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A-RISEという偶像2
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1 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/13(水) 03:01:38.84 ID:eBxgQwMI0
前作です
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1466793478/
前回は書けなかったSDS周りの話です
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1552413698
2 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/13(水) 03:03:44.83 ID:eBxgQwMI0
卒業ライブという一大イベントを終え、私たちは燃え尽きていた・・・。
「ねぇ英玲奈・・・。ちょっと呆けすぎじゃない?」
そう言う、あんじゅの声にも全く覇気がない。
「今は英気を養う時なんだ・・・。」
英玲奈は虚ろな目でどこか虚空を見つめている。
リーダーとして、ここは二人に発破をかけなければいけない、とは思っていても心身が言う事を聞かなかった。
3 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/13(水) 03:07:51.28 ID:eBxgQwMI0
なんだか卒業ライブの成功を受けて、UTXのお偉い様たちは少々気が変わったみたい。
正式にプロ契約が発効する4月一日までは、好きに校舎を使って良いとのお達しだった。
恩でも売ってるつもりなのかしら。
勝手なもんね・・・。
4 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/13(水) 03:08:40.60 ID:eBxgQwMI0
芸能プロダクションの清水さんは、契約の発効までは貴方達の所属はあくまでUTXだと言って最近顔も見てない。
『短い間だけど、最後の高校生生活を満喫してみたらどうだ?』
チーフは簡単に言ったけど、私たちはアイドル活動以外の過ごし方なんて知らないのよ。
結局は、何をするでもなくUTXに集まり、何をするでもなく時間を過ごし、何をするでもなく帰宅する日々。
酷いスケジュールをこなした反動で、何をする気にもならなかった。
5 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/13(水) 03:09:43.55 ID:eBxgQwMI0
最早、引き篭もりと大差ない状況よね。
「何にもしてないけど、そろそろ帰る〜?」
「・・・そうね。」
「・・・そうだな。」
あんじゅの一言で、私たちはもぞもぞと動き出す。
ほんと、こんな姿を穂乃果さんにだけは見られたくないわ。
6 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/13(水) 03:10:45.42 ID:eBxgQwMI0
自分の体たらくを卑下しながら立ち上がった時、激しく扉を開け放ち、何日ぶりだろうかチーフが顔を現した。
「おーい!お前たち!今すぐ外に出ろ!!!」
「っ何事だ!」
あまりの勢いに、少しだけ英玲奈の表情に緊張が走る。
7 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/13(水) 03:11:21.51 ID:eBxgQwMI0
「まあ良いから。とにかく今すぐUTXビジョンを見に行け!」
一々要点を言わないのは相変わらずなのね。
私たちはグチグチ文句を良いながらも外に出る。
8 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/13(水) 03:12:01.95 ID:eBxgQwMI0
薄暗くなった夜空に照らし出された映像は、まさしくμ'sの姿だった。
「あれは・・・何?」
それは、見たことのない衣装で、見たことのないステージに立つ彼女たちの姿だった。
「オレもさっき知ったばかりなんだが、アメリカのメディアが日本のスクールアイドル文化を紹介したいって、ラブライブ優勝者としてμ'sを招待したんだ!」
9 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/13(水) 03:12:42.67 ID:eBxgQwMI0
・・・なんて事なの?
私達が卒業ライブくらいで燃え尽きている間に、穂乃果さんたちは海外にまで羽ばたいていた!
薄暗いステージに照らし出されるμ'sの新たな一面。
正直、ここまで来たのかという感嘆しかなかった。
10 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/13(水) 03:13:15.55 ID:eBxgQwMI0
(自分たちの『楽しい』をここまで表現する力、思わず引き込まれる魅力。)
私たちは、少し前まで彼女たちの前に居た。
しかし少しの差で追い越され、逆に今は少なくない差をつけられたのではないか。
そう思わずにはいられない。
11 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/13(水) 03:13:57.50 ID:eBxgQwMI0
「・・・呆けてる場合、じゃ無かったみたいねぇ。」
「あぁ、私たちは辿り着いただけだったんだ。」
あんじゅも英玲奈も目に力が戻っている。
もちろん私も・・・。
私たちは再び動き出すきっかけを求めていたのかもしれない。
12 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/14(木) 23:37:29.94 ID:tOu+WwfU0
13 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/14(木) 23:38:06.90 ID:tOu+WwfU0
μ’sの海外ライブは予想以上に反響があったみたい。
UTXに向かう道すがら、秋葉の街は見事に一色に染まっていた。
「ふふ・・・、穂乃果さんなら、とは思わない事もなかったけど流石にやりすぎね。」
それは羨望なのか、嫉妬なのか。
(・・・穂乃果さん、私これでも結構負けず嫌いなのよ。)
踏み出す一歩に力がこもる。
14 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/14(木) 23:46:12.80 ID:tOu+WwfU0
街に流れるメロディは私を否応なしに奮い立たせてくれる。
今日はチーフに要請されて、後輩たちに付き合う予定。
あのチーフのことだから、何か企んでいるんだろうけど、それはまあ良いわ。
思えば、UTXのスクールアイドル活動は、この3年間私たちA-RISEにかかりっきりだった。
それはつまり、後塵の育成が急務だと言うこと。
私たちを広告塔に拡大してきた学校だからこそ、一代限りなんて訳にはいかないわ。
15 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/14(木) 23:46:56.54 ID:tOu+WwfU0
「さあみんな!今日は大先輩であるA-RISEに特別に来てもらったぞ!」
チーフの一言に場の空気が引き締まる。
(・・・そんなにプレッシャーかけなくっても、ていうか、こっちも重いわよ・・・。)
そんなことを思いながらも、新人たちの前に立つ。
普段、外出先で一般人に向けられるような眼差しは一切感じない。
(みんな気合の入った目をしているわね。)
16 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/14(木) 23:47:25.53 ID:tOu+WwfU0
「・・・初めまして。A-RISEのリーダー、綺羅ツバサよ!」
「あなた達の本気、見せてもらいましょうか。」
・・・決まった・・・!
A-RISEモードのツバサを演じきった達成感に浸る。
17 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/14(木) 23:48:06.84 ID:tOu+WwfU0
「統堂英玲奈だ。分からない事があったら遠慮なく言ってくれ。出来る限り力になろう。」
英玲奈はこういうの好きよねー。
お世話焼きたがり屋。
「優木あんじゅよ〜。みんな仲良くしてね〜。」
にこやかで、柔らかい物腰。
でもその目は早速、値踏みを始めている。
曲者の本領発揮かしら?
18 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/14(木) 23:48:34.64 ID:tOu+WwfU0
そんな私たちの前には、今年度の一年生と、来年度の新入生がズラリと並んでいる。
その目にはUTXに入学した自負、一年を過ごしたプライド、彼女たちの目は野心で輝いていた。
19 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/14(木) 23:49:09.35 ID:tOu+WwfU0
「・・・なるほど、な。これは教え甲斐がありそうだ。」
英玲奈がつぶやく。
確かに、野心は生き馬の目を抜く芸能界では必須。
でも、それだけではいけないのは、私達が散々思い知ったこと。
「うふ、まるで昔の自分たちを鏡写しに見てるみたいね。」
英玲奈もあんじゅも、それを当然のように理解している。
20 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/14(木) 23:49:38.38 ID:tOu+WwfU0
彼女達に関しては、『今は』それでも良いと思う。
言葉で言ったところで心が伴わなくては意味がないし、伝わらない。
「良いわ。あなた達の目。その目でしっかりと感じ取りなさい。」
そう言う私の視界の端に見えるチーフが何故か満足気なのは気に入らないけど。
21 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/14(木) 23:50:17.71 ID:tOu+WwfU0
・
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22 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/14(木) 23:50:56.04 ID:tOu+WwfU0
合同レッスンが始まって2時間くらい。
まあ、これは当たり前と言えば当たり前なんだけど、新人たちに疲れの色が見え始めてきた。
「どうしたお前たち!まだまだ先輩は物足りないぞ!」
チーフが珍しく激を飛ばしている。
「スクールアイドルが疲れた顔をしてどうする!」
「本当のステージはこの10倍は疲れるわよぉ。」
23 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/14(木) 23:51:38.59 ID:tOu+WwfU0
なんだかな。
英玲奈とあんじゅの先輩面が少し可笑しい。
かく言う私も・・・。
「あなた達の目標は何?A-RISEになること?それとも、A-RISEを超えること?」
ここで目標を小さくしてやる事はない。
ハッタリでも見据えるべき頂を真っ直ぐ見ていて欲しい。
24 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/14(木) 23:52:04.97 ID:tOu+WwfU0
・
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・
25 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/14(木) 23:52:37.38 ID:tOu+WwfU0
練習を終え、クールダウンをしている私達に、数人の新人達が寄ってくる。
「A-RISEの皆さん!」
勢いに任せた語りかけに私達も少し身構える。
「どうした?」
英玲奈が早速、世話を焼いてくる。
26 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/14(木) 23:53:15.88 ID:tOu+WwfU0
一瞬躊躇したと思った目が力をさらに増して射抜いてくる。
「あの・・・、負けるってどういう気持ちなんですか?!」
「あら・・・。」
あのあんじゅが、思わず素の声を漏らした。
それも無理は無い。
私達の周囲では、地区大会で敗れた事に対してデリケートな配慮が感じられていたから。
27 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/14(木) 23:54:08.45 ID:tOu+WwfU0
「・・・・。」
突然の質問に、私も少し考え淀む。
質問そのものの答えじゃない。
『負けを知らない』
この事実を言葉で伝えるのは本当に難しい。
後輩達も緊張の面持ちで返答を待っている。
28 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/14(木) 23:54:56.45 ID:tOu+WwfU0
「そうね・・・。私達の努力が叶わなかったって所かしら。」
努めて平静を装いつつ、当たり障りの無い返答をする。
「・・・!」
数人が物言いたげな表情をする。
うん、判ってる。
今の答えで納得するような聞き分けの良い子なら、きっとこの場には居ない。
29 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/14(木) 23:55:28.43 ID:tOu+WwfU0
「・・・、貴方達も負けてみるといいわ。」
予想だにしなかったのだろう、驚きの表情を向けられる。
「ふふ。ウチのリーダーは手厳しいのよ♪」
あんじゅが絶妙なタイミングで場をほぐす。
「負ける事が重要なんじゃない。スクールアイドルの本質を突き詰めるんだ。」
そして世話を焼いちゃう英玲奈。
トンチのようなやり取りに、新人達も困惑を隠せない。
30 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/14(木) 23:57:07.95 ID:tOu+WwfU0
「今の自分がオーディエンスにとって本当に最高なのか、常に自問自答しなさい。」
英玲奈とあんじゅと視線を交わす。
「最高のスクールアイドルとは何なのか。」
「お客様はただ口を開けて待っていないのよ〜。」
「それが、『スクールアイドルの物語』なの。」
31 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/14(木) 23:57:45.41 ID:tOu+WwfU0
・
・
・
32 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/14(木) 23:58:16.39 ID:tOu+WwfU0
「いやぁ〜、君たちをレッスンに招集して大正解だったよ!」
きっと、狙い通りだったのだろう。
チーフは満面の笑みを浮かべている。
まあ体力も技術も精神面も、年季が違うのは当たり前ね。
だけど、眼前に目標があるのは良いことよ。
それは後輩達だけでなく、私たちも同じ。
33 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/14(木) 23:59:02.38 ID:tOu+WwfU0
「あんな熱い目をした奴らに見られていると思うと、な。」
「そうねぇ。私達の3年間も伊達じゃなかったって事かしら。」
「私達を見てくれてたのは、お客さんだけじゃなかったって事ね。」
μ'sだけじゃない。
私達に刺激を与えてくれる人たちが、こんなに身近に居たなんて。
34 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/15(金) 00:00:13.86 ID:Socrmx7k0
「ここんとこの君達は妙に老け込んでたからなぁ!」
チーフの言葉に全員がピクリと反応した。
「ほう、これでもうら若き乙女であると言う自覚はあったのだがな?」
「まさか、チーフが私達の事をそんな風に思っていたなんて意外ね。」
「うふふ。チーフ?それって『セクハラ』って言うんですけど〜?」
慌てふためくチーフとこんな軽口を言い合うのがとても懐かしく感じる。
35 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/15(金) 00:00:49.17 ID:Socrmx7k0
36 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/15(金) 00:01:20.72 ID:Socrmx7k0
「穂乃果さん、・・・μ’sの今後って決まったのかしら?」
ある日のレッスンの休憩中、ふと思い立ったことを投げかけてみた。
「そういえば、あの子達の進路の話は聞かないわねぇ。」
「どこか大手のプロダクションと契約できたのなら、漏れ聞こえるはずなんだがな。」
それが一切漏れ聞こえてこないのは・・・。
37 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/15(金) 00:02:01.09 ID:Socrmx7k0
少なくとも、彼女たちの内3人は卒業。
μ’sとして、全員プロの道へ進むのか。
それとも、卒業生の抜けた穴を新人で埋め、新たにスクールアイドルとして再出発するのか。
38 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/15(金) 00:02:39.93 ID:Socrmx7k0
「ただ、あの娘達はきっと・・・。」
そう言いかけた、あんじゅの言葉に、ふとラブライブ大会決勝のステージを思い出す。
『どうしてあの娘達、あんなに楽しそうに、あんなに悲しそうに歌ってるのかしら。』
それに比べて、今回の海外ライブは一転して楽しさだけが伝わっていた。
「アレはきっと覚悟の決まったライブ・・・って事かしら。」
「μ’sは、これで終わりにするつもりなのかもしれないな・・・。」
ポツリとつぶやく、あんじゅと英玲奈の言を否定する材料は私には無かった。
39 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/15(金) 00:03:32.33 ID:Socrmx7k0
(穂乃果さんはこのままμ’sを辞めてしまうかもしれない。)
私の、A-RISEの全てをかけたライバルが居なくなってしまう。
こうなったら、もう本人に直接聞くしかない。
スマホを手に取ると、穂乃果さんのアドレスを前に一瞬躊躇する。
(余計なお世話かもしれない。でも私は穂乃果さんに・・・!)
40 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/15(金) 00:04:09.33 ID:Socrmx7k0
・
・
・
41 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/15(金) 00:04:51.25 ID:Socrmx7k0
「ふぅーーー。」
穂乃果さんを自宅近くまで送り届けたあと、思わず大きく息を吐き出す。
「・・・リムジンは拙かったかしら・・・。」
「ふふ。かなり萎縮してたぞ。」
「・・・そうねぇ、でもあれで良かったのかしら?」
あんじゅが心配そうにこちらを伺う。
42 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/15(金) 00:05:34.91 ID:Socrmx7k0
「こればかりは誰かに決めてもらうという訳にはいかないだろうな。」
英玲奈の言うとおり。
例え、お願いした所でどうにかなるものではない事は判ってる。
私たちも一度は考えた。
『続けるか、否か。』
この問いは私たちスクールアイドルにとって避けては通れない道ともいえる。
43 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/15(金) 00:06:09.03 ID:Socrmx7k0
『スクールアイドル』の寿命はどんなに長くて3年。
「せめてμ’sの9人が同学年だったらねぇ・・・。」
「そうだな。何の問題もなく9人を引き取れたかもしれない、が・・・。」
「私たちとの完全な違いはそこね。」
44 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/15(金) 00:06:35.49 ID:Socrmx7k0
高校生活中に、一定の成果を得られたのなら、自然とその先が見えてくる。
私たちは、求められている事を知った。
ならば、全力でそれに答えなければいけないと思っている。
穂乃果さん、あなたは一体どんな答えを選ぶの?
45 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/15(金) 00:07:13.23 ID:Socrmx7k0
46 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/15(金) 00:07:40.10 ID:Socrmx7k0
『全てのスクールアイドルの為のライブ?!』
英玲奈とあんじゅの素っ頓狂な反応も無理は無いわ。
「えぇ、そうよ。さっき穂乃果さんから提案があったの。」
それは、スクールアイドルの素晴らしさを、想いを、楽しさを伝えるためのライブ。
この繋がりを後世に残すため、スクールアイドルの火を消さないために。
47 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/15(金) 00:08:39.87 ID:Socrmx7k0
「ただ、ハッキリ言われちゃった・・・。μ’sは続けないって事も・・・。」
『μ’sは続けない?』
二人が声をハモらせる。
「そ、あの9人以外でのμ’sは無い、ってことだと思う。」
私の言葉に押し黙る二人。
48 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/15(金) 00:09:07.37 ID:Socrmx7k0
「・・・それなら、なぜ彼女たちが、このイベントを立ち上げるんだ?」
「・・・そうねぇ、きっと、自分たちが点けた火の責任は取りたいって所かしら。」
「そうかもしれない。でもそれはそれよ!」
私は二人の顔を見る。
49 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/15(金) 00:09:35.62 ID:Socrmx7k0
「穂乃果さんらしい、すごく面白い試みだと思うの。」
スクールアイドルである事を再確認させてくれた穂乃果さん達の想い。
「だから、私からは協力の条件として、スクールアイドルみんなの歌を作って欲しいとお願いしたわ。」
「集まった皆で、スクールアイドルの歌を歌う、か・・・。」
「確かに、実現すれば素敵なライブになりそうねぇ。」
50 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/15(金) 00:10:31.90 ID:Socrmx7k0
「・・・。」
「・・・。」
『なるほど。』
私達の思案が見事に一致した。
「となれば、まかせっきりと言う訳にはいかないだろうな。」
「そうねぇ。共同作業なんて、ワクワクしちゃう。」
μ’sとA-RISEの名前があれば相当な規模のものが出来るはず。
この高校生活最後の最後で、スクールアイドルの大きな花を咲かせてみたい!
そして穂乃果さん・・・あなたと・・・。
51 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/15(金) 00:11:24.27 ID:Socrmx7k0
・
・
・
52 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/15(金) 00:12:31.69 ID:Socrmx7k0
今でも相変わらず、ここに来ると注目されるわね・・・。
私たちは音ノ木坂学院に来ていた。
「まったく、μ’sのお膝元とは思えないな・・・。」
「それは、ご近所の有名人が来てるんだから、ねぇ♪」
生徒たちの好奇の目に晒されながら歩みを進める。
音ノ木坂の校内地図は頭に叩き込んである。
目指すはアイドル研究部の部室よ!
53 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/15(金) 00:13:10.41 ID:Socrmx7k0
意気揚々と音ノ木坂の正門をくぐる私とは対照的に、何だか不安げな二人。
「人手はきっと足りないと思うんだけど・・・。」
「何故アポイントを取らずに来たんだ?」
「え?だって行くことを伝えたら、サプライズにならないじゃない。」
54 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/15(金) 00:13:37.91 ID:Socrmx7k0
『・・・。』
押し黙る二人。
「ツバサってそんな子だったわね・・・。」
「だな。ツバサはそんな奴だ・・・。」
え?
なんか酷い事言われてない?
55 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/15(金) 00:14:12.17 ID:Socrmx7k0
「せっかく穂乃果さんたちと共同作業が出来るんだから、少しくらいサプライズがあったって罰は当たらないわよ!」
サプライズという言葉が余程気に入らないのかな?
「英玲奈・・・、こういうときのツバサは何を言ってもダメだと思うの・・・。」
「そのようだ・・・。」
少し納得のいかない諦めを受けつつ、眼前にはアイドル研究部の扉。
56 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/15(金) 00:14:48.68 ID:Socrmx7k0
・・・、このドアの向こうに穂乃果さんたちがいる・・・。
なんか柄にも無く緊張してしまう。
っていう私を全く意に介さず、英玲奈が扉を勢い良くあけてしまう。
ちょっ!
まだ心の準備が?!
57 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/15(金) 00:15:14.77 ID:Socrmx7k0
「ハロハロ〜?」
開口一番、あんじゅが気の抜けた挨拶で顔を出す。
(そ、それは私の役目・・・。)
突然の訪問に驚くμ'sの面々、そしてサプライズに浮かれていた私の気分は吹き飛ばされ、涙目を隠しつつ、私はA-RISEモードに入ってしまう。
58 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/15(金) 00:15:43.12 ID:Socrmx7k0
・
・
・
59 :
◆HUg149YDMA
[sage saga]:2019/03/15(金) 00:27:10.19 ID:Socrmx7k0
何度目かの音ノ木坂からの帰り道、あんじゅがポツリと切り出す。
「あの娘たちの制作能力の高さって、ちょっと異常ね。」
返事は無いが、私も英玲奈もきっと同じ思いを抱いたろう。
「精神面だけじゃなかった・・・。私達は胡坐をかいていたんだな。」
英玲奈がつぶやく。
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