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バットマン「グランド……オーダー?」
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427 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/12(火) 00:51:30.24 ID:R49UtULq0
………………
ドクター『……! マシュ、清姫、連絡だ。ブルースくんの救援要請』
マシュ「!! 早く助けに行かないと……」
清姫「……ここを、こうして、こうやって……縄抜け完了ですね」スルスルッ
清姫「ふふふ、旦那様の縄からも脱したわたくしに隙はありません。さあマシュ、戒めを解いてさしあげましょう」
マシュ「お、お願いします!」
清姫「こうして……うふふふ、造作もない事です」スルスル
マシュ「行きましょう! 牢屋の外に武装が置いてあったハズです!」
清姫「お待ちなさい。まずは鉄格子を……」ガシッ
マシュ「私も……!」ガシッ
鉄格子「」グググググ……グンニャリ
マシュ「マスターは上階です!」ダッ
清姫「では急ぎましょうか」
盾「」
マシュ「……」パシッ、ガシャリ
マシュ(必ず守ります、マスター……!)
???「ちょっと待ちなさいな」
マシュ「……!」
428 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/12(火) 00:52:19.86 ID:R49UtULq0
ブーディカ「牢屋の警護やってたら、やっぱりというかなんと言うか……脱走するとは思ってたよ」
スパルタクス「キミたちは反抗者だ! 好ましく思うが、我が反抗には敵うまい!」
清姫「まあ。手早く燃やして昇りましょう」
マシュ「退いて下さい。私達は行かなければ」
ブーディカ「そりゃ、そっちもこっちも事情があるしね。ま、ただじゃ通れないのは分かってたでしょ?」
マシュ「……」ガシャリ
ブーディカ「そうそう。……それじゃ、やろうか」
429 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/12(火) 00:52:57.64 ID:R49UtULq0
………………
荊軻「……戒めを解く。いいな、皇帝殿」
ネロ「……構わんが、余は手助けをせんという事で良いのだな?」
荊軻「ああ。そこで見ていてくれ。この男の戦いぶりを」スパッ
縄「」ハラハラ
ブルース「……」スクッ
荊軻「ふ。少し滾っているのも事実だ。私とキミは正反対だが、根本の部分で似ている気がしてな」
ブルース「……」
荊軻「……では、やろうか」
430 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/12(火) 00:54:07.60 ID:R49UtULq0
上等な絨毯を踏みしめ、荊軻は円を描くようにジリジリとすり足で移動する。
ブルースは動かず、向き合った姿勢を維持したまま、じっと相手の動きを見詰め、全ての一撃を想定する。
荊軻はなおも動き続け、動かないブルースの構えを見る。
その時、地下から轟音が響いた。
(地下牢。マシュ)
その瞬間、マスターは無防備になった。気付いた時には、暗殺者は踏み込み、懐から抜いた隠し刀を一閃させていた。
ブルースは肘で荊軻の腕をブロック、手首を掴んで舞うように放り投げる。だが彼女は軽やかな身のこなしで着地、絨毯のたわみを足にかけ、蹴り上げた。
腕で絨毯を払う……その先に居たハズの暗殺者は既に消えている。
(いや)
絨毯の下だ。勘をフル活用し、ブルースはストンプを繰り出す。絨毯に出来ていた不自然な膨らみが移動し、ブルースから数メートルの場所で布を切り裂いて荊軻が飛び出した。
「成程、やる」
荊軻は不敵な笑みを浮かべ、手に手に小刀を持ち替え始める。次の一撃の方向を悟らせないためのフェイントだ。
(……あまり刺激してはこちらが殺される……だが本気で向かわなければ、それも殺される。マシュ達は何らかの妨害にあっていると見ていいだろう。独力で切り抜ける……それが可能か?)
一方の騎士は、自身の生死に際して異常なほど冷静に思考を回す。
(荊軻。単独で始皇帝を暗殺しようとし、失敗。斬殺。……伝説では、脚をまず斬られ……身動きが出来なくなったところを斬り殺されたハズ)
狙うべきは脚。ブルースもまた暗殺者の目になり、冷徹な足運びで距離を詰める。荊軻も相手の雰囲気が変わったことを悟り、腰を落として構える。
荊軻がまず仕掛けた。匕首を高速で持ち替え、目にもとまらぬ突きを繰り出した。
だがいくら素早かろうとも、予測済みでは意味がない。ブルースは既に数センチ横にずれ、突きを躱して拳を繰り出している。
荊軻はステップで躱した……
「っぐぅ!?」
予想外の部分から伸びた打撃が荊軻の脚を打った。暗殺者は拳の勢いを利用し、身体を捻って足払いを繰り出していたのだ。堪え切れず倒れるそこへ、ブルースは更に蹴りを放つ。
だがたおれた暗殺者も伊達ではない。蹴りを両手で弾き、脚を庇いながらもスムーズに立ち上がる。
ブルースも反動を利用し、するりと立ち上がる。二人の暗殺者が見合う。身体能力を除けば、二人の力は拮抗しているといえる。
(……次はどう来る)
過熱した頭で考えるのは荊軻だ。熱中ともいえるほどに没頭し、荊軻は舌なめずりすらしかねないほど興奮している。恐怖などない。生前、単身で皇帝の暗殺に挑んだ彼女に、恐怖など。笑わせる。
目の前の男にも恐怖は無い。見れば分かる。分かるのだ。彼はずっと考えている。次の手を。自分はあくまで彼を取り巻く世界に過ぎず、所詮は脅威のひとつでしかない。
(最高じゃないか。ようやく分かって来たぞ)
この男が嘘など吐くはずがない。何故ならば、私を見た時に既に気付いていたからだ。嘘は通じないと。そして利用しようとしていたのだ。ネロの信用を得るための装置として。
そこまで気付き、荊軻はふとうすら寒い心地を覚えた。
(ならば)
生唾を嚥下し、彼女は男を見た。ここまで賢しいのならば。
(この男は……世界と別離してしまっているのか?)
ぞわり。最悪の孤独を想像してしまった彼女の身体が震えた。
そこへ、踏み込んだ掌底が叩き込まれた。
431 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/12(火) 00:56:28.36 ID:R49UtULq0
荊軻「うっ……!?」ドズシャァァ
ブルース「……勝負あり、で良いか」スッ
ネロ「……うむ、一本入ったと見るべきであろうな」
荊軻「……私の、負けか……」
マシュ「マスター!!」ダダダッ
清姫「旦那様!!」タッタッ
ブルース「……無事だ」
――――
ブーディカ「あいたたた……もー、やってくれるわ……」グッタリ
スパルタクス「やはり圧政者以外への愛は表現が難しい! ふはははははははは!! だが悪くないぞ!!」
ブーディカ「アンタは良いよね、元気で……」
432 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/12(火) 00:57:17.62 ID:R49UtULq0
荊軻「……」
ネロ「うむ。今なら一対一の話し合い……とはいかぬが、そちらの本音が聞けそうだな。目的を聞かせて欲しい」
ブルース「……目的は、この戦争の元を取り除く事だ。皇帝の暗殺でも、こんな打ち合いの試合でもない」
ネロ「……ふむ、成程。だがそれだけの戦力では厳しいのではないか?」
ブルース「……ああ。そちらも、戦力不足が深刻なようだ」
ネロ「ナマイキな奴め。……だが事実だ。これを余から言うのは恥ずかしくて毎回慣れぬのだが……余に力を貸して欲しい」
ブルース「……良いだろう。こちらこそよろしく頼む」
マシュ「え……え?」
清姫「待って下さい。旦那様のピンチにわたくしが颯爽と駆け付けて助けてからキスするシーンは? 『待たせたな』は何処です?」
ブルース「……そんなものはない」
荊軻「ふー……ようやくショックから立ち直れたぞ、うん」
荊軻(……身体能力は人間のそれに合わせたとはいえ、まさか打ち負けるとはなぁ)
荊軻(……何者なんだ、ブルース・ウェイン)
ブルース「……」
ネロ「うむ、協力すると決まったなら早速現状の確認に入ろう。未来人とはいえ、この世界の事は知らぬようだからな」
433 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/12(火) 00:58:17.03 ID:R49UtULq0
………………
ブルース「『連合ローマ帝国』?」
ネロ「……そうだ。そう名乗る国が西に突如現れ……うむ、まさに突如現れたのだ。そして、余の……ゴホン、東ローマを脅かし始めた」
マシュ「ですが、突如現れたにしては……その、物量が凄まじかったというか」
ネロ「……」
荊軻「それは……」
ネロ「いや、良い。ついて来て欲しい、未来の客人たちよ」
ブルース「……」
434 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/12(火) 00:59:24.84 ID:R49UtULq0
ネロ「……このバルコニーに立ってみて欲しいのだ。見渡して欲しいのだ、この首都を」
ザワザワ……ガヤガヤ……
ブルース「……普通の都市に見えるが」
清姫「ええ。何の変哲もない……」
ネロ「そこが問題なのだ。数か月前まで、この都市はもっと活気に満ち溢れていた。
全ての国の者がここに集い、昼夜を問わず祭りじみて……それが、消えた。連合ローマ帝国が現れた事によって、民の大部分はあちらへと移住を始めた。兵達でさえ」
ブルース「……」
ネロ「余は皇帝としての誇りを持っているつもりだった。だが、民が居なくなった途端、その誇りは……情けなくも揺らいでいる」
ブルース「……民が居てこその皇帝だ。それは正しい揺らぎだろう」
ネロ「……うむ、有難う。噂では、あちらには『過去の皇帝達』が居るらしい。眉唾なものだが、我が叔父カリギュラが妖しげな術を行使している事を考えると……」
ブルース(……十中八九、サーヴァントだろう。この特異点はつまり……ローマを懸けた戦いか)
435 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/12(火) 01:00:50.51 ID:R49UtULq0
ネロ「そこで! いつまでも守りに入っている訳には行かぬと見た余は、そろそろ攻勢をしかけようと思うのだ!」
荊軻「ジリ貧だしな」
ネロ「うむ、そのとお……いいや、ローマならばいつまででも籠城戦ができるぞ! できるもん!」
荊軻「悪かった、できるよな。すまない。話を続けてくれ」
ネロ「むぅ……我々はまずマッシリアへ赴き、ガリアの砦を取り返そうと思う。そこで大きな戦争を起こし、敵の目を引いている内に『連合』の首都へと少数精鋭で殴り込むのだ!」
ブルース「……地図を見ても?」
ネロ「構わんぞ、見てみろ」スッ
地図「」ペラッ
ブルース「……ドクター、この地図に現在の衛星観測による地形を重ね合わせてくれ」
ドクター『ほい来た、ちょっと待ってくれ……ローディング完了。展開するよ』ブゥゥン
ブルース「……」
ブルース(マッシリア……どうやら連合首都のすぐそばにあるようだな。
ガリアの砦はそこからやや離れた場所に……地理的には確かに重要。ここを取らなければ挟み撃ちにされる)
ブルース「……その作戦に賛同する」
ネロ「おお、本当か!? よし、出発はすぐにでも……と言いたいが」
マシュ「?」ボロボロ
清姫「??」ボロッ
ネロ「……うむ、一晩だけでも休憩を取らせるとしよう。明日の明朝に出発だ、準備をしておけ」
ブルース「了解した。ところで私のスーツを……」
436 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/12(火) 01:02:06.09 ID:R49UtULq0
………………
マシュ「凄いですマスター、見て下さい! この大きな建物が全部お風呂らしいです!」
清姫「さあ旦那様、お背中をお流しします……」グイグイ
バットマン「……私は夜風に当たってくる。二人は入っていろ」
ネロ「む、異国の者共も丁度入浴か! よし、余と共に入る栄光を与えよう!」
清姫「チッ」
ネロ「!?」
ブーディカ「騒がしいわね、何を……あら、アンタ達も入るの?」
スパルタクス「アッッッッッッ!!! セイ!!!!!」
ブーディカ「いやアンタは駄目だから」
437 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/12(火) 01:03:10.31 ID:R49UtULq0
…………
ヒュオオオオオオゥ……
バットマン(……ここが首都で最も高い建物か。グラップネルガンで……)シュポッガシッ
バットマン「ふっ」ギュルギュルギュルギュルッ
スタッ
荊軻「やあ、こんばんは」
バットマン「……」
438 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/12(火) 01:03:40.82 ID:R49UtULq0
荊軻「良い眺めだろう。天にも星はあるが、地上にだってそれはある。見ろ、灯された篝火がポツポツと」
バットマン「……」
バットマン(……地形を肉眼で一望して簡易の戦略を立てるつもりだったが)
荊軻「……そう身構えないでくれ。昼間の戦いは見事だった」
バットマン「……そうか。こちらも、かなり追い詰められた」
荊軻「ふふ、まあな。暗殺者の名は伊達ではないよ」
バットマン「……」
荊軻「…………」
439 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/12(火) 01:04:34.28 ID:R49UtULq0
荊軻「ところで」
バットマン「……」スッ
荊軻「ごほん。ところで、キミは酒に興味があるか?」
バットマン「……残念だがあまり無い」
荊軻「ふむ……」
バットマン「……」
荊軻「……」
バットマン「…………」
荊軻「少し頼みがあるんだが」
バットマン「……聞こう」
440 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/12(火) 01:05:30.06 ID:R49UtULq0
…………
松明「」パチパチ
ワーワー、ギャーギャー
バットマン「……ここが?」
荊軻「ああ。お気に入りの酒場だったんだが、最近どうにも治安が悪くてな。
戦争難のあおりというのはやはり、こういう場に出やすい」
バットマン「……私に頼らなくとも鎮圧できると思うが」
荊軻「ふふ、サーヴァントが人間の営みに口を出すのもな」
荊軻(……そして君の本質を見極めるためにも、君にやってもらわなければな)
バットマン「……分かった」
441 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/12(火) 01:06:11.35 ID:R49UtULq0
バットマン(……しかし、今見ている限りでは普通の酒場だが)
???「……」スタスタ
???2「……」スタスタ
???3「……」スタスタ
???4「……」スタスタ
バットマン(……フードを被った人物が四名。歩き方がぎこちない? 顔は見えない。背丈が全く同じ……)
???「……」ドンッ
酔っ払いA「ああああ〜?? いってえなあこの野郎!」
酔っ払いB「どこ見て歩いてやが……ぐえっ!?」ドンッ
???『うるさい奴だ、黙っていろ!』
バットマン「……合成音声?」
442 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/12(火) 01:07:28.04 ID:R49UtULq0
酔っ払いA「上等だこの野郎! ぶっ飛ばしてやるぁ!!」
酔っ払いB「クソ喰らえ! ぶん殴ってやる!」
???「……」スッ
バットマン(ここで止めるか……)ヒュンッ
バットラング「」ヒュォンッ
松明「」パッ
酔っ払いA「なんだ!?」
酔っ払いB「灯りが……真っ暗だ」
バットマン「……」バッ、バサササササササ
443 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/12(火) 01:08:18.13 ID:R49UtULq0
???『環境の急変への対応策を検索しています』
バットマン「……」ガッ
???『ガピー! ガガガー!』ドシャッ
酔っ払いA「なんだ!? 何の音だよ!?」
酔っ払いB「俺が知るかよ!!」
バットマン(思った通り。このフードの連中はロボットだ……ならば)グシャア
ロボット『……』キュゥーン……
バットマン(次だ)
ロボットB『一体目の反応消失を確認。サーヴァント反応確認できず』
バットマン「ふっ!」ガシッ、ゴギッ
ロボットB『……』キュゥーン……
バットマン(次を)
ロボットC『サーモグラフィーに切り替えます』
ロボットD『互いの視界をカバー……』ガシッ
バットマン「一気に……!」ドドッ‼
ロボットC『ギギッ‼』グジャア
ロボットD『ゴゴッ‼』ドシュウゥ
バットマン「……片付いたか」
444 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/12(火) 01:09:09.43 ID:R49UtULq0
…………
松明「」パチパチ……
酔っ払いA「なんだこの……鉄が動いてたってのか」
酔っ払いB「ぎゃははははは! 飲みすぎて幻覚が見えるぜ、あぁぁ〜」ドタッ
バットマン(基盤からチップを引き抜き、解析に掛けてもらうか……)
荊軻「お見事、手際は見せてもらったよ」
バットマン「このロボット……鉄の人形に見覚えは?」
荊軻「……残念だが無いな。キミは?」
バットマン「……」
バットマン(緑の塗装、背中に描かれた自己顕示欲の塊のようなクエスチョンマーク……思い当たる人物は居るには居るが)
バットマン「……いいや」
荊軻「嘘か?」
バットマン「何故?」
荊軻「目に出ている」
バットマン「……こんな事をしそうな奴に覚えがある。それだけだ。
ドクター、チップのデータを送る。周波数の特定を頼む」ピッ
ドクター『……zzz……』
バットマン「……ドクター」
ドクター『……うぅん、ハッ!? ご、ごめんよブルースくん、ちょっと寝てた!』
バットマン「……今送ったデータの解析を頼む」
445 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/12(火) 01:09:57.45 ID:R49UtULq0
店主「近頃この辺の店を荒らしている連中が居ると聞いて……本当に恐ろしかったです。
助けて頂いて、何とお礼を言ってよいやら……この酒はこの店で一番上等なものです、よろしければ」
バットマン「……いや、私は」
荊軻「良いじゃないか、酒の礼なんて洒落てる。貰っておくといいさ」
バットマン「……」
店主「どうか受け取って下さい」スッ
バットマン「……分かった」パシッ
荊軻「……店主、この酒は本当に上等なモノじゃないか。前に私が来てコレをねだっても頑として譲ってくれなかったアレだろう」
店主「……」
荊軻「ブルース、金なら出すぞ。その冗談のように度数の高い酒を私にもくれ」
バットマン「……お礼の品を本人の目の前で他人に渡す奴は居ない」スタスタ
荊軻「なら目の前じゃなかったら良いんだな!? まあ待てブルース! 待つんだ!」タッタッ
446 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/12(火) 01:10:36.98 ID:R49UtULq0
…………
荊軻(……あの時、暗闇でも見えた)
荊軻(彼は致命的な攻撃を繰り出す直前に、それが人間かどうかを確かめていた)
荊軻(……彼の事を暗殺者、などとは言ったが。アレは失言だったかもしれないな……)
バットマン「……急に黙り込んだが、どうかしたか」
荊軻「いいや、なんでもないさ。ともかく……」
バットマン「なんだ」
荊軻「ありがとう、と言いたかったんだ。全く君は性急に過ぎるぞ」
バットマン「それは……すまない」
荊軻「……いいのさ」
447 :
◆GmHi5G5d.E
[saga sage]:2017/12/12(火) 01:12:10.47 ID:R49UtULq0
今回の更新はここまでです。
今頃BvS観たんですけど、バッツが物凄い勢いで人を殺してましたね……ちょっとびっくりしました
448 :
◆GmHi5G5d.E
[saga sage]:2017/12/12(火) 01:13:29.80 ID:R49UtULq0
今頃観返した()
本当に文章というのは……
449 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/12/12(火) 01:15:07.21 ID:Xy/77IO+O
乙です。
450 :
◆GmHi5G5d.E
[saga sage]:2017/12/12(火) 01:20:00.46 ID:R49UtULq0
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%BC
今回の悪役の参考資料です
451 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/12(火) 02:05:26.28 ID:YIGrUZlQO
乙です
452 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/12(火) 02:15:25.97 ID:AWS3ZlOp0
参考資料ならばこちらのサイトもオススメですよ
DCだけではなくMARVELも載ってますけど
https://www20.atwiki.jp/nijiame/sp
453 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/12(火) 12:08:13.38 ID:hUSrAxv80
おかしなヴィランや暗殺者に愛されるのがバットマンの定め
荊軻も絶対ブルースを狙ってるよね
454 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/12(火) 12:26:37.36 ID:+wEMLHMSO
(まーたカプ厨スイーツが湧いてきたよ・・・)
455 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/12(火) 13:06:59.45 ID:hUSrAxv80
いや、カプ厨スイーツではないが
原作コミックでもラーズ・アル・グールの娘と子供作ったりしてるし
ヒーローよりはアウトサイダーに共感されやすい体質なのはマジ
それにカプ厨スイーツの御用達はロビンだ
456 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/12(火) 13:15:21.03 ID:Kv7GNZOdo
このバットマン、玄田ボイスで脳内再生余裕だな
また玄田さんどっかでバットマンの声やってくれねぇかなあ
457 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/12(火) 14:16:54.06 ID:Kv7GNZOdo
https://youtu.be/w3l8HLHwXK8
このOPを見たときは痺れたよ
458 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/12(火) 15:09:53.97 ID:DR0fNVMNO
初代ロビンはモテモテだよな
459 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/12(火) 18:33:19.96 ID:frtejQtoO
>>455
はいはい、難癖つけてないでカプは頭の中でやってね
誰も望んでないのに気持ち悪い、そんなに主人公が出会う全ての女キャラに惚れられたいのが見たいならなろうに引きこもればいいのに
460 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/12(火) 18:50:31.46 ID:B5WRYYoNo
流石に1レスだけでそこまで言うのはどうかと思うぞ
実際ブルースの恋愛事情ってどうだっけ?なんかEXTRAの無銘のように割と相手は居るけど誰も彼も長続きしないイメージがある
461 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/12(火) 18:56:43.08 ID:8NRlMZ4cO
リドラーとロボット?
462 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/12(火) 19:50:18.42 ID:865bCgb5o
良い感じになった相手が次から次に死にそうなイメージ
463 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/12(火) 22:44:35.50 ID:D2NYxo+D0
アメコミはアナザーストーリーやパラレルワールドだらけでどれが正史かわからんけど
やっぱセリーナ・カイルがブルースの恋人に近い存在になるんじゃね?
でもブルースの息子のダミアンはセリーナとの子供じゃないんだよな……
464 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/13(水) 00:19:23.51 ID:crLy4ndPo
5章のロビンフッドの代わりにオリバー・クイーン…はないか
465 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/13(水) 00:41:47.03 ID:J21ReRQEo
ロビン・フッドは義賊として有名
バットマンで義賊と言えば怪傑ゾロだな
466 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/15(金) 12:45:10.61 ID:0M8tE6raO
クソつまらんなー
書くのやめたら? こんなのがいちいちageられてたらこっちも不快やし
467 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/15(金) 13:02:16.58 ID:nUAAZBUQO
そうだな
>>1
は次からはsage進行にしよう、上がってさえいなきゃこんなのに文句言われないだろ
468 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/12/15(金) 13:25:32.07 ID:0M8tE6raO
こんなので時間取られてるやつらも気の毒だからな。
最善は
>>1
がさっさと消える事
469 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/15(金) 13:34:38.14 ID:jl7OXj/gO
俺は専ブラにタブ残してるからsageようが
>>1
が続けてくれる限りは見るがな
470 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/15(金) 13:34:46.35 ID:YTkprjVA0
>>468
加速中まだいたのか
身バレしてもこりないな
471 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/15(金) 15:16:53.99 ID:nUAAZBUQO
>>469
(しっ!気持ちよく帰って貰って2度と来ないでもらえるようにしてるんだから余計な事言わない!)
472 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/15(金) 16:21:59.55 ID:RrcdBs9Po
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
をNGnameにぶち込むのオススメ
473 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/16(土) 01:32:01.45 ID:3wpvpcHB0
チャプチャプ……カポーン……
ブーディカ「ふー、やっぱりいい湯だね……」
ネロ「うむうむ、そうであろう! この湯を引くのにはかなり苦労したのだ!」
マシュ「……本当に、こんなに大きな……」
清姫「油断したら溺死しますね、この深さ……全く逸話持ちの身というのは」フゥ
フォウ「フォウ、フォーウ!」ジャブジャブ
マシュ「あ、フォウさん泳いじゃ駄目ですよ」
474 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/16(土) 01:32:27.50 ID:3wpvpcHB0
ネロ「向こうには露天風呂もあるぞ! 今の時期は寒いが……」
ブーディカ「贅沢すぎるでしょ」
マシュ「じゃあ私、露天風呂に行ってみますね」ジャバッ
ブーディカ「あ……ちょっと待ってよ、私も行くからさ」
ネロ「……」
清姫「……」ニコリ
ネロ「待ってくれ! 余も! 余も!」ジャバジャバ
清姫「あらあら、どうして嫌がるのですか皇帝様ぁ〜? 少しお話でもしましょう?
わたくしは旦那様の束縛を許可されていなかったのに、皇帝様だけ旦那様を縛った事とか……ね?」ギラリ
ネロ「待ってくれ! 何か誤解が……目にハイライトが無いぞこやつ! まだ余は死にたくない! 誰かー!!!」
ギャアアアアアアアアアア……
475 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/16(土) 01:33:11.37 ID:3wpvpcHB0
カポーン……
ブーディカ「ふー……綺麗な星だね」チャプ
マシュ「……はい、本当に」チャプチャプ
フォウ「フォーウ……」ブクブク
ブーディカ「……その、さ。昼間は悪かったね、斬り掛かったりして」
マシュ「……」ビクッ
ブーディカ「痛くなかった? 確か、腕を斬り付けちゃったけど」
マシュ「……ええ、大丈夫です。デミ・サーヴァントなので、傷の治りも早いんです」
ブーディカ「……」
476 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/16(土) 01:33:46.45 ID:3wpvpcHB0
ブーディカ「……あのさ、もうちょっと近くに寄ってもいい?」
マシュ「え? ……はい」
ブーディカ「……」チャプチャプ
マシュ「……」
ブーディカ「……」ピトッ
マシュ「……」プルプル
ブーディカ「……」
ブーディカ(やっぱり、この娘……)
477 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/16(土) 01:34:16.53 ID:3wpvpcHB0
ブーディカ「……ねえ、マシュ達はさ。未来から来たって、そう言ったよね?」
マシュ「はい、そうです」
ブーディカ「戦うのって、やっぱり未来のためなの?」
マシュ「……そう、なのだと思います。今の私には、はっきり分かりませんが」
ブーディカ「へえ……未来じゃ、戦うのって普通なの?」
マシュ「……いいえ。戦うのも、戦争に立ち会うのも……全くと言っていいほど経験が無くて」
ブーディカ「……怖い?」
マシュ「……!!」
478 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/16(土) 01:35:06.49 ID:3wpvpcHB0
マシュ「私、は……」
ブーディカ「別に恥じる事じゃないよ。そんな歳の娘が急に戦争に放り込まれて、ビックリしない方が無茶なんだ。怖がってしまうのも当たり前」
マシュ「……はい。情けないとは思いますが、私は……戦いが怖い。人が死ぬのを見るのが怖い。たとえそれがサーヴァント相手だとしても、怖くてたまらないんです。
マスターが居てくれるから、私は立っていられますが……守るものが無くなった時、私は……」
ブーディカ「……」ガシッ
マシュ「!? ぶ、ぶーでぃ……」
ブーディカ「シー。今はこのまま……ね? よしよし……」ナデナデ
479 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/16(土) 01:35:37.97 ID:3wpvpcHB0
マシュ「……」ジワ
ブーディカ「……いいの、いいんだ。怖かったら怖いって言っていい。無茶しすぎなんだよ、こんな歳で……」ギュッ
マシュ「……わ、私、は……」ポロ
ブーディカ「……大丈夫。アンタは十分強いし、頑張ってるんだ。盾の後ろが重くなったら、他の奴だって支えてやれるんだから……」ナデナデ
マシュ「……」ポロポロ……
ブーディカ「……」
ブーディカ(……そう、支えてやれるんだ。だから、守ってやらないと……今度こそ)
チャプ……
ガラガラッ‼‼
ネロ「助けてくれ!! もう一人では抑えきれん!!」ダダダダ
ブーディカ「コラ! 風呂場で走んな!」
清姫「あらあら、少し『お話』しただけだというのに、やわなお方ですね……」スルスル
ブーディカ「アンタもねー……空気を読みなさいよ、もー」
マシュ「……あ、あははは……」クシクシ
480 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/16(土) 01:36:14.09 ID:3wpvpcHB0
…………
ネロ「ほれ、風呂場の中でもここに立てば……都市が一望できるぞ!」
清姫「ふむ……これは素晴らしいですね。旦那様にも見せてあげたかったです」
ネロ「あそこに見えるのが花屋だ! 先週娘が産まれてな、大層喜んでいたぞ!
そしてアレが鍛冶屋! 良い仕事をする男でな、剣の話ならあやつに任せれば間違いない!
アレが服屋! 世界の流行の最先端はあそこで生まれるのだ!」
清姫「流行の最先端……ですか。それはその、可愛いようなものも……?」
ネロ「? うむ、無論である。今からでも余の衣装の数々を見せてやっても良いぞ?」
マシュ「わ、私も良いですか?」
ネロ「ふむ、どうやらドレスに興味があるようだな! 良い良い、試させてやる! 目にも明るく、着るに楽しく! 道行く民の視線を釘付けにする数々の服を!」ザバァッ
ブーディカ「コラ! ちゃんと肩まで浸かって100数えろ!」
481 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/16(土) 01:36:43.04 ID:3wpvpcHB0
………………
清姫「こ、これはちょっと……攻めすぎではないでしょうか……」
ネロ「そうか? 真っ赤なドレスが映えると思うが」
清姫「だってこれ……背中が丸見えで……うう、すうすうする……」
マシュ「……」フムフム
ネロ「マシュにはこれであろう! この黒のフリルがついているものを!」
マシュ「……これは……その……随分胸元が強調されていますね?」
ネロ「無論、余・セレクションのドレスは女の武器を活かすのだ! 全身武器庫の貴様にはこれがふさわしい!」
482 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/16(土) 01:37:18.32 ID:3wpvpcHB0
マシュ(……着てみたら、これ……丈が足りなくてお尻も見えそうになりますね)カァァ
清姫「……赤い色で身を包んでいたら何だか興奮してきました! 旦那様! 旦那様は何処ですか!!」フーッ、フーッ
ネロ「お、おうおう。その姿で息を荒くしておると痴女にしか見えんな……余が選んだとはいえ……」
清姫「もう我慢できません! 旦那様を探してまいります!!!」ダッ
バットマン「戻っ……た……」ガチャリ
マシュ「あ……」
清姫「あ……」カァァ
ネロ「うむ、よくぞ戻った! 今、乙女たちがこうして……」
バットマン「邪魔をした」バタリ
ネロ「あれっ?」
483 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/16(土) 01:37:56.86 ID:3wpvpcHB0
荊軻「どうしたんだブルース」
バットマン「……」
――――
清姫「どどどどうしましょう……勢いに乗っていたとはいえ、完全に痴女っぽかったですね今の……」ヘナヘナ
マシュ「お、落ち着いて下さい! 今からリカバーすればきっと……」
ネロ「ふっ……落ち着け、清姫よ。見られたからには押し倒しに行く、これで万事解決だって本に書いてあったぞ」
清姫「な、成程! 一理あるような無いような!」スクッ
マシュ「無いですよね。理の欠片も」
清姫「では清姫、行ってまいります!」ダダッ
ネロ「武運を祈る!」
マシュ「マスター……」
484 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/16(土) 01:38:50.87 ID:3wpvpcHB0
…………
荊軻「成程なぁ、それで突進して来て押し倒したと思ったら返り討ちにあい、グルグル巻きにされたと」
清姫「はい……」プラーン……プラーン……
バットマン「……」ギュッ、ギリッ
清姫「痛い痛い痛い!? 旦那様!? つ、吊り下げられてるだけで十分な罰では!?」ギチギチギチギチ
バットマン「懲りない奴には追加の罰を与える。これで二度目だろう」ギュリギュリギュリ
清姫「どうかお慈悲を! そんな残酷な!」ギチギチギチギチ
バットマン「もうしないと誓うか?」
清姫「何度でもします。諦めたらそこで試合終了です」
バットマン「……」ギュリギュリギュリ
清姫「痛い痛い痛い痛い!! ……あ、でも気持ちイイかも……」ギチギチギチギチ
バットマン「……」ギュリギュリギュリ
清姫「いややっぱり痛いだけでした!!」ギチギチギチギチ
荊軻「ははは、夫婦漫才だな……それじゃあ私はこの辺りで。失礼するよ」スタスタ
清姫「荊軻さん!? ここはわたくしを助けるところでは……いだだだだ!」ギチギチギチ
485 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/16(土) 01:39:55.01 ID:3wpvpcHB0
…………
バットマン「……」
清姫「……あ、……あう……」プラーン……プラーン……
バットマン「……ひとつ聞いてもいいか」
清姫「ハイなんでございましょうか!」ピーン
バットマン「何故私に固執する。お前と私とは何のかかわりも……」
清姫「貴方様が安珍様の生まれ変わりだからです。一目で分かりました」
バットマン「……一目で? どうやって?」
清姫「……ふらんすで、わたくしをあの騎士から庇ってくれた時に。迷いなく人を助ける事ができるその魂の気高さに、安珍様を見たのです」
バットマン「……」
14
バットマン「……意外だな。お前は安珍を憎んでいると思っていたが」
清姫「どうして憎むハズがありましょうか。……いいえ、そうですね。
確かに、わたくしは安珍様を焼き殺しました。ですがそれも愛ゆえです。離れたくなかったのです。
証拠に、わたくしは安珍様を焼き殺した直後に……溺れ死ぬ事を選びました」
バットマン「……死ねば、魂は共に……」
清姫「その通りです。
愛は、それそのものでは甘い蜜でしかありませんが……悲しみが加われば、途端に激しく燃え上がる炎と化しましょう」
バットマン「……」
清姫「……あの、わたくし、格好の良い事を言っている自覚はあるのですが、吊るされてて恰好が付かないと言いますか……」プラーン……
バットマン「……」ス、ガチャリ……バシュッ
清姫「……」スタッ
バットマン「……行け、着替えてこい」
清姫「……旦那様は?」
バットマン「もう少しここに居る」
清姫「でも……」
バットマン「行け。久々の着替えなんだろう。楽しんで来ると良い」クルリ、スタスタ
486 :
◆GmHi5G5d.E
[saga sage]:2017/12/16(土) 01:41:06.69 ID:3wpvpcHB0
(14とかいう数字は気にしないで下さい)
487 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/16(土) 01:41:35.78 ID:3wpvpcHB0
清姫(……)
清姫(その時去っていく背中が、やっぱりわたくしを置いて行く安珍様にそっくりで)
清姫(声を掛けたかったのに、掛けられず)
清姫(ああ、わたくしは……史実で定められた存在なのだと、感じてしまう)
488 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/16(土) 01:42:12.81 ID:3wpvpcHB0
バットマン(死ねば共に居られる、か)
バットマン(私も、死ねば……)
バットマン(……いや、違う。人理を救う使命がある)
バットマン(……だが、いずれ死ぬ命ばかり抱える世界を……命を賭して守る価値は、あるのだろうか)
バットマン(死を潜り抜けても、待つのは死……あの時ソロモンの言っていた事は、本当に全ての生命の理想なのか……? 永遠は、悲劇を避けられるのか?)
バットマン(不確定な悲劇より、確定された平穏の方が望ましいのではないのか?)
バットマン(……私は……)
489 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/16(土) 01:43:06.22 ID:3wpvpcHB0
…………
チュン‼ チュンチュン‼
フォウ「フォウ、フォーウ! フォウ!」パタパタ
ブルース「……」ムクリ
ブルース(朝か……)
ブルース「……」ガチャ、ガチリ。ガキッ
ブルース「……」ガキ、ガチッ。シュルッ
マスク「」
ブルース「……」スッ
バットマン「……」
フォウ「フォウ、フォーウ!」
バットマン「……ああ、おはよう」
490 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/16(土) 01:43:41.75 ID:3wpvpcHB0
マシュ「おはようございます、マスター」
ネロ「良い朝であるな!」
バットマン「ああ、おはよう……」
ネロ「早速行こうではないか! ガリアまでの遠征は遠いぞ、気を張れ!」
ブーディカ「アタシが一番心配なのはこの皇帝なんだけど……まあいいや、行こっか」
491 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/16(土) 01:44:10.14 ID:3wpvpcHB0
ネロ「第一から第八大隊はマッシリアへ行き、連合首都へ向けて大きく布陣を展開させろ! 囮とはいえ油断は禁物であるぞ!」
兵士達「「「はい!!」」」
マシュ「……荊軻さん、確か囮の布陣を指揮なさるんでしたよね」
荊軻「ん? ああ、指揮というよりは呂布と共に大暴れする役目だが……どうかしたか?」
マシュ「この通信機をどうか。ガリアを侵攻する我々と、常に連絡を取り合えるようにしていて下さい」ス
荊軻「ほう、こんなものが……良いだろう、よろしく頼む」パシ
ネロ「では第九、第十大隊は我々について来い! ガリアの砦を取り戻すぞ!」
兵士達「「「おおーーー!!!」」」
バットマン「……」
バットマン(さて、一筋縄で行くか……)
492 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/16(土) 01:44:40.01 ID:3wpvpcHB0
ザッザッザッザッ
バットマン「……待て」ピタッ
清姫「へぶっ」ドスッ
ネロ「全隊、停止! ……どうした、ブルース?」
バットマン「…………」ジッ
清姫「は、鼻が……」
マシュ「マスター?」
バットマン「フッ!」ヒュンッ
地面「」ドッガァァァァァァァァァァ……
ネロ「!? なんと!?」
493 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/16(土) 01:45:18.54 ID:3wpvpcHB0
バットマン「……やはり、地雷だ」
マシュ「地雷!? こんな時代にそんな技術が……」
バットマン「有り得ないだろうな、聖杯にでも頼まない限りは……荊軻、聞こえるか」ピッピッ
荊軻『やあブルース、どうかしたか?』
バットマン「地面に注意しろ。爆発物が仕掛けられている」
荊軻『……成程な。了解した』
バットマン「ドクター、辺り一帯の地面の解析を頼めるか? 荊軻の方も頼む」
ドクター『ちょっと待ってね……オッケー、解析完了だ。レーダーに点が表示されただろう? それが地雷さ』
バットマン「ふむ……」
494 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/16(土) 01:46:35.53 ID:3wpvpcHB0
マシュ「しかし、こうまで多いと……って、マスター!?」
バットマン「念のため離れていろ……」ザリザリ
バットマン(地雷を掘り出し、詳しい解析にかける……)ザリ、ザリ
清姫「……」ジッ
バットマン「離れろと言ったハズだが」
清姫「死ぬ時は一緒に、です」
バットマン「……好きにしろ……よし、見つけた」ゴバンッ、パラパラ……
地雷「」ピピッ、ピピッ
バットマン(……緑の塗装がされている。これもリドラ―の仕業か)
バットマン(見た限りでは……重量を感知するタイプか。だが、中の機構に電子的な発光体が見える……やはりジャミングでコントロールが可能。
これから支配するつもりの土地に操作不能の爆弾を撒くほど愚かではないか……)
バットマン「ドクター、この前チップの解析を頼んだと思うが」
ドクター『うん、完了してる……ってええええ!? ブルースくん何持ってんの!?』
バットマン「……これも解析にかけてくれ。ジャミングを……」
ドクター『ぶ、ブルースくんが自爆する気だ! 大変だ!!』
レオナルド『なんだってぇ!? はやまるなブルース! キミのスーツをダサいって思ってた事は謝るから!』
所長『ちょっとブルース!? やめなさい! そんな事したって……やめて! やめなさいよ!!』
通信機『』ギャーギャー‼ ワーワー‼
バットマン「……解析を頼みたいんだが」
495 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/16(土) 01:49:45.48 ID:3wpvpcHB0
ドクター『……うん、同じ周波数だ。それじゃあ通信機から電磁パルスを放射するよ!』
荊軻『よく分からないが、爆弾が無力化できるという事か?』
バットマン「そうだ。だが少し待て」
ドクター『3、2、1、0!』ブゥゥゥゥゥーン……
地雷「」シーン……
ネロ「どうだ? うまく行ったか?」
バットマン「退いてくれ、試す……フッ!」ブゥン
地雷「」ヒューン
バットマン「シッ!」ヒュンッ
バットラング「」ヒュォォォォガッ‼
ドサッ
地雷「」シーン……
バットマン「……成功だ」
ネロ「よし! ではこのまま一気に……」
バットマン「数百メートル進むごとにもう一度電磁パルスを放つ必要がある。荊軻も行軍を遅くしてくれ」
ネロ「えぇー!! ……ごほん、うむ、仕方なかろう。兵のためよな」
バットマン「…………行くぞ」
496 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/16(土) 01:50:45.63 ID:3wpvpcHB0
バットマン「……待て、止まれ」
ネロ「今度は何……おお、あれは」
バットマン(砦の前……端が霞むほどの兵士の列が並んでいる……)
バットマン「あれほどの人員がローマに居るのか?」
ネロ「……い、居るぞ! ローマの兵士の数は海よりも……」
ブーディカ「居ないね。どう考えても多すぎる」
バットマン「……だが、あそこには確かに……」
マシュ「……いいえ、居ません」
497 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/16(土) 01:51:26.62 ID:3wpvpcHB0
清姫「と、言うと?」
マシュ「……聴覚を研ぎ澄ませてみて下さい。鎧の擦れ合う音も、足音も、何も……聞こえないんです」
清姫「……成程たしかに。ではあれは、『ほろぐらむ』というやつですか」
バットマン「……」
バットマン(凄まじい成長だ……教えた事以上に学んでいる……)
ネロ「なんだ、見掛け倒しであるか! ならば突撃だ! 全隊、ガリア砦を奪取せよ!」
バットマン「!? 待て、それは……」
兵士達「「「うおおおおおおお!!」」」ダダダダダダダ
ネロ「余も行くぞぉぉぉぉぉおぉぉ!!!」
バットマン「待て! 止まれ! その先は……」
地面「」ドドドドドドドドドドドドォォォォォォォォォン‼‼‼
498 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/16(土) 01:52:15.07 ID:3wpvpcHB0
ネロ「!? なんだ、また地面が爆発した……!?」
兵士E「うわああああ!!」グシャァ
兵士F「いぎゃあああああ!?」ドシャァ
兵士G「あが……」ドチャッ
マシュ「な、なんで……!? 電磁パルスは正常に機能してたハズ……なんで……!?」
バットマン「……」
バットマン(やられた)
499 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/16(土) 01:53:03.42 ID:3wpvpcHB0
バットマン(電磁パルスで停止させる事が出来る地雷を手前に置き、停止不可能な地雷は本命の周囲へ置く。この可能性は確かに有り得た。
……止められなかったとはいえ、油断していたとしか言いようがない)
バットマン(……となると、そろそろ出て来るか)
ネロ「戻れ、全隊戻れ! か、壊滅状態に……」
ブーディカ「落ち着け! 頭のアンタが混乱してたら全員にそれが伝わるよ!」
???『ハローハロー、久しぶりだなバットマン? 引っ掛け問題の味はどうだ?』ブゥゥゥゥゥゥン……
バットマン「……リドラ―」
500 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/16(土) 01:54:20.11 ID:3wpvpcHB0
バットマン「わざわざホログラムでの登場か」
リドラー『天才はそうそう簡単に人前に姿をさらさないものだ。会えて嬉しいぞぉバットマン、ここでひとつナゾナゾでも出してやりたいが……
今回はそう暇ではないのでな』
ドドドドドド……
ネロ「……今度は何の音だ?」
リドラー『天才が本気になった時には、誰一人として逃れられないのだ! 諦めたまえ!』
バットマン「……陣形を組み直せ! 来るぞ、兵士達のホログラム後方から……『本物』だ!」
敵兵達「「「うおおぉおおおおおお!!!」」」ドドドドドドッ‼
ネロ「なっ……陣形をたてなおせ! 我らも出るぞ!」
ブーディカ「当然!」
マシュ「はい!」
清姫「ええ!」
スパルタクス「迫りくる濁流に立ち向かうのもまた、圧政への愛である!!」
501 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/16(土) 01:55:26.75 ID:3wpvpcHB0
兵士E「いてえ、いてえよぉ……」
バットマン「……」シュポッガシッ
兵士E「ぐわあああ!?」ギュルギュルギュルギュルッ
バットマン「下がっていろ!」ヒュドッ
敵兵A「うぎゃっ!?」ドシャッ
敵兵B「おらぁ!」
敵兵C「逃がすかぁ!」
兵士F「たすけてくれぇ!」
兵士G「う……うぐ……」
バットマン(形勢は既に圧倒的に不利。敗走を始める兵達も多い)
ネロ「逃げるな! 戦え! 戦死した者には死した後、とこしえの栄誉を約束する! ローマの地を守るのだ!」ガィン‼ギャァン‼
ブーディカ「そうは言ってもね……!」ギュリィン‼
???「……どおりゃああああっ!」ドッゴォォォォォォォン
バットマン「なっ……」
バットマン(この上に、更にサーヴァント……不味いか)
502 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/16(土) 01:56:19.14 ID:3wpvpcHB0
???「テルモピュライの戦いとは逆! ですが! 手加減するつもりは毛頭ありませんぞぉぉぉぉ!!」
マシュ「テルモピュライ……? まさか貴方は、レオニダス!?」
レオニダス「いかにも! だがここでは私も一個の兵である! さあ、打ち合いといこう!」ブォン
マシュ「くっ……」ガギィン‼ガァン‼
敵兵C「うらああ!!」ヒュン‼
敵兵D「どらあああ!!」ブゥン‼
バットマン「くっ……」ババッ
バットマン(兵のひとりひとりがよく訓練されている……いや、訓練されているという言葉では生ぬるい! 奴らの腕の一振り一振りがまるでサーヴァントのように)
バットマン「まさか……! この兵士は!」
レオニダス「そちらにも聡明な人間は居たか! そう、その通り! 私は『テルモピュライの戦いで共に戦った戦士三百人』を、宝具で召喚できる!
本来なら守りに使うこの宝具ですが、兵の強さも馬鹿になりませんぞ!!!」
バットマン(これはいよいよ全滅を覚悟しなければならないか)
敵兵V「やああっ!」
敵兵W「らあっ!!」
スパルタクス「うぐ……圧政……これぞ、これぞ圧政! 圧政の極みである!! ハハハハハハハハハハハハハハ!!!」
503 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/16(土) 01:57:13.72 ID:3wpvpcHB0
ブーディカ「しまった、スパルタクスが暴走状態に……くっ!」ガガァン‼
ネロ「なんだ!?」
スパルタクス「この痛み! この圧力! 私は! 今! 圧政の下にある! ふあぁぁはははははっはは! 行くぞっ! 我が愛は、爆発するぅぅぅ!!!」
ブーディカ「……! 全員衝撃に備えて!! スパルタクスが……」
スパルタクス「『疵獣の咆哮(クライング・ウォーモンガー)』!」グオォォォォォォォォォォォォォッ‼
バットマン「なっ……」
清姫「旦那様……!」
マシュ「ますた……っ」
ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォガガガァァァァァァァァァァァ‼‼
504 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/16(土) 01:58:33.32 ID:3wpvpcHB0
バットマン「うっぐあ……!?」ゴォッ‼
バットマン(しまった、爆風がモロに……吹き飛ばされ……)ヒュォォォォォオッ
清姫「――――!! ――――!」
バットマン(……意識が、飛ぶ……)
バッシャァァァァァァァン‼
マシュ「……!」ムクッ
マシュ(マスターと清姫さんが川に……助けに行かないと!)
レオニダス「隙だらけだ!」ガッ
マシュ「あうっ……!?」ドサッ
レオニダス「……」
レオニダス(むう、あと何人だ? 砂埃で視界が遮られる……)
敵兵D「倒れた女性サーヴァントを一人発見! ネロは逃亡した模様!」
レオニダス「捕縛しろ。皇帝は後だ」
レオニダス(……若干の不安要素は残ったか)
505 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/16(土) 01:59:25.47 ID:3wpvpcHB0
ネロ「けほっ、こほっ……なんだったのだ、あの爆発は……」
ネロ「……」
ネロ「……おい! 誰も居ないのか? マシュ! 清姫! スパルタクス! ブーディカ!? ブルース……?」
ネロ「……いかん、すぐに街を見つけて隠れねば。ここは危険だ」
ネロ「……」ダッ
506 :
◆GmHi5G5d.E
[saga sage]:2017/12/16(土) 02:00:17.86 ID:3wpvpcHB0
今回の更新はここまでです。年末が近いので少し更新が難しくなる時期が来るかもしれませんが、ご容赦ください
507 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/16(土) 03:03:47.87 ID:D1gszApDO
乙
ナゾナゾタイツのくせに、やるじゃあないかリドラー…
508 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/17(日) 01:02:39.53 ID:QhjQfHOt0
乙です。
リドラーはタイツよりスーツが好きだ
509 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/18(月) 18:25:19.30 ID:JM43cs0J0
慢心やお遊びのない天才は強い
510 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/29(金) 13:39:19.35 ID:eZF33ERBo
乙
どんな相手でも打倒することは諦めないバッツすき
511 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/30(土) 02:38:48.80 ID:9bBFze+DO
まだかー
512 :
◆GmHi5G5d.E
[saga sage]:2017/12/30(土) 22:14:31.40 ID:+/93wehOO
生存報告です。すみません、身の回りがゴタゴタしていてなかなか更新できず。
元旦から十日ほどすればまたペースを戻せると思います。一部終了までの構想はあるので失踪はしません。しそうになったら殴って下さい。良いお年を。
513 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/30(土) 23:43:48.33 ID:ThRyeCLlO
10日までは更新もない感じかな?
ともあれ乙
待ってる
514 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/31(日) 09:01:41.89 ID:Q7u9YNtdo
報告乙
舞ってる
515 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/01/11(木) 20:23:34.89 ID:JSdIgYqK0
世界に取り残されるのは、初めてではなかった。
愛した人は、自分を置いて行ってしまう。どこか遠い、手の届かない場所へ。消えていくあの人の笑みは、未だ瞼裏から離れない。
こうなる事は、分かっていた。世界が私をそう定義付けているのだ。どれほどの召喚を重ねようとも、現世での恋心は叶わない。
だから、ああ、だから。目の前で死にゆく貴方を見ても、わたくしはちっとも悲しめない。それどころか、歓喜の情すら湧いて来る。また一緒になれる。
その筈、なのに。
(違います、旦那様)
水が全身にまとわりつき、力を奪ってくる。私は皮肉な笑みを浮かべ、旦那様の頬に手を添える。世界はやはり私達を裂くのだ。だってこんなにも、貴方に生きていて欲しいのだから。
唇を重ね、空気を送り込む。旦那様の瞼が跳ね、目を見開く。
(美しい瞳)
私が恋した人なのだ。零れない涙があふれ、水中へ溶けだして消えた。
516 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/01/11(木) 20:25:25.98 ID:JSdIgYqK0
バットマン(……清姫)コポポ……
バットマン(……)ガシッ、ゴポポポポポ……
バットマン「……っはあ、はあ、はあ……」バシャッ‼
バットマン「清姫、清姫! 目を開け! 清姫!」
ザザァン……ザザァン……
バットマン(……海まで流されたのか。向こうに島がある、上陸するしかない)
バットマン「清姫、今陸に上げる! 待っていろ!」バシャバシャ
517 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/01/11(木) 20:27:41.28 ID:JSdIgYqK0
ザザーン……ザザーン……
バットマン「……っく……」ドシャリ
バットマン「清姫……」
バットマン(脈……無し。呼吸無し。心肺蘇生を……いや、令呪を。通信して準備してもらう)
バットマン「ドクター、清姫に心肺蘇生を施す。令呪発動の準備を頼む」
通信機『……ザザッ……ブルース……ザザ……ザザザザザ……』
バットマン「ドクター! 令呪のリアクター発動準備を!」
通信機『……そちら……ザザ……大気中の神力の濃度が高い、通信に支障……今対応中……ザザ……』
清姫「……」シュウシュウシュウ……
バットマン(消滅が始まってしまった……! 心臓マッサージだけでも!)ガバッ
バットマン「待て、清姫……! 死ぬな! 死ぬんじゃない!」グッ‼ グッ‼ グッ‼
清姫「……」シュウシュウシュウ……
バットマン(動かない……冷たい。まるで死体のように……)グッ‼ グッ‼ グッ‼
ドクター『ブルース! ああ、ようやく通信機能が復活した! 待ってくれ、モニタリングを……ああ、そんな……』
518 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/01/11(木) 20:30:00.23 ID:JSdIgYqK0
ドクター『ブルース、彼女の霊基はもう死んでいる。いくらやっても、無理だ』
バットマン「……令呪はどうだ」グッ‼ グッ‼ グッ‼
ドクター『……残念だけど、彼女自身が離別を覚悟してしまっている。誰より強い、自分への呪いだ。……カルデアの令呪じゃ、覆せない』
バットマン「……」グッ‼ グッ……ドサッ
ドクター『……ブルースくん、残念に思うけど……』
バットマン「…………」
バットマン(……)
バットマン「……マシュは何処だ。無事なのか」
519 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/01/11(木) 20:32:10.87 ID:JSdIgYqK0
ドクター『ああ、マシュの方もしっかり見てる。どうやら敵に捕らえられてしまったようだ、自由に動けるのは君だけ』
バットマン「……荊軻は?」
ドクター『荊軻くんも、連合首都の軍勢相手に奮闘していたようだけど……今は呂布と一緒に、一旦マッシリアまで戻ってる。やっぱり守りは固いみたいだ』
バットマン「……」
バットマン「……マシュに通信を試みる」
ドクター『気を付けて。その間に、キミが流れ着いたその島をこちらでよく調べてみるよ』
バットマン「頼んだ」
520 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/01/11(木) 20:37:12.56 ID:JSdIgYqK0
……………………
カタカタ、カタ。ピッ……ピッ……ウォォォォォォォォォン……
職員C「ドクター、清姫……さんは、その。どうなったんですか」
ドクター「……あと一歩、間に合わなかったみたいだ。僕の力不足だ、すまない」
職員B「そんな! 違います、ドクターのせいなんかじゃ……」
レオナルド「それを言うなら、通信機のメンテナンスを怠った私の責任でもあるしね。これは誰の責任でもない。強いて言うなら皆の責任だ。へこたれるより、今は次へ繋げよう」
ドクター「……」
レオナルド「……」バンバン
ドクター「いたた、分かったよ切り替えるよ……そうだね、悔やむのはブルースくんとマシュくんが帰って来てからにしよう」
レオナルド「当然さ! さあ、観測観測!」
所長「…………」
521 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/01/11(木) 20:40:24.69 ID:JSdIgYqK0
職員B(……でも、大気中の神力の濃度が高かったからって、本当にそれだけで通信に支障を来すかなぁ……)
職員B(……なんか、変な感じ。今のは、なんというか……)
職員B(誰かがわざと計器を狂わせた、みたいな。通信を……ジャミングするために)
職員B「……まさか、外部からのハッキングとか……そ、そんなワケないよね、ハハハ……」
522 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/01/11(木) 20:41:52.83 ID:JSdIgYqK0
…………
ピピピ‼ ピピピ‼
マシュ「……うぅ……ん……こ、ここは……?」
マシュ(確か……マスターを助けようとして……一撃をもらってしまって、そこから意識が……)
マシュ(鉄格子……捕らえられた、みたいです)
通信機『』ピピピ‼ ピピピ‼
マシュ「もしもし、もしもし。こちらマシュ・キリエライトです」
バットマン『マシュ。無事か』
マシュ「! マスター! はい、装備を剥奪されて囚われていますが、無事です! そちらも……」
バットマン『清姫が死んだ』
マシュ「え……」
523 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/01/11(木) 20:44:28.91 ID:JSdIgYqK0
マシュ(あまりに平坦な声色だった。感情が読めなかった)
マシュ(私は、聞き間違いかと思った。だって、戦いの前は、あれほど元気で……)
バットマン『彼女は助けられなかった。そこは何処だ? 一人だけ捕らえられているのか?』
マシュ「わ、私……はい、私一人です。場所は分かりません。その、清姫さんは……」
バットマン『恐らくだが、そこはローマ連合首都本部だろう。少し時間はかかるが、救助に向かう。下手な動きは起こすな。また連絡する』
マシュ「あ、あの!」
通信機『』プツッ、ツー、ツー……
マシュ「……ます、たー……」
524 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/01/11(木) 20:46:07.10 ID:JSdIgYqK0
マシュ(なんで)
マシュ(なんで、平気なんですか、マスター)
???「んっん〜、どうやら大変な行き違いの時期に直面しているようだな?」コツ、コツ
マシュ「……誰ですか!」
???「おっと、そう怒鳴らないでくれ。私はそうだな、ニグマと呼んでくれ。または……そう、リドラーと」コツ、コツ……ピタッ
マシュ「リドラー……?」
マシュ(そう言えば、マスターが何か言っていたような……思い出せない)
525 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/01/11(木) 20:48:09.10 ID:JSdIgYqK0
マシュ「どうするつもりですか」
リドラー「どうもしない。話がしたくて来ただけだ、キミがあの黒くておっかないマスターの事をどれだけ知っているのか、把握しておきたくてね」
マシュ「どれだけ知っているか……?」
リドラー「ああそうとも。さっき盗み聞かせてもらった限りじゃ、あまり知らないみたいだが……
そうだな……芸がない言い方をするが、キミはあのマスターの事が信用できないんだろう? 『いつか私も捨てられる』と」
マシュ「……!」
526 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/01/11(木) 20:49:30.47 ID:JSdIgYqK0
リドラー「……その反応! 可能性には気付いていたが、考えないようにしていたんだな? けなげな抵抗だ」
マシュ「そんな事! マスターが、そんな事……」
リドラー「ではキミは、今までにあの男の態度に不信感を抱いた事はないと……そういう事か? ん?」
マシュ「……」
マシュ(他者への隠し事。不気味なほどの冷静さ。そして絶対にこちらを信頼してくれないあの瞳……)
マシュ(……違う。そんな筈はない。マスターはそんな人じゃない)
マシュ(……でも、清姫さんは……)
リドラー「揺れているな? そうだろうとも。奴は嘘つきだ。私はキミよりもっとアイツの事を知っているが、ロクな男ではないぞ? 嘘を吐き、裏切り、仲間でさえ道具のように利用してはばからない奴さ」
マシュ「……」
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