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久「あんたが三年生で良かった」京太郎「……お別れだな」
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447 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/28(水) 14:15:22.24 ID:og5DN6YZo
>>445
哩姫次元は普通にプロとして活躍してたよな・・・
448 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/28(水) 19:00:56.03 ID:cEQJ++8W0
ありがとう
乙でした
449 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/28(水) 20:04:30.16 ID:X1Rb8ft2o
乙
450 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/02/28(水) 23:51:57.40 ID:3OCtzZti0
>>447
哩姫コンビは京太郎の能力のことを知りません
哩姫エンドの京太郎は外部とほとんど接触がありません
それなのに二人がプロとしてやっていけてるということは……
という感じです
それはそうと、安価取りたいんですけど人いますかね?
451 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/28(水) 23:54:19.02 ID:IuUt5GAoO
いるよー
452 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/28(水) 23:54:29.82 ID:X1Rb8ft2o
はい
453 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/28(水) 23:54:51.65 ID:GzAGLcrCO
いますよー
454 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/28(水) 23:57:23.82 ID:eRSv32XBO
はい
455 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/28(水) 23:57:25.13 ID:58q3XfgSO
おいよ
456 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/28(水) 23:59:43.14 ID:1nm9GEqSO
はい
457 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/01(木) 00:01:05.45 ID:A7D9sBKr0
それじゃ、この中からお好きなのをどうぞ
済がついてるのは選べません
個別
大星淡 済
天江衣 済
桧森誓子 済
姉帯豊音 済
三尋木咏 済
神代小蒔 済
ネリー・ヴィルサラーゼ 済
宮永照 済
エイスリン・ウィッシュアート 済
白水哩 済
竹井久 済
福路美穂子 済
松実玄 済
薄墨初美 済
滝見春 済
石戸霞 済
園城寺怜 済
真屋由暉子 済
清水谷竜華 済
鶴田姫子 済
特殊
久照
久美穂子 済
小蒔霞 済
哩姫 済
怜竜
4分まで
458 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/01(木) 00:01:44.79 ID:jSKxvwd8o
怜竜
459 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/01(木) 00:01:49.01 ID:c+wURTSf0
怜竜
460 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/01(木) 00:01:53.90 ID:NPDc3bSsO
久照
461 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/01(木) 00:02:05.25 ID:sccvjzofO
怜竜
462 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/01(木) 00:02:08.06 ID:YqQZtYoVO
竜時
463 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/01(木) 00:02:31.69 ID:0gvuMjqsO
怜竜
464 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/01(木) 00:02:58.43 ID:Q0I+xzlQ0
怜竜
465 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/01(木) 00:03:44.81 ID:6K1/JG21O
久照
466 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/01(木) 00:04:32.57 ID:A7D9sBKr0
締切
割ってきます
467 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/01(木) 00:06:31.06 ID:A7D9sBKr0
コンマ判定
怜竜:4の倍数以外
久照:4の倍数
直下
468 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/01(木) 00:07:25.56 ID:jSKxvwd8o
あ
469 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/01(木) 00:10:04.96 ID:A7D9sBKr0
4の倍数なので幼馴染二人ということで
そんで最後は千里山の二人ですね
それじゃ、おやすみなさい
470 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/01(木) 00:10:29.08 ID:NPDc3bSsO
乙
471 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/01(木) 00:10:47.26 ID:YqQZtYoVO
おつー
472 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/01(木) 00:11:29.13 ID:jSKxvwd8o
乙
473 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/01(木) 00:12:00.14 ID:0gvuMjqsO
乙
474 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/01(木) 00:14:23.09 ID:6K1/JG21O
おつおつ
475 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/01(木) 19:39:47.70 ID:CurabRvI0
実質的には次が最終話か。
竜怜はアンコール枠
476 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/01(木) 23:12:12.63 ID:EJvJZBnx0
乙!
477 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/03(土) 22:36:58.56 ID:BF0nagHo0
まぼろしウインク
478 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/05(月) 17:36:35.22 ID:aZNkAAWA0
どうか完結まで頑張って頂きたい
479 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/06(火) 13:19:58.22 ID:kzbLwLtK0
次が楽しみです!
480 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/13(火) 15:14:36.56 ID:dmmVMmw30
待ってますよ
481 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/21(水) 23:53:54.85 ID:9QNODmDm0
久しぶりにこんばんはー
春休みが到来したので今日はやろうかと
もうちょっとしたら始めます
482 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/22(木) 00:21:17.85 ID:/pCtiBB3O
お、やっと来た
483 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/22(木) 00:26:51.75 ID:SH2ad6kV0
んじゃ、スタートします
484 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/22(木) 00:33:36.79 ID:SH2ad6kV0
『決勝戦開始まで10分を切りました。既にほとんどの選手が集まっていますね』
『はい。決勝や五決では試合前に全員集合で挨拶するんですよ』
『懐かしいですねー』
まこ「ただいまー」
「おう、おかえりまこちゃん」
まこ「なんですか、今日休みですよ?」
「インハイの決勝だからって親父さんが場所貸してくれたんだよ」
「そうそう、みんなで盛り上がろうって話になってね」
まこ「はぁ、なるほど」
「それよりほら、あの二人今日も出てるよ」
『――白糸台ではパンケーキが食べ放題で、それが進学を決める決定打になったとか』
『あはは……どこで聞いたんでしょうかね、その話』
『情報元は、元SSSさんからとしか』
『……菫のバカ』ボソッ
『おや? なにか言いましたか?』ニヤニヤ
『いいえ。それよりも、そろそろ試合開始ですね』
485 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/22(木) 00:41:20.20 ID:SH2ad6kV0
「しかし、この二人も例によってセットで扱われるようになってきたねぇ」
「かたや学生の時の勢いそのままに躍進し続けるトッププロ」
「かたやインハイ、インカレで猛威を振るった若手アナウンサー」
「まこちゃんも鼻が高いんじゃないか?」
まこ「それはまぁ……」
久『それでは実況は私、竹井久と』
照『解説は私、宮永照でお送りします』
まこ「……微妙な気分ですね」
486 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/22(木) 00:49:58.63 ID:SH2ad6kV0
久「なんであそこで打ち合わせ通りにしないのよ」
照「知らない」プイッ
久「はぁ? あの外面の良さをちょっとはこっちに向けたらどうなの」
照「そっちこそ、あんな話は打ち合わせになかった」
久「あんなの別に本筋には関係ないでしょ」
照「そもそも、あなたはお菓子のチョイスがダメ」
久「人が買ってきたのを勝手につまんどいてよく言うわよね」
照「具体的に言うと、おせんべいよりチョコレートがいい」
久「残念、私はしょっぱいやつの方が好きだから」
照「むっ」
照「……チョコパイ」
久「ハッピーターン」
照「コロン」
久「えびせん」
照「キッドカット!」
久「ポテチ!」
照「でも、ポッキーだけは認める」
久「まぁ、あいつもちょくちょく食べてたから」
照「そう……」
久「……ご飯、食べに行かない?」
照「……うん」
487 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/22(木) 00:56:18.67 ID:SH2ad6kV0
京太郎「……あ〜、鼻詰まる」
京太郎「こういうとこは最悪だよな……」
「ヘイ、キョウ! もう一回打たねぇか?」
京太郎「もう弾切れだ。今日はやめとく」
「じゃあまずは飲めよ!」
京太郎「飲まない。頭ブッ飛んだとこをむしられちゃたまんねーよ」
「そんなこと言うなって。奢るぜ?」
京太郎「じゃあな」
「クソッ、今日もアイツの一人勝ちかよっ!」ダン
「放っておけよ。噂通りならその内いなくなる」
「取られた分を取り返さないとオレの気がすまねぇんだよ!」
「なんにしても今日はもう諦めろよ」
「チッ、あの女喰い野郎が……!」
488 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/22(木) 01:03:53.42 ID:SH2ad6kV0
京太郎「……」
「ねえ、なに見てるの?」
京太郎「なにも」
「じゃあ、私を見て……んっ」
京太郎「……甘い」
「あなたはタバコの臭い」
京太郎「周りの連中が吸っててさ。鼻は詰まるし最悪だよ」
「それなら行かなければいいのよ」
京太郎「女に養われる男なんてカッコ悪いだろ?」
「真っ当に働けばいいじゃない。ほら、パパに頼めば――」
京太郎「ストップ。ご飯にしないか? お腹減ったし」
「もう、またはぐらかして」
京太郎「はは、それはちょっとまだ早いかなって」
京太郎(もう全然流れてこないな……)
京太郎(そろそろ潮時ってことか)
489 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/22(木) 01:11:37.05 ID:SH2ad6kV0
「キョウは日本の生まれなのよね?」
京太郎「ん、ああ……」
「それならいずれ一緒に行きましょうね。キョウの故郷って見てみたいし」
京太郎「まあ、いつか……な」
「ひょっとして帰りたくないの?」
京太郎「正直に言うとな」
「ごめんなさい、無神経だったわ」
京太郎「気にしないでくれ。日本が嫌いなわけでも、嫌な思い出があるわけでもないんだ」
「そう?」
京太郎「楽しかったよ。特に、あの三年間の思い出は宝物みたいに輝いてる」
京太郎(……だからこそ、帰れないんだけどな)
「それ、ちょっと興味あるわ。あまり昔のこと話してくれないし」
京太郎「そうか? じゃあ続きはむこうでしようか」
「ベッドで? もう、ご飯にするんじゃないの?」
京太郎「終わる頃にはちょうどいい感じにお腹が空いてるさ」
「じゃあこの前の大会のこと、忘れさせてね……」
京太郎「おいで」
京太郎(次、どこ行くかな……)
490 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/22(木) 01:22:53.92 ID:SH2ad6kV0
菫「すまない、遅くなった」
久「じゃあ今日は奢りで」
智葉「さっき来たばかりの奴が言うことじゃないな」
久「いいじゃない。僅差とはいえ早かったのは事実だし」
智葉「なら私が一番だな。潔く割り勘といこう」
菫「いいから詰めてくれ。座れないじゃないか」
智葉「久しぶりだな、二人とも」
久「前に会ったのって、大学卒業する時だったっけ?」
菫「一年以上前か……さすがに帰らなさすぎだ。ご両親は心配していないのか?」
智葉「もうそんな年じゃない……と言っても聞いてくれなくてな。だから帰ってきた」
久「親孝行ってことにしとけばいいんじゃない?」
菫「そういえば、この前照にいきなり怒られたんだが」
智葉「あの宮永照が?」
久「弱点を突けば意外とすぐ感情的になるわよ」
智葉「弱点か……あまり想像ができないな」
久「お菓子ね。特に甘いもの」
菫「ああ、パンケーキ欲しさに白糸台に入ったと言われていたぐらいだからな」
久「……」
491 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/22(木) 01:30:08.60 ID:SH2ad6kV0
久(こう、ポロっと漏らしちゃうところが原因なんだけどね)
智葉「それはそうと竹井アナ」
久「ちょっとやめてよ、こんなとこで」
智葉「最近、宮永照と組まされているそうじゃないか」
久「針生アナの苦労がよくわかるのよねぇ……」
菫「どっちかと言うと、福与アナに似たものを感じるが」
智葉「今ではプロとアナが組むのは定番だからな」
久「話持ちかけられた時に断ったはずなんだけど」
菫「案外お似合いに見えるがな」
久「冗談でもやめて」
菫「照にも言われたよ」
智葉「喧嘩するほど、というやつか?」
久「だから冗談じゃないってば」
菫「当人たちはこう言うが、中々人気なんだよ」
智葉「インハイの時を思えば信じられないが……いや、だからこそか」
492 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/22(木) 02:14:45.51 ID:vf6g5Lpdo
乙
493 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/22(木) 16:24:08.64 ID:kEQ0M0UU0
ありがとうございます!乙です!
494 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/23(金) 23:49:26.07 ID:IRjnAuwb0
昨日はスヤスヤでしたね……
今日はやるのでもうちょっとしたら始めます
495 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/24(土) 00:06:55.87 ID:k52/409lO
お埋まってる
496 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 00:21:13.78 ID:F+8FESPw0
んじゃあ、スタートします
497 :
続きから始める
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 00:26:41.83 ID:F+8FESPw0
久「まったく……この前も勝手に酔いつぶれて、しかも部屋まで送らせるし」
菫「ん?」
智葉「は?」
久「なによ」
菫「酔いつぶれたということは、一緒に飲んでいたということか?」
久「それは、まあ」
智葉「加えて、部屋まで送ったと」
久「曲がりなりにも仕事相手だし、打ち合わせのついでにご飯食べたりもするし? それだけ、それだけだから」
菫「なるほど」
智葉「なるほどなるほど」
久「だから誤解しないでってば」
菫「いいや、正しく理解した」
智葉「これをネタにあの鉄面皮を剥がすのも面白そうだ」
久「もう……とりあえずあんたらお昼は奢りなさいよね」
498 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 00:31:12.76 ID:F+8FESPw0
照「うーん、うーん……」
照「頭が痛い……」ズキズキ
――ピンポーン
照「だれ……?」フラフラ
――ピンポンピンポンピンポーン
照「……」イラッ
――ガチャッ
照「なんでしょうか――」
淡「今日は休みだと聞いて淡ちゃんが来たよ!」
照「……」パタン
淡『あわっ!? なんで閉めるのさー!』ドンドン
照「……はぁ」ズキズキ
『淡ちゃん、お姉ちゃんいないの?』
淡『あ、聞いてよサキー!』
照「咲も来てるんだ……」
499 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 00:36:56.70 ID:F+8FESPw0
淡「もうっ、お昼なのに寝ちゃってどーしたのさ?」
照「具合悪いから」
咲「風邪? お薬買ってこようか?」
照「大丈夫、部屋に置いてあるから」
照「それより二人とも、世界大会はどうだった?」
淡「あ、聞きたい? 私の活躍聞きたいっ?」
照「うん」
淡「ふふーん、なんと私たち――」
照「優勝したんでしょ?」
淡「あわっ!? どーして知ってるの!?」
咲「それはテレビ中継されてたからだと思うけど」
淡「あ、そっか」
照「でも、二人の感想が聞きたいな」
咲「感想かぁ……」
淡「ラクショー?」
咲「あれ、初戦で大失点してなかったっけ?」
照「うん、それも見てた」
淡「あわっ」
咲「あとね――」
500 :
続きから始める
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 00:41:56.87 ID:F+8FESPw0
淡「うぅ……私悪くないもん。ちゃんと次で挽回したもん……」
照「淡がすねちゃった」
咲「あ、あはは……ちょっと言いすぎたかも」
照「咲は天然だよね」
咲「そ、そうかな?」
照「天然で、外道」
咲「え……」
照「だから魔王なんて呼ばれるんだと思うけど」
咲「お、お姉ちゃんだって大魔王って言われてるよねっ?」
照「……知らない」プイッ
咲「自分のことは棚上げ!?」
照「とにかく、楽しそうでよかった」
咲「えっと、無理やり話終わらせようとしてない?」
照「……違うから」メソラシ
咲「もう……」
照「頑張ったね」
咲「……うんっ」
淡「でもさ、アメリカの代表で一人だけすっごい弱いのいたよね」
咲「わ、復活した」
淡「立ち直りが早いのはこの淡ちゃんの長所の一つだよ!」
照「淡も頑張ったね」
淡「ほめてほめてー」
照「えらいえらい」
501 :
続きから始める
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 00:48:39.12 ID:F+8FESPw0
智葉「そういえば、向こうで妙な噂を耳にしたな」
久「向こうってどこの国よ。色んなとこ渡り歩いていたんでしょ?」
菫「たしか、最近はアメリカにいたんだったな」
智葉「ああ、メグにあった時に聞いた話なんだがな」
久「アメリカでおいしいラーメン屋を発見したとか?」
智葉「いや、日本に帰りたいと嘆いていた」
菫「留学先に帰りたいときたか」
智葉「カップ麺の詰め合わせをよこせと泣きつかれたよ」
久「まさかそれで帰ってきたんじゃないでしょうね?」
智葉「……それで、妙な噂についてだが」
久「あ、誤魔化そうとしてる」
502 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 00:53:46.23 ID:F+8FESPw0
咲「淡ちゃんと当たった先鋒の人なんだけど、なんていうか……」
淡「うん、すっごいツキがないって感じだったよね」
咲「傍目から見てて、すごい技術の持ち主なのはわかるんだ」
淡「そーそー。よくそれで流局まで持ち込めたよねって時もあったし」
咲「酷い時なんか、手牌全部がだれかの和了牌ってことも……」
淡「欲しいのは来ないのに、まずいのばかり来るってやつかな?」
咲「あれはまるで……」
『あー、くっそ! 全然こねぇ!』
『どれ切っても直撃とか無理ゲーじゃんか!』
咲「……」
照「……」
淡「どしたの?」
503 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 01:00:05.33 ID:F+8FESPw0
智葉「ラックイーター……そいつはそう呼ばれてるらしい」
菫「和訳すると『運喰らい』といったところか」
久「読んで字のごとくってことでいいのかしら?」
智葉「ああ、それでいい」
菫「運を喰らうか……私たちにとってはまさしく天敵だな」
久「ツキを操作するプレイヤーだったらいるじゃない。ねぇ?」
智葉「ネリーは自分の波を調整するだけだ。他の奴のツキを見ることはできるが、干渉はできない」
久「この前の世界大会では、そんなのはいなかったと思うけど」
菫「そのまさに逆のならいたな。たしか、淡と打った相手だったな」
久「あ、そういえば。なんかあれ見てると、懐かしい気分になっちゃったのよね」
智葉「過去のデータを洗ったが、公式戦であそこまで酷い戦績はあれだけだった」
菫「つまり、そのプレイヤーがラックイーターの被害にあったと?」
智葉「その可能性はある」
久「喰われたなら、喰ったやつもいるってことよね?」
智葉「そうだろうが……少なくともあの卓にはいないな」
菫「それは、他のプレイヤーのデータも見た上でか?」
智葉「もちろんだ」
久「……わからないんだけど、それってそこまで気にすること?」
智葉「メグが悔しがっていたからというのもあるが……あいつを思い出した」
菫「あいつ……? ああ、あのツキのなさはたしかに」
久「……」
504 :
続きから始める
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 01:04:36.04 ID:F+8FESPw0
淡「でもさ、なーんか幸せそうだったよね、あの人」
照「幸せそう?」
淡「ぽわぽわってしてるというか……うん、あれは恋だね!」
咲「さすがに試合の後は落ち込んでたけど」
淡「すぐ誰かに電話してたよね。恋人かな?」
照「恋人……」
照「咲はどう思う?」
咲「えっ? お、お相手はいないよ?」
照「そうじゃなくて、そのアメリカの代表について」
淡「テルの鏡では見えなかったの?」
照「さすがにテレビ越しじゃ何も見えないかな」
咲「……何もなかったと思う」
照「特におかしなことはなかった?」
咲「そうじゃなくて……本当に何もなかった」
淡「うーん、なんというかさ、オーラみたいなのも見えなかったかな? 強い人だとびかびかーって見えるんだけど」
咲「それがツキがないって状態なのかもね」
淡「あとはあれだね。変な糸みたいなの」
咲「そんなのあった?」
淡「近くでよーく見てみないとわからないけど……なんか、なつかしかったかも」
505 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 01:12:59.17 ID:F+8FESPw0
久「ラックイーター、運喰らい……どこかで聞いたような話ね」
智葉『ラックイーターの被害者とされているのは、全て女性だ』
智葉『……そしてラックイーター本人は、男の可能性が高い』
久「……智葉ったらどれだけ勘がいいのよ」
久「女の運を喰らう男……」
久「そこまで並び立てられたら、もう――」
――プルルル
久「……だれよ」
『宮永照』
久「随分タイムリーね……もしもし」
照『話したいことがある』
久「ちょうどいいじゃない。今そっち向かってる途中だから」
照『何の用?』
久「わかってるでしょ?」
照『……わかった。待ってるから』
506 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 01:16:11.01 ID:F+8FESPw0
照「運喰らい……」
久「アメリカの代表がそれにやられたんじゃないかって」
照「咲たちもその話をしてた」
久「運喰らいの?」
照「そこまでは。ただ、その選手だけ異様にツキがなかったって」
久「ちょっと待って、まさかそれだけで?」
照「なによりも、咲が似てるって言ってたから」
久「なるほどね……」
照「それで、どうするの?」
久「どうするもなにも……もう終わった話じゃない」
照「私はそうは思わない」
久「あいつは全員振ってどこぞに消えた。そうでしょ?」
照「なら、どうしてここに来たの?」
久「ただの答え合わせ」
照「でも、運を喰われたってことは……」
久「……もう五年も経ってるんだし、そういうこともあるでしょ」
照「あなたはそれでいいの?」
久「良いも悪いもない。終わったんだってば」
507 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 01:19:10.49 ID:F+8FESPw0
照「……糸が見える」
久「はぁ?」
照「私の指とあなたの指から、すごく細い糸みたいなのが伸びている」
久「……なにもないけど?」
照「普通は目に見えないし、触れもしない。でも、これはまだ繋がってる」
久「まさか、あいつがまだ私たちを……?」
照「あなたの分は余計だと思うけど」
久「……なら、どうしてあいつは帰ってこないのよ」
照「それは……」
久「どんな理由があるにせよ、あいつは帰ってこようとしない……それが事実で、答えでしょ」
508 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 01:23:36.43 ID:F+8FESPw0
久「帰る。お邪魔したわね」
照「私はまだ諦めない」
久「勝手にして……あ、待った。やっぱり明日の収録は気にして」
照「そんなこと……!」
久「そんなことでも大事なことでしょ。社会人なんだから」
照「もういい、あなたを説得しようとしたのが間違いだった」
久「説得しようとしてたんだ。なら人前みたいに愛想よくすればいいのに」
久「それに私たち、そんな関係でもないでしょ」
照「……」
久「それじゃ、お願いだから馬鹿なことはしないでね」
509 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 01:28:06.16 ID:F+8FESPw0
『ホントよね……でも、待ってることにする』
『悪い状況で待ち続けるのは、今に始まったことじゃないしね』
『そんなこと、しないよ。京ちゃんには幸せになってほしいから』
『私はいつでも待ってるから』
京太郎「……」
京太郎(あれからどれぐらい経ったっけ?)
京太郎(もう遠い昔のように思えるな)
京太郎(……あの二人は今も俺を待ってるのかな)
京太郎(それとも――)
510 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 01:33:01.70 ID:F+8FESPw0
「もう、ちゃんと気ぃ入れてよ」
京太郎「ん? 悪い悪い」
「なに考えてたの? 昔の女?」
京太郎「君のこと」
「じゃあワタシのこと、どう思ってる?」
京太郎「女神、とか?」
「ぷっ、あははっ……な、なにそれ?」
京太郎「ほら、女の人の方が幸運だって言われてるだろ?」
「だから幸運の女神?」
京太郎「ああ、御利益ありますようにって」
「それ、今まで何人に言ってきたの?」
京太郎「今は君だけだよ」
「んっ……もう、上手いんだから」
511 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 01:37:20.49 ID:F+8FESPw0
京太郎(この前は代表選手に手を出しちゃったからな……)
京太郎(今度からは気を付けないと)
「あ、悪い顔してる」
京太郎「どうやって虐めてやろうかって考えてる」
「ひどーい」
京太郎「はは、正解。酷い奴なんだ、俺って」
京太郎(金のために女を誑し込んで利用して)
京太郎(挙げ句の果てに人殺しまでやらかして……)
京太郎(……これじゃ帰れなくて当然だ)
512 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 01:42:02.17 ID:F+8FESPw0
『私はまだ諦めない』
久「どれだけ往生際が悪いんだか……」
久「……でも、そういうのって私の領分だったはずよね」
久「あ〜あ……ホントにもう」
咲「あ、部長……!」
久「咲? どうしたの、こんなところで」
咲「よかった……実は、部長の家に行こうとしたらちょっと道がわからなくて」
久「駅から歩いてきたの?」
咲「はい」
久「残念、うちは駅を挟んで反対側よ」
咲「えぇ……」
久「でも、降りる駅を間違えないなんて進歩したじゃない」
咲「……それ、褒めてます?」
久「褒めてる褒めてる。さ、うちまで歩きましょうか」
513 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 01:50:19.64 ID:F+8FESPw0
『説得しようとしてたんだ。なら人前みたいに愛想よくすればいいのに』
照「それこそ余計なお世話」
照「……でも、私はどうしてあの女を」
照「ふぅ……まだちょっと体が重いな」
――ピンポーン
照「今日は多いな……はーい」ガチャ
菫「久しぶり」
照「菫?」
菫「メール、見てないのか?」
照「ごめん、ちょっと忙しくて」
菫「忙しい? 淡から具合が悪いとは聞いていたが」
照「それはただの二日酔い……それよりも重要なことがあるから」
菫「とりあえずお見舞いのケーキを買ってきた」
照「――! お茶用意するから中に入って」イソイソ
514 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 01:55:53.72 ID:F+8FESPw0
久「はい、粗茶ですが」
咲「ありがとうございます」
久「それで、急にどうしたの?」
咲「別に用事があったわけじゃないんですけど」
久「それなら遊びに来たって言えばいいの。他人じゃないんだし」
咲「あ、そっか」
久「そっか、じゃないわよもう。その分だと、人付き合いはまだまだ苦手ってとこね」
咲「ま、麻雀する相手とは結構仲良く話してますっ」
久「それってあれでしょ。川原で殴り合って友情が芽生えるみたいな」
咲「どうしてそうなるんですかっ」
久「まぁ、咲みたいなのはそれでいいのかもね」
久「で、私の家に来る前は宮永照のとこにいたんでしょ?」
咲「あれ、どうしてそのことを」
久「あーあ、私あっちより優先順位低いんだぁ」
咲「あ、いや、それは……」
久「なーんて、冗談よ」
咲「……もう、意地悪ですよ」
515 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 02:01:07.91 ID:F+8FESPw0
咲「なんでお姉ちゃんのとこにいたってわかったんですか?」
久「私もさっきまでお邪魔してたから」
咲「じゃあ、入れ替わりだったのかな?」
久「そういうこと」
咲「それにしても、なんだかんだで仲良くなったんですね」
久「バカ言わないで。用事がなければ行くわけ無いでしょ」
咲「でも、よく一緒にテレビに出てるし」
久「上の都合よ。当人たちの意思は関係なし」
咲「そうなんですか?」
久「大体、打ち合わせをニコニコ愛想笑いのまま平気で無視してくるしね」
咲「え、えぇと……」
久「だから時々昔話を掘り返して仕返ししてるのよ」
咲「……」
咲(うわぁ、大人気ない……)
516 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 02:06:25.99 ID:F+8FESPw0
照「ごちそうさまでした」
菫「満足してくれたようでなによりだ」
照「この前のことは水に流しておくから」
菫「そもそも、なんで怒っていたかもわからないよ」
照「私はパンケーキ目当てで白糸台に行ったわけじゃない」
照「パンケーキ目当てで白糸台に行ったわけじゃない」
菫「なんで繰り返す」
照「重要なことだから」
菫「そうか?」
照「菫、なんで私が怒ってたかわかってるの?」
菫「いや、いまいちまだピンと来ない」
照「……はぁ」
菫「待て、なんでため息をつく」
照「菫は親切だけど、抜けてるところもあるよね」
菫「お前にそういうことを言われるのはいまいち納得がいかないな……」
517 :
続きから始める
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 02:12:25.12 ID:F+8FESPw0
菫「それよりも、実は竹井と辻垣内と一緒に昼を食べていたんだが」
照「知ってる」
菫「もしかして竹井から聞いたのか?」
照「さっきまでうちにいたから」
菫「そうか……そうかそうか」ウンウン
照「……勝手に納得しないで」
菫「口ではなんだかんだ言っていても、やっぱり仲が良いんだな」
照「そんなことない。皮肉や嫌味なんて日常茶飯事だし、どこからかネタを拾ってきてぶちまけるし」
菫「どこからか、の部分に妙に力がこもってないか?」
照「だから、私も打ち合わせを無視した進行で仕返ししてるんだけど」
菫「そ、そうか……喧嘩するほど、というやつだな」
照「……菫は親切だけどちょっと抜けてて、おまけに空気読めないとこもあるよね」
菫「なんで私が残念な人みたいになってるんだ!」
518 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 02:19:08.10 ID:F+8FESPw0
咲「お姉ちゃんとはなにを話してたんですか?」
久「ちょっと世間話」
咲「さ、さすがにそれは苦しいというか……」
久「……たしかにね」
咲「私と淡ちゃんはアメリカ代表の話をしたんですけど」
久「それがどこかの誰かの対局を見てるようだった、とか?」
咲「やっぱり……お姉ちゃんとはその話をしてたんだ」
久「私も別のとこからその代表について情報をもらってさ。ちょっとお互いに確認したかったの」
咲「それでなにかわかったんですか?」
久「……はっきりしたことはなにも」
咲「そうですか……」
久「でも、向こうはすぐにでもアメリカに行くって息巻いてるから、咲からも釘刺しておいて」
咲「……部長は気にならないんですか?」
久「アメリカにいるって確証もないし……それに、もういいのよ」
咲「え、もういいって……」
久「なんかさ、疲れちゃったのよ」
咲「……なんで、諦めちゃうんですか」
咲「もう五年……五年以上も行方不明なのに」
咲「みんなみんな、口には出さないだけで心配してるのに……」
咲「なんで部長がそんなことを言っちゃうんですか……!」
久「咲……」
咲「ごめんなさい……もう帰ります」
久「……」
519 :
続きから始める
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 02:22:54.62 ID:F+8FESPw0
菫「しかし、前に来た時より散らかったか?」
照「荷造り中だから」
菫「旅行か? 珍しいじゃないか」
照「京ちゃんが、アメリカにいるかもしれない」
菫「……運喰らいにあいつが関与していると言いたいのか?」
照「うん」
菫「そうか……」
照「止めないの?」
菫「私の知る限り、お前が一番執着しているのがそれだからな」
菫「もちろん竹井も行くんだろう? お前一人なら心配だが、あいつも一緒なら安心だよ」
照「……あの女は来ない」
菫「ちょっと待て、それは本当か?」
照「もう終わったことだからって」
菫「……そういうこともあるんだろうな」
照「私だったら絶対に諦めたりしないのに……」ギリッ
菫「竹井が諦めたことが許せないのか?」
照「違う、私は……」
菫「それとも、一人で須賀の前に立つのが怖いのか?」
照「――っ」
菫「照、やっぱりもう少し考えてみないか? 今の生活だってあるじゃないか」
照「ごめん、菫……帰って」
菫「そうか……邪魔したな」
照「ケーキ、ありがとう」
520 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 02:27:20.87 ID:F+8FESPw0
久「うぅ……ちょっと飲みすぎた」
久「明日は……あ〜、もうダメ。だるすぎ」
久「はぁ……そもそも相方が来るかどうかもわかんないっての」
久「咲だって好き放題言ってくれちゃってさぁ」
『なんで部長がそんなことを言っちゃうんですか……!』
久「……そんなの、そうでも言わないとやってられないからに決まってるでしょ」
久「それでも……」
美穂子『本当によかったの?』
ゆみ『色んなチームから誘われていたじゃないか』
久『いいのよ。もうプレイヤーとしては散々やった気分だし』
ゆみ『そうか……しかしアナウンサーとは考えもしなかったな』
美穂子『そうかしら? 様になると思うわ』
久『美穂子に言われるとちょっと敗北感ね……』
ゆみ『そういった方面に興味があるとは思っていなかったよ』
久『まぁ、ちょっと別の視点から麻雀に触れたかったのかもね』
久「別の視点……打たなくてもいい立場」
久「そっか……だからプロにならなかったんだ、私」
521 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 02:32:07.47 ID:F+8FESPw0
照「……別に一人だって大丈夫」
照「だれかの助けがなくたって……」
『それとも、一人で須賀の前に立つのが怖いのか?』
照「……」
『――京ちゃん京ちゃんってうるっせぇんだよっ!!』
照「そんなの……」
『なんで、俺を一人にしたんだよ……!』
照「そん、なの……」
『ごめん、俺は照ちゃんと一緒にいられない』
照「そんなの、怖いに決まってる……!」
照「だって私は三回も拒絶されてる!」
照「もし会いに行ったら、また拒絶されたら、この細いつながりさえも切れてしまうんじゃないかって……」
照「怖い、怖いよ……」
照「京ちゃん京ちゃん京ちゃん……!」
照「会いたいよ……京ちゃん」
照「……用意、しなきゃ」
522 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 02:39:49.38 ID:F+8FESPw0
京太郎「ロン……これで終局だ」
「チッ……またテメェの一人勝ちかよ」
京太郎「悪いな、俺みたいなジャップが稼いじまって」
「聞いたぜ、また女を乗り換えたんだってな」
京太郎「あんたには関係ないだろ」
「この女喰い野郎が」
京太郎「悔しいなら、あんたもいい女を引っ掛けたらどうだ」
「ヘッ、せいぜい刺されねぇように気をつけな」
京太郎「どうだろうな……俺みたいのは別れるのが上手くなきゃやっていけないからな」
「それよりもう一回だ! 今日こそはテメェから毟り取ってやるよ……!」
京太郎「今日は本音を隠さないんだな」
「もうこりごりだ。前から気に食わなかったが、一度ぶちのめさなきゃ気がすまねぇ」
京太郎「いいぜ、来いよ。遊んでやる」
523 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 02:44:23.42 ID:F+8FESPw0
『――ロサンゼルス行5157便はただいま、ご搭乗の最終案内をしております』
照「行か、ないと……」
照(でも、踏み出せない)
照(私、こんなに弱かったんだ……)ギュッ
久「なにボーッとしてるのよ」
照「竹井久……どうしてここに」
久「なんでこの道に進んだのか、その理由を思い出しちゃってさ」
照「……プロなら私にかなわないと思ったから?」
久「張っ倒すわよ」
524 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 02:51:18.92 ID:F+8FESPw0
久「ほら、アナウンサーになってプロと組むようになれば、打たなくても麻雀にかかわれるし」
久「あいつがなにか困ったときに、いつでも力を貸してあげられるようにって思ってたんだけどね」
久「だけど、すっかり忘れてた」
久「忙しかったのもあるけど……忘れて諦めて、もうどうしようもないんだって思ってた」
照「私だったら絶対忘れない」
久「でも、足は竦んでるみたいね」
照「……」
照「京ちゃんへの気持ちはずっと変わらない」
照「だけど……会うのがどうしようもなく怖い」
照「中学二年の三月と最後のインハイ、そして高校の終わり……私は三回も拒絶されたから」
照「会いに行ってまた拒絶されたら、今度こそつながりが切れてしまうんじゃないかって」
久「大魔王とは思えない弱腰じゃない」
照「その呼ばれ方、認めてるわけじゃないから」
久「弱腰といえば、インハイの時もそう。進歩がないんじゃない?」
照「ほっといて」
525 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 02:56:34.24 ID:F+8FESPw0
久「だからあの時と同じように手助けしてあげる……ほら」グイッ
照「あっ……」
久「いい加減搭乗しないと間に合わないでしょ」
照「待って、あなたも来るの?」
久「もちろん。同じ便の席は……離れてるとは思うけど」
照「放して」
久「ちゃんと歩けるの?」
照「バカにしないで」
久「そう……じゃあ、行きましょうか」
526 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 03:04:20.83 ID:F+8FESPw0
『――Good afternoon Ladies and Gentlemen』
久「……」
照「……」
『Please secure all your baggage in the overhead compartments or under your seat』
久「まさか隣同士とはね……」
照「まったくもって不本意」
久「ところで、目的地は決めてる?」
照「件のアメリカ代表の先鋒」
久「ま、今のとこそれしか手がかりないしね」
527 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 03:11:20.92 ID:F+8FESPw0
久「ところでさ、黙って来たの?」
照「電話で、今までお世話になりました、とだけ」
久「……絶対大騒ぎになってるやつじゃない」
照「そっちは?」
久「退職届だけ出して来た」
照「なにも言われなかったの?」
久「言われる前にさっさと退散したから」
照「……全然人のこと言えないと思う」
久「携帯は?」
照「着信がうるさいから捨てた」
久「あー……私も」
照「バカなの?」
久「あんたに言われたくない」
久「もう一つ。大事なことなんだけど……英語、喋れるの?」
照「人並みには。海外の大会にも結構出てたし」
久「なんだ、もし喋れなかったら大きな貸しを作るチャンスだったのに」
照「……やっぱりあなたなんて嫌い」
528 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 03:22:16.17 ID:F+8FESPw0
「どうしたの、このお金?」
京太郎「厄介になってるしさ。家賃ってとこ」
「多すぎ。これ私の給料よりあるよ?」
京太郎「今日は君のおかげで調子が良かったから」
「キョウってすごいプレイヤーなのね」
京太郎「ははっ、今は幸運の女神がいるからな」
「あ、それって私?」
京太郎「君以外いないよ」
「ホント上手いよね」
京太郎「それより、今日なにかあったのか?」
「どうしてそう思うの?」
京太郎「慰めてほしそうな顔してる」
「……お見通しなんだ」
京太郎「なんでも話してくれよ。君のことならなんでも知りたい」
「うん、実はね……」
529 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 03:31:04.52 ID:F+8FESPw0
久「ついた、ここね」
照「本当にあってる?」
久「あってるわよ」
照「思ったより時間がかかった」
久「私一人ならもっと早くついたんだけどね」
照「……どういう意味」
久「あんたら姉妹はフラフラせずにはいられないのかって話よ!」
「あなたたち、私の家になにか用?」
照「こんにちは」
「……あなた、もしかしてミヤナガテル?」
照「この前は後輩たちがお世話になりました」
「やめて、あの大会のことはできれば思い出したくないの」
530 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 03:37:26.50 ID:F+8FESPw0
「それで、あのミヤナガテルが私に何の用?」
久「あなたに聞きたいことがあるの」
「……あなたは?」
久「竹井久。この女の……」
照「他人です」
久「……まぁ、こういう関係ね」
「悪いけれど、さっぱりわからないわ」
「でも……二人とも、きっとキョウの故郷から来たのね」
照「――っ」
久「その、キョウというのは?」
「あなたたちと同じ日本の人で、フルネームは……スガキョウタロウ」
久「……詳しく聞かせてもらえますか?」
531 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 03:42:00.86 ID:F+8FESPw0
「そう、キョウの知り合いだったのね」
久「行方不明になった彼を探してるの」
照「どこっ、京ちゃんはどこにいるの……!」
久「落ち着きなさい。ここで慌てたってどうにもならないでしょ」
照「……たしかに、あなたの言うとおり」
「……きっと、彼はあなたたちの大切な人なのね」
久「ええ、だから居場所を知っているなら教えて欲しいの」
「残念ながら、私にはわからないわ」
照「本当に?」
「彼とはもう終わってしまったの」
久「……それは、そういう関係にあったということでいいの?」
「ええ」
照「でも、今は……」
「そうね……悲しいことだけど」
532 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 03:45:48.07 ID:F+8FESPw0
『悲しいけれど、恨んではいないの』
『キョウは最後まで優しかったから』
『……皮肉ね。彼がいなくなってから、また成績が持ち直すなんて』
久「あれじゃちょっと言えないわよね……自分の運が取られてたなんて」
照「でも、それは京ちゃんとあの人が……」
久「本気で好き合ってたってことよね……」
照「……どこにいるのかな」
久「さぁね……大きな手がかりが空振っちゃったし、情報収集するしかないんじゃない?」
照「あの人はたしか、京ちゃんは麻雀で稼いでたって」
久「それね。とりあえず近くの雀荘らしき場所をあたってみましょうか」
533 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 03:51:11.89 ID:F+8FESPw0
「……おい、あの野郎は来てねぇのかよ」
「今日は来てないよ。今頃女といちゃついてるんだろうさ」
「チッ……」
「あいつに拘りすぎだな。いいカモにされてるって気づけよ」
「それがなおさら気に食わねぇんだよ!」ダンッ
『もうこれで何軒目よ……明日にしない?』
『ダメ。少しでも手がかりを掴むまでは休めない』
『あーもう、来る前はあんなに怯えてたくせに』
「……日本語か?」
「さぁな。キョウが似たような言葉を話してるのは聞いたことあるがね」
「ちょうどいいじゃねぇか」
「おい、店の迷惑になるようなことはするなよ」
「ちょっとあのジャップたちと遊ぶだけだ」
534 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 03:59:29.98 ID:F+8FESPw0
久「もうこれで何軒目よ……明日にしない?」
照「ダメ。少しでも手がかりを掴むまでは休めない」
久「あーもう、来る前はあんなに怯えてたくせに」
「ヘイ、アンタたちここは初めてかい?」
「とりあえず座れよ。一局打とうぜ」
久「ごめんなさい、ここには人を探しに来ただけなの」
「麻雀の気分じゃねぇってんなら他のゲームもあるぜ。おすすめはダーツだ」
久「……悪いけど帰らせてもらうわ」
「おっと」ガシッ
久「なんのつもり?」
「冷やかしは勘弁だって話だよ」
久「はぁ……言わないとわからない? あなたと遊ぶことには興味がないって言ってるの」
「なっ……!」
535 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 04:05:12.24 ID:F+8FESPw0
照「いいですよ、打ちましょうか」
久「あんた、目的忘れたわけ?」
照「そうじゃないけど、たしかに雀荘で打たないのも失礼」
久「それはそうだけど……はぁ、まあいいや」
照「手加減はする」
久「当然の配慮ね」
久「ごめんなさい、やっぱり打たせてもらってもいいかしら?」
「どういう心境の変化だい? オレと遊ぶ気はないんじゃなかったって言ってたような気がするがよ」
久「遊び相手には不足だけど、小遣い稼ぎにはちょうどいいかなって」
「ぐっ、このアマ……!」
久「やるの? やらないの?」
「ああ、やってやるよ!」
536 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 04:12:05.11 ID:F+8FESPw0
久「そこそこ稼げたわね」
照「あそこまでムキになってる相手なら当然」
久「これであんたが本気出してたら大惨事ね」
照「あなたは煽り過ぎ」
久「あれは……ちょっとイライラしてたせいかもね」
照「さっきの人に絡まれて?」
久「そうね」
久「それより、聞いた?」
照「おすすめのデザート?」
久「全然違う。あの男の捨て台詞」
照「……興味なかったから」
久「かなり気になること言ってたわよ」
『クソッ、ジャップってのはどいつもこいつも……!』
久「って」
照「ジャップ?」
久「日本人のこと。明らかに見下した言い方だけど」
照「ジャップ、日本人……それがどいつもこいつもってことは」
久「そ、他にもあそこに通ってる日本人がいるってことね」
照「……明日もあそこに行ってみる?」
久「当然」
537 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 04:20:16.72 ID:F+8FESPw0
京太郎「よう、今日はいつにも増して景気悪いツラしてんな」
「チッ、テメェか……」
「ほっといてやれ。そいつ、昨日日本人の二人組にこっぴどく毟られたんだよ」
京太郎「日本人の二人組?」
「もしかすると、キョウの知り合いかもな」
京太郎「まさか。それより打たないか?」
「ダメだ。コイツがこの調子じゃあんたの相手をしようってやつはいないよ」
京太郎「そう、か」
京太郎(いい加減、稼ぎ場所を変えるべきか)
京太郎「邪魔したな……それじゃあ――」
「眠い……」
「朝も一回覗きに行こうっていったのはあんたでしょうが」
京太郎「――っ」
京太郎(ウソだろ、この声は……)
京太郎(なんだって、どうしてあの二人がここに!)
京太郎「悪い、トイレ借りるぜ」
「ん、ああ」
京太郎(とりあえず、二人がいなくなるまでやり過ごすしかない)
538 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 04:29:17.51 ID:F+8FESPw0
久「とりあえずはいない、と」
照「……」クン
久「どうかしたの?」
照「ううん、でも外に出てた方がいいと思う」
久「そうね。また時間をあらためて来るとしますか」
照「多分、その必要はない」
久「どういうこと?」
照「外で説明する」
久「……わかった。出ましょうか」
539 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 04:38:47.16 ID:F+8FESPw0
京太郎「……」ソロー
京太郎(二人は……帰ったか)
「……おい」
京太郎「なんだ、俺はもう帰るぞ」
「あの二人組、テメェの知り合いなのか?」
京太郎「知らねぇよ。無関係の他人だ」
「そうかよ」
京太郎「じゃあな」
「……無関係、ねぇ」
540 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 04:43:45.79 ID:F+8FESPw0
京太郎「さて……どこ行くか」
京太郎「……いっそ別の国に移るか?」
京太郎「となると、また別れ話か……」
「行き先なら日本がおすすめよ」
京太郎「――っ!」
久「全然帰ってこないと思ったら、こんなとこでなにしてるのよ」
京太郎「くそっ」ダッ
「京ちゃん!」ガシッ
京太郎「はなせっ……!」
照「イヤ、絶対離さない……!」ギュウウ
久「いいからおとなしくお縄につきなさいっての!」
京太郎「俺は犯罪者か!」
541 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 04:48:37.27 ID:F+8FESPw0
京太郎「……で、二人して何しに来たんだよ」
照「京ちゃんに会いに」
久「いい加減、待ってるのにも飽きちゃったから」
京太郎「待ってるもなにも、俺ははっきりと答えを出した。違うか?」
久「そうね……でも、良くない噂を耳にしたから」
京太郎「噂?」
久「ラックイーターだってさ。アメリカ代表もその被害にあったんじゃないかって」
京太郎「……やっぱり代表選手に手を出したのは間違いだったな」
久「あんたやっぱり……」
京太郎「ああ、そうだよ。俺は自分が勝つために女を食い物にしてるクズだよ」
照「そんなの関係ない……だから帰ろ? 京ちゃん」
京太郎「……帰れねぇよ」ボソッ
542 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 04:53:38.90 ID:F+8FESPw0
京太郎「ここまで来た二人には悪いけど、俺は帰らない」
久「……それはどうして?」
京太郎「言わなきゃわかんねぇか? 女がいるからだよ」
久「食い物にしてる女でしょ? そんなのやめて帰ればいいじゃない」
京太郎「俺の能力が効くってことはどういうことか、わからないわけじゃないよな?」
照「……京ちゃんは、その人のことが本気で好きなの?」
京太郎「この気持ちに嘘はない」
照「……そう、なんだ」
久「……わかった。今日のところはホテルに帰る」
京太郎「できればそのまま日本に帰ってくれ」
久「京太郎、あんた――」
543 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 04:58:05.68 ID:F+8FESPw0
『――本当に変わっちゃったのね……』
京太郎「……ああ、そうだ。変わったよ」
京太郎「あれだけあって変わらないわけないだろ……」
京太郎「そうだ、俺はクズだ。本気で好きになった女さえ食い物にするクズだ」
京太郎「……もう潮時だ。ここにはいられない」
京太郎「少し急すぎるけどしかたない、か……」
「あ、おかえり」
「もう、朝からどこ行ってたの? せっかくのお休みなのに」
京太郎「ちょっと散歩」
「私も一緒に行きたかったなぁ」
京太郎「……話があるんだけど、いいかな」
544 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 05:02:43.49 ID:F+8FESPw0
照「……」
久「どうする?」
照「……」
久「あいつの言ってた通り帰る?」
照「あなたは、どうするつもりなの?」
久「私は……まだ帰らない」
照「どうして?」
久「いなくなってる間になにがあったのか、まったく聞いてない」
照「私は……まだ帰りたくない」
久「どうして?」
照「京ちゃんが私をどう思ってるのか、はっきりと聞きたい」
久「……あんなに怖がってたくせに」
照「誰かみたいにすぐ諦めたりしないから」
久「言ってくれるじゃない……なら、とにもかくにも行動ね」
照「京ちゃんを探すの?」
久「逃げられる前にね」
545 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 05:06:02.83 ID:F+8FESPw0
京太郎「くそっ、痛ぇな……!」
京太郎「まさかあそこでナイフを出してくるとは……」
『なんでそんなこと言うの……?』
『私は……あなたといられるだけでいいのに!』
京太郎「だから急すぎるとダメなんだよ……」
京太郎「あぁもう……女なんて懲り懲りだ!」
京太郎「……なんて言っても、その女の力がなきゃなんにもできないんだけどな」
京太郎「とりあえず、この切り傷をなんとかしないとな」
京太郎「シャツも切れちまったし、移動費と宿代も考えると……」
京太郎「……マズイな、手持ちじゃ全然足りねぇ」
546 :
◆zSdeXZwVBY
[saga]:2018/03/24(土) 05:12:51.32 ID:F+8FESPw0
久「私たちの部屋ならタダで泊まれるわよ」
京太郎「……まだ来るのかよ」
照「京ちゃん、その怪我……」
京太郎「たいしたことない。血が出てるから酷く見えるだけだ」
久「そんな格好でうろつくのはどうかと思うんだけど、どうする?」
京太郎「……帰れ」
照「イヤ」
久「少なくとも、納得がいくまでは帰れないわよ」
京太郎「俺が何言っても納得なんてしないだろ」
久「でも、話をしなきゃ納得のしようがない」
京太郎「……」
照「私は、京ちゃんの本当の気持ちが聞きたい」
京太郎「……わかった。今日だけ場所を貸してくれ」
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