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バットマン「グランド……オーダー?」 マシュ「その2です」
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425 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/03/03(土) 22:58:08.94 ID:4nPBd23Q0
………………
マシュ「あわ、わわわ……」グラグラ
バットマン「……すまないな、今戻った。ドレイク、我々の船へ戻るぞ」
ドレイク「へっ……? 何してたのさ?」
バットマン「船を破壊していた。この船は沈む」
キラークロック「何……?」
バットマン「……行くぞ、マシュ、エウリュアレ。ここにはとどまれない」
ドドォォォォォン……ドッガァァァァ‼ ドッガァァァァ‼
フォルネウス「……無意味である」
バットマン「やはり移動は出来ないようだな。好きにすると良い、船と共に沈むのは実に船長らしい振る舞いだ……元、船長だったか」
フォルネウス「策など、無意味だ」
バットマン「……意味を考えないだけだろう。さらばだ」
426 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/03/03(土) 22:58:36.86 ID:4nPBd23Q0
エウリュアレ「アステリオス! 行くわよ!」
アステリオス「……ご、めん。えうりゅあれ。ぼくは、ワルだから」
エウリュアレ「え……?」
アステリオス「だから、いっしょには、いけない。えう、りゅあれは、ワルじゃ、ないから。ここで、さよなら」
エウリュアレ「……なに? どういう事なの……? さよ、なら?」
マシュ「エウリュアレさん! 急いで!」
エウリュアレ「どういう事なの、アステリオス! なんで……」
アステリオス「……たすけたい、ひとが、できたんだ」
エウリュアレ「……っ……」
427 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/03/03(土) 22:59:02.43 ID:4nPBd23Q0
アステリオス「でも、それは……いままでの、ぼくじゃ、むりだから。だから、行って、えうりゅあれ」
エウリュアレ「……二度も、別れさせるなんて。貴方、最低よ」
アステリオス「ご、めん」
エウリュアレ「……良いのよ。さようなら、アステリオス」
アステリオス「さよなら、えうりゅあれ」
428 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/03/03(土) 22:59:30.73 ID:4nPBd23Q0
黒髭「あーあー、沈みますな。どうします?」
キラークロック「……お前の船を出せ。それに乗れば良い」
黒髭「ええー!! アレ、聖杯無しじゃ維持するのキッツイんですぞ!?」
キラークロック「文句言うんじゃねえ。やれるんだろうが」
黒髭「そりゃまあ、やれますけど……」
キラークロック「なら、やれ。どうせ長くはかからねえ」
黒髭「……あいよ」ズォォォォォォォッ
429 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/03/03(土) 23:00:00.97 ID:4nPBd23Q0
バットマン「……」
バットマン(黒髭達も宝具を発動し、自分の船に乗ったか。計算通り)
バットマン(……そして、魔神柱。奴らは動けないというのも、計算通り……だが、一つ心配なのは)
メディア「……」
バットマン(……彼女のとどめを刺し損ねている、という事か)
バットマン「……大砲の準備をしろ。嫌な予感がする」
ドレイク「アタシもだよ。野郎ども、大砲準備!」
430 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/03/03(土) 23:00:34.40 ID:4nPBd23Q0
ズズズズズズズズ……バシャァァァァァン……
メディア(……)コポポポ……
メディア(……)
メディア(……落ちていく)
メディア(闇の中へ、落ちて行く)
メディア(魔女になっても構わないと思っていた私は)
メディア(あの日、愛しい人のために、その汚名すら心地良く感じていた)
メディア(押し付けられた、偽物のエゴのせいで)
431 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/03/03(土) 23:01:00.15 ID:4nPBd23Q0
メディア(あぁ……憎い。憎い。愛に応えないあの方が憎い)
メディア(呪いをかけたこの世界が憎い。私を殺したこの世界が憎い)
メディア(こうして伸ばす手に、たとえ権利が無かろうと……)
メディア(私は、憎んでやる。それが私のエゴ)
メディア(さあ、大きくなれ。海を呑み、空を衝き、嘘で固まる世界を見下ろせ)
メディア(魔神柱、フォルネウス。私と同じ絶望を、世界へ)ポゥッ
432 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/03/03(土) 23:01:32.51 ID:4nPBd23Q0
ゴ……ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……‼
バットマン「……なんだこれは」グラグラ
マシュ「う、海が……揺れてる……!?」
ドレイク「しっかり掴まりなァ!! 落ちるんじゃないよ!」
キラークロック「……」
黒髭「うーん、やな感じ」
アステリオス「……なにか、くる!」
バッシャァァァァァァァァァァ……‼‼
433 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/03/03(土) 23:02:04.36 ID:4nPBd23Q0
フォルネウス「……」ズォォォォォ……
バットマン「……あのサイズは……想定外だ」
マシュ「う、うそ……あんな、大きな……」
ダビデ「ちょっとヤバイぞ! なんだアレは、大きすぎるんじゃないのか!」
ドレイク「……おー、おー。面白い事になって来たねえ!」
ボンベ「姐さん、ヤバくないっすかアレ!?」
ドレイク「そりゃヤバイさ。分かり切ってた事だろう、やっちまうよ!」
黒髭「えぇ……でっかい」
キラークロック「フン……海中なら敵にもならねえ」
アステリオス「いけ、る。やれる」
フォルネウス「は、はははは……今、私は無限の観測を得たり……今こそ、過去、未来、現在のすべてを見通す目を得たり」
434 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/03/03(土) 23:02:47.60 ID:4nPBd23Q0
ドレイク「帆を張りなァ! 目玉が多いだけの肉塊にビビってられるかってんだ!」
ボンベ「よっしゃぁ! こうなりゃヤケだ、やっちまうぞテメェら!」
海賊達「「「オオオオオオーーーー!!!」」」
帆「」バサァッ‼
ダビデ「砲手もラクじゃないね!」ガチャガチャ
ドレイク「泣き言は後にしな!」
ダビデ「はいはい! 狙って……砲火!」ドドォォォォォン‼
フォルネウス「フハハハハハハハハ! 痒い! なんと痒い砲撃よ!」ゴォン、ゴォン……
フォルネウス「そら、おつりをくれてやろう!」ドドドドドドドドォォォォォォッ‼‼
ドッガァァァァァァァ‼ ドッガァァァァァァァ‼
ドレイク「おわっ!? やりやがった、アイツ……! 沈没しちまうね」
バットマン「船体左側の重荷は全て降ろせ! バランスを取り、少しでも沈没までの時間を延ばすぞ!」
ドレイク「はいよ!」
435 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/03/03(土) 23:03:20.60 ID:4nPBd23Q0
キラークロック「……オレが潜れば、一発でカタがつく」
黒髭「おう、まあせいぜい暴れてこいや。一応ここは守っておいてやるよ」
フォルネウス「フハハハハハハ!! そこのワニは未だに自分の犯した罪すら知らず、のうのうと生きながらえるか!」
キラークロック「……ああ?」
フォルネウス「私は知っている。私は観測した。貴様が忘れた最悪の罪を。そのネックレスに隠された闇を!」
キラークロック「……どういう事だ。何を知っていやがる」
黒髭「キラークロック殿、あんまし聞かない方が……」
キラークロック「黙ってろ! どういう事だ! お前はコイツの何をしってる!!」
436 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/03/03(土) 23:04:16.39 ID:4nPBd23Q0
フォルネウス「忘れたのか! 本当に!?」
キラークロック「……ぐ……」ズキン
(((だから、いつか貴方が、皆にとってのかいぶつじゃなくなった時に)))
キラークロック「…………うぐ……」ドサッ
(((撃て)))
(((撃て! 逃がすな!!)))
(((こちら――地区――ブロック、応援を……)))
フォルネウス「ならば教えてやろう! 貴様は食ったのだ、その少女を! 貴様が自分の巣に非常食じみて置いていたその少女を、食ったのだ!!」
キラークロック「……!!」
437 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/03/03(土) 23:05:43.19 ID:4nPBd23Q0
バットマン(不味い……! キラークロックが麻痺すれば、作戦が機能しなくなる!!)
バットマン「ジョーンズ! 違う! お前はホームレスの夫婦に捨てられた子供をかくまっていた!」
バットマン(アレは、ジョーンズがキラークロックとして世に知られる事になった、最悪の事件……)
バットマン(自分の巣へと帰ろうとしていたキラークロックは、通行人にその異様な風貌から怯えられ……何もしていないのに、警察へ通報された)
バットマン(最悪なのは、警察だった……! 腐敗が進んでいた警官たちは、まるでゲームを楽しむかのように、ジョーンズを攻撃……! 大人数の攻撃に瀕死となったジョーンズは、それでも何とか巣に帰り……)
フォルネウス「笑わせるな! 望まれてもいない善意など、ただの傲慢だ! 世界は過程ではなく、結果! お前は少女を監禁し、食いつくした化け物だ!」
438 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/03/03(土) 23:06:54.33 ID:4nPBd23Q0
キラークロック(……思い出した)
キラークロック(あの日、オレは死にかけて……身体を引きずって、帰ったんだ)
キラークロック(……血が足りなくなったからなのか、死にかけていたからなのか……オレは本能的に、目の前にいたガキに喰らい付いた)
(((あ……)))
キラークロック(思い出した。ああ、クソ、なんで忘れてたんだ、オレは)
(((だいじょうぶ。こわくない。いたくないよ。おんがえしって、いうんだよね)))
キラークロック(血に染まった顔。痛みでひきつった笑み。だが、アイツは笑っていた)
(((これね、今日、渡そうと思ってた、ネックレス)))
(((……だいじょうぶ。貴方は皆と少し違うだけ)))
キラークロック(どうしてどいつもこいつも、自分を誤魔化して笑うんだ。もっと、生きたかったクセしやがって)
(((だから、いつか貴方が、皆にとってのかいぶつじゃなくなった時に)))
フォルネウス「怪物め! 貴様は怪物だ!!」
ネックレス「」ジャラ……パカリ
少女の写真「」
キラークロック「……」
キラークロック(やっぱり、そうなのか?)
キラークロック(オレは所詮、怪物なのか?)
439 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/03/03(土) 23:08:16.24 ID:4nPBd23Q0
黒髭「下らねえ」
フォルネウス「……何?」
黒髭「クソ下らねえ!! おいキラークロック、テメエはなんでそこに膝ついてる!? アホか!? さっさとあの肉の柱をぶっ潰しに行け!」
キラークロック「……」
黒髭「……いい加減女々しい野郎だな、テメエも! 良いか、上等だっつってんだ! おう、確かにテメエはそのガキを食ったんだろうよ! 捨てられてたのを拾ったのだって、あっちは助けて欲しくなかったかもしれねえ! けどな、それがどうした!」
黒髭「俺達はワルだ! エゴが赴くままに、奪って押し付け生かして殺す! 上等だろうが! それ以上に高等なモノなんざ、望むんじゃねえ!」
キラークロック「……」
黒髭「立て! 自分勝手がどうした、傲慢がどうした! 常連だろうが、笑い飛ばせ!」
440 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/03/03(土) 23:09:23.75 ID:4nPBd23Q0
アステリオス「だい、じょうぶ」
キラークロック「……」
アステリオス「過去は、変えられなくても、今は、きっとかわるよ」
キラークロック「……」ムクリ
アステリオス「だから、世界を呪わないで。きっと、かいぶつなんて、どこにでもいるから」
キラークロック「……フン」
キラークロック「知ったようなクチ利きやがって。あとで全員、食い千切ってやる」ドシ、ドシ
黒髭「……へっ」ニヤリ
441 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/03/03(土) 23:10:27.64 ID:4nPBd23Q0
フォルネウス「まだ立ち上がるか。その見た目と同じ、醜悪なまでの執念」
キラークロック「全身が目で出来てるクセに、何も見えてないらしいな! オレを見ろ!」
キラークロック「オレは、美しい!」ダンッ、バッシャァァァァァァァァァァ‼
バットマン「……良し、ようやく始動だ。ダビデ、砲撃を休むな」
ダビデ「はいはい……」
ズズズズズズズズ……
バットマン「……船の水を掻き出す。マシュ、シールドで船の穴を塞げるか」
マシュ「は、はい! 頑張ります!」
ドレイク「掻き出すっつって、どうやって……」
バットマン「大丈夫だ。バット吸水ポンプがある」
ドレイク「バット……は?」
バットマン「……ジョークだ。スーツのポンプ機能を使い、ある程度運んで外へ排出する」
442 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/03/03(土) 23:11:15.25 ID:4nPBd23Q0
キラークロック(……でけえ肉の柱だ。食い甲斐がありそうだぜ)ゴポポ……
フォルネウス『無意味である』
キラークロック(……ソイツはオレが決める。黙って食われろ)ギュォッ、ガブッ
フォルネウス『ぐぅっ……小癪な』
キラークロック(……!!)グイッ、ブチィッ
フォルネウス『おのれ、下等生物の分際で……!!』
キラークロック(不味い肉だ……これをずっと食い千切るってのは、気が滅入るぜ)ペッ
――――――
ドレイク「放てー!!」
海賊達「「「オラオラオラァ!!!」」」ドドドドォン‼
フォルネウス「痒いと、言ったはずだ……ぐぅ!?」ドドドォ……グシャァッ‼
アステリオス「……ぼくの、宝具、きいてるみたいだね」ニヤリ
フォルネウス「貴様……魔力を……」
エウリュアレ「良いわよ、アステリオス。そのまま弱らせておきなさい」シュパパパパッ
フォルネウス「ぐああああああ!?」ドシュシュシュシュッ
443 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/03/03(土) 23:11:49.99 ID:4nPBd23Q0
フォルネウス「おのれ……海の藻屑にしてくれる……!」
フォルネウス「焼却式『フォルネウス』起動!!」ドドドドドドドドドドドドッ‼
ドレイク「っ……ありゃ、耐えられないよ!」
バットマン「……くっ、こちらはまだ復旧が完全ではない! なんとか逸らせないか!」
ドレイク「無茶言うな、ぶち当たる……」
ドッガァァァァァァァ‼
ドレイク「っく……」
ダビデ「わわっ、やばいぞ!」
マシュ「マスター!」
バットマン「……!!」
ボンベ「やべーぞ、船体が真っ二つだ!」
444 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/03/03(土) 23:12:30.10 ID:4nPBd23Q0
バットマン「……いや、まだだ」シュポッガシッ
グラップネルガン「」ギュギ……ギギギギギギギギギギギ……
バットマン「マシュ、手伝ってくれ! 船を戻す……!」
マシュ「は、はい!」ガシッ、グググググ……
ドレイク「よしな、無茶だよ!」
バットマン「知っている! だがここでこの船を守らなければ、ドレイク、ボンベ、お前達皆が海に落ち、フォルネウスに殺されるだろう! そんな事はさせない!」グググググ……
ドレイク「あ、アンタ……」
バットマン「……いつか言ったな。人生の意味など後付けで良いと。私は逆なんだ。納得と理解ができなければ、私の人生ではなくなる……ここで守らなければ、私ではなくなる!」グググググ……‼
マシュ「……マスター……!」グググググ……
ドレイク「……くっ、でも無茶なのには変わりないよ!」
バットマン「ぐっ……もってくれ……!」グググググ……
ロープ「」ブルブルブルブル……ブチィッ‼
バットマン「っぐあ!?」ドッサァ
マシュ「きゃあ!?」ドシャッ
ゴズズズズズズズズズズズ……‼
445 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/03/03(土) 23:13:34.24 ID:4nPBd23Q0
ドレイク「くっ……船を捨てろ! ゴールデンハインド号を捨てろ! 全員海へ飛び込め!」
ボンベ「ご、ゴールデンハインド号を……捨てるだって、姐御!? そんな事はできねえよ! ずっとコイツと旅して来たじゃねえか!」
ドレイク「馬鹿野郎! 命と船のどっちが大事なんだい! 飛び込むんだよ!」ガシッ、ドッ
ボンベ「うわぁぁぁぁぁぁぁ……」ボッシャァァァァン
海賊A「姐御!」
海賊B「姐御ぉ!!」
ドレイク「飛び込みな、さっさとしな! 船は後でいくらでも手に入る……!」
ドレイク(……クソ、この船はひとつきりだよ! チクショウめ!!)ググッ
446 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/03/03(土) 23:14:14.05 ID:4nPBd23Q0
バットマン「ドレイク」タタッ
マシュ「……ドレイクさん」
ドレイク「アンタ達も、急いで海に。アタシは船員が全員居なくなったのを確認して、最後に飛び込むよ」
バットマン「……すまない。フォルネウスの力の増大を予測し切れなかった」
ドレイク「後にしな。さあ、早く!」
ダビデ「え、マジで僕も行くの?」
エウリュアレ「冷たそうね。私は遠慮するわ……」
バットマン「……」ガシッ、グイッ
ダビデ「うわあああああああぁぁぁぁ……」ヒュゥゥゥゥゥゥゥ……
エウリュアレ「貴方本当に覚えてなさいよ!」ヒュオオォォォォ……
447 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/03/03(土) 23:15:02.89 ID:4nPBd23Q0
黒髭「……ドレイク……」
アステリオス「いか、ないの?」
黒髭「……ばーか、あの女があの程度でやられるワケねえよ。太陽を落とした女、フランシス・ドレイク。オレの憧れだぞ」
アステリオス「……」
黒髭「……だから、黙って見てりゃあ良いのさ。聖杯は相応しい奴のところにしか行かねえんだからよ。それよりほら、大砲準備の手を休めては駄目でござる!」
アステリオス「ごめ、ん」ゴロゴロ
黒髭「ほれいっちに、いっちに!」ゴロゴロ
448 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/03/03(土) 23:15:31.94 ID:4nPBd23Q0
ドレイク「……世話になったね」
ドレイク「無茶ばっかり押し付けた。その度に、アンタは期待に応えてくれたよ」
ドレイク「……だがまあ、結局はこうなっちまった。できれば、アンタと最期まで……旅をしたかったんだけどねえ」
ドレイク「……じゃあね」バッ、バッシャァァァァァァァァァァン……
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……ズズズズズズズズ……
449 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/03/03(土) 23:15:59.97 ID:4nPBd23Q0
ドレイク(……冷たいね、海は……)
ドレイク(ああ、チクショウ。もっと力があれば……全員守れたんだろうけどね)
聖杯「」パァァァァァァ……
『願え。全員を助けたいと願え。暗い海の底から引き上げたいと願え』
ドレイク(……こりゃ、さしずめ悪魔のささやきってところか。いいねえ、これでこそ……)
ドレイク(……けど、アタシは『結果』は願わないよ。過程も無くお宝を手に入れても、何の楽しみも無いからねえ……)
ドレイク(……だから黙って、その分の力だけ寄越せ……!)グググググ……
450 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/03/03(土) 23:16:38.36 ID:4nPBd23Q0
フォルネウス「ハハハハハハハ……あとは海中のワニ男だけだ。実に手応えの無い、弱敵であった……?」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
フォルネウス「……?」
黒髭「なー? だから言ったでござるよ」
アステリオス「……う、ん」
バッシャァァァァァァァァァァ‼
黒髭(……光り輝く船体……まさにゴールデンってか)
黒髭「……チッ、流石だぜ」クシャクシャ
451 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/03/03(土) 23:17:22.14 ID:4nPBd23Q0
ドレイク「……っふぅ! 海水浴びてサッパリしたよ、ありがとね!」
フォルネウス「なんだと……貴様も、聖杯を使いこなすというのか!」
ドレイク「使いこなすってのが何なのかは知らないけどねえ、生憎こっちはうまい話には飛びつかないように鍛えられてんだ。ロクな事になった試しが無い!」
フォルネウス「おのれ、無為な虫けら一匹の分際をしおって……! ちっぽけで無意味な人生を送るというのに!」
ドレイク「言っただろ? 人生の意味は、後から誰かが見つけてくれる。なら、こっちは一瞬を全力で生きるだけさ!」
ボンベ「あ、姐御ぉ……一生ついていきやすゥゥゥゥゥゥゥ!」
海賊達「「「うおおおおおおおおお、姐御おぉおおおおおおお!!!」」」
ドレイク「おら、泣いてる暇があったら大砲の準備をしやがれ!」
452 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/03/03(土) 23:18:19.16 ID:4nPBd23Q0
バットマン「げほっ、げほ……」バシャッ
マシュ「っはあ、はあ……」
ダビデ「あ゛〜……死んでない……」
エウリュアレ「最悪よ。髪がびしょびしょじゃない」ポタポタ
ドレイク「無事かい、水を飲んじゃいないかい」
バットマン「ああ、無事だ……助かった」
ドレイク「礼なら後でたっぷりもらうよ。立ちな、行くよ」
バットマン「……ああ!」
453 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/03/03(土) 23:18:48.75 ID:4nPBd23Q0
黒髭「よーしアステリオス二等水兵! 帆を張れェい!」
アステリオス「……どうやって張るの?」
黒髭「あっ、拙者が張ります……」ゴソゴソ
ドクロの帆「」バサァッ‼
アステリオス「おおー……ワルだ」
黒髭「にししし、ワルでござる。さあ、BBAと肩を並べて戦うZE!! 大砲よーい!」
アステリオス「はい」ゴロゴロ
黒髭「……撃て!」
ドレイク「まだだよ、もう少し……もう少し、待て……」
ボンベ「……」ゴクリ
海賊A「……」ウズウズ
海賊B「……」ジッ
ドレイク「……撃てェーーーー!!」
ボンベ「撃てェ!!」ドドドドォン‼
454 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/03/03(土) 23:19:17.85 ID:4nPBd23Q0
フォルネウス「ぐ……」ドシュシュ、グラグラ……
キラークロック(フン、ざまぁないぜ……もっと喰らってやる)ブチッ、ブチィ
フォルネウス『やめろ! 無益である!』
キラークロック(生憎だな、怪物には言葉が通じねえんだ)ブチッ、ガシッ、ブチチチチチ……
フォルネウス「ぐわあああああああああ!!!」
ドレイク「……畳みかけるよ! 帆を張りな、面舵一杯!」
ボンベ「どうするんで?」
ドレイク「船首の大砲用意! 突っ込むよ!」
ボンベ「ひゃっほう! 流石姐さん!」
帆「」バサァッ‼
バットマン「マシュ、念のため船へ加護を」
マシュ「はいっ! 真名、偽装登録……行きます! 『ロード・カルデアス』!!」ギュォォォォォォォッ
バットマン「全員しっかり掴まれ!」
455 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/03/03(土) 23:20:45.61 ID:4nPBd23Q0
ドガァァァァァァァァァァァァァァ‼
バットマン「うっ……」グラッ
マシュ「マスター!」ガシッ
フォルネウス「うぐ……」グラ、グラァ……
フォルネウス(負けると言うのか!? 全力の魔神が、このような……連中に……!?)
バットマン「……マシュ! 船首へ駆けのぼれ、トドメだ!」
マシュ「はいっ!」
バットマン「『令呪を以て命ずる』! 全ての魔力をマシュの膂力へ変換しろ!」
マシュ「はあああああああああっ!!」ダダッ
456 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/03/03(土) 23:21:16.62 ID:4nPBd23Q0
フォルネウス「馬鹿な。馬鹿な、あってはならない現象である……!」
ドレイク「撃てェー!!!」
黒髭「撃てェい!!」
バットマン「マシュ!」
キラークロック(やれ、小娘)
マシュ「はあああっ……!」シュッ
ドシュッ‼
457 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/03/03(土) 23:22:07.76 ID:4nPBd23Q0
バットマン「……」
ドレイク「……」
黒髭「……」
マシュ「……」スタッ
フォルネウス「……馬鹿な」ドバッシャァァァァァァァァァ……
聖杯「」プカ……
マシュ「……聖杯、確認。回収します」
ボンベ「……やった」
ドレイク「やった」
黒髭「よおっしゃああああああああああああああ!!」
アステリオス「やっ、た!!」
バットマン「……やったか……!」
458 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/03/03(土) 23:22:38.16 ID:4nPBd23Q0
ドクター『お疲れ様、マシュ、ブルースくん! 聖杯の回収を確認、その特異点もじきに修正される!』
バットマン「……」
マシュ「やりました、マスター!」タタッ
バットマン「……ああ、よくやってくれた」
ドレイク「よくやったね、マシュ、ブルース! お疲れさん!」バシッ
バットマン「ああ、そちらも……世話になった」シュウシュウシュウ……
マシュ「ドレイクさん、ありがとうございました。ダビデさんも、エウリュアレさんも……」シュウシュウ……
ドレイク「……なんだいアンタら、身体が……」
バットマン「……長くは留まれない。礼の話は、悪いが……」シュウシュウ……
ドレイク「……なるほどねえ、踏み倒されちまうってワケか。アンタも相当なワルだねえ」
バットマン「……いつか返すさ」フ
459 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/03/03(土) 23:23:34.21 ID:4nPBd23Q0
エウリュアレ「……」チラ
アステリオス「……」フリフリ
エウリュアレ「……ふふっ」クス
バットマン「……そろそろ消えることになる。会えて良かった、ドレイク」
ドレイク「ああ、こっちも会えて良かったよ。アンタみたいな堅物、博物館に飾りたいくらい貴重だけど……まあ、また会えるさ。じゃあねブルース」ギュッ
バットマン「ああ……またな」
ドレイク「ほら、マシュも。アンタ、最初は根性なしの小娘かと思ってたけど、なかなかやるもんだね。会えて良かったよ、若い頃を思い出した」ギュッ
マシュ「わぷ……は、はい。私も、ドレイクさんのように素敵な女性に出会えて良かったです」
ドレイク「そうかい? そりゃあ……」
ドレイク「海賊やってた甲斐があるってもんだよ」ニィッ
ギュォォォォォォォォォォォォッ
460 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/03/03(土) 23:24:05.96 ID:4nPBd23Q0
………………
バットマン「……」ムクリ
マシュ「……」ムクッ
ドクター「!! ブルースくんとマシュが帰還したぞ!」
レオナルド「お疲れ様、二人とも」
所長「……お帰りなさい!」
フォウ「フォウ、フォーウ!!」ピョコピョコ
マシュ「……マスター」
バットマン「……ああ、ただいま」
461 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/03/03(土) 23:24:38.79 ID:4nPBd23Q0
………………
黒髭「ふー、終わった終わった。キラークロック殿、最後にマシュちゃんに会いに行かなくて良かったのでござるか?」
キラークロック「……良い。オレは満足だ」
黒髭「無欲でござるなぁ……ひとなめくらいは許して貰えたと思いますぞ」
キラークロック「食い千切るぞ」
黒髭「ごめんなちい!」
エウリュアレ「……アステリオス!」タッタッ
アステリオス「エウリュアレ……」
エウリュアレ「ようやく終わったわ! まったく、貴方に言いたい事がたくさんあったのよ? 私を置いて行こうとするし、私を放っておいてむさくるしい男達を優先するし……!」
アステリオス「ごめん、なさい。でも、だいじょうぶ。ぼくは、ぼくだよ」
エウリュアレ「……分かってるわよ! もう、これからは絶対に私から離れない事! 私を護るんでしょう?」
アステリオス「うん、これからはいっしょ……」
エウリュアレ「……それなら許してあげるわ!」
アステリオス「あり、がとう」ニコ
462 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/03/03(土) 23:25:09.90 ID:4nPBd23Q0
黒髭「……チェ―ッ、クソ。リア充末永く爆発しろ!」
キラークロック「うるせえぞ」
黒髭「キラークロック殿はモテ男だから拙者の気持ちわかりません〜〜〜〜!!!」
ドレイク「おーい、髭野郎!」
黒髭「はうあっ!?」
ドレイク「悪くない共同戦線だったよ! じゃあね!」
黒髭「ほ、ほああっ!? そ、そんなもんこっちこそ悪くなかったわ! じゃあなBBA! 二度と来るなよ!!」
キラークロック「……」
黒髭「……うぇへへへ、悪くなかったって……」ニマニマ
キラークロック「気色悪い」
黒髭「ひっど!?」
463 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/03/03(土) 23:25:57.60 ID:4nPBd23Q0
エウリュアレ「……ねえ、アステリオス」
アステリオス「うん?」
エウリュアレ「……私も、貴方みたいだったらなって」シュウシュウ……
アステリオス「……えうりゅ、あれは、今のままで、いいよ」シュウシュウ……
エウリュアレ「……そうよ、そうね。貴方も、ね」シュゥゥゥゥゥゥゥ……
アステリオス「う、ん。きっと」シュゥゥゥゥゥゥゥ……
464 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/03/03(土) 23:26:33.02 ID:4nPBd23Q0
………………
ザサァン゙……ザザァン……
ゴポポポポポ……コポポポポ……
メディア(……)
メディア(……私では、及びませんでしたか……)
メディア(……ですが、ブルース。そしてマシュ。貴方達では、あの方には敵わない)
メディア(あの方にとっては、目的の前の障害など、塵にも等しい)
メディア(ああ……どうか、彼らの道が、余計な希望を持たぬものでありますよう……)
ゴポポポ……コポポポポ……
465 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2018/03/03(土) 23:27:05.20 ID:4nPBd23Q0
第三章
封鎖終局四海 オケアノス
生存者 マシュ・キリエライト ブルース・ウェイン
死者 ブーディカ
466 :
◆GmHi5G5d.E
[saga sage]:2018/03/03(土) 23:27:44.91 ID:4nPBd23Q0
今回の更新はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました。
467 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/04(日) 00:28:11.45 ID:yB/UkHano
乙
468 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/04(日) 00:31:41.38 ID:73irc+Jko
乙
469 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/04(日) 00:53:51.98 ID:q1xkKxpHo
乙
相変わらずテンポ良くて読みやすい
次は誰が召喚されるのかね
出来れば一緒にクリア出来ると良いな
470 :
◆GmHi5G5d.E
[saga sage]:2018/03/04(日) 02:01:01.03 ID:k2I85OiD0
・ブルースの年齢を示唆するような描写は時々ありますが、特にそれを本筋へ絡めるつもりはないので読者の皆さんで納得できる年齢として読んで下さい。
・このカルデアでは、サーヴァントは一度消滅すると基本帰って来ません。これまで何の説明もなく申し訳なかったです。
・イアソンは好きです。
471 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/04(日) 02:51:38.77 ID:DNqFfewYo
乙乙
毎度熱い展開で引き込まれる
472 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/04(日) 16:06:39.21 ID:LRy33z1Do
>>469
次はダビデ
清姫もブーディカもFGOでの章クリア記念の報酬として配布される鯖で、3章クリア報酬がダビデだから確定してる
473 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/04(日) 16:21:59.34 ID:yLLg45H7o
そうなんだ
あんまり強くなさそうだが次は乗り越えられるのか
474 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/05(月) 07:38:08.07 ID:wBarX0jD0
>>473
原作だと汎用性の化け物なんだよな……このイスラエル王
475 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/05(月) 09:30:40.02 ID:kTDRBUlCO
ダビデ育ててると育ってないとで難易度変わる場面がちょくちょくあるからね
まぁ弓☆3が魔境過ぎるのもあるけど、全員強いどころか下位互換すら居ないって割とおかしいレベルでバランス取れてる
476 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/06(火) 14:51:40.40 ID:x8lzu1Gto
いよいよ次回はロンドン。ジャックザリッパー
切り裂きジャックとバットマンといえばやっぱりゴッサム・バイ・ガスライトだな
477 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/07(水) 11:40:40.96 ID:w5SStLIRO
まとめから来て一気に読んだ、次回も期待してます
478 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/07(水) 22:41:05.92 ID:6odfkc8I0
ブルース「……」
マシュ「……」
ブルース「…………」
マシュ「…………」
ブルース「………………」
マシュ「………………」
所長「あの……廊下で何やってるの?」
479 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/07(水) 22:41:49.56 ID:6odfkc8I0
ブルース「オルガマリー所長か。……いや、イメージトレーニングの特訓だ」
所長「イメージトレーニング?」
ブルース「そうだ。自分と相手の行動を計算し尽くし、現実的空想空間において敵を打ち倒す。……まあ、言うなれば戦う前のリハーサルのようなものだ」
所長「はあ……?」
マシュ「……」ムムム
ブルース「それが一瞬で出来るようになれば、戦闘においてはかなり有利。マシュにはそれを会得してもらう必要がある……これからの戦いの為にも」
マシュ「……」ムムムム……
ブルース「マシュ、蹴りを繰り出した後の動きに隙が多い。盾は取りに戻るな」
マシュ「はい。……え? なんで私の考えてる事が分かったんですか?」
ブルース「……」
所長「相変わらずよく分からない事をやってるわね……ほどほどにしてよ」スタスタ
480 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/07(水) 22:42:42.78 ID:6odfkc8I0
マシュ「……」タラ……
ブルース「……集中力が落ちてきているぞ、マシュ。疲労が溜まって来たか?」
マシュ「っ……少しだけ」
ブルース「休みを入れよう。脳が疲れを感じたら、それは感覚以上に酷使している証拠だ」
マシュ「はふっ……分かりました」
ブルース「確か、レオナルドが紅茶と茶菓子の再現に成功していたハズだ。良い休憩になるだろう、行ってくると良い」
マシュ「はいっ。……あの、マスターは?」
ブルース「私は……いや、私も行こう」スクッ
481 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/07(水) 22:43:23.81 ID:6odfkc8I0
………………
レオナルド「おっ、工房へいらっしゃい。二人一緒とは珍しい……いや、最近はそうでもないかな?」
ブルース「紅茶の茶葉をもらえないか? 休憩を入れたい」
レオナルド「良いね〜、私もそろそろ休もうと思ってたんだ。ちょっと待ってくれ……おーい、ロマニ」ピッピッ
内線「」ピピピッ、ピピピッ……ガチャッ
ドクター『もしもし? レオナルドか? 今忙しいんだ、お遊びの連絡ならまた今度に……』
レオナルド「おやおやぁ? なら私、マシュ、ブルースだけでティータイムを楽しむとしようか」
ドクター『残念だがそう……なに? 今なんて?』
レオナルド「いやぁ〜実に残念! 皆で紅茶を飲んでワイワイ過ごそうと思ったんだが! キミが忙しいなら無理強いは……」
ドクター『……いやいやいや!! 待て、今ちょうどキリの良いところまで終わったぞう! ははは、皆でそちらへ行けそうだ!』
所長『ちょっとロマニ? 全然終わってないじゃないの!?』
ドクター『所長……! お願いです! ここまでの記録はつけてますから! ちょっと休むだけですから!』
所長『アンタねえ……!』
レオナルド「ははは、期待せずに待ってるよ。それじゃあね」ガチャッ
482 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/07(水) 22:44:09.13 ID:6odfkc8I0
………………
レオナルド「……」ニコニコ
ドクター「……」ダラダラ
所長「……」ギロッ
職員A「……」フム
職員B「……」オドオド
職員C「……」ポケッ
483 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/07(水) 22:44:40.67 ID:6odfkc8I0
給湯器「」ピィィィィー……
ブルース「……」コポポポポ……
マシュ「……」カチャカチャ
茶菓子「」ズラッ
ブルース「……」カチャ
カップ「」コトリ
ブルース「……」チョポポポポポ……
紅茶「」ホワァ……
ブルース「……」
ブルース(アルフレッドほど上手くは注げないか)
マシュ「……」カチャカチャ
ミルク「」コトリ
ブルース「砂糖は……」
マシュ「右上の引き出しから二つ隣です」
ブルース「ありがとう」ゴソ
484 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/07(水) 22:45:34.09 ID:6odfkc8I0
マシュ「はい、お待たせしました。紅茶と茶菓子です」カチャカチャ
職員B「うわあ〜、香りとか本当に紅茶ですね。魔術で再現されたなんて信じられないです!」
レオナルド「フフン、そうだろうそうだろう。まあ天才だからね、私。できない事とか滅多に無いし」
ドクター「……美味しいぞ、コレ……美味しいぞコレ!」ズズ
ブルース「私も失礼しよう……」スッ
職員A「お菓子も程よい甘さで……再現率が高いですね」サクサク
レオナルド「勿論ほぼ完ぺきさ。こだわったからね」
職員C「これうめえ……あっ、これもうめえ」モシャモシャ
レオナルド「ははは、ゆっくり食べたまえ。また余裕が出来たら作ってみるよ」カチャ
マシュ「……あまくて、おいしい……」トローン
485 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/07(水) 22:46:17.26 ID:6odfkc8I0
ブルース「……」カチャリ、チラッ
所長「……」ジッ
ブルース(……?)
ブルース「飲まないのか、所長」
所長「……え? 私? あ、私は、その、あの……」チラッ
マシュ「……?」
所長「……いえ、私はやっぱり結構よ。失礼するわね」スッ、スタスタ
ブルース「……」
マシュ「……どうしたんでしょうか」
ブルース「……」
486 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/07(水) 22:46:54.08 ID:6odfkc8I0
レオナルド「? どうしたんだ、二人共。ティータイムだぜ、飲んで食べて大騒ぎしろよ」
ブルース「……すまない、私も失礼する。素晴らしい紅茶だった」スッ
マシュ「あ、ま、マスター」
ブルース「マシュ、ここに残っていろ。まだ休憩は必要だ。レオナルド、紅茶と茶菓子に礼を言う」
レオナルド「いや、いいけど……どうしたんだ」
ドクター「ブルースくん?」
職員達「「「?」」」
ブルース「……少し、調べなければならない事があったのを思い出しただけだ」スタスタ
487 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/07(水) 22:47:21.19 ID:6odfkc8I0
ブルース「……」ピッピッ
コンピューター『ハッキング進捗率:89%』
ブルース「……」
ブルース(今夜にでもカルデアへのハッキングは完了する。データ最深部へアクセスし、所員達の弱点を見つけ出す……)
ブルース「……」
ブルース(……信用と保険は別物に考えるべきだ。ここには怪しい要素が多すぎる……先程の所長の、あの態度)
ブルース(マシュを見る目は怯えたものだった。だがマシュにその自覚は無さそうに見える……オルガマリー所長は、何かを隠しているか、それとも負い目を感じているのか。アレは自分の罪に怯える目だ)
ブルース(それがカルデアの根幹に関わるものならば、今夜絶対に明らかにする。……場合によっては……)
ブルース「……」ピッピッ
ブルース(……場合によっては、所長を……)
488 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/07(水) 22:47:50.29 ID:6odfkc8I0
………………
所長「……」コツ、コツ
自動ドア「」ウィー……
所長「……」コツン……コツン……
蒼い球体「」ポゥン……ポゥン……
所長「……」ピトッ
所長「……」プルプル
バットマン「オルガマリー所長」
所長「……」ピクッ
489 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/07(水) 22:48:17.44 ID:6odfkc8I0
バットマン「……こんな夜中に、地下へ降りて何をしている」
所長「……」
バットマン「……カルデアの施設を案内された時には、こんな部屋は紹介されなかったと思うが。秘匿の必要があるのか?」
所長「……」
バットマン「……どうなんだ、所長。この秘密を暴かれる事が、お前にとってそれほどの恐怖なのか」
所長「……ええ、そうね。恐ろしい。怖いわ」プルプル……
バットマン「……それは……」
バットマン「それは、自分達が造りだした『マシュ』という人間が、自分達に復讐するかもしれないという恐怖か?」
490 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/07(水) 22:52:06.61 ID:6odfkc8I0
バットマン「2000年。初代所長『マリスビリー・アニムスフィア』による計画……
『英霊を人間に』。このコンセプトの元、最適な身体で造りだされた赤子に英霊を融合させる実験が続いていた」
所長「……」
バットマン「この赤子はデザインベビーと呼ばれ、寿命は長くとも30歳ほど……だが、この実験の唯一の成功例であるマシュの場合は、更に短い。英霊との融合実験段階で、その寿命は更に十年ほど縮んだ」
所長「……」
バットマン「2000年、マシュに英霊が憑依……彼女に憑依した英霊の真名は不明。だが誇り高い英霊だろう。この施設の非人道的なやり方に怒り、協力を拒否。今はマシュの中で眠っている」
所長「……」
バットマン「これらは全てカルデアのデータベース最深部に収められていた。これは本当か? 全て、真実なのか?」
所長「……」グッ、プルプル……
所長「……ええ、本当よ」
491 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/07(水) 22:52:52.37 ID:6odfkc8I0
バットマン「……」
所長「全て事実よ。父はそういう男だったの。裏で非人道的な実験を繰り返し、悪びれない男だった。私はそういう男の、実の娘なのよ。私の事、軽蔑した? 怒ってる? ……信用できなくなったわよね。どうする? ここからつまみ出す?」
バットマン「……勝手に話を進めるな。お前の事は信頼しているし、敬意を持っている。お前の優しさと誇りは知っている」
所長「……なら、どうするっていうのよ」
バットマン「マシュを恐れる必要はない。そう伝えに来た」
所長「……」
バットマン「彼女は純粋だ。憎しみを抱いて育ったなら、ああはならない。彼女はお前の事も信頼している……それは分かっているだろう」
所長「……っ……」
492 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/07(水) 22:53:26.90 ID:6odfkc8I0
所長「……のよ……」
バットマン「……」
所長「怖いのよっ、たまらなく怖いの!! あの子の目を覗き込むのが怖いの! 父が犯した罪が、私に降りかかってくるのが怖い!」
バットマン「……」
所長「あの子がいつか私を殺しに来るって……運んできてくれたお茶だって飲めない、一緒に話だってできるわけがないっ!! だって、だって、殺されるから! 父がたくさんの赤子を殺して来たのと同じように、私も!!」
バットマン「オルガマリー所長」
所長「私は結局……」
バットマン「所長!」
所長「っ……」ビクッ
493 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/07(水) 22:54:18.73 ID:6odfkc8I0
バットマン「……恐怖に飲まれるな」
所長「ごめん、なさい……」
バットマン「……謝る必要は無い。だが、恐怖と戦う事を諦めるな。父親の行いが間違いでも、自分は正しい行いを選択できるはずだ」
所長「……」
バットマン「選択に自信が無い時は、頼れ。共に考える事ができるだろう。正しい決断が下せなくても、責任は共に負えるだろう。ただ……ひとりで悩むのは無しだと、自分で言っていたぞ、所長」
所長「っ……」
バットマン「たとえ恐怖を理解する事が不可能でも、歩み寄る事は可能なハズだ。手を伸ばせ、オルガマリー所長」
所長「……」
494 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/07(水) 22:54:49.74 ID:6odfkc8I0
所長「……なんで」
バットマン「……」
所長「なんでそこまで、言ってくれるの」
バットマン「……私に勇気を思い出させてくれたのは、所長。お前達だ。なら、今度は私も手を伸ばす」
所長「勇気……」
バットマン「そうだ……敬意を持っているというのは、本当だ。私はお前を尊敬している」
所長「……そう。貴方、嘘をつかなくなったのね……」
バットマン「……誰かに言われてな」
所長「……分かったわ」
495 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/07(水) 22:55:49.19 ID:6odfkc8I0
所長「けど、いきなりは無理。怖いもの」
バットマン「分かっている。だからこそ、少しずつ、慣れていってほしい。きっとマシュも、それを望んでいる」
所長「きっと……か」
バットマン「……? 何だ」
所長「いいえ」
所長(……マシュには、心を開いてるのね)
バットマン「……さあ、戻るぞ。もう真夜中だ」
所長「ねえ、ブルース」
バットマン「どうした」
所長「……いいえ、何でもないわ」
所長(私も……欲張っても、いいのかしらね)
496 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/07(水) 22:56:16.06 ID:6odfkc8I0
………………
マシュ「……」ムムムム……
ブルース「マインドセットだ、マシュ。精神を慣れさせろ」
マシュ「……」ムムム……
ブルース「……」
マシュ「……」ムム……
ブルース「……少し休憩にするか。これは難しい訓練だ、一気にやってもあまり効果は無い」
マシュ「っふぅ……これ、かなり……体力を使いますね」
ブルース「よくやっている方だ。……確か、この前の紅茶がまだ残っていたな……」カチャカチャ
コツ、コツ……
所長「……あ」
マシュ「あっ、オルガマリー所長」
ブルース「……」
497 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/07(水) 22:56:46.70 ID:6odfkc8I0
………………
マシュ「……はい、どうぞ所長。紅茶です」コトッ
所長「あっ、ありがとう……」ビクビク
所長(これは無害これは無害これは無害……)プルプル
マシュ「……?????」
498 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/07(水) 22:57:14.42 ID:6odfkc8I0
ブルース「……」バシッ
所長「え?」
マシュ「え?」
ブルース「……」ズズッ……
ブルース「……」コトッ
マシュ「あ、あの、それ所長の紅茶のつもりだったんですが……いえ、注ぎ直しますけど」コポポポポ……
ブルース「……そうだったのか。すまない、気付かなかった」スッ
所長「え、ええ……?」パシ
所長(ちょっと!? ブルース!?)ヒソヒソ
ブルース「……」サラサラサラ……ペラッ
紙『大丈夫だ。お前も飲める』
所長「え……?」
所長(ま、まさか毒味のつもりで……?)
499 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/07(水) 22:57:40.72 ID:6odfkc8I0
マシュ「はい、所長……あれ? マスター?」スッ
ブルース「ありがとう」パシ
マシュ「え、ええ。良いんですけど……え?」
ブルース「……私が紅茶を注ごう。座ってくれ、マシュ」
マシュ「はい……え? 今日、何かおかしくないですか?」
ブルース「脳を酷使した直後は違和感を覚えるものだ。休ませろ」
所長「……」チラッ
紙『大丈夫だ。お前も飲める』
所長「……」ゴクリ
所長(だ、大丈夫よね。ひ、ひとくちだけなら……)
所長「……」ズズ
所長「……あっ、美味しい」ズズ、ゴク
500 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/07(水) 22:58:23.92 ID:6odfkc8I0
ブルース「……」チラ
所長「……」モグモグ、ゴクゴク
ブルース「……」フッ
マシュ「……??????」
マシュ(何かおかしい……何かが決定的におかしいですよ……?)
所長(っていうかこれ間接キスじゃないの?)ピクッ
所長「ぶっふぅはぁ!?」ビシャーッ
ブルース「!?」
マシュ「!?」
501 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/07(水) 22:58:51.34 ID:6odfkc8I0
その後。
マシュへの態度は普通になったが、ブルースに対してはしばらく挙動不審になった所長だった。
502 :
◆GmHi5G5d.E
[saga sage]:2018/03/07(水) 22:59:48.52 ID:6odfkc8I0
今回の更新はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました
503 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/07(水) 23:09:01.49 ID:G+ziA+3To
乙
504 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/07(水) 23:23:45.21 ID:wKAg8uGIo
乙
無自覚でもプレイボーイ
505 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/08(木) 00:30:51.53 ID:QdYhjTWSo
乙乙
506 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/08(木) 11:52:11.23 ID:PQLUUKj90
乙だで
507 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/08(木) 19:48:14.41 ID:ew7FmIBDO
ウブなネンネじゃあるめぇしww
508 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 01:52:02.63 ID:z9IWeJy60
踏み込みが床を砕く。私は身体を捻り、豪速で迫る拳を躱す。
「動きが甘いぞ」
敵は直前の重い動作からは想像もできないような軽やかなステップで軸をずらし、反撃を封じるチョップを繰り出す。私は盾でそれを防ぎ、何とかスピードを見極める。
(必然的対応をさせる)
その動きから学ぶべき事は多い。既に彼はマントを翻し、こちらの視界を潰している。
五感を駆使。私は盾を構えつつ、裏でカウンターの拳を構える。だがいつまで経っても攻撃が来ない。
後方、質量が空気を裂く音。裏拳でバットラングを弾く……爆発。爆破ジェル塗布済み。爆風に体幹が揺らいだその瞬間、足払いが足元を刈った。
「きゃっ……」
完全にバランスを崩したところへ、強烈な背負い投げが……
「……しゅ……マシュ」
「反撃を……反撃を……え? あれ?」
509 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 01:52:40.56 ID:z9IWeJy60
マシュ「あれ? ここは? すごく強くてズルいマスターは……?」
ブルース「……ズルではない。常に打てる手を打っているだけだ。
その様子から察するに、どうやら想像の世界へ入り込んでいたようだな」
マシュ「想像……あ、そうでした。イメージトレーニングしてたんでした」
ブルース「……良いかマシュ、想像が自分の世界を侵食する事はままある。だが、この場合はその限度を定めるべきだ」
マシュ「限度……ですか?」
ブルース「そうだ。マシュ、お前はよくやっている。常人より遥かに飲み込みが早い。だからこそ、その弊害がある」
510 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 01:53:07.33 ID:z9IWeJy60
ブルース「想像で現実が見えなくなってはならない。逆もまた然りだ。適度な集中、そして自己を分析する計算。戦いの中では不可欠だ」
マシュ「う……」
ブルース「……立ってみろ、マシュ」スッ
マシュ「は、はい」スクッ
ブルース「……良いか、大事なのは原因と結果であり……」
511 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 01:53:37.48 ID:z9IWeJy60
ブルース「たとえば……拳をこちらへ打ち込め」
マシュ「はい……え?」
ブルース「打ち込め。対処する」
マシュ「で、でも……」
ブルース「……では、軽く、ゆっくりと拳を突き出せ」
マシュ「は、はいっ。えい」ソォーッ
ブルース「……この時点で、反撃の方法は数パターンある。人間である私は、おそらくテコの原理で投げ飛ばすのが一番だろう。
では投げられた時、マシュ。お前はどうする?」
マシュ「え、えーっと……受け身ですか?」
ブルース「……気を遣うな。もっと攻撃的で良い」
マシュ「手を掴み返して勢いで倒れ込んで腕ひしぎに……」
ブルース「そうだ。思考のパターンを作れ。攻撃する時は攻撃の『結果』を、防御する時は防御の『結果』を想像しろ。惰性で考えていては理想の戦場は作れない」
512 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 01:54:07.52 ID:z9IWeJy60
マシュ「……」
ブルース「……考えろ。お前は今、どうしたいのか。どうしたらその結果へ持って行けるのか。そのために打てる手はなんだ」
マシュ「……」
ブルース「……そのためのイメージトレーニングだ。想像とは、自分が持ち得るもうひとつの世界だ。世界の理想に合わせるな。世界を理想に合わせろ」
マシュ「……よし、やってみます!」
ブルース「その意気だ。……よし、組手といこう」
マシュ「はい! ……え?」
ブルース「組手だ。戦いながら結果を想像しろ」
マシュ「え? え? 無理です無理!!」
ブルース「……無理と断じるのは、一度やってみてからだ。いくぞ」
513 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 01:54:35.21 ID:z9IWeJy60
………………
マシュ「……」
ブルース「……」
所長「……言い訳があるなら、今の内に聴いておくけど……!」プルプル
ブルース「……少し、戦闘訓練に熱が入り過ぎた」
所長「少し。少しね。へえ、少し熱が入り過ぎたと」
ブルース「……」
所長「じゃあアンタ達は、少し熱が入っただけで壁のパイプを何本も叩き折ったり!」
パイプ「」ボロッ
所長「シミュレーション装置を叩き壊したりするワケね!」
装置「」ボロボロ
所長「見なさい! パイプなんて蒸気が噴き出しっぱなしじゃないの! これもう!?」
レオナルド「あっ、良ければ私が直す……」
所長「黙ってなさい、今叱ってるでしょう!!」グワァッ
レオナルド「はい」
ドクター「ま、まあまあ。そんなに怒らなくても……」
所長「」ギロッ
ドクター「と思ってたけど気のせいでした、存分に叱ってやって下さい」
514 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 01:55:02.66 ID:z9IWeJy60
………………
所長「だいたいアンタ達はねえ……」ガミガミ
ブルース「……」
マシュ(あ、脚が痺れてきました……)ピクピク
ドクター(なんで僕まで……なんで僕まで)
レオナルド「なんで私まで……」
所長「黙って聞く!!! アンタもねえ!!」
レオナルド「はい」
レオナルド(うーん藪蛇。口を挟んだら説教が長くなるタイプだコレ)
所長「マシュ! アンタも……」
マシュ「は、はいっ!!」ビクゥッ
ブルース「……」
ブルース(……よし、マシュにも話しかけられているな。態度は普通になったようだ)
515 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 01:55:39.64 ID:z9IWeJy60
………………
所長「……であるからして……!!」ガミガミ
職員C「あ、あのー……」
所長「何よ」キッ
職員C「ヒッ……いえ、あの、晩御飯できたって知らせに来ました」
所長「あ、え? もうそんな時間?」チラッ
時計『19:00』
マシュ「……四時間みっちり、お説教でした……」グッタリ
ドクター「ごめん、正座のせいで足の感覚ないから立てない……」プルプル
ブルース「……膝に悪いな、この姿勢は……」スクッ
レオナルド「私なんて、『パイプから漏れる蒸気のせいで部屋が霧掛かってきたから』って、パイプの修理しながら説教聞かされたんだぜ? 気持ちはカオスのど真ん中さ」
所長「……続きはご飯の後で。良いわね?」
マシュ「まだやる気なんですね……」
516 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 01:56:07.32 ID:z9IWeJy60
………………
ブルース「……」
レオナルド「豆のスープも悪くないな、これ」モグモグ
ドクター「美味しいなぁ……みんなと何か食べてる時ほど幸せって思える瞬間はないよ」
マシュ「分かります……」
職員A「ですね。脳が休まります」
職員B「あ、わ、私もです……」
職員C「うめぇ……あったけえ……」
所長「……まあ、気持ちは分からない事も……」
ブルース「……」
ブルース(豆のスープか……アルフレッドが病気で動けない時は、こういう慣れない料理をしたものだった……)
ブルース「……ああ、いい味だ」
517 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 01:56:46.06 ID:z9IWeJy60
ピーンポーンパーンポーン……
スピーカー『特異点、特定完了。特異点、特定完了。所長、職員は結果の確認をしてください』
ドクター「ん“ん”っ、もう!? うちは職員のみならずAIも優秀だな……」
レオナルド「ん、AIの自動進行機能か。よし、丁度食べ終わったし確認に行こう!」
ドクター「ちょっと待って……ブルースくん、マシュ。召喚システムを試してくれ、きっと十分な量の電力が確保されているはずだ。僕たちはその間に協議を進める!」
ブルース「了解した」
マシュ「はい」
ドクター「うん、よし。それじゃあ行こう!」スクッ
レオナルド「よしよし、AIが出した結果の答え合わせもしてやらなきゃあな!」スタスタ
518 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 01:57:16.72 ID:z9IWeJy60
………………
ブルース「……食べたか、マシュ」
マシュ「は、はい。ごちそうさまでした」カチャ
ブルース「行くか。……召喚がうまくいけばいいが」
マシュ「大丈夫です。何があっても守ります」フンス
ブルース「頼りにしている」スタスタ
マシュ「えへへ……あっ、待って下さい」タッタッ
519 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 01:57:45.12 ID:z9IWeJy60
………………
バチバチバチバチ……ギュォォォォォォォオォォォッ
カッ‼
???「……ふー、やれやれ。海が終わったと思ったら今度はよく分からない施設か……おっと、そこに居るのは」
ブルース「ダビデ……お前か」
ダビデ「ブルースにマシュか。キミたちに召喚されるとは……奇妙な縁もあったものだね。けど、悪くないな」
マシュ「ダビデさん! お久しぶりです」
ダビデ「やあマシュ。キミがお望みとあらばいつでも竪琴を奏でよう……羊飼い、ダビデ。僕はやるよ。かなりやる」
520 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 01:58:11.12 ID:z9IWeJy60
ブルース「……すまないが」
ダビデ「なんだ? 遠慮なく言ってくれ」
ブルース「戦闘能力はあるのか?」
ダビデ「ホントに遠慮なく訊くなぁ、キミは!」
ブルース「……」
ダビデ「この前の特異点では『櫃』に力を奪われていただけさ! 単独で召喚された今、僕はあの時の数倍は強いと思ってくれていい! その辺の石ころを投げても砲撃レベルさ!」
ブルース「成程。期待しておこう」
ダビデ「乞うご期待だ。きっとキミも目を剥くぞ」
521 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 01:58:39.22 ID:z9IWeJy60
………………
ウィーン
ブルース「入るぞ」スタスタ
ドクター「やあ、ブルースくん。召喚は無事に終わったよう……だね……?」
ダビデ「やあ、どうもどうも」ヒラヒラ
ドクター「……ブルースくん、よりによってそいつを召喚しちゃったのか。前回の特異点で全く活躍してなかったじゃないか!」
ブルース「? ああ、そうだな……だがサーヴァントだ」
ダビデ「おいおいおい! なんだキミは、失礼な奴だな!? 出会って五秒で役立たず呼ばわりか!?」
ドクター「おあいにく様、僕はソロモン王のファンだけどダビデ王は嫌いなんだ!」
ダビデ「なんだって? あのろくでなしのファンとは、さてはキミは……」
ドクター「あっ……」
ダビデ「……キミもろくでなしだな?」
ドクター「ダビデ王よりマシだー! 生娘を毎晩侍らせるってどういう神経してるんだい!?」
ダビデ「モテない男のひがみか! そうなんだろ! 安心しろ、手は出してないぞ! 出さなくてもよりどりみどりだったし!」
所長「……なんなのコイツら」
レオナルド「さっさと話を進めよう。馬鹿二人は置いておいて」
522 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 01:59:09.55 ID:z9IWeJy60
所長「はい、静かに。今回のレイシフトの説明を行います」
ドクター「ふん……なんでダビデ王なんか召喚しちゃったんだ」ブツブツ
ブルース「……そこまで嫌いだったとは知らなかった。すまない」
ドクター「……」
ブルース「……?」
ブルース(ここまで気が立っているドクターも珍しいな……よほどダビデが嫌いなのか。異性が周囲に多く居ても、良い事など無いというのに……)
ブルース(……それにしても、ソロモン王のファンか。この事件の真相が、いつか全て明らかにされた時……ショックで倒れなければ良いが)
所長「今回特定された時代は……」
523 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 01:59:58.13 ID:z9IWeJy60
所長「時代は十九世紀後半。場所は産業革命真っ只中のロンドンです。相手の狙いは明らか、産業革命を阻止して我々の技術レベルを致命的に遅らせる……」
ブルース「決めつけるには尚早だが」
所長「ぐ……まあ、そうね。実際に赴いて真相を確かめてもらうのは、ブルース。貴方達レイシフト要員に任せます」
ブルース「……ああ」
所長「ロマニ! マシュとブルースの健康状態はどう?」
ドクター「……あっ、はい! 二人とも健康状態は良好です!」
所長「なら良いわ。レイシフト要員は解散とします、しっかり休んで明日のレイシフトに備えて。
次、サポート班! 明日の動きを確認するわよ!」
ブルース「……」スクッ
マシュ「あ、待って下さい」スクッ
ダビデ「あっちょっと待ちなって、僕も行くぞ」
ドクター「……」ムスーッ……
524 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/17(土) 02:00:27.83 ID:z9IWeJy60
レオナルド「……なあ、ロマニ。嫌うのも分かるけど」
ドクター「分からないだろ」
レオナルド「……分からないけど、落ち着けよ」
ドクター「……」
レオナルド「……マシュもブルースもびっくりしてたぜ」
ドクター「………………
……はあ、だよなあ。気を付けないと……」ガシガシ
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