屍男「おい、そこのロクでなし」吸血娘「なんだ髪なし」

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175 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/15(金) 10:50:45.37 ID:I2eeJv+no
怪物男「フフフ、発想はいいわ。確かに、刃の部分を抑えられたら、こちらは一瞬動きが止まる……」

怪物男「でも、残念。白刃取りってのは両手で芯を固定しないとダメなのよ。片腕なら重心がズレて、簡単に返すことが出来るわ」

怪物男「指、三本貰っちゃったわねぇ」ギラッ



屍男「クッ……」ガクッ

屍男(これは……不味い。両腕共に負傷してしまった。右腕はまだ動かない……)



怪物男「さて、これで腕は潰したわ。次は……」チラッ

怪物男「……脚を貰いましょうかッッッ!!!!!!」ダッ




屍男(……ッ!?脚を狙いに来たか)

屍男(それだけは避けなくては……!身動きが取れなくなってはなす術がなくなるぞ……どうする)
176 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/15(金) 10:52:03.12 ID:I2eeJv+no
屍男(……俺一人の力では、“やつら”には敵わない。だが、あいつの力なら――可能なはずだ。ヴァンパイアの力なら……)

屍男(助けを呼ぶか?今なら携帯もある。一時的に戦線を離脱すれば……10分もあれば来られる距離だ)

屍男(……だが、やつの前から姿を消すということは――)



『まあ万が一、逃がしちゃったりしたら……アナタを見つけ出して殺す前に、あの一緒にいたメスを殺すわ』



屍男(……)




怪物男「ヒャアッッッ!!!!!!」シュッ




屍男「……ッ!!!」ダッ




怪物男「!?」

怪物男「ちょっ……ここに来て逃げるわけ!?」ダッ




屍男「ッ……!」ダダダッ
177 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/15(金) 10:52:57.40 ID:I2eeJv+no
怪物男(速っ……ちょ、ちょっと待って。このままだとっ……!!)



屍男「……!!」グルッ




怪物男(まずッ……角を曲がられた。このままだと見失っちゃうじゃない!!!!!)

怪物男「!!!!!」クルッ




怪物男「……」キョロキョロ

怪物男「……」キョロキョロ



怪物男「……いない」



怪物男「……」


怪物男「……」



怪物男「…………チ」
178 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/15(金) 10:53:48.77 ID:I2eeJv+no
怪物男「チキショオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!あの野郎!!!!!アタシをこけにしやがってエエエエエエエエエエエエええ!!!!!!」ドンドン

怪物男「あんな極上の獲物は滅多にいないってのに……クソオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!」ドンドン






怪物男「ハァッ……ハァッ……」

怪物男「……いいわ。そっちがその気だってなら、地の果てまで追いかけてあげる」クンクン

怪物男「でも手始めに、まずはあのメスから片付けてあげましょうか……悪いのはアナタなんだからね。アタシは警告してあげたんだから」スッ


怪物男「……ん?」クンクン


怪物男(この匂いは……段々近付いてくる……)クルッ
179 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/15(金) 10:54:39.69 ID:I2eeJv+no






ブオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!







トラック『』

屍男「……ッ!!!!」






怪物男「!?」

怪物男「あ、あっはぁ!!!!いいじゃない!!!!そうこないと!!!!!」チャキッ
180 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/15(金) 10:56:08.11 ID:I2eeJv+no
屍男(どうだッ……!!いくらお前でも、こいつを斬ることは不可能だッ!!)

屍男(このまま轢き殺してミンチにしてやるッ……!!)





ブオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!





怪物男「ッッッ!!!!!!」チャキッ




シュンッ

ザンッ!!!!!!!!!!!!





屍男「……っ!?」





怪物男「……フッ」スッ






トラック『』カパッ



ドッカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!!!!!!!




181 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/15(金) 10:58:01.98 ID:I2eeJv+no




パラパラッ……パラパラッ……




怪物男「フフフ……フフ……フフフフフ…………」

怪物男「アーハッハッハッハッハッハッハッハ!!!!!!スゴいわ!!!!トラックを一刀両断しちゃうなんて!!!!!この力は最高だわ!!!!!」

怪物男「もうアタシに敵う者なんて存在しない!!!!警察でも軍隊でも!!!!みんなこの剣で捻じ伏せてあげる!!!!!」ギラッ



ボウッ



屍男「ッッッ!!!!!」バッ

怪物男「!?」クルッ


ガシッ

ギチギチ……ギチギチ……


怪物男「……ングッ!?ごのっ……!!」ググッ

屍男「……!!!!」グッ
182 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/15(金) 10:59:12.36 ID:I2eeJv+no
屍男(このままっ……首の骨を、いや、頭蓋を砕くッ!!!!!)


怪物男「はなッ……うぐッぐ……!!!!」グッ


屍男(腕力は俺の方が上だ。これだけ接近していれば、刀を振り回すことは出来ない)

屍男(死ねッ……!!!!)


怪物男「グゥッ……!!!!ガァッ!!!!!」パッ



刀『』クルッ


ザシュ!!!!!!!!!



屍男「!?」グラッ

屍男(なっ……か、刀が、独りでにっ!?)
183 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/15(金) 11:00:47.89 ID:I2eeJv+no
怪物男「ハァッッッ!!!!!」シュンッ



ブシュ



屍男「ガハッ……!!」グラッ



バタッ




怪物男「はぁっ……はぁっ……ふぅ」コキコキ


怪物男「ちょっと、焦ったわ。まさか、あの爆炎の中から襲ってくるなんて……想定外だった」

怪物男「でも、それはそっちも同じだったみたいね。最後に教えてあげるわ。この刀は数十センチくらいなら自力で動けるのよ。実戦ではほぼ使えない技かと思ったけど、こんな時に役立つなんてね」




屍男「ガァッ……グッ……」ヨロッ




怪物男「左脇腹に10センチの深さの突き、それに肩から胸にかけての刀傷、それに加えてトラックの炎上に巻き込まれたせいで全身大火傷、普通の人間なら致命傷ね。もっとも、アナタなら時間があれば回復するんでしょうけど」

怪物男「それでも、しばらくはそうやって死んだセミみたいに横たわるしかないってところね。これで決着よ」
184 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/15(金) 11:01:50.49 ID:I2eeJv+no
ドクドクッ……ドクドクッ……


屍男(血が……止まらん。体も……動く気配がない)

屍男(これは……もう打つ手がない、か。意識が……遠くなってきた)



怪物男「安心しなさい。苦しい思いはさせないわ。今からその首を落としてあげる」

怪物男「あぁ……アナタは本当にいい男だったわ。殺しちゃうのが惜しいくらい。惚れちゃったかも」ポッ

怪物男「……フフフ、殺した後はたっぷりと犯してあげるわ。首も、下も……全部可愛がってあげる」



屍男「……」ピクピクッ



怪物男「じゃあね。色男さん」スッ
185 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/15(金) 11:02:50.17 ID:I2eeJv+no
屍男(……刃が、迫ってきた。今回ばかりは……駄目か)


屍男(あぁ……前にも、似たようなことがあったな……あの日、狩人と戦った夜だ……)


屍男(あの時は……どうだったか。確か、手榴弾で全身をズタボロにされ……次に意識を取り戻した時は……拳銃を握っていた。目の前には……無防備な狩人が)


屍男(一体、誰が――あの狩人をあそこまで追い詰めた?)




ドクンッ
186 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/15(金) 11:03:18.12 ID:I2eeJv+no




屍男(……いや、そんなのは決まっている。俺が、俺がやったんだ。あの狩人を殺そうとしたのは)


屍男(……あの日、死の瞬間に掴みかけた記憶、その持ち主の……“俺”が)




ドクンッ
187 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/15(金) 11:04:20.10 ID:I2eeJv+no



屍男(……このままでは、俺は死ぬ。いいのか、それで)


屍男(何も……成し遂げていないじゃないか。“俺”は……何も……)




ドクンッ
188 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/15(金) 11:05:13.32 ID:I2eeJv+no
屍男(そうだ、俺は無力だ。だから……救えなかった)



ドクンッ

ザッ……ザザッ……



屍男(あの日、あの時、俺は……救えなかった。彼女を、彼女たちを……俺は……)




ザザザザザザザッ……

ザザザザザザザッ……



屍男(……?待て、誰だ。その彼女とは……これは……誰の記憶……)




カチッ……

クルクルクル……
189 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/15(金) 11:07:29.39 ID:I2eeJv+no






■■■『まったく、君はいつもそんな感じだよね』

■■■『私が――いないとほんとダメなんだから』

■■■『ね?――――』





190 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/15(金) 11:08:17.53 ID:I2eeJv+no
屍男(――あぁ、そうか)

屍男(思い出した。全部。そうだ……これは……)




『いてえええええええええええええええええええ!!!!!!!!』

『アアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!殺すうううううううううう!!!!!!ぶっ殺すううううううううう!!!!!』

『死ねエエエエエエエエエエエええええ!!!!!!!!』




屍男(――この声の持ち主も)

屍男(そうだ…………俺は…………)
191 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/15(金) 11:09:03.66 ID:I2eeJv+no








ドクンッ!!!!!!!!!







192 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/15(金) 11:10:01.42 ID:I2eeJv+no
シュウウウウウウウウ……



怪物男「……ん?」ピクッ




屍男「」プシュー




怪物男「……?身体から……蒸気みたいなのが出てるけど、何それ?」

怪物男「隠し芸か何か?それとも、まだ最後の切り札があったりするのかしら」



屍男「」プシュー

屍男「」シュゥゥ



怪物男「!?」ゾクッ

怪物男(ッ……!?傷が……再生している?それも、信じられないスピードで……)


怪物男(これはっ……まずいッ!!!!)シュッ
193 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/15(金) 11:11:01.55 ID:I2eeJv+no
ボオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!



怪物男「きゃっ!!!!!」バッ

怪物男(ウソッ!?何コレッ!?蒸気で前が見えない!!!!)


怪物男「クッ……このッッ!!!!」チャキッ




ザンッ!!!!!!!!!!!!


シュウウウウウウウウ……




怪物男「……いない?どこに消えたの?」キョロキョロ

クンクン

怪物男「……!!」クルッ
194 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/15(金) 11:13:19.88 ID:I2eeJv+no
ザッ……ザッ……

シュウウウウウウウウウ……

スゥ






屍男「」









怪物男「…………」チャキッ

怪物男(……変わった?)
195 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/15(金) 11:15:32.44 ID:I2eeJv+no
今日はここまで
再開までまたずいぶんと時間がかかりましたね…ごめんなさい
次の更新で分かると思います
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/16(土) 23:18:13.61 ID:50zYiqrNO
197 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/17(日) 19:07:42.59 ID:SQAzR+HOo
怪物男「一体、何をしたの?その肉体……さっきと比べたら、ずいぶんダイエットしたように見えるけど。身長も伸びてるし」

怪物男「しかも、あの大怪我が全て完治している……どんな手品を使ったのかしら」




屍男「」




怪物男「……返答なし、ね。そもそも意識があるのかも怪しいけど」

怪物男「アナタ、鏡を見てみたら?その僅かな肉と骨だけしか残ってない姿。正真正銘の化け物よ」


怪物男(筋肉を燃焼させて、そのエネルギーを治癒力に回した、ってところかしら。あんな肉体だとまともに動くことすらも出来ない欠陥形態、本当に追い詰められた最後の手段ってところね)


怪物男「ふん……いいわ。アタシ好みの顔じゃなくなったけど、その最後まで醜くも足掻く、勝利に飢えた姿は嫌いじゃないわ」

怪物男「でも、しつこい男は嫌われるわよ?大人しく……死になさいッッッ!!!!!!!」チャキッ
198 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/17(日) 19:09:07.81 ID:SQAzR+HOo
シュンッ



屍男「」サッ



怪物男「!?」

怪物男(なっ……!?この一太刀を避けた!?)



屍男「」グッ


シュンッ

ドゴォ!!!!!!!!


怪物男「ゲボアァッッッ!?」ボゴォ



ドドドドドドドドドド!!!!!!!!!!



怪物男「ギャッア!!!!グガアラッッ!!!!」ボコボコ

怪物男(こ、この殴打はッ……!?速いッ!!)

怪物男(このままだとッ……このぉ!!!!!)ブンッ
199 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/17(日) 19:10:27.57 ID:SQAzR+HOo
ザンッ!!!!!!!!!!!!



屍男「」サッ

屍男「」シュンシュンシュン



怪物男「ハァッ……ハァッ……グッ……」ズキッ

怪物男(な、に……今のは……これまでとは桁違いの速さ、アタシの最速の剣に並んでもおかしくないくらい……)

怪物男(なんで……こんな考えられない程の成長を、変化……!!)

怪物男(まさか、あの肉と骨だけの姿、あれは治癒能力を上げるだけじゃない。アタシに対抗するための手段……)

怪物男(……信じられないわね。とても人間業とは思えないわ。まあもう人間じゃないんだけど……肉を削ぎ落としてスピードを上げるなんて)



屍男「」グッ
200 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/17(日) 19:12:00.74 ID:SQAzR+HOo
怪物男「……ッ」チャキッ


怪物男(来る。いいわ、いいわ……興奮してきたわ。滾る、漲る、沸騰する。この全身がまるで勃つような感覚……あぁ、最高)

怪物男(セックスでは決して味わえない快感。やっぱりアナタは最高よ!!!!!今すぐアタシのモノにしてあげる!!!!!!)




屍男「」シュンッ



怪物男「バァッ!!!!!!!」シュンッ




ザンッ!!!!!!!!!!!!




屍男「」スパッ




怪物男(……ぃよしッ!攻撃もこの子に任せれば、真っ向から対面しても、アタシの方が疾イッ!!!!)

怪物男(このまま斬り刻んであげるッ!!!!!!)
201 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/17(日) 19:13:35.76 ID:SQAzR+HOo
屍男「」ガシッ

屍男「」ブンッ




パララララララッ!!!!!!!!!



怪物男(また地面のコンクリートを砕いて投げつけてきた?フン、それはもう通用しないって分からないのかしら)チャキッ




屍男「」シュンッ

パララララララッ!!!!!!!!!




怪物男「……ッ」

怪物男(……なるほど。石礫と同時に攻めることで、左右から不可避の攻撃ってことか)

怪物男(考えたじゃない。でも……まだこっちには見せてない奥の手があるのよ)ニヤッ



怪物男「一閃“千手”」チャキッ
202 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/17(日) 19:15:06.35 ID:SQAzR+HOo
ヒュンヒュンッ

ズババババババ!!!!!!!



屍男「」ザンッ



怪物男「こっちにも広範囲用の必殺技はあるのヨォ!!!!さァ!!!!これで終いにしましょうか!!!!!」チャキッ

怪物男(アタシの……アタシ達の剣術の中でも、最速、最強の剣、見せてあげるわ。今まで数多の強者を葬ってきた必殺術……!!)



怪物男(瞬閃“明王”)






屍男「」グルッ

屍男「」グチャッ





プシャーーーーーー!!!!!!!!




怪物男「!?」バッ
203 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/17(日) 19:16:54.02 ID:SQAzR+HOo
怪物男(口から血飛沫!?前が見えッ……この量、自分で舌を噛み切った!?)



シュンッ

グチャッ



怪物男「ガハッ!?」ビチャッ

屍男「」


ピチャッ……ピチャッ……


怪物男(い、いつの間に背後にィッ……腹を貫かれて……)

怪物男(ま、まだヨオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!)


チャキッ

ヒュンッ


怪物男(超接近戦用必殺術!!!!一閃“金剛”!!!!!!この距離なら回避は不可能!!!!そしてアタシの剣の方が速い――勝ッ)




シュンッ

グチャッ



クルクルッ




怪物男(――――え?)
204 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/17(日) 19:18:05.70 ID:SQAzR+HOo
怪物男(ど、どうして……宙を舞ってるの?)






怪物男『』プシュー






怪物男(あ、あれって……)






怪物男「アタシの……カラ…………ダ…………?」






ゴトッ
205 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/17(日) 19:19:44.40 ID:SQAzR+HOo
スタスタ スタスタ




屍男「」




怪物男「……ま、まさか……こんなことになるなんて…………」

怪物男「そ、その腕…………そ、そういうこと、ね。僅かに残っていた肉すら全て削ぎ落として、骨だけに、して……アタシの剣の速さを超えたの……ね……」




屍男「」




怪物男「か、完敗だわ…………アタシの……敗け、よ…………」

怪物男「ねぇ…………さ、最後に……お願いがあるの。聞いてくれる…………?」




屍男「」
206 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/17(日) 19:20:42.12 ID:SQAzR+HOo








怪物男「アタシを、犯して?」









グチャッ!!!!!







207 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/17(日) 19:21:45.01 ID:SQAzR+HOo
屍男「」ベチャ




屍男「」スタスタ






カタカタ……カタカタ……







刀『』カタカタ





屍男「」




刀『』カタカタカタカタ

刀『』カタ




グシャンッッッッ!!!!!!!!!!



パラッ……
208 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/17(日) 19:22:50.34 ID:SQAzR+HOo
屍男「」チラッ






怪物男『』






屍男「」キョロキョロ



屍男「」



屍男「」カパッ








グチャッ……グチャッ……グチュグチュ……クチャッ








ゴクンッ
209 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/17(日) 19:23:21.20 ID:SQAzR+HOo






………………………………………………
…………………………………





210 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/17(日) 19:24:11.89 ID:SQAzR+HOo
吸血娘「そういや、今日はやけにハゲの帰りが遅いな。もう帰ってきてもいい時間なのに」チラッ

吸血娘「残業でもやってのかな。あいつのバイトにそんなのあるか知らんけど」




ガチャッ




吸血娘「あっ、帰ってきたか」クルッ

吸血娘「おい、遅いぞ!どこで道草食って――」




屍男「……」ボロボロ




吸血娘「!?」ビクッ
211 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/17(日) 19:25:18.73 ID:SQAzR+HOo
吸血娘「なっ……どうしたっ!?めっちゃボロボロじゃん!!親父狩りにでもあったか!?」

吸血娘「それとも毛刈り隊か!?あ、でもハゲが毛刈り隊に襲われるってのはおかしいか。とにかく!何があったんだよ!?」



屍男「…………」

屍男「……思い出したんだ。全て」




吸血娘「……は?思い出した?何を?」




屍男「…………」

屍男「……いいか、よく聞け」
212 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/17(日) 19:26:13.84 ID:SQAzR+HOo










屍男「お前の父を殺したのは俺だ」

屍男「俺が“Shadow”だ」









213 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/17(日) 19:27:03.53 ID:SQAzR+HOo
今日はここまで
「カゲ」は「ハゲ」です
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/17(日) 19:39:14.32 ID:ZNaGiAyd0


まぁ知ってたけど
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/17(日) 20:00:48.78 ID:MpjLjQYz0
おつ
これは流石に知ってたわ
ここからどうなるか楽しみだな
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/17(日) 21:11:11.23 ID:TDboClb1o
やっぱりなー。わかってた
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/18(月) 13:49:40.19 ID:ub+bkoW7o

追い付いた
218 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/20(水) 01:07:03.50 ID:j2w3bDo4o
吸血娘「…………」

吸血娘「……は?」


吸血娘「な、何言ってんだお前……頭大丈夫か?どこか打ったんじゃないの」

吸血娘「自分がShadowだなんて……そんな……じょ、冗談でも許さんぞ」



屍男「…………」



吸血娘「な、なぁ……本当に大丈夫か?お前、今日はもう寝た方がいいぞ。な?」

吸血娘「ほら、肩貸してやるから、一人で歩けるか?」スッ
219 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/20(水) 01:08:12.00 ID:j2w3bDo4o
屍男「お前の一族の弱点は銀だ。純銀製の弾丸を心臓に撃ち込めば、アレルギー反応を起こし死に至る」



吸血娘「……っ!?」

吸血娘「な、なんで…………そのことを…………」

吸血娘「わ、私は……一度も話したことないのに……」



屍男「なぜ知っているかだと?実際に試したからだ」

屍男「お前の父に、銀の弾丸を撃ち込み、その身を灰にしたのだからな」

屍男「これで分かったはずだ。この情報は殺した本人にしか知り得ない。俺がShadowという確固たる証拠だ」
220 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/20(水) 01:09:35.19 ID:j2w3bDo4o
吸血娘「そ、そんな……う、嘘だ……そんなこと……」

吸血娘「な、何かの……何かの間違いだ……」



屍男「お前も気付いているはずだ」

屍男「自分の父が失踪した日と、俺が現れた時期が重なっていることに」



吸血娘「う…………あ…………」

吸血娘「お、お前が…………パパを…………殺した…………」

吸血娘「こ、殺した…………殺した…………」

吸血娘「…………」




吸血娘「ッッッッッッ!!!!!!!」バッ



221 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/20(水) 01:10:16.68 ID:j2w3bDo4o
ドサッ



吸血娘「こ、殺す……!!!!殺してやる……!!!!!」フーッフーッ

屍男「好きにしろ。お前にはその権利がある」

吸血娘「殺す……!!殺す……!!」ギッ


グググッ……


屍男「……」


吸血娘「フッー……!!フーッ……!!」グッ

吸血娘「う、ぐぅぅ…………」ポロッ


屍男「……どうした。さっさとやれ」
222 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/20(水) 01:11:16.96 ID:j2w3bDo4o
吸血娘「な、なんでだよ……な、なんで……よりによって……私のパパだったんだ……!」ポロポロ

吸血娘「他に……他にも!!!!悪党はいただろ!!!!なんで私のパパを殺したんだ!!!!!」



屍男「……」

屍男「順番なんてものは関係ない。ただ、お前の父は人間の社会に影響を及ぼしかねない存在だった」

屍男「だから殺した。それが俺の役目だったからだ」



吸血娘「っ!!!!」

吸血娘「…………消えろ」バッ
223 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/20(水) 01:12:10.50 ID:j2w3bDo4o
吸血娘「今すぐ!!!!私の!!!!目の前から消えろ!!!!!」



屍男「……殺さないのか」



吸血娘「いいから出てけええええええええええ!!!!!!!」



屍男「……」スクッ



ガチャ

バタンッ



吸血娘「う、うぅっ…………くうぅっ……」ポロポロ

吸血娘「な、なんで……なんでこんなことに……」ポロポロ

吸血娘「どうして……どうしてっ……あいつが……!」


吸血娘「う、うわああああああああああああ!!!!!!!ああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
224 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/20(水) 01:13:33.55 ID:j2w3bDo4o
………………………………………………
………………………………



屍男「……」

屍男「……」



チュンチュン……チュンチュン……



屍男「……」チラッ

屍男「……もう朝か」


屍男「……」


屍男(あれだけ、あれだけ心に刻み込んだはずなのに。俺は……全てを忘れていた)

屍男(恐らく、記憶を失った原因は……あの時だ。あの戦いで、最後にあいつの父、噛み殺し公が放った光)

屍男(ヴァンパイアが使う記憶消去の力だ。しかし……)

屍男(俺は間違いなく、噛み殺し公には勝ったはずだ。帰路の途中までは覚えている。問題は……ここからの先の記憶が戻ってない)


屍男(……俺は、一体誰に殺されたんだ?)
225 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/20(水) 01:15:45.28 ID:j2w3bDo4o
…………………………………………………
………………………………



後輩女「お疲れさまでーす」


後輩女(……センパイ、今日は来なかったな。しかも、連絡も何もなかったみたいで、バイトをばっくれるなんて)

後輩女(私からメール送っても返事来ないし……しかも、姪さんの携帯にも繋がらない。これってもう……絶対に何かあったよね)

後輩女(……家、寄ってみよっかな)



スタスタ スタスタ



後輩女「……」ポチッ




ピンポーン

シーーーーン




後輩女「……」
226 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/20(水) 01:17:31.43 ID:j2w3bDo4o
後輩女「……いない。人の気配も感じないし、留守なのかな」

後輩女(……何があったんだろ。センパイ……)



スタスタ スタスタ



後輩女「……」


後輩女(なんだろ。何か分からないけど……胸騒ぎがする)

後輩女(もし、ここでセンパイと出会えなかったら、一生会えないような……そんな感じが)

後輩女(何か……どこか、行きそうな場所の手掛かりとかないかな。どこか……)

後輩女(……ダメだ。見当もつかないや。そういえば私って……センパイのことを何も知らないんだな。好物も趣味も、何も知らない)

後輩女(……こんなのでちょっと仲良くなった気になってたなんて、笑っちゃうよね)
227 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/20(水) 01:18:29.89 ID:j2w3bDo4o
スタスタ スタスタ



後輩女(そういえば、この坂を下りる道の途中に……公園があったっけ)

後輩女(……まあ、いないと思うけど。一応覗いてみよっかな)スッ






屍男「……」






後輩女「……」



後輩女(い、いたーーー!!!!)
228 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/20(水) 01:19:29.93 ID:j2w3bDo4o
後輩女「セ、センパイ!!!!」



屍男「……」チラッ

屍男「あぁ……お前か。どうした」



後輩女「ど、どうしたじゃないですよ!センパイの方こそどうしたんですか?バイトはバックレるわ、連絡は繋がらないわ……心配したんですから!」



屍男「……そうか。すまなかったな」



後輩女「何かあったんですか?こんな夜中の公園で佇んで……まさか、今日ずっと家に帰ってないんですか?」



屍男「……」



後輩女「マ、マジですか……姪さんと喧嘩でもしたんですか?」



屍男「……そんなところだ」
229 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/20(水) 01:20:56.48 ID:j2w3bDo4o
後輩女「やけに格好がボロボロですけど……それも喧嘩ですか?」



屍男「……あぁ」



後輩女「……」

後輩女「もしかして、今日は泊まるところなかったりします?」



屍男「……そうだな」



後輩女「……私の家に来ますか?」



屍男「……遠慮しておく」



後輩女「いや、さすがにこのままだと見逃せませんよ。最近冷えてきましたし、風邪ひきますよ?それに……」

後輩女「……センパイ、失礼ですけど、だいぶ臭います。お風呂入った方がいいです」



屍男「……」クンクン

屍男「……」
230 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/20(水) 01:21:46.20 ID:j2w3bDo4o
ガチャ


後輩女「はい。狭いですけど、どうぞ」

後輩女「シャワーはそっちの左の部屋にあるので、さっさと入っちゃってください。着替えはこっちで用意しておくんで」



屍男「……すまないな」スッ




シャワアアアアアアアアアアアアアア……




後輩女「……何があったんだろ。家にも帰れないほどの喧嘩って……しかも、その家にも姪さんはいなかったし」

後輩女「……まあいっか。あんまり人の家の事情に首を突っ込むのはよくないよね」
231 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/20(水) 01:22:39.26 ID:j2w3bDo4o
後輩女「センパイ。服洗濯しておくんで、着替えの服、ここに置いときますねー」

後輩女「お兄……兄が泊まりに来た時に忘れていった物なので、サイズがちょっと合わないかもしれないですけど」




『……あぁ、助かる』




後輩女(……この服、何かところどころ破れてるな)

後輩女(いや、破れてるってより……切られてる?)
232 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/20(水) 01:23:37.40 ID:j2w3bDo4o
シャワアアアアアアアアアアアアアア……



屍男「……」

屍男「……」スッ

屍男「……まさか、あれほど忌み嫌っていた異形に自分が成り果てるとはな。皮肉なものだ」

屍男「俺は……これからどうする?」




ガチャ

スタスタ スタスタ



屍男「……すまないな。世話になった」


後輩女「いいですよー別に。今、晩ご飯作ってるところなので、良かったら食べて行ってください」

後輩女「センパイって、どのくらい食べられますか?男の人ですし、多めに作ってるんですけど」


屍男「……まあ、結構食べる方なんじゃないか」
233 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/20(水) 01:25:14.70 ID:j2w3bDo4o
モグモグ モグモグ




後輩女「」ポカーン




屍男「」モグモグムシャムシャバクバク


屍男「」ゴクゴク


屍男「……何か付いているか?」



後輩女「あっ、ごめんなさい。予想の3倍くらい食べるんで、ちょっと見惚れてました……」



屍男「……すまない。少し自重する」



後輩女「い、いえ!全然大丈夫ですよ!あ、おかわり持ってきますね!」ダッ



屍男「……」グッ


屍男(……だいぶ、肉付きが戻ってきたな。あの“飢餓”の形態は消費が激しい。使った後、即座にエネルギーを摂取しなければ、また数日寝込むことになるということか)

屍男(……“一人”では足りない程のエネルギーか)
234 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/20(水) 01:26:06.41 ID:j2w3bDo4o
後輩女「そういえばセンパイ聞きました?この近くで、トラックの炎上事件があったらしいですよ」


屍男「……」ピクッ

屍男「……いや、知らないな」


後輩女「幸い、怪我人はいなかったみたいですけど。その周辺でも何者かが争ったみたいな形跡があったみたいで、噂になってるんですよ」

後輩女「怖いですよねぇ……ちょっと前にも通り魔とかありましたし」


屍男「……」






後輩女「じゃあ、私はこっちのソファで寝るんで、センパイは私のベッド使ってください」

屍男「……いや、それはさすがに悪い。俺がソファでいい」
235 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/20(水) 01:26:57.59 ID:j2w3bDo4o
後輩女「ダメですよ。お客様なんですし、センパイずっとあそこの公園にいたんでしょ?ちゃんとした場所で寝ないと」

屍男「……俺は狭いところの方が落ち着いて寝られるんだ。こっちの方が都合がいい」

後輩女「え?そうなんですか?」

屍男「あぁ、だからソファにしてくれ」

後輩女「そこまで言うなら……分かりました。じゃあおやすみなさい。ゆっくりしてくださいね」カチッ




スタスタ スタスタ




屍男「……」ゴロン






後輩女「よいしょっと」ゴロン

後輩女「……」
236 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/20(水) 01:27:47.10 ID:j2w3bDo4o
後輩女(な、流れではあるけど……ま、まさか……センパイを家に泊めることになるとは)


後輩女「〜〜〜〜〜!!!!!」バタバタ


後輩女(ど、どうしよう!どうしよう!な、何か……!この一晩で過ちが起きてしまったら……!迫られてしまったら……!!)



後輩女「……」



後輩女(なーんて、センパイがそんなことするわけないか。その辺の男ならともかく、絶対そんなことしないし)

後輩女(はぁ、アホな妄想してないで寝よ……おやすみなさい)



後輩女「…………Zzz」
237 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/20(水) 01:28:58.85 ID:j2w3bDo4o
………………………………………………………
………………………………………



屍男「……」



屍男(……やはり、眠れないな)スクッ

屍男(どうしても、思い出してしまう。今までの反動で……走馬燈のように、これまでの人生が)

屍男(……だが、違和感がある。死の瞬間の他にも、まだいくつか戻っていない記憶がある)

屍男(それも、何かに関連付けられた記憶が……これは一体なんだ?)




ピピッ




屍男「メール?一体誰から――」

屍男「……っ」
238 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/20(水) 01:29:47.99 ID:j2w3bDo4o






『7日後、下記の画像の場所に一人で来い。お前に一対一の決闘を申し込む。手加減なんかしやがったら死んでも許さない』






屍男「……そうか、決心したか。それでいいい」

屍男「……ならば、俺も応えてやる。全力でな」スッ



239 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/20(水) 01:32:06.35 ID:j2w3bDo4o
………………………………………………………………
……………………………………………


後輩女「う、うへへへ……こ、こんなところで……だめですよ……しぇんぱい……」ゴロンッ

後輩女「…………ん」パチッ


後輩女「ふわぁ……あーよく寝た」


後輩女「そうだ、今日はセンパイが泊まってるんだった。急いで朝ご飯の支度しないと」スッ




スタスタ スタスタ




後輩女「……あれ?」




シーーーーン





後輩女「センパイが……いない?」
240 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/20(水) 01:33:30.79 ID:j2w3bDo4o
後輩女「トイレ……ではないよね。明かり付いてなかったし」キョロキョロ

後輩女「……ん?これって、手紙?」スッ




『すまない。突然だが用事が出来た。このような形で悪いが、別れを告げさせてもらう』

『悪いが、服はそのまま貰って行く。これは少ないが、代金だと思って受け取ってくれ』

『店の方にバイトは辞めると伝えてくれ。恐らく、もう二度と戻ることはないと思う』

『最後に、色々迷惑をかけてすまなかったな。礼を言う』




後輩女「!?」
241 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/20(水) 01:34:33.34 ID:j2w3bDo4o
後輩女「え……バイト辞めるって、それに二度と会えない……?」

後輩女「……っ!!!!」ダッ




ガチャ

タッタッタ タッタッタ




後輩女「……!」キョロキョロ


後輩女「い、いない……そんな……」


後輩女「セ、センパイ…………」
242 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/20(水) 01:35:33.92 ID:j2w3bDo4o
今日はここまで
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/20(水) 15:20:07.98 ID:SM1Pn+Coo
244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/20(水) 18:53:10.73 ID:lZQmWZ5TO

さてどうなる…
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/22(金) 21:34:16.92 ID:qduBhYgQO

面白くなってきた
246 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/23(土) 23:05:25.43 ID:X+BncJ+vo
………………………………………………
…………………………………



プルルルルルル……

ピッ



魔女「はいもしもし?珍しいわね。ゾンビくんがこっちに電話かけてくるなんて」

魔女「何かあったの?」



『……一から話すのも面倒だ。単刀直入に言うぞ』

『今から送るリストにある品物を揃えてほしい。お前なら簡単に入手出来るはずだ』



ピピッ



魔女「え?リストって……これかしら?」カチッ

魔女「……っ」



『察したか?』
247 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/23(土) 23:06:17.59 ID:X+BncJ+vo
魔女「……えぇ。そうね、まあ……何となくは状況を理解したわ」

魔女「ってことは……戻ったのね。記憶が」



『理解が早いな。お前なら……何となくは気付いていたんじゃないか』



魔女「まさか、そこまで私もエスパーじゃないわよ」

魔女「でも……可能性の一つとしては……考えていたわ。だって、まるで入れ替わるように現れたもの。あの子の父親の生まれ変わりみたいに」

魔女「まあ現実はそこまで綺麗なものではなかったみたいだけどね。その逆、血が血を呼ぶ因果の連鎖……嫌になっちゃうわ、もう」



『…………』
248 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/23(土) 23:07:09.01 ID:X+BncJ+vo
魔女「これ、誰が言い出したの?」



『……提案したのはあいつだ』



魔女「……そう、ドラキュラちゃんも……つらいでしょうに、強いわね。あの子は……」

魔女「ゾンビくん、一つ聞かせて?アナタは……ドラキュラちゃんを殺す気なの?」



『……それを決めるのは俺ではない。あいつ自身の力だ』

『手を抜くなと言われているからな。なら俺も……死力を尽くす。全力で戦う』



魔女「……」

魔女「分かったわ。道具は揃えてあげる。期限はいつまで?」
249 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/23(土) 23:09:01.11 ID:X+BncJ+vo
『あと5日だ』



魔女「5日か……いいわ。私が直接届けに行ってあげる。でもゾンビくん、一つ条件があるわ」



『……条件?』



魔女「いくら私でも無償でこれらの道具を揃えてあげるのほどお人好しじゃないわよ。これはビジネス、相応の対価を支払ってもらわないと」

魔女「そうね、金額にすると大体……」



『生憎、今は持ち合わせがない。だが、金より価値のあるものをやる』



魔女「……何かしら?それって」



『情報だ。俺がこれまで狩ってきた標的に関する情報を誰でもいい、三人までの詳細を教えてやる』

『その種族、特徴、弱点、親戚に至るまで全てを』



魔女「……!」
250 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/23(土) 23:10:03.87 ID:X+BncJ+vo
『お前ならこの情報がどれだけの価値があるか分かるはずだが、どうだ』



魔女「……いいわ。取引成立よ」



『では知りたいやつの名前のリストを送ってこい。届き次第こちらから送る』



魔女「いいの?商品との交換じゃなくて、私がその情報を持ち逃げするかもしれないのに」



『俺とお前の仲だ。そこは信頼している。それに』

『……俺を敵に回すほど。お前も愚かではないだろう』



魔女「……」

魔女「……さすが、伝説の狩人って言われることだけあるわね」
251 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/23(土) 23:11:01.18 ID:X+BncJ+vo
魔女「了解、じゃあ私は急いでかき集めてくるからこれで。詳細はまた後で連絡するわね」



『……あぁ、待っている』



プツッ

ツーツーツー



魔女「……ふう」

魔女「……はぁ、まさか……こんなことになるなんて」

魔女「運命ってほんと、痛い程残酷。まあそれは私が一番よく知ってるか……あの占いも外れてほしかったんだけど」
252 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/23(土) 23:12:36.58 ID:X+BncJ+vo
魔女「さて、これから忙しくなるわね。ゾンビくんから送られてきたこのリスト……」チラッ

魔女「……私でも、半分くらいしか用途が分からない。でも、これが……完全なヴァンパイア殺しの布陣、恐らく噛み殺し公を狩った時と同じ装備」

魔女「……ドラキュラちゃんが勝てる確率は相当低いわね。いえ、このままだとまず間違いなく負ける」

魔女「……それでも、復讐の道を選ぶのね。あの子は」



プルルルルルル……



魔女「あら?また電話?」

魔女「ん?この番号って……」
253 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/23(土) 23:14:31.27 ID:X+BncJ+vo
…………………………………………………………………..
…………………………………………..



吸血娘「……」

吸血娘(……時間か)




スタスタ スタスタ




屍男「……」スッ




吸血娘「来たか」スッ

吸血娘(……全身黒ずくめ、顔もガスマスクみたいなのを被って判別できないけど、間違いなくあのハゲだ)

吸血娘(それがお前の正装ってやつかよ。全く……文字通りの影みたいなインキャ野郎だ)




屍男「……」




吸血娘(本来のあいつ自身はそんなに強いってわけじゃない。再生力と怪力が厄介ってだけで、能力としては私の方が上だ)
254 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/23(土) 23:16:10.18 ID:X+BncJ+vo
吸血娘(でも、狩人にとっての一番の武器は知識と経験……つまり、今まであいつは牙どころか、四肢をもがれた状態と言ってもいい。最強の狩人である『Shadow』の弱点は人間だったこと)

吸血娘(人間なら……少なくとも、その首をかっ切れば死ぬんだからな。でも、今のあいつは……死すらも超越した怪物、正真正銘の不老不死の化け物だ)

吸血娘(……ふっ、あぁ、でもあいつもハゲだけは克服できなかったか。不老不死じゃなくて不毛不死だったな)


吸血娘(……私も、克服する。あいつも、父も……自分すらも乗り越えないと、絶対に勝てない)


吸血娘(大丈夫、勝機はある。針に糸を通すような僅かなものだけど、決して圧倒的に不利ってわけじゃない)

吸血娘(……あいつとこうやって対峙するのはいつ以来だったかな。確か……そうだ、あの夜、狩人を逃がした日以来か)

吸血娘(あの時は時間切れってことで、勝負はつかなかったけど……今日はそうじゃない)


吸血娘(……決着をつけてやる。この運命に)
255 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/23(土) 23:18:02.77 ID:X+BncJ+vo
吸血娘「……」




屍男「……」







魔女「……」ヒョコッ

魔女「あの二人を巡り合わせたのは私だもんね。盗み見するようで悪いけど、見届けなくちゃ」


魔女(この時間帯、そして町はずれにある廃墟、ここなら誰にも邪魔されることなく、思う存分にやれるわね)

魔女(本来なら、ドラキュラちゃんが圧倒的に不利。そりゃそうか。体格、筋肉、経験、知識、技術、全てにおいてドラキュラちゃんは劣っている。唯一負けてないものは……覚悟ってやつくらいか)

魔女(……この戦いで間違いなく、勝者と敗者が決定する。生き残るのはどちらなのか)

魔女(……その果てに何があるんでしょうね)
256 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/23(土) 23:19:05.17 ID:X+BncJ+vo
吸血娘「……」グッ




屍男「……」スッ






魔女(……始まるわね)

魔女(合図なんていらない。お互いの呼吸が重なった時が、始まりのサイン)






ヒュゥゥゥゥゥゥ……





ウゥゥゥウゥゥゥゥ……





ゥゥゥ……
257 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/23(土) 23:20:13.09 ID:X+BncJ+vo
吸血娘「……」






屍男「……」








吸血娘「ッッッッッ!!!!!!!!!!」ダッ








屍男「ッッッッッ!!!!!!!!!!」ダッ
258 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/02/23(土) 23:21:12.93 ID:X+BncJ+vo
今日はここまで
これが最終決戦です
259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/24(日) 11:40:56.51 ID:Gd0ILXIwO
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/24(日) 11:46:16.94 ID:YKifwQusO

ハッピーエンドになるかな…
261 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/25(月) 00:34:09.71 ID:CmPdxaQcO
熱い展開過ぎて俺によし!
おつおつ
262 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/03/10(日) 04:54:21.88 ID:0Mn9300fo
更新が空いてしまってごめんなさい
現在PCの調子がおかしくなってしまって復旧中です…少し時間がかかりそうです
あともうちょっとで完結なのですが終わった後に大事なお知らせをさせてもらいます
263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/10(日) 08:51:21.16 ID:rTVq2CYNO
待ってるぞ
264 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/10(日) 23:34:11.72 ID:wYgAXrbro
アニメ化かな?
265 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/03/22(金) 18:46:11.88 ID:YaGPf5cZo
スゥゥゥゥゥゥッ!!!!!



吸血娘「……!!!!!」スッ



吸血娘(あいつには私の弱点が既にバレている。『銀』これが私の一族の弱点、銀で攻撃された傷は治らない)

吸血娘(他の武器でのダメージは肉体を一度霧化して、再構築し直せば元に戻る。ヴァンパイアってのは生身をバラバラにしても、欠片さえ残っていれば数十秒は意識がある)

吸血娘(その間に霧化すれば、与えられたダメージは全て回復する。これが不死身と言われている所以だ)

吸血娘(でも、これはあくまで通常の攻撃での話。銀で傷付けられると、この方法でも癒えることはない。人間のように時間をかけて自然回復はするけど)

吸血娘(つまり、もし生身の状態で銀で出来た武器に致命傷を与えられたら……待ち受けるのは死だ。これがヴァンパイアを殺す唯一の方法)
266 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/03/22(金) 18:48:12.31 ID:YaGPf5cZo
吸血娘(……でも、対策は出来る。簡単な話だ。霧の姿なら物理的にダメージを与えることは出来ない)

吸血娘(だからこうやって……ギリギリ刃を通さない、固体と気体の中間になるように調整すれば、銀によって死ぬことはない)

吸血娘(まあ、こんなのは向こうもとっくにご存知のはずだ。そもそもこのスタイルはヴァンパイアの基本戦術なんだからな。現にパパはあいつに殺されている)

吸血娘(つまり、この形態でもあいつは何らかの手段を用いて、攻撃を通せるということだ)

吸血娘(……常に銃口を向けられていることを意識しろ、か。まさにその通りだな)



吸血娘「ハァッ!!!!!」ブンッ



吸血娘(あのガスマスクみたいなのは間違いなく私への対策の一つだ。あのままだと霧を体内に送り込んで、破裂させる手は使えない)

吸血娘(まずはあれをぶっ壊す……!!!!)
267 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/03/22(金) 18:49:22.93 ID:YaGPf5cZo





魔女「……いきなり近距離戦ね」

魔女「確かに、あのゾンビくんの格好はドラキュラちゃんの霧と眷属を対策したもの。まずはあれをどうにかしないと決め手に欠ける」


魔女「でも、ちょっとまずいわね」


魔女「あの距離は……ゾンビくんの最も得意とする射程だもの」




268 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/03/22(金) 18:50:24.34 ID:YaGPf5cZo
屍男「……」スッ



吸血娘(っ!!あいつの攻撃が来る!!!!)



屍男「……」チャキッ



吸血娘(……なんだ?あれは……拳銃、じゃない。玩具の……水鉄砲?)



ビシュッ



吸血娘「――!?」ゾクッ

吸血娘(あ、あれはっ……ま、まずい!!!!!!)サッ



ビシャ!!!!!
269 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/03/22(金) 18:51:46.89 ID:YaGPf5cZo
吸血娘(な、なんだあの水鉄砲……何も変哲もない、ただの水鉄砲のはずなのに……は、反射的に身体が動いた)

吸血娘(ほ、本能的に悟った。あれは……当たるとまずい。今の霧の姿でも……通用する)

吸血娘(……ッ!ならこれでどうだ!!!!)



スゥゥゥゥゥゥッ!!!!!





屍男「……」キョロキョロ





魔女「……完全に霧の姿になったわね。ここからだとゾンビくんの姿が視認できないほどの濃霧が発生してる」

魔女「……さて、ゾンビくんはどうするのかしら」
270 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/03/22(金) 18:53:44.13 ID:YaGPf5cZo
スゥゥゥゥゥゥ……





屍男「……」ピクッ




シュゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!




屍男「……」ググッ




吸血娘(霧と一体になった私ならば、どんな攻撃も通用しない)

吸血娘(それに全ての角度、360°からの攻撃が可能、こうやって、周辺の濃度をコントロールすれば……全身を締め上げることも出来る)

吸血娘(どうだ……!!この状況をどうにかできるならやってみろ……!!!!)




屍男「……フッ」ググッ
271 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/03/22(金) 18:54:50.08 ID:YaGPf5cZo
屍男「……ずっと、待っていた。お前が完全に霧の姿になるのを」

屍男「中途半端な状態では、完全にこれを吸収出来ないだろうからな。気付かなかったのか?追い詰められているのは……お前の方だ」




パリンッ

シュゥゥゥゥゥゥゥゥ……




吸血娘(……なんだ?何かが割れた音?それに、追い詰められているのは私の方だと?)

吸血娘(一体、どういう――)





ドクン!!!!!!!!!
272 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/03/22(金) 18:56:55.98 ID:YaGPf5cZo
吸血娘(!?)ビクッ

吸血娘(なっ……な、なんだ!?これ!?)

吸血娘(く、苦しいっ……霧の姿なのに、まるで全身が縛り付けられているような感覚だッ!!)



シュゥゥゥゥゥゥゥ…………



吸血娘(っ……!?)

吸血娘(ど、どうなってる!?私の肉体が……元に戻りつつある)

吸血娘(なっ……こ、このままだと……!解除され……!!)



シュンッ



吸血娘「はぁっ……はぁっ……」スゥ

吸血娘「なっ……なんだと」キョロキョロ

吸血娘「も、戻った……?」
273 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/03/22(金) 18:57:52.99 ID:YaGPf5cZo
屍男「……」



吸血娘「お、お前……!一体何をした!?」



屍男「……簡単な話だ。お前の霧化の能力は自身を細胞レベルまで分解し、それを拡散することで起きる現象だ」

屍男「一見、無敵のように見えるがそうではない。攻撃面では優れているが、防御に至っては無防備もいいところだ。所詮は当たらないようにしているにしか過ぎない」



吸血娘「……ッ!」グッ

吸血娘「!?」ハッ


吸血娘(ど、どうなってる……霧になれない!?)
274 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/03/22(金) 19:01:13.70 ID:YaGPf5cZo
屍男「今、俺が散布したものは対ヴァンパイア用のガス兵器だ」



吸血娘「ガス……兵器だと?」



屍男「霧の姿ではこれを防ぐ術はない。同じ領域の攻撃なのだからな、回避も防御も不可能だ」

屍男「これに霧状になったヴァンパイアの細胞が接触すると、拒否反応が出る)

屍男「もっとも、このガス自体は致死性の猛毒でも、強力な神経ガスでもない。そんなもので殺せたら苦労はしないからな。起爆装置のようなものだ」



吸血娘「き、起爆装置だと……」



屍男「このガスの効果は二つある。一つはヴァンパイアの細胞に有毒と錯覚させる、ということにある」

屍男「錯覚した細胞は自己を防衛しようと毒を分解しようとする。しかし、霧のままでは不可能だ。一度元の姿に戻らなければ免疫は働かない」

屍男「これにより、霧が自動的に解除される。そしてここでもう一つの効果が発生する」
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