ぬ〜べ〜「765プロの如月千早、か……」

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 21:07:01.43 ID:CfLOJhTko
ぬ〜べ〜「よし、すぐに中へ入ろう……。ただその前に、プロデューサー。
     今、耳栓のようなものは持っていますか?
     できれば外の音を完全に遮断できるよう、
     イヤホン付きの音楽プレイヤーか何かがいいんですが」

P「え? 音楽プレイヤーならありますけど、でもどうして……」

ぬ〜べ〜「歌を聴かないためです。人魚の歌声には人の心を惑わす力がありますから」

P「な、なるほど、わかりました。でも、あなた達は?」

広「俺たちはちゃんと持ってきてるぜ!」

郷子「ぬ〜べ〜が持ってるのは私が貸してあげてるやつだけどね。うちに二個あったから」

速魚「私は持ってませんけど、人魚ですから平気です!」

P「そ……そうですか」
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 21:08:29.01 ID:CfLOJhTko
ぬ〜べ〜「今は歌っていないようですが、少しでも歌が聞こえてきたら
      すぐに耳を塞げるよう準備しておいてください」

P「は、はい、わかりました」

郷子「じゃあイヤホンは付けてなくても音楽はもう再生しておいた方がいいわね!」

ぬ〜べ〜「そうだな。俺もそうしておこう……ん? この再生リストは……」

郷子「そ、全部千早ちゃんの曲よ。せっかくだから編集してきたの!」

ぬ〜べ〜「わざわざそんなことを……。耳を塞げればなんでも良かったんだが」

ぬ〜べ〜(しかし、千早くんの歌を聴かないために
      本人の歌を聞くことになるとは、皮肉だな……)
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 21:10:32.89 ID:CfLOJhTko
ぬ〜べ〜「……よし、これで準備はできたな。
     プロデューサー、扉を開けてください」

P「は、はい……!」

 ガチャッ…

ぬ〜べ〜「っ……!」

ぬ〜べ〜(こ、これは……!)

ファン達「…………」

ぬ〜べ〜(観客全員が、まるで抜け殻のようになっている!
      目からまったく生気を感じない……!)
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 21:12:43.67 ID:CfLOJhTko
郷子「ね、ねぇ、大丈夫? ちょっと……!」

広「おい、しっかりしろ! おいってば!」

ファン達「…………」

ぬ〜べ〜「……ダメだ。まるで反応がない……!」

P「な、なんだ、これ。なんでこんなことに……」

千早「……あら? 新しいお客さんかしら?」

P「っ! 千早……! どうなってるんだ!
 ま、まさか、これをお前がやったっていうのか!?」

千早「クスクスクス……ええそうよ。みんな私の歌を聴いて、感動してしまっているの」

P「な、何を言って……。とにかく、ステージから降りてくるんだ、千早!」
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 21:13:55.74 ID:CfLOJhTko
千早「嫌よ。このステージは私のもの。私はもっと、歌を歌いたいの」

P「ど……どうしてしまったんだ、千早。さっきから変だぞ! まるで別人みたいじゃないか!」

ぬ〜べ〜「……別人ですよ。あれは、千早くんではありません」

P「なっ……!?」

千早「何を言っているの、私は千早よ? どこからどう見ても千早でしょう?」

ぬ〜べ〜「とぼけるのはやめるんだな、もう正体は分かっている。俺の目はごまかされんぞ」

千早「……」

ぬ〜べ〜「姿を見せてもらおうか! 南無大慈大悲救苦救難広大霊感……!
      彼女に憑いている悪霊よ、姿を現せ!!」

P「っ……!!」
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 21:14:45.10 ID:CfLOJhTko
人魚『クス……クスクスクスクス……!』

P「こ、こいつが、人魚の霊……!?」

千早『残念、バレちゃった』

人魚『案外早かったわね。もう少しは自由にできると思っていたけれど』

ぬ〜べ〜「この子に危機を教えてもらったのさ……。
      貴様が居場所を奪った、千早くんの守護霊にな」

優『っ……』

人魚『ああ、あの時の坊やね。クスクス……守護霊だとは思えないくらい弱かったけど』

千早『ま、私の妖力の方がずっと強いものね。クスクスクス……』
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 21:16:22.41 ID:CfLOJhTko
郷子「でも、もうおしまいよ!
   ぬ〜べ〜が来たからにはあんたの好きになんてさせないんだから!」

広「そうだそうだ! さっさと観念して千早ちゃんから離れろ!」

千早『嫌に決まっているでしょう? 私はもっと歌いたいの』

人魚『歌って、歌って……もっと大勢の人間の命をもらうのよ』

ぬ〜べ〜「……やはりそうか。貴様は生前、人の命を奪うことに快感を覚えた……。
     大勢の人間を歌で惑わして殺し……
     そして霊能力者に首を切られて倒された、そんなとこだろう」

人魚『……』

ぬ〜べ〜「だが執念深さが、貴様を悪霊へと変えたんだ。
     それからずっと狙っていたんだろう。
     自分が取り憑くのに一番いい人間……歌の上手い人間を!」
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 21:17:29.04 ID:CfLOJhTko
人魚『ええ……そうよ。私はまだ殺したりないの。
   もっともっと、私の歌で人間を殺したい』

千早『この娘ならそれができる……。浜辺で聞こえた美しい歌声を聞いた時、思ったわ。
   この娘の歌なら、私の力を存分に発揮できるって……!』

P「っ……ふざけるな!!」

ぬ〜べ〜「! プロデューサー……!」

P「千早の歌を、なんだと思ってるんだ……!
 その子はそんなことをするために歌ってきたんじゃない!
 ただ歌が好きで、たくさんの人に歌を届けたい、幸せになってもらいたいって……!
 そうやって千早は歌ってきたんだ!
 そんな千早の歌を、人殺しなんかに利用するなんて許さない!!」
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 21:18:37.53 ID:CfLOJhTko
人魚『クスクス……アハハハハ! ただの人間の分際で、偉そうに言ってくれるわね!
   いいわ、許さないって言うなら止めてみなさい!』

千早『……』

ぬ〜べ〜「! 息を吸った……!? みんな、耳を塞ぐんだ!!」

千早『〜〜〜〜〜〜♪!!!!!』

ぬ〜べ〜(……! な、なんとか、みんな間に合ったようだ。
      大丈夫、このまま歌さえ聞かなければ……)

ファン達「……おお、おおぉおおお……」

ぬ〜べ〜(!? 何……!?)
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 21:19:57.61 ID:CfLOJhTko
ぬ〜べ〜(今まで全く反応がなかった観客たちが、一斉に立ち上がった……!?)

人魚『さぁ、みんな……。私の邪魔をする者を、殺してしまいなさい』

ファン達「おぉおおおお……!」

ぬ〜べ〜(! やはりそうか……! 今の彼らは、悪霊の操り人形!
      相手が人間である以上、しかもこの大人数では、俺には手の出しようがない!)

人魚『クスクス……さようなら、哀れな人間ども』

ぬ〜べ〜「……だが、俺には手を出せなくとも、打つ手はある!!」

人魚『何……!?』

ぬ〜べ〜「速魚くん! 頼む!」

速魚「はい!」
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 21:22:10.27 ID:CfLOJhTko
速魚「〜〜♪ 〜〜〜〜〜♪」

ファン達「お……おぉお……」

郷子(! ファンの人達が大人しくなっていくわ!)

広(聞こえないけど、速魚さんが歌で大人しくさせてくれてるんだ!)

人魚『この妖気……そうか、その女も人魚だったのか……!』

速魚(彼女の方が妖力が上だから、完全に正気を取り戻させることはできないけれど……。
   力を打ち消すくらいなら、私にだって……!)

ぬ〜べ〜「これで貴様の歌は効力を失った……!
      待っていろ、今すぐ鬼の手で地獄に送ってやる!」
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 21:27:07.17 ID:CfLOJhTko
人魚『クク……その程度でいい気になるとは愚かな……!
   地獄に送るだと? やれるものならやってみろ!!』

郷子「ふん、なに強がってるのよ! やっちゃえぬ〜べ〜!」

ぬ〜べ〜「食らえ、鬼の……っ!」

郷子「!? え、ど、どうしたのぬ〜べ〜!?」

広「何してるんだよ! なんで攻撃しないんだ!」

ぬ〜べ〜「っ……これは、まさか……!
      南無大慈大悲……如月千早の幽体よ、姿を見せよ!」

P「!? あ、あれは……!?」

千早『……あ、う……』

ぬ〜べ〜「や、やはりこいつ……! 千早くんの幽体と完全に融合している!」
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 21:30:57.89 ID:CfLOJhTko
郷子「ゆ、融合って、そんな……!」

広「お、鬼の手で切り離せないのか!? ほら、人面疽はそうやって除霊するって……」

ぬ〜べ〜「む、無理だ。ここまで完全に融合していては、
      切り離せる段階を超えてしまっている……! だがどういうことだ!
      こんなレベルで混ざり合うなど、本人が望みでもしない限り……」

優『……!』

ぬ〜べ〜「! 優くん!」

千早『……ゆ、う……?』

広「そ、そうだ! 幽体になった今なら、千早ちゃんにも優くんの姿は見えるし声だって聞こえるはずだぜ!」

郷子「もしかしたらそれで、正気に戻るかも……!」

千早『あ、ああぁああ……! ごめんなさい、ごめんなさい……!』
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 21:32:05.69 ID:CfLOJhTko
ぬ〜べ〜「!?」

P「ち、千早……!?」

優『……!? っ! っ……!』

千早『えぇ、歌う、歌うわ……! 私、歌うから、歌うから……!』

優『!? ……!』

郷子「な、なに、どうなってるの……!?」

広「な、なんか、全然話が通じてないみたいだぞ! なんで……!」

ぬ〜べ〜「っ……貴様の仕業だな、悪霊め!!」

人魚『クク、ヒヒヒ……ヒヒヒヒヒ! そうさ!
   この娘には、弟の声など聞こえていない!
   聞こえているのは私が聞かせている幻聴だけだ!!』
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 21:35:12.83 ID:CfLOJhTko
人魚『今のこいつには、『歌え』と叫ぶ弟の声しか聞こえていない!
  だからお前の言ったとおり、こいつは望んでいるんだよ!
  すべてを、自分の命すら歌に捧げることをな!』

P「そんな……!」

人魚『弟の霊を連れてきたのは逆効果だったようだねぇ!
  まるで目の前の弟に責められているように感じているだろうさ! ヒヒヒヒヒヒヒ!!』

ぬ〜べ〜「げ、幻聴で千早くんの心を、歌に縛り付けているのか……!
      なんて奴だ……許せん! 貴様は必ず、この鬼の手で切り裂いてやる!」

人魚『ヒヒヒヒ! 言ったろう、できるものならやってみな!!』

ファン達「おおぉおお、おおおおおお……!」

ぬ〜べ〜「なっ……!?」

速魚(! そ、そんな! 私の歌の力が効いていない……!?)

ぬ〜べ〜「まずい……! 千早くんの心の呪縛が強まったことで、歌の妖力が増したんだ!」
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 21:36:08.45 ID:CfLOJhTko
ぬ〜べ〜「みんな、イヤホンをするんだ!
      今はまだ速魚くんが抑えていてくれているが、このままでは……!」

人魚『させると思うか!? まずはお前から操り人形にしてやるよ、霊能力者!』

ファン達「おおおおおおおお……!」

ぬ〜べ〜「! し、しまった! イヤホンが……!」

 ブツッ

音楽プレイヤー『〜〜〜〜〜♪』

千早『っ……!?』
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 21:37:03.97 ID:CfLOJhTko
ファン達「お……おぉ……」

ぬ〜べ〜「!? な、なんだ? 急にまた大人しく……」

ぬ〜べ〜(いや……それだけじゃない。千早くんの様子が変わった? 一体なぜ……)

人魚『何……!? 何をしている、歌え小娘! 歌え!!』

音楽プレイヤー『〜〜〜♪ 〜〜〜♪』

千早『あ、ぁ……』

ぬ〜べ〜「これは、イヤホンが抜けた音楽プレイヤーから、曲が……。
      っ! この曲のタイトルは、確か……!」
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 21:38:26.13 ID:CfLOJhTko
ぬ〜べ〜「速魚くん! この歌を知っているか!?」

速魚「え……? は、はい、知っています! 千早ちゃんの、有名な歌です!」

ぬ〜べ〜「この歌を歌ってくれ! そうすれば、千早くんを助けられるかもしれない!」

速魚「ほ、本当ですか!? あ……で、でも、歌詞が分かりません!
   メロディーは覚えているんですけど……!」

ぬ〜べ〜「くっ……! そ、そうか、どうする……!」

ぬ〜べ〜(歌詞が分からずとも、メロディだけでも歌って……。
     いや、あのインタビュー記事の内容が確かだとすれば、
     千早くんの呪縛を解けるのはこの歌の歌詞だ!
     歌詞が分からないのなら、きっと意味がない……!)
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 21:40:13.98 ID:CfLOJhTko
人魚『ヒヒ……よく分からないが、その曲が邪魔をしているようだな!』

ぬ〜べ〜「っ! くそっ……!」

人魚『なら、もっと幻聴を強くするだけよ!
  たかが機械から流れる音程度、かき消してくれるわ!』

  『歌え!!』『歌え!!』『歌え!!』『歌え!!』

千早『ぁ、ああぁ……!』

ファン達「おおぉお、おおおおおお……!」

ぬ〜べ〜「まずい、また歌の妖力が増した! これではまた同じことの繰り返しに……!」

  〜〜〜〜♪ 〜〜〜〜♪

ぬ〜べ〜「!? これは……ステージから、音楽プレイヤーと同じ曲が……!」
66 :築城院 真& ◆3vqtglmx1U :2017/12/20(水) 21:40:48.47 ID:0g472af30
わお
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 21:41:29.60 ID:CfLOJhTko
広「いや、それだけじゃないぜ! 見ろよぬ〜べ〜!」

郷子「スクリーンに映像が映っているわ!」

ぬ〜べ〜「ほ、本当だ。しかし、なぜ突然……」

P「はぁ、はぁ……! こ、これで、歌えるはずです!」

ぬ〜べ〜「プロデューサー! ではこれは、あなたが……!」

P「この歌は、ライブの最後に、ファンも一緒に合唱する予定でした……。
 ですから……歌詞もスクリーンに映し出されます!!」

ぬ〜べ〜「そ、そうか……! これなら歌えるな、速魚くん!」

速魚「はい! では……歌います! 聴いてください!!」
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 21:42:28.51 ID:CfLOJhTko
速魚『……ねえ 今 見つめているよ 離れていても』

千早「っ……!!」

速魚『Love for you 心はずっと 傍にいるよ』

千早「あ、ぁ……」

 もう涙を拭って微笑って
 一人じゃないどんな時だって
 夢見ることは生きること
 悲しみを越える力

人魚『ば……馬鹿な!? 呪縛が……融合が、解け……!』

 歩こう 果てない道
 歌おう 天を越えて
 想いが届くように
 約束しよう 前を向くこと
 Thank you for smile
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 21:43:43.36 ID:CfLOJhTko
人魚『がっ……!?』

広「や……やった! 完全に融合が解けたぜ!」

郷子「今よぬ〜べ〜!」

人魚『な、何故だ……! 私の呪縛は完璧だったはず! それが何故!』

ぬ〜べ〜「貴様のような悪霊には理解できんだろう……。
     この歌は以前にも千早くんの心を解放してくれた歌……!
     これが人間の絆ってものなのさ!!」

人魚『お、おのれ……! おのれぇえええええ!!
   こうなれば、この小娘も道連れにしてやる!』

ぬ〜べ〜「!? 照明が落ち……」
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 21:44:25.20 ID:CfLOJhTko
P「千早!!」ガバッ

ぬ〜べ〜「プロデューサー!」

千早「……ぅ……」

P「っ……だ、大丈夫、千早は無事です!」

ぬ〜べ〜「そ、そうか、良かった……!」

人魚『くそっ、くそおおおおおっ!!』

ぬ〜べ〜「最後までとことんゲスな悪霊め……!
      歌いたきゃ地獄で存分に歌いな! この世から消え失せろ!!」

人魚『グギャアアアアアアアアアアア!!!!?????』
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 21:45:35.28 ID:CfLOJhTko
千早「……ん……」

P「千早、目を覚ましたか……」

千早「……プロデューサー? 私……えっ!?」

P「良かった……怪我はないみたいだな……」

千早「な……何を言ってるんですか、プロデューサー!?
   お、お腹から、プロデューサーのお腹から、血が……!!」

ぬ〜べ〜「何……!? そ、そうか、さっき彼女をかばった時に……!
      いかん、あの出血量は命に関わるぞ!」

郷子「は、速魚さん!」

広「早く早く!!」

速魚「は、はい!」
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 21:48:04.37 ID:CfLOJhTko
千早「ど、どうして、こんなことに……! 救急車を、救急車を呼んでください!」

ぬ〜べ〜「落ち着くんだ、千早くん。大丈夫、すぐに治る!」

千早「す、すぐに治るって、そんなはず……」

速魚「えっと、怪我をしてるのは……ここですね。えいっ」

千早「え!? な、何をしているんですか!? 自分の手首を切るなんて……」

P「……! こ、これは……」

千早「っ!? き、傷が、どんどん治って……!?」

ぬ〜べ〜「さて……このことも合わせて、説明をしておいた方がいいかな。
     できれば驚かずに聞いて欲しいんだけど――」
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 21:49:14.55 ID:CfLOJhTko



千早「――そう、だったんですね。では、この記憶は夢なんかじゃなく、本当に……」

ぬ〜べ〜「そうか……全部覚えているんだな」

千早「はい……。少しおぼろげなところもありますが……。
  本当に、ご迷惑をおかけしました……」

ぬ〜べ〜「気にすることはないさ。悪いのはあの霊だ。君は何も謝ることなんてない」

千早「……あの。助けてもらって、図々しいとは思うのですが……
  一つだけ、お願いをしてもいいですか?」

ぬ〜べ〜「ああ……いいよ、言ってごらん」

千早「今、ここに、優が居るんですよね。もう一度……優に会わせてもらえませんか?」

ぬ〜べ〜「もちろん、構わないさ。……さ、出ておいで、優くん」
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 21:50:22.87 ID:CfLOJhTko
優『……』

千早「! 優……!」

ぬ〜べ〜「姿は見えるけど、このままでは会話はできない。
     鬼の手を使えばそれも可能になるけど……」

千早「……いえ、大丈夫です。だよね、優?」

優『……』ニコッ

千早「さっきはごめんね。優の声、聞いてあげられなくて……。
  でも、もう大丈夫だよ。
  ずっと……私の傍に居てくれたんだね。これからも、一緒にいてくれる?」

優『……』ギュッ

千早「……うん。私も、歌うね。大好きな歌、みんなと一緒に……」
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 21:51:07.91 ID:CfLOJhTko



千早「……ありがとうございました。久しぶりに優に会えて、嬉しかったです」

ぬ〜べ〜「そうか。……寂しくはないかい?」

千早「ええ、大丈夫です。だって、いつでも傍に居るんだって、分かりましたから」

ぬ〜べ〜「ああ……。これからもずっと、君のことを傍で見ていてくれるよ。
      守護霊としての力は少し弱いかも知れないけど、
      きっともう二度と、意地でも君の傍を離れないだろうな」

千早「ふふっ……。そうですね。この子、頑固なところがありますから」
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 21:52:51.70 ID:CfLOJhTko
ぬ〜べ〜「とにかく、良かったよ。これで万事解決……と言えればいいんだが。
      う〜ん……ライブ、中止になっちゃったな」

P「そう言えば、今のファンの人達の状態は……」

ファン達「スヤァ……」

速魚「はい。私の子守唄で、眠ってもらってます!」

広「千早ちゃんが危ないって、俺たちがもうちょっと早く気付けてれば、
 ライブもちゃんと出来たんだよな……」

郷子「ごめんなさい、間に合わなくって……」

千早「そんな、謝る必要なんてありません。ご迷惑をおかけしたのは私の方です。
   それに……ライブは中止になんて、しませんから」

ぬ〜べ〜「えっ?」
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 21:54:32.07 ID:CfLOJhTko
P「はは……そうだよな。千早ならそう言うと思ったよ」

千早「すみません、プロデューサー。いつも無茶ばかり言って」

P「アイドルの無茶に応えるのもプロデューサーの仕事の一つだ。
 スタッフも多分、同じように寝てるよな……。よし、起こしてこよう!」

広「ええっ!? ほ、本当に今からライブするのかよ!?」

郷子「みんな寝てたこととか、ごまかすのが大変なんじゃ……」

千早「そうですね。でもそれは、ライブを中止にしても大変なことには変わりありません」

ぬ〜べ〜「ま、まあそりゃそうだろうが……」

千早「良かったら、皆さんも聴いていってください。
   関係者席ならまだ空きがありますから」

ぬ〜べ〜「い、いいのかい? じゃあお言葉に甘えて……」
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 21:55:06.46 ID:CfLOJhTko



ファンA「……ん? あれ……?」

ファンB「なんだ? 俺、寝ちゃってたのか……?」

ファンC「えっと、今何時……」

千早『みなさん、お待たせしました!』

ファン達「!」

千早『如月千早ミニライブ、開演します! 盛り上がっていきましょう!』

ファン達「……うおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 21:57:31.64 ID:CfLOJhTko
ぬ〜べ〜(はは……なんか、ファン達は別に難しく考えなくても誤魔化せたみたいだな。
     いつの間にかこいつらも普通に盛り上がっちゃってるし……)

広「うおおおおお! 最高だぜ千早ちゃああああああん!!!」

郷子「千早ちゃんかわいいいいいい!!! きゃああああああ!!」

速魚「ハイ! ハイ! ハイ! フッフー! fwfwfwfw!」

ぬ〜べ〜(しかし……なるほど、これはすごいな。
     今はこんなふうに観客も騒いでいるが、曲調によっては大人しく聞き入って……。
     しかもどの歌も、彼女の歌を愛する気持ちや
     歌を通して皆を幸せにしたいという彼女の想いがひしひしと伝わってくる。
     これが……千早くんの本当の歌なんだな)

千早『私、今、とても幸せです!
   みんなの……あなた達のおかげです、ありがとうございます!』

ファン達「いええええええええええええええい!!!!!!!」

ぬ〜べ〜(……参ったな、俺までファンになりそうだ。
     帰りに、CDショップにでも寄ってみるかな)



  おしまい
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 21:58:46.97 ID:CfLOJhTko



P「す、すまない、律子。音無さんも、すみません……」

律子「いいから、座っててください! あ、こっちも間違えてる!
   なんでこんな簡単な計算を間違えるんですか! もー!」

小鳥「プロデューサーさん、かなりお疲れだったんですね……くすん」

P「そ、そうみたいですね、あはは……」

亜美「ねぇねぇ兄ちゃん! 38+44は〜?」

真美「九九くらいは言えるっしょ〜?
   ねえ兄ちゃんってば〜。んっふっふ〜」

P「うっ……え、えっと……」

P(き、聞いてはいたが……まさか速魚さんの血がこれほどのものだったとは!)
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 21:59:14.01 ID:CfLOJhTko
付き合ってくれた人ありがとう、お疲れ様でした
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/20(水) 21:59:53.94 ID:5s0FVkMI0

時間軸はどこらへんなんだろう?
ぬ〜べ〜は終盤あたり?
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/20(水) 22:01:12.14 ID:2whLN5gs0
真倉翔先生本人かな?素晴らしかった、乙
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/20(水) 22:01:29.14 ID:OpzcATbT0
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/20(水) 22:17:22.52 ID:PBjBnWSb0

ぬ〜べ〜もアイマスも好きだからまさかのコラボで驚いた
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/20(水) 23:24:58.02 ID:0M6g5bhs0
劇場版かな?
面白かった、乙
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/21(木) 00:01:55.17 ID:rIJf2SP/0
タイトルみて「ああ・・・72→ぬりかべとかそういうのね・・・」って連想した自分を殴りたい
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/21(木) 00:13:24.95 ID:pexStOY6o


ちゃんと各キャラに見せ場があって読みごたえあつたわ
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/21(木) 01:46:49.57 ID:nilAaO9VO
乙ー!
ぬ〜べ〜好きだけど続編旧キャラの扱いがどうなってるかちら聞きして読んでないや
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/22(金) 21:39:39.93 ID:G0kLdpaG0
台詞なんだが続けて書いてくれ
スマホで読むとズレすぎて見辛い
せっかく面白いのにもったいない
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/23(土) 04:10:18.90 ID:8gIw6yTzo
そんな時はAA表示にすれば良い
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/23(土) 05:07:47.02 ID:TcIvN4AA0
>>90
作者でもね〜のに上げる馬鹿に文句言われる筋合いね〜わ
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/23(土) 17:47:59.29 ID:XoLTCkEhO
面白かったわ乙乙
速魚スカウトまで有りうるかと思ったww
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/24(日) 15:02:37.53 ID:ZJTPqOSEo
人魚の悪霊+千早=まな板人魚ですねわかります
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/24(日) 23:48:19.41 ID:OK2P91c8O
そういや昔もぬーべーとアイマスクロスあったな
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/27(水) 20:41:09.54 ID:WTnUW4It0

Pにもちゃんと見せ場あって良かった
53.46 KB Speed:0   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 新着レスを表示
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)