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魔法使い「私の事、スカウターで覗くのやめてくださいっ!」 勇者「やだ」
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1 :
◆rRu4LM9vFs
[sage saga]:2018/04/29(日) 03:17:29.21 ID:xU9RM5RZ0
時は魔法の時代。
この世界は大きく二分化されていた。
ひとつは魔王率いる魔と闇の勢力。
そしてもうひとつが、聖王率いる聖と光の勢力。
長く続く魔と聖の戦いは、両者を衰弱させきった。
両国で世代交代があった後、彼らは暗黙のうちに表立った抗争を避けるようになり、
国力の回復を第一とした。――そして戦争は膠着状態のまま沈静化したのだ。
攻める事も攻められる事もない
愛する恋人や息子が、もう戦争に出たまま帰ってこない心労に見舞われることもない。
育むことにも作ることにも、もう二の足を踏むことはない。
そんな“平和”を皆が体感し、この安息の時を長く続けたいと願うようになっていた。
その一方で、確かに存在している“魔王”の重圧を感じないはずもないままに――
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1524939448
2 :
◆rRu4LM9vFs
[sage saga]:2018/04/29(日) 03:18:47.44 ID:xU9RM5RZ0
聖王都のはずれ
ちいさな民家
魔法使い「……」ドキドキ
魔法使い「……」ドキドキ
祖母「魔法使い…勇者の事を待つのはわかるが…そう緊張していては」
魔法使い「だ、だって」
魔法使い(…勇者さま。
先月の聖王都での祝祭典で、聖王様から宝剣を授与されていたお姿はとても凛々しかった。
過去に「勇者」の冠号を授かった方は何名もいらっしゃったけど、今回の勇者様は特別。
だって、これまでは王騎士団の長の方…つまりその、筋骨隆々としたオッサンとかがその名誉を授かっていたのだけど…)
3 :
◆rRu4LM9vFs
[sage saga]:2018/04/29(日) 03:19:25.31 ID:xU9RM5RZ0
魔法使い「生い立ちの明かされていない、ポっと出の謎の青年…かぁ」
勇者「ポっと出で悪かったな、オイ」ボソ
魔法使い「きゃ!?」
祖母「なんじゃ、まだぼうっとしておったのか…。待ってた割に、出迎えにもでんでまったく…」
勇者「ああ、いえ。自分が少し時間に遅れたんで気にしないでください」
祖母「すまんね。孫の目が覚めるよう、少し茶でも入れてくるとするよ。勇者殿もそう急がないのだろう?」
勇者「はい。まぁ、日が真上に上がる前には出たいですけれど」
祖母「ほほ、それならば十分じゃ」
老婆は去っていた。
魔法使いは沈黙している。
4 :
◆rRu4LM9vFs
[sage saga]:2018/04/29(日) 03:19:56.69 ID:xU9RM5RZ0
魔法使い(さ、昨夜あんなにシミュレートした挨拶の言葉が、なにひとつ活かせない…っ)オロオロ
勇者「あんたが俺と組むっていう魔法使いだな?」
魔法使い「は、はい…!」
勇者「聖王からもらった資料を読ませてもらった。あんた、勇者がでるたびに毎回のように同行願いだしてるんだってな」
魔法使い「は、はい…」
勇者「ちなみに過去8回の勇者同伴審査は全落ち、最終候補どころか予選選考にも選ばれていない――−」
魔法使い「……は、はい…」
勇者「魔法、ちゃんと使えるんだろうな?」ジト
魔法使い「つ、使えますよ!魔法学校での成績なら上位30%にははいってます!」
勇者「30%ってまた微妙だな…優等生ではないけど普通よりちょっといいかな、くらい?」
魔法使い「は、はい」
5 :
◆rRu4LM9vFs
[sage saga]:2018/04/29(日) 03:20:38.27 ID:xU9RM5RZ0
勇者「まあいいや、聞くより見るほうが早い」
魔法使い「え? あ… 」
勇者「『スカウター:起動』」ブンッ…
魔法使い「やっ!!」ビクッ
勇者「『“ターゲット:前方” “対象視認:魔法使い” 確定』…ん?」
魔法使い「やぁー! 見ないでくださいーーっ」
勇者「スカウター使ったくらいでそんなに変態扱いしないでほしい…」
祖母「ほほ、気にせんでください、いつものことですじゃ。はい、お茶」コト
老婆が現れた!
勇者「あ、これは…すいません、いただきます」
祖母「その子はステータスを見られるのに臆病なだけ、旅の同行となれば知っておくことも必要じゃろうに何を恥ずかしがっているのやら…」
勇者「恥ずかしい?」
祖母「その子に聴けばわかりますよ。どれ、私は離れているとしよう。どうぞゆっくりなさるがよい」
勇者「あ、はぁ…。これはどうも…」
老婆は再び去って行った
6 :
◆rRu4LM9vFs
[sage saga]:2018/04/29(日) 03:21:14.02 ID:xU9RM5RZ0
魔法使い「う、うう…おばあちゃんに見捨てられた…」
勇者「人ぎぎの悪いこというなよ。…って、なんだ?お前のこのMP。 『1206/UNKNOWN』…?」
魔法使い「う、うう…。わ、私は魔法使いですが、異常能力者といわれる類の魔法使いなんです…」
勇者「異常能力…なるほど? それが選考漏れの理由だな?」
魔法使い「はい…」
勇者「おまえの異常能力ってどういうものか教えてよ」
魔法使い「…『不安定』、です」
勇者「は?」
魔法使い「司祭様に聞いたところ、私には『最大値』というものが存在しないらしくて…」
勇者「ほう」
7 :
◆rRu4LM9vFs
[sage saga]:2018/04/29(日) 03:21:44.66 ID:xU9RM5RZ0
魔法使い「魔法はふつう、大気中にある魔や聖のエネルギーを操作したり取り込むことで使うものなのです」
勇者「ふむ?」
魔法使い「ですが私の場合、魔法は魔力ではなく…その…」
勇者「尻から出る?」
魔法使い「何の話をしてるんですか?」キョトン
勇者「いや、いいわ、続けて」
魔法使い「…私の魔法は魔力をほとんど用いていないんです…。あくまで起動だったり意図を乗せるための指示器程度にしか」
勇者「じゃぁなんの力を使ってるんだ? まさか、魔族と同じように血の持つエネルギーだとか言わないだろうな?」
魔法使い「私は魔族ではありませんっっ」キッ
勇者「お、おう」
魔法使い「…あ…ごめんなさい…えと、そういうのじゃなくて…」
勇者「………?」
8 :
◆rRu4LM9vFs
[sage saga]:2018/04/29(日) 03:22:20.58 ID:xU9RM5RZ0
魔法使い「…その…私の使うエネルギーは…」モジモジ
勇者「…?」
魔法使い「……その、司祭様にきいたことなので、本当かどうか知る由はないのですが…」カァ
勇者「………早く言えよ」
魔法使い「………その、『快楽によって得られる精神エネルギー』…だそうです…」カァ・・・
勇者「FGO的な魔力供給キタコレ」
魔法使い「何の話をしてるんですか?」キョトン
勇者「いやほんとなんでもない」
魔法使い「…司祭様はこうもおっしゃられました…
『幸福に限りがないのと同じように、君の魔力値にも上限はない。
喜び、充足し、幸福を感じるほどに君は強く生きていける。
異常能力者とさげずまれることも今後はあるだろう、だが君はその能力を誇りに思いなさい。
なぜならそれは間違いなく、神様より与えられた祝福としかいいようがないものだから』 …と」
9 :
◆rRu4LM9vFs
[sage saga]:2018/04/29(日) 03:23:30.60 ID:xU9RM5RZ0
勇者「……祝福、ね。 で。それがなんで『不安定』なんて名の能力になるの?」
魔法使い「私の心の揺れ動きが…そのままステータスに反映されてしまうからです…」
勇者「ああ。そういうことなのか…どうりで」
魔法使い「え?」
勇者「さっきからあんたのステータス、ずっと落ち着かないんだよ。ばあちゃんに出された飲み物に毒でも入ってるのかと思ったわ、減り続けてたから」
魔法使い「や!? 見続けてたんですか!?」
勇者「いつから解除したとおもっていたのか」
魔法使い「うううう」
勇者「おお、減ってる減ってる…減って…」
魔法使い「………」ポロポロ
勇者「ちょ、おいまて、減りすぎだろ!? MP:441/UNKNOWNってさっきの1/3近く減少してんじゃねぇか! ってステータス見てる間になんか泣いてるし!?」
魔法使い「ヒック…ご、ごめんなさい…」
勇者「は…?」
10 :
◆rRu4LM9vFs
[sage saga]:2018/04/29(日) 03:23:57.78 ID:xU9RM5RZ0
魔法使い「私…この能力のせいで、嫌がられることとかも多くて…」
勇者「…? 戦闘なら困るかもだけど、私生活にステータス変化なんてそう影響ないだろ?」
魔法使い「スカウターって、勇者様みたいに魔法のタイプのだと、コアな能力な分、なかなか習得難易度も高いんで持ってる人いないんですけど…」
勇者「アニアックな魔法みたいだからコアっていうな…道具タイプのが主流だから習得するやつが少ないだけだろ」
魔法使い「それ…それです。道具のタイプのスカウター…。簡易のものだったら、子どものお小遣いでかえるような値段で売ってるじゃないですか」
勇者「あ? …買ったことないからわかんないけど、まぁよく売ってるな」
魔法使い「…魔法学校では、常用してる方も結構いて。それで…」
魔法使い「…たとえば誕生日のときとかにモノを贈ったとして…私がどれだけ喜ぶか、ステータスで見れてしまうとしたら…勇者さんならどうしますか?」
勇者「…なるほど?」
11 :
◆rRu4LM9vFs
[sage saga]:2018/04/29(日) 03:25:00.79 ID:xU9RM5RZ0
魔法使い「…『思ったより喜んでくれない』、とか。『喋ってる時にMPがあがらないのは、本当は楽しくないんでしょ』、とか…」
勇者「……」
魔法使い「そういうことが何度もあって…それから、スカウターってものがどうも怖く思えてしまって…」
勇者「……まぁ…」
魔法使い「ごめんなさい…」ポロポロ
12 :
◆rRu4LM9vFs
[sage saga]:2018/04/29(日) 03:25:53.46 ID:xU9RM5RZ0
勇者「――気にしちゃうのもヒトのサガだけど、それで期待通りの反応しないからって難癖つけられてもお前も困るよな。つらかったろ」ポン…ナデナデ
魔法使い「ゆう、しゃさま…」
勇者「……気にすんな、そんなこと。悪いけどお前を喜ばせたくて旅に出る気なんてないから、俺はお前にそんな妙な期待はしない。…だから心配する必要はない。そこは不運中の幸運だろ?」ニコ
魔法使い「勇者様…っ ありがとうございます…っ!」
勇者「あとむしろ、今こうしてるとステータス上がるの目に見えすぎて、めっちゃチョロインじゃんコイツってすでに思ってるから本気で気つかってやる必要もなさそうでよかった」
魔法使い「いやああああああああああああああああああああああばかあああああああああああああ」ドゴーーン!!
勇者「ぐは…っ お、怒ると…ステータス、あがるんだなぁ…」ゲフッ
魔法使いが仲間になった!
勇者と魔法使いの旅がはじまった!
13 :
◆rRu4LM9vFs
[sage saga]:2018/04/29(日) 03:33:16.60 ID:xU9RM5RZ0
少量投下・まったり進行予定です
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/29(日) 07:58:22.17 ID:OJNfpflDO
期待
横文字はともかく、尻から〜やFGO的な〜などの世界観ぶち壊しのネタ発言はご勘弁
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/29(日) 10:09:59.88 ID:fN5Q83+Eo
メタ発言気にしないし好きなように
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/29(日) 12:08:37.07 ID:PWbaKfIBo
ネタ番じゃなければ何でも良い
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/29(日) 14:15:23.01 ID:NYbvLMDA0
エタらんかったらなんでもいいです…
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/29(日) 14:35:22.34 ID:gGKPNrt2o
転移勇者じゃねーのネタ発言出るのは
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/29(日) 16:09:45.88 ID:dI4Bx1/go
メタなのは面白ければいいけど、正直つまらんからやめておいた方がいい
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クオリティの高いサービスを貴方に
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