魔法使い「私の事、スカウターで覗くのやめてくださいっ!」 勇者「やだ」

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20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/29(日) 16:58:50.33 ID:QrrSjZHZ0
読書様のお通りですね
21 : ◆rRu4LM9vFs [saga]:2018/04/29(日) 19:51:00.42 ID:xU9RM5RZ0

勇者「…言うても魔王討伐の旅、なんて仰々しいようなものじゃないからねぇ」ヘイワー

魔法使い「あくまで政治的交渉のための道中ですものねぇ…」ノンビリー

勇者「領地侵犯の魔族が居れば、追い払うなり討滅するなりして、都度報告…そして資料整理」

魔法使い「ヤンキーまがいの魔族さんに、勇者様が威圧しながら説教かまして、あとは私が結界張って近づきにくくしたりする程度…の、魔物討伐です」

勇者「お前が存外、いろんな魔法使えて助かったよ」

魔法使い「ふふ。学校でいっぱい勉強だけはがんばりました!」

勇者「えらいえらい」

魔法使い「えへへ…って、そういえば、この旅費ってどうなってるんですか?」

勇者「自前」

魔法使い「え」

22 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/04/29(日) 19:51:48.74 ID:xU9RM5RZ0

勇者「ってのは半分ほんとで半分ウソ。成功報酬だから後払いになるわけさ」

魔法使い「じゃ、じゃぁ今現在は、勇者様の手持ちのお金で旅することになるんですか…?」

勇者「契約金として多少は貰ってるけどね。あと領地内の魔族なら討伐褒賞はその場で大抵もらえるし……」

魔法使い「さっきみたいなやつですね。村長さんがお礼にくれるやつ…」

勇者「野良魔物とかでも、装備はいだり皮売ったりして、金に換えられるのもあるけどな。って、ああ、そうか」

魔法使い「…?」

勇者「お前の装備も、本格的に魔族の領地に入る前に揃えないとな」

魔法使い「え…」

23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/29(日) 19:52:04.01 ID:tWVPDxF7O
ブラウザバックが出来なくなるウイルスが流行っているそうだ
彼らを許してやってくれ
24 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/04/29(日) 19:52:35.65 ID:xU9RM5RZ0

勇者「俺らは今後は、魔族領地へ交渉のためとはいえ不法侵入することになるんだ。戦闘頻度も増えるだろうし襲撃の可能性も高くなる」

魔法使い「いままでこうして平和なのは、聖王の領地を出ていないから、ですか…」

勇者「こっちの領地にいるうちに揃えないと、属性的に装備を揃えられなくなりそうだな…あまり田舎にいきすぎても、実践向けなのはあるだろうけど、物価あがるばっかだし。次の町で買い物していこうか」

魔法使い「あの…私、そんなにお金は持ってなくて…」

勇者「装備は俺が買ってやるからいいよ。俺の同行なんだし」

魔法使い「……はい、ありがとうございます」

勇者「……?」


25 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/04/29(日) 19:53:18.53 ID:xU9RM5RZ0

――西の町


魔法使い「う、うわぁ…! 大きな町…!」

勇者「西の町は別名で商港の町ともいわれてる。港があるわけではないけど、ちょうど東西南北の商隊がここでかち合い、停泊する…寄せ返す波のように常に次々とモノが運ばれてくる町だな」

魔法使い「お詳しいのですねぇ…」

勇者「この町の出身なんだ」

魔法使い「まさかの故郷ですか!!」

勇者「いや、誰にだって故郷はあるだろうからマサカってことはないけども。王都にも近いし」

魔法使い「ふふ。私は聖王都の出身でも、なにしろあんなはずれの家に住んでいたので…。大きな町でうらやましいなぁ…」

勇者「案内でもしようか?」

魔法使い「え…いいんですか?!」

勇者「急がないし、どうせ装備もそろえるのに買い物する予定だったろ。泊りになるの確定だし」

魔法使い「わ、わぁ…!」

26 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/04/29(日) 19:53:57.34 ID:xU9RM5RZ0

勇者「なんか見たいものあるの?」

魔法使い「ええと、じゃぁ…! あ、えと、うーんでも…あ、ええと…」

勇者「…………」

魔法使い「えと…じゃぁ、図書館…とか、あったりしますか?」

勇者「…あるよ。でも図書館行くなら夕方のがいいな」

魔法使い「夕方…ですか? 閉館時間とか…」

勇者「この町は商人以外にも賢者みたいな知識人もおおいんだ。だから閉館時間はだいぶおそいから安心しろ。お前が寝る時間になってもまだ図書館は開いてるさ」

魔法使い「す、すごいですねぇ…」


勇者「つーわけで、まずはこっち。お前の装備みにいくぞ」ヒョイ

魔法使い「あ、待ってくださ…きゃ」ドン


町人「……おっと失礼」ペコ

魔法使い「あ、いえこちらこそすみません!」ペコペコ


27 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/04/29(日) 19:54:25.62 ID:xU9RM5RZ0

勇者「田舎モンかお前は…なんで前見ててぶつかるんだよ」

魔法使い「お恥ずかしいかぎりですー。こんなおしゃれな街ははじめてですもの」エヘヘ

勇者「……まぁ物流でいえば最先端には違いないけど、おしゃれっていうような町では…」

魔法使い「え、おしゃれですよー。みんなの着てる服とか、売ってるものとか、なんていうか売り方の展示の仕方?とか 全部おしゃれにみえますっ」

勇者「あー…建築技術とかもここは早いからな。金持ってるやつがよく集まるから高級感だそうとしてる…のかな? 言われてみれば」

魔法使い「洗練されてる感じがところどころにありますね!」

勇者「洗練、ねえ。じゃぁエスコートでもしようか?」

魔法使い「えっっ」


勇者「…冗談だ。置いてかれたくなければついてこい」

魔法使い「もう! からかわないでくださいっ」


勇者「歩幅くらいなら、合わせてやるよ」

魔法使い「……はいっ!」



勇者(……ふむ?)


28 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/04/29(日) 19:55:05.05 ID:xU9RM5RZ0

その後――

店員「ありがとうございました。お気をつけてお帰りくださいませ」ペコ…


魔法使い「…あのう、これほんとに私の装備にもらっていいんですか…?」

勇者「今更?」

魔法使い「私なんて、ローブで十分なのでは…魔法礼装のドレスだなんて…」

勇者「魔王城にこれからいこうってのに、その程度の装備ランクにビビられましても」

魔法使い「ですが…」

勇者「……気に入らなかった?」

魔法使い「え!? いえ、そんなことはないです!」

勇者「ですよねー。試着して鏡の前で『どうですか勇者様!?似合いますか!?』ってあんだけ満面の笑顔でくるくる回ってて気に入らないわけないよねー」

魔法使い「や、やめてくださいいいいいい」

勇者「んじゃ次行くか…」

魔法使い「あ、はい… あ、わぁ…」

勇者「ん?」
29 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/04/29(日) 19:55:31.62 ID:xU9RM5RZ0

魔法使い「勇者様、見てくださいあれ!」

勇者「花屋?」

魔法使い「すごい種類…あのお店だけ、お花畑みたいですねぇ」

勇者「おまえの頭もお花畑みたいですねぇ」

魔法使い「もうっ! …少しだけ見ていってもいいですか?」

勇者「ん? いいよ」

魔法使い「やった♪」

勇者「花屋かぁ。なんつーかオンナの発想よなぁ」

魔法使い「ふふ。勇者様は女性に花束を贈ったりなさらないんです?」

勇者「したことないね」

魔法使い「あ、ほらこんなの! すごーい、お花屋さんなのにアクセサリーも取り扱ってる」

勇者「花をモチーフにしてりゃなんでもいいのか…?」

30 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/04/29(日) 19:57:05.61 ID:xU9RM5RZ0

店員「いらっしゃいませ。そちらは花束を飾るためのオーナメントとして取り扱ってる商品でございますよー」

魔法使い「花束を?」

店員「ええ。ラッピングのリボンにそえたり、花束に絡ませたり…もちろんそれぞれアクセサリーとしてその後の活用が出来る商品でございます」

魔法使い「おしゃれだなぁ…そんな花束、きっとすごく素敵だろうなぁ…」

店員「はいー。婚約や記念日をお祝いの方に非常に人気の商品ですねー」

魔法使い「あ、やっぱりそういうかんじなんですねー♪」


勇者「気に入ったの? 欲しいなら買えば?」


魔法使い「……」

店員「……」


勇者「え、なに」

魔法使い「…」ハァ

店員「ま、またいらしてくださいね」ニコ

魔法使い「はい…」


勇者「え、なに? なんで買わないことが決定してるの?」

魔法使い「なんでもないです、さあ気を取り直して行きましょう」

勇者「欲しいなら買ってやってもいいぞ…?」

魔法使い「いやー…そういうのじゃないかなぁ…」

勇者「????」

31 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/04/29(日) 19:57:39.57 ID:xU9RM5RZ0

キャーー!!

魔法使い「きゃ?!」ビクッ

勇者「…!」バッ

魔法使い「ゆ、勇者様。…なんか今、悲鳴が…?」

勇者「ああ、俺にも聞こえた。…ひったくりかな」

魔法使い「様子、見に行きますか?」

勇者「魔物だったらアレだしな。行くか」

魔法使い「はい!」

32 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/04/29(日) 19:59:02.13 ID:xU9RM5RZ0

町の出口付近――


勇者「なにかあったんですか?」

町人「ああ…冒険者かい? ちなみにだが戦闘の心得は?」

勇者「はい、あります。魔物ですか?」

町人「いや、それがちょっとわからなくてな。子供が泣きながら町に入ってきたんだが、飼い犬かなんかが血まみれで。襲われたんじゃないかって話さ」

勇者「子供にけがは?」

町人「大泣きしてるってんで町医者もきたが、本人は擦り傷程度みたいだなぁ。今は犬を獣医師に見せにいってるんだが…」

勇者「子供の言うことで、経緯がわからないのですね」

町人「その通りさ。魔物だといけないから、念のために出入りを俺が見張ってるくらいだ…冒険者さん、戦闘もイケるんなら付近だけでもいいから見回ってきちゃくれねぇか?」

勇者「もちろんですよ。それと… 魔法使い、結界かけといて」

魔法使い「はい。 えと、『結界魔法・聖:起動』…それと『召喚護符:妖精』!」

町人「おお…お嬢ちゃんは魔法使いか」

魔法使い「簡易結界ですー。妖精さんを置いておくので、なにかあればこの子に伝えてくださいー」

町人「この妖精に言えばいいんだな?」

魔法使い「1時間くらいすると飽きて勝手にいなくなっちゃうんで、その間だけですけど。あ、イタズラしたりするとすぐ怒っていなくなっちゃうから気を付けてください」

町人「便利そうで微妙に不便…まぁいい、ありがとうな。気を付けていってきてくれ」

魔法使い「はいっ」
33 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/04/29(日) 20:00:53.94 ID:xU9RM5RZ0

タタタタタ……

勇者「…お前さ、召喚護符なんてものも使えるんだな」タタタ…

魔法使い「はいっ…友好的で好意的な子が呼び出しに応じてくれる程度には、ですけどね」トトト…

勇者「ちなみにだけど攻撃系が無理とかいわんよな?」

魔法使い「一応、全科目まんべんなく平均点以上には習得してますー」

勇者「ちなみに最高科目と点は?」

魔法使い「えっ…なんだろ…どれも同じくらい…? 苦手だったのは闇魔法、かな…」

勇者「……よし、じゃぁこのあとの魔物討伐、おまえひとりでやってみて」

魔法使い「えええ!? ていうかやっぱり魔物なんですかね!?」

勇者「野良魔物だとおもう。子供の連れてる犬を襲ったって話だから、体の小さいタイプの野良魔物と、動物同士のケンカにでもなったんだろうさ」

魔法使い「なるほど…?」

勇者「大きい魔物や魔族だったら子供のほうが襲われてるはず」

魔法使い「それなら私でも追い払える・・・かな?」

34 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/04/29(日) 20:01:43.67 ID:xU9RM5RZ0

勇者「念のため、なるべく遠距離でやれ。全科目いけるってことは遠距離攻撃もやれるんだろ?」

魔法使い「は、はい! ですが、子供も襲えない程度の魔物をどう探し出しましょう…出てくるかな」

勇者「ああ、なら おもしろいもの見せてやるよ」ピタ

魔法使い「?」ピタッ


勇者「『スカウター:起動! “ターゲット:全方位”“対象不視認:領地侵犯魔物”“測定者:魔法使い”』ブゥン…

魔法使い「スカウター…? え、今の条件…そんなの聞いたことが…」

勇者「スカウター酔いすんなよ? …『確定』!」バシュ!

魔法使い「っっ!! きゃ!?!」


魔法使いは魔法にかかった

魔法使いは魔物Aを補足した!
魔法使いは魔物Bを補足した!
魔法使いは魔物Cを補足した!
魔法使いは魔物Dを補足した!
魔法使いは魔物E…………………

魔法使いは計29894匹の魔物を補足した!

魔法使いは混乱している!
魔法使いに状態異常:スカウター酔い!


魔法使い「な…なにこれ… いつも通り見えるはずの世界に、無数のスカウターゲージが重なって…」クラッ

35 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/04/29(日) 20:03:11.70 ID:xU9RM5RZ0

勇者「すまん、距離指定すんの忘れた」

魔法使い「…こ、こんなにたくさんの魔物が、聖王都の領地に…?」

勇者「いるよ。驚くのも無理はないけど、でもいまはこの近辺のゲージだけ見ろ」

魔法使い「で、ですが…こんなにたくさんの魔物に囲まれていたなんて思うと、私…!」ガクガク…

勇者「…いいから。この近辺の『攻撃的なやつ』の対処をしに来たんだってことを忘れんな。…ゲージが見えててもそばにいるわけじゃない。近いやつを放っておけば、次は子供が襲われてもおかしくないんだぞ」

魔法使い「っ…!」グッ

勇者「探せないならお前のスカウターを切って、やっぱり俺が…」

魔法使い「…南東方向に7、とても微弱な個体反応…群れと思われる表示があります!」

勇者「……」

36 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/04/29(日) 20:06:23.31 ID:xU9RM5RZ0

魔法使い「距離は…えと、スカウターの見方がよくわかんない、どう見たらわかるのかしら…。ゲージが手前だからこれが近いはずなんだけど…」

勇者「いや、それくらいで充分だ。…おまえ、結構ガッツあるな」

魔法使い「え? う…情報が多すぎて脳がパンクしそう…」クラクラ

勇者「『スカウター:“測定者:魔法使い”解除』」ブンッ

魔法使い「…ぁっ」ヒュオン!


魔法使い「あ、は、ぁ…。わ、私はじめてスカウター画面というものを見ました…私の知ってる世界じゃないみたいだったです…」

勇者「道具タイプじゃないから画面とは言わないんだけどな。まぁいい、南東にむかっていくぞ。あやしい箇所をみつけたらまず攻撃魔法ぶっ放せ、逃げ出してくるだろう」

魔法使い「はい…! こっちです、たぶん、そんなに遠くない!」タッ…

勇者「がんばぇー がんばぇー^^」フリフリ

魔法使い「はっ!! そういえば私が倒すって話でした!!うわぁん!!」タタタタ…

37 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/04/29(日) 20:18:09.73 ID:xU9RM5RZ0
ここまで

>>19 ぐう正
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/29(日) 20:31:53.50 ID:QrrSjZHZ0
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/29(日) 21:20:30.59 ID:P0ORwC3Oo
乙です
40 : ◆rRu4LM9vFs [saga]:2018/05/02(水) 19:56:42.12 ID:RGYHyMDl0

街道端にある、藪近く――


ザッ…

魔法使い「……あ、あのあたりかな… えと…! 『風魔法弱:起動』!」

ビュゥ………!


兎型魔物「ピキャー!! ピキャー!!」


魔法使い「茂みの中から鳴き声… 居た!見つけました、 ほんとに小さい野良魔物です…っ」

勇者「…待て」

魔法使い「ど、どうしました?」

勇者「こいつらじゃない」

魔法使い「え? でもこの周辺にはこの子たちくらいしかゲージは…」

勇者「いくらなんでもコイツらじゃ犬も襲えない…魔物といっても赤子だぞ。そもそもこいつらは草食魔物だ」


兎型魔物「ピキャー!! ピキャー!」

41 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/02(水) 19:57:19.06 ID:RGYHyMDl0

魔法使い「草食…? じゃぁ、犬を襲ったのは…?」

勇者「…スカウターに写らなかったってことは、いまは居ないんだろうな」

魔法使い「…えと?」

勇者「犬を襲ったのは、つまりこいつらの母親魔物だろう。…いや、たぶんこいつらが『襲われた』側だよ」

魔法使い「え…」

勇者「犬が魔物の匂いでも探し出し、ねぐらに近づいた。子供を守るために母魔物が囮になった。そこで犬と戦闘になり…犬は血まみれ、母魔物は死亡って流れだな…多分だけど 巣と逆のどこかそのあたりの街道側に…ああ、ほら」


勇者は魔物の死骸を見つけた!

魔法使い(中型犬よりは少し小さい程度の、角の生えたウサギ…。本当だ、噛み傷を身体中につけて…がんばって、戦ったのがわかる…)

勇者「子供を守るために躍り出たんだろうが、死んじまって子供が育てられなくなったんじゃ本末転倒だな」

魔法使い「……そんな」

42 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/02(水) 19:58:28.48 ID:RGYHyMDl0

勇者「犬に見つかるような場所で子育てしようとしたコイツがマヌケだから殺されるんだろ」

魔法使い「そんな言い方はやめてください! それじゃまるでこちらのが悪者のような…」

勇者「コチラ?」ギロ

魔法使い「っ」ビク

勇者「…こちら、ねぇ。お前さ、“本来なら魔物のほうが悪で、襲われた犬がかわいそうで、傷ついた子供を慰めてやりたい”とか思ってたんだろ」

魔法使い「わ、わたしはそんな…」

勇者「じゃぁなんでさっきみたいなセリフが出る?」

魔法使い「ぐっ…」

勇者「なんでもかんでも聖と魔のくくりで考えるな。こいつらと犬はそんなこと考えず、単に自然の中で弱肉強食の世界に居たにすぎない。先入観でお前好みのモノガタリを作るな」

魔法使い「……はい…気を付けます」ショボン…


勇者「じゃぁ、もういくぞ」クルッ

魔法使い「え、いくぞって…! そんな…あの赤ちゃんたちは…!?」

勇者「どうだろうな。赤子とはいえ魔物だから生きるかもしれんし、魔物とはいえ赤子だから死ぬかもしれん」

魔法使い「…」

勇者「だが言えるのはひとつ。俺らに手が出せるとしたら、あいつらを殺すことだけだ」

魔法使い「っ」
43 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/02(水) 19:59:08.81 ID:RGYHyMDl0

勇者「まぁ、犬を襲った犯人の特定はできたし、町を襲う犯人は他にいそうにもない。俺らにはあの赤子を殺す理由も特にない。つまり」

魔法使い「……見捨てるしかない、と」

勇者「放っておく、というべきだな」

魔法使い「…そう、ですね…でも… なら、せめて少しだけ…時間をください」テテテッ

勇者「? なにを…」


魔法使い「………」ソッ…ナデ

勇者「…魔物の死骸から毛皮でも剥ぐのか?」

魔法使い「馬鹿言わないでください」


魔法使い「……まだ、やわらかい。そっと撫でてると、寝てるみたい…」

魔法使い「もしかしたらしばらく生きていたのかな。ごめんね、あなたの大事な子供たちの事を驚かせちゃった…」

勇者「……」

44 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/02(水) 19:59:42.06 ID:RGYHyMDl0

魔法使い「勇者様が言うとおり…魔物も動物もあんまり変わりないんだね…ごめんね。私、魔物だからって悪い子だとおもってた」ナデ…

魔法使い「……」ギュ…



魔法使い「…………ごめんね…あなたの子供の前で、あなたの立派な戦いを、穢すところだった」ポロポロ

勇者「…………」ハァ



勇者「…弔うくらいなら許されるんじゃねーの」

魔法使い「…え…?」ポロポロ…

勇者「邪魔にならねえとこに移して、花でも供えてやったら、っつってんの」

魔法使い「…野生動物に…ですか? ふふ。でも私、そこまで感傷に酔っては…」

勇者「そうだなぁ草食動物だから…母親のそばにありゃぁ、手向けの花だなんて思わず、今日の分のエサ持ってきたんだとおもって食っちまうかもなぁ」

魔法使い「…!」

勇者「生かす手助けをするつもりなんてサラサラなくても、勝手に食っちゃうものはしゃーねーもんな? 俺らは死骸を見かけたから、魔物だけど聖王都の方法に乗っ取って弔ってやっただけ…そうだろ?」

45 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/02(水) 20:00:12.66 ID:RGYHyMDl0

魔法使い「わ、私 町に戻って花束を買ってきます!! 食べれそうなやつ!」

勇者「馬鹿。いかにも弔いに使いそうなやつだろう」

魔法使い「勇者様は、そこであの子たちがほかの動物に襲われないように見張っててください!!」

勇者「馬鹿。そういうことはできないって言ってんだよ、仮にも聖王派遣の勇者一行なんだぞ魔物をかばえるか」

魔法使い「ともかく待っててくださいーーー!!!」ダダダ……


勇者「………ったく。ほんとに馬鹿だなぁ」ハァ

勇者「……どいつもこいつも… ほんと、馬鹿だよな…」



勇者「 ――『………:……』…」

…… ザッ!!



勇者「……あんま簡単に、死んだりすんなよな」ボソ


タタタ…

46 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/02(水) 20:00:48.67 ID:RGYHyMDl0

西の町・入口――

魔法使い「…あれ?! 勇者様!?」

勇者「よう」

魔法使い「え、なんでここに…あの子たちは!?」

勇者「俺があんなところにつったってたら、むしろ目立って探られかねない」

魔法使い「じゃ、じゃぁ今度は私がそっといって…!」

勇者「ああ、待て待て。俺が行く。手向けてくればいいんだろ」

魔法使い「勇者様…?」

勇者「お前さ、気付いてる? 自分のカッコ」

魔法使い「え?」

勇者「ひざのところ、すげー血がついてる。あんなもの抱き上げるから」ハァ

魔法使い「う、うわわわ!? あ、さっきの…っ」

47 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/02(水) 20:01:57.22 ID:RGYHyMDl0

勇者「何も異変のなかった俺たちは、町の守護隊に報告をすませたら予定通り図書館へ行く。報告にいくのに魔物の血のついたローブなんて物騒なモノ着られてたら困るんだけどな」

魔法使い「ぐぅ」

勇者「花よこせ。んで、さっき買った服に着替えて、花屋の前でまっとけ」

魔法使い「…はい。あの…」ガサ…

勇者「ん?」

魔法使い「これ…お花。あの子たちのこt… あとのこと、よろしくお願いしますね…」ニコ

勇者「………」


勇者「…ああ」フイ


48 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/02(水) 20:02:28.30 ID:RGYHyMDl0

西の町・図書館――

魔法使い「ここが図書館…おっきいですねー…」

勇者「まあね」

魔法使い「まるで教会みたいですー」

勇者「教会でもあるからね」

魔法使い「えっ、そうなんですか!?」

勇者「そうなんですよ」

魔法使い「あの、勇者様…?」

勇者「ん?」

魔法使い「なんか…その、機嫌悪いですか…?」

勇者「…いや?」

魔法使い「もしお疲れとかなら…私、図書館は別の機会でも…」

勇者「………いいから行くよ」

魔法使い「は、はい…」


49 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/02(水) 20:02:56.64 ID:RGYHyMDl0

ギィ…


魔法使い「わぁ…中も、広い…!」

勇者「こっち」クイ

魔法使い「え? 勇者様?」

勇者「教会でもあるといったろ。お前も聖魔法を使うものなら、聖堂くらい寄っていけ」

魔法使い「あ、はい! そうですね、お祈りさせていただきますっ」


50 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/02(水) 20:03:35.41 ID:RGYHyMDl0

聖堂――


魔法使い「…………っ」

勇者「……」

魔法使い「すご、い」

勇者「商“港”の町といわれるもう一つの理由。この教会の青を基調としたステンドグラス越しに入る夕日は、海に沈む夕日の美しさにも勝ると言われている」

魔法使い「だから…夕方にしようと言ってくれたのですか? この風景を見せるために…?」

勇者「この町で、案内するなら俺はここが一番だと思ってるからなぁ」

魔法使い「勇者様…」

勇者「………なにさ」

魔法使い「…今日は…本当にいろいろ、ありがとうございました…」ニコ

勇者「お」


勇者「……おう」

魔法使い「きれーだなー…」ボンヤリー

51 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/02(水) 20:04:02.31 ID:RGYHyMDl0

勇者「…俺、向こう見てくるから。3時間くらいしたら迎えに来る、好きに本でも読んで過ごしてろ」

魔法使い「あ………、はい。」

勇者「……おまえ」

魔法使い「?」

勇者「いや…、なんでもないわ」クル


魔法使い「………???」


勇者「………ハァ」


52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/02(水) 23:53:28.78 ID:99wudVSno
乙です
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/03(木) 21:13:35.03 ID:iMMaUqCUo
乙ー
54 : ◆rRu4LM9vFs [saga]:2018/05/04(金) 21:51:02.67 ID:v/D0/0EH0

――そして、夜――


魔法使い「夜ご飯もとてもおいしかったですー」ニコニコ

勇者「よかったな…」ゴクゴク

魔法使い「そういえば、夜は泊りとのことでしたが…もう宿泊先は決めてあるのですか?」

勇者「ああ、ここの3階に部屋借りられることになってるから」

魔法使い「えっ//」

勇者「……あのな、別に連れ込み酒屋とかじゃないから、ここ」

魔法使い「わ、わかりますよそんなのー!」

勇者「朝食までたのんであるから、ゆっくり過ごすといいよ」

55 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/04(金) 21:51:36.22 ID:v/D0/0EH0

魔法使い「え? 頼んであるって、勇者様は?」

勇者「え、俺? 家に帰るよ」

魔法使い「」

勇者「え、いやだって…自分の家あるし…俺が宿をとる必要はなくね…?」

魔法使い「あ…ご実家とか?」

勇者「実家っていうか、まあ一人暮らしだけど」

魔法使い「そ、それなら私も勇者様と一緒に…」

勇者「え?」


魔法使い「せっっ 節約というか!!!!」

勇者「お、おう…。いやでも…俺の家…ワンルームなんだが…」

魔法使い「」

勇者「………来たいの?」

魔法使い「…」

勇者「……べつに、来たいならどーぞ…」

魔法使い「せ…節約ですし…っ」



56 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/04(金) 21:52:51.87 ID:v/D0/0EH0

西の町・勇者の家――

魔法使い「ここが勇者様のおうち…!」

勇者「アパートです」

魔法使い「めっちゃ普通!!」

勇者「勇者っていっても、ちょっと前まで普通の生活してたヒトだから」

魔法使い「お、お邪魔じゃます!!」

勇者「おう、なんか俺のが不安になるから、落ち着いてくれるかな??」


――コト

勇者「よかった、家の中に異常はないみたいだ」

魔法使い「長いこと家を空けることになると、やっぱり心配ですか?」

勇者「まあね。俺は結界みたいなのは張れないし」

魔法使い「あ、今度家を出るとき、簡易的なのかけていきます…?」

勇者「いや、いいよ。貴重品も特にないし」
57 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/04(金) 21:53:38.08 ID:v/D0/0EH0

魔法使い「……一人暮らし、いいですねぇ」

勇者「そうかな」

魔法使い「ご両親とはご一緒じゃないんですね」

勇者「母親がちょっと大きなケガをしててね。父が療養看護のためにって田舎の方に連れて行ってそこで入院してる。ここには、俺だけが残ったって寸法」

魔法使い「そうだったのですか…」

勇者「魔法使いはおばあさんと二人暮らし?」

魔法使い「あ、はい。両親は健在ですが、昔からほとんど家にはいなくて。旅をしていると聞いています」

勇者「冒険家なんだ」

魔法使い「あんまりよくわからなくて…おばあちゃんも呆れてため息をつくばかりで、あんまり話したがらないし…ふふ」フフ

勇者「?」

魔法使い「あ、いえ。なんかこんな風に、お互いの事を話すのって出発の時以来かなって」

勇者「そうだなぁ」

58 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/04(金) 21:54:17.55 ID:v/D0/0EH0

魔法使い「そうだ、勇者様の事について教えてください!」

勇者「俺?」

魔法使い「なんでもいいですよー」ニコニコ

勇者「……じゃぁ…そうだな」

勇者「俺は…  ポッと出の勇者です、よろしく」

魔法使い「ね、根にもってましたか?」

勇者「冗談だよ」

魔法使い「…あ、いえ、でももしほんとに気になさってたらごめんなさいですよ」

勇者「いや、気にしてないから」

魔法使い「勇者業…これまで騎士団の方とかばかりでしたし、一般の方からとなるともしや悪く言うような方もいたのでは…私、改めて考えてみるとそんなこと気にもしなくて…」

勇者「多少ウワサされた程度で他にはあんまそういうのなかったし、気にしてないってば」

魔法使い「いえ…独り言のつもりで、結果 勇者様の事を悪く言うようになってしまったのは本当ですし、ちゃんと謝っておきますね…。あのときはごめんなさ…


勇者「気にしてないっつってんのにお前が気にしすぎいいいいいい!!!!」

魔法使い「ひゃ…!?」ビクゥ

59 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/04(金) 21:55:20.40 ID:v/D0/0EH0

勇者「おまえなぁ。こっちの言うことを聴けよ、なんで勝手に悪いように考えて落ち込んでるの」

魔法使い「え、えと…いえ、私はただ非を謝ろうと…」

勇者「ステータス」

魔法使い「え?」

勇者「ステータス、そんなガンガン減らしながら謝られると、俺が悪者みたいな気分になるから。俺なら本当に気にしてないから、もう気にするな」

魔法使い「えっ、ちょ、え!? ステー… スカウターついてるのですか!?」

勇者「いつから解除したとおもっていたのか」

魔法使い「むしろ、いつ起動したのかもわかりませんよ!!」

勇者「え? 初対面の時、目の前でつけたじゃん」

魔法使い「え……」

勇者「俺がいつ解除したよ」

魔法使い「えっ、えっ…」

勇者「安心しろ、お前の『不安定』はずっと見えてる」

魔法使い「………っっっ// えっ、と…あの、本当に…本当に…?//」

60 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/04(金) 21:56:42.40 ID:v/D0/0EH0

勇者「嘘をいってどうする。旅に出て、ちょっと褒められただけで毎回ステータスあがるくらいめっちゃチョロインなのも知ってるし、寝れなかった日の朝はめっちゃダメージ受けてるのも知ってるし」

魔法使い「!」

勇者「なんか買ってやるっていうと萎縮して、選ぶときだけはめっちゃ浮かれてアゲまくって、でもまた買い物で支払段階になって萎縮してダメージ受けてたのも知ってるし」

魔法使い「!?」

勇者「張り切って魔物退治に向かったのも、結果があれで本気で落ち込んだのも知ってるし…」

魔法使い「…っ」

勇者「…さっき…なんか、あっさりした態度だったくせに、すごいステータスをグングン登らせてたのも見てた、し…」

魔法使い「え、さっきって、えと」

勇者「ステンドグラス?」

魔法使い「よかった、そっちかっ!」

61 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/04(金) 21:57:43.49 ID:v/D0/0EH0

勇者「……うちに来るって話の時なら、むしろバラバラに泊まることとかうちに来れないとかでめっちゃダメージ減らしてたじゃん…どこらへんに上がったと思う要素あったんだよ…」

魔法使い「いやああああああああああああああああああああああああああ」

勇者「……何が嫌なのかようわからんが…まぁ、知らない街で一人で泊まるのも不安か。悪かったな、察してやれなくて」ニコ

魔法使い「……」

勇者「ねえなんでいまステータスちょっとあがったの? やっぱ不安だった? 気付いてくれてうれしいとかそういうやつ? つか、そうなら口で言えよ? さては面倒な子だな?」

魔法使い「〜〜〜私の事、スカウターで覗くのやめてくださいっっっ」 

勇者「やだ」



62 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/04(金) 22:00:52.82 ID:v/D0/0EH0
ここまで
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/05(土) 00:27:08.64 ID:NfAERVDY0
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/05(土) 00:28:45.55 ID:NfdEAfRro
乙です
65 : ◆rRu4LM9vFs [saga]:2018/05/09(水) 19:42:03.33 ID:cVm+sUGk0

魔法使い「全部見られていたなんて〜〜! 恥ずかしくて死んでしまいますーー!!」ウワァァン

勇者「ステータスみるまでもなくテンションの上下はわかるけどな」

魔法使い「なら見なくていいじゃないですかぁぁぁ」

勇者「いや、でも自分の目で見える分、理由に推測つけられるし。演技とかじゃないって確信できるのは割と重要要素」

魔法使い「演技…?」キョトン

勇者「喜んだふり、平気なふり、つらいふり、悲しいふり」

魔法使い「はっ…そういうのがあった場合もばれるんですね! 私!」

勇者「ばれてるよ。さっき、俺に花を任せて笑ったのは演技だってこととかね」

魔法使い「…う…」

勇者「あと…今、急にステータス落としてることも」

魔法使い「っ」

66 : ◆rRu4LM9vFs [saga]:2018/05/09(水) 19:43:41.08 ID:cVm+sUGk0

勇者「……やっぱ不快だよな、こんな風に俺に見られてたなんてさ」

勇者「悪かったよ」

魔法使い「私は…」

勇者「こんなに俺が素直に謝ってもむしろ加速するステータス減。お前、さては鬼だな?」

魔法使い「も、もうステータスみるのやめてくださいいい」


勇者「赦してくれるなら、やめるよ」

魔法使い「許すとか、許さないじゃなくて…」

勇者「…なに?」

魔法使い「……感情を読み取られるのが嫌なわけじゃないんです…わたしはそもそも感情表現は素直な方だと自覚もあるし…」

魔法使い「ポーカーフェイスが得意なわけでもないので、気分を察されるなんてよくあることです…」

勇者「ほう」

魔法使い「でも…そうやって見られると…心配になるんです」

勇者「心配?」
67 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/09(水) 19:45:39.94 ID:cVm+sUGk0

魔法使い「私の気分の変動をしって、勇者様が不快な思いをしてたりしたんじゃないかって… 知らないところで、たくさん余計な気を使わせたのではないかって…」

勇者「謎に思うことは何度かあったけど、特に気遣ったりはしてない。あ、いや今日はさすがにちょっとだけ気にしてみたりもしたか」

魔法使い「今日のは…まぁ、気遣ってもらった自覚があるです。ありがとうございます」

勇者「言ったじゃん。おまえのステータスを勝手にみて、勝手に反応期待したりしないって。急な戦闘があった時、余力があると思ってたら実はほとんどなかった――なんてことになったりしたら危ないだろ。ステータス変動が激しすぎる以上、せめて監視程度には必要があると思っただけだよ」

魔法使い「は、はい…」

勇者「多分」

魔法使い「多分!? 多分ってなんですか!? ねぇ!?」ユッサユッサ

勇者「ステータス減らしながら動揺すんのやめて、大丈夫だから」ガックガック


68 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/09(水) 19:46:10.90 ID:cVm+sUGk0

勇者(……図書館で…あんだけステータスあげて、ありがとうなんて笑顔で返されたら…さすがの俺だってなんかすげー嬉しくなっちゃって動揺くらいするっつの…)

勇者(ましてやそのあと一人残されることを知って落ち込んで見せたりとか…)

勇者(なんなのこのステータス監視してるだけなのに勘違いさせられそうになる感覚…期待とかよりよっぽどタチわるいやつじゃん…)

勇者(こいつの『不安定』って能力名、ステータス見る人を不安定にさせるとかそういう意味なんじゃねーのか…?)


魔法使い「勇者様?」

勇者「ハイ」

魔法使い「きゅ、急に表情が消えましたが何か…? 揺さぶりすぎました…?」

勇者(……不安が目にもステータスにも見える…)

魔法使い「勇者様…?」

勇者(……ちょっと…可愛くみえてしまったり…思えなくもなかったり…)

魔法使い「勇者様………?」

69 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/09(水) 19:47:21.88 ID:cVm+sUGk0

勇者「はぁぁぁ〜…」

魔法使い「」ビク


勇者「お前さ、自分にも結界ってかけられる? 魔力感知とかでもいいから」

魔法使い「え…? 魔力感知、はどうだろう。多分自分の魔力に反応しちゃうかな…」

勇者「じゃぁ対魔法防御とか」

魔法使い「あ、それはできますよ、防御魔法の基礎中の基礎です!」

勇者「じゃぁそれかけとけ」

魔法使い「?」


魔法使い「ああ、勇者様からのスカウター除けのためにですか?」

勇者「……」グサッ

魔法使い「え?」

70 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/09(水) 19:48:37.80 ID:cVm+sUGk0

勇者「〜〜なにその、俺が自制できないから自分で自分の身を守れ的な。言うわけねぇだろ!」

魔法使い「えええ」

勇者「俺じゃなくて他の奴にスカウターかけられないようにしろっつってんの! 道具で見られるのは防げないかもだけど!」

魔法使い「あ、なるほど? …でもえっと、そもそもスカウター魔法なんてそもそもコア…いえ、レアだとはおもうのですが、何のためにです?」

勇者「え」

魔法使い「・・・? やっぱり勇者様除けくらいしか意味ないのでは…?」

勇者「…ま」

魔法使い「ま?」



勇者「……ま、魔族に弱ってるところを悟られないためだよ」キリ

魔法使い「おお! それは必要ですね! はい、ちゃんとかけておきますね!!」


勇者(間男に入られないようにするためとか言いそうになった……)ガックリ

勇者(ただでさえちょろいのに、感情まで簡単に筒抜けになるとか…オトしやすくて勘違いさせやすいとか、こいつ女としては割と不憫なんじゃねえの…?)

71 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/09(水) 19:49:30.31 ID:cVm+sUGk0

魔法使い「…あ、でもえっと」

勇者「なんだよ?」


魔法使い「…勇者様も、私の事スカウターで見れなくなっちゃいますよね? いいのです? 監視…」

勇者「ああ、俺のスカウター魔法ならお前の結界くらいすり抜けるだろうからいいよ別に」

魔法使い「」

勇者「なんだよ」

魔法使い「あ、いえ。まあ私の結界は確かに軟弱ですけど、それにしてもすごい自信だなぁって…」ムゥ

勇者「言わなかったっけ。俺もお前と同じ、異常能力者だよ」

魔法使い「え… き、聞いてないです!」

勇者「そうだっけか」

72 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/09(水) 19:52:14.18 ID:cVm+sUGk0

魔法使い「勇者様はどんな能力なのです…?」

勇者「俺の異常能力は『サイド』って名前つけられた」

魔法使い「さいど?」

勇者「そう。能力が“両極端”でしか使えないんだ。常に端っこ、だからサイド」

魔法使い「ええと、つまり?」

勇者「極めるか、無能かのどっちかってことやね」

魔法使い「ええ…」

勇者「いくつかあるアビリティのうち、おもに戦闘関係のアビリティがほとんどなんだけど、極めるまで一切が無能なんだ。その代わり極めた瞬間に規定の“最大能力”でだけ使える。ちなみに習得速度は、普通より早い気がする」


魔法使い「ある日いきなり最大能力ぶっ放すとか、ただの危険人物じゃないですか」

勇者「言い方よ」

73 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/09(水) 19:54:17.96 ID:cVm+sUGk0

勇者「ともあれその一つがスカウター。ただし、最高「精度」でしか使えない。消費は結構する」

魔法使い「精度…?」

勇者「時計とかでさ、時間刻み、分刻み、秒刻みとかあるじゃん? あんな感じ。俺のは相手のステータスをコンマ以下の更新速度でコンマ以下のステータスまで読み取る。それ以下の精度では使えない。使用者や範囲の選択は出来るけど…。そこまでの必要はないんだけど、まあ仕方ないよね」

魔法使い「無駄・・・」

勇者「いやでも、常に最大範囲とかじゃなくてよかったよ…対象ちゃんと選べるし…」

魔法使い「最大範囲ってどれくらいなんですか?」

勇者「……ギリ、星までは届かないくらい」

魔法使い「……」

勇者「……」


魔法使い「寝ましょうか…」

勇者「現実から逃げたな…」

74 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/09(水) 19:55:17.71 ID:cVm+sUGk0

勇者「あ、そういや」

魔法使い「なんです?」キョトン

勇者「客用布団がないからさ」

魔法使い「・・・っ!!」

勇者「安心しろ、そんなジワジワとステータス下げなくても対策くらい考えてあるっつの」

魔法使い「え、いえそんな」

勇者「でもまあ俺の布団で勘弁な。旅に出る前に干してあるしシーツもちゃんと洗ってあるから」

魔法使い「…勇者様はどうなさるのです?」


勇者「冬用にしまってあるカーペットとこたつ布団を出して寝る」

魔法使い「あ、結構平気そうだしむしろ快適そうなやつだそれ」

勇者「冬とかだと普通にそれで寝ちゃうことあるよね」
75 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/09(水) 19:57:28.56 ID:cVm+sUGk0

―――就寝準備中


勇者「というわけで」

魔法使い・勇者「「おやすみなさい」」



―――就寝後


勇者(…泊りにきたいって言った(言ってない)くせに、布団ないって言ったあと、じわーってステータス下げられた…やっぱ男としてはすげえ警戒されてるのはしょうがないにしてもショック)ドンヨリー…

勇者(別にガチでそんな気はないけど、確かに、ステータス読んじゃって微妙に傷ついちゃう方の気持ちもすこしわかる…)ガックリー…

勇者(気にするな…そして動揺するな俺…カンチガイ馬鹿のひとりにはなるな俺…!)ウァァァァァァ




魔法使い(びっくりした…お布団ないっていわれて一緒に寝るのかと思った…)ドキドキ

魔法使い(お風呂かしてって言えなかったし…絶対汗臭いもん、私…)カァァ

魔法使い(ていうか、もし一緒に寝るってなったらむしろお風呂かしてって余計にいえない…! 意識しすぎって思われちゃう…!)ワタワタ

魔法使い(あ、明日はちゃんとこの借りたシーツ、綺麗にあらってから返そう…! 匂いとか残ってうっかりなんかのきっかけで嗅がれたら、死ぬほど恥ずかしい…!!)グッ

76 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/09(水) 19:58:25.25 ID:cVm+sUGk0

―――深夜


魔法使い「………zz」コロン

勇者「なんでこいつ、こたつ布団にはいってきてんの…? しかも爆睡で…?」

魔法使い「zzzzz」ゴロムギュー

勇者「湯たんぽ…湯たんぽだ、俺…! コイツの中で湯たんぽ程度にしか認識されてなかったやつだ…! 春とはいえ夜は肌寒いときあるもんね!!」

魔法使い「……♪」ムギュ スヤァ

勇者「………うっ」


勇者「…くっついてステータス上げんなよ、離れにくいだろうが馬鹿…」ハァ

77 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/09(水) 20:00:54.63 ID:cVm+sUGk0

勇者はスカウターを切った。
空になった自分の布団は、ほんのりと魔法使いの匂いがのこっている。
勇者は意外にも快眠した。


翌朝−−−

魔法使いは「いやああああああ」と叫んだ。
勇者は飛び起きた。


勇者は混乱している。
魔法使いは心にダメージを負った。

78 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/09(水) 20:01:35.53 ID:cVm+sUGk0
ここまで
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/09(水) 20:28:20.80 ID:5oi/vrQAo
乙です
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/10(木) 00:23:44.75 ID:uJi/Lgog0
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/10(木) 00:27:47.88 ID:cbEbUeOio
乙です
82 : ◆rRu4LM9vFs [saga]:2018/05/13(日) 20:01:58.64 ID:tRy6O0pJ0

翌日

勇者「昨日は朝からまさか魔法使いの残MPが108とかだったから出遅れたけど…いい天気だなぁ」

魔法使い「う、うう。もう言わないでください…」

勇者「寝て起きて、夜よりMP減ってたのほんと驚くからね」

魔法使い「び、びっくりしすぎて…心臓に悪かったのですよ」

勇者「いっとくけど俺がお前の寝てるとこに忍び込んだわけでは…」

魔法使い「それなら何回もききましたからもういいですってばぁぁ」

勇者「うーむ」

83 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/13(日) 20:35:33.71 ID:tRy6O0pJ0

勇者「…なあ、ちょっと真面目な話していい?」

魔法使い「? なんですか?」

勇者「おまえさ、最大値わかんないってことは、使う予定をしてたMPが急にたりなくなることだってあるだろ、学校とかでもそういうことあっただろう」

魔法使い「あ、はい…実技の試験のときとかは、MPが一定値無い場合は出席不可ですし」

勇者「それでも戦闘なら使わなきゃならないこともあるかもしれない。…普通は使いきる前に調整するけど、お前の場合はその調整が効きにくいからあえて聞いておく」

魔法使い「え?」

勇者「お前さ。…MP尽きると、どうなる?」

魔法使い「っ」

勇者「…? 普通は過労状態で倒れたり、過剰に使いすぎると意識が戻らなくなったり…が相場だ。だけど異常能力者は“制約事項”にかかる部分では一般と異なる場合もおおい」

魔法使い「…………そうですね」

84 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/13(日) 20:36:06.64 ID:tRy6O0pJ0

勇者「異常能力者にとって、この部分はデリケートな問題だから言いにくいのはわかる。一般人とは異なる、特殊な“強み”の一方で、特殊な“弱み”も持つのが異常能力だ」

勇者「……異常能力の冒険者の中には、他人に知られたら致命的になるような“弱み”を抱えるやつもいる」

魔法使い「……」

勇者「……お前、使いきったらさ。……死んだりすんの?」

魔法使い「っ…」

勇者「……真面目に聞いている。口外はしない、教えておいてほしい」

魔法使い「……」

勇者「……」


魔法使い「…それが、わからないんです」

85 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/13(日) 20:36:50.07 ID:tRy6O0pJ0

勇者「わからないって…使いきったことないんだ?」

魔法使い「幼いころ…私はそういう異常能力のことをまだ理解しきれずに、自分のMPが増えたり減ったりするのをただ楽観視していたんです」

勇者「それで?」

魔法使い「まだ5歳くらいの頃、近くに住んでいた男の子と二人で魔法の練習をしていて…」

勇者「」

魔法使い「私たちは仲良しで。二人でたくさん練習をして、男の子のほうが先に小さな火の玉を出して。その子におそわりながら、わたしもようやく火の玉を出して。ふふ、初めて成功した魔法なんですけどね」クス

勇者「ふ、ふぅん。それで、その男の子とは…」

魔法使い「え? あ、ごめんなさい、少し脱線しちゃいましたね。魔法の方の話でした」

勇者(………くそ、若干気になってんじゃねぇよ俺!!!!)

86 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/13(日) 20:37:59.68 ID:tRy6O0pJ0

魔法使い「えと、それで。今度はどっちが多く出せるかって競争になったんです」

勇者「子供らしいけど、危なっかしいあそびしてやがりますねマセガキが」

魔法使い「使いきると倒れる、なんてよくわかってなくて。すごーーく疲れる…くらいの認識でした」

魔法使い「実際、男の子の方は3発目で疲労のほうが強く、集中力がもたずにMPを尽きさせる前に打てなくなっちゃいまして」

勇者「へたれが」

魔法使い「ゆ、勇者様?」

勇者「気にするな。それで? お前は?」

魔法使い「私は…途中で、やめたんです」

勇者「やめた?」

87 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/13(日) 20:39:26.63 ID:tRy6O0pJ0

魔法使い「はい。私の魔力と精神力は感情で上限するので…3発目を打つときにこれが打てたら引き分け!ってドキドキして、魔力が上昇して」

勇者「…」

魔法使い「4発目を打つときは、これがうてたらその子に勝てる!って喜びで魔力が上昇して」

勇者「お、おう」

魔法使い「5発目は、やったぁ勝てた!って喜びで。6発目はその子にすげえなお前!って褒められた嬉しさで。魔力は減るどころか増えていったんです…それで、やめて」

勇者「……」

魔法使い「それでも、気にならなかったわけじゃありません。自分の限界を知ってみたいと思ってはいたんです」

88 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/13(日) 20:40:21.15 ID:tRy6O0pJ0

魔法使い「…そうしたらある日、今度は 無くなるまでやってみようぜって、その男の子に誘われて。でもその途中、だんだんと、彼の方が飽きてきていた、というか…」

勇者「…まぁ、自分は数発しか打てないのに、ズルみたいに魔力が増えてどんどん連射する友達なんかみてて、ひがまねぇやつはいないだろうな」

魔法使い「……」

勇者「…悪い」

魔法使い「いえ、本当の事だからいいんです。私が調子に乗るから魔力が増えたのも本当ですし…。でも私は感情のコントロールが下手で」

魔法使い「早く終わらせなきゃ、嫌われちゃうって気持ちで魔力はぐんと減ったんです。でも、やった、あともう一回くらい魔法使えばなくなる!って思った瞬間に、また少しだけMP増えて…」

勇者「羨ましいようなそうでもないような」

魔法使い「…私は、疲れちゃっておなかすいてもう打てない、というフリをして終わりにしました」

勇者「…なるほどね」
89 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/13(日) 20:41:05.19 ID:tRy6O0pJ0

魔法使い「それは小さい頃の話なんですけど…そういうわけで、それ以来、使いきることも使いきろうとしたこともないんです」

勇者「…どうなるかわからないのはだいぶ怖いけどな…司祭とかに相談したり意見を貰ったことは? 司祭の能力でもそこは判定しきれないものだったのか?」

魔法使い「あ、えと その話を司祭様にしたら窘められました」

勇者「窘める?」

魔法使い「『人は確かに、幸福があると その幸福がどれだけあるのか試したくなる。なくなるはずがないとぞんざいに扱うこともある。だけれど幸福とは必ずあるものではないのだから、むやみに消費してはならないものなのだ』、と」

魔法使い「使いきることのないように大事にすればいいんだよ、とニッコリ笑われてらっしゃいました」

勇者「お前のところの司祭、真面目だよな」

魔法使い「はいっ、とても素敵な方なんです!」パァァッ

勇者「え」

90 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/13(日) 20:41:48.17 ID:tRy6O0pJ0

魔法使い「町の方にもとても慕われていて、聖王様からの信頼も厚く、その立ち居振る舞いは大天使様のように神々しく、聖歌は天使の歌声とも言われていて…!」キラキラ

勇者「…へ〜え? …その司祭のこと、好きなんだ?」

魔法使い「はいっ! 大好きなんです!!」

勇者「」

魔法使い「それで…!」

勇者「いやまあいいや、とりあえずお前はいいつけを守ってMPは尽きさせないようにしてたわけね、子供のころからずっと」

魔法使い「はいっ」

勇者「イイコだこと…」

魔法使い「はいっ! えへへ」ニコニコ

勇者(……地味にイラっとするなこれ。なんで続けざまにこいつの昔の男の話を…って)

勇者(落ち着け俺、男の子とやらも司祭もコイツの昔の男でも何でもないだろう!! 今の男にでもなったつもりか俺!!うがあああ!!)

魔法使い「勇者様?」

勇者「はっ」

91 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/13(日) 20:42:18.56 ID:tRy6O0pJ0

勇者「……とりあえず行くぞ、遅れた分とりかえさなきゃならんからな」

魔法使い「あ、はいっ ごめんなさい、がんばります!」

勇者「がんばぇー」ボウヨミ



勇者(……言いつけを守って、MPを無くしたことはない、ねぇ…)

勇者(………)

92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/14(月) 03:26:14.40 ID:7bp7wUSDO

青春だなあ
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/14(月) 12:54:07.33 ID:7AwNw69WO
いいね
期待してる
94 : ◆rRu4LM9vFs [saga]:2018/05/16(水) 19:29:17.60 ID:zLACaYSd0

草原――

魔法使い「広い野原ですねぇ…」

勇者「野原っていうか…昔の合戦場だよ。聖王軍対魔王軍の歴史でもっとも大きな戦が起きたのがココ」

魔法使い「ここで…戦争が?」

勇者「ああ。魔王軍10万、聖王軍7万。一騎当千ともいわれた英雄…初代勇者の時代のことだけどね」

魔法使い「へぇ〜。きっとすごーく強かったんだろうなぁ…ふふっどんな人だったのかなぁ〜」

勇者「イラ」

魔法使い「え?」

勇者「…い… イラナーイナニモーステテシマオウーキミヲサーガシッサマヨウッマイソー」

魔法使い「あ、わかりますー。こういう広いところって歌いたくなりますよね!」


勇者(いかん、なんか俺最近、めっちゃカルシウム足りてないかな。こいつがほかの男褒めるどころか考えてるだけでなんかイラっとする)
95 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/16(水) 19:31:23.13 ID:zLACaYSd0

魔法使い「野原だけど結構あちこちに隆起があって、青い草も花もたーくさん茂ってて」

魔法使い「ふふー、おいかけっことかかくれんぼとか、子供の遊ぶのによさそうな場所ですね!」

勇者(スカウター見てると変なカンチガイさせられそうになるから、あの晩以来とりあえず切ったままでいるものの…むしろ余計に気になるようになった気すらする)

魔法使い「ねー、勇者様! やってみませんか、かくれんぼ!」

勇者「ああ…」ハァ

勇者(俺、いつからこんな女のことなんかに頭を悩ませるようなナンパな男になったのか…)

魔法使い「やったぁ! じゃぁ勇者様が鬼ですよー 10待っててくださいね!」タタタタ…

勇者「あ? 誰が鬼だコラ…って、あれ?」


勇者「…ま、魔法使い? どこにいった?」キョロキョロ

勇者「魔法使い? おーーい」タタ…

魔法使い「勇者様、まだ早… ………あっ」

勇者「!? 魔法つかい!?」ギクッ



勇者(あの馬鹿、元合戦場ってことは領地のハズレだってことに気付きやがれ! 一人でうろうろしてんじゃねぇ!)

96 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/16(水) 19:34:46.07 ID:zLACaYSd0

勇者(っ、いた…って あいつの先にいるあれは…魔物か!?)


魔法使い「わぁ!」

魔法使い「おいでぇー こわくないですよーう」チチチ

勇者(ちっ。あの一角ウサギの事件以来、変に魔物に愛着わかせやがったな)


勇者「どけ」ダッ…ヒュンッ

魔法使い「え…って、や!」

勇者「――」ザッ!!!

魔法使い「あ、あわわわわわわわわ」

勇者「ん、斬り損ねたな。手ごたえがない…だがまぁ動かなくなったな」


勇者「お前に一回キチっと目の前で倒して捌いて毛皮を剥いで魔物の狩り方をおしえこんでやろう、まずはこうして軽い初手をあびせて動きを封じ……」

97 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/16(水) 19:35:24.37 ID:zLACaYSd0

魔法使い「だめええええええええ」ドンッ

勇者「いてぇっ」

勇者「!? なにすん――」

魔法使い「だって、急になんか物騒なこといいながら現れたです! だめですよ勇者様!」

勇者「だめなもんか、こんなチビの野良魔………あれ?」

魔法使い「魔物じゃなくて、コレは普通のネコですっ!! 剣で転がしたりするからびっくりして気を失ってるじゃないですか!!!」

ネコ「ぐ、ぐるにゃぁ……」クラクラ


勇者「……ネコと魔物を見間違えるとか、俺 老眼かな」

魔法使い「もう…。しっかりしてください。魔王の領地に近いからって、気を張りすぎていたのですかね??」フフ

勇者(くっそコイツに言われるとすっげーーー腹立つ!!!)

98 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/16(水) 19:35:52.75 ID:zLACaYSd0

魔法使い「子猫さん起きてくださーい、もう大丈夫ですよ。ふふ、勇者様にはあなたがこわーい魔物さんに見えたんですって」クスクス

勇者「ちげーよバカ、ああでも、よかったー」ハァ

魔法使い「? 勇者様?」

勇者「お前がいきなりいなくなったあげく、叫んで動物っぽいのと一緒にいたから襲われたのかと思ったんだ。そんで魔物だと判断しちまったんだよ」

魔法使い「…っ 勇者様…!」

勇者「ったく、変にビビらせんじゃねぇよ。目が曇るだろうが」

魔法使い「勇者様…そんなに心配してくれたのです?」

勇者「あ? …え、あれ?」

魔法使い「この子がもし魔物だったとしてもこんな小さい子なのに、本気でそんな私の事を…私…っ」

勇者「まって、なんかそんな変な感じにクローズアップするのやめて、別に俺はそんな…」

魔法使い「私…っ は…」

勇者「っ」ドキ

99 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/16(水) 19:36:19.92 ID:zLACaYSd0

魔法使い「私、そんなに弱っちそうにみえてましたかね。大丈夫です、さすがにこのくらいの大きさの魔物でしたら、対処できるくらいのスキルあるですよ?」

勇者「・・・お前は腕よりアタマを磨け」



魔法使い「ひ、ひどいですー」

勇者「クソ! 知るか、もうしらん、本当にしらん、いくぞついてこい!!」

魔法使い「置いていかないのがいいところですね!」

勇者「うるさい!!ネコはテキトウな結界張っておいていけよ!!」スタタタ

魔法使い「あっ、はっ、はい!!」


魔法使い(…………)ドキドキ

魔法使い(………す…スカウター、切れててよかったぁぁぁぁぁ!! うまくごまかせたぁぁぁぁぁ)ドキドキドキドキドキドキドキドキドキ

魔法使い(……勇者様…やっぱり本当は強いんだなぁ…っ// ほんとにびっくりしたけど…守って…貰っちゃった…//)


魔法使い(………かっこよかった……//)ドキドキ

魔法使い(あんなに心配してくれるなんて…嬉しい…)ハフ

100 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/16(水) 19:36:52.18 ID:zLACaYSd0

魔王領地――

勇者「さて…魔王領地についにはいったな」

魔法使い「ちょ、ちょっと緊張しますね」

勇者「殴り込みに来たのとはワケが違う。いいか、俺らは聖王の遣いなんだ、やましいそぶりは絶対にみせるなよ」

魔法使い「はい…」

勇者「じゃぁそういうわけで町に行くぞ」

魔法使い「ええええ!? そんな堂々としていいんですか!?」

勇者「いいんだよ。魔族と人間の大きな違いはそこだ」

魔法使い「? どこですか?」

勇者「そもそもの個体自体が持つ能力値」

魔法使い「…? というと?」

101 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/16(水) 19:38:04.87 ID:zLACaYSd0

勇者「人間より魔族のほうが、圧倒的に強い。相対的に言えば、だがな」

魔法使い「怖いですよっ」

勇者「強い人間と弱い魔族なら、強い人間のが強い」

勇者「でも普通の人間と普通の魔族なら普通の魔族のが強い」

勇者「だから、魔族は 人間が魔族を恐れるほどには人間を恐れていないのさ」

魔法使い「なるほど…?」

勇者「弱いそぶりを見せたなら、一瞬でカモにされる。だが、強すぎるそぶりをみせても狙われる」

勇者「ただ、堂々としていろ。得体のしれない人間に手を出してくるほど、魔族の知能はバカじゃない」

102 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/16(水) 19:38:30.16 ID:zLACaYSd0

魔法使い「…むずかしいです」

勇者「普通にして俺のお供のフリでもしてろ」

魔法使い「本当にお供だし、それなら簡単ですねー」ニコ

勇者「おう、黙って俺についてこい」

魔法使い「はいっ、よろしくおねがいしますね、頼りにしてます、勇者様!」ニコニコ

勇者(やっべ、ちょっとなんか気分いい)

103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/16(水) 19:42:17.13 ID:kkk1ug6L0
いいぞ
104 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/16(水) 19:50:18.08 ID:zLACaYSd0

魔族の町――


魔族男A「おお、可愛い人間のムスメだな。寄って行かない? 俺の店の特製料理はウマイぜ」

魔法使い「わぁ、おいしそう…!」

勇者「………」

魔族男B「お、なんだなんだ、人間? 姉ちゃん、旅行かなんか?」

魔法使い「はいー! そんなところです!」

勇者「…………」イライラ


勇者(くそ、一体何なんだ、こいつのこの悪目立ちは!!)

勇者(そりゃまぁコイツの年齢にしてはだいぶ上等のドレスなんざきてやがるから? 馬子にも衣裳でそれなりの見てくれにはなってるかもしれねえけども!)

105 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/16(水) 19:50:46.33 ID:zLACaYSd0

魔族男「よう、そこの嬢ちゃん! 今夜泊まるところは決まってる?」


勇者(くそ!! またか!! どいつもこいつもひっきりなしに声かけてきやがって…! それに、こいつもこいつだ!! 無視すりゃいいものを、いちいちいちいちこーやって…!)


魔法使い「え? いえ、まだついたばかりなので…決まってませんよ」

勇者(相手を! するな!! ただのナンパだろうこんなやつ!!)イライライライライラ


魔族男「やったぜ、ならさぁ、今夜はよかったら俺のところに………」

勇者「…あ?!」ギロ

魔族男「ア? やんのかコラクソガキ」

勇者「だれがクソガキだこのナンパヤロウ、上等じゃ――」イライライライラ


魔法使い「あ、あの!!! 私はその、ゆ…ゆう、えと、主人の共をしている身なので! お誘いは気持ちだけで…」ペコペコ
106 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/16(水) 19:51:16.75 ID:zLACaYSd0

魔族男「なんでぇ、残念だな」

勇者「ふふん」ドヤ

魔族男「チッウゼエ」

勇者「あ゛?」


魔法使い「わわわ、ケンカはだめですよ! え、ええと!! それでは私たちはこれで!」

魔族男「主人とやらに愛想つかしたらいつでもおいでなー!」フリフリ

魔法使い「あ、あはは…」フリフリ

107 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/16(水) 19:51:42.77 ID:zLACaYSd0

勇者「……」

魔法使い「……あ、あの? 勇者様…?」

勇者「――お前さ、一体な――…」


男の子魔族「わぁ!  おねえちゃんすごい可愛いね!!」

魔法使い「え? え? わ、わたしですか?」


勇者「…―――だぁぁぁ!! ちょっと! こっち!こい!!」

男の子魔族「あっ」

魔法使い「え、ええ!? 勇者様、どこに… ご、ごめんねボク、またね!」



108 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/16(水) 19:53:37.95 ID:zLACaYSd0

路地――


勇者「不愉快だ、町を出よう」キリッ

魔法使い「勇者様がすぐにガンつけてメンチきるから殺伐とするんですよう!!」

勇者「つかなんでおまえはそんなに魔族受けしてんだよ!!」

魔法使い「そ、そんなこといわれてもっ」

勇者「魔族の審美眼おっかしいんじゃねえの! どいつもこいつもアホかっ!!」

魔法使い「と、とにかく落ち着いてください…さっきからその、すごく不機嫌ですよ…?」

勇者「しらん!」プイ

魔法使い「勇者様…」

勇者「あーもう! ほんっと鬱陶しいなぁ、どいつもこいつも、おまえも!!」

魔法使い「」ビクッ

109 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/16(水) 19:57:45.78 ID:zLACaYSd0

勇者「なにがいいんだ、こんなのの……」

魔法使い「っ」

勇者(魔族の審美眼ってまじわかんねえー こいつももっとハッキリとした態度をだな…)


魔法使い「勇者…様…?」

勇者「ん?」イライラ

魔法使い「……あの、その。私――」

<ギャハハ…お、なんかアッチの道、誰かいるぜ
<あ、あれさっきの子じゃね? ほら、ドレスの人間の…
<まじ? 俺カオ見てねぇけどなんか誰かふられてたやつだろ
<あ、俺もそれみてたわー…
<ぎゃはは、お前もふられてくればぁ?
<やめろよばーか!! ギャハハ……

110 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/16(水) 19:58:16.40 ID:zLACaYSd0

魔法使い「……えと。…どうやら少し、目立ってしまっていたみたいですね…」ア、アハハ…

勇者「………」


勇者「もういい、帰る」クルッ

魔法使い「か、帰るってどこにですかぁ!」


勇者「お前のいないところ」


魔法使い「え」


勇者「…なんだよ」

魔法使い「………っ」ポロポロ

勇者「えっっっ」

111 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/16(水) 20:03:10.02 ID:zLACaYSd0

魔法使い「勇者様の、馬鹿……」ポロポロ…

勇者「ちょ、なんで急に泣…」

魔法使い「堂々としてろって言ったのは勇者様なのに…」グス…

魔法使い「全然、私が笑われたりしてるのに困ってても助けてくれないし…それどころか騒ぎを大きくしようとするし…」グス…ポロポロ

勇者(笑われてるのとは違うと思うけど)

魔法使い「イライライライラしてばっかりで…すごく、態度も冷たいし…さっきからずっと早足だし…」

魔法使い「全然…こっち見てくれないし… 魔族の町、緊張して、私もどうしていいかわからないのに…」グスグス…

魔法使い「ついてこいっていってくれて…嬉しかったのに…っ」ボロボロボロ
112 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/16(水) 20:03:55.68 ID:zLACaYSd0

勇者「魔――」


魔法使い「そんなにいなくなってほしいなら…そうします…っ」タタタタタタ

勇者「は? あ、ちょ…」


魔法使いはパーティから離れた!
魔法使いは去って行った!


勇者「………え」ポツーン




勇者「……マジかよ……?」


113 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/16(水) 20:07:02.77 ID:zLACaYSd0
ここまで
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/16(水) 21:42:06.99 ID:hkyQ6MQDO

悶々とする
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/17(木) 17:03:16.52 ID:TiBTcerZO
おつ
116 : ◆rRu4LM9vFs [saga]:2018/05/19(土) 05:44:04.35 ID:dT+CWcgt0

大通りから離れた魔族の商店街――


魔法使い「……」トボトボ…

魔法使い「……魔族の町で…勇者様から離れちゃうなんて、無謀すぎた…」トボトボ

魔法使い「……でも、あんまりにもこんな気持ちじゃ帰れない…」トボトボ

魔法使い「……いま私があんまり不安にならないのは… すごく、ヤケになった気分だからなのかな…」トボトボ

魔法使い「……これから…どうしよう…………」グス…


??「……おや。これは…」

魔法使い「……え?」クル

??「なんとおもしろいものを、みつけたことだろう」クス



魔法使い「――――――!」

117 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/19(土) 05:45:41.70 ID:dT+CWcgt0

魔族の町・酒場――


魔族店主「…さぁ、知らないね。人間の娘なんて寄ってたらすぐわかるだろうから。うちには来てないよ」

勇者「そうですか、ありがとうございました」

魔族店主「ツレなのかい?」

勇者「ええ…まあ」

魔族店主「早めにみつけてあげなよ、あんま悪いことはいいたかないが、収集家なんていうのもいないわけじゃないからねぇ」

勇者「収集…?」

魔族店主「人間だとか妖精だとか、そういうのを物珍しがって集めては、首輪につなげたり檻に居れたりして飼っちまうヤツらさ」

勇者「な…」

118 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/19(土) 05:46:08.88 ID:dT+CWcgt0

魔族店主「人間にだっているだろう、魔物コレクターなんてものが」

勇者「…ああ、そういやいますね」

魔族店主「お互い様さ、あまり恨まないでやってくれよ」

勇者「ご忠告…ありがとうございます」

魔族店主「飲んでいくかい?」

勇者「あ、いえ。ツレを早く見つけたいので…」

魔族店主「そうかい」

勇者「…ツレが見つかったら、ツレと飲みに来ますね」

魔族店主「へぇ。じゃぁ見つかるよう祈っとくよ。いい客になってくれよな」ニカッ

勇者「ええ。ありがとう」


119 : ◆rRu4LM9vFs [sage saga]:2018/05/19(土) 05:46:48.50 ID:dT+CWcgt0

勇者(幸い、この町は魔族の町といっても聖王領地にも近いせいか、人間に対して友好的で治安もいい。そう悪いことにはなってないはずだ…)グッ

勇者(…………)


――首輪につなげたり檻に居れたりして飼っちまうヤツらさ


勇者「っ」ゾク


勇者「くそ。んなこと魔法使いにされてたまるか」タタッ


勇者(……『帰る!』 『どこにですかっ』 『おまえのいないところ』……)

勇者(……『勇者様の、馬鹿……』……)



勇者(………)ギリッ


勇者「……なんであんなことしか言えねえんだ、俺は……」

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