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【SW】シス「わらわの弟子にならんか?」ジェダイ「断る!」【オリキャラ】
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75 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/02(月) 17:22:31.56 ID:1NqFu9AL0
C7-BDB『コイツガ〈じぇだい〉ナンダッツッテンダ!』
お面の男「!?」
「「「!」」」
その言葉には店内のストームトルーパーたちが反応した。
ヘルメットを被り、ブラスターを携えて近づいてくる。
ユスカ「うわっ、マズイ……!」
トルーパー1「……今、ジェダイと聞こえたが」
お面の男「い、いえ違います、ほんの冗談で……な!兄弟!」
シカーグ「そうです!ちょっと洒落を言っただけで……!」
C7-BDB『洒落ナンカジャネエヨッ!』
ユスカ「あっ、このバカ!黙ってなさいよ!」
トルーパー2「……とにかく、そのふざけたマスクを取れ」
トルーパー3「惑星キイから逃げたジェダイの写真と照合しましょう、分隊長」
トルーパー1「ああ。俺たちも酒盛りの途中だ、違ったらすぐに解放してやる。さあ早くお面を――」
76 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/02(月) 17:23:17.44 ID:1NqFu9AL0
そのとき、お面の男が意を決したように進み出た。
トルーパーたちの目の前でひらり、と手を動かす。
お面の男「――お面を取る必要はない」
トルーパー「「「……お面を取る必要はない」」」
お面の男「俺はお前たちの探しているジェダイではない」
トルーパー「「「お前は俺たちの探しているジェダイではない」」」
お面の男「俺たちと話したことを忘れて、酒盛りを続ける」
トルーパー「「「お前たちと話したことを忘れて、酒盛りを続ける」」」
トルーパーたちはふらふらと自分の席に戻る。
そしてヘルメットとブラスターを置き、何事もなかったかのように宴会を再開した。
ユスカ「……あ、あいつら……?」
C7-BDB『一体何ガアッタンダ?』
シカーグ「ジェダイの技だ……リズマは未熟で使えないようだったが。――あんた、本当に……」
77 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/02(月) 17:23:54.15 ID:1NqFu9AL0
お面の男「……」スッ
男は半分だけお面をずらし、ごく小さな声で名乗った。
シンノ「俺はジェダイ・ナイトのシンノ・カノス。尋ね人、というと……さては、惑星キイに行こうとしていたのも俺に会うためか?」ヒソヒソ
シカーグ「……そうだ。まさかここにいたとは……私はテダッフ・シカーグ。反乱同盟軍の幹部だ」ヒソヒソ
シンノ「シカーグ?シカーグ家といえばマンダロリアンの……帝国陸軍の名家じゃないか。反乱軍だって?」ヒソヒソ
シカーグ「マンダロリアンも全員が全員帝国の手下ではないということだ……我々の仲間にはジェダイもいる」ヒソヒソ
シンノ「ジェダイ?俺の他にも生き残りが?」ヒソヒソ
シカーグ「だが囚われているんだ。ここ、惑星ハクカの帝国軍基地に……」ヒソヒソ
シカーグ「我々は間もなくこの星を去る。だからできるだけ早く彼女を救い出さなければならない……力を貸してほしい」ヒソヒソ
シンノ「……わかった。とりあえず場所を移して、詳しく話を聞こう」ヒソヒソ
ユスカ「……なんだか、ことは良い方向に転がったみたいね」
C7-BDB『俺ノオカゲダナ。俺ガアイツノどろいどカラ正体ヲ聞キ出シタカラコソ……』
ユスカ「むっ……何言ってんのよ。さっき、あんたのせいでトルーパーにバレそうだったじゃない」
C7-BDB『アリャオ前ガ変ナコト言ウカラダロ!?』
ユスカ「あんたの不注意でしょ!?」
シカーグ「あー、彼らはユスカ・ショーニンとC7-BDB……見ての通り、仲が悪くてな……」
シンノ「……あれは仲が良いんじゃないのか?」
78 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/02(月) 17:24:30.41 ID:1NqFu9AL0
一方、話題に上った当の帝国軍ハクカ基地の捕虜収容区画。
監房の一室で、まだ少女の面影が残る若い女性が冷たい床に座って瞑想にふけっていた。
反乱軍のジェダイ――リズマ・ショーニン。
その手首と足首には頑丈な拘束がはめられていた。
リズマ「……」
リズマ(……フォースに、今までにないざわめきがある気がする……何かの、兆候?)
リズマ(……わからない……ああ、きっとマスター・ドットや一人前のジェダイ・ナイトなら理解できたんだろうな)
リズマ(でも私は……姉さんにもやっと会えたのに、こんな……ああ、いけない、集中しなきゃ……)
そのとき分厚い扉が唐突に開いた。
リズマは目を開けて――すぐに眉を潜めた。
マーズ「リズマ・ショーニン……瞑想の邪魔をしたかな?」
現れたのは黒装束のジヒス・マーズ。
リズマ「……」
マーズ「会うのはミャーズク以来か。貴様を打ち負かし、捕らえ……このライトセーバーも、いただいた」
マーズは懐から銀色のライトセーバーを取り出してみせた。
スイッチを入れると、緑色の刃が伸びる。
ジェダイの象徴であるライトセーバーを奪われる屈辱――
リズマの心中に捨て去ったはずの燃えるような感情がふつふつと湧き上がる。
リズマ(……フォースのざわめきは、こいつがやってくる前兆だったの?)
79 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/02(月) 17:25:04.11 ID:1NqFu9AL0
マーズは相手の様子を伺いながらライトセーバーをしまった。
マーズ「ここの尋問官を困らせているようだが、今日こそは反乱軍の本拠地の在処を喋ってもらうぞ」
リズマ「……誰があんたなんかに。ヴェイダーの使い走りの……」
マーズ「黙れ!」
揺れる忠誠心を刺激されたマーズは憤然として、リズマにダークサイドのフォースを叩きつけた。
若き女ジェダイの体はなすすべなく吹き飛ばされ、壁に釘付けにされる。
長い監禁でリズマの体力が下がっていることもあるが、何より両者には確実に力量差があった。
リズマ「ぐうっ……」ミシミシ
マーズ「……なに、ただで喋れとは言わない。取引といこうじゃないか――たしか貴様には双子の姉がいたはずだな?それも同じ反乱軍の」
リズマ「!?ど、どうしてそれを……!」グググ
マーズ「帝国の情報網を舐めるなよ。――その姉はこの星の、反乱軍基地にいる。そうじゃないかね?」
リズマ「!……まるっきり、デタラメね……帝国の情報網も、あてにならないみたい……」グググ
マーズ「嘘だな。涙ぐましいことだ」
リズマはひそかに歯噛みした。
実際、マーズの言うことはすべて真実。
ユスカは惑星ハクカの秘密基地を拠点にしているはずだった。
80 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/02(月) 17:26:00.08 ID:1NqFu9AL0
マーズ「――明日、我々のスーパーレーザー砲台『ラグナロク』がその基地を跡形も無く吹き飛ばす」
リズマ「……な、なんですって……!」グググ
マーズは惑星ハクカのとある座標を口にしてみせた。
それは反乱軍秘密基地の所在に他ならず、リズマの焦燥は募る。
マーズ「というわけでハッタリではないが……私が中止命令を出してやってもいい。そして慈悲深い降伏勧告を出す。お前の姉の命は助かるだろう」
リズマ「……だから……本拠地の場所を……言えって?」グググ
マーズ「話が早いな。悪い取引ではあるまい?」
マーズはリズマを壁から離した。
リズマは床に座り込みながらも、ダーク・ジェダイをきっと睨みつける。
リズマ「……冗談じゃない。私が喋れば、両方纏めて吹き飛ばすつもりでしょ……その、『ラグナロク』とやらで」
マーズ「そう思い込むのは勝手だ。だがそのために貴様は家族と仲間を救うチャンスをむざむざ、逃すことになる」
リズマ「……そんなもの……初めからない」
マーズ「本拠地を守り抜いたところで、反乱軍が帝国を倒すことなど不可能だぞ。姉を生かすか、殺すか、それだけの話だ」
リズマ「……不可能。本当に?少なくともあなたは今、私に頼らなければ本拠地の場所が分からない」
マーズ「チッ……!」
81 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/02(月) 17:26:42.42 ID:1NqFu9AL0
マーズは舌打ちして再びフォースの力を行使した。
リズマに向かって手を伸ばすと、彼女はやにわ首を抑えてもがき始めた。
リズマ「ぐうっ……!」ミシミシ
マーズ「些細なことだ……どうせパダワンどまりだろうに、生意気な口を……!」
リズマ「……ダーク……サイドに、屈した貴方に……言われ、たく……」ミシミシ
マーズ「何だと――くっ!」パッ
リズマ「かはっ、ゲホッ、ゲホ……!」ガクッ
マーズはそのままリズマの首をへし折りそうになって、慌てて放した。
ドア開閉コンソールの呼び出しボタンを押し、応答した看守に話しかける。
マーズ「マーズ管理官だ。リズマ・ショーニンの監房に尋問ドロイドを持ってこい」
看守はすぐに浮遊する球形のドロイドを連れてきた。
その表面からは棒状のスタンガンが突き出し、僅かにスパークしている。
リズマ「……!」
マーズ「……なに、話す気がないなら、話す気になるまでゆっくり可愛がってやるまでだ」
マーズ「いくら生意気な口を利こうと、ここから出ることはできないんだからな……!」
――扉が閉まった。
82 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/02(月) 17:27:52.46 ID:1NqFu9AL0
物語は一旦ズームアウトし、ハクカ基地のゲートにズームインした。
オレンジ色のゴミ収集用スピーダーが一台、ストームトルーパーの手振りに従って停車する。
業者1「へへ、毎度どうも」
その運転席からオレンジ色の制服を着た中年男性が顔を出す。
横には同じ格好の若い男女と、子どものように小柄なエイリアンも乗っていた。
検問トルーパー「いつもの業者と違うようだが?」
業者1「いつもの業者がちょっと来られなくて……下請けの私たちが派遣されたんです」
検問トルーパー「ふん……許可証を出せ」
業者1「……」スッ
検問トルーパー「……」パシッ
業者らしき男は、ストームトルーパーが自分のガジェットで許可証をスキャンするのを横目にちらちらと見た。
――ガジェットが警告音を鳴らす。
検問トルーパー「ん?おい、この許可証は何だ?」
業者1「げっ!」
83 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/02(月) 17:28:27.99 ID:1NqFu9AL0
業者2「ああもう……どいてくれ」
若い男の業者が身を乗り出して、ストームトルーパーの眼前で手をひらりと動かした。
業者2「その許可証は偽造ではない」
検問トルーパー「……この許可証は偽造ではない」
業者2「俺たちは正式に登録されたゴミ処理業者だ」
検問トルーパー「お前たちは正式に登録されたゴミ処理業者だ」
業者2「もう通っていいな」
検問トルーパー「もう通っていい」
トルーパーはふらふらと詰所に戻りゲートを開ける。
何事もなかったかのように基地内に進むスピーダーの中で、偽の業者たちは演技をやめて話し始めた。
シンノ「なんて杜撰な……俺がいなかったらジェダイを助けるどころか、基地に入る前に破綻していたぞ」
シカーグ「だからあんたを呼んだんだ」
ユスカ「何度見てもすごいなあ……ちょっと不気味だけど」
84 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/02(月) 17:28:59.55 ID:1NqFu9AL0
エイリアンのマスクを被っていた少女も変装を解く。
ネーア「ぷはあ!このマスクきついぞよ!帰りもこれを被らないといかんのか!?」
シカーグ「安心してくれ妹さん、帰りは別の手を考えてる」
シカーグはTIEファイターやシャトルが駐機された発着場を横目に見ながらやや投げ槍に答える。
シンノはネーアを自分の妹と紹介していたが、それが不満らしい彼女はシンノに顔を寄せて小声でぼやいた。
ネーア「フン、妹さん、じゃと。言っておくが妾はそなたよりずっと年上ぞよ。わかっとるのか?」ヒソヒソ
シンノ「わかってるよ」ヒソヒソ
ネーア「フォース・レーダー役をしてやるのも、かわいい弟子の頼みだからじゃ。そなたでは手掛かりになるような因縁の品があってもできまい?」ヒソヒソ
シンノ「ああわかってる、感謝してるよ……あと弟子になった覚えはない」ヒソヒソ
C7-BDB『ナア、ココカラ全部アレデドウニカナラナイノカ?サッキノ催眠術デヨ』
後部座席から料理人ドロイドも口を挟む。
隣には赤いアストロメク・ドロイドの姿もあった。
85 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/02(月) 17:29:41.34 ID:1NqFu9AL0
シンノ「そんな便利なものじゃない、あまりあてにしないでくれ」
R3C3『プアアアー! ポポピーポ プウウー』
シンノ「R3、今更弱音を吐くな。同じジェダイを助けるためだ」
C7-BDB『オ前ノ相棒ハ少シハアテニスルベキダナ。臆病スギラァ』
R3C3『ピポポ ポポピーポ』
C7-BDB『何、コレデモくろーん戦争ノ生キ残リダッテ?奇遇ダナ、俺モダヨ。アノトキ俺ハ分離主義ノ精鋭どろいど・こまんどーデナ……』
シンノ「何だと!?」
シカーグ「C7。その話、二十回は聞いたぞ」
シンノ「おい今こいつ何て言った!?分離主義だと!?」
C7-BDB『オット、アンタじぇだいダッタナ……マア昔ノコトハ水ニ流シテ……』
ネーア「ほう。ジェダイにシスに分離主義者にマンダロリアン、旗はナントカ同盟軍……すごいチームじゃな」
C7-BDB『〈しす〉?……タシカ俺ガどぅーくー伯爵ノ身辺護衛ヲ務メテイタトキ……彼ガガソウ名乗ルノヲ聞イタコトガアル』
ネーア「ドゥークー伯爵?たしかクローン戦争中のシス卿じゃったか。妾はそんな奴比べ物にならぬほどの――モゴモゴ」
シンノ「このバカ……!」グイッ
ユスカ「シスって?」
シンノ「いっいや何でもないよ!なっ!」グイグイ
ネーア「モゴモゴ」バタバタ
ユスカ「?……それよりシカーグ将軍、この服じゃ監獄には入れないでしょ?次の作戦に移らなきゃ」
シカーグ「そうだな、交渉のしどころだ。どぎつい交渉のな」
86 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/02(月) 17:30:21.67 ID:1NqFu9AL0
巡回トルーパー1「『タトゥイーン・ララバイ』を聞いたか?」スタスタ
巡回トルーパー2「あの何とかっていうトワイレックの歌手の新曲か。まだだが」スタスタ
巡回トルーパー3「俺は聞いたが、ありゃちょっと湿っぽすぎるぜ」スタスタ
シカーグ「おおい!兵隊さん!」
巡回警備のトルーパーたちに、ゴミ集積施設の陰からゴミ処理業者が手招きする。
シカーグ「でかいゴミがあるんだ、スピーダーに積むのを手伝ってくれないか?」
巡回トルーパー1「お前らなあ、それで給料もらってるんだろう?」
シカーグ「元はと言えばあんたらが出したゴミじゃないか」
巡回トルーパー1「むっ、生意気なやつだな」
巡回トルーパー3「なあ、この間壊しちゃってこっそり捨てた軍用バッテリーじゃないか……」ヒソヒソ
巡回トルーパー2「シッ!」
巡回トルーパー1「何か言ったか?」
巡回トルーパー2「い、いやなんでもない!」
巡回トルーパー3「そ、そうだな!さあ手伝ってやろうぜ、クソパトロールにうんざりしてたとこだ」
三人のトルーパーが駄弁りながら建物の陰に消える。
――何かがぶつかるような音が三回響いて、その話し声が止んだ。
やがてその装甲服を奪ったシカーグたちが姿を現す。
87 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/02(月) 17:30:59.41 ID:1NqFu9AL0
ユスカ「相変わらずこのヘルメット、前が見にくいなあ」
シカーグ「耐久力もとてもあてにならん、くれぐれも注意しろ……シンノ、あんたもな」
シンノ「よくわかってるよ、今まで散々撃ったからな。耐久力はマンダロリアン・アーマーの何分の一くらいだね?」
シカーグ「比べるのもはばかられるね」
C7-BDB『ナア、俺タチハドウスルンダ?』
R3C3『ポポピーポ』
シカーグ「ドロイドのことだ、俺たちと一緒に居れば疑われまい」
ネーア「妾は?」
シカーグ「ちゃんと考えてある。またあのマスクを被ってもらうことになるが……」
ネーア「ええー……あれすごく息苦しいんじゃよ」
シンノ「子どもじゃないなら駄々こねずに従ってくれよな」ガポッ
ネーア「うあっ」モゴモゴ
シカーグ「そしてこの手錠をかけて……」ガチャッ
ネーア「散々じゃあ……もうどうにでもしてくれい」モゴモゴ
シンノ「いつもそのくらい素直だといいんだがな」
ユスカ「手錠……ははあ!将軍、あんたの作戦が読めたよ」
C7-BDB『俺モダ。監獄ニ忍ビ込ムニハウッテツケダナ』
R3C3『ポポピーポ』
88 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/02(月) 17:31:38.62 ID:1NqFu9AL0
四人と二体は何食わぬ顔で監獄のある施設に足を踏み入れた。
その姿は捕虜を移送中の兵士たちにしか見えず、周囲の帝国兵は疑いもしない。
彼らはエレベーターを待ちながら小声で話し始める。
ユスカ「本当にだれも気付いてない。四六時中バケツ被ってる弊害ね」ヒソヒソ
シカーグ「だがこの装甲服の持ち主の個人認識番号までは知らない……それを訊かれるとちとまずい」ヒソヒソ
シンノ「監視カメラやマイクもある、さっきのマインド・トリックも使えないぞ」ヒソヒソ
C7-BDB『残念ダナァ』
R3C3『ポポピーポ』
シカーグ「監房区画は13階だ……だがどの監房かはわかってない。そこからはネーアちゃんの出番だ」ヒソヒソ
ネーア「待遇は大いに不満じゃが、まあやってやるぞよ」モゴモゴ
ユスカ「本当に彼女、ジェダイじゃないの?そんなことができるのに」ヒソヒソ
シンノ「ああ。フォースを感じる力が強いだけで、フォースは使えない……」ヒソヒソ
ネーア「……シンノ。チョコレート・バー1ダースじゃぞ」モゴモゴ
シンノ「わかったよ、クソ!」ヒソヒソ
ネーア「……ああ、それと」モゴモゴ
シンノ「何だ?」ヒソヒソ
89 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/02(月) 17:32:34.05 ID:1NqFu9AL0
そのとき、背後から黒い装甲服のデス・トルーパーと士官が一人、何やら話しながら近づいてきた。
ネーアは慌てて口をつぐむ。
デス・トルーパー「艦隊は今どのあたりです?」
士官「まだダン・ザ・フローで補給中だろう。燃料に加えて、TIEファイターの補充もあるからな」
デス・トルーパー「手ひどくやられたようですな、では到着は明日になりますか……おい。このエレベーター、上行きか?」
シンノ「えっ!ああ、そうです、はい」
デス・トルーパーと士官は彼らの後ろに並んだ。
一同は口をつぐんだまま、到着したエレベーターに乗り込む。
デス・トルーパーたちもそれに続き、一同は内心で舌打ちした。
デス・トルーパー「……」
士官「……」
シカーグ「……」
ユスカ「……」
シンノ「……」
ネーア「……」
C7-BDB『……』
R3C3『……』
デス・トルーパー「……新しい捕虜か?私は聞いていないが」
シカーグ「はい、急な話でして」
90 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/02(月) 17:33:13.41 ID:1NqFu9AL0
デス・トルーパーはエレベーターのボタンをちらりと見た。
デス・トルーパー「13階に行くのか。あそこは監房だろう、よほど重要な捕虜なんだろうな」
シカーグ「そうです……惑星キイのジェダイ関係で」
デス・トルーパー「そうか。マーズ管理官のシャトルで来たのか?」
シカーグ「……はい、そうです」
士官「ん?私はそのシャトルに乗っていたが、そんな奴はいなかったぞ?」
シカーグ(げっ!)
デス・トルーパー「?……おい貴様、個人認識番号を言え」
シカーグ「はい、ええと、認識番号は――」
91 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/02(月) 17:34:08.74 ID:1NqFu9AL0
13階はエレベーターのすぐ前が、看守の詰める監視所となっている。
看守トルーパー1「……なあ」
看守トルーパー2「なんだ」
看守トルーパー1「今頃マーズ管理官、どんな拷問をしてるのかな」
看守トルーパー2「尋問ドロイドを持って行ったのはお前だろう」
看守トルーパー1「あのドロイドにだって何種類も拷問装置が搭載されてる……あの可愛い女ジェダイに、どんな責め苦を課してるのか気になるじゃないか」
看守トルーパー2「……た、たしかに気になるな」ゴクリ
看守トルーパー1「よし、あそこの監視カメラを……」
看守たちの下卑た会話を遮って警報が鳴り響いた。
放送『警報!警報!二番エレベーター内で異常事態発生!繰り返す!二番エレベーター内で異常事態発生!』
看守トルーパー1「な、何事だ!?」
看守トルーパー2「俺たち何もやましいことは――って、二番エレベーターだと?」
92 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/02(月) 17:36:04.72 ID:1NqFu9AL0
二人の視線が二番エレベーターに集まったとき、まさにその扉が開いた。
そしてその中からストームトルーパーが三人走り出る。
看守トルーパー1「おい、一体何事だ!?」
看守トルーパー2「異常事態って!?」
シカーグ「俺たちが異常事態だ!」バシュバシュバシュ
看守トルーパー1「ぐわっ!」バスッ
看守トルーパー2「ぎゃあっ!」バスッ
シカーグの発砲で看守二人と監視カメラが破壊される。
放送『二番エレベーターは13階!繰り返す――うおっ!13階のカメラが!警備班、13階へ急行せよ!繰り返す――』
ユスカ「うるさい!」バシュッ
そしてユスカの発砲でスピーカーが破壊された。
シンノは看守の死体からカードキーを奪いつつ苦笑する。
シンノ「やれやれ、ずいぶん短い潜入だったな」
ネーア「カカカ、これでクソ息苦しいマスクともおさらばぞよ!」
ネーアはエイリアンのマスクを脱ぎ捨て、代わりにデス・トルーパーのヘルメットを被っていた。
本来の持ち主は士官とともにエレベーターの中で物言わぬ死体となって転がっている。
93 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/02(月) 17:37:15.32 ID:1NqFu9AL0
シカーグ「C7、R3、お前たちはここにいろ。話術なり実力行使なりで敵を食い止めてくれ……そら、コムリンクとブラスターだ」ポイッ
C7-BDB『らじゃらじゃ!』パシッ
R3C3『ポポピーポ』
シカーグ「ユスカ、シンノ、ネーア!行くぞ!」
上機嫌でブラスターを構えるC7と明らかにびくついているR3を残して、四人は監房区画へと駆け込む。
ユスカ「ネーアちゃん、リズマの居場所を探して!」タタタ
ネーア「あー、その前に一つご報告があるんじゃが」タタタ
シンノ「さっき言いかけていたことか?」タタタ
ネーア「そうじゃ。惑星キイで会ったジェダイ崩れなんじゃが、ここにいるみたいぞよ」タタタ
シンノ「なんだと!?」タタタ
そのとき監房の一つの扉が開いた。
中から姿を現したのはまさにそのダークジェダイ!
マーズ「看守、今の警報は――何だ貴様ら!?」
シンノ「どけっ!」ドウンッ
マーズ「うおおっ!?――ぐふっ」フワッ ドタッ
マーズは完全に不意打ちを受け、シンノのフォース攻撃で吹き飛ばされて壁に激突。
そのまま床に落下し、ぐったりと動かなくなった。
彼女に伴って監房から出てきた尋問ドロイドも巻き込まれ、同様の末路を辿った。
94 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/02(月) 17:38:10.26 ID:1NqFu9AL0
ユスカ「……何今の?誰?」
リズマ「その声――姉さん!?」
マーズが出てきた監房から声がかかる。
中でふらふらと立ち上がったのはまさしくリズマ・ショーニン。
囚人服はボロボロで、あちこちに火傷やあざを負った痛々しい姿であった。
ユスカ「リズマ!」
シカーグ「リズマ!助けに来たぞ、もう安心だ……!」
二人が駆け寄って彼女を支える。
リズマは泣きださんばかりに感激していた。
リズマ「シカーグ将軍まで……ありがとうございます、ああ、本当に夢みたい……!」
シンノ「あー、感動の再会のところ悪いが……もうお客さんが来たみたいだ」
二人の背後でシンノが申し訳なさそうに口を開いた。
彼が指で示す先には、通路を進んでくるストームトルーパーの集団の姿があった。
先ほどとは別の場所のエレベーターか階段から侵入したのだろう。
リズマ「あなたは……?」
シンノ「俺か?俺は……二人の助っ人ってところ」
シンノは懐からライトセーバーを抜いた。
青い光の刃が狭い通路を照らす。
シンノ「ジェダイ・ナイトの――」
ネーア「なあシンノ、これ、妾いらなかったと思うんじゃが」
シンノ「名乗りくらいかっこよくさせろよ!」
95 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/02(月) 17:38:57.91 ID:1NqFu9AL0
一方、シンノたちが使ったエレベーターからもストームトルーパーたちが侵入していた。
監視所に入るとすぐに、コントロール・パネルの奥に陣取った二体のドロイドが目に入る。
トルーパー1「あーあー、こちら三班。第一監視所には敵の姿はありません。ドロイドが二体いるだけです」
トルーパー2「なんでこんなところに料理人ドロイドとアストロメクが……」
トルーパー3「おいドロイド、敵がどっちへ行ったか知ってるか?」
C7-BDB『アア、知ッテルゼ。向コウダ』
R3C3『ピポポ ピポポ』
トルーパー1「聞いたな。よし、行くぞ」
トルーパーたちはぞろぞろと監視所を横切って監房区画へ向かおうとする。
C7-BDB『――ダガ、向コウニハ行カセネエ!』シャキーンッ バシュッ
しかしその背後でC7がフォークとナイフを取り出し、手裏剣のように投げつけた!
トルーパー4「ぐわっ!」ブスッ
トルーパー5「ぎゃあっ!」ドスッ
トルーパー1「き、貴様ら……敵のドロイドだな!」ジャキッ
C7-BDB『気ヅクノガ遅ェンダヨ!』ジャキッ
96 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/02(月) 17:49:38.45 ID:PMdbpLFu0
確かに面子がドリーム?チームだな
97 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/04(水) 21:40:57.27 ID:sSompbiC0
ネーア「――なんてザマじゃ、かっこつけなくて正解じゃったのう!」
ネーアはほうほうのていで壁の陰に逃げ込んできたシンノを嘲笑った。
シンノ「うるせえ!敵の数が多すぎるんだよ!」
リズマ「うう、私にもライトセーバーがあれば……」
ユスカ「ジェダイに無理なら私たちにも無理じゃん、どうやってここから――うわっ!」
シンノを追った敵のブラスター光弾がいくつも壁に当たり、派手に火花を散らした。
激しい敵の攻撃によって五人は監視所と分断され、追い込まれつつあった。
シカーグ「この!」ブンッ
シカーグは爆弾を投擲する。
爆破と共に銃撃は一瞬止むが、すぐに再び光弾が飛来し始めた。
98 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/04(水) 21:41:38.75 ID:sSompbiC0
シカーグ「くっ……この調子じゃエレベーターからの脱出は無理か」
シンノ「とはいっても他にどこから――そうだ!」
シンノは壁際に走り、ダストシュートの蓋をライトセーバーで破壊した。
ユスカ「うそ、ダストシュートから!?正気!?」
シンノ「ここで撃ち殺されるよりはマシだろう!」
シカーグ「ああ名案だ、敵は私たちが食い止める!早くいけ!」バシュッバシュッ
シンノとシカーグは時間を稼ぐべく、敵のいるほうめがけめちゃくちゃにブラスターを連射した。
ユスカ「うう、手段は選んでいられないか……!」ピョンッ
リズマ「お二人も早く!」ピョンッ
ネーア「うわっひどい臭いぞよ!」
シンノ「やかましい!早く行け!」バシュッバシュッ
ネーア「ううう、今日は厄日じゃあ!」ピョンッ
シカーグ「シンノ、私たちも行くぞ!」ブンッ
最後に手榴弾を投げつけ、シンノとシカーグもダストシュートに飛び込んだ。
体のあちこちを狭い通路の壁にこすりながら、五人は暗闇の中へ落ちていく。
99 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/04(水) 21:42:09.97 ID:sSompbiC0
ユスカ「うあっ!」ドボンッ
リズマ「きゃあっ!」ドボンッ
ネーア「おわっ!」ドボンッ
シカーグ「ぬおっ!」ドボンッ
シンノ「ぐあっ!――あっ!?」ドボンッ
五人は狭いゴミ集積層まで落下した。
非常灯が灯るだけの薄暗い空間はうずたかく積み上がったゴミの山と鼻の曲がるような悪臭に満ち、膝の高さまで得体の知れない臭い液体が溜まっている。
シンノ「ライトセーバーが!ライトセーバーを落とした!」バシャバシャ
ユスカ「何よここ、最悪……!出口は?」
リズマ「ここにドアが……開かない!?」ガチャガチャ
ユスカ「ちょっと開かないってどういうこと!?」
そのとき立て続けに鈍い機械音が響き、左右の壁ががたりと揺れた。
ユスカ「……私、嫌な予感がしてきた。フォース使えるようになったのかな」
シカーグ「奇遇だな、私もだ」
100 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/04(水) 21:42:38.32 ID:sSompbiC0
狙いすましたようなタイミングでゴミ圧縮装置が作動したのだった。
ゴミもろとも五人を圧縮すべく、左右の壁が動き始める!
ユスカ「あああ!もう二度と潜入なんてしないんだからあ!」ガチャガチャ
シカーグ「緊急停止スイッチは無いのか!?」
リズマ「シンノさん、ドアをライトセーバーで――」
シンノ「だから落としたって言ってるだろう!」バシャバシャ
ユスカ「はあ!?信じられない!この無能!」
シンノ「なんだと!?」カチンッ
ネーア「け、喧嘩なんてしてる場合じゃないぞよ!何かつっかえ棒になるものを探すのじゃ!」
シカーグ「――そうだ、C7!応答しろC7!」
シカーグはコムリンク通信機で助けを呼んだが、応答はない。
スピーカーからは銃声と料理人ドロイドの叫び――歓喜の雄たけびが聞こえるだけだ。
シカーグ「……あいつ何やってるんだ!?」
101 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/04(水) 21:43:16.40 ID:sSompbiC0
C7-BDB『ヤッパリドンパチハイイゼ、ばとるどろいどノ血ガ騒グゼ!フー!』バシュバシュバシュ
監視所のC7は、コムリンク通信機をコントロールパネルの上にほったらかしにして銃撃戦に夢中になっていた。
シカーグの必死の呼びかけは虚しく銃声にかき消される。
トルーパー3「ぐわっ!」バスッ
トルーパー1「こ、こちら3班!第一監視所で敵のドロイドと戦闘中、至急増援を!」
トルーパー2「このキチガイドロイドめが!」バシュッバシュッ
C7-BDB『ヒャッハア!料理人ラシク料理シテヤルゼ、オ前ラヲナァ!――R3!増援ガ来タラ面倒ダ、えれべーたーヲ溶接シテコイ!』バシュバシュバシュ
R3-C3『ポポピーポ ピポポ ピポポ』
C7-BDB『逃ゲ道ハ別ノヲ考エル!トットト行ケ!』バシュバシュバシュ
R3-C3は料理人ドロイドに追い立てられるようにしてエレベーターのほうへ向かい、ドアを溶接し始めた。
トルーパーの射線がそちらを狙いそうになると、すぐさまC7が猛射を加えて妨害する。
しかし相変わらず誰も通信機には気づかなかった。
102 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/04(水) 21:43:48.88 ID:sSompbiC0
ゴミ集積層では迫り来る壁を前に五人が必死の努力を続けていた。
シンノ「ライトセーバーはどこだ!そんなに遠くに行くはずがないのに!」バシャバシャ
ユスカ「ああ、こんなごみ溜めでぺしゃんこになって死ぬのだけは絶対にイヤなんだからあ!」バシャバシャ
ネーア「リズマ!リズマとやら!そこの鉄棒を壁に挟むんじゃ!」
リズマ「こうですか!?」グイグイ
シカーグ「C7!応答しろC7!――ああもう、なんのために通信機を預けたんだかわからん!――C7!応答しろ!」
103 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/04(水) 21:44:18.14 ID:sSompbiC0
C7-BDB『オラオラ増援ハ来ネエゾ!クタバレエ!』バシュバシュバシュ
R3-C3『ピポポ?』
C7のところに戻ってきたR3は、コントロールパネル上の通信機が音声を発しているのに気付いた。
ボディ側面からアームを伸ばして掴み取る。
R3-C3『ピポポ ポポピーポ』
シカーグ『R3か!?助かった!今すぐコネクターに接続して、ゴミ圧縮装置のスイッチを切れ!』
R3-C3『ポポピーポ ピポポ?』
シカーグ『私たちはその中で潰されかけてるんだっ!早くしてくれ!』
R3-C3『プアアア!』
C7-BDB『ン!?オイR3、ドコヘ行ク!?』
R3-C3はコネクターのところへ急行し、ハクカ基地のネットワークに接続。
ゴミ圧縮装置のコントロール・システムを見つけ出し、すぐさまスイッチを切った。
104 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/04(水) 21:45:02.43 ID:sSompbiC0
――がこん、という音とともに壁が揺れた。
五人は様子を伺ったが、壁はそれっきりぴくりとも動かないようだった。
ユスカ「……と、止まった?」
シカーグ「……どうやら……そのようだな」ハア
ユスカ「――や、やったあああ!」
リズマ「助かったあ!」
シンノ「よおし!よおおしっ!」
ネーア「もーうコリゴリ、もうこんな目はコリゴリじゃあ……せっかく復活したのに死にかけてばっかりじゃあ……」ゲッソリ
リズマ「復活?」
シカーグ「R3、ゴミ集積層のドアを開けてくれ。終わったらお前たちもダストシュートで脱出するんだ、急げ!」
105 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/04(水) 21:47:23.87 ID:sSompbiC0
間もなくドアが開き、五人はひとまずごみ溜めから這い出して新鮮な空気を胸いっぱい吸い込んだ。
そこはハクカ基地敷地内のゴミ集積施設で、半開きのシャッターの下から潜入に使ったスピーダーが覗いている。
C7-BDB『ウワッ、ウワアーッ!』ドボーンッ
R3-C3『プアアアン!』ドボーンッ
ユスカ「C7!R3!」
シンノ「待ってろ!今引き上げる」
シンノはフォースでC7とR3をサルページする。
二体のドロイドは汚濁液まみれになりながらもなんとか集積施設の床に降り立った。
C7-BDB『ウエエ、ぼでぃガ汚レチマッタ……』
R3-C3『ポポピーポ』ガチャ
シンノ「ん?R3!その足に引っかかってるの、俺のライトセーバーじゃないか!……よかった、またごみ溜めに戻るところだった!」パシッ
ユスカ「あれだけ探し回ったのに……見つかるときはあっけないものね」
シンノ「まったく――あっ」
ネーア「うう、ローブがドロドロじゃあ……あっ、ここゴミで裂いちゃってるぞよ……」
シンノ(……よく考えたらこいつのライトセーバー使えばよかったな)
リズマ「でもシカーグ将軍、どうやってここから逃げましょう?きっと出口は封鎖されています」
シカーグ「私に任せておけ。とりあえず皆、スピーダーに乗るんだ」
106 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/04(水) 21:48:05.25 ID:sSompbiC0
その後、施設13階の監獄区画はストームトルーパーたちによって制圧される。
トルーパーたちはいまだブラスター・ガスが立ち込めるフロアを注意深く歩き回り、やがてダストシュートに逃走者の痕跡を見つけ出した。
肩当を付けた隊長格のトルーパーは先回りを命じるいっぽう、昏倒したマーズ管理官を発見した。
肩当トルーパー「管理官。マーズ管理官」
マーズ「うっ……む……ハッ!奴らはどこだ!?」ガバッ
肩当トルーパー「ご無事でしたか。奴らはダストシュートから逃走したようです……すでにゴミ集積施設に別動隊を派遣しました」
マーズはトルーパーからゴミ集積施設の場所を聞くと、鉄格子のはまった小さな窓越しにそれを睨みつけた。
マーズ「……あのあたりに敵は居ない。すでに移動した後だ」
肩当トルーパー「何ですって!?ではどこに!?」
マーズ「……敵は……飛行場だ!」ダッ
肩当トルーパー「飛行場――敵は脱出するつもりだ!第一分隊、続け!」ダッ
107 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/04(水) 21:48:47.40 ID:sSompbiC0
TIEパイロット「ファイターの準備は出来てるか!」タタタ
整備員「あと1分ください!」ガチャガチャ
数分後、ハクカ基地飛行場の格納庫内ではTIEファイター部隊の発進準備が進んでいた。
基地内での暴動と連携しての攻撃を想定し、上空警戒の任に就くためである。
TIEパイロット「スクランブルだぞ、急げよ……!」イライラ
パイロットはマーズ管理官が乗ってきたシャトルの傍でそれを待つ。
そのとき四人のストームトルーパーが格納庫に姿を現した。
TIEパイロット「ん?何だお前ら――うわっ、ひどい臭いだぞ!」
トルーパー1「すまない、ごみ溜めを捜索させられた後なんだ。ところでこのシャトルは整備は終わっているのか?」
TIEパイロット「ああ、そうらしいが……それよりこんなところで遊んでいるヒマがあったら、ゲートの封鎖を――」
トルーパー1「ならいいんだ!」バシュバシュバシュ
108 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/04(水) 21:49:13.80 ID:sSompbiC0
格納庫を制圧すると、トルーパーたちはヘルメットを脱ぎ捨てた。
言わずもがなその正体はジェダイと反乱軍兵士たちであり、後からネーアと二体のドロイドも加わる。
シカーグ「よし、早いところシャトルに乗り込んでくれ。ユスカ、操縦は任せた」
ユスカ「シカーグ将軍は?」
シカーグ「私は置き土産を残していく。TIEファイターにな」ガチャ
シンノ「よし、俺も手伝おう」
ユスカ「わかった!」ダッ
リズマ「お二人もお早く!」ダッ
ネーア「ああ、すぐ風呂に入りたいぞよ……!」ダッ
C7-BDB『ヨウヤクコノクソッタレ基地カラオサラバデキルゼ!』ガチャガチャ
R3-C3『ピポポ ピポポ』ウィーン
シカーグとシンノは追撃を封殺するため、TIEファイターに時限爆弾を手際よく仕掛ける。
――しかしその間に、追手は飛行場に迫った。
シカーグ「よし、これで最後だ」カチャッ
シンノ「じゃあ早いところ――」
マーズ「そこまでだ、反乱軍ども……!」ザッ
109 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/04(水) 21:49:58.54 ID:sSompbiC0
反乱者たちは一斉に顔を青くして、格納庫の入口を振り返った。
ダークジェダイがジット・セーバーを振りかざし、十数人のストームトルーパーが一斉にブラスターライフルを構える。
肩当トルーパー「シャトルを撃て!」ジャキッ
シンノ「――早く乗れ、シカーグ将軍!」ビシューンッ
シンノはライトセーバーでシャトルの護衛を試みるが、そこへマーズが襲いかかった。
マーズ「やはり貴様、惑星キイのジェダイか……!」ブウンッ
シンノ「だったらどうする?あのときの小手先の技はもう通じないぞ!」ビシューンッ
マーズ「そんなものなくとも――むっ!」バシューンッ
ネーア「シンノ!何をしている、早く乗るのじゃ!」
マーズ「……」ニヤリ
シンノ「?貴様――」
マーズ「はあっ!」ドウンッ
シンノ「ぐはあっ!」フワッ ガシャーンッ!
マーズ「……!」スッ
マーズはフォースでシンノを吹き飛ばし、シャトルから顔を出したネーアのほうへ手を伸ばす。
110 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/04(水) 21:50:45.03 ID:sSompbiC0
ネーア「うあっ、しまった!」フワッ グググッ
マーズ「ハハハ……捕まえたぞ!」ガシッ
抵抗も虚しく、ネーアはマーズにがっちりと拘束されてしまった。
ネーア「ええい放せ、放さんか!」バタバタ
シンノ「ネーア!――うわっ!」
ようやく起き上がったシンノはマーズに飛びかかろうとしたが、トルーパーの猛射に妨害される。
銃撃はいよいよ激しく、シャトルの外装があちこち弾けて飛んでいく。
シカーグ「シンノ!もう駄目だ、一旦引き上げるしかない!」バシュッバシュッ
シンノ「しかし……!」
ネーア「シンノ!妾なら大丈夫じゃ、構わず行け!」バタバタ
シンノ「お前を置いてはいけない!」
ネーア「妾を侮るな、この程度自力で何とかするぞよ……また会うまで、ライトセーバーは預けておくのじゃ!」バタバタ
111 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/04(水) 21:51:25.16 ID:sSompbiC0
シンノ「……くそっ!きっと助けに行く!」ダッ
シンノは銃撃を潜り抜けてシャトルに飛び込んだ。
ユスカの必死の操縦で、傷ついたシャトルは辛うじて離陸する。
肩当トルーパー「逃がすな!TIEファイターで追撃――」
立て続けに時限爆弾が爆発し、多くのトルーパーがTIEファイターもろとも吹き飛んだ。
巻き起こった爆炎が煙を残して晴れる頃には、シャトルの姿は夜空の中ですっかり小さくなっており、やがて消えた。
マーズ「……逃げられた、か」
肩当トルーパー「……マーズ管理官、その……ヴェイダー卿にはなんと……」
マーズ「ヴェイダー?……フン、構うものか」
マーズは小脇に抱えたネーアに目をやった。
マーズ「――それよりずっと価値のあるものを手に入れたからな」
ネーア「……」ジロッ
112 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/05(木) 02:17:51.56 ID:V3d/Laho0
のじゃロリ誘拐
113 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/05(木) 19:43:37.45 ID:hXxKXDNE0
数時間後、惑星ハクカの反乱軍秘密基地では、引き揚げ準備と並行して戦闘機隊の出撃準備が始まっていた。
その隅にはWウィングとそれに魚雷を積み込むR3-C3、エンジンを調整するシンノの姿もある。
シカーグ「皆!時間がない、ここで作戦の説明をする。集まってくれ!」
マンダロリアン・アーマーを着込んだシカーグがパイロットたちを呼び集める。
シンノに続いてリズマもそこに加わると、シカーグは卓上の3Dプロジェクターに惑星ハクカとその衛星軌道を表示した。
シカーグ「リズマがもたらした知らせをもとに情報収集を行ったところ、帝国軍の攻撃ステーション『ラグナロク』がハクカ上空に到着したことが判明した」
衛星軌道上の光点が拡大され、ドーナツ型の宇宙ステーションを映し出す。
中空を貫く形で長大な砲身が伸びていて、凶悪な攻撃手段の存在をほのめかしている。
114 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/05(木) 19:44:13.28 ID:hXxKXDNE0
シカーグ「ラグナロクは軌道上から地上を砲撃できるスーパーレーザー砲なる兵器を装備している。我が軍の技術者に問い合わせたところ、この基地を周囲の市街地ごと消滅させる威力を持つそうだ」
シカーグ「我々は引き揚げまでの時間を稼ぐため、そして一般市民の命を守るため、なんとしてもこの攻撃ステーションを破壊しなければならない」
パイロットたちはざわめき、顔を見合わせた。
やがて一人の隊長格のパイロットが挙手する。
パイロット「はい将軍、攻撃ステーションの防衛体制はどうなっているのでしょうか?」
シカーグ「うん、それが皆一番気になっていることだと思う……護衛の艦隊から説明する。まず旗艦ヘファイストスを筆頭にスター・デストロイヤーが四隻……」
ラグナロク周辺に展開する帝国軍艦隊が3Dプロジェクターに表示され、シカーグがそれらを一つ一つ説明していく。
コア・ワールドの戦略観からいくらかスケールは落ちるものの、ごく寡兵のハクカ反乱軍に比べれば圧倒的な勢力であった。
シカーグ「次にラグナロク本体の防衛機構だ。発射口の対極にシールド発生器が設置されており、通常の手段での侵入は不可能だ」
シカーグ「それを潜り抜けても、このリング状の構造の上面と側面に設置されたターボレーザー砲が迎え撃つ構造になっている」
シカーグ「ただしこの構造の下面には砲身を支える骨格があり、砲台はごく少ない。骨格の中に潜り込めれば敵ファイターの攻撃もかわせる。ここがアキレス腱だ」
シカーグ「先んじて潜入班がここにからラグナロク内部に侵入し、シールド発生器のスイッチを切る」
シカーグ「ついで攻撃班もここからリング状構造の内部に侵入し、中心に設置されたリアクターに直接プロトン魚雷を撃ち込むのだ」
115 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/05(木) 19:44:44.27 ID:hXxKXDNE0
ユスカ「は、はい将軍!質問!」
次に挙手したのは飛行服に着替えたユスカ・ショーニンだった。
シカーグ「何だ、ショーニン中尉?」
ユスカ「潜入班はどうやってラグナロクに接近するの?シールドがあって入れないって……」
シカーグ「たしかに侵入は不可能だ。通常の手段ではな……ハイパースペース・ジャンプなら可能だ」
ユスカ「ハイパースペース・ジャンプ!?衛星軌道で!?」
パイロット「そんな無茶な……ステーションにぶつかるのがオチだ!」
シカーグ「まさしく、かなり困難なことだ。しかし今回、我々は優秀なジェダイのパイロットに協力を仰ぐことができた」
シカーグ、ついでパイロットたちの視線がシンノに集まる。
シカーグ「彼はジェダイ・ナイトのシンノ・カノス。つい先日、惑星キイでTIEファイターを7機仕留めたという……」
シカーグ「潜入班は彼とリズマのジェダイコンビだ。必ずやシールドを解除してくれるだろう」
シンノは様々な感情のもと視線を向けるパイロットたちに軽く一礼した。
シカーグ「我々が数の不利を逆転するには潜入班と攻撃班が互いに信頼し、全員が集中して作戦に取り組むことが不可欠だ」
シカーグ「この戦いに勝利できれば反乱同盟軍の士気は大いに――否、銀河全体で解放の機運が高まるだろう。では解散だ、フォースとともにあらんことを!」
116 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/05(木) 19:45:20.51 ID:hXxKXDNE0
決意の表情で各々の戦闘機に戻るパイロットとともに、シンノはWウィングのところへ戻った。
ふとネーアのライトセーバーを取り出し眺める彼に、身支度を整えたリズマが近づく。
リズマ「シンノさん、操縦よろしくお願いします――あれ?そのライトセーバーは?」
シンノ「……以前、戦友から預かったものだ。俺はこれを使おう……リズマ、お前には俺のセーバーを貸してやる」ポイッ
リズマ「あっ……ありがとうございます」パシッ
シンノは自分のライトセーバーをリズマに投げ渡し、ネーアのものを自分のベルトにぶら下げた。
リズマ「その……ユスカから聞きました、ネーアちゃんのこと……私を助けるために、来てくれてたって」
シンノ「気にするな。危険は本人も承知だったろう」
やがて天井が開いて発進口が口を開け、星の瞬く夜空が姿を現した。
シンノはその彼方を見上げる。
シンノ「――それに不思議と、すぐにまた会えそうな気がするんだ」
117 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/05(木) 19:46:02.71 ID:hXxKXDNE0
その頃惑星ハクカ上空では、ワイマッグ提督が砲撃準備中のラグナロクを視察に訪れていた。
係官「提督、ここがシールド管制室です。とはいっても全自動なので無人……おや?」
ワイマッグ「マーズ管理官!」
コーチ『シュコーッ、シュコーッ……もうお戻りになっていたのですか』
マーズ「……ワイマッグ提督……それにコマンダー・コーチ」
無人のはずの管制室には、相変わらず仏頂面のマーズ管理官が居た。
彼女の背後の大きな展望窓からは、護衛艦隊の影が浮かぶ惑星ハクカの夜景が見える。
その近くには、どういうわけか大きな椅子が一同に背を向ける形で置かれていた。
マーズ「申し訳ありませんが、攻撃が終わるまでこの部屋は使わせていただきます。ヴェイダー卿のご命令でして」
ワイマッグ「ヴェイダー卿の?連絡を取られたのですか。惑星ハクカでのジェダイ脱走事件はなんと説明なさったんです?」
マーズ「あなたには私に命令する権限はないでしょう。とにかくお引き取り頂こう」
コーチ『貴様、つけあがるのもいい加減に……!』
ワイマッグ「やめろコマンダー……わかりました管理官、我々はもう行くとしましょう」
ワイマッグは憤然とするコーチを制したが、マーズに向ける視線は冷たい。
ワイマッグ「あなたは近々ヴェイダー卿に除かれるでしょうからな。冥途の土産にここからの景色を楽しむことです」
そして三人は立ち去った。
最後の一言は鉛のように重いはずだったが、マーズには少しも動じた様子がない。
118 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/05(木) 19:46:55.11 ID:hXxKXDNE0
マーズ「……ヴェイダーになど構いはしません」
彼女は窓の近くの椅子に手を触れ、ゆっくりと回転させた。
ネーア「……よいのか?あやつの口ぶりだと、そなたを殺す程度の技量はあるようじゃが」フンッ
そこに座っていたのはダース・ネーアだ。
拘束具によって手首が肘置きに固定されている。
マーズ「今はそうです。しかし私はいずれ奴よりも強くなる。そのために――」
そこまで言って、マーズはおもむろに土下座した。
マーズ「私を弟子にしてください、ダークロード・オブ・シス!」
ネーア「!?……!?……そなた、正気か!?」
119 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/05(木) 22:14:24.25 ID:V3d/Laho0
おまわりさんこのひとです
120 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/08(日) 17:30:03.77 ID:itCG4WEu0
その頃Wウィングはすでに離陸し、惑星ハクカの夜空を一直線に駆け上りつつあった。
シンノはラグナロクへのハイパースペース・ジャンプの計算を途中で切り上げる。
シンノ「バリアーの放射周期もわかっていない以上、細かい調整はナンセンス……あとはフォースに従うさ」
リズマ「……そうですね、きっとフォースが導いてくれます。私たちはジェダイですから」
シンノは頷いてジャンプのスイッチを入れた。
視界いっぱいにスター・ボウが広がる。
シンノ(ジェダイだから、か……シスを助けようとすることは、ジェダイの道に背くんだろうか)
シンノ(……でもあいつには貸しがあるし、聞きたい事も沢山ある……第一、人の命を救おうとすることが悪いはずはない)
シンノは自らの直感に従ってジャンプを中断した。
その瞬間巨大宇宙ステーションが間近に出現した。
シンノ(シールドを抜けた……!)ガッ
しかし今度は激突の危険が間近に迫り、シンノは慌てて逆噴射をかける。
リズマ「きゃあ……!」ガタガタ
シンノ(リング状構造の下……砲身支持骨格の隙間に、飛び込む……!)グイッ
やがてWウィングはやや速度を緩めながらもラグナロクの「アキレス腱」に飛び込み、姿を消した。
121 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/08(日) 17:32:00.49 ID:itCG4WEu0
監視兵1「……ん?」
管制官「何だ?」
監視兵1「少佐、このスキャナーに反応が……」
管制官「そんな馬鹿な、シールドがあるんだぞ。誤作動だろう」
ワイマッグ「どうした?」
ラグナロクのメインコントロール・ルームは広く、何人もの兵や士官がモニターに向かっていた。
そのうちの一人、異常を見とめた監視兵のところにワイマッグ提督とコマンダー・コーチが近づく。
監視兵1「今、一瞬だけスキャナーに反応がありまして……ごく微弱ですが」
監視兵2「あっ、こちらは噴射光を確認しました」
ワイマッグ「……まさかとは思うが、敵船がシールドを突破してきたのでは」
管制官「そんな馬鹿な、ありえません」
コーチ『ハイパースペース・ジャンプなら可能です。かなり困難ですが』
ワイマッグ「よし、とりあえず第一種ブラスト・ドアを閉鎖、警備システムをアクティブに――」
マーズ『なりません、提督』
そのとき3Dプロジェクターのスイッチがひとりでに入り、マーズ管理官の姿が映し出された。
マーズ『敵の狙いはシールド……気づいていないふりをして、制御室まで誘い込むのです』
122 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/08(日) 17:33:08.45 ID:itCG4WEu0
ラグナロクの懐、骨格の隙間で機体を停止させたシンノとリズマは、タイトな宇宙服を着込んで機外に出た。
機密扉を探し当て、その脇のコネクターにR3-C3が接続。
ラグナロクのネットワークに侵入し扉を解錠するが、同時に何かを発見したようである。
R3-C3『ポポピーポ ピポポ ピポポ』
シンノ『何?シールド制御室にネーアが!?』
リズマ『なぜネーアちゃんがそんなところに……?』
シンノ『……罠臭いな』
リズマ『じゃ、じゃあどうすれば……』
シンノ(どうにかして奴らの裏を……いや、どちらにしろ制御室にはいかなければならない)
シンノ『……罠に飛び込んでみるか』
123 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/08(日) 17:33:49.59 ID:itCG4WEu0
その頃惑星ハクカの反乱軍基地では攻撃班――Xウィング隊とYウィング隊が出撃しつつあった。
ユスカもそのうちの一人としてXウィングに乗り、離陸信号を送る地上要員に別れを告げて空中へと舞い上がる。
ユスカ(いよいよね……)ドキドキ
シカーグ『ユスカ、あまり気負うな。リズマは自分の仕事をする、お前も自分の仕事をすればいい』
ユスカ「……将軍」
ユスカは隣を飛ぶシカーグ機に目をやる。
夜闇の中に微かに浮かぶパイロットの影が、気さくなハンドサインを寄越した。
124 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/08(日) 17:34:29.89 ID:itCG4WEu0
シンノ「ここが制御室……む!」
リズマ「ネーアちゃん!」
ネーア「シンノ……リズマも」
二人は隔壁や敵兵に遮られることもなくシールド制御室に到着した。
巨大な窓の近くで椅子に拘束されたネーアを除けば部屋は無人――何もかも好都合に思えたが、ネーアは何か言いたげな表情だ。
ネーア「来てしまったか……」
シンノ「来てしまったってなんだよ、心配したんだぞ?」
リズマ「すぐに拘束を――!」
シンノ「!」
二人はネーアに駆け寄ろうとしたが、人の気配を覚えて振り返った。
マーズ「……シンノ・カノス。そしてリズマ・ショーニン……」
背後から現れたのは黒装束のダークジェダイ――ジヒス・マーズ。
ネーア「……そやつ、妾の弟子になりたいと言うんじゃ。そなたには向いていないと言ったんじゃが……」ヤレヤレ
マーズ「――貴様ら反乱軍には、私の価値をネーア卿に証明する生贄となってもらう」ビシューン ビシュッ
シンノ「どこまでも堕ちたようだな……!」ビシューンッ
リズマ(ネーア卿……?)
シンノ「リズマ!」
リズマ「は、はいっ!」ビシューンッ
125 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/08(日) 17:35:52.90 ID:itCG4WEu0
マーズ「行くぞ……!」シュザッ ブウンッ!
マーズがジット・セーバーを振りかぶって突進。
リズマめがけて横殴りの一撃を繰り出した。
リズマ「くっ!」ビシュンッ
マーズ「フンッ!」ブウンッ
リズマ「ふっ……!」バチッ!
二人の力量差は数合打ち合っただけでも明らかだ。
しかしそのとき側面からシンノが割り込む。
シンノ「そこまでだ!」ブウンッ!
マーズ「チッ……!」バチッ!
シンノ「セイッ!」ブウンッ
マーズ「小癪な!」バチッ ドウンッ
シンノ「はあっ!」ドウンッ
126 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/08(日) 17:36:43.58 ID:itCG4WEu0
双方のフォース・プッシュが激突し距離が開くと、すかさずリズマが飛び込む。
シンノが呼吸を整える一方で、マーズは連続での戦闘を強いられる。
リズマ「ミャーズクの借りを、返す!」ブウンッ
マーズ「ぬうっ!」バチッ
シンノ「まだまだあ!」シュザッ ブウンッ
マーズ「くっ……!」バチバチ
マーズはリズマとシンノのライトセーバーをなんとか受け止める。
数の不利は明らかだが、彼女の心中で燃え盛る感情がダークサイドの力を増幅している。
マーズ「なめるなあ!」ドウンッ
シンノ「ぐおおっ!」ブワッ
リズマ「うあっ……!」ブワッ
127 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/08(日) 17:38:13.05 ID:itCG4WEu0
一気に解放されたフォースの力が二人を吹き飛ばした。
マーズは目をぎらつかせつつ、立て続けにリズマに襲いかかる。
マーズ「はあっ!」ブウンッ
リズマ「ううっ……!」バチッ
マーズ「フッ」ニヤリ
リズマは追撃を間一髪防いだが、マーズは更なる攻撃を隠し持っていた。
マーズ「フンッ!」クルッ ドスッ
リズマ「ッ……!」
鍔迫り合いの形からセーバーをひねり、短い刃でリズマの腹部を突き刺した。
シンノ「!?リ、リズマ!」
リズマ「……」ガクッ ドサッ
マーズ「……次は貴様だ」クルッ
シンノ「……!」
――シンノの精神にジェダイ全滅の悲劇がフラッシュバックした。
ジェダイにあるまじき感情を燃料にして、マーズめがけ突進する。
128 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/08(日) 17:42:56.61 ID:itCG4WEu0
シンノ「うおおああッ!」ブウンッ
マーズ「うっ!?」バチッ
シンノ「この外道がッ!」ブウンッ
マーズ「こ、この力……だが!」バチッ クルッ
マーズはその力に押されながらも再びジット・セーバーを回転させた。
惑星キイでの戦いのリフレインの如く、彼女のセーバーがシンノのセーバーを挟み取る。
マーズ「捕らえた――」
シンノ「ふんっ!」ジャキッ バシュバシュバシュ!
しかしそれを吹き飛ばすよりも早く、シンノがブラスターを抜いた。
腰だめで放った連射がリズマの傷の意趣返しの如く、マーズの腹にいくつも穴を空けた。
マーズ「――き、貴様……ジェダイが、ブラスターを……」ヨロッ
シンノ「はあっ!」ブウンッ
マーズ「ぐあっ……」ガクッ
シンノは乱暴にライトセーバーを引き離し、時計の針のように払った。
マーズの両手首が切り落とされて床にぼとりぼとりと落ち、ジット・セーバーが転がり出る。
シンノ「……」パシッ バチチ…
マーズ「……!」
シンノはそれをフォースで引き寄せ、左手に握る。
二本のセーバーと交差させ、跪いたマーズの首に狙いを付ける。
129 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/08(日) 17:57:43.27 ID:itCG4WEu0
ネーア「よし、それでこそ我が弟子じゃシンノ……」
ネーアは満足げに頷いた後、無感動に宣告した。
ネーア「さあ、殺せ」
マーズ「な……マ、マスター……」
ネーア「そなたのマスターになった覚えなど無いぞよ」
シンノ「……丸腰の相手は殺せない」
ネーア「カカカ、まだ言うか」
ネーアは哀れむように、あるいは愛おしむように笑いかける。
ネーア「そなたが仲間を何より大切にしておるのはわかった。これはもっともな感情、実に道徳的な感覚じゃ」
ネーア「しかしライトサイドの力では、それを完全に守るには不足ぞよ」
シンノ「……不足……不足、では……」
ネーア「だからジェダイは滅びた」
シンノ「……」
ネーア「そなたはついさっき『怒り』の力を無意識に使い、このジェダイ崩れを破った。じゃがその不完全な力では、ダース・ヴェイダーや皇帝にはおそらく太刀打ちできん」
ネーア「彼らをも滅ぼせる本当のダークサイドの力……それを、妾が教えてやろうぞ。さすれば、いずれはジェダイ・オーダーの復讐も果たせよう」
ネーア「その最初の一歩として、そやつを殺すのじゃ。さあ早くやれ、シンノ」
シンノ「……」
130 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/08(日) 18:42:20.80 ID:bKwdb5On0
シスっぽい発言
シスだけど
ドゥークー感
131 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/09(月) 19:29:10.09 ID:XeC3p+aR0
シンノはなおも逡巡したが、マーズの振る舞いを思い出すたび手に力が込もっていく。
だがそのとき、背後でリズマが意識を取り戻した。
リズマ「う……シ、シンノ、さん……?」
シンノ「!……俺は……」
シンノは何度かかぶりを振った後、ジット・セーバーを投げ捨て、自分のセーバーも収めた。
シンノ「……俺は……ジェダイだ。仲間たちが、そうだったから」
シンノがコンソールのほうに手を伸ばすと、モニターが何度か切り替わり、微かに響いていた低い音が途切れる。
バリアー発生器のスイッチが切られたのだ。
脱力して倒れ込むマーズを無視し、シンノはリズマに駆け寄る。
シンノ「リズマ、大丈夫か?」
リズマ「……たぶん……ちょっと、歩けそうには、ありませんが……ゲホッゲホッ」
ネーアは不服そうに鼻を鳴らした。
ネーア「やれやれ、強情な奴じゃ……ふうんっ!」
彼女がフォースでどうにか拘束を外して二人の下へ戻ったとき、背後の扉が開いた。
ワイマッグ「――そこまでだ、ジェダイ」
132 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/09(月) 19:29:54.69 ID:XeC3p+aR0
ワイマッグ提督と、十数人のストームトルーパーが姿を現す。
トルーパーたちは入口の周囲を固めるように展開し、ブラスターライフルやエレクトロスタッフを油断なく構える。
シンノがリズマをかばいつつ警戒する一方、ネーアは能天気に話しかける。
ネーア「ふむ、そなたが大ボスのようじゃな?」
ワイマッグ「そんなところだ。私は帝国軍QC方面軍司令官、セード・ワイマッグ……」
ワイマッグは床に倒れ込んでぴくりとも動かないマーズに目をやった。
ワイマッグ「……貴様らのことは彼女から聞いている。シンノ・カノス、リズマ・ショーニン、そして……ええと、何某ネーア」
ネーア「な、何某とは何事じゃ!妾は――」
シンノがやや無気力に目配せし、ネーアは押し黙った。
ワイマッグはその仕草が気に入らなかったように少し目をひそめる。
ワイマッグ「……とにかく、貴様らが反乱軍と繫がっていることはわかっている。とりあえずヘファイストスの尋問室まで来てもらおう。俺はそこのバカのように決闘を申し込んだりはしな――」
そのとき突如激震が走り、制御室の面々は大きく揺すぶられた。
照明がめちゃくちゃに点滅したあと、緑色の光が閃いた。
シンノが抜き放ったライトセーバーの光だ。
133 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/09(月) 19:30:37.97 ID:XeC3p+aR0
ワイマッグ「何だ――いかん!奴らを射殺しろ!」
シンノ「突っ切るぞ!」
シンノは好機を逃さず、リズマを左肩に担いで入口に突進した。
ネーアもありったけのフォースを脚に注ぎ込みこれに続く。
ストームトルーパーたちがめちゃくちゃに発砲する中をすり抜ける。
かろうじて組み付いてきたトルーパーを斬り捨て、押しのけ、出口へ。
ワイマッグ「貴様らは全員、クローン戦争で死ぬべきだったのに!」ガシャッ バチバチバチ
トルーパーが取り落としたエレクトロ・スタッフを拾い、ワイマッグが立ちはだかる。
走り抜けようとするシンノめがけ、帯電した棍棒で水平に薙ぎ払う。
シンノはとっさにネーアの手を掴み、跳躍した。
ワイマッグ「なんのォ!」ビュンッ ビュウンッ!
シンノ「ハアッ!」ブウンッ!
ワイマッグはおそるべき速さで背後にスタッフを繰り出したが、着地したシンノの振り向きざまの斬りつけが一歩早い。
ワイマッグ「ぐうっ!?」バチュンッ
スタッフは柄を切断され、刃はワイマッグの右頬をかすめる。
彼が怯んだ隙に、シンノはドアを潜り抜けた。
134 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/09(月) 19:31:38.42 ID:XeC3p+aR0
ワイマッグ「くっ……追え!隔壁を封鎖しろ、絶対に逃がすな!」
ワイマッグの号令の下、何拍か遅れてトルーパーたちがそれを追う。
ワイマッグ自身は右頬から白煙を上げながらもコンソールに駆け寄る。
ワイマッグ(バリアーのスイッチが切れている。やはり奴らの主目的はバリアーの排除……だとすればさっきの振動は!)カチカチ
すばやくコマンドを入力し、バリアーの再起動を試みる。
しかし駆動音が聞こえてくることはなく、かわりに返ってくるのはバリアー放射器損傷を示すエラー。
ワイマッグ(バリアー放射器が破壊されている……やはり反乱軍の!)
ワイマッグが顔を上げると、その推測の答え合わせのごとくXウィングの三機編隊が展望窓の前を通り過ぎていく。
その先頭をいく機体のキャノピーに、コマンダー・コーチのものによく似た装甲服……マンダロリアン・アーマーが見えた気がした。
彼らはバリアーが切れる瞬間を待ち受け、放射器にプロトン魚雷を打ち込んだに違いない。
ワイマッグは焦燥に駆られながらコンソールを操作し、ジェダイ侵入をうけて旗艦に応援を呼びに行ったコーチに連絡を取った。
コーチ『提督、敵の奇襲です!今すぐシャトルでそちらに戻ります、シュコー、シュコー』
ワイマッグ「こっちは私がなんとかします、コマンダーはTIEファイターでラグナロクを守ってください!いかにバリアーを剥がされようと、ラグナロクだけは守らなければ……!」
コーチ『承知しました……!』
135 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/09(月) 19:32:43.19 ID:XeC3p+aR0
ワイマッグはすぐに通信を切り、メインコントロール・ルームへ戻ろうと踵を返す。
そのとき、床に横たわるマーズの体が微かに震えている気がして足を止めた。
マーズ「……ヒッグ……グスッ……」
腹と腕にひどい傷を負っているが、たしかに息がある。
ワイマッグはすっ飛んでいって彼女を抱え起こす。
ワイマッグ「マーズ管理官!?お怪我は――」
マーズ「……じゃあ、私はぁ……私は、どうすればよかったのよぉ……グスッ」
彼女は泣いていた。
傍若無人なダークジェダイであるはずのジヒス・マーズが、少女のように弱弱しく泣きじゃくっていた。
マーズ「父さんも……マスターも……ヴェイダー卿もっ……ヒッグ……みんな、私を見てくれないっ……」
マーズ「私がどんな気持ちでいるか知らないでっ……ズズッ、置いて、いく……見捨てていく……ねえ、教えてよっ」
マーズはワイマッグの襟元を掴む――
否、手首が切り落とされているので、虚しくもがいただけだ。
マーズ「私はどうすればよかったのっ……何を信じればよかったのよっ……」
マーズ「なんで……なんでこんなことになっちゃったのよぉ……」
マーズは泣きはらしたまま意識を失った。
ワイマッグは眉間にひどく皺を寄せた。
しかしすぐにコムリンクを取り出して、医務室の番号をプッシュした。
136 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/09(月) 19:33:17.59 ID:XeC3p+aR0
三人はラグナロクの無機質な廊下を駆け抜ける。
時折目の前を遮るトルーパーや隔壁が現れればそのたび迂回、あるいはシンノがライトセーバーで排除した。
ジェダイの身体能力にも限界はあり、やがてその歩みは遅くなる。
しかし決定的な阻止に遭うこともなく、ジェダイたちの脱出の試みは続いていた。
シンノ「急げ、ドッキング・ベイまでもう少しだ」
ネーア「ドッキング・ベイたって、船はどうするんじゃ?ここただの砲台じゃろ、ろくな船なかろう」
シンノ「R3にコールして、近くまで呼び寄せておく。ベイを占領したらそのまま乗り込んでおさらばだ」
ネーア「なるほどのう!」
シンノ「……なあ、ダース・ネーア」
再び意識を失ったリズマを担いだまま、シンノは後ろからついてくるシス卿に話しかけた。
ネーア「何じゃ?」
シンノ「……俺は、たしかにあまりジェダイに向いていないのかもしれない。あまりにも、執着が強すぎる」
ネーア「ふむ」
シンノは担いでいるリズマの右手を見た。
彼女は腹に穴を空けられてもなお、貸してやったライトセーバーをしっかりと握っていた。
シンノ「でも、だからこそ……だからこそ、俺は、ジェダイであることを諦めたくない」
シンノ「仲間たちが殉じたものを、貶めるようなことだけは……したくは、ないんだ」
シンノは悩まし気に俯いた。
自分の手の中の、ジェダイとシスとどっちつかずのセーバーが目に入った。
137 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/09(月) 19:35:31.37 ID:XeC3p+aR0
ネーア「うんうん……」コクコク
シンノ「……何か、ないのか?」
ネーア「何かって?」
シンノ「『そんな考えは甘い!』とか……」
ネーア「甘いのか?」
シンノ「いや、そういうわけじゃないが……」
ネーア「カカカカカ!」
ネーアはシンノの悩みを笑い飛ばす。
なんでもないような口調で、若きジェダイの背中に言葉を投げかける。
ネーア「そなたがそうしたいならそうせい。ジェダイ・オーダーは滅びたのじゃ、そなたが何かに執着していようと誰も気にはせん」
ネーア「執着の果てに善行があるのなら、人々はそなたに憎んだり恨んだりはせん。感謝こそすれ……」
ネーア「満足がいくまでジェダイを名乗るがよい、シンノ。それができるのがこの時代に生まれた特権ぞよ」
彼自身、ネーアの言葉はあまりにも都合がいいと思った。
しかしたとえば――たとえば今後も反乱同盟軍の一員として戦うならば、その生き方が障害になるようなことはないのでは――。
ネーア「もっと気楽になれ、シンノ」
138 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/09(月) 19:36:14.51 ID:XeC3p+aR0
シンノ「……」
シンノ「……ああ、そうしてみるかな……しばらくは」
ネーア「うむ。それでジェダイに飽きたら妾の弟子になることじゃ。カカカカカ!」
そして、笑ってごまかしてはいるが、彼女の言葉には何か底知れぬ感慨が含まれているような気がして。
シンノ「……なあ、ネーア。このライトセーバーの刃、緑色にもなるんだな」
ネーア「ん?ああ……それ、妾のセーバーか……うむ……よく見つけたのう」
シンノ「……『この時代に生まれた特権』と言ったが……お前はそれが、得られなかったんじゃないのか」
ネーア「……どういう意味じゃ?」
シンノ「……お前も、『ジェダイ崩れ』なんじゃないのか」
シンノは足を止め、振り返った。
ネーアは依然笑顔だった。
しかしいつものからから笑いとは違う、どこか寂し気な、失った何かを懐かしむような笑顔だった。
ネーア「……やれやれ。半端者同士、隠し事はできんようじゃな。弟子は師匠に似るものか」
ネーア「ならば妾もマスター・ヨーダのように、迷いなくいられるはずだったんじゃがな」
139 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/09(月) 19:37:11.76 ID:XeC3p+aR0
ユスカ「なろぉっ!」グインッ カチッ
Xウィングは捻り込むような機動でTIEファイターに襲いかかり、レーザー砲の四連射を浴びせた。
偏向シールドも持たないTIEファイターはあっという間に火だるまになって爆発四散する。
ユスカ「これで4機目……!」
ユスカは照準スコープをどかし、斜め後方から接近する新たな敵機をローリングで振り払いつつ周囲を見回す――あたり一面敵、敵、敵。
すでに何度か僚機によってラグナロクへの突入が図られているが、ラグナロクや護衛艦隊の対空砲火、あるいはTIEファイターの妨害によっていずれも失敗に終わっている。
果敢に攻撃を続けてはいるが、反乱軍戦闘機部隊の消耗は激しい。
しかしシカーグやユスカはバリアー放射器への攻撃で魚雷を使い果たしており、援護に徹するしかなかった。
ユスカ「あっ、バカ!」
焦りからかYウィングが一機、単独で突入を図り、直上から襲いかかったTIEファイターに滅多打ちにされて炎上した。
ユスカはその機体のペイントに見覚えがあった。
パイロットの顔も知っていた。
その両方が、次の瞬間纏めて巨大衛星砲台に激突して粉々になった。
ユスカは下手人の敵機――やけに動きのいいTIEファイターを目で追った。
僚機が仇討ちとばかりに襲いかかったが、キリモミ回転しながらの巧みな方向転換で振り切られてしまう。
ずっと視界の隅で見えていた気がする――突入経路を見抜き、ずっとその周辺に陣取る姿。
140 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/09(月) 19:37:58.62 ID:XeC3p+aR0
ユスカ「あのTIEファイターは……?」
?『集中しろユスカ!』
ユスカ「えっ!?うわっ!」グインッ
ユスカは無線の警告で背後の敵機に気づき、慌てて急旋回した。
間一髪、レーザー光弾が横をすり抜けていく。
ユスカ「ありがとう……誰?将軍?」
シンノ『俺だ。シンノ・カノスだ』
ユスカ「シンノ!?脱出できたんだ!」
ユスカは喜色満面でビーコン反応を追い、ラグナロクの対空砲火から退避してきたWウィングを見つけた。
シンノ『苦戦しているようだな……今度は俺が突入する、援護してくれ』
ユスカ「でも、突入経路には妙に強いのが居座ってて……!」
シンノ『ああ、あの動き……奴はたしかに手練れだ』
シンノはそのコックピットから、かのTIEファイターを睨みつけた。
その機動とフォースの感覚が、彼に惑星キイ上空での戦闘を思い出させた。
シンノ『……だが、相手をするのは初めてじゃない』
141 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/14(土) 22:07:19.92 ID:NEKMlIf50
管制官「ワイマッグ提督!」
ラグナロクのメインコントトール・ルームは反乱軍の迎撃に忙しい。
右頬に絆創膏を貼ったワイマッグはその中央で指揮を執っていたが、そこへ管制官が声をかける。
ワイマッグ「何だ?」
管制官「ただいま、反乱軍の攻撃を分析したのですが……どうやら、ラグナロクのバイタルパートへの直接攻撃を狙っているもようです」
ワイマッグ「バイタルパート……リアクターか?」
管制官「はい、少々危険かと……」
ワイマッグ「……コマンダ・コーチもいる、そうそう防御が破られるとは思えんが……よし、とりあえず私はマーズ管理官を移送するシャトルに便乗してヘファイストスに戻る」
ワイマッグ「だが決して貴様らを見捨てるわけではないぞ。的確な敵の攻撃を防ぐには、旗艦からの指揮で護衛艦隊を連携せしめることが必要だ。ところで砲撃準備は?」
管制官「エネルギー充填、現在90%まで完了しております」
ワイマッグ「よろしい、完了し次第砲撃せよ。反乱軍基地を蒸発させてやれ」
そう言い残し、提督はコントロール・ルームを去った。
責任者となった管制官は額に滲んだ汗を拭いつつ、手元のコンソールに目をやった。
90%の表示が91%に変わる。
それはそのまま、ハクカの反乱軍が絶滅するまでのカウントダウンだ。
142 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/14(土) 22:07:45.39 ID:NEKMlIf50
コーチ『シュコーッ、シュコーッ、何人来ても同じこと――ぬう!?』
コマンダー・コーチはTIEファイターのキャノピー越しに見覚えのある機影を見とめた。
コーチ(Wウィング……あのジェダイか!ラグナロクから脱出したというのか!?)
Wウィングは反乱軍機を何機か引き連れ、一本の矢のごとくラグナロクに突進してくる。
頭上のヴェネター級艦から熾烈な砲撃が降り注ぎ、護衛を何機か撃墜、あるいは離脱せしめる。
しかしWウィングとXウィングが一機、蛇行で砲撃を潜り抜け、依然として接近しつつあった。
コーチ『〈アルテミス〉!こちら〈ヘファイストス〉ファイター部隊!直下の敵機への砲撃を止めろ、我々が仕留める!――マシャス!ヴァン・リー!行くぞ!』
TIEパイロット1『はっ!』
TIEパイロット2『はっ!』
コーチは砲撃を止めさせ、二機の僚機を引き連れてWウィングに襲いかかった。
上方から急接近しすかさずレーザー砲を撃ち込むが、敵機は二手に分かれてこれを回避した。
コーチ『貴様らはXウィングをやれ……ジェダイは私が相手をする!』
143 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/14(土) 22:08:16.29 ID:NEKMlIf50
シンノ「来たか……!」
ネーア「例の奴じゃな。集中しろ、シンノ!」
R3-C3『ピポポ ピポポ プウウー』
シンノは自分の背後に回りつつある例のTIEファイターに全神経を集中した。
二機に追われるユスカ機、背後のシートでぐったりしているリズマも気になるが、片手間に勝てる相手ではない。
コーチ『シュコーッ、シュコーッ……さっきのはほんの挨拶代わりよ!』
一旦突入ルートから逸れて様子を見るシンノ機の斜め下方から、コーチのTIEファイターが再度襲撃する。
シンノ「R3ッ!」グインッ
R3-C3『ポポピーポ』
Wウィングは捻りこむようにしてレーザーをかわし、再度ラグナロクへの接近を図る。
コーチ『逃がさん!』グインッ
しかしコーチはひらりと回転して上向きの慣性を殺し、ほとんど距離をおかずに追従してくる。
144 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/14(土) 22:09:15.78 ID:NEKMlIf50
シンノ「やはりついてくる……だが今回は、それが命取りだ……!」
シンノは減速覚悟で機体を急旋回させ、コーチ機の視界から消えた。
コーチ『焦りおって……ぬうっ!?』
コーチは目を見開いた。
シンノ機を狙ったラグナロクからの対空砲火が猛然と襲いかかったのだ。
機体をロールさせてこれを回避するコーチだったが、その一瞬は致命的な隙となった。
コーチ機の上に影が差す。
ヤマタイティア星系の太陽を背に、Wウィングが突っ込んでくる。
シンノ「喰らえ!」
Wウィングのレーザー砲の連射がコーチのTIEファイターをハチの巣にした。
吹き飛んだ破片がコーチの装甲服を貫き、全身のあちこちに食い込む。
コーチ『――ぬ、ぬかった……ゴボッ』
コマンダ・コーチはみるみる赤く染まる視界の中に、ラグナロクのほうへ駆け抜けていくWウィング――ジェダイの背中を見た。
コーチ(――これで、私のクローン戦争も終わりか)
直後、彼のTIEファイターは爆散した。
145 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/15(日) 00:53:39.67 ID:u5zHSJfS0
老兵去る
146 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/17(火) 00:34:29.84 ID:0odu4eHO0
Wウィングは四散したコーチ機の破片を撥ね飛ばしながら、三度ラグナロクへ接近を図った。
ラグナロクの表面に棘のように立ち並ぶターボレーザー砲群がそれを狙い、頭上のスター・デストロイヤーからの砲撃も再開される。
緑色の光弾が猛烈な吹雪のように飛び交う中をどうにか潜り抜けるようにしてジェダイは進む。
シンノ「くっ……このっ……!」グイン グインッ
しかし一発が偏向シールドの右側を掠めた。
機体がガタガタと揺すぶられ、乗客席のシス卿が騒ぎ始める。
ネーア「や、や、や、ヤバいぞよ!ヤバいぞよシンノ!と、と、と、とりあえずさっきのは片付けたんじゃし、一旦出直すのは――」
シンノ「駄目だ!長引けば長引くほど、反乱軍の犠牲は増える……!」
シンノは魚雷の照準画面に目をやった。
ラグナロクのリアクターへのロックオンは完了しているが、対空砲火に追い立てられているせいで速度が出すぎている。
このまま突っ込んでしまえば攻撃ステーション激突は必至。
かといって軌道をずらせば魚雷まで外れかねない。
さらにスコープが、背後に三機のTIEファイターが出現したことを報せる――さっきの手練れの仇討ちか。
ラグナロクの対空砲に加えて背後の敵機までもがなりふり構わず集中砲火を浴びせてくる。
立て続けの被弾で偏向シールドが悲鳴――強度低下のアラートを上げる。
147 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/17(火) 00:34:57.73 ID:0odu4eHO0
シンノ「フウウーッ、大丈夫だ、大丈夫。キイのときと同じだ……」
ネーア「そ、そなた……怖くないのか!?」
シンノ「怖ぇよっ!怖ぇけど……ジェダイだから……ジェダイでいるって決めたから、カッコつけなきゃな……!」
並みのパイロットならば緊急退避を優先するところを、シンノは逆にさらに加速した。
そしてラグナロクのリング状構造の下部、骨格の隙間に飛び込む。
追跡中だったTIEファイターもこれにはついていきかね、急旋回して激突を回避するが、対空砲火の誤射で一機が爆発した。
いっぽうWウィングは粒子加速器の内側のようなごくごく狭いカーブした空間を、おそろしい速さで潜り抜ける。
ネーア「うああああ!シンノそなた正気かああー!?」
シンノ「ハア……ハア……!」
しかし機体は徐々に減速しつつあった。
去り際、大きく曲がる軌道でラグナロクのリアクターに魚雷を撃ち込める速度まで――
シンノ「ここだっ……!」
シンノは発射ボタンに置いた親指を押し下げた。
緊張のあまり感触は覚束なかったが、青白い噴射炎を引いて飛んでいく二発の魚雷が見えて、慌てて骨格の隙間から宇宙へ飛び出す。
思わぬ敵機出現に驚いた散発的な対空砲火を振り切り、ラグナロクを離れる。
148 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/17(火) 00:35:37.21 ID:0odu4eHO0
やがて対空砲の射程外に逃れると、シンノはキャノピーに背後の映像――ラグナロクの様子を投射し、ネーアとともにそれを見守った。
攻撃ステーションはすでに遠く、魚雷の行方は定かでない。
ネーア「……」ゴクリ
シンノ「……」ゴクリ
ネーア「……あ、当たったのか?」
シンノ「その、はず……」
二人が少し不安になり始めたころ、ラグナロクの頂点部分から火花が走った。
シンノ「ん!?」
ネーア「シンノ、今のは――」
立て続けに同じところからプロミネンスのごとき炎が高く、高く立ち昇った。
炎が直上のスター・デストロイヤーの船底をあぶるとともに、誘爆はリング状構造、そして砲身へと広がった。
ついにメイン・リアクターにも火が入る――光が迸る。
次の瞬間、ラグナロクは木っ端みじんに吹き飛んだ。
無数の破片が周囲に飛散し、そのうちのいくつかがWウィングの偏向シールドを掠める。
その振動が、脅威の消滅を二人に現実味を持って伝えた。
シンノ「……」
ネーア「……」
シンノ「……や」
ネーア「や、やっ――」
149 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/17(火) 00:36:26.92 ID:0odu4eHO0
ユスカ『やったああああああ――っ!』
横合いからXウィングが踊るようにローリングしながら接近してきた。
それを追う敵の姿はなく、ユスカの撃墜スコアは二つ増えたとみえる。
シンノ「ちょ……」
ユスカ『ヒャッホー!シンノ、やったね!キスしてあげたい気分!帝国のクソキャノンが……お見事!ボカーン!たーまやー!』
Xウィングはパイロットの狂喜乱舞そのままにクルクルとアクロバットを披露した。
喜ぶタイミングを逸したシンノとネーアは顔を見合わせ、苦笑いする。
リズマ「うう……姉さんの、声……?」
シンノ「リズマ!?」
その声を聴きつけ、後方のシートでリズマが意識を取り戻した。
なんとか起き上がろうとするのをシンノが止める。
150 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/17(火) 00:37:04.94 ID:0odu4eHO0
シンノ「リズマ、大丈夫か!?」
ネーア「無理に動くでない!」
リズマ「シンノさん……大丈夫、です……たぶん」
ユスカ『リズマ?リズマに何かあったの!?』
リズマ「……大丈夫、姉さん、私たちは、勝ったから……みんなで、帰る……」ガクッ
ユスカ『リズマ?リズマっ!?』
シンノ「脈は安定している」
ユスカ『……あ、あらそう……』
ネーア「あんな雑な応急処置もやらないよりはマシらしいのう」
シンノ「じゃあお前がやればよかっただろ」
シカーグ『細かい話はあとだ、諸君』
シンノ「シカーグ将軍?」
二機目のXウィングがWウィングの右側に現れる。
シカーグ『だがシンノ、私からも一言だけ祝わせてくれ。本当に、よくやってくれた』
その風防越しに、マンダロリアン・アーマーの男がサムズアップを寄越した。
シンノ(……ユスカはあんたに似たらしいな)
シンノは黙って同じ仕草でそれに答える。
151 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/17(火) 00:37:33.05 ID:0odu4eHO0
シカーグ『とにかく、帝国軍が混乱してるうちに脱出しなければならん』
シンノは再度後方の映像に目を向ける。
将軍の言う通り、帝国軍の艦船や航空機は煙を吹くものやらめちゃくちゃに飛び回るものやら、あからさまに混乱しているものばかりだ。
シカーグ『我々はこれからハイパースペースを通り、基地を脱出した艦隊との合流地点に向かう。君も一旦そうするのがよかろう、座標を送信する』
シンノ「……よし、受信した。R3、計算を頼む」
R3-C3『ピポポ ピポポ』
シンノ「それで、新居のあてはあるのか?」
シカーグ『ある。ただ、家探しのあいだは船で暮らすことになる……もしよければ、君もどうだね?』
シンノ「……」
シンノはほんの少しだけ不安げな表情をして、隣のネーアを見た。
ネーアはニカッと笑って、彼の肩をぶっきらぼうに叩く。
シンノは同じように笑ったあと、無線に応答した。
シンノ「喜んで!」
152 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/17(火) 00:38:05.39 ID:0odu4eHO0
ターキン『衛星砲台を破壊され、一度は居場所を特定した反乱軍を取り逃がした……か』
ターキン『ごく辺境のこと、スケールは小さい。主力艦にも沈んだものはいない。戦略的には無視しうるインシデントだ』
ターキン『――とはいえ敗北は敗北。このことが知れ渡れば帝国軍の不敗伝説を台無しにしかねないぞ、提督』
ワイマッグ「……承知しております。まことに申し訳ない、大失態でございます」
翌日、ダン・ザ・フローの秘密通信室にて、ワイマッグ提督は3D映像に向かって頭を下げた。
映し出されているのはグランドモフ・ターキン――その影響力はヴェイダー卿をも超える、皇帝に次ぐ銀河帝国ナンバー2の人物だ。
ターキン『――お前をQC宙域提督から解任する。QC方面艦隊司令官からも解任』
ワイマッグはヴェイダー卿との対面とは違う意味で息が詰まるような思いだった。
生々しい右頬の傷の上を汗が一粒伝っていく。
ターキン『オルトロ宙域の第二艦隊……インペリアル級スター・デスロイヤー四隻をQC宙域に移動する』
ターキン『その司令官、タクージン・シカーグをQC宙域提督および艦隊総司令官に任命』
ワイマッグは滝のような汗をかきながら「お前は処刑だ」の一言を待っていたが、ふと彼の頭に疑問が浮かんだ。
自分が処刑やそれに等しい左遷の処分を受けるなら、なぜ後事のことを話してくれるのだ?
ターキン『この艦隊をQC宙域第一艦隊とし、これまで第一艦隊だったヴェネター級四隻は第二艦隊と改称』
ターキン『その司令官にセード・ワイマッグ、お前を任命する』
153 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/17(火) 00:38:41.21 ID:0odu4eHO0
ワイマッグ「……!総督、私は……私は処刑されないのですか!?」
ターキン『通常の軍規に従えば、間違いなく処刑だ。しかし今回は三つの要因により、お前にもう一度チャンスを与えることにした』
ターキン『一つは防諜。辺境とはいえ提督……宙域のトップに君臨する者を処刑するのは、今回の敗北を察知される原因になりかねない』
ターキン『二つ目は人材不足。知っての通り、大戦中QC星系は分離主義勢力のホームグラウンドだった。ゆえに共和国軍、そしてその後継である帝国軍には、ここの地理や事情に精通している者はほとんどいないのだ――戦後、現場で経験を積んだお前を除けばな』
ターキン『その知識を処刑場の露にするには惜しいと判断した。シカーグ新提督も、QC宙域は足を踏み入れることさえ初めてだろう……よろしくサポートしろ、第二艦隊司令官』
ワイマッグ「……は、はっ!お任せください!」
ターキン『……そして、お前のその傷』
ワイマッグ「……?この頬の傷、でしょうか」
ターキン『反乱軍にジェダイがいるという報告は受けた。その傷は彼にライトセーバーで斬りつけられたんじゃないかね』
ワイマッグ「はっ、まったくもってその通りです……ご慧眼……」
ターキン『何年もジェダイと一緒に戦っていれば、その切り口くらい嫌でも覚える。お前の父も覚えていたはずだ』
ワイマッグ「……父をご存じなのですか」
ターキン『……その思い出と、ジェダイに立ち向かった胆力に免じて。これが三つ目の要因だ』
ワイマッグは父の話を持ち出されたことに不満を表すでもなく、ただ、感慨深そうに黙り込んだ。
父の思い出、そしてその戦友であるコマンダー・コーチ……今はもう帰らぬ先達の思い出が、彼の頭の中を駆け巡る。
ワイマッグ「――はは、今日ほど親の七光りを有難く思ったことはありません」
再び口を開いた時、彼の表情から緊張は消え、人間らしい感情と、若き将校らしい不敵な自信が戻っていた。
154 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/17(火) 00:39:11.30 ID:0odu4eHO0
ターキン『だが気をつけることだ。その七光りも二度は通じん』
ワイマッグ「承知しました。シカーグ新提督のもと、必ずや反乱軍を殲滅してご覧に入れます……ところで」
ターキン『何だ?』
ワイマッグ「ヴェイダー卿の指揮下にある、ジヒス・マーズ管理官のことですが」
ターキン『ああ、彼女のことなら、ヴェイダーが今度……手を下す、と言っていたが』
ワイマッグの背中に冷たいものが走る。
しかし彼は怖気づくことなく、強気に申し出た。
ワイマッグ「……では総督、もしよろしければ、彼女を私に引き渡すようヴェイダー卿に口を利いていただくことはできませんか?」
ターキン『……出来ないことはないが、お前は今の自分の立場をわかっているのか』
ワイマッグ「もちろんタダでとは申しません。『ラグナロク』は、完成以前に一度小惑星に向かって砲撃試験を行いました。私はそのときのデータを保管しております」
ターキン『それは私や関連部署に提出して当然のものではないかね。取引材料として成立していない』
ワイマッグ「いえ、データはもとより差し上げるつもりです。私が申し上げているのは……そうですね、言葉は悪いですが、口止め料とでも申しましょうか」
ターキン『誰に対してだ?』
ワイマッグ「クレニック長官へです」
ターキンは口ごもった。
現在秘密裡に進められている超兵器計画のイニシアチブをターキンと争っている人物だ。
155 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/17(火) 00:39:49.93 ID:0odu4eHO0
ターキン『……』
ワイマッグ「……」
ターキン『……フン。どこから聞きつけたんだか……政治が上手いな。実に小賢しい』
ワイマッグ「父よりも上手いでしょうか?」
ターキン『どうかな……マーズ管理官の件、ヴェイダーに言っておこう。データはひとまず私の執務室に送れ』
ワイマッグ「承知しました。整理して今日中にアップロード致します」
ターキン『……私でなければ気分を損ねてお前を処刑していたかもしれんぞ。どうしてこんな危ない橋を渡る?あのジェダイ崩れに惚れでもしたか』
ワイマッグ「……父上のことを思い出して、センチメンタルになりました」
ターキン『よく言う。ダークジェダイの手駒をどうする気か……とにかくデータは間違いのないよう取り扱えよ、口止め料まで取ったのだからな』
ターキンは最後に釘を刺し、通信を切断した。
映像が消えると、ワイマッグはがくりと姿勢を崩した。
膝が笑って歩くことさえままならない。
汗がいよいよ激しく噴き出し、ワイマッグは何度も汗を拭う。
どうにか緊張の反動が消えると、彼は一度深呼吸をしてから通信室を出た。
マーズ「提督……」
ワイマッグ「うおっ!?」ビクッ
部屋を出た途端、ワイマッグは飛び上がらんばかりに驚いた。
ドアの横に当のマーズが俯き加減で立っていた。
156 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/17(火) 00:40:48.00 ID:0odu4eHO0
ワイマッグ「な、何をしている、こんなところで……」ドギマギ
マーズ「……その、お話が……たまたま、耳に入ったと申しますか……」ボソボソ
ワイマッグ(秘密通信室の壁が音を漏らすはずはない……こいつ、フォースか何かで盗み聞きしていたな)
ワイマッグはヴェイダーに脅されたときのことを思い出しつつ、あらためてマーズを見やった。
いつもの黒装束は駄目になったと見えて、一般士官用の軍服を着ている。
両手には黒い手袋をはめているが、おそらくその下は機械義手だ。
マーズ「……なぜ、あのような……」ボソボソ
ワイマッグ「……なんだって?」
ワイマッグが聞き返す羽目になったのは、マーズの声はひどく小さかったからだ。
表情に乏しくわかりにくいが、顔にも憔悴の色が見える気がした。
そして何より、いつも無差別に放射していた威圧感が嘘のように消えている。
今はむしろ、いかめしい装甲服のトルーパーたちの行き交う帝国軍基地の中で、彼女の体はひどく小さく見えた。
157 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/17(火) 00:41:16.03 ID:0odu4eHO0
マーズ「……なぜ、あのような危ない取引までして、私を……?」
ワイマッグ「……」
マーズ「私は提督に何度も手を上げました、それなのに……それなのに、どうして――」
ワイマッグ「……たしかにお前は乱暴で、鉄面皮で、フォースを鼻にかけたいけすかない奴だ」
ワイマッグ「だけどどうしようもなく寂しがりやで、弱虫でもある……だったら、一人くらい」
ワイマッグはマーズの頭を撫でた。
ワイマッグ「一人くらい、お前のことを見てやる奴がいてもいいだろう」
マーズ「……私、を……」
マーズが噛みしめるように呟くと、あっという間にその目に涙が溜まる。
そしてすがるように手を伸ばすのを、ワイマッグは思わず抱きとめる。
158 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/17(火) 00:41:51.65 ID:0odu4eHO0
ワイマッグ「お、おい……?」
マーズ「……うぅ……うぐぅ……」ボロボロ
マーズはワイマッグに抱き着いて恥も臆面もなく泣きじゃくり始めた。
マーズ「てぇとくぅ……」ボロボロ
ワイマッグ「お、おい……!だいたい俺はもう提督じゃ……」オロオロ
廊下を行き交うストームトルーパーたちが歩く速さを緩め、二人を怪訝な目で見やる。
ワイマッグの地獄耳は曲がり角の向こうの話し声を聞きつけた。
トルーパー1「……あの管理官が……提督ってすげえ人たらしだなあ」ヒソヒソ
トルーパー2「ていうかあれはもうデキてるだろ……」ヒソヒソ
トルーパー3「元ジェダイっていうからには純潔……」ヒソヒソ
ワイマッグ「そ、そんなんじゃないっ!そんなんじゃあっ!貴様ら全員営倉送りになりたいかあああ!?」
マーズ「うぐ……えっぐ……」ボロボロ
159 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/17(火) 00:42:22.82 ID:0odu4eHO0
数日後、惑星ハクカを逃れたQC宙域の反乱軍はヤヴィン4の反乱同盟軍本拠地に身を寄せていた。
秘密基地に改造された古代遺跡のバルコニーから西の空、ジャングルに沈む夕焼けを眺める。
眼下の発着場に視線を下ろせば、QC反乱軍の艦船と戦闘機が新天地探求の旅に備えて給油と整備を受けている。
シンノ「ネーア、こんなところにいたのか」
R3-C3『ピポポ ポポピーポ』
ネーア「……シンノ」
シンノは西日に目を細めつつ、R3-C3とともにバルコニーに姿を現した。
ネーアが胸壁めいた石造りの手すり越しに景色を眺めていたのを見て取ると、少し眉を上げてから彼女を抱え上げ、手すりの上に座らせてやる。
シンノ「こっちのほうがよく見えるだろ」
ネーア「ほほう……」
ネーアは日陰から日向へ移り、一気に視界が広がり少し上機嫌になった。
しかしシンノがさりげなくローブの裾を掴んでいるのに気付いて眉を潜める。
160 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/17(火) 00:42:53.31 ID:0odu4eHO0
ネーア「……その手を離せ。落ちやせんわ、子供じゃあるまいし」
シンノ「……しかし、せっかく反乱軍の皆が俺の歓迎会を開いてくれたってのに、お前だけ抜け出してこんなところでずっと黄昏て。年寄臭いぞ」
ネーア「元から年寄ぞよ」ツーン
シンノ「おいおい……ちょっと薄情なんじゃないか?」
ネーア「苛立つか?」
シンノ「寂しいね」
ネーア「カカカ、よく言うわい」
R3-C3『ポポピーポ プウウー』
シンノ「お、おいおい……R3のやつ、『むしろせいせいしてた』とかなんとか……」
ネーア「こいつが一番薄情ぞよ」
シンノ「……まあ、臆病者のくせにこんなこと言えるくらいには、R3もお前のことは信頼してるってことさ」
ネーア「どうじゃろうな。いつか叩き壊してしまうかもしれんぞ」フン
R3-C3『プアアアー!』ガタガタ
161 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/17(火) 00:43:23.60 ID:0odu4eHO0
シンノは戦慄するR3-C3を見てにやにやしたあと、手すりに肘をついて、発着場の整備作業を見物し始めた。
ネーアはそっぽを向いたまま話しかける。
ネーア「……歓迎会に戻ったらどうじゃ。そなたにとっては復権の場じゃろう」
シンノ「復権?」
ネーア「そうじゃ。ジェダイとしての復活と言い換えてもいい。再び正義、希望の看板を背負って、ライトセーバーを振り回すための……」
シンノ「……まさか、自分がシスだからそういう場に顔を出すのはよくないとか思ってるんじゃないだろうな?」
ネーア「……あのなあシンノ。妾は『執着』の感情からダークサイドに足を踏み入れたゆえ、あれが欲しいとかこれが欲しいとかその程度で、比較的温厚なのは間違いない。だが勘違いしてはいかん」
ネーア「妾の師匠のメドーは『殺意』、弟子のノートは『破壊』、グレイヴスはたしか『支配』……カッコよく脚色されて語られがちじゃが、シスは基本的にそういうろくでもないクズの掃きだめぞよ。忌避して当然じゃぞ」
シンノ「……でも、お前はお前だろ」
ネーア「は?」
シンノ「何だ、腹立つな……いいこと言っただろ」ムッ
R3-C3『ポポピーポ プププ』ガタガタ
シンノ「R3、黙らないと電源落とすぞ」
R3-C3『……』
162 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/17(火) 00:44:29.84 ID:0odu4eHO0
シンノ「ネーア……お前が言うのはたしかに一つの真実なのかもしれない。出会ってすぐの俺もそう思ってた。でも気づいたんだ」
シンノ「キイで、ハクカで、ラグナロクで……意識したにしろ、してなかったにしろ、お前は俺の原動力になってくれてた」
シンノ「ありのままの俺を受け入れて、励ましてくれさえした。俺にとってはお前が希望って言ってもいいくらいだ……そんなやつと仲良くなることが、悪いことのはずはないさ」
シンノは空を見上げた――夕焼けはこんなにも美しい。
たとえ温かく明るい昼が終わり、冷たく暗い夜が訪れようとしているとしても。
三人で見ているから、いつか惑星キイで見た朝日よりももっと。
ネーア「……」
ネーア「なあ、シンノ」
シンノ「何だ?」
ネーア「そなた、自分で言ってて恥ずかしくないのか?」
シンノ「てめえ突き落としてやろうか!?」
ネーア「カカカ、冗談ぞよ、冗談!……冗談ぞよ!?ど、どうしてそんな……怖い顔……」
R3-C3『……』ガタガタ
そのとき階下からシンノを呼ぶ声が響く。
ユスカ「ちょっとシンノ、どこー!?主役いないんじゃパーティになんないじゃん!」
シカーグ「オーガナ議員が話を聞きたいと仰ってるぞ!」
C7-BDB『娘ダケジャネエ、ぱぱノホウモダゼー!』
リズマ「シンノさあ〜ん!?私の話も聞いてくださいよぉ〜!?」
ユスカ「ちょ、ちょっとリズマ飲みすぎじゃ……」
163 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/17(火) 00:45:33.12 ID:0odu4eHO0
シンノ「……」
ネーア「……やれやれ、じゃな。仕方ないから、妾も付き合うぞよ」
シンノ「……そうか……じゃあ、戻るか!」
R3-C3『ポポピーポ』
二人は黄昏のバルコニーを後にして、明るく照らされた、賑やかなパーティ会場に戻った。
パーティにも終わりは来るが、少なくとも今の彼らにとっては、それはずっとずっと遠い先……
ネーア「久々に飲むぞよ!」
シンノ「その体で飲んで大丈夫なのかよ……?」
164 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/17(火) 00:46:02.89 ID:0odu4eHO0
ED(スターウォーズメインテーマ)
スタッフロール略
165 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/17(火) 00:46:56.56 ID:0odu4eHO0
「マスター。ご所望の、ハクカ会戦の資料をお持ちしました」スッ
『思ったより早かったな。ご苦労』パシッ
「帝国軍では機密扱いになっておりました」
『そうだろうな……うん、例のジェダイのことも載っているな』ペラペラ
「例のジェダイとは……?」
『この戦闘があったとき、ハクカ上空に強いダークサイドの力を感じたのだ。強力な素質の持ち主の出現だ……それがおそらく、彼』スッ
「……『シンノ・カノス』……」
『彼を味方につければ帝国転覆の大きな助けとなろう……とはいえ、下手に接触すればいたずらに危険を招くばかり』
「では……どうなさいますか」
『……ふむ……〈あいつら〉を利用するときが来たか』
166 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/17(火) 00:47:26.04 ID:0odu4eHO0
「またライトセーバーのコレクションが増えたわ!」
「ザイン・ザ・ハット様は『処刑を執行しろ』と仰っています」
「……私はダース・テイティス……シスの暗黒卿が一人」
「ぶ、無礼者ですわっ!いやしくもヤマタイトの末裔である私に、なんという……」
「俺は第九の尋問官、ナインス・ブラザー」
「マンダロリアンらしく、一対一で決着をつけようじゃないか!」
「ジェットパックが!?」
「お前のせいで……!」
「ようこそ、独立星系連合へ」
STARWARS エピソード3.5
公開日未定
167 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/04/17(火) 00:50:09.09 ID:0odu4eHO0
以上となります
最後まで読んでいただいて本当にありがとうございました
HTML化依頼は近々出しておきます
168 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/17(火) 01:05:04.47 ID:QEBpDYhVo
乙
続きも書いてくれよ〜頼むよ〜
169 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/17(火) 01:17:13.23 ID:c/TrJIpl0
オーツーカーレー
170 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/17(火) 03:18:36.16 ID:Q5UMbtS30
完成度高いな
続きまってるで
171 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/17(火) 08:17:23.34 ID:k8bmztAsO
乙
次が楽しみ
172 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/04/17(火) 14:47:05.86 ID:j6/jo2fcO
日本の今の若いファンを取り入れるならこれくらい膾炙が必要なんだろうな
コテコテのラノベテイストから原作愛を感じたぞ
フォースとともにあらんことを
>>1
乙
173 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/17(火) 15:30:06.46 ID:bviolHxi0
フォースとともにあらんことを
シス勢力が魅力的に描けるなんて驚いた
174 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/17(火) 19:39:34.55 ID:VgLFA6Yf0
うーん面白かった、乙
全体の流れもちゃんとSWしてるし
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