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屍男「おい、そこのロクでなし」吸血娘「なんだ髪なし」
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24 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/05(土) 12:44:46.08 ID:9td8DOKoo
『魔女』
町外れにある古本屋を経営している妙に露出度が高い服装を着た女。
その出自、年齢共に全てが不明であり、人を誑かすような言動から魔女と言われている。
悪人を暗殺する商売もしているが、あくまでも金を稼ぐための手段の一つであり、他にもあくどい取引をいくつもしている。その目的も何かは不明。
種族は人間ではあるが、裏の世界にいくつものパイプを持っている。吸血娘は狩人のような自らを狩る存在でもなく、ただ己が利用する為だけに"こっち側"と繋がっていると推測しており、警戒されている。
戦闘能力に関しても不明、屍男のような怪物でもなければ、吸血娘のような人外でもないただの人間なのだが、二人からは敵に回したくないと本能的に避けられている。
本人自体はそこまで非情な性格ではなく、屍男に宿を貸したり、救出に手を貸すなど色々手助けはしている。しかし屍男はどこか打算的な考えがあるのではないかと疑っている。
25 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/05(土) 12:46:49.53 ID:9td8DOKoo
『狩人』
幽霊、怪物、人外など、人に危害を加える異形の者を狩る人間の総称。太古より異形に対抗する為に独自の道具、技術を発達させ、時代の裏で戦いを続けてきた。
基本的には二人一組で行動しており、単独で行動する者は珍しい。
彼らが使う道具は祓いの力を持っている。対幽霊、怪物などには極一部の例外を除いて圧倒的に有利であり、このせいで死者は日陰に身を潜むことになっている。
その他にも対人外用に爆弾、銃火器、毒など致死性が極めて高い兵器も容赦なく使用する。
26 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/05(土) 12:48:21.51 ID:9td8DOKoo
『Shadow』
全てが謎に包まれている禁忌の狩人。
半世紀ほど前から活動しており、ある日、突然消えた怪物などがいる場合はこのShadowに消されたと考えるのが最有力になるほどの実績を持つ。
その姿を目撃した者はおらず、どのような手段で異形の者を狩っているのかも不明、死体はほぼ全て跡形もなく消えている為、本当に存在しているかどうかも疑わているほど。
ただし極稀なケースとして、数体ではあるがShadowに狩られたと思われる死体が現場に残されていたことがあった。
これらの者は全て背後からの一撃で葬られており、これが忍び寄る死の影『Shadow』の名付け元になった。
27 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/01/05(土) 13:01:59.85 ID:pl4lDwf90
乙期待
28 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/01/06(日) 14:00:13.06 ID:zW/Xmae9O
乙
29 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/01/06(日) 17:11:33.30 ID:AZc5Inrso
なっつ
30 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/01/06(日) 19:18:34.50 ID:jzXKNGBXo
待ってた
31 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/01/07(月) 00:48:10.20 ID:91qmEzfso
まってたぞ!
おつおつ
32 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/08(火) 03:58:42.59 ID:zvj5FiKqo
…………………………………………………………
…………………………………………
屍男「」パチッ
屍男「……朝か」スクッ
屍男「……ッ……ッ」フンフンッ
屍男「……ッ……ッ」フンフンッ
吸血娘「うわぁ、ハゲが朝っぱらから筋トレやってる……」
屍男「……なんだ、まだ起きていたのか」
吸血娘「なんで筋トレやってんの……ちょっと気持ち悪いんだけど」
33 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/08(火) 04:00:05.14 ID:zvj5FiKqo
屍男「……別に、ただの暇潰しだ」
吸血娘「あ、もしかしてあの時、狩人にボコボコにされた時とかマフィアに拉致された時のことまだ気にしてたりするの?」
吸血娘「それでちょっとは強くなろうとしちゃってたりする?」
屍男「……」
吸血娘「……図星かよ」
吸血娘「い、いや……何かごめんな。恥ずかしいところ見ちゃったな」
吸血娘「じゃ、じゃあ私はこれで寝るから。お前も頑張れよ。うん」サッ
屍男「…………」
34 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/08(火) 04:01:44.73 ID:zvj5FiKqo
………………………………………………
………………………………
屍男「……」サッサッ
後輩女「センパイ、この後みんなで一緒にご飯行こうって話になったんですけど、御一緒にどうですか?」
屍男「……いや、俺はいい」
後輩女「えーでも――」
屍男「……俺はもう帰る。じゃあな」サッ
後輩女「あー……行っちゃった」
「だから言ったじゃない。あの人は来ないって」
後輩女「もしかしたら来るかもって思ったんですよねぇ。話すと結構気さくな人ですし」
「えー私は何か怖いって印象だったけど。あんまり人と関わりたくないってオーラばりばり出してるし」
後輩女「んー……そうですね。確かに、私もそう感じますけど……」
後輩女「……悪い人じゃないと思いますよ。多分」
35 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/08(火) 04:02:43.49 ID:zvj5FiKqo
ガチャ
屍男「……帰ったぞ」
屍男「……ん?」
屍男(……知らない靴が一足ある。来客か?)
屍男(いや、俺にもあいつにも、訪ねてくる人間などいないはずだ……待てよ。一人だけ……いないこともないか)
魔女「やっほー。ゾンビくん、久しぶりね」
吸血娘「グルルルルルル……」
屍男(……やはりこいつか)
36 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/08(火) 04:03:42.44 ID:zvj5FiKqo
屍男「……何の用だ?わざわざ遠方からこんな島国にまで出向いて来るとは」
魔女「ちょっと個人的な用事で機会があってね。ついでにゾンビくん達の様子も見に来てあげたってわけ」
魔女「どう?ここでの生活も慣れた?」
屍男「……まあ、異国だからな。文化の違いなどで色々苦労することはあるが、慣れてきたところだ」
屍男「……待っていろ。茶でも出してやる」スッ
魔女「おかまいなくー」
吸血娘「おいハゲ!こんなビッチに茶なんて出さなくていいぞ!!塩水でもやっとけ!!!!」
37 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/08(火) 04:04:54.99 ID:zvj5FiKqo
スッ
魔女「ゾンビくんってお茶を淹れるのだけは上手よね。料理は微妙なのに」ゴクッ
屍男「……いきなり失礼な事を言い出すな」
吸血娘「こいつは味覚がちょっとおかしいんだよ。普通の味付けだと薄く感じるみたいで、調味料をドバドバ入れてるからな」
吸血娘「だからいっつも味がくどくなってる。まあもう私は舌が慣れたけど」
魔女「へー……それも生前からなのかしら」
魔女「今はどこかで働いているの?帰ってくる時間が遅かったけど」
屍男「……あぁ、駅前の本屋でバイトをしている」
魔女「本屋……あ、もしかして、私のことが忘れられなかったり?」クスッ
屍男「……馬鹿を言え。ただの偶然だ。接客は俺には向かん、あまり人と関わらない職を選んだ結果だ」
魔女「またまたぁ〜」
38 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/08(火) 04:05:58.95 ID:zvj5FiKqo
魔女「あ、ならドラキュラちゃんも働いてるの?それとも学校にでも通ってる?」
吸血娘「は?なんで私まで外に出なくちゃいけないんだよ。面倒臭い」
吸血娘「金はまだ腐るほどあるんだし、わざわざんなことしないっての。学校なんて論外。私から見たら豚小屋で肉共が戯れてるようにしか見えんわ」
魔女「つまりニート生活を満喫してるってことか。相変わらずねぇ、ドラキュラちゃんも」
屍男「……まったくだな」
吸血娘「はぁっ!?私はニートじゃねえし!!働く必要がないないだけだし!!!!」
39 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/08(火) 04:07:04.87 ID:zvj5FiKqo
魔女「フフッ、良かったわ。思ったより楽しそうで」
屍男「……お前はどうなんだ」
魔女「え?私?」
屍男「……あぁ、あの古本屋と暗殺業はもう畳んだのだろう。今は何をしている?」
魔女「んー……何をしているか、か。そう言われるとどう返答していいか迷うのだけれど……」
魔女「一言で言うなら、情報収集?」
屍男「……情報収集?」
吸血娘「おいやめとけハゲ。こいつのことだから絶対よからぬことだぞ。深入りするな」
魔女「そうね。あまり表立ったことではないのは確かよ」クスッ
屍男「……相変わらずだな。お前も」
魔女「あっ、そうだ。ねぇ、ゾンビくん。『ヘヴンズ・ドア』って覚えてる?」
40 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/08(火) 04:08:24.96 ID:zvj5FiKqo
屍男「……あぁ、あのカルト団体か?」
吸血娘「私達が半年前にぶっ殺したやつの宗教団体名だっけ?それがどうした?」
魔女「その件で少し面白い話があったのよ。私も最近知ったんだけどね」
魔女「どうやら……その派生組織が、数か月前にこの国で集団自殺をやり遂げたそうなのよ。何か知らない?」
屍男「……あれか。今でも時々ワイドショーで取り上げているな」
屍男「……そうか。やはり繋がっていたのか。何か関わりがあるとは薄々気付いていたが……」
吸血娘「あーあれはこっちでも相当騒ぎになったな。私も前に似たようなことあったなとか思ったけど」
屍男「名は確か……『天国の扉』だったか。なるほど、同じ意味の言葉だな」
41 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/08(火) 04:09:37.84 ID:zvj5FiKqo
魔女「それそれ」
屍男「……残念ながら、報道されている以上のことは知らんな」
吸血娘「右に同じ、そもそもこっちじゃ裏の仕事やってないから、そういう情報も入ってこないしな」
魔女「そう……やっぱり二人に聞いてもダメか。ってなると……自分の足で探すしかないってことね」
屍男「……そいつらのことで何かあったのか?」
魔女「んー……あんまり詳しいことは企業秘密で言えないけど、まあ二人になら少しはいいか」
魔女「実はね……あのカルトが神を召喚することに成功したって噂があるのよ。いや……噂というより、ほぼ決定的な事実か」
屍男「……?どういうことだ?」
吸血娘「は?神?頭大丈夫?」
42 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/08(火) 04:11:10.81 ID:zvj5FiKqo
魔女「私も最初は信じられなかったわ。でも……多分、本当だと思う。現地で事の顛末を見届けた霊能力者が記したレポートのコピーが出回っているんだけど、作り話にしては出来過ぎているってほど正確に書かれていたわ」
魔女「で、そのレポートによると、彼らの真の目的は『かみかま』と呼ばれる神をこの世界に解き放つこと。集団自殺はその為の手段、儀式ってところかしら」
魔女「本人達と直接会った二人なら、何か引っ掛かることもあったんじゃない?」
屍男「……神、か。確かにあの教祖は死ぬ前に似たようなことを喚いていたな」
吸血娘「いや……それにしたってありえんだろ。神って、ファンタジーの世界じゃあるまいし」
魔女「一般人からしたら動く死体もヴァンパイアも十分ファンタジーよ?まあ確かに現実離れした話だけど」
魔女「今こっちでは結構その件で盛り上がってるのよね。私がこの国に来たのも、半分はそれだし」
43 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/08(火) 04:12:33.99 ID:zvj5FiKqo
吸血娘「ってことは……もしかして、私達があの教祖を殺ったのって結構重要なことだったのかもな。あいつらも同じように集団自殺を企んでたみたいだし」
魔女「そうね、結果的に言えば事前に集団自殺を防いだことによって、儀式を中断させたってことになるわ。私もこんな結末になるとは思いもよらなかった」
魔女「これからどうなるのかしらねぇ……もし、あのカルトが世界規模で儀式実行して、神とやらを呼び出したら……現代社会は崩壊するんじゃない?」
魔女「もし、そうなったらゾンビくんならどうする?」
屍男「…………」
屍男「……知らん。いきなりそんなスケールの話をされて返答出来るわけがないだろう」
屍男「そもそも、そんな信憑性がない話を信じる方がどうかしているんじゃないか」
魔女「フフッ、それもそうね……確かに、どうかしている話だわ」
44 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/08(火) 04:14:03.20 ID:zvj5FiKqo
魔女「あ、もうこんな時間。じゃあ私はこれで失礼するわ。お茶、ごちそうさま」
魔女「また何か用があったら連絡して。それじゃあまたね」フリフリ
バタンッ
吸血娘「やっとあー帰ったか。ったく……いきなり来やがって。心臓に悪いわ」ゴロン
吸血娘「何か疲れたわ。ハゲ、アイス持って来て」
屍男「……お前は一歩も動いてないだろう。全く……」スタスタ
屍男「ほら、受け取れ」ブンッ
吸血娘「ん、ナイスボール」ガシッ
吸血娘「それにしても……まさか、あの夜にやった仕事がこんな一大事になってるとはな。まあ私達はほぼ無関係だけど」
吸血娘「どう思うよハゲ。同じ『カミ』を召喚させたがってる者同士」
屍男「……どういう意味だ。それは」
45 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/08(火) 04:15:54.69 ID:zvj5FiKqo
吸血娘「だーかーらー神と髪を合わせたギャグだっての。いちいち説明させるなよ。シラけるだろ」
屍男「……全然面白くも何ともないが……俺達にはもう関係のない話だろう」
吸血娘「え?そう?無駄に正義感が強いお前なら、世界規模の話だし許せない案件だと思ったけど」
屍男「尋常ではない話だとは思うが、それだけだ。この世界で起きていることなら、この世界で生きている人間が何とかするだろう。わざわざそこに介入するつもりはない」
屍男「……俺はもう、死者だからな」
吸血娘「……ま、それもそっか。ちょっと面白そうだと思ったけど、面倒事はもう御免だな」
46 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/08(火) 04:18:03.77 ID:zvj5FiKqo
今日はここまで
時系列的には
霊能少女「本当の戦いはこれからってやつかな」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1520603965/
より数ヶ月経った後ですね
47 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/01/08(火) 04:37:26.99 ID:GVyCdWULo
おつおつ
毎回吸血鬼のギャグセンスはすごい
48 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/01/08(火) 05:54:11.69 ID:lHT1SUNlO
乙
49 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/10(木) 06:44:02.98 ID:iURN/7V3o
………………………………………………………
……………………………………………
グチャッ グチャ
「はぁっ……はぁっ……」パンパン
「はぁ……はぁ……ウッッ!!!!」パンパン
「ふーっ、スッキリしたわ。もういらないわ“コレ”」ポイッ
「さてと……欲を満たした後はちょっと一眠りしようかしら。夜更かしは美容の天敵ですものね」
「……ん?そういえばアタシ……もう死んでたわね。お肌の方はどうなってるのかしら」スッ
「ッッ!?な、何よコレ!?ガサガサじゃない!!!!今すぐ手入れしないと!!!!」ダッ
50 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/10(木) 06:45:18.42 ID:iURN/7V3o
……………………………………………………
……………………………………
屍男「……」セッセッ
後輩女「……」ジー
屍男「……何か用か」
後輩女「げっ、バレてました?完全に盗み見してたつもりだったんですけど」
屍男「……尻が見えていたぞ」クルッ
後輩女「ちょっ……!?そ、それってセクハラですよ!!!センパイ!!!!」サッ
屍男「……」セッセッ
後輩女「……」ジー
屍男「……まだ何か用か」
後輩女「いえ、別に大したことじゃないんですけど……センパイってもしかして……」
51 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/10(木) 06:46:31.79 ID:iURN/7V3o
後輩女「香水使ってます?何かいい匂いがするなって」
屍男「……」
屍男「……あぁ、まあな」
後輩女「へー、ちょっと珍しいですね。あんまりいないですよ?香水してる男の人」
後輩女「あ、それとも外国だと普通だったりするんですか?」
屍男「……さあな。そうでもないんじゃないか。ただ、俺の場合は体臭が濃いから使っているだけだ」
後輩女「え、そんなに強いんですか?」
屍男「……あぁ」
後輩女「そうだったんですか。まあ外国の人って腋が臭い人が多いって言いますもんね。そんな気にすることないと思いますよ」
屍男(……誰もワキガとは一言も言ってないんだが)
52 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/10(木) 06:47:29.79 ID:iURN/7V3o
…………………………………………………………
……………………………………………
屍男(……さて、仕事も終わったし帰るか)スッ
後輩女「あ、センパイも今帰りですか?」
屍男「……あぁ、そうだが」
後輩女「じゃあ一緒に帰りましょっか。センパイの家ってこの近くなんですか?」
屍男「……」
後輩女「うわぁ、そんな露骨に嫌な顔されるとさすがの私でも傷付くんですけど」
屍男「……別に、嫌というわけではない。好きにしたらいい」クルッ
後輩女「あっ、待ってくださいよー!」
53 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/10(木) 06:48:23.60 ID:iURN/7V3o
後輩女「で、センパイってどこに住んでるんですか?」
屍男「……ここをずっと行った道の先にある坂の上のアパートだ」
後輩女「あー……あのオバケが出そうなボロっちいところですか?どうしてあんなところに?」
屍男「見た目は悪いが、内装は近年リフォームしたばかりでしっかりしている。あれでも全部屋防音で、プライバシーを侵害される恐れはない」
屍男「駅から徒歩15分で、アクセスも悪くない。そして家賃も相場以下の優良物件だ」
屍男(……まあ、あの女から紹介された物件だがな)
後輩女「へー……見た目に寄らず結構いいところですね。私が住んでるマンションよりいい条件っぽいんじゃないですか」
後輩女「そこで一人暮らししているんですか?それともルームメイトとか……同居してる人が居たり?」
屍男「……」
屍男「……いや、一人暮らしだ」
54 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/10(木) 06:52:13.18 ID:iURN/7V3o
後輩女「あはっ、ですよねー」
後輩女「あ、じゃあ私はここで。お疲れですー」
屍男「……あぁ、またな」
屍男「……」
屍男(柄にもなく、他愛のない日常会話をしたな……)
屍男(……なぜだ。あいつと会話していると……どこか、懐かしい感覚が覚える)
後輩女「……」
後輩女「一人暮らしってことは……彼女は居ないのかな」
55 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/10(木) 06:53:04.13 ID:iURN/7V3o
ガチャッ
屍男「……帰ったぞ」
吸血娘「ん」ポチポチ
屍男「……なんだ、またゲームか」
吸血娘「悪いかバカ」ポチポチ
屍男「……毎日毎日、よく飽きないものだ」
吸血娘「毎日違うゲームやってんだから飽きるわけないじゃん馬鹿」ポチポチ
吸血娘「あ、そうだ。ハゲ、お前宛てに荷物が届いてたぞ。そこに置いてある」
屍男「……荷物?誰からだ?」
吸血娘「さあ?宛名は一応書いてたけど、多分あれ偽名だし。まあお前に荷物なんて送ってくるやつと言ったら……あの女しかいないでしょ」
屍男「……それもそうだな。昨日の今日で一体何のつもりだ」スッ
56 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/10(木) 06:54:11.35 ID:iURN/7V3o
パカッ
屍男「……これは」
吸血娘「ん?何が入ってたんだ?」
屍男「……拳銃だ。小型のな」
吸血娘「は?拳銃?」
屍男「……手紙も入っている」ペラッ
『ゾンビくんへ。昨日渡しそびれたんだけど、何だかそっちで物騒な事件が起こっているらしいわね。ってことで、以前のように悪運が強いゾンビくんなら襲われてもおかしくないので、護身用としてソレをあげるわ。大事に使ってね♪』
『PS.それは狩人達が使っている特製の銃弾が入ってるから、取り扱いには気を付けてね。あ、料金は出世払いってことで』
屍男「……だそうだ」
吸血娘「……なんでこいつ宅急便を使って銃なんて送れたんだ。普通捕まるだろ」
57 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/10(木) 06:55:23.17 ID:iURN/7V3o
吸血娘「それに、なんで狩人が使ってる特製の銃弾をこいつは持っているんだ……?向こうとも繋がりがあるって自首してるようなもんだろこれ」
屍男「……その辺の真偽は置いとくとして、不気味なほどに気が利いたことをしてくるな。自衛としてはこれ以上にない贈り物だが……一体何を企んでいる」
吸血娘「後で法外な値段でふっかけてくるんじゃないの。送り返せば?」
屍男「……物が物だ。さすがにこのまま返すというわけにはいかない」
屍男「……一応、預かっておくか」スッ
吸血娘「んなもん持ち歩いて大丈夫かよ。お前ハゲだし、職質されそうな見た目してるし、バレたら一発で銃刀法違反で逮捕だぞ」
屍男「……失礼なことを言うな。今まで職質は5回程度しか受けたことがない」
吸血娘「結構多いんじゃねえの?それ」
58 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/10(木) 06:57:19.45 ID:iURN/7V3o
今日はここまで
59 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/01/10(木) 07:41:26.05 ID:E3zPf/s8o
女運が絶妙ね
おつおつ
60 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/01/10(木) 20:48:36.42 ID:s1rj8NO7O
乙
61 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/11(金) 18:41:35.77 ID:A/bkzOHYo
…………………………………………………
…………………………………
吸血娘「Zzz……Zzz……」
吸血娘「Zzz……Zzz……」
吸血娘「んっ」パチッ
吸血娘「ふわぁ……あーよく寝た。今何時だ……」チラッ
『14:00』
吸血娘「うげ、まだ昼の二時かよ。中途半端な時間に目が覚めたな」
吸血娘「しゃーない。二度寝するか。おやすみーっと」ゴロン
吸血娘「……Zzz」
62 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/11(金) 18:43:16.55 ID:A/bkzOHYo
『…………』
『パパ、ねぇ、パパ』
『今日もお外に行っちゃうの?ねぇ……パパ』
『…………』
『やだよ……一人は寂しいよ……パパ……』
吸血娘「……!」ハッ
吸血娘「」チラッ
『14:30』
吸血娘「……まだこんな時間か」
吸血娘「……嫌な夢を見させやがって。おかげで目が覚めたわ」スクッ
63 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/11(金) 18:44:22.68 ID:A/bkzOHYo
吸血娘「……」モグモグ
『いやーまた××市で殺人ですか。怖いですねぇー』
『しかも、今回は被害者の遺体が上半身と下半身に分けて切断されていたということで、もうこれは連続猟奇殺人事件なんですよね。早く犯人が捕まってほしいものです』
吸血娘「まだ捕まってないのかよこいつ。この国の警察も相当無能だな」
吸血娘「まあここまで好き勝手やって手掛かりの一つもないってなると、やっぱ人間じゃないのは確定か。狩人も何やってるんだか」モグモグ
吸血娘「ん、アイス食べよっと」スッ
ガチャ
吸血娘「あれ、アイスないじゃん。もう切れたのか」
64 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/11(金) 18:45:14.00 ID:A/bkzOHYo
吸血娘「ったく、あのハゲめ。買い溜めしとけって言ったのに」
吸血娘「血とジュースはあるけど……どうしよ、今は無性にアイスが食いたい。この飢えは液体では満たされない」
吸血娘「……買いに行くか」
ガチャ
吸血娘「うおっ、まぶしっ」バッ
吸血娘「ぐぅぅ……やっぱ太陽って苦手だな。別に光を浴びたら灰になるってわけもないけど……本能的に避けたくなる。人間が闇を恐れるのと同じ原理か」
吸血娘「……日傘持ってこ」スッ
65 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/11(金) 18:46:37.81 ID:A/bkzOHYo
スタスタ スタスタ
吸血娘(そういえば……外に出るのって久しぶりだな。えーっと最後に出たのは一か月前くらいだっけ?その前は……お、思い出せない)
吸血娘(あれ、もしかして真昼間に外出するのって何気にこの国だと初めてじゃないか。覚えている限りだといつも夜だったし)
吸血娘(……自分で言うのも何だけど、確かに堕落してんな……で、でも私は人間じゃないし、ヴァンパイアって大体みんなこんな生活だし)
吸血娘(……え?みんなこんな生活リズムだよな?私が特別変なだけじゃないよね?)
ウィーン
吸血娘(ふう、やっと日差しから逃れることが出来た。さ、早く買い物済ませて帰ろっと)
吸血娘(おっ、新作の味が出てるのか。これも一緒に買おっと)
吸血娘(あとはカップ麺とお菓子も買っとくか。あのハゲはわざわざパッケージの写真調べて見せないと分からないからな。何回間違えられたか)
吸血娘(よし、これでいいか。会計会計)
66 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/11(金) 18:47:39.42 ID:A/bkzOHYo
店員「……」ピッピッ
店員「……」チラッ
吸血娘(いくら私が超絶美少女だからって、こんなチラチラ見られたらさすがに気になるっての。だからあんまり外出たくなかったのに)
吸血娘(ハゲもこんな感じで見られてるだろうに、よく毎日バイトに行ってるな。あのハゲは私の髪より目立つだろ)
吸血娘「あ、そこのから揚げも三つくれ」
ウィーン
吸血娘「ふう、後は帰るだけか」モグモグ
吸血娘「しかし、この国は飯だけは本当に美味いな。特に携帯食はやばい。無限に食べていられる」モグモグ
吸血娘「向こうでは大体冷凍食をそのまま解凍しただけのワンパターンな味か、どこのメーカーも同じような味の菓子しかなかったからな。あーうめぇ」モグモグ
吸血娘「うん、腹が膨れたらいい感じに眠くなってきたな。家に着いたらまた一眠りしよっと」
67 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/11(金) 18:49:35.29 ID:A/bkzOHYo
……………………………………………………………
………………………………………
屍男「……」サッサッ
後輩女「あ、センパイ。今日も一緒に帰りませんか?」
屍男「……いや、今日は少し用事がある。じゃあな」スッ
後輩女「あー……そうですか。お疲れ様です」
後輩女「ちぇっ、つれないなぁ。今日も一人寂しく帰るとしますかーっと……ん?」チラッ
携帯『』
後輩女「あ、これ……もしかしてセンパイの携帯?他に誰もいないし」キョロキョロ
後輩女「……忘れ物かな。まだ外に出れば間に合うかも」ダッ
68 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/11(金) 18:50:52.04 ID:A/bkzOHYo
後輩女「あちゃー……見当たらないや。どうしようこれ。明日渡そうかな」
後輩女「でも携帯って一日でもないと困るよなぁ……うーん……」
後輩女「あ、そうだ。確かセンパイの家って、あの坂の上のオバケアパートだったよね」
後輩女「……よし、行こう!」
スタスタ スタスタ
後輩女「えーっと、確かこの辺だよね」キョロキョロ
後輩女「あ、あった。あそこだ」
『』ズーン
後輩女「う、うわぁ……やっぱ不気味だなぁここ。よくこんなところに住めるよ……悪いのは見た目だけって言ってたけど」
69 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/11(金) 18:52:09.60 ID:A/bkzOHYo
後輩女「センパイの部屋はどこだろ。外国人っぽい表札を探せば見つかるかな?」キョロキョロ
後輩「おっ、ここかも。あっ……でも、どうしようか。今日は用事があるって言ってたから、まだ帰ってきてないよね」
後輩女「一人暮らしって言ってたから、誰もいないだろうし……まあいいか。一応確認としてピンポン鳴らしとこ」ポチッ
ピンポーン
吸血娘「うぃ」ガチャ
後輩女「えっ?」
吸血娘「あ?」
70 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/11(金) 18:53:12.82 ID:A/bkzOHYo
後輩女(え……だ、誰?こ、この子……すごく綺麗な髪だなぁ)
後輩女(っじゃなくて!へ、部屋間違えたのかな?うん、そうだ。きっとそうに違いない)
吸血娘(誰だコイツ。てっきりネットで注文しといたゲームが届いたのかと思ったけど……まさか、狩人?)
吸血娘(……んなわけないか。どう見ても気配が一般人のそれだし、目も隠してないしな)
後輩女「ご、ごめんなさい。部屋間違えました!」ペコリ
吸血娘「……あっそ」クルッ
後輩女「あ、すみません!ちょっと聞きたいことがあるんですけど」
71 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/11(金) 18:54:33.11 ID:A/bkzOHYo
後輩女「このアパートに住んでいる、身長が高くて髪がない、外国人の人ってどの部屋にいるか分かりますか?」
吸血娘「身長が高くて髪がない外国人……?」
吸血娘「え、もしかしてあのハゲのこと?」
後輩女「えっ、知ってるの?」
吸血娘「いや、あいつならここだけど」
後輩女「……えっ?」
吸血娘「……あ?」
72 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/11(金) 18:55:48.20 ID:A/bkzOHYo
今日はここまで
73 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/01/11(金) 19:10:26.18 ID:c+Cd00F3o
修羅場キター
74 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/01/11(金) 22:36:14.86 ID:IOHvT6ogO
乙
75 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/01/12(土) 16:24:59.62 ID:yU+Vydclo
いいぞこれ
76 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/12(土) 19:43:03.02 ID:VR5T8c57o
吸血娘「ほら、お茶」スッ
後輩女「あ、はい、どうも……」
後輩女(い、一体何がどうなってるんだか。センパイ、一人暮らしだって言っていたのに……どうして嘘を?)
後輩女(……娘、には見えないかな。全然似てないし、年齢もちょっと合わない気がする)
後輩女(同様に妹でもないだろうし……ま、まさか彼女?い、いや!それだけはない!絶対にない!)
吸血娘「んで、あのハゲのバイトの同僚だっけ?何しに来たの?」
後輩女「これなんですけど」スッ
後輩女「どうやらセンパイが職場に携帯を忘れたみたいで、それを届けに」
吸血娘「……あいつまた携帯忘れたのか。ご丁寧に銃は毎日肌身離さず持ち歩いてるっつうのに」ボソッ
後輩女「……ん?」
77 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/12(土) 19:44:39.52 ID:VR5T8c57o
吸血娘「ところで、あのハゲはちゃんとそっちで毎日仕事出来てるの?臭いとかで苦情とか来てない?」
後輩女「あ、あぁ、仕事ですか?はい、私が知る限りではよく働いていると思いますよ」
吸血娘「へーちゃんと馴染めてるんだあいつ」
後輩女「……」
後輩女「あのーちょっと失礼かもしれないんですけど、あなたはセンパイと……どんな関係なんですか?一人暮らしをしていると聞いていたんですけど……」
吸血娘「え?私とあいつの関係?」
吸血娘「んー……一言で言うなら……」
吸血娘「相棒?」
後輩女「あ、相棒?」キョトン
78 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/12(土) 19:46:06.87 ID:VR5T8c57o
後輩女(ど、どうしよう。何か余計に分からなくなってきた。相棒って……?)
後輩女(ゲームか何かの話だったりするのかな。辺り一面にそれらしきものが散らばってるし)
後輩女(……ん?)
吸血娘「」チュー
後輩女(え、なに飲んでるんだろ。あれ。透明なパックに入ってる赤いジュース?)
後輩女(くんくん……ウッ、こ、この鉄のように生臭い香りって……まさか)
吸血娘「なに?こっちジロジロ見てるけど」
後輩女「ひゃっ!?あ、ごめんなさい、気付いてました?」
後輩女「いや、何飲んでるのかなーって思って」
79 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/12(土) 19:46:56.98 ID:VR5T8c57o
吸血娘「何って、血だけど」
後輩女「へー血ですかー」
後輩女「……」
後輩女「ウェアッ!?血ぃ!?」ビクッ
吸血娘「そう、血」
後輩女「えっ!?な、なんで血飲んでるんですか!?
吸血娘「なんでって。だって私ヴァンパイアだし」
後輩女「!?!?!!!???!!??!?」
80 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/12(土) 19:48:23.02 ID:VR5T8c57o
後輩女(ヴァ、ヴァンパイア!?それってもしかして吸血鬼ってこと!?)
後輩女(い、いやないないない!!!いくら何でもそれはない!か、からかわれてるに決まってる!絶対!)
後輩女(海外だと健康法で動物の血を飲むって話を聞いたことがあるし、そ、そんな感じだ!絶対に、うん!)
吸血娘「ところで、お前ってハゲのなんなの?恋人?彼女?」
後輩女「ブフォッ!?」ブー
後輩女「げほっ……げほっ……か、彼女って……な、なんでそうなるんですか?」
吸血娘「いや、普通携帯忘れてるからってわざわざ家に来て届けたりするか?って思って。違うの?」
81 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/12(土) 19:49:56.27 ID:VR5T8c57o
後輩女「ち……違いますよ。ただのバイトの先輩後輩です」
後輩女「――今のところは」
吸血娘「ふーん……」
ガチャ
屍男「……帰ったぞ」
屍男(……?また知らない靴がある。これは……違うな。あの女のものではない)
屍男(しかし、どこか見覚えがあるような……)
82 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/12(土) 19:51:05.07 ID:VR5T8c57o
吸血娘「うぃ、お前のバイトの後輩が来てんぞ」
後輩女「あ、お、お疲れ様です。センパイ」
屍男「……っ!?」
屍男「……なぜ、ここにいる?」
後輩女「えーっと、それはそのー」
吸血娘「お前が携帯忘れてたからご丁寧に届けに来てくれたんだぞ、ハゲ」
屍男「……」チラッ
屍男「……そうか、手間をかけたな。礼を言う」
後輩女「あ、いえ!そんな大したことでもないので!」
後輩女「じゃあ私はこれで失礼しますね」スッ
83 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/12(土) 19:52:13.94 ID:VR5T8c57o
屍男「……待て、外はもう暗い。最近は物騒な話も多いからな。家の近くまで送って行く」
後輩女「えっ……あ、ありがとうございます」カァ
吸血娘「…………ふーん」
ガチャ
屍男「……すまなかったな。わざわざ家まで足を運ばせて」
後輩女「全然大丈夫ですよ。そんな距離があるわけでもないですし」
屍男「……気になるか。あいつのことが」
後輩女「え?あぁ……あの金髪の綺麗な女の子のことですか。そうですね、まあちょっとは……驚きましたし」
後輩女「一人暮らしって聞いていたのに、突然美少女が出迎えてきたら、ねぇ……」
84 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/12(土) 19:53:37.19 ID:VR5T8c57o
屍男「……あいつは」
屍男「…………俺の姪だ」
後輩女「あ、良かった。娘とか言い出したら、ちょっとどうしようかと思ってました」
屍男「……」
屍男「……姉の子でな。日本に留学することになり、俺の家で面倒を見ていたんだが……少し前に心の病を患い、ひきこもり気味になっているんだ」
屍男「だから……本人のこともあり、あまり言いたくなくてな。つい嘘を言ってしまった」
後輩女「……」
後輩女「そう、だったんですか。大変ですね」
85 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/12(土) 19:55:09.63 ID:VR5T8c57o
屍男「あいつ、何か変なこと言ってなかったか?」
後輩女「えっ……変なことですか?どうして?」
屍男「……いや、何も言っていないなら別にいいんだが」
『だって私ヴァンパイアだし』
後輩女「……いえ、特には」
屍男「……そうか」
後輩女「あ、ここまででいいですよ。もう私のマンションすぐそこなんで」
後輩女「じゃあ、今日はこれで。送ってもらってありがとうございました。また明日……って明日はシフト入れてないんだった。明後日に!」
屍男「……あぁ、またな」クルッ
後輩女「……」
後輩女「……ヴァンパイア、か」
86 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/12(土) 19:57:51.77 ID:VR5T8c57o
ガチャ
屍男「……」
吸血娘「お、帰ってきたか」
屍男「……彼女に余計なことを言っていないだろうな」
吸血娘「あん?余計な事ってなんだよ」
屍男「……俺達の正体に関わることだ。前にも言っただろ」
吸血娘(…………あ、やべ)
吸血娘(ま、まあいざとなったら私の力で記憶消せばいっか)
吸血娘「……べ、別に。何も言ってない」プイッ
屍男「……そうか」
吸血娘「と、ところで!お前なんで今日は帰り遅かったんだよ。いつもはもっと早いだろ」
屍男「……一日前に自分が言っていたことも覚えてないのか」ガサゴソ
屍男「……これをお前が買って来いというから遅くなったんだろうが」
フライドチキン『』
吸血娘「あっ!そうだった!今日はフライドチキンの日だったな!忘れてた!」
吸血娘「ほら!早くそれ寄越せやハゲ!早く!!」ピョンピョン
87 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/12(土) 19:59:30.65 ID:VR5T8c57o
屍男「……」
屍男「……」ガサゴソ
吸血娘「?」
屍男「…………アー」パラパラパラ
屍男「…………」モグモグ
吸血娘「!?!?!?!?!???!??」
吸血娘「は、はああああああああッッッ!?テ、テメェおいコラハゲェ!!!!何勝手に私のフライドチキン食べてやがんだあああああああああ!!!!!」
屍男「……別に、たまには俺も食いたくなっただけだが」モグモグ
屍男「……これは俺が買ってきたんだからな。どうしようが俺の勝手だ」モグモグ
吸血娘「ざけんなあああああああああああああああああああ!!!!!!!私のチキン返せえええええええええええ!!!!!」
屍男(……ちょっとはストレス解消になったな)
88 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/12(土) 20:00:05.77 ID:VR5T8c57o
今日はここまで
89 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/01/12(土) 20:32:36.74 ID:yU+Vydclo
仕返しが可愛い
90 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/01/12(土) 23:35:53.26 ID:3MSnSoxsO
乙
91 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/14(月) 22:14:31.89 ID:QcngyaOIo
□□□□ 翌日 □□□□
吸血娘「」パチッ
吸血娘「……またこんな陽が昇ってる時間帯に起きてしまった。昨日変な時間に起きたせいで若干時間がズレてるな。直しとかないと」
吸血娘「……」
吸血娘「あんのクソハゲめぇ!!!!!!」ブンッ
吸血娘「クソが!まだ怒りが収まらん!一晩経っても全然ムカつく!!!!」
吸血娘「私のフライドチキン食いやがってえええええええええ!!!!!あんにゃろおおおおおおおおおお!!!!!!」ブンブンッ
吸血娘「ぜぇっ……ぜぇっ……ちょ、ちょっと休憩。暴れ過ぎた」ゴロン
吸血娘「……」
吸血娘「腹減った」スクッ
92 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/14(月) 22:15:56.23 ID:QcngyaOIo
吸血娘「あぁもう仕方ない。こうなったら自分でチキン買いに行くか……本当にめんどくさいけど、この欲求には逆らえない」スクッ
吸血娘「二日連続で外出なんて初めてだな。あのクソハゲめ……帰ってきたらまた噛み付いて血吸ってやる」
バタン
吸血娘「えーっと……マップだと、店はこっちか」
吸血娘「そういえば、自分でチキンを買いに行くのはこれが初めてか。いつもはハゲに買わせてたしな……無事にたどり着けるだろうか」
吸血娘「まあ地図通りに行けばいいだけだし、よっぽどのことじゃないと迷わんだろ。へーきへーき」
93 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/14(月) 22:16:57.03 ID:QcngyaOIo
…………………………………………………………
……………………………………
吸血娘「……」キョロキョロ
吸血娘「……」ジー
吸血娘「……」
吸血娘「……迷った」
吸血娘「……なんで迷うんだ。店はこの画面上にあるはずなのに、どこにも見えない」キョロキョロ
吸血娘「そもそも、なんでこんな駅前に店がびっしり並んでるんだよ。分かりにくいわ。何がどこにあるのか」
吸血娘「チクショウ!だからこの国は嫌いなんだよファック!!!!」
「ねぇ君、可愛いね。今ひとり?」
吸血娘「あん?」クルッ
94 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/14(月) 22:18:42.84 ID:QcngyaOIo
チャラ男「うおっ外人じゃん。日本語分かる?」
吸血娘(……なんだこいつ。私をナンパしてんのか。身の程知らずが)
吸血娘(無視だ無視。こんな奴に構ってる暇はない)スタスタ
チャラ男「ちょっとぉ、無視しないでよぉ。キャンユースピークジャパニーズ?」
吸血娘「……失せろ。私は今、機嫌が悪いんだ」
チャラ男「なんだー喋れるじゃん。どう?お茶でも一緒に」
吸血娘(……チッ、久しぶりだな。この眼を見るのも)
吸血娘(こいつ、小物っぽい見た目のくせに相当悪さしてんな。あの駆除してきたゴミ共と同じ眼をしてやがる)
95 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/14(月) 22:20:15.56 ID:QcngyaOIo
吸血娘(……久しぶりに殺るか?いい街の掃除になるしな。不味そうな血だが、新鮮なうちに飲むなんてこの国に来て初めてだし)
吸血娘(あぁ……そうしよう。段々と血が飲みたくなってきた……私の腹が、喉が、本能が血を求めて鳴いてきた)
吸血娘(血を……赤く、滾る血を……)ゴクッ
「こっち!!!!」ガシッ
吸血娘「!?」グイッ
チャラ男「ちょっ!?」
ダダダダダダダダダッ
ダダダダダダダダダッ
「ふう……ここまで来ればいいかな……」
「大丈夫?変な事されなかった?」
吸血娘「お前は……」
「あ、ごめん。覚えてる?昨日お邪魔した者だけど」
96 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/14(月) 22:21:24.18 ID:QcngyaOIo
後輩女「センパイの姪さん……でいいんだよね?」
吸血娘(姪?あぁ、そういうことになってんのか。なら適当に話合わせとくか)
吸血娘「……そうだけど」
後輩女「良かった〜……いや、今日はバイトが休みだから、ショッピングしてたんだけどね、そしたらチャラい男に絡まれてる金髪の女の子がいて、もしかしたらって思ったら……まさかこんな形で再会するとは」
後輩女「ここってちょっとそういう輩が多いんだよね……あんまり一人で出歩かない方がいいよ。可愛いから、すぐ変なのが寄ってくるでしょ」
吸血娘(……つまり、私があの男相手に困ってると思って、助け舟に入ったと)
吸血娘(余計なお世話だっちゅーの。おかげでせっかくの獲物を取り逃がしちまったじゃねーか)
吸血娘(……いや、こいつでもいいか?私の勘だと、ギリギリ10代、そして恐らく……処女)
吸血娘(まさに最高の条件だ。あの男の血と比べたら、月とスッポン。高級中華料理とカップラーメンくらいの差がある)
97 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/14(月) 22:22:42.85 ID:QcngyaOIo
後輩女「ん?どうしたの?」
吸血娘「……」ゴクリ
吸血娘(……やっぱやめとこ。あのハゲの知り合いだし)
吸血娘「別に。わざわざ助けてもらわなくても、あんなの私一人でどうにかできた」
後輩女「それって……もしかして、ヴァンパイアだから?」クスッ
吸血娘「あん!?なんだその言い方!」
後輩女「ご、ごめんごめん!悪気はないから!」
後輩女「それで、今日はどうしたの?センパイから、普段はあんまり外に出ないって聞いてたけど、何か買いに来たの?」
吸血娘「ん?あぁ、お前なら分かるかも」
吸血娘「これ、ここのフライドチキンの店がどこにあるか知ってる?」
後輩女「あーこの店なら――」
98 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/14(月) 22:23:29.64 ID:QcngyaOIo
………………………………………
……………………………
吸血娘「ふふん、5000円分のチキンを買ってやった」ニヤニヤ
後輩女「す、すごいね……それ、センパイと一緒に食べるの?」
吸血娘「あ?あのハゲなんかにやんねーわ。昨日、無断で私のチキン全部食いやがったし。これは全て私の物だ」
後輩女「へ、へー」
吸血娘「……」
吸血娘「おい、お前。もうランチは食ったか?」
後輩女「え?まだだけど」
99 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/14(月) 22:25:15.56 ID:QcngyaOIo
ガチャ
吸血娘「ほら、あがれ」
後輩女「お、お邪魔します」
後輩女「……いいの?それ、一人で食べるって言ってたのに、私もご一緒しちゃって」
吸血娘「私は貸しは作らない主義なんだ。お前には店の場所を教えてもらったからな、その礼だ」
吸血娘「ほら、コーラ。チキンには一番これが合う」スッ
後輩女「あ、どうも……」
吸血娘「じゃあ食うか。あむっ……」パクッ
吸血娘「ん〜〜〜〜ッッッッ!!!!!やっぱこれだな!!!!油とチキンと胡椒が最高に合う!ちょっとサイズが小さいのが気になるが、味はいいから許してやる!」
吸血娘「ほら、お前も食え。美味いぞ」
100 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/14(月) 22:26:28.07 ID:QcngyaOIo
後輩女「い、いただきます」パクッ
後輩女「あっ……お、美味しい。フライドチキンなんてもう何年も食べてなかったけど、こんなに美味しかったんだ」
後輩女(ちょっとカロリーが気になるけど)
吸血娘「だろ?この世界で一番美味いのはハンバーガーとフライドチキンだ。ドナルドとカーネルサンダースにはノーベル賞をやってもいいと私は思う」モグモグ
吸血娘「ところでお前、歳はいくつだ?」
後輩女「え?歳?今年で19になるけど」
吸血娘「やっぱり、私の予想は当たってたな。流石だ」
吸血娘「ちなみに私は20だからな。お前さっきからタメ口だけど、敬語使えよ」
後輩女「ぶふぉっ!?」ゲホッ
後輩女「20歳って……えぇ!?ウソでしょ!?」
101 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/14(月) 22:27:28.86 ID:QcngyaOIo
吸血娘「厳密に言えば今年で21だけどな」モグモグ
後輩女(わ、私より年上だなんて……てっきり中学生くらいかと)
後輩女(い、いや……ありえるの?この見た目で20って。まさか本当にヴァンパイアってやつなんじゃ――)
後輩女「……」
吸血娘「んー♪んめんめ」モグモグ
後輩女「そ、それにしても、センパイと一緒でずいぶん日本語が上手ですね。流石留学生です」
吸血娘「……留学生?」キョトン
後輩女「えっ?」
102 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/14(月) 22:28:55.81 ID:QcngyaOIo
吸血娘「あーはいはい。まあね、うん」
後輩女(な、なんだ……今の間)
吸血娘「まあ私にかかれば人間の言語を習得するなんて、一週間もあれば楽勝だし。他にも8カ国語くらいは喋れるぞ」
後輩女「えっ!?う、嘘ですよね?」
吸血娘「マジだし。まあ滅多に使わんから持て余してるけどな。精々通販で探し物をするくらいにしか役に立たん」
後輩女「へ、へー」
後輩女(これはさすがに嘘だよね。いくら留学生で才女って言っても……20やそこらでそれだけの言葉を覚えるなんて無理だと思うし。でも日本語はものすごい流暢なのも事実)
後輩女(何者なんだろう……この人)
103 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/14(月) 22:29:58.37 ID:QcngyaOIo
吸血娘「そうだ、お前にひとつ聞きたいことがあるんだった」
後輩女「なんですか?」
吸血娘「お前、本当のところあのハゲのことどう思ってるんだ。好きなのか」
後輩女「」ギクッ
後輩女「い、いや……そんなことないですよ。昨日も言った通り、私はただの後輩で……」
吸血娘「んなわけないじゃん。普通は気にもならんやつの家にわざわざ忘れ物なんて届けないぞ。私は恋愛映画とか小説とかアニメとか漫画とかで見たから詳しいんだ」
後輩女(……全部創作じゃん)
104 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/14(月) 22:30:58.68 ID:QcngyaOIo
吸血娘「それに、お前ちょっとあのハゲと話す時に声色変わってるぞ。耳がいい私だから気付けるレベルのほんとちょっとの差だけど、明らかに声が高くなってる」
後輩女「え、うそ」サッ
後輩女(あ、しまった……)
吸血娘「その反応……図星か」
後輩女(ん、んんんん〜〜……!!ど、どうしよう。この状況)
後輩女(どうにかして言い逃れしないと……まずい)
吸血娘「あ、言っとくけど適当な嘘言っても体温の変化で分かるからな。さっさとゲロちまった方がいいぞ。それともハゲ本人に伝えてやろうか」
後輩女「……ぐっ」
後輩女「う、うぅ……わ、分かりましたよ。す、す……好きです。これでいいんですか」
105 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/14(月) 22:33:26.66 ID:QcngyaOIo
吸血娘「……」
吸血娘「……言わせといてなんだけどさ、お前男の趣味悪いな。なんであのハゲなの?」
吸血娘「あいつの会話パターン知ってるか?「……あぁ」「……そうなのか」「……そうか」が8割だぞ。まだSiriの方が多いレベルだ」
後輩女「ちょっと!普通に引くのやめてくださいよ」
後輩女「わ、私だって……ちょっと前の自分なら考えられなかったんですけど、それでも好きになっちゃったんだから、し、仕方ないじゃないですかぁ……」カァ
吸血娘「き、きっかけは?」
後輩女「……三か月前に、街で助けてもらったんです。今日と同じような状況で」
後輩女「変な人に絡まれてるところを……偶然通りかかったセンパイが。今時珍しいじゃないですか。ほとんどの人はみんな見て見ぬ振りをするのに」
吸血娘(……確かに、あいつなら目の前でそんなことがあったら、助けるだろな)
106 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/14(月) 22:35:09.89 ID:QcngyaOIo
後輩女「最初は親切な人もいるんだなって思っただけでした。でも、これまた偶然に新しくバイトに入った本屋で、センパイと再会して……」
後輩女「そこから意識しちゃって……いつの間にか好きに――好意を抱くようになっていました」カァ
吸血娘「……うわぁ」ゾッ
後輩女「だ、だから!引かないでくださいよ!こっちだって恥ずかしいんですから」
吸血娘「いやぁ……いくら何でもあのハゲはないだろ。だってハゲだぞ……頭に何も生えてないとか、もう地球の生物じゃないだろ。宇宙人にしか見えないわ」
吸血娘「お前もよく考えてみろよ。あのハゲ頭と付き合うなんて出来るのか?ずっと視界にパチンコ頭が目に入るんだぞ。叩き潰したくなるぞ」
後輩女「つ、付き合うだなんて…そんな……」モジモジ
吸血娘「……重症だな、こりゃ」
吸血娘「とにかく、あのハゲだけはやめておけよ。絶対な、てか私が許さんし」
107 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/14(月) 22:36:39.74 ID:QcngyaOIo
後輩女「……?」
後輩女「え、えぇ……許すとか、許さないとかあるんですか?」
吸血娘「当たり前だろ。だって私は――えっと、何だっけ、別れた前妻の娘だっけ?」
後輩女「……姪じゃないんですか」
吸血娘「そう、それそれ。つまり実質あいつの保護者みたいなもんだろ?だから私の許可がないとあいつに関わるのはダメ」
吸血娘(まあそもそも……例え告白されたとしても、あいつが快諾するとは思えないけど)
後輩女「……それって、逆なんじゃないですか?」
後輩女「普通はセンパイの方が保護者だと思うんですけど……」
108 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/14(月) 22:37:58.89 ID:QcngyaOIo
吸血娘「まあ普通はな。でも私達の場合は状況が違うし。だって私はあいつの命を何度も救ってるんだぞ。なら上下関係は私の方が上に決まってるじゃん。私の方があいつより強いし」
後輩女「……??」
後輩女(い、言ってる意味が全然分からない……)
後輩女「え、つまり……自分もセンパイのことが好きだから、私と一緒にいることは許さないってことなんですか?」
吸血娘「……はい?」
吸血娘「え、私の話聞いてた?んん?なんでそうなるのか全く分からないんだけど」
後輩女「いやだって、姪の許可がないとセンパイとその……付き合えないって、ちょっと変ですよ」
後輩女「それに、話を聞いてるとどこか……あなたにはセンパイを独占したいとか、そんな思想が見えるような気がして」
吸血娘「な、なわけないだろが!!!!私があのハゲのことを好きだなんて、そんなはずがない!!!!!」
吸血娘「ハゲで陰気で、作る料理は不味くて、体臭も臭いし血も不味い、おまけにハゲだし!なんでそんなやつを好きにならなくちゃいけないんだよ!!!!!」
109 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/14(月) 22:39:33.55 ID:QcngyaOIo
後輩女「……でも、そんな人と一緒に暮らしてるんですよね。本当に嫌なら、同居なんてしないと思いますよ」
吸血娘「……っっ!!」
後輩女「……私も、自分でもどうしてセンパイのことを好きになったのかよく分からないんです。初めてバイト先で声をかけた時も、私のことは覚えていませんでしたし」
後輩女「不愛想で、何考えてるかよく分からない人ですけど……不思議な魔力みたいなのがあるような気がするんですよね。ミステリックな雰囲気というか……そういうところに惹かれたのかもしれません」
吸血娘(わ、私は……あのハゲに恋愛感情?)
吸血娘(そ、それだけは絶対にない!むしろそれとは真逆の――)
吸血娘(……ッ!!そ、そうか。私は…………あのハゲを…………)
110 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/14(月) 22:40:46.30 ID:QcngyaOIo
後輩女「ど、どうしたんですか?」
吸血娘「……何でもない」
吸血娘「……私がお前に警告してやってるのは、別にそういう邪な心で言っているわけじゃない。まあちょっとはあるかもしれないけど」
吸血娘「いいか。お前にだけ教えてやる。あのハゲは……人間じゃないんだよ」
後輩女「……はい?」
吸血娘「あいつはもう死んでるんだよ。生ける屍の怪物……それがあのハゲだ」
後輩女「……えっ?」
111 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/14(月) 22:41:11.62 ID:QcngyaOIo
今日はここまで
112 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/01/15(火) 00:42:03.35 ID:+SHiaPEho
もうめちゃくちゃ
友達ができてうれしいのかな
おつおつ
113 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/01/15(火) 21:32:34.00 ID:5UVOax4CO
乙
どうなるのか楽しみ
114 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/16(水) 23:28:18.45 ID:lSkaed7to
後輩女「ど、どういう意味ですか。それって」
吸血娘「まず私が本物のヴァンパイアって証拠を見せてやる。ほら、ちょっと腕出してみろ」
吸血娘「安心しろ。別に痛いことはしないから」
後輩女「……?こ、こうですか」
吸血娘「よし、じゃあちょっと噛むぞ」カプッ
吸血娘(なるべく吸わないように……甘噛みで)
ギュインッ……ギュインッ……
115 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/16(水) 23:30:05.99 ID:lSkaed7to
後輩女「!?」
後輩女(な、なにこれ……!?え、血を吸われてる!?)
後輩女(う、うそ……これ、献血をされてる時と全く同じ感覚。それに一瞬、口から牙のようなものを見えたし……!)
吸血娘「……ふぅ」パッ
吸血娘「ど、どうだ。これで私が本物のヴァンパイアだって分かっただろ」ドキドキ
後輩女「は、はい……」
後輩女(ほ、本物だ……本物の……吸血鬼、ヴァンパイアだ……)
吸血娘「フゥ……フゥ……」ドキドキ
116 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/16(水) 23:31:19.27 ID:lSkaed7to
吸血娘(や、やべえええええええええええ!!!!!!こいつの血超うめええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!)
吸血娘(ま、まじで一瞬我を忘れて全部飲み尽くすところだった!!!!超あぶねぇ!!!!)
吸血娘(だって美味すぎるもんこれ!これまで飲んできた血の中でもダントツでナンバーワンだわ!十代の健康的な処女の血ってこんなに美味いの!?感動したわ!)
吸血娘(こ、この味は覚えたらやべえぞ……この血の為なら殺人だって犯せる……そりゃご先祖様達も人を襲うわ……やべえな)
後輩女「あの、大丈夫ですか?様子がちょっと変ですけど」
吸血娘「な、何でもない……お、落ち着け……」フゥ
吸血娘「……よし」グッ
117 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/16(水) 23:32:06.60 ID:lSkaed7to
吸血娘「私の正体は人を血を啜る伝説の生物、ヴァンパイアだ。元々は外国に暮らしてたんだけど、ワケあってこの島国に追いやられて来た」
吸血娘「そして、あのハゲは動く死体だ。これもまた話すと長くなるけど、あいつは過去の記憶を失くしている」
後輩女「でも昔、親と一緒にこっちに引っ越してきたって言ってましたよ?」
吸血娘「んなの作り話に決まってんだろ。よくある話だ。それにあいつ、めちゃくちゃ力持ちじゃないか?」
後輩女「……え、えぇ。確かに」
吸血娘「それも怪物の特徴、あいつは並外れた怪力を持っている。人前ではなるべく抑えてるだろうがな」
吸血娘「香水使ってるのも知ってるか?あれも死臭を隠す為だ」
後輩女(……ワキガじゃなかったんだ)
118 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/16(水) 23:32:42.41 ID:lSkaed7to
吸血娘「どうだ、これが真実だ。私とハゲは人間じゃない。だからあんまり関わるべきじゃないんだ」
後輩女「……」
吸血娘「本当はあのハゲから口止めされてるんだけどな。まあお前になら誰かに言いふらしたりしないだろうし特別に教えてやったけど」
後輩女(……センパイが、人間じゃない?)
後輩女(そんな、まさか……)
119 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/16(水) 23:33:39.42 ID:lSkaed7to
〜〜〜〜 翌日 〜〜〜〜
屍男「……」セッセ
屍男(……よし、今日はこれで仕上げるか)スッ
ガチャ
屍男(……そういえば、今日はあいつから話しかけられなかったな。最近は毎日ちょっかいをかけて来たが)
屍男(バイトには来てたようだが、何かあったのか?……俺には関係のない話か)
「あの!センパイ!!」
屍男「……?」クルッ
120 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/16(水) 23:35:03.35 ID:lSkaed7to
屍男「……なんだ。まだいたのか」
屍男「……何か用か?」
後輩女「……っ」
後輩女「セ、センパイが……人間じゃないって、本当ですか……?」
屍男「……」
屍男「……誰から、それを聞いた?」
後輩女「き、昨日……姪さんから聞きました。偶然街で会って、色々あって家に招待されて……」
後輩女「そ、それで……また色々あって、姪さんが本物のヴァンパイアだってことを告白されて……センパイの正体も」
後輩女「ほ、本当なんですか?」
屍男「……」フーッ
屍男(…………まずいな。これは)
121 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2019/01/16(水) 23:36:12.55 ID:lSkaed7to
ちょっと短いですが今日はここまで
122 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/01/17(木) 00:21:02.63 ID:uUwCOMJho
乙
楽しみにしています
123 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/01/17(木) 01:53:13.98 ID:CsPtGSpto
更新がある喜びよ
おつおつ
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