【ガルパン】みほ「私は、あなたたちに救われたから」

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393 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/07/22(月) 02:03:01.15 ID:0JjIDz+w0


何を、言っているのか。

みほの内心がその言葉で埋まる。

鼓膜がありもしない危険信号(アラート)を捉える。


小梅「ふふっ、あなたのいない黒森峰は寂しかったですよ。でも、もうそんな日々ともおさらばです」


戻れるわけがない。自分がどれだけの人を裏切ってきたと思っているんだ。

仲間を、姉を、家族を、その中には小梅だっているのに。

まほが業火のような怨嗟をみほに向けていることを知らないはずないのに。

なのに小梅は、なんの不安も無いと言わんばかりに笑顔を絶やさない。


小梅「あ、大丈夫ですよ。あなたのロッカーはまだ残ってます。部屋は……まぁ空き部屋なんてたくさんありますから。見つかるまでは私の部屋にいればいいですよ。ちょっと狭いですけどね?」


つらつらと淀みなく、規定事項を話すかのように小梅はあれこれ並び立てる。

その瞳にはかつてと同じ優しさと輝きが灯っていて、やせ細った体と深い隈がそれを異常なまでに際立てる。

目の前の人物が本当に小梅なのかさえ疑ってしまいそうになるほど、記憶の中の小梅と目の前の小梅は乖離していた。

それでも、何かを言おうと口を開くものの、一向に音らしい音はでず、ただただ空気が空気を僅かに擦る音しか出てこない。


小梅「だから、安心してください。あなたの居場所は今も黒森峰です。今度こそあなたを守ってみせます」


そして、小梅は最後に何の疑いも憂いも無い笑顔で、

かつてみほやエリカに向けていた笑顔で、


小梅「だから、みほさん。一緒に帰りましょう。それがきっと――――エリカさんの望みですから」



どこまでも未来に希望を抱いた表情でみほの手を握り締めた。



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