みく「笑顔が素敵だから」

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8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 11:39:47.37 ID:sxoY46o70



みく「ナナチャンはどうなの?」

菜々「え?」

菜々「そうですね」

菜々「ナナは歌って踊れる声優アイドルになって、キラキラのステージでみんなに夢を届けるアイドルになりたいです!」

菜々「永遠の17歳!JKアイドルウサミンこと安部菜々ですっ」キラキラ

菜々「って感じです♪」

みく「……」

菜々「みくちゃん?」

菜々「引いちゃいました?」

みく「はにゃっ!ごめんごめん!」

みく「ううん、そんなことないよ!」

菜々「えへへ、レッスン疲れましたもんね」

菜々「ナナはもう帰りますけど……みくちゃんも一緒に帰りますか?」

みく「あ!みくはまだPチャンの説明を受けに帰らなきゃいけないから……」

菜々「そうですか、ふふ、じゃあまた明日ですね」

みく「うん、ナナチャン!また明日ねっ!」




9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 11:40:16.41 ID:sxoY46o70




事務所
夕暮れ

モバP「よう、おかえり、みく」

みく「疲れたにゃ……」

モバP「どうだった?レッスンは」

モバP「そして安部菜々は」

みく「……」

みく「……うん、本当に凄かったにゃ」

みく「……」

みく「歌もダンスも上手いし、それだけじゃない」

みく「なんというかアイドルの才能を見せつけられた感じ」

みく「……」

みく「あの人こそみくが目指す理想のアイドル像だにゃ……」

モバP「うん、会わせておいて良かったよ」



10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 11:40:57.25 ID:sxoY46o70



みく「……」

みく「なんでナナチャンが売れてないのか、不思議でならないにゃ」

みく「……Pチャンが無能なの?」

モバP「こいつはっきり言いやがるな……」

モバP「アイドルってのはな、実力だけじゃ売れないんだよ」

モバP「他にもな、タイミング……」

みく「タイミング、ニーズ、容姿、実力、運でしょ?」

モバP「ん?菜々さんから聞いたのか?」

みく「うん、Pチャンの口癖だって、実力だけじゃ駄目だって」

モバP「そうだな……」

モバP「俺はプロデューサーとしてニーズとタイミングを上手く調整していくのが仕事だ」


11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 11:41:27.89 ID:sxoY46o70



モバP「容姿はまあ問題ないとして、お前たちアイドルは実力をつけて貰うのが当面の仕事になる」

モバP「そして……」

みく「運……」

モバP「こればかりはどうしようもない」

みく「ナナチャンはそれが、”運”が今のところ足りてないってことなの?」

モバP「もちろんまだまだ俺も菜々さんも完璧とは言えないだろう」

モバP「運だけがないってことはないだろうけどな」

みく「……」

みく「でも、一番欠けているのが運だとしたら……」

みく「売れるのも時間の問題だにゃ……」



12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 11:41:55.59 ID:sxoY46o70



みく「いつか最高のアイドルとしてデビューできるに違いないにゃ!」

モバP「……いつか、ね」

みく「……?」

モバP「実はな、菜々さんは引退という道も視野にいれている」

みく「!?」

みく「な、なんでにゃ!?」

みく「あんなに凄いのに!」

みく「そんなの絶対ありえないにゃっ!!」


13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 11:42:25.21 ID:sxoY46o70



モバP「……詳しくは話せんが」

モバP「……」

モバP「まあ、家庭の事情とうちの事務所との契約上だな」

みく「事務所がナナチャンを捨てるってこと!?」

モバP「落ち着け、そんな訳ないだろう」

モバP「菜々さんは才能に溢れてる、それは俺も事務所も認めている」

みく「じゃ、じゃあ」

モバP「ああ、本人の意志の方だ」

モバP「……」

モバP「とにかく……待ってればいつか、なんて時間は菜々さんには残されてないってことだな」

みく「……」


14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 11:42:58.24 ID:sxoY46o70



みく「……」

みく「そんなのって……」

モバP「みくが今それを心配しても仕方ないだろう……」

モバP「まずは、自分の心配から始めたほうがいいな」

モバP「トレーナーさんから連絡来たぞ」

モバP「まだまだだってな」

みく「うげっ!」

モバP「うげっじゃあないんだよ、明日からみっちりレッスンに入ってもらうからな」

みく「わ、分かったにゃ……」

みく「……」

モバP「よし、今日はここまでだ」

モバP「今日は暗くなってきたし、女子寮に俺が送ってやろうか?」

みく「いや、土地勘つけるためにも電車で帰るにゃ!」

モバP「そうか、気をつけてな」

みく「はぁい!おつかれにゃ!」



15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 11:43:27.02 ID:sxoY46o70



事務所から駅までの小道


みく「……」

みく「案の定迷ってしまった」

みく「……」

みく「こんなことならPチャンに送ってもらえば良かった」

みく「……」スタスタ

みく「……多分この細い道をまっすぐ抜ければ駅に出るはず!」

みく「……」スタスタ

みく「……」スタスタ



16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 11:44:01.55 ID:sxoY46o70



みく「……」スタスタ

みく「……ん?道端に灯りが……」

みく「出店……?」

みく「……」すた

みく「……」

怪しすぎる老婆「いらっしゃいませ」

みく「……」 ジー

老婆「何か?」

みく「えっ、いや何を売ってるのかなって……」


17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 11:46:35.60 ID:sxoY46o70



老婆「……」

みく「えーっと、一品だけ……」

みく「『帰れるICカード』?」

みく「電車に乗る時に使うICカードだよね……これ」

みく「(帰れるって家に帰れるってこと?行きは使えないの……?)」

みく「あ、あの『帰れる』ってどういうこと?」

老婆「……」

みく「えっと……ちょっと気になって……」

老婆「……それは『帰れる』という意味でございます」

みく「は、はあ」


18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 11:47:05.56 ID:sxoY46o70



みく「……普通のICカードと違うの?」

老婆「それは、お買上げになった方のみお分かりになるのです」

みく「(な、なんにゃ、この人、怪しすぎにゃ……)」

みく「ちなみにおいくら?」

老婆「1500円でございます」

みく「普通の値段……」

みく「まあ、ICカード持ってないし買っておこうかな!はい、1500円!」

老婆「ありがとうございます」


19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 11:47:42.32 ID:sxoY46o70



最寄り駅


みく「なんだったのかな、あの店は」

みく「それにこのICカード……変なデザイン。真っ白だし……」

みく「ま、いっか」

みく「早速チャージするにゃ!」諭吉トリダシー

Pi

画面「認識出来ません」

みく「あん?」

Pi

画面「認識出来ません」

みく「……」


20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 11:50:22.35 ID:sxoY46o70



みく「……」

みく「ま、まさか」

Pi Pi

画面「認識出来ません」

みく「……」

みく「ま、まさか」

みく「みく、騙された……?」

みく「……」

みく「うにゃ゛ーーーーーーっ!!」

みく「ほんまなんなん!!」

みく「明日あの出店に行って文句言ってやる!」

駅内アナウンス「○◯行き電車が参ります、○◯行き電車が参ります」

みく「うげぇっ、やばっ!!」

みく「とにかく代わりのICカード買わなきゃ!」

みく「駅員さーーん!!」ダッシュ



21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 11:50:53.21 ID:sxoY46o70



1ヶ月後
事務所


みく「はーー、午前のレッスン疲れたにゃ」ドサッ

菜々「ふふ、お疲れ様みくちゃん」

みく「やっぱりナナチャンは凄い!」

みく「みくも追いつけるように頑張るにゃ」

菜々「一緒に頑張りましょうね」

モバP「レッスン久しぶりに見学させて貰ったが、みくも中々良くなってきているぞ」

モバP「ダンスはとにかく身体に染み込ませることが大事だ」

モバP「これからも反復練習だな」

みく「分かったにゃ」

菜々「ふふ」


22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 11:51:24.37 ID:sxoY46o70



菜々「それでプロデューサー、今日ナナ達を呼び出したのはなんででしょう……」

みく「そうにゃ!このまま午後もレッスンじゃなかったの?」

モバP「ああ、話があってな」

モバP「菜々さんとみく二人組でオーディションを受けてもらう」

菜々みく「!!!」

モバP「ゲーム会社のイベントの仕事だな」

モバP「どうだ、試してみるか?」

みく「当然にゃ!」

みく「みくの鮮烈デビュー期待してるにゃ!!」

モバP「そう言ってくれると思ったよ。菜々さんは?」

菜々「ええ、もちろん受けさせて下さい」

モバP「……分かった、手続き諸々はもちろんこっちでやっておく」


23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 11:51:56.34 ID:sxoY46o70



モバP「この仕事が決まれば、上手くいけばゲーム広報イベントにも今後呼ばれるようになり、主題歌への抜擢という可能性もある」

モバP「まずは小さなイベントだが、この先いろいろな可能性がありそうなんだ」

菜々「……!」

みく「お〜っつ!!」

モバP「午後からはそれに合わせたレッスンだな」

モバP「トレーナーにはもうオーディションのことは伝えている」

みく「分かったにゃ、それじゃ行ってくるね!!」ダッシュ ドアバタン

菜々「あっ!みくちゃん待って下さい〜」

モバP「……」



24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 11:52:26.58 ID:sxoY46o70



3週間後
事務所


みく「明日はついにオーディションにゃ!!」

みく「ナナチャン頑張ろうね!」

菜々「ふふ、そうですね」

モバP「明日なんだが……」

モバP「昔から愛されていて伝統あるシリーズ作品新作のPRとなる」

みく「はあ」

モバP「向こうのプロデューサーとも面識があってな、そいつのタイプからして……」

モバP「今回はふたりともキャラクターを一旦置いて、正統派アイドルとしてオーディションを受けてみるのはどうだ」

みく「!?」

みく「猫ちゃんアイドルじゃだめなの!?」

モバP「駄目ではないが、相手が何を求めているかって問題だな」

モバP「正直これは賭けだが……」


25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 11:52:56.86 ID:sxoY46o70



みく「……」

菜々「ナナは良いですよ」

菜々「やってみましょう、それで」

みく「ナナチャンが言うなら……」

みく「今回はそれでやってみるにゃ」

モバP「すまないな二人とも」

モバP「それじゃあ、今日はこれで終わりだ」

モバP「帰ってしっかり身体を休めてくれ」

みく「分かったにゃ!」

菜々「はい、みくちゃん明日はよろしくお願いしますね」

みく「任せておいてにゃ!」

菜々「あっ、みくちゃん、もしオーディションで良い結果だったらお手伝いしてる喫茶店が出してるゴージャスパフェをご馳走しますよ!」

みく「えっ!?いいの!?」

菜々「はい!約束です!だから明日は頑張りましょうっ!」

みく「うんっ」



26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 11:53:51.10 ID:sxoY46o70



次の日
オーディション会場
夕方(オーディション終了後)


みく「はー、緊張したにゃあ」

菜々「みくちゃんお疲れ様でした」

みく「どうだったかなどうだったかな、不安だにゃあ」

菜々「結果は3日後みたいですね」

菜々「それまでドキドキですね」

モバP「お疲れ様ふたりとも」

モバP「よく頑張ったな」

モバP「俺は向こうのプロデューサーに挨拶してくるよ」


27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 11:54:19.73 ID:sxoY46o70


モバP「二人ともこのまま解散で大丈夫か?」

みく「大丈夫にゃ!」

菜々「ナナはプロデューサー待ってますよ」

モバP「……ん?そっか、悪いな」

モバP「じゃ、みく気をつけて帰れよ」

みく「はぁい!おつかれさまにゃ!」

みく「ナナチャンもお疲れさま!」

菜々「うん、また明日ね、みくちゃん」

みく「ばいばーい」スタスタ


28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 11:54:48.56 ID:sxoY46o70


みく「……」スタスタ

みく「あ、そういえばあの黒いICカードを売ってた出店」

みく「あれから見かけないにゃ……」

みく「文句言ってやろうと思ったのに……」ブツブツ

みく「まあ電車で使えるとはあのお婆さんひとことも言ってないわけだし……」

みく「……」

みく「……まあいいか」


29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 11:56:11.98 ID:sxoY46o70



3日後

事務所
夕方

みく「レッスン今日は新しいことやらされてハードだったにゃ……」

菜々「ナナも腰が……」

モバP「はは、トレーナーさんも気合入ってるなあ」

みく「それでPチャンオーディションの結果は来たの!?」

モバP「ん、まだだな。そろそろ自分に電話がくるはずだが……」

Pururururururu

みく「!!」

モバP「おっと、来たか」

モバP「ちょっと電話出てくるな」スタスタ

みく「う、うん」

菜々「……」

30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 11:56:51.55 ID:sxoY46o70


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

モバP「……」スタスタ

みく「……あ、Pチャン!」

みく「ど、どうだったにゃ」

菜々「……」

モバP「……すまん、俺のミスだ」

モバP「今回は見送りになったよ……」

みく「あーーーそっかあ」

菜々「……残念です」


31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 11:57:29.47 ID:sxoY46o70



モバP「俺がもっと情報をリサーチ出来てたら、お前らを……」

みく「ちょちょっと、Pチャンがそこまで落ち込むことないにゃ!」

みく「次回はもっと頑張るにゃ!」

みく「ね!ナナチャン!」

菜々「そうですねっ!そんなに落ち込まないで下さいプロデューサー」

モバP「……ああ」

モバP「今日はこれで終了だ、また明日な」

モバP「すまん」

みく「分かったにゃ!次回もPチャンよろしくね!」

菜々「はい!じゃ、菜々は先に帰りますねっ」

モバP「ああ」

菜々「お疲れ様でしたっ」スタスタ

みく「ナナチャンおつかれにゃ〜」

ドアバタン


32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 11:58:07.25 ID:sxoY46o70



みく「あー、本当に残念だったにゃ」

モバP「……」

モバP「今回のオーディションな、俺の知らない新しいプロデューサーも審査に入ってたみたいなんだ」

みく「?」

モバP「その人は所謂キャラクター性を持ったアイドルを探していたらしい、と今電話で聞いた」

みく「えっ、ってことは……」

モバP「そうだ、いつもどおりのお前たちなら通ってたかもしれんな」

みく「そんな……」

モバP「完全に俺のミスだ」

モバP「本当にすまない」

みく「……」


33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 11:59:08.17 ID:sxoY46o70



みく「……そんなの仕方ないにゃ!」

みく「それこそ運が悪かっただけにゃ!」

みく「次回はきっと……!!」

モバP「次回か……」

モバP「……みく前にした話覚えてるか?」

みく「?」

モバP「菜々さんにはな、時間がないんだ」

みく「!」

モバP「そして、菜々さんは今回のこのオーディションに賭けていた」


34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 11:59:43.68 ID:sxoY46o70



みく「え……まさか」

モバP「……」

みく「そ、そんな……引退……?」

モバP「すぐすぐという話ではないが……な」

モバP「……」

モバP「『約束』があるからな」

みく「約束……?」

モバP「だからな、これは全部俺のせいなんだ」

モバP「あいつをトップアイドルにしてやるのが俺の使命だったはずなのに……」

モバP「……」

モバP「もちろんそうはならないように、出来る限りのことをしていこうと思う」

みく「……うん」


35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:00:16.93 ID:sxoY46o70



事務所最寄り駅


みく「うげぇ、酷い雨だった……」

みく「……」

みく「……」

みく「はぁ、ナナチャン……」

みく「みくは何かしてあげること出来ないかな」

みく「ナナチャンの凄さをみんなに知ってほしい」

みく「そして……」

みく「……」


36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:00:45.77 ID:sxoY46o70



みく「……」

みく「……」

駅内アナウンス「まもなく○◯行き電車が参ります」

みく「うげぇっ!まずい!」

みく「ぼーっとしてる場合じゃなかった!!」

みく「走れ走れ」スタコラダッシュ

みく「はあはあ」ダッシュ

みく「あ、改札……!」

みく「ICカード、カバンに入れっぱなしだ……!」

みく「あった!これだ!」ゴソゴソ



37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:01:16.56 ID:sxoY46o70


みく「てい」

Pi ガコン
きらきらきらーん

みく「良かったあ、間に合いそう」

みく「……」

みく「ってこのICカード!例の白い使えないやつじゃん!!」

みく「あれ!?みくこれで改札通れたの……?」フリムキ

シーン

みく「……」

みく「えっ、ここ……どこ?」

みく「さっきまでいた駅じゃない……!」

みく「誰もいないし……」シーン

みく「壁も床も真っ白で……凄く静か……」

みく「……」


38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:01:54.24 ID:sxoY46o70



みく「……」

みく「な、なんで……どういうこと?」キョロキョロ

みく「これは夢?」

みく「……」スタスタ

みく「あ、案内版がある……」

みく「大きな案内板……みくの知ってる土地じゃなさそう」

みく「駅名が書いてある……」

みく「ここは『時間駅』……?」





39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:09:03.21 ID:sxoY46o70




時間駅


みく「時間駅ってなに……」

みく「そんな駅名聞いたことが……」

みく「……」スタスタ

駅内アナウンス「まもなく電車が参ります、お乗りの方はお急ぎ下さい」

みく「うわっ!?」

みく「びっくりしたっ!」

みく「電車……来るんだ」

みく「とりあえずホームに向かおう……」スタスタ



40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:09:37.68 ID:sxoY46o70



時間駅ホーム


プシュー

みく「本当に電車停まってる……」

みく「電車も、線路も真っ白……」

みく「こんな都会なのに一両編成だし」

みく「……」

みく「『過去行き』……?」

駅内アナウンス「まもなく発車致します」プシュー

みく「……改札からもう出れなくなってたみたいだし」

みく「乗って……みるしかないにゃ」

みく「……」スタスタ

ドアガコン プシュー
キュイーン



41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:10:12.61 ID:sxoY46o70



時間電車車内


ガタンゴトン

みく「結構走ってるみたいだけど、外、真っ暗で何も見えない……」

車内アナウンス「次は『1日前』『1日前』」

みく「1日前??」

みく「……」

みく「……」

みく「降りてみよう」



42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:11:14.42 ID:sxoY46o70



1日前駅
ホーム


みく「さっきの時間駅?とそのままそっくりな駅に着いた……」

みく「……」スタスタ

みく「……なんだか怪しいけど静かで綺麗な場所」

みく「……」スタスタ

みく「あ、改札……」

みく「さっきの……白いICカードで出られるのかな」

みく「……」スタスタ

みく「おりゃ」

Pi ガコン
きらきらきらーん


43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:11:40.59 ID:sxoY46o70



みく「……!!」

みく「ここはいつも使ってる駅!!」

みく「一体どういうこと?」

みく「いつも通りの風景」

ガヤガヤ

みく「人もたくさんいるし……」

みく「なんだったのかな、夢?」

みく「……」スタスタ

みく「ん?雨……やんでるみたい」

みく「……帰ろ」スタスタ



44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:12:08.73 ID:sxoY46o70



次の日

事務所
夕方

みく「レッスン疲れたにゃ〜」

菜々「新しいダンスだったから腰が痛いです〜」

菜々「みくちゃんはいきなりあんなの踊れるなんて凄いですねっ」

みく「えっ、だって昨日……」

菜々「昨日?」

みく「昨日あのダンスやったよね?」

菜々「昨日はいつもの基礎でしたよね?」

みく「あ、あれ!?」


45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:12:39.88 ID:sxoY46o70


菜々「プロデューサー、そういえばオーディションの結果は……」

モバP「ああ、そろそろ自分に連絡が来るはずなんだがな……」

みく「!?」

モバP「?」

モバP「どうしたみく」

モバP「猫が豆鉄砲食らったような顔して」

みく「えっ!いや……えっ!」

みく「きょ、今日って何日だっけ?」

菜々「みくちゃん16日だよ、ずっとドキドキしてたオーディションの結果発表日ですよ?」

みく「!!!?」


46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:13:33.66 ID:sxoY46o70

モバP「おいおい、ボケてるのか?」

みく「い、いやそんなはずは……」

みく「ちょ、ちょっと電話しくてるにゃ!」スタコラダッシュ

菜々「?」

ドアバタン


47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:15:45.25 ID:sxoY46o70



事務所廊下


みく「どどどどどどど」

みく「どういうことにゃ……」

みく「……」スマホトリダシ

スマホ「2月16日」

みく「う、うそ……本当に16日」

みく「1日戻ってる……?」

みく「……!!!」


48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:16:15.15 ID:sxoY46o70


みく「ま、ま、まさか……」

みく「あの時間駅のせい?夢だと思ってたのに……!」

みく「1日前駅で降りたから1日戻ったってこと?」

みく「……」

みく「……よく考えると2日連続で女子寮の夜ご飯ハンバーグだったのも」

みく「今日のレッスンが昨日と同じだったのも」

みく「昨晩雨が急にあがってたのも」

みく「全部時間が戻ったから……」


49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:16:46.32 ID:sxoY46o70



みく「むしろ、よく夜まで気づかなかったな……みくニュースとか見ないから……」

みく「……」

みく「でも、凄い……」

みく「あのICカードで時間駅を利用したのが原因だとしか思えない」

みく「あ!『帰れるICカード』って過去に『帰れる』ってこと!?」

みく「とにかくこれは本物みたい……」

みく「あ……ということはまたオーディションの結果を聞くことに……」

みく「……」スタスタ


50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:17:18.52 ID:sxoY46o70



事務所


みく「……」スタスタ

菜々「あ、みくちゃんおかえりなさい」

みく「ご、ごめんにゃ」

みく「あれ?Pチャンは?」

菜々「オーディションの結果の電話が掛かってきたみたいですよ」

みく「そう」

モバP「……」スタスタ

モバP「……」


51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:17:45.80 ID:sxoY46o70


みく「あ、Pチャン……」

菜々「……どうでした?」

モバP「……すまん、俺のミスだ」

モバP「今回は見送りになったよ……」

みく「……」

菜々「……残念です」

モバP「俺がもっと情報をリサーチ出来てたら、お前らを……」

みく「Pチャンがそこまで落ち込むことないにゃ」

みく「次こそもっと頑張るにゃ」


52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:23:24.71 ID:sxoY46o70



菜々「そうですねっ!そんなに落ち込まないで下さいプロデューサー」

モバP「……ああ」

モバP「今日はこれで終了だ、また明日な」

菜々「はい!じゃ、菜々は先に帰りますねっ」

モバP「ああ」

菜々「お疲れ様でしたっ」スタスタ

みく「……!」

みく「ナナチャン待って!」

みく「みくも一緒に帰るにゃ!」

モバP「……」


53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:24:09.57 ID:sxoY46o70



事務所帰り道


ザーザー

菜々「雨……降ってますね」

みく「うん……」

菜々「……」

みく「……」

菜々「今回は残念でしたね」

菜々「みくちゃんならきっと次は大丈夫ですよっ!」

菜々「みくちゃんにはアイドルの才能がありますっ」


54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:26:59.56 ID:sxoY46o70


菜々「ウサミンアイでバリバリ見えてますよっ!」

菜々「だから次は……」

みく「ナナチャンは……?」

菜々「……え?」

みく「……ナナチャンは『次』どうするの?」

菜々「……」

菜々「何か……プロデューサーから聞いてますか……?」

みく「ん、ちょっとだけ……」


55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:27:29.82 ID:sxoY46o70


みく「ナナチャン……アイドル絶対辞めないでね」

みく「最初にナナチャンに会ったその日からみくは……!」

みく「辞めたりなんかしないでよ……!」

菜々「みくちゃん……」

菜々「ごめんね、それでもナナには『約束』があるんです」

みく「約束……?」

菜々「そんな大層なものじゃないんですけどね」


56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:28:19.57 ID:sxoY46o70


菜々「でも、ウサミン星人は絶対約束を守るんです」

菜々「『約束は守らなければいけない』それがウサミン星の法律だから」

みく「そんな……」

菜々「いいんですナナは……!」

菜々「それに、まだ辞めるわけじゃないんですよ!」

菜々「……」

みく「……」

菜々「……また、一緒に頑張りましょうねっ」

みく「うん……」

菜々「じゃ、ナナはこっちなので」

菜々「みくちゃん、また明日ね」

みく「うん、また明日」

スタスタ


57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:28:45.77 ID:sxoY46o70


スタスタ

みく「……」

みく「……」

みく「……ナナチャンのバカ」

みく「本当は……」

みく「……」

みく「……」

みく「……やってやる」

みく「やってやるにゃ!!」



58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:29:34.88 ID:sxoY46o70



事務所最寄り駅


みく「……」

みく「……」ゴクリ

みく「えい」

Pi ガコン
きらきらきらーん

みく「……」スタスタ

みく「……」

みく「時間駅……本当にまた来れた……」キョロキョロ

みく「本物みたい……この白いカード」

みく「……」スタスタ


59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:30:03.63 ID:sxoY46o70



みく「……」スタスタ

みく「……」

みく「……昨日見たこの案内板」

みく「次の駅は『1日前』」

みく「そして、次の駅は『2日前』」

みく「一駅ごとに1日ずつ前に戻れるのなら……」

みく「オーディション当日の3日前に戻って、オーディション受け直してやる!」

みく「……」

みく「どういう理屈なのかわかんないけど、せいぜい利用させて貰うよ!」

駅内アナウンス「まもなく電車が参ります」

みく「よし、行こう……」

みく「……」スタスタ

ガタンゴトン プシュー



60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:30:40.92 ID:sxoY46o70


3日前
オーディション会場
昼(オーディション前)

菜々「あわわ、緊張しますね、みくちゃん……!」

みく「……」

菜々「?」

菜々「みくちゃん?」

みく「ナナチャン、話があるにゃ」

菜々「?」

菜々「なんでしょう?」

みく「今回のこのオーディション」

みく「やっぱり自分たちのキャラクターを全面に出すべきだと思うにゃ」

菜々「!」

61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:34:26.32 ID:sxoY46o70


菜々「で、でも、プロデューサーさんは……」

みく「ナナチャン!!」

菜々「!」

みく「後悔したく……ないんだよね……?」

菜々「!!」

菜々「もしかして……何かプロデューサーさんから聞いてますか?」

みく「……ううん、何も聞いてないよ?」

みく「……」

みく「でも……自分自身を全部出せずに失敗するのは絶対後悔するはずだにゃ!」

菜々「……」

菜々「……そう、ですよね」


62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:35:05.90 ID:sxoY46o70



菜々「……」

菜々「……分かりました、みくちゃん!」

菜々「やれるだけやってみましょうっ!」

みく「うんっ!!」

ガチャリ

審査員「それじゃあ◯◯事務所の安部さん前川さんよろしくお願いします」

菜々みく「はいっ!」



63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:36:19.09 ID:sxoY46o70



オーディション会場
夕方(オーディション終了後)


みく「はー、疲れたにゃああ」

菜々「そうですねっ!」

菜々「みくちゃんの言うとおり、自分の出す方向でやって良かったです!」

みく「そうだね!前より審査員の表情も良い感じだったし!」

菜々「前……?」

みく「あっ!いや、なんでもないにゃ!」


64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:37:51.47 ID:sxoY46o70



みく「とにかく、いい感触で安心したにゃ!」

菜々「ふふっ、そうですねっ」

モバP「おつかれー、ふたりとも」

モバP「ん?なんだか嬉しそうだな」

モバP「中で何かあったか?」

みく「ううん!なんでもないにゃ!」


65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/16(金) 12:40:21.63 ID:NGk5njl+O
その婆さんから商品買ってハッピーエンドのやつ一人しかいないんですが…頑張れみくにゃん
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:40:29.25 ID:sxoY46o70


菜々「えへへ」

モバP「そ、そうか?」

モバP「さて、俺は向こうに挨拶に行ってから会社に戻るよ」

モバP「今日はここで解散だが、ふたりとも帰れるか?」

みく「うん、大丈夫にゃ」

菜々「ナナもですっ」

モバP「じゃ、今日はお疲れだったな、3日後楽しみにしてよう」

菜々みく「はい!」


67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:41:57.97 ID:sxoY46o70



3日後
事務所


菜々「あいたたたた、腰が……」

みく「ナナチャン大丈夫……?」

菜々「えへへ、大丈夫ですよ、みくちゃん」

菜々「それにしても」

菜々「今日は新しいダンスをレッスンでやってハードだったはずなのに、みくちゃん全然平気そうですね」

菜々「最初っからすごく上手く出来てましたし」

みく「えっ!?あはは……まあみくにかかればこんなもんにゃ」

みく「(もう3回目のレッスンだからとはいえないにゃ)」


68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:42:33.93 ID:sxoY46o70


モバP「トレーナーさんもみくを褒めてたぞ」

みく「えっ、ほんと!?」

モバP「まあまだまだ基礎がなってないとは言ってたがな」

みく「むむむ」

菜々「みくちゃんは才能があるから大丈夫ですよっ」

菜々「そういえばプロデューサーさん、例のオーディションの結果は」

みく「!」

モバP「うむ、そろそろ自分に連絡があるはずなんだが」

Purupurupurpuru

モバP「お、噂をすれば」

モバP「ちょっと電話出てくるな」スタスタ

ドアバタン


69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:43:06.30 ID:sxoY46o70

菜々「はーい」

みく「……」

菜々「あはは、緊張しますね」

みく「きっと大丈夫にゃ!」

みく「(きっと……!)」


モバP「……」スタスタ

みく「あ!Pチャン!」

菜々「おかえりなさいっ」

モバP「菜々さん!みく!」

モバP「やったぞ!合格だ!!!」

みく「やったにゃああ!!」

70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:43:32.96 ID:sxoY46o70


菜々「……!!」

みく「ナナチャンやったにゃ!」

菜々「うん……うん……!」ポロポロ

みく「えっ!泣いてるやん!!」

菜々「だって……嬉しくてですね……!」

みく「……」

モバP「……やったな」

モバP「本当に良かった」ポロポロ

みく「えっ!!Pチャンも泣いてるやん!!!!」

モバP「本当に……良かった……オエッ」ポロポロ

みく「いや、落ち着きなよ」


71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:44:00.25 ID:sxoY46o70



みく「みくも超嬉しいのにちょっと冷静になっちゃったじゃん」

菜々「みくちゃん本当にありがとうございますっ!」

菜々「あの時のみくちゃんの言葉のおかげですっ」

モバP「……お、それで思い出した」

モバP「お前たち、俺の方針を無視して自分のキャラ全開でオーディション受けたらしいな」

みく「ぎくぎくっ!!!!」

モバP「はぁー、いや、まあ結果が全てだ」


72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:44:30.74 ID:sxoY46o70



モバP「今回先方に新しいプロデューサーが入ったらしくてな」

モバP「その人はキャラクター要素が強めの人材を求めていたみたいなんだ」

モバP「俺の言うとおり、正統派アイドル路線でいくと落ちてたかもな」

みく「そ、そうなんだ」

菜々「えへへ、それなら運が良かったです!」

モバP「まあ、そうだな」

モバP「よし!今日はこれで終わりだ!」

モバP「明日からイベントに向けてびっしりレッスンだからな!!」


73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:45:04.80 ID:sxoY46o70



みく「わかってるにゃ!」

菜々「頑張りますねっ」

モバP「あ、菜々さんだけちょっと残って貰えるかな」

菜々「はい、分かりました」

みく「じゃ、みくはこれで失礼するにゃ」

モバP「おつかれ、気をつけて帰れよ」

みく「はーい」

菜々「あ、みくちゃん!」

みく「にゃ?」

菜々「明日、ゴージャスパフェ食べに行きましょうねっ」

みく「あ、忘れてたにゃ」

みく「本当にいいの?」

菜々「ナナは『約束』は絶対守りますからっ」

みく「……えへへ、楽しみにしてるにゃ」



74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:47:36.88 ID:sxoY46o70



帰り道


みく「……」スタスタ

みく「……」

みく「……ナナチャンもPチャンも泣いてた」

みく「……」

みく「やっぱりナナチャン……」

みく「……」

みく「……はあ、でも本当に良かった」


75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:48:06.61 ID:sxoY46o70



みく「……」

みく「そういえば、みくが過去に戻って今を変えてしまったせいで落ちちゃった人がいるんだよね」

みく「そうだとしても、みくは……」

みく「……」

みく「……」

みく「よーし!明日からイベントに向けてレッスン頑張ろう!!」

みく「……」

みく「……そういえば」

みく「ようやくみくの知らない1日が始まるからちょっとだけ不安かも」

みく「……ううん、弱気はいけないよね!」

みく「いつもどおり頑張るだけにゃ!」



76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:49:17.51 ID:sxoY46o70


1ヶ月後
イベントステージ上
ゲーム宣伝イベント当日



菜々「それじゃー、みなさーん△△シリーズ最新作発売まで後2ヶ月!」

みく「楽しみにしててねー!!」

ファン「「うおーーーー!!」」パチパチパチ

みく「それじゃあまたね〜」ヒラヒラ

スタスタ



77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:49:53.03 ID:sxoY46o70



イベント舞台裏


スタッフ「はい、おっけーでーすお疲れ様でしたー」

みく「はぁ〜、緊張したにゃあ」

菜々「もうヘトヘトですね……」

菜々「でも……」

みく「でも……とっても楽しかったにゃ!!!」

菜々「ふふ、そうですね♪」

みく「これは大成功!?」

菜々「大大成功ですよっ!!」


78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:50:19.31 ID:sxoY46o70



モバP「おー、ふたりともお疲れ〜」

みく「あ、Pチャン!見ててくれた!?」

モバP「当たり前だろ、後ろの方から見てたよ」

みく「なんでにゃ!最前列で見てよ!」

モバP「おま、そういうわけにいくかよ。関係者だぞ!」

菜々「ふふ」

モバP「菜々さん……お疲れ様、無事終わってよかったよ」

菜々「はい、本当に」

モバP「でも、ここからです」

菜々「……はいっ、そうですね」

みく「ねえ、なに話してるの?向こうのプロデューサー呼んでるよ」

モバP「おっと」


79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:50:45.91 ID:sxoY46o70


モバP「じゃ、俺はちょっと話してくるよ」

モバP「二人は適当に楽屋に戻っててくれ」

モバP「あ、着替えたら会場見て回っても別にいいぞ、ステージは終わったがイベントはまだ続いているからな」

みく「えっ!ほんと!?」

みく「みくもゲーム体験したかったのにゃ!」

モバP「関係者なんだから体験くらいやらせてもらえるけどな」

みく「もーPチャンこういうのはライブ感が大事なのー!」

菜々「ナナは疲れたので先に楽屋に戻ってますね」

みく「分かったにゃ、みくも適当に戻るにゃ」



80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:51:14.53 ID:sxoY46o70



イベント会場
昼過ぎ

みく(変装済)「……」

みく「……あれがさっきまでみくたちがいたステージ」

みく「……」

みく「……みく頑張れたよね」ジーン

みく「みんなに知ってもらえるアイドルに向かって歩き出せたよね……!」

みく「……」

みく「そして、ナナチャンも……」

みく「……」

みく「ううん」

みく「ナナチャンの心配ばかりしてる場合じゃない!」

みく「みくもトップアイドル目指して頑張らなきゃ」

みく「よーし、やったるぞー」


81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:51:42.98 ID:sxoY46o70


みく「でも、今はとりあえずゲーム体験しに行こっかな!」

みく「えーっと、どこのブースだろう」キョロキョロ

女性「あ、あの……」

みく「にゃ?」

女性「前川みくさん……ですか?」

みく「うぇっ!?変装してるのに……なんで分かったの?」

女性「ああ、ごめんなさいっ」


82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:52:23.26 ID:sxoY46o70


みく「いやいや大丈夫にゃ、それでえーっと」

女性「実はわたし……」

女性「安部菜々の母です」

みく「ええっ!?ナナチャンのお母さん!?」

菜々母「そうなんです」

みく「えっと、もしかしてステージを見てくれたんですか?」

菜々母「ええ、ちゃんと見させてもらいましたよ」

みく「今ナナチャン……菜々さん裏で休憩中なんですけど呼んできましょうか?」


83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:53:07.50 ID:sxoY46o70


菜々母「いや、今は前川みくさん、あなたと話したくてこうして声をかけさせて貰ったの」

みく「うぇ!?みくと!?」

菜々母「あなたから見た菜々のことも聞きたくて」

みく「……そうですね」

みく「うーん、ナナチャンは……」

みく「本当にとても可愛くて」

みく「間違いなくいつかトップアイドルになれるはずです」

みく「毎日毎日勉強になることばかりで……」

菜々母「ふふ、あの子頑張ってるみたいね」


84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:53:36.32 ID:sxoY46o70


みく「努力家でセンスもあって、本当に魅力的なアイドルです」

菜々母「実は菜々から前川さんのことも聞いているんですよ?」

みく「ええっなんて!?」

菜々母「とても真面目で、努力家で間違いなくトップアイドルになる自慢の後輩だって」

菜々母「ふたりとも同じようなこと言うんだから、おかしくて、ふふ」

みく「……ナナチャン」

みく「……」

みく「みくはともかく菜々さんはこの先も頑張れば……」


85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:54:05.48 ID:sxoY46o70



菜々母「この先も……ね」

菜々母「ねえ、前川さん」

菜々母「菜々から『約束』の話聞いたことある?」

みく「!!」

みく「い、いえ、詳しくは……」

菜々母「そう……あの子……」

みく「……」

菜々母「ごほっごほっっ!!」

みく「!!」


86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:54:31.70 ID:sxoY46o70


みく「うぇっ、大丈夫!?」

菜々母「……ごめんなさいね、昔から少し身体が弱くて……」

菜々母「最近は割と平気だったんだけど」

みく「スタッフの方呼びますか!?」

菜々母「ううん、大丈夫、もう平気だから」

菜々母「それより、これからも菜々をよろしくね」

菜々母「応援してるわ、ふふ」

みく「え!あ、は、はい!!」

菜々母「それじゃ、またどこかで」

みく「はい、それじゃお気をつけて……」

スタスタ


87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:55:24.41 ID:sxoY46o70


みく「……」

みく「はあー」

みく「本当にびっくりしたにゃ」

みく「まさか、ナナチャンのお母さんに会うなんて」

みく「凄く美人な人だった……」

みく「……」

みく「身体弱いって大丈夫なのかな……」

みく「……」

みく「それに『約束』……」

みく「一体なんのことなんだろう」

みく「……」



88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:55:53.29 ID:sxoY46o70



2週間後
事務所夜


モバP「よーし、お疲れ様!」

みく「最近レッスンハード過ぎにゃ……」

菜々「ふふ、みくちゃん頑張ってますね」

みく「ヘトヘトで甘いもの食べたいにゃ」

みく「そういえば、ナナチャンに前食べさせてもらったパフェ美味しかったにゃあ」

菜々「あれは特別なパフェですからっ」

みく「あれ、あんなにハードなレッスンだったのに、ナナチャン全然平気そうだね」

菜々「ふふふ、菜々最近気合入れて頑張ってますからね!!」


89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:56:25.05 ID:sxoY46o70


みく「やっぱりナナチャンは凄いにゃ」

みく「早くみくも追いつかなきゃ!」

みく「そうそう!特にナナチャン歌が上手いよね!!」

菜々「あはは、実は高校生の頃あの喫茶店でお手伝いしてる時、裏口で発声練習なんかしてたんですよ」

みく「高校生の頃?」

菜々「はぅえっ!いや菜々は今17歳ですけどね、最近の話です最近の!!」

みく「その設定、事務所内でいるの?」

菜々「設定とか言わないで下さいよ、みくちゃーん」

みく「うーん、CDデビューとか出来たらいいのになあ」


90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:56:52.74 ID:sxoY46o70


モバP「前のゲーム会社のイベントがCDデビューに繋がればと思ったが……」

菜々「……難しいですね」

モバP「次だ……次こそ……!俺も頑張るからお前達も頼むぞ!」

みく「うん!」

モバP「俺は企画作りの仕事がまだ残ってるから残業だが、もうあがっていいぞ」

みく「企画?」

モバP「色々考えてはいるんだよ俺も」

みく「へへん、楽しみにしとくにゃ」

菜々「……」



91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 12:59:54.22 ID:sxoY46o70



帰り道



みく「よーし、みくもナナチャンに負けてられない……!」

みく「……あの白いICカード」

みく「時間駅を使えば、みくはレベルアップ出来るはず」

みく「今回のゲームのイベントに向けても結構役に立ったしね」

みく「何度か使っていくうちに分かったこともある……」


92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 13:05:47.94 ID:sxoY46o70


みく「まず、時間駅で日にちを前に戻しても、持っていけるのは『記憶』だけ」

みく「持っているものも服装すらも、全部その日のものになっちゃう」

みく「つまり記憶だけ持って、前の日以前の自分に戻るってこと」

みく「ということは時間を繰り返して筋トレしたとしても、元の身体に戻っちゃう」

みく「でも、記憶が持ち越せるってことは、歌やダンスのトレーニングやレッスンで身につけたコツやテクニックはそのまま持っていけるってこと!」

みく「その性質を利用して、どんどん経験値貯めていくにゃ!」

みく「ズルじゃないよ!」

みく「Pチャン風にいえば、みくは運が良かったんだと思おう!」

みく「よーし、明日から?昨日から?とにかく頑張ろう!」




93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 13:06:25.08 ID:sxoY46o70





1ヶ月後
事務所


モバP「……」カタカタ

みく「Pチャンお疲れ様―」

モバP「おう、おつかれ」

みく「まだ、お仕事してるの?」

みく「最近遅くまで働きすぎにゃ」

モバP「ん?ああ」

モバP「時間がなくてな」

モバP「家に帰る暇も寝る暇も惜しいよ」


94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 13:07:02.20 ID:sxoY46o70



みく「……大丈夫なの?」

モバP「大丈夫ではないが」

モバP「それほど焦ってるのは確かだな」

みく「……」

モバP「お、それよりみく」

モバP「最近頑張ってるらしいな」

モバP「トレーナーさんから報告受けてるよ」

みく「ふふん、みくにかかればこんなもんにゃ」

モバP「最初は基礎が危ういと感じていたが、もうその影もないな」

モバP「どこに出しても安心だよ」


95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 13:07:31.15 ID:sxoY46o70


みく「へへん」

みく「(時間を戻して色々練習してる成果が出てるにゃ)」

みく「ん?どこに出してもってことはみくたちについての企画のことをずっと詰めてるの?」

モバP「ん?ああ、うーん」

みく「……へー」

みく「どれどれ見せてにゃ!」ガサガサッ

モバP「お、おい!こらやめろ」


96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 13:07:59.25 ID:sxoY46o70


みく「ん?」ピラピラ

みく「CD……デビュー?」

みく「ナナチャンの……?」

モバP「はぁ、見つかったか」

モバP「みくには悪いが、菜々さんのCDデビュー計画を先に進めててな」

モバP「みくはその後、ソロメインで活動していくことになるだろう」

モバP「話してなくてすまないな」

みく「えっ、いやみくは全然大丈夫にゃ」

みく「ナナチャンの足を引っ張りたくないし……」


97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 13:08:27.93 ID:sxoY46o70



みく「それより、ナナチャン本当にCDデビュー出来るの!?」

モバP「……」

モバP「……まだ分からん」

みく「?」

みく「どうして、ここまで企画も進んでるみたいなのに」

モバP「……」

モバP「……」


98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 13:08:53.68 ID:sxoY46o70



モバP「……」

みく「……?」

みく「Pチャン?」

モバP「……」

モバP「とにかく時間がないんだ……」

みく「時間……ずっと言ってるよね……なんのことなの……?」

モバP「……『約束』があるからな」

みく「!!」


99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 13:09:22.32 ID:sxoY46o70


みく「『約束』……」

みく「約束って一体なんなの!?」

モバP「……」

モバP「……」

モバP「菜々さんはな、みくが入る少し前に俺がスカウトしたんだ」

モバP「そりゃもう俺は驚いたよ」

モバP「ダイヤの原石どころか拾った段階から光り輝いていたからな」

みく「……」

モバP「是非うちの事務所に来て欲しいと、すぐ言ったよ」

モバP「そうして、菜々さんはうちに来ることになったんだが」

モバP「その時に……ひとつだけ条件を出してきたんだ」


100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 13:09:51.32 ID:sxoY46o70


みく「条件……」

モバP「ああ」

モバP「……」

モバP「菜々さんの実家では母親が一人で暮らしているようでな」

モバP「あまり身体が強くないらしい」

モバP「病弱でな、かなり前だが大きな手術もしていたようだ」

みく「……!」

モバP「とは言っても、その時の手術は成功したようでな」

モバP「今ではほとんど良くなってるから心配はいらないとのことだが」

モバP「……」



101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 13:10:24.24 ID:sxoY46o70


モバP「……話しを戻そうか」

モバP「実は菜々さん、うちが拾う前にどこかの芸能事務所に長いこと入っていたようでな」

みく「えっ!?初耳にゃ」

モバP「ああ、誰にも言ってないんだろう」

モバP「そこでは……碌な仕事は回ってこなかったようでな」

モバP「自身の輝く夢であったアイドルという道が少しずつ霞んでしまっていた」

みく「……」

モバP「別に変な仕事というわけじゃあないが、菜々さんの目指す道とかズレていたんだろう」

モバP「口の上手い経営者だったようでな、口先だけの良いことを菜々さんに吹き込み続け」

モバP「菜々さんもあの性格だからな、辞めるに辞められない状況が長く続いたんだと」


102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 13:10:57.22 ID:sxoY46o70


モバP「……」

モバP「そして……そんな時に菜々さんの母親は倒れたみたいなんだ」

みく「!」

モバP「幸い、手術も上手くいき何事もなかったんだが」

モバP「菜々さんはやはり動揺したようでな」

モバP「本当に自分はこのまま夢を追い掛けて良いのかと不安になったようだ」

モバP「年齢のこともあるしな」


モバP「そして……母親に『もうアイドルは諦める』と告げたんだ」


みく「!」


103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 13:11:24.07 ID:sxoY46o70


モバP「しかし、菜々さんの母親はな、菜々さんのアイドルになりたいという強い気持ちを知っていた」

モバP「だからまだアイドル続けてもいいんだよと」

モバP「これからも夢を追いかけてもいいだんよと」

モバP「そう言ってくれたんだ」

みく「……」

モバP「でも、菜々さんも譲らなかった」

モバP「やはり母のことが心配だったんだろう」

モバP「実家からも離れて暮らしているしな」

モバP「良くなったとはいえ、もしまた一人でいる時に何かあったらと……」


104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 13:12:02.26 ID:sxoY46o70



みく「……」

モバP「だからな、そこで二人で話し合ったんだと」

モバP「そうして一つの『約束』が生まれた」

モバP「それがうちの事務所に来た時に菜々さんが言ってきた条件そのものにもなる」

みく「!」

みく「その条件って……」

モバP「菜々さんの昔からの夢であるCDデビュー……」

モバP「……」

モバP「その夢であるCDデビューを○◯年○月までに出来なかった時は」



モバP「アイドルを諦める」



モバP「それが条件」

モバP「そして、それが母親と交わした『約束』だ」


105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 13:12:29.47 ID:sxoY46o70



みく「アイドルを……!?」

みく「それに◯年◯月って!?」

みく「もうすぐじゃん!」

モバP「だから言ったろ、時間がないって」

モバP「菜々さんは我儘でごめんなさい、それでもこの約束は絶対なんだと言って、この条件を提示してきた」

モバP「菜々さんは業界は長いとは言えまだ無名だし、時間もなかったことからかなり厳しいだろうと事務所も俺も思った」

モバP「しかし、菜々さんの可能性を信じ、それを受け入れた」

モバP「それが全てだよ」


106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 13:12:55.95 ID:sxoY46o70


みく「……前のゲーム会社のイベント」

みく「あれに落ちてたら引退の方向にって話は……」

モバP「そんな話したっけな」

モバP「実質そこまでCDデビューに繋がるような話もなかったからな」

モバP「約束までに間に合わないという意味でその方向になるだろうという話だったわけだ」

みく「……」

みく「今回の企画はどうなの……まだCD出せるか分からないって……」

モバP「……」


107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 13:13:24.52 ID:sxoY46o70


モバP「CDデビューってのはな本当に色んな人が関わるプロジェクトになるんだ」

モバP「適当なものをポンと出すだけなら、まあすぐにでも出来るだろう」

モバP「そんなもので菜々さんの約束を守ったことになるか?」

モバP「……」

モバP「作曲、編曲、作詞だけじゃあない」

モバP「ジャケット撮影や録音、広報PRまで本当に色々な人たちが関わってようやく出来るのがCDだ」

モバP「だからな、とにかく時間が足りないんだ」

みく「……」


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