みく「笑顔が素敵だから」

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 13:13:54.52 ID:sxoY46o70



モバP「例えばだ、あと少しでCD出せる段階まで色んな人と作業を進めていたとする」

モバP「しかし、完成まで寸前のところで『約束』の日が来たら全部おじゃんだ」

モバP「それを取引先や作家の人にどう説明する」

みく「えっ、それはナナチャンに後数日待ってくれってお願いすれば……」

みく「だって完成間近なんでしょ!?」

モバP「それは無理だ」

みく「!?」

モバP「菜々さんの『約束』は絶対だ」

モバP「菜々さんは必ず約束を守る」

みく「ど、どうして……そんな」


109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 13:14:20.04 ID:sxoY46o70



モバP「もう少し菜々さんがうちに来るのが早かったら、あと少し時間があれば……」

モバP「しかし、これが現状、すべてだ」

モバP「……」

モバP「正直、約束には間に合わないかもしれん」

モバP「みく、お前の言うとおり、俺が無能だっただけの話なんだ」

みく「……」



110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 13:14:50.62 ID:sxoY46o70



後日
レッスン室
レッスン終了後


菜々「いやー、みくちゃん今日も凄かったですねえ」

菜々「もうどこからでもお声が掛かりそうなレベルじゃないですか!」

菜々「ナナが今まで見てきたアイドルで一番凄いですよっ」

菜々「えへへ、みくちゃんがTVに出てる姿早く見たいですねえ」

みく「……」

菜々「?」

菜々「どうかしました?」

菜々「あ、もしかしてどこか怪我でも!?」


111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 13:15:16.59 ID:sxoY46o70



みく「……ナナチャン」

みく「なんで最近自分の夢の話はしてくれないの」

菜々「みくちゃん……?」

みく「もう諦めちゃったの!?」

菜々「……」

菜々「……」

菜々「……もしかして聞いちゃいましたか?」

菜々「『約束』のこと」


112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 13:15:44.12 ID:sxoY46o70


みく「……」コクン

菜々「隠しているわけでもないですしね」

菜々「……」

菜々「これは『約束』ですから、仕方ないんです……」

みく「仕方ないって顔じゃないにゃ!ナナチャン!!」

菜々「でも、ナナは絶対約束を守るんです」

菜々「それだけは絶対なんです」


113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 13:16:12.22 ID:sxoY46o70



みく「……じゃあ!」

みく「じゃあ、ここでみくと約束してよ!」

みく「絶対諦めないって!」

みく「絶対トップアイドルになるって!!!!」

菜々「みくちゃん……」

菜々「でも……それは出来ないんです」


菜々「新しくその約束をしようとすると、”前の約束を破っちゃう”ことになるから」


みく「……」


114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 13:16:42.05 ID:sxoY46o70



みく「もうどうしようもないの……?」

菜々「……」

みく「ナナチャン!!」

菜々「……」

みく「本当はアイドル続けたいって言ってよ……!」ポロポロ

みく「アイドルのお仕事が好きだって言ってよ……!!」ポロポロ

菜々「……」

菜々「『約束』は絶対ですから」

菜々「我儘でごめんなさい、みくちゃん」



115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 13:17:28.70 ID:sxoY46o70


帰り道


みく「……」

みく「……」

みく「もう出来ることはないのかな……」

みく「Pチャンは頑張ってるけど……」

みく「……」

みく「……」

116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 13:18:04.25 ID:sxoY46o70



みく「……」

みく「でも、ゲーム会社のイベントに合格した時」

みく「ナナチャンもPチャンも泣いてたはずにゃ……」

みく「……」

みく「あの時はなんとか時間を戻して、合格に出来たけど」

みく「今回は……」

みく「時間を戻してどうこう出来る話じゃないよね……」

みく「色々な人が関わっているんだし」

みく「過去のPチャンに助言出来る程度じゃ……」

みく「……」

みく「もう無理なのかな……」

みく「ナナチャン……」

みく「……」



117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 13:18:36.15 ID:sxoY46o70



約束の日



菜々「それじゃあ、短い間でしたが、お世話になりましたっ!」

みく「……」

モバP「……」

モバP「……菜々さん、本当にすまない」

モバP「あと少し、あと少しで……」

モバP「俺にもっと力があれば……」

菜々「な、なに言ってるんですかプロデューサーさん!」

菜々「元々はナナがこんなに無理な我儘をプロデューサーさんに、そして事務所に押し付けてたのが悪いんです」


118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 13:19:08.17 ID:sxoY46o70


菜々「謝らなきゃいけないのはこっちです」

菜々「それに、プロデューサーさんにはとても感謝しているんですよ」

菜々「イベントもとっても楽しかったですし、前にいた事務所ではそういうの全然なかったですしね!」

菜々「だから、そんなに謝らないで下さい」

菜々「この楽しかった日々も否定されてる気分になっちゃいます」

モバP「……そうか」

みく「……」


119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 13:19:52.66 ID:sxoY46o70



菜々「それに、みくちゃんに会わせてくれたこと、一緒にお仕事出来たことも感謝しているんです」

みく「!」

モバP「ああ」

菜々「これからもみくちゃんをトップアイドルにする手助けしてあげて下さいね」

モバP「もちろんだ」

菜々「みくちゃん……」

菜々「ずっとずっと応援してますよ」

菜々「みくちゃんならきっと、いや間違いなくトップアイドルになれます」

菜々「そうなったら、みんなに一緒にお仕事したことがあるって自慢させてもらうね」

みく「ナナチャン……」ポロポロ


120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 13:20:20.13 ID:sxoY46o70


菜々「みくちゃん」スタスタ

菜々「……」ギュ

菜々「ごめんね」ボソッ

みく「……」

菜々「プロデューサーさん、色々手続きもあるんですよね?書類はこれですか?」

モバP「あ、ああ。そうだな、まずはこれを……」ピラ

みく「……」スタスタ

ガチャリ バタン



121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 13:20:48.09 ID:sxoY46o70



事務所外
昼過ぎ

みく「……」

みく「外寒いにゃ」

みく「……」

みく「……」

みく「ナナチャン……」

みく「みくはナナチャンの……」


122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 13:21:18.35 ID:sxoY46o70


スタスタ

女性「あの」

みく「?」

女性「お久しぶりです、前川さん」

みく「あ、ナナチャンのお母さん!」

菜々母「ふふ、覚えていてくださったんですね」

みく「え、なんでここに……」

菜々母「退職の手続きと一緒に、引っ越しの手伝いもしているのよ」

みく「引っ越し……?」


123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 13:21:46.38 ID:sxoY46o70


菜々母「聞いていなかったかしら」

菜々母「今日中に荷物をまとめて、実家に戻ってくる予定なの」

みく「……あ」

みく「そうなんだ……」

菜々母「そんな今生の別れみたいな顔をしないで……」

菜々母「家はそこまで遠いわけでもないし、是非遊びに来て頂戴ね」

みく「は、はい!是非にゃ」


124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 13:22:12.44 ID:sxoY46o70



菜々母「……」

菜々母「あの子、どんな今日事務所の挨拶では様子だったかしら」

菜々母「笑ってた?」

みく「笑って……ました」

菜々母「……」

菜々母「『約束』の話聞いたかしら?」

みく「……はい」

菜々母「そう……」


125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 13:22:45.29 ID:sxoY46o70


菜々母「私としてはね」

菜々母「菜々とこんな『約束』をしたけれど」

菜々母「全然アイドル続けてもらってもよかったの」

菜々母「気が済むまで、夢を追い掛けてもらってもいいの」

みく「!!」

みく「それじゃあ……」

菜々母「それでも……菜々は『約束』を守るほうを取るの」

菜々母「約束は絶対だって言ってね」

126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 13:24:10.80 ID:sxoY46o70


菜々母「自分がどれだけ辛くてもね」

みく「……」


菜々母「あの子にとって約束は『呪い』だった」



菜々母「感じなくてもいい負い目の重さに潰されてるの」

菜々母「こんなことになるなら、あんな約束なんてしなければ……ね」

菜々母「正直後悔もしてるわ」

菜々母「でも、もう遅いの。こんなこと言っても仕方ない」

みく「……」

菜々母「それじゃあ、私はもう行くわね」

菜々母「アイドル、菜々の分まで頑張ってね」

みく「……はい」

スタスタ

みく「……」

みく「……」




127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/16(金) 15:44:16.10 ID:U9/O032Uo
期待
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 16:29:13.57 ID:sxoY46o70





半年後
TV局廊下



モバP「ほら、みく早くしろ」

みく「わ、分かってるにゃ」

モバP「収録始まってしまうぞ」

みく「元はと言えば、Pチャンがこんなにタイトなスケジュール立てるのが悪いにゃ!」

モバP「売れっ子アイドルなんだから我慢しろっ」

モバP「ちょっと前まで『仕事欲しいにゃあ』って言ってたくせに」

みく「ぐぬぬ、その下手くそなモノマネが腹立つ」

モバP「ありがたく思ってくれ」

モバP「あれから半年でCDデビューまで出来たんだ」

モバP「今日はその宣伝もあってのTV番組収録だ、遅れるわけにはいかん」

みく「うん」


129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 16:29:55.30 ID:sxoY46o70


みく「……」

みく「……Pチャンありがとね」

モバP「なんだ急に……」

みく「みく、Pチャン無能なのかと思ってたにゃ」

モバP「おい」

モバP「……」

モバP「まあ、無能なのは否定しないさ」

モバP「一人の女の子の夢すら守れないんだからな」

みく「……」

モバP「みくがこうして人気になれたのも、俺の力じゃない」

モバP「みくの実力だよ。歌もダンスも今じゃ1級品だ」


130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 16:30:23.39 ID:sxoY46o70


みく「アイドルが売れるのに必要なのは実力だけじゃ駄目だって、Pチャンが言ってたはずにゃ」

モバP「……そうだったかな」

みく「まあ、みくの容姿が可愛いから売れたのは事実だけどね」キャルルン

モバP「よし、とにかく急ぐぞ」

みく「えっ!無視!?」

モバP「その意気でしっかり自分を売り込んでこい」

みく「ぐぬぬ、分かってるにゃ!」


131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 17:10:43.27 ID:sxoY46o70



数週間後
事務所



モバP「おっし、打合せ終わりだ」

モバP「じゃあ、午後からはファッション誌取材、夕方からラジオ局だな」

モバP「最近は収録もばっちりだから問題ないと思うが……」

みく「うに゛ゃ〜〜〜〜」

モバP「おいおい、聞いてんのか」

みく「つ、疲れたにゃ……」

みく「仕事くれって言ったのはみくだけど、これはあまりにも……」

モバP「まあ、多忙なのは認めるよ」

モバP「アイドルは売れ始めが肝心だからな」

モバP「TVまで出れて、立派な売れっ子アイドルだ」

モバP「街も変装なしでは歩けんだろう」

みく「そうだね」

132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 17:11:19.33 ID:sxoY46o70



みく「……」

みく「……でも」

みく「欲を言えば、ナナチャンとあの場に立ちたかったな……」

モバP「……」

モバP「……そうだな」

モバP「俺も見たかったよ」

みく「ごめん……しんみりさせちゃったにゃ」

モバP「いや……寂しいのは分かるさ」

モバP「お、そういや明後日は丸一日オフの予定になってるはずだぞ」


133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 17:11:48.69 ID:sxoY46o70



みく「あれっ、そうだっけ?」

モバP「まあ、そういう日も必要だろう」

モバP「ここのところ働き詰めだからな、調整しておいたよ」

みく「へー、Pチャンありがとにゃ」

みく「えへへ、なにしよっかな〜」

モバP「そうだ」

モバP「それこそ、菜々さんのとこに遊びに行ってみたらどうだ?」

モバP「菜々さんの実家そんなに遠くないしな」

みく「えっナナチャンの!?」


134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 17:12:22.43 ID:sxoY46o70



モバP「よし、そうと決まれば連絡とってやろう」

Pipipi メルメルメル

モバP「よし、これでオッケー」

みく「こんな急にいいのかな……」

モバP「菜々さんとちょこちょこ連絡取っててな」

モバP「みくに遊びに来て欲しいって言ってたから大丈夫だろ」

みく「えっ!?なんでナナチャンと連絡とってんの!?」

みく「みくあれから全然喋ってないにゃ!!」

モバP「せっかくのオフだ、積もる話もあるだろ?」

モバP「ほら、住所メモしてやるから」

みく「なんで実家の住所知ってんのさ!!!」

モバP「のさ!って……キャラ変わってんぞ」

みく「もー!!」



135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 17:12:51.97 ID:sxoY46o70



2日後
千葉 住宅街最寄り駅


みく「ふう、ようやくのオフ日……」

みく「最寄り駅にも着いたし」

みく「さっそく、ナナチャンの実家に向かおう」

みく「……」

みく「それにしても、久しぶりにあんなに長く電車に乗ったよ」

みく「というより普通の電車自体久しぶりな気がする……」

みく「最近はお仕事のスケジュールがびっしりで車移動の方が多いしね」

みく「それこそ……」

みく「時間駅で『時間を戻したい時』くらいしか駅も使ってないし」

みく「……」


136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 17:13:24.89 ID:sxoY46o70



みく「……」

みく「時間を戻してレッスンを受けてたおかげで、今では歌もダンスもそこそこ出来るようになったのも」

みく「大失敗した収録やインタビュー、撮影日も時間を戻しやり直して成功させてるのも」

みく「今売れっ子アイドルになれてるのは、みくの本当の力じゃない」

みく「全部時間駅とPチャンの力のおかげ……」

みく「……」

みく「……」

みく「みくズルいよね」

みく「みくなんかより、やっぱりナナチャンの方が売れるべきだったのかな……」

みく「……」

みく「いや!変なことは考えないようにするにゃ!」

みく「せっかくのオフ!」

みく「ナナチャンに会えるの楽しみ!」

スタスタ


137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 17:16:49.81 ID:sxoY46o70



住宅街
安部菜々宅前
昼過ぎ


みく「ここがナナチャンのおうち」

みく「……」

みく「……よし!」

ピンポーン

みく「……」ドキドキ

ガチャリ

菜々「はーい」

みく「ナナチャン!!」

菜々「あ、みくちゃん!」

菜々「お久しぶりですっ!元気そうでなによりです」

みく「うわーん、ナナチャン会いたかったにゃー!」

菜々「ふふ、とりあえず中でお話ししましょうか」



138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 17:29:38.92 ID:sxoY46o70



菜々宅居間
昼過ぎ


菜々「遠いとこありがとね、みくちゃん」

みく「そんな遠くもなかったにゃ!」

みく「オフの度に遊びに来れるくらいだよっ!」

菜々「ふふ、いつでも歓迎ですよ♪」

みく「あ、今日菜々ちゃんのお母さんは?」

菜々「えっと、今日は用事で出かけてますが……顔見知りでしたっけ?」

みく「実は、何度か会ったことあるにゃ」

みく「とても美人なお母様だにゃ」

菜々「ありがとうございますっ、たしかにナナから見ても若く見えますねえ」

みく「最近、お母さんは体調は大丈夫なの?」


139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 17:30:36.76 ID:sxoY46o70


菜々「そうですねえ」

菜々「心配ではありますけど、最近は調子もいいみたいで、大丈夫です」

菜々「まあ菜々ももう家に帰ってるので安心ですよっ」

みく「大丈夫なら安心にゃ」

みく「……」

みく「ナナチャンは……最近何してるの?」

菜々「ん?ナナですか?」

菜々「そうですね、家にいるって言ってもちゃんと働いているんですよ?」

みく「えっ、そうなの?」


140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 17:31:09.39 ID:sxoY46o70


菜々「はい、お手伝いしてた喫茶店があるって言いましたよね?」

菜々「今はそこのお手伝いをさせてもらってますよ」

みく「あれ、都内のあの喫茶店だよね?」

菜々「そうですそうです、あのゴージャスパフェの店です」

菜々「プロデューサーさんも時々来てくれるんですよ?」

みく「えっ、Pチャンが?」

みく「あっ、それで最近もナナチャンと連絡取ってたんだ」

菜々「ふふ、そうですね♪」


141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 17:32:19.85 ID:sxoY46o70



菜々「菜々が17歳のころからだからもう長いこと良くしてもらってる店でしてね、融通も利くので働きやすいですよ」

みく「17歳のころから長いことって」アハハッ

菜々「?」

みく「あれっ!?そこは『わわっ、私は今も17歳JKですけどねっ!』って感じじゃないの?」

菜々「ふふ、だってもうナナはアイドルじゃないですから」

みく「あっ……」

みく「……そっかそうだよね」


142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 17:36:44.38 ID:sxoY46o70

菜々「えへへ、いいんですよ、ナナの話なんて!」

菜々「そんなことより、みくちゃんのお話しを聞かせてくださいっ」

菜々「あ、前のTV番組見ましたよーっ」

菜々「みくちゃん可愛かったですっ」

みく「見てくれたんだ……」

菜々「デビュー曲可愛い曲ですよねー」

143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 17:37:16.93 ID:sxoY46o70



菜々「キラキラの舞台で」

菜々「可愛いヒラヒラの衣装を着て」

菜々「とっても楽しそうでした……!」

みく「うん……そうだね」

みく「すごく楽しかったにゃ」

菜々「あんな舞台から客席ってどう見えるんですか??」

菜々「きっと綺麗なんでしょうね」

みく「……」


144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 17:37:46.98 ID:sxoY46o70



菜々宅前
夕方


菜々「久しぶりにみくちゃんといっぱいお喋りできて楽しかったですっ」

みく「みくもにゃ」

菜々「明日もお仕事なんですか?」

みく「うん、朝からびっしりにゃ」

菜々「そうなんですね」

みく「……」

みく「ナナチャンまた遊びに来てもいい?」

菜々「は、はいっ!もちろん!楽しみにしてますねっ」

みく「そうさせて貰うにゃ」


145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 17:38:16.48 ID:sxoY46o70


みく「……」

みく「ナナチャン……もう一つ聞いてもいい?」

菜々「……?」

菜々「なんでしょう」

みく「……」

みく「……ナナチャン」

みく「本当にこの業界に、アイドルに戻る気はないの?」

みく「戻りたいって気持ちはないの?」

菜々「……」


146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 17:38:48.85 ID:sxoY46o70



菜々「……」

菜々「……」

菜々「何言ってるんですかみくちゃんっ」

菜々「ナナにとって、アイドルはもう違う世界の話なんです」

菜々「もうウサミン星へは戻れない」

菜々「帰り方を忘れちゃいましたから」

みく「……」

菜々「でも、寂しくなんてないんですよ?」

菜々「みくちゃんの活躍を見るのがナナの楽しみですから♪」

みく「……」


147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 17:39:14.61 ID:sxoY46o70



みく「……」

みく「本当なの?」

菜々「はいっ」

みく「ナナチャン……じゃあなんであの時……」

菜々「?」

みく「……なんでもないにゃ」

みく「ごめんね、変な質問しちゃって」

みく「じゃあ、ナナチャンまたね」

菜々「はいっ」ヒラヒラ

スタスタ



148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 17:39:42.76 ID:sxoY46o70



駅までの道
夕暮れ


みく「……」

みく「……ナナチャンじゃあなんで」

みく「なんで……イベントのオーディションに合格した時泣いてたの?」

みく「アイドル、やっぱり諦めたくなかったからじゃないの?」

みく「……」

みく「……」


149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 17:40:10.88 ID:sxoY46o70



みく「……」

みく「みくはナナチャンの気持ちを勝手に想像してるだけなのかな」

みく「『本当はアイドル続けたい』」

みく「『トップアイドルになりたい』」

みく「ナナチャンはまだ諦めてないって、みくが勝手に思っていたいだけなのかな……」

みく「……」

みく「……」


150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 17:41:36.83 ID:sxoY46o70



みく「……」

みく「それを、確かめたかったけれど」

みく「ナナチャンはまだ呪いに縛られてる」

みく「……」

みく「みく、ただのお節介猫にゃ」

みく「ようやく心の整理を付けて諦めたナナチャンには苦しい問いかけだったのかな」

みく「……」


151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 17:42:04.17 ID:sxoY46o70


みく「……」

みく「……」

みく「……もうわかんない」

みく「……」

みく「……」

みく「それでも……みくは……」

みく「可能性を信じたいよ……ナナチャン!」

みく「だって……」



152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 17:45:04.14 ID:sxoY46o70


2ヶ月後
事務所



モバP「みくアイドル部門新人賞おめでとう!!」

みく「えへへ、ありがとにゃ」

モバP「ほんとうに凄いよ」

モバP「トップアイドルまであと一歩だ」

モバP「間違いなくみくならなれるよ」

みく「……」

みく「Pチャンのおかげにゃ」

モバP「?」


153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 17:45:31.82 ID:sxoY46o70


モバP「そんなわけないだろう」

モバP「名誉ある賞ではあるが、みくはそれに値するアイドルだぞ」

みく「ううん、みくなんて……」

みく「……」

みく「……Pチャンここまで連れてきてくれて本当にありがとね」

モバP「お、おう」

モバP「……」

モバP「なにかあったのか?」

みく「えへへ、なんでもないにゃ!」


154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 17:46:04.05 ID:sxoY46o70


みく「授賞式は明日だよね?」

モバP「ああ、そうだな」

モバP「次の日もすぐ収録だからゆっくりは出来ないが……」

みく「TV番組の収録だっけ?」

モバP「おう、今をときめくアイドル前川みくの素顔に迫るって番組だぞ」

みく「おー、主役にゃ!」

モバP「みくの子どもの頃のエピソードや、アイドルになったルーツなんかも聞かれるな」


155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 18:07:28.27 ID:sxoY46o70


モバP「恩師や尊敬する人をゲストに呼べるんだが」

モバP「ふーむ、どうしたもんかな」

みく「尊敬する人……?」

みく「……」

みく「それって……」

みく「……」

みく「……」

みく「ナナチャンでもいいの?」

モバP「……」


156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 18:11:22.58 ID:sxoY46o70


モバP「……」

モバP「そうだな」

モバP「みくならそう言うと思った」

モバP「みくにとっての菜々さんはそういう人だろう」

モバP「アイドル前川みくに間違いなく多大な影響を与えてる」

みく「じゃあ……」

モバP「……」

モバP「無理だ」

みく「……」


157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 18:11:48.65 ID:sxoY46o70


モバP「菜々さんはもう違う世界の人間だ」

モバP「もちろんTV出演は菜々さんのアイドルとしての夢のひとつだった」

モバP「だからこそ、こんな形で出てもらえない」

みく「……」

モバP「みくなら意味は分かるよな?」

みく「そうだね……」


158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 18:12:21.31 ID:sxoY46o70



みく「……」

みく「ねえ、Pチャン」

モバP「なんだ?」

みく「Pチャンはナナチャンが……」

みく「ナナチャンがアイドルをちゃんと心の底から諦められたと思う?」

モバP「……」

モバP「菜々さんがアイドルを心の底から諦める……ね」

モバP「……」

モバP「……」

モバP「それこそ無理さ」

モバP「諦めるなんて出来るわけないだろ」



159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 18:14:58.86 ID:sxoY46o70




事務所から駅までの小道



みく「……」

みく「……」

みく「……」

みく「……やっぱり」

みく「アイドルしてるナナチャンにまた会いたい」

みく「みくにはアイドルのナナチャンが必要なの」

みく「……」


160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 18:15:28.01 ID:sxoY46o70


みく「……」

みく「決めた!」

みく「覚悟を決めたにゃ……!」

みく「……」

みく「ナナチャンの呪いを……!!」

みく「みくなら出来るはず」

みく「いや、みくにしか出来ない」

みく「……」

みく「……」

みく「そして、これはみく自身のためでもある……よね」

みく「……Pチャン」

みく「ごめんね」

みく「……」

みく「……よし」

みく「やってやるにゃ!」



161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 18:16:04.57 ID:sxoY46o70


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


TV局

番組収録中


司会者「いやー、前川みくちゃん凄い人気ですね」

みく「ありがとにゃ♪」

司会者「さっきのVTRだと、幅広い年齢層の人から支持されてるようだね」

司会者「人気の秘訣なんかあるのかな?」

みく「やっぱりみくが可愛いからかな」キャルルン

司会者「はい、じゃあ次のコーナーです」

みく「えっ!無視!?」

司会者「静かにしてくれませんか?」

みく「扱いが芸人!!」

みく「ちょっと!みくバラエティ路線のアイドルになっちゃうじゃん!!」


162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 18:16:52.87 ID:sxoY46o70



司会者「次は感動のコーナーです」

みく「感動とか先に言っちゃ駄目じゃない?」

司会者「今人気沸騰中アイドルの前川みくさんですが」

司会者「実は、本日前川みくさんが尊敬しているという人にスタジオまで来て貰ってます!」

みく「おー!」

みく「誰だろう!!?」

司会者「事前に打合せしてるから誰か知ってるでしょ?」

みく「そういうの言っちゃ駄目にゃ!」


163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 18:17:36.99 ID:sxoY46o70



司会者「どんな関係の人なのでしょう?」

みく「……」

みく「うーん」

みく「一言で言い表すのは難しいけど」

みく「みくにとって『憧れの人』にゃ」

司会者「なるほど、憧れの人」

司会者「それじゃあ、早速呼んでみましょう!!」

みく「……」




司会者「”今をときめく人気アイドル”!!」

司会者「安部菜々さんでーす!!」


パチパチパチパチ
ガコン スタスタ




菜々「どうも、ウサミンことJKアイドル安部菜々でーすっ!!」バーン

菜々「前川みくちゃん、よろしくお願いしますねっ♪」



164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 18:25:56.11 ID:sxoY46o70


TV局

TV番組収録中



司会者「ははは、そうなんですねー」

菜々「ええ、あの時は困っちゃいましたよ〜」

みく「ははは」

菜々「あっ!な、ナナはJKアイドルだから芸歴そんなに長くないんですけどねっ!」

司会者「前川さんと一回り年齢違うって本当なんですか?」

菜々「ななななななな、何言ってるんですか!?」

菜々「JKアイドルですよっ!17歳ですよ!!」

司会者「そういえば、安部菜々さんのアイドルのルーツはなんなのかな?」

菜々「そうですねえ」

菜々「実はお手伝いしてる喫茶店がありまして」

菜々「休憩中に路地裏で発声練習や歌の練習をしてた時なんですけど」

菜々「その時、小さな女の子に出会ったんです」



165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 18:26:40.84 ID:sxoY46o70



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

都内喫茶店裏口の路地裏
ある日の夕方

菜々「ららら〜♪」

菜々「う、うぅん」

菜々「あまり上手くいかないですねえ」

女の子「……」ジー

菜々「?」

菜々「どこの子でしょう?5歳くらいの女の子……お客様のお子さんですかね」

女の子「お姉さん歌が上手いね」

菜々「おおー!ありがとうございますっ」

菜々「これでもアイドルを目指してるんですよっ♪」

女の子「凄い、アイドル!」


166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 18:27:10.06 ID:sxoY46o70


女の子「どんなアイドルになりたいの?」

菜々「そうですねえ」

菜々「歌って踊れて、みんなに愛されるキラキラしたアイドルになりたいかな!」

菜々「現役JKアイドル!ウサミンこと、安部菜々ですっ♪」クルクルキラーン

女の子「……おお!」パァ

菜々「えへへ」

菜々「……」

菜々「でも、アイドルになるってとてもとても大変なんです……」

菜々「本当になれるかどうか……」


167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 18:27:38.03 ID:sxoY46o70


女の子「そんなに歌が上手でも?」

菜々「厳しい世界なんです」

菜々「だからこうやってたくさん練習してるんですよ」

女の子「……そうなんだ」

菜々「誰もがなれるものじゃないし、とても大変だけど……」

菜々「ナナはみんなに夢を届けるアイドルになりたいんですっ」キラキラ

菜々「……」

菜々「でも、頑張っても頑張っても報われなかったらどうしようと不安になることも……」

女の子「……」


168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 18:28:05.34 ID:sxoY46o70

女の子「……」

女の子「駄目だったら、いつか諦めちゃうの?」

菜々「え?うーん、どうだろう」

菜々「その時になってみないと分からないですね……」

女の子「そんなに凄いのに諦めちゃ駄目」

女の子「じゃあ約束してよ」

菜々「約束……ですか?」

女の子「うん」

みく「みんなに夢を与えるアイドルになれるまで絶対諦めないって」

女の子「キラキラなアイドルになれるまで絶対諦めないって」

菜々「……」

169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 18:28:44.19 ID:sxoY46o70



菜々「……」

女の子「夢なんだよね?」

菜々「そうです……!」

女の子「じゃあ約束だよ、指切りしよっ」

菜々「はいっ!」

菜々「『約束』です!」ユビキリ

女の子「キラキラのステージで歌って踊ってる姿を見るのを楽しみにしてるね」


170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 18:29:17.00 ID:sxoY46o70


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


TV局

番組収録中


菜々「その子との約束があるから頑張ってるんです♪」

司会者「ほー、良い話だねえ」

みく「……」

司会者「それじゃあ、安部菜々さんにも”大ヒット曲”を披露してもらいましょう!!」

司会者「キラキラのステージで思う存分歌ってください!」

菜々「はいっ♪」

みく「……」

みく「……」


171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 18:29:44.96 ID:sxoY46o70



TV局廊下
夕方(収録終了後)


みく「……」スタスタ

菜々「あ、みくちゃーん」ヒラヒラ

みく「あ……!」

菜々「さっきの収録はありがとうございました」

菜々「こうして話すのは『初めて』ですね♪」

菜々「あれ?」

菜々「どこかで会ったことありましたっけ?」

みく「……いや」


172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 18:30:15.96 ID:sxoY46o70



菜々「今日は番組に呼んでくれてありがとうございます」

菜々「ナナなんかがみくちゃんの憧れだなんて……」

みく「ううん、ナナチャン……あ、安部さんのこと……」

菜々「ナナでいいですよっ♪」ニコ

みく「……!」

みく「うんっ」

みく「……」

みく「ナナチャンがいなかったら……今のみくはなかったの」

みく「ナナチャンがいたからみくはここまで来れたの……!」

みく「……」

みく「ナナチャン、アイドルでいてくれて本当にありがとう」




173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 18:30:55.45 ID:sxoY46o70


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

事務所から駅までの小道
いつかの夜

みく「……」

みく「……」

みく「……」

みく「……やっぱり」

みく「アイドルしてるナナチャンにまた会いたい」

みく「みくにはアイドルのナナチャンが必要なの」

みく「……」


174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 18:31:24.36 ID:sxoY46o70



みく「……」

みく「決めた!」

みく「覚悟を決めたにゃ……!」

みく「……」

みく「ナナチャンの呪いを……!!」

みく「みくなら出来るはず」

みく「いや、みくにしか出来ない」

みく「……」

みく「……」

みく「そして、これはみく自身のためでもある……よね」

みく「……Pチャン」

みく「ごめんね」

みく「……」

みく「……よし」

みく「やってやるにゃ!」

みく「そうとなれば」

みく「時間駅を使って過去に戻ろうっ!」



175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 18:31:57.62 ID:sxoY46o70



時間駅


ガコン

みく「ここに来るのはもう何度目だろう」スタスタ

みく「ここで時間を戻せるおかげで1日を何度もやり直して、みくはアイドルとして成功してきた……」

みく「アイドルとして成功するにはタイミング、ニーズ、容姿、実力」

みく「そして、運が必要」

みく「何度も何度も時間を繰り返して、自分の都合の良いものだけ選んできた」

みく「運という要素を完全に排除していた」

みく「……」


176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 18:32:25.08 ID:sxoY46o70



みく「……」

みく「やっぱりそれはズルいよね」

みく「みんなに夢を与えるのがアイドルの仕事」

みく「ズルをして、夢を与えることなんか出来ない」

みく「そして、みく自身の夢も叶えたとは言えない」

みく「この『帰れるICカード』……」

みく「……これを利用するのは最後にする」

みく「……これが最後」

みく「……」

駅内アナウンス「まもなく電車が参ります、お乗りの方はお急ぎ下さい」

みく「さあ、ナナチャンを救いに行くにゃ」



177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 18:32:55.09 ID:sxoY46o70



時間電車車内(過去行き)
時間不明


ガタンゴトン

ガタンゴトン

車内放送「次は―――まえ――」

みく「……ん」

みく「……」

みく「……ふわぁ」

みく「……」

みく「……ウトウトしてたにゃ」

みく「……」

みく「あとちょっとかな」

みく「……」


178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 18:33:29.46 ID:sxoY46o70



みく「……」

みく「……」

みく「……もう後戻りは出来ない」

みく「今までの自分を捨てる覚悟は出来てる」

みく「”次”は上手くいかないかもしれない」

みく「それでもみくは……!」

みく「今を捨てて、最初からやり直す!」



車内放送「次は3650日前―、3650日前―」



みく「みくはこうするべきだったのにゃ」

プシュー 
ガコン

みく「よし、行こう!」


179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 18:33:58.28 ID:sxoY46o70



『10年前』
喫茶店裏口の路地裏
ある日の夕方



菜々「ららら〜♪」

菜々「う、うぅん」

菜々「あまり上手くいかないですねえ」

みく「……」ジー

菜々「?」

菜々「どこの子でしょう?“5歳くらいの女の子”……お客様のお子さんですかね」

みく「……」

みく「お姉さん歌が上手いね」

菜々「おおー!ありがとうございますっ」

菜々「これでもアイドルを目指してるんですよっ♪」

みく「凄い、アイドル!」


180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 18:36:20.51 ID:sxoY46o70


みく「どんなアイドルになりたいの?」

菜々「そうですねえ」

菜々「歌って踊れて、みんなに愛されるキラキラしたアイドルになりたいかな!」

菜々「現役JKアイドル!ウサミンこと、安部菜々ですっ♪」クルクルキラーン

みく「……」パァ

菜々「えへへ」

菜々「……」

菜々「でも、アイドルになるってとてもとても大変なんです……」

菜々「本当になれるかどうか……」


181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 18:36:51.00 ID:sxoY46o70


みく「そんなに歌が上手でも?」

菜々「厳しい世界なんです」

菜々「だからこうやってたくさん練習してるんですよ」

みく「……そうなんだ」

菜々「誰もがなれるものじゃないし、とても大変だけど……」

菜々「ナナはみんなに夢を届けるアイドルになりたいんですっ」キラキラ

菜々「……」

菜々「でも、頑張っても頑張っても報われなかったらどうしようと不安になることも……」

みく「……」


182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 18:40:17.30 ID:sxoY46o70



みく「……」

みく「駄目だったら、いつか諦めちゃうの?」

菜々「え?うーん、どうだろう」

菜々「その時になってみないと分からないですね……」

みく「そんなに凄いのに諦めちゃ駄目」

みく「じゃあ『約束』してよ」

菜々「約束……ですか?」

みく「うん」


183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 18:41:16.28 ID:sxoY46o70



みく「みんなに夢を与えるアイドルになれるまで絶対諦めないって」

みく「キラキラなアイドルになれるまで絶対諦めないって」

菜々「……」

みく「夢なんだよね?」

菜々「そうです……!」

みく「じゃあ約束だよ、指切りしよっ」

菜々「はいっ!」

菜々「『約束』です!」ユビキリ

みく「キラキラのステージで歌って踊ってる姿を見るのを楽しみにしてるね」

菜々「……」

菜々「……どうしてナナの夢を応援してくれるんですか?」

みく「……」

みく「だって……」



184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 18:41:42.30 ID:sxoY46o70



10年前
都内某所
夕方


みく「……」

みく「……」

みく「これで良かったよね」

みく「これで」

みく「……」

みく「……」


185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 18:42:13.87 ID:sxoY46o70



みく「……」

みく「……」

みく「随分前にみくが『絶対諦めないで』と約束してくれとお願いした時に」

みく「ナナチャンは言った」



みく「『新しくその約束をしようとすると、”前の約束を破っちゃう”ことになるから』」



みく「その約束は出来ないって」

みく「……」

みく「……だからみくは」

みく「みくのこの『約束』で」


186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 18:42:42.28 ID:sxoY46o70





みく「ナナチャンが呪いにかかる前に呪いをかけた」

みく「ナナチャンがあの呪いにかからないように」




187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 18:43:43.87 ID:sxoY46o70


みく「……」

みく「……」

みく「これでも」

みく「上手くいくとは限らない」

みく「この新しい呪いがまたナナチャンを苦しめるかもしれない」

みく「……」

みく「それでも」

みく「それでもナナチャンは」

みく「本当にアイドルになりたいなら、そうするべきにゃ」

みく「ナナチャンの夢、みくが呪ってでも叶えて貰うにゃ!」

みく「……」


188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 18:44:13.65 ID:sxoY46o70



みく「……」

みく「後は、ナナチャン次第」

みく「……」

みく「みくはもうあの事務所には戻らない」

みく「有能なPチャンに会えたのも運が良かったから……かな」

みく「みくはみくで1からアイドルを目指そう」

みく「次は駄目かもしれない」

みく「上手くいかない可能性もある」

みく「それでも、それが自分が納得出来る道なの」

みく「……そしてナナチャンのような夢を届けられるアイドルになろう」

みく「……」


189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 18:44:44.73 ID:sxoY46o70



みく「……」

みく「……」ゴソゴソ

みく「……」

みく「『帰れるICカード』……今までありがとね」

みく「……」

みく「えいっ!!」

パキッ

みく「見事に真っ二つに折れたにゃ」

みく「……」



190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 18:45:10.44 ID:sxoY46o70



みく「……」

みく「これで本当に後戻りは出来ない」

みく「もう帰れない」

みく「何があっても逃げ出せない」

みく「……」

みく「それでも!」

みく「みくならやれるにゃ」

みく「よーし!」

みく「……」

みく「……」

みく「まずは……!!」

みく「5歳でお金もないみくがどうやって都内から関西の実家に帰るのかってとこから考えようかな!」



191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 18:45:44.11 ID:sxoY46o70



10年後
TV局廊下
夕方(収録終了後)



みく「……」スタスタ

菜々「あ、みくちゃーん」ヒラヒラ

みく「あ……!」

菜々「さっきの収録はありがとうございました」

菜々「こうして話すのは初めてですね♪」

菜々「……」

菜々「あれ?」

菜々「どこかで会ったことありましたっけ?」

みく「……いや」



192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 18:46:13.79 ID:sxoY46o70



菜々「今日は番組に呼んでくれてありがとうございます」

菜々「ナナなんかがみくちゃんの憧れだなんて……」

みく「ううん、ナナチャン……あ、安部さんのこと……」

菜々「ナナでいいですよっ♪」ニコ

みく「……!」

みく「うんっ」

みく「……」

みく「ナナチャンがいなかったら……今のみくはなかったの」

みく「ナナチャンがいたからみくはここまで来れたの……!」

みく「……」

みく「ナナチャン、アイドルでいてくれて本当にありがとう」

菜々「うぇっ!?そこまでですか?」



193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 18:46:44.21 ID:sxoY46o70



みく「みくにとっては……」

みく「いや、みんなにとってもそうにゃ」

みく「ナナチャンはみんなに夢を届けるアイドルだにゃ」

菜々「えへへ」

菜々「ナナ、いつの間にか理想のアイドルになれてたんですね」

菜々「あの子と『約束』したとおりに」

みく「……」

みく「『約束』……」

みく「ナナチャンはその約束を抱えてここまで来たんだよね?」

菜々「はいっ、そうです♪」

194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 18:47:20.07 ID:sxoY46o70



みく「……」

みく「そっか……そうなんだ」


スタスタ


モバP「……おーい!菜々さん事務所戻るぞ〜」

菜々「あ、プロデューサーさん」

みく「!」

モバP「ん?」

モバP「お、△△事務所の前川みくちゃんか」

モバP「今日はありがとな」

モバP「色々なとこで活躍してるようだな!」

モバP「どうだ?うちの事務所に移籍して来ないか??」

みく「あはは、遠慮しとくにゃ」

モバP「そっか、残念だよ」ハハハ



195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 18:47:46.78 ID:sxoY46o70



モバP「よし、じゃあ菜々さん行こうか」

菜々「はい!」

菜々「じゃ、みくちゃんお元気で♪」

スタスタ

みく「……」

みく「……ナナチャン!」

菜々「?」

みく「最後に聞いてもいい??」

菜々「なんでしょう」

みく「……」


196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 18:48:14.32 ID:sxoY46o70




みく「……」

みく「……」

みく「さっきの小さい子どもとの約束」



みく「その約束を重荷だとか『呪い』だと感じたことはなかったの?」



菜々「……」



197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 18:48:45.16 ID:sxoY46o70


菜々「……」

菜々「えへへ」

菜々「そんなこと全くないですよっ」

菜々「むしろ逆です」

菜々「その約束のおかげで」

菜々「その約束があるからこそ、ナナはここまで頑張れたんですっ」

菜々「今の私があるのはあの子のおかげ」

菜々「だからあの子には感謝してるんです」


198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 18:49:18.38 ID:sxoY46o70








菜々「だって、やっぱりナナはアイドルのお仕事が大好きだから」




199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 18:49:45.34 ID:sxoY46o70




みく「……!」

菜々「辛いことも挫けそうなことも諦めそうなこともたくさんあったけれど」

菜々「大好きなアイドルになれるまで頑張れたのは、その約束のおかげ」

菜々「えへへ、さっきの番組のナナの姿もあの子が見てくれてたらいいなって」

菜々「そう思うんです♪」

みく「……」





200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 18:50:17.47 ID:sxoY46o70



みく「……」

みく「……そっか」

みく「そうなんだ……」

みく「ナナチャン……」

みく「……ありがとにゃ」

みく「……」ポロポロ



201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 18:51:17.38 ID:sxoY46o70



菜々「うぇっ!?」

菜々「みくちゃんはなんでそこまでナナのことを……」

みく「……」グスン

みく「えへへ、だって……」

みく「……」

みく「自分の夢を話すナナチャンの笑顔が素敵だったから」

みく「その時からナナチャンはみくにとってのアイドル」

みく「えへへ、それだけにゃ」




終わり

みく「笑顔が素敵だから」
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/16(金) 18:53:36.50 ID:sxoY46o70

前作 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1500095410/ 



前前作 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1492301414/



前前前作 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1488252177/

もよろしくお願いします
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/16(金) 19:22:47.83 ID:xwNm3TzUo
おつおつ
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/16(金) 20:52:11.52 ID:a4SGEkBg0
乙です
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/02/16(金) 21:56:21.92 ID:YvUZ4pqao
なんか幸せな気持ちになった
おつおつ
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/02/16(金) 22:00:52.95 ID:8nkFBAqgO
icが黒から白に
菜々さんのお母さんは無事なのか邪推してしまう
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/02/18(日) 13:18:17.92 ID:tfwnfr7A0
乙乙

相変わらず好みの話ではあるが
重複が特に活きてる感じでもなかったから
タイトルをうまいこと新人賞後の場面に挟んで
>>178で〆でも綺麗だったんじゃないかな
111.88 KB Speed:0   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 続きを読む
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)