三船美優「天道虫 is ……」

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202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/30(月) 02:27:53.58 ID:LS54PsoZ0
 だけど――!

「私は……私には……!」


 あまりに、違いすぎる――遠すぎます。

 私は、顔を両手で覆いました。


「あの子を……アイドルを目指す資格なんて、ありません……!!」

 逃げ続けた卑怯者が――あんな眩しい存在に、なれる訳ない――!!



「そうだな。キミにはアイドルを目指す資格は無い」

 事務員さんの、淡白な声が聞こえました。



「アイドルを目指すための資格なんて無い。初めから、誰にも」
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/30(月) 02:31:07.06 ID:LS54PsoZ0
「……ッ!」


「あの子はキミに言っていたはずだ。
 このステージを一番観てほしい人、その素晴らしさを伝えたい相手が、誰なのかを」


 事務員さんは、ステージを一点に見つめながら、話しました。

「靴紐の件は、三船君の一件も踏まえた上での、あの子の提案だった。
 そうしてキミ自身が抱かなかった、靴紐が切れた悔しさを、代わりにあの子は背負っている」

「私の、悔しさを……」
 私の想いを、代わりに背負ってステージに――。


 私は、また言い訳を――!

「枷を嵌めるのは、いつだって自分だ」


「私が……!」


 ――〜〜!♪ 〜〜〜〜♪ 〜〜ッ!♪


 ステージは、最後の大サビに入ったようです。

 ずっと歌い踊り続けて、疲労も蓄積されているはずなのに、ほたるちゃんの笑顔は、ずっと眩しいままで――。
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/30(月) 02:37:33.21 ID:LS54PsoZ0
「う、わあぁぁぁぁ……!!」

 うめき声を上げながら、雨でグシャグシャの頭を、胸をかきむしりました。


 壁だと思っていたものは、私が仕立て上げた言い訳という名の盾であり、枷でした。

 それを重ねて作り上げた殻は、悲しみから身を守る城壁であると同時に、夢へと向かう道を断絶する檻でもあった。

 閉じ籠めてきた殻を、かきむしり、引き剥がしていくと、中にいたのは醜いどん底でうずくまる私です。


 今日は、ほたるちゃんの素敵なステージを目にすることができる。
 そうすることで、私も一つの達成感を得た、明るい気持ちになれるのだろうと、勝手に想像していました。

 でも、違った――私は、その場に泣き崩れました。



 私はここで、何をしているの――?

 どうして、ほたるちゃんと一緒に、あそこに立っていないのよ――!!


 皆が用意してくれた、せっかくのチャンスだったのにっ!!
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/30(月) 02:40:07.87 ID:LS54PsoZ0
 眩しい光が示したのは、どこまでも醜い自分でした。

 夢への羨望と、後悔と、どす黒い嫉妬にまみれた、本当の自分。


 ほたるちゃんが私を照らしてくれたおかげで、それを自覚する事ができました。

 そして、このままであってはならない――抗っていかなくては、そこにたどり着けないのだという事を。

 生まれて初めての反抗期を、私はようやく手にしたのです。


 ほたるちゃん、ごめんなさい。

 また逃げる所でした。それも、ほたるちゃんを引き合いにして。



 非常な盛り上がりの中――彼女のステージは、終わりを迎えようとしています。



「……事務員さん」
「ん?」
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/30(月) 02:43:32.97 ID:LS54PsoZ0
 立ち上がり、もう一度ステージを見ます。
 大歓声に向けて手を振るほたるちゃんを。


「このまま、終わりたくありません……私も飛びたいです」


「そう言うと思って、彼がキミに用意したプレゼントがある」

「えっ……」
「自分の手で渡しなさいと言ったんだが、彼はヘタレでな」


 苦笑しながら、事務員さんが私に、一つの小包を差し出しました。

 私がほたるちゃんにプレゼントしたものと同じ、あのテントウムシが入ったそれを。


「こ、これ……ほたるちゃんへの、プロデューサーの…」
「いいや、キミだ」
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/30(月) 02:46:47.49 ID:LS54PsoZ0
「キミのスマホケースに貼られたシールを見て、彼なりに苦心したらしい。
 美優さんにこそ相応しい、などと鼻息を荒くして私に力説するものだから、何だかおかしくてね」


「プロデューサーさんが、私に……」

 これが相応しい人に――ほたるちゃんのように、私も――?

「さぁ、彼女が帰ってくるぞ」
 事務員さんが、急かすように顎でステージを指しました。


 最高のステージを見せてくれた彼女は、目に涙を浮かべて階段の上に立っています。

 ――ありがとう、ほたるちゃん。もう、迷いはありません。


 お揃いのネックレスを身につけ、駆け寄ってきたほたるちゃんを、私は抱きしめました。
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/30(月) 02:48:12.33 ID:LS54PsoZ0
 ――――――。

 ――――。





「明日4人オッケーだってよ。2部屋ならいけるって」
「グレードは?」
「社長が金くれるっつーから、割と高めの所とったけど、いいでしょ?」

「ほ、本当に行くんですか?」
「だって、皆でお休み取れる日ってもう明日と明後日しかないもんな」
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/30(月) 02:54:49.59 ID:LS54PsoZ0
「2部屋か。じゃあキミと、我々女性陣で」
「それはいいけどさ、ベッドは美優さんとほたるちゃんに譲ってネーサンは床で寝ろよ。寝袋あったよな?」
「な、何でですか? というかお布団では…」
「コイツすげぇ〜寝相悪いの。俺どっか一緒に旅行行った時、鼻とみぞおち蹴られたからね?」
「え、えぇぇっ?」
「キミはいびきがうるさすぎ」
「頭と足が逆になるヤツに言われたくないんだよなー。
 まぁいいからほら、美優さんそっち肉焼けたよ」

「お二人で、旅行行かれた事あるんですね」
「何回かね。もう二度と行かない。最後に行ったのってどこだったっけ、ネーサン?」
「福島」
「あーそうだそうだ思い出した! 裏磐梯で一緒にスキーやったんだよな!
 でさー聞いて美優さんほたるちゃん、このネーサンのスキーときたら、まぁ〜それはヘタクソで!」
「そ、そうなんですか? 事務員さん、何でもそつなくこなしそうですけど」

「武道とか走るのとかはすごいんだよ。でも、球技とか、道具使う系のスポーツは本当、ビックリするくらい下手でさ。
 スキーだってコイツ、あはは、すげぇへっぴり腰で……!」
「怪我とかしたら、怖いですもんね……分かります」
「いいのいいのほたるちゃん、気ぃ遣わなくて。
 そうそう、泣きそうな顔して、ほたるちゃんもかくやというくらい眉をハの字にさせてさ、ずーっとボーゲンでズルズルと。
 ハッハッハ、眉毛もボーゲン! ケッサク、アハハハハ!」
「はいダウト。ゴーグルしていたから、私の眉毛など傍目には見えないはずだ」
「ほら〜、否定しないでしょ?
 いつものネーサンはどこ行ったの?ってくらいだっせぇ、しかもぷりケツでぇいだだだだだだだ!!!ゴメンゴメンいででで折れる折れる許してっ!!!」
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/30(月) 03:01:06.43 ID:LS54PsoZ0
「うおぉ、いってぇチキショウ……お前な、俺の方が1コ上なんだからな」
「それにしても……私達、本当に346プロに入るんですね」
「俺は、あのクマみたいな人と同じ部署だったかな。ネーサンはどこ?」
「経理だと聞いている。以前いた時と変わっていなければ、オフィスは3階かな」

「私とほたるちゃんは、もう担当の方とか、決まっているのでしょうか?」
「まだじゃない? 俺もなー、美優さんやほたるちゃんみたいに素直な子が担当だと良いんだけど」
「人事は他人事(ひとごと)、という言葉がある」
「ネーサン、親父さんのコネ使ってその辺調整してくれない?
 俺だったら二人をユニット組ませてバッチリプロデュースしてやるんだけどなー」
「善処するよ」
「絶対やる気無いだろお前。
 まぁ、あっちに行っても定期的に皆でこうして集まろうよ、『三船会』つってさ」
「な、何で私なんですかっ!?」

「ワハハ、まぁまぁ……
 ところでさ、二人のユニット名だけど、テントウムシって英語で何て言うんだっけ?」
「レディ・ビートル」
「んじゃ『ビートルず』か」
「レディどこに行った。それに、完全にパクリだろう」
「何が? あ、そうか。それじゃあ漢字だと“天道虫”だからえーと、『ヘブンロード〜〜』…」
「キミ、本当にセンス無いな……白菊君、遠慮せず食べなさい、ほら」
「あ、ありがとうございます」

「あ、あのぅ」
「どうした美優さん、何か良いの思いついた?」


「無理に英語にしなくても……日本語でも、良いのではないでしょうか?」
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/30(月) 03:05:57.55 ID:LS54PsoZ0
「日本語? それだと、『てんとうむし〜ず』とかになるけどいいの? ダサくない?」
「そもそも、三船君と白菊君が移転先でユニットを組むかどうかも分からないしな」
「本当に他人事(ひとごと)じゃねぇかお前」
「『てんとうむし〜ず』にされるよりはマシだと思うがな」

「そ、それより、明日は何時に集合しましょうか?」
「箱根まで、どれくらいかかるっけ?」
「1時間半もあれば十分」
「ネーサンがドライバーの場合はでしょ。明日は美優さんが運転だよ?」
「3時間見ておこう。朝8時に事務所集合だ」

「わ、私が、運転ですか!?」
「ペーパー教習受けたんでしょ? 大丈夫大丈夫、ネーサンがバリッとナビするから」
「ちゃんと整備もしてある。何も問題は無い」
「美優さん、頑張ってください!」

「そ、そう言われましても、足が……ちょっと、お手洗いに……」
「何もそんな吐くほど緊張しなくても…」
「ち、違いますっ!」
「ワハハ、冗談だよってあ、あぁぁぁちょっとネーサン何でカルビ食わないの! 焦げてんじゃん!!」
「カロリーと動物性脂肪は敵だ」
「焼き肉食いにきて寝言言ってんじゃねぇよ!!
 うわあぁぁ上カルビがっ、ほたるちゃん早く取って!!」
「ひ、ひぇぇぇ……!」


「……ふふっ」

 バタン――。
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/30(月) 03:07:18.34 ID:LS54PsoZ0
 ――――!?



 えっ――――。



 トイレの扉を閉め、振り返ると、そこには異様な空間が広がっていました。

 広がる暗闇の中に、壁とおぼしき何かがデタラメに乱立しているのが見えます。
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/30(月) 03:12:40.84 ID:LS54PsoZ0
 でも、私は迷わず歩き出します。


 壁だと思っていたそれは、その場にひっそりと佇んだまま、微動だにしません。

 たくさんのそれの合間を、すり抜けるように進んでいき――。



「……大丈夫ですか?」

 そこにうずくまっていた少女に、私は声を掛けました。



   ――……だれ?

「私は……」


「私は、アイドルです。正確には、アイドルを目指す人」

「プロデューサーを、やっていた時もあったけれど……それは、本当ではありません」
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/30(月) 03:14:24.81 ID:LS54PsoZ0
 少女は立ち上がり、私を見ます。

   ――よくわかんない。


「それは、分からないフリをしているだけ。知っているでしょう?」

「うずくまっている限り、傷つかないままでいられる……
 そうやって、何度自分を言いくるめてきたのかを」


   ――だって……だって、仕方ないんです!

   ――事故とか、アクシデントが、私のせいでたくさん起きて……

   ――私は人を不幸にしちゃうんです。呪われてるんです……!


「そう、彼女はそれを自覚していた」

「自分と向き合っていたからこそ、変えたいと思えたんです」

   ――そんなこと……
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/30(月) 03:15:43.98 ID:LS54PsoZ0
   ――そんなこと……分かってるくらい大人だったつもりだったのに……。


   ――すみません。もう、構わないでいただけますか。大丈夫ですから……。


「そういう訳にもいきません。身の程を知ったフリをするのはやめて」

「アイドルに、なるんです」


   ――アイドル……人前に出て歌ったり、踊ったりするあの……?

   ――私なんかが……無理ですよ。


「もう、決めた事なの」

「決めるのは私……そう、皆に教えてもらえたから」


   ――決めるのは……私……?


「ほたるちゃんのプロデューサーを務めて、分かったんです」

「私が真にプロデュースするべきは、あなただということを」
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/30(月) 03:17:51.11 ID:LS54PsoZ0
 とても――苦しいです。

 当たり前です、抵抗しているのですから。彼女も、私も。


「私は、三船美優というアイドル」

「そして、同時にあなたのプロデューサーでもありたいんです」


 周りの壁が、バキバキと音を立て、一枚一枚崩れていきます。

 世界の輪郭が変わっていき、私達の立つどん底が、薄明かりの中に見えてきました。


「身の程を知った気でいた……でも、ほたるちゃんのおかげで、ようやく本当の自分を知れた」

「あなたはここに立っている。そして」

   ――眩しい……。


「一度しか聞きません。いいですね?」


「あなたは、幸せになりたいですか?」
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/30(月) 03:21:47.00 ID:LS54PsoZ0
   ――幸せに……なりたいに、決まってるじゃないですか。

   ――でも、私なんかが……

「卑下をしないで! 百円ですよ、ほらっ」

   ――……それ、見覚えがあります。

「アイドルとして、輝きたくないですか?」

   ――ほたるちゃんのように、私も……?

「そう、輝くための道筋を示してくれた、彼女に恩返しをするためにも……」


   ――なりたい……私も、幸せに……

「飛びたいんです……私だって、背負うべきものを背負って……!」

   ――てっぺんまで登って……!

「トップアイドルに、私……!!」


 なりたい――ッ!!!



   ――美優さーん……おーい。
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/30(月) 03:22:55.22 ID:LS54PsoZ0
 ――――――。

 ――――?



 ――ッ!? ハッ!

「は、はいっ!?」
『あはは、やっと出た。寝てたでしょ?』


 寝ぼけ眼で、時計を確認します。

 ――は、8時っ!? もうっ!?

「す、すみま…!」
『あぁいいよいいよ、まだほたるちゃんも来てないし、ていうか遅れるし』
『遅れる?』
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/30(月) 03:29:12.66 ID:LS54PsoZ0
 話によると、ほたるちゃんは、1時間ほど遅れそうとの連絡があったそうです。
 バスの経路上にある踏切が、信号機の故障か何かで大渋滞となっているのだとか。

『まぁだからさ、ゆっくり来ていいからね。
 ネーサンはボロ車の整備に余念が無いし、俺は携帯でゲームしてるから』
「そうですか……」

『この分だと、小田厚の出口か箱根新道でどうせ渋滞に捕まるだろうし、ゆっくり行こう。
 あ、何か適当にCD持ってきてよ。この車、BluetoothもSDカード挿す所も無いからさ』
「あ、は、はい……あの、プロデューサーさん」
『ん、何?』

「ありがとうございます」

『ワハハ、いやいやどうも。でも、あまり遅くならないようにな。
 小田厚降りた所に美味い蕎麦屋があって、そこのランチには間に合いたいんだ』
「はい、分かりました」
『うん。じゃあ、また後でね』


 通話を終えて携帯を置き、ボーッとベッドの上から窓の外を見つめます。

 太陽はすっかり登り、通りを慌ただしく走る車と、電車の音が微かに聞こえてきます。

 まさか、寝坊するなんて――そんなに、お酒は飲んでいないつもりだったのに。


 ふと、テーブルの上に置いていたネックレスが目に留まりました。


 先ほど、プロデューサーさんへ「ありがとう」と言ったけれど――ちゃんと、意図は伝わったかしら?

 ――ふふふっ。
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/30(月) 03:32:20.73 ID:LS54PsoZ0
 遅れを取り戻すべく、テキパキと支度を整えます。
 久々のお出かけなので、おめかしも、ほんの少し念入りに。

 そして、私はそれを首に掛けました。

 こうして見ると、思いのほか主張するものですね。


 『てんとうむし〜ず』――ふふっ、変な名前。
 でも、悪くないなぁと、内心思っているのは秘密です。

 そうなりたいと、私自身思っているから。


 ほたるちゃんが人々の不幸を背負ってきたのなら、私はそれを肩代わりしたい。

 彼女ほど立派なテントウムシにはなれなくとも、この先少しでも、恩返しが出来たなら――。

 背負う不幸を少しでも軽くするための、彼女のテントウムシは私なのだと。

 そして、自分の幸せに向けて飛び立つテントウムシは私なのだと、いつか胸を張って言えたらどんなに素敵でしょう。

 そんな夢を、私は持つことが出来たんです。
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/30(月) 03:37:06.57 ID:LS54PsoZ0
 昨日、一生懸命乾かしたバッグを肩にかけ、靴を履きます。


 どこかで渋滞に捕まるかも知れない。
 変わりやすい山の天気に、翻弄されるかも知れない。
 たまたま一緒に泊まっていた、温泉好きでお酒好きの人に、絡まれるかも知れない。

 “かも知れない”を挙げると、キリがありません。
 ふふっ――。


 そういった苦難に対し、私はようやく抗うことができます。


 ドアを開けました。
 快晴です。台風一過というものでしょう。ですが――。

 それを使う機会が訪れる事を期待して、私は大きめの傘を手にしました。


〜おしまい〜
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/30(月) 03:40:19.68 ID:LS54PsoZ0
長くなってしまい、すみません。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
それでは、失礼致します。
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/30(月) 03:41:51.76 ID:o9M8+o83O
こういう話は大好き。
みゆほたは珍しかったけど、楽しませてもらいました。

ハゲのおっさんは無事に名誉毀損で訴えられたんだろうか………
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/30(月) 04:39:56.90 ID:yMnQVoSc0
マジ乙
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/30(月) 21:46:29.74 ID:FOyfJq5io
読み切った
いい作品だったよ
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/01(火) 14:37:07.78 ID:hAMLnVd+O
良かった…
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