他の閲覧方法【
専用ブラウザ
ガラケー版リーダー
スマホ版リーダー
BBS2ch
DAT
】
↓
VIP Service
SS速報VIP
更新
検索
全部
最新50
テロリスト「「「この列車は俺たちがハイジャックした!!!」」」
Check
Tweet
271 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/27(水) 18:13:41.20 ID:bYSVmpXyo
魔族C「そ、そんなまさか。ははは、そんなワケないッスよ」
魔族D「そ、そうッスよ。いくら俺たちの行動が、魔界のルールを破るモノだとはいえ……」
魔族D「そんな、魔王さまが、俺らみたいな木端を直々に罰しに来るモンすかねえ?」
族長「だが、ならばこの状況。他にどう説明する?」
魔族A「!」
魔族B「そ、それは……」
魔族C「……、……」
魔族D「……ぞ、族長。もし魔王さまが、本当に俺らを捕まえに来たら……。どうします?」
族長「…………」
272 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/27(水) 18:14:09.01 ID:bYSVmpXyo
族長「……たしかに、我々の行いは、魔界の規範を越えて、人間界に干渉するモノだ」
族長「もし魔界に発覚すれば、処罰は避けられまい。一族の取り潰しもあり得る」
魔族A「そ、そんな。じゃあ……」
族長「―――だが、それがどうした?」
魔族B&C「「……!」」
族長「我らの決意は、その程度のコトで崩れるようなヤワなモノであったか」
族長「改めて誓おう。是が非でも俺は、この列車の動力源を奪い、アル○ォートこそが至高と知らしめる」
族長「果たさねばならぬ約定もある。ココで退くワケには、いくまいよ。例え敵が魔王だろうと天使だろうと」
魔族D「……うおおおおっ!! 反逆の精神、マジリスペクトっす!!!」
273 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/27(水) 18:14:37.99 ID:bYSVmpXyo
【1月1日 午前0時】
――1号車【展望車・前】
運転士長「―――“白の大天使”?」
魔王「ああ、そうだ。あんたたちが会ったという、白ドレスの女の正体……」
魔王「そして。今回の一連の騒動の黒幕である可能性が最も高い存在だ」
執事「テロリスト、悪魔、未来人ときて、とうとう天使が出てきましたか……」
教授「もう今さらって感じだよね。私は何も驚かないよ。あ、き○この山もらえる?」
副運転士「はいはい、どうぞー」
274 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/27(水) 18:15:11.53 ID:bYSVmpXyo
副運転士「さて、今回ここにお集りいただいたのは。ディナータイムでの、食堂車での騒動の関係者……」
革ジャン「へーえ。あの赤いポリマースーツが、お前を雇った、未来の市民ボランティアのねぇ」
小型メカ「たしかに彼は完全に不審者でした。ですが、車外に蹴り飛ばすのは、やりすぎでしょう……」
黒コート「う、うう。すまない。まさか、私たちの標的は、あの鉄仮面のほうだったとは」
桜色の女「まあまあ。過ぎたるは、なお、及ばざるが如し。アル○ォートでも食べて元気出すでござるよ」
魔王「ん? 人間のコトワザの、過ぎたるはナントカって、そういう使い方だったか?」
ウェイター「あ、オジサンたちも周りで掃除してるけど、事情よく知らないから気にしないでねー」
ウェイトレス「もう深夜だから、ほとんど乗客のヒトは寝てるだろうし、これ以上騒がないでねー」
運転士長「では料理長、食堂車の後始末はよろしく頼む。はあ、これで連絡は最後か……」ピッ
275 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/27(水) 18:15:40.48 ID:bYSVmpXyo
執事「それと、俺とお嬢様の二人。居合わせただけの乗客の皆さん以外は、これで全員でしょうか」
副運転士「そうみたいですね。こんな遅い時間に、ご協力感謝します」
教授「なんだか、まとめ役が板についてきたね」
副運転士「そ、そうですか? えへへ……」
副運転士「それにしても、もう深夜の0時ですか……」
教授「本当なら、皆でハッピーニューイヤー、って言ってるような時間だね」
教授「あいにく、私たちにそんな余裕は無いけれど」
運転士長「さて……。それで、ミスター・魔王。白の大天使、とは、いったい……?」
276 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/27(水) 18:16:10.05 ID:bYSVmpXyo
魔王「ああ。ここまで事態が大きくなれば、詳しく説明せざるを得ないな」
魔王「乗務員の嬢ちゃんには、軽く説明したが……。改めて詳しく説明するとしよう」
魔王「まず、この世界の裏には、天界という場所がある。生き物の魂が最後に行き着く場所だな」
魔王「世界の裏と言ったのは、物理的な上でも下でもないからだ」
魔王「通常の方法では行き来できない世界……。まあ、既に俺たちの出身の魔界や」
魔王「乗務員の嬢ちゃんも行った冥界なんかも関わってるし、そういうモノと理解してほしい」
運転士長「え。君、冥界に行ってきたのか……?」
副運転士「は、はい。死神のヒトや、冥王さんなんかとも会ってきちゃいました」
277 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/27(水) 18:16:43.66 ID:bYSVmpXyo
魔王「次に、天界は、多くの神々と、多くの天使によって運営されている」
魔王「神々のシゴトは、この世のコトワリを正常に運営するコトだ。そうだなあ、わかりやすく言えば……」
魔王「ハッキングから今晩のオカズまで、ってやつか? このコトバ、どっかで聞いたが面白いよな」
魔王「天界には、今晩のオカズを司る神から、ハッキングの神まで、色々いる。本当に色々だ」
桜色の女「ほー。今晩のオカズを司る神様とは、具体的にどんなコトを?」
魔王「俺も詳しくは知らないが、まあ、献立に迷ってる主婦の思考を助けたりとかだろうな」
魔王「あんたの思いついた今日のメニューも、案外、今晩のオカズの神の助けかもだぜ?」
副運転士「す、スゴい地味なコトしてるんですね……」
278 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/27(水) 18:17:21.82 ID:bYSVmpXyo
魔王「いやいや、ハデなコトしてる神々もいるぜ? 隕石の軌道を変えたり、冥界からの魂を処理したり」
魔王「そんなワケで、主神みたいなまとめ役もいるが、神々ってのは基本的に皆平等で、色々いる」
魔王「そして……。これが本題だな。天使……。神々の意志を実行に移す者だ」
魔王「天界の使いと書いて、天使。枕コトバに、“大いなる”とつけば、大天使」
魔王「下っ端の天使はウジャウジャいやがるが、上司である大天使の数は限られている」
魔王「それだけに、大天使のチカラは強力無比。俺たち魔王も何人いれば、一人とようやく渡り合えるか」
執事「魔王さんは天使と戦ったコトがあるんですか?」
魔王「小競り合いなら、何度か。だが魔界と天界の全面戦争となると、俺たちにとっても神話の時代だな」
教授「私の知らないコトもまだまだあるモンねぇ〜。知的好奇心がくすぐられる」ウズウズ
279 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/27(水) 18:17:53.22 ID:bYSVmpXyo
魔王「最後に。その大天使の中で、少なくとも騒動への関係はマチガイないのが……」
魔王「―――白の大天使。混沌を司り、自由と無秩序を愛する、ハタ迷惑な、乳デカ姉ちゃんだ」
ウェイター「お。胸が大きいのは良いねえ。お兄さん、直接会ったコトがあるのかい?」
魔王「あんた、気が合いそうだな。……うん、まあ、俺とアイツは、色々とな」
ウェイトレス「貧乳はステータスだ! 希少価値だ!」
革ジャン「白い乳デカ姉ちゃん? っとすると、もしかして、さっきの……」ドスッ!!!
黒コート「お前は黙ってろ!!」
小型メカ「うわあ。痛そお。毎日黒コートさんに殴られて、よく死にませんよね」フワフワ
280 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/27(水) 18:18:21.46 ID:bYSVmpXyo
副運転士「なるほど。その白の大天使さんが、今回の騒動を招いたと?」
魔王「ああ。大騒動、事件、イベント事だいすきの、アイツのコトだ……」
魔王「奴さん、ヒマに飽いて、この列車に揉め事を大量に集めやがったんじゃねえか?」
副運転士「うーん。そんなふうには、見えなかったような……」
副運転士「……いや、やっぱり見えたような?」
魔王「そして、この列車は、魔族にもよく狙われる厄ネタを積んでいる……。そうだな?」
運転士長「……! そこまで知っているのか、ミスター・魔王」
魔王「ああ。ドライ・ブラーの魔力塊のハナシは、魔界でも有名だからな」
281 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/27(水) 18:18:52.88 ID:bYSVmpXyo
魔王「まあ、その魔力塊の、本当の意味まで知る者は少ないが」
運転士長「本当の意味だと? この列車の動力源、というコトではなく?」
魔王「違う。古き人間と魔族の約定……。魔力塊はその要石、といったところか」
魔王「この列車の路線が、この国最大の霊峰の傍を通るのも、そのためだ」
魔王「簡潔に言おう。白の大天使は、魔力塊を破壊し、古の封印を解こうとしている可能性が高い」
魔王「なぜなら。それが俺の考えうる限り、この列車における最大の“大騒動”になるからだ」
副運転士「大騒動って……。その封印を解くと、いったい何が起こるんですか?」
魔王「要石が動かされれば、封印された神々の怒りは解き放たれ、最悪の大戦が始まる」
282 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/27(水) 18:19:20.86 ID:bYSVmpXyo
魔王「具体的に言うと。ある山が突然噴火して、みんな死ぬ」
副運転士「……!」
副運転士「それが……。あのエンマ帳の、真相……?」
魔王「そうだ。皆、聞いてくれ」
魔王「俺が冥界に行ったところ、今日の分の人間の死亡リストを確認するコトが出来た」
魔王「―――そこに、このドライ・ブラー号の乗員乗客、全員の名前があったんだ」
革ジャン「なんだと……!」
桜色の女「聞き捨てならないでござるな」
283 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/27(水) 18:20:02.89 ID:bYSVmpXyo
魔王「死因は、火砕流に、土石流。加えて、火山弾」
魔王「……マチガイない。件の、封印が解かれた結果の山の噴火によるモノだ」
執事「なるほど。列車の魔力塊とやらが、封印の要石であると知っているのは……」
魔王「ああ。魔界でもごく一部。さもなくば、封印された側の、天界の者だけだ」
運転士長「私でも知らなかったな。あの魔力塊に、そんなヒミツがあったとは……」
黒コート「つまるところ。白の大天使を捕らえるのが最優先、というワケか……」
小型メカ「私たちの問題も、教授の死亡がトリガーですから。山の噴火とやらが原因かもしれませんね」
教授「え、なになに? 私って有名人?」
284 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/27(水) 18:20:50.01 ID:bYSVmpXyo
小型メカ「あ、そういえば教授。“最強の兵器”ってどこにあるんですか?」
教授「げ。それか……。ゴメン、まだ無い。今現在絶賛思案錯綜中」
小型メカ「そ、そうなんですか……。なるべく早く作ってくださいね。未来のために」
教授「ねえ運転士さん。運転士さんは、さ。さっき、なんで食堂車の乗客にお菓子を配ったの?」
教授「それも、き○この山も、たけ○この里も、アル○ォートも、関係なく」
副運転士「え? あ、そういえばアレ、イマイチ意味ありませんでしたね……。あはは」
副運転士「いやあ。どれもおいしいお菓子なんだから、皆で一緒に食べればいいんじゃないのかな、って」
教授「……どれも、皆で、一緒に、か」
285 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/27(水) 18:21:21.84 ID:bYSVmpXyo
革ジャン「なるほどなあ。んじゃあ、俺たちで、その白の大天使って奴をとっちめてみますか」ジャコ
黒コート「は!?」
革ジャン「いやあ、俺たちは仮面の男を追ってたワケだけど、センパイが外に蹴り飛ばしちゃったジャン」
革ジャン「それにせっかくこんなヤバい列車に乗ってるのに、俺たちだけ仲間外れってのも、シャクだろ」
革ジャン「だったら、自分から悪を探す! そして倒す!」バン!!!
革ジャン「……それが。俺のポリシー」ヒュウ
黒コート「……お前のポリシーなど誰も訊いていないんだが」
小型メカ「まあ、私の相方も一緒に飛んでいってしまいましたしね……。やるコトが無いのはたしかです」
桜色の女「―――いや。奴は、必ず戻ってくるでござるよ」
286 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/27(水) 18:21:53.99 ID:bYSVmpXyo
黒コート「え?」
桜色の女「―――仮面の男。拙者は、何度もあの男と戦った」
桜色の女「ある時は一対一で倒し、ある時は戦艦ごと落とし、ある時は空中庭園ごと叩き潰し……」
桜色の女「それでも、奴は、ケロリとして次の戦いに現れた」
桜色の女「タイムパトロールどの。あまり、あの男を、侮らぬほうがいい」
桜色の女「あの男は必ず、この列車に戻ってくる。そして、……拙者と戦うコトになる」
桜色の女「仮面の男の身柄が目的なら、まだ諦めるのは早いでござる」
桜色の女「拙者が奴と決闘し、討ち果たした後に……。奴の身柄を、おぬしらに引き渡そう」
287 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/27(水) 18:22:20.38 ID:bYSVmpXyo
黒コート「なるほど……。そういうコトなら、仮面の男の打倒、ぜひお願いしたい」
桜色の女「承知した。そして、標的を譲っていただいたコト、かたじけないでござる」
小型メカ「あの正義の味方気取りも、しぶといですから、なんだかんだで戻って来そうですね」
革ジャン「ヒーロー野郎もオペ子ちゃんの味方だってんなら、やっぱ狙いは大天使だけだな」
魔王「ハナシはまとまったか? それじゃあ、俺もさっそく動きたい」
魔王「白の大天使は事件が大好きだ。だから、こちらからも事件を作って、おびき出す」
魔王「俺は魔王として、この列車に乗った魔族に灸をすえる必要もある。だから、まず魔族の奴らを……」
ミシッ
288 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/27(水) 18:22:47.65 ID:bYSVmpXyo
運転士長「ん? 今……」
副運転士「……ミシッ?」
ミシッ ベキベキベキベキ
ドゴン!!!!!!
ヒーロー「ぎゃああああああああああああああああああ!!!!!!」ヒュウウウウウウ
仮面の男「おや! そこにいるのは! 我が麗しの、それでも呼びたければ教授さん!!」ヒュウウウウウウ
教授「ま、またお前か!? それと、それでも呼びたければは余計だ!!」
キノコ頭「落ちるうううううううううううううううううう!!!!!!」ヒュウウウウウウ
289 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/27(水) 18:23:15.33 ID:bYSVmpXyo
執事「な、なんだ? また空からヒトが!?」
黒コート「か、仮面の男……!」
革ジャン「おっ、こりゃちょうどいい! 死ねぇ!!」バン!!!
テロリストB「あっ待て、拳銃なんか撃ったら、爆薬に引火して――――」シュボッ
_ _. _ _
ヽ` | | ロロ | | | | | |
´ | |_ __ロロ _ _ _ _ | | | | | |
´. .| __| | |. _| |_ _| |_ _| |_ l二l | | |_| |_| |_|
__,,:::========:::,,__ .| |  ̄| | l_ _l l_ _l l_ _l __| | _ _ _
...‐''゙ . ` ´ ´、 ゝ ''‐... |_| | ̄ |. </|_| </|_| </|_| |__| |_| |_| |_|
..‐´ ゙ `‐..  ̄ ̄
/ \
.................;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::´ ヽ.:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.................
.......;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙ .' ヽ ゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;......
;;;;;;゙゙゙゙゙ / ゙: ゙゙゙゙゙;;;;;;
゙゙゙゙゙;;;;;;;;............ ;゙ ゙; .............;;;;;;;;゙゙゙゙゙
゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;.......;............................. ................................;.......;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙
゙゙゙゙i;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;l゙゙゙゙゙
ノi|lli; i . .;, 、 .,, ` ; 、 .; ´ ;,il||iγ
/゙||lii|li||,;,.il|i;, ; . ., ,li ' ; .` .; il,.;;.:||i .i| :;il|l||;(゙
`;;i|l|li||lll|||il;i:ii,..,.i||l´i,,.;,.. .il `, ,i|;.,l;;:`ii||iil||il||il||l||i|lii゙ゝ
゙゙´`´゙-;il||||il|||li||i||iiii;ilii;lili;||i;;;,,|i;,:,i|liil||ill|||ilill|||ii||lli゙/`゙
´゙`゙⌒ゞ;iill|||lli|llii:;゙|lii|||||l||ilil||i|llii;|;_゙ι´゚゙´`゙
´゙゙´`゙``´゙`゙´``´゙`゙゙´´
290 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/27(水) 18:23:44.42 ID:bYSVmpXyo
――6号車【食堂車】
黒コート「時空整備課を……」
ヒーロー「――――あ」
黒コート「ナメるなァァッ!!!」
ドゴッ!!!
ヒーロー「ぶべらああああああああああああああああああ!!!!!!」ヒュウウウウウウ
桜色の女「な―――? 赤いカタマリ……!?」サッ
仮面の男「えっ? あの、ちょっ―――、待っ――――」
291 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/27(水) 18:24:12.62 ID:bYSVmpXyo
ズガッ!!!!!!
ヒーロー&仮面の男「「ぶべらああああああああああああああああああ!!!!!!」」ヒュウウウウウウ
ズドオ
ヒーロー「れ、列車の外に投げ出される!?」ヒュウウウウウウ
ヒーロー「そ、そんなワケにはいくか! 俺は列車に残って、まだやるべきコトがあるのだ!!」ジタバタ
仮面の男「むぅ……。このままでは線路の近くの木に叩きつけられて終わり、か……」ヒュウウウウウウ
仮面の男「ならば!!」チャッ
ヒーロー「な、何を!!?」ヒュウウウウウウ
292 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/27(水) 18:24:39.85 ID:bYSVmpXyo
仮面の男「こうするまでよ!!」ヒュッ
ヒーロー「ば、爆弾!? そんなモノお前、いったいどこに隠し持って――――」ヒュウウウウウウ
カッ
ドゴォォォン!!!
ヒーロー「ぶるああああああああああああ!!! 爆風に吹き飛ばされるうううううう!!!!!!」
仮面の男「ここからだ! しっかり捕まっていろ!!」シュボオオオオオオ
ヒーロー「あ、足からジェット噴射!? そんなモノお前、いつの間に装着して――――」ヒュウウウウウウ
ヒーロー「うおああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
293 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/27(水) 18:25:06.55 ID:bYSVmpXyo
――7号車【ラウンジ】 外部
ヒーロー「うおああああああああああああああああああ」
――8号車【ロビー】 外部
ヒーロー「ああああああああああああああああああああ」
――9号車【寝台車四】 外部
ヒーロー「ああああああああああああああああああああ」
――10号車【寝台車五】 外部
ヒーロー「ああああああああああああああああああああ」
294 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/27(水) 18:25:34.68 ID:bYSVmpXyo
――11号車【寝台車六】 外部
ヒーロー「ああああああああああああああああああああ」
――12号車【謎車】 外部
ヒーロー「ああああああああああああああああああああ」
――13号車【展望車・後】 外部
ヒーロー「ああああああああああああああああッ!!!」
仮面の男「―――む」
仮面の男「そこだアアァッッッ!!!」
シュボオオオオオオ!!!!!!
295 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/27(水) 18:26:02.38 ID:bYSVmpXyo
ヒーロー「ジェット噴射で列車の最後尾に近づいている!?」
ヒーロー「でも、一手足りない、届かない……ッ!!」
仮面の男「ならば一手伸ばすまでよおおォッッッ!!!」ビヨヨーン
ヒーロー「う、腕が伸びたああああああああああああ!!?」
ガン!!!!!!
ビュオオオオオオ
仮面の男「そら! 飛び乗れ!!」
ヒーロー「わかった!!」ダンッ
クルクルクル
296 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/27(水) 18:26:30.23 ID:bYSVmpXyo
ヒーロー「すたっ」
仮面の男「ふぅ……。危機一髪、といったところだったな」
ヒーロー「ああ……。仮面を被った変態かと思ったら、スゴいんだな。お前」スッ…
仮面の男「ふふふ。君こそ。良いアクロバティックだった」スッ…
r-〈`,
| ', ',`,
! ', ', ', γ 〉-、
l ', ', ', ` ,ヘ´ / /
{`ヽ } ', ', ', \ ,,_人、ノヽ / 丿/ /
',´ ヽ / } )ヽ ( / / / /
', ヽ、_/ / - < >─ / / / { r'´ヽ
ヽ / ) て { | l l
`, 〃 /^⌒`Y´^\ | /ヽ_、ノヽ/
ゝ ,' | イ /
ヽ ! |. ヽ /
l l | /
| ! ! i
l l
! |
297 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/27(水) 18:26:58.16 ID:bYSVmpXyo
テロリストA「え……?」
キノコ頭「ん? なんだ、今の音? 後ろから聞こえたな。13号車か……?」
ドタドタドタドタ
ヒーロー「ん……? 何やらコッチに走ってくる人影がいるな……」
仮面の男「こんな時間の、しかもこんなところで、何者だ……?」
テロリストB「―――た、大変です! 誰かいます!」
テロリストC「仮面を被った変態二人組です!!」
キノコ頭「なんだと!!?」
298 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/27(水) 18:27:32.72 ID:bYSVmpXyo
ヒーロー「変態とは失敬な!!」
仮面の男「我ら仮面の元に意気投合した二人組!!」
ヒーロー「マスク・ド・ヒーロー!」シャキーン
仮面の男「マスク・ド・スティール!」シャキーン
ヒーロー&仮面の男「「二人合わせて――――」」
ヒーロー「……あれ、何にしようか」
仮面の男「そこまで考えていない」
テロリストD「やっぱり変態だああああああああああああ!!!」
299 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/27(水) 18:28:25.31 ID:bYSVmpXyo
キノコ頭「く。どうしてこう、次から次へと、イレギュラーが……」
キノコ頭「……? 待て、鉄仮面のほう。お前、もしや……」
仮面の男「ん……? どうかしたかね、頭マッシュルームくん」
仮面の男「僕は君のような男に脳ミソヒトカケラほどの記憶も無いのだが……」
キノコ頭「……いや。お前が覚えていなくとも、俺は知っている……」
テロリストA「リーダー?」
テロリストB「あっ……! まさか、もしや……!」
キノコ頭「お前!! たけ○こ陣営に突然現れて、き○こ派壊滅の原因になった、仮面の男だな!!!」
300 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/27(水) 18:28:52.62 ID:bYSVmpXyo
仮面の男「ああ……。き○こたけ○こ戦争の」
ヒーロー「ああ……。き○こたけ○こ戦争の」
キノコ頭「……お前のせいで、俺たちが、どれだけの屈辱的大敗を喫したか」
キノコ頭「……お前の発案で、吊るされ火あぶりにされた、き○この山は数知れず」
キノコ頭「……お前の参戦で、ついにスフ○ラトゥーン決戦で、き○こ派は壊滅となった」
キノコ頭「―――お前のせいで、チョコとビスケットを分離され、街中に転がされたき○この恨み!!」
キノコ頭「今こそ思い知れ!! ファイヤアアアアアアァァァ!!!」
ボオオオオオ!!!!!!
301 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/27(水) 18:29:21.77 ID:bYSVmpXyo
ヒーロー「火炎放射器だと!?」ダッ
仮面の男「ううむ……。これは、逃げるしかあるまい」ダッ
仮面の男「ついでに10号車の客室の僕の武器も拾っていくとしよう」
キノコ頭「待てやゴラアアアアアアアアアアアア!!!」ボオオオオオ
テロリストC「で、出た……! リーダー必殺の、火炎放射器だ!」
テロリストD「き○こ派の憤怒の炎を体現したリーダーは、もはや誰にも止められない!!」
テロリストA「行くぞ! 俺たちも追いかける! お前ら、残りの爆薬を分けて持て!」ダッ
テロリストB「ああ。だけど今度は、火炎放射器の炎で引火させたりするんじゃないぞ!?」ダッ
302 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/27(水) 18:29:54.27 ID:bYSVmpXyo
――1号車【展望車・前】 屋根の上
キノコ頭「ファイヤアアアアアアアアアアアアァァァ!!!」
ボオオオオオ!!!!!!
仮面の男「くっ……! しつこい奴らだ! 列車の端から端まで追いかけてくるか!」フォン
ヒーロー「隙あり! 今必殺のォォ―――、カカト落とし!!」メキャ
キノコ頭「ぐあ!!!」ビタンッ
仮面の男「ま、待て! 炎の熱さと冬の寒さでモロくなった屋根に、そういうコトをすると……」
ミシッ
303 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/27(水) 18:30:22.00 ID:bYSVmpXyo
運転士長「ん? 今……」
副運転士「……ミシッ?」
ミシッ ベキベキベキベキ
ドゴン!!!!!!
ヒーロー「ぎゃああああああああああああああああああ!!!!!!」ヒュウウウウウウ
仮面の男「おや! そこにいるのは! 我が麗しの、それでも呼びたければ教授さん!!」ヒュウウウウウウ
教授「ま、またお前か!? それと、それでも呼びたければは余計だ!!」
キノコ頭「落ちるうううううううううううううううううう!!!!!!」ヒュウウウウウウ
304 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/27(水) 18:30:49.51 ID:bYSVmpXyo
執事「な、なんだ? また空からヒトが!?」
黒コート「か、仮面の男……!」
革ジャン「おっ、こりゃちょうどいい! 死ねぇ!!」バン!!!
テロリストB「あっ待て、拳銃なんか撃ったら、爆薬に引火して――――」シュボッ
_ _. _ _
ヽ` | | ロロ | | | | | |
´ | |_ __ロロ _ _ _ _ | | | | | |
´. .| __| | |. _| |_ _| |_ _| |_ l二l | | |_| |_| |_|
__,,:::========:::,,__ .| |  ̄| | l_ _l l_ _l l_ _l __| | _ _ _
...‐''゙ . ` ´ ´、 ゝ ''‐... |_| | ̄ |. </|_| </|_| </|_| |__| |_| |_| |_|
..‐´ ゙ `‐..  ̄ ̄
/ \
.................;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::´ ヽ.:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.................
.......;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙ .' ヽ ゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;......
;;;;;;゙゙゙゙゙ / ゙: ゙゙゙゙゙;;;;;;
゙゙゙゙゙;;;;;;;;............ ;゙ ゙; .............;;;;;;;;゙゙゙゙゙
゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;.......;............................. ................................;.......;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙
゙゙゙゙i;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;l゙゙゙゙゙
ノi|lli; i . .;, 、 .,, ` ; 、 .; ´ ;,il||iγ
/゙||lii|li||,;,.il|i;, ; . ., ,li ' ; .` .; il,.;;.:||i .i| :;il|l||;(゙
`;;i|l|li||lll|||il;i:ii,..,.i||l´i,,.;,.. .il `, ,i|;.,l;;:`ii||iil||il||il||l||i|lii゙ゝ
゙゙´`´゙-;il||||il|||li||i||iiii;ilii;lili;||i;;;,,|i;,:,i|liil||ill|||ilill|||ii||lli゙/`゙
´゙`゙⌒ゞ;iill|||lli|llii:;゙|lii|||||l||ilil||i|llii;|;_゙ι´゚゙´`゙
´゙゙´`゙``´゙`゙´``´゙`゙゙´´
305 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/27(水) 18:31:16.65 ID:bYSVmpXyo
魔王「うおおおおお、また爆発した!?」
小型メカ「よく爆発しますねこの列車は!!」
桜色の女「―――やはり、現れたか」チャキ
副運転士「士長……! あのキノコ頭、教授さんや剣使いのヒトたちのお話通りなら……」
運転士長「うむ。奴こそが、ハイジャック犯の片割れ、き○こ派の総元締め……!」
ウェイター「あー、もう。せっかく掃除したのにグチャグチャだよ。オジサン、ショック」
ウェイトレス「まったく。ヒトの苦労を何だと思ってるのかなー」
ヒーロー「あ、いたたた……。まったく、ヒドい目に遭った」
306 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/27(水) 18:31:45.81 ID:bYSVmpXyo
小型メカ「自称ヒーローさん! ご無事でしたか!?」
ヒーロー「あ、ああ。なんとか。あの仮面のおかげで、列車に戻ってこれたぜ」
小型メカ「なんで指名手配犯と仲良くなってんですか……」
キノコ頭「むッ……。あれは、教授……!!」
教授「キノコ頭!」クルッ
キノコ頭「……クッ、ククハハハハ。俺たちは事故にはよく遭うが、天運もついている……!」
キノコ頭「やれ、者ども!! 再び奴とまみえたは僥倖!! 教授を捕らえろ!!」
テロリストA〜D「「「「イェッサー!!」」」」
執事「ぐ……ッ!」
307 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/27(水) 18:32:16.69 ID:bYSVmpXyo
ドタン!!! バタン!!!
ワー!!! ギャー!!! ワー!!!
魔王「……なんか、エラいコトになってきたなぁ」
魔王「いや、でもちょうど屋根に大穴が開いた! 今がチャンスだ!」
フワッ
魔王「……もしやこの事態すらも、白の大天使の掌の上という可能性もあるか?」
魔王「いや、それは穿ちすぎか……。いずれにせよ、俺は今、魔族を呼ぶという役目を果たすべきだ」
魔王「さあ! この列車のすべての戦いに、決着をつける時だ! ふんっ!!!」ヴヴヴヴヴン
308 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/27(水) 18:32:44.79 ID:bYSVmpXyo
――11号車【寝台車六】
ヴヴヴヴヴン
族長「……!」
魔族A「ま、また魔力波です、族長!」
魔族B「今度は明確な指向性を持っています! 1号車の、屋根の上から……!」
族長「…………」
魔族C「……? 族長?」
309 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/27(水) 18:33:10.34 ID:bYSVmpXyo
族長「―――お前たちはココに残れ」
魔族D「え!?」
族長「今の魔力の波動は、間違いなく魔王様だ……」
族長「『この列車に潜伏せし魔族よ。申し開きがあるならば、この魔王の元に馳せ参じよ』」
族長「この魔力波は、そういう意味を持った、念話だ……」
族長「……おそらく、俺がいけば、魔王様との戦いになる」
族長「それにお前たちを巻き込む必要は無い。お前たちは、ここに残れ」
魔族D「―――族長」
310 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/27(水) 18:33:37.59 ID:bYSVmpXyo
魔族A「……そんな冷たいコト、言いっこナシですよ」
族長「何……?」
魔族B「族長の、アル○ォート派として覇を唱えたいという気持ちは、俺たちも同じです」
魔族C「だったら、たとえ魔王さまが相手でも、一人では行かせられません」
魔族D「一蓮托生ってやつッスよ、族長!!」
族長「……。お前たち……」
族長「そうか。ならば、行くとしようか、バカども。―――魔王を倒しに」
魔族D「下克上の精神、マジリスペクトっす!!」
311 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/27(水) 18:34:06.31 ID:bYSVmpXyo
――12号車【謎車】 動力室の前
弓使い「……?」
剣使い「ん? どうかしたか、姐さん?」
弓使い「いや。今なんか、聞こえなかった?」
銃使い「物音……? 何も、しなかった」
車掌「私も、特には。弓使いさんは耳が良いのですか?」
弓使い「まあ、耳は良いほうだけど。そうじゃなくて……」
弓使い「頭の中に直接響いてきた感じ。テレパシーってやつかな?」
312 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/27(水) 18:34:34.27 ID:bYSVmpXyo
剣使い「テレパシー? そいつは、まさか……」
車掌「魔力によるモノですか? 弓使いさんは、魔法の素養がおありで?」
弓使い「まあね。本職の魔法使いほどじゃないけど、魔法も戦闘に使う」
弓使い「みんなには聞こえなかった? じゃあ、指向が限定的なモノなのかな」
剣使い「テレパシーってコトは、内容があるんだよな。なんて言ってた?」
弓使い「うん。盗み聞きしたみたいなモノだから、よくは聞こえなかったんだけど……」
弓使い「『おしおきするから、魔王のところに来ーい!』……みたいな?」
車掌「ま、魔王? いわゆる、魔族の王の……?」
313 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/27(水) 18:35:02.51 ID:bYSVmpXyo
銃使い「おしおきってコトは、上司が部下に罰を与える、ってコト?」
剣使い「ちょっと待て。魔王が罰を与える相手、ってのは……」
車掌「……! この動力室を狙っているハズの、魔族!?」
弓使い「つまり、アル○ォート派の魔族の、上司の魔王がこの列車に乗っていて……」
弓使い「その魔王が、部下の魔族を、いま呼び出した。ってコトか」
弓使い「……なら、さ。いつ魔族が勘付くかわからない、この動力室で待ってるよりも」
剣使い「俺たちも今のテレパシーの主の魔王を探したほうが早い、か!?」
車掌「そうですね。魔王が動いたとなれば、また新たな騒動が起きるのかもしれない」
314 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/27(水) 18:35:29.08 ID:bYSVmpXyo
――1号車【展望車・前】
魔王「ふぅぅぅぅ……。これで魔族のほうは、おとなしく降参してくれるだろ」
教授「うぐっ!?」
キノコ頭「フゥーハハハァー! 教授の身柄は、俺たちき○こ派が預かった!」
テロリストA「教授さえいればこの列車に用はありません! 脱出しましょう!」
執事「待て、下郎ども……ッ!!」
副運転士「し、士長! 私たちの乗客を、彼らに誘拐させるワケにはいきません!」
運転士長「ああ。この列車の総力を持って、き○こ派、ハイジャック犯どもをここで止める!!」
315 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/27(水) 18:35:57.69 ID:bYSVmpXyo
仮面の男「おお! 我が麗しの、それでも呼びたければ教授さん……。今この鉄仮面が、お助けに」
桜色の女「―――悪いが、ここは通行止めだ」ザッ
仮面の男「……! またしても君か。一度ならず二度までも会うとは、君は僕のファンなのかな?」
桜色の女「さてな。だが、その得物……。貴様も、私との戦いを予期していたのではないか?」
仮面の男「ほう……。これはこれは。運命とは、知らず知らずのうちにヒトを動かすらしい」
桜色の女「その言葉、どこまで本心かな。私は自分の欲望に正直になろう。少なくとも私は期待していた」
桜色の女「貴様と二人で死合うこと。忘我の果てに、獣のように踊り狂い、鮮血の華を咲かせること」スッ…
仮面の男「下品だね。だがそれがいい。僕たちの戦いに装飾は不要。必要なのは、互いの刃のみ」スッ…
316 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/27(水) 18:36:27.10 ID:bYSVmpXyo
黒コート「始まるか……。彼女らの戦いに割って入るのは、彼女らへの侮辱になるな」
革ジャン「ようし、それじゃあセンパイ! 白の大天使とやらを、探すとしようぜ!」
黒コート「は!? お前、本気で言ってるのか? それ、あの魔王が勝手に言ってるだけだぞ!」
革ジャン「ん? でも、なんか腹立つンだよな。俺の見えないところで、動いてる奴がいるってのは」
ヒーロー「はっ! 無辜の乗客の女性がさらわれた! おのれハイジャック犯!!」
ヒーロー「悪は滅ぶべし! 正義は必ず勝つ! 俺の目の黒いうちは、好きにはさせんぞ悪党!」ダンッ
小型メカ「ああっ、待ってください! もう……。本当に勝手なんだから」
小型メカ「申し訳ありません、革ジャンさん。大天使とやらは、お任せできますか!?」
革ジャン「おうよ。お互い、悪党は全員お天道様の元に引きずり出して、初日の出を迎えるとしようぜ!」
317 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/27(水) 18:36:53.58 ID:bYSVmpXyo
――4号車【寝台車三】
ドズン…!!!
白ドレス「お。この音……。これは、ついに始まったかな? 始まっちゃったかな!?」
白ドレス「『ドライ・ブラー号乗っ取り爆発大炎上事件』における、最後の大騒動が!!」
白ドレス「ラウンジでの爆発、食堂車での爆発……。正直爆発にも飽きてきてたんだよね」
白ドレス「さて。乗っ取りが起きて、爆発が起きれば……最後に起きるのは、なーんだ?」
白ドレス「―――さあっ! 私も、ただ一人の傍観者として、特等席での見物といきますか!」ガチャ
318 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/27(水) 18:37:27.10 ID:bYSVmpXyo
第五章「深夜・前」は以上になります。
物語も折り返し地点です。
第六章は、明日12/28(木)の18時ごろ開始の予定です。
319 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/12/27(水) 18:42:13.75 ID:ji5pDOAa0
列車をハイジャックは日本語間違ってるぞ
320 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage ]:2017/12/27(水) 19:17:26.50 ID:aOQkiWvX0
キノコ頭、必殺技が火炎放射器なんか…
はたして教授は“最強の兵器(仮)”を完成させる事が出来るのか
321 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/27(水) 20:18:43.47 ID:WM8z0BC0o
>>319
いや間違ってないから
ハイジャックのハイはHighのハイじゃねーよ
322 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/28(木) 17:42:14.33 ID:8Ux6rrbAO
ハイジャックのハイは英語で挨拶にあたる「Hi」の事
ハイジャックは交通機関の乗っ取り全般を表したりするけど、カージャックやシージャックのように
「場所や乗っ取る対象の名前+ジャック」も通用するのでハイジャックでもトレインジャックでも好きなのを使ってどうぞ
323 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/28(木) 18:00:02.13 ID:sxG2GDJmo
火炎放射器、ひゃっはーです。
それでは、第六章「深夜・後」を開始します。
60レスほどの予定です。
324 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/28(木) 18:00:29.88 ID:sxG2GDJmo
――1号車【展望車・前】 屋根の上
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;。;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;:;;;::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;;;;;;;;;;;;;;;;:;;;::::::;;;;;;;;;;;;;;;:;;;::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;;;;;;;;;;;;;;;;:;;;::::::;;;;;;;;;;;;;;;:;;;::::::;;;;;;:::;;;;
;;;:::::::::::;;;;;;;;:::::::::;;;;;+;;;;:::::::::::;;;;;;;;:::::::::;;;;:::::::::::;;;;;;;;:::::::::;;;;;;;;;:::::::::::;;;;;;;;。:;;;;::;:;;:::;;;;;;;;:::;;;
:::::;;;;;;;;;;;;;;:::::;.;.:.:.:.:.:...;:::;;;;;;::::::;;;;;;;;;;;;;;:: :::::;;;;;;;;;;;;;;:::::::;;;::::;;;;::::+;;;;::::::;;;;;;;;;;;;;;:: :::::;;;;;;::::;;;
:::::;;;:゜:::::::::.:.:.:.; ○ ;.:.:.::;:::::;;;::::::::::*::;:;:::::::;::::::::;;;::゜::::::;:;:::::;;:::::::::::;;;:::::;;;::::::::::::;:;:::::::;:::::::::
:::::::::::::::::::::::::.::.:.:.:.:.:.:.::゜:::::::::::::::::::::::::::::::::::: :::::::::::::::::::::::。:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::.::...::..:.:.::.::..::::....:::::......::::.....:::...::.:.:.:::::.::...::..:.:.::.::..::::....:::::......::::.....:::...::.:.:.:::::.::...::..:.:.::.::..:::::::
:: :: :: :: :: 。 :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: : ,,,.-‐=-:、 : :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :::
... . .............:..........:......:............:.........:..........:..........:.. ,,..-'"´..;;;;;;;;;;;::;:~ー- ...,,, .:............:.....:.
,,...--'''"..:::;;;iiiiiiiilllllllllllliiiiiiiillllllllllliiiiiiii!!!!;;;;;,,,,
,.-‐-., ,.-ー-., ,.-‐-., ,.-ー-., ,.-‐-., ,.-ー-., ,.-‐-., ,.-ー-., ,.-‐-., ,.-ー-., ,.-‐-., ,.
iiiiii::::ヾiiiiii::::ゞiiiiii::::ヾiiiiii::::ゞiiiiii::::ヾiiiiii::::ゞiiiiii::::ヾiiiiii::::ゞiiiiii::::ヾiiiiii::::ゞiiiiii::::ヾi
魔王「……、…………」
魔王「……?」ピクッ
325 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/28(木) 18:00:56.05 ID:sxG2GDJmo
ザッ ザッ
族長「…………」ザッ
魔族A〜D「「「「……っ」」」」ザッ
魔王「…………」
族長「…………」
魔王「……来たか」
ビュオオオオオオ
326 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/28(木) 18:01:33.85 ID:sxG2GDJmo
魔王「……まずは、勇ある魔界の民として、この魔王の召喚に応じたコトを褒めてつかわす」
族長「ありがたきお言葉」
魔王「我ら魔族のコトワリとはチカラがすべて。強き者が世界を支配し、弱き者を護らねばならん」
魔王「そのコトワリに反し、戦場から遁走するのであれば……。貴様らの命、そこで潰えていたところだ」
魔族A「……っ」ゴク
魔王「―――改めて名を聞こう」
魔王「貴様らの素性は既に知り得ている。だが、これが魔族の作法だ。貴様ら、何者の魔族だ?」
族長「……青鬼族。緋雷王一の臣下にして、かつて魔界に勇名轟かせた青鬼。俺はその現当主だ」
魔王「そうか、緋雷めの……。奴め、部下の管理はゾンザイと見える。今度注意しておかねば」
327 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/28(木) 18:02:13.48 ID:sxG2GDJmo
族長「僭越ながら、コチラからもお尋ねしたい」
族長「その魔力、その風貌、その威厳。貴方様が魔王の一角であるコトは疑いの余地も無い」
族長「だが俺は浅学ゆえ、その真の名に思い至らぬ。閣下は何者の魔王であらせられるか?」
魔王「……我が魔王であると知り、なお参じる勇。なお臆せぬ猛。なるほど、緋雷の臣下にふさわしい」
魔王「ならばその矜持に敬意を表し、我の座を名乗るとしよう」
魔王「……我は、あまねく魔性を統べる者。誉れ高き、七魔公王がその一人」
魔王「最も多くの魔族の長。守護宝石はペリドット。預かる座席は―――碧夕王、であるッ!!」
族長「リヒトヴァルツ、碧夕王……!!」
魔族B「先の魔界統一戦争において、我らの軍の中核を為し、緋雷王様とも共に戦った……!?」
328 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/28(木) 18:02:41.44 ID:sxG2GDJmo
魔王「いかにも!! 我が黄昏に照らされし、常緑の輝きに平伏するが良い!!」
魔王「そしてこの碧夕王が問おう、青鬼の族長よ!」
魔王「勇ある貴様が、なにゆえ魔界の法を破り、人間界へと攻め入ったか!?」
族長「…………」
族長「……貴方様には詮無きコトだ、魔王よ」
族長「我らはアル○ォートをニンゲンに侮辱されたがゆえに、人間への復讐を誓った」
族長「それ以上でも、それ以下でもない。些末なコトと断じるならば、嗤うが良い」
魔王「……。なるほど、チョコ菓子が原因、か」
魔王「存外世界は狭い。菓子が原因の揉め事など古来より在る。だが、俺はそれを一笑に付しはしまい」
329 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/28(木) 18:03:09.09 ID:sxG2GDJmo
魔族C「……と、いうコトは、我らの主張を認めてくださるのですか!?」
魔族D「やはりアル○ォートこそが至高であると!?」
魔王「―――たわけ!!」
魔族D「……!」ビクッ
魔王「どのチョコ菓子を愛そうが、貴様らの自由だ。俺は貴様らの主義主張に口を挟むつもりはない」
魔王「だが、それと魔界の法を破ったコトとは、別問題だ」
魔王「理由が如何であれ。魔族の人間界との接触は、干渉だけならまだしも、侵攻はご法度」
魔王「そして貴様らは、人間の、この列車で暴れた。……もはや弁解の余地はあるまい」
族長「…………」
330 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/28(木) 18:03:35.72 ID:sxG2GDJmo
魔王「…………」
魔王「……だが、まあ。俺とて、鬼ではない。いや貴様らは鬼だが、鬼神ではあるまい」
魔王「貴様らもまた、我が同胞。それも我が盟友たる緋雷めの臣下なれば」
魔王「おとなしく我がもとに下るのであれば、俺が上には取りなそう。なんとか、処罰を免れるよう……」
族長「―――断る」
魔族A「……!」
魔王「……何?」
族長「聞こえなかったのか、魔王? ……断る、と言ったのだ」
331 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/28(木) 18:04:03.65 ID:sxG2GDJmo
魔王「…………」ピクッ
魔王「貴様……」
族長「既に罪を犯した我らに、なお罰を免れんと説得してくださったコト。感謝する」
族長「きっと貴方様は、魔族であれ、ニンゲンであれ、同じように救いの手を差し伸べるのだろう」
族長「その慈愛、その度量。チカラがすべての魔界にあって、まさに魔王と称されるにふさわしい」
族長「―――だが、それでも我らは、貴方様の軍門に下るつもりはない」
族長「我らは魔界の民として、ニンゲンに打ち勝つため人間界の門をくぐった。人間との別の約定もある」
族長「ならば。我らは、チカラをもってそれを為すまで。たとえ敵が、魔王、貴方様であろうと!!」
332 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/28(木) 18:04:31.18 ID:sxG2GDJmo
魔族B「族長……!」
魔族C「そうッスよ、族長! 俺らが束になれば、きっと魔王さまにだって負けません!」
魔王「なるほど」
魔王「―――よく吠えた」
族長「……!!」ゾワッ
魔族D「な……っ。急に雰囲気が……ッ」ビリビリ
魔王「……ああ、久しい。久しいな。魔界より争いの種が絶えて久しい」
魔王「今日に至るまで、一戦士としての昂ぶり、滾り、喜び。忘れ去って久しい」
333 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/28(木) 18:04:59.31 ID:sxG2GDJmo
魔王「だが、今しかと甦った。青鬼の族長よ」
魔王「その強者におもねぬ精神! チカラで強きを倒す気概! 自らの意志を押し通す蛮勇!」
魔王「それこそが魔界の民のホンシツたるモノ、魔界の民が魔族たる所以だッ!!」
魔王「ならば……。俺は、魔王として、貴様らのチカラにはチカラで応えよう」
魔王「その精神、如何に崇高か。その気概、如何に頑強か。その意志、押し通すに値するか!!」
魔王「来るがいい、青鬼族の精鋭どもよ……。そして体現して見せよ、魔界のコトワリを!!」
族長「……望むところだ。いくぞ、お前たち!!」
魔族A〜D「「「「応ッ!!!!」」」」
334 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/28(木) 18:05:27.98 ID:sxG2GDJmo
――1号車【展望車・前】
ズンッ…!!!
仮面の男「おや……」
仮面の男「どうやら、上は始まったようだね。開いた大穴から、青い炎や、碧の光が見える」
桜色の女「…………」
仮面の男「では、僕らも始めるとしようか」フォン
仮面の男「君とは幾度となく戦ったが。この戦いを、今までで最上の、甘美の一時としたい」
335 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/28(木) 18:05:55.27 ID:sxG2GDJmo
黒コート「っ……」ゴクッ
桜色の女「……黒コートどの」
黒コート「……! な、なんでしょうか」
桜色の女「まこと勝手な願いで、申し訳ないのだが……」
桜色の女「私と奴との、決着がつくまで、おぬしらにはこの部屋の外にいてほしい」
黒コート「……そ、それは何故ですか?」
黒コート「たしかに貴女がたには劣るかもしれませんが、私たちも歴戦の身」
黒コート「戦いにおいて自分の身くらいは守れる。そして仮面の男の身柄は逃がせない」
仮面の男「……無粋だね、時空環境整備課」
336 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/28(木) 18:06:22.03 ID:sxG2GDJmo
黒コート「は?」
桜色の女「…………」
仮面の男「そうだね。彼女の口には訊きにくいだろうから、僕が彼女の思いを代弁するとしよう」
仮面の男「―――彼女は。自分が本気で戦っている姿を見せるのは、恥ずかしい、と言っているんだよ」
黒コート「……え?」
仮面の男「おかしなコトかな? 人間、誰にだって、見られて恥ずかしいコトの一つや二つはある」
仮面の男「彼女にとって、それは。自分が本気で戦っている姿、というワケだ」
革ジャン「俺だってそりゃあウンコしてるトコに入ってこられたらなあ」
337 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/28(木) 18:06:49.40 ID:sxG2GDJmo
黒コート「そ、そうなのか……」
黒コート「それと革ジャン、お前は本気で黙ってろ」
仮面の男「だから。彼女の思いを汲むのであれば、どうか部屋の外で待ってほしい」
仮面の男「心配せずとも、僕は負けは潔く認めるほうだ。もちろん、勝ったら逃げるけどね」
仮面の男「それともアレかい、整備課。君は女のコを辱めるのがシュミなのかい?」
黒コート「い、いや。そんなワケないが……」
桜色の女「…………」
桜色の女「黒コートどの。どうか私からもお願いしたい」
338 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/28(木) 18:07:16.96 ID:sxG2GDJmo
桜色の女「私は、本気で戦っている私の姿を見られたくない」
桜色の女「私は、彼との死合を余人に見せたくはない」
桜色の女「―――少し、恥ずかしい」
桜色の女「普段の小競り合いなら、まだしも。この立ち会いは、特別なのだ」
桜色の女「どうか、私を信じ……。この勝負を任せてくれまいか」
桜色の女「この刀に誓って、約束しよう。鉄仮面卿は、私が必ず仕留める」
黒コート「…………」
黒コート「……わかりました。ならば私は、時空整備課は、貴女を信じます」
339 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/28(木) 18:07:43.14 ID:sxG2GDJmo
黒コート「よし、じゃあ行くぞ、革ジャン野郎。さらわれた教授さんを助ける」ダッ
革ジャン「ん? 例の大天使じゃねーのか? おい、待てよ!」ダッ
桜色の女「…………」
仮面の男「……行ったみたいだね」
桜色の女「…………」
仮面の男「…………」
仮面の男「ああ、もういいよ。彼女らは行った。これ以上隠す必要は無い」
桜色の女「……そうか」
340 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/28(木) 18:08:11.14 ID:sxG2GDJmo
桜色の女「ならば、良かった。これで私は、本当の私を、貴様以外に見られずに済む」
桜色の女「……はぁっ。はぁっ……」
桜色の女「本当の私を、貴様に。さらけ出す、コトが、出来る」
仮面の男「……いい顔だ」
桜色の女「先刻、貴様と数合だったが、斬り合って理解した」
桜色の女「やはり私がすべてをさらけ出せる相手は、貴様しかいないと」
桜色の女「私が心から刀を向けるコトが出来るのは、貴様しかいないと!」
仮面の男「ああ。僕もだよ、チェリーガール。僕が振るうべき刀は、君だけのモノだ」
桜色の女「だから、聞いてくれ。私が、これまで秘めてきた、いや、目を背けてきた、思い」
341 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/28(木) 18:08:37.64 ID:sxG2GDJmo
桜色の女「―――私は。貴様が、欲しい」
仮面の男「…………」
桜色の女「私は、貴様の、肉を。心を。刃を。頭を、顔を、手を、体を、足を、技術を、人生を――――」
桜色の女「すべて、私のモノにしたい。貴様のすべてを征服したくて、仕方がない」
桜色の女「……。ふぅっ……」
桜色の女「ああ、もうおかしくなりそうだ。目がとろけて、口が定まらない、頬が締まらない」
桜色の女「私は、貴様を感じたい。貴様のすべてを、この刀で斬り刻みたくて、仕方がない!!」
仮面の男「……君は、その思いを普段は胸の内に閉じ込めている。なるほど、素晴らしい擬態だと思うよ」
342 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/28(木) 18:09:05.66 ID:sxG2GDJmo
桜色の女「ああ、普段の拙者は、ただの風来坊……」
桜色の女「ひがな、風光明媚を求め、各地を漫遊するばかりでござる」
桜色の女「……だが、本当の私は、違う」
桜色の女「本当の私は、強い敵を、斬りたくて、斬りたくて、斬りたくて斬りたくて斬りたくて仕方がない」
桜色の女「敵を斬って、自分を確かめたくて。敵を斬って、相手を貶めたくて」
桜色の女「敵を斬って、血を見たくて。血をすすりたくて。血を満たしたくて」
仮面の男「……まったく。変わった女性だ」
仮面の男「僕は君のようなヒトを、今までに見たコトが無い。だが、だからこそ、愛おしい」
343 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/28(木) 18:09:32.43 ID:sxG2GDJmo
桜色の女「―――いざ。覚悟めされよ、鉄仮面卿」
桜色の女「その、ココロを隠す気障な仮面、叩き割り……」
桜色の女「すべてを私の前にさらけ出せ」フォン
桜色の女「私の目を見ろ。私の手を見ろ。私の足を見ろ。私の刀を見ろ。私の、私の――――」
桜色の女「私の、モノに、なれ」
仮面の男「断る」
仮面の男「あいにく、僕は、楽しい年末年始の旅行中なのでね……」
仮面の男「ここで君に生を絞り取られるワケにはいかないのさ!!」ダッ
344 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/28(木) 18:10:00.03 ID:sxG2GDJmo
――2号車【寝台車一】
ダダダダダダ
執事「待てェェェェェェッ!!!」
キノコ頭「待てと言われて待つバカがいるか! それ、窓から飛び降りろ!」
教授「はなせー!!」ジタバタ
テロリストA「こ、この列車時速何キロだと思ってるんですか!?」
テロリストA「さすがに生身で転げ落ちたら死にますよ!!」
キノコ頭「う、むむ……。言われてみれば、そうだな」
345 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/28(木) 18:10:27.23 ID:sxG2GDJmo
テロリストB「なら、一度屋根に登って、そこから飛び降りましょう!」
テロリストB「上からほぼ垂直にジャンプすれば、衝撃は最低限で済みます!」
キノコ頭「それだ! お前ら、そこのハシゴから屋根に登れ!」
運転士長「―――させるか!!」カチ
| | | | | | | | / 二二二二二二二.l .| l |..| l .| |
| | | | | | | | / _________ | | | | | | ..| |
| | | | | | | | / ________ l | | | | | ..| | _ 00
| | | | | | | | / |:|__|:| | | | | | | | ..| | └‐┐ | に二二l
| | | | | | | | | ..|:| ̄ ̄|:| | l | ..| | | l .| | ┌‐┘ |
| | | | | | | | | ..|:|__|:| | | | | | | | ..| |  ̄ ̄
| | | | | | | | | ..|:| ̄ ̄|:| | l | | | | l .| |
| | | | | | | | | ..|:|__|:| | | | l l .| | | |
| | | | | | | | | ..|:| ̄ ̄|:| | l | | | | l .| |
| | | | | | | | | ..|:|__|:| | | | l l .| | l |
| | | | | | | | | ..|:| ̄ ̄|:| | l | | | l .! .| |
| | | | | | | | | ..|:|__|:| | | ヽ ヽヽ\\ l l
━━━| |━━━| |━━| l | l .| |:| ̄ ̄|:| | l | l| ___! ! .! ! .l |
l\\ l\\ l\\\ヽ |:|__|:| | | /.///∨ | |
| \\ | \\| \\∧_|:|二二|:|_/∧./// / .! !
| | | .| .| || |./==============∨_∠/ / ./∨
| | | .| .| ||>/=================ヘ:/ / ./ / /:::
| | | .| .| ||======================ヘ_∠ __ / / /:::::::::::
| | | .! .|/xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx ヘ:::::::::/ / /:::::::::::::::::::
ヽ .| | .>/xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxヘ::/ / /:::::::::::::::::::::::::::
\ ヽ ニニニニニニニニニニニニニニニニニニヽ ∠__/:::::::::::::::::::::::::::::::::::
>/xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxヘ_::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::/xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx ヘ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
346 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/28(木) 18:10:57.04 ID:sxG2GDJmo
――3号車【寝台車二】
| | | | | | | | / 二二二二二二二二二.l .| l |..| l .| |
| | | | | | | | / ___________ | | | | | | ..| |
| | | | | | | | / _________ l | | | | | ..| |
| | | | | | | | / | \ .| | | | | | ..| |
| | | | | | | | | │ | l | ..| | | l .| | n.___◎ _ __ ∩
| | | | | | | | | │ | | | | | | | ..| | |┌‐┘ 辷l /7 _,n___ └┘/7 ∪
| | | | | | | | | │ | l | | | | l .| | L.二コ くノ `l_ヤ′ <ノ ○
| | | | | | | | | \ | | | l l .| | | |
| | | | | | | | | | | l | | | | l .| |
| | | | | | | | | | | | | l l .| | l |
| | | | | | | | | / | l | | | l .! .| |
| | | | | | | | | │ | | ヽ ヽヽ\\ l l
━━━| |━━━| |━━| l | l .| │ | l | l| ___! ! .! ! .l |
l\\ l\\ l\\\ヽ │ | | /.///∨ | |
| \\ | \\| \\∧ │ /∧./// / .! !
| | | .| .| || |./  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨_∠/ / ./∨
| | | .| .| ||>/===================ヘ:/ / ./ / /:::
| | | .| .| ||========================ヘ_∠ __ / / /:::::::::::
| | | .! .|/xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx ヘ:::::::::/ / /:::::::::::::::::::
ヽ .| | .>/xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxヘ::/ / /:::::::::::::::::::::::::::
\ ヽ ニニニニニニニニニニニニニニニニ二ニニヽ ∠__/:::::::::::::::::::::::::::::::::::
>/xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxヘ_::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::/xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx ヘ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
347 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/28(木) 18:11:49.86 ID:sxG2GDJmo
キノコ頭「何? 屋根への通路が塞がっただと!?」
運転士長「ふふふ……。この列車の防衛システムの一つ、隔壁封鎖だ」
運転士長「本来は対魔族用にと仕掛けた、戦闘の被害を最小限に留めさせるシステムだが……」
運転士長「こうして侵入者の逃亡防止に応用するコトも出来る。驚いただろう?」
副運転士「そりゃ驚きますよ!? なんでドライ・ブラー号ってそんなモンついてるんですか!!」
運転士長「これで列車の内部は、ウナギの寝床のように一本道だ……」
運転士長「ハイジャック犯よ、逃げ続けろ! 逃げたところで逃げ道は無いがな!!」
キノコ頭「くっ……!!」
348 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/28(木) 18:12:18.61 ID:sxG2GDJmo
――4号車【寝台車三】
白ドレス「―――さあっ! 私も、ただ一人の傍観者として、特等席での見物といきますか!」ガチャ
執事「逃げるなァァァァァァ!!!」
キノコ頭「俺たちとて逃げたところで逃げ道がないなら逃げたくなどないッ!!」
ドドドドドド
白ドレス「え? え? なになになに!? う、うわあ――――――ッ!!」ドカバキグシャポテ
白ドレス「う、うぅ……。ヒドい、ヒドすぎる……。大天使たる私を足蹴にしまくっていくなんて。がく」
黒コート「まるで台風だな……。いや、正しく、列車を襲った嵐か。……って、あ、アレ?」
349 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/28(木) 18:12:50.10 ID:sxG2GDJmo
革ジャン「あれ? この女、客室でヤクやってた白ドレスの姉ちゃんじゃねーか」ヒョイッ
白ドレス「だから私ヤク中じゃないからねっ!?」ガバッ
黒コート「ちょっと、何でお前が踏まれて……。いや、貴女が踏まれてらっしゃるんですか?」
革ジャン「あれ? 待てよ……」
革ジャン「白い、乳デカ姉ちゃん……。やっぱりコイツが、件の白の大天使じゃねえのか?」
黒コート「ギク!!」
白ドレス「ちょ、ちょっと、ハナシが違うよ時空整備課? 私の身柄は見逃すんじゃなかったの!?」
黒コート「っ〜〜〜……。ああ、もう!!」
350 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/28(木) 18:13:17.92 ID:sxG2GDJmo
――5号車【スイート】
キノコ頭「スイートルーム……! つまり、ここを抜ければ食堂車の6号車だ!」
キノコ頭「さっきの爆発で、食堂車の壁には穴が開いていたハズだ! そこから脱出するぞ!」
テロリストC「了解!!」
ダダダダダダ
執事「そうはさせるか! くらえッ、回し蹴りっ!!」ブンッ
キノコ頭「え? 何、ゴハアアアアアアッッッ!!!」カチ
副運転士「ん? 今、カチって……」
351 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/28(木) 18:13:47.03 ID:sxG2GDJmo
運転士長「あ、あれは! 魔界の術式自動防衛装置だ、伏せろ!!」
副運転士「え。術式……?」
チュドオオオオン!!!!!!
キノコ頭「ぎゃああああああああああああ!!!!!!」
テロリストD「あばばばばばばばばばばばばばばばばばば」
運転士長「コレはこの列車のモノじゃない。スイートルームの乗客が防衛用に仕掛けたモノだな……」
ウェイター「相当用心深い性格の魔族の乗客なのかね? しかし、部屋が焼けちゃったよ」
ウェイトレス「掃除するのは私たちなのに、ホント、困るなー」
352 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/28(木) 18:14:14.71 ID:sxG2GDJmo
――6号車【食堂車】
キノコ頭「し、死ぬかと思った……。だがココが食堂車だ!」
ヒーロー「そうはさせるか! とうっ!」クルッ
キノコ頭「なっ! 俺たちの上を飛び越えただと!?」
ヒーロー「すたっ」
ヒーロー「HAHAHA! どうだ! 食堂車の穴を使いたければ、立ち塞がる俺を倒して……」
料理長「ぬっ! さっきの赤色仮面!!」
ヒーロー「え?」クルッ
353 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/28(木) 18:14:42.75 ID:sxG2GDJmo
料理長「死ね!」バッ
ヒーロー「投げナイフぅぅぅっ!!?」グサグサグサグサ
バタッ
キノコ頭「何か知らんが、全弾命中したぞ! 今だ、穴に飛び込め!」
小型メカ「―――させません!!」フィィン
バララララッ!!!
テロリストA「あ、圧縮レーザー砲!? 焼けるうううううう!!!」
キノコ頭「最近のメカは高性能だなあ! くそっ、ラウンジの屋根にも大穴があった、そこから逃げる!!」
354 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/28(木) 18:15:09.96 ID:sxG2GDJmo
――7号車【ラウンジ】
マスター「―――なにやら、騒がしいですな」キュッ
キノコ頭「しまった! ラウンジにいるのは、あのマスターだ!!」
テロリストA「無理です俺たちじゃ絶対に勝てません!」
白ドレス「ああああああどいてどいてどいてぇ――――――!!!」ビュウウウン
キノコ頭「なんだ? 翼の生えた女が飛んできた!?」
教授「あれってウワサの白の大天使じゃないの?」
副運転士「白ドレスのお姉さん? と、お姉さんに捕まってるのはタイムパトロールのお二人!?」
355 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/28(木) 18:15:42.10 ID:sxG2GDJmo
黒コート「白の大天使、この状況を何とかしろ! お前なら出来るだろ!?」
黒コート「出来なきゃ殺す!!」チャッ
白ドレス「ふえーん、キョーハクだぁー。普段は冷静な人がパニクると一番手がつけられないよぉ」
革ジャン「なあ、お前……。俺たちの味方なのか、敵なのか、どっちだ?」
白ドレス「低い! 声が低いよコワいよ!? 私が君たちに何をしたっていうのかなぁ!!?」
マスター「―――天使の翼!! 貴様が、魔王の言っていた天界の者か!!」シュボッ
白ドレス「ちょっシュボッって何、ああ、右手を飛ばした音か―――ってええええええッ!!?」
ドォォォォン!!!!!!
キノコ頭「食堂車どころか、ラウンジまでも……! くそ、こうなりゃ逃げられるところまで逃げてやる!!」
356 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/28(木) 18:16:16.82 ID:sxG2GDJmo
――8号車【ロビー】
キノコ頭「ロビー!! たしかココは、アル○ォート派が戦いに行ったくらいで、他には何も……」
フロント「ああ、ガキ使終わっちゃったなぁ……」
フロント「あの後テレビを修理して、ついつい最後まで観ちゃったけど」
フロント「やるコト無いし、朝まで寝てようかな?」
テロリストB「フ、フロントにも乗務員がいます!!」
キノコ頭「こ、この列車の乗務員の例なら普通じゃない! 気をつけろ!」
副運転士「フロントさん、ソイツら捕まえてください!!」
357 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/28(木) 18:16:44.27 ID:sxG2GDJmo
フロント「え? また揉め事ですか?」
ズッ…
テロリストC「ハ、ハルバードです! あのフロント、斧槍を持っています!!」
キノコ頭「なんで列車のフロントがハルバードなんか持ってるんだぁぁぁ!!?」
テロリストD「後ろの絵画とかと同じ飾りモノじゃないのか!!」
フロント「……? それはモチロン、銀行でもどこでも、真っ先に狙われるのはロビーなので」
フロント「襲撃があった場合、初めに襲撃のあった場所で迎撃するのは当然では?」ブンッ ドガシャァァァァン!!!
キノコ頭「暴力団の事務所か何かか、この列車は!? う、うわああああああっ!!!」
358 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/28(木) 18:17:11.06 ID:sxG2GDJmo
キノコ頭「ロ、ロビーもダメだ! 9号車に逃げるぞ!」
テロリストA「はい! で、でも、どこまで逃げるんですか!?」
ガチャッ
車掌「いや、貴方がたの逃亡劇は、ここまでですよ」
キノコ頭「新手の乗務員!?」
副運転士「車掌さん!」
運転士長「車掌くん! 無事だったか!」
車掌「ええ。今のところ後方車両では何も起こっていませんので、コチラの応援に駆けつけました」
359 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/28(木) 18:17:38.13 ID:sxG2GDJmo
副運転士「あ、そういえば。車掌さんと一緒にいた、剣使いのヒトたちは……?」
車掌「ああ、彼らですか……」
車掌「彼らは既に向かいました。自分たちが行くべき、戦場に」
運転士長「……そうか。ならばココからは、我々の戦いというワケだな」
執事「さあ……。お嬢様を返してもらおうか」
テロリストB「へっ、やなこった! 俺たちは教授の“最強の兵器”でたけ○こ派を倒すのだ!」
教授「バカ! 私のコトはいいから、お前は逃げろ!」
キノコ頭「ぐ……。だが、この状況……」
360 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/28(木) 18:18:05.25 ID:sxG2GDJmo
副運転士「さあ、追いつめましたよー!」
運転士長「年貢の納め時というやつだな」
フロント「というか何でこんな状況になってるんですか?」
車掌「実は、き○ことか、たけ○ことか、色々ありまして……」
執事「ジャマするならば……。倒す!!」
キノコ頭(数の上でならば、5対5……。正面から戦えば、勝てないとは限らない)
キノコ頭(だが俺たちは、教授の拘束に一人を割いている。その時点で不利)
キノコ頭(とはいえ、後ろの副運転士とか運転士長とかいうのは、本当に戦闘力があるのか……?)
キノコ頭(いや、普通に見えても、この列車の乗務員だ。きっと何かを隠し持っているに違いない)
361 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/28(木) 18:18:45.67 ID:sxG2GDJmo
キノコ頭(くそっ、万事休すか……!?)
テロリストC「リ、リーダー。どうします……?」
キノコ頭「手持ちの弾薬も、底を尽きている。正直、もう打つ手が……」
テロリストD「あ、ちょっと待てよ。そういやお前、アレ仕掛けてなかったか?」
テロリストC「アレ?」
テロリストD「ほら。この列車に来た時に仕掛けた、脅迫用の爆弾。たぶんこの車両だったよな?」
テロリストD「おとなしく従わないと爆破するぞー、って言うための。まあ、結局使ってないけど」
キノコ頭「それだ……!!」
362 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/28(木) 18:19:14.35 ID:sxG2GDJmo
キノコ頭「お前ら、動くな!!!」
副運転士「……!」
運転士長「なんだ!?」
キノコ頭「……くっ、くくくくくく……。くくくっ、クハハハハハ……!」
キノコ頭「ハハハッ、クハハハハハ……ッ!!」
キノコ頭「お前たち、すっかり忘れているようだな。この俺たちが、何者かというコトを!!」
副運転士「何者か、って……? たしか、たけ○こ派のヒトたちでしたっけ?」
キノコ頭「違う! き○こ派だ! ソコはいちばん間違えてはいけないところだろうが!!」
363 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/28(木) 18:19:41.19 ID:sxG2GDJmo
キノコ頭「そうではなく……。俺たちがこの列車に来て、初め、何をしたかというコトだ」
執事「……ま、まさか!!」
キノコ頭「そうだ! もう一度言う、動くな!!」
キノコ頭「―――俺たちはこの車両に爆弾を仕掛けた!!」
フロント「何ですって……!?」
車掌「コシャクな……!」
キノコ頭「クッククク。形勢逆転というやつだな。爆破されたくなければ、おとなしくしろ!」
キノコ頭「この列車は俺たちがハイジャックした!!!」
364 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/28(木) 18:20:16.48 ID:sxG2GDJmo
――1号車【展望車・前】 屋根の上
新たな年の、新たな日が昇る前の、わずか数刻の宵闇。
その刹那の時の黒に一つ、まばゆく輝く青が存在した。
北の大地から西の大都市までを走る道中にある列車の上を、青き紅蓮が駆けていた。
青き紅蓮は、列車から立ち昇る煙を切り裂き、強大な魔力の主へと斬りかかる。
族長「―――ぬぅッ!」
魔王「チョコマカと……!」
対する碧の光は、自らの背後の空中に三十にも届こうかという数の魔法陣を展開する。
その魔法陣の機能は、魔力の圧縮放射。一つ一つが大軍を焼き払う魔王の絶技であった。
365 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/28(木) 18:20:42.93 ID:sxG2GDJmo
魔王「焼け消えろ! 砕け散れッ!!」
魔王の号令一下、海の色から樹の色までの十色の光が夜空に煌めく。
直後、光は熱線となって魔族たちを襲い、列車の屋根を焼き払う。
族長「くっ……! 避けろ!」
魔族A「ぐぁッ!!」ジュワッ
族長「っ……、しまっ――――」
魔王「どこを見ている、青鬼の族長!!」
族長「!」
366 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/28(木) 18:21:11.08 ID:sxG2GDJmo
熱線をしのぎ、爆風をやり過ごした族長の前に現れたのは、昏き夕暮れ。
この日既に過ぎ去ったはずの、薄暮の光景であった。
魔王「碧夕の名の下に命じる! 光よ此処に、舞い戻れ!」
魔王「大いなる光輝は此の手に、大いなる漆黒は此の空に!」
魔王「逆光の輝き放つ落陽、今ひとたびの静寂を!!」
族長「……っ」
魔王「―――吹き飛べ!!」
瞬間、列車に、群青に包まれた赤き光が飛来した。
367 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/28(木) 18:21:42.55 ID:sxG2GDJmo
――1号車【展望車・前】
仮面の男「なんだ!?」
桜色の女「……!」
幾十度目か、仮面の男と桜色の女が剣戟を交わさんとした時、
突如、戦いの舞台である1号車の天井が崩落した。
空より墜ちるは、屋根を形作っていた瓦礫、煙、そして、
今まさに水平線に沈まんとする夕陽のごとき黄昏の光。
仮面の男「茜色の光だって……? いったい、上ではどんな戦いが」
桜色の女「―――っ!」ダッ
368 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/28(木) 18:22:12.91 ID:sxG2GDJmo
仮面の男「うおっと!」
キィン
桜色の女「……! 脇が甘いッ!」
仮面の男「まったく。喋っている途中だというのに、容赦がないな、君は……!」
頭上を見上げていた仮面の男に、裂帛の勢いで桜色の女は右から斬り上げの一撃を放った。
しかし仮面の男は間一髪で対応。数合打ち合ったのち、大きく後方に距離を取る。
桜色の女「さもありなん。貴様は会話の最中に突然手元をいじり出す相手を許せるか?」
桜色の女「我らの戦いに、場の如何など、詮無きこと。ただ肝要なのは」
桜色の女「この場に立っている者がいるか。いるとすれば、それは誰なのか、それだけだろうッ!」
369 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/28(木) 18:22:39.70 ID:sxG2GDJmo
仮面の男「っ……!」
吐き捨てて、桜色の女は再び仮面の男に狼のように食らいつく。
薙がれては、斬り。払われては、斬り。二の足を踏ませては、斬る。
繰り返すこと十数度。桜色の女の剣筋は鈍らない。彼女の体は、衰えを知らない。
いや、衰えを知らないという表現は正確ではない。
彼女の思考は、自らの体の衰えを、考慮などしていなかった。
桜色の女「あぁ……」
仮面の男「…………」
桜色の女「あぁ……っ」
370 :
◆9xXTDlz//k
[saga]:2017/12/28(木) 18:23:08.36 ID:sxG2GDJmo
仮面の男「…………ッ」
桜色の女「あぁ……っ!」
桜色の女の大きく踏み込んだ左足は、仮面の男の懐を捉えた。
瞬間、閃光。彼女の斬り上げと、彼の防御が、再び交差する。
桜色の女「あぁ……、あぁ……っ、あぁ……っ! この感触!」
桜色の女「刀の交差する音! 汗と汗の混じった醜悪な匂い! 鉄と血の混じったかぐわしき薫り!」
桜色の女「貴様の表情、わからぬなぁ……。貴様はその仮面の内で、私の表情を、どう見る?」
タノ タノ タノ タノ
桜色の女「私はこのうえなく楽しい、愉しい、快しい、悦しい!!」
491.55 KB
Speed:0.2
[ Aramaki★
クオリティの高いサービスを貴方に
VIPService!]
↑
VIP Service
SS速報VIP
更新
専用ブラウザ
検索
全部
前100
次100
最新50
続きを読む
名前:
E-mail
(省略可)
:
書き込み後にスレをトップに移動しません
特殊変換を無効
本文を赤くします
本文を蒼くします
本文をピンクにします
本文を緑にします
本文を紫にします
256ビットSSL暗号化送信っぽいです
最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!
(http://fsmから始まる
ひらめアップローダ
からの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)
スポンサードリンク
Check
Tweet
荒巻@中の人 ★
VIP(Powered By VIP Service)
read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By
http://www.toshinari.net/
@Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)