他の閲覧方法【
専用ブラウザ
ガラケー版リーダー
スマホ版リーダー
BBS2ch
DAT
】
↓
VIP Service
SS速報VIP
更新
検索
全部
最新50
バットマン「グランド……オーダー?」 マシュ「その2です」
Check
Tweet
199 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:09:58.97 ID:UH/q//8r0
………………
ドレイク「休むんじゃないよ、さっさと運べェ!」
海賊A「あいあいさー……重いなあチクショー」ズシズシ
海賊B「釘くれー、釘」コンコン、コンコン
海賊C「げっ、船尾もひでえぞコレ。おーい、木ィもっと切り出せって」
バットマン「……船はもう少し軽量化した方が良い。ここと、ここの……船室を削る」
ドレイク「でもねえ……それしちまうと、野郎どもの寝る所が無くなっちまうからねえ」
バットマン「なら、ここの大砲を船首に移動させて……」
ドレイク「へえ、船首に。面白いねえ……良し、なら船尾と船首にそれぞれ大砲をつけるってのはどうだい?」
バットマン「悪くない。それなら少しウェイトを削れる」
ドレイク「決まりだね!」
200 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:10:24.61 ID:UH/q//8r0
ブーディカ「はいはい、切った木はアタシが運ぶよー」
海賊D「ええ〜? 流石のブーディカ姉さんでも無理っしょ!」
海賊E「そうそう、男の俺らが頑張るって!」
ブーディカ「あははは、平気平気」ガシッ、グォンッ
海賊D「……へっ!?」
海賊E「き、木を一本丸々……!」
ブーディカ「軽い軽い!」スタスタ
201 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:11:02.15 ID:UH/q//8r0
バットマン「黒髭の船は恐らくこちらを追跡してくるだろう。海上で接舷させてはならない」
ドレイク「……でも、こっちにもそこそこの戦力が集まって来たんじゃないかい? ほら、この小僧と小娘が居るだろ?」
エウリュアレ「失礼ね! 誰が小娘よ、この牛女!」
アステリオス「うし……ぼくは、おとこだよ?」
エウリュアレ「アステリオスには言ってないわよ!」
ドレイク「あーあー、悪かった悪かった。レディとボーイが居るけど、それでも負けると踏んでるのかい?」
バットマン「……万全を期した時、正面からの戦いだと勝率が少し低い。
あの時、レーダーで確認できただけでも、あちらの船にはキラークロック含め『5人』のサーヴァントが居る。できれば大砲でサーヴァントを一騎倒したい」
通信機『』ピピー‼ ピピー‼
バットマン「……すまない、少し離れる。戻って来たら続きを話そう」スタスタ
202 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:11:43.52 ID:UH/q//8r0
バットマン「もしもし、ドクター。何かあったのか」
ドクター『ブルースくんッ、大変だ! マシュが……』ブツッ
???『もしも〜し? 拙者、マシュのカレシなんですけどぉ〜〜〜wwwww ちわーっす、聞こえてますゥ?』
バットマン「誰だ」
???『おおぅ、怒らないでくれよ。俺は海賊、黒髭だ。アンタがマシュちゃんのマスターって事でいい?』
バットマン「マシュはどうした。何をした」
黒髭『だーいじょうぶだって、今のところはな。だからそんな怖え声出すなよ、ビビっちまうぜ。……なあ、大事なマシュちゃん、返してほしいよなあ?』
バットマン「……」
黒髭『今から指定する座標に来てちょ。あ、下手な抵抗や攻撃があったら、このコ容赦なく殺すからそのつもりで。メモ取る用意できてるぅ? それじゃ言いますよ〜ん』
203 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:12:09.51 ID:UH/q//8r0
………………
バットマン「……」スタスタ
ドレイク「お、帰って来た。おう、それじゃ続きを……」
バットマン「……作戦を変更する」
ドレイク「は?」
バットマン「黒髭に人質を取られた。作戦を変更し、救出作戦を立てる」
ドレイク「はあ? ちょっと待て、どういう……」
バットマン「とにかく作戦を変更する。絶対に見捨てるわけにはいかない人員だ」
ドレイク「……はー、はいはい。まあ、こっちも船員を助けられた借りがあるからねえ……」
バットマン「今晩には出航する。準備を急がせてくれ」
ドレイク「はいはい、今晩ね。……今晩だってえ!?」
204 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:12:36.03 ID:UH/q//8r0
………………
バットマン「ドクター。マシュは無事なのか」
ドクター『大丈夫だ、今も観測している。ひどい待遇は受けていないよ』
バットマン「状態は。怪我はないか」
ドクター『大丈夫、むしろ好待遇と言っても良い。あちらの……キラークロック? さんが、船長を脅してそうさせてるみたいだ』
バットマン「……海賊の船だ。何があってもおかしくはない」
ドクター『……ブルース、大丈夫だ。彼女だってタフだし、覚悟をしてレイシフトしている。何かあったら必ず連絡を入れる』
バットマン「彼女が死ねば……それは、私のミスだ」ググッ、プル……
ドクター『……』
205 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:13:07.26 ID:UH/q//8r0
バットマン(……私のミスだ、だと? 笑わせる。何もかも私のせいだ。マシュを傷付け、遠ざけ、殺そうとしているのは……結局は、私ではないか)
バットマン(……私の、大切な者になったから、マシュは……)
バットマン(昔からそうだった。私は何ひとつ変わらない。雨が降りしきる闇の中、両親を見殺しにしたあの頃から、なにひとつ……)
ドクター『……ブルース。これは躊躇っていたが、言わせてもらう。前の……キミを救出した特異点で何があったのか、マシュから聞いた』
バットマン「……」
206 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:13:37.99 ID:UH/q//8r0
ドクター『キミの気持ちは分からない。絶対に分からない。ご両親を殺されて、どれだけショックなのかも分からない。キミが人間の善い側面を……可能性を信じなくなってしまったのも、理解はできたって分かる訳もない』
バットマン「……」
ドクター『だけど……でも、これだけは言わせてもらうぞ、ブルース! キミがどれだけ疑っていようと、キミは紛れもない善人だ! 善人で、変人だ! そうでなきゃ、猫の仮装をして世界を救おうとしたり、人を遠ざけておきながら馬鹿みたいに心配したりするもんか!』
バットマン「……違う、私は……」
ドクター『違わない! キミは僕たちが信じるブルース・ウェインで、キミが疑うブルース・ウェインだ! 慎重で、計算高くて、人の気持ちが分からない馬鹿で、でもどんな時だって絶対にあきらめない男だ! だから……』
バットマン「……」
ドクター『……だから、自分だけの責任なんて、言わないでくれ。僕たちは、何があっても仲間だろう』
バットマン「……」
207 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:14:12.77 ID:UH/q//8r0
バットマン「……」
バットマン(……信じる事が怖くなったのは、いつからだったか……)
バットマン「……」
バットマン「……」
バットマン「……ドクター」
ドクター『……ああ』
バットマン「ありがとう」
ドクター『……ああ!』
208 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:14:47.04 ID:UH/q//8r0
………………
ザザァン……ザザァン……
ドレイク「風がきつくなってきたねえ……帆を畳みな! 漕ぐよ!」
海賊A「へええええ〜〜〜っ!? でも姐御ォ……」
ドレイク「なんだい?」
海賊B「疲れますぜ、手で漕ぐのは〜」
ドレイク「ぐちゃぐちゃ言うんじゃないよっ、アンタらのために命懸けようとしてた男の一大事なんだよ! 海賊にも矜持ってモンがあるだろ!」グワッ
海賊C「ひええっ、怒らせちゃまずいって。行こうぜ」
バットマン「……」
ドレイク「あん? 何だい」
バットマン「いや……」
209 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:15:18.52 ID:UH/q//8r0
バットマン「私は今まで、海賊というものを少し……誤解していたかもしれないと思ってな」
ドレイク「誤解ィ? どんな風に?」
バットマン「もっと……何も考えず、破壊活動にいそしむ連中かと思っていた。何にも構わず、突っ込んで行くような奴等かと」
ドレイク「ハッ、間違っちゃいないよ。向かう先が破滅でも、お宝があったら突撃するのがアタシら海賊さ」
バットマン「……人生の意味を、考えた事はないのか」
ドレイク「カーッ、辛気臭くて嫌になるね。人生の意味なんて後付けで結構。あとで見返して、自分なりに満足できりゃあそれで良いのさ。ただ、通す筋は通させてもらう。それだけだよ」
バットマン「……」
210 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:15:59.73 ID:UH/q//8r0
ドレイク「……そういうアンタはどうなのさ。人生の意味をグチグチ考える男かい?」
バットマン「どうだろうな。……考えては来たが、見つからない」
ドレイク「ふーん。ま、そんなモンだろうよ。猫のカッコしてうろついてんだし」
バットマン「これはコウモリだ」
ドレイク「はあ? それがかい?」
バットマン「猫は空を飛ばない」
ドレイク「飛ぶ猫も居るよ」
バットマン「それは……今後に期待しておこう」
211 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:16:28.19 ID:UH/q//8r0
バットマン「……少し、飲まないか」
ドレイク「はあ? アンタ、酒飲むのかい?」
バットマン「今日は飲みたい気分なんだ。聖杯で、出せるんだろう」
ドレイク「ふぅ〜ん、まあいいや。……サシで飲むのに覆面は無いだろ、脱ぎなよ」
バットマン「……」スッ
ブルース「ああ。飲もう」
212 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:16:55.56 ID:UH/q//8r0
ドレイク「何がいい? 色んな種類があるけど」スッ
ブルース(本当に、何もない空間から酒瓶が……やはり本物の聖杯だったか)
ブルース「そうだな。……オススメはあるか?」
ドレイク「そうだねえ、やっぱりラム酒とか王道だねえ! ほら、一本開けなよ」シュッ
ブルース「フ……有難くいただこう」パシッ
213 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:17:26.23 ID:UH/q//8r0
………………
ブーディカ「ブルース〜? 何処に……あ、居た居た! ……ってお酒くさっ!?」
ブルース「ブーディカ。よく来たな、飲むか?」
ブーディカ「……キミ、顔真っ赤なんだけど」
ドレイク「まだまだ飲んだうちにも入らないよ! ほらもっと飲め!」
ブルース「まあ焦るな。こう、栓を開いてだな……」ドバドバドバ
ドレイク「フゥーッ!! ラム酒の滝だー!!」パチパチパチ
ブルース「……ふ、ははは。どうだ、まさに浴びるように飲んでやったぞ」ヨロ
ドレイク「あっはははははは、いいねえ! アンタの事嫌いだったけど今気に入った!」バンバン
ブーディカ「……ちょっとブルース」ガシッ、ズルズル……
ブルース「?」ズルズルズル……
ドレイク「また来いよー!」ヒラヒラ
214 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:17:56.91 ID:UH/q//8r0
ブーディカ「……どうしちゃったのさ、ブルース。アンタってばそんなんじゃなかったでしょ」
ブルース「……酒を飲みたい時くらいあるだろう。私は今夜がそうだっただけだ」
ブーディカ「そういう事を言ってるんじゃないよ! 明日にはマシュを助けなゃ駄目なのに、どうしてキミがこうなの!?」
ブルース「……」
ブーディカ「……私が言いたくないけど、正直がっかりしてるし、見損なったよ。なんで……」
215 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:18:22.28 ID:UH/q//8r0
ブルース「……すまない」
ブーディカ「……もういいよ。ごめんね、私が期待しすぎたよ」スタスタ
ブルース「……」
ブルース(……なんで、か。それは、ブーディカ。理由は決まっている)
ブルース(明日が、32年前のあの日と同じになるかもしれないからだ。だからこそ、私は……)
酒瓶「」コロコロ……
ブルース「……もう、残ってもいないか」
ブルース(……だからこそ、打てる手は全て打つ)
216 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:18:54.11 ID:UH/q//8r0
………………
ザザァン……ザザァン……
マシュ「……」ジャラジャラ
マシュ(……この手錠……力が入りにくい姿勢なのもあって、力んだ程度じゃ外せませんね……こんな事なら、もっと清姫さんの縄抜けを……)
(((清姫は死んだ)))
マシュ(……何を考えていたんでしょうか、私は。戦場で、人の死を悲しんでいる暇なんか……無いのが、普通なのに)
マシュ(マスターの気持ちも考えず……未熟な気持ちのままで、人に悲しみを押し付けて……だから、これはきっと、罰なんだ……)ギュッ
ノシッ、ノシッ
キラークロック「……飯だ。生きてるか」スッ
マシュ「……キラークロックさん」
217 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:19:26.37 ID:UH/q//8r0
キラークロック「フン……捕まって気分が沈むのは分かるが、死にそうなツラはやめろ。こっちも飯が不味くなる」ドシリ
マシュ「すみません……ありがとうございます」カチャ
キラークロック「……」モグモグ
マシュ「……あの、すみません。こっちの羊肉のスープがキラークロックさんのご飯で、そっちのカビたパンが私の食事じゃ……」
キラークロック「お前の勘違いだ。黙って食え」モグモグ
マシュ「は、はあ……」
キラークロック「……食え。明日にはお前をあっちへ引き渡す。この牢屋も、それまでの辛抱だ」
マシュ「……はい」
218 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:19:57.16 ID:UH/q//8r0
???「あ、ワニさん。こんなところに居たんですのね」
???2「おや、囚人と仲良く食事かい? 楽しそうだね」
キラークロック「グルルルルル……何しに来た、アン、メアリー……!」
アン「まあ怖い。私達だって、囚人が年頃の女の子と聞いてお話してみたくなっただけですわ」
メアリー「キミこそ何をしにここへ? ただの囚人に、随分肩入れしてるじゃないか」
キラークロック「……関係ねえ。黙ってろ」
アン「へえ〜……」
メアリー「ふ〜ん……」
キラークロック「……」
マシュ「……?」
キラークロック「……チッ」
219 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:20:27.23 ID:UH/q//8r0
アン「うふふっ、囚人の貴女にはろくな食事が用意されないだろうと思って……はーいっ、ラム肉のスープを持ってきましたわ!」
メアリー「ふふっ、黒髭から奪ってきたんだ。あの時の間抜け面と言ったら無かったよ……って、あれ?」
マシュ「あ、あの……やっぱりこのスープ、船員用の食事だったんですか?」カラカラ
キラークロック「……」スン
アン「……あら、あらあらまあまあ!」
キラークロック「黙れ」
メアリー「これは興味深いね。コワモテ男の優しい気遣いってところかな?」
キラークロック「黙れ!」
マシュ「す、すみません! 食べてしまって……」
キラークロック「黙れ! お前も!」
ダビデ「あーあー! 僕にも羊肉のスープがもらえればなー!!」カンカンカンカン‼
220 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:20:55.64 ID:UH/q//8r0
<ギャーギャー‼ ワーワー‼
黒髭「……う〜む、スープ返してって言いに行ける雰囲気じゃないですなあ。うん、諦めてパンを食べよう……」モシャモシャ
???「あらら、スープ取られちゃったの? オジサンの、良かったらあげるけど?」
黒髭「む、ヘクトール氏。いえいえ、拙者はパンで大丈夫でござる。むしろカビの生命力を受け継いでパワーアップしますぞwwwwwwww」
ヘクトール「へ、へえ……まあ、それで良いなら良いけどよ。腹壊すなよ?」
黒髭「デュフフ、サーヴァントとなったこの身に心配はご無用。ヘクトール氏は明日の人質受け渡しに備え、英気を養ってほしいですぞ」
ヘクトール「……それこそ、心配ご無用ってね。俺の『不毀の槍』(ドゥリンダナ)は伊達じゃないぜ」
黒髭「……むふふ。期待しておきますぞ」
ヘクトール「へっ……」
221 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:21:46.42 ID:UH/q//8r0
………………
ザザァン……ザザァン……
バットマン「……」
バットマン(……そろそろ、指定された海域へ到着するか。……)
バットマン「……頼んだぞ」
海賊A「へ、へえ……努力します」
バットマン「……今は良いが、もっと背筋を伸ばして立て。それと、口元は引き締めろ」
海賊A「へい……」
バットマン「……そろそろ入れ替わるぞ。服を脱げ」
海賊A「へいへい」
222 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:22:22.27 ID:UH/q//8r0
………………
黒髭「……ってな感じに、入れ替わり作戦とかやってくるかも知れないから……その時はキラークロック氏、嗅覚での特定よろしく!」
キラークロック「……フン、任せろ」
黒髭「それで、そろそろ……おっ、見えた見えた。BBAのゴールデンハインド号ですな。よーし、人質受け渡し準備ィ!」
海賊達「「「ウッス!」」」
黒髭「むふふ、もうすぐ思い切り暴れられますぞ」
キラークロック「……フン」
メアリー「今回は」
アン「私達も出ますわ。退屈でしたもの」
ヘクトール「おじさんも暴れ回っちゃおっかなあ〜。暇してたしねえ」ゴキゴキ
黒髭「……これ、オーバーキルでは……な〜んて油断してると足元をすくわれるのが海賊の世界。敵戦力の確認にうつりまーっす!」
223 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:23:08.65 ID:UH/q//8r0
黒髭「んー、んー……!! 待った待った待ったァ!! あちらの船にエウリュアレたんを確認ンンンンンンンンンンンンンンンンン!!」
キラークロック「えう……何だと?」
ヘクトール「ほォ、あのエウリュアレが……なんだ、素直についていく奴でも見っけたのかねえ」
黒髭「おおっ、あの黒猫のコスプレ筋肉ダルマの傍に居やがる! ナイスですぞキャットマン! ロリをありがとう神よ! ……いや、ロリ女神よありがとう!! 合法万歳!!」
メアリー「キモッ」
アン「吐き気がしますわ」
黒髭「そーと決まったら早速マシュちゃんの引き渡し条件を引き上げますぞー!」
224 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:23:57.74 ID:UH/q//8r0
………………
ザザァン……ザザァン……
ボンベ「接舷しやすぜ!」
ドレイク「……イカリ降ろせー! 帆を畳めー! 船をとめろ!」
海賊達「「「あいあいさー!」」」
黒髭「おーい! 聞こえるー!?」
ドレイク「聞こえてるよ、髭野郎! 何が欲しいんだ、言ってみな!」
黒髭「BBA!! 我々の要求はただ一つ! 聖杯をこっちに寄越す事と、エウリュアレたんをこっちに渡す事! ……二つだコレ!!」
ドレイク「はあ!? エウリュアレを……」
225 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:24:23.06 ID:UH/q//8r0
ドレイク「……どうする、女神サマ。アンタも狙いみたいだ」
エウリュアレ「……どうするの」
アステリオス「だめ、いかないで。ぜったい、だめ」
海賊A「……だが、やるしかない」
アステリオス「きけん、だよ! えうりゅあれが、きずつけられたら……」
海賊A「……奴等には渡さない。約束する」
アステリオス「……っ」
エウリュアレ「信じていいのね?」
海賊A「策はある」
226 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:26:23.03 ID:UH/q//8r0
………………
黒髭「それじゃ、エウリュアレちゃんを頑丈な縄で縛って連れて来てちょ! こっちのマシュちゃんも縛ってそっち連れて行きますからね〜ん」
マシュ「……っく……」ジャラジャラ
敵海賊A「オラッ、暴れんじゃねえ!」
キラークロック「グルゥ……」
ドレイク「条件がある!!」
黒髭「なんじゃい!!」
ドレイク「こっちのエウリュアレと聖杯が板を渡る間、マシュも同時にこっちに渡しな! 信用できないんでね!!」
黒髭「……ふむ。オッケー、了解!」
海賊A「……聖杯は持った。エウリュアレ、準備は良いか」
エウリュアレ「やるしかないんでしょう。やるわよ」
227 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:27:04.95 ID:UH/q//8r0
ギィィィィ……バタン‼ バタン‼
黒髭「よしよし、二つの架け橋(板)完了。それじゃ、同時に渡ってもらおうか!」
敵海賊A「オラッ、お前が先に登れ!」
マシュ「う……」ソロソロ
マシュ(船が波で揺れて、バランスが……)
海賊A(……2船の手摺の間に板を架けたか。少しのよろめきで落ちる)
海賊A「エウリュアレ」
エウリュアレ「嘗めないでちょうだい。たとえ手が縛られていたとしても、問題にもならないわ」スッ
228 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:27:33.57 ID:UH/q//8r0
海賊A「……」スタスタ
マシュ「……」ソロソロ
エウリュアレ「……」スルスル
マシュ「……」ソロソロ
海賊A「……」
キラークロック「……?」
キラークロック(なんだ、コイツは……この匂い……クソ、アルコール臭がキツすぎるぞ)
229 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:28:03.19 ID:UH/q//8r0
マシュ「……」ソロソロ
マシュ(……戻った、ところで……どうしたら、マスターと……)
海賊A「マシュ」
マシュ「……え?」
黒髭「へ?」
ヘクトール「んっ?」
キラークロック「……!!」
230 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:28:41.63 ID:UH/q//8r0
ブルース「伏せろ」パシ、ブシュゥゥゥゥゥゥゥ
ヘクトール「煙幕ゥ!?」
キラークロック「撃て!」
黒髭「チィッ」パァン‼
マシュ「きゃっ!?」チュイン‼
エウリュアレ「私は気遣わないの?」スッ
ブルース「弾なら見切れるだろう」
エウリュアレ「……生意気ねえ」
231 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:29:08.96 ID:UH/q//8r0
キラークロック「ヴォオオオオオオオオオオオオオ!!!」ダダッ
黒髭「馬鹿、行くな! テメエが乗れば板が折れる!」ガシッ
ヘクトール「おじさんが行かせてもらおうか」タッ
マシュ「マスター!?」
ブルース「もうブルースさんとは呼んでくれないのか?」ニヤリ
マシュ「何を……なんで!?」
ブルース「助けに来た……ッ!?」ババッ
ガィン‼
ヘクトール「チッ、殺気で気付かれたか。やるねえあんちゃん」ヒュンヒュンッ
ブルース「……お前は……」
232 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:29:37.35 ID:UH/q//8r0
ヘクトール「なあに、ただのしがないオッサンさ。けど交渉決裂とは悲しいねえ、マシュの嬢ちゃんは引き続きこっちで預かるぜ」ヒュンヒュンッ……スッ
マシュ「マスター! くっ……」ジャラジャラ
ブルース「……そうはさせない。絶対に返してもらう」スッ
ブルース(煙幕も晴れ始めた。ここからが本番)
エウリュアレ「私も加勢しようかしら?」
ブルース「……船の制圧へ動け」
233 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:30:12.50 ID:UH/q//8r0
海賊達「「「うおおおおおおおお!!!」」」
ドレイク「飛び移れ飛び移れ! ロープも使って乗り移るんだよ! あっちの船を乗っ取りなァ!」
アステリオス「おおおおおおおおお!!!」ドスドスドス
黒髭「おいおい、結局こうなんのかよ! まーいいや、総員やっちまえ!!」
アン「ふふっ、血が滾りますわっ!!」
メアリー「さあ、誰からやるかな……!」
キラークロック「ヴォオオオオオオオオオオ!!!」ドシドシ
234 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:30:47.36 ID:UH/q//8r0
ブルース「ハッ!」ヒュッ
ヘクトール「うおっ、良い動きするじゃねえの!」タタッ、ヒュォンッ
ブルース「ッ!」バッ
ブルース(驚異的な平衡感覚。加えて槍という長リーチ。二つの板を飛び移りながら攻撃を繰り出してくる……)
ヘクトール「そら、そらそらそらっ!」タッ、タタッ、ヒュンヒュンヒュン‼
ブルース「くっ……」ザザッ、ジリッ、シュッ
ブルース(スーツが無い分も、こちらが遅れを取る……)
ヘクトール「とったァっ!」ブンッ
ブルース「!!」
ブーディカ「はッ!!」ガギィィィン‼
235 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:31:15.13 ID:UH/q//8r0
ブルース「……!」
ブーディカ「……はいはい。どうせキミの言う事だからね、どれもこれも計算の内なんでしょ」
ブルース「……違う。計算ではない」
ブーディカ「じゃ、何さ」
ブルース「信じていた」
ブーディカ「……ふん、ばーか。後で昨晩の乱れっぷりをマシュにも言いつけてやる」チャキッ
ブルース「それはやめろ」
マシュ「なっ、なんですか! 乱れ……とは! 聞き逃せません!」
ブルース「何もない。気にするな」
ヘクトール「あ〜あ〜、オジサンそっちのけで話すのはやめてくれないかなぁ……」ポリポリ
236 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:31:45.23 ID:UH/q//8r0
ブーディカ「フッ!」ヒュンッ‼
ヘクトール「ッ」ギャリリィン‼
グラ……
ブルース「うっ……」ヨロ
マシュ「あぶ、ない……」ヨロヨロ
ブーディカ「はあっ!」ギャギャ、ガァン‼
ヘクトール「ううぉっ!? ムチャクチャな攻め方してくるねえ!?」タタッ
ブーディカ「今度こそ守りたいモノ守るって誓ったからね! 髭オヤジ一人には負けらんないよ!」タッ、ヒュンッ
ヘクトール「滅茶苦茶に言ってくれるじゃない……のッ!」ヒュンッ、ガガァン‼
グラグラッ
237 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:32:16.07 ID:UH/q//8r0
キラークロック「ウヴォオオオオオオオオオオ!!!」ブンッ
ドッガァァァァァァ‼
海賊B「ひっ!?」
海賊C「怯むな、やっちまえ!!」ダッ
キラークロック「邪魔、だ!」ガシッ、ドゴォ‼
アステリオス「あああああ!!」ブンッ
キラークロック「!!」ガシッ‼
アステリオス「し、ね……しね、しねえ!!」グググググ‼
キラークロック「グルルルルル……!!」グググググ……
238 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:32:47.46 ID:UH/q//8r0
黒髭「にわかに怪獣大戦争じみた様相を呈して来ましたな! ヘクトール殿、さっさとケリをつけてくれたら嬉しいですぞ!」
ヘクトール「無茶言いなさんな! 本気のオンナは怖えんだよ!?」ガガッ、ギャリィ‼
ブーディカ「目ェ逸らしてんじゃないよッ!!」ギャリギャリガガァンッ‼
ヘクトール「ひえ……」タタッ
黒髭「ヘクトール殿、絶対女房の尻にしかれるタイプですよね。そうですよね」
パァン‼
黒髭「あっぶね」バッ
ドレイク「ほらよ、お望みの聖杯だ。アタシと一緒じゃちと不満だろうが、付き合いなよ」カチャリ
黒髭「……ドレイクめ、来やがったか」カチャリ
239 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:33:33.74 ID:UH/q//8r0
エウリュアレ「ほらほらほらッ!」シュパパパパパッ
アン「きゃっ! 全く、鬱陶しい小娘ですこと! 胸も板みたいに!」
メアリー「……アン、後で話し合いが必要だね」ズドンズドン、カチャリ
アン「あら、いやですわ。メアリーの事は言ってません」ズドンズドンズドン‼
エウリュアレ「悠長に談話かしら? のんびりしてるのね」ヒュパパパパパパパ
敵海賊B「ぐわああああ!! か、身体が……!」シュバッ
敵海賊C「があっ!? て、テメエ何しやがる!?」ドサッ
アン「……ちぃっ、あの矢には催眠作用でもあるみたいですわ。射抜かれた連中が同士討ちを……」
メアリー「矢に被弾したヤツは撃ち殺すよ」カチャリ
エウリュアレ「せいぜい手の届く範囲の仲間を殺しなさい。この戦場は掌握しつつあるわ」シュパパパパパッ
240 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:34:04.51 ID:UH/q//8r0
ブーディカ「そぉらっ!」
ヘクトール「うおっ!?」ガギィィィ‼
ヘクトール(ちっ、武器が長物だからなぁ。懐に入られりゃ弱い……!)
ブーディカ「容赦しないよ!」ググッ‼
ヘクトール「そりゃどうも!」ガッギャ‼
ブルース「フッ!」シュパッ
バットラング「」ヒュォォォォォッ
ヘクトール「ッチィ!?」ガガッ‼
ブーディカ「そこっ!!」ズバァッ‼
ヘクトール「うぐっ……」ヨロ、タタッ
ブーディカ「逃がすか……!」ダッ
241 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:34:30.57 ID:UH/q//8r0
ヘクトール(もう少し、もう少し誘い込む……)
ブーディカ「そらそらっ!」ヒュンヒュンッ‼
ヘクトール「っかかったァ!!」ガッ、ズォォッ
ブーディカ「なっ……」
ブーディカ(切っ先が、船の手摺に嵌まった……)グッ
ヘクトール「一瞬の隙が命取りだ、悪く思うなよッ!」グンッ
ブルース「そちらがな!」ヒュンッ‼
ヘクトール「っ!?」ガッ
242 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:35:08.23 ID:UH/q//8r0
ブルース「ハッ!」ヒュゴッ
ヘクトール「ははっ、一瞬ビビったが……嘗めないでほしいもんだ!」ガシッ、グルンッ
ブルース「フンッ!」グルンッ、スタッ
ヘクトール「ああ!?」
ブルース「シッ!」ヒュドッ
ヘクトール「っ……ああそうか、嘗めてたのはこっちって事か! 良いぜ、なら認めて……全力で潰してやろうじゃないの!」チャキ、ヒュンッ
ブルース「くっ」
ブルース(しまった、避けられない……)
243 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:35:37.22 ID:UH/q//8r0
マシュ「ます、たー!」ドンッ
ヘクトール「なっ……」ザシ、ググッ
マシュ「っ」ズルッ
ブルース「……!!」
ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ、バッシャァァァァァ……
ブルース「マシュ!」
ブルース(助けなければ。海へ飛び込め。飛び込んで助けろ。彼女を、助けろ)
ブルース「……っ……」
ブルース(……だが。ああ、だが……)
244 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:36:06.96 ID:UH/q//8r0
ブルース(その権利は、あるのか?)
245 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:36:49.34 ID:UH/q//8r0
ブルース(二度も両親を見殺しにした私に、まだ大切な者を守る権利はあるのか?)
『ぼくのせいだ』
ブルース(計算ではここに残り、ブーディカと共に戦うのが最も勝率を上げる行為だ)
『お前は怪物だ』
ブルース(……ああ、そうだ。今更、戻るなど、なんと都合の良い話だったんだ。所詮、私は……)
ドシュッ
246 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:37:27.62 ID:UH/q//8r0
ポタ、ポタ……
ヘクトール「……」
ブーディカ「……」
ブルース「……ブーディカ……」
ブーディカ「……か、はっ……」
247 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:37:56.01 ID:UH/q//8r0
ヘクトール「……弱ってる奴を殺すのは、あんまりやりたくなかったんだが」グ……
ブーディカ「……抜か、せるか。この、槍はもう、アタシの、モノだ……」グググググ……ブシッ、ブシィ……
ヘクトール「……」グググググ……
ブーディカ「……ブルース、最期に、ね。話、聞いて」
ブルース「……令呪を……」
ブーディカ「……お願い、だから、聞いて。命と、引き換えの、呪いをかける」
248 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:38:45.06 ID:UH/q//8r0
ブーディカ「……アンタが、なんで悩んでたのか、分からない。けど、なんで立ち止まったのか、わかる。アンタ、ずっと、気にしてたもんね。権利が、どうとか」シュウシュウシュウシュウ……
ブーディカ「……あの、時は、否定、したけど。分かるんだ、アンタの気持ち。一度、失敗したら、もう戻れないみたいな、気がするの。でも……」
ブーディカ「でも、人には、チャンスがある。アンタにとって、これが、そうなんだ。ブルース」シュウシュウシュウシュウ……
ブルース「……!」
ブーディカ「……だから、お願い。マシュを助けて」シュゥゥゥゥゥゥゥゥ……
249 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:39:35.42 ID:UH/q//8r0
(そうだ。何を躊躇っていた、お前は)
彼は目を見開き、消える彼女に背を向けて板を蹴った。波打つ海がどんどん近付き……その表面を突き破り、ブルースは飛び込んだ。
沈むマシュから、気泡のしるべが昇ってくる。彼は強く水を掻き、深く、深く潜ってゆく。
海の中はまっさらな闇を思わせた。ずっと上で響く潮の音。対して、水深が深くなればなるほど音は遠のき、光は消えてゆく。マシュが、大きな闇へと飲まれて行く。
(((大丈夫、闇の中には何も居ない)))
(違う)
ブルースは過去の残響を否定する。違う。闇の中には恐ろしい魔物が棲んでいる。それは今日まで、幼いブルースの心を捕えたまま、ずっと離していなかった。
(((おとう、さん……おかあさん……)))
(今度こそ)
清姫の涙がよみがえる。アルフレッドの死に顔が浮かび上がる。トーマスが膝から崩れ落ち、マーサが泣きながら倒れ伏すのが見える。頭を振り、幻覚を追い出す。
自分の中にあるのは、両親を殺した弾丸だけではないハズだ。計算だけではないハズだ。疑心だけではないハズだ。不確定な自分を、信じろ。
マシュが目を開き、何かを叫んでいる。気泡が大きく広がり、それを突き抜けてブルースが潜る。
(手を伸ばせ)
どちらへ向けた言葉だったか。ブルースの腕が、マシュをとらえた。
250 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:40:29.33 ID:UH/q//8r0
………………
ヘクトール「……」
ヘクトール(……ったく、アイツらは死んだのやら生きてんのやら。にしてもまあ、ホントに覚悟を決めた女ってのは怖えな……)
ヘクトール「……いや、違うか」
ヘクトール(覚悟を決めた英雄ってのは、なんでこうも……)
黒髭「ちょっとー! ヘクトール殿、終わったならこっち!」
ヘクトール「あー、へいへい……」スタスタ
ヘクトール(……こりゃ、そろそろ潮時だなぁ。あの連中を呼んでおいてよかったぜ)
251 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:40:56.28 ID:UH/q//8r0
………………
バシャアッ‼
マシュ「げほっ、ごほっ、ごほ……」
ブルース「っは……はっ……マシュ……マシュ! 無事か! マシュ!」ジャブジャブ
マシュ「ぶ、じです……」
ブルース「拘束を解くぞ! 良いな!」
マシュ「はい……うぷっ……」ジャバジャバ
ブルース「良し……良し、良かった……!」ジャラジャラ
マシュ「……!」ジャバッ
252 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:41:23.21 ID:UH/q//8r0
マシュ「わたし、は……ごめんなさい、わたし……!」
ブルース「マシュ、聞いてほしい。言いたい事が、山ほどあった」
マシュ「……」
ブルース「……山ほどあった、はずなんだ。分からない。何を言えば良いのか分からないが、とにかく、言わせてくれ」
マシュ「……」
ブルース「私はお前が大切だ」
マシュ「……!」
253 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:41:56.63 ID:UH/q//8r0
ブルース「お前が大切で……恐らく、これからも、お前が目の前で危険だったら、考え無しに庇うかもしれない。それを、伝えておきたかった」
マシュ「……」バシャッ、ドッ
ブルース「……お前が大事なんだ、マシュ。お前を助けさせてくれ」
マシュ「……っ」ドッ、バシャッ
ブルース「……マシュ」
マシュ「っ! っ!」ドッ、ドッ
ブルース「マシュ、私に心臓マッサージは必要無い……」
マシュ「分かってます! 殴ってるんです!」ドッドッ
ブルース「……そうか」
254 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:42:25.10 ID:UH/q//8r0
ザザァン……ザザァン……
マシュ「私……」ドッ
マシュ「そんなの、私……!」ドッ、ドッ
マシュ「わたし、だって……!」ドッ
マシュ「私だって、大切に、決まってるじゃないですか……!」バシャ、バシャ……
ブルース「……すまない。マシュ」
マシュ「謝らないで、ください……」バシャリ……
255 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:42:54.17 ID:UH/q//8r0
マシュ「……私、強くなります」
ブルース「……」
マシュ「……強くなって、マスターを守れるようになります」
ブルース「……」
マシュ「……だから、待っててください」
ブルース「……」
マシュ「……待たずに、庇ったりしたら、ひどいですよ」
ブルース「……善処する」
マシュ「絶対です」
ブルース「ああ、絶対に善処する……方向で、検討する」
マシュ「……知りません」
ブルース「船へ上がるぞ。掴まれ」
マシュ「……」ギュッ
ブルース「……」シュポッガシッ
ギュルギュルギュルギュルッ
256 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:43:38.80 ID:UH/q//8r0
ドレイク「ちいっ、こんだけやっても劣勢か!」
黒髭「フフーン、所詮勢い任せの雑な作戦ですぞwwwwww拙者の敵ではござらんwwwwwwww諦めてエウリュアレ殿と聖杯を……!」
「マスター! 指示を!」
黒髭「ををおおおおお?」
バットマン「私は盾を取り戻す、マシュはエウリュアレを庇いつつ甲板を制圧しろ!」
マシュ「はい!」
黒髭「何だとぅ!? ついこの前までコンビネーション最悪だったのにぃ!?」
キラークロック「……」フッ
257 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:44:10.11 ID:UH/q//8r0
バットマン「ドクター、マシュの盾の位置を特定してくれ」ピッピッ
ドクター『待ってくれ……よし、その足元、直下の船室だ』
バットマン「良し……」プシュー
敵海賊D「やすやすと」ダッ
敵海賊E「行かせるかよォ!」ダダッ
ヘクトール「そういうこった!」バッ
バットマン「だが、行かせてもらう」ポチッ
ドドドドドォ‼
敵海賊D「ぐわあああっ!?」ドシャッ
敵海賊E「ひょえええええ!?」ドサッ
ヘクトール「なっ……」ズサッ
ヘクトール(甲板が円形に爆発しやがった……!?)
258 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:44:36.51 ID:UH/q//8r0
パラパラ……
バットマン「……レオナルド、爆破ジェルの威力を上げたな?」
レオナルド『報告が遅れてすまないね、すっかり忘れてた。上げたよ、爆発半径はそのままで衝撃を底上げした』
バットマン「助かった。……盾は……あった」ガシッ
盾「」ガシャリ
バットマン「よし、後はマシュへこれを届ける……」
「おーい! 僕も助けてくれー!!」
バットマン「……?」
259 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:45:17.01 ID:UH/q//8r0
バットマン「……誰だ」スタスタ
???「良かった、来てくれたのか! 僕はダビデ、お宅のマシュちゃんと一緒に捕まってた羊飼いだよ。ここから出してくれ、頼む!」
バットマン「……ドクター、解析を」
ドクター『うん、完了してる。マシュとのやり取りもある程度見ていたが、彼は一応こちらの味方みたいだ』
バットマン「……牢を開けるぞ。離れろ」
ダビデ「了解、優しく頼むよ!」
ヘクトール「そうはトロイアが許さねえって話だ!」スタッ、ヒュンッ
バットマン「!!」ガキィィィィン‼
260 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:45:53.40 ID:UH/q//8r0
バットマン「……トロイアの戦士か、お前は」ジリッ
ヘクトール「へっ、マイナーなオジサンだから名前なんざ意味ねえぜ。アンタは何処の英雄だ?」
バットマン「……」
バットマン(……槍……トロイア……駄目だ、浮かばない)
ダビデ「やっちゃえ! 負けるな黒猫くん!」
ヘクトール「名乗らねえなら、こっちから行くぞォ!」ヒュンヒュンヒュガガッ‼
バットマン「ッ!」ギギィ、ギャァン‼
261 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:47:14.88 ID:UH/q//8r0
バットマン「シッ!」ヒュンッ
バットラング「」ヒュォォォォォッ
ヘクトール「へっ、玩具だなあ!」バッ
バットマン「そこ……!」シュポッ
ヘクトール「遅いッ!」バッ、ヒュゥン‼
バットマン「!!」シュッ、ギュルギュルギュルギュルッ
ヘクトール「とどめだ……!」グワッ
ヘクトール(いや。不味い)
ヘクトール「ふッ!!」ダダッ
大砲「」ガラガラガラガラッ‼
ヘクトール「……」
ヘクトール(成程。一発目のシュリケンで大砲の固定具を破壊し、二発目のよく分からんロープ発射器具で大砲を引き寄せ……)
バットマン「ここで爆破ジェルだ」プシューッ、ポチッ
ドドォン‼
ヘクトール「大砲発射ってワケかい!!」バッ
ドッガァァァァァァァァァァ‼
ヘクトール「うぐ……!」ギュリィッ、ズシャシャシャシャシャシャシャ……
バギャ、ボッシャァァァァァン……
262 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:48:03.69 ID:UH/q//8r0
………………
マシュ「はあああっ!」ヒュンヒュンッ、タッ、ドドッ
アン「くっ……ただのか弱い女の子、というわけではなかったんですのね……!」ダッ、ババッ、ズドンズドン‼
メアリー「くっ、こんなに体術が……」ズドンズドン、バッ
マシュ「ふッ!」ヒュッ、タタッ
マシュ(盾が無くても、戦える……! それを証明してみせる!)ダッ
キラークロック「……ウォオオオオオオオオオオ!!」ドスドスッ
マシュ「!!」バッ
キラークロック「ナマイキな、小娘め。かかって来い!」ググッ
マシュ「キラークロックさん……!」スッ
263 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:48:33.66 ID:UH/q//8r0
アステリオス「……うぐ……」プルプル……ドサッ
エウリュアレ「アステリオス……!」
マシュ「……!」ヒュッ、ドドドッ
キラークロック「カユいぞ!」ドッガァァァァァァァァァァ‼
マシュ「くっ……」バッ、シュドッ
キラークロック「ウガアアアアアアアア!! ちょこまかと!!」ブォンッ
マシュ「ハッ!」ダッ、シュバッシィィィィン‼
キラークロック「うぐ……! 小娘……!」ガシッ、グググググ……
マスト「」メリ……メリメリメリメリメリ……バキャッ‼
黒髭「ちょっとキラークロック殿ォ!?」
ドレイク「なんだいありゃあ……!」
キラークロック「行くぞ!」ググッ
マシュ「くっ……!」
マシュ(マストの攻撃は素手では受け止められない! ここは……!)
264 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:49:17.71 ID:UH/q//8r0
「マシュ!」
マシュ「!!」
バットマン「盾だ!!」ブンッ
盾「」ヒュゥゥゥゥッ
マシュ「ありがとうございます!!」パシッ
マシュ(これなら……!)
キラークロック「ウオオオオオオオオオオ!!」ブォンッ‼
マシュ「はあああああああっ!」ドギャギャギャギャギャギャギャ‼
マシュ(駄目……これでも、受け止めきれない……!)ズシャシャシャシャシャシャシャ‼
キラークロック「……!!」ピクッ、ババッ
マスト「」ドッサァァァァァァァン
マシュ「え……?」
キラークロック「黒髭!! 奴等だ!!!」
265 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:50:03.53 ID:UH/q//8r0
黒髭「何ィ!? マジで!?」ダダッ
ドレイク「お、おい!?」
黒髭「……マジじゃねーか」
黒髭(ヘクトールは何処だ? 何処に……)
黒髭「……全員警戒しろ! 『アルゴナウタイ』が来やがったぞ!」
バットマン「……?」
バットマン(アルゴナウタイ……アルゴノーツ……確か、ギリシャ神話の、英雄達だったか)
スタスタ
ダビデ「すぅーっ……ふう、久々の美味しい空気だ。
……アレ、皆止まっちゃったな。僕が有名すぎたのが駄目だったか?」ポリポリ
バットマン「違う……アレは」
266 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:50:40.26 ID:UH/q//8r0
ザザァン……ザザァン……
ドレイク「なんだいあの船……バカでかい……」
バットマン「嫌な予感がする。ドレイク、船員の戦闘をやめさせろ」
ドレイク「あ、ああ。野郎ども! 戦闘やめ! 新しい敵に備えな!」
ボンベ「あ、新しい敵って……アレですかい?」
ドレイク「……分からないよ、まだね。でも……アタシも、凄まじく嫌な予感がするよ」タラ……
マシュ「マスター、アレは……」
ダビデ「おいおい、なんだよ。自由になってそうそうにこんな……アレは何だ?」
バットマン「分からない、油断するな。ドクター、解析を」
ドクター『……今やってる。新しく現れた船にはサーヴァント反応が四つ。気を付けてくれ、とても嫌な気配だ』
267 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:51:10.14 ID:UH/q//8r0
ザザァン……ザザァン……
???「ふん、それでおめおめと逃げ帰って来たわけか」
ヘクトール「……イアソン様は厳しいねえ。けど、俺だって孤立無援の中で気ィ張りっぱなしだったんだ、頑張った方だと思うよ」
イアソン「使えんコマの癖をしやがって、口だけは達者な事だな。まあいい、使えない奴は使えないなりに後で働いでもらおう。
……ヘラクレス!」
ヘラクレス「……」ズシ、ズシ
イアソン「黒髭の船へ行け。エウリュアレ以外、皆殺しだ」
ヘラクレス「……■■■■■■■!!」ダッ
268 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:51:38.41 ID:UH/q//8r0
バットマン「!! 何か跳び上がったぞ!」
黒髭「こっちに来やがる……!」
キラークロック「……ウォォォォォォォォオオオオオオ!!!」ブ ォ ン ッ ‼
マスト「」グォォォォッ‼
黒髭「あー!! 拙者の船のマストがーー!!!」
ヘラクレス「……」ズバァッ‼
マスト「」バキャッ……バッシャァァァァァン
黒髭「うおい。マジかよ」
ヘラクレス「……!!」ドシッ‼
キラークロック「……」
マシュ「……」
バットマン「……」
ドレイク「……」
エウリュアレ「……」
269 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:52:06.80 ID:UH/q//8r0
イアソン「聞こえるか! 愚昧な者共!」
ドレイク「否定できないねえ」
ボンベ「まあしょうがねえっすよ」
ドレイク「アンタに言われたかないよ」
イアソン「今、そちらへ送り込んだのはヘラクレス! 最強の英雄だ! ソイツはお前ら全員を殺すまで止まらない! このイアソン様の足を舐めて、部下になると誓える者だけ……生かしておいてやろう!」
ドレイク「……だってさ。どうする?」
バットマン「断る」
ドレイク「だろうねえ。先手必勝!」パァン‼
270 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:52:41.35 ID:UH/q//8r0
ヘラクレス「……」パシ
ドレイク「うへえ……弾を摘み取りやがった」カチャリ
ドクター『……ブルース、あちらの船に聖杯反応だ。この海の異常は、連中によって引き起こされた可能性が高い!』
バットマン「……了解」
イアソン「馬鹿な奴等め! 力の差を分からせてやれ、ヘラクレス!!」
ヘラクレス「■■■■■■■ーーー!!!」ゴォッ
マシュ「敵サーヴァント、来ます……!」
バットマン「構えろ!」
キラークロック「ヴォオオオオオオオオオオオオオ!!!」ダッ
271 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:53:13.75 ID:UH/q//8r0
アン「そこでこそ!」ズドンズドン‼
メアリー「気配を殺してた僕達の出番ってワケさ!」ズドンズドン‼
ヘラクレス「……」ギャギャリィン‼
アン「……うそでしょう」
メアリー「ノールックガード……」
キラークロック「ガアッ!!」ブンッ‼
ヘラクレス「!!」ガシッ‼
キラークロック「……グルルルルルルルルァ!!」グググググ‼‼
ヘラクレス「■■■■■■■!!」グググググ‼
アステリオス「……はあっ!!」ブンッ
ヘラクレス「っ」シュッ、バゴォ‼
アステリオス「あうっ……」ドシャァ
キラークロック「余所見か、余裕だな」ガシ、グイッ
ヘラクレス「……!!」ズバッ
キラークロック「効くかよ!!」ドッシャァァァァァァン‼
272 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:54:05.97 ID:UH/q//8r0
バットマン「……!!」
ヘラクレス「……」グッタリ
バットマン(首の骨が折れている。……死んだか)
キラークロック「フン、雑魚が……」
黒髭「フーッ、無茶をし過ぎですぞキラークロック殿!」
キラークロック「この程度の傷ならすぐに治る……!?」
ヘラクレス「■■■■■■■ーーーーー!!!」ズバアッ‼
アン「え……?」ドシャッ
メアリー「アン!?」
273 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:54:38.16 ID:UH/q//8r0
キラークロック「バカな、確かに……」
ヘラクレス「■■■■■■■!!!」シュバ、ドゴォ‼
メアリー「がっ!?」ゴキャリ
キラークロック「クソがア!!」ブンッ
ヘラクレス「……!!」ガシ、ズバァッ
キラークロック「っがぁぁ……!?」ヨロッ
バットマン「何……!」
マシュ「キラークロックさん!!」ダダッ
バットマン「待てマシュ!」ガシッ
274 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:55:06.41 ID:UH/q//8r0
ヘラクレス「■■■■■■■!!」ブォンッ
キラークロック「うぐっ……!」ドサッ
イアソン「馬鹿が! ヘラクレスは十二の命を持っているんだぞ、一度死んだくらいでどうにかなるものか!!」
バットマン「十二の命……!?」
バットマン(聞いた事はある。ライオン、暴れ牛、人食い馬、ケルベロス……神から与えられた試練をこなした英雄、ヘラクレス。どれも過酷で、並の者なら死ぬような試練ばかりだったと……)
バットマン(つまり、このヘラクレスは……あと十一回殺さねば、死なないのか?)
バットマン「……無理だ。我々の船へ戻れ、撤退するぞ!」
ドレイク「アタシもそう思ってたよ! 撤退開始!」
ダビデ「大賛成!」
ボンベ「あいあいさー!!」
275 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:55:42.21 ID:UH/q//8r0
ヘラクレス「!!」ババッ
バットマン「……!」ピタッ
ドレイク「そこを退きな!」パァンパァン‼
ヘラクレス「……」ギャギャギャンッ
ドレイク「チィーッ、ただじゃ帰らせてくれないってか!」
ヘラクレス「……ッッ!!」ダダッ
エウリュアレ「え? きゃっ……!」
276 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:56:09.33 ID:UH/q//8r0
アステリオス「えうりゅあれっ!!」ガガァン‼
エウリュアレ「アス、テリオス……」
ヘラクレス「■■■■■■■ーー!!」ゴォッ
アステリオス「ここは、通さない……!」ギャリギャリギャリギャリ
277 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:56:40.58 ID:UH/q//8r0
イアソン「さて、ヘクトール。使えんお前に仕事の時間だ。ドゥリンダナで黒髭を殺せ。そうすれば、クィーンアンズリベンジ号も消え、余計なモノは海の藻屑と化す」
ヘクトール「へいへい……」ガシャリ
ヘクトール「……」スッ
ヘクトール(黒髭サンよ、アンタに恨みはねえ。むしろここまで全く裏切る隙すら見当たらなかった、最高のリーダーとすら言えるが……ったく、こればっかりは立場を呪うぜ)
ヘクトール「『標的確認、方位角固定……』」
黒髭「……っ」ピリピリッ
黒髭(あ、これやべえ)
ヘクトール「『不毀の槍』(ドゥリンダナ)!!」ブォンッ
278 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:57:10.13 ID:UH/q//8r0
黒髭「……チッ」
黒髭(ただで死ぬかよ、クソッタレが)
黒髭「どうせ躱せねえなら……ここで一発、狙い撃ちだァ!」カチャリ
槍「」ヒュォォォォォオォォォォォォ‼
黒髭「……!!」カチッ、パァン‼
槍「」ドシュッ‼
黒髭「っぐ……」
ヘクトール「……っ」ドシュゥ
ヘクトール(へ……最後の弾丸を避けるのは、野暮ってモンだよなぁ……)フラ……
279 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:57:38.75 ID:UH/q//8r0
イアソン「何をしているんだ、本当にお前は使えん奴だな! あの程度の弾丸すら躱せんのか!!」
ヘクトール「……大技の後ってのは硬直するもんですぜ、イアソン様よ」
イアソン「口ごたえするな! ……まだ消えんのか、あの忌々しい船は!」
ヘクトール「だから、宝具の魔力は本人が死んだ後もちょっと残留するから……」
イアソン「ええい、うるさい! お前は次の宝具を放つ準備をしろ!」
ヘクトール「……ダメージも負ったんで、ちょい時間掛かりますよっと」
イアソン「使えん……使えん、使えん使えん使えん!! どいつもこいつも! ヘラクレスは何をもたもたしている!!」
280 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:58:11.42 ID:UH/q//8r0
キラークロック「……」グ、プルプル……
キラークロック(血が足りねえ。起き上がれねえ。クソ、前にもこんな事があった気がする……)
キラークロック(黒髭の野郎は何をして……ああ、やられちまったのか。……チクショウ)
キラークロック(天罰にしちゃあ、タイミングが悪すぎる……せめて……)
キラークロック(せめて、あの小娘を……逃がしてから……)プルプル
キラークロック「ッグゥ……」ドサッ
281 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:58:42.62 ID:UH/q//8r0
ヘラクレス「■■■■■■■……」ギャリィン‼
アステリオス「うあ……」ドサッ
エウリュアレ「そこ!」シュパパッ
ヘラクレス「■■■■■■■!!」グンッ、ドゴォ‼
エウリュアレ「きゃっ……!?」ヒュォッ
マシュ「っあぶない!」ガシッ、ゴロゴロッ
バットマン「フッ!」シュパパパッ
バットラング「「「」」」ヒュォッ
ヘラクレス「……」ギャリリリィ‼
アステリオス「よく、も、えうりゅあれを!!」ガバッ、ブォンッ
ヘラクレス「■■■■■■■!!」ガギィ‼
282 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:59:11.92 ID:UH/q//8r0
イアソン「……あの牛の角が生えたバケモノ。さっきから目ざわりだな……ヘクトール! 宝具で殺せ!」
ヘクトール「……へいへい。でもこっから撃つとヘラクレスに当たるかもしれねえけど」
イアソン「構わん! 一度や二度くらいでは奴は死なん!」
ヘクトール「……りょーかい。『標的確認、方位角固定……』」ズォォォォ
ヘクトール(クソ、やっぱ黒髭の弾丸が痛むねえ。だから狙いが甘くなるのも仕方ねえな、うん)
ヘクトール「『不毀の槍』(ドゥリンダナ)!!」ブォンッ‼
283 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 01:59:38.54 ID:UH/q//8r0
ヒュォォォォォオォォォォォォッ
アステリオス「っ」ガバッ
ヘラクレス「!?」
ドシュッ‼
アステリオス「……あぐ……」ジリッ
ヘラクレス「■■……」ヨロッ
エウリュアレ「あっ、アステリオス……!」
バットマン(アステリオスと、ヘラクレスの胴体を……槍が貫通して……)
アステリオス「にげ、て」
284 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 02:00:06.03 ID:UH/q//8r0
バットマン「……!」
アステリオス「にげ、て。こいつは、くいとめるから」
エウリュアレ「なにを……何を、馬鹿な事を言ってるの! 逃げる訳がないでしょう! 一緒に……」
アステリオス「ます、たあ。おねがい。にげて」
バットマン「……!!」
アステリオス「ぼくは、だいじょうぶ。かいぶつじゃなくなって、しねるから」
キラークロック(……かい、ぶつ……)
バットマン「……すまない、アステリオス」
エウリュアレ「はあ!?」
285 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 02:00:34.28 ID:UH/q//8r0
バットマン「撤退しろ! ドレイク、船を移るぞ!」
ドレイク「っ、おうよ! 野郎ども、さっさと船を移りな!!」
ボンベ「で、でも姐御ォ! 牛の坊主が……」
ドレイク「さっさとするんだよ! 坊主が稼いだ時間を無駄にするんじゃない!」
エウリュアレ「嫌よ! アステリオス! このまま逃げるわけには……」
バットマン「マシュ、エウリュアレを」
マシュ「っ……はい、失礼します」ガバッ
エウリュアレ「やめて! 離しなさい! アステリオス!」
アステリオス「……」ニコリ
286 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 02:01:00.75 ID:UH/q//8r0
アステリオス(えうりゅあれ、なかないで。ぼくは、だいじょうぶ)
アステリオス(むかしは、みんなに、かいぶつってよばれてたけど。えうりゅあれに、あすてりおすって、よんでもらえて、うれしかった)
アステリオス(だから……だから、もう、だいじょうぶ。ぼくはもう、しねるよ)
マシュ「……っ」チラッ
キラークロック「……」フッ
キラークロック(行け、小娘。生き延びろ)
マシュ「……」
ゴゴゴゴゴゴ……ズズズズズズズズ……
287 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 02:01:27.24 ID:UH/q//8r0
イアソン「……フン、ようやく沈み始めたか」
ヘクトール「一応進言しときますと、あのレベルの大船が沈む時は海に大渦潮ができますから離れた方がいいかと……」
イアソン「言われなくても分かっている。おい、方向転換してこの海域を離れるぞ」
ヘクトール「ヘラクレスは?」
イアソン「奴なら後から泳いで追いつく」
288 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 02:01:54.78 ID:UH/q//8r0
ドレイク「出発ーーーーー!!!! 全速で渦から離れろーー!!」
帆「」バサァッ‼
バットマン「……」
黒髭の船「」ズズズズズズズズ……ズズズズズズズズ……
バットマン「……」
バットマン(あまりにも、失ったものが多い……)
エウリュアレ「アステリオス……」
289 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 02:02:23.90 ID:UH/q//8r0
バットマン(……だが、得たものもある)
バットマン「……」ツカツカ
ダビデ「へ? え?」
バットマン「……」ガシッ
ダビデ「うっぷ!?」
マシュ「ま、マスター!?」
バットマン「息子の事を洗いざらい吐け。ダビデ王の息子、ソロモン王の事を」グイッ
ダビデ「そ、ソロモン!? なんで今!?」
バットマン「とぼけるつもりか!?」グインッ、ドッ‼
ダビデ「ぐあ……!?」
ドレイク「おいおい! なんだ、やっと面倒が終わったと思ったらもめごとかい!?」
290 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 02:03:04.44 ID:UH/q//8r0
バットマン「お前の息子が、この事態を……全て引き起こしているんだ。良いか、三つ数えてやる。それまでに吐かなければ、お前もあの海の大渦の中に叩き込んでやる」
渦「」ズォォォォォォォォォオ……
ドクター『ブルースくん!? どういう事だ、なんでそんな……』
ダビデ「は、吐けって言われてもだな……なんだ、身長体重収入とかかい?」
バットマン「……1……」グイッ
ダビデ「うわっ!? 待て待て、本当に何の話か分からないんだ! 僕は息子の事にはあまり関わって来なかったし、これからもあんまり関わりたくないと思ってる! 多分ろくでなしだし!」プラァン……
バットマン「2……」グググググ……
マシュ「待って下さいマスター! 彼は無関係です!」
バットマン「……」チラッ
マシュ「……」
ダビデ「マジだよ、僕は何も知らない……落としたって何の得にもならないぞ」バタバタ
バットマン「……」ジッ……
291 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 02:03:44.19 ID:UH/q//8r0
バットマン「……悪かった」スッ
ダビデ「ごほっ、ごほ……ああ、全く! いきなり怒気全開で胸倉をつかんで来るんだ、死ぬかと思ったぞ!」
バットマン「少し焦っていた……」
バットマン(……自分で思った以上に、焦燥が……)
(((犠牲の上に立つのだって辛いものだよ)))
バットマン(……)
バットマン「……とにかく、すまない。平気か」
ダビデ「サーヴァントじゃなかったらとっくに心臓がとまってるよ! あーあー、今日は久々に生娘抱き枕が無いと眠れなさそうだ!」
バットマン「それは許さない」ピッピッ
292 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 02:04:11.75 ID:UH/q//8r0
バットマン(……ヘラクレス目掛けて投擲したバットラングに小型の接着盗聴器を混ぜた。アルゴナウタイの事情も少しは盗み聞きできるはずだ)ピッピッ、チュウィィィィィィィィィ……
ドクター『ブルースくん、さっきの……ソロモンがなんとかっていうのは』
バットマン「……何でもない。気の迷いだ」
ドクター『そうかい? それにしては随分はっきり……』
バットマン「少し疲れていた。……一度に色々な事が起こり過ぎたんだ」
ドクター『……そうか』
バットマン「そうだ。すまないドクター、盗聴器を起動させ、録音を開始してくれ」
ドクター『オッケー、了解した』
293 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 02:04:40.80 ID:UH/q//8r0
バットマン「……マシュ達は休んでいろ。疲れただろう」
マシュ「は、はい……あの、マスターは?」
ドレイク「おいおい、キリキリ働いてもらわないと困るよ!」
バットマン「私が後で三倍働こう。それより、今はやるべき事がある」
ドレイク「……冗談のつもりだったんだがねえ。このまま続けて何かするつもりかい?」
バットマン「この程度は疲労の内には入らない。それよりも、敵の狙いを探るのが先だ」
チュウィィィィィィィィィ……ザザッ……
バットマン(……よし、電波をとらえたぞ……!)
294 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 02:05:26.00 ID:UH/q//8r0
『ザザッ……ようやく帰って来たか、ヘラクレス!』
バットマン(早い……もう復活して船へ戻ったのか。これは確か、イアソンの声……)
イアソン『遅すぎるぞ! それで、あの小娘女神はどうした? 箱は?』
ヘクトール『……アイツらは逃げおおせましたよ。沈む寸前に船を移って』
イアソン『なんだと……!? ヘラクレス! 貴様、何も持たずにおめおめと帰って来たのか!』
ヘラクレス『■■……』
???『ふふ……大丈夫です。つまりこれは、「箱」と「女神」があちらの船に一緒に居るという事……襲って略奪すれば、何もかもうまくいきます』
バットマン(……誰だ、この声は……女の声?)
295 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 02:05:54.02 ID:UH/q//8r0
イアソン『メディア……そもそもだ。そもそも、「箱」に「女神」を触れさせれば無敵になれるというのは、本当なんだろうな?』
メディア『ああ、愛しいイアソン様……私が貴方様に嘘を吐くハズがありません。どうか信じて下さい。箱と女神が接触すれば、貴方様は真に無敵の存在になれるのです』
イアソン『……フン、そうだったな。神の操り人形になったお前が、嘘なぞ吐くはずもない。分かり切っていた事か。
おい、進路を変えろ。あの女神共を追うぞ』
ヘクトール『はあ〜あ……ザザッ……ザザザザザザザザ……』
チュウィィィィィィィィィ……ブツッ
バットマン「……」
バットマン(盗聴器の電力が尽きた。が、有益な情報も手に入った)
296 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 02:06:29.94 ID:UH/q//8r0
バットマン(奴等の狙いは箱、そしてエウリュアレ。……『箱』とは何だ……?)
ドクター『ブルースくん、こちらでも音声を聴いてみた。恐らく、箱に関してはマシュとダビデがよく知っているはずだ』
バットマン「……本当か」
マシュ「は、はい。というか、キラークロックさん達に捕まる直前、ダビデさんから少し聞いただけですが……」
バットマン「……」
ダビデ「……櫃の事か。アレは、だな……なんというか、僕とセットで召喚されて、力を殆ど持って行かれた恐ろしいシロモノなんだが」
297 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 02:06:57.68 ID:UH/q//8r0
ダビデ「古代イスラエルには言い伝えがあった。アカシヤの木でできた櫃、『アーク』には決して触れてはならないと」
ダビデ「中身も伝承で伝わっているだけだ。マナを納めた壺、アロンの杖、十戒の石板。……なにしろ櫃を開けた者が居ないから、それすら本当かどうかは分からない」
ダビデ「だが、ひとつだけ、その櫃に関する真実がある。それは、触れたら死ぬという事だ。誰が触ろうと、どんな理由があろうと、どんな道具を使おうと死ぬ。災いで守られた櫃だ」
ダビデ「……だから、僕は櫃を守っていた。間違っても誰か触らないように、と」
バットマン「……」
298 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/02/27(火) 02:07:23.88 ID:UH/q//8r0
バットマン「……奴らの狙いは、エウリュアレ。お前を櫃に触れさせる事らしい」
エウリュアレ「私を……? 何故?」
バットマン「そうすれば、奴らの首領……イアソンに、無敵の力が付与されると」
ダビデ「まさか。馬鹿な、そんな事はあり得ない。たとえ女神が触れようと、死んで終わりさ。魔力を全部吸い取られて昇天しちゃうよ」
バットマン「……櫃に、そのような力は無いと?」
ダビデ「無いね。召喚されたのは外面の櫃、災いの部分だけだ」
バットマン「……」
エウリュアレ「……あちらの勢力の誰かが、嘘を吐いているとか?」
バットマン「……だとすれば、何のために……」
518.05 KB
Speed:0.3
[ Aramaki★
クオリティの高いサービスを貴方に
VIPService!]
↑
VIP Service
SS速報VIP
更新
専用ブラウザ
検索
全部
前100
次100
最新50
続きを読む
名前:
E-mail
(省略可)
:
書き込み後にスレをトップに移動しません
特殊変換を無効
本文を赤くします
本文を蒼くします
本文をピンクにします
本文を緑にします
本文を紫にします
256ビットSSL暗号化送信っぽいです
最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!
(http://fsmから始まる
ひらめアップローダ
からの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)
スポンサードリンク
Check
Tweet
荒巻@中の人 ★
VIP(Powered By VIP Service)
read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By
http://www.toshinari.net/
@Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)