A-RISEという偶像2

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60 : ◆HUg149YDMA [sage saga]:2019/03/15(金) 00:28:10.47 ID:Socrmx7k0
「μ’sは戦う事を選んだ。私達は負けない事を選んだって事よね・・・。」

あんじゅの言葉通り、地区予選に向けて、私達は既存曲の完成度を重視していた。

それに引き換え彼女達は、新曲をぶつけてくると言う勝つ為の努力を惜しまなかった。

「まぁでも、今はそこを気にする時じゃないわよねぇ?」

あんじゅの含んだ笑顔もなれたもの、そう、今は志を共にする心強い仲間だわ。
61 : ◆HUg149YDMA [sage saga]:2019/03/15(金) 00:28:43.85 ID:Socrmx7k0
「明日も海未と作詞の続きをする予定だが、彼女は素晴らしいぞ!」

英玲奈が力強く、目を輝かせている。

「言葉の意味を解っているし、そのチョイスが優秀なんだ!」

「私も、ことりちゃんとライブ衣装の話をするのとっても楽しいわぁ。」

あんじゅも今までに無い手応えを感じているようね。

「あら、曲は殆ど出来上がってるわよ?明日は絵里さんとダンスの打ち合わせ、楽しみだわ。」
62 : ◆HUg149YDMA [sage saga]:2019/03/15(金) 00:29:16.67 ID:Socrmx7k0




63 : ◆HUg149YDMA [sage saga]:2019/03/15(金) 00:29:49.30 ID:Socrmx7k0
「驚いたわ。絵里さんにそこまでのダンスの知識があったなんて・・・。」

「畑は少し違うけど、ダンスを魅せるという点ではそんなに差は無いと思ってるんです。」

真姫さんの作曲を元に、絵里さん、花陽さんとダンスの構築に臨み、素直に感嘆する。
64 : ◆HUg149YDMA [sage saga]:2019/03/15(金) 00:30:15.92 ID:Socrmx7k0
絵里さんのダンスのセンス、ただ、与えられたダンスを受け入れていた私達とは全く違う手探りの試行錯誤。

そして何より、μ’Sの中で一番存在感の薄かった花陽さんの、スクールアイドルに対する観察眼。

とかく目立つところ以上に、彼女達の根幹はシッカリしていた。
65 : ◆HUg149YDMA [sage saga]:2019/03/15(金) 00:30:45.41 ID:Socrmx7k0
しかし、ここは3年間プロのレッスンを受けてきた私達がただ口を開けて教授していたなんて思われたくない。

きっとこれはステージを変えた真剣勝負だと思う。

より良いものを目指しぶつけ合う。

スクールアイドルのあり方そのもの。
66 : ◆HUg149YDMA [sage saga]:2019/03/15(金) 00:31:13.96 ID:Socrmx7k0





67 : ◆HUg149YDMA [sage saga]:2019/03/15(金) 00:31:57.62 ID:Socrmx7k0
スクールアイドルフェスティバル(仮)の成功の為に、UTXのお偉いさん達も巻き込み、準備は順調に進んでいた。

秋葉の大通りをメイン会場に許可を取る。

それに加えて駅前、UTX前をサブ会場として押さえた。
68 : ◆HUg149YDMA [sage saga]:2019/03/15(金) 00:33:17.40 ID:Socrmx7k0
穂乃果さん達には、メインの大通りで一緒に立って欲しいと言われたけど、固辞したわ。

理由の1つは、ラブライブ優勝者といけしゃあしゃあと居並ぶ事が躊躇われたから。

もう1つは、スクールアイドルの全てがμ’sに傾倒していないこと。

少しメイン会場とサブ会場が隔たれているのを利用して、ある意味μ’s派とA-RISE派を分けようという意匠な訳ね。

と言っても、それだけで終わるつもりは毛頭ないわ。
69 : ◆HUg149YDMA [sage saga]:2019/03/15(金) 00:34:00.90 ID:Socrmx7k0
「ツバサさん!会場の設営はどうですか?!」

スクールアイドルフェスティバル前日、穂乃果さんがこちらの進捗を聞きに現れた。

「えぇ、抜かりはないわ。いよいよ明日ね。」

「はい!A-RISEのおかげで、思ったよりずっと大勢のスクールアイドルに参加してもらえました!」

「ふふ。私達は少し手を貸しただけ。穂乃果さんの発想あってのお祭りだから。」

そう言うと、穂乃果さんは少しだけ照れたような仕草を浮かべる。
70 : ◆HUg149YDMA [sage saga]:2019/03/15(金) 00:34:38.09 ID:Socrmx7k0
とても嬉しい事を言ってくれるわ。

(穂乃果さん達と一緒のステージに立つのは、これが最後・・・。)

明日はついに、夢にまで見た穂乃果さんとのライブが始まる。

そのための準備は抜かりない。

さぁ、本当のサプライズが始まるわよ!
71 : ◆HUg149YDMA [sage saga]:2019/03/15(金) 00:35:11.87 ID:Socrmx7k0




72 : ◆HUg149YDMA [sage saga]:2019/03/15(金) 00:36:25.17 ID:Socrmx7k0
オープニングが始まる数分前、UTX前に私達は立っていた。

目の前には私達を慕って集まってくれた各地のスクールアイドルの面々。

過去の栄光である私達を想ってくれるのは、本当に有難い。

でも、今日この場においてはそんな事は仕舞っておいて欲しい。
73 : ◆HUg149YDMA [sage saga]:2019/03/15(金) 00:36:59.10 ID:Socrmx7k0
「みんな、今日は集まってくれてありがとう。」

一同の瞳が集まる。

「でも、勘違いして欲しくないから先に言っておくわ。」

突然の切り出しに一気に緊張が走る。
74 : ◆HUg149YDMA [sage saga]:2019/03/15(金) 00:37:40.14 ID:Socrmx7k0
「今日は誰かの為の競争ではない!」

英玲奈の力強い言葉。

「私達って、スクールアイドルが好きなのよ。」

あんじゅの優しい言葉。

「みんなの力を貸して頂戴。スクールアイドルは今ここに完成を迎えると言う事を!」

私の言葉はみんなの期待。
75 : ◆HUg149YDMA [sage saga]:2019/03/15(金) 00:38:10.95 ID:Socrmx7k0




76 : ◆HUg149YDMA [sage saga]:2019/03/15(金) 00:39:01.37 ID:Socrmx7k0
スクールアイドルの、スクールアイドルによる、スクールアイドルの為のライブが幕を開けた。

μ’sと私達A-RISEにつけられたインコムから、秋葉の街中にOPのSUNNYDAYSONGが流れる。

それは、私達スクールアイドルの想い。

自分だけでも、他の誰かでもない、みんなが輝けるステージを!

OPが終わると、各会場に割り振った各校のライブが始まる。

今秋葉の街に、スクールアイドルの素晴らしさを伝えるライブの音が響いている。
77 : ◆HUg149YDMA [sage saga]:2019/03/15(金) 00:39:34.35 ID:Socrmx7k0




78 : ◆HUg149YDMA [sage saga]:2019/03/15(金) 00:40:45.46 ID:Socrmx7k0
『え?μ’Sがこっちに来る?!』

私たち3人の声がシンクロした。

それは、スクールアイドルフェスティバル前日の夕方。

「ツバサさん!私達、A-RISEのみなさんと一緒のステージに立ちたいんです!」

穂乃果さんの開口はこれだった。
79 : ◆HUg149YDMA [sage saga]:2019/03/15(金) 00:41:29.41 ID:Socrmx7k0
明日はOPの後、会場を分割して集まってくれたスクールアイドルの単独ライブを企画していた。

もちろん、っていうか色んな配慮からA-RISEとμ’Sは別のステージで立つ予定だった。
80 : ◆HUg149YDMA [sage saga]:2019/03/15(金) 00:42:46.93 ID:Socrmx7k0
「媚びてるとか、そういうのじゃなく、UTXの前でA-RISEの皆さんと踊る事が、このスクールアイドルフェスティバルの成功の1つなんじゃないかって思うんです。」

花陽さんの言葉は派閥争いを乗り越える勇気。

「それはつまり、衆人環視のなかでの直接勝負と言う事か。」

英玲奈の目が獲物を捕らえたような輝きを発する。
81 : ◆HUg149YDMA [sage saga]:2019/03/15(金) 00:43:26.65 ID:Socrmx7k0
「ちょっと!これは勝負とかじゃなくて、スクールアイドルの融和でしょ?!」

にこさんのツッコミに、多少しょんぼりしながら英玲奈が引く。

「それなら、優勝者の所に私達が行くのが筋なんじゃないのかしら?」

あんじゅがもっともな事をいう。

「ウチらも完全に勝者だなんて思ってない、じゃダメかな?」

穏やかに希さんがフォローを入れてくる。
82 : ◆HUg149YDMA [sage saga]:2019/03/15(金) 00:44:45.30 ID:Socrmx7k0
「どっちがどっちに靡く、という事にはしたくないんです。」

海未さんの意見も最もだと思う。

きっとこれもある種のサプライズになるんじゃないかって思ったわ。

まさか、こっちからするはずの提案をされるなんて・・・。

「それなら、最初はUTX、最後にメイン会場でライブをするってどう?」
83 : ◆HUg149YDMA [sage saga]:2019/03/15(金) 00:45:24.10 ID:Socrmx7k0




84 : ◆HUg149YDMA [sage saga]:2019/03/15(金) 00:46:53.73 ID:Socrmx7k0
SDSの後、UTX前会場は幕を開けた。

集まってくれたスクールアイドル達が数曲ずつ演目を披露する。

その裏で、最初のサプライズのためにμ’sが集まっていた。
85 : ◆HUg149YDMA [sage saga]:2019/03/15(金) 00:47:22.53 ID:Socrmx7k0
「Private WarsとShocking Party、ちゃんと付いていけるかなぁ・・・。」

今更のように花陽さんが自信なさ気に呟く。

「そのために練習したんじゃない。いつものライブと一緒よ!」

言葉尻は強めだけど、花陽さんを気遣う真姫さん。
86 : ◆HUg149YDMA [sage saga]:2019/03/15(金) 00:48:57.86 ID:Socrmx7k0
「でもでも、あのA-RISEと共演するんだから緊張するよね〜!」

嬉しそうな穂乃果さんに一瞬萌える・・・。

「お互いさまですが、良い緊張感ですね。」

「あぁ、これでこそ本番の意味がある。」

作詞を通して英玲奈と海未さんは意気投合したみたい。
87 : ◆HUg149YDMA [sage saga]:2019/03/15(金) 00:49:37.49 ID:Socrmx7k0
「それにしても、私達の衣装にこんなアレンジをキメてくるなんて流石ねぇ。」

「印象の違うA-RISEさんの衣装を参考にするのはとっても勉強になりました。」

こちらも衣装作りを通して、似たもの同士意気投合しちゃったみたい。
88 : ◆HUg149YDMA [sage saga]:2019/03/15(金) 00:51:31.91 ID:Socrmx7k0
「あ、凜たちの時間だにゃー!♪」

「凜!、最初の入りはA-RISE!私達はサプライズよ♪」

今にも飛び出しそうな凜さんをにこやかに抑える絵里さん。

「騒がしくてゴメンネェ。」

そういう希さんの表情はすこし嬉しそう。
89 : ◆HUg149YDMA [sage saga]:2019/03/15(金) 00:53:32.98 ID:Socrmx7k0
よしっ!

サプライズを成功させるのも失敗させるのも私達次第よ!

12人で円陣を組む。

「これはきっと伝説になる!」

「うふふ。私たちのこと、しっかり見てもらいましょうね。」

英玲奈もあんじゅも気合十分!

「さぁ、ここからが私達スクールアイドルの真骨頂よ。せえのっ!」

『全てのスクールアイドルで叶える物語!!!』
90 : ◆HUg149YDMA [sage saga]:2019/03/15(金) 00:54:21.15 ID:Socrmx7k0
 
 
 
 
 
91 : ◆HUg149YDMA [sage saga]:2019/03/15(金) 00:54:53.87 ID:Socrmx7k0
場所はメイン会場。

トリのライブが始まろうとしていた。

各会場は公演を終えている。

全てのスクールアイドルが、お祭りに集まってくれたお客さまも、全ての視線が集まっている。
92 : ◆HUg149YDMA [sage saga]:2019/03/15(金) 00:55:42.21 ID:Socrmx7k0
私達12人が演ずるのはSnow halationとKiRa-KiRa Sensation!

Snow halationは、あえて私達が指定したわ。

私達の可能性を、私達が敗れた楽曲を更に超えていく為に。
93 : ◆HUg149YDMA [sage saga]:2019/03/15(金) 00:56:13.66 ID:Socrmx7k0
本番直前、私達は不思議な高揚感に包まれていた。

ラブライブ地区予選の時でもない。

私達の卒業ライブの時でもない。

今ここに、何のわだかまりもない二つのグループが、楽しさだけを胸に1つの演目に全力を尽くす。
94 : ◆HUg149YDMA [sage saga]:2019/03/15(金) 00:57:04.11 ID:Socrmx7k0
先んじてUTX前で演じた12人でのステージはとても素晴らしいものだった。

だから、これだけは言える。

今から始まるステージも、きっと素晴らしいものだと。

スノハレのイントロが流れる。

もちろん失敗は許されないが、それ以上に穂乃果さんと1つの楽曲を演ずる楽しさが何よりも勝っていた。

浮かび上がる12人のシルエットに会場がざわめく。

イントロが始まり、上げた視線で穂乃果さんと目があう。

(私達のリベンジ、受け取って頂戴!)
95 : ◆HUg149YDMA [sage saga]:2019/03/15(金) 01:01:24.99 ID:Socrmx7k0
 
 
 
 
 
96 : ◆HUg149YDMA [sage saga]:2019/03/15(金) 01:01:52.23 ID:Socrmx7k0
そしてKiRa-KiRa Sensation!

私が外から見たこの曲の印象は、楽しそうで悲しい曲。

でも今は違う、きっと穂乃果さんも、μ'sの皆もそうだと思ってる。
97 : ◆HUg149YDMA [sage saga]:2019/03/15(金) 01:02:45.21 ID:Socrmx7k0
『奇跡それは今さ、ここなんだ』

『みんなの想いが導いた場所なんだ』

『だから本当に今を楽しんで』

『みんなで叶える物語。夢のstory』

スクールアイドルの想いをここに!
98 : ◆HUg149YDMA [sage saga]:2019/03/15(金) 01:03:11.49 ID:Socrmx7k0




99 : ◆HUg149YDMA [sage saga]:2019/03/15(金) 01:04:09.47 ID:Socrmx7k0
曲が終わった瞬間から、アンコールの声が鳴り響く。

解ってる。

ここで歌う曲はもう1つしかない。

穂乃果さん達と目配せをする。
100 : ◆HUg149YDMA [sage saga]:2019/03/15(金) 01:05:13.21 ID:Socrmx7k0
『みんなー!今日は何のお祭り?!!!』

『スクールアイドル!!!』

私に合わせて、英玲奈と海未さんが声を高ぶらせる。

『ならば、ここで歌うべきは何だ?!』

『スクールアイドルの歌!!!』

『それじゃあ、みんなでタイトルコール行くわよ!』

あんじゅとことりさんの音頭に会場がシンクロする!
101 : ◆HUg149YDMA [sage saga]:2019/03/15(金) 01:06:20.70 ID:Socrmx7k0


『SUNNY DAY SONG!!!』

102 : ◆HUg149YDMA [sage saga]:2019/03/15(金) 01:07:01.56 ID:Socrmx7k0
イントロが始まる。

『みんなの全てを!』

絵里さんと希さん。

『この歌に乗せて!』

凜さんと花陽さん。

『スクールアイドルの未来を!』

にこさんと真姫さん。

『みんなで叶える!!!』

私達が叶える!
103 : ◆HUg149YDMA [sage saga]:2019/03/15(金) 01:07:36.50 ID:Socrmx7k0
 
 
 
 
 
104 : ◆HUg149YDMA [sage saga]:2019/03/15(金) 01:08:04.41 ID:Socrmx7k0
『もしもし?清水です。お久しぶりです。』

『昨日のライブ、とっても素敵でした!』

『A-RISEはやはり、時代を作れるユニットだと思わずにはいられません。』

『それでは、明日。』
105 : ◆HUg149YDMA [sage saga]:2019/03/15(金) 01:08:49.28 ID:Socrmx7k0
「だって。」

「意外と律儀だな。」

「乗せられているのは判ってるけど、評価は素直に受け取っておこうかしら。」

私達はUTXの前にいた。

宴の後とはいえ、いつもどおりの街並み。
106 : ◆HUg149YDMA [sage saga]:2019/03/15(金) 01:09:31.89 ID:Socrmx7k0
昨日はとても素晴らしい一日を過ごせたわ。

スクールアイドルの歌。

そして穂乃果さんとのステージ。

スクールアイドルしかやってこなかった私達が、最後の最後でスクールアイドルらしいライブをする事ができた。
107 : ◆HUg149YDMA [sage saga]:2019/03/15(金) 01:10:27.75 ID:Socrmx7k0
明日は正真正銘、私達がプロのアイドルになる日。

でもそれは外側だけの事。

やる事は何にも変わらない。

私達の求める事は1つ。
108 : ◆HUg149YDMA [sage saga]:2019/03/15(金) 01:11:16.69 ID:Socrmx7k0


『A-RISEはみんなの想いを叶えるアイドル。』

109 : ◆HUg149YDMA [sage saga]:2019/03/15(金) 01:16:07.41 ID:Socrmx7k0
以上です。

初めて書いたSSが前作でしたが、気力が足りずに全てを書ききれませんでした。

何年もかかりましたが、一応書ききったと言う事でホッとしています。

ご清覧ありがとうございました。
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