櫻井桃華「この素晴らしき庶民文化探究を、皆さまと」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/25(日) 19:57:01.47 ID:AGx8M9To0
●注意●
・短編形式
・日常系
・嘘知識、誤情報、超偏見、謎集団が見受けられます
・独自解釈している点が多々ありますので、ご了承ください

●登場人物●
櫻井桃華、他
http://i.imgur.com/SYbBRVX.jpg
http://i.imgur.com/rmdPxbw.jpg

●前作●
櫻井桃華「この素晴らしき庶民文化探究を、休日に」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1464015526/
櫻井桃華「この素晴らしき庶民文化探究を、街中で」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1478443514/

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1521975421
2 :☆1/2 [saga sage]:2018/03/25(日) 19:58:09.42 ID:AGx8M9To0

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【七曜会本部】


桃華「千秋さん、ご無沙汰しておりますわ」

千秋「ええ。久しぶりね」

ゆかり「……Zzz」

千秋「本当に久しぶり」

千秋「事務所も多方面のイベントに向けて、慌ただしかったし」

桃華「ええ、そうですわね。一向に皆さまの予定が揃う気配がありませんでしたわ」

桃華「リトルチェリーブロッサムとしての活動や、新春のツアーイベントに加え、CM出演などもあり、喜ばしいことにランクも上がり……」

桃華「多忙を極め、まさしく東奔西走の毎日でした」

ゆかり「……Zzz」

桃華「千秋さん? 例の課題の進捗状況はいかがです?」

千秋「……ごめんなさい。まだ一つも手を付けてない」

桃華「まあ……! 時子さんでさえ、5つほど既に終えたとおっしゃられていましたわ」

桃華「早急ではないとは言え、蔑ろにされても困ります。ゆめゆめ、お忘れなきように?」

千秋「ゴ、ごめんなさい……」

千秋「(……というか、財前さんの課題を手伝ったのは私だけど)」

桃華「千秋さん。貴女は次期『日曜日』候補の一人なのですから、課題は全てもれなく、要領良くこなして頂きませんと」

千秋「(次期日曜日候補……!?)」

ゆかり「………Zzz」
3 :☆2/2 [saga sage]:2018/03/25(日) 19:59:14.21 ID:AGx8M9To0

桃華「千秋さんがこの“七曜会”に加入し、早半年以上経ちますわ」

桃華「事務所もここ7、8ヶ月で様々な躍進がありましたわね?」

千秋「うん、そうね」

千秋「事務所内にカフェが新しく出来たし、新部署の設立と人の移り変わりもあった。大手食玩メーカーとアイドル部署がコラボしたり」

桃華「音葉さんの歌とタイアップした映画が空前絶後のヒットを飛ばしたり、どこか非日常的な雰囲気を漂わせる大型新人の高峯のあさんが所属し、事務所の注目を集めたり……」

千秋「日野さんが赤坂マラソンで獅子奮迅の激走を見せて一躍時の人となったり、大石さんの自作アプリが海外でウケて人気を博したり、ヘレンさんが流行語大賞にノミネートされたり……」

千秋「挙げれば、キリが無いわ」

桃華「そうですわね」

ゆかり「………Zzz」

千秋「………」

ゆかり「………Zzz」

千秋「(水本さん、微動だにしない)」


───ガチャ!



卯月「お……、おはようございますっ!」

桃華「おはようございます、卯月さん」

千秋「おはよう」

ゆかり「………Zzz」

卯月「す、すみません。遅くなりました」

桃華「いいえ、とんでもない。定刻通りですわ」

桃華「では木曜日さんもお見えになりましたので……」

桃華「始めましょう。本日の、庶民文化探究を♪」


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4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2018/03/25(日) 20:01:26.35 ID:AGx8M9To0
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【幕間@】


━━七曜会・喧伝━━

生き甲斐と夢を持ち、
充実したアイドル人生を送りたいとお望みならば、
是非とも七曜会に入りましょう。

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5 :☆1/3 [saga sage]:2018/03/25(日) 20:02:42.65 ID:AGx8M9To0
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【七曜会本部(事務所の空き部屋)】


千秋「(私の名前は、黒川千秋)」

千秋「(職業は学生、兼、アイドル………兼……)」

千秋「(このサークル『七曜会』の一員)」

千秋「(……)」

千秋「(端的にこのサークルを表現すると『常識知らずの箱入り娘が世俗に触れる』……と言ったところかしら)」

千秋「(経緯はいろいろあるけど、庶民の文化や生活に慣れ親しめるよう……)」

千秋「(処世術と知識を学ぶために、私はこの奇妙なサークルの活動に勤しんでいる)」

千秋「(……)」

千秋(水曜日)「(七曜会のメンバーはそれぞれ曜日の名が割り振られ、独特な合言葉で挨拶をしたりする。ちなみに私は水曜日)」

千秋「(変なルールも存在するけど……それが何を意味するのかは皆目見当がつかないし、むしろ庶民の文化探求よりコッチの謎の方が気になる時もあるのは、内緒の話)」

千秋「(…………)」チラッ





桃華(日曜日)「ようやく……!」

桃華「ようやく、今日は全員が揃って活動出来ますわ。本来であれば月二回開催するこの七曜会ですが、本当に………辛くて胸が張り裂けそうでした。多忙とはいえ、この会が長きにわたり開催できず皆さまに会えない退屈な日々。皆さまのお気持ち、理解できますわ。長い間、庶民文化探究に触れられず、持て余した抑えようのない好奇心。次第にそれは、物足りなさからくる寂寞とした倦怠感と、やり場のない憤りとなり、果てには、人としてすべからく備わっているはずの知的向上心・探究心が次第に失われていく焦燥。そして………絶望に」






千秋「(………さて)」

千秋「(櫻井さんの、ただただ長い前置きが始まったわ。また何時間も付き合わされるのもご遠慮願いたいところだけど……)」

ゆかり(土曜日)「………Zzz」

千秋「……ねえ、島村さん?」

卯月(木曜日)「はい?」
6 :☆2/3 [saga sage]:2018/03/25(日) 20:03:23.92 ID:AGx8M9To0

千秋「そう言えば島村さんは、どういう経緯でこのサークルに入ったの?」

卯月「経緯、ですか?」

卯月「………っ」

千秋「!?」

千秋「ご、ごめんなさい………その、そんなに辛そうなら別に言わなくても……」

卯月「あっ!」

卯月「いえ、辛いワケじゃないんですが……」






〜〜〜〜〜〜回想・約1年前〜〜〜〜〜〜
【事務所 通路】


卯月『……』スタスタ

卯月『(凛ちゃんも言ってたけど………)』

卯月『(最近、桃華ちゃんが一部の人に対して、変な勧誘をしてるって事務所でウワサになってる)』

卯月『(うぅん……、一体何の勧誘だろ? 気になるけれど)』

卯月『(でも、ちょっと怖いから気を付けよう)』

卯月『…………』スタスタ




桃華『う、ウゥ…………』フラフラ




卯月『!』

卯月『(う、うわっ! 桃華ちゃ───)』





───ドテッ!


桃華『あぅっ……!』ズザー!



卯月『!?』

卯月『も、桃華ちゃん! 大丈夫?』

桃華『あ……、う、卯月さん………っ』
7 :☆3/3 [saga sage]:2018/03/25(日) 20:04:06.00 ID:AGx8M9To0

桃華『ハァ、ハァ……。み、見苦しい姿を晒してしまい、申し訳ありません』

桃華『最近はレッスン漬けで、もう……心身共々ヘトヘトですの………。歩いているだけで、頭がくらくらする程で……』

卯月『大丈夫? 休憩室まで、肩貸す?』

卯月『(ホントはちょっと距離を置きたいけど…………、でも可哀想……)』

桃華『いえいえ、これしき平気です………、お優しいのですね、卯月さんは』

桃華『では、失礼します……』フラフラ

卯月『(……………)』

───ぽとっ


卯月『!』

卯月『桃華ちゃん、ハンカチ落としたよ?』

桃華『あっ!』

桃華『……ありがとうございます』

卯月『ううん。はい、どうぞ』スッ

桃華『……このハンカチは、母から頂いた大切な物なのです。掛け替えのない大切な……』







桃華『……この、“バーバリー”のブランドハンカチは……』






卯月『あれっ? それ、“スワトウ”のハンカチじゃないの? 最高級だと10万円以上も値が張るっていう、芸術的価値もある希少な……』







がしぃっ!!


桃華『貴女ッ!! 目敏く看破するその慧眼、まさしくセレブですわねッ!!! 少しお時間を頂いてもよろしくてッ!!??』ズイッ!

卯月『し、しまったァ!!! う、うわああああぁぁっっ!!!!』



〜〜〜〜〜〜回想終わり〜〜〜〜〜〜







卯月「…………って、いうことが」

千秋「(なんだろう……、島村さんとは何だかすっごい仲良く出来そうな気がする)」


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8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2018/03/25(日) 20:04:57.41 ID:AGx8M9To0

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【幕間A】


━━七曜会・要綱(現在)━━

庶民の文化を愛し、尊び、じかに触れ学び、
自分達の見識を広めることを唯一の目的とし、
理解しあえる可能性の発見を至上の喜びとする。

最終的な到達点は、
処世術として殊勝な振る舞いと正しい知識、
そして家柄や境遇は違えど良き隣人として対等に、
偏見や固定観念を払拭し隔てなく、
仲間たちとのより良い関係を円滑に築ける交流の形と心構えを身に付ける。

(以下略)

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9 :☆1/2 [saga sage]:2018/03/25(日) 20:06:01.30 ID:AGx8M9To0
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【七曜会本部(事務所の空き部屋)】


桃華「本日の七曜会の活動テーマ、それはズバリ!」

桃華「『ゲーム』、ですわ!!」バンッ!

卯月「ゲーム?」

千秋「それって、つまりはテレビゲームという事かしら?」

桃華「水曜日さん、ゲームと一口に申しても様々な種類がありますの。定義は社会学や哲学など多角的ではありますが……」

桃華「ルールに則り、遊戯という形で競い合い、目的を達成することですわ」

卯月「ふむふむ……」

桃華「例えるなら、それはスポーツであったり、水曜日さんがおっしゃられたゲーム機を使用することであったり」

桃華「戦略的で、かつインタラクティブな行いであることと存じておりますわ♪」

千秋「チェスとか、ダーツとか……、あとはトランプとか?」

桃華「はい。カードやボード等のツールを用いた物も同義です」

卯月「えっと……、じゃあ『鬼ごっこ』とか『かくれんぼ』とかも、かな?」

桃華「モチロン! ツールを使わないものであっても、ゲームの形態は環境によって多種多様です!」

桃華「流石は木曜日さん♪ 次期日曜日候補なだけありますわ♪」

卯月「(───っ!)」

卯月「(…………)」チラッ

千秋「(…………)」

卯月「(ち、千秋さん? 今、ものすごい不吉なワードが聞こえた気がします……)」

千秋「(私も、さっき似たようなことを聞いたわ)」
10 :☆2/2 [saga sage]:2018/03/25(日) 20:06:49.02 ID:AGx8M9To0

ゆかり「…………んん」ゴシゴシ

ゆかり「……あら? おはようございます、卯月さん」

卯月「おはよう、ゆかりちゃん」

ゆかり「ふわあ……っ。ちんちこーるー(挨拶)………」ウトウト

千秋「おはよう、水本さん」

桃華「遊戯(ゲーム)。読んで字の如く『戯れ、遊ぶ』ことが大前提」

桃華「遊興として、娯楽として、教育として、趣味として、そして文化として」

桃華「それは子供も大人も関係なく、幅広い年代の人々を楽しませるものとして、時代の変遷とともにバラエティ豊かに発展を遂げてきました」

桃華「……わたくし達のように外界を知らず育った人間からしたら、庶民の方々が生活の一部のように嗜んでいるそのゲームは、まさに未知との遭遇! 新たな発見!!」

桃華「それらに触れる事こそ……、彼らの人となりを、機微を、庶民らしさを。まさしく知ることが出来るとわたくしは考えております」

千秋「なるほどね……」

桃華「わたくし、今日のため差しさわりのない程度に、庶民一般の予備知識は確認しましたわ」

桃華「さあっ! 本日もさっそく楽しんで庶民文化探究と参りましょうっ♪」

卯月「頑張りましょうっ! 千秋さんっ!」

千秋「……ところで、櫻井さん?」

千秋「先ほど、今日は全員が揃うって言ってなかった?」

桃華「はい。最終的にはですが」

千秋「最終的?」

卯月「ひょっとして、他の人は途中から合流するんですか?」

桃華「ええ、おっしゃる通りです。家庭やお仕事の都合があるとのことですが、予定を繰り合わせて頂けるとのことでした」

桃華「有り難い限りです、本当に」

千秋「(ふぅん……)」

桃華「わたくし、この日を楽しみにしておりましたの。一日千秋の思いで待ち焦がれ、そして今日っ!!」

桃華「まさに快哉を叫ぶ心持ちです。遂にこの会、『七つの曜日』が揃って活動できる日を迎えようとは……!」

桃華「さあっ! はりきって参りましょう♪」

ゆかり「チンチコール♪」

千秋&卯月「ち、チンチコール……!」


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11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2018/03/25(日) 20:07:42.21 ID:AGx8M9To0
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【幕間B】


━━七曜会・合言葉━━

「チンチコーラ」(疑問・質問)
「チンチコーリ」(意義・否定)
「チンチコール」(挨拶・宣誓)
「チンチコーレ」(祝福・賛成)
「チンチコーロ」(禁句。意味は不明)

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12 :☆1/12 [saga sage]:2018/03/25(日) 20:09:19.77 ID:AGx8M9To0
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【七曜会本部(事務所の空き部屋)】


千秋「まずはこの部屋で?」

桃華「はい。本日のテーマは『ゲーム』」

桃華「初めにご紹介するのは、『ソーシャルゲーム』ですわ」

ゆかり「ふふっ……♪」

千秋「ソーシャル……、ゲーム……?」

卯月「よく耳にしますけど、イメージとしては……」

卯月「スマートフォンでダウンロードして気軽に遊べるアプリゲーム、くらいの認識です」

桃華「!!」

桃華「木曜日さん、よく御存じで」

桃華「流石は次期日曜日候補。そんな木曜日さんには1ポイント贈呈ですわ♪」ニコニコ

卯月「(!?)」

卯月「(ちち、千秋さんっ!? い、今、得体の知れないポイントが私に……!!)」オロオロ

千秋「(島村さん………損な役回りね)」

千秋「(迂闊な発言は、ちょっと控えよう)」
13 :☆2/12 [saga sage]:2018/03/25(日) 20:10:03.79 ID:AGx8M9To0

桃華「卯月さんがおっしゃる通り。携帯やスマホで簡単に遊べるゲームの事を指しますわ」

桃華「ソーシャルゲーム、略して『ソシャゲ』」

桃華「歴史を紐解けば、黎明期には『探検ドリランド』『怪盗ロワイヤル』『サンシャイン牧場』等が火付け役としてその名を馳せ……」

桃華「そしてスマートフォンの普及とともに、ソーシャルプラットフォームを介さないものが主流となっていったのです」

ゆかり「〜〜……♪」スッ

桃華「フフッ♪ ゆかりさん、気が早いですわ♪」

千秋&卯月「??」

桃華「本日はまず、国内で最大級の人気を誇るソシャゲを実際に、皆さまにプレイしていただきましょう♪」

卯月「国内で最大級の人気……!」

桃華「ゆかりさんとわたくしは、既にダウンロードして楽しんでおりますの」

桃華「お二人とも。本日、スマホを御持参いただけましたか?」

千秋「ええ。あるわ」

千秋「それで、そのソシャゲって?」

桃華「まぁ……!」

千秋「えっ?」

桃華「いやですわ、水曜日さんっ♪ それをわたくしの口から言わせるおつもりですか??」

桃華「おふざけも大概にして頂かないと、わたくしもさすがに怒りますわよ♪ もうっ♪」

千秋「(ま、マズイわ島村さん。私、怒られるかも……!)」

卯月「(ち、千秋さん……!)」
14 :☆3/12 [saga sage]:2018/03/25(日) 20:10:47.63 ID:AGx8M9To0

桃華「ほら、アレですわ♪」

千秋「ア……、アレ??」

桃華「はい♪ 国内で大ヒットし、更にはアニメ化もされ……」

桃華「可愛らしいキャラクターで多くの人の心を鷲づかみにし、彩られた舞台で舞い踊る様に競い、そして……」

ゆかり「様々なコンテンツとコラボし、4コマ漫画も大人気っ♪」

桃華「フフフッ♪ わたくし達と言えば…………、もうお分かりですわね?」

千秋「あ、あぁ……。アレね」

千秋「アー………………………………………………………………………………」

桃華&ゆかり「……♪」ニコニコ

千秋「……………っ!!」

千秋「わ、分かった! アレね!」

桃華&ゆかり「……♪」ニコニコ

千秋「そのゲームのテーマは『アイドルのプロデュース』」

千秋「レッスンやLIVE、衣装やプロダクション、その他のイベントといった形でほかのプレイヤーとも競い合い……」

千秋「切磋琢磨、日進月歩。我が子のように、または掛け替えのないパートナーとして、その子達と苦楽を共にし歩み、一流のアイドルを目指すシュミレーション」

千秋「簡単に言えば……、プレイヤーはプロデューサーの立場として、お気に入りのアイドルを探し、ユニットを組ませたり、またはお気に入りの子を手に入れるために死力を尽くして遊ぶゲーム」

千秋「アイドルを疑似恋愛のような感覚で愛でたり、好きな楽曲を楽しんだり、人材養成のような感覚で育成に励むのは、まあ人それぞれのプレイスタイルだけれど……」

千秋「国内で大ヒット、2015年にはアニメ化もされ、200名を超える可愛らしい女の子のキャラクターは多くの人達に愛され、輝く舞台で本当に舞い踊るかのようなモデルチェンジしたアプリもリリースされ……」

千秋「グランブルーファンタジーや進撃のバハムートともコラボし、作内で展開されている4コマ漫画もいよいよアニメ化。その人気はとどまるところを知らない………まさにアイドルゲーム、いいえ、ソーシャルゲームの金字塔」

千秋「……バンダイナムコエンターテインメント(旧バンダイナムコゲームス)とCygamesが開発・運営する『THE IDOLM@STER』の世界観をモチーフとする携帯端末専用のソーシャルゲーム」






千秋「『アイドルマスター シンデレラガールズ』(THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS)…………ね」
















桃華「『パズドラ』ですわーーーっっっ!!!!!!」




千秋「(パズドラ!!!)」
15 :☆4/12 [saga sage]:2018/03/25(日) 20:11:46.50 ID:AGx8M9To0

桃華「もうっ! 一体何をおっしゃいますの、千秋さん?」

ゆかり「ふふっ♪ ちょっと何を言っているか分からなかったです」

千秋「ゴ、ごめんなさい。聞かなかったことにして頂戴」

卯月「(………)」

桃華「……こほん」

桃華「ソシャゲの全盛期。激化する産業競争の口火を切った急先鋒『パズル&ドラゴンズ』」

桃華「RPGとパズルゲームを融合させた『パズルRPG』、です♪」

千秋「略して、パズドラ?」

桃華「いかにもっ!」

桃華「モンスターの収集と育成、そしてバトル。単純、かつ奥深くも爽快なパズルアクション」

桃華「今現在、この日本で最も遊ばれているアプリと称しても過言ではありませんわ」

ゆかり「ちなみに“ランク”と呼ばれる、他のゲームでいうところのプレイヤーのレベルがあってですね? 私のランクは90です♪」

桃華「わたくしは530ですわっ!!」フフン

卯月「よ、良く分からないけど……、す、すごいね」

桃華「琴歌さんは200、ライラさんは110、時子さんは160とおっしゃられていました♪」

卯月「(みんなもうやってた!!)」

千秋「(櫻井さん一人だけ高っ!!)」

桃華「さあっ♪ お二人もいますぐダウンロードですわっ♪」





━━━━━━30分後━━━━━━


卯月「えーっと……?」

卯月「最後に、このガチャを引くのかな?」

桃華「はい。それでチュートリアルが完了ですわ」

千秋「(これでチュートリアル……、結構疲れた)」

千秋「島村さん、せっかく同じタイミングだし、一緒に引きましょう?」

卯月「あ、ハイ。いいですよ」

千秋「わっ。なにコレ」

千秋「このドラゴンがガチャ本体なの?(変なの……)」

卯月「腕を下方向にフリックするんですね?」

桃華「お、お待ちください! まずはそのガチャドラの頭を優しく10秒間撫でてあげてくださいまし!!」

ゆかり「スマホを6回上下に振ってから引くと、良いモンスターが引けるらしいですよ!」

千秋&卯月「は、ハイ……」スリスリ

千秋&卯月「せーの……」

───スッ


16 :☆5/12 [saga sage]:2018/03/25(日) 20:12:54.30 ID:AGx8M9To0


ポロッ☆


千秋&卯月「!!!」

千秋「げ、『激レア』ですって!?」

卯月「わっ……、可愛いっ♪ この猫のキャラクター♪」

千秋「あっ!? 島村さんのキャラ、確かに可愛い………私のはなんか屈強でゴツゴツしてて、ちょっとヤダ」

千秋「でも激レアだからかなり強いのよね? このキャラも」

桃華「フッ……」

ゆかり「ふふっ♪」

桃華「微笑ましいですわ……」

ゆかり「微笑ましいですねー♪」

千秋&卯月「(???)」





━━━━━━1時間後━━━━━━


千秋「………なぁんだ」

千秋「『激レア』だから、てっきりすごく強いと思いきや……、そうではないのね」

桃華「本来であればチュートリアルからガチャまで一連の流れを、あと3時間ほど繰り返していただくのですが………今回は省略します」

千秋「(さ、3時間……!?)」

卯月「より強いキャラクターを手に入れるためには、さっき引いた『ガチャ』をまた引けばいいのかな?」

桃華「!」

桃華「………はい、その通りですわ」

千秋「ふぅん………『1回:魔法石5個』」

千秋「なるほど。ガチャを1回引くためには所持している魔法石というアイテムを5個消費しなければならないのね」

卯月「千秋さん。この1時間で結構貯まりましたね?」

千秋「うん。私、何故か妙にマッシブなキャラばっかり手に入るから……」

千秋「そろそろ気分転換も兼ねて、心がゆるく和むような可愛いキャラが欲しい」

ゆかり「千秋さんが『たまドラ(※)』をパーティに入れた時は、私達は結構和みましたけどね♪」(※『たまドラ』:モバマスで言うところのマスタートレーナー。育成用素材キャラのため戦力にはならない)

千秋「(み、水本さんって無垢な顔して普通に毒吐いてくるわね……用心しよう)」

卯月「私は……、チュートリアルで引いた金の卵から出たキャラが結構強いですし、もう少し様子見ですかね?」

千秋「(くっ! 普通に悔しい……!)」

千秋「……いま所持している魔法石は20個だから、4回ガチャを引ける。4回」

千秋「まあ4回も引いたら、流石に1回くらいは一番良いレアリティが出るでしょう」

千秋「(……♪)」

桃華「ハァ……」

ゆかり「フー……」

千秋「??」

桃華「………大甘の中の大甘」

桃華「愚の愚」

ゆかり「人生舐めてる……」

千秋「そこまで!?」
17 :☆6/12 [saga sage]:2018/03/25(日) 20:13:42.67 ID:AGx8M9To0

桃華「申し訳ありません、少し言葉が過ぎましたわ」

千秋「いえ、別にいいわ」

桃華「では……、ここから本題に入っていきましょう。庶民一般でいうところのソシャゲとは何たるか」

桃華「ソシャゲを製作する会社は、ゲーム性、ストーリー、そしてキャラクターの魅力等を武器に消費者に売り込みます」

桃華「さて、水曜日さん?」

桃華「ソーシャルゲームにおいて最も重要なファクターは何だと思います?」

千秋「重要……」

千秋「それは勿論、ゲーム性でしょう? ゲームは楽しくなければモチベーションが上がらないもの」

桃華「確かに、基盤となるゲーム性の質と安定性は必要不可欠ではありますし、ユーザーがプレイするゲームを探す際、主に着目する要素ではありますね」

千秋「違うの?」

桃華「では次に、木曜日さん?」

卯月「えっと……」

卯月「やっぱり、気楽に遊びたいですよね」

卯月「空いた時間で、気軽に、サクサクと。場所も問わず、年齢も幅広い層に向けて」

卯月「ソシャゲならではの、単純明快なストーリーが一番のウリなんじゃないかなぁ……って思うけど、どうかな?」

桃華「ふむふむ………、いえ、素晴らしい着眼点です」

桃華「木曜日さんがおっしゃられるのもまた、限りなく正解に近い意見でしょう」

卯月「じゃあ、桃華ちゃんが考えているのは……?」

桃華「はい。最も重要なファクターは、『コレクション要素』ですわ」

桃華「その対象はキャラクターであり、アイテムであり、称号であり……」

桃華「土曜日さん。何故だかお分かりになりますか?」

ゆかり「そうですね……。キャラクターなどは一番目に付く、そのゲームを象徴するような存在だからですか?」

桃華「はい。第一に『集客効果』」

桃華「先ほど、千秋さんがおっしゃったとおりですわ。仮にソシャゲの看板を背負うキャラ達が、ゴリゴリのマッシブで益荒男のような殿方達でひしめいていたら……」

桃華「……どう思われます?」

卯月「私は、キュートなキャラの方が良いかな?」

ゆかり「そうですねぇ……」

千秋「仮にそうなら……、まあゲーム内容にもよるわね。そういうカテゴリなのかなって想像するわ」

千秋「一部の層にはウケそうじゃない?」

桃華「(……っ!?)」

卯月「そ、そういうカテゴリ……!?」

ゆかり「千秋さん……!?」

千秋「ッ!?」

千秋「あっ!! ちちち、ちがっ、違うわよ!! 私がそういうのが好きとか言う意味じゃなくて!!!」

千秋「あくまで客観的な話!! カテゴリっていうのは、そのっ、格闘技とか、ミリタリーものとか……………くっ!!!」

千秋「み、水本さん!! お願いだから椅子を離さないで!!!」
18 :☆7/12 [saga sage]:2018/03/25(日) 20:15:02.45 ID:AGx8M9To0

桃華「…………コ、こほん」

桃華「は、話を元に戻してよろしいですか…………、す、水曜日さん」

千秋「是非とも!!」

桃華「つまりユーザーは自分の琴線に触れたカワイイ、カッコイイ、お気に入りのキャラクターを入手するためにソシャゲに勤しんでいると言っても過言ではありませんわ!」

ゆかり「うーん………ゲーム性や気軽さは、二の次ですか?」

桃華「それらの要素を蔑ろにする、というワケではありませんが……」

桃華「事実、先ほどのガチャで千秋さんは卯月さんに対しこう思いを抱かれませんでした? 『そちらのキャラが欲しい』『もう一回ガチャを引きたい』と」

千秋「うん………そうね」

卯月「私の引いたキャラの方が、レアリティが高いですしね」

千秋「ええ」

ゆかり「千秋さんのキャラの方が卯月さんのより遥かにマッシブなのに?」

千秋「ええそうよ!!」

卯月「つ、つまり………桃華ちゃんが言うところのソシャゲは、キャラクター収集を念頭に置いたカンジなのかな?」

桃華「流石は卯月さん! 的を射ていますわ♪」

桃華「5ポイント差し上げます♪」

卯月「(ウグッ……)」

千秋「(これ、沈黙は金かも)」

卯月「(千秋さん!?)」

桃華「庶民の方々がソシャゲにハマる理由は様々でしょう」

桃華「単純にそのゲーム性が面白い、ランキングで上位に入り名声を勝ち取る快感が欲しい、暇つぶし、オンライン上の交流、ゲーマー魂……」

桃華「しかし、それよりも捨て置けない理由がコレクション要素、収集癖に訴えたファクターに他ならないのです!」
19 :☆8/12 [saga sage]:2018/03/25(日) 20:16:02.51 ID:AGx8M9To0

ゆかり「コレクション要素……」

桃華「人間は自己顕示欲を持つ生き物です。我々も、庶民の方々も同じく」

桃華「ガチャで引いた可愛いキャラを皆に見せたい、強い装備を集めてランキング上位を目指したい、レアなアイテムを収集しコンプリートした達成感を味わいたい」

桃華「遊びやすさや数値的な強さ。それ即ち、レアリティが高いキャラやアイテムの所有数に比例するのです」

ゆかり「それは?」

桃華「そうですね……、あくまで例えですが」

桃華「わたくし達のようなアイドルをキャラとして収集し、LIVEなどやイベントを行うゲームがあったとしましょう」

卯月「うん、アイドル……」

桃華「ランクやレアリティはキャラの魅力。ゲーム的な用語で表現するならば戦闘力や発揮値と申しましょうか。そこで!」

桃華「我が事務所が誇る、3名しか在籍しない数少ないSランクアイドル。その中の一人である『神崎蘭子』さん」

桃華「彼女が満を持して登場したとしたら…………どうです?」

卯月「確かに強そう! 手に入れたいファンも大勢いるでしょうね」

ゆかり「自慢も出来ますし、戦力としても更にゲームを有利に進める鍵になりそうです」

千秋「……つまり」

千秋「仮にキャラに興味が無くてもゲーム内でアドバンテージを得るためには否応なくキャラを集めるはめになり、そこからキャラに愛着が沸き、所有欲が生まれる……!」

千秋「これは……良循環ね!」

桃華「では、ここからが真の本題です」

桃華「今までお話ししたのはソシャゲの魅力」

桃華「しかしそもそもの話、ソシャゲのゲーム性はコンシューマーゲームハードのそれと比べると、格段に劣ると言わざるを得ませんわ」

桃華「ゆえに、ゲーム性ではなく手軽さやコレクション要素に訴える部分もありますが……」

桃華「それに加え、他の利点を最大限に活用する。これこそソシャゲが近年大きくヒットしている理由に他なりません」

ゆかり「他の、利点?」

桃華「“課金”です」
20 :☆9/12 [saga sage]:2018/03/25(日) 20:16:40.07 ID:AGx8M9To0

卯月「課金……、ですか。ソシャゲと一緒によく聞く単語ですね」

千秋「ソシャゲしか出来ないの?」

桃華「いいえ。しかし先ほど卯月さんが仰られたように、『気軽に』『誰でも』遊べるソシャゲだからこそです」

桃華「この課金と収集要素を掛け合わせると、とてつもない魔性が顔を見せ、人々を欲望の渦へと誘うのですわっ!!」

千秋「うん。少し読めてきたかも」

千秋「さっきのパズドラのアプリを立ち上げた時も、気になったの。未成年に向けた注意書きで、“お父さんやお母さんに”とか“おゆるし”とか」

卯月「言われてみれば、明らかに低年齢層に向けた書き方ですね?」

桃華「課金は、やり方さえ知っていれば誰でも購入できてしまうのです。それこそ幼稚園児から高齢者まで」

ゆかり「それが社会的な問題になったことがある話も聞いたことがありますね」

桃華「ふふふ……。今回はそういったアナーキーで暗いお話は置いておきます」

ゆかり「ご、ごめんなさい。とんだ横槍を」

桃華「つまり!!」

桃華「“誰でも課金が出来る”というのは、言い換えると!」

桃華「“課金をすれば誰でも、ランキング上位に上り詰めることが出来る”!!」

桃華「“課金をすれば誰でも、強い装備を軒並み揃えることが出来る”!!」

桃華「“課金をすれば誰でも、憧れのキャラクターを手に入れることが出来る”!!」

桃華「……ですわ!!」

ゆかり「…………」

卯月「…………」

千秋「…………」

ゆかり「えっ??」

卯月「あれっ??」

千秋「うん……??」

桃華「????」キョトン

千秋「それってつまり逆に言ってしまえば“課金をしなければ楽しむことが出来ない”………、ということにならないかしら?」

千秋「じゃあ一番楽しめるのは多額を投入できる富裕層で、庶民は───」

桃華「ちっ、千秋さん!!!!」

千秋「えっ?」





桃華「50ポイント!!!!」





千秋「ン゙、ォ゙ッ……!?」
21 :☆10/12 [saga sage]:2018/03/25(日) 20:18:02.23 ID:AGx8M9To0

桃華「次期日曜日候補に向けて、大きくリードですわ! 流石は水曜日さん!!!」

卯月「…」

ゆかり「わぁー……♪」パチパチ

千秋「」

桃華「わたくし達セレブの底のない資金力をもってすれば、ゲーム内で大きなアドバンテージを獲得するのは容易でしょう。それこそ他の追随を許さない程に」

桃華「スタミナを回復させ無限とも思える時を跨ぎ莫大な経験値を一瞬で稼ぐことも、好きなキャラをコンプリートし嫁艦隊を舐めるように眺めることも、全鯖最終再臨宝具レベルをMAXにすることも……!」

桃華「……では、わたくし達より金銭面で劣る庶民の方々は?」

桃華「庶民はセレブよりゲームを楽しむことが出来ない?」

桃華「否ッ!! ですわ!!」

桃華「資金が無いのであれば!! 資金が足りないのであれば!!!」





桃華「命を削るのです!!!!」





卯月「い、命……?」

桃華「はい! 庶民にとってゲームとは遊びではないのです!!」

桃華「戦いなのですわ!!!」

ゆかり「戦い……!」

桃華「戦わなければ勝てない。そして」

桃華「たたかわなければ生き残れない……! 血で血を洗う戦火の中、遥か昔に散った名も無き課金兵が遺した言葉です」





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★櫻井桃華学習帳★

・たたかわなければ生き残れない【台詞】:たたかわなければいきのこれない
残酷で儚くも美しい世界における、悲しき宿命を的確に表現した台詞。
(※『たたかう』に当てる漢字は『多々買う』を正とする説もあるが詳細は不明)
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22 :☆11/12 [saga sage]:2018/03/25(日) 20:18:56.53 ID:AGx8M9To0

桃華「皆さま、想像が出来ますの?」

桃華「課金のために身を削る。ソシャゲのために命を懸ける彼ら庶民の凄まじい信念を」

ゆかり「彼らは、一体……?」

千秋「櫻井さん。初めに言っていたけれど、ゲームは、その……単なる遊びや戯れなんでしょう?」

千秋「大げさすぎじゃ……」

桃華「はい。しかしそれはあくまでわたくし達が見出した一義的なものに過ぎません」

桃華「多様な角度から物事を深める。それがこの七曜会の活動においては大切ですわ」

卯月「ふむふむ……」

桃華「───『これはゲームであっても遊びではない』」

桃華「わたくしの知己である、とあるゲームデザイナーの庶民の殿方はこう仰られました」

卯月「ゲームであっても……」

千秋「遊びではない……」

ゆかり「……深い、です。とてつもなく」

桃華「庶民は、日々の労働でお金を稼ぎます」

桃華「何のためでしょう。生活のため? 自分のため?」

桃華「いいえ、それは愛する者のためですわ」

千秋「愛する者?」

桃華「はい。愛する者のため、全てを捧げるのです。生活を、お金を、己の全てを……!」

桃華「注がれる愛は課金という形となり、愛する者を手に入れる糧となる」

桃華「わたくしがソシャゲに対する重要なファクターを、コレクション要素と申し上げたの最大の要因はここにありますわ」

桃華「ことキャラクターやアイテム等のコレクション要素が備わるゲームにおいて、庶民の方々の課金額はわたくし達の想像を遥かに凌駕します。廃課金兵と呼ばれる方々の熱量はそのなかでも一線を画します」

桃華「わたくし達が知るある殿方も、そのような気概を持ってわたくし達を…………いいえ。これは詮無きこと」

千秋「?」

桃華「……課金とは並々ならぬ信念と覚悟をもってこそ為せるプレイングであり、極限を更に超えた課金を経て入手したそれらは、この世の神秘を思わせるほどに尊い輝きを放つもの…………と聞いたことがありますわ」

卯月「愛ある課金……!」

千秋「愛あるプレイング……!」

千秋&卯月「(………………………………………)」

卯月「(なんだろう……何故か分かりませんが、胸が締め付けられる思いです……)」

千秋「(そうね……)」
23 :☆12/12 [saga sage]:2018/03/25(日) 20:19:36.95 ID:AGx8M9To0

桃華「……ゆかりさん」

ゆかり「はい」

桃華「課金は行いましたか?」

ゆかり「……はい」

桃華「お幾らほどでしょう?」

ゆかり「…………1000円ほど」

桃華「ありがとうございます」

千秋&卯月「(課金したんだ……)」

桃華「わずか1000円。されど1000円」

桃華「1000円を課金するために、彼らは一食を削る。1000円は課金するのに、スーパーで半額の惣菜を目敏く選ぶ」

桃華「生きるという営為に、刹那的に接している彼らだからこそ選択できる決断です」

桃華「獲るためには失う。この世の真理をソシャゲという媒体を通し、庶民は獣の本能のように観取し、その戦いに身を置いている」

ゆかり「そ、そんな………っ」

桃華「皆さまは、ありますか?」

桃華「ゲームに命を懸ける、その覚悟が」

ゆかり「────っ……」

千秋「身につまされる思いだわ。ソシャゲとはこれほどに壮絶な遊戯だとはね……」

桃華「? 以前なにかありまして?」

千秋「あ、いや違うの」

千秋「私自身は今まで課金も何もしたことないし、そういった浪費にはかかわりのない人生を歩んできたのだけれど」

千秋「その…………何故だか、他人事のように思えなくって……」

卯月「はい……」

桃華「……???」






【ソシャゲは適度に楽しむ遊びです】

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──
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2018/03/25(日) 20:20:41.10 ID:AGx8M9To0
今日はここまで。また次回。
覚えていらっしゃっている方はお久しぶりです、早めに更新します。
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/25(日) 21:09:31.19 ID:mEci9Y8s0
このちゃまはエッチしてる時もスマホ弄ってそう
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/25(日) 21:58:54.74 ID:3if//ARwo
Sランク3人のうち一人は姉ヶ崎だったな
もう一人が蘭子で、あとは誰だろう?
このSSの楓さんはまだペーペーだしw
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/25(日) 22:54:42.08 ID:O3V6dAKhO
らんらんSランクだったの!?
あれだけのあさんに振り回されて精神にダメージ受けてるのにスゴいな
渋の牛丼シリーズも待ってるよ〜
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/25(日) 22:56:39.20 ID:GU7OaoF0o
久々の新作来たヤッター
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/25(日) 23:26:49.32 ID:tsjYeJEDO
新作来た
ヒャッハー!
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/26(月) 19:49:59.91 ID:DUOPLFLo0
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【幕間C】


━━七曜会・規律━━
ルール1:活動中は基本的に相手を見ること
ルール2:日曜日には基本的に服従
ルール3:基本的に本名を出さない
ルール4:処分を受けた者はその処分者に基本的に従う
ルール5:セクハラは基本的に厳罰
ルール6:七曜会のヒミツは基本的に漏らさない
ルール7:恋愛可。お金で買えない価値がある
ルール8:常に視野を広げ目標に邁進すること
ルール9:???
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31 :☆1/15 [saga sage]:2018/03/26(月) 19:51:44.37 ID:DUOPLFLo0
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──────
【公園】


琴歌(月曜日)「みなさ〜ん♪」ヒラヒラ

夏樹「おっ。やっとおでましか」

拓海「ん?」






千秋「!」

卯月「琴歌ちゃん! …………と、夏樹さんと拓海さん?」

桃華「お待たせしましたわ♪」ヒラヒラ

ゆかり「チンチコール♪(挨拶)」






琴歌「チンチコ〜ル〜♪(挨拶)」

夏樹「………」

拓海「………」

夏樹「……えっ?」

拓海「チ…………何?」

夏樹&拓海「…………???」

卯月「(千秋さん。琴歌さんのことを訝しげに見てますよ、あの二人)」

千秋「(ごく自然な反応ね)」

卯月「(何なんでしょう、この挨拶)」

千秋「(島村さん。今更気付いたのだけれど、特に深い意味は無いと思うの)」

桃華「チンチコール♪(挨拶)」
32 :☆2/15 [saga sage]:2018/03/26(月) 19:52:45.36 ID:DUOPLFLo0

桃華「遅れてしまい申し訳ありませんでした。夏樹さん、拓海さん、月曜日さん」

拓海「ん。別に待ってないぜ(月曜日……?)」

夏樹「琴歌から面白い話も聞けたしな(月曜日……?)」

千秋「(木村さんと向井さんの不信感がすごい勢いで高まってる)」

琴歌「ツーリングというものを、初めて体験させていただきました♪」

琴歌「お二人に体を預け、あんなにもいっぱいの風を心地よく一身に受けるとは、とても新鮮でスリリングでした!」

千秋「えっ? ツーリング??」

夏樹「早朝から待ち合わせて、3人で奥多摩までな」

拓海「琴歌の送迎がてらな。暇だったし」

琴歌「風と朝日が溶け合う冷たい空気のなか、壮観な山の景色を堪能しながら味わう塩味の効いたカップ麺は、まさしく得も言われぬ幸福でしたわ♪」

千秋「(いいなぁ……)」

桃華「この時間は特別に、夏樹さんと拓海さんのお二人を招いて行います」

夏樹「まーた面白いことやってんのな、お前ら」

拓海「なんだ。夏樹は知ってんのかよ」

夏樹「ちょっとな。よく分からないけど」(※第一作参照)

ゆかり「桃華ちゃん。この公園で、一体なんのゲームを?」

桃華「よくぞ聞いてくれましたわ、土曜日さん」

桃華「この行うゲーム、それは……」

桃華「“決闘”です!!」

千秋&卯月「決闘?」
33 :☆3/15 [saga sage]:2018/03/26(月) 19:54:07.45 ID:DUOPLFLo0

桃華「決闘と書いて“デュエル”と読みますの。この時間はデュエルを行いますわ」

拓海「遊戯王か?」

桃華「まさしく♪」

夏樹「あぁ、遊戯王カードか」

ゆかり「ユーギョー、カード???」

夏樹「有名だぜ。世界で一番売れているカードゲームだっけか」

ゆかり「お恥ずかしい話、まったく馴染みが無く……」

桃華「では、このデュエルについて簡単な説明を」

桃華「遊☆戯☆王オフィシャルカードゲーム(※以下、遊戯王カード)を用い、1対1で対戦するカードゲームですわ」

桃華「デッキを組み、多彩な効果を持つカードでバトルを繰り広げ、相手のライフポイントを先に減らした方が勝利となるユニークなルール」

卯月「遊戯王……、確か原作は漫画でしたっけ?」

ゆかり「卯月さん、ご存じなんですか?」

卯月「うーん、内容は知らないけれどタイトルだけならね?」

桃華「ちなみに水曜日さんはいかがでしょう?」

千秋「私も──────……ァッッ」

卯月「?」

千秋「…………私は」

千秋「その…………初耳だわ。ユーギオー」

桃華「そうですの? 卯月さんはやはり流石ですわね」

桃華「卯月さん、5ポイント贈呈ですわ♪」

卯月「(!!!!)」

卯月「(ち、千秋さん!! 千秋さんッ……!?)」

千秋「(ご、ごめんなさい……)」
34 :☆4/15 [saga sage]:2018/03/26(月) 19:55:24.23 ID:DUOPLFLo0

桃華「原作では『マジック・アンド・ウィザーズ』という架空のカードゲームとして登場し、それが人気を博したことにより、名を改め商品化に至りました」

夏樹「懐かしいな。小学校の頃は男子どもが夢中でやってたよ」

桃華「まあ……!」

拓海「新聞にも記事で掲載されたりしてな。まさしく社会現象ってやつさ」

千秋「すごいわね。今もなお世界中で波及しているなんて」

桃華「ふふふ……♪」

夏樹「あっ、ワリィ。話の腰を折って」

桃華「滅相も無いですわ。むしろ嬉しいですわ♪」

桃華「お二人から当時のお話を聞けるとは、わたくしとしても興趣が尽きません」

桃華「遊戯王カードを含め、庶民一般の嗜みであるゲームを学ぶ今回の活動にとって非常にありがたいことです」

拓海「庶民一般……」チラッ

ゆかり「??」

千秋「……?」

拓海「(ははーん……)」

拓海「(おい夏樹よぉ、コイツらがやってること、ちょっと読めて来たぞ)」ヒソヒソ

夏樹「(アタシは知ってるよ。さっき琴歌も言ってただろ?)」ヒソヒソ

拓海「(……けどよ)」

拓海「(いや、まさか。なあ………なんでアタシ達、ここに呼ばれたんだ?)」ヒソヒソ

夏樹「(………まさかだろ。だってここ、公園だぜ?)」ヒソヒソ

夏樹&拓海「(…………)」

桃華「わたくしの知人である、世界的エンターテイメント企業の若手社長の庶民の殿方から、必要なカードと道具はお借りしましたわ」

千秋「櫻井さんの交友関係は広いわね」

千秋「北条さんにコンテナで贈ったハンバーガーの時とかもそうだし、食品添加物の教えとか、帝愛グループとか、先ほどのゲームデザイナーとか」

卯月「(一応、そんな人達でも括りは庶民なんですね……)」

千秋「(セレブの概念って何かしら……)」
35 :☆5/15 [saga sage]:2018/03/26(月) 19:56:28.55 ID:DUOPLFLo0

桃華「こちらのアタッシュケースに遊戯王カードを多く取り揃えました。そしてこれがデュエルに使用するデュエルディスクと呼ばれる道具です」

ゆかり「あら?」

ゆかり「カードゲームなのに、机の上で行うものではないんですね?」

琴歌「そのゴツゴツした器具にカードをセットしながら勝負をするんです?」

ゆかり「形状から察するに、腕に取り付けるみたいですが……重そう……」

桃華「お二人とも、非常にナイスな質問ですわ♪」

桃華「庶民の方々がこのデュエルを行う際、どのような場所で実際に行うのか?」

桃華「ズバリ!」

桃華「バイクの上で決闘を執り行います!!」




ゆかり&琴歌「………エッ?」




千秋&卯月「バ、バイク……!?」




桃華「専用に整備された公道で、風と一体となりつつ興じるゲーム……、いえ、スポーツと言っても差し支えはないでしょう!」




千秋「公道で!?」

卯月「う、運転しながらですか!?」




桃華「スポーツには怪我やアクシデントは付き物。死と隣り合わせであり、まさしく命を懸けた“闇のゲーム”と言えるでしょう……!」




千秋「い、意味は!? バイクに乗る必要性は何!?」




桃華「ふふふっ……」




桃華「わたくしにも、分かりませんわ」




千秋「(───!?)」




桃華「共に学び、意味を見出すのです。庶民文化を探究する、七曜会の一員として」




卯月「(い、命を懸けて……!!)」

千秋「(学ばされる……!!)」
36 :☆6/15 [saga sage]:2018/03/26(月) 19:57:45.20 ID:DUOPLFLo0

桃華「御賢察の通りですわ。デュエルと言えど、たかがカードゲーム」

桃華「カードゲームの基本性質から鑑みても、バイクを用いる必要性も理由も荒唐無稽で理解不能の極みではあります、が……」

桃華「しかし……わたくしは先程、ソシャゲの時間にも申し上げましたわ」

桃華「庶民の方々は、ゲームに命を懸けています」

桃華「心血を注ぎ、全身全霊を以って、身命を賭して………ゲームという戦いに興じるのです」

千秋&卯月「そ、そんな……!」

琴歌&ゆかり「………っ!!」

桃華「わたくし達が持つ固定的観念を破り、理解から目を背けずプライドを捨て去らなければ、彼らに歩み寄ることは叶いません」

桃華「本日、夏樹さんと拓海さんをお呼びしてありますのは他でもありません」

夏樹&拓海「……!」

桃華「お二方がバイクの運転を嗜み、なにより遊戯王カードを御存じという………とある筋からの情報提供を受け」

桃華「琴歌さんの送迎を兼ね、特別講師として招いた次第です」

桃華「……改めまして、夏樹さんと拓海さん」

桃華「スピードの世界で進化を遂げた“ライディングデュエル”。そのご指導、ご鞭撻のほどをお願いいたします」ペコリ

卯月「───っ!」

卯月「……よ、よろしくおねがいします!」

ゆかり「新たな境地へ……、少し不安に思う部分もありますが何卒ご教授を……!」

琴歌「カードゲームとバイク運転のシンクロ、とでも表現すべきでしょうか。ライディングデュエル……」

琴歌「……む、胸が熱くなりますわ!」

千秋「わ、私もちょっと見てみたいかも」

千秋「木村さん、向井さん………その、よろしくね?」

拓海「んー……」

拓海「……おう。いいぜ」

夏樹「(……)」

夏樹「(おいおい……待てよ拓海)」

夏樹「(コイツら、未来を見てきたエメット・ブラウンでも腰抜かすようなこと言いやがる。やめとけって)」

拓海「(まあまあ、そりゃあアタシらの単車じゃそんな芸当出来っこねえよ)」

拓海「……だが、ご教授ってなら出来るぜ」

拓海「桃華。お前にな」

桃華「?」

拓海「いいか? ライディングデュエルってのは────」
37 :☆7/15 [saga sage]:2018/03/26(月) 20:02:02.86 ID:DUOPLFLo0



━━━━━━10分後━━━━━━



拓海「……ということだ」

桃華「……っ」

桃華「些か……、勉強不足でしたわ」

琴歌「ライディングデュエルには、専用のライセンスが必要なのですね」

拓海「バイクもカスタムしてねえし、区に事前申請も必要だ。万が一の際のプロテクターも無え」

桃華「面目もありませんわ。本来ならばわたくしの方であらかじめ手配すべき事であるのに、怠るとは……」

拓海「構わねえさ。なあ、夏樹?」

夏樹「ああ。ライディングデュエルはムリだが、桃華達でも簡単にやれるスタンダードの方式なら、アタシ達二人で面倒見るぜ」

桃華「では、今回はバイクを用いるルールではなく……」

卯月「机の上でやるんですね?」

桃華「いいえ。このデュエルディスクがあれば、場所は問わず可能ですわ」

桃華「わたくしも実際にデュエルをするのは初めてですし、そうですわね……?」

桃華「このままご指導頂けるというのならば、夏樹さんと拓海さん、それとわたくし達」

桃華「二つのチームに分配し、デュエルを行いましょう」

千秋「うん。分かったわ」

ゆかり「実際にどういうルールかも少し把握したいですし」

桃華「そうですわね。ルールブックも全てあちらに用意してありますので───」



夏樹「(………ふぅ)」

夏樹「(いやぁ、上手くごまかしたな。拓海)」

夏樹「(桃華達、庶民の遊びを体験したいみたいだけどよ……)」

夏樹「(まあ、なんつーか間違った知識とかネットの誤情報に踊らされてたりとか、現実と2次元をごちゃごちゃにしているというか……)」

拓海「(………? ごまかす?? 間違った???)」

夏樹「(あ?)」

拓海「(ごまかしてないだろ。ライセンスの有無、専用カスタムバイクの使用、区への事前申請……)」

夏樹「(………………)」

拓海「(それより見ろよ、あのデュエルディスク。サイズが小さめの、折り畳み機能が無い旧式だぜ?)」

拓海「(試作機を貸し出すってことは、桃華の知り合いって本当にまさか…………なあ、おい聞いてんのか?)」

夏樹「(………………)」

夏樹「(………………なんでもいいよ。はやいとこ、デッキ作成の手伝いしてやろうぜ)」

拓海「(なんだよ、疲れた顔しやがって……???)」
38 :☆8/15 [saga sage]:2018/03/26(月) 20:03:13.10 ID:DUOPLFLo0


━━━━━━30分後━━━━━━



桃華「では♪」

桃華「デュエルを始めていきましょう♪ 勝負ですわ千秋さんっ!」

千秋「………っ」

千秋「(重ッ……。なにこの器具……腕に付けているだけでかなりの筋トレになりそうな重量なんですけど……っ)」ヨロヨロ




☆チーム
→千秋(決闘者)、卯月、夏樹

★チーム
→桃華(決闘者)、琴歌、ゆかり、拓海




拓海「デッキは分かりやすく初期のカードで!」

夏樹「ライフポイントは8000な。ちゃっちゃと行こーぜ!」(ライフポイント、以下LP表記)

拓海「ちなみに桃華のデッキはアタシが、千秋のデッキは夏樹が手伝って作ったぜ」

拓海「(夏樹。負けた方はメシ奢りなっ!)」

夏樹「(上等だ。泣いて詫びることになるぜ、拓海!)」

卯月「千秋さん、ファイトですっ!」

千秋「ええ。負けないわよ、櫻井さん!」

桃華「フフッ♪ 気合充分ですわね水曜日さん、実に善いことです」

桃華「次期日曜日候補の実力、存分に発揮してくださいな♪」


















千秋&卯月「(…………───────!!!!!!!!!!)」
39 :☆9/15 [saga sage]:2018/03/26(月) 20:04:17.22 ID:DUOPLFLo0

千秋「…………シッ」チラッ

千秋「島村さん…………カ、代わる???」

卯月「チ、千秋さん!! 頑張りましょう!!!!」グッ!

千秋「島村さんっ……貴女とは分かり合えると思っていたのに……ッ」

卯月「い、いやいや!! 千秋さんこそ、さっき!!!」

千秋「(くっ、……そうだった。我が身に跳ね返るというやつね)」

桃華「では、いざっ!」




━━━━━━決闘開始!━━━━━━




桃華「わたくしから参りますっ!!」ズァッ!

桃華「【強欲な壺】を発動し、デッキから2枚ドローしますわ!」

桃華「守備表示でモンスターをセット! 1枚カードを場に伏せてターン終了ですっ!」

千秋「次は私のターンね」

千秋「(………)」

夏樹「(さーて。じゃあ定石通り攻めますか)」

千秋「(………木村さん)」

千秋「(身の程を弁えず申し訳ないのだけれど、アドバイスを請う上で一つお願いがあるの)」

夏樹「(うん?)」

千秋「(今回の勝負の流れだけれど……、その……)」

千秋「(櫻井さんが不審に思わない程度に白熱させるところまで盛り上げて、ギリギリのところで力及ばず私が敗北する…………っていう采配でお願い出来ないかな?)」

夏樹「(何だそりゃ)」
40 :☆10/15 [saga sage]:2018/03/26(月) 20:05:20.61 ID:DUOPLFLo0

千秋「まずは……」

千秋「魔法カード【抹殺の使途】で、櫻井さんの守備表示のカードを除外するわ」

桃華「あら?」

夏樹「(除外されたカードは、【ニードルワーム】、………ね)」

夏樹「(ふーん……)」

千秋「次に、【大嵐】発動。伏せたカードは全部墓地に置いて」

千秋「……これで櫻井さんは無防備ね。私は───」

千秋「───【ミノタウルス】を攻撃表示で召喚」スッ



http://i.imgur.com/xAbjmxi.jpg



桃華「なかなか強そうなモンスターですわ」

千秋「このモンスターで、櫻井さんにダイレクトアタック!」

桃華「うぅっ!!」【★LP: 8000→6300】

桃華「ハァ、ハァっ……!!」プルプル

千秋「……」

桃華「ぐふッ! や……、やりますわね」

千秋「(なにあの迫真のやられ演技……、これ、私もやる流れなの???)」

夏樹「(スゲー……、これが本物のソリッドビジョンシステムか。こんなリアルな立体映像、初めて見たなぁ)」ジー

琴歌「桃華さん、まだまだこれからですっ!」

ゆかり「どちらも頑張ってくださーい♪」
41 :☆11/15 [saga sage]:2018/03/26(月) 20:06:40.79 ID:DUOPLFLo0


━━━━━━省略━━━━━━



夏樹「千秋。手札の魔法と罠カードを、全部伏せとこうか」

千秋「ええ、分かったわ」

拓海「ッ!?」

拓海「アーーッ!! ずりィ!!!」

夏樹「ずるかねぇ、真っ当な戦法さ」

千秋「3枚のカードを伏せて、私は……とりあえずこのモンスターを召喚よ」



http://i.imgur.com/ldEj8RK.jpg



桃華「【ブラッド・ヴォルス】……魔獣人。これもなかなか強そうなモンスターですわね」

千秋「まずは【ミノタウルス】で、櫻井さんの守備表示カードを攻撃!」

桃華「守備表示のカードは【メタモルポット】ですわ!」

桃華「リバース効果っ! えーっと……お互いの手札を全て捨て、それぞれデッキから5枚カードを引く…………ですわ!」

桃華「ふふふっ♪ デッキをかなり消耗していますね、千秋さん?」パサッ

千秋「うん? そうね……??」

千秋「(カードを全部伏せたおかげで、捨てなくて済んだのは助かったけど)」

拓海「(………)」

夏樹「(………♪)」

千秋「次は、このターンに召喚した【ブラッド・ヴォルス】で、櫻井さんにダイレクトアタックよ」

桃華「───ッ!!」【★LP: 3400→1500】

桃華「ああああッッ、う、クッ!」

桃華「いやあああっーーーー!!」ズザー!!

千秋「そこまで派手に転ぶ必要ある?」

桃華「ハァ……ハァ……」

琴歌「た───っ!」

琴歌「タイム! タイム!!」

ゆかり「レフェリータイム!!」

千秋「レフェリータイム!?」
42 :☆12/15 [saga sage]:2018/03/26(月) 20:07:55.34 ID:DUOPLFLo0

琴歌「桃華さんっ! これを……!」

ゆかり「これで気力を、いいえ、庶民力を! 庶民力を回復してください!」

卯月「(庶民力!?)」

琴歌「添加物どっぷりの無果汁ですわ! さあっ、どうぞ!!」

夏樹「(ただの炭酸ジュースじゃねーか、160mlの)」

桃華「ハァ、ハァ……!」カシュッ!

桃華「むぅっ───!」ゴキュゴキュゴキュ!

琴歌「のーんでっ、のんでのんでっ♪」

ゆかり「もういっぽん♪」スッ

桃華「はぁぅ───!!」ゴキュゴキュゴキュ!

桃華「────っ、ぷふぅ!!」

拓海「(ウマそうに飲むなぁ)」

千秋「(なにコレ)」

桃華「はぁ、ふぅぅっ! 庶民力が高まり、溢れますわ……!」

千秋「………」

桃華「……お待たせしました、水曜日さん」

千秋「あ、いえいえ……」

桃華「わたくしのターンです、庶民力が漲ったわたくしを甘く見ないことですわ!」

桃華「ところで、デュエルにおいて、“ディスティニー・ドロー”を御存じでして?」

千秋「ディスティニー・ドロー??」

卯月「destiny draw…………直訳で、運命の引き?」

夏樹「ん……、【デステニー・ドロー】か?」

桃華「いいえ、“ディスティニー・ドロー”。それは運命をも味方に付ける力」

桃華「劣勢に立たされた時に、その状況を打破し逆転につながる最高の切り札を引き当てる。それがディスティニー・ドローです」

千秋「」

千秋「い、いやいや。手品のつもり?」

夏樹「漫画やアニメのヒーローじゃあるまいし、な?」

拓海「……っ!」

拓海「ま、まさかよ……、あの伝説のドローのことかっ……!?」

夏樹「拓海、お前何言ってんの?」
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