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侑「キスの味」
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50 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/12(月) 09:16:25.75 ID:FK2oh5Ga0
侑(こう、なったら)
沙弥香「もういいかしら? 別に、こんなの無理にするほどのことじゃ」
侑「佐伯先輩」キッ
沙弥香「な、なに?」
侑「先輩は、こういうの……女子同士なら気にしない、んですよね」
沙弥香「え? まあそうだけど」
沙弥香(もっとも、男子とのほうが気にしない、かもしれないけど)
侑「本当に、何とも思わないんですね?」
沙弥香「どうしたの急に……そう言ってるでしょ」
侑「わかりました」
沙弥香「なに? やっぱりするの?」
侑「……します」
51 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/12(月) 09:17:38.51 ID:FK2oh5Ga0
沙弥香「はぁ……わかったわよ。ほんと頑固なんだから」
侑「じゃあ、目、つぶってください」
沙弥香「はいはい」スッ
侑「……」
侑(これは、あくまで確認。ただの興味)
沙弥香「……」
侑(だからちがう。そういう感情は……ない)
侑「……」ツー
侑「じゃあ、いきます」
沙弥香「どーぞ」
沙弥香(ほらやっぱり無理してるんじゃない。声が震えてる)
侑「……」クイ
沙弥香(…え?)
沙弥香「……!」
沙弥香(な、なに? 柔らかい…?)
沙弥香(でもこの感触、なんだか前にも……)パチ
侑「ん……」
沙弥香「…………」
沙弥香「…………っーーーーーー!!!!?」
52 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/12(月) 09:19:26.91 ID:FK2oh5Ga0
沙弥香(えっ、えっ!?)
沙弥香(ちょっ嘘、この子なにやって)
侑「む……!」
侑(佐伯先輩の……ちょっと硬め…?)
沙弥香「ん……ふ……!」
侑(でも、なんというか上品で、心地いい……ような)
沙弥香「………っ〜〜〜!!」グイ
沙弥香「ぷはっ!」
侑(あ……)
沙弥香「ちょ、ちょっと小糸さん!? これは一体」
侑「……先輩…」トロ
沙弥香「っ…!」
侑「へへ、びっくりしました…?」
沙弥香「びっくりどころの騒ぎじゃないわよ! っていうか、え? 本当に……」
侑「……」
侑「ばっちり塗れました」
侑(間接的に)
沙弥香「あ、あのねぇ………」
53 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/12(月) 09:20:29.88 ID:FK2oh5Ga0
侑「別にいいですよね佐伯先輩? 女子同士ならこーいうのなんともないんですし?」
沙弥香「だからってキスするなんて聞いてないわよ!」
侑「煮るなり焼くなり好きにって言ったのは先輩です」
沙弥香「そっそれは……そうだけど、そうだけど…!」
侑「あれ〜? 顔真っ赤ですけど、もしかして照れちゃいました?」
沙弥香「っ、て、照れてないっ! 夕日よ!」
侑「ほんとかなぁ」
沙弥香(なんでこの子は平然としていられるわけ!? まさか常習犯……ってことはやっぱり燈子と……!?)
侑「じゃ、帰りましょっか。ほら下校時刻過ぎてますよ」
沙弥香「っ〜〜〜誰のせいよ誰のっ!!」
侑「あはははっ」
侑(……きもちよかった)
54 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/12(月) 09:21:54.49 ID:FK2oh5Ga0
スタスタ
侑「あーやっぱ外乾燥してるっぽいですね」
沙弥香「……そうね」
沙弥香(で、そのまま普通に並んで歩けるメンタルはなに? 心が壊れているのかしら?)
侑「どこのリップがいいかなぁ。 先輩おすすめあったりします?」
沙弥香「さぁ。好みは人それぞれじゃないの」
侑「冷たい」
沙弥香(それとも、本当に小糸さんは燈子と…?)
侑「……」
沙弥香「じゃ、私こっちだから」
侑「あ…」
沙弥香(だとしたら、私は……)
侑「あっあの、佐伯先輩」
55 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/12(月) 09:22:59.86 ID:FK2oh5Ga0
沙弥香「なに? 早く帰りたいんだけど」
侑「あー、っと……」
侑「やっぱ怒ってます?」
沙弥香「は?」ギロ
侑「ひいっ!」
沙弥香「あんなことされて怒ってないとでも思った?」
侑「………ですよねー」
沙弥香「前代未聞よ、許可なく先輩の唇を奪う後輩なんて」
侑(逆はあったんです! …とは言えない)
侑「その、ほんとちょっとした出来心というか………すいませんでした」
沙弥香「……謝るくらいなら最初からしないでほしいところね」
侑「はい…」
沙弥香「……」
56 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/12(月) 09:24:26.04 ID:FK2oh5Ga0
沙弥香「もういいわ。 そこまで気にしてないから」
侑「……ほんとに?」
沙弥香「女同士はセーフ、ノーカン。 そういうもんでしょ」
侑「あ、先輩もノーカンなんて言葉使うんですね」
沙弥香「だからあなたは私にどんなお嬢様イメージ抱いてるの…」
侑「うーん、なんていうか、高翌嶺の花?」
沙弥香「はぁ…?」
侑「と思ってましたけど」
侑「案外、届くものかもしれないですね」
沙弥香「…? どういう意味よ?」
侑「や、だから、その」
侑「……またしたいなぁ……なんて」ボソ
沙弥香「……」
沙弥香(……えっ?)
沙弥香(それってつまり、私のこと)
侑「それじゃ先輩、また明日」タッ
沙弥香「あ、ちょっ」
沙弥香「え? ええ〜〜〜っ……?」
57 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/12(月) 09:25:15.39 ID:FK2oh5Ga0
続きます
58 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/12(月) 09:39:10.21 ID:FK2oh5Ga0
翌ってどっから入った…
> >56訂正します
59 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/12(月) 19:57:09.71 ID:FK2oh5Ga0
沙弥香「もういいわ。 そこまで気にしてないから」
侑「……ほんとに?」
沙弥香「女同士はセーフ、ノーカン。 そういうもんでしょ」
侑「あ、先輩もノーカンなんて言葉使うんですね」
沙弥香「だからあなたは私にどんなお嬢様イメージ抱いてるの…」
侑「うーん、なんていうか、高翌嶺の花?」
沙弥香「はぁ…?」
侑「と思ってましたけど」
侑「案外、届くものかもしれないですね」
沙弥香「…? どういう意味よ?」
侑「や、だから、その」
侑「……またしたいなぁ……なんて」ボソ
沙弥香「……」
沙弥香(……えっ?)
沙弥香(それってつまり、私のこと)
侑「それじゃ先輩、また明日」タッ
沙弥香「あ、ちょっ」
沙弥香「え? ええ〜〜〜っ……?」
60 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/12(月) 20:02:23.86 ID:FK2oh5Ga0
侑(はー、なんだろ、ふわふわした気分)
侑(勢いでしちゃったけどやっぱマズかったかな……佐伯先輩ほんとはめちゃくちゃ嫌だったらどうしよう)
侑(まあ今さらどうしようもない。 過去は過去)
ガララ
侑「ただいまー」
侑「わ」
侑(いい匂い。怜ちゃんとヒロくんがお菓子作ってるのかな)
怜「おーおかえり」
侑「……あれ、ヒロくんいないの?」
怜「ヒロ? 今日はいないけど」
侑「ふーん?」
怜「なに、あんたヒロのこと狙ってるわけ?」
侑「狙ってないよ。 じゃなくてお菓子作ってるから」
怜「これは試作用。もうすぐヒロとの記念日だから、とびきりうまいの作って驚かせてやろうってね」パカッ
侑「あー、そういやそんな時期」
61 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/12(月) 20:05:22.85 ID:FK2oh5Ga0
侑(記念日、かー)
侑(怜ちゃんとヒロくんは付き合ってるんだから、やっぱそういうこともしてるんだよね)ジー
怜(…なんか見られてんな)ジャー
侑(手つないだり、キスとか、もしかするとその先も)ジー
怜「そんな監視しなくてもちゃんと侑のぶん取っといたげるよ」
侑「まじ? 絶対?」
怜「絶対絶対。 だからほれ、あっち行った」
侑「んー」
怜「……」ストン
怜(いや行けよ)
侑「怜ちゃんってさ」
怜「んー?」トン トン
侑「ヒロくんと初めてキスしたのいつ?」
怜「ぶっ!!?」ズダンッ
62 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/12(月) 20:08:10.45 ID:FK2oh5Ga0
怜「あ、あんたね……包丁持ってるときになんてこと聞いてくんの。危ないでしょ」
侑「やっぱ高校のとき? きっかけとかある?」
怜「無視かよ」
怜「まあ、そうねー。高校は高校だけど、いつだったかな」
侑「告白したの怜ちゃんからだよね。ってことはキスしたのも?」
怜「あー……最初は、うん、そうだったような」
怜(付き合ってからは、だけど)
侑「そっか」
怜「もういい?……ってかなに侑? なんかあったわけ」
侑「えっ!? や、別になにも?」
怜「……ははーん?」ニヤ
侑「なんもないってば!」
怜「さては例の彼女」
侑「ちがう。 てか、彼女じゃない」
怜「あれ、違うのか」
侑「絶対お菓子取っといてよ!」タッ
怜「あっこら逃げんな!」
怜(おかしーな? 何かあったのは確実なんだけど……あの子じゃない…?)
63 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/12(月) 20:10:23.06 ID:FK2oh5Ga0
侑「よっと」ポス
侑(……こよみのは小さくて、ほわっとしてて)
侑「……」
侑(佐伯先輩は、細くて硬め……だけど品があって心地よくて)
侑「……」
侑(七海先輩のってどんなのだっけ)
侑(他に知らなかったから、比べようとも思ってなかった)
侑「……」
侑(こういうの、キスの味………って言うんだろうか)
侑「……」モゾ
侑「スイッチどこだっけ」
侑「……」
カチ
侑「……」
侑(先輩今なにしてるかな)
侑「……連絡、ないな」
侑「……」スゥ
64 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/11/12(月) 20:11:42.73 ID:FK2oh5Ga0
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーー
燈子「侑」
侑「ん…」
燈子「侑、起きて」
侑「へ……」
侑「あれ先輩? なんでここに」
燈子「なんでってひどいなぁ。侑が呼んだから来てあげたのに」
侑「呼んだ? わたしが、先輩を?」
燈子「そうだよ。 侑が呼んだの」
侑「またまた〜そんなわけないじゃないですか」
燈子「本当だよ!」
燈子「私嬉しかったんだよ? やっと侑が私のこと…って」
侑「……はぁー?」
燈子「…ずっと、変わらないでほしいと思ってた」
65 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/12(月) 20:15:28.62 ID:FK2oh5Ga0
燈子「私のこと好きにならないでって」
燈子「そんな侑だから、私は好きなんだろうって思ってた」
侑「ちがうんですか」
燈子「違わなかった。 でも今は……」
侑「……」
燈子「侑に触れたい」
侑「…それは前からじゃないですか」
燈子「うん。 侑に触れられたい」
侑「それも、前からです」
燈子「そうだね」
燈子「それから……侑に求められたい」
侑「…え」
66 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/12(月) 20:18:35.96 ID:FK2oh5Ga0
侑「それは、どういう」
燈子「……」
燈子「君を好きでいられるのが嬉しかった。 君の、特別に思わない優しさが心地よかった」
燈子「君にはずっと変わらないでいてほしかった」
燈子「だけど…」
侑「……」
燈子「侑は、私を変えてくれたね」
侑「……そうでしたっけ」
燈子「そうだよ。 私を私にしてくれた」
侑「……」
67 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/12(月) 20:21:08.87 ID:FK2oh5Ga0
侑「それは先輩が自分の力でなったんです。わたしじゃないです」
燈子「ううん。侑がいなかったらきっとなれなかった」
燈子「きっと私じゃない別の誰かになって、そのことに気がつかないまま一生過ごしてた」
燈子「だから、侑のおかげ」
侑「……そんなこと」
燈子「でも、このままじゃいけないことにやっと気がついたんだ」
侑「え?」
燈子「……ごめん」
侑「はい?」
燈子「ごめんね、侑」
侑「な、なんですか? なんで謝るんですか」
68 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/12(月) 20:22:21.54 ID:FK2oh5Ga0
燈子「私は、侑をずっと縛り付けてたよね」
侑「…意味がわかりません」
燈子「変わる自分を見出すために、変わらない自分を護るために、私は侑に甘えてた」
燈子「私の好きは受け止めさせるくせに、侑には全部閉じ込めさせてた」
侑「あ、あの? 七海先輩?」
燈子「侑」
侑「はっはい」
燈子「君が好き」
侑「……はい」
燈子「でも私が好きな君は……君だけど、君じゃない」
侑「……」
侑「…はい?」
69 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/12(月) 20:23:54.21 ID:FK2oh5Ga0
侑「なんですかその、辛そうで辛くない少し辛いラー油…みたいな」
燈子「もう! 真面目に話してるのに!」
侑「だってほんとにわかんないんだもん!」
燈子「……そっか」
燈子「ならやっぱり、ごめん」
侑「ええー、もっとわかんない」
燈子「気づかないように、あるいは気づかせないようにしちゃってたんだね」
侑「うーん…?」
燈子「私が私じゃない誰かになっていたように」
燈子「君も、君じゃない誰かになっているということ」
侑「…え?」
70 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/12(月) 20:28:30.28 ID:FK2oh5Ga0
燈子「もう一度言うね」
燈子「私は、君が好き」
燈子「だけどその君は、私の望む君をしてくれているだけ。 そこに本当の意味での『君』はいない」
侑「わたしが…いない…」
燈子「だからこのままじゃダメなんだよ」
燈子「私は、侑のおかげで変われて、私を取り戻した」
燈子「今のままの侑は私にとって本当に優しくて、大好きだけど……やっぱり侑にもちゃんと自分を見つけてほしい」
燈子「結果として変わっても変わらなくても、自分の意思で、本当の『君』になってほしい」
侑(本当の、わたし)
燈子「侑が私にしてくれたように私にも同じことができるかはわからない」
燈子「それでもできるだけ侑の力になりたい。できることなら何でもする!」
侑「先輩…」
燈子「そして、いつかね」
燈子「やがて、君になった君が……それでも私のことを求めてくれたら、嬉しいな」
侑「……!」
71 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/12(月) 20:31:32.32 ID:FK2oh5Ga0
燈子「な、なんちゃってー…」
侑「……」
燈子「あはは、欲張りすぎかな?」
侑(そっか……先輩は悩んでたんだ)
侑(このままがいいけど、このままじゃいけない。 そんな葛藤を人知れずに)
侑(わたしにも言えずに)
侑「……」
侑(わたしは変われるかな)
侑(変わっても……いいのかな)
侑(わたしが、わたしになって)
侑(七海先輩に……)
燈子「侑」
侑「あっはい」
燈子「侑〜」
侑「え? あの、先輩?」
燈子「…………」スーー
燈子「ゆーーーうーーーーー!!!」
侑「わあああぁぁうるさっっ!?」
ーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
72 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/12(月) 20:35:27.22 ID:FK2oh5Ga0
侑「…………」キーン
怜「あーもー侑、やっと起きた」
侑「怜ちゃん…」
侑「あれ? 先輩は…?」
怜「なに寝ぼけてんの。お菓子できたっつってんのに降りてこないから」
侑「……」
侑(あっ、ゆ、夢かー、今の……)ガーン
怜「いらないなら私があんたのぶん食べてあげるけど?」
侑「いらなくない!」ガバッ
怜「ちっ、なーんだ」
侑(夢……)
侑(だけど、わたしは……)
73 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/12(月) 20:41:30.23 ID:FK2oh5Ga0
怜「パイだから冷やしてもおいしいけど、あったかいほうが吉だよ」スク
侑「……」
怜「んじゃ、早いとこ食べにきな〜」
侑「怜ちゃん」
怜「ん?」
侑「いま身長何センチ」
怜「え、なに急に」
侑「163?」
怜「いやそんなないよ…忘れたけど160いってないくらい?」
侑(ってことは、ちょっと足りない)
74 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/12(月) 20:45:41.68 ID:FK2oh5Ga0
怜「それが? 言っとくけど、あんたにゃまだまだ越せないよ」ニタァ
侑「……」スタスタ
怜「……なに」
侑「軽く背伸び」
怜「は?」
侑「して。 背伸び。 いま」
怜「は、はぁー? なんでそんなこと」
侑「いーから!」
怜「なんなのよ………はい」スッ
侑(このくらいか)
怜「で? こっからどーしろと」
侑「ん」チュー
怜「ぶ…っ!!?」
75 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[σage]:2018/11/12(月) 20:47:53.72 ID:FK2oh5Ga0
侑(よし、ちゃんと届く!)
怜「うえーっ! ぺっぺっ!」
怜「〜〜〜っなななにすんのバカ侑!? バカ? バカなの!?」
侑「別に、ただのテスト」
怜「意味わかんないんですけど…!?」
侑「じゃあパイの恩返しでいいよ。 わたしちょっと出てくる!」ダッ
怜「たあこらっ仇返しだろ! ってかどこ行くのあんた!」
侑「冷蔵庫入れといてー!」
怜「聞けよ!」
怜「いや、まじで意味わからん……え?」
怜(私妹にキスされた? なんで?)
怜「……」
怜「ったく、あったかいうちっつってんのにもー…」
76 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/12(月) 20:48:47.23 ID:FK2oh5Ga0
タタタ…
侑(先輩…)
侑(七海先輩……!)
侑「はぁっ、はぁっ…」ピッ
ピンポーン
侑(げ、Suica残額12円て)
侑「チャージチャージ」
侑「……」
侑「……」
侑(財布持ってきてないーー……)ズーン
77 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/12(月) 20:51:07.34 ID:FK2oh5Ga0
侑(どうする、家まで取りに戻る?)
侑(でも怜ちゃんすごい怒ってたしな……そんな嫌だったのかな)
侑「……」
侑「………」
侑(いや、戻るしかない。 さすがに2駅走るのは)
「…大丈夫? お金貸そうか?」
侑「へっ」
侑「あっいえ大丈夫です!」
燈子「そう?」
侑「はい、ここから家近いので取りに…」
燈子「……」
侑「……」
燈子「ん?」
侑「って七海先輩ーーー!!?」
78 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/12(月) 20:52:58.06 ID:FK2oh5Ga0
燈子「どうしたの侑?」
侑「ど、どうしたのって」
燈子「こんな時間から遠出?」
侑「や、遠出ってほどでも…」
燈子「危ないなぁ。ようしここはお姉さんが付き添ってあげよう」
侑「だから姉は1人で足りてますってば!」
侑「それより、先輩こそどうして」
燈子「んー? 私は、帰り道?」
侑「生徒会サボってどこほっつき歩いてたんですか。しかも制服のまま」
燈子「あはは、ごめんね。忙しかったよね」
侑「いえそれはいいんですけど」
侑(って………え?)
燈子「……じゃあ、私帰るね?」
侑「ちょっ、と、待ってください」
79 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/12(月) 20:56:57.03 ID:FK2oh5Ga0
侑「それ、頭の」
燈子「あー、これ?」
侑「……包帯ですよね?」
燈子「これは、えーっと」
燈子「……最近流行りの怪我人系ファッション?」
侑「ごまかす気ない嘘つくのやめてください」
燈子「あちゃ、ばれた」
侑「…どうしたんですか」
燈子「全然大したことないよ。 学校でちょっと事故というか、上から蛍光灯が落ちてきて」
侑「けっ蛍光灯!? それで頭切ったんですか!?」
燈子「あはは、ほんのちょっとね」
侑「でもその包帯…」
燈子「大げさに巻いてるからひどく見えるだけだよ。実際はこのごく一部だから」
侑「うー…」
80 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/12(月) 20:59:57.95 ID:FK2oh5Ga0
燈子「そんなに心配しないで? ね?」
侑「しますよ。頭切るなんてことそうそうないし」
燈子「だから、念のため近くの病院で検査してきたの。 結局なんともなかったよ」
侑「…ならよかったですけど」
燈子「ふふ。侑が心配してくれるなら怪我した甲斐あったかな」
侑「先輩バカなんですか?」
燈子「うそうそ」
侑「全くもう…」
燈子「ごめんごめん」ナデナデ
侑「……頭撫でないでください」
燈子「っていうわりに嫌がってなくない?」
侑「ぐっ…」
燈子「…?」
燈子「侑、何かあった?」
侑「……」
81 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/12(月) 21:04:33.55 ID:FK2oh5Ga0
侑「………連絡」
燈子「え?」
侑「怪我で早退するならそう言ってくれればいいのに」
侑「佐伯先輩にはちゃんと教えたくせに、わたしには何も知らせてくれなかった」
燈子「それは…」
侑「そのせいで今日、先輩大丈夫かなーとか、いろいろ考えちゃいましたし」
燈子「ご、ごめんね?」
燈子「でも頭の怪我で病院で検査なんて言ったら、侑に余計心配かけると思って」
侑「……」
侑「いけませんか」
燈子「えっ」
侑「わたしが、先輩のこと心配するのは…いけませんか」
82 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/12(月) 21:09:31.41 ID:FK2oh5Ga0
燈子「…侑?」
侑「七海先輩が」
侑「わたしに先輩の心配をさせたくないのは、わたしが学校の後輩だからですか?」
侑「先輩が生徒会長でわたしが役員だからですか?」
侑「それとも……わたしが、先輩にとっての特別だからですか?」
燈子「……」
燈子「そうだよ。侑は私にとって特別」
燈子「特別だから、大切だから」
燈子「だから心配なんてかけたくない……それっていけないこと?」
侑「……」
侑「なら、わたしの気持ちはどうなるんですか」
燈子「ゆ、侑の気持ち?」
侑「そんな風に自分を大事にしてくれてる人を、わたしは心配しちゃいけないんですか?」
侑「特別に思いたくても思わせてもらえない……そんな人のことを、考えることすら許されないんですか?」
燈子「……え?」
83 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/12(月) 21:14:24.04 ID:FK2oh5Ga0
燈子「侑、いまなんて」
侑「……」
侑「……先輩の好きなわたしは、どんなわたしですか」
燈子「どんなって…」
侑「どんなわたしですか?」
燈子「侑は侑だよ」
侑「そのわたしは? 誰かになろうとしているわたしですか?」
燈子「……!」
侑「先輩が、周囲の理想に合わせてお姉さんの代わりになったみたいに!」
侑「先輩が好きでいてくれるのは、先輩の理想を貫いてるわたしだけなんですか!?」
燈子「侑……」
燈子(君は……)
侑「わたしは……っ…」
燈子「……」
侑「わたしは……変わりたいっ……!」
84 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/12(月) 21:16:49.79 ID:FK2oh5Ga0
侑「わたしは……わたし、は……っ……!」
燈子「…侑っ!!」
燈子(そんな……それじゃあ侑はずっと……!)
侑「ごめんなさい、先輩……ごめん、なさいっ…」
燈子「ううん違う! 違うよ!」
燈子「侑……ごめん! ごめんねっ!」ギュ
侑「っ、せん……ぱいっ」ギュッ
燈子「ごめんね…辛かったよね……!」
侑「ひっ……う……」
侑「つらかったぁ……寂しかったぁぁ…!」
燈子(バカだ、バカ……私、自分のことしか……っ)
燈子「大丈夫だから…! もう、侑はひとりじゃないから…!」
侑「……な…なみっ、先輩……っ」
燈子「侑……っ、本当にごめん……」
侑「う、ぁ……」
侑「うあああああああああんっ!!」
ーーーーーーーーーー
ーーーー
ーーーーーーー
ーー
85 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/12(月) 21:23:42.37 ID:FK2oh5Ga0
スタスタ
燈子「もうすぐ着いちゃうね」
侑「すいません、怪我してるのに送ってもらって」
燈子「あんなに泣いてる侑のこと放っておくなんてできない」
侑「うぐ……忘れてください」
燈子「それは難しいなぁ」
燈子「それに私も同じ。こんな腫れた顔、侑の家族には見せられないよ」
侑「じゃあせっかくなんでうち寄っていきます?」
燈子「完全に嫌がらせでしょ…」
侑「今なら怜ちゃ…姉の新作スイーツがありますけど?」
燈子「な、なにそれ! いいなーずるい! 私も食べたい!」
侑「あはは。もうすぐヒロくんとの交際記念?みたいなんで、その時に来ればたぶん食べられますよ」
燈子「あ、へー、そうなんだ」
86 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/12(月) 21:25:42.84 ID:FK2oh5Ga0
燈子「交際記念日かぁ」
侑「律儀ですよね毎年。 何年目だっけ」
燈子「……」
燈子「今日ってさ、……なるのかな?」
侑「はい?」
燈子「その…」
燈子「…………私と侑の、こ、交際記念日…?」カァァ
侑「……」
燈子「……っ、なんか反応してよ!」
侑「先輩ってほんと……」ハァ
燈子「い、言いたいことあるならはっきり言って!」
87 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/12(月) 21:27:10.06 ID:FK2oh5Ga0
侑「じゃあ年上のくせにもっとシャキッとできないんですか?」
燈子「ほんとに言いたいこと言った!」
侑「先が思いやられるなぁ」
燈子「ううう…」
侑「ってかいつの間にわたしたち付き合うことになったんですか」
燈子「そこから!? ……え? 違うの?」
侑「だってわたし告白されて返事したわけじゃないし」
燈子「そ、それはもうお互いわかってるってことでよくない?」
侑「生徒会長がそんなザルな手続きで通しちゃうんですか?」
燈子「えぇー、今それ持ち出すのは卑怯じゃあ…」
88 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/12(月) 21:28:00.18 ID:FK2oh5Ga0
侑「ってことで七海先輩」
侑「わたしと付き合いたければ、それなりの誠意ってやつを見せてください」
燈子「う、上から目線〜〜!」
燈子(でも、背に腹は代えられない)
燈子「……」コホン
燈子「ゆ、侑? 好きだよ?」
侑「本当に?」
燈子「好き。 大好き」
侑「……はい」
燈子「だから、その……私と……」
ガラッ
怜「あーー侑!! あんたどこ行ってたの!」
侑「!?」ビク
燈子「っ!!?」ビクッ
89 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/12(月) 21:30:39.79 ID:FK2oh5Ga0
怜「おかーさーーん! 侑帰ってきたー!」
侑「れ、怜ちゃん!?」
燈子(お義姉さん! タイミング! タイミングーー!!)ズーン
怜「ったくもー……」
怜「あれ? そこにいるのひょっとして七海ちゃん?」
燈子「あっ、こっこんばんは!」
怜「やほー。どうしたのこんな遅く」
燈子「いえ、その……」
怜「!」
怜「あ……ひょっとしてお邪魔だった? ごめんね〜?」ニタ
侑(ほんとにだよ!)
燈子「あ、あはは…」
90 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/12(月) 21:33:18.29 ID:FK2oh5Ga0
侑「まったく怜ちゃんはー…」
燈子「心配してくれてるんだよ」
侑「まあそうですけど」
侑「……先輩も、これからはちゃんと心配させてもらいますからね」
燈子「うん。 よろしく」
侑「じゃあ早速帰りお気をつけて。何かあったらすぐ連絡くださいね」
燈子「何かないと連絡しちゃダメ?」
侑「……」
侑「何もなくても…いいですよ、別に」
燈子「やった。1分おきにスタンプ送る」
侑「それは怖すぎなんでやめてください」
91 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/12(月) 21:35:23.93 ID:FK2oh5Ga0
燈子「冗談だって。それと、侑?」
侑「はい?」
燈子「えっと、できたら……帰る前に……」モジ
侑「……」
侑「ああ、トイレなら奥入って右手の」
燈子「そうじゃない!!」
侑「じゃあなんですか…」
燈子「だから、最後にその」
燈子「お別れの……ね?」
侑「えー………」
燈子「ダメ?」
侑「どうしよっかなぁ」
92 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/12(月) 21:37:06.52 ID:FK2oh5Ga0
燈子「お願い! 1回だけでいいからさせてっ!」
侑「うーん」
侑「……まあ、先輩この頃ガマンしてたし」
燈子「えっ、侑、気づいてたの?」
侑「気づきますよ。この頃ぱったり無かったですもん」
燈子「あんまり多いと嫌がってさせてくれなくなるかと…」
侑「懸命な判断でしたね」
燈子「……」
燈子「それじゃあ、久しぶりに」ワクワク
侑「だが断る」
燈子「えー!?」
93 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/12(月) 21:41:35.15 ID:FK2oh5Ga0
燈子「そんなぁ侑……なんで……?」
侑「ダメなもんはダメです」
燈子「うぅ、上げて落とすなんてひどい」ガク
侑「……」
侑「……先輩にさせるのが、ですけど」
燈子「……」
燈子(え?)
燈子「侑、それどういう」
侑「ん!」
燈子「っむ…!?」
侑「……ぷは」
燈子「………っ」
侑「これ…お返事ってことでいいですよね?」
燈子「……!!!」
侑(先輩のは……あったかい味だ)
94 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/12(月) 21:43:24.42 ID:FK2oh5Ga0
侑(なんて)
燈子「ゆ、侑……」
侑「七海先輩」
燈子「はっはい!」
侑「わたしも、先輩が大好きです」
おわり
95 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/12(月) 21:47:00.48 ID:FK2oh5Ga0
以上です。
読んでくれたかたありがとござます。
個人的に侑怜の絡みが見たいです…。
とても…見たいです…。
96 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/12(月) 21:52:52.10 ID:eveCI8uqO
おつかれさまー
百合キス魔侑ちゃんいいぞぉ^〜
97 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/13(火) 00:18:43.30 ID:5diE2Ahno
乙
いいもん見たわ
98 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/13(火) 01:53:50.78 ID:bYa5uxYVO
ぼかぁ侑こよ派ですね
99 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/11/13(火) 08:22:19.39 ID:BuiVcyCDO
>>95
乙ですた
こよみが可愛すぎて悶えた
メ欄にsaga入れると高嶺や魔力も普通に変換出来るはず
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