのだから。


みほの微笑みにカチューシャは舌打ちをするかのように目を背ける。


カチューシャ「……あなたも、私を責めないのね」


カチューシャがみほの脛をつま先で小突く。

驚きと痛みにみほが片足を上げると、その姿を鼻で笑った。



380 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/07/14(日) 02:44:38.85 ID:LUa+0x7l0


カチューシャ「結局、マホーシャだけだったわ。私を責めてくれたのは」


少し赤くなった脛をさすりながらみほがどういう意味かと見つめる。

その視線にカチューシャは返答せず、今度は震えのない声で告げた。


カチューシャ「ミホ、私あなたの事嫌いよ」


態度が大きく、悪びれのない声。


カチューシャ「自分勝手で、わがままで、自分がこの世で一番不幸だって思ってそうなところ。私そっくりで大っ嫌い」


嘲笑うようにみほの顔を覗き込む。


カチューシャ「だから――――見届けてあげる。あなたの末路を。見せてみなさい、あなたの等身大を」


そう言い終わるとカチューシャは踵を返し歩いていく。

その背中に、みほが呼び止めようと声をかける。


みほ「か、カチューシャさんっ!!」

カチューシャ「じゃあね。応援はしてあげないけど精々見苦しくあがきなさい。面白かったら笑ってあげるから」


そう言って、振り返ることなくカチューシャは去っていった。

追いかけてくるなと無言で告げるその背中に、みほは結局何も言う事が出来なかった。

ただじっと、その場に立ち尽くし彼女の言葉を頭の中で反芻し続けていると、甲高いチャイムの音と共にスピーカーから抑揚の薄い声が流れてきた。


381 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/07/14(日) 02:45:04.74 ID:LUa+0x7l0







『まもなく、試合開始となります。決勝に参加する選手は集合場所に集まってください』






382 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/07/14(日) 02:48:53.17 ID:LUa+0x7l0
ここまでー
ごめんなさいまた遅くなりました。
とりあえずもうすぐ決勝開始です。
ここまで長かった…

また来週
383 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/14(日) 04:16:23.49 ID:ddVXFu0kO
ヒヤッとした
カチューシャ度胸ありスギィ...

384 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/14(日) 12:50:23.53 ID:PMOKLTgt0
本当このSSのカチューシャ大好きだわ
自分がしたことを理解し、それに向き合いながら、それでも前を向いてるんだよなあ
385 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/15(月) 12:14:12.10 ID:m6nd18q90
弱ってるダージリンさんかわいい
ここのカチューシャは本当に強いな
386 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/17(水) 12:02:06.72 ID:8wo7VwUI0
更新乙
準決勝から決勝戦開始まで、本当に長かった(1スレほど)
387 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/17(水) 18:42:13.97 ID:qcS3UD6A0
試合前にもう一波乱ありそうだな。
試合前に両校の隊長、副隊長が前に出て挨拶をしなければいけないんだけど、その時に姉御ともう一度顔合わせしなくちゃいけないし、何よりも小梅ちゃんがヤバそう。
388 : ◆eltIyP8eDQ [sage saga]:2019/07/20(土) 22:29:49.84 ID:2hy0K/dY0
今日ちょっと無理そうなんで明日でお願いします
389 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/21(日) 19:33:09.87 ID:MxN4s5Dco
まだ?
390 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/07/22(月) 01:25:04.55 ID:0JjIDz+w0





試合会場、両校のスタート地点の丁度中間のあたりに出場選手たちは集まっていた。


戦車道は武道だ。

それ故に試合の前、試合後には両校が揃って挨拶をする。

それは、今までの試合もそうだった。

しかし、今大洗の面々がいる場所は決勝の地。

一呼吸するたびに緊張が体にまとわりついてくる。

それは、大洗で一番経験豊富なみほであっても変わらない。

それでも、緊張を顔に出さないよう小さく、だけど深く呼吸をして何とか気持ちを落ち着けようとする。


蝶野「両チーム、隊長副隊長前へ!!」


審判長の呼びかけと共にみほと桃が緊張した面持ちでゆっくりと前へと歩み出る。

向かいからは対戦相手である黒森峰の隊長、副隊長が同じようにやってきた。


両校の指揮官が向かい合う。

その時、黒森峰の隊長―――まほがみほを見て嘲笑うかのように唇を吊り上げる。


まほ「ちゃんと試合に出るぐらいの厚顔さは残っていたか。いや良かったよ。この間は言いすぎたと反省してるんだ」

みほ「……」


みほは、沈痛な面持ちでじっと黙り込む。

何を言い返せばいいかわからないから。いや、そんな資格は無いと思っているから。


まほ「ああ、すまない。今は話をする気分じゃないか。次はどこに逃げるか考えないといけないものな?」


その様子にまほはわざとらしく謝ると、一瞬でその表情を鋭く、ナイフのように尖らせる。


まほ「だが、これだけは伝えておく」


視線がみほを貫く。みほの意識からまほ以外の全てが消え去って、冷や汗が止まらなくなる。


まほ「みほ、お前は私が倒す。……いや、潰す。二度と戦車道なんてできないように。二度とエリカの名を騙らないように。……覚悟しておけ」


吐き捨てるように言い放ったのを最後に、まほの顔から表情は消えた。

その様子を眺めていた審判長―――蝶野はため息を吐くと、窘めるようにまほへと声をかける。


蝶野「決勝だしテンション上がるのもわかるけど……そこまでにしましょうか」


まほが小さく頭を下げるものの、その表情は一向に変わらず、無表情のままだ。

それを気にした様子もなく、蝶野は双方の生徒たちに視線を配り、先導するように大きく声を張り上げる。


「両校、挨拶!」

『よろしくお願いします!』


様々な思いの込められた声が、富士の青空へと響き渡った。


391 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/07/22(月) 01:48:44.23 ID:0JjIDz+w0




挨拶が終わり、両校の生徒がスタート地点へ向かおうと離れていく。

まほも、氷のように冷たい目で、みほを一瞥すると無言で歩いていく。


けれど、みほともう一人。

二人がその場で立ち尽くしていた。


最初に声を出したのは、みほと向き合っていた人物だった。


「みほさん」


力なく、弱々しい声。

だけど、溢れ出るような喜色がその声には宿っている。

対してみほの返事は同じように弱々しく、けれども戸惑いと罪悪感に満ちていた。



みほ「赤星さん……」



みほと向かい合っているのは先ほど向かい合って挨拶した黒森峰の副隊長。


赤星小梅。


みほと、エリカと、友達だった少女だ。



優しくて、おっとりとしていて、それでいてどこか強かで、そして何よりも誰かのために戦える人。

エリカが『強い』と評した人。

みほにとって小梅はそんな人だった。


ふんわりとした癖毛は彼女の柔らかい雰囲気を強調し、その笑顔はいつだってみほたちを見守るように優しかった。

みほにとって小梅は、そんな人だった。


しかし、今目の前にいる小梅はそんなみほの記憶とはかけ離れていた。

ずいぶんと痩せて……いや、やつれて。目元には濃い隈が浮かんでいる。

立っているだけなのにその体は揺らぎ、足元が覚束なく、今にも倒れそうに見える。


先ほどの挨拶の時も、まほに対してそうだったように小梅に対しても何を言えばいいのかわからなかった。

変貌した彼女の姿は、みほの頭に鈍器のように衝撃を与えてくる。

それを必死で誤魔化すためか、同じようにかつての面影を残さない自身の真っ白な髪には無意識に触れてしまう。


そんなみほの荒れ狂う内心をよそに、目の前の小梅は笑顔のままぽろぽろと涙を零す。


小梅「……良かった。戦車道、やめないでいてくれて。なによりも……元気でいてくれて」


涙をぬぐって、晴れやかな笑顔を見せる彼女に対して、みほはどこまでも困惑したように表情しか出来ない。

ある意味まほ以上に彼女に何を言えばいいのかわからなかった。


392 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/07/22(月) 01:52:06.06 ID:0JjIDz+w0




小梅「ずっと、ずっと心配してたんですよ。あなたがいなくなった日からずっと」

みほ「……ごめんなさい」


傷ついていたのは同じだったのに、なのにみほは更に彼女を傷つけた。

自らの留飲を下げるためだけに心無い言葉で彼女を傷つけた。

それでも、小梅はみほのために動いてくれた。自分を傷つけた人間のためにそれでも、なんとかしようと動いた。

そしてみほはそんな彼女の厚意すら踏みにじった。


こうやって、今ここにいる事こそが何よりもの裏切りの証明なのだ。


悔やんでも悔やみきれず、どれだけ謝ろうとも足りない。

なのに、今こうやって謝罪してしまう自分が愚かしく恨めしい。

こんな事したって何の解決にもならず、なんの詫びにもならないのに。

後悔と悔恨でぐちゃぐちゃになった内心を必死で抑え込んでみほはひたすら頭を下げる。


小梅「謝らないでください。怒ってなんかいませんよ。むしろ、謝るべきなのは私なのに」


なぜ。そう問いかけるより先に、小梅がポツポツと懺悔のように語りだす。


小梅「……おかしいですよね。私が副隊長だなんて。本当なら、あなたがいるべき場所なのに。あなたを守れなかった私が、そのあなたの場所に座ってる。ほんと、ふざけた話です」


自嘲じみた言葉にみほがなんと言えばいいのか逡巡していると、曇っていた小梅の表情がぱぁっと明るくなる。


小梅「でも、それも今日で終わりです」

みほ「え……」

小梅「この試合が終われば、またあなたが黒森峰の副隊長です。いいえ、隊長が引退すれば今度はあなたが隊長です」


393 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/07/22(月) 02:03:01.15 ID:0JjIDz+w0


何を、言っているのか。

みほの内心がその言葉で埋まる。

鼓膜がありもしない危険信号(アラート)を捉える。


小梅「ふふっ、あなたのいない黒森峰は寂しかったですよ。でも、もうそんな日々ともおさらばです」


戻れるわけがない。自分がどれだけの人を裏切ってきたと思っているんだ。

仲間を、姉を、家族を、その中には小梅だっているのに。

まほが業火のような怨嗟をみほに向けていることを知らないはずないのに。

なのに小梅は、なんの不安も無いと言わんばかりに笑顔を絶やさない。


小梅「あ、大丈夫ですよ。あなたのロッカーはまだ残ってます。部屋は……まぁ空き部屋なんてたくさんありますから。見つかるまでは私の部屋にいればいいですよ。ちょっと狭いですけどね?」


つらつらと淀みなく、規定事項を話すかのように小梅はあれこれ並び立てる。

その瞳にはかつてと同じ優しさと輝きが灯っていて、やせ細った体と深い隈がそれを異常なまでに際立てる。

目の前の人物が本当に小梅なのかさえ疑ってしまいそうになるほど、記憶の中の小梅と目の前の小梅は乖離していた。

それでも、何かを言おうと口を開くものの、一向に音らしい音はでず、ただただ空気が空気を僅かに擦る音しか出てこない。


小梅「だから、安心してください。あなたの居場所は今も黒森峰です。今度こそあなたを守ってみせます」


そして、小梅は最後に何の疑いも憂いも無い笑顔で、

かつてみほやエリカに向けていた笑顔で、


小梅「だから、みほさん。一緒に帰りましょう。それがきっと――――エリカさんの望みですから」



どこまでも未来に希望を抱いた表情でみほの手を握り締めた。



394 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/07/22(月) 02:44:30.71 ID:0JjIDz+w0





大洗の試合開始地点。

居並ぶのは激戦を乗り越えてきた8輌の戦車。

その中の一つ、青いフラッグを掲げたW号の中でみほはじっとうつ向いていた。


まほの事、小梅の事、試合が終わった後の事。そして―――エリカの事。

それら一つ一つがみほにとって命に係わるほどの重大な事項だ。

だから、今だけは必死でそれらを考えないようにする。

歯を食いしばり、必死で今だけを考える。

今考えるべきは決勝の事。この試合で全てが決まる。全てが、終わる。

精神統一だなんて言えば聞こえはいいが、結局のところみほがやっているのはただの現実逃避だ。

目先の決勝に意識を向ける事でなんとか自分の内心を取り繕おうとしているに過ぎない。

だけど、今のみほにはそれしか出来ないのだ。


自分を受け入れてくれたみんなのために出来る限りの事をしたい。

みほにとって大洗は居場所ではない。

だけど、そこに住む人たちは優しい人たちだった。

だから、この決勝に勝って彼女たちに報いたい。

全てが終わった時、全てを失うとしても。


沙織「みほ」


みほが悲壮な覚悟を決めた時、無線機と向き合っていた沙織がこちらを振り向く。


沙織「みんな準備完了だって」


その言葉に車内の緊張が強くなるのを感じた。

優花里は唇をかみしめ、華は思い詰めるように目を閉じて、麻子はどこか落ち着きなく体を揺らす。

そして沙織は―――じっとみほを見つめる。

それを受けて、みほはそっと立ち上がると、車外へと顔を出す。

すると、各車両の車長たちも同じように顔を出してみほを見つめてくる。

緊張は伝播する。隊長である自分が固まっていてはみんなも同じようになってしまう。

みほは自分の頬を叩いて緊張を追い出す。

そんなみほを鋭い視線を突き刺してくる梓と、逆に心配そうに見つめてくる桃の二人に少しだけ、みほの内心は穏やかになる。


395 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/07/22(月) 02:46:12.29 ID:0JjIDz+w0




みほ「……」


車長一人一人を、車内にいるであろうみんなに視線を配る。

そして考える。

みんなに何を言うべきか。


作戦についての打ち合わせは終了している。

各々が暗唱できるほどに。

ならばもう、そのことについて言う事は無い。


だとしたら、言えるような事はこれぐらいしか無い。

みほはそっと咽頭マイクに手を添えると、大きく息をすって、ゆっくりと声を出す。


みほ「……皆さん、いよいよ決勝です」


当たり障りのない出だし。

それで、緊張と不安で乱れた声を整える。


みほ「もう何度も言いましたがもう一度言います。対戦相手の黒森峰女学園は強いです」


練習の質、それによって培ってきた実力、何よりも戦車道にかけてきた想い。

その全てが大洗より上だ。

それを否定できるものはいない。


みほ「この試合勝てるかどうか、それに答える事はできません。だけど、あなた達がどんな想いで戦ってきたのか。私は……見てきました」


それでも、みほは知っている。みんなが頑張ってきたことを。

練習も実力も想いも、それ以外も足りない部分は多い。それでも、彼女たちは彼女たちに出来る全力を今日まで尽くしてきた。

だから、ここまでこれた。

空っぽの偽物でしかなかった自分が彼女たちをここまで連れてこれるわけがない。

ここまで来ることが出来たのは、他でもない彼女たち自身の力があったからだ。



396 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/07/22(月) 02:51:06.30 ID:0JjIDz+w0




みほ「だから……信じてください。自分を、仲間を」


そのどれも信じてこなかったくせにどの口で。

そう自嘲しかけるも無理やり胸の内に留める。


ああそうだ、勝つために、出来る事をしよう。

自分さえも殺して、勝利のために尽くそう。

みんなのために。


だから、みほは皆に宣言する。

自身の覚悟を。


みほ「……勝ちに行きましょう。あなた達の居場所を守るために。そのために――――私を使い潰してください」


その言葉に誰も無線を返さなかった。

車長たちがこらえるように目をそらし、歯を食いしばる。

みほはそれ以上返答を求めなかった。きっと彼女たちなら大丈夫だと思ったから。


そして――――号砲が打ち上げられ、炸裂。その音が告げる。最後の戦いの始まりを。


397 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/07/22(月) 02:51:44.66 ID:0JjIDz+w0







みほ「パンツァー・フォー!!」







398 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/07/22(月) 02:53:43.64 ID:0JjIDz+w0
ここまでー
準決勝終わったのが去年の5月なので丸々一年どころかプラス二ヶ月かけてようやく決勝開始です。
…ですが来週はちょっとお休みでお願いします。
ごめんなさいっ!!
399 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/22(月) 06:19:15.53 ID:BrEx9is6O
ひさびさに登場した小梅ちゃんの様子がおかしい

まさか いや まさか 仮にだが

実はガルパン一かわいいかもしれない黒森峰の天使小梅ちゃん(当社比)が実はあれからずーっととっくに病んでいてむしろ壊れていてみほさんに立ち直って欲しいなぁってみほを思うその反面で実はみほみほみほみほみほしていて実はみっぽりーんなのたのだとしたら

...なんてこった

そんなの絶対かわいいよ...
400 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/22(月) 07:47:44.29 ID:sn/a8wwE0
今までお姉ちゃんが一番ヤバいと思っていたけど、もしかして小梅ちゃんの方がヤバイのか。

どうもがいてもハッピーになる気がしない…
401 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/22(月) 13:52:33.52 ID:Skwp5c16O
小梅ちゃんの1/7スケール私服verをみほちゃんとセットでだしてくだちい
3までなら余裕
402 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/22(月) 18:01:05.93 ID:/QdyvCmX0
みぽりん、姉御、小梅ちゃん、皆がエリカから絶大な影響を受けていたんだね。
本当にエリカは罪な女やでぇ。
403 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/07/22(月) 19:38:08.69 ID:meIyHoBW0
>>402
それと>>1ーシャもだ
エリカキチっぷりは他の追随を許さぬ
404 : ◆eltIyP8eDQ [sage saga]:2019/07/22(月) 22:17:06.38 ID:0JjIDz+w0
>>393

小梅「だから、安心してください。あなたの居場所は今も黒森峰です。今度こそあなたを守ってみせます」
 ↓
小梅「だから、安心してください。あなたの居場所は今も黒森峰です。今度こそあなたを守ってみせます。今度こそ……私が、あなたを救ってみせます」


上記の訂正でお願いします。
405 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/23(火) 03:57:46.78 ID:kCkvyVXs0
そこだけ切り取るとまるでジャンプの王道主人公みたいだ
406 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/24(水) 12:25:04.75 ID:0UvubX9R0
ハンバーグのねーちゃんは愛されてたんだなって
黒森峰系がマジキチしかいねえ…
407 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/24(水) 18:44:48.79 ID:clma4I+U0
小梅が別ベクトルでやばかった………
お姉ちゃんにしたら小梅の目を覚ますためにもみほ絶対潰すってなるわな
408 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/24(水) 21:24:49.31 ID:TjbCImgj0
赤星さんがどこぞの拾式みたいなことを言い始めた…
戦車道の研鑽を積み重ねるあまり他の大事なものが欠けてしまったのが弱点になりそう
409 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/25(木) 09:37:15.75 ID:9u9BAJ7BO
むしろまほを鈍器のようなものでやりそう
410 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/30(火) 11:17:04.88 ID:pSvmZbs+O
いっちょ無価値なワイ生が死んでこの悲しいガルパン世界を改変すべくガルパン転生してみほエリを成就させたるわい


ほな さいなら


よっしゃ無事死んだで
転生もうまくいったみたいやな...


...ケケケッ、バカめッ!

ワイはみほエリ派ではないのだ!
黒森峰に限ればむしろみほ梅派なんやでぇ!
ケケケッ!


神さん女神さんもチョロいもんやなあ!ケケケッ!


しかしなあ?
何よりもワイは「みほ杏至上原理主義者」なんだよっ! ケケケッ!


ワイがちゃんとエリカのことなんて忘れさせたるからのぉ!?みほちゃああああん!?ニチャア
411 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/30(火) 15:29:28.59 ID:NKXTxmrR0
>>410
気持ち悪いんだよ
412 : ◆eltIyP8eDQ [sage]:2019/08/02(金) 21:59:01.29 ID:1LDBs4Pg0
突然ですが先日落雷からの停電でPCが逝去しました。
修理なのか購入になるかはまだわかりませんが、
とりあえず3週間ほどお休みでお願いします。
すみません。
413 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/03(土) 00:55:15.49 ID:oQzTS+PVo
どんまい
414 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/03(土) 02:31:46.37 ID:qIM7EmO70
お大事に
415 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/03(土) 12:26:12.89 ID:/Cyh3UCk0
お気の毒だ
楽しみに待ってるで
416 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/08/03(土) 20:02:24.45 ID:mPM7xRE/0
ファッ!? ウーン…
417 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/20(火) 19:43:23.82 ID:aalmNDLsO
そんなことってマジであるんだなあ
418 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/08/23(金) 17:50:24.52 ID:MmiNI31L0
そろそろ更新かと思うと楽しみ
419 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/08/25(日) 01:51:41.70 ID:RE9+tXGu0






試合開始の合図とともに沸き立つ観客。

ダージリンはそんな観客席にいながらじっと試合の映されているモニターを見つめていた。

それはダージリンだけではなく隣に座るカチューシャもだ。

全国大会決勝。その勝敗によって大洗の行く末は大きく変わる。

気楽に応援するにはあまりにもこの試合の意味は大きかった。

そんな隊長二人の空気にあてられたのか後ろに座っているオレンジペコやペパロニたちは気まずそうに口を閉じている。

しかし、


ケイ「みんなー!!」

アンチョビ「飲み物買ってきたぞー!!あとなんか食べ物!!」

アリサ「もうっ!!試合始まっちゃったじゃないですかっ!?」

カルパッチョ「ドゥーチェたちが屋台に目移りしてるからですよ……」

ケイ「ソーリー!!」

アンチョビ「いやー!!屋台って良いな!!」

アリサ「だーかーらーっ!!?」

ノンナ「まぁまだ始まったばかりですから」


重たい空気を吹き飛ばすような明るさでケイとアンチョビがやってくる。

苛立ちを隠さぬアリサと呆れた様子のカルパッチョ、相変わらずの無表情なノンナがその後に続いて駆け寄ってくると、飲み物を各校の面々に配っていく。


ダージリン「まったく……」


決勝だというのに一般の観客と何も変わらない騒がしさな彼女たちにダージリンは真面目に見ている自分が馬鹿らしく思え苦笑してしまう。


420 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/08/25(日) 01:54:21.94 ID:RE9+tXGu0


ケイ「ハイダージリン!」


いつの間にか他の生徒達には渡し終えたのかケイは笑顔でダージリンへと紙コップを差し出す。

ダージリンはありがたくそれを受け取るが、


ダージリン「ありが……これ、中身は何?」

ケイ「え?コーラよ?試合観戦と言ったらこれでしょ!!」

ダージリン「……あ、ありが」

アンチョビ「ん?なんだコーラ苦手なのか?」

ダージリン「い、いえそういうのじゃ……」


並々とコーラの入ったコップを持ちながらどうしようかと戸惑っているダージリンにアンチョビが声をかける。

別にコーラが嫌いとかそういうのではないが、そもそも(ダージリンの中では)聖グロの生徒といえば紅茶が水分補給の基本と言えるためあまり刺激の強いものは飲まないようにしているのだ。

炭酸が舌や口内で弾けて痛いからとかそういうのではなく。などと言い訳を脳内で巡らせるがどのみちせっかくの厚意を無碍にするなんて真似が出来るわけもなく、

ダージリンは覚悟を決めて沸々と泡立つカラメル色の飲み物を口に含もうとする。

その時、


アンチョビ「なら私のオレンジジュースを飲め。私はコーラでいいから」


差し出されたオレンジジュースとアンチョビを交互に見て視線で「良いの?」と尋ねるとアンチョビは「いいから」と手にねじ込むようにコップを渡した。


ダージリン「……ありがとう。アンチョビさん」

アンチョビ「いいって。ほらカチューシャ。お前の分もあるぞ」

カチューシャ「別に頼んでないわよ」

アンチョビ「頼まれて無いからな。だから、これは私の勝手だ」

カチューシャ「……ありがと」


ぶっきらぼうなお礼の言葉にアンチョビはニッと笑顔を見せる。


アンチョビ「気にするな」

カチューシャ「……」


421 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/08/25(日) 01:55:40.73 ID:RE9+tXGu0


アンチョビの押しの強さにカチューシャはもう何も言う気も失くしたのかモニターを見つめたままストローを口にくわえた。


アンチョビ「なんにしても、ようやく試合開始って感じだな。この日までずいぶん長く感じたよ」

カチューシャ「逆にあいつらは今日までの日々が一瞬に感じたでしょうね」

ダージリン「でも、きっとその一瞬はこの陽射しのように輝いていたわ」

ケイ「楽しい日々はすぐ過ぎちゃうものね」

アンチョビ「とりあえず、大洗は高台を目指して一直線か」


モニターには綺麗な隊列で進む大洗の戦車隊が映っている。

その様子にダージリンは目を細めると嬉しそうに鼻を鳴らした。


ダージリン「数が少ないのだから地形で有利を取ろうとするのは定石。だけど、」

カチューシャ「そんなの、黒森峰だってわかってるわ」


その時、大洗の隊列を割るかのように爆発と噴煙が舞った。

続いて2発、3発。次々に撃ち込まれていく砲弾に大洗の隊列が乱れ、散り散りになろうとしていく。

さっきまで騒いでたケイも心配そうにモニターを見つめだす。


ダージリン「……どうやら、予想通りだったらしいわ」


呟いた言葉にカチューシャが沈黙で肯定した。

422 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/08/25(日) 01:58:36.21 ID:RE9+tXGu0




砲撃音が木霊する車内でみほは必死に無線で指示を飛ばしていた。


みほ「全車両固まらないで!!でも孤立しないようお互いの仲間と自分の位置をしっかり把握してくださいっ!!」

沙織「まだ始まったばっかりなのになんでもう黒森峰がいるのー!?」

麻子「思ってた以上に早かったな」

優花里「流石黒森峰……やはり精鋭揃いですね」


沙織たちが口々に黒森峰に感嘆している中、指示を終えたみほはじっと黙って砲撃音に耳を傾けていた。


みほ「……」

華「みほさん、どうかしたのですか?」


心配そうな華の問いかけにみほははっと気が付いたように目を開くと、何かを振り払うかのように首を振る。


みほ「……いえ、何でもありません。それよりも、沙織さん被害は出ていますか?」

沙織「ううん、今の所みんな無事だよ」

みほ「良かった……」


突然の強襲に1輌も落とされていないのは奇跡としか言いようがない。

目的地への道中で攻撃を受ける事は予想していたものの、まさかここまで早く黒森峰がやってくるとは思わなかった。

それはつまり、黒森峰も成長しているという当たり前のことを想定していなかったという事だ。


あれだけ黒森峰の強さを、そこにいる人たちの努力を知っている自分がそんな事もわかっていなかった。

その事実にみほは恥じるように唇を噛みしめる。

しかし、すぐに唇を解くとゆっくりと深呼吸をする。


自己嫌悪をしている時間は無い。

この幸運が生きているうちに次の手を打たないと。

みほは決断する。


みほ「全車このまま目的地まで向かいますっ!!少し早いですがもくもく作戦の準備お願いしますっ!!」

『了解!』


423 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/08/25(日) 02:01:16.26 ID:RE9+tXGu0





小梅「……すみません隊長。敵車輌を落とせませんでした。このまま追撃に入ります」


申し訳なさそうに震える声で小梅は無線の向こうのまほに謝罪する。


まほの指示によって小梅は部隊を二分して森をショートカット、大洗の一団を挟撃した。

そこまではなんとかなった。しかし、結果は1輌も撃破できずその後を追いかけている状態だ。

大洗の運が良かったのではなく、自分の指揮が未熟だった。

小梅はそう確信している。


まほに任された部隊を制御しきれず射撃のタイミングを計り損ね、結果的に絶好のタイミングでその火力を活かしきれなかった。

せめて少しでも挽回を図ろうと追撃を指示したものの、失敗には違いない。

叱責を覚悟して小梅はここにはいないまほへと報告をする。


まほ『そうか』


けれども、返ってきたまほの言葉は無感情な一言だけだった。


小梅「それだけ、ですか……?」

まほ『無駄口を叩いてる暇があるのか?』

小梅「……いえ、すみません」


返事は無いまま無線が切れる。

小梅は大きくため息を吐くとそっと左胸に手を当てて泣きそうな声でつぶやく。


小梅「……やっぱり私じゃ、貴女みたいに出来ないですね」


ぎゅっと胸を握りしめそうになるのを必死でこらえ今度は大きく息を吸う。


「副隊長……どうしますか……?」


無線手が不安そうな視線を向けてくる。

小梅はそれに貼り付けたような笑顔で返す。


小梅「このまま追撃します。……大丈夫ですよ私たちならきっと――――」


『副隊長!大洗の車輌がっ!!』


先行して追撃をしているパンターから届いた無線に、小梅は慌ててキューポラから顔を出すと、目の前に広がる景色にあっけにとられたような抜けた声が出てしまった。


小梅「え?」


大洗の戦車たちがいた場所にはもうもうと白煙が立ち込め、彼女たちの姿を覆い隠していた。


424 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/08/25(日) 02:02:46.24 ID:RE9+tXGu0





モニターに映る景色が白煙に覆われ、観客がどよめく、

対照的にダージリンたちは冷静に戦況を分析していた。


ダージリン「煙幕?なるほどね」

カチューシャ「敵が見えなきゃご自慢の大口径も意味ないわね」

ケイ「派手な作戦ねー!決勝はこうでなきゃ!!」


嬉しそうに腕を振り上げ応援するケイ。

その大味なノリには付き合わずにダージリンとカチューシャは戦況分析を続ける。


ダージリン「それにしても、さっきの奇襲で1輌も落とせなかったのは黒森峰にとって痛いわね」

カチューシャ「王者が聞いて呆れるわ」


二人揃って厳しい評価を下していると自分だけ盛り上がってるのを不満に思ったのか、ケイが頬を膨らませると二人の間に顔を突っ込んできた。


ケイ「というか、なんだか足並み揃ってないように見えたわ」

アンチョビ「え?十分揃ってるように見えたが……」

カチューシャ「それはあなたの所がよっぽどなんでしょ」

アンチョビ「よっぽどってなんだ!?みんな頑張ってるんだぞ!!」


抗議の声を上げるアンチョビを無視してカチューシャはじっとモニターに映る黒森峰の戦車、その一つを見つめる。



425 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/08/25(日) 02:05:59.78 ID:RE9+tXGu0


カチューシャ「……部隊を率いてたのはティーガーU、黒森峰の副隊長ね」

ダージリン「小梅さん……」

ケイ「コウメ?知り合いなの?」

ダージリン「……準決勝を一緒に見た程度よ」

ケイ「ふーん?そのコウメって子、流石黒森峰の副隊長ね!キングティーガーでスイスイ進んでいくわ!操縦手もだけど、車長がしっかりと乗車の事を把握してる証拠ね!」

アンチョビ「やっぱうちにも重戦車欲しいよなぁ……いやあるけどさ」


小梅に対してストレートな高評価をするケイに対して自校との経済力の格差に落ち込むアンチョビ。

先ほどのコーラの恩もあってなんとか慰めようとダージリンが言葉を探しているとカチューシャがポツリと呟いた。


カチューシャ「……あの子、ずいぶん頑張ってきたみたいね」

ダージリン「……そうね。きっと血のにじむような努力をしてきたのよ。まほさんを除けば、あの隊の中でも抜き出た実力よ。この一年間でよくあそこまで……」


彼女の実力は準決勝で戦った自分が良く知っている。

1年前の事故の当事者である小梅がどれほどの苦悩と絶望を抱えて今日まで来たのか、ダージリンには想像もできない。

それでも今、彼女は決勝の場に立っている。

副隊長という肩書とそれに見合った実力を携えて。

それは間違いなく、赤星小梅の努力の証明だ。

だけど、


カチューシャ「だから、ああなってる」


冷たく、突き放すようなカチューシャの言葉にアンチョビが理由を尋ねる。


アンチョビ「どういうことだ?」

カチューシャ「1輌だけ強くたって意味無いのよ。全車が足並み揃えなきゃせっかくの奇襲も大した効果が無いわ。マホーシャはそんな事も教えてないのね……いや、もしかして」

アンチョビ「?」


何かに気付いたようにカチューシャが口元をおさえ押し黙る。

ケイが答えを聞き出そうと「なんなのよー?」とカチューシャを揺さぶっていると、ダージリンが代わりに答えた。


ダージリン「……今の黒森峰は、私たちが思っている以上に歪なのかもしれないわ。そして――――まほさんはそれを分かった上で放置してるのかもって事」



426 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/08/25(日) 02:07:14.66 ID:RE9+tXGu0
ここまでー
とりあえず死んだのがマザボだったのでデータ自体は無事でよかったです。
まぁどっかに負荷かかってて突然死の可能性はまだ残ってますが……

とりあえずまたよろしくお願いします。
427 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/25(日) 04:47:23.13 ID:BK79D+QW0
>>1ーシャ
お前を待っていたぞ!!

エリカなのに基本戦法が本編と変わらないというのをみぽりんでしたというオチに繋げたのが1スレ目だったわけだがここからは誤魔化しが利かなくなる
さあどうなるか 頑張れ>>1ーシャ
428 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/25(日) 08:18:25.23 ID:5vzoT8MZO

無事で良かったです
まほはこんな状態でも、多分自分だけでもやれる強さがあると思ってるだろうからなぁ
単にみほと同じで全部一人で背負い込もうとしてるだけかもしれんが
429 : ◆eltIyP8eDQ [sage saga]:2019/09/01(日) 00:16:24.46 ID:0dzgx4bC0
今晩はちょっと無理そうなんで24時間後に投稿します
430 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/02(月) 02:00:55.56 ID:a9I2Hyh+o
お疲れさまです
431 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/03(火) 18:19:58.04 ID:gDxLwU360
難航しとるんかな?
待ってるで〜
432 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/08(日) 15:02:59.69 ID:SQ1JjgNPO
戻ってくること信じて待ってる
433 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/10(火) 05:37:25.75 ID:HQC/70Ol0
このSSがもしエタったらもう現行SSを読むことは無くなりそうだ
434 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/11(水) 08:57:14.31 ID:/Dn2m+pFO
長編やってると、つまづいた時にメッチャメンタル来る。
費やした時間の全てが無駄だったように思えて、そもそも誰が読んでるんだろうと思えてきて
気が狂いそうになる。
俺も一年半かけてss書いたことあるけど、後半はいつも吐きそうだった。
でも完結した後のあの特別な感慨は、けして普段のリーマン生活では味わえない特別な感覚だった。
頑張れ作者!何十人かは絶対待ってるぞ!
435 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/12(木) 03:48:49.53 ID:5w+lmZ3S0
一気に読んできた
ここまで夢中に引き込まれるSS初めてかも

気長に待ってるからファイト
436 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/14(土) 02:01:12.19 ID:GgL9o2Bu0
とはいえ書き溜め全部持ってかれたとかならなぁ……気持ちはよく分かる
俺も小さい頃体の垢を固めて作った練り消しを汚いからと勝手に捨てられて虚無感に苛まれたもんだ
437 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/14(土) 14:39:46.54 ID:hoDBlcilO
比べ物にならないくらいクソな体験でワロタ
最後まで読みたいから作者頼むよ〜
438 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/14(土) 16:09:59.90 ID:2lnbT4U8O
最近災害とか多かったしイッチも巻き込まれてないだろうか…
しばらく更新が無理だったり最悪エタる事になっても良いから何かしら連絡が貰えたら安心出来るが
439 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/09/22(日) 15:40:57.44 ID:laXwM0Te0
440 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/23(月) 16:43:33.84 ID:7eJ98+CGO
1は推敲に推敲を重ねてるって信じてる
441 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/28(土) 03:49:38.45 ID:BlMzE6Qc0
つまらない過去編を無駄に長々とやってるからエタる
442 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/29(日) 02:03:31.66 ID:dZ9XgW0+0
9月1日の翌日宣言以来1がスレにもTwitterにも浮上してないし、マジで心配だな
千葉の台風とかで被災したんだろうか……帰ってきてくれるといいんだが
443 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/29(日) 07:07:30.26 ID:f0oVoMkg0
コンスタントに書き込めていたのは書溜があったからだろう
不安定と漏らしてもいる そいつが吹っ飛んだんなら……
444 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/29(日) 16:55:06.69 ID:2nPNfbuQ0
XYZ
445 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/29(日) 18:10:06.16 ID:f0oVoMkg0
アスファルト 履帯を踏みつけながら〜
446 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/01(火) 00:35:11.61 ID:FTrWEU/e0
447 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/02(水) 05:16:39.55 ID:XkPuRR5L0
まだ終わらんよ
448 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [age]:2019/10/02(水) 18:53:02.53 ID:0K4GNaTI0
完璧に終わったな
449 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/03(木) 00:41:43.55 ID:DaKHrOZ90
エタるんなら始めから書くな。
もう戻ってこなくていいよ。
450 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/03(木) 02:53:31.51 ID:SBs5t+8Z0
金出してるわけでもねえのに随分でけえ面曝すじゃねーの
出してくれてるもんに乗っかってるだけなんだから黙ってとっとと失せてろ 俺は待つ
451 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/03(木) 08:57:00.90 ID:5QjjktwsO
期待
452 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/03(木) 11:12:42.94 ID:ETaRwjRMO
わいはウホウホ言って読んでる側なんで待ってるで
453 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/03(木) 14:29:07.05 ID:7pXNyk1nO
代わりに私が続き書いてもいいですか?
今のところは大筋では作者さんの描く展開と私が(私なら次はこう書くかな)と考えてた展開はかなり近いので
454 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/03(木) 14:29:50.06 ID:7pXNyk1nO
age忘れてた
大切な確認なので一応
455 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/03(木) 18:34:30.81 ID:3l39IPV00
書いてくれるならええよ
456 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/03(木) 22:01:28.42 ID:Vki8EKZa0
さすがにまだ早計では?
457 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/03(木) 23:21:24.90 ID:5rR9qNvw0
書いてくれるんなら誰でもいい。ただクオリティが低かったら許さんぞ。
458 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/04(金) 02:56:31.59 ID:XFqTWsLP0
まだ待つべきだ
>>1からの返答か、もしくは完全に応答を得られないものと判じるまでは待て
ここへは彼が書く話を読みに来てるんだ
459 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/04(金) 04:10:36.67 ID:nxaqbsDZ0
出来ることなら>>1が書く話の続きを見たいさ
だから待つ
460 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/04(金) 11:18:40.89 ID:3K50OcfgO
俺はずっと待ってるぜ!
461 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [age]:2019/10/04(金) 11:31:15.11 ID:6boL1R0pO
ごめん、昨日「私が続きを〜」とカキコしたものなんだが、、、肯定気味のレスがチラホラ見られて困惑している。
あの書き込みは荒らしのつもりだったんだ。だって、スレ主以外の人間が続き書くなんて絶対に許されんだろ、、、逆に荒らされた気分だよ、なんなんだよ、、、。

まぁそれだけみんなこの物語の続きを待望しているということなんだろう。
スレ主、はよう帰ってけーへんかなぁ。
462 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/04(金) 12:37:48.36 ID:AEo1LzhkO
今俺らにできることはこのスレを落とさずにイッチの帰還を待つことのみ。逆に考えるんだ、結末が描かれるまでに何周も読めて最後の感動が増えると。   長文と臭い文書失礼しました。
463 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/04(金) 12:54:47.61 ID:AEo1LzhkO
ここまで面白いと思ったのは 勇者「ハーレム言うな」
シリーズぐらいなのでエタってほしくない
464 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/04(金) 18:51:27.34 ID:konhLqwa0
エタったのか
465 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/05(土) 00:04:44.10 ID:JpJCc0Ki0
2年以上書き込み無くても落ちやしないから保守は不要だぞ
466 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/05(土) 17:47:11.60 ID:X4rpYkT60
ここのルールでは、作者の最後の書き込みから2か月経過したらHTML化なんだから、ルールは守ろうぜ。
ってことで、11月になっても作者が出てこなかったら俺がこのスレのHTML化依頼するわ。
続きが出ないのにHTML化されないスレがあるのは、邪魔だしみんなの迷惑だからな。
467 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/05(土) 17:54:36.90 ID:BCOn7s6f0
いっそのこと、作者が、最後はこうなりますって2、3行程度で書いてくれればいい。
そうなるまでの過程は読者それぞれで脳内補完しよう。
ってことで作者さんよ、わざわざ文章にしなくていいので、ラストどうなるかだけ教えてくれ。
468 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/05(土) 18:15:14.18 ID:PecTd8zco
飽きたりしてエタっただけならいけるかもだが、不慮の事故やら時期的に災害やらでもう書き込めない可能性もあるんだよな
469 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/05(土) 18:27:22.84 ID:NMXRxkwr0
イッチや、昔あったみほ達が妊娠していくssよろしくダイジェストでもええんやぞ
あれも後半は作者病んどったし
とにかくエタられるよりマシや
470 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/05(土) 19:27:31.21 ID:mCbYFfBIo
HTML化ってルール上は存在してるけどかなり前から機能してなかったような
471 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/06(日) 01:14:55.41 ID:NIC27Fo9O
レス数がたくさん増えてて期待して開いたら雑談しかなかった時のやるせなさよ
472 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/07(月) 19:29:29.37 ID:6wiCdXfn0
>>469
マタニティ・ウォー!
ってタイトルのやつか あれも凄い引き込まれたなぁ

最後の書き込みからもう1ヶ月以上か・・・
473 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/09(水) 01:04:56.91 ID:KkgbIHON0
もーないなこれは
474 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/12(土) 03:21:47.75 ID:eUsUQExoO
きっとエリカは生きていたんだ
みほのキスで眠りから目覚めたエリカ
劇場版では短期転校らぶらぶゴッドフィンガーでアリス撃破でだいしゅき婚約発表
さようならさようならさようなら

無念
475 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/14(月) 21:59:23.94 ID:YZoLjObL0
>>474
1が復帰するまでそれで我慢するわ
476 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/17(木) 02:32:07.72 ID:nVfUwYdm0
ここまで必死になって追いかけたSSは初めてです。
誰かの模造品なんて要らないから本人の書く続きをいつまでも待ちます!
477 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/18(金) 17:06:28.63 ID:2noQKD4e0
あったのか
478 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/21(月) 23:00:00.69 ID:RXKpoks20
もう無理だ、あきらめよう
479 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/22(火) 01:14:56.38 ID:sUq3Fccz0
諦めないわ
480 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/23(水) 16:46:31.14 ID:0d2vS3iIo
もう無理そうだな
481 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/24(木) 01:56:44.81 ID:KeYNgYk30
諦めたのなら黙って去れ
俺は待つ
482 :sage :2019/10/24(木) 03:27:28.32 ID:euZZgW5lO
割とマジでなにかあったとしか思えんのだが
483 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/24(木) 18:50:59.18 ID:RRWAb5rrO
>>1「私は、あなたたちに救われなかったから」
484 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/27(日) 08:46:55.94 ID:Zgn8l9PrO
485 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/27(日) 14:13:14.97 ID:Uy3nImH70
486 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/29(火) 20:32:16.07 ID:1pwji0O6O
御冥福を(ry
487 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/30(水) 06:34:21.16 ID:G6qB4HZr0
黙れ
去れ
俺は待つ
488 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/30(水) 16:55:24.37 ID:BTS/2AYTO
お前も待つなら黙って待て
489 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/03(日) 03:31:07.59 ID:p5xZf7m00
💩
490 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/03(日) 05:44:38.49 ID:zWOwupk/0
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491 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/03(日) 17:58:45.03 ID:qMqxPP/4o
>>490
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492 :sage :2019/11/06(水) 21:50:57.86 ID:Mf6WTpksO
最近面白いssあったか?
オレは男の娘ガルパンss楽しみにしとるが超亀更新 文章スカスカだけど面白いかも
男の娘スキヤネン
493 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/07(木) 18:43:58.47 ID:5h3ShmwZ0
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494 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/07(木) 23:03:12.78 ID:WILC5RO60
💩
495 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/08(金) 12:24:48.70 ID:mIQWWRqj0
何だ?
496 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/08(金) 13:37:50.84 ID:3CYAQ9TTO
>>493
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497 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/11/11(月) 02:14:09.14 ID:9/2tDZtc0
498 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/11/18(月) 12:39:22.51 ID:JGjAkUb6O
1に黙祷
499 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/18(月) 15:48:51.71 ID:1wVM54KY0
💩
500 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/18(月) 20:25:50.17 ID:l36eBtM70
500
501 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/19(火) 09:33:37.02 ID:a1KL+HP00
この作品が完結することなく終わってしまうのは本当に寂しいな…
502 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/19(火) 11:36:59.90 ID:4U4YPc/r0
💩
503 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/19(火) 11:53:22.21 ID:Cpb6FoFi0
俺は待つ
504 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/20(水) 10:08:49.89 ID:sWICQ7Ju0
💩
505 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/21(木) 23:39:54.25 ID:hiOJMhtn0
俺も待つ
506 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/11/23(土) 02:24:10.25 ID:FGt+4eB80
まつぉおおおおお
507 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/23(土) 11:27:28.66 ID:6WH6qbJhO
【決講】可奈「飛べ飛べ神鳥〜♪る〜ぐ〜ちゃん〜♪」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1574466531/
508 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/24(日) 11:47:32.49 ID:kV/U2Iry0
💩
509 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/25(月) 23:46:19.16 ID:+dx7f1vr0
💩?
510 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/11/26(火) 19:09:24.94 ID:YwaD/Mpu0
(ω)
511 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/27(水) 00:57:56.97 ID:MpSsjiMZ0
💩
512 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/27(水) 18:52:29.19 ID:XwKWIP5P0
(ω) (ω)
513 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/28(木) 01:19:10.99 ID:15Bf5gu10
💩
514 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/11/28(木) 20:34:52.39 ID:vXPdItEz0
(w)
515 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/30(土) 01:57:41.17 ID:19NGazGv0
💩
516 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/11/30(土) 21:50:23.53 ID:K9AprBTS0
517 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/01(日) 00:53:41.24 ID:ONrFl+CI0
💩
518 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/01(日) 17:21:47.07 ID:sHqhjIts0

519 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/02(月) 03:09:05.45 ID:7ciBI7Wc0
待つとも
520 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/02(月) 06:21:16.36 ID:nHUOPe770
::
521 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/02(月) 19:10:15.52 ID:J21Dvkct0
::::
522 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/03(火) 15:11:04.18 ID:9ElNi6qP0
うおおおおおおおお
523 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/03(火) 23:05:14.88 ID:jz3646gU0
無駄に上げんな
524 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/05(木) 20:27:19.03 ID:E3I8b5cH0
::::::::
525 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [age]:2019/12/08(日) 13:40:15.71 ID:SHPh3kFX0
💩
526 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/09(月) 05:59:16.48 ID:+V6+JQecO
バンブルビー!
ウイーン、ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ

シュウィィィィィィィィィン

だが断る!
527 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/09(月) 06:02:17.20 ID:+V6+JQecO
私!守りたいんです!!

528 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/09(月) 06:04:35.81 ID:+V6+JQecO
もう、一緒に帰ることもないんだね...
529 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/09(月) 06:09:15.92 ID:+V6+JQecO
サーニャのピアノはどうしたーサーニャのピアノはー
530 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/09(月) 06:12:45.41 ID:+V6+JQecO
佳芳ちゃーーーん!
531 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/09(月) 06:22:26.61 ID:+V6+JQecO
いっけぇ!シャーーーリー!!
532 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/12/09(月) 17:08:43.68 ID:T+yh4Ef00
救われたい
533 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/09(月) 18:09:01.31 ID:bvytYtiq0
::::::::::::::::
534 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/09(月) 18:50:06.81 ID:1LdQckA9O
_ミーナ!今度渡したいものがあるんだ!
535 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/09(月) 18:50:53.20 ID:1LdQckA9O
え?
536 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/09(月) 18:54:41.13 ID:1LdQckA9O
ごめん ミーナ
ドガアアアア
537 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/12(木) 02:39:12.13 ID:cD1SY/mn0
538 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/13(金) 03:24:35.63 ID:ORWoa68i0
^o^
539 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/14(土) 22:13:17.16 ID:XTS8SBqSO
ガルパンが夢にでるおじさんだお
540 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/15(日) 02:42:59.14 ID:a7j+gVSf0
4ねガイジ
541 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/15(日) 06:44:50.38 ID:RsMFXMP9O
まさに、アメリカ
542 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/15(日) 13:36:47.25 ID:QL2LcbvL0
長編って何かしら途中でエタるよなぁ

一作目はなんとかゴールしても続編は大体はエタる

むしろまともに終わった作品て皆無じゃないか?
543 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/16(月) 00:27:30.87 ID:uOuGYtNB0
なんや?ええんか?いかんのか?
544 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/16(月) 04:21:37.17 ID:gTF91iAiO
チャーハン?
545 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/17(火) 02:28:45.23 ID:jxrKEK2c0
うんちとは🤔🤔
546 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/18(水) 17:48:16.04 ID:fsYD6R1UO
ASS WE CAN
547 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/18(水) 18:24:21.99 ID:21DXUZDl0
ガイジw
548 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/19(木) 01:24:56.99 ID:taVjqQrnO
ASS WE CAN ??
549 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/19(木) 03:58:03.49 ID:SuTa6D8f0
4ね
550 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/19(木) 09:52:46.38 ID:OOWx11BdO
観自在菩薩行深般若波羅蜜多時照見五ー
551 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/19(木) 09:55:08.64 ID:OOWx11BdO
ASS WE CAN
552 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/20(金) 05:43:21.21 ID:fsEpFNnl0
なんや?こわいわあんまやらんがええでwワイは腹減ったからそろそろ寝るでほな
553 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/21(土) 08:48:26.36 ID:p7VLo1Iu0
草w
554 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/22(日) 12:35:01.90 ID:XRZSECOz0
555 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/23(月) 05:33:03.28 ID:BMP5ZfaI0
📸😷
556 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/23(月) 09:04:38.13 ID:Z81LPyStO
お砂糖はいくつにしますか?ペリーヌさん?
557 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/23(月) 09:08:19.09 ID:Z81LPyStO
いいえ、けっこうですわ
ありがとう、リーネさ_

〈〈ガタッ!〉〉

きゃっ、な、何ですの?急に_
558 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/23(月) 09:19:56.43 ID:9VXt7sfAO
_失礼ですが、今、“砂糖”と、言いましたか?

...えっ?

リーネ・ビショップ曹長、ペリーヌ・クロステルマン中尉、あなたがたは今、”砂糖“について、話していたんですか??
559 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/23(月) 10:38:49.38 ID:lieUv4UeO
は、はい、お砂糖はいるかなって

曹長、...それはまさか上白糖、ですか?あっ、そうか!もしかして、奄美大島でつくられているような漂白されていないものをさした言葉だったのでしょうか?!

えっ、...? いや、あの普通の白いので...
560 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/23(月) 11:24:41.67 ID:SpkGu/drO
〈〈バン〉〉〈〈ガチャガチャーン〉〉

ひぃっ、_は、服部さん?な、なにを...

...見損ないました。あなた方がそんな人達だとは思いませんでした...失礼します...

_な、な、なな、なんなんですの...?;
561 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/23(月) 12:27:49.84 ID:MIonczF9O
ああペリーヌさんかわいい



〈〈完〉〉
562 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/23(月) 16:17:21.16 ID:Jo0sE7/FO
ああああああああん
ああああああああああああああああん

ストパンしたい

オールナイトで

うあああああああああん

佳芳ちゃーん!

563 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/24(火) 01:13:22.95 ID:71xRWef00
きm4ね
564 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/24(火) 06:23:25.21 ID:soA2uAqPO
メリークリスマス
501
フォーエバー
565 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/25(水) 13:28:49.70 ID:QZFjYnCRo
決勝まで来てこれかよ
566 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/26(木) 00:50:56.81 ID:/hDlkD4E0
>>565
ガイジ
567 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/26(木) 11:14:45.40 ID:2YqeJIBnO
こうして冷静になると原作の逸見さんからしたらこのSS憤死するだろうな
そしたらなんて言うだろうか

捗るなあ
568 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/30(月) 04:06:31.21 ID:I7RM53G10
草ァ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!WWWWWWWWWWWWWWW
569 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/01(水) 13:37:01.30 ID:IKwwoGFAO
あけおめ?
570 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/01/01(水) 16:04:30.44 ID:Nk7WVFnM0
は?
571 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/02(木) 02:57:21.50 ID:JM8Inv0+O
572 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/02(木) 02:58:01.80 ID:JM8Inv0+O
573 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/02(木) 02:58:55.61 ID:JM8Inv0+O
574 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/02(木) 02:59:45.45 ID:JM8Inv0+O
575 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/02(木) 03:01:19.33 ID:JM8Inv0+O
576 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/01/02(木) 03:37:52.11 ID:KwJVr/nz0
荒らすなガイジ
577 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/01/04(土) 14:19:24.90 ID:9MLP7QD+0
おっぺけぺー
578 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/01/05(日) 16:41:12.03 ID:xyr/53p+0
え?w
579 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/06(月) 03:55:05.13 ID:qnvQNJkQ0
エリみほの伝道師は死んだんやなって
580 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/06(月) 08:10:21.19 ID:5y4Y+72n0
581 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/01/15(水) 06:01:48.18 ID:W+iCAeg/0
ウンチーコングって知ってる?
582 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/17(金) 05:16:58.22 ID:K9JU1e/7O
まなは?
583 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/17(金) 15:06:59.38 ID:uV0lWHPA0
584 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/01/17(金) 22:47:03.00 ID:CR0UNXAkO
it's meエリカ
585 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/18(土) 10:13:11.29 ID:+rsD69Sw0
もう4ヶ月以上更新がないのか・・・
586 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/01/19(日) 09:26:29.11 ID:pVyyj9Ns0
ss速報をみる理由が無くなったわ
587 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/20(月) 04:32:46.00 ID:hfqe7amt0
一生見なくていいぞハゲ
588 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/01/21(火) 22:31:52.52 ID:nzb3/peTO
ばーかばーか
589 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/01/22(水) 05:49:41.09 ID:KchMWBvn0
💩
590 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/01/31(金) 01:33:58.64 ID:7t3WBWsxO
逸見殿!逸見殿! ...ピロッチ

ピロピロピロピロピロ〜
591 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/02/06(木) 02:15:32.98 ID:wY+XcnvZO
弱小チームならあなたでも隊長にな
592 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/06(木) 06:27:56.94 ID:4eSlIB2w0
うんち
593 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/02/06(木) 14:55:30.72 ID:EKrPb9zYO
見てなさい、邪道は叩き潰してやるわ
(好き好き好き好きよ、みほみほみほみほ)
594 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/02/06(木) 15:01:57.67 ID:xMpreI3EO
副隊長?...ああ、“元”でしたね?w
(みほ!また会えたわ!...で、その子たち誰かしら?...むしゃくしゃするわね)
595 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/02/06(木) 15:16:20.27 ID:gYi+bS/2O
隊長、そんな子たちにへりを貸すなんて!
(ああ、私ったらまたやっちゃった...)

これも戦車道よ

お姉ちゃん...
(ありがとうお姉ちゃん!...それにしてもエリ、...逸見さんは本当に私が嫌いなんだ、...でもこんな冷泉さんが大変な時にまで...ちょっと、許せないかな...)スッ
596 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/08(土) 03:23:55.19 ID:ChiIE+X40
草ァァ!!!!!!!
597 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/02/12(水) 05:18:17.73 ID:95E1NyO40
💩
598 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/02/12(水) 07:28:25.93 ID:+dKE+UEfO
よくも、よくもリーネちゃんをぉ(ギロリ)
ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる

599 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/12(水) 17:56:25.31 ID:05HaF+NYO
ホモセックス!!
600 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/02/15(土) 15:56:08.19 ID:6DHJrTJNO
はあはあ、君たち、誰が一番好きなんだい?
ストライクウィッチーズにおいてだ。
はあはあ、お、教えてほしいんだナ...
601 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2020/03/06(金) 23:41:57.46 ID:cUtDLTap0



「まったく、黒森峰は何やってんだか」


ケイからもらったポップコーンを口に放り込みながらカチューシャはふんと、悪態をつく。

観客席に配置してあるモニターには大洗が展開した煙幕によってかく乱され、隊列の乱れている黒森峰の車両が映っていた。

その様子に苦々しいものを感じたカチューシャは苛立ち紛れに抱えたバケットから次のポップコーンを掴む。


「隣、良いですか」


その時、後ろから声をかけられた。

カチューシャは苛立ちを隠さずに返答する。


カチューシャ「はぁ?んなの見ればわか――――」


けれど、その声は最後まで言葉にならなかった。カチューシャが振り返った先にいたのは、彼女の良く知っている人物で、

だけど、今ここにいるだなんて想像していない人物だったから。


しほ「……お久しぶりですね」

カチューシャ「あな、たは」


西住しほ。高校戦車道連盟の理事長にして、今決勝で激突している西住まほ、西住みほの母親。

カチューシャにとってあまりにも因縁深い人間がそこにいた。


しほ「……カチューシャさんと、呼べばいいのかしら?」

カチューシャ「いえ、その別になんでも……」

しほ「そう。なら、カチューシャさん隣、大丈夫ですか?」

カチューシャ「あ、はい……」
602 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2020/03/06(金) 23:42:26.38 ID:cUtDLTap0


腰をずらしてスペースを空ける。そこに、しほが腰を下ろした。

突然現れた戦車道の重鎮にもちろんケイもダージリンも気づいている。

しかし、口を挟もうとはせず、じっと見るに留めていた。


「……」

「……っ」

しほとカチューシャのいる空間だけ、周囲の歓声から切り離されたかのように静寂が支配する。

何をしに来たのか、なぜ自分の元へやってきたのか。

そんな疑問がカチューシャの頭の中をぐるぐる回る。

どうしてここに?そう一言尋ねれば良いだけなのにそれが出来ない。

カチューシャは感情的かつ多弁なように思えて、その実常に冷静に思考を積み重ねていくタイプだ。

雪のように静かに冷たく物事を俯瞰し、最善策を見つける。

しかし、今のカチューシャにはそんな冷静さは欠片も残っていない。

ダラダラと冷や汗を流し、怯えるような瞳でしほを見つめている。

そんなカチューシャの様子を見て、しほは真一文字に結んだ唇をそっと解いた。
603 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2020/03/06(金) 23:43:25.58 ID:cUtDLTap0

「……元気そうで良かったわ」

カチューシャ「……」

しほ「……ごめんなさい。こんなこと言われたって嫌味にしか聞こえないわよね」

カチューシャ「あ……ち、違っ」


向き直って申し訳なさそうに頭を下げてくるしほに、カチューシャは慌てて訂正する。

それをどう捉えたのか、しほは静かにカチューシャの隣へ腰を下ろした。


「……」

「……」


沈黙が二人を包み込む。

モニターでは山頂へ陣取った大洗チームを黒森峰の戦車隊が取り囲む映像が映し出されている。

そんな中、最初に口を開いたのはしほだった。

しほ「……今も悔やんでいるのですか」

カチューシャ「……」

『何を』とは聞かれなかった。

そんな事、しほもカチューシャもわかっているから。

だからカチューシャは無言を返答とする。

しほ「……そうですか」
604 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2020/03/06(金) 23:45:35.69 ID:cUtDLTap0
浮かび上がりそうになる感情を必死で抑えているような声でしほは当り障りのない返事をした。

それをどう思ったのだろうか。

カチューシャがぐっとスカートの裾を握り、震える声を絞り出す。

カチューシャ「……忘れられるわけ、ないじゃないですか。私は……私は、」

そっと、しほの手がカチューシャの肩に置かれた。

そして、ゆっくりと首を振る。


しほ「……あなたは悪くない。私は以前そう言いました」

カチューシャ「私は……そんな風に思えなかった……今も」


それは、今も昔も変わらぬしほの結論なのだろう。

だから、カチューシャの結論も変わらない。

もしもしほが『あなたが悪い』、と。そう言ってくれる人だったならば、カチューシャは今こんなにも苦しんでいないのだから。

その答えをしほは理解したのだろう、目を細め空を見上げる。
605 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2020/03/06(金) 23:46:31.93 ID:cUtDLTap0

しほ「……そう、ね。そうだと思っていました」

カチューシャ「どれだけ庇われても、どれだけ私が悪くない理由を並べられても、私が……エリカの命を奪った事には変わりない。それを……私が否定できるわけ、無いじゃないですかっ」

しほ「……ええ。きっと、そうだと思っていました」


しほが体ごとカチューシャに向き直る。

真っ直ぐにカチューシャの碧眼を見つめて、深く頭を下げた。


しほ「……あなたを、守ってあげられなくて。あなたの苦しみに、寄り添ってあげられなくて、ごめんなさい」

カチューシャ「――――今更ッ!!」


その怒声は周囲の歓声に掻き消された。

モニターの向こうでは高所で守りを固め、着実に自分たちの戦力を削っていく大洗にしびれを切らしたのか、ヤークトパンターが大洗の陣地に向かって突き進んでいた。


カチューシャ「私がどんな気持ちだったかなんて、あなたに理解が出来るわけないっ!?私がッ、私がどれだけっ……私を、恨んだかなんてっ……」

しほ「……その通りです。それでも……ごめんなさい」


再び、深く頭を下げる。

カチューシャはこらえ切れなくなり、立ち上がりその小さな体を限界まで使って自身の怒りを露わにする。

606 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2020/03/06(金) 23:47:26.66 ID:cUtDLTap0

カチューシャ「大人はっ、あなたたちはっ……事態を収められれば、忘れ去られれば良いと思ってたんでしょうけどっ……それこそっ、私には関係なくてっ……そんな事でッ」

しほ「……はい。それを否定することは出来ません」

カチューシャ「っ……」

しほ「私たちは、あの時エリカさんの犠牲による影響をいかに小さくするかだけを考えました。あなた達に世間やメディアの矛先が向かなかったのもその結果にすぎません」


淡々と、原稿を読み上げるかのようにしほは答えていく。


しほ「それらは全て戦車道という競技の存続のためです」

カチューシャ「……なら、もういいじゃないですか。戦車道はこうやって今日も大盛況ですよ。私なんか、放っておいて理事長(そっち)に集中していればいいじゃないですか」


今更謝罪されたところで後悔の日々は消えてなくならない。

失われた命は戻ってこない。

犯した罪は消えない。

何も変わらないのなら、どうしようもないのなら。

もう放っておいて欲しい。

カチューシャはそう望む。


しほ「それはできません」


しかし、その望みは毅然と拒否された。

607 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2020/03/06(金) 23:48:54.24 ID:cUtDLTap0

カチューシャ「……なんで」

しほ「まだ、やるべきことがあるから」

カチューシャ「やるべき、こと」

しほ「本当はもっと早くやらねばならない事だったのに、私が未熟で、臆病だったから。こんなにも先延ばしにしてしまった」

カチューシャ「……遅いですよ。もう、あなたに出来る事なんかありませんよ」

しほ「……」


ああそうだ。もう遅いのだ。

何をしたことろで失われた命は戻ってこない。

今更謝罪されたところで、自己満足以外の何物でもない。


カチューシャ「私はもう、立ち上がってます。悔やんだし、泣いたし、今でも眠れない夜があります」


カチューシャがどれだけの後悔を重ねたのか、しほは知らない。


カチューシャ「それでも、立ってます。自分の足で、私は立ち上がりました。自分の足で、ここまで来ました」


カチューシャがどれほどの覚悟で立ち上がったのか、しほは知らない。


カチューシャ「だから、あなたの謝罪なんていりません。そんなもの貰ったって、私の足跡を汚すものにしかなりません」


カチューシャがどれだけ泣いてきたのか、しほは知らない。

ならば、その歩みを否定する権利なんて存在しない。

慰めや同情なんて何の意味も持たない。

だから、カチューシャはしほの謝罪を拒絶する。
608 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2020/03/06(金) 23:53:23.04 ID:cUtDLTap0
しほ「……あなたは、とても強いのですね」

カチューシャ「そうじゃなきゃ、生きていけなかったんです」


諦めと後悔と決意の混ざった答え。

その言葉を絞り出すのにいったいどれほどの苦難を味わったのだろうか。

それを理解できるのはきっとカチューシャだけなのだろう。

だから、しほはもう何も言わなかった。


カチューシャは立ち上がり、モニターの向こう、戦場を指さす。


カチューシャ「……あそこで戦っているのはあなたの娘達です」

しほ「……ええ」

カチューシャ「私が壊してしまった、あなたの娘達です」

しほ「それを支えられなかったのも、未然に防げなかったのも私です」

カチューシャ「なら、何をしにここに来たんですか。何もしてこなかったあなたが、今更何をしにここに来たんですか。あなたのやるべきことってなんなんですか」


しほが、カチューシャを見つめる。

刃のように、鋼のように。

そして、


しほ「見届ける」


引き金を引くように告げる。


しほ「あの子たちの決着を見届けるために。それがどんな結末になろうとも、今度こそ逃げずに受け止めるために。あなたが、そうしているように」


彼女もまた、迷って、悔やんで、それでも歩んできたのだと、カチューシャは信じる事にした。


609 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2020/03/06(金) 23:57:43.06 ID:cUtDLTap0
ごめんなさいエタってました。
610 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/07(土) 00:14:52.34 ID:rz+Jjs5A0
乙です
待ってました
611 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/07(土) 00:14:55.83 ID:QAGeBusA0
お待ちしておりました。嬉しい限りでございます
612 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/07(土) 01:14:40.01 ID:ocELaoL8o
おー!お待ちしてました!
613 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/07(土) 10:56:28.33 ID:GEbUjwR60
復活おめでとう!続きの執筆ありがとう!
614 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/07(土) 11:02:01.40 ID:oqv1ejKc0
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
615 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/07(土) 13:31:01.45 ID:6BBAxmU0O
行きとったんかワレェ!
616 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/07(土) 21:16:10.85 ID:yWAMdQE20
待ってた待ってた
617 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/07(土) 21:48:26.81 ID:2kt8AUeOo
お帰り待ってた
618 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/08(日) 22:45:14.97 ID:xEW0M4EG0
待ってたあああ
619 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/11(水) 02:16:08.16 ID:W50e37Ve0
復帰してるうううううう!!!!!
もうダメだと思いつつもタブを閉じないままにしておいてよかった……お待ちしておりました!!
620 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/03/11(水) 17:24:42.63 ID:EdO+BZXMO
マジか、、、マジか!!
エタリ復帰を初めて見た!
621 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/11(水) 19:53:28.63 ID:C0Hpy0Ppo
マジか…マジか!?
頑張ってくれぇぇ!!
622 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/12(木) 22:53:44.20 ID:OYtrU29n0
遅かったじゃないか...
623 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/13(金) 00:24:40.39 ID:RIDyi7ng0
更新ありがとうございます。
乙でした
624 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/13(金) 11:29:11.98 ID:dnQ9sM2h0
黙れ 俺は待……
待ちきったぞ! 俺の勝ちだ!

待ってたよ>>1ーシャ
625 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/15(日) 21:17:00.31 ID:g5aByBAS0
久々に見たらSSがあったんで荒らしかなと思ったら本人でワロタww
626 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/15(日) 21:19:51.17 ID:zXZlDWhVO
まだだ、まだなりすましの可能性は捨てきれない
不安だからはやく続きを投稿したくえれえ
627 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/16(月) 10:26:29.82 ID:vHz/uC1h0
待ってたぞ!
あんたの書くカチューシャが見たかったんだ!
628 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/16(月) 11:15:36.95 ID:+ddbFMf90
待ってた!続きは今週末か、来月かな
629 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/03/17(火) 22:29:12.30 ID:/ef+AZSCO
病気か怪我だった?大丈夫なのか?
630 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/19(木) 13:35:59.59 ID:BqBlMnC9O
おかえりなさい!待ってました!
631 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/03/24(火) 08:11:21.45 ID:aEoDJ1PnO
半年待ったかいがあった!!!
よくぞ戻ってきてくれた!!!!
632 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/30(月) 22:33:45.23 ID:ZbGt0ET30
やったぜ
633 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2020/03/31(火) 02:10:40.57 ID:mtBwRMLC0





煙幕に紛れ逃走していく大洗の車両たち。

それを、小梅は見送っていく。

もちろん追撃はするが、黒森峰の戦車は足回りにおいては大洗の戦車たちよりも劣ってしまう。

故に、撃破を狙うのではなく相手を見失わないようにすることを第一に指示を飛ばす。

既に先ほどの高台での戦闘で3本、黒森峰の白旗が上がった。


戦車道が復活したばかりで、車両の種類も数も整っていない学校に。黒森峰が痛手を負った。

信じられない事態だ。

目と耳を疑う隊員もいるだろう。

だけど、小梅は疑わない。

彼女なら、西住みほなら。

この程度造作も無いだろう。


被害を受けたのは、自分たちが彼女より劣っていたから。

そう断じ、小梅は深呼吸をする。

たとえみほがどれだけ強く強かで、強大であっても、勝つと決めたのだ。

勝って、彼女を救うと誓ったのだ。
634 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2020/03/31(火) 02:11:15.21 ID:mtBwRMLC0
小梅「……隊長、申し訳ありません。包囲突破されました」

まほ『そうか』

無線から返ってきたのは何の感情も籠っていない、あっさりとした返答。

小梅は意識せず眉をひそめてしまう。


小梅「……大洗は恐らく市街地へと向かっています」

まほ『だろうな』

小梅「……我々はこのまま大洗を追撃するでよろしいでしょうか」

まほ『好きにしろ』

小梅「……隊長」

まほ『なんだ』

小梅「あなたは、どこにいるんですか」


それは当然の疑問だった。

本来指揮を執るべき隊長の西住まほは、今ここにいない。

試合開始から今に至るまで黒森峰を指揮しているのは副隊長である赤星小梅だ。

635 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2020/03/31(火) 02:11:59.84 ID:mtBwRMLC0

小梅「主力の一部を引き連れ、前線での指揮権を私に委譲し、いったいどこで何をやっているんですかっ……」

まほ『大洗の、あいつの考えなんて決まっている。そのためにどこに向かっているかもわかっている。だから、先回りして市街地にいる』

小梅「そんな手間を割く必要があるんですか」


まほの口から語られた説明を、小梅は信じていない。

それは、まほの実力や直感を疑っているからではない。

むしろ逆だった。


小梅「あなたの指揮する黒森峰なら、そんな小細工を弄さずとも、大洗をすぐさま叩き潰せるたんじゃないのですか」


西住まほの実力を疑う者など黒森峰に、高校戦車道の選手にはいない。

だというのに、今のまほが取ろうとしてる策は迂遠で、湾曲で、まだるっこしいものだ。

自分ではなく、まほが指揮をしていれば。

今頃試合は終わっていたのでは。

小梅はそう思わずにはいられない。
636 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2020/03/31(火) 02:12:34.31 ID:mtBwRMLC0


まほ『万全を期するのは当然だ。最初から全力を見せてはいざという時の柔軟性が失われてしまう』

小梅「……本当ですか」

まほ『ああ。私の言葉が信じられないか?』

小梅「……」


その沈黙が小梅の答えを雄弁に語る。

根深い不信が、そこにあった。

まほが『面倒だ』という感情を一切隠さず溜息を吐く。


まほ『……そうか。なら、私からも一つ言わせてもらおうか――――お前じゃ勝てないのか?』

小梅「っ……!?」

まほ『残った戦力でも十分叩けるだろ。あんな烏合の衆。それとも、お前の一年間の努力じゃ足りなかったか?』

637 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2020/03/31(火) 02:13:21.33 ID:mtBwRMLC0

嘲笑混じりの指摘は小梅にとって痛恨だった。

小梅のこの一年間、死に物狂いで努力してきた。

それは全て、『彼女』のためだ。

それをまほも理解しているはず。

その上で、嘲笑う。


まほ『いいさ。そこまで不安なら戻って私が指揮してやろう。可愛い後輩が怯えているんだからな』


優しさを装う気なんて欠片も無い。

そんな助力を受け入れられるほど、小梅のプライドは安くはなかった。


小梅「……結構です。ここは、私がなんとかします」

まほ『ああ、そう言ってくれると思っていたよ副隊長』


悔しさに歯を食いしばる音が聞こえたのか無線の向こうからくぐもった笑いが聞こえてくる。


まほ『くくっ……安心しろ。別に負けるつもりは無い。ただ、私は私で準備があるだけだ。お前はただ、お前の思う通りに行動すればいい。いざという時のフォローは私がするさ。
   
   これも、未来の隊長であるお前に必要な勉強だ。頑張ってくれ』

小梅「……了解です」


返答を待たず無線を切り、ハッチを閉めずにそのまま腰を下ろす。

638 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2020/03/31(火) 02:14:00.73 ID:mtBwRMLC0
小梅「……状況は」


ギリギリ聞こえるぐらいの声。

無線手は即座に答える。


「依然こちらは追撃のため大洗を追っていますが、八九式の妨害により手間取っているようです」


小梅は地図を開き大洗の針路を読む。

目的地は市街地だろう。

ならば、


小梅「川がありますね」

「はい。大洗の針路だと橋を渡るには遠回りする必要があります。追撃部隊の一部を橋へと直行させれば渡る前に叩けます」

小梅「……なら、橋を使わずそのまま川を渡りますね」

「え?」


無線手はどういうことなのか視線で尋ねる。


小梅「ここは演習場として作られたフィールドです。川の深さも大洗の戦車ならギリギリ通過できる深さでしょう。そして、こちらの重戦車では川を渡ることができない。なら、あの人はそうします」


そして無線手だけではなく乗員全員に告げる。


小梅「あの人は、西住みほは黒森峰の事を私たち以上に。私たちの隊長と同じぐらい知っています。そのことを忘れないでください」

「は、はいっ!」


乗員は皆息を呑み、調子の外れた返事を返す。

伝えるべきことは伝えたと判断した小梅は座ったままじっと目を閉じ、手を握り合わせる。


小梅「……大丈夫。私ならできます。私が、ちゃんと救ってみせますから」
639 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2020/03/31(火) 02:14:31.44 ID:mtBwRMLC0

自らを鼓舞する呟き。

そこに開いたハッチから陽光が注ぐ。

祈るように手を合わせるその姿は、関係ない人が見れば神々しさを覚えたのかもしれない。

しかし、乗員たちの視界に映るその光景は、



小梅「だから、安心してください」



掴めるわけの無い光を必死で握りしめようとしているように見えた。


640 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2020/03/31(火) 02:15:48.64 ID:mtBwRMLC0
たぶん今後は不定期かつ月に1、2回の投稿になると思います。

完結はさせるのでよろしくお願いします。
641 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/31(火) 13:16:30.71 ID:LNYHW/LJO
>>1ーシャ
無理せずゆっくりやってくれ
642 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/31(火) 14:59:40.57 ID:CsqPR7Dy0

無理ないペースで頑張って
643 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/31(火) 18:48:05.79 ID:VEnXlgZr0
更新ありがとう
完結頑張れ
644 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/01(水) 11:13:06.92 ID:7aT+aClL0
更新ありがとう
645 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/04(土) 21:57:00.86 ID:vs6ub86t0

のんびり待ってるよー
646 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/05(日) 22:49:26.29 ID:IFf9iW7L0

無理の無い範囲でよろしくお願いします
647 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/07(火) 09:20:29.00 ID:4fZQB203O
復活...だと...奇跡だ...
648 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/01(金) 02:05:11.05 ID:jXiKil660
久しぶりに来たら復活してる!
やっべぇ、すっごい嬉しいわ
649 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/01(金) 18:53:29.09 ID:XfzpQfMH0
毎日見てるわ
更新待っとるで
650 :♯uriyo00 [saga]:2020/05/04(月) 01:53:29.30 ID:QcFhl9eh0



後方に舞う土煙が見えなくなったのを確認して沙織が安堵の溜息を吐く。


沙織「なんとか撒けたっぽいね」

みほ「はい。今のうちに距離を稼ぎましょう」


みほの指示を受け沙織は地図を開いて針路を確認する。


沙織「えっと――――この先に川があるね。でも橋は遠回りしないと……」

みほ「橋は使いません」

沙織「え?」

みほ「このまま進んで川を渡ります」

沙織「大丈夫なの?」


戦車というのは当然のことながら陸路を走るもので、この鉄の塊で川を渡るという事が沙織にはどうにも想像できなかった。

優花里も同じく驚いているのを見て、沙織はますます信じられなくなる。

しかし、みほはそんな彼女たちの動揺に揺らがず、淡々と説明をする。


みほ「はい。黒森峰の重戦車ではこの川は渡れません。今まで稼いだ距離と、川を避けて回り道する時間を合わせれば黒森峰が私たちに追いつくのにはだいぶ時間がかかるはずです」


沙織が聞きたいのは自分たちの戦車が川を渡れるのかという事であって、黒森峰の戦車が渡れるかという事では無かったのだが、

少なくともこの場において最も戦車の事を知っているみほがそう言うのであればと、ひとまず沙織は納得することにした。


沙織「なら、みんなにもそう伝えるね。あ、アヒルさんチームはどうしよう?」

みほ「このまま攪乱をしてもらいつつタイミングを見て合流してもらいます」

沙織「了解」


沙織は手早く無線を繋ぎ各車に通達をする。

川を渡るという事に多少なりとも動揺の声は上がったが、それでも隊長であるみほの指示ならば大丈夫だと皆が納得した。
651 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2020/05/04(月) 01:55:23.77 ID:QcFhl9eh0
隊列を乱さず進んでいくと、目の前に川が見えてきた。

地図の上で見るものよりも実際の川幅は随分と大きく見え、沙織は先ほど飲み込んだ不安がまた首をもたげるのを感じる。

しかし、それを声に出すのは堪え、指示のため無線機を取った。


沙織「それじゃあみんな、さっき言った通りお願い」

『了解』


沙織の無線を受け、各車両がそれぞれのポジションに付く。

車体の軽い戦車が流されないように最重量のポルシェティーガーを上流に重さ順に横並びになり、浸水しないようハッチを閉め、川へと前進を始めた。


652 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2020/05/04(月) 01:56:29.53 ID:QcFhl9eh0
沙織「大丈夫かなぁ……」


沙織の呟きを肯定するかのように車体が大きく揺れる。

水の抵抗は強く、それが沙織の不安をさらに掻き立てる。

ぞわぞわとした感覚が背筋を撫で、車体が横滑りするたびにビクリと跳ねた。

そんな沙織を見て、麻子がポツリと呟く。


麻子「大丈夫だ。ちゃんと進んでいる」


自分が不安を表に出していた事に気づき、沙織は慌てて表情を引き締める。

―――麻子に気を遣わせるようじゃダメだよね。

一番注意を払っているのは操縦手である麻子であり、今の自分はただ座っているだけなのだから。

そう思い、沙織は一度深呼吸をする。

そして、落ち着いて車内に響く振動、音に耳を傾けると、履帯がしっかりと川底を掴み少しづつ進んでいる感覚を捉えた。


――これなら大丈夫かな。


沙織が小さく安堵の溜息を吐く。

ゆっくりとだが、確実に戦車は前進している。

アヒルさんチームの攪乱はしっかりと効果が出ているようで、砲弾が飛んでくるような様子は無い。

この調子なら、黒森峰に追いつかれる前に川を渡り切れるだろう。

そう思っていた時、無線から悲鳴のような声が聞こえてきた。


優季『桂利奈ちゃんやっぱり無理っぽいっ!?』

653 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2020/05/04(月) 01:57:10.87 ID:QcFhl9eh0

その声はウサギさんチームの無線手、宇津木優季のものだ。

沙織は何事かと思い聞き返すも、無線の向こうでは優季と桂利奈の声がカンカンと響くばかりで一向に要領を得ない。

なので沙織はみほへと無線を回す。

みほは突然の事に首をかしげるが、沙織の様子に何事かが起きたのだと判断し、落ち着いた声で無線の向こうへと語り掛ける。


みほ「ウサギさんチーム何かありましたか?」

優季『ごめんなさーい!!なんか、エンジンが……』


無線に応える優季の隣からガチャガチャの何かを動かす音と、『動かないよー!!』っと叫ぶ桂利奈の声が同時に届く。

沙織は慌ててハッチから外に顔を出し、後方を見る。

そこには川の中ほどで停止しているM3リーがいた。


沙織「ちょっ!?大丈夫っ!!?」

みほ「落ち着いて。ギアを上げてみてください」


慌てる沙織に対して冷静に対応策を伝えるみほ。

しかし、無線の向こうの雰囲気は一向に良くならない。


桂利奈『ダメ!!どうしよう!?』

優季『私に言われてもー……』


やがて大きな音と共に、ウサギさんチームの車内からエンジン音が消えた。

654 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2020/05/04(月) 01:58:02.47 ID:QcFhl9eh0
みほ「ウサギさん?大丈夫ですかっ!?」


ここに来ていよいよみほの顔に焦りが浮かんでくる。

レオポンさんチームからも助言をもらい、桂利奈はなんとかエンジンの再始動を図ったが―――M3リーの沈黙は解けなかった。


沙織「マズイまずいよどうしようっ!?みほっ!?」


隊列から取り残され川の中で立ち往生するM3を見て沙織が叫ぶ。

みほは、そんな沙織に返事を返さず、口元を押さえぶつぶつと何かを呟いている。


みほ「どうする……?なんとか再始動を……でも、故障だったらウサギさんチームじゃどうしようも……なら一端バック……無理だ。なら、なら……」


みほの表情がどんどんと苦悶に歪んでいく。

汗が額を流れ、しかし肌からはどんどん色が失せていく。


そんなみほの様子に、沙織はもちろん優花里も、華も麻子も絶句してしまう。

そんな時、無線から落ち着いた声が響いてきた。


梓『……隊長』

みほ「梓さん……?」


その声は、梓のものだった。


梓『エンジンの再始動は難しそうです。アヒルさんチームが時間を稼いでいるとはいえ、ここで時間を失う訳にはいきません』


そこまで聞いて、沙織は梓が何を言いたいのか理解した。

それはみほも同じなのだろう、その瞳が大きく開き、今度こそ色が消え去る。


梓『だから、私たちはここまでです。見捨てて、先に進んでください』


梓の声が孕んでいたのは、落ち着きではなく諦めだった。


655 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2020/05/04(月) 01:58:57.99 ID:QcFhl9eh0
ここまでです。

外出できないのに相変わらず筆は遅々ですが、なんとか進めていきます。
656 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/04(月) 07:47:54.90 ID:B8og/nc6o
乙乙
酉割れしてるので変えた方がいいですよ
657 : ◆H9H0Q4zLDSTW [sage saga]:2020/05/04(月) 10:53:13.57 ID:QcFhl9eh0
>>656
なのでこれからはこれで行くのでお願いします
658 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/04(月) 12:00:17.60 ID:ge8Clmd/0
659 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/04(月) 18:50:52.72 ID:i7uRa/YW0
>>1ーシャ
くれぐれもコロナには気を付けてくれ

さて一つのターニングポイントだが……
白みほははたして跳べるのか
660 : ◆eltIyP8eDQ [sage]:2020/05/04(月) 22:17:36.90 ID:OK5TQDls0
てst
661 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/06(水) 08:59:48.66 ID:ZVNvJ2940
>>1ーシャ
くれぐれもコロナには気を付けてくれ

さて一つのターニングポイントだが……
白みほははたして跳べるのか
662 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/09(土) 05:52:42.00 ID:gGCQpb8L0
乙です
更新のんびり待ってまする
663 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/09(土) 05:53:30.63 ID:gGCQpb8L0
乙です
更新のんびり待ってまする
664 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/05(日) 18:53:07.88 ID:LwlVQDVSO
おっっっっっっせぇなマジ
665 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/07(火) 12:44:26.04 ID:YT2eU4mp0
そりゃあ君の早漏と比べりゃなんだって遅く感じるだろうさ
666 : ◆H9H0Q4zLDSTW [saga]:2020/07/11(土) 04:00:13.02 ID:qIHGvXuA0




みほの中で様々な思考が廻る。

川の流れは確かにM3リーを揺らしている。けれど、『あの時』と比べればずっと穏やかだ。

ウサギさんチームの誰一人として怪我をしているわけではない。

今ならまだ落ち着いて、冷静に避難すれば大丈夫だ。

ここでウサギさんチームの戦力を失う事は痛い。

痛いが、救助のためにせっかく稼いだ時間を使っては元も子もない。

ならば、答えは一つだ。『このまま進む』。

道半ばで諦める梓たちの痛みは相当なものだろう。

だけど、彼女たちのためにチーム全体を危険に晒すなんて真似はみほには出来ない。

みほたちの目的は『想い出』ではなく『勝利』なのだから。


『勝つためには、非情な決断を下す時がある。あなたはいつか、その立場になるのよ』


いつか、誰かから聞いた言葉が脳裏に蘇る。

冷たい言葉だ。

だけど、意味のある言葉だった。

そして今、その言葉通りの立場にみほは立たされている。

だから、みほは決断する。

それはきっと、『彼女』が望んだ選択。

きっと、『彼女』が喜んでくれる選択。

だからみほはその決断を、皆へと伝えようと口を開く。


みほ「……ウサギさんチームはここで」


だけど、
667 : ◆H9H0Q4zLDSTW [saga]:2020/07/11(土) 04:01:02.54 ID:qIHGvXuA0
みほ「……………………」

沙織「みほ……?」


突然押し黙ったみほに沙織たちはもちろんのこと、無線の向こうからも疑問符が浮かんでくる。

優花里がみほの肩を揺らしどうしたのか問いかけるが返事は返ってこない。

何事かと車内に不穏な空気が漂ってきた時、みほの表情が今にも泣き出しそうに歪んでいく。


みほ「やっぱりっ…、やっぱり私はっ…!貴女にはっ……」


ガリガリと頭を掻きむしり、歯を食いしばる。

そのあまりの剣幕に、止めようとした優花里もひるんでしまう。


みほ「どうしてっ……!なんでっ……!だけど、だけどッ!!?」


ならばと、沙織が意を決して声をかけようとした瞬間、


みほ「っ……私はっ、それでもッ!!?」


悲痛な叫びと共に、みほはキューポラから外へと出た。


みほ「各車リーダー上に出て手伝ってっ!!レオポンさんチームは牽引用ワイヤーとロープを用意してくださいッ!!」


砲塔に仁王立ちし、何やら叫ぶみほの様子に隊員たちは何事かと呆気にとられる。

しかし、みほの剣幕はそんな空白を許さない。


みほ「急いでッ!!時間がないッ!!私一人じゃ無理なのッ!!」


その言葉に慌ててリーダーたちが外へと出てくる。


桃「おい西住っいったい……うわぁっ!?」


どういう事なのかと車上に出た桃が尋ねようとした時、彼女の胸元に丸められたロープが飛んできた。
668 : ◆H9H0Q4zLDSTW [saga]:2020/07/11(土) 04:01:31.64 ID:qIHGvXuA0
みほ「桃ちゃんっ!!」

桃「な、なんだ!?」

みほ「早くっ!!次に回して!!」

桃「あ、ああっ!」


桃はすぐさまロープを同じく車上に出ているカエサルへと投げ渡す。

カエサルがまた次にとリレーのように回されたロープが今度はウサギさんチームの元へと届く。


みほ「梓さんっ!!」

梓「っ……なんでっ!?」


それを受け取った梓は納得できないような表情をみほへと向ける。

梓からすれば今の行動はただただ時間を無駄にするだけのものなのだから。

見捨てろと言った理由を、意味を、隊長であるみほがわからないわけないのに。

そんな梓にみほは舌打ちでもしそうな様子で顔をしかめ、怒鳴りつける。


みほ「時間が無いのッ!!早く繋いでっ!!」


梓はその剣幕にビクリと肩を震わせ、直ぐにロープを引き、そこに結ばれたワイヤーを繋ぐ。

それを見届けるとみほは車内へ戻り無線を飛ばす。


みほ「全速前進!!!ウサギさんチームを牽引します!!」


車長たちの返事と共に車列が前進を始める。

同時に、無数の轟音がW号の車内に響き渡った。


優花里「っ……砲撃ですっ!?もう来ました!!」

みほ「狙える車輌は後方の黒森峰に砲撃して!当たらなくてもいいからっ!!」


優花里の報告を聞くまでもなくといった風にみほはすぐさま次の指示へと移る。

砲撃の轟音が今度はこちらから響きだす。

残念ながら命中したという報告は無いがどのみち黒森峰の重装甲の前では当たった所で弾かれるのがオチだろう。

今はただ、相手の砲撃が命中しない事を祈るしかない。

その時緊張で張り詰めた空気の中で沙織の喜ぶような声が響いた。


沙織「みほ!ウサギさんチームの戦車エンジンかかったって!」
669 : ◆H9H0Q4zLDSTW [saga]:2020/07/11(土) 04:02:05.80 ID:qIHGvXuA0
その朗報にみほは一瞬喜びそうになるも、すぐさま表情を引き締める。

喜ぶのは後だ、今はまだやらなきゃいけない事があるのだから。

返事をしないみほに沙織たちもまだ緊張を途切れさせてはいけないと理解したのか、車内に沈黙が戻る。

すると、ざばざばと装甲を打っていた水の音と揺れが消え、代わりに履帯が大地を掴む硬質な振動に切り替わるのを感じた。川を越えたのだ。

そしてだんだんと砲撃の音が小さくなっていき、砲撃が止んだ。

黒森峰の射程から逃れる事が出来たのだ。


沙織「……大丈夫だよね?」


沙織が恐る恐る尋ねてくる。


みほ「……はい。少なくとも向こうの砲撃はもうこちらには届きません」


そう言った途端、沙織たちが同時に溜息を吐いた。


沙織「よかったぁー……」

麻子「とりあえず一安心ってことか」

華「ええ、未だわたくしたちは一人も欠けていません。みほさん、流石です」

優花里「西住殿!見事な判断でした!」


緊張の反動か和やかな空気が広がる。

けれどもみほは浮かない表情のままだ。

それでも優花里たちの言葉に応えようと無理やり笑顔を作る。


みほ「…………うん、ありがとう」

沙織「……みほ」

みほ「……大丈夫です。私は、大丈夫だから」


沙織が心配そうにみほの名前を呼ぶ。

返ってくるのはとても大丈夫なようには聞こえない儚く、弱々しい声。

そんな様子を大丈夫だなんて思えるわけが無い。

沙織たちは再び口を閉ざす。


みほ「……ごめんなさい、エリカさん」


小さく呟いたみほの声は、履帯の音にかき消された。

670 : ◆H9H0Q4zLDSTW [saga]:2020/07/11(土) 04:05:26.83 ID:qIHGvXuA0
久しぶりの更新です。

地の文の書き方の基本みたいなのまるで知らないのでこれでいいのか?って常に考えながら恐る恐るやってます。
671 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/11(土) 08:31:47.99 ID:voc2Zmtv0
乙、待ってたよありがとう
672 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/11(土) 09:39:12.30 ID:x16etePw0
673 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/11(土) 11:25:28.31 ID:GrNMzU98O
おつおつ!待ってました!
674 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/12(日) 12:34:51.13 ID:vg79ybHy0
乙乙
675 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/13(月) 23:56:11.82 ID:jdIhhYXy0
乙です
676 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/14(火) 22:30:19.59 ID:I2b7wZaY0
やはり見捨てられなかったか。それでこそミポリンやで。
677 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/07/16(木) 04:10:25.13 ID:lPfiE0nJ0
待っておりました。そしてこれからものんびり待っています。
みぽりんの気迫に圧倒された
678 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/17(金) 01:53:22.70 ID:kRayMQ1x0
>>1−シャ
好きに書け好きに 待っているよ
679 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/08/01(土) 16:43:36.90 ID:xBuZ3ADp0
2017年末発のssをまとめから発掘したら
まだ続いていたとは思わなかった
>>1ーシャ次いつか分からんけど楽しみにしとる
680 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/06(木) 00:03:26.95 ID:FwagiKE60
これだけ続きが気になるSS初めてかも
>>1−シャのんびり待ってます
681 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/09(日) 19:30:06.01 ID:g9R884ya0
俺も救われたかったんだ……
682 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/15(土) 18:03:29.66 ID:RqwvhhzP0
待っています
683 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/08/20(木) 00:02:46.45 ID:cR+ikSx+0
復活してたんか。待ってるよ。
684 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/07(月) 15:22:58.39 ID:NlWrGAsN0
頑張れみほ。応援してます。
685 : ◆H9H0Q4zLDSTW [saga]:2020/09/19(土) 02:15:47.70 ID:HiwPP3jx0




大洗の車両は車列を保ったまま目的地へと向かって行く。

後方に敵の姿は見えない。

しかし、市街地も未だ見えない。

レオポンさんチームの機転で途中にあった橋を落とした事で、ただでさえ速度に難がある黒森峰は更に遠回りをする羽目になっただろう。

こちらにやってくるにはまだ時間がかかるはずだ。

だからといって楽観出来るような状況ではない。

時間を稼いだと言っても、先ほどウサギさんチームの救出に時間を使った事で実際どれだけの猶予が残っているのかわからない。

その焦りがみほに苛立ちを起こさせる。

けれどもそれを表に出すことはせず、努めて冷静に。

隊長である自分が取り乱すのが何よりものロスなのだという事はみほが一番分かっていた。

深呼吸し、呼吸のリズムを戻す。

『常に冷静たれ』。それは指揮官に求められる必須の能力だ。

そう自分に言い聞かせ放熱をし、今一度現状把握のために地図を眺めていた時、アヒルさんチームからの無線が届いた。


典子『こちらアヒルさんチーム!流石に相手も挑発に乗らなくなってきたので戻っているところです!!そちらはどうですか!?』


無線から聞こえる典子の声に、沙織は地図を見ながら答える。


沙織「んーっと……まだ市街地にはたどり着いてないです」

典子『ええっ!?大丈夫なんですか!?』
686 : ◆H9H0Q4zLDSTW [saga]:2020/09/19(土) 02:16:38.31 ID:HiwPP3jx0
心配の声をあげる典子に沙織は曖昧な表情を浮かべ、


沙織「とりあえず今は大丈夫だけど……とにかくアヒルさんチームは早く戻ってきて」

典子『りょ、了解です!』


沙織の様子に現状は決していい方向に進んでいるわけではないと理解したのだろう。

典子はすぐさま無線を切った。

沙織は小さくため息を吐くと、キューボラから周囲を見渡すみほを見上げ、尋ねる。


沙織「みほ、もう少し速度上げる?」

みほ「……いえ、これ以上は隊列が乱れます。このままの速度で行きましょう」


みほがそう返すと沙織は小さく「わかった」と返し、そのまま地図へと視線を戻した。

その時、


優季『あ、そのぉ……あんこうチームさぁん?』


無線から甘ったるい声が流れてきた。

それがウサギさんチームの優季の声だとわかると、沙織はすぐさま応答する。


沙織「優季ちゃん?どうしたの?」

優季『えっとぉ……梓ちゃんが隊長に言いたい事があるらしいんですけどぉ』

みほ「え……どうしたの?」
687 : ◆H9H0Q4zLDSTW [saga]:2020/09/19(土) 02:17:15.70 ID:HiwPP3jx0
優季の歯切れの悪い様子にみほが問いかける。

それに返事は返ってこなかった。

聞こえなかったのかと思いみほがもう一度問いかけようとした時、震えるような声が無線から聞こえてきた。


梓『なんで……なんで助けたんですか』


それは、梓の声だった。

その声には、所々泣いているかのような小さな嗚咽が混じっている。


梓『私たち助けたせいでせっかくのショートカットが無意味になったじゃないですかっ……時間が無いのになに私たちに余計な時間使ってるんですかっ!?』


梓が叫ぶ。

みほはどうすればいいのかわからず、ただその怒声を受け止めるばかりになる。


梓『何なんですかあなたはっ!?私の事騙してたくせに、裏切った癖にっ……良い人ぶらないでよっ!?』

あや『ちょっと梓今そんな事で喧嘩してる場合じゃ……』


泣き叫ぶようにまくし立てる梓をあやが宥める声が聞こえてくる。


優季『あ……』


その時、優季が何かに気づいたかのような声を漏らした。


優季『ごめーん間違えてたぁ。これ、あんこうチームだけじゃなくて全車に繋がってるぅ』

あや『うっそ不味くない?』
688 : ◆H9H0Q4zLDSTW [saga]:2020/09/19(土) 02:18:18.53 ID:HiwPP3jx0
優季とあやのやり取りを聞いた沙織は、小さく「うわほんとだ」と呟く。

無線が全車両に繋がってると言う事は、先ほどからの梓の激昂も伝わっているという事で、

他の車両からの通信が無いのは恐らく彼女たちは唖然としているからであって、

その事に気づいていないのであろう梓は、みほへその怒りをぶちまけ続けている。


梓『同情なんてされたくなかったっ!!足手まといになるぐらいだったら見捨てて欲しかったッ!!それで勝てるのならッそれが一番だったッ!!なのにッ!!』

「………………ッチ」


小さく、舌を弾く音が聞こえた。

沙織たちは最初、誰が舌打ちをしたのかわからなかった。

いや、優花里はわかってはいた。

今、目の前でみほが忌々し気に舌を打ったのを見ていたのだから。

しかし、みほが舌打ちをしたのだと理解するのに間が開いてしまった。

そうこうしているうちにみほがブツブツと何かを言い出した。


みほ「……るっさい」

優花里「西住殿?」


かつて、誰かはみほの事をこう評した『臆病』、『傲慢』、『他人の顔色を窺ってばかり』、『変なところで我を通してくる』。

それらを総合して――――『めんどくさい子』だと。

幼い頃のみほは感情に素直な子供だった。

良く笑い、良く泣き、良く怒る。その旺盛な感情は今もみほの中に残っている。ただ、その発露を極めて小さくするようになったが。

笑う事も泣くことも、何よりも怒る事を、出来るだけ内に溜め込もうとしてきた。

それはつまりストレスをため込みやすいという事で、プラウダ戦以降みほはひたすらそれをため込み続けていて、

先ほどの川での一件は過去のフラッシュバックと現在の決断を伴うとてもストレスフルな状況で、
689 : ◆H9H0Q4zLDSTW [saga]:2020/09/19(土) 02:18:56.32 ID:HiwPP3jx0
みほ「……なのさ、どいつもこいつも」

華「みほさん?」


それらをなんとか乗り越えて先へ行こうとしたところで投げつけられた梓の怒りに、諭す言葉を考える余裕すら無くなっていて、


みほ「私が、私がいったいどんな思いでっ……」

麻子「西住さん?」


元をたどれば全部自分が悪いとかそういう自罰的な思考で無理やり抑え込んでいたあれこれにもついに限界が来て、


みほ「そんなの、そんなのっ……」

沙織「……みほ?」


つまるところ、


みほ「あああああああああああああもおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!うるさいんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」


みほはキレた。

690 : ◆H9H0Q4zLDSTW [saga]:2020/09/19(土) 02:19:24.12 ID:HiwPP3jx0
みほ「何が見捨てて欲しかっただよ何が裏切った癖にだよ何がそれが勝利のためだっただよっ!?」


突然の隊長の狂乱に驚いたのは梓だけではない。

無線は全車輌に繋がっている。

なので、大洗の全員がみほの変貌に声を失った。


みほ「私だって見捨てたかったよ!?何が悲しくて迫りくるパンターや重戦車たちを前にM3リー助けるのに時間かけなきゃいけないの!?こっちは一分一秒ですら惜しいのに!!」


あんまりにも無体な事を怒りのままに吐き捨てる。


みほ「パンターの一両、いやシャーマンでもいいからあったら見捨ててさっさと行ってたよ!?」


あの決断が間違いだったとかそういう事ではなく、出来なかったんだからしょうがないだろと、みほは頭の中に渦巻く感情のまま怒声を吐き出していく。

文字通り噴火した怒りの方向性など定まっているわけがなく、みほの矛先はふらふらと次の標的へと向く。


みほ「だいたいっ!!生徒会がもうちょっと頑張ってたらこんな苦労しなくて良かったんだよっ!!なんで一回戦の車両数制限にすら届いてない状況で決勝になんか出てるの!?意味わかんないっ!!」

杏『うぇぇ今そこ責めるぅ……?』


突然の流れ弾に杏がひきつった声をだすもみほはそんな事気にするかと言葉の砲弾を撃ち込み続ける。


みほ「なんなの!?戦車道やるってのにまともに動く戦車すらなかったのホントなんなのっ!?思い付きで物事進めんのもいい加減にしてよバカっ!!」

691 : ◆H9H0Q4zLDSTW [saga]:2020/09/19(土) 02:19:51.09 ID:HiwPP3jx0

思えば最初からダメだったのだ。

どの時点で廃校が決まっていたかは知らないしいつ戦車道でそれを阻止しようと決めたかも知らないが、あんな強引な勧誘するよりもまともな戦車の一両、

いや二両でも見せてくれれば少しは快く頷いたかもしれないのに。

あの時のみほからすれば戦車道を再開できるのは渡りに船だったのにただただ『お前の態度が気に食わない』の一点で一回断ったのだから。

それでも色んなものを飲み込んで生徒会の要望を受けてみればあったのはボロボロの戦車のみで、次の日までに他の戦車探せなんて言われたのだから。あの時ばかりはみほはみほの意志でキレていた。

そうやって思い返せば出てくる出てくる燻っていた怒りの火種が。


みほ「ここまでこれたのは運が良かっただけなんだよ相手が油断してくれたからなんだよみんなみんな私たちが勝てるような相手じゃなかったんだよっ!!?」

桃『お、おい西住ちょっと落ち着いて……』

みほ「桃ちゃんは黙っててバカっ!!次余計な口挟んだらバカちゃんって呼ぶからっ!!梓さんっ!!」

梓『はいっ!?』


突然話から外れ、また突然戻ってきたからか、梓は驚いた声を上げる。


みほ「私があなた達が可哀想だから助けた?『同情なんてしないで』!?何言ってるの自惚れないでよ!?私たちそんな仲良くないでしょ!?だって私はついこの間まであなた達を騙してたんだから!!」
692 : ◆H9H0Q4zLDSTW [saga]:2020/09/19(土) 02:20:21.10 ID:HiwPP3jx0
そう、騙してた。

人一人の人生をそっくり奪って、騙って、それに憧れた人を裏切ったのだ。

そんな冷血で残酷で、最低な人間が。騙した人間に同情なんてするわけない。

そんな情があるのならばそもそもあんなことしないのだから。


みほ「あなたの事なんて何も知らない!!好きな食べ物なんてしらないし趣味も何もしらないよっ!!誕生日ぐらいは知ってるけどさっ!!」

梓『逆になんでそれ知ってるんですか』

みほ「うるさいっ!!とにかくっ!!あなたに同情してあげる理由なんてこれっぽっっっちもないんだよっ!!バーカ!バーカ!!」


みほを見て冷静さを取り戻した梓のツッコミにみほは逆ギレで返す。

ちなみに理由は生徒会から渡された履修者名簿を暗記しているからである。

こうなるともう怒りの矛先とかそんな話ではなく、全方位への砲撃が開始される。


みほ「ああもうっ!この際だから言っちゃうけどねっ!?ここにいるみんなは戦車道初めてまだ半年にも満たなくてっ!!練習だって初心者に合わせた軽めのものでっ!!

   廃校がかかってようやく勝利への執念だけはそれなりのものを手に入れてっ!!

   でも全然足りないのっ!!技術も戦車も何もかもっ!!それで優勝したいとか戦車道舐めるなっ!!?」


みほは怒りのまま上半身を車外に出し、バンバンと車体を叩きながら叫び倒す。
693 : ◆H9H0Q4zLDSTW [saga]:2020/09/19(土) 02:21:06.95 ID:HiwPP3jx0
みほ「私だってっ!?一年近いブランクがあって、感覚だって今でも取り戻せただなんて言えなくて!!怖いんだよっ!!自信なんてないよ!?勝てるなんて言えないよっ!!?」


あの事故以来大洗に転校するまでずっとみほは引きこもりのような生活を送り、運動はもちろんまともに食事すら摂らないような生活が数か月に渡った。

そんな生活の果てにやつれ切った体をなんとか健康一歩、いや二歩手前程度にまで戻すことは出来たものの、

戦車道の方は聖グロを始めとした強敵たちとの実戦を経てもまだ戻ったとはいえず、それは全国大会当初からのみほの懸念であった。


みほ「なのに好き勝手言ってええええええええええええええええ!!人の気持ちも知らないでえええええええええええええええええええっ!!」


全ては自分のためだった。

大洗を利用して、無為な行いで自分の心を守ろうとしただけだった。

それはそれとして戦力としては未熟な大洗を勝たせるために苦悩したのも事実だった。


みほ「戦車道はお金がかかるのっ!!黒森峰だってそのあたり苦労してたのにっ!!大洗の人たちも廃校かかってんのに決勝に行ってようやく義援金出してきてさあああああああああああああああ!!

   もっと早く出してよ!?学園長もさらっと車買い替えてるしみんなバーカっ!!」

梓『っ……もうっさっきから何なんですか!?何が言いたいんですかっ!?』


西住みほの独演会にいい加減しびれを切らした梓が再び声を荒げる。

しかし、それを上からねじ伏せるようにみほの絶叫が響き渡った。


みほ「私が、善意で行動したとでも思ってるのっ!?同情したから助けたと思ってるの!?そんなわけないでしょ!?だって、だって私は――――それで大事な人を失ったんだよッ!!?」
694 : ◆H9H0Q4zLDSTW [saga]:2020/09/19(土) 02:21:46.14 ID:HiwPP3jx0
脳裏をよぎるのはあの瞬間。

繋いだ手をいともたやすく振りほどかれた時。

記憶に焼き付いた、彼女の笑顔。


みほ「私はッ!?助けたかったッ!!勝利なんか要らなかったッ!!」


彼女を助けられればそれで良かった。

敗北の屈辱も、戦犯の汚名も全て笑って受け入れられた。


みほ「あの時、あの濁流の中で私は選んだッ!!勝利なんかよりも、大事なものを選ぶってッ!!」


勝利よりも大切なものがあったから。

たとえ、彼女の意志に背くとしても、彼女を助けたかった。


みほ「そのためなら命だって失ってよかったッ!?なのに、なのにっ……私は勝利も、大切な人の命も失ったッ……!!」


伸ばした手は何も掴めず、掌に残ったのは虚ろだけで。


みほ「あの人を救えればそれで良かったのに。あの人を救うためなら死んだって良かったのにッ……」


沢山の人の努力を否定して、大切な人の想いを無視して、


みほ「なのにッ……私は、エリカさんを救えなかったッ……あの人が望んだ、勝利さえ捨てたのにッ……!」


残ったのは全てを失った自分だけで、叶うならばそれさえも捨て去りたいのに、


みほ「なのにッ……私は今も、のうのうと生きているっ……」
695 : ◆H9H0Q4zLDSTW [saga]:2020/09/19(土) 02:22:19.35 ID:HiwPP3jx0
無様を晒し、沢山の人を裏切り、それでも生きている。

それらは全て、彼女が最期に望んだからで。

だけど、『西住みほ』である事に耐えられなくて、

『逸見エリカ』を騙る事でようやく生きてきた。


みほ「エリカさんは、私の全てだった!!あの人がいたから、私は生まれて来て良かったって思えたっ!!なのに、出会ったばかりのあなた達に同情なんてするわけないでしょっ!?」

梓『なら……なんで、何で私たちを助けたんですかっ!?』


当然の疑問。

そこまで言うのならば、なぜみほは自分たちを助けたのか。


みほ「そんなのッ!!」


それを、愚問と吐き捨てるようにみほは答える。


みほ「あなた達を勝たせたいからに決まってるでしょッ!?」


涙交じりの声が、履帯の音に吸い込まれていく。

それでも、みほの声は確かに皆へと届いていた。


みほ「あなた達は、私を受け入れてくれたからッ!!」


それは、ずっと伝えたかった言葉。

みほが、自分を受け入れてくれた皆に伝えたかった想い。

荒々しくて、乱雑で、とてもそうは聞こえないだろうが、

その言葉に込められた意味は、感謝だった。


みほ「出会ったばかりなのに、嘘つきでどうしようもなくて救えない私に、それでも賭けてくれたからッ!!だからッ―――私も、あなた達に賭けたッ!!」

696 : ◆H9H0Q4zLDSTW [saga]:2020/09/19(土) 02:22:56.46 ID:HiwPP3jx0
大洗の皆のために勝ちたい。

救えない自分を救おうと手を伸ばしてくれた。

その手を取る事は出来なかったけど、それでも嬉しかった。

空っぽの自分がその恩義に報いるには、勝つしかないと思った。

たとえ、彼女たちを切り捨てる事になっても。

だけど、


みほ「どっちでも良かったッ!!あなた達を見捨てたって、助けたってどっちにしてもマイナスだったッ!!それでもッ、私はあなた達を選んじゃったんだよッ!!」


可能性が同じなら、50:50なら、信じたい人たちを信じたかった。


みほ「あなた達を見捨てて勝つ可能性よりも、助けて勝つ可能性に賭けたくなったんだよッ!!」


もしかしたらそれは早計だったのかもしれない。

もっといい選択肢があったのかもしれない。

でも、時は巻き戻せない。失ったものは取り戻せない。それは、みほが一番よく知っている。

選んだ選択肢を今更放り投げるなんて真似、出来ない。

だから、


みほ「必要なんだよあなた達がっ!!私はもう選んだんだよッ!!どんなに弱くたって、未熟だって、ムカついたって、あなた達がいないともう勝てないのっ!!

   私が、みんなを勝たせるためにはっ!!あなた達が必要なのっ!!」

697 : ◆H9H0Q4zLDSTW [saga]:2020/09/19(土) 02:23:40.10 ID:HiwPP3jx0
選んだのだ。

選ばれたのだ。

それならもう、やるしかないのだ。


みほ「助けられた事が悔しいのなら、納得できないのなら、自分たちで納得できるよう頑張ってよ!?私に、あなた達を助けて良かったって思わせてよ!?」


逆切れだろうがなんだろうが、もう、尽くすしか無いのだから。

みほも、梓も、皆も。

勝ちたいのは皆同じなのだから。


みほ「文句があるなら行動で示してっ!!以上っ!!バーカッ!!」


そう吐き捨て、仕舞いの合図とばかりに力強く装甲に拳を打ち付けると、みほは一方的に無線を切った。
698 : ◆H9H0Q4zLDSTW [saga]:2020/09/19(土) 02:25:38.74 ID:HiwPP3jx0
お久しぶりですねごめんなさい……

ようやっと3話の公開時期が決まったようなのでだいぶテンションが上がっています。

あとパンツァーコンサートのジャケット絵のエリカさんが聖母の微笑みすぎてこれだけで短編一本書けそうですね。

次回は出来るだけ早めに出せるよう頑張るので……

ていうか3話が公開されるまでにはこっちを完結させたい……
699 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/19(土) 07:24:36.24 ID:fscyRhxn0
お待ちしてました。乙です。残り楽しみにしてます
700 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/19(土) 07:26:42.21 ID:oc52N0ZD0
最終章が終わるまでに完結させてくれればそれでいいよ
というかエリカ短編めちゃくちゃ読みたいから、こっち一旦休憩してくれても…
701 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/19(土) 19:57:35.82 ID:F544j6cr0
乙です。
1年半おきの最終章を待てるガルパンおじさん達の忍耐力ならいくらでも待てる。
そもそもテレビシリーズでも3ヵ月空いてたしな
702 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/19(土) 22:15:21.53 ID:HRK0EymR0
待ってましたぁ!お疲れ様です。みほの咆哮に心揺さぶられた
最終章完結は早くても4年後くらい…かなぁ…
のんびりと続きを待ってます
703 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/24(木) 21:00:24.96 ID:g03MewmxO
乙乙
テンション上がってきたなら良かった
704 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/10/01(木) 00:05:29.96 ID:FCAoCdhG0
更新されててウレシイ…ウレシイ…
(完結まで)ゆっくりでいいよ〜
気楽に待ってます!
705 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/01(木) 01:51:47.58 ID:MTQoz6oBo
こんなみほあずもなんかいいな…
706 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/04(日) 22:05:07.31 ID:rb/KKdbd0
更新されてたぁ
今回すっごい良いな
この話ならではって感じで好き
707 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/28(水) 00:21:23.17 ID:WdrdBsy4O
今月更新できるかな
708 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/10/28(水) 19:28:49.13 ID:AaXiSxpH0
待ってるでー
709 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/10/29(木) 02:54:32.64 ID:UZc7Ax0+0
みほ「私たちの戦いはここからです!」







710 :以下、VIPにかわりましてVIP警察がお送りします [sage]:2020/10/29(木) 03:07:23.15 ID:afBoP3h30
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711 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/29(木) 18:03:51.08 ID:1J2NfejX0
どこにでもアホが沸くなぁ…

のんびり待ってます。
712 :sage :2020/11/01(日) 00:38:15.69 ID:QmIrModJ0
またエタりそうなペースだな
もう上の私たちの戦いは〜で終わったら?
713 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/11/01(日) 10:48:15.87 ID:m1TOR1WL0
別にやってることは原作なぞってるだけだし…
エリカからミホに戻れば、そりゃセリフが違うだけになるし
714 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/11/01(日) 16:12:17.60 ID:WFvlJUb80
原作だってここで3ヵ月空いただろ。原作再現だ

あとsageろ。荒らしでさえsageてんだぞ
715 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/11/01(日) 18:36:05.62 ID:LE90+px40
ww
716 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/11/03(火) 18:14:22.48 ID:FgdwHA9X0
最終章のペースに比べりゃ全然短いし…
続きをのんびり待ってればいいのさ
717 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/11/06(金) 22:13:29.96 ID:e3TPc3Xq0
お前らがあんまり書き込みすぎると作者が書き込むためのレス数が減るからほどほどにな。
718 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/12/22(火) 21:58:31.15 ID:UYzhSJ++0
時々観に来て読み返したりしてる
719 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/03/15(月) 10:09:12.45 ID:qr960eBK0
去年9月が最終更新か
あきらめ時か
720 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/03/17(水) 06:24:21.75 ID:POvgtWg50
たまーに観に来てはいるのだが、うむ…
721 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/03/21(日) 21:32:53.24 ID:i2urJ2hq0
面白かったです!

722 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/03/31(水) 22:49:19.94 ID:AMvyRhmO0
第3話放映されたから更新されたかなと思ったけど、まだか。
723 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/04/20(火) 03:50:47.81 ID:NLK/jbJK0
ふと思い出した 待ってるぜ
724 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/05/27(木) 15:01:28.71 ID:Mz+A8NYxO
まだ終わっていなかったとは…
逆に考えよう、現行に追いつけたと…
作者さん、いつでも待ってますよ
725 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/16(木) 23:25:50.21 ID:rWG2bM6p0
保守
726 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/09(土) 00:44:40.21 ID:2S1ZdMYM0
保守
727 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/02/07(月) 23:09:54.97 ID:59cDvrhd0
保守
728 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/11(金) 23:15:25.33 ID:T5ZmqCvOO
SS速報避難所
https://jbbs.shitaraba.net/internet/20196/
729 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/21(日) 01:32:38.48 ID:pCULhpUE0
ふと思い出したがまだだったか・・
最終章でエリカが活躍したら戻ってきてくれるかな
730 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/10/27(木) 03:07:02.79 ID:gj+INNPs0
保守
731 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/30(火) 04:34:39.77 ID:CpOy2zwU0
保守
732 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/10/17(火) 22:16:33.05 ID:pLKdoLC20
[sage]
保守
733 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/11/07(火) 21:11:14.29 ID:ie3CrIh50
4話見てきたので保守
734 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/09/21(土) 15:44:43.31 ID:+8UPFaP20
保守
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