【アマガミ】橘「七咲、許してくれるかな」

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80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 01:31:38.82 ID:/jkNf6yh0
七咲「…足、治ったんですね」

橘「ああ、もうバッチリだよ」

橘「謝ろうとしなくていいよ、あれは事故だって、七咲も郁夫君も悪くないよ」

七咲「…まだ何も言ってませんよ」

橘「表情見てればわかるよ」

橘「七咲のことはよくわかってるし」

七咲「私と先輩はついこの前、数年ぶりに会った関係ですよ」

七咲「その数年間で私の考えもいろいろ変わりました」

七咲「それでも私のことをわかってるって言えますか?」

橘「うっ…その…」

七咲「冗談ですよ、私そんなに変わってませんから」
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 01:32:38.10 ID:/jkNf6yh0
橘「な、なんだ…そうなのか」

橘「……」

橘(口では冗談と言っているが、よく考えると僕だって変わってるんだから、七咲も変わってるに決まってるよな…)

橘(そもそもよくわかってると言ったけど七咲と関わった期間はそんなに長くない…というより短いよな)

橘(実は七咲のこと全然わかってないんじゃ…)

七咲「先輩」

七咲「橘先輩」

橘「はっ、な、なに?」

七咲「やっぱり聞いてなかったんですか」

橘「ごめん、もう一回言ってもらっていい?」
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 01:35:49.79 ID:/jkNf6yh0
七咲「先輩に聞きたいことがあるんです」

橘「僕に?」

七咲「はい」

七咲「ただ、こういう場で話すようなことではないので後日会ってくれませんか?」

橘「えっ…」

橘「…僕は構わないけど」

七咲「ありがとうございます」

七咲「そうだ、連絡先交換しておきませんか?郁夫とも交換したんですよね」

橘「うん、いいよ」

七咲「…完了っと、また連絡しますね」

七咲「失礼します」
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 01:36:21.37 ID:/jkNf6yh0
――――――――――

橘「ってなことがあったんだ」

梅原「なるほどねぇ…ほい、えんがわとあまえび」

梅原「で、それの何が困ったことなんだ?」

橘「七咲が僕に聞きたいことなんて、あの時のことを…」

梅原「そんなわけねえだろ」

橘「なんでそう言い切れるんだよ」

梅原「なんとなく」

橘「お前、親友が真剣に悩んでるんだぞ」

梅原「俺の勘を信じろ」
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 01:37:26.15 ID:/jkNf6yh0
梅原「いつ会うんだ?」

橘「明日」

梅原「へー、それで直前になって会うのが嫌になったと」

橘「そうじゃない」

梅原「じゃあどうなんだ?」

橘「何言われるんだろうって考えちゃってさ…」
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/16(土) 01:38:36.53 ID:WizgQZhUo
支援
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 01:39:16.71 ID:/jkNf6yh0
香苗「こんな時間に珍しく元気な声が聞こえると思ったら、橘君が来てたのね」

橘「香苗さん」

橘「…やせたね」

香苗「あんたわざと言ってんの?」

橘「冗談だよ」

橘「二人目生まれたんだね、おめでとう」

橘「梅原も教えてくれればよかったのに」

梅原「あれ、言ってなかったか?」

橘「聞いてないよ」

梅原「見てみろ、かわいいだろー」

橘「うん、そうだね…」
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 01:40:37.34 ID:/jkNf6yh0
ガラガラガラ

梅原「ヘイ、ラッシャイ!」

香苗「いらっしゃいませー」

女性「……」こそこそ

香苗「お客様、ケーキ屋さんでしたらそこの角を右に曲がって、3軒行ったところにありますよ」

女性「それは後で行くよ、じゃなくて今はお寿司だよ」

女性「あっ」

香苗「バレバレ」

女性「……」
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 01:42:01.90 ID:/jkNf6yh0
梅原「どうしたの、かなちゃん?」

香苗「わかんない?桜井だよ」

桜井「か、香苗ちゃん!一応変装してるんだからさ」

梅原「おお、桜井さんか、久しぶりだな」

香苗「大丈夫、この時間は他にお客さんいないから」

桜井「えっでも…」

香苗「ほら、よく見てみなさいよ」

橘「り…梨穂子…か?」

桜井「どちら様ですか?」

橘「!?」ガーン
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 01:43:05.50 ID:/jkNf6yh0
橘「……」ガクッ

桜井「冗談だよ、純一〜」

桜井「幼馴染でしょ、忘れるわけないじゃん」

橘「本当かっ!?」

桜井「当然でしょ」

橘「本当の本当の本当に?」

桜井「どうしたの純一?しばらく会わないうちに変になった?」

梅原「こいつにもいろいろ悩みがあるんだ、適当にでも答えてやってくれ」

桜井「うーん…純一、仕事がうまくいってないのかな」

梅原「仕事はどうだろうな、毎日がんばってるみたいだけど」

桜井「じゃあ食べ過ぎて、お腹痛めたとか」

香苗「あんたじゃないんだから」
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 01:44:08.29 ID:/jkNf6yh0
赤ちゃん「おぎゃあ!おぎゃあ!」

香苗「おーよしよし、お腹すいたの?」

香苗「あっ、ごめんね桜井、せっかく来てもらったのに」

桜井「ママさん大変だね」

桜井「しょうがないことだよ、がんばってね」

香苗「忙しいかもしれないけど、また顔出してよね」

桜井「はーい」
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 01:45:21.13 ID:/jkNf6yh0
桜井「ねえねえ純一」

橘「ん?」

桜井「最近どうなの?」

橘「どうって…?」

桜井「なんだか元気なさそうだから仕事で失敗したのかと思って」

橘「い、いや仕事は順調だよ」

桜井「じゃあプライベート?」

橘「う、うーん…」

桜井「はっきりしないなんて純一らしくないよ」

桜井「私が協力できることなら何でもするよ」

橘「梨穂子はやさしいなあ」
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 01:46:39.53 ID:/jkNf6yh0
橘「実は…」

橘「僕はもうだめかもしれない」

桜井「ええっ!?何があったの!」

梅原「大げさに言いすぎだ」

橘「でも可能性はあるよ」

橘「あれは復讐されるってことだろ」

梅原「…いや、どう解釈したらそうなるんだ」

桜井「えっ?えっ?よくわからないよ、どういうことなの?」

梅原「そうだな、桜井さんにもわかりやすく教えてやんねえと」
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 01:47:51.75 ID:/jkNf6yh0
梅原「そうだな…どう言おうか…」

梅原「大将が昔捨てた女性が大将のことを忘れられずにまた会いたい…と」

橘「変なこと言うなよ」

橘「そうじゃなくてな、そのー…」

橘「久しぶりー…でもないか、えっと高校の時の後輩と会うんだよ」

橘「それだけ」

桜井「それだけ?」

橘「うん」

桜井「会えばいいじゃん」

梅原「だよなー」
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 01:48:50.51 ID:/jkNf6yh0
桜井「純一は普段何も考えてないくせに、こういう時だけ深く考えすぎなんだよ」

橘「今ちょっとひどいこと言わなかった?」

桜井「心配しなくても、純一は誰かに恨まれたりするような人じゃないよ」

桜井「私が保証するよー」

梅原「桜井さんの言う通りだ、とりあえず会ってみろよ」

梅原「案外どうでもいいことかもしれねえぞ」

橘「だといいけどな…」

橘「……」

橘「よし、わかった…覚悟を決めるか」
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 01:49:36.71 ID:/jkNf6yh0
翌日

上司「やあ、橘君飲みに行かんかね?」

橘「あー…すいません、この後大事な予定がありまして…」

上司「お?めずらしいね」

上司「もしかして彼女でもできたのか?」

橘「いえ、そういうわけでは」

上司「なんだ…」

上司「そうか、今日はだめなのか」

橘「すみません」

上司「はー…だめなのかー」

上司「ん?あれ?橘?」
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 01:50:44.76 ID:/jkNf6yh0
―――――――――

橘「ここか」

橘「よし、時間ピッタリだ」

橘「危なかった、あの上司の話をあのまま聞いてたら待ち合わせに遅れるところだった」

橘「えっと、七咲は…」キョロキョロ

橘「あれ…?いないじゃないか」

橘「仕事がまだ終わってないのかな」

橘「七咲の性格だとこういう時は連絡があるはずだけど、メールも来てないし…」

橘「うーん…」

橘「仕方ない、少し待つとするか」
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 01:52:14.89 ID:/jkNf6yh0
七咲「橘先輩っ」

橘「な、七咲…いたのか」

七咲「はい、遠くから先輩の姿を見つけたので、ちょっと隠れてみました」

橘「えっ!?」

七咲「ふふふっ、すみません」

七咲「ちょっとした冗談ですよ」

七咲「突然声をかけて、ビックリさせようと思ったんです」

橘「そうだったのか」

橘「それにしても…」

橘(スーツ姿の七咲がすごく大人っぽくて…いいな)

七咲「それにしても…何ですか?」

橘「い、いや…何でもない」

七咲「そうですか、じゃあ入りましょう」
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 01:52:50.27 ID:/jkNf6yh0
橘「……」そわそわ

七咲「ここのお店は安いのが特徴ですが、これすごくおいしいんですよ、先輩も食べてください」

橘「あ、ああ…」

七咲「ふふっ」

橘「う、うん…おいしい」

橘「……」そわそわ

七咲「どうしたんですか?さっきから」

橘「あ、ああ…えっと…その…は、話ってのは…?」

七咲「あっそうでしたね」
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 01:53:56.23 ID:/jkNf6yh0
七咲「橘先輩って何かほしいものはありますか?」

橘「えっ!?」

橘「ほ、ほしいもの…」

橘「急にそんなこと言われても…」

橘「どういうことなの?」

七咲「あっ、すみません、ちゃんと説明しますね」

七咲「私の会社に来月誕生日の先輩がいるんです」

七咲「その先輩が橘先輩にすごく似てるタイプと思ったんです」

七咲「だからもしかすると、ほしいものも似てるのかと思いまして」

七咲「一応その先輩には秘密なので、会社の人に相談しちゃうとバレちゃう可能性があるので橘先輩に相談したんです」

橘「あ…そ、そういうことだったんだ…」
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 01:55:12.12 ID:/jkNf6yh0
橘「……」

橘(考えすぎだったか…)

橘(よかった…まともなことだった)

七咲「先輩?」

橘「あ…そ、そうだな…」

橘「そういうことだったら…」

橘「ネクタイピンとか名刺入れとかちょっとしたものがいいんじゃないかな?」

七咲「ネクタイピンや名刺入れですか、なるほど」

橘「その先輩がほんとにほしいかどうかは知らないけどね」

七咲「はい、ありがとうございます」
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 01:55:42.30 ID:/jkNf6yh0
――――――――

店員「お会計が3240円です」

橘「はーい」

七咲「あっ私が出しますよ」

橘「いや、いいよ僕が出すよ」

七咲「誘ったのは私なんですから」

橘「僕一応先輩だし」

七咲「私の方が(たぶん)お金に余裕がありますよ」

橘「うっ…」
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 01:56:45.65 ID:/jkNf6yh0
橘「な、七咲…ほんとにいらないのか?」

七咲「いいですよ、元々私が支払うつもりでしたから」

橘「でも…」

七咲「一人暮らしは大変なんですから、節約できるところは節約した方がいいですよ」

橘「それはそうだけど」

橘「僕だって」

七咲「…では橘先輩にもっと余裕ができたときにお願いします」

橘「はは…いつになるのかな…」

七咲「何年だって待ちますよ」
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 01:58:07.43 ID:/jkNf6yh0
翌週

七咲「お店に来たはいいけど、どれがいいのかな」

塚原「あら、七咲?」

七咲「はい?」

塚原「やっぱり、久しぶりね」

七咲「あ、あの…」

塚原「何年ぶりかしら、私が高校を卒業して以来だから…」

七咲「すみません…どちら様…ですか?」

塚原「えっ…」

塚原「わ、私のこと…覚えてないの…?」

七咲「いやっ…お名前を教えていただければ…!」
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 01:58:49.66 ID:/jkNf6yh0
塚原「高校の時同じ水泳部だった塚原響だけど…」

七咲「つっ…塚原先輩っ!?」

七咲「すみませんっ!雰囲気が全然違ったもので…!」

塚原「そんなに変わった?」

七咲「はい…塚原先輩と言われるとなんとかわかるぐらいに…」

塚原「それは悪く言われてるのかしら」

七咲「ち、違います」

七咲「高校生の時から大人っぽい塚原先輩がさらに大人の女性の雰囲気を纏ってらっしゃるので」

七咲「まるで別人みたいですし」
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 02:00:34.82 ID:/jkNf6yh0
塚原「たしかにちょっとはイメチェンはしたかな」

七咲「ところで塚原先輩は何を買いに来たんですか?」

塚原「私はネクタイを買いに」

塚原「ちょっとプレゼントにね、七咲は?」

七咲「私も誕生日プレゼントを買いに」

塚原「もしかして彼氏かしら」

七咲「違います、会社の先輩ですよ」

七咲「普段お世話になっているので、先輩が普段でも使えそうなものを探していたんです」

塚原「ふーん…」

七咲「な、なんですかその顔…」

塚原「今の七咲の顔がね、自分の好きなことを話す子どもそっくりなのよ」

七咲「…!?」
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 02:02:57.42 ID:/jkNf6yh0
塚原「だから私の推理ではその先輩のことが好きなのね」

七咲「それも違います!私はその先輩じゃなくて…はっ」

塚原「ふーん、そう」

塚原「冗談のつもりだったけどあなたにも好きな人がいたのね」

七咲「……」

塚原「安心した」

七咲「…?」

塚原「大きなお世話だけど七咲のこと心配してたのよ」

塚原「高校のとき見ているこっちまでつらかったもの」

塚原「何かを忘れようと必死で水泳に打ち込んでたわね」

塚原「その甲斐もあって優秀な成績だったけど、結局心の傷は隠しきれてなかった」
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 02:05:00.78 ID:/jkNf6yh0
七咲「そんなつもりはなかったんですが、心配をおかけしてたみたいですね…」

塚原「それで…あなたの好きな人ってどんな人?」

塚原「少し興味があるわ」

七咲「…好きな人は今はいませんよ」

塚原「何かを隠してる時の子どもと一緒の顔してるわよ」

七咲「……」

七咲「少し…気になるかなって…程度です」

塚原「別に誰かに言いふらしたりしないんだから正直に言ってくれればいいのに」
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 02:06:24.41 ID:/jkNf6yh0
―――――――――――

塚原「久しぶりに会えて楽しかったわ、じゃあね」

七咲「はい、失礼します」

七咲「……」

七咲「塚原先輩きれいだったなぁ…」

七咲「すごく大人っぽいし、うらやましい」

七咲「私なんかいまだに年齢確認されるし…」

七咲「……」

七咲「帰ろ…」
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 02:07:48.95 ID:/jkNf6yh0
3日後

七咲(あ、時間だ、今日も終わった)

七咲「うーん…」

七咲「さて…帰る用意をして…」

七咲「お疲れ様です、失礼します」

先男1「あっ待ってくれ七咲」

七咲「はい、なんでしょう」

先男1「ちょっと話があるんだけどさ、この後時間ある?」

七咲「はい、いいですよ」

先男1「さんきゅっ、じゃあちょっと待っててくれ、すぐ用意するから」
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 02:09:41.07 ID:/jkNf6yh0
先男1「よし、行こうか」

七咲「どこへ行くんですか?」

先男1「そうだな、ちょっとゆっくりできるとこがいいな」

七咲「……」

先男1「な、なんだよその目は」

先男1「普通の居酒屋だよ」

先男1「やらしいことなんか考えてねえって」

七咲「何も言ってませんよ」

先男1「め、目で訴えてた…」

七咲「そういうことを考えてたつもりはなかったんですが…」

七咲「先輩はそういうこと考えてたみたいですね」
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 02:10:34.38 ID:/jkNf6yh0
七咲「会社の近くにこんなお店があったんですね、知りませんでした」

先男1「ああ、俺も最近知ったんだ」

先男1「いいところだろ?」

七咲「はい、落ち着いてて、こういうところは好きです」

先男1「おお、そうか」

先男1「お前の好きそうな店探しててよかったぜ」
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 02:11:24.53 ID:/jkNf6yh0
―――――――――

先男1「ほんとあの時は困ったよ」

七咲「それは大変ですね」

先男1「ああ…」

先男1「……」

先男1「……」

七咲「…先輩?」

先男1「七咲…」

七咲「はい」

先男1「俺と…付き合ってくれ!」

七咲「……」

七咲「はい?」
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 02:12:30.38 ID:/jkNf6yh0
先男1「……」

七咲「せ…先輩、ちょっと酔ってるんじゃないですか?」

七咲「明日も仕事がありますし、今日はこれぐらいにしましょ」

先男1「七咲!俺は本気だ!」バンッ

七咲「……」

七咲「…ッ」

先男1「……」

七咲「すみません…」

先男1「…!」

先男1「な…ど、どうしてだ?」

七咲「……」
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 02:14:06.32 ID:/jkNf6yh0
七咲「き、気持ちはうれしいのですが…」

七咲「私は…その…」

七咲「……」

先男1「俺のことが嫌いなのか?」

七咲「そうじゃないです」

先男1「ほ、他に好きな人がいるとか…?」

七咲「……」

先男1「そうなのか?」

七咲「はい…」
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 02:14:54.08 ID:/jkNf6yh0
七咲「……」

七咲「すみません…私はこれで失礼します…」

先男1「ちょっ…おい、七咲!」

先男1「あ…」

先男1「……」
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 02:16:00.88 ID:/jkNf6yh0
翌日

七咲「おはようございます」

先男2「おはよう」

先男1「……」

七咲「あ…お、おはようございます…」

先男1「……」

先男2「ん?どうした、あいつ機嫌悪いのか?」

七咲「…いえ、わかりません」
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 02:17:20.58 ID:/jkNf6yh0
次の日

七咲「あの、先輩」

先男1「……」ぷい

七咲「あ…」

さらに次の日

七咲「先輩、課長が頼んでいた資料を…」

先男1「……」

七咲「先輩、あの…」

さらにさらに次の日

七咲「先輩、明日の会議のことなんですが…」

先男1「……」すたすた

七咲「……」
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 02:24:13.04 ID:/jkNf6yh0
先輩の誕生日

先男1「んじゃ、おつかれ〜」

七咲「……」

七咲「あ、あの…先輩…」

どんっ

七咲「!」

先男1「……」すたすた

七咲「……」

七咲「はぁ…」

先男2「…なんか最近お前ら仲悪くね?」

七咲「…嫌われてしまったみたいですね」

先男2「なんかミスしたとか?それにしては怒りすぎなような」

先男2「何があったんだ?」

七咲「……」

七咲「私が仕事でミスをしてしまっただけです」
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 02:25:16.95 ID:/jkNf6yh0
公園

七咲「……」キィコキィコ

七咲「はぁ…」

七咲「結局渡せなかったな…」

橘「黒」

七咲「?」

橘「もしかして、と思ったけどやっぱり七咲だったか」

七咲「橘…先輩…」

七咲「…ふっ」

七咲「痴漢ですか?」

橘「なっ、声をかけただけじゃないか」

七咲「私のスカートの中をのぞいたんじゃないですか?」

橘「言ってみただけだよ」

七咲「わかってますよ」
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 02:26:20.16 ID:/jkNf6yh0
橘「こんなとこで何やってたんだ?」

七咲「…少し仕事のことで考え事を」

七咲「先輩こそどうしたんですか?」

七咲「今はこっちじゃないんですよね」

橘「ああ、ちょっと梅原に用事があってな」

橘「今から帰ろうと思ってたんだ」

橘「そしたら大人がブランコに乗ってるから、ちょっと見てみようと思ったら七咲がいたってわけ」

七咲「そうですか…」

橘「…七咲、何か悩んでるのか?」

橘「顔を見ればすぐにわかるよ、どうした?」
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 02:27:19.92 ID:/jkNf6yh0
七咲「…この前、橘先輩に相談したこと覚えてますか?」

橘「あー…確か会社の先輩への誕生日プレゼントだったな」

七咲「はい」

七咲「実は今日がその先輩の誕生日だったんですが、渡せなかったんですよ…」

橘「病気とかで休んでたってわけじゃなさそうだね」

七咲「…その先輩に付き合ってくれって言われたんです」

橘「なにっ!?」

橘「そ…それで七咲はなんて…」

七咲「お断りしました」

橘(ふぅ…)
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 02:28:20.41 ID:/jkNf6yh0
七咲「そしたら次の日から仕事のことでも口を聞いてもらえなくなってしまったんです」

七咲「……」

七咲「先輩、もしよかったらこれ受け取ってもらえませんか?」

橘「これは…」

七咲「会社の先輩に渡すつもりだったのですが、きっともう渡せそうにないので」

橘「え、いいの?」

七咲「はい、先輩さえよければ」

橘「ありがとう」
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 02:30:02.63 ID:/jkNf6yh0
七咲「…さて、私はそろそろ帰ります」

橘「待って七咲」

七咲「はい?」

橘「…七咲…僕に…僕にもう一度だけチャンスをくれないか?」

七咲「チャンス…?」

橘「ああ、もう一度だけ、高校のときのようにやりなおさせてくれないか」

橘「僕は七咲を…」

橘「……」

七咲「先輩…」

七咲「……」
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 02:31:01.48 ID:/jkNf6yh0
七咲「覚えてますか?」

七咲「高校のときも、もうしないって約束をしたのに破ったじゃないですか…」

橘「ああ、はっきり覚えてるよ」

七咲「もう気にしていないことと信用は別の話です…」

橘「……」

七咲「まあ…でも…その…だからといって…」

七咲「断るのも…」

七咲「もう先輩も私も大人ですし…」

七咲「高校生のときとは違うでしょうから…」

七咲「あ、でも…前科もあるわけですから…」

七咲「高校の続きから…ではなく…」

七咲「また友だちからということでしたら…チャンスを…」

橘「!」

七咲「も、もう一度だけですよ」
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 02:31:44.67 ID:/jkNf6yh0
翌日

橘「〜♪」

同僚「おっ、なんか今日機嫌いいな」

橘「そうかな?僕はいつも通りだと思うけど」

上司「おーい橘、これやっといてくれるか?」

橘「はい、わかりました」

橘「うおおおお〜!」シュバババババ

同僚「お…おおっ!早えぇ!」

橘「終わりました」

上司「もう!?」
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 02:32:22.64 ID:/jkNf6yh0
――――――――――

七咲「……」カタカタ

七咲「ふぅ、終わったぁ」

先男2「お疲れさん」

七咲「あ、お疲れ様です」

先男2「何かいいことでもあったの?」

七咲「どうしてですか?」

先男2「昨日までは何しても落ち込んだような顔してたのに、今はすごい良い顔してるから」

七咲「そうですね…いいこと…」

七咲「はい、ちょっといいことがありました」

先男2「へ〜」

先男1「……」
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 02:34:04.59 ID:/jkNf6yh0
七咲家

七咲「ただいまー」

郁夫「おかえりー」ぽちぽち

『ファル●ンパーンチ!』『ショウタイムだ』『ピカ〜!』

七咲「……」

郁夫「勉強ならちゃんとやったよ」

郁夫「これ終わってからもするつもりだし」

七咲「ねえ、そのゲームっておもしろいの?」

郁夫「うん、おもしろいよ、人気もあるし」

七咲「……」

七咲「ねえ、私にもそのゲーム教えてよ」

郁夫「え?」 
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 02:34:53.19 ID:/jkNf6yh0
七咲「ええっ!?どうしてゴリラが女の子に飛ばされちゃうのよ」

郁夫「そういうゲームだよ」

七咲「うう…もう一回!」

郁夫「別にいいけど…何回目のもう一回だよ」

……

七咲「ああっなにそれ!?」

……

七咲「今のどうやって避けるの…」

……

七咲「あっ…また負けた…」

郁夫「なんで姉ちゃんドン●ーしか使わないの?」
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 02:36:07.43 ID:/jkNf6yh0
郁夫「そのゲームさ、純一兄ちゃんもやってるんだ」

七咲「そ、それが何?」

郁夫「次の日曜日に純一兄ちゃんのとこで遊ぶ約束してるんだ」

郁夫「姉ちゃんも一緒に行かない?」

七咲「なっ…なんで私も」

七咲「正一君とかいるじゃない」

郁夫「ああ、正一はその日無理らしいんだ」

七咲「一人で行くのが嫌なの?」

郁夫「そういうわけじゃないよ」

七咲「私が行ったら先輩驚くでしょ」

郁夫「来てほしいって言ってたよ」

七咲「……」

七咲「まあ…どうしてもって言うならついて行くぐらいいいけど」
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 02:36:46.92 ID:/jkNf6yh0
日曜日

ピンポーン

橘「はーいはい」ガチャ

郁夫「来たよ」

橘「ああ、待ってたよ、いらっしゃい」

橘「えっ、七咲…?」

七咲「こんにちは」

橘「……」ちらっ

郁夫「……」にやっ

橘「と、とりあえず入って入って」
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 02:37:48.27 ID:/jkNf6yh0
橘「ねえ、どうして七咲…お姉ちゃんまで来たの?」ひそひそ

郁夫「俺からのサプライズだよ」

橘「サプライズって…」

七咲「……」

橘「ちょっと待ってて、飲み物いれてくるから」

七咲「…ねえ郁夫」

郁夫「なに?」

七咲「ほんとに私が来ていいって言ってたの?」

七咲「なんだか驚いてたみたいだけど」

郁夫「ほんとに来たって喜んでるんじゃないの?」

七咲「そうなの…?」
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/16(土) 02:39:05.91 ID:MMEHVcs4o
支援
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 02:39:08.87 ID:/jkNf6yh0
橘「あの…今からこれやるんだけど、七咲はこういうの得意だっけ?」

七咲「最近郁夫と一緒にやってますが、まだ上手く操作ができないです」

郁夫「教えてくれって言われたときはちょっと驚いたけどね」

橘「へえ」

橘「じゃあ三人でやろうか」

郁夫「あっしまった!」

橘「どうしたの?」

郁夫「マイコントローラー忘れた」

橘「大丈夫だよ、三人分のコントローラーならあるから」

郁夫「いや、いつも使ってるやつの方がしっくりくるから」

郁夫「ちょっと取りに帰る!」

七咲「ええっそんな気軽な距離じゃないでしょ」

郁夫「急げばあまり時間もかからないからいいよ、先に二人でやってて」
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 02:42:09.98 ID:/jkNf6yh0
橘「……」

七咲「……」

橘「郁夫君行っちゃったけど…先に二人でやる?」

七咲「そ、そうですね」

橘「……」

七咲「……」

橘(まさか僕の部屋で七咲と二人きりになるなんて…)

七咲「あの、橘先輩」

橘「!…な、なに?」

七咲「私がお邪魔して迷惑ですか?」

橘「いや、そんなことないよ!」

七咲「もしかしてですけど、私が来ること知りませんでした?」

橘「うん、ちょっとびっくりした」

七咲「やっぱり…」

七咲「すみません、橘先輩が来てほしいって言ってたって郁夫に言われたんです」
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 02:43:08.81 ID:/jkNf6yh0
橘「郁夫君が?」

七咲「はい」

七咲「先輩の反応がおかしかったので知らなかったのかなと思ったんです」

七咲「ちゃんと郁夫を叱っておきます」

橘「いいよいいよ、こうやって七咲と二人になれたし」

七咲「え?」

橘「あっ、いやっ…あ!スキあり!」

『いくぞ!さんみいったい!』 GAME SET

七咲「ああ!ズルいですよ!先輩!」

橘「いやー、スキだらけだったもんだからつい」

七咲「むー…」

七咲「もう一度です!」

橘「ははっ、もちろんいいよ」

七咲「次は絶対負けませんからね」
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 02:44:02.85 ID:/jkNf6yh0
橘「……」ポチポチ

七咲「……」カチャカチャ

橘「なあ、七咲」

七咲「なんですか?今ちょっと集中してて…」カチカチ

橘「そ、そうか、じゃあ終わってから言うよ」

七咲「はい」

橘「……」

七咲「……」

七咲「!」

七咲(チャンス!)

ジャキン 『あまい!』 GAME SET

七咲「今のなんですか!?」

橘「カウンターだよ」

橘「まだまだだね」
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 02:45:01.10 ID:/jkNf6yh0
橘「でも思ってたより上手だね」

橘「CPUの一番強いのよりも強いし」

七咲「結局最後は先輩にやられちゃいますけどね…」

橘「まあ僕はこれの初代からやってるし、ちょっとは自信があるからね」

七咲「前作があったんですかこれ」

七咲「あ、そうだ」

七咲「さっき言おうとしてたことって何ですか?」

橘「ああ…そのー」

橘(七咲が別のことに集中してる時に言いたかったけど…)

橘「七咲はこのゲーム気に入った?」

七咲「はい、とても楽しいです」
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 02:45:51.89 ID:/jkNf6yh0
橘「七咲の会社ってこの近くだったんだよね?」

七咲「そうですよ」

橘「じゃあさ、その、七咲さえよければ仕事が終わった後とかここに来て一緒にやらない?」

七咲「え?」

橘「いや、えっとゲームだけじゃなくて普通にいつでも来てくれていいし…」

橘「何だったらごはんも用意するし…泊まってくれても…」

橘「あっ泊まるって別にやらしい意味とかじゃなくて…」

七咲「クス、橘先輩って相変わらずおもしろいですね」

七咲「そんなことしたら先輩にすごい迷惑じゃないですか」

橘「そんなことないって」
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 02:48:44.02 ID:/jkNf6yh0
橘「そうだ、ちょっと待ってて」

タタタ

橘「これを」

七咲「え?…あのこれって…」

橘「ここの合鍵」

七咲「ええっ!?ど、どうしてですか?」

七咲「さ、さすがにこれは私を信用しすぎですよ」

橘「七咲」

七咲「な…なんですか」

橘「好きだ」

七咲「!?」

七咲「ちょっ、ちょっと先輩…私の質問どこいっちゃったんですか//」
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 02:50:31.16 ID:/jkNf6yh0
橘「どこにも行ってないよ、今のが答え」

七咲「……」

七咲「それ…本気ですか?」

橘「……」こくっ

七咲「……」

七咲「私以外にそういうこと言ってませんよね」

橘「うん」

七咲「本当ですか?」

橘「うん」

七咲「本当の本当の本当に?」

橘「うん、絶対だ」
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 02:51:32.30 ID:/jkNf6yh0
七咲「……」

七咲「わかりました」

橘「七咲…」

七咲「先輩、勘違いしないでください」

橘「え?」

七咲「とりあえずこの鍵は預かっておきますが、まだ100%信じたわけじゃありません」

七咲「これはその…」

七咲「先輩が偏った食生活にならないようにするためや部屋を掃除するためや、私が先輩に会うために預かっておくだけですから」

橘「う、うん」

七咲「さあ、この話はここまでで、続きをやりましょう」

七咲「せめて一回ぐらい勝ちますからね」
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 02:52:46.22 ID:/jkNf6yh0
七咲『同じ手はそう何度も受けませんよ』

橘『だったらこれでどうだ!』

七咲『まだまだ!』

郁夫「……」

郁夫「ふむ…どうやらこれ以上は進みそうにないな」

郁夫「もしかして盗聴器がバレたとか」

郁夫「…それはないか」

郁夫「もう聞いてても意味はなさそうだな」

郁夫「入るか」

ピンポーン

七咲「あ、もしかして郁夫が戻ってきたのかも」

橘「ちょっとストップ」

橘「進めちゃだめだよ」

七咲「そんなズルい手使いませんよ」
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 02:53:49.09 ID:/jkNf6yh0
七咲「けっこう早かったわね」

郁夫「あ、ああ、かなりがんばったからね」

七咲「そのわりに全然汗かいてなくない?」

郁夫「今日けっこう寒いしな…」

橘「まあいいじゃん七咲」

橘「郁夫君もお疲れ、ジュース飲む?」

郁夫「ありがとう」

七咲「……」
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 02:56:13.07 ID:/jkNf6yh0
バシュッ

郁夫「うわっ、姉ちゃんいつの間にそんな技覚えたの?」

七咲「ふふ、先輩に教えてもらったの」

郁夫「あれ、そんなの教えてもらってたっけ?」

橘「郁夫君がいない間に見せたんだよ」

郁夫「あ、ああー、そうだった、俺さっきまでいなかったんだ」

七咲「しっかりしなさいよね」

七咲「あれ?」

橘「ふっふー、よそ見はダメだぞ七咲」

七咲「あー先輩また!」
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 02:57:24.31 ID:/jkNf6yh0
――――――――――

郁夫「今日はありがとう」

橘「うん、また来てね」

橘「七咲も」

七咲「はい」

七咲「失礼します」

橘「またねー」
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 02:58:04.36 ID:/jkNf6yh0
郁夫「思ったより楽しそうだったね」

七咲「うん」

郁夫「よかったよかった」

七咲「…郁夫、先輩に私が来ること教えてなかったでしょ」

郁夫「あれ、そうだっけ」

七咲「コントローラーを忘れたってのも嘘でしょ」

郁夫「…バレてたの」

七咲「余計なことしなくてもいいのに」

郁夫「でも二人だけになれてよかったでしょ?」

七咲「……」

郁夫「ねえ」

七咲「ノーコメント」

郁夫「顔が笑ってるよ」
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 02:58:54.20 ID:/jkNf6yh0
数日後

橘「今日もつかれたなー」

橘「なんだろ、ポストに何か入ってる」

橘「……」

橘「なんだ割引券か」

橘「ボウリングだ…最近全然行ってないし、次の休みに行ってみようかな」

橘「うん、そう考えたらすごくボウリングがしたくなってきたぞ」

ペラッ

橘「ああっ、これ二人用!?しかも男女限定…」

橘「うう…せっかくボウリングがしたくなったのに」

橘「この価格を見て、ひとりで普通にやるとすごく損する気分になるな」

橘「そうだ!」
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 03:01:13.41 ID:/jkNf6yh0
〜♪

七咲「!」

七咲(先輩からメールだ)

七咲「……」

七咲「ボウリングか…」

七咲「橘先輩と…」

七咲「……」

七咲「おもしろそう」

七咲「は・い・い・い・で・す・よっと」

七咲「ふふっ」

先男2「七咲ー!」

七咲「はいぃ!」びくっ

先男2「ど、どうしたんだ?大きい声出して」

七咲「い、いえ…少し驚いただけです」
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 03:02:08.84 ID:/jkNf6yh0
土曜日

橘「はぁ…はぁ…」タッタッタ

七咲「あ、先輩」

橘「はぁ…はぁ…お、お待たせ…」

橘「ごめん、遅くなっちゃって…」

七咲「大丈夫ですよ、まだ約束の5分前です」

七咲「私も今来たところですし、全然待ってませんよ」

橘「ほ、ほんと…?」

七咲「はい、それよりちょっと疲れすぎじゃないですか?」

橘「ごめん、少し休ませてもらっていいかな」
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 03:03:18.65 ID:/jkNf6yh0
七咲「先輩、どうぞ」

橘「ありがとう」

プシュッ ゴクゴク

橘「ぷはーっ」

七咲「ふふっ」

橘「どうしたの」

七咲「なんだか、高校のころを思い出しますね」

橘「そ、そうかな?」

七咲「私あの時こうやって先輩と話すのことが毎日すごく楽しみだったんです」

七咲「今日はこれを話そう、明日はあれを話そうなんてことを考えてましたよ」

橘「も、もう休憩はいいや、そろそろ行こうよ」
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 03:04:27.02 ID:/jkNf6yh0
ボウリング場

橘「あのすいません、これ使えますか?」

店員「……」ちらっ

七咲「……」

店員「はい、使えますよ」

店員「カップル割ですね」

橘「カップル!?」

店員「あれ?間違ってます?」

橘「い、いや…その、あってます」

橘(男女限定とは書いてあったけどカップル割ってのは気がつかなかった…)

店員(もしかしてカップル割の上に書いてある男女割の方だったのかな)
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 03:05:16.85 ID:/jkNf6yh0
七咲「ボウリングなんて久しぶりだからうまくできるかな」

橘「いつぶりなの?」

七咲「えっと最後に行ったのが大学の…」

七咲「……」

七咲「とにかく大学以来です」

橘「僕も同じようなもんだから、けっこういい勝負になるかもね」

七咲「私、そこそこ上手かったんですよ」

七咲「久しぶりとはいえ先輩には負けませんよ」

橘「そこまでいうなら勝負する?」

七咲「ええ、いいですよ」

橘「よし負けた方が…夕食をおごるってのはどうだ」

七咲「望むところです」
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 03:05:48.02 ID:/jkNf6yh0
―――――――――

橘「うーん…」

橘「まさか全て8ピンとは…」

七咲「逆にすごいですね」

橘「褒められてる気がしない」

七咲「褒めてないですからね」

七咲「先輩、1ゲーム目は練習だったってことにしてもいいですよ」

橘「ほんと?」

橘「…いや、いい、まだこれからだ」

橘「最終的に合計で勝てばいいんだ」

七咲「わかりました、では2ゲーム目を始めましょう」
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 03:06:27.96 ID:/jkNf6yh0
橘「よしっ」

橘「…それっ」

カコーン ストライク!

七咲「おおっ」

橘「ふふーん、どうだ七咲」

橘「勝負はこれからだぞ」

七咲「……」スッ

七咲「……」シャッ

カコーン ストライク!

七咲「そうですね、楽しみです」
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 03:07:08.10 ID:/jkNf6yh0
――――――――――

橘「あれ?」

七咲「ダブルスコアですね」

橘「うん…」

七咲「先輩、楽しくなかったんですか?」

橘「いや、そんなことないよ」

橘「こんなに差をつけられるとは思わなかったけど…」

七咲「そんなに気を落とさないでくださいよ」

七咲「もしかしたら今日はたまたま私の調子がすごく良くて、先輩はすごく悪かったってだけかもしれませんよ」

橘「それでもこんなに差が出るかな」

七咲「そういうならまたやればわかるじゃないですか」

七咲「今度またやりましょうよ」

橘「いいの?」

七咲「橘先輩ならいいですよ」
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 03:08:46.76 ID:/jkNf6yh0
七咲「先のこともいいですけど、今の話もしません?」

橘「今…?」

七咲「はい、夕食楽しみにしてますよ」

橘「あ…そうだったね…」

橘(どうしよう、自分から言ったのに何も考えてなかった)

橘(七咲ラーメン好きだからラーメン屋とかどうだろう)ぶつぶつ

橘(いやいや、もう高校生じゃないんだぞ)ぶつぶつ

橘(居酒屋…いや、レストランか、ちゃんとしたレストランの方が…)ぶつぶつ

七咲「それだとラーメンがいいですかね」

橘「えっ」

七咲「全部聞こえてましたよ」

橘「ラーメンでいいの?思いつかなかっただけで、別に七咲の好きなものでいいよ」

七咲「ラーメンでお願いします」
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 03:10:22.86 ID:/jkNf6yh0
ラーメン屋

七咲「……」ズズッ

橘「……」ズズズ

橘「ふぅ、ごちそうさま」

七咲「……」ズズッ

七咲「……」

橘「?」

七咲「先輩、口の周りが汚れてますよ」

橘「え、ほんと?」

七咲「拭いてあげましょうか?」

橘「うん、お願い」

七咲「えっ、じょ、冗談で言ったに決まってるじゃないですか」

橘「なんだ…」シュン

七咲「もう…しょうがない先輩ですね」ふきふき
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 03:10:53.74 ID:/jkNf6yh0
七咲「ごちそうさまです」

橘「よし、さっきのお返しに今度は僕が七咲の口周りを拭いてあげよう」

七咲「けっこうです」ガシッ

七咲「私は自分でできますから」

橘「そんなぁ…」

七咲「先輩は本当に変態ですね、普通は女性の口周りを拭いたりしませんよ」

橘「でも普通は男性の口周りも拭かないよね」

七咲「そ、それは先輩に頼まれたので仕方なく…」
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 03:12:00.65 ID:/jkNf6yh0
――――――――

七咲「今日はありがとうございました、デートみたいで楽しかったですよ」

橘「僕もだよ」

橘「……」

橘「な、なあ…今度はさ、また僕の部屋に来ない?」

橘「いつ来てくれてもいいからさ」

七咲「そんなこと言うと毎週通っちゃいますよ」

橘「うん、七咲さえよければ」

七咲「!」

七咲「も、もう先輩ってば…」
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 03:13:16.56 ID:/jkNf6yh0
七咲「じゃあ…先輩って土曜日はいつも休みですよね?」

橘「うん」

七咲「でしたら、金曜日の仕事終わりにいいですかね…?」

橘「うん、いいよ、自由に入ってくれていいから」

七咲「前も言いましたけど、私のこと信用しすぎではないですか」

七咲「私が先輩の部屋を荒らしたり、物を盗ったりするかもしれないですよ」

橘「七咲にならいいよ」

七咲「いや、それは訴えられるので私がよくないです…」

橘「じゃあ困るんだったら七咲はそういうことしないよね」

七咲「確かにしませんけど…」
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 03:15:23.81 ID:/jkNf6yh0
七咲「私が言ってるのはもう少しやってることに自覚を持ってくださいと言っているんです」

七咲「私は安全かもしれませんが、他の人に鍵を渡してどうなっても知りませんよ」

橘「大丈夫だよ、家族以外じゃ七咲だけだから」

七咲「私だけ…ですか?」

橘「うん、だって僕は…」

〜♪

橘「!」

橘「ちょ、ちょっとごめん!」

橘「はい、もしもし橘です」

橘「え?あ、あの…番号間違えてませんか?」

橘「はい…だから橘です、違いますよ…はい」プツッ

橘「間違い電話だったみたい」

七咲「だって…何ですか?」

橘「……」

橘「つ、次の金曜日待ってるね」

七咲「…はい」
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 03:16:50.07 ID:/jkNf6yh0
翌週・金曜日

七咲(今日は残業もなく早く終われそう)

七咲(早く終わらないかな…)

七咲(…ってこれじゃまるで早く橘先輩に会いたいみたいじゃない)

七咲(…あながち間違ってないけど)

七咲(そうだ、先輩の部屋でご飯作ったら喜んでくれるかな)

七咲(先輩にメールしておこっと)

先男2「おーい七咲ー」

七咲「はいぃ!」びくっ

先男2「ど、どうしたんだ?」

七咲「いえ、ちょっとびっくりして…」
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 03:18:24.25 ID:/jkNf6yh0
先男2「今日この後あいてるか?」

先男2「先男1が話したいことがあるんだとよ」

七咲「先輩がですか?」

先男2「ああ、そうなんだ、俺もいるけどさ」

七咲「すみません、この後約束がありまして…」

先男2「あ、そうなんだ、じゃあ仕方ねえな」

七咲「すみません…」

先男2「いや、いいよ気にしなくて」

先男2「俺もとりあえず聞く形だけとるつもりだったから」

先男2「ここ最近あいつお前のこと無視してただろ」

先男2「それなのに急に誘おうとしたから変だと思ったんだよ、断って正解だぜ」
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 03:20:05.96 ID:/jkNf6yh0
七咲(ふぅ…今日も終わった)

〜♪

七咲「……」

七咲「先輩、少し遅くなるんだ」

七咲「じゃあ先に作って待ってよっと」

七咲「あ、そうだ、食材を買っていかないと」

七咲「何作ろうかな、ふふっ」

先男2「何ぶつぶつ言ってるんだ?」

七咲「ひゃあっ!?」

七咲「もう、いきなり声をかけないでください!」
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 03:21:40.62 ID:/jkNf6yh0
純一の部屋

七咲「……」ぺろっ

七咲「おいしいけど、先輩ってこういう味付け好きなのかな」

七咲「どういうのが好きか、もっと聞いておけばよかった」

ガチャ

七咲「あ、帰ってきた」

七咲「先輩」タタタ

七咲「おかえりなさ…」

美也「ふえ?逢ちゃん?」

七咲「み…美也ちゃん…!」
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 03:23:18.06 ID:/jkNf6yh0
美也「どうして逢ちゃんがお兄ちゃんの部屋にいるの?」

七咲「こ、これは違うの!その…違うの!」

美也「なにがなの…?」

美也「とりあえず、一回落ち着いてよ」

七咲「うん…」

美也「とりあえず状況を整理しよう」

美也「まず逢ちゃんはここで何してたの?」

七咲「せ…先輩にごはん作ってたの」

美也「へー、どーりでいい匂いがすると思った」
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 03:25:24.96 ID:/jkNf6yh0
美也「いつの間に二人はそんな関係になったの」

美也「全然知らなかったよ」

七咲「そ、そういう関係って…」

美也「にしししし、水臭いよ逢ちゃん」

美也「いや、そういうことならねぇねって呼ばないとね」

七咲「美也ちゃん!?」

美也「いいっていいって、もう全部わかったから」

七咲「あの、だから」

ガチャ

橘「ただいまー」

美也「あっ帰ってきたみたいだよ」

美也「ほら、ねぇね!」ぐいっ

七咲「ね、ねぇねじゃないよ、押さないで…」
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 03:26:46.55 ID:/jkNf6yh0
トンッ

七咲「あ…」

橘「七咲、来てくれたんだ」

七咲「おかえりなさい…」

橘「なんか、新鮮だな、七咲にそう言われるなんて」

橘「おっ、いい匂いがするぞ」

七咲「あ…せ、先輩のために作ってたんですよ」

橘「メールもらったときからさ、ずっとそれを楽しみにしてたんだよ」

七咲「先輩…」

橘「七咲の料理はなにかなー」

美也「カーット!」

橘「美也!?」
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 03:27:59.56 ID:/jkNf6yh0
美也「にぃに、せっかくちょっといい雰囲気になったんだから、料理はなにかなーはないでしょ」

橘「にぃにって言うな…」

橘「だいたいなんで美也が」

美也「ねぇねもだよ」

橘「ねぇね…?」

七咲「ねぇねじゃないってば…」

美也「そこは『ごはんにする?お風呂にする?それとも…わ・た・し?』ぐらい言わないと」

七咲「美也ちゃん…それは…」
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 03:29:20.95 ID:/jkNf6yh0
橘「美也!僕の話を聞け!」

美也「なに?」

橘「なに?じゃないだろ、なんでここにいるんだ」

美也「今日行くって連絡してたじゃん」

橘「え?いつ?」

美也「今日の夕方ごろ」

橘「……」

橘「あ、ほんとだ」

美也「逢ちゃんが大切なのはわかるけど、妹のことも忘れないでよね」

橘「た、たまたま仕事が忙しくて見れてなかっただけだって」
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 03:30:33.01 ID:/jkNf6yh0
橘「来るとは書いてあるけど、理由が…ん?なんだこのにおい…」

七咲「あっ!火をつけっぱなし!」

ジュー

七咲「あ…」

七咲「先輩、すみません!」

橘「ちょっと見せて」

七咲「はい…」

橘「……」ぱくっ

橘「うん、おいしい」

七咲「先輩!?だめですよ、そんな失敗したの食べちゃ」

橘「いやー、お腹へってたし、つい」

橘「でもほんとにおいしいし、全然失敗してないよ」

七咲「橘先輩ったら…」
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 03:31:47.50 ID:/jkNf6yh0
美也「コホン」

美也「お二人さん、みゃーもいることをお忘れでは?」

橘「あっ…」

七咲「わ、わかってるよ美也ちゃん」

美也「はぁ…用が終わったらすぐ帰るから」

美也「そのあとで二人だけで楽しんで」

七咲「楽しむって…」

美也「お兄ちゃん、貸してた漫画とDVD返して」

橘「あ、うん」
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 03:33:04.46 ID:/jkNf6yh0
美也「元々返してもらったらすぐ帰るつもりだったけど、思わぬ収穫があったよ」

美也「それじゃあ二人とも、まったねー」

美也「おっとそうだ、にぃに」ちょいちょい

橘「なんだよ」

美也「にしし、いいこと教えてあげる、耳貸して」

美也「……」ごにょごにょ

橘「あ…う、うん…」

美也「じゃあがんばってねー」

バタン

橘「……」

七咲「……」

橘「ごめんね」

七咲「先輩は何も謝ることないですよ」

七咲「というより、美也ちゃんにも謝られるようなことされてないです」

七咲「美也ちゃんがいい子だってことがわかりましたし」

橘「えっ、今ので?」
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 03:34:14.18 ID:/jkNf6yh0
七咲「また新しくごはん作り直しますから、先輩はその間にお風呂にでも入って待っててください」

橘「いいの?」

七咲「先輩のお家なんですから、何も遠慮することないじゃないですか」

橘「いや、先に七咲が入らなくていいのかなって思って」

七咲「私はいいですよ」

七咲「先輩がいいって言ってくれるなら構いませんが、そうじゃないならこのままの方が帰りやすいですから」

橘「いいって何が?」

七咲「お泊りですよ」

橘「うん、全然いいよ」

七咲「っ…そんなあっさり…」

橘「前言ったじゃん、泊まってくれてもいいって」

七咲「あれはてっきり冗談かと…」
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 03:35:16.00 ID:/jkNf6yh0
七咲「……」

七咲「そういうことでしたら、お言葉に甘えさせてもらいます」

橘「じゃあお風呂は先に入っていいよ」

橘「その間に僕がごはん作っておくから」

七咲「えっ先輩がですか?」

橘「これでも大学から一人暮らししてるんだ、ある程度のものなら作れるよ」

七咲「わかりました、お願いしますね」

橘「任しといて」
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 03:36:04.17 ID:/jkNf6yh0
七咲「あっ」

七咲「先輩、すみませんが服を貸していただけませんか?」

橘「ああ、そうか」

橘「僕のでよければ、ちょっと大きいかもしれないけど」

七咲「せ、先輩のですか」

七咲「……」

橘「やっぱり嫌かな…?」

七咲「いえいえ!そんなことありません!」

橘「それなら…よかった」
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 03:37:36.19 ID:/jkNf6yh0
―――――――――

ちゃぷっ

七咲「ふぅ…」

七咲「泊まらせてもらうことになったけど、先輩は本当はどう思ってるんだろ」

七咲「案外先輩の計画通りだったりして」

七咲「……」

七咲「高校のときよりも関係は進んだのかな…」

七咲「先輩の家に泊めてもらうなんてなかったし」

七咲「先輩とふたりきりか…」

七咲「先輩と…」ぶくぶく

七咲「……//」

ジャバッ

七咲「ぷはあっ!な、何考えてるの私は…!」

七咲「一回冷静にならないと…」

七咲「……」

七咲「あっ!下着どうしよ…」
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 03:39:32.55 ID:/jkNf6yh0
―――――――――――

七咲「お風呂お先でした」

橘「僕の服大きすぎないかな?」

七咲「少しすーすー…ぶかぶかですが、大丈夫です」

橘「よかった、ごはんもできたし食べよ」

七咲「先輩はお風呂入らないんですか?」

橘「僕は食べた後でいいよ」

橘「七咲と一緒に食べたいしね」

七咲「そうですね、それだと目の前で先輩の料理の感想言えますからね」

橘「今日のは自信作だから、いい感想が聞けると思うよ」
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 03:40:46.95 ID:/jkNf6yh0
七咲「……」もぐもぐ

橘「どうかな?」

七咲「おいしいですよ」

橘「ほんと、やった〜」

七咲「先輩が作るってなったときはどうなるかと思いましたがね」

橘「おいおい、ひどいな」

七咲「冗談ですよ」

七咲「今はもう先輩のこと信じてますから」
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