【ガルパン】エリカ「私は、あなたを救えなかったから」

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321 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/10(土) 00:58:22.36 ID:jTSgx+xR0
植物状態で最後はハッピーエンドだから・・・
322 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/10(土) 17:32:08.03 ID:du4JwCds0




アリサ「そんな……私たちが一回戦で……」

エリカ「だいぶ堪えてるみたいね」

アリサ「あなた……」

エリカ「……無線傍受するなら次はもっとうまくやりなさい」

アリサ「っ!?気づいてたのっ!?」

エリカ「あからさまにやりすぎよ」

アリサ「……笑いなさいよ。無名校相手に手段を選ばなかったのにまんまとやられたんだから……」

エリカ「……アリサさん、私は――――」

ケイ「アリサっ!!」

ナオミ「アリサっ!!」

アリサ「た、隊長……ナオミ……」

エリカ「―――――あら?遅かったじゃない」

アリサ「隊長……すみません、私……」

エリカ「この子のお陰で勝たせてもらったわ。ありがとう」

ケイ「……どういうこと?」

アリサ「隊長、私、私……」
323 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/10(土) 17:37:20.44 ID:du4JwCds0
エリカ「どうもこうもないわ。この子が指示を出しているってのは早い段階でわかってたもの。

    あとはこちらのフラッグ車をチラ見せしつつ、あなた達主力引きつけて、孤立したフラッグ車をドンッ!……まぁ、ギリギリだったけどね」

アリサ「……え?」

ケイ「……そっか。さすがねっ!!完敗よ!」

エリカ「あなたこそ、なんでこんなのをフラッグ車においたの?」

ケイ「アリサがやる気だったからね。それに、私も前線で暴れたかったからよ」

エリカ「そう。なら残念だけどこの子に指揮官の才能は無いわ。卒業までに別の候補を見つけるのをおすすめするわよ」

アリサ「っ……」

ケイ「あははっ、悪いけどアリサはもう私の後に隊長を継ぐって決まってるの」

エリカ「そうなの?なら、来年もサンダースは一回戦敗退ね」

ケイ「……そんなことないわっ!来年のサンダースはもっと強くなる。頼れる後輩が私にはいるんだもの!来年も正々堂々と戦わせてもらうわっ!」

エリカ「お得意のフェアプレイ精神?残念だけど、こいつにそんな才能はないわよ。ご自慢のシャーマン部隊も、ファイアフライも何一つ活かせなかったんだから」
324 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/10(土) 17:42:09.15 ID:du4JwCds0

ガシッ



ナオミ「……そこまでにしてもらおうか」

ケイ「ナオミ、ダメよ」

ナオミ「その口をそれ以上開いたら……」

エリカ「……仲良しこよし。ずいぶん楽しそうね?来年は小学生の部で出場すれば?」

ナオミ「お前ッ!!」

アリサ「やめてっ!!!」

ナオミ「っアリサ……」

アリサ「わた、私が悪いのっ!私が、あんな……」

エリカ「……ふん、わかったならいいのよ。悪いけど私たちには次の試合があるの。あなた達と違ってね?さっさと帰らせてもらうわ」

ナオミ「待てっ!!」

ケイ「ナオミ」

ナオミ「っ……」

ケイ「……エリー」

エリカ「……何?」

ケイ「あなた、変わったわね」
325 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/10(土) 17:50:40.31 ID:du4JwCds0
エリカ「……ケイさん、試合前に私にこう問いましたよね?あなたにとっての戦車道は何?って」

ケイ「ええ」

エリカ「私にとっての戦車道は―――――勝つことです」

ケイ「……」

エリカ「どんなに戦車が弱くても、どんなに練度が低くても、持てる力をつぎ込んで勝つことです。そうでなきゃ―――――私には何もないから」

ケイ「っ……」

エリカ「……さよなら」スタスタ

ケイ「……さぁ、私たちも戻りましょう!まだ試合後の挨拶があるんだから」
326 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/10(土) 17:58:33.90 ID:du4JwCds0





エリカ「あら?いたの」

優花里「は、はい……」

沙織「……」

エリカ「梓達には連絡してくれたのよね?私はちょっと気分が良くないわ。悪いけど、試合後の挨拶は桃ちゃんたちに頼んでおいて」

優花里「あ、はい……」

沙織「……えりりん」

エリカ「何?」

沙織「もう、ああいうのはやめて」

エリカ「……何のことかしら?」

沙織「アリサさんを庇ったんでしょ?無線傍受の事、バレたら大変だって思って……」

エリカ「……さぁね。私はただ、言いたいことを言っただけよ」

沙織「……次は黙ってないから」

優花里「私も……沙織殿と同じ気持ちです。エリカ殿、あまり偽悪的に振る舞うのはやめてください」

華「あのような振る舞いはあなただけではなく、私たちも同じように辛いものです」

麻子「……あまりいいことではないと思うぞ」

エリカ「……考えておくわ」
327 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/10(土) 18:05:21.67 ID:du4JwCds0
タッタッタッ



アリサ「待ってっ!!」

沙織「アリサさん?」

エリカ「……何か用?」

アリサ「どうして無線のこと言わなかったのよ」

エリカ「別に、ルール違反ってわけじゃないでしょ?」

アリサ「だったら、なんであんな……あなたが悪者になるようなことっ!!」

エリカ「……試合前に私言ったでしょ?勝利にこだわるその姿勢は好きだって。それに……隊長のためだったんでしょ?」

アリサ「っ……なんで」

エリカ「なんとなくね。黒森峰にいた時にあなた達のデータも入ってたから、あなたの人となりもある程度は。

    尊敬する隊長は最後の大会で、なんとしてでも優勝旗を捧げたかったのよね」

アリサ「……」

エリカ「はっきり言って、今回私たちが勝てたのはたまたまよ。私たちの初撃が避けられた時点で勝ち目はほぼなかった。

    それに最後の砲撃、完全にしてやられたわ……勝てたのは本当に偶然。何百回かに一回の幸運が転がり込んできたから勝てたのよ」

アリサ「無線傍受までしてあそこまで追いつめられてる時点でね……」

エリカ「……アリサさん、あなたの間違いはただ一つ。―――秘密を抱えたまま試合に挑んだことよ」

アリサ「……」
328 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/10(土) 18:15:41.18 ID:du4JwCds0

エリカ「隊長を、サンダースを本気で勝たせたいならあなたはしっかりと無線傍受について事前に話しておくべきだった」

アリサ「知ってるでしょ?隊長はそういうことを嫌う人だから」

エリカ「それでもよ。そこで意見をぶつけることを避けたから。この人はこうだからって諦めたから。だから、1輌で……いえ、1人で戦うことになるのよ」

アリサ「……」

エリカ「サンダースの練度と車両で真っ向勝負されたら勝ち目なんて無かった。

    無線を封じられて、連携が取れなくなった状態であなた達の意思疎通が完璧だったら手も足も出なかったわ。

    だけど、偶然に助けられたとはいえ結果は私たちの勝ちだった……紙一重どころかほぼ負けだったけどね」

アリサ「……」

エリカ「ケイさんのフェアプレイ精神は素晴らしいものよ、勝利だけが全てじゃない。真正面から本心でそう言える人はきっと少ないでしょうね」

アリサ「だから、私は隊長についてきたのよ」

エリカ「だから、あなたは1人で動く羽目になった……ケイさんは戦車道に勝敗は関係ないって言ったわ。でもね、勝利は一番わかりやすい慰めになるのよ。大切なものを失っても勝利が残れば……何もかも失うよりましよ」

アリサ「……私は」

エリカ「言っておくけど、無線傍受のこと言うんじゃないわよ。あなたの車両のメンバーもしっかり口封じしときなさい。

    でないと、私のしたことが無駄になるから」

アリサ「……あなた、酷い人ね」

エリカ「よくわかってるじゃない。来年はあなたが隊長なんでしょ?なら、影の一つくらい平然と抱えていられるようにしなさい」
329 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/10(土) 18:20:59.87 ID:du4JwCds0
アリサ「エリカっ!あなたは、辛くないの……?」

エリカ「……何のことかしら?」

アリサ「……ごめんなさい。なんでもないわ」

エリカ「そう、それならさっさと戻ったほうがいいわよ」

アリサ「うん……エリカ」

エリカ「何よ」

アリサ「次の試合、頑張ってね」タッタッタ

エリカ「……勝者を応援できる。それも、立派なフェアプレイ精神よ」

沙織「でも、えりりんはアリサさんに重い荷物を背負わせちゃったね」

エリカ「……」

沙織「きっと、あの場で言ったほうが良かったよ。ケイさんだって謝ればすぐ許してくれただろうし」

エリカ「余計なことだったってこと?」

沙織「……わからないよ。えりりんの言う通りルール違反じゃないんだもん。だけど、アリサさんがどう思うかはまた別の話だよ」

エリカ「……そうね」

沙織「……帰ろっか」

エリカ「……うん」
330 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/10(土) 18:22:44.25 ID:du4JwCds0


prrr



沙織「電話?」

麻子「私のだ」


pi


麻子「もしもし……え?」

沙織「麻子?」

麻子「はい、はい……わかりまし、た」

331 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/10(土) 18:23:53.12 ID:du4JwCds0
沙織「麻子どうしたの?

麻子「……おばぁが、倒れて病院に……」

沙織「えっ!?それじゃあすぐに行かないとっ!?」

華「ですが、ここから大洗まで距離が……」

優花里「学園艦に寄港してもらうにもすぐには……」

麻子「……泳いでいく」

沙織「馬鹿言ってないで!!ちょっとえりりんも何とか言ってってばっ!!」

エリカ「何とかって…………ん?」

沙織「えりりん?」

エリカ「あのヘリは……ならっ、冷泉さん来てっ!!」ガシッ

麻子「なっ、なんだっ?」

エリカ「いいから走ってっ!!」

沙織「ちょ、えりりんどこいくのっ!?……行っちゃった」
332 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/10(土) 18:24:42.04 ID:du4JwCds0
連休なので投稿。多分月曜も投下します
333 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/10(土) 18:31:51.94 ID:QssSfUPEo
乙です
どうするんだろ
334 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/10(土) 20:45:32.04 ID:ezf+EOxEO
乙です。
335 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/10(土) 22:00:11.04 ID:Rw8IbCG/o
乙ー
336 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/11(日) 11:27:05.32 ID:ibmmxg020
また泥被って(多分黒森峰の)ヘリ調達するんかな。しんどいな、エリカ

337 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/11(日) 15:14:04.42 ID:JShF1pJc0
ヘリ窃盗でエリカさん捕まってまうん?
338 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/11(日) 17:04:54.97 ID:izL1Fcgo0
エリカは一体幾つの影を背負って・・・
339 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/12(月) 17:48:24.13 ID:ioFUdVPh0






まほ「……」

エリカ「西住隊長っ!!」

麻子「逸見さん、こいつは……」

まほ「……お前か。何の用だ」

エリカ「あのっ、私にヘリを貸していただけないでしょうかっ!?」

まほ「いきなり来たと思えば……そんな頼みを聞けるわけがないだろう」

エリカ「隊長!!お願いしますっ!!どうしても今ヘリが必要なんですっ!!」バッ

麻子「逸見さんっ!?」

まほ「いくら頭を下げようと……私が、今のお前の頼みを聞く思っているのか?」

エリカ「……この子の祖母が病院に運ばれたらしくて、一刻も早く連れて行かないとっ……」

まほ「……」

エリカ「お願いしますっ!!隊長が……西住さんが私を恨んでいるのはわかっています!だけど、だけど今回だけは!!力を貸してくださいっ!!」

麻子「やめてくれ……私のためにそこまでしなくてもっ……」

エリカ「黙っててっ!!……西住さん、私にできることなら、何でもします。だから、どうか……」

まほ「……ふっ、くくっ……ははははっ、あははははははっ!!」

エリカ「西住さん……?」

麻子「何がおかしい」

まほ「……ああ、すまない。だがそこのがあんまりにもおかしい事を言うものだから。

   ―――お前が差し出せるものなんて何もないだろ。中身のない偽物が」

エリカ「っ……」

麻子「……いい加減に」
340 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/12(月) 17:58:22.19 ID:ioFUdVPh0
まほ「―――――ねぇ、あなたの名前は?」

麻子「…………冷泉麻子」

まほ「そこのとどんな関係なの?」

麻子「逸見さんとは……友達だ」

まほ「そう。……私は忙しいんだ。これ以上お前たちの話に付き合っている暇はない」

エリカ「そんなっ……お願いですっ!お願いですから……」

まほ「さっきも急に事務局の人に呼ばれたんだ。せっかく帰れると思ったのにまだしばらく残る羽目になるだろう」

エリカ「……え?」

まほ「ヘリも一人で乗ってきたからな。こんな野ざらしでは誰に盗まれるかわかったものじゃない。

   こんなことなら、副隊長も連れてくれば良かった。だが……これも強豪校ゆえの悩みなのかもな」

エリカ「それって……」

まほ「どけ。私はもう行かなければならないんだ」

エリカ「ありがとうございます!!」

麻子「あ、ありがとう」

まほ「何を言っているかわからないな。さっさと散ってくれ」スタスタスタ
341 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/12(月) 18:05:20.51 ID:ioFUdVPh0




バババババ

麻子「逸見さん、ヘリの操縦もできるんだな」

エリカ「黒森峰の時にね。ほかにも船とか飛行船も動かせるわよ?」

麻子「凄いな……」

エリカ「初見で戦車をあれだけ動かせるあなたも大概よ……」

麻子「……なぁ、逸見さん」

エリカ「何?」

麻子「なんで私にここまでしてくれるんだ?さっきの、黒森峰の隊長との関係はお世辞にも良いとは思えなかったが」

エリカ「……そうね、たしかに隊長は私を嫌ってる……いえ、憎んでいるのかもね」

麻子「理由は……言えないのだったな」

エリカ「……ええ。だけど、私にとって隊長は隊長なの。黒森峰から出てった今でも、逸見エリカにとって一番尊敬に値する人よ」

麻子「……」

エリカ「それに、私にはあんなんだけど隊長は優しい人よ?なんだかんだ言ってヘリ貸してくれたじゃない」

麻子「だが、それは逸見さんが頼んでくれたからだ」

エリカ「ほかにヘリ持ってそうな知り合いはいないしね。隊長がたまたま来ていてくれて良かったわ……っと、ほら見えてきたわ降りる準備しときなさい」

麻子「ああ」
342 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/12(月) 18:10:19.85 ID:ioFUdVPh0







バババババ



エリカ「ついたわよ。早くおばあさんのところに行ってあげなさい」

麻子「逸見さん」

エリカ「何?早く行きなさいって」

麻子「――――ありがとう。本当に、感謝してる」

エリカ「……いいわよ別に。だって、私たち友達なんでしょ?」

麻子「……ああっ」

エリカ「なら、気にしないで。また明日ね……麻子」

麻子「……ああ。また明日」
343 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/12(月) 18:16:01.18 ID:ioFUdVPh0





エリカ「……久しぶりに操縦すると結構疲れるわね……」

まほ「……」

エリカ「隊っ……西住さん」

まほ「……今日の試合、たまたま見る機会があった」

エリカ「そ、そうだったんですか」

まほ「……無様な試合だ。無線傍受程度であんなにも追いつめられて」

エリカ「っ……」

まほ「特に、最後のはなんだ?偶然三式の砲撃が当たったから良かったもののあんなのは負けと一緒だ」

エリカ「……私も、そう思っています」

まほ「ああ、指揮も統率もろくにとれないようなお前が戦車道の隊長をしようだなんて、私たちを……西住流を馬鹿にするのも大概にしてほしいな」

エリカ「……返す言葉もありません」

まほ「……なぁ、お前はいつまでそうしているつもりだ?」

エリカ「…………私は、私にはこれしかできません」

まほ「さっきの子、友達だって。まさかお前のような奴に友達がいるだなんて思ってなかった」

エリカ「……あの子だけじゃない。西住さん私、大洗に来て友達がたくさんできたんですっ!もうできないと思っていた戦車道をもう一度始められて、仲間ができたんですっ!」

まほ「だったらなおさらだ。友達を、仲間を騙して、お前は何も思わないのか」

エリカ「っ……だって、だって……私にはもう、この生き方しかできないの……」

まほ「……ああそうか、そうか。……わかったよ。やっぱり私は――――――お前を許せない」
344 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/12(月) 18:21:17.68 ID:ioFUdVPh0




エリカ「……」トボトボ

沙織「あっ!えりりん帰ってきたっ!!」

優花里「どこに行ってたんですか?冷泉殿は?」

エリカ「……たまたまヘリを持ってた知り合いがいたから、乗せてもらったのよ」

沙織「そんな知り合いいるのっ!?」

華「まぁ……」

エリカ「……帰りましょう」

沙織「え?」

エリカ「……疲れたわ」

沙織「う、うん……」
345 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/12(月) 18:29:35.12 ID:ioFUdVPh0




ガチャ

エリカ「……ただいま。って誰もいないか」

スタスタ バフッ

エリカ「……寝るならお風呂入って、着替えないと……でも、疲れたな……」






栗毛の少女『……』





346 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/12(月) 18:36:38.92 ID:ioFUdVPh0

エリカ「っ!?」バッ

栗毛の少女『……』

エリカ「あなた、まだっ……」

栗毛の少女『……』

エリカ「……消えなさい。わかったでしょ?あなたなんかに頼らなくたって私は勝てるのよっ!!」

栗毛の少女『……あ、』

エリカ「っ!?」

栗毛の少女『あなたは……弱い人』

エリカ「っ……ふざけんじゃないわよッ!!?あなたに、あなたみたいな奴がッ!!」

栗毛の少女『私が消えたところで、あなたは何一つ変わらない。変わらなかった』

エリカ「……うるさい、うるさいうるさいっ!!消えろっ消えろおおおおっ!!」

栗毛の少女『……』

エリカ「なんで、なんで消えないのよ……あなたはもう、死んでるのっ!!私が、私が殺したんだからッ!!」

栗毛の少女『……』

エリカ「死んだ奴が、いつまでも縋ってんじゃないわよっ!!!」
347 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/12(月) 18:45:04.73 ID:ioFUdVPh0





栗毛の少女『……』スゥー








エリカ「……」ハァハァ



348 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/12(月) 18:46:42.84 ID:ioFUdVPh0










『だって、私達の勝利の女神はえりりんだもん』







349 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/12(月) 18:50:21.76 ID:ioFUdVPh0








『どんなに戦車が弱くても、どんなに練度が低くても、持てる力をつぎ込んで勝つことです。そうでなきゃ―――――私には何もないから』








350 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/12(月) 18:50:50.21 ID:ioFUdVPh0






エリカ「っ……何が、何が勝利の女神よっ!?何が戦車道よっ!?私はッ!!こんなにも弱くてっ……無様で……空っぽなのに……」







351 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/12(月) 18:51:31.75 ID:ioFUdVPh0
ここまで。次はたぶん木曜で
352 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/12(月) 20:01:56.74 ID:nT1FWS6TO
マジで黒森峰時代に何が・・・みほからも恨まれてるんけ?

あ、乙です続き待ってる
353 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/12(月) 20:41:27.29 ID:beTQMtK5O

あくまでもエリカの見てる幻だからどっちもあり得るね
354 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/12(月) 21:01:33.99 ID:3gOqPQRPO

このエリカには幸せになってもらいたいなー
無理かもやけど
355 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/12(月) 22:06:47.38 ID:0b+UhwYyo
乙ー
356 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/12(月) 23:22:25.19 ID:iocEjEjs0
良い・・・
357 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/13(火) 08:08:12.31 ID:cuW0BCWLO
358 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/15(木) 17:31:48.13 ID:CjchT7qq0





沙織「んー……えりりん遅いなぁ」

優花里「まだ時間前ですから」

沙織「でも、えりりん時間に厳しいイメージがあるでしょ?」

華「昨日あれだけ頑張ったのですから疲れているのでしょう」

沙織「まだ寝てるのかな?それじゃあ戦車で迎えにいく?」

エリカ「勘弁してよね……」

沙織「あ、えりりん来たね。……ってどうしたの?目、赤いけど……」

エリカ「昨日は色々あったからね。ちょっと寝不足」

沙織「……大丈夫?」

エリカ「私が送っていったんだから最後まで付き合うわよ」

優花里「それじゃあ、お見舞いに行きましょうっ!」
359 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/15(木) 17:37:58.60 ID:CjchT7qq0




久子「まったくいつまでも人を病人扱いするんじゃないよっ!!」

麻子「実際倒れたんだから文句言えないだろ」

久子「口答えするんじゃないよっ!!だいたいあんたはいつまでそんなだらしない生活を続けるんだいっ!?」

麻子「……最近はちゃんとしてる。学校だってこのペースなら卒業できる」

久子「そういうことを言ってるんじゃないんだよっ!!」









エリカ「……元気なおばあちゃんね」

華「一応入院中のはずなんですけど……」

沙織「おばぁはだいたいあんな感じだよ?」

優花里「私もいつまでもあのように元気でいたいですっ」
360 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/15(木) 17:42:50.66 ID:CjchT7qq0
久子「だいたいあんたはねっ!!」

麻子「おばぁ、みんなの前であんまり怒鳴らないでくれ」

久子「まったく、口ばっかり達者になって……それで?あんたたちは麻子のなんなんだい?」

麻子「戦車道を一緒に履修している……友達だ」

久子「戦車道?」

華「五十鈴華です」

優花里「秋山優花里です」

エリカ「逸見エリカです」

久子「まぁっ!?あんたなんだいその髪はっ!?」

エリカ「……え?」
361 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/15(木) 17:46:18.34 ID:CjchT7qq0
久子「そんな若いのにずいぶん苦労してきたんだねぇ……うちの麻子が世話かけてないかい?」

エリカ「いえ、この髪は……」

麻子「おばぁ、逸見さんの髪は元から真っ白なんだよ」

エリカ「そういうことです」

久子「なんだそうなのかい」

麻子「すまないな逸見さん」

エリカ「いいのよ。……大事でないようでよかったです」

久子「ああ、ありがとう。確かあんたが麻子を送ってくれたんだろ?ほら、あんたも礼をいいなさい」

麻子「もう言った」
362 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/15(木) 17:51:50.32 ID:CjchT7qq0
久子「送ってもらったことだけじゃないよっ!!この子たちはねあんたのことが心配だからわざわざ来てくれたんだよっ!!」

麻子「……うん、わざわざ、ありがとう」

久子「もっと愛想よく言えないのかいっ!」

麻子「……ありがとう」

久子「変わってないよっ!!……まったく、戦車道なんて大変なことにこの子が役に立ってるんかい?」

華「ええ、冷泉さんの運転技術はとても素晴らしいです」

沙織「麻子、初めて乗った戦車をバンバン動かせたんだよ?」

優花里「冷静な判断力、とても素晴らしいですっ!!」

エリカ「むしろ、麻子さんがいなかったら私たちは一回戦を突破できませんでした」

久子「……そうかい。なら、まぁいいさ」
363 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/15(木) 17:55:55.74 ID:CjchT7qq0





麻子「……じゃぁおばぁ、また来るよ」スタスタ

エリカ「失礼します」

久子「……あんた、ちゃんとご飯食べてるのかい?」

エリカ「え?」

久子「髪だけじゃないよ。年の功ってやつで、目を見ればどんな人生送ってるのかなんとなくわかるのさ

  ――――そんな優しい目をしてるのに、まるで自分が無い。……ずいぶん辛いことがあったんだろ」

エリカ「……そう、ですね。辛いだなんて言葉じゃ足りないくらい……生きているのが不思議なくらい……」

久子「それでも、生きているんだろ?なら、前を向きな」

エリカ「……」
364 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/15(木) 17:59:11.35 ID:CjchT7qq0
久子「麻子は小学生の時に両親を事故で亡くしててね、そのせいかあんまり人づきあいが得意な方じゃない」

エリカ「そんなことが……」

久子「そんなあの子が沙織以外の友達を作れるだなんて思ってなかったよ」

エリカ「……麻子さんはとても頑張っていますよ。最初は嫌々始めた戦車道でしたが、今はもう私たちに欠かせない、大切な仲間です」

久子「そうかい……あの子は大切な人を失うのを怖がってる。それは、人として当たり前の感情さね」

エリカ「……はい」

久子「それでも前を向いているんだよ。……怠けてばっかでだらしない子だけどね」

エリカ「……麻子さんの事、大切に思っているのですね」

久子「当たり前だよ」

エリカ「……羨ましいです」

久子「……あんたも、いつまでも悲しみに縋ってないでもっと周りをみてみな。あんたが失ったものと同じものはないけれど、きっと悪くないものが見えるだろうさ」

エリカ「……はい」

久子「……年を取ると説経臭くなってしょうがない。引き留めて悪かったね、今日はありがとう……あの子の事、頼んだよ」

エリカ「はいっ」
365 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/15(木) 18:04:16.82 ID:CjchT7qq0





エリカ「おまたせ」

沙織「あ、えりりんやっと来た。何してたの?」

エリカ「……なんでもないわ」

麻子「トイレか」

華「冷泉さん、もうちょっとデリカシーを……」

エリカ「ほら、さっさと帰るわよ」

優花里「はい」

沙織「せっかく陸に上がったんだしなんかご飯食べてこっ!」

華「ええ、是非ともっ」

優花里「何にしましょうか?」

麻子「甘いものも食べたい」
366 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/15(木) 18:08:07.52 ID:CjchT7qq0
ワイワイ

ガヤガヤ



エリカ「……」




『いつまでも悲しみに縋ってないでもっと周りをみてみな。あんたが失ったものと同じものはないけれど、きっと悪くないものが見えるだろうさ』








エリカ「そんなもの必要ない。……だって」


367 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/15(木) 18:09:04.15 ID:CjchT7qq0







エリカ「貴女が、私の全てだったんだから」







368 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/15(木) 18:09:36.30 ID:CjchT7qq0
ここまで。次は土曜で
369 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/15(木) 18:15:16.02 ID:XvM67d/DO
まだまだエリカの闇は深いな
これからどう変わっていくのか楽しみ
乙です
370 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/15(木) 19:17:10.32 ID:FjqkmWhKO
やっぱ亡くなってるの? 乙
371 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/15(木) 19:42:06.73 ID:YrlRQaBpo
乙です
372 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/15(木) 21:18:16.32 ID:O3vuztpGO
何故だろう
このエリカに対して高町式交渉術を試して欲しくなった
373 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/15(木) 23:18:13.48 ID:txdO4biyo
乙ー
374 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/16(金) 04:16:53.39 ID:WBQtUdC10
エリカがみほを、じゃなくみほが自ら引いた?エリカを変える為に?
けど変わらないままでみぽりん怨念化?

解らん情報が多すぎて気になる乙
375 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/16(金) 10:16:19.18 ID:mCeUT2ZDO
明日が楽しみだ
376 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/17(土) 17:30:54.50 ID:wqBfGWYY0




桃「貴様ら、この間の一回戦は良くやったと誉めてやろう。だが、まだ試合は続く、気を抜くなよ腰抜けどもっ!!」

柚子「私たち何もできなかったけどね……」

桃「そ、それも作戦の内だったんだ!」

梓「気が付いたら試合が終わってて活躍も何もって感じです……」

カエサル「同感だ」

桃「うぅ……」  

エリカ「そんなことないわよ。あなた達が敵を引き付けてくれたおかげで、相手のフラッグ車を孤立させられたんだから」

梓「先輩……」

エリカ「だから、いつまでも落ち込んでないで桃ちゃんを見習ってシャキッとしなさい」

梓「か、河嶋先輩を見習って……?」

カエサル「……うーむ」

桃「なんでそんな不満げなんだっ!?」

エリカ「……まぁ、気持ちはわからなくわないわ。だけど、これから先誰か一人でも欠けたら私たちの勝利は無いわ。

    あなた達全員が勝利の鍵だって事をもっと自覚しなさい」

梓「……はいっ!」

カエサル「そこまで言ってくれるのなら」
377 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/17(土) 17:37:06.11 ID:wqBfGWYY0

エリカ「……なんだか暑苦しくなっちゃったわね。桃ちゃん、続けていいわよ」

桃「偉そうに……いいかお前たち、次の相手のアンツィオ高校はノリと勢いだけだなんて言われている。だが、言い換えれば調子に乗られると危険だということだっ!!」

沙織「アンツィオってどんな高校なの?」

エリカ「イタリア系の私立ね。確か、戦車道チームの立て直しのために安斎千代美って人を招聘してたわ」

沙織「スカウトされたってこと?それじゃあ強いの?」

エリカ「実力としてはまだまだ優勝レースに入れるほどではないわね。でも、安斎さん自身は優秀な人だと聞いているわ。

    アンツィオの戦車道チームも安斎さんが入ったここ3年でだいぶ実力をつけてきているらしいし」

優花里「一人で立て直しを図るだなんて凄いですね……」

エリカ「ええ、油断ならない相手よ」

桃「逸見の言う通りだ。そして、今日皆に集まってもらったのはそれが関係している」

梓「なんですか?」
378 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/17(土) 17:42:51.98 ID:wqBfGWYY0
桃「お前らっ!!戦車を探すぞっ!!」

柚子「……桃ちゃんいきなりそれじゃ意味わかんないよ?」

桃「桃ちゃん言うなっ!!準決勝からは参加可能車両数が15輌になるっ!今後のことも考えると戦力の増強は急務だっ!!」

エリカ「なるほど、だから戦車探しってわけね。それで?今回はちゃんとヒントはあるの?」

柚子「この間学校の戦車道関連の資料を調べてたら、今ある戦車以外にも形跡があったの。

   詳しい場所までは分からないけれど、いくつか場所を絞れたよ」

エリカ「なんだ。それなら何とかなりそうね」

桃「だ、だから怒るなよ……?」

エリカ「……あの時はあなた達がろくに仕事もせずに人にぶん投げようとしたから怒っただけ。

    ちゃんとしてるなら何も言わないわよ」

沙織「えりりんいつも怒ってると思われてるんだね……」

桃「とにかくっ!!各員、気を引き締めて捜索にあたるようにっ!!」

エリカ「それじゃあ早速班分けをして探しに行きましょう。桃ちゃんは私と一緒の班ね」

桃「だから桃ちゃん言うなっ!!……って、私もかっ!?」

エリカ「捜索に人手はいくらあっても足りないでしょう?」

桃「い、いや、私は戦車道の資料を調べなくては……何かヒントがあるかもしれないし……」
379 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/17(土) 17:48:58.60 ID:wqBfGWYY0
柚子「それは私と五十鈴さんに任せて、桃ちゃんは戦車探しに行って」

桃「な、なんで五十鈴なんだっ!?私だって書類を調べるくらいは……」

柚子「えー?桃ちゃん見落とし多そうだからいいよー。五十鈴さん、お願いね?」

華「河嶋先輩、ここは私に任せてください」

桃「そんなっ!?」

エリカ「はいはい、ぐちぐち言ってないでさっさと探しに行くわよ桃ちゃん。まずはどこから探す?」グイッ

桃「ひ、引っ張るなっ!?た、助けて柚子ちゃあああああんっ!!?」ズルズルズル

エリカ「班分けは頼んだわよー!」








優花里「行っちゃいましたね……」

沙織「えりりん普段は桃ちゃん先輩への当たり強いわりに、気に入ってるっぽいんだよね」

優花里「聖グロとの練習試合での活躍を評価しているんでしょうか」

華「もしくは河嶋先輩の打てば響く性格がエリカさんの琴線に触れたのかも」

沙織「好きな女子をいじめる小学生男子じゃないんだから……」
380 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/17(土) 17:56:36.12 ID:wqBfGWYY0




桃「何故私まで駆り出されるんだ……」

エリカ「いい加減諦めて探しなさい。なんなら会長も連れてくるわよ?」

桃「会長の手を煩わせるわけにはいかない!さっさと探すぞ逸見っ!」

エリカ「……ねぇ、桃ちゃん」

桃「なんだ?」

エリカ「なんであなたは会長の事を尊敬してるの?」

桃「愚問だな。お前は来たばかりだから知らないのだろうが会長は偉大な方だ。学園のため、ひいては学園艦のために日夜尽力している」

エリカ「そうは見えないけどね」

桃「見せていないだけだ。生徒には余計な苦労は見せずに学生生活を楽しんでもらいたい。それが会長のお考えなのだから」

エリカ「その割には、私に無理やり戦車道をさせようとしてたわね?」

桃「うっ……それは、仕方がない理由があって……」

エリカ「もしも私が戦車道が嫌でしょうがなくて、なのに自分の意志を出せないような子だったらどうなってたでしょうね?」

桃「……すまない。それでも、私たちにはお前が必要だったんだ。たとえお前の意志を無視してでも」

エリカ「……情熱的ね。いいわ、許してあげる。あなた達の事情は知ってるもの」

桃「……すまない」
381 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/17(土) 18:02:59.59 ID:wqBfGWYY0
エリカ「いいわよ。こっちこそ意地悪言って悪かったわね」

桃「……なぁ逸見」

エリカ「何?」

桃「お前はなんで大洗に来たんだ?」

エリカ「ずいぶんな言い方ね」

桃「茶化すな。以前お前が言ってたことだ、大洗に来たのは不本意だと」

エリカ「……よく覚えてるわね」

桃「会長はその事について何も教えてくれなかった。それはつまり、何かあるということだ」

エリカ「……ええ、その通りよ。桃ちゃん私はね、黒森峰を追い出されたの」

桃「それは……何故だ」

エリカ「……誰かを助ける力も、差し伸べられた手を掴む勇気も無かったからよ」

桃「……具体的じゃないな」
382 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/17(土) 18:09:43.79 ID:wqBfGWYY0
エリカ「……桃ちゃん、あなたは自分を嫌いになった事がある?」

桃「急になんだ」

エリカ「いいから、答えて」

桃「……あるさ。力不足なこの身を悔やんだことなんて数知れない」

エリカ「そう。……私もよ。私がもっと強ければ。私がもっと賢かったら。違う選択肢を選べて違う未来があったのかもしれない」

桃「……大洗に来たのは今でも不本意なのか?」

エリカ「……わからない。というより、それを決める事ができないの」

桃「なんなんだそれは。お前の事だろうに」

エリカ「……ええ。そうね……大会が終わったらゆっくり考えるわ」

桃「そうしろ。こっちも今は大会に集中してほしいからな」

エリカ「桃ちゃん」

桃「なんだ」

エリカ「……なんでもない」

桃「……?」

エリカ「さ、捜索再開よ」

桃「あ、待て置いてくなっ!?」
383 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/17(土) 18:15:58.30 ID:wqBfGWYY0





エリカ「……で、結局見つけたのが」

優花里「W号に使える長砲身とルノーB1bis、それに……ポルシェティーガーですね」

エリカ「ポルシェティーガーねぇ……」

桃「なんでそんなに残念そうなんだ」

エリカ「いや、長砲身とB1bisは良いのよ。特にB1bisは装甲に不安のある私たちにとって貴重な重戦車よ。

    でも、ポルシェティーガーかぁ……」

桃「何が不満なんだ?」

優花里「何と言いますか……ポルシェティーガーは乗る者に技量を求められるというか、その……」

エリカ「はっきり言ってやりなさい、まともに走らせるのも難しい失敗兵器だって」

桃「そうなのかっ!?」

優花里「いえっ、決して弱いわけではなく、堅くて強いっ!っていう戦車の王道な性能に対して、エンジン回りが劣悪を通り越していまして……」

桃「……使えるのか?」

優花里「……マニア垂涎の一品ではありますが、正直乗りこなせる乗員がいるとは……最悪スタート前に行動不能もあり得るかと」

エリカ「適当にレストアしてもらった後に売って別の戦車買いましょう。数の少ないレア物ではあるから、どこかしら買ってくれるでしょ」

優花里「えー?もったいないですぅ……」
384 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/17(土) 18:19:20.40 ID:wqBfGWYY0

エリカ「そんなこと言ってられないでしょ。とりあえず買い手を探さないとね」

桃「確かこれはドイツの戦車だったな。なら黒森峰が学術的資料として買い取ってくれないだろうか?」

エリカ「……その交渉、やるとしたら黒森峰に顔知られてる私も行くでしょ?追い出された奴が今度は失敗兵器を買い取ってってやってきたら、私だったらぶっ飛ばすわよ?」

優花里「むぅ……どうしましょうか」

エリカ「とりあえずネットで買い手を募集しましょうか」

???「その必要はないよ」

エリカ「誰っ!?」
385 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/17(土) 18:23:24.18 ID:wqBfGWYY0
ナカジマ「私、私。自動車部の中嶋だよ」

エリカ「中嶋さん?」

ナカジマ「艦内で見つかったあの戦車だけどさ、私たちに乗らせてよ」

エリカ「自動車部がってことですか?」

ナカジマ「そうそう、普段から戦車を整備している私たちならあの子も乗りこなせると思うよ?」

エリカ「……あれはそんじょそこらの戦車とは違いますよ?」

ナカジマ「そうみたいだね。だからこそ、レストアのし甲斐があるよ。どう?」

エリカ「……あなた達が本当にあれを動かせるなら、堅牢な装甲と、88o<アハト・アハト>を持つポルシェティーガーは、間違いなく私たちにとって重要な戦力になります」

ナカジマ「なら、いい?」

エリカ「はい。……お願いします」ペコッ

ナカジマ「ん、任せてよ。回収から修理まで丁重にやらせてもらうよ」
386 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/17(土) 18:24:20.19 ID:wqBfGWYY0
次は木曜で
387 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/17(土) 19:42:18.81 ID:V0WAaQ2no
乙ー
388 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/17(土) 21:15:37.12 ID:yL5yfYAiO
乙、桃ちゃん覚醒?
389 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/22(木) 17:17:24.82 ID:kCwitfTj0




―生徒会室―


桃「アンツィオはイタリア系の学校だ。先の一回戦においても使用した車両はCV33とセモベンテだった」

麻子「急に呼び出したかと思ったら作戦会議か」

華「CV33、可愛くて私好きですっ」

エリカ「機銃しか付いてないから戦車を倒すのはまず無理だけどね」

沙織「そんな戦車入れてるのに一回戦勝ったんだ」

エリカ「……まぁ、それについては数の少ない私たちも大概だしね。とはいえ、相手の指揮官が優秀なのは間違いないわ」

桃「話を聞けっ!……アンツィオが新型戦車を導入したという話もある」

沙織「新型?どんなのですか?」

桃「それは……不明だ」

エリカ「一回戦に出してないってことは秘密兵器って事でしょう」

杏「だろうね。でも、多分もうすぐわかるよ?」

エリカ「は?」

バンッ

優花里「秋山優花里、ただいま戻りましたっ!!」

沙織「ゆかりんっ!?」

エリカ「その恰好……通りでいないと思ったわ……」

杏「おかえりー」

優花里「みなさんおそろいのようで、それじゃあ早速試写会ですっ!!」
390 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/22(木) 17:22:31.23 ID:kCwitfTj0







〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  『サンダーフォース』

〜コロッセオに封じられし秘宝〜


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜








ケイ『はーい♪私の名前はケイ!特殊部隊サンダーフォースのリーダーよ♪』

ナオミ『……』

ケイ『この子はナオミ、寡黙で冷静な狙撃の名手よ!2キロ先の硬貨を撃ち抜けるぐらいの腕の持ち主なのっ!!』

アリサ『リーダー、遊んでないで準備してください』

ケイ『この子はアリサ。電子兵装のプロフェッショナル。どんな強固なプロテクトも彼女の前では何の意味もないわ。

   ちょっとずる賢いのと好きな男の子を前にするとアガっちゃうのが玉に瑕ね』

アリサ『関係ないでしょっ!?』

ケイ『そんな私たちが今回潜入するのは武装組織アンツィオ。巨大艦丸々一つを占領している危険な組織よ。

   私たちに下った指令はそこのコロセウムに隠されてる新型兵器の情報の入手、可能であれば破壊よ』

アリサ『……そんなに簡単に行くのでしょうか?』
391 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/22(木) 17:26:51.52 ID:kCwitfTj0


ケイ『問題ナッシング!そのための助っ人なんじゃない!そうでしょ、Ms.オッドボール?』

オッドボール『ふっ、その通り』

ケイ『サングラスで正体を隠しているこの子はMs.オッドボール。今回の作戦のために上が寄越した助っ人よ

   怪しい風貌、あからさまな偽名。だけど腕は確からしいわ。アンツィオへの潜入のカギはこの子が握っているとも』

アリサ『こんなやつ、本当に信頼できるんですか?』

オッドボール『もらった金の分は働かせてもらうさ』

ケイ『期待しているわっ』

ナオミ『ケイ、そろそろアンツィオの上空だ』

ケイ『オッケー!みんな、行くわよっ!!』


アリサ『パラシュート降下の訓練はしてきたけど……』

オッドボール『怖いならこのまま帰ってもいいぞ?』

アリサ『っ!?うるさいわねっ!!』

ナオミ『オッドボール、あまりアリサをいじめないでやってくれ』

アリサ『いじめられてなんかないっ!!』

ケイ『みんなっ!準備は良い?それじゃあ、行っくわよー!!』


バッ



ケイ『イヤッホオオオオオオオオオオオオオオゥ!!』



392 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/22(木) 17:30:26.68 ID:kCwitfTj0












『こうして私たちはアンツィオの野望を食い止めることができた。しかし、そのために払った犠牲は……決して小さくない』







ケイ『……』

アリサ『オッドボール……いえ、ユカリの死を無駄にしないためにも、私たちは生きないとね』

ナオミ『ああ。……っと、ケイ!!』

ケイ『……何?』

ナオミ『大統領の奴から直々の指名だ。私たちの力が必要だってさ』

ケイ『……そう、なら行きますかっ!』



『どうやら私たちに安息の時は来ないらしい。でも、それでいいのかもしれないだって私たちは――――』




ケイ『サンダーフォース、出動よっ!!』






〜FIN〜


393 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/22(木) 17:34:50.75 ID:kCwitfTj0
エリカ「……」

pi!

エリカ「……ねぇ、私は何を見せられ―――」

沙織「面白かったっ!」

華「オッドボールさん……運命に翻弄される中でそれでも友との友情に殉じたのですね……」

優花里「オッドボール゛う゛ぅぅぅぅぅっ……!!」ウルウル グスグス

杏「いやーなかなか面白かったね」

桃「っ……」ウルウル

柚子「ほら桃ちゃん、涙拭いて」

エリカ「……え?」

麻子「……相変わらずの脂っこい内容だったな。見ていて胃もたれするかと思った」

エリカ「麻子っ!」パァァッ
394 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/22(木) 17:36:51.69 ID:kCwitfTj0
麻子「だが……ふっ、たまにはこんな映画もいいかもな」

エリカ「え?」

パゾ美「私はもっとしっとりとした恋愛物が好みですね」

エリカ「誰?」

パゾ美「パゾ美です」

エリカ「……誰っ!?」

杏「おーパゾ美じゃん、そど子は?」

パゾ美「そど子は月末の書類整理で忙しいとのことで私が来ました」

杏「そっかぁ。……まだダメそう?」

パゾ美「……もうちょっとってとこですかね?」

杏「……おっけぇ。今度は私がそっち行くよ」

パゾ美「お待ちしてます」



バタン


エリカ「……結局誰なのよ」

優花里「エリカ殿おおっ!!オッドボール殿は素晴らしい方です゛よ゛ね゛え゛え゛え゛え゛!!」

エリカ「あー鬱陶しいっ!!」
395 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/22(木) 17:39:39.52 ID:kCwitfTj0





エリカ「……で?さっきのB級映画はなんなのよ。見たところまたサンダースに協力してもらったみたいだけど」

優花里「はいっ!!アンツィオに潜入するって話をケイ殿にしたら是非私の2作目を撮って欲しいと」

エリカ「あの人たちも暇ね……」

優花里「いやー監督兼役者は初めてでしたが上手くできました!!サンダースは映像技術だけじゃなくて演技指導も素晴らしいものでしたっ!!」

エリカ「相変わらずあなたは変な方向での才能を開花させてるわね……」

優花里「いやぁ……」テレッ

エリカ「褒めてない……わよね?」

華「映画の中でアンツィオの学園艦が爆破されてましたが大丈夫なのですか?」

優花里「あはは、あれはもちろんCGですよっ!」

華「ならよかったです」

エリカ「アンツィオ高校を完全に悪役にしてたけど大丈夫なの?」

優花里「ちゃーんと許可はとってますよノリと勢いが強みなだけあって話の分かる方々でしたっ!」
    
     ―――で、潜入結果ですが、見てもらった通りアンツィオの秘密兵器はP40でした」

エリカ「それを口頭で伝えてくれれば私の120分の浪費は5秒になったでしょうね……」
396 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/22(木) 17:44:14.23 ID:kCwitfTj0
沙織「P40ってどんな戦車なの?」

エリカ「え?……うーん、普通の戦車ってとこかしら」

沙織「普通の戦車?」

エリカ「それなりの装甲にそこそこの火力。そして微妙なエンジン。総合評価で平均点ぴったりって感じ」

沙織「……強いの?」

エリカ「装甲はともかく火力については75o長砲身だからそれなりのものよ。エンジンもレストアしているでしょうからそこまで悪くはないでしょうし、

    豆戦車のCV33と突撃砲のセモベンテが主力のアンツィオにとっては唯一の『戦車』ってことね」

沙織「そうなんだぁ。……勝てるかな?」

エリカ「……正直、わからないわね。確かに相手の構成車両の大半は豆戦車だけど、数は揃ってる。

    対して私たちは6輌しかないわ。数と質の差はほぼ同等。そこにP40が加わったとなると……」

桃「おい、今から弱気じゃ困るぞっ!」

エリカ「……何にしても相手の事を調べるのが先ね。特にP40は私も実物を見たことがないから一度詳しいスペックを知っておきたいわ」

杏「なら歴女チームのとこにいってみなよ。詳しい資料持ってるかもよ?」

エリカ「歴女チームが?」
397 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/22(木) 17:48:02.29 ID:kCwitfTj0






エリカ「たぶんこのあたりのはずだけれど……」




カラ゙ンッ!  カラ゙ンッ!



エリカ「この音……」







398 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/22(木) 17:52:12.35 ID:kCwitfTj0





カエサル「ッ!!」グイッ


ガランッ!!


カエサル「っ……はぁ、はぁ……」

エリカ「精が出るわね」

カエサル「隊長?」

エリカ「ごめんなさいね、呼んだのだけど誰も出ないから」

カエサル「ああ、気にするな」

エリカ「そう?それにしても炎天下の中ずいぶん頑張るわね。この練習装置わざわざ作ったの?」

カエサル「ああ。……先のサンダース戦で我々は何の役にも立てなかったからな」

エリカ「そんなことないわよ。あなた達やウサギさん、カメさんチームが敵の主力を引き付けていたから勝てたのよ」

カエサル「何が起きたのかわからないまま終わり、勝利を喜べと言われても納得できないさ。一年生チームも同じ気持ちだろう」

エリカ「……」

カエサル「次のアンツィオ戦、今度こそ私たちは役に立って見せる。そのための練習ならば、苦にはならないよ」

エリカ「……」
399 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/22(木) 17:55:42.84 ID:kCwitfTj0









『エリカさん、そろそろ帰ろうよー』

『帰るならあなただけ帰りなさい。私はまだ練習したりないんだからっ!!』

『そうはいってももう暗いよー?昼間だって練習があったんだから』

『……私は、あなたと違って自分に甘くないのよ。どんなにきつい練習だって、勝利のためなら苦じゃないわっ』

『でも、あんまり遅くなるとお姉ちゃ、隊長が怒られちゃうんだよ?』

『うっ……』

『それに、努力と無茶は違うっていつも隊長言ってるでしょ?エリカさん、隊長の事尊敬してるのに隊長の言うこと聞けないの?』

『ぐぅっ……』

『だから、ほら。着替えてもう帰ろう?練習は明日だってできるよ』

『……わかったわよ』

『うんっ!あ、エリカさん、帰りにコンビニ寄ろう?新発売のスイーツみたいのっ!』

『嫌よ。あなたコンビニ行くと普通に30分くらい居座るんだもの』

『えーっ!?お願いっ!20分ぐらいにするからっ!!』

『あんまり変わってないじゃない……10分にしなさい』







400 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/22(木) 17:57:22.83 ID:kCwitfTj0
エリカ「……なら、次の試合期待させてもらうわ」

カエサル「ああ、見ていてくれ」

エリカ「……筋力を付けたいならバレー部に体験入部してみたらどう?きっと喜ぶわよ」

カエサル「い、いや、さすがにあそこまでは……ていうかあれは筋肉とかじゃなくて別のエネルギーだろ……」

エリカ「同感よ……バレーボールって何なのかしら?」

カエサル「……わからん」

エリカ「……深く考えるとバレー部の闇に触れそうだから止めておきましょう」

カエサル「ああ……会長から話は聞いてる。せっかくだ、ゆっくりしていくといい」

エリカ「そうさせてもらうわ」
401 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/22(木) 17:59:23.36 ID:kCwitfTj0
ここまで。次土曜
402 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/22(木) 18:00:15.14 ID:KioZXogno
乙ー
403 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/22(木) 18:05:05.65 ID:M4rMbFQ+o
りょ
楽しみにしてるよー
404 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/22(木) 22:40:54.63 ID:/i6VNtDx0
ギャグとシリアスの緩急が上手い
405 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/23(金) 15:33:06.43 ID:L/WPObLr0
このエリカさんひょっとしてエリカさんではないのでは……?
でもそうだとするとまほさんの反応がセメント過ぎる……。うーん……
406 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/24(土) 17:55:12.01 ID:7TVOT19K0




沙織「いよいよ2回戦だねっ」

エリカ「不安は残ってるけど、とれる対策はすべて取ったと思うわ。勝敗を決めるのは……」

優花里「戦術と腕。あと運ですか?」

エリカ「……今回は運が入る要素はほぼないわ。将棋のようにお互いが考える最善手を打ち続けて先に相手を上回れば勝ちよ」

優花里「なら、私たちは駒ですか?」

エリカ「その言い方はちょっとあれね……まぁ、命令をしっかり聞いてくれる優秀な兵士はありがたいけど」

沙織「私たちは兵士じゃないもん」

エリカ「言葉の綾よ。それに、戦車道は戦争じゃ―――」
407 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/24(土) 17:57:24.91 ID:7TVOT19K0






『だって戦車道は戦争じゃないんだからっ!!楽しまなきゃ損。でしょ?』





408 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/24(土) 17:58:11.41 ID:7TVOT19K0
エリカ「……」

沙織「……えりりん、やっぱりケイさん達ともう一度――――」


ブロロロロロッ


アンチョビ「たーのもーー!!」

カルパッチョ「たかちゃーん!!」
409 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/24(土) 18:03:36.42 ID:7TVOT19K0
カエサル「ひなちゃんっ!!

杏「おーチョビ子ー。何の用?」

アンチョビ「チョビ子じゃないっアンチョビだっ!!試合前の挨拶に来たっ!」

エリカ「挨拶?わざわざご苦労なことですね」ヒョコッ

アンチョビ「おー、お前があの『大洗の白雪姫』逸見エリカかっ!」

エリカ「……それ、誰が広めてるんですか?」

アンチョビ「ん?お前たちとの試合が決まった後に聖グロのダージリンがうちに来てな。お前のことをえらく買ってたぞ」

エリカ「あんの似非英国人……一度あいつらの学園艦に強襲をかけようかしら。紅茶を全部海に投げ捨てれば堪えるでしょ」

優花里「それ、なぜかサンダースと聖グロの戦争になりそうなんでやめてください……」

アンチョビ「そうだぞ。食べ物は大切にするんだっ!」
410 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/24(土) 18:11:05.66 ID:7TVOT19K0
エリカ「まぁいいわ。申し遅れました、大洗の隊長を務めている逸見エリカです。安斎さんの評判は私も耳にしていますよ」

アンチョビ「そんなかしこまらなくていいぞ」

エリカ「いえ、その……先日はうちの秋山が失礼したようで……」

アンチョビ「ん?あーあれかっ!!いやむしろお礼を言いたいくらいなんだよ」

優花里「どういうことですか?」

アンチョビ「あの映画がサンダースで上映された後うちの学園艦がいわゆる聖地になったらしくてな、サンダースの生徒が観光客として来てくれるようになったんだっ!」

エリカ「そ、そんなに人気なんですか?」

アンチョビ「ああっ!音響にこだわった爆音上映や4DXも始まってるらしい。おかげさまで観光地として名が上がって、うちの財政はかなり助かってるんだ」

エリカ「あなたいつのまにか学園艦一つ救ってたのね……」

優花里「そういえばアンツィオから感謝状が届いてましたね」

アンチョビ「今度は客として来てくれっ!全力でもてなすからなっ!」

優花里「はいっ!!」
411 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/24(土) 18:16:41.95 ID:7TVOT19K0
アンチョビ「それにお前もだ逸見っ!」

エリカ「私ですか?」

アンチョビ「サンダースとの試合、私も見たが凄かったなっ!」

エリカ「……ギリギリの勝負どころか運が味方しての辛勝。褒められるようなことは何も……」

アンチョビ「何言ってんだっ!戦車道を復活させたばかりで、車両もそろってないような高校が、強豪校相手に勝ったんだぞっ!?

      それも相手のフラッグ車だけを仕留めるだなんて、最小の労力で最大の成果!これを凄いと言わずになんというっ!?」

エリカ「そ、そうですか?」

アンチョビ「ああっ!!運がなんだっ、それを引っ張ってきたのはお前たちなのだから。お前も胸を張れ、そしてチームの子を褒めてやれ!!」

エリカ「……はいっ、ありがとうございます」

アンチョビ「今日は正々堂々と勝負だ。試合、楽しもうなっ!」

エリカ「はい、よろしくお願いします」

アンチョビ「覚悟しとけよ?アンツィオは弱くないっじゃなかった強いんだからなっ!!」

エリカ「ええ、こっちだって」

アンチョビ「それじゃあなっアリヴェデールチ!!」

カルパッチョ「たかちゃん、それじゃあまたねっ!」フリフリ

カエサル「うん、またねっ!!」フリフリ



ブロロロロロッ……


412 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/24(土) 18:19:44.93 ID:7TVOT19K0
エリカ「正々堂々楽しもう……か。ケイさんみたいなこと言うのね」

沙織「そうだね」

エリカ「同じように戦車を揃えるのに苦労してて、同じように努力して勝利を目指しているのに、

    安斎さんと私で、ああも違うものなのね……」

沙織「……えりりん」

エリカ「さ、もうすぐ試合開始よ。戦車に乗りましょう」

沙織「……うん」
413 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/24(土) 18:30:43.98 ID:7TVOT19K0





エリカ「みんな、準備はいい?」

梓『はいっ!』

エルヴィン『ああ』

杏『おっけーだよー』

ねこにゃー『準備完了、だよ』

典子『できてますっ!』

エリカ「よし。試合開始したらアヒルさんとウサギさんに十字路の偵察に行ってもらうわ。

    アンツィオの基本戦術は機動戦。動きやすい環境を作られないように注意しなさい」

『はいっ!』

エリカ「ほかのチームはいざ敵と対面しても落ち着いて動きなさい。相手主力のCV33は機動力こそあれど武装は機銃のみ。

    深追いしてセモベンテやP40の前に引きずり出されないようにね」

『了解』
414 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/24(土) 18:45:47.99 ID:7TVOT19K0
エリカ「……鈴木さん」

カエサル『なんだ?』

エリカ「………………あなた達には期待してるわ」

カエサル『……隊長はプレッシャーをかけるのが上手いな』

エリカ「ち、違っ、そんなつもりじゃ……」

カエサル『ははっ、わかってるさ。……期待に応えるのが将の仕事だ。見ていてくれ』

エルヴィン『この75o長砲身が飾りでないということを見せてやろう』

左衛門座『殿は任せろっ!』

お良『それ逃げてるぜよ……』

エリカ「ふふっ……ええ、頑張って。私たちも頑張るから」

カエサル『それとだ』

エリカ「何?」
415 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/24(土) 18:51:14.03 ID:7TVOT19K0
カエサル『私の事はカエサルと呼んでくれ。元々ソウルネームは伊達や酔狂でつけたものだが、今は私たちの覚悟の証なんだ。偉人の名を語る以上、我々は負けるつもりはないというな」

エリカ「……そう。そっか……名前に、覚悟を込める。なるほどね」

エルヴィン『お、隊長も意外といける口か?』

おりょう『ならこの試合が終わったら私たちからソウルネームをプレゼントしてやるぜよ』

左衛門座『何か希望はあるか?』

エリカ「遠慮しておくわ」

カエサル『そうだぞ。隊長にはすでに大洗の白雪姫というソウルネームがあるからな』

エリカ「勘弁してよ……私は逸見エリカって名前がいいのっ!」

エルヴィン『残念だな』

エリカ「ほら、そろそろ始まるから。――――頑張りましょう。カエサル、エルヴィン、おりょう、左衛門座。……これでいい?」

『ああっ!!白雪姫殿っ!!』

エリカ「だからやめてってばっ!?」
416 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/24(土) 18:52:36.11 ID:7TVOT19K0







『試合開始っ!!』







エリカ「パンツァー・フォー!!」




アンチョビ「アーヴァンティッ!!」


417 : ◆eltIyP8eDQ [saga]:2018/02/24(土) 18:53:06.88 ID:7TVOT19K0
ここまで。次は火曜で
418 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/24(土) 20:56:59.88 ID:mLOgdoGGO
白雪姫も何かの隠語なのだろうか、乙です
419 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/24(土) 21:21:27.45 ID:dfjhpkvSO
パイパンか…
420 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/25(日) 00:48:28.08 ID:K/VTnA/no
乙ー
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