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櫻井桃華「この素晴らしき庶民文化探究を、皆さまと」
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43 :
☆13/15
[saga sage]:2018/03/26(月) 20:10:14.93 ID:DUOPLFLo0
桃華「庶民の力を侮ってはなりません! そして庶民力を補給した今、わたくしにも可能であるということをッ!!」ドン☆
桃華「はあぁぁーーーーーーーーっ!!!!」
卯月「で、デッキから謎の光が!!」
千秋「(まぶしッ!! 目に悪い!!!)」
桃華「おいでなさいッ!! わたくしの相棒ぉぉぉーーーーーーーっっ!!!!」
桃華『ディスティニー・ドローーーーーーーーーーーーーーッ!!』
───スッ
桃華「………」
千秋&卯月「………」
桃華「……2枚のカードを場に伏せて」
千秋&卯月「………」
桃華「……た、ターン………」
桃華「………………………………ターンエンド、ですわ……」
千秋「(………)」
夏樹「(千秋のリバースカードに【はたき落とし】があったが……、まあ使わなくてもいいか)」
千秋「(それは?)」
夏樹「(相手が今引いたカードを、そのまま捨てさせる罠カードだよ)」
千秋「(やめてあげて……)」
44 :
☆14/15
[saga sage]:2018/03/26(月) 20:11:54.36 ID:DUOPLFLo0
夏樹「……まあ、どっちにせよ」
夏樹「もうお前の勝ちだぜ。千秋」
桃華「ま、まだ勝負はついていませんわ!?」
拓海「くっそー……。デッキ破壊デッキはそう上手く嵌らねえかぁ」
千秋「デッキ破壊?」
夏樹「ああ。デュエルの勝利方法は、例外もあるけど基本は『相手のLPを0にした時点』か『相手の山札(デッキ)を0枚にしてカードを引けなくした時点』でさ」
夏樹「桃華は、後者を狙った玄人向けのデッキで挑んでたんだよ。デッキ組んだのは拓海だけど」
千秋「確かに……、やけにカードを引かされたりして、捨てさせられたりしたわね。そういう効果のカードも多かった気がする」
卯月「デッキ構成にも、特色があるんですね?」
拓海「ああ。融合デッキ、トゥーンデッキ、種族デッキ、テーマデッキ…………戦法も全然違ってくるし、奥が深いんだぜ?」
琴歌「ふむふむ。色々あるものですわ……!」
夏樹「とりあえずこの勝負を付けようか」
千秋「そうね。手札から【ゴブリン突撃部隊】を攻撃表示で召喚」
http://i.imgur.com/iRURuOa.jpg
ゆかり「(………)」
千秋「そのまま櫻井さんに直接攻撃よ!」
桃華「罠カード発動! 【聖なるバリアーミラーフォース】っ!」
桃華「相手の攻撃宣言時、相手の全ての攻撃表示モンスターを破壊ですわ!」
千秋「あっ!?」
千秋「…………っ!」
千秋「こ、これで………私のモンスターカードが全部やられちゃったけど、マズイんじゃないかな?」
夏樹「あちゃー、やられたな」
桃華「(フフフっ♪)」
夏樹「じゃあこっちは罠カード、【リビングデッドの呼び声】だ」
桃華「あうっ!?」
千秋「そ、そうね! これで私のモンスターが1体生き返るわ!」
千秋「【ジャイアント・オーク】を墓地から呼び戻して、これで……!!」
http://i.imgur.com/w3AVcxQ.jpg
ゆかり「(………)」
ゆかり「あの〜……」
拓海「どうした?」
45 :
☆15/15
[saga sage]:2018/03/26(月) 20:12:40.70 ID:DUOPLFLo0
ゆかり「はい。先ほど拓海さんは、戦法によって組み方が変化し千差万別のデッキがあると言っていましたが……」
拓海「ああ」
ゆかり「では、千秋さんのデッキは一体、何を念頭に置いて構成されているのですか?」
ゆかり「見ていると随分、その………たくましいイラストのモンスターカードが多い気がして……」
千秋「(───!?)」
琴歌「どことなく凶悪で、かなり強そうな絵柄のモンスターばかりですわ」
拓海「確かにな。種族で統一してるカンジとは違うし……脳筋デッキか?」
卯月「屈強モンスターデッキ?」
ゆかり「マッシブデッキ?」
千秋「」
夏樹「………」
琴歌「(あっ………)」
卯月「ち、千秋さん……?」
ゆかり「や、やっぱり……」
桃華「いえ、お待ちください!」
桃華「もしや千秋さんのデッキは、『くっ! ころ───」
千秋「ジャイアント・オーク!!」
千秋「櫻井さんに、ダイレクトアターーック!!!」
ジャイアント・オーク『グオオオオオオォォ!!!!』
桃華「ぅあああああああああああああああっっ!!!!!!!!!!!」
【★LP: 1500→0】
──────
────
──
46 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/26(月) 20:13:18.44 ID:DUOPLFLo0
──
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──────
【幕間D】
『櫻井桃華学習帳(通称・モモカ学習帳)』
櫻井桃華学習帳とは、庶民文化探究を目的とする七曜会リーダー・日曜日である櫻井桃華が活動に支障が出ないよう、とあるツールを使って独自に収集・調査した庶民文化の用語や知識や解説がまとめられた手記であり、全4巻から成る汗と涙の結晶である
──────
────
──
47 :
☆1/14
[saga sage]:2018/03/26(月) 20:16:06.02 ID:DUOPLFLo0
──
────
──────
【タクシー内】
桃華「次に足を運ぶのは、喫茶店です」
千秋「喫茶店でゲームを?」
桃華「ええ。午後からの予定は、全てその喫茶店で行います」
桃華「お仕事を終えた金曜日さんと火曜日さんとは、そこで待ち合わせていますのよ」
千秋「財前さんとライラさんもいよいよ合流するのね」
卯月「そういえば」
卯月「今向かってる喫茶店って、ひょっとして……」
千秋「??」
卯月「例のイベントの、企画店舗のうちの一つだったよね?」
千秋「例の───………っ、あぁ!」
桃華「御賢察ですわ、卯月さん。おっしゃる通り」
桃華「七曜会のメンバーには居りませんが、我が事務所で現在進行中のイベントで提供して頂いている店舗の一角ですわ」
千秋「だとすれば多くても、5、6人は誰かアイドルが働いてるのよね?」
桃華「シフト性だとは思いますが、おそらくは」
卯月「じ、邪魔しないようにしなきゃ……」
桃華「ご安心を♪ 本日は貸切ですわ♪」
千秋「けれど、羽を伸ばし過ぎてもダメだからね? 櫻井さん」
桃華「もちろんっ♪ もちろんですわ千秋さん♪」
卯月「(イベントかぁ。誰がいたっけ……?)」
48 :
☆2/14
[saga sage]:2018/03/26(月) 20:17:56.34 ID:DUOPLFLo0
━━━━━━15分後━━━━━━
【〇〇喫茶・店前】
桃華「お待たせ致しましたわ、火曜日さん! 金曜日さん!」
ライラ(火曜日)「ちんちこーる(挨拶)ですよ、モモカさん」
時子(金曜日)「………」
千秋「お疲れ様です。財前さん、ライラさん」
時子「……ええ」
卯月「この場所が、さっき話してた喫茶店ですね?」
ゆかり「7つあるうちの協賛店舗の中では、一番小さい店舗らしいです」
琴歌「しかしアンティークの看板や置物、調度品がありますわ♪ 外景からでも良さそうな雰囲気が伝わってきます♪」
千秋「喫茶店というよりはバーに近い印象だけれど……」
時子「そろそろ足が疲れたわ」
ライラ「おなかも空きましたですよ〜」
千秋「アッ! は、はい。行きましょうか、櫻井さん」
桃華「…………」
千秋「櫻井さん?」
桃華「…………感無量です」
桃華「わたくしがこの会を開催してから早一年。ついに七つの曜日が……」
桃華「……同じ志の皆さんと、時間を共にできる日が来ようとは」
千秋「(……!)」
時子「……何でもいいわ」
時子「感傷に浸ってないで、早いところ余興で笑いの一つでも取ってみなさい。ホラ、さっさと」
桃華「え、ええ! さあ皆さん、中へ入りましょう♪」
千秋「……」
───カランカラン♪
49 :
☆3/14
[saga sage]:2018/03/26(月) 20:19:52.34 ID:DUOPLFLo0
━━━━━━━━━━━━
【メイド喫茶・店内】
店長「───!」ガタッ!
店長「櫻井様! ようこそお越し下さいました!!」
桃華「今日はお世話になりますわ♪」
店長「ウィ、マドモアゼル! 本日はごゆっくりと、楽しいひと時をお過ごしください。僭越ながらスタッフ一同で、心よりお持て成しをさせて頂きます」
店長「………おぅい。みくにゃん」パンパン
みく「お、お帰りなさいませ、ご主人様……!」
千秋&卯月「!」
千秋「ま、前川さん!」
卯月「その恰好……、あっ! そ、そうか!」
卯月「メイド喫茶!」
ゆかり「今回のイベントは、そういう趣向でしたものね♪」
琴歌「猫耳も相まって、とっても愛らしいコスチュームですわ♪」パシャパシャ!
みく「(ぐっ……、何故に桃華チャン達がこの店に)」
店長「(上客だ。チップの催促を忘れるな、毟るところまで毟れ)」
みく「(いや、絶対しないし)」
みく「こ、こちらへどうぞ♪ ご案内いたします〜」
時子「………………」
みく「(───ッ!?)」ビクッ!
時子「そこの張り紙に『任意の追加オプション可。料金、要相談』と書いてあるのだけれど」
時子「内容はいかなるものかしら?」
店長「はっ! 膝枕から、首輪を付けての市街散歩まで!」
みく「絶対にしないから!!!」
50 :
☆4/14
[saga sage]:2018/03/26(月) 20:20:49.61 ID:DUOPLFLo0
━━━━━━10分後━━━━━━
桃華「さて、注文も済みましたし」
琴歌「この時間は、どのようなゲームを??」
桃華「このメイド喫茶で行うのは『じゃんけん』です」
ゆかり「じゃんけんって、あの?」
桃華「ええ。皆さんが恐らく頭の中に思い浮かべたじゃんけん、それで相違ありませんわ」
桃華「簡素故にこれ単体で遊ぶというよりは、何かの目的のための手段であったり、他のルールや条件を付随させるものも多く見受けられますわね」
桃華「例えば……わたくしはあまり馴染みが無いですが」
桃華「給食で余ったプリンを手に入れるために大勢で。あるいは物事の順番を決めるために採用されたり、時には多重債務者がひしめく船内で命を懸けた催しごととして繰り広げられたり……」
千秋「(最後のは何)」
卯月「(やっぱりどのゲームでも命を懸けるんですね)」
桃華「多くとしては、何かの勝敗を決するために用いられるのがこの『じゃんけん』ですわ」
桃華「さて、あと20分ほどでしょうか」
琴歌「13時です?」
桃華「はい。このメイド喫茶では13時より───」
桃華「“萌え萌えじゃんけん大会”を開催いたしますのよ♪♪」
時子「……もえもえじゃんけん?」
桃華「ヒッ!?」
千秋「(やばい)」
アーニャ「イズヴィニーチェ シュトー ザデルジャールシャ♪」
アーニャ「こちら『しろくまさんフロート』と『きらきらラメとバニラアイス盛りホットケーキ』、『がっつりカツカレー』、『はつみつワッフル、洋梨のコンポート添え』になります♪」
ライラ「全部ライラさんですよー」
千秋「全部!?」
ライラ「はい。お仕事でお腹が空きましたです」カチャ
千秋「お、お疲れさま……」
卯月「というか、アーニャちゃんっ!」
アーニャ「ズドラーストヴィチェ♪ ご主人様ー♪」
51 :
☆5/14
[saga sage]:2018/03/26(月) 20:21:53.16 ID:DUOPLFLo0
琴歌「お疲れ様です、アーニャさん♪」
桃華「ごきげんよう♪ ちょうどいいタイミングですわ」
桃華「アナスタシアさん? よろしければ、この萌え萌えじゃんけんと大会の概要について具体的な説明を頂けますでしょうか?」
アーニャ「ダー♪ パニャートナ♪」
アーニャ「私達メイドさんとみなさんで、じゃんけんの勝負をします」
アーニャ「最後の一人まで、続けます。勝ち残った人には、記念の撮影と、豪華な賞品をプレゼント、ですよ?」
ゆかり「思ったよりシンプルですね」
千秋「じゃんけんだしね」
アーニャ「あっ。あと」
アーニャ「掛け声と、ポーズがありまして」
卯月「うんうん……」
アーニャ「にゃんと♪ にゃいすな♪」
アーニャ「萌え萌えにゃんにゃん♪」
アーニャ「最初はにゃん♪ じゃんけん……」
アーニャ「ぽーん!」
桃華「カワイイ!!!」ガタッ!
琴歌「ソレですわ!!!」ガタッ!
ゆかり「やりましょう!!!」ガタッ!
卯月「かわいい……♪」
ライラ「………♪」モグモグ
時子「帰るわ」
千秋「財前さん!?」
52 :
☆6/14
[saga sage]:2018/03/26(月) 20:23:21.09 ID:DUOPLFLo0
アーニャ「記念の撮影も、この猫のポーズで、私達メイドと一緒に撮りますよ」
時子「帰宅意欲に拍車をかける有益な情報ね。これで心置きなく店を後に出来るわ」スッ
桃華「か、勝てばいいだけですわ金曜日さん! それとも……」
桃華「………モ、もしかして自信が無いんです?」
時子「低俗な挑発に揺れるほど、脆弱な精神を持ち合わせてはいないの。残念ね」
卯月「ま、まあまあ……」
卯月「折角ですし、ね? 時子さん、その……ようやく全員が集まった訳ですし……そのぉ……っ」オロオロ
時子「………」ジロッ
卯月「…………………………………………………………………………………………ナ、ナンデモないデス……」
千秋「(し、島村さん!)」
桃華「(も、もうちょっと頑張って下さいまし!!)」
卯月「(ゴ、ごめんなさい……)」
みく「お待たせにゃー♪」トコトコ
みく「こちら『よくばりキッシュプレート』と『サンライトエッグガレッド』と『にこにこポテト盛り合わせ』になります♪」
ライラ「みくさん、それもライラさんですよー」モグモグモグ
みく「えっ、そうなの? すごい食べるね」
千秋&卯月「………」
桃華「………」
時子「………」
━━━━━━20分後━━━━━━
みく「ご主人様たち、お待たせしました♪」
アーニャ「ただ今から、“萌え萌えじゃんけん大会”を、はじめまーす♪」
みく「店内前方の、小さなステージまでお集まりくださいにゃ♪」
桃華「恨みっこなしの勝負ですわ!」
ゆかり「ふふふっ……腕が鳴りますね」
琴歌「豪華賞品はなんでしょう? 気になりますわ」
ライラ「ばっちこい、ですよー」
卯月「ライラちゃん、本当にすごい食べるね……」
千秋「………」チラッ
時子「………なによ」
千秋「ナ、なんでも……」
53 :
☆7/14
[saga]:2018/03/26(月) 20:50:04.19 ID:DUOPLFLo0
━━━━━━1回戦:アナスタシア━━━━━━
アーニャ「じゃんけんを担当するメイドさんは、私とみくが、交代で行います」
みく「ご主人様達、ポーズはバッチシかにゃ〜??」
桃華&琴歌&ゆかり「はーい♪」
千秋「(ちょっと恥ずかしいけど)」
卯月「(そうですか?)」
アーニャ「さっそく、行きますよ?」
時子「………」
アーニャ『にゃんと♪』
桃華&琴歌&ゆかり「にゃいすな♪♪」
卯月「萌え萌えにゃんにゃん♪」
千秋「最初は」
ライラ「にゃん♪」
アーニャ『じゃんけん……!』
アーニャ『ぽーん!』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
アナスタシア:【グー】(※ 勝〇 負● 引△)
櫻井桃華:〇
西園寺琴歌:○
水本ゆかり:●
ライラ:●
島村卯月:△
黒川千秋:○
財前時子:○
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
千秋「か、勝ったわ!」
時子「……………チッ」
桃華「ふふふっ♪ 楽勝ですわね」
ゆかり「まあ……」
卯月「ちなみに、あいこはどうするの??」
アーニャ「あいこの方は、もう一回ですよ」
卯月「よぉし、頑張りますよっ!」
※島村卯月、1回戦敗退●
54 :
☆8/14
[saga]:2018/03/26(月) 20:51:17.23 ID:DUOPLFLo0
━━━━━━2回戦:前川みく━━━━━━
卯月「(ふ、普通に負けた……)」
みく「残ったのは4人かにゃ?」
ライラ「皆さん、ファイトですよー」モグモグ
ゆかり「にゃー♪」
卯月「(あっ。負けたら着席か)」スッ
みく「じゃあ行っくよー!」
みく『にゃんと、にゃいすな♪』
桃華&琴歌「萌え萌え、にゃんにゃーん♪」
千秋「最初は、ニ、にゃン……ッ!」
みく『じゃーんけーん! ぽーん♪』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
前川みく:【パー】
櫻井桃華:〇
西園寺琴歌:●
黒川千秋:△
財前時子:△
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
琴歌「あうぅっ! し、賞品が……」ガクッ
千秋「そこまで欲しかったの?」
琴歌「もちろんですわ! 初めて耳にする珍しい催しでしたので非常に興味がありましたのに……」シュン
みく「あいこの二人は、もう一回にゃ!」
みく『にゃんとにゃいすな♪』
千秋「もっ、萌え萌え……にゃん、にゃんっ!」
みく『最初は〜♪』
時子「………」
千秋「じ、じゃんけん……………、ぽん!」
※黒川千秋、2回戦敗退●
財前時子、2回戦勝利○
55 :
☆9/14
[saga]:2018/03/26(月) 20:53:17.00 ID:DUOPLFLo0
千秋「……ふぅ」
卯月「桃華ちゃん、つよいね!」
桃華「フフフ……!」
桃華「じゃんけんとは、シンプルに見えてなかなか奥深い遊びです」
千秋「そうかしら?」
桃華「はい。じゃんけんとは心理戦ですの」
卯月「心理戦? 確率じゃなくて??」
時子「………」
桃華「モチロン♪ 一見、勝ち負け分け各33%の確率による運否天賦に思えますが」
桃華「洞察と研究次第で、この勝率を大きく上げることも可能です」
千秋「そうなんだ。ちょっとソレ興味深いかも」
桃華「例えば………最初、アナスタシアさんの手はグーでしたね?」
千秋「ええ」
桃華「統計的に、もっとも人が最初に出しやすい手がこのグーなのです」
千秋「へえ……!」
桃華「かつ!」
桃華「その他の判断材料としては、足の開き方・手の持ち上げ方・力の入り具合・視線・室温・日光の差し方・髪の流し方・風水も加味しまして、アナスタシアさんが最初にグーを出す確率は70%強といったところでしたわ!」
千秋「へ、へえ………………」
卯月「(風水……!?)」
桃華「みくさんは、パーでしたね。あいこの次もパー」
千秋「そうね」
桃華「時に、卯月さん? じゃんけんの際、全国的によく用いられる『最初はグー』という掛け声の起源はご存じでして?」
卯月「『最初はグー』の、起源?」
卯月「地域独特のものかと思ったけど………ううん、ちょっと分からない」
桃華「これは昔放送していた大人気バラエティ番組『8時だヨ! 全員集合』の出演者のアイデアと、それを基にしたコントがウケてお茶の間から全国に浸透していったという説が有望です」
桃華「さらにこの『最初がグー』の際に、握り拳の力の込め方と、手を出す位置が体から遠ければ遠いほど、そして振りかぶり方が大きければ大きいほど、パーを出す確率が上がると言われており……」
桃華「みくさんの元気なご様子から、パーと予測したまでです」
卯月「そうなんだ! すごいねっ!」
桃華「あいこの次の手は、無意識的に前回の手かそれより強い手を出す確率が高いと言われています」
桃華「あとは!」
桃華「声量・タイミング・体の傾き・腰の曲げ具合・身長・血行・髪のツヤ・手相から鑑み、みくさんの次の手も70%強はパーだと、わたくしは予想しておりましたわ!」
卯月「そ、そうなんだ………すごいね…………………」
千秋「(何故どれも途中から胡散臭くなるのかしら)」
時子「…………で?」
時子「次はまだかしら。早くして頂戴」
みく「あっ、はいにゃ! じゃあ───」
のあ「………みく。少しいいかしら」
みく「───にゃ?」
千秋&時子「!」
桃華「あら? 高峯のあさん……、だったかしら?」
56 :
☆10/14
[saga sage]:2018/03/26(月) 20:54:42.24 ID:DUOPLFLo0
のあ「店長が貴女を呼んでいる。厨房に、と」
みく「あっ、ハーイ。じゃあついでに……」
みく「のあにゃん? 萌え萌えじゃんけんの3回目、お願いできる?」
千秋「(『寡黙の女王・高峯のあ』。面と向かって会うのは初めてだわ)」
桃華「(次のお相手は高峯さんなのですね。ふふっ、相手に不足はありません♪)」
時子「(…………)」
のあ「………承知したわ」
━━━━━━3回戦:高峯のあ━━━━━━
ライラ「すみません、注文をお願いします」
琴歌「私もコーヒーのおかわりを頂けますでしょうか?」
アーニャ「かしこまりましたー♪」
卯月「(高峯さん、ここのメイド喫茶の配属だったんだ)」ズズズ…
のあ「………」
時子「………」
桃華「高峯さん。わたくし、櫻井桃華と申します♪」
桃華「初めまして、ですわね? 以後お見知りおきを」
───スッ
のあ「………………」
のあ「………………よろしく」スッ
桃華「よろしくお願いしますわ♪」ギュッ♪
桃華「(………フフフ♪)」
桃華「(こうもやすやすと握手に応じてくれました。ガードが甘くてよ、高峯のあさん)」
桃華「(利き腕は右ですわね。彼女の体温、手相、握力。ここから導き出す彼女のじゃんけんの手としては……)」
桃華「(………………)」
桃華「(………けれど高峯さん、握手のために右手と右足を同時に出した。これは緊張の表れ?)」
桃華「(いいえ、彼女は新人ながらも大物のオーラを放っていると話題を集める『寡黙の女王』)」
桃華「(これは、わたくしが心の内を探ろうとしている思惑を読み、あえて掻き乱そうと……、挑発……ッ!)」
桃華「(ふ、ふふふ……! あの涼しい顔の裏はその実、闘志で煮えたぎっているという事ですわね!!)」
桃華「(流石は寡黙の女王。心理戦、駆け引きの応酬……! 受けて立ちますわ!!)」
時子「………」
57 :
☆11/14
[saga sage]:2018/03/26(月) 20:55:39.55 ID:DUOPLFLo0
のあ『……にゃんと』
桃華「にゃいすな♪」
時子「………」
のあ『…………………時子』
桃華「金曜日さん、その………ポ、ポーズは?」
時子「アァ?」
のあ『萌え萌え』
桃華「にゃんにゃん♪」
時子「………」
桃華「(………………っ)」
桃華「(よ、読み切れませんわ)」
桃華「(高峯さんの手が絞れない……。声の抑揚からはチョキですが、しかし脚の開き幅だとグー。付けている猫耳のズレ具合から予想するにパー……)」
桃華「(いいえ。店内の湿気を加味すると、チョキかもしれない……!)」
桃華「(そ、そうですわ! 彼女の視線も判断材料に─────)」チラッ
のあ『………………』ジー
桃華「(ひっ………!?)」ビクゥッ!
桃華「(み、見られていますわ!! このわたくしの目論みが、み、見透かされている……!?)」
桃華「(これは恐怖……、いえ、屈服、甘受……!?)」
桃華「(鉄の壁すら射通しそうなほどに鋭いながら、どんどん人の心の中に入り込んできそうなほどの、どこか慈愛の温かさすらも感じるその視線!!!)」
桃華「(み、見透かされる……、し、思考が溶ける………!!!!!)」ガクガク
のあ『………………』ジー
のあ『じゃんけん』
桃華「うっ………、うあああああああああああああああああああああああっっ!!!!」
のあ『ぽん』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
高峯のあ:【グー】
櫻井桃華:●
財前時子:△
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
58 :
☆12/14
[saga sage]:2018/03/26(月) 20:57:28.58 ID:DUOPLFLo0
桃華「────っ……」
桃華「完敗、ですわ」ガクッ
のあ「………」
時子「………」
卯月「桃華ちゃんが負けで、時子さんが………あいこ?」
千秋「この場合だとどうなるのかしら。最終的に残った財前さんが、勝者?」
時子「……ちょっと、冗談じゃないわ。無効よ」
時子「ハッキリしなさい、ホラ。そこの」
のあ「……?」
時子「アナタよ」
のあ「………………………」
みく「ただいまにゃー。のあにゃん、お待たせ!」トコトコ
みく「そっちはどう??」
のあ「………みく。後は任せたわ」
みく「??」
━━━━━━1分後━━━━━━
みく「えっと、じゃあ」
みく「あいこで残った時子さんと、みくで勝負を付けるというコトで」
時子「………」
桃華「金曜日さん、素晴らしい勝負を期待していますわ♪」
琴歌「勝ったら撮影と賞品ですよ〜♪」
ゆかり「時子さん、頑張って下さいっ♪」
アーニャ「お待たせしました♪ こちら、えーっと、『チョコソースがけハンバーグプレート』と『醤油ラーメン』になります♪」
ライラ「………♪」モグモグ
卯月「アーニャちゃん、私も注文お願いしていいかな?」
桃華「アナスタシアさん? わたくし、セイロンオレンジペコティーを頂けますでしょうか?」
琴歌「私は『にこにこポテト盛り合わせ』追加でお願いします!」
ゆかり「私も少しお腹が空いたので、『貴女の心にプロシュートトースト、オリーブとルッコラを添えて』を♪」
千秋「あっ、私も頼もうかな。えっと……」
時子「………」
千秋「紅茶とコーヒーの品揃えが多いんだ。じゃあ……」
時子「……」
時子「……千秋。アナタ、あとで覚悟しておきなさいよ」
千秋「ご、ごめんなさい! ほ、ホラ、私も立っててあげるから……!」ガタッ
みく「準備はいいかにゃ? じゃあ───」
時子「そもそも」
みく「にゃ?」
時子「不服なのよ。この方式」
千秋「ふ、不服??」
59 :
☆13/14
[saga sage]:2018/03/26(月) 20:58:58.90 ID:DUOPLFLo0
時子「気が乗らない催しで、のみならず勝てば萌えポーズで写真撮影?」
時子「狂気の沙汰ね」
みく「ソ、そう言われましても……」
時子「いいえ。一度自分の意志で参加している身で、今更抜けるだの中止だの言うつもりはないけれど」
みく「えっ? じゃあ……」
時子「逆よ。逆」
千秋「逆?」
時子「せめて逆にしなさい。勝てば写真撮影ではなく、“負ければ”写真撮影」
時子「自らすすんで勝ち残りを望んでいるカンジが癪だわ。罰ゲームという名目で十分なのよ、罰ゲーム」
━━━━━━最終戦:前川みく━━━━━━
(※ルール変更。負け残った者が、店内メイドスタッフと写真撮影&賞品プレゼント)」
みく『にゃんと〜♪』
みく『にゃいすな〜♪♪』
時子「………」
千秋「ほら、財前さん。ポーズポー───」
時子「………」グリッ
千秋「───ズあ゙ッ! 痛っ!!! ふ、踏むなんて酷いっ……」
時子「はー…………ハイハイ」
みく『も、萌え萌えにゃんにゃん』
みく『最初はー……!』
時子「…………にゃん」
みく『っっ!!!』
千秋「ッ!?」
時子「殺すわよ」
みく『アヒッ!! ス、すみません!』
時子「じゃんけん……」
みく『ぽんっ!!』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
前川みく:グー
財前時子:チョキ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
千秋「───ま、前川さんが……」
卯月「か、勝った!!」ガタッ!
桃華「やったッッ!!」ガタッ!
ゆかり「やりました時子さん!!」ガタッ!
琴歌「写真撮影と豪華賞品GETですわ!!」ガタッ!
ライラ「おめでとうございますですよー」モグモグ!
千秋「(みんなやめてあげて!!)」
60 :
☆14/14
[saga sage]:2018/03/26(月) 21:01:29.38 ID:DUOPLFLo0
時子「はぁ?」
みく「か、勝った……(勝ってしまった!)」
桃華「(見れる………時子さんの萌えポーズで写真撮影ッッ……!)」
時子「待ちなさい。何を言っているの」
千秋「えっ?」
時子「これは私の勝ちよ」
桃華「いいえ金曜日さん、じゃんけんのルールとして『チョキ』は『グー』に負けるのですわ。『ハサミ』は『石』に勝てないのです」
時子「だから……」
みく「?」
http://i.imgur.com/nHXcGul.jpg
みく「!!」
http://i.imgur.com/gUhMeke.jpg
桃華「!!?」
http://i.imgur.com/vMdyrxI.jpg
千秋「」
http://i.imgur.com/cUGthpW.jpg
時子「覚えておきなさい。この世には」
http://i.imgur.com/FLHDQj0.jpg
時子「石をも断ち切るハサミがあるということを」
http://i.imgur.com/RSd8xnh.jpg
桃華「…」
みく「…」
千秋「…」
ライラ「すみません、注文をお願いしますですよ〜」
──────
────
──
61 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2018/03/26(月) 21:02:10.28 ID:DUOPLFLo0
今日はここまで。また次回。
早めに更新しますー
62 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/27(火) 00:16:28.10 ID:5PaV0Jdro
マッシブ黒川
バキも全巻揃えてる
63 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/27(火) 18:51:03.32 ID:6YVDTWHko
のあさんの前作主人公が出てきた感
64 :
☆1/16
[saga]:2018/03/28(水) 00:11:03.79 ID:3DirItpT0
──
────
──────
【メイド喫茶・店内】
桃華「さて………皆さま、ティーブレイクも済みましたし」
桃華「あぁ、火曜日さんはそのままお召しになっていて結構ですのよ」
桃華「本日最後のメニューと参りましょう」
千秋「それもこの店内で?」
桃華「はい。最後のゲームは庶民のパーティでは定番と言われるほど浸透している物ですわ」
卯月「パーティで定番? なんだろう?」
ゆかり「はい! はいっ!!」ビシッ!
桃華「土曜日さん、どうぞ」
ゆかり「『ロシアンルーレット』っ!」
桃華「残念、不正解です」
琴歌「はい! はいっ!!」ビシッ!
桃華「月曜日さん、どうぞ」
琴歌「たけのこたけのこニョッこ、ケ、ックキッキ……!!」
千秋&桃華&卯月「??????」
琴歌「ゴ、ごめんなさい。何でもないですぅ……」
桃華「木曜日さん、如何です?」
卯月「うーん………、び、『ビンゴゲーム』?」
桃華「いいえ、違いますわ。では水曜日さん」
千秋「えっと、『テイスティング』とか?」
桃華「それも違います。金曜日さん?」
時子「……………………」
桃華「デ、では最後に火曜日さん?」
ライラ「そうですねー……、『汝は人狼なりや?』??」
桃華「ハズレです。では正解を」
桃華「最後は───」
ライラ「すみません、注文をお願いしますですよー」
アーニャ「ズドラーストヴィチェ♪ ご主人様ー♪」
65 :
☆2/16
[saga]:2018/03/28(水) 00:12:17.47 ID:3DirItpT0
桃華「最後は、『女王様ゲーム』を行いますわっ!!」
千秋&卯月「女王様ゲーム?」
桃華「説明しましょう。女王様ゲームとは───」
━━━━━━━━━━
★櫻井桃華学習帳★
・女王様ゲーム【名詞】:じょうおうさまげーむ
“女王”と他に番号を書いたクジを割り箸で作り、“女王”と書かれたクジを引き当てた者が、他の者に様々ないやらしい命令(拒否不可)を下すことが出来る大人のゲームである
用例) 「女王かよォォォオオオオ!!」
━━━━━━━━━━
琴歌&ゆかり「い、いやらしい命令……!!」ガタッ!
千秋&卯月「お、大人のゲーム……!?」
ライラ「ふむふむー」
時子「……」
桃華「まあ、正味のところは“王様ゲーム”ですわね」
桃華「せめてゲームという遊戯だけでも、庶民が疑似的にヒエラルキーの頂点に立ち征服欲求を満たすために考案した淡い夢」
桃華「以前お仕事の前入りで遠方の旅館に宿泊した際、泰葉さんと薫さん、沙理奈さんと聖來さん…………そしてPちゃまと」
桃華「一度行ったことがあるのですが、勝手がわからずあまり馴染む事が出来ずにいたので」
桃華「このたび、あらためてチャレンジさせていただきたく存じますわ!!!」
千秋「へ、へえ」
卯月「そ、そうなんだぁ」
時子「………」
千秋「(いや。ていうか……)」チラッ
時子「………」
卯月「(女王様、いるんですけど……)」チラッ
時子「………」
桃華「さて! 使うのはこの割り箸クジのみ!」
桃華「早速参りましょうっ♪ 女王様ゲーム、スタートですわ♪♪」
66 :
☆3/16
[saga]:2018/03/28(水) 00:13:36.85 ID:3DirItpT0
━━━━━━★1st Challenge★━━━━━━
桃華「皆さま、どうぞお引きくださいな♪」
───スッ
千秋「…………っ(うわ、なんか緊張してきた。なんで?)」
ライラ「どれどれ、ライラさんのクジは───」
桃華「ああっ! 待って下さいましライラさん! 掛け声を合わせ、皆で同時にクジを確認するのです」
ライラ「了解ですよー」
桃華「せーのっ!」
桃華&琴歌&ゆかり『女王様だーれだ??』
千秋「(………)」チラッ
千秋「(私は5、ね。女王は───)」
ライラ「むむむー……?」
卯月「ん……」
桃華「………っ、…………ッ♪♪」ニヤニヤニヤニヤ
ゆかり「…………」
千秋「(……櫻井さんね)」
桃華「わたくしが女王ですわッ!!!!」
桃華「うふふふっ♪ さあて、どんな素晴らしい命令を下してあげましょうか!!」
琴歌「ハハー、女王さま〜〜!」
ライラ「なんなりとご命令をー♪」
ゆかり「く、ぐくっ………!」
卯月「(マズイ、ゆかりちゃんが本気で悔しがってる)」
時子「……」
桃華「では初めはオーソドックスに、小手調べ感覚の命令で行きますわ」
千秋「ハードなのはやめてね」
桃華「3番の方は、今日身に着けている下着の色を皆さまの前で公表してくださいまし!!!!」
千秋「(いきなりハードなの来た!!)」
67 :
☆4/16
[saga]:2018/03/28(水) 00:14:53.93 ID:3DirItpT0
時子「ピンクよ」
千秋「」
卯月「」
桃華「オーーーッホッホッホッ!!!!!」
桃華「時子さんの本日の下着はピンクですわッ!!!!!!!」
桃華「 ピ ン ク で す わ ー ー ー !!!!!!!!!」
桃華「〜〜〜っ……!!」ゾクゾク!
卯月「(桃華ちゃん悦に入ってる!!)」
千秋「(女王様ゲームという免罪符を得て不敵に攻めてる!! 普段は絶対逆らえない財前さんを相手に……!!)」
桃華「さあっ! さあさあさあッ!!」
桃華「早く!! 早く次の番に参りましょう!!!」
琴歌&ゆかり「フフフ……!!」
ライラ「次こそはライラさんがー」
時子「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………チッ……」
千秋「────ッ!」
千秋「(し、島村さん! 協力しましょう!!)」
卯月「(ええ、千秋さん。分かってます、勿論察してます)」
卯月「(時子さんの機嫌が、目に見えて悪くなっていくのが。そもそも時子さん、萌え萌えじゃんけんの時からあまり乗り気じゃなかったですし)」
卯月「(真の女王様の、ご機嫌取りというワケですね)」
千秋「(流石は島村さんね。貴女とは本当に仲良くなれそう)」
卯月「(桃華ちゃんをはじめ皆、ヘンに気合が入ってますから。暴走したり、予測不可能な事態は極力避けたいです)」
千秋「(他にも仲間が欲しいところだけれど…………)」チラッ
桃華「き、興が乗ってきましたわ。ふ、ふふ、フフフフ……!」←【天然】
ゆかり「ハァー、ハァー……!」←【天然】
琴歌「今のうちに、命令を考えておきましょうかー♪」←【天然】
ライラ「次こそはライラさんがー♪」←【天然】
千秋「(て、天然しかいない!!)」
卯月「(私達二人で頑張りましょう!!!)」
68 :
☆5/16
[saga]:2018/03/28(水) 00:15:59.04 ID:3DirItpT0
━━━━━━★2nd Challenge★━━━━━━
千秋「(島村さん。目的は一つよ)」
卯月「(はい! 時子さんに“女王様”になって貰って、ゲームを思う存分楽しんで貰うこと!)」
千秋「(それと、他の天然達に女王のクジを取られて命令されるのは絶対にマズイわ。なんとしてでも───)」
桃華「さあさあ、皆さまクジを回収しますわ」
千秋&卯月「!!」
卯月「も……」
卯月「桃華ちゃん、今度は私がやるね。進行役を任せっきりも疲れるだろうし」ヒョイヒョイ
千秋「(島村さん、上手い!)」
千秋「(さりげなくアドバンテージを奪えた。これで時子さんに女王クジを引かせれば……)」
卯月「よーし! ハイッ!! じゃあ時子さんからぁ!!!」バッ!
バシュッ!!
シュン! ヒュッ!!
卯月「───なっ!」
ゆかり「フー、フー……!」
桃華「フフフフ……♪」
卯月「(疾い! 全員、獣じみた素早さと身のこなし……!)」
桃華「女王様だーれだ??」
琴歌「ううん、私ではないですわ」
ライラ「ライラさんも違いますねー」
卯月「私も……」
千秋「私よ」
卯月「!!」
卯月「(ち、千秋さん!)」
千秋「(私だってやる時はやるのよ。ふふん♪)」
卯月「(流石です! ………で、でも千秋さんが女王だと意味が……)」
69 :
☆6/16
[saga]:2018/03/28(水) 00:17:07.98 ID:3DirItpT0
千秋「2番の人は……」
千秋「厨房に行って、美味しいコーヒーを全員分淹れてきて。ついでにケーキも持ってきて頂戴」
卯月「(あっ!)」
卯月「(そうか! これなら女王として命令できる立場じゃなくても、このゲームを楽しんで貰えることが出来る!)」
千秋「(突破口は一つじゃないの、発想の転換よ島村さん。フフッ)」
卯月「(ち、千秋さん……、カッコイイ!)」
ガタッ
スタスタスタ…
千秋「…」
卯月「…」
時子「ハイ」
時子「これ。タンザニアコーヒー」
時子「あとパウンドケーキ」
千秋&卯月「(女王かよォォォオオオオ!!)」
千秋「(こ……、こうも6分の1を引くとは)」
卯月「(に、二連続ですよ時子さん)」
桃華「わたくし、ケーキは紅茶派ですの。もう下げてよろしくてよ」
ゆかり「苦っ! ぺっ!!」
千秋「いや女王は私でしょ!? なんで貴女達そんなに偉そうなの!?」
70 :
☆7/16
[saga]:2018/03/28(水) 00:18:38.56 ID:3DirItpT0
━━━━━━★3rd Challenge★━━━━━━
卯月「(時子さん、コーヒーの淹れ方上手でしたね。美味しかったですよ)」
千秋「(ごめんなさい。せっかく島村さんが作ってくれたチャンスを……)」
卯月「(いえ。千秋さんの行動はほぼ完璧に近かったです。運が悪いことを除けば……)」
琴歌「はいっ♪ ではでは皆さん、クジをどうぞー♪」スッ
千秋「(島村さん)」
千秋「(さっきの番で、女王クジの持ち手部分に傷を付けておいたわ)」
卯月「(なるほど! 流石です千秋さん!)」
卯月「(それを目印にして探して引くか、あるいは時子さんの手の方に誘導を……!)」
ガン!
ググッ、グググッ……!
千秋「(…………)」
卯月「(ちょ……)」
卯月「(みみみ、皆さんすごい力ですよ!? クジの前が手同士で押し合う戦場に!!!)」
千秋「(洋服売り場で服を奪い合う庶民の気分!!)」
千秋「(痛だだだだだッッ!? だ、誰かいまドサクサに紛れてつねった!!!)」
卯月「(ッ!? 千秋さん!! 全部の割り箸に傷が!!??)」
千秋「(考える事はみんな同じね!!!)」
シュッ
千秋&卯月「────っ」
桃華&琴歌&ライラ『女王様だーれだ??』
桃華「……」チラッ
ゆかり「うぐっ、ぐううっ……!」
千秋「……私じゃない」
琴歌「私も違いますわ」
時子「………………」
ライラ「はいはい。ライラさんですよー」
桃華「さあライラさん、ご命令を」
71 :
☆8/16
[saga]:2018/03/28(水) 00:20:25.47 ID:3DirItpT0
卯月「(ライラさんが女王様)」
千秋「(読めない。何を言ってくるか)」
時子「…………………………………」
ライラ「そうですねー。じゃあ……」
ライラ「3番の人は、この中で一番疲れてそうな人にマッサージをしてあげてくださいです」
千秋&卯月「(────!!!)」
ライラ「(………)」チラッ
ライラ「(………♪♪)」ニコニコ
千秋「(ら、ライラさん!!!)」
卯月「(ライラちゃんも事情を分かってくれてた! 良かった、本当に良かったぁ!!)」
千秋「(天使ね彼女。奉仕と疲労回復……、ベストな解答だわ、これなら財前さんの機嫌も幾分かはマシになるかな)」
ガタッ
千秋「…」
卯月「…」
時子「…………」モミモミ
ライラ「お、おぉ……」
時子「次は首の部分を矯正するわ。力を抜いて」
ライラ「は、はあ……」
千秋&卯月「(また女王様ァァァアアアア!!)」
千秋「(ライラさんが困惑してる)」
卯月「(3連続とか、呪われてません? いや17年間おみくじで吉とか引いてる私が言える台詞じゃないですが)」
千秋「(それはすごいけど、コッチはそろそろ勘弁して欲しいわね)」
ライラ「き、気持ちいですよー……♪♪」グキッ
桃華「ハァ……わたくしも肩が凝りましたわ」
琴歌「どこかに暇なカイロプラクターでも転がってないかしら………はあぁ」
千秋「だから何で偉そうなの!? 知らないわよゲーム後にどうなっても!!」
72 :
☆9/16
[saga]:2018/03/28(水) 00:21:47.14 ID:3DirItpT0
━━━━━━★4th Challenge★━━━━━━
ライラ「ほふぅ……♪」ホワホワ
時子「…………………………………………」
千秋「(仏の顔も三度まで。いえ、鬼と言うべきかしら)」
卯月「(二度あることは三度ある。つまり四度目は流石にもう無いですよ、次に賭けましょう)」
千秋「(慎重に行きましょう。とりあえずクジは私が回収して真っ先に財前さんに───)」
桃華&琴歌『女王様だーれだ??』
千秋&卯月「アレェ!?」
卯月「ちょっ、な、なんでもう始まってるんですか!!」
千秋「私達、引いてないけど!!」
桃華「なにやらお話に夢中な様子でしたので、お二人の分はそこに置いておきましたわ」
千秋「(扱い雑っ!!)」
卯月「(ううっ……、ハズレです)」
千秋「(私も。やられたわ、こんな形で不意を突いてくるなんて)」
卯月「(桃華ちゃんの言うとおりです。ゲームとは時に、命を懸けるほどの真剣勝負)」
千秋「(泣きごとは言ってられないわね。おねがい、女王クジは財前さんに……)」
琴歌「わぁーい! 私が女王ですわーっ♪♪♪」
千秋「(ぐっ……)」
卯月「(次は琴歌ちゃんですか)」
千秋「(天真爛漫で素直でいい子だけれど……)」
琴歌「うふふっ♪ 一日千秋の思いで待ち侘びましたわ」
琴歌「何をどなたに命じましょう? 心が騒ぎますわ……♪♪」
千秋「(天然のなかの天然。櫻井さん以上に、予測不能で何を発言するか分からないのが彼女よ)」
卯月「(家庭環境や育ちも似てますものね)」
73 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/28(水) 00:22:50.29 ID:lksEDX710
>>ゆかり「苦っ! ぺっ!!」
なんかワロタ
74 :
☆10/16
[saga sage]:2018/03/28(水) 00:24:59.94 ID:3DirItpT0
桃華「月曜日さん。どうぞ番号を指定し、ご命令を」
琴歌「そうですね。では!」
千秋&卯月「……っ!」
琴歌「6番を引いた方?」
琴歌「6番さんは、今回いちばん頑張っている方に対して五個ほど、その方の誇れるような素晴らしい長所を褒めてあげてくださいませんか?」
千秋&卯月「(────!!!)」
琴歌「(………)」チラッ
琴歌「(………♪♪)」ニコッ
千秋「(さ、西園寺さん!!!)」
卯月「(琴歌ちゃんも、察してくれてた! 予測不能とか思ってごめんなさい……!)」
千秋「(女神ね彼女。確かにいま財前さんに最も必要なのは、純粋な労いの言葉、これなら財前さんのやさぐれた心も角が取れて機嫌も良くなるはず)」
時子「その淡い髪の色は、貴女の人柄を表しているみたいね。まるで春の陽気のように温かく柔らかで、周囲を落ち着かせるような優しさに溢れている」
時子「艶も良くて眉目秀麗、妖精のような美しさ。スタイルも良い、気品も漂う、まさしく非の打ち所のない絶世の美女。ふとほの見える少し無邪気であどけなさが残る部分も、男心をくすぐるチャームポイントではないかしら」
時子「性格も明朗快活、裏表なくはっきりと自分の意思を持っていて、まっすぐ物怖じせずに他者に伝えることが出来る。丁寧な口調も相まって、貴女に悪い印象を抱いている人はまずいないでしょう」
時子「温室育ちのお嬢様で世間知らずの甘ちゃんかと思いきや、チャレンジ精神旺盛で常に中立的。裕福な現状に満足せず、探究心に従い自分の在り方を問い続けるその行動力と姿勢は私も見習いたいところね」
時子「そして時に一歩引く余裕も持ち合わせている、そのおおらかさと仲間意識の強さ。私はまだ付き合いが短いから良く知らないけれど、貴女はだいぶ周りから頼られる存在だと思う。貴女の存在に、救われている人も多いのではないかしら、琴歌」
琴歌「ぁ」
琴歌「あぅっ」ボゥッ
千秋「(また財前さん……)」
卯月「(一瞬でよくここまでの褒め言葉がつらつらと出てきますね)」
卯月「(時子さん、持ち合わせのスキルが多いですね。万能じゃないですか)」
琴歌「あ、ありがとうございますぅ……、と、時子さん……」
千秋「(照れてる。顔真っ赤)」
卯月「(可愛い)」
75 :
☆11/16
[saga sage]:2018/03/28(水) 00:27:42.80 ID:3DirItpT0
━━━━━━★5th Challenge★━━━━━━
時子「……」
時子「…………ハァ」
千秋&卯月「(!!!!)」
卯月「(た、溜め息!!)」
千秋「(そうとうキテるかも。怒りと疲労と、あとよく分からないものが)」
卯月「(そろそろ一回は女王様に女王を引かせてあげませんと……)」
千秋「(この喫茶店が血の海と化すかもしれない)」
ライラ「皆さん皆さん、クジを引くですよ〜」ヒュン!
ライラ「……と思ったら、あと3本ですね。チアキさんとウヅキさん、どうぞー」
卯月「(み、見えなかった! 他の4人が引く瞬間が!)」
千秋「(修羅場すぎる)」
ゆかり「ヴア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!!」
千秋&卯月「ひッ!!」ビクッ!
卯月「ゆ、ゆかりちゃん? 唸り声をあげてどうしたの?」
ゆかり「ハッ!」
ゆかり「ご……、ごめんなさい。つい興奮して」
千秋「さっきから無我夢中ってカンジだったものね。息遣いも荒かったし」
ゆかり「わ!」
ゆかり「私、女王ですっ!!」ドヤッ!
千秋「!」
ライラ「ユカリさん、おめでとうございますですよー」
千秋「(しまった……。水本さんも本来なら警戒すべき相手だったけど、意識から外れていた)」
千秋「(変な命令でなければいいけれども)」
ライラ「さっそく命令を。どうぞどうぞー」
ゆかり「ふふっ、もうあらかじめ言うべきことは決まっていますっ!」
ゆかり「黒川千秋さんは上着を一枚脱いで、『単騎任務の途中で屈強で醜悪なオーク達と交戦するも追い詰められ、あわや身も心も蹂躙されようとしているが、不屈の精神で抵抗の意を示す尽忠報国の誇り高き女騎士』を恥辱に塗れた表情で3分間演じて下さい!!!!」ドヤァッ!
千秋「番号ッ!!!!!」
ゆかり「エッ! ………そ、そんなルールが………!!」ガクッ
千秋「そこまであからさまに落胆しなくても」
ゆかり「じゃあ……、ハイ。1番の人で」
時子「……」
琴歌「………」チラッ
ライラ「………」スッ
卯月「(……2番)」
桃華「わたくしではありませんわよ?」
千秋「(嘘でしょ……)」←【1番】
76 :
☆12/16 注:『くっ殺せ・オーク・聖騎士』。黒川千秋に関して、全てモバマス公式設定です
[saga sage]:2018/03/28(水) 00:31:18.81 ID:3DirItpT0
千秋「……………っ」スッ
───パサッ
卯月「(ッ!?)」
桃華&琴歌&ライラ「(!!!??)」
時子「(…………)」カチッ
オークA『へへへ……、さあて逃げ場は無いぜ、女騎士様よぉ〜!』
女騎士「くっ! 卑しい低劣な豚どもの分際で……!」
オークB『威勢だけは一著前だが………、剣も折れ、鎧も剥がれ、満身創痍で虫のように不様に這うしかできん癖に』
女騎士「ッ……!!」
オークB『素直に許しを請うなら、見逃してやらんことも無いがなぁ………グヘへへ!!』
女騎士「黙れッ! 貴様らに請う許しなどありはしないッ!」
女騎士「我が祖国の平和を脅かし……、ただ愚鈍な感情に任せ暴虐を振るう薄汚い害獣共が!!!!」
オークC『オラッ! 大人しくしやがれ!!』
女騎士「うあ゙ッ! ……………く、ぅ……!」
オークC『さあて、どうしてくれようか』
女騎士「ハァ……ハァ……」
女騎士「殺すなら、殺せ……!」
オークB『待て、この女には情報を吐かせる。その後でなら煮るなり焼くなり勝手にしろ』
オークA『グヘヘヘ……、久しぶりに若い人間の女の悲鳴が聞けるぜぇ〜……!』
女騎士「……拷問だろうが凌辱だろうが、好きにするがいい」
女騎士「だが私の心は、決して折れはしない! この聖騎士チアキ、祖国に身命を捧げたからには、その意志を最期の時まで貫いてみせるッ!!」
千秋「(──────────ハッッッ!?)」
ゆかり「………千秋さんっ」
ゆかり「素晴らしいです、5分も演じてくれるなんて…………!」グスッ
桃華「圧巻でした。わたくしにはしっかりと情景が視えました、一人の騎士に群がる野蛮なオーク達が!」
琴歌「これはまさしく千秋さんの迫真の演技力が為せるもの………感激ですわ!!」
ライラ「チアキさん、ぶらぼーですよー」パチパチ
時子「…………」ピコン
店長「あ……あそこの女の子、大丈夫? 床にうずくまって変な事叫びまくってるけど、救急車呼ぶ?」
卯月「だ、大丈夫です。遊びなんで…………ス、スミマセン」
みく「ち、千秋さん……?」
のあ「……………………」
アーニャ「千秋…………シトー トゥィ デェーライシュ??」
千秋「(あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙っ゙っ゙っ゙〜〜〜!!!!!!!!)」
77 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/28(水) 00:32:32.34 ID:lksEDX71o
みく素になるなwww
78 :
☆13/16
[saga sage]:2018/03/28(水) 00:34:04.12 ID:3DirItpT0
━━━━━━★Final Challenge★━━━━━━
千秋「」
卯月「…」
桃華「お時間もよろしいことですし、次でお開きにしましょうか」
ゆかり「そうですね。私は今回存分に楽しめましたっ♪」
琴歌「ええ。庶民の遊び、十分に堪能出来ましたわ♪」
ライラ「ライラさんも沢山食べたので満足ですよー♪」
時子「………」
桃華「………さて」カチャ
桃華「では皆さま、これで最後です。各々クジをお引きください」
卯月「(ち……!)」
卯月「(千秋さん! 呆けてちゃダメですよ、最後のクジ引きが来ますよ!!)」
千秋「」プシュー
桃華「ではまず琴歌さん、ライラさん、ゆかりさん……」
桃華「次に卯月さん、どうぞ」
卯月「あっ、う、ウン」スッ
桃華「千秋さん? か、顔色が真っ赤ですが熱でもありまして??」
千秋「ァ……ァゥ………」スッ
桃華「最後に………時子さん、どうぞ」カシャ
時子「………」スッ
桃華「さあ、皆さまご一緒に?」
『女王様だーれだ??』
時子「………私よ」
79 :
☆14/16
[saga sage]:2018/03/28(水) 00:35:01.80 ID:3DirItpT0
卯月「(───!?)」
千秋「ッ……!?」ガバッ!
千秋「(この土壇場で女王を引き当てた! なんという豪運!!)」
卯月「(いえ……、でもさっき。最後のクジ引きの順番……)」
千秋「(?)」
桃華「(………♪)」
琴歌&ゆかり&ライラ「(…………♪♪)」
卯月「(…………………)」
卯月「(………うぅん、気のせいかな)」
千秋「(………??)」
琴歌「時子さん、ご命令を♪」
桃華「女王様は貴女ですわ。時子さん」
ゆかり&ライラ「なんなりとー♪」
時子「…………」
時子「そう、じゃあ」
千秋&卯月「…………っ!!」
時子「卯月」
時子「貴女にあげるわ。このクジ」
卯月「………へっ?」
80 :
☆15/16
[saga sage]:2018/03/28(水) 00:36:07.87 ID:3DirItpT0
桃華「???」
千秋「それは、島村さんに女王の権利を譲るという事?」
時子「私はさっきの茶番で楽しめたわ。貴女だけ、この女王様ゲームで何もしていない」
時子「命令も、隷従も」
卯月「確かにそうですが……」
時子「私の気が変わらないうちに、命令することね」
時子「さもなければ、私がするわよ。今まで受けた隷従のストレスを10倍返しで晴らす命令を、『4番』を持つ櫻井桃華に」
桃華「ヒッ!?」
千秋「(番号を見透かしてる。恐ろしい)」
桃華「ももも木曜日さんっ!! は、早く命令ををををっ!!!!」
卯月「で、でもせっかく時子さんが……」
時子「ただ受け入れられないというのなら、それが私の『命令』ということで納得するかしら」
卯月「……分かりました」
卯月「じゃあ…………」
卯月「萌えポーズで写真撮影は如何でしょう?」
卯月「時子さん」
時子「…………アァ?」
千秋&桃華「(───!?)」
81 :
☆16/16
[saga sage]:2018/03/28(水) 00:39:02.00 ID:3DirItpT0
卯月「あっ! い、いえその、時子さんだけじゃなくて……」
卯月「ここにいる全員で……、です」
ゆかり「七曜会、全員ですか?」
琴歌「写真撮影………それは先ほどの時間の『萌え萌えじゃんけん』の勝利特典の……」
卯月「はい。あの時は結局ノーゲームで誰も何もしなかったじゃないですか」
卯月「桃華ちゃんが言うとおり、今日はようやく七人全員で集まれたんですよ?」
卯月「自慢ではないですけど、ここにいる全員のランクだとアイドルとしてのお仕事も頻繁に入ってくるし、桃華ちゃんも先日更にランクが上がって……」
卯月「こうやって、みんなで集まる機会が少なくなるのは、ちょっと寂しいなぁ……って」
ライラ「………」
桃華「………卯月さん」
卯月「私はこの活動、好きですよ? 桃華ちゃんが企画する庶民文化探究に、あっちこっち忙しく振り回されるのも」
卯月「だから楽しい思い出として、何か残る物が欲しくって。みんなで写真を撮りませんか?」
時子「………………」
千秋「……………そうね。私は賛成」
ライラ「モチロンですよー」
桃華「女王様の命令ですわ。さあ、皆さま準備をしましょう!」
千秋「前川さんを呼んでくるわ。先に並んでいて頂戴」
ゆかり『萌え萌え♪』
琴歌『にゃーん♪♪』
時子「構わないけれど、萌えポーズは不要よね」
卯月「女王様命令ですよ♪」
時子「番号を言いなさい。その命令はルールに反しているわ」
卯月「時子さんこそ、私に『命令権を譲る命令』をした時に、番号を指定しました?」
時子「…………ハァ」
千秋「前川さん、こっちよ」
みく「まっかせるにゃ! みんなの可愛い萌えポーズ、バッチリ撮っちゃうよ♪ スマホでも撮りたい人は預か───」
時子「…………チッ」
千秋&みく「ヒッ!?」
桃華「木曜日さん」
卯月「うん?」
桃華「素晴らしい提案をありがとうございます。仲間からそのような言葉を受けてわたくし、万感胸に迫る心地です」
卯月「うん。私、今回久しぶりの参加だったから……」
桃華「このメンバーの中で貴女が最もランクが高い多忙なアイドルですから、気に病むことはありません」
桃華「……卯月さん」
桃華「例えこの“庶民文化探究”の“七曜会”。皆さまが多忙で集まらなくとも、私一人でも、ずっと続けて参ります」
桃華「“七曜会”は、終わりません。求める声がある時、必ずそこに“七曜会”があるでしょう」
桃華「……今日はこれにておひらきですが、また次回も気軽にご参加いただけると幸いですわ」
卯月「うん! また絶対参加するよ♪」
桃華「ふふふっ……♪」
──────
────
──
82 :
☆@
[saga sage]:2018/03/28(水) 00:41:21.98 ID:3DirItpT0
──
────
──────
【公園】
卯月「ハァ、ハァッ……!!」
卯月「ぜえ、ぜえっ……!!」
卯月「ま、待ってくださ……ッ、ど、泥棒っ…………!!」
桃華「フッ。木曜日さん、息が上がっていますわよ!」
琴歌&ゆかり「わー♪♪」
ライラ「今のうちに、チアキさんを助けに行くですよー」
━━━━━━━牢屋(公園のベンチ)━━━━━━━
時子「………」
千秋「財前さん、いかがです?」
時子「……なにコレ」
千秋「コーヒーです。のどが渇いたので、そこの自販機で、ついでに」
時子「気が利くわね」カコン
千秋「よっと……」カコン
千秋「……『ケイドロ』。まだ終わる気配が全然ありませんね」
千秋「捕まってるのも、私一人だし。警察役の島村さんが振り回されているというか、泥棒役の他の4人が全力過ぎるというか」
千秋「(牢屋に陣取っている、警察役の財前さんの圧力が強すぎで、他の泥棒の人がなかなか私を助けに来れないし……)」
時子「……」グビッ
時子「おひらきとか言っておいて、もう今日は疲れたわ」
千秋「ま、まあ………まだ時間も余っていますし」
83 :
☆A
[saga]:2018/03/28(水) 00:42:20.68 ID:3DirItpT0
千秋「私達二人で呑気にベンチでお茶しているのも、必死な島村さんに少し面目無い気が……」
時子「構わないわ。千秋は牢屋に入れられて、私はそれを見張る警察なワケだし」
時子「役得よ」
千秋「はぁ……」
時子「……」
千秋「そうだ。財前さん」
千秋「財前さん、大学では心理学専攻でしたよね?」
時子「……よく覚えていたわね」
千秋「いえ。あの時、櫻井さんが言ってたけど『じゃんけんは心理戦』だって」
千秋「あの時勝ち進んでいたけど、もしかして、財前もそういう造詣があるのかなって」
時子「………余興は盛り上がらなければ、企画者の顔が立たないでしょう」
時子「早く負け過ぎなのよ。全員」
千秋「ふふ……。優しいんですね」
時子「うるさい」
84 :
☆B
[saga]:2018/03/28(水) 00:43:17.29 ID:3DirItpT0
千秋「あと」
千秋「女王様ゲームの時も最後、あんな事を財前さんが言い出すとは思いませんでしたよ」
時子「ああ……」
時子「別に卯月に気を遣った訳では無いわ。本心よ」
千秋「本心?」
時子「言ったでしょう。その前の茶番で十分に楽しめた、と」
千秋「茶番……………」
千秋「………………アアッ!?」
時子「……」カチッ
『……拷問だろうが凌辱だろうが、好きにするがいい』
『だが私の心は、決して折れはしない! この聖騎士チアキ、祖国に身命を捧げたからには、その意志を最期の時まで貫いてみせるッ!!』
千秋「!?」
千秋「ちょっ、な、なんで!? いつ撮ったんですかコレ!?」
時子「別に隠してないわよ。貴女が寸劇に熱中しすぎて気が付かなかっただけでしょう」
時子「ゆかり嬢も撮ってたわ」
千秋「」
85 :
☆C
[saga]:2018/03/28(水) 00:45:13.00 ID:3DirItpT0
────ま、まってくださーいっ!
────二手に分かれますわよ! それっ!
時子「……」ズズッ
千秋「……」
千秋「まだ捕まりそうにありませんね。あの4人」
時子「………」
千秋「こうして童心に帰って、和気藹々と楽しむのも、たまには悪くないです」
千秋「みんなで写真も撮りましたし。いい思い出が撮れましたね財前さん、ふふふっ」
千秋「今度みんな揃うのはいつかは分からないけど、でも───」
時子「…………七曜会は、終わらない」
千秋「───えっ?」
時子「撮影の前、あの子が言っていたことよ」
千秋「あ、あぁ………島村さんに言ってましたね」
千秋「時間が取れるか分からないけど、また7人で───」
時子「七曜会は不滅」
時子「言葉の通りよ。終わらないの、この会は」
千秋「───…………財前さん?」
時子「………」
86 :
☆D
[saga sage]:2018/03/28(水) 00:48:24.14 ID:3DirItpT0
時子「千秋」
時子「“七曜会”を知っているかしら」
千秋「えっ?」
千秋「それは、この櫻井さんのサークルじゃないんですか? 固いネーミングだとは思いましたが」
時子「………私も都市伝説の噂程度にしか触れたことが無いけれど」
時子「犯罪集団よ」
千秋「………………………………………………」
千秋「………は、犯罪?」
時子「語弊があったわ。軽犯罪、と表現した方が的確かしら」
時子「恐喝、ゆすり、時には暴行、窃盗や宗教犯罪、風営法違反、違法薬物取引……」
千秋「ちょ、ちょっと!」
時子「………」
千秋「な、何を言ってるんですか…………財前さん……」
時子「私が冗談を言う性格に見えるかしら」
87 :
☆E
[saga sage]:2018/03/28(水) 00:50:26.63 ID:3DirItpT0
千秋「………都市伝説ですよね?」
時子「実態が掴めない謎の集団。まあオカルトチックと言えば、確かにそうね」
時子「『白峰組』を知っている、千秋?」
千秋「白峰……」
千秋「『西の村上、東の白峰』と世に聞こえるほどの、関東一円を取り仕切る暴力団ですか」
千秋「だいぶ昔ですけど、一時期ネットや芸能界隈で妙な話題になりましたね。詳しい用語は知りませんが組の若頭が……、女優の椎名みちると婚約し、その後遅咲きでブレイクした役者の馬部甚太郎に激似だとか……」
時子「……七曜会の後ろ盾には、その白峰組が付いているという話もある」
千秋「……」
時子「それほど名の通るヤクザが関係しているの。ただの都市伝説とは考えにくい」
時子「名前が被っている……、というだけなら良いのだけれど」
時子「けれど、珍妙な挨拶や、名前を七曜に冠するという部分までソックリ」
千秋「あ……………」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
千秋『櫻井さんの交友関係は広いわね』
千秋『北条さんにコンテナで贈ったハンバーガーの時とかもそうだし、食品添加物の教えとか、帝愛グループとか、先ほどのゲームデザイナーとか』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
千秋「……七曜会は、終わらない」
千秋「(……………)」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
桃華「千秋さん。貴女は次期『日曜日』候補の一人なのですから、課題は全てもれなく、要領良くこなして頂きませんと」
千秋「(次期日曜日候補……!?)」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
時子「……何か思い当たる節でも?」
千秋「はい……少し」
88 :
☆F
[saga sage]:2018/03/28(水) 00:51:43.40 ID:3DirItpT0
桃華「ふぅっ……!」
千秋&時子「!!」
桃華「捕まってしまいました。お三方からの救出を待ちましょう」
桃華「何を話していたんですの? 千秋さん」
千秋「あっ。い、いや……」
時子「次の活動についてよ」
桃華「次の…………あぁっ!」
千秋「どうしたの?」
桃華「次回は、来月2週目の日曜日……」
桃華「その日は……、個人的に予定がありまして……」
時子「リーダーが不在なら、その日は中止ね」
桃華「申し訳ありません。あとで他の方にもわたくしから伝えておきますわ」
桃華「……っと」
桃華「わたくしものどが渇きましたわ。水曜日さん、そのお飲み物はどちらで?」
千秋「公衆トイレ前の自販機よ。ホラ、そっち」
桃華「ありがとうございます」スッ
タタタタタ…
千秋「………」
時子「………」
89 :
☆G
[saga sage]:2018/03/28(水) 00:53:20.39 ID:3DirItpT0
時子「丁度いいわ」
時子「千秋。お酒は飲める?」
千秋「は、はい」
時子「来月、第2週の日曜に人と会う約束がある」
時子「貴女も付いてきなさい」
千秋「はぁ………ちなみに、どなたとです?」
時子「柊志乃」
千秋「柊さん?」
時子「と、八神マキノよ」
千秋「……繋がりがいまいち想像できませんが」
時子「柊志乃は、“前”日曜日よ」
千秋「“前”日曜日………………」
千秋「(………………………………)」
千秋「…………………ぜっ……ん!?」
時子「彼女とは昔、親の仕事上で交友があったからこの事務所に所属する前から知っているわ」
時子「今は海外で撮影だけど、再来週丁度予定が合う」
時子「その時に、洗いざらい吐いて貰いましょう。七曜会と、珍妙なルールについても」
千秋「ルール……?」
時子「七曜会の規律よ。誰がどう見ても、一目で違和感に気が付くと思うけれど」
千秋「そ、そうですか? 私は特に何も………」
時子「まあいいわ」
千秋「………でも」
千秋「その………………」
時子「何よ」
千秋「……櫻井さんは、とても純粋な子だと、私は信じています」
時子「………」
終わり
90 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2018/03/28(水) 00:54:05.20 ID:3DirItpT0
終わりです。
機能しているか微妙ですが、一応HTML化依頼出します。
次の回で、「桃華お嬢様と楽しい庶民文化探究シリーズ」は最後になります。
ひっそりとまた公開しますので、お付き合いいただければ幸いです。
91 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/28(水) 00:58:28.12 ID:lksEDX710
おや?きな臭いエンディングに
マキノとのつながりも前にちょこっと漏らしてたね時子さん
次回も楽しみにしてる乙
92 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/29(木) 12:29:34.12 ID:Nrqr64CCo
おつおつ
またよろしくね
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