テロリスト「「「この列車は俺たちがハイジャックした!!!」」」

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1 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/23(土) 18:00:36.00 ID:zTNaStQMo



【12月31日 午前9時】

――サッポロ駅 売店


白ドレス「おぉー! バターサンド、メロンゼリー、ルイズの生チョコにじゃがホ○ックル……」キラキラ

白ドレス「さすがはホッカイドーはデッカイドー! どれもおいしそうだなぁ〜!!」ルンルン

店員「あはは。どれにしますか?」

白ドレス「んー、迷うけど……。やっぱり、定番の白い愛人を20箱!」ビシッ

白ドレス「白い愛人っていいよね。響きがアダルティー、ってカンジで。あと何より白いし」

店員「白い愛人を20箱ですね。11520円になります」ジャコジャコジャコ チーン

白ドレス「はい、20000円ですね。……。……あ、あれ?」ゴソゴソ

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1514019635
2 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/23(土) 18:02:42.56 ID:zTNaStQMo

・全部で600レスほどの予定です
・九日間に分けて更新します
・感想、質問等々、大歓迎です

※この作品はフィクションです。実在の人物や団体等とは関係ありません
3 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/23(土) 18:04:10.92 ID:zTNaStQMo


白ドレス「お、お金が……。あんまりない……!!」ガーン

白ドレス「どどどどうしよう。あ、あるにはあるけど、いま使ったら車内販売で飲み食い出来ないよ……」

白ドレス「こ。困ったなぁ……」


紳士「おや。お会計でお困りですか? 少ないですが、私の分をお使いください」サッ


白ドレス「……! えっ、お、お金出してくれるんですか!?」パァッ

紳士「ええ。その白い愛人の数、ご友人に差し上げるのですかな? ご友人思いですな、お嬢さん」

白ドレス「お嬢さんだなんて、しかも良い声で、まったまたぁ〜。……むふふぅ。事実だけどお」テレテレ


店員「ありがとうございましたー」
4 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/23(土) 18:04:37.57 ID:zTNaStQMo


紳士「ふぅ……。無事に買えて良かった。良いところで会いましたな」コッ コッ

白ドレス「ナイスな紳士さん、ありがとうございました! ええ、本当に良いタイミングで会って……」コッ コッ


                            __
                        /ニ!
            l三-三l-------=-≦三]
            |‐=―T xz==ぅ :ヤ    ̄`.
            r┴┐l.|/`ヾ  ̄`丶   __ノ
            |―「l,リ./ '   Y _}¨丁
           _|_Y//.{    }} { {_ノ
          ノ:l:l:l7x彡'|   ,リ `7
            /^≧-W`ヽ .l   ノ イ
     ---ミ_{ {   }  }└=''"} _」
   /       ̄ ̄ ̄ ̄ ミ、-- 7
  ノ              . . `¨ヽ
 ./              . : : -- イ       Π       .∠ ̄ ̄/
. /,,           . :  Y  リ    | ̄ :  ̄ ̄| ∠二  二7    _
'"                   `デ´       ̄| | ̄| |   / /   ┌ ┘! ‐┐
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イ    `''<l_l_l_l>'"
5 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/23(土) 18:05:10.08 ID:zTNaStQMo


白ドレス「……!」

紳士「……ええ。本当に、良いタイミングで会った」


紳士「―――動くな。妙なマネをすれば、即刻撃つ」


白ドレス「わぁーお……。ひゅう。この往来の多い駅で、よくそんなダイタンなコトするねえ」チラッ

紳士「前を見て歩け。心配せずとも、拳銃は布で隠している。不自然な動きをするな」

白ドレス「そっか、拳銃か。でも拳銃なら、運が悪いと一発じゃ死なないかもね」コッ コッ

紳士「……チッ」

白ドレス「タダより高いモノはない、ってコトですかあ。私も用心しなきゃな〜」
6 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/23(土) 18:05:38.01 ID:zTNaStQMo


紳士「……普通のオトナならあの場面は、気持ちだけ受け取っておきます、と言うべきところだ」

紳士「楽園暮らしが裏目に出たな。特級指名手配犯00046号」

白ドレス「……ふっふっふっ。そこまで知ってるんだ。笑えてきちゃうなあ」


白ドレス「ってコトは、アレか、君。いつも私を追っかけ回してるコネコちゃん?」

紳士「その通りです。閣下の記憶に刻んでいただけているとは、恐悦至極」

白ドレス「あっはっはぁ〜。そっかぁ。どーりで聞き覚えのある声してると思った」


紳士「……本当に?」

白ドレス「うっそでーす。一ミリも疑ってませんでしたぁ」
7 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/23(土) 18:06:04.80 ID:zTNaStQMo


紳士「正直でよろしい」

白ドレス「ふふ。君たちにウソなんかついたら、私たちの品位がガタ落ちするモンでね」


白ドレス「……それで? 今日は何の用?」

白ドレス「知っての通り、お金は無いよ? それに、このあと予定があるんだよねえ」


紳士「……“サッポロ発、オーサカ行き”」

白ドレス「!」

紳士「本州縦断特急。『ドライ・ブラー号』に乗車する、という予定ですか?」

白ドレス「……うわぁ〜、なんでそこまで知ってるのぉ。ぞくぞくしてきたあ。なに君、ストーカー?」
8 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/23(土) 18:06:50.40 ID:zTNaStQMo


紳士「仕事柄ですよ。他にもお教えしましょうか? たとえば、今日の貴女の朝ゴハンは、白身の……」

白ドレス「わーっ! いい。言わなくていい。プライバシー侵害、ダメ、ゼッタイ!」ブンブン

紳士「貴女にこの国の人権が適用されるのでしょうか? まあ、ともかくですね……」


紳士「貴女は一時間後にこの駅から出発する、本州縦断特急『ドライ・ブラー号』に乗車する」

紳士「マチガイありませんね?」

白ドレス「マチガイありませーん。ひゅーう、尋問も気合い入ってるぅー。なんなら乗車券も見せようか?」


紳士「それには及びません。それと、乗車の理由も当てましょう。……ズバリ、“見世物”の見物だ」

白ドレス「うえー。本当に何でも知ってるんだねー。胃がムカムカしてきた」
9 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/23(土) 18:07:18.99 ID:zTNaStQMo


紳士「しかし、その“見世物”とは……。ひどく恐ろしく、そして熱い……」

白ドレス「そうだね。やっぱ年末年始はエンジョイしたいからさ、どっかに旅行しようと思ったんだけど」

白ドレス「今日この日なら、世界中で、ココで起きる事件が一番面白いと思ったんだ」


白ドレス「―――『ドライ・ブラー号乗っ取り爆発大炎上事件』」


白ドレス「……ね? ワクワクするでしょ?」

紳士「……なんですか、そのトンチキな名前は。事件のプロファイルに見覚えはありませんが」

白ドレス「だって私が今考えたんだもん」

紳士「そうですか、良かったですね」
10 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/23(土) 18:07:46.58 ID:zTNaStQMo


白ドレス「とにかく、今日。ドライ・ブラー号が、乗っ取られ、爆発、大炎上する」

白ドレス「それはマチガイないのでしょう?」

紳士「ええ。正確には、今日の夕刻から、明日の未明にかけて、ですが」


白ドレス「……で? そんなコト私に聞いて、どうするの? さらに詳しい身辺調査?」

紳士「その列車に、私たちも乗車します。実は私のバイクも今、搬入中です」

白ドレス「ほー。なんで?」

紳士「ある指名手配犯の標的と、ある白いモノが大好きな指名手配犯の女が乗るモノで」

白ドレス「うへぇー。それって片方、私のコトでしょう」

紳士「ご明察。白いモノが好きだという自覚は、あるんですね」
11 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/23(土) 18:08:12.82 ID:zTNaStQMo


白ドレス「そりゃモチロン! 空前絶後のォ、超絶怒涛の真っ白さ! 純白を愛し、純白に愛された女!」

白ドレス「それが……。私」キラッ

紳士「まぶしい。歯も真っ白いのか……」


紳士「……そして。列車に乗って、事件という見世物を見て。最後に、どうするおつもりですか?」

白ドレス「ん? 私、バッドエンドは嫌なんだよねぇ〜」

白ドレス「そんなさ、たくさんのヒトが死ぬ! みたいなさ」

白ドレス「虫唾が走る、っていうか。気に入らない」

紳士「なるほど……。それを聞いて、安心しました」チャッ

白ドレス「おぅ?」
12 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/23(土) 18:08:43.36 ID:zTNaStQMo


白ドレス「銃、下げちゃっていいの? 私、逃げるよ? ぴょーんと逃げちゃうよ?」

紳士「どうぞ、ご自由に。ここで貴女を逃がしたとしても、列車で再び出会う。確実に」


紳士「……それよりも。取引をしませんか?」

白ドレス「……取引? マネーがトレードでウィンウィンなアレ?」

紳士「ええ。貴女にとっても悪いハナシではないと思いますよ」ニコ


白ドレス「わっるいカオだあ。さっき騙されたばっかりなんだよねえ。信用できないなあ」

紳士「そう言わずに。すぐにヒトを信用する貴女の純粋さは美徳ですよ」

白ドレス「は、恥ずかしくなるようなコト言わないでよ。照れちゃうから」テレテレ
13 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/23(土) 18:09:11.51 ID:zTNaStQMo


紳士「嫌味ですよ……。私が提供する報酬は、今回、貴女の身柄を見逃すコトです」

白ドレス「ほー。任務の片方を投げ出すとは、大きく出たね。そんなにもう片方の標的がダイジ?」

紳士「貴女なら今回逃がしても、いつでも捕まえられると思いまして」

白ドレス「侮辱ぅ!」


紳士「しかし、貴女は安心して列車の旅ができる。私たちは頼み事を聞いてもらえる」

紳士「良いコトづくめだと思いませんか?」

白ドレス「まあね。双方にとってプラスってやつだね。それで、そっちの頼み事ってのは?」


紳士「……私たちが提示する条件は二つ。一つは、私たちの任務を妨害しないコト」
14 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/23(土) 18:09:39.30 ID:zTNaStQMo


白ドレス「もう片方の、指名手配犯の標的を捕まえるのをジャマするな、ってコト?」

紳士「そういうコトです。貴女の横やりには、今まで散々頭を痛めさせられてきたので」

白ドレス「むふふぅ。照れちゃうな〜」

紳士「ほめてません。そして、もう一つの条件は……。そうですね、貴女風に言うのであれば……」


紳士「バッドエンドを回避するコト」

白ドレス「……!」


白ドレス「ふーん。それ、私がさっき言った目的まんまじゃん」

白ドレス「何考えてるの? 君」
15 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/23(土) 18:10:06.58 ID:zTNaStQMo


紳士「さあ。何を考えているのでしょうね」

白ドレス「ポーカーフェイスだねぇ。人生楽しい?」

紳士「貴女に私の人生をとやかく言われる筋合いはありません。ほっといてください」

紳士「もっとも、貴女に比べれば、たいていの人間の人生はつまらないモノでしょうが」


紳士「……私たちの要求は以上です。呑んでいただけますか?」

白ドレス「うーん。まあ、条件に異存は無いんだけどぉ」


白ドレス「ちょいとセコくない? ゼニガタのとっつぁんが、ルパンに振り込む報酬にしてはさぁ」

紳士「なるほど。では、そういうコトを言うのであれば――――」
16 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/23(土) 18:10:32.83 ID:zTNaStQMo


紳士「先ほど私が支払った11520円。返していただけますか?」ニコ

白ドレス「うぐ!!」


白ドレス「き、汚い奴だ。か、金で私を買うなんて。呪ってやる、末代まで呪ってやる……!」

紳士「それほぼ永遠ですよね。さて、どうですか? もうすぐ列車の出発の時間ですが」

白ドレス「……くっ! べー、だぁ! 覚えてろ!!」ダッ タッタッタ…


紳士「……行ったか。すごく、疲れた……」

紳士「……一年を川に例えて、一番厳しい所を皆で乗り越えるから年の瀬、だっけ?」シュボ チリチリ…

紳士「私も、お正月くらいは実家に帰ろうかなあ」フゥー
17 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/23(土) 18:11:01.68 ID:zTNaStQMo


駅員「すいません、ここ禁煙です」

紳士「え? げほっ。あ、スミマセン……」


ゴーーーーーー



                          l|                 /   /
                          l|            /   /
.                        l|            /   ./   /
                           l|              /_  ./   /
                      l|           ┌ナ|:| ̄/   /
                      l|           / |:| ./  /
.                         l|         /   |:|/ ./
                       l|          /   /|:|/    ゴトン
                        l|________________/___./__|:|        ゴトン
.                        | `丶 、/ /  / /|:|
                      | ____/___`_メ_、/__/ |:|
.                           |--''" ̄ / / /  ̄.|:|         ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
                    -┬┬-   /|| / /     .|:|
                  ┌┴〒 ̄〒┴┐ ||/     .|:|              本州縦断特急
                   h===.|r--i|===i|.  ||      |:|
                   ||_____||____||_____||  ||      |:|                     『 ドライ・ブラー号 』
                    |______.| i-i |______|  ||      |:|
          .rロ、.    |.。○.| !-! |.○。|.  ||      |:|     _,;;-''  ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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18 : ◆9xXTDlz//k [saga]:2017/12/23(土) 18:11:47.98 ID:zTNaStQMo


【12月31日 午後4時】

――6号車【食堂車】


車掌「失礼します、お客様……。午後4時になりましたので、ティータイムは終了とさせていただきます」

乗客「ん? ああ、もうそんな時間か。悪いね、車掌さん。これ、お会計だ」ガタッ

車掌「ありがとうございます。引き続き、年をまたぐ特別な列車の旅、ごゆるりとお楽しみください」


ウェイター「車掌さーん、食堂車の掃除終わったぜぇー。ああ、疲れた」

ウェイトレス「食器洗浄も、完了。日も暮れるし、休憩したい」

車掌「お二人とも、ご苦労様でした。そうですね、ではディナータイムまで私たちも乗務員室にいましょうか」
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