【ガルパン】みほ「私は、あなたたちに救われたから」

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175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/11(土) 23:35:19.30 ID:TlRiRq0D0
そろそろ続きかな?
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/11(土) 23:36:06.12 ID:TlRiRq0D0
そろそろ続き来る感じかな?
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/11(土) 23:37:11.50 ID:TlRiRq0D0
175、176の連投すまぬ
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/12(日) 04:58:03.79 ID:cnUdrhKzO
みほは一体どこに向かったのだろうな

まるでわからん
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/12(日) 20:22:36.98 ID:vYwGriwDO
どん底かな。どん底だけに。
180 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/05/12(日) 23:31:22.43 ID:NXdKQUru0




同じ頃、あんこうチームと生徒会チームは校門前で合流していた。


沙織「会長!みんなからは!?」


焦りを隠す余裕も残っていない沙織に会長はゆっくりと首を振る。


杏「……まだだって」

沙織「っ……私、また探してくる!!」

杏「待って武部ちゃん」

沙織「そんな時間っ!!」

杏「分かってる。だから、聞いて」


どこか抑揚のない杏の声に引っ張られるように、沙織の中に冷静さが戻ってくる。

大きく息を吸って、吐く。


杏「ん。落ち着いたね」


沙織が落ち着いたのを確認すると、杏はいつものように歯を見せて笑う。

そして、直ぐに表情を引き締めて、額をとんとんと叩きながらフラフラと沙織たちの周囲を歩き出す。


杏「現状、出来る限り捜索はしている。艦内も河嶋の伝手で探してもらってる。……それでも見つからない」


考えながら喋っているのだろう、杏の言葉はどこか独り言のようだ。

そして、その歩みがピタリと止まる。


杏「なら、見落としがあると考えるべきだ」


時間が無いからこそ、現状への疑念を無視しない。

杏は一人一人の目を見て語り掛ける。


杏「みんな。何か、西住ちゃんのいそうな場所に心当たりはない?」

優花里「そう言われましても……」

麻子「そんなのわかっていたら、とっくに言っている」

華「学校は……もう探してますよね」


優花里たちが顔を見合わせて、そう答える。

杏は思わずため息を吐きそうになるも、ふと、沙織に顔を向けると表情が鋭くなる。


杏「……武部ちゃん」

沙織「え……?」

杏「私は、武部ちゃんならなにかわかるんじゃないかと思う」


それは単なる直感で、理屈じゃなかった。

過ごした時間なんて、あんこうチームの面々ならそう変わりはない。

それでも、杏は沙織なら何かわかるかもしれないと感じた。


181 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/05/12(日) 23:44:22.18 ID:NXdKQUru0



杏「何か、何か聞いてない?なんてことない思い出話とか、他愛もない事でいいんだ」


杏の声に焦りが僅かに滲む。

その声に桃も焦りを露わに声を荒げる。


桃「武部!!何か知ってるのなら早く言え!!」

柚子「桃ちゃん落ち着いて……」

桃「っ……」


柚子がそれを抑え、桃は悔しそうに唇を噛みしめる。

自分が何も思いつけない、何も手助けが出来ない現状は桃にとってあまりにも辛く、歯がゆいものだった。

そしてそれはここにいる誰もが、今みほを探している誰もが感じている事だという事も桃は理解している。

焦って逸る自分を恥じ、桃はじっと沙織の答えを待つかのように見つめる。


沙織「……どこか、西住さんが行きそうなところ……私が、知ってる事……」


ぶつぶつと呟きながら必死で頭の中を覗きまわる。

みほと出会った時、一緒に戦車道をすると決めた時。

初めて乗った戦車に困惑した時、そんな自分にみほが落ち着いて指示してくれた時。

訳も分からないまま乗った戦車で、訳も分からないまま戦って、段々と戦車道が分かってきて、

段々と、戦車道が楽しいと思えてきて、

みほの言葉に怒りを覚え、みほの言葉に怒りを覚える自分に怒りを覚え、

仲直り出来て、

そして、みほの真実を知った。

182 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/05/12(日) 23:58:09.37 ID:NXdKQUru0


沙織「っ……」


想起したみほとの今日までの記憶に涙がこみあげてくる。

それが零れ落ちないように沙織が空を見上げる。

その視線の先には薄っすらと月が浮かんでいた。

……今日は雲が無い。

きっと、月が綺麗に輝くんだろうなと、呑気な事を一瞬考えてしまう。


その瞬間、沙織の脳裏にいつかの記憶が蘇る。




沙織『えりりんっ!』

エリカ『沙織?』

沙織『こんなところで何してるの?』

エリカ『別に。……月がきれいだなって』

沙織『……ホントだ。高地だからいつもより大きく見えるね』

エリカ『……ええ。照らすものすべてが煌めいて見える銀色の光』




ついこの間の事なのに、もうずっと遠くの事のように感じる記憶。

アンツィオ戦後に、月を見上げていたみほ。

その横顔はいつものような張り詰めたような表情ではなく、嬉しそうな懐かしそうなもので、

その声色に宿る感情は、彼女にとって月がとても大きな意味を持つのだと、持っていたのだと、沙織は気づく。


沙織「山……学校の、裏山」


月を見上げながらうわ言のように呟いたその声に、杏が真っ先に反応する。


杏「そこに、西住ちゃんがいるの?」

沙織「わからない……でも、西住さん、月が綺麗って。嬉しそうに、言ってて……このあたりで一番高いところって艦橋か、裏山でしょ……?」


高さだけなら艦橋の方が高い。

しかし学園艦の環境は船舶科でも一部の人間しか入ることが出来ない。

少なくとも、普通科であるみほが入ることは出来ないだろう。

杏は納得したように頷く。


杏「……なるほど、なら」

桃「っ!!」

柚子「桃ちゃんっ!?」


杏が指示を出そうとする前に桃が柚子の制止も聞かずに裏山に向かって走り出す。


優花里「私たちも行きましょうっ!!」


優花里の言葉を合図に、皆桃の後を追いかけていった。


183 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/05/13(月) 00:08:01.46 ID:bVfjB2rg0





日は沈み切り、月が空高く上がっている。

そんな月を、みほは一人裏山の山頂で見上げていた。

別に、何か目的があって山を登ったわけではない。

ただ、あの部屋にいるのが怖くて、飛び出した時最初に目についたのが裏山で、



『だから……少しだけ、少しだけで良いんです。前を向いていきませんか? 』



遠く、色褪せた記憶が後ろ髪を引いたような気がしたから。

けれども、山頂まで来たところで何の感慨もなく、

みほはこうやって膝を抱えて日が沈み、月が昇るのを見つめていた。


「エリカさん、私は…」


結局、自分はまた逃げただけなのだ。

沙織が扉の前で何度も呼びかけてくれた時、みほの脳裏を埋め尽くしたのは、罪悪感よりも恐怖だった。

何者でもない、空っぽな自分を知られて、それでも自分を想って呼びかけてくる沙織が怖くてたまらなかった。

こんな価値のない自分にまだ、優しくしてくれる彼女が、理解できなくて怖かった。

だから、逃げ出した。


そうして制服のまま山を登り、体が悲鳴を上げても無視して、山頂にたどり着いた。

呼吸が落ち着くと、今度は自分を責めだした。

こんな自分に優しくしてくれる人たちを裏切って、恐怖を感じた自分自身が、嫌いでしょうがないと、膝を抱えて俯いていた。

そしていつの間にか日は沈み、月が出ていた。


「エリカさん……やっぱり、私じゃダメだよ。貴女がいてくれなきゃ、私は……何も出来ないよ……」


目元に涙をためながら月に向かってそう呟く。

いっその事あの時のように曇り空ならば月に縋る事すら出来なかったのに。

いつもより大きく見える月は否が応でもみほのエリカへの想いを掘り起こす。

そうやって、何度目かの泣き言を呟こうとしたとき、茂みから音がした。


「何……?」

184 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/05/13(月) 00:17:28.64 ID:bVfjB2rg0



裏山に鳥や小動物以外の野生動物がいるだなんて聞いていないが、まさか……とみほの背中を冷たい汗がつたう。


どうする、逃げられる?流石に熊などはいないだろうが野犬の類ならばあるいは……

みほは周囲を見渡し、手のひらほどの大きさの石を掴む。

無論、これで撃退するなどとは考えてはおらず、一瞬でも隙が作れれば程度のものだ。

立ち上がり、周囲を見渡し退路を探る。

麓へ続く道は音のする茂みの傍にある。

……隙を見て一気に走るしかないか。

みほは覚悟を決め、茂みを注視する。


そして、茂みから黒い影が飛び出してくる。



みほが石を構えた時、その影を月明かりが照らす。

その見知った影に、みほは手の中の石をポトリと落とす。


「桃、ちゃん?」


桃の着ている制服には所々土埃や葉っぱがついていて、裾のあたりは枝でも引っかけたのだろうか、少し裂けていた。

ボロボロという言葉で充分表せる桃の姿に、みほは言葉を失う。

対して桃はみほの姿を認めると呆然とした表情のまま、ポツリと呟く。


桃「……西住」


そしてそのままヨロヨロとみほに近づくと、倒れこむように抱き着いてきた。


「え、ちょっ……」

桃「良かったっ……良かったあああああああああああああっ!!」

「え?え?何、何?」


何で桃がこんなところに。

何で抱き着いてきたのか。

何で登山道ではなく茂みから飛び出してきたのか。


何がどうしてこうなったのか全く分からないみほの胸の中で、桃は声を上げて泣き出す。

わけがわからずオロオロと周囲に視線を彷徨わせるみほの耳に、また別の声が聞こえてきた。


沙織「こっちから桃ちゃん先輩の声が!!」


その声が途切れるやいなや、先ほど桃が飛び出してきた茂みから今度は4つ、いや6つ、見知った影が出てくる。

最初に出てきたのは沙織、その後を優花里、華、麻子が。

更にその後を杏と柚子が続いて出てくる。


桃の事を処理しきれていないみほの頭は今度こそパンクする。


「え?みんな?なんで?」

185 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/05/13(月) 00:23:58.63 ID:bVfjB2rg0


疑問符がとめどなく浮かび続けるみほに対して、先頭の沙織はみほの姿を見るとうっ、と口元をおさえて目を潤ませる。


沙織「西住さんっ……よかった、無事だったんだね……」


優花里たちも同じように目に涙をため、杏と柚子は安堵のため息をもらす。


「みんな……」


一体何事なのだろう。

みほがまわりの反応に全くついていけず、胸の中で泣きじゃくる桃→沙織たちと視線をフラフラと移動させていると、

泣いてばかりで言葉になっていなかった桃がガラガラになった声で喋りだす。


桃「ごめんっ!!ごめんなあ西住いいいいいっ!!」

「あの……え?桃ちゃんなに謝って……」

桃「全部全部っ!!私たちが悪いんだっ!!お前に廃校なんか押し付けて、お前の事情なんか考えもしなくてっ!!」


桃の肩を掴んでいた手がピクリと反応する。


桃「お前に負担をかけていることなんてわかっていたのにっ!!お前がっ……辛い気持ちを隠していた事に気づいていたのにっ!!」

「……」


桃がみほの胸元を握りしめる。


桃「だからお前はっ、何にも悪くないんだっ!!廃校の事だって、なんだってみんなみんな、私たちのせいにしていいんだ!!」


涙を拭いもせず、桃はみほを見上げる。


桃「だから、だから……死ぬなんて考えるなっ!!」


額がぶつかりそうなほどの距離で桃はそう叫んだ。



「……そっか」


ようやく、みほはこの状況を理解する。

みんな、自分を心配して探してくれていたのだと。

186 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/05/13(月) 00:27:19.27 ID:bVfjB2rg0


「桃ちゃん、私が変な気を起こしたと思ったの?」

桃「だって、だって……」


慌てている人を見ると冷静になるというが、胸の中で泣きじゃくる桃の姿を見てみほはようやく自分のした事に気づく。


ずっと嘘をついていた人間がその嘘を暴かれ、狼狽した姿を見せた挙句にどこかに消えた。

……勘違いするのも当然だろう。

そんな事すら気づけなかった自分はやっぱり、自分の事しか見ていないのだなと、みほは内心自嘲する。

けれども今、桃に聞きたい事があった。

桃の肩を掴んでいた手を腰に回し、顎を肩に乗せる。

耳元で囁くように、問いかける。


「桃ちゃん、私が死んだら悲しい?」

桃「当たり前だっ!!」


一瞬の躊躇もなく答えた桃に、みほは嬉しそうに口元を緩め、ぎゅっと、先ほどの桃のように強く抱きしめる。


「……そっか。私、私ね。大切な人を助けられなかったの。大好きな人、私を、救ってくれた人を」


耳元で桃が息をのむ音がした。


「だから私が死ねばよかったんだって。私の人生を、エリカさんに生きてほしかった。だから、私がエリカさんになろうと思ったの」


それが、ついこの間までのみほの行動原理だった。

そうすることでしか、みほは生きる事が出来なかったから。


「でも、そんなことできなかった。見た目を変えても、話し方を変えても、考え方を変えようとしても、どうやってもエリカさんになれなかった」


一人の時、そうじゃない時、何でもない言葉選びに、ちょっとした仕草に、みほは『自分』がいる事を感じてしまった。

あの人ならばこうする。あの人ならこう言う。

結局のところそれはみほの主観でしかなく、水が低いところへと向かってしまうように、自分が演じやすい『逸見エリカ』へと変質していっている事に、みほは気づいていた。


「いつだって、私の前に『私』が現れた。私を、嘲笑ってた。……それは、私の本心だったんだ」

187 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/05/13(月) 00:34:43.71 ID:bVfjB2rg0



聖グロとの練習試合、サンダースとの一回戦、プラウダとの準決勝。

目の前に現れた栗毛の少女の幻影は、いつだってみほを蔑んで、嘲笑っていた。

その意味にみほは最初から気づいていた。だから、拒絶し続けた。


「それがもう見えなくなった。私は……もう、エリカさんのフリも出来なくなった」


自分を否定する幻が見えなくなった。それはつまり、もう否定する必要すら無くなってしまったという事だ。

エリカでいられなくなった自分はもう、嘲笑う価値すら無くなったのだと。

なのに、そんな自分をこんなボロボロになってまで探してくれた。

それが、嬉しかった。


「桃ちゃん、あなたは私に廃校を背負わせたっていうけど、私本当に嬉しかったんだよ?戦車道は私の、何にもない私の唯一の取柄で、エリカさんに褒めてもらった事だから」


戦車道が無い学校でも戦車道を続ける。母親にそう吐き捨てたものの、結局みほ自身ではどうしようも出来なかった。

転校して、何もできずただ『エリカ』のフリをし続けてた日々に、確かな光が灯ったように感じた。


「きっと、あなたたちが声をかけてくれなかったら、私は……」


その先は言葉にならなかった。

桃がぎゅっと、胸元を掴む手に力を込めたから。

『その先は言わないでくれ』と、瞳で訴えてきたから。

みほは桃の髪をそっと手で梳く。


「だから、会長もそんな顔しないでください」


そして、辛そうにこちらを見つめる杏に、微笑みかける。

けれども杏の表情が緩むことは無い。

むしろ、先ほどよりも辛そうに顔を歪める。


杏「西住ちゃん、私は……」

「まぁ、確かに最初はムカッとしたけどでも……どのみち、私には戦車道しかなかったんですから」


軽くおどけてみたものの、やっぱり杏は辛そうにしたままで、みほも困ったように笑う。


188 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/05/13(月) 00:35:34.38 ID:bVfjB2rg0



杏「……ごめんね」

「謝らないでください。……覚悟して、やった事なんでしょ?」

杏「……うん」


頷く杏の顔はとても、納得している様にも、気に病んでいないようにも見えず、そんな彼女の様子にみほは自嘲を込めて息を吐く。


「ああ……私は、やっぱり貴女みたいには出来ないや。貴女ならきっと……もっと……」


そうしてまた、月を見上げた時沙織が一歩前に出てくる。


沙織「西住さん」


先ほどまでの嬉しそうな、泣きそうな顔ではない、決意を込めた表情にみほも何かを感じ、

桃をそっと立ち上がらせて、離れる。

果し合いでもするかのように向き合うと、沙織が口を開く。


沙織「私はね、ショックだったよ。あなたがエリカさんじゃないって知って」

「……」

沙織「私だけじゃない、みんなそう。今日まで一緒に戦ってきた人が別人だって言われてショックを受けない人なんていないよ」

「……うん。そうだよね」


当然だ。自分のしたことはそういう事なのだから。

気づかなかった。そうなるとは思わなかったなんて事言えるわけがない。

この事態は全部、自分勝手な自分が招いた事なのだから。

沙織が怒るのならそれは当然の事なのだからと、みほは覚悟していた。

だけど、釣りあがった眉は落ち、沙織の表情に優しさが戻る。


沙織「……でもね、だからって私たちがあなたと過ごしてきた今日までが無くなるわけじゃない」


まるでいつものように、なんてことのない食事時の世間話をするかのように、沙織は微笑む。


沙織「辛かったことも、楽しかったことも、『逸見エリカ』じゃなくて、『あなた』と過ごした時間なんだよ。だから、」


結局、沙織は答えなんて見つけられていない。

みほがエリカを騙る事が間違いだとわかっていても、それを咎めるつもりは沙織には無かった。

大事なのは、助けたいのはみほだから。

だから、みほに伝える。

みほの過ごした大洗での日々は、偽物なんかじゃないと。

『西住みほ』が紡いできた絆なのだと。

189 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/05/13(月) 00:36:32.82 ID:bVfjB2rg0



沙織「西住さん。……ううん、みほ。私は、私たちは、あなたの友達だよ。エリカさんだったあなたと出会った日から、今日までの全部が私たちにとって、あなたとの大切な思い出なんだよ」


沙織の言葉に皆が頷く。

それを見て、みほが遠くを見るように目を細める。


「……そっか。私達は、友達になれてたんだね」


そして、一人一人を見つめる。


  「麻子さん」

麻子「おう」

  「優花里さん」

優花里「はいっ」

  「華さん」

華「はい」

「沙織さん」

沙織「うんっ」


みほの声に4人が嬉しそうに返事をする。

その音をみほは目を閉じて何度も何度も頭の中で繰り返し、そしてゆっくりと目を開く。


「私、こんなにもたくさんの友達ができたんだ」

沙織「そうだよ、みほ。だから、だからあなたも……自分を、許してあげて。ちゃんと、前を向いて。あなたは……西住みほなんだから」


みほの言葉に、沙織が微笑んで伝える。

『逸見エリカ』のフリをする必要なんて無いのだと。

私たちと一緒に、前に進んでいこうと。

みほに向かって手を差し出す。


その手をみほはじっと見つめ、微笑む。


「……そうだね。私はもう、エリカさんにはなれない。だって、エリカさんはもういないから。そんなエリカさんに、なれるわけがないんだから」


みほが、ゆっくりと沙織に近づく。

優花里たちが涙ぐんでその様子を見つめる。

沙織も、泣き出しそうな自分を必死に抑えて笑顔をみほに向ける。

そして、みほは沙織の差し出す手に手を伸ばすと――――沙織の手を、ゆっくりと下ろさせた。

190 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/05/13(月) 00:37:05.10 ID:bVfjB2rg0


沙織「みほ……?」


どういう事なのかと、沙織が動揺を隠せずに問いかける。

みほは先ほどと同じように微笑みながら、沙織の瞳を見つめる。


「でもね……ううん、だから」


みほの微笑みが、どんどん崩れていく。いや、変質していく。

口元は微笑んだまま、その瞳に喜びではない感情が宿っていくのを沙織は感じる。


「だから、だから」


沙織が感じたその感情は、


「私は、私を許せない」




怒りだった。




191 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/05/13(月) 00:38:30.84 ID:bVfjB2rg0



「私が自分を許しちゃったら、私が、自分の罪を忘れちゃったら、きっとエリカさんの事も忘れちゃう」


先ほどまでの穏やかな空気は消え去り、みほはくしゃりと、自分の髪を荒々しく掴み、瞳孔の開ききった目で、微笑んだままで、怒りを表す。


「優しいあなた達と一緒にいたら、そんな未来を受け入れたら、きっと毎日が楽しくて。エリカさんを失った事が過去になっちゃう」


みほの瞳はどこでもない虚空を、かつてエリカといた過去を見つめ続ける。


「そうなったらもう、私は……私じゃなくなっちゃう」


微笑んだまま、瞳に怒りを宿したまま、今度は涙が流れだす。

ごちゃ混ぜになった感情は、けれどもみほにとっては当たり前の、変わりのない事実を核に纏まっていた。


「エリカさんからたくさんの事を教えてもらったのに、エリカさんが私を形作ってくれたのに、エリカさんに、私は救われたのに」


蘇るのはエリカとの日々。

自分の人生と等価な銀色の時間。

それはもう、永遠に過ぎ去った時間で、それをみほも理解していた。


「エリカさんはもう戻ってこない。私がやってたのはただただ自分を慰めるための馬鹿げた真似事だって、わかってた」


どうなるかなんてわかっていた。

姉を憎悪に狂わせ、母の心を擦り減らし、友達の優しさを裏切り、新しい友達を欺き、裏切る。

結論なんて、結末なんてわかりきっていたのに、それでもみほは選んだ。


「だけど、やっとわかった。私は……エリカさんじゃなくても生きてしまうんだって」



『生きて』



その呪いが、みほを生かし続けている。

その微笑みだけは、未だに色褪せずに残っている。

彼女の声も、姿も、美しさも、全部掠れているのに。


最期の瞬間だけは刻みつけられたかのように思い出せてしまう。

だからみほは今日まで生きてきた。

嘘を暴かれ、空っぽの中身を晒されても、それでも生きてきた。



192 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/05/13(月) 00:39:18.30 ID:bVfjB2rg0



「だけどね、エリカさんのいない世界は真っ白なんだ」


大洗での日々は楽しかった。それは嘘ではない。

確かな絆があった。それを否定するつもりは無い。

ただ、それでも、


「私にとって、エリカさんのいない世界は真っ白で、痛くて、悲しくて。エリカさんを救えなかった私が、憎くて、許せなくて、たまらないんだ」


揺るぎない想いがみほの中にある。

エリカへの想いと、そして――――自らへの憎悪が。



「この悲しみが、怒りが、憎しみだけが、私を証明してくれるの」


193 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/05/13(月) 00:39:57.56 ID:bVfjB2rg0





みほ「私は、西住みほなんだって」





194 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/05/13(月) 00:53:20.24 ID:bVfjB2rg0


誰もが沈黙し、動揺する中最初に口を開いたのは桃だった。


桃「違うだろっ……そんなの、おかしいだろっ!?」


桃が泣き叫ぶように怒鳴る。


桃「お前は、何も悪くないっ!!お前がそんな苦しんで良いはずがないっ!!」


みほの手を掴み振り向かせ、感情をぶつける。


桃「お前はっ!!救われて良いんだっ!!」


涙ながらに訴える桃に、みほは本心からの笑顔と、感謝を向ける。


みほ「……ありがとう、桃ちゃん。やっぱり私、あなたの事が好きだよ」


感謝と、好意を表したその言葉に込められた意味は、拒絶だった。

桃は絶句し、そんな彼女を悲しそうに見つめるとみほは沙織たちに向き直る。


みほ「桃ちゃんだけじゃない。沙織さんたちの事も、みんなみんな、大好きだよ」


みほは今にも泣きそうな笑顔で微笑みかける。

沙織も、優花里も、華も麻子も、何も答える事が出来ない。


みほ「それでも……みんな、ごめんね。私は……今ここにいるあなたたちよりも――――エリカさんとの過去の方が大事なんだ」


大洗での日々は楽しかった。

紡いだ絆は確かにあった。

それでも、みほにとっての『世界』はエリカと共に過ごした日々のままだった。


みほ「エリカさんはもう、いない。全部全部過去で、今も、未来にも、あの人はもういない」


残った記憶さえ崩れていく。それでも、エリカと過ごした日々以上は無いと、みほは断言する。


みほ「だから私は、あの人がいた過去を、あの人を過去にしてしまった自分への怒りを失うわけにはいかないの」


みほが自身の胸元をかきむしるかのように掴む。

そこに宿った怒りは、憎しみは、痛みは、いつだってみほを苛み、みほを生かしている。


みほ「エリカさんを失った『痛み』まで失ったら私は……死ぬことさえできなくなるから」


みほにとってそれは死ぬことよりも怖いものだった。

例え全てを失っても、家族も、友も裏切っても、それでも、守らなければいけない決意だった。


みほ「私は生きるの。生きないといけないの。死ねない代わりに、生き続けるの。それが、エリカさんの望みだから」


大きな月の銀色の光の下、みほの静かな慟哭が響き渡った。


195 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/05/13(月) 00:59:00.09 ID:bVfjB2rg0
ここまでー。

描写する隙間が無かったので書きませんでしたが、桃ちゃんたちが茂みから現れたのは桃ちゃんが山頂までの最短距離を突っ走った結果です。

凄いですね大洗生。


また来週。
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/13(月) 01:21:03.10 ID:fG+jbbwI0
おつー
来週も楽しみにしてますねー
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/13(月) 01:27:02.30 ID:rZ+Y+0k30
乙でしたー
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/13(月) 01:41:32.36 ID:qqgoJXIZO
まほですら見限っているのだからそりゃ無理か
やっぱり病院いこうぜみほちゃん

...でもメンヘラの群れん中に放り込むのもな

可愛いし天才だし上品だしイジメられるなあ
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/13(月) 01:56:38.89 ID:O+zCottd0
ここで解決してたら既存のガルパンSSと変わらない有象無象になってたと思う
壁を超えた気がする
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/13(月) 14:30:15.48 ID:70wTwWrqO
この自己嫌悪の波動...どこかで
うーん、思い出せん...
それにしてもガルパンは堕ちの美がよく映える
西住流の闇がそれを全て引き立たせるのかな

やべえぜ
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/13(月) 17:04:17.78 ID:ujPd9U2GO
少し溶けた雪が凍ってもっと滑りやすくなってる状態だな
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/13(月) 19:14:47.37 ID:GF2S0XbDO
凄いな、「今を共に過ごす大洗の皆よりも、エリカとの過去の方が大切」ってこの一言にみほの絶望と闇が凝縮されている、それをみほに言い切らせる作者さんも凄い
…エリカが生きてみほのこの言葉を聞いたら、涙を流しながらみほに平手打ちするんだろうけどなあ…結局はみほが自分で立ち直る以外に道はないという事か
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/13(月) 20:23:16.39 ID:uiYfSNlZO
やっぱこの先はなんかエリカ自身の遺品的な、こう、エリカの生前の私物というか、エリカ自身に関する驚愕のドキュメンタリーがあるはず。
しかしまほパンもまたありそうだなあ。
その時には
腐った西住にいる貴様には解るまい!私には義がある!って小梅ちゃんに脱藩してほしいよ。
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/13(月) 22:07:34.47 ID:dykfxLh10
脱糞に見えた
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/13(月) 23:41:42.26 ID:8RneLrc3O
興奮しました
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/14(火) 11:26:14.02 ID:wNPDzIgM0
みほのエリカへの執着心、いいね
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/05/15(水) 22:06:40.72 ID:G3o57o7Q0
週一更新なの何とかならない?何とかして毎日更新してよ。
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/17(金) 08:13:09.19 ID:iCFHfqbEO
み○「小梅さんには正直ムラムラしますね。なんだかいつもいい匂いがするし、一見とても控えめだけど芯が強くて凄く優しい人なんです。私がまだ黒森峰にいたころにはたまに一緒の組になって練習しましたけど小梅さんはいつも気弱な私の助けになってくれて。それに狭くて暑い戦車の中にいるといろいろと体の接触も多くてそのたびに私はいけない気分になっ
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/17(金) 12:55:48.73 ID:x++xeMmtO
>>208
わっふるわっふる
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/17(金) 16:32:38.14 ID:0aDtxujGO
お前のみほで押し倒せ!
お前がみほだ!
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/17(金) 23:02:43.33 ID:eunv0I/10
何でこのスレでみほ梅の話してるのか分からないがみほ梅って何故か説得力ないよな
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/17(金) 23:03:39.45 ID:JbWWXYjXO
令和に相応しい神スレを誰か作ってくれ
次世代型のガルパンssを頼む
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/05/17(金) 23:23:25.16 ID:gqlqfWKCO
高級牛肉と高級マグロみたいな
素地が受け受けみたいな
いやしかしうまくだれか調理できないか
おれはそれを待ってるんだ
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/17(金) 23:27:16.21 ID:gqlqfWKCO
あごめん
下げ忘れた
めんごめんご
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/05/18(土) 02:30:42.87 ID:RFrGJuXvO
小ぶりであまり主張しないけど他の果実より明らかに甘く成熟した
それが小梅ちゃんの魅力なんだよ
そんな小梅ちゃんがみほちゃんと狭苦しい戦車の中でカチカチココナッツを鳴らして陸奥見合ってほしいおじさん奴なんだよ。
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/18(土) 02:32:21.62 ID:RFrGJuXvO
あごめん
また下げ忘れた
めんごめんご
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/18(土) 05:05:37.48 ID:GiOTMbAzO
土曜日ですね
早いものです
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/18(土) 18:10:14.99 ID:mjeR09m8O
みほ梅は他所に書いたら?
ここに書く意味がよくわからない
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/18(土) 22:12:32.61 ID:WUNuVFbQO
そろそろかな?待機
220 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/05/19(日) 00:43:19.67 ID:HjQKnQVP0




よろよろと、遭難者のように覚束ない足取りでみほたちはふもとを目指して歩く。

誰からも言葉は出ず、その面持ちはみほの行方を捜し焦っている時よりも沈痛なものだった。

それでも、歩む足取りは止まらず何とかふもとまで下りる事が出来た。

聞こえたため息は誰のものか、あるいは全員のものだったのか。

尋ねるものはいないまま、どうすればいいのかと皆が自問自答を繰り返していた時、ふと沙織が視線の先に人だかりが出来ている事に気づく。


沙織「みんな……」


集まっていたのは戦車道チームの面々。

山頂から下りる時に、沙織は全員にみほを見つけた事。全員帰宅するように。とメールを送っていた。

しかし、今目の前にいる戦車道チームには欠けは無く、皆がどれほどまでにみほを心配していたのか、当人も含めて感じることが出来た。

故に、その皆に何を言えばいいのか。どう答えればいいのか。みほは迷ったまま何かを言おうとしてぎゅっと唇を結ぶ。

そんなみほをねこにゃーが見つけ、駆け寄ってくる。


ねこにゃー「西住さんっ!良かった……無事だったんだね」

みほ「……ごめんなさい」


何はともかく、謝らなくてはと頭を下げるみほにねこにゃーは気にしないでと言うかのように微笑む。


カエサル「ああ、なんだ。謝る事はないさ。私たちが勝手に心配しただけなんだから」

典子「私も夜中にランニングとかよくしますし!」

そど子「いや、こんな夜中に出歩いてた事に関しては風紀委員として注意するわよ」

ナカジマ「園さんそれは後で……でも、本当に無事でよかったよ」


チームリーダーたちが口々にみほが見つかった事への安堵を示し、ほかの生徒たちも同じように喜び、微笑む。

そんな空気を切り裂くように、無言で、張り詰めたような表情の梓が生徒たちの真ん中を突っ切るように、みほの前へと歩いてきた。


梓「……」

みほ「梓、さん……」

梓「……っ!!」


瞬間、梓がみほの頬を叩く。

止める間なんて無く、みほの頬がみるみると赤くなっていくのを月明かりが照らす。



沙織「ちょっ!?」

桃「お前何をっ!?」


驚いた沙織と桃が、梓に詰め寄ろうとしたとき、その行く手をねこにゃーと典子が遮った。


221 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/05/19(日) 00:50:22.31 ID:HjQKnQVP0


ねこにゃー「待って」

沙織「でもっ!」

典子「ちょっとだけ、待ってください」


ねこにゃーと典子の覚悟のこもった表情に沙織と桃は何も言えなくなる。

そんな彼女たちの様子を気にも留めず、梓とみほは向かい合っていた。


みほ「……」

梓「……いきなりぶたれたのに何も言わないんですか」

みほ「……理由は、分かってるし、私が悪いのもわかってるから」

梓「……私は、エリカ先輩が大好きでした」


脈絡のない梓の言葉をみほは黙って聞く。


梓「強くて、凛々しくて、風になびく髪が雪みたいにキラキラしてて、本気で戦車道に臨んでる姿が、本気になれるものが無かった私には輝いて見えて」


強張っていた梓の表情が言葉が紡がれるたびに柔らかくなっていく。


梓「だから、エリカ先輩みたいになりたいって、あの人の力になりたいって。そう思ってました」


口ずさむように思い出を語る梓が今度は唇を噛みしめ、悔しそうに、悲しそうな表情をする。


梓「でも、そうやって憧れた人はもう死んでて、嘘をついてたあなたは、そんな姿で、私……馬鹿みたいですね」

みほ「……ごめんなさい」


力なく肩を落とす梓に、みほが力ない謝罪で返す。

そんなみほを梓は舌打ちでもするかのように鋭く睨む。


梓「ねぇ、ありもしない人に憧れて、もういない人を信じてた私の気持ちは、憧れは、想いはっ…どこに行けば良いんですか……?」


信じていた人に裏切られた。それならまだ良かった。憧れが怒りになるのなら、あるいはあんな人を信じた自分が悪かったと言えるのならば、こんなにも梓の心は乱されなかっただろう。

けれども、梓が信じていた人なんて最初からいなかった。

目の前にいるのは憧れの人を騙っていた偽物で、

何よりも、『本物』なんて知らない事が、梓はたまらなく辛く、歯がゆかった。

握りしめた拳が真っ白になっていく。


梓「なんで、なんであんな嘘ついたんですか。なんで、私にあんな優しい言葉をかけたんですかっ!?なんで私に微笑んだんですかッ!?」



222 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/05/19(日) 00:55:13.01 ID:HjQKnQVP0



厳しくも暖かい言葉が、笑顔が、梓の脳裏に蘇る。

それがあったから戦おうと思えた。

それがあったから強くなろうと思えた。

なのに、美しいと思った白い髪が今は忌々しく思えてしまう。


みほ「……嘘ついて、ごめんなさい」


梓を見つめながらやはり、みほが力なく謝罪する。

その言葉に、梓の目が大きく開く。


梓「私が、嘘を吐いたことに怒ってると思ってるんですか……?」


呆然と、信じられないものを見るような目。

その理由が分からず、みほは瞳で疑問を表す。

その瞬間、準決勝の日からずっと燻っていた梓の怒りが爆発した。


梓「違う……違うっ!!私が怒ってるのはっ、許せないのはっ!!」


みほの胸倉を梓が掴む。

鼻先を噛みちぎらんばかりに顔を寄せ、怒りを吐き出す。


梓「あなたがッ!私からエリカ先輩を奪った事だッ!!」


その言葉にみほが色を失い、見開いた目がぐらぐらと揺れる。


梓「信じてたのにっ、大好きだったのにッ!!」


223 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/05/19(日) 01:19:09.19 ID:HjQKnQVP0



胸倉を掴む梓の手にギリギリと首を絞めるかのように力が込められていく。

その小さく細い体が放つ怒りは、先ほどまで梓を止めようとしていた沙織たちまでも飲み込むほどだった。


梓「貫き通せない嘘なら最初からつかないでよッ!!」


そう叫ぶと、梓の手からゆっくりと力が抜けていく。

胸元を離れようとした手がトン、とみほの胸を打つ。


梓「……私はっ、大好きな人を失ったっ……あなたが、そうした」


涙交じりで所々掠れているその言葉は、けれども一番強い意味と感情が込められていた。

みほはもう、息をすることすら精一杯になっていた。


梓「勝手に憧れてたのは私で、私に文句を言う権利なんて無いのかもしれない。でもっ……やっぱり、私はあなたのした事が許せない」


胸を打った手をそのまま押し込み、みほを突き放す。

辛うじて倒れなかったみほは、動揺したまま呟くように声を出す。


みほ「……私は、私はあなたに、同じことを……」

梓「同じ……?」


怪訝な顔をする梓をみほはどこか焦点の合ってない瞳で見つめる。


みほ「大切な人を、失わせた。その気持ちがどれだけ辛いのか、私は知ってるのに。空っぽの自分を埋めるために、あなた達を、利用した」

梓「同じなんかじゃないっ!!」


みほの言葉が言い終わるや否や、梓が再び激昂する。


梓「私はっ、あなたとは違うっ!!」

224 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/05/19(日) 01:38:28.65 ID:HjQKnQVP0


そう言い切った梓は、浅い呼吸を繰り返す自分を落ち着けるためゆっくりと呼吸をする。

そして、少し落ち着きを取り戻すと真っ赤な瞳のままみほを睨みつける。


梓「私は、エリカ先輩のおかげで本気になれるものを見つけました。負けて悔しいって思えて、勝って嬉しいって思えるものに出会えました」


戦車道の授業が再開すると聞いた時、初心者の自分が大会に出るなんて考えていなかった。

友人たちに流されるように履修することを選んだ。

その戦車道に本気で打ち込んでいる人を見た。

強くて、凛々しくて、美しいその姿に自分も近づきたいと思った。

だから梓は、ここにいる。


梓「例えあなたの全部が嘘でも、私が見つけたその気持ちだけは本当です。どれだけ辛くても、どれだけ大きなものを失ったとしても、私は――――空っぽなんかじゃないっ!!」


みほに、皆に、梓は宣言する。

私は、私だと。

梓はみほの嘘の中で実(まこと)を見出した。


梓「だからっ、勝手に哀れまないでください。あなたなんかに、そんな顔される筋合いは無いっ!!」


その否定が、みほの中に響き渡る。

反響して、より強く心に刻みつけてくる。

みほの唇がゆっくりと弧を描いていく。

その瞳には目の前の後輩への尊敬と、敬意が込められていた。


みほ「……あぁ。あなたは、『強い』んだね」

梓「……私だけじゃないです。ここにいるみんな、同じ気持ちです」


225 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/05/19(日) 02:03:25.13 ID:HjQKnQVP0


そう断言する。

みほが周りを見渡す。

二人の様子を固唾をのんで見守っていた皆の表情はどれも強張っていて、誰もがその瞳に強い意志があった。


空っぽなんかじゃなかった。


みほの表情が月を見つめていた時のように穏やかになっていく。

今まで見ていた『逸見エリカ』とは似ても似つかないその柔らかくどこか頼りなく見えるその姿こそが、『西住みほ』なのだと、皆は理解した。

そして、梓はようやく『本題』に入る。


梓「だから、答えてください。……あなたは、私たちと一緒に戦ってくれますか」


手を差し伸べたりはしない。

梓の瞳は突き放すかのように冷たく、鋭い。


みほ「……私は嘘つきだよ。あなたたちを、裏切ってたよ」

梓「知ってます。絶対に許しません」


欠片も温情を込めていないその言葉に、みほは安心感を覚えてしまう。

だから、もう一度訪ねる。


みほ「私は、エリカさんみたいに強くないよ。無様で、惨めなこの姿が、本当の私なんだよ。私は……あなた達の期待に応えられるような人間じゃないよ」

梓「わかってます。でも、あなたは私たちを本気にさせたんです。その責任を、果たしてください」


その言葉をみほは何度も何度も咀嚼するように頭の中で繰り返す。

ゆっくりと飲み込み、梓の目をまっすぐ見つめる。


みほ「……そうだね。それが、私に出来る事なら」


その答えを聞いた梓は、何も言わず皆の元へと歩いていく。

ねこにゃーと典子が、心配そうにみほを見つめる沙織たちの背中を押して、その中に連れていく。

残されたのは、みほ一人。

31人の視線がが、みほに注がれる。

それに気圧されそうになる心をぐっと抑えて、みほが皆と向き合う。


みほ「皆さん。私は……西住みほです。逸見エリカの名を騙って私は、あなたたちを騙していました。嘘をついていました。

   何を言われても返す言葉もありません。本当に……すみませんでした」


226 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/05/19(日) 02:11:50.21 ID:HjQKnQVP0


そう言って頭を下げる。

罪悪感が胸の内で暴れる。

全部投げだして逃げ出したくなる。

そんな自分の心を、しっかりと抑え込む。


みほ「私にとって大洗(ここ)は、今でも他所です。私の世界は、今でも黒森峰です」


いつか、今日と同じように山頂で見た黒森峰の街並みは、今でもみほの中で輝いている。

数えきれないほどの思い出がそこにはあった。

思い出があった事だけは、覚えていられた。


みほ「この学園艦を守りたいなんて、私は言えない。そんな覚悟も決意も私には無い。だけど……」


きっともう、彼女以上なんてみつからないのだろう。

自身の贖罪の為に今度は大洗の皆を利用するのかと問われれば、否定はできないだろう。

それでも、


みほ「お願いします。私に、力を貸させてください。私に、戦車道をさせてください」


みほは、大洗(ここ)で戦うと決めた。


みほ「私に、何があるかなんてわからない。一番大切な人はもう、どこにもいない。それでも……こんな私が、力になれるのなら。私に、やらせてください」


『逸見エリカ』じゃない『西住みほ』には戦車道への誇りも、喜びも何も持っていない。

そんなものは最初から無かったから。

だからこれは、ただの『手段』だ。

自分にできるただ一つの、誠意の表し方だ。

本気で戦車道を楽しんでいる、本気で戦車道に向き合っている彼女たちと比べれば自分が戦車道をするだなんて、おこがましく、許されない事だとわかっている。

それでも今は、そうする事しか、みほには思いつかなかった。

227 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/05/19(日) 02:21:37.04 ID:HjQKnQVP0


ねこにゃー「西住さん。それが、キミの本音?」


深々と頭を下げるみほにねこにゃーが最初に声をかける。


みほ「……はい」


顔を上げないまま、みほが答える。


典子「西住さん、私たちじゃ、あなたの心を埋められませんか」


続けて典子が尋ねる。

やはり、みほは顔を上げないまま答える。


みほ「ごめん、なさい」


その様子にねこにゃーと典子は苦笑して顔を見合わせ、後ろを振り返る。


ねこにゃー「……そっか。みんな、どうする?」

カエサル「いや……どうするもなにも、決まってるだろ?」

典子「……これからもお願いします隊長!!」


ねこにゃーの問いにカエサルが答え、典子が勢いよく頭を下げる。

それを音頭に皆が頷いたり、そうだそうだと声を上げ同意を表す。

みほはゆっくりと顔を上げ、どこか信じられないといった面持ちで尋ねる。


みほ「……良いんですか?」

ナカジマ「良いも悪いも無いよ。元より君無しで勝てるとは思ってないし。……でも、ちょーっとだけ怒ってるかも?……ふふっ」


そう冗談めかすナカジマをそど子が肘で突く。


そど子「今さら一抜けたとか許さないわよ。ここまで来たんだから、ちゃんと最後までいなさい」

ねこにゃー「……澤さん」

228 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/05/19(日) 02:22:49.09 ID:HjQKnQVP0


ねこにゃーがじっと、みほを見つめていた梓に声をかける。

梓は一瞬躊躇するかのように地面を見つめると、ため息をついてみほへと向き直る。


梓「……皆はどうか知りませんが、私はあなたを許しません。だから―――今度は、あなたの姿を見せてください。許すかどうかは、その時また考えます」

みほ「梓さん……」


みほに背を向けてつかつかと去って行く梓の手をねこにゃーが掴み、典子が首に手をまわす。

急に引き留められた梓の喉からうぇ、っと詰まったような音が漏れる。


ねこにゃー「頑張ったね、澤さん」

典子「よく言ったぞ!!その根性最高だ!!」

梓「根性とかそういうんじゃなくて……私はただ、言いたい事を言っただけですって」


そう言ってそっぽをむく梓の髪をわしゃわしゃと典子が撫でまわし、ねこにゃーがうんうんと、頷く。

そんな3人の様子を、みほがどこか羨ましそうな目で見つめていると、優花里たちが声を掛けてきた。


優花里「西住殿!!また一緒に戦車道をしてくれるんですねっ!!」

華「今度こそ、あなたの花を咲かせましょう。私たちと共に」

麻子「私も、ちょっと頑張ろうと思う。だから西住さんもあんまり気負いすぎるな」

みほ「皆さん……」


優花里が、華が、麻子が、口々にみほへの想いを口にする。

そんな3人から一歩下がった所で、沙織がぎゅっと胸の前で手を握ったまま、みほへと語り掛けてくる。


沙織「みほ……あなたにとってエリカさんがどれだけ大きいのか、私はきっとちゃんとわかってないんだと思う」


わかるわけがない。わかってもおうだなんて思っていない。

みほは言葉に出さず、瞳でそう伝える。

それを受け取った沙織は、一歩も退かない。目を逸らさない。


沙織「でも、それでも、私たちはあなたの友達だよ。それだけは、忘れないで」

みほ「……はい」


229 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/05/19(日) 02:24:06.81 ID:HjQKnQVP0



みほの力ない返事に沙織は少し悲しそうな表情をする。

二人の間に重たい空気が流れる。

どうしようかと優花里たちが顔を見合わせていると、その間を割って、桃が飛び出してきた。


桃「西住ぃ!!」

みほ「うわっ!?」


突然頭を抱えられ、ぐりぐりと撫でられる。


桃「良いかっ!?辛かったらちゃんと言うんだぞっ!?今度は私が……守っでや゛る゛がら゛!!」


力強い言葉は最後まで持たず、最後はダラダラと泣き出して判別のつかない言葉になってしまう。

けれど、みほには桃の言いたい事が痛いほど伝わった。

いつだって、誰かのために泣いている彼女の姿が、似ても似つかないはずの『彼女』になぜか重なって、

みほの声が優しくなる。


みほ「……うん。お願い、桃ちゃん」

桃「桃ちゃん言うなっ!!」

柚子「そこは譲らないんだね……」


後ろにいた柚子が呆れたように笑い、泣きじゃくる桃の背中をさする。

それを見たウサギさんチームの面々が面白がって桃を慰めに行って、それがどんどんと他のチームにも連鎖していく。

いつの間にか騒ぎの中心から外れたみほとそんな騒ぎを尻目に杏が向き合う。


杏「西住ちゃん」

みほ「会長……?」

230 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/05/19(日) 02:32:03.04 ID:HjQKnQVP0



杏は何かを言おうと口を開け、二度三度瞳を揺らす。

何を言うべきか、結局思いつく言葉は一つだった。


杏「……ありがとう」

みほ「……私こそ、無理やり引き込んでくれてありがとうございます」

杏「言い方ちょっと棘がない?」

みほ「……ふっ」


僅かに口から息が漏れる。

反射的なもので、別に大した意味のあるものじゃない。

みほも、自分が笑ったと気づいていない。


けれども確かにみほは笑った。

エリカを失った日から作り笑いしかしてこなかったのに。

それが兆しなのか、一度きりのものなのか、まだわからない。



あや「桃ちゃんせんぱーい、いい加減泣き止んでよー」

桃「うるさいっ!!桃ちゃん言うな!!あと泣いてないっ!!」

おりょう「目ぇ真っ赤にしてそれは無理があるぜよ……」

桃「うるさいうるさい!!」


もうみほの事なんか関係なく好き勝手に騒ぎ出した皆をみほは目を細めて見つめる。

決勝で勝てる見込みがあるかなんてわからない。

彼女たちのために空っぽな自分に何が出来るかなんてわからない。

結局自分に出来る事は昔と変わらず戦車道だけで、

それすら縋りつくには余りにも錆びついて、崩れている。

だけど、それしか無いのだから。それだけは、残されているのだから。



『強さも、戦車が好きって気持ちも持っているあなたなら、戦車道だって好きになれるわよ。……私は、そう思ってる』


いつかの夕焼け色が蘇る。

あの時、彼女はどんな顔をしていたのだろうか。

呆れていたのか、笑っていたのか、怒っていたのか。

結局、思い出せないまま、みほは空を見上げる。

記憶がどれだけ崩れていっても、月明かりの美しさが彼女と似ていた事だけは覚えているから。



見上げた月は大きくて、それが空っぽの自分には随分と眩しいと、みほは目を細めた。


231 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/05/19(日) 02:32:50.58 ID:HjQKnQVP0
さぁ投稿しよう!って段階でやっべ直すかこれ…ってなるのはなんでなんでしょうね。

寝ます。また来週
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/19(日) 02:55:15.69 ID:0TZfNVe9O
ワクワクすんぞ
にしても梓ビンタとは肝が冷えたぜ

お疲れさまでした
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/05/19(日) 02:59:26.32 ID:72xWTJkhO
乙でした。寝ないで待ってた甲斐があった。
色々と問題残ったままながら一歩前進か。このままだとお姉ちゃんとの和解は難しそうだけど。
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/19(日) 04:18:29.43 ID:ugb4GMJ+0
今更みほに戻りましたって言われたらお姉ちゃんさらにブチギレだね。理由なんて聞いた日にはまたぶん殴られそうだ。
そんなちょっとエリカと一緒に居た(そもそも本人じゃない)だけの小娘に怒られたくらいで戻るのか!私のエリカへの愛の方が大きいわボケ!的な感じで
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/19(日) 05:55:05.13 ID:qTLb22lCO
そういえば大洗勢は西住の闇を知らんのやな
まほパンチまたありかもな
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/19(日) 08:14:30.84 ID:mvl57EXXO
乙でしたー
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/19(日) 13:11:40.32 ID:AICBd4d6O
乙でした!
みぽりんの問題は解決とは言い切れないけど、
一先ずそれはそれとしてつぎの試合にはいけそうやね
次の更新気長にお待ちしてますー
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/05/19(日) 21:29:37.24 ID:WIvzG8Io0
お疲れ様。明日も更新頼むね。
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/19(日) 22:14:27.16 ID:9Kw/gcXM0
age荒らしって幼稚すぎるからやめたほうがいいよ
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/21(火) 05:53:05.59 ID:jzKWQp5I0
更新そろそろかと思ったらまだ来てなかったンゴ…
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/21(火) 05:58:57.58 ID:jzKWQp5I0
来てたけどスレ更新出来てなくて気づかなかった…
ごめんなさい…このスレ完走するまで頑張ってください。
応援してます。
しがないファンの1人より
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/22(水) 15:35:33.67 ID:+DyHfj7+0
みぽりんは今までずっと、自分本来の得意技を封印して、縛りプレイしてたんだよね。
つまりここからのみぽりんはリミッター解除の本気モード発動と言うわけだわに。

ワクワクしてきたわに。
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/22(水) 18:11:01.40 ID:8wyfBQCsO
そろそろみほ杏の予感がする気がする
気のせいかな?
まあみほさおでもいいんだよ?
244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/24(金) 10:05:50.87 ID:Rfx03BzxO
この世界線のダージリンとは一体なんなんだろう
もっとみほに迫っていくかと思ったがドラマの傍観者になったのか
いきなりズキューンっとやるような気がしたが
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/25(土) 03:01:55.07 ID:QPonFAp6O
土曜日だよ
やったぜ
246 : ◆eltIyP8eDQ [sage saga]:2019/05/25(土) 18:51:43.64 ID:StDOPFcY0
今日の投稿難しそうなので明日でお願いします。
247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/25(土) 18:55:51.51 ID:84FarmZH0
らじゃ
あとここで書くことでない気もするけど未央おめ!
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/26(日) 07:07:55.14 ID:QZ2B9VRaO
待ちきれないんだなもぉ
早くくれよ はあはあ ガタガタガタガタ
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/26(日) 09:55:00.45 ID:+FrznF41o
そう思ってんならいちいち書くなよボケ
250 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/05/26(日) 23:29:08.09 ID:GNcdhecc0







生徒会室に置いてあるテレビに映画の終わりを示す『FIN』の文字が浮かび、消えていく。

それを見届けた優花里がリモコンの停止ボタンを押し、振り返る。


応接用のソファーに座っているのは優花里を除いたあんこうチームの面々と各チームリーダーたち。


沙織は乾いた笑い声を出しながら小さく拍手。

華は爪を見ている。

みほは決勝のための資料を纏めると言ってそもそも観ていない。

カエサルは沈痛な面持ち。

ねこにゃーはゴミを見るような目。

典子は寝ている。

梓は席を立って窓の外を見ている。

そど子は映画を見ているようで『世界の風紀を正すには』をテーマに脳内討論を重ねていた。

ナカジマは無の表情。

杏は口元は笑っているものの目は笑っていない。

柚子は開始10分でトイレに立ちたった今戻ってきた。

桃は『難解な映画だな……』と首を捻りながらうんうんと考えている。


そんな面々の様子に優花里はため息を堪えて尋ねる。


優花里「……感想をどうぞ」


そう告げて即座に質問タイムを打ち切ろうとするもそうはいかぬぞといった風に麻子が挙手をする。

優花里が一瞬舌打ちでもしそうに顔をしかめたものの、しぶしぶと言った様子で指名する。


優花里「……はい、麻子殿」


優花里の指名に麻子はゆらりと立ち上がり、こほんと咳ばらいをする。

251 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/05/26(日) 23:41:51.92 ID:GNcdhecc0



麻子「……2作目は駄作の法則ってのがあるがそんなところまでリスペクトしなくてもいいんじゃないか?」

優花里「うぐぅっ!?」


大仰に胸を抑えるリアクションを意に介さず、麻子は更に優花里を刺し貫いていく。


麻子「というか『サンダーフォース』の2作目って銘打ってはあるが実質別物だろこれ」

優花里「な、何を言ってるんですかぁ?ちゃーんと続編ですよ?」

麻子「……秋山さんの持ち味は細かい事情なんてクソくらえだと言わんばかりの爽快な映画だったはずだ。なのに今回はやれ人種差別だやれ男女平等だやれ地球環境だ。挙句の果てには仲間内での喧嘩までおっぱじめる始末だ」

優花里「同じことやったって飽きられるだけですし、そういうテーマだって必要ですって!」

麻子「それらの要素が悪いという訳じゃない。そういうテーマを持って名作にしている映画はいくらでもある。

   だが今回の場合テーマが別にあるのにそればっか前面に押し出して結果的に本来のテーマがおろそかになるのはいかがなものかと思うぞ。ていうかなんであいつらあんなギスギスしてるんだ」

優花里「チーム内での諍いなんて前作でもあったじゃないですかぁ!」

麻子「あれは諍いというよりもじゃれあい。お互いがお互いを信頼しているが故に出る軽口であって、実際そういう部分はギャグとして描写してただろ」

優花里「は、はは……」


優花里の苦しい言い訳はどんどんと打ち返されて行き、とうとう乾いた笑いしかだせなくなってしまう。


麻子「そしてこれが一番の不満なんだが……なんで前作のメインメンバーを冒頭で殺した?」

優花里「い、いやそれは……」

麻子「理由があって殺すならまだしも大したドラマもなく本当にただの事故死って……何を考えているんだ」

優花里「……スポンサーからの要望がメインキャストの交代でして」


『やっぱりな……』と麻子がため息をつき、ポリポリと頭をかく。
252 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/05/26(日) 23:45:34.86 ID:GNcdhecc0


麻子「いきなり知らん顔たちがさも『いつものメンバーだ!』みたいな顔で出てくるから『ケイさんあんな色黒だったか……?』って一瞬本気で混乱したぞ」

優花里「ま、まぁ、元より作品ごとにメインメンバーを変える予定でしたからね?」

麻子「……OK。その言い訳は認めよう」

優花里「言い訳なんかじゃ……」

麻子「だが他にも言いたい事は山ほどある。そうだな……予算の使い方がおかしくないか?」

優花里「え?」

麻子「キャスト変更もだが、やたら爆破してたな。あれサンダースの校舎の1/3くらい吹っ飛んでたぞ」


麻子は思い返すのも苦痛なレベルの映像を脳内で再生して苦い顔になる。

そんな麻子の内心を知ってか知らずか、恐らく知ったうえで優花里はおどけたように笑って見せる。


優花里「……爆破の豪快さは前作でも人気だったから必然的に増えただけですよ。爽快だったでしょ?」

麻子「……予算が増えたのはセットや爆破のド派手さでなんとなく察せるが肝心のストーリーがあれじゃな……爆破だけ見るなら花火みたほうがずっとマシだ」

優花里「なっ!?」

麻子「なんというか全体的に優花里さんらしくないというか……『こうすればユカリ・アキヤマっぽいだろ?』っていうのが透けて見えたな。そこに秋山さんのクレジットが前作までの監督から制作総指揮になってたのも考えると……」


麻子が優花里の隣に立ち、首に手をまわして屈ませる。

そしてその耳元でそっと呟く。


麻子「……秋山さん、あんまりタッチしてなかっただろ?」

優花里「う……」


優花里が視線を逸らすのを麻子は見逃さなかった。


253 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/05/26(日) 23:46:45.66 ID:GNcdhecc0




麻子「撮影期間はどのくらいだ?準決勝前からあれこれしてたと考えても一ヵ月無いだろ?直接指揮するのはもちろん制作状況すらまともに把握できてなかったんじゃないか?」

優花里「そ、それは……」

麻子「人気が出て、絡む金も大きくなる。そうすると色んなしがらみも増える。私にだってそのぐらいはわかる。次回作をすぐに作るよう要求されたんだろ?」

優花里「……そ、そうです。お金はあっても時間は無くて……全国大会の事が第一ですしどうしても……だ、だから今回の出来は」

麻子「だからといって観客を蔑ろにするのはいただけないな」

優花里「ぐっ……」


優花里の甘えた態度に厳しく返す麻子。

まだ麻子のターンは終わらない。


麻子「興行収入や観客動員数は知らないがサンダースで人気だってのを考えると1000や2000じゃきかないだろ?それだけの観客を裏切った気分はどうだ?」

優花里「そ、それはちょっと恣意的な意見が過ぎると思います……」

麻子「キャストの変更は自分で告げたのか?どうせ代理に任せたんだろ?いきなり降板を告げられた挙句こんなのが続編だと言われたケイさんたちはどう思うだろうなぁ?」

優花里「そ、そんなの麻子殿に言われる筋合いはありませんよっ!!?」


開き直って声を上げる優花里を麻子は寂しそうに見つめると、そっと離れる。


麻子「……ああ、その通りだな。ならこう尋ねようか。……秋山さんはそれを許せるのか?」

優花里「うっ……」

麻子「初めて映画を撮った時の自分に今の映画を見せられるか?仕方ないんだって言い訳するのか?」

254 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/05/26(日) 23:47:44.71 ID:GNcdhecc0



元々映画に興味なんかなかった。

たまたま友人が撮ってきた映画だったから見ていただけだった。

気づけば名作大作B級駄作問わず色んな映画を借りては見ていた。

麻子の趣味にいつの間にか映画鑑賞が加わっていた。

きっかけは間違いなく優花里で、だからこそ麻子は怒っていた。

夢と希望と趣味を大鍋で煮詰めたような優花里の作品は確かに粗も欠点も多かった。

だけど、確かに光るものがあった。

そんな優花里の最新作は駄作というのもおこがましいものだった。


麻子「小難しいお題目や色んな人に配慮した展開の挙句なんの爽快感も無い映画は秋山さんから見てどうだ?それが自分の名前で世に出された事はどうだ?――――世に出された作品は消すことが出来ないのにな」

優花里「う……うわあああああああんっ!!ごめんなさいいいいいいいいいっ!!」

沙織「もうやめて麻子!ゆかりん泣いてる!!」


とうとう我慢できなくなりわんわんと泣き出した優花里を見かねた沙織がレフェリーストップを入れる。

今ここに、秋山優花里のクリエイターとしてのプライドは粉々に砕かれた。


麻子「駄作がダメなんじゃない。クリエイターが好き勝手すれば良い物が出来るだなんてのは幻想だとわかってる。それでも、本気で取り組んだ結果の駄作なら次につながる。駄作としても中途半端なものは本当にただただ『無』なんだ。それだけは、忘れないでくれ」

優花里「は、はいぃ………」


床に手を着き涙を流す優花里に麻子がそっと寄り添い思いを伝える。

次があるかなんてわからない業界だ。

それでも、次こそは良い物を、面白いものを。

その気概が、決意こそが明日の名作を作るのだと、麻子は信じている。


255 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/05/26(日) 23:50:15.03 ID:GNcdhecc0


杏「それで決勝だけどさー、どうする?」


そんな優花里と麻子のコントを見届けた杏が干し芋を齧りながらみんなを見渡す。


カエサル「今の一幕必要だったか?」

ねこにゃー「ゴミクソ映画見せられて無駄に時間の浪費しただけなんだけど」

優花里「うぁーーーーーーんっ!!」


カエサルとねこにゃーの辛辣かつ的確な意見に再び優花里が床に突っ伏して泣き出してしまう。


沙織「お願いっ!!今はゆかりんをそっとしといてあげて!!」

杏「えっと……とりあえず西住ちゃん、お願い」

みほ「あ、はい」


おいおいと泣きじゃくる優花里の背をさする沙織を尻目に、杏の指示を受けみほが皆の下へとやってくる。

なんとなく、空気が引き締まるのを感じ、皆の背筋が伸びる。


みほ「えっと、決勝戦で戦う黒森峰は高火力にして堅牢な重戦車を中心とした編成を好んでとっています」

優花里「硬くて強い!質実剛健こそがドイツ戦車の華ですね!!」

沙織「あ、復活した」


立ち直りの早い優花里にみほは苦笑して説明を続ける。


みほ「そこに厳しい訓練と厳格な規律によって維持される隊列が加わることで正面からの勝負では無敵と言っても過言じゃありません」

沙織「なら、どうするの?」


沙織の疑問にみほは一瞬考え込むように押し黙ると、覚悟を決めたように口を開いた。


みほ「……私が提案できる最善の策は、フラッグ車を孤立させて撃破する」

沙織「それって……」

みほ「はい。サンダース戦で本来とる予定だった作戦です」


結局、サンダース戦では作戦通りにはいかず、そもそも作戦通りに行った試合など一度もない。

けれども、これしかないのなら、やるしかないのだ。

256 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/05/26(日) 23:52:20.97 ID:GNcdhecc0



みほ「……結局のところ戦力に乏しい私たちが出来る戦術はこれしかありません。真正面から戦って勝てる相手なんてアンツィオぐらいでした」

沙織「その言い方はちょっと聞こえが悪いかなーって……」

華「ですが、それが最善なのでしたら」

優花里「……勝てますか?」


優花里がおそるおそる尋ねると、みほはゆっくりと首を横に振る。


みほ「……勝てるだなんて、とても言えません。黒森峰は、あの人たちは強いです」


他でもないみほがそれを一番よく知っている。


みほ「戦車だけじゃない、積み重ねてきたものが違います。鍛え上げてきた実力があります」


4年間、ここにいる誰よりも近くで見てきたから。どれほどの努力を積み上げ、どれだけ挫折してきた人がいるのか、

そして―――そんな黒森峰を誰よりも愛していた人を知っているから。


みほ「断言します。黒森峰は、今大会……いいえ、高校戦車道最強の学校です。そして私の……大切な場所です」


たとえもう戻れなくても、疎まれ、恨まれていたとしても、かつての母校は今でもみほの中で輝いている。

それでも、


みほ「それでも、私はあなたたちを勝たせたいです。嘘だらけの私を受け入れてくれた恩に報いたいです。だから……私を、信じてください」


それでも今は、彼女たちの為に。

全てが終わった後、どんな報いでも受けるとしても。

……元より、私はもう終わった身なのにね。

みほが頭を下げながらそう内心で自嘲する。


257 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/05/26(日) 23:55:47.64 ID:GNcdhecc0


沙織「……信じるよ。あなたと、私たちならきっと勝てるって」

華「ここまで来たのですから、最後まで美しく走り抜けましょう」

麻子「信じているさ、頑張ろう西住さん」

優花里「私はまぁ、戦車に乗れただけで満足な所ありますから……あ、でも勝ちたいのは同じですよ!!優勝して凱旋パレード目指しましょう!」


沙織たちがそう笑いかける。


カエサル「ここまでこれた事自体が奇跡みたいなものなんだ。だったらもう一回ぐらいならいけるさ」

そど子「あなたに対しては風紀的に色々言いたい事あるけど、今はやめておくわ。……頑張りましょう」

ナカジマ「今さら疑う様な事しないよ。君たちの努力と頑張りと本気さは君たちの戦車が何よりも教えてくれたからね」

杏「西住ちゃん、巻き込んだのは私なんだからそんなに気負わなくていいよ」


カエサル、そど子、ナカジマ、杏がそう言ってみほの肩を叩いていく。


すると、みほの事を窓際の梓がじっと見つめている事に気づく。


梓「……あなたが一番戦車道に詳しいんですから、言われた事には従いますよ」


そう言ってまた窓の外に目を向ける背中を、典子が苦笑しながらポンポンと叩く。


典子「澤はこう言ってるが、ちゃんと隊長の言葉を信じていますよ。私も」

ねこにゃー「後悔とかそういうのは全部終わってからにするよ。今は……西住さん、キミを信じるよ」


信頼が揺らいだことがあった。あの人を信じて良いのかわからなくなった事もあった。それでも、典子もねこにゃーも今はみほを信じることにした。

きっと、梓もそうであると信じて。


258 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/05/26(日) 23:57:17.85 ID:GNcdhecc0


桃「やるしかないんだっ!!だから……やるしかないんだっ!!」

柚子「桃ちゃんおんなじこと言ってるよ?」

桃「う、うるさいっ!!いいか西住!!私たちはお前を信じるぞっ!!」


みほの言葉にやっぱり目元を赤くした桃が勢いのままがなり立てる。

それを柚子が宥めるも、火に油を注ぐ形となり桃は更に声を上げて、そしてみほをしっかりと抱きしめる。


桃「でもっ……気負うな、背負うなっ……何があっても、自分のせいだなんて思うなっ」

みほ「……うん。わかったよ桃ちゃん」


そっと桃の肩を押し、みほは微笑む。

その笑顔が嘘なのだと、桃にはわかった。

けれど今は、その言葉が聞けただけで良しとするしかなかった。

そんな桃の気遣いもみほは気づいていた。

だから、みほはまた頭を下げる。

桃だけではなく、ここにいる全員への感謝を込めて。


みほ「……ありがとうございます。それじゃあ作戦を詰めましょう。黒森峰が使ってくるであろう戦車はティーガー、ティーガーUそれに――――」


全てが終わった後、自分がどうなったって構わない。

だけどせめて……この学校は救いたい。


かつて大切な人の手を掴みきれなかった右手をぎゅっと握りしめて、みほはそう決意した。


259 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2019/05/26(日) 23:58:42.32 ID:GNcdhecc0
ここまでー。
もうすぐ最終章2話公開ですね。
私の家の近くの映画館でやってくれるので大変ありがたいです。
ドラマCDも発売しますし色々と新しい情報が出てくるのが楽しみですね。

また来週。
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/27(月) 00:41:51.15 ID:BVdRhBbb0
乙、来週が待ち遠しい…。
ワイは公開日に茨城に帰って見てくるやで、楽しみや
261 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/27(月) 02:19:40.80 ID:c7MrEbnH0
ほんと桃ちゃん好き

今の梓に対してウサギさんチームはどう想ってるんだろう
262 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/27(月) 03:17:00.29 ID:VUxwFWi2O
まほ怖い
263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/27(月) 06:57:11.55 ID:c7MrEbnH0
このSSのまほなら1対1にわざわざ付き合ってあげることはしないだろうなあ
妹への温情なんてこれっぽっちも持ち合わせてないから、大洗が勝つビジョンが全く見えない
軍神覚醒でワンチャンってぐらいか
264 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/27(月) 09:58:47.77 ID:rEEuyaMDo
むしろこのまほのほうが自分の手で引導渡すとか私情思いっきり挟みそうだと思うわ
一対一になったのは意図した訳じゃないしそこから味方くるまで逃げるなんてことはしないでしょ
265 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/27(月) 12:34:59.23 ID:vxAjsEEbO
来週のガルパンは...

試合前日に乱闘騒ぎ!?
まほパン再び!!
か、会長がケガ?!
ええっ!?大丈夫!?
怒りのアフガンと化すみぽりん!!
心揺れ動く赤星小梅さん、
パ、パイプイス攻撃い!?
や、やだもー!!

あんこう、ご期待ください。
266 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/27(月) 12:43:07.68 ID:wJcbgv3TO
更新乙です!
なんか懐かしい流れだと思ったら、ゆかりん最後の潜入がプラウダ戦前だからか
あれからあんこうチーム内で喧嘩があって、プラウダ戦があって大作過去編を経て今に至るわけだし
267 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/27(月) 12:59:51.68 ID:qQQSo+hm0
正直原作だとちょっとあれな桃ちゃんがここまで立派になってくれるとは…
今のまほは逆に私情挟みまくりでプラウダみたいなことしそう
268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/27(月) 13:05:28.08 ID:jLc8cevKO
事故以前だとまほが一番病んでたからなぁ
269 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/27(月) 18:47:05.07 ID:zEwgBFOJO
みほは結局どうするべきなのか
救いは無いのか
そもそもレズなのかどうなのか
教えてくれごひ
270 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/28(火) 01:27:03.42 ID:gwoBHDW1O
お前らもう少し大人な書き込みができないのかね
正直小学生かと疑うレベルだぞ
271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/29(水) 22:37:37.58 ID:3j5+UAP8o
ねこにゃー辛辣過ぎて笑った
272 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/06/01(土) 13:20:17.30 ID:NFL+VbLY0
早く書いて
273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/01(土) 21:40:54.18 ID:vFV/lg1c0
本当に毎度毎度楽しみすぎて、週末になると意識せずとも指が自然とこのスレを開いてしまう
274 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/01(土) 22:29:11.45 ID:5c1QZ6ocO
この世界線のエリカは神格化されて神話になったのだ
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