バットマン「グランド……オーダー?」

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327 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2017/12/02(土) 23:29:09.45 ID:9GE5vrzP0
バットマン「……」ムクリ

所長「……! レイシフト完了、ブルースが帰還したわよ!」

――――

ドクター「お帰り、マシュ、ブルースくん! お疲れさま! 初のグランドオーダーは君達のおかげで無事遂行された!」

バットマン「グランド……オーダー?」

ドクター「ああ、人理修復の事ね。まだ第一歩だけど、これは大きな一歩だ!」

マシュ「……はい! やったんですね、私達!」

ドクター「――うん、本当によくやってくれた。
補給物資も乏しい、人員もいない、さらには実験段階のレイシフトという最悪の状況だったんだ。君達はこれ以上ない成果を出してくれた」


バットマン「……いや、カルデアのサポートがあってこそだ。礼を言う」

職員A「! おい聞いたかよ!」

職員B「やったぁ! 完遂できた!」

職員C「ヤッホー!! 俺達やり遂げたんだ! 初仕事、初レイシフト、初サポートで! ノーミスだ!」

所長「……ま、まあ、当然よね。私が指揮したし」


ドクター(所長、ブルースが倒れた時には捨てられた子犬みたいな目でじっとバイタルを確認してたなぁ……)
328 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2017/12/02(土) 23:37:24.66 ID:9GE5vrzP0
レオナルド「おや、お帰り。大分お疲れみたいだね。
はい、これ最新の観測記録。見てごらんドクター」

ドクター「お……おおおおお! やった、十五世紀フランスの修正は完璧だ! まだ七つの内、たった一つだけだが……
我々は人類史をきちんとあるべき姿に戻したという訳だ! やったな、ブルースくん!」

バットマン「ああ。だが、レフ・ライノールは現れなかった……奴の事だ、妨害に来てもおかしくないと思ったが」

ドクター「なら、彼は残り六つのうちどれかの時代に潜んでいるんだろう。……いや、潜むはずがないか。
彼はそれほどの力を手にしている。同じ時代にいれば必ず僕たちを妨害してくる」

バットマン「……近い内に、必ずまた現れるだろう」

ドクター「ああ。それまでに、こちらの陣営も強化しておかないとね」

バットマン「……」


ドクター「……まあ、そんな細かいことはどうでもいいさ! 今日のところはこれでミッション終了だ!
暖かいベッドとシャワーが恋しいだろう? 遠慮せず、部屋に帰って休むと良い」

バットマン「……ああ、そうしよう」スタスタ

マシュ「それでは失礼します、ドクター」ペコッ、スタスタ
329 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2017/12/02(土) 23:39:08.22 ID:9GE5vrzP0
バットマン「……」スタスタ

マシュ「……」スタスタ

バットマン「……」スタスタ

マシュ「……あの、マスター。ひとつだけ、お尋ねしても良いでしょうか?」

バットマン「……なんだ?」
330 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2017/12/02(土) 23:42:28.03 ID:9GE5vrzP0
マシュ「トゥーフェイスさんの弾丸から、サンソンさんが庇ってくれた理由が……私には、分からなくて。マスターなら、分かるかと」

バットマン「……」

マシュ「あ、いえ、どうしても知りたいという訳ではなく。ただ、心に引っかかっているというか」

バットマン「……いや、言いたい事は分かる。敵なのに助ける理由がない。そういう事だな」

マシュ「……はい。疑問が、離れないのです」

バットマン「……」
331 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2017/12/03(日) 00:10:44.44 ID:FCqtF21y0
バットマン「……人には常に、二つの道がある。そして二つの側面がある」

マシュ「……」

バットマン「誰もが正しい道を歩き続けられるとは限らない。どんな悪人も、悪の道だけを歩き続けるとも限らない」

マシュ「はい。分かります」

バットマン「……そして、人は後悔する生き物だ。自分の選択の間違いを受け、悩み、行動を翻すこともある。だからこそ、人は不確定だ。特に、愛は」

マシュ「……はい」

バットマン「人は変わらない。だが世界は呆気ないほど簡単に変わり、人を翻弄する。サンソンは……恐らく、後悔を抱えたまま、戦場でその後悔への結論が出てしまったんだろう」

マシュ「…………」

バットマン「……マシュ、お前が思い詰める必要は無い。だが、知っておくべきだ。世界は人を殺し、人は世界を支える。サンソンは彼自身にとっては至極真っ当な行動をとっただけだ」

マシュ「……は、い……」

バットマン「……それだけだ」スタスタ

マシュ「おつかれさまでした、マスター……」



マシュ(……マスターは、世界を怖がっているのでしょうか……)

332 : ◆GmHi5G5d.E [saga ]:2017/12/03(日) 00:12:18.73 ID:FCqtF21y0
第一章

邪竜百年戦争 オルレアン

生存者 ブルース・ウェイン マシュ・キリエライト

死者 無し
333 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2017/12/03(日) 00:13:50.18 ID:FCqtF21y0
第一章はこれで終わりです。お付き合いいただきありがとうございました。

334 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/03(日) 00:17:13.41 ID:zIlNEsnP0
335 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/03(日) 00:57:19.82 ID:nj/eHGQmo
336 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2017/12/03(日) 01:03:51.75 ID:FCqtF21y0
間違いを見つけたので修正させてください……()

>>325
ヴラド三世「お前が居なければ、更に多くの無為なる魂を〜」

ヴラド三世「お前が居なければ、更に多くの無垢なる魂を〜」
337 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2017/12/03(日) 11:05:13.45 ID:FCqtF21y0
幕間
338 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/03(日) 11:11:35.60 ID:FCqtF21y0
ブルース「……召喚システム?」

ドクター「そうそう、召喚。余剰電力が発生したことによって誰か……英霊を召喚できるようになったんだ」

ブルース「成程」

ブルース(信頼できない要素をわざわざ呼び込む事になるかもしれないが……)

マシュ「現状、こちらの戦力は不足しがちなので……どんな英霊の方でも、助力は助かります」

ブルース「……分かった。召喚してみよう」

ドクター「その気になってくれてよかった! それじゃあこっちへ、部屋に案内するよ」
339 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/03(日) 11:17:50.37 ID:FCqtF21y0
ブルース「……ここが?」

ドクター「そう。このサークルの中に魔力を照射、触媒無しでランダムな召喚を行うんだ。
まあ難しい話じゃないよ、キミはそこに立ってくれていればいいだけだからね」

ブルース「……ふむ」


ブルース(召喚した途端、襲い掛かってくるようなヤツかもしれない……)

マシュ「大丈夫です、マスター。私が傍に付いていますので」

ブルース「……ああ」


ドクター「まあ、百聞は一見にしかずって言うしね。早速誰かを召喚してみよう!」ガチャ


バチバチバチ……ギュオォォォォォォォォォォォォッ



ブルース「……」


カッ‼
340 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/03(日) 11:22:50.54 ID:FCqtF21y0
シュゥゥゥゥゥゥゥ……


???「……あら、あらあら」

ブルース「……」

清姫「サーヴァント、清姫。またお会いできましたね、旦那さm」


ブルース「……」ガチャリ


ドクター「ぶ、ブルースくん? ドアを開けてあげなきゃ、いきなり閉めたらビックリさせちゃうよ」

ブルース「ドクター。召喚システムの故障だ。もう一度機器をチェックし直す必要がある」

ドクター「いや、でも、あれは……え? いや……え?」

マシュ(マスター……)
341 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/03(日) 11:37:40.43 ID:FCqtF21y0
清姫「こうして召喚された事、とてもうれしく思いますわ。やはり旦那様もわたくしを恋しく思っていてくださったのですね」

ブルース「……」

ドクター「ああ、うん。カルデアへようこそ清姫くん! 歓迎するよ、僕はロマニ・アーキマン」

マシュ「私はマシュ・キリエライトと言います。お久しぶり……ですね、清姫さん」

ブルース「……ブルース・ウェインだ」

清姫「よろしくお願いしますね皆様、そしてマスター。……うふふ、見れば見るほど安珍様の魂がにじみ出てくるようで……うふふ……」

ブルース「……」

ドクター「さっそく仲が良いようで何よりだ! ところで、カルデアの施設を案内したいんだけど良いかな?」

清姫「あら、それは是非ともお願いいたします。マスターのお部屋を拝見しなければ……ふふふ」

ブルース「…………」
342 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/03(日) 11:45:52.04 ID:FCqtF21y0
――――

ドクター「ここが君達サーヴァントのプライベートエリアになるだろう。部屋が47個あるから、そのうちのひとつを使って欲しい」

清姫「成程、それでマスターのお部屋は……」ニコニコ

ドクター「う、それは……」

ブルース「……構わない。連れて行ってやってくれ」

ドクター「……いいのかい?」

ブルース「ああ。見られて困るものはない」

マシュ「そ、それじゃあ私も失礼しますね!」ワクワク

ドクター「う、うん! じゃあ僕もお邪魔するよ!」ドキドキ


ブルース「……?」
343 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/03(日) 12:00:38.13 ID:FCqtF21y0
――――

ドクター「お、おじゃましまーす……」

マシュ「失礼します……こ、これは……」

清姫「……ずいぶん殺風景なお部屋ですね? それに何処となく薄暗いような……」

ブルース「暗い方が落ち着く。それに、物が多すぎるとかえって本当に欲しいものが見つけられない事がある」

マシュ「でも、これは……」


マシュ(電気スタンド、机、ベッド、置き時計……部屋にはこれだけ……)


ドクター「……カウンセリングとか必要ないかい、ブルースくん?」

ブルース「頼めるならしてもらいたい」

344 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/03(日) 12:19:00.92 ID:FCqtF21y0
清姫「ふふふ……こういう時は、ベッドの下に何か隠してあると相場が決まっていますわ」ゴソゴソ……ガシッ

清姫「やっぱり、見つけました……? これは!?」


マシュ「マスター、あれは……?」

ブルース「……いつものスーツだ」


清姫「これ! これ着ても良いですか、マスター!?」

ブルース「サイズが合わないだろう……駄目だ」

マシュ「じゃ、じゃあ私は!?」

ブルース「……レオナルドに頼め」


ドクター「そ、それじゃそろそろ他の施設の紹介に行ってみようか!」
345 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/03(日) 13:25:11.93 ID:5SiTtfGrO
うーん、このペースだと来年いっぱいかかりそう。
346 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/03(日) 21:18:21.62 ID:lWBb/Vw50
エターならなければどんなペースでもいいよ
347 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/04(月) 05:29:26.57 ID:trhOOmXVO
エタらなければ大丈夫
348 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/04(月) 17:16:38.78 ID:87+EmTJ0O
いやあこれは終わんないでしょー
ダイジェストにして何章かすっ飛ばしたら?
ブルースと相性のいいサーヴァントって誰やねん……
349 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/04(月) 17:37:48.62 ID:X6eCqEMFO
今はともかく、ただでさえボリューミーな5章以降を考えればある程度カットせざるを得ないだろうな
能力を考えると後方支援できるキャスター、特にシェイクスピア辺りが相性良さそう
一方的にバッツに題材的な意味で好意を抱く、という構図になりそうだが
350 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/04(月) 18:05:28.37 ID:Q0m+DXTTo
長編SSは確かにエタりやすいが稀に二年とか三年続ける人もいるからあんまり外野が
ガタガタ言うべきではない。カットした方がいいと作者が判断したらカットするだろうし
351 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/04(月) 18:45:59.18 ID:4JiNMEuIo
是非とも新宿まで続いて欲しい
352 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/04(月) 19:44:38.58 ID:FLHb+D7U0
バッツの性格的に本人がまともに戦えない奴は相棒と認めなさそうだし、ロビン見てると不平不満からスタンドプレイしたりするタイプなんかもダメだし、バッツ本人も割とコミュ障なとこあるし……
って消去法にすると燕青みたいな適度に殴り合いで強くて変な能力無くてコミュ力ある上に言うこと聞く奴じゃないとダメそうだな
353 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/04(月) 21:36:06.34 ID:KJqMH88b0
外野なんか気にせず自分のペースでやってくれよ
354 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/05(火) 10:01:05.54 ID:SQuTCXrbO
遅レスだけど
>>341
清姫「見れば見るほど安珍様の魂がにじみ出てくるようで」


安珍どんだけ屈強だったんだよww
355 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/05(火) 18:38:36.79 ID:It0I8GJxo
ニンジャバットマンは面白そうだな
メンツがいつもの奴ら過ぎるが
356 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/05(火) 20:19:36.95 ID:eQnQfnaDO
>>354 真っ黒なのが黒焦げになったのとだぶったんだろう
357 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2017/12/06(水) 02:09:00.49 ID:QnT/yd9k0
更新遅れてすみません、生きています。
ただいま二章へのつなぎの作成、そしてシナリオ見直しのために二章を復習しています。思った以上に二章を見返すのが苦痛で手間取っています。本当に申し訳ない。今少し待って頂きたい。
358 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/06(水) 11:43:45.82 ID:BDhD3khAo
こういった二次創作のための復習でも無い限り二章を読み返す機会なんて無いだろうな
359 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/06(水) 12:19:21.50 ID:XT5bkWDXO
まぁ炎上するほど悪い訳でもないから、ある意味繋ぎとしては理想的なシナリオなのかもしれない
360 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/06(水) 18:22:43.82 ID:dhwITxV9o
2章って言うほど悪くない気もするが。
出てくる鯖に好きなのいれば普通に読める。
アガルタはそれでも無理だった。
361 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/06(水) 23:02:14.52 ID:QnT/yd9k0
ドクター「ここがレクリエーションスペース! どうだい、ビリヤードや卓球、ダーツなんかもできるぞ! こっちには昔懐かしのゲーム筐体だってある!」

マシュ「ドクター、管制室以外でたまに見かけるといつもここにいらっしゃいますよね……」

ドクター「やっぱりゲームは楽しいしね! メタルスラッ〇とか、いつまでも飽きないよ……ブルースくんも今度どうだい?」

ブルース「……いいや、遠慮しておく」

ドクター「そうかい? まあ、また今度お付き合いを頼むよ」

ブルース「……ああ、また今度にな」

清姫「わたくしは卓上の札遊びなど……花札や百人一首などはいかがでしょうか?」

ブルース「極東のゲームか……いや、私は詳しくないんだ」

マシュ「じゃあポーカーとか」

ブルース「……ポーカーは苦手だ」



ドクター「成程ね、まあブルースくんは得意そうな……えっ」

マシュ「マスターの表情って読みにく……えっ」

清姫「旦那様は感情が表に……えっ」

職員C「えっ」←とおりすがり

362 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/06(水) 23:03:22.83 ID:QnT/yd9k0

ブルース「なんだ」

ドクター「いや……いやいや! キミ、絶対強いだろ! 手の内絶対読めないよ!」

マシュ「そ、そうです! いつも何を考えているのか分からないし、ポーカーをやらせたら鬼のように強いに決まってます!」

清姫「旦那様、まずルールをご存知なのですか……?」

職員C「ま、まさか賭け事はやらないとかそういう……」


ブルース「……本当に強い相手は目を読んでくる。アルフ……いや、昔の友人と何度かプレイした事はあったが、一度も勝てた事がない」


ドクター「ああ、成程。次元の違う戦いだね……うん、カードゲーム極め過ぎじゃないかなぁ、そのご友人さん……」

マシュ「一度会ってみたいですね……」

ブルース「……次の施設を、ドクター」


363 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/06(水) 23:04:17.95 ID:QnT/yd9k0

…………

職員C「ここはカルデアスの観測ルームです。今はまだアレは真っ赤ですが、いつか青く染め直せる日が来ます!」

清姫「まあ、大きな球体ですわね。真っ赤だとどうなっているのです?」

職員C「……残念ながら、人類の死滅を意味します。青は生存です。あ、このロープの仕切りを超えないで下さい。あまり近付くと危険です」

ブルース「……この部屋を取り囲むように置かれたレンズは何なんだ? 何枚もあるが」
職員C「これは『シバ』と呼ばれるカルデアスの観測装置です! 
レイシフトを行うにはまずこのシバで時代を『観測』して楔を打ち込み、AI達が危険度や必要電力量を計算、結果を我々職員が協議し、所長の許可を得ることで初めて、レイシフトの許可が出されます!」

マシュ「……あらためて聞くと、人理崩壊後もこれほど体制を重視しているのは凄いですね。そんな場合ではないと抗議する人も出そうですが」

ドクター「うぅん、それがそうでもないんだ。こんな時だからこそ、体制というのはとても重要でね……ほら、こんな狭い空間でバラバラになっちゃったら酷いしさ」

ブルース「……オルガマリー所長は上手くやっているようだな」

ドクター「ああ、うん。彼女なりに必死にやってくれてる。おかげで職員達も少しずつ、彼女を尊敬し始めてるしね」



清姫「……」ソォーッ

ブルース「……」ガシッ

清姫「……あ、あら旦那様! いきなり腕を掴まれるなんて……」

ブルース「ロープを越えるなと言われたはずだ。好奇心で動くな」

清姫「むぅ……」


364 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/06(水) 23:05:58.50 ID:QnT/yd9k0

…………

ドクター「ここが中央管制室だよ」

レオナルド「やあロマニ、そっちは新入りかい?」

清姫「どうも、この度マスターの妻になりました、清姫と申します」

レオナルド「はっはっは、パンチが強いね。私はレオナルド・ダ・ヴィンチ。ダヴィンチちゃんとでも呼んでくれたまえ。
あ、ロマニ。そろそろ次のレイシフト先の観測が完了しそうだからブルースとマシュの健康診断を済ませておいてくれ」


ドクター「あ、もうそんなになるのか……うちの職員は優秀だなあ。
よし、じゃあブルースくん、マシュくん。今日の16時からキッチンに集まってくれ。健康状態のチェックを行うよ」

ブルース「分かった」

マシュ「了解しました、ドクター」

365 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/06(水) 23:06:41.39 ID:QnT/yd9k0

ブルース(そうなると、16時までは)

清姫「そうすると16時までは暇ですね、ますたぁ! さあ、ここはわたくしとめくるめく愛の物語を……」

マシュ「ま、マスター。私の特訓にまた付き合って頂けないでしょうか」

清姫「駄目ですマシュ! マスターは私と……」

ブルース「分かった。いつも通り手加減は無しだが」

清姫「マスター!? ふ、ふつうは新入りの娘をちやほやする場面では!?」

ブルース「……来たいならお前も来い、英霊の参考になるかは知らないが」

清姫「勿論ついて行きます! 特訓と称してふしだらな行為をされては困りますので!」

マシュ「そ、そしそそそんな事するワケないじゃないですか!」

ブルース「……」


366 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/06(水) 23:07:12.44 ID:QnT/yd9k0

ブルース「……」ガチャ、ガチャリ。ガチッ

ブルース「……」ガチッ、ギュッ。カチャッ

マスク「」

ブルース「……」スッ


バットマン「……今回は五感の訓練だ」


マシュ「はい! よろしくお願いします、マスター!」

清姫「よろしくお願いいたします」


367 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/06(水) 23:07:46.99 ID:QnT/yd9k0

バットマン「バットラングを投げる。その中にいくつかホログラムを混ぜる、認知して動け」

マシュ「分かりました!」

清姫「ではそのように……急所は避けて下さいね?」

バットマン「当然だ。行くぞ」カチャリ

368 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/06(水) 23:08:26.06 ID:QnT/yd9k0

マシュ「くっ」ギギギィィィン‼ ギャリィン‼

バットラング「」ヒュォォォォォンッ‼

マシュ「っ!」ギャァン‼

バットラング「」ズオッ‼

マシュ「っきゃあ……あれ?」スカッ


バットマン「それはホログラムだ! 五感を駆使しろ!」シュパッ、シュパパパパパッ

清姫「うふふ、旦那様からの愛がこんなに……」ゴゴゥッ、ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ‼

バットマン「全て溶かさず見極めて溶かせ! マシュ、立て! まだ投げるぞ!」シュパパパパッ


マシュ「はい!!」ムクッ

マシュ(五感……五感……五感を、全て使う……!)


369 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/06(水) 23:09:54.90 ID:QnT/yd9k0


バットラング「」ヒュォォォォゥゥゥゥゥゥッ‼

マシュ「本物!」ギィン‼

バットラング「」ズォォッ‼

マシュ「……本物!」スカッ

マシュ(ホロ、グラム……)

マシュ「くっ……」ギリッ


マシュ(落ち着いて……見る。聴く。感じる。五感だ。張り巡らせて。戦場を、自分の身体の一部の如く……)


バットラング「」ヒュォォォォォンッ‼

マシュ「!」ガキィン‼

マシュ(本物。音を聴けば判別可能。いや……
マスターの目を読めば。ブラフか、本気か。全ての動作は次につながる)


バットマン「……」チラ

バットマン「……」カチャリ

バットマン「……」ブォンッ


マシュ(アレは)


マシュ(アレは、ホログラム)ピタッ


バットマン「……!」


マシュ「……」スカッ


マシュ「……あっ! や、やりました! マスター、見てくれましたか!?」

バットマン「……ああ、よくやった。だがもう一度だ、偶然を必然へ引き上げる」

マシュ「はっ、はい!」

370 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/06(水) 23:11:03.93 ID:QnT/yd9k0

バットマン「……今回はここまでだ」

マシュ「は、はいっ……かなり、つかれ、ました……」ハァ、ハァ

清姫「あらあら、修行が足りませんよ。いえ、わたくしも若干息切れならぬ燃料切れを起こしてはいますが……」

マシュ「清姫さんは純粋なサーヴァントですし……」ムー


バットマン「そろそろドクターの健診の時間だ。マシュ、行くぞ」

マシュ「あっ、はい! 行きましょう!」

清姫「あら、それではわたくしもご一緒に……」

マシュ「き、清姫さんが来る必要は……」

清姫「ですから、健康診断と称して旦那様とチョメチョメされては困りますので……」

マシュ「そそそそんな事しないって言ってるじゃないですか!」


371 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/06(水) 23:11:34.07 ID:QnT/yd9k0

バットマン「……」スタスタ

所長「……」コソコソ

バットマン「……所長。そこで何をしている」

所長「ひゃああああっ!? ぶ、ブルース!? なんでそこに!?」

バットマン「……ドクターの健診の前にトイレに寄ろうと思っただけだ。廊下の隅に屈んで何をしている」

所長「い、いいえ何も!? た、ただその、廊下の埃が気になっ『フォウ、フォウ』……」

バットマン「……フォウ?」

所長「……」

372 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/06(水) 23:12:17.68 ID:QnT/yd9k0

所長「……ちょっとアンタ、黙ってなさいって言ったばっかりでしょ……! な、なんでもないの! ほんとうよブルース!」

バットマン「……ならその後ろで、もぞもぞ動いている白い塊は何だ?」

所長「こ、これはほら……近頃のルンバは埃を絡めとれるようにふかふかにしてあるのよ!」

???「フォウ、フォーウ」

バットマン「そうか。機械が鳴く時代か」

所長「え、ええそうね! 技術は日進月歩ってよく言うわよね!」

バットマン「……所長」

所長「ごめんなさい。話します」


マシュ「マスター、遅かったのでお迎えに……ど、どうしたんですか、オルガマリー所長……?」

373 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/06(水) 23:13:32.52 ID:QnT/yd9k0

バットマン「……つまり、こうか。
ドクターに『竜種の召喚は不可能』と言われた事が気に障り、召喚術を試したら……この獣が?」

???「フォウ。」ノソノソ

マシュ「わわ、もふもふですね……よしよし」ナデナデ

???「フォーウ……」ウットリ

所長「結局召喚は失敗した挙句、こんな小さな獣が出てきちゃって……私、魔術師としての才能は壊滅的だなって……」ズーン

バットマン「……召喚してしまったからには仕方ないだろう。返す事はできないのか」

所長「そ、それはちょっと……この子の体力が尽きるまで殴ればどうにかなるかもだけど」

マシュ「倫理に反します! 駄目です!」

所長「うぐっ……」

バットマン「……どうしようもないのなら世話をするしかないだろう。名前は?」

所長「いえ、まだ何の情報も分かってないのよそれが……」

???「フォウ、フォウ」

マシュ「この特徴的な鳴き声……フォウ、という名前なんてどうでしょう?」

バットマン「フォウ……」

所長「フォウ……」

フォウ「フォウ……」

マシュ「……ええ、はい。ネーミングセンスの無さは自覚しています」

374 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/06(水) 23:14:28.90 ID:QnT/yd9k0

…………

ドクター「……うん、特に問題は無いようだ。どうする? カウンセリングも、本当に必要ならするけど」

バットマン「……いや、今は健診だけで良い。有難うドクター」

ドクター「いやいや、こっちこそお礼を言わなきゃね。次のレイシフトも大きな負担になる事は想像に難くない……
……ところでキミ、全身の傷は元からかい?」

バットマン「……ああ。戦闘に支障はない」スクッ

ドクター「そうか、あまり深くは聞かないよ。でも、あんまり自分を追い詰めるやり方はしないように」

バットマン「善処しよう……」スタスタ


ドクター(……うーん、本当に何者なんだろう。あのコスプレと胆力、そして完成された肉体に常人なら何度も死んでるほどの傷跡……人間離れしてるよなぁ)


375 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/06(水) 23:15:43.86 ID:QnT/yd9k0
ブルース「……」スタスタ


レオナルド「あ、ブルース。丁度いいところに」

バットマン「レオナルド。何か用か?」

レオナルド「ああ、キミのスーツをまた預かりたい。良いアイディアが浮かんでね、そのブレーサーを少し改造したり、色々してみたいんだけど良いかな?」

バットマン「……そういう事なら」スッ

ブルース「スーツは預けよう。ただ、前回と同じように、カラーリングは変えないように頼む。
それと、防御力が上がったのは良いが関節が動かしにくい場面が何度かあった。対処可能ならそれも」

レオナルド「おおう、そんな欠点が……そうだなぁ、関節の防御はいっそ捨ててみるのも……」

ブルース「ある程度は動きやすさを……急所だけの防御でも私が動いてカバーして……」

レオナルド「しかし、人間とサーヴァントの最低限の壁を考えると……キミのテクニックと私の技術の妥協点は……」


ピーンポーンパーンポーン


所長『あー、あー。カルデア内の職員は今すぐ管制室へ集まりなさい。次のレイシフト先の特定が完了、これより協議を行います』


レオナルド「おっと、朗報だね。行こうブルース、呼ばれてる」

ブルース「ああ、行こう」


376 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/06(水) 23:17:39.31 ID:QnT/yd9k0

…………

所長「集まったわね? 良いわ、これより協議を始めます。よろしく」

職員達「「「よろしくお願いします」」」

所長「今回のレイシフト先は西暦が始まって間もない古代ローマ。シバでの特定には苦労していましたが、ようやく時代が固定され『フォウ、フォーウ』……されました」プルプル


マシュ(ふぉ、フォウさん! こっちに戻って!)ヒソヒソ

フォウ「フォーウ」ピョンッ

マシュ「もう、勝手に飛び出しちゃ駄目です」ナデナデ

フォウ「フォウ……」ウットリ

ブルース「……」

職員A「なんだアレ?」

職員B「ペットかなぁ?」

職員C「リスみたいな……猫?」

ドクター「いや、アレは狐じゃない?」



所長「……えー、ごほん! 今回特に注意して欲しいのは、『皇帝』という存在です!」

ブルース「皇帝……古代ローマにおいての実質的な独裁者か」

所長「まあ議会が力を持っていたのはそうだけど、暴君の前では殆ど気休めみたいなモノだったと聞きます。まだ私達が言う所の『モラル』も確立前の時代ですし。
気に入らなければ下の者が蜂起し、上の者を殺して成り代わる……それが常の世界」

マシュ「か、かなり恐ろしい世界ですね……」

レオナルド「それが中世頃まで続いてたんだ、恐ろしいけど常識さ」


377 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/06(水) 23:18:22.63 ID:QnT/yd9k0

所長「問題が無ければレイシフトは明日にでも行いたいのだけど……ロマニ!」

ドクター「健康診断の結果は良好、ブルース・ウェイン、マシュ・キリエライトの両名ともに問題ありません」

所長「二人とも、本当ね?」

ブルース「問題ない」

マシュ「はい!」

所長「良いわ。レイシフト班は解散を許可します。次、サポート班! 明日に向けての手順の再確認をします!」

職員達「「「はい!」」」


レオナルド(スーツは明日の朝にキミに渡すからね)コソコソ

ブルース(ああ。頼んだ)スタスタ


378 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/06(水) 23:19:28.06 ID:QnT/yd9k0

マシュ「それじゃあ、私はこれで。また明日お会いしましょう、マスター」ペコッ

ブルース「ああ。また明日に」スタスタ

マシュ「……」スタスタ


…………


電灯「」ジー……


ブルース「……」ペラッ

ブルース「ローマはロムルスが建国し……王政期、共和政期、帝政期に分けられ……」ペラッ

ブルース「……ネロ帝の大迫害によってキリスト教が弾圧され……コンスタンティヌス帝がミラノ勅令を……」ペラッ、ペラッ


コンピューター『警告! 警告! ワード感知!』ビープ‼ビープ‼

ブルース「……?」ピタリ


379 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/06(水) 23:20:37.74 ID:QnT/yd9k0

…………

電灯「」シーン……



職員C「えーと……『ゴッサム 猫 コスプレ』……検索」カタカタッ、タン

職員B「……なにこれ、キャットウーマン? ブルースさんは男だよ……」

職員A「えーと、じゃあ……いや、待て。見ろよこれ、そのキャットウーマンを縛り上げて警察に渡してる奴の映像……」

職員C「あ、これ……このスーツ、ブルースさんじゃねえか」

職員B「本当だ! これは、ええと……バットマン? って呼ばれてるのかな」

職員A「それじゃあ……『ブルース・ウェイン バットマン ゴッサム』で検索して、と」カタカタッ、タン

職員C「……うわ、なんだこれ……ウェイン・エンタープライズのパーティー……? そこで暴れてた男達がボコボコに……」



ブルース「なにをしている」

職員達「「「うっひゃあああああ!?」」」

380 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/06(水) 23:21:51.50 ID:QnT/yd9k0

…………

ブルース「……成程、それで正体が気になって調べていたと」

職員A「す、すみません……」

ブルース「……言ってくれれば教えた。真夜中の管制室でわざわざ電気を消して調べるまでも無い事だ」

職員B「はい……」

職員C「そ、それでブルースさんは一体……」

ブルース「……ゴッサムシティの自警団じみた活動をしていたんだ。一時期、警察すらも汚職で機能していなかった事があったからな……横行する犯罪を止めるには、あれが一番だった」

職員A「つ、つまりヒーロー活動みたいな!?」

職員B「悪党を派手に吹き飛ばしたり!?」

職員C「正義の鉄槌を!?」

ブルース「……さあな。最初の頃は自信があった筈だが、今はもう分からない。戦っていく中で、誰かを信用する事が……少なくなって……」


ブルース(……そして、誰もついて来なくなった……?)



職員達「「「……」」」

ブルース「……そうだな。戦う理由を失いつつあるのは確かだ」

職員C「で、でも今は俺達が! 俺達が居ます!」

ブルース「……あぁ、有難う。まだ戦える」

職員B「あ……その」

ブルース「それより、もう夜も遅い。君達も休むべきだろう……おやすみ」スタスタ

職員A「……お、おやすみなさい……」


381 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/06(水) 23:23:02.50 ID:QnT/yd9k0

…………

ブルース(……まったく油断していた。必要以上の情報漏洩は防ぐべきか……)ドサッ

ブルース(今の内にネット上のデータをハッキングし、バットケイブの位置や時計塔の秘密特定に繋がりそうなモノは消す……)ピッピッ

コンピューター『これらのデータをデリートしますか? Y/N』

ブルース「……」ピッ

コンピューター『処理中……処理完了』

ブルース「……ついでだ。コンピュータのファイルクリーンアップも頼む」ピッピッ

コンピュータ『了解。不要・不審なファイルを除外領域へ移行させます。この作業には暫くかかる事があります』クォォォォォォン


ブルース「……」チラ


時計『02:20』

ブルース(そろそろ眠るか。明日はレイシフトだ……)トサリ


382 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/06(水) 23:24:25.93 ID:QnT/yd9k0


…………


シーン……


???「ふふふ……この扉の向こうが旦那様の……げへへへ」コソコソ

???「おっと、いけない。思わず下卑た笑いが……抜き足差し足、忍び足で……」コソコソ

扉「」ウィーン

???「お邪魔しま〜……?」プツッ

???「何か脚に触れたような……」シャガミ


バットラング「」ヒュオォォォォオォォンッガガッ‼


???「ひゃっ!?」ドサッ


ブルース「……誰だ」ムクリ

電灯「」パッ

清姫「あ……う、うふふふ。こんばんは、旦那様」

ブルース「……」


383 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/06(水) 23:25:03.51 ID:QnT/yd9k0


ブルース「……清姫か。扉の外に『呼び鈴を鳴らせ』と張り紙をしていたと思うが」

清姫「あ、はい、見ました」

ブルース「……何故無視して入って来た? 仕掛けていたトラップが発動しただろう」

清姫「だってぇ……気付かれたら旦那様、絶対逃げ出しちゃいますし」

ブルース「……時と場合によるが」

清姫「ではわたくし、正直に申し上げますわね! 夜這いに来ました!」カッ

ブルース「……」シュポッガシッ

清姫「あ、あ〜れ〜?」ギュルギュルギュル

ブルース「……」ギチギチギチッ、グイッ

清姫「あ、あの……こんなミノムシじみて吊り下げられては身動きが……」

ブルース「……」ジーッ、ピッ

清姫「むむーっ! むーっ! むぅーっ!」(ガムテープ越しの悲鳴)


ブルース「……」トサリ、ゴロン

清姫「むーっ! むぅーっ!」ビヨンビヨン


ブルース「……」スゥ、スゥ……
384 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/06(水) 23:25:54.69 ID:QnT/yd9k0

…………

ピピピ‼ ピピピ‼ ピピピ‼

ブルース「……」ムクリ

時計『07:00』

ブルース「……」チラ

清姫「……」スゥスゥ


グラップネルガン「」カラーン


ブルース(縄抜けか……)

385 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/06(水) 23:26:41.19 ID:QnT/yd9k0

ピーンポーンパーンポーン

ドクター『もしもし、聞こえてるかな? って確認しても答えは返ってこないよね、うん。
おはよう、第二回レイシフトのミーティングを始める。職員、レイシフト要員は管制室へ集まってくれ。朝食もそこで用意してある』


ブルース「……起きろ、清姫」

清姫「う、うーん……もう朝ですか……あと5分……」クシクシ

ブルース「先に管制室へ行っているぞ」スクッ、スタスタ

清姫「あっあっ、お待ちを……わたくしもすぐに支度を、ああっ!」ドターン

ブルース「……」


386 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/06(水) 23:27:53.13 ID:QnT/yd9k0

マシュ「あ、マスター。おはようございます」ペコリ

フォウ「フォウ、フォフォーウ!」パタパタ

ブルース「ああ……おはよう」

マシュ「……その、腕にくっついている清姫さんは……」

清姫「妻として、夫の傍に居るのは当然ですわ♡」ピース


ブルース「……『古代ローマ 川 人を沈める』で検索してくれ」ピッピッ

清姫「!?」


マシュ「……なんだか、察したしまった自分が居ます。ご愁傷様です、マスター」

フォウ「フォーウ……」

387 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/06(水) 23:29:20.53 ID:QnT/yd9k0

ドクター「おはようブルースくん、マシュ! 今日も体調は大丈夫かな?」

ブルース「問題ない」

マシュ「はいっ、平気です!」

ドクター「清姫くんは一応初めてのレイシフトだけど、平気かな?」

清姫「れいしふと、というのが何かは分かりませんが……旦那様の居る場所へなら何処へでも付いて行きますわ」

ドクター「あはは、心強いなぁ。ところで、ブルースくんの手首と繋がってるその手錠は……」

清姫「勿論、いつ如何なる時でも離れないようにと……うふふ」カチャリ

ドクター「なるほどなぁ……ブルースくん、マジ?」

ブルース「……」バキィ

清姫「ああっ、手錠が! 愛の絆である手錠が!!」


ブルース「……この通りだ」

ドクター「うん、そうだろうとは思ったけど……」


所長「はい、静かに! これより第二回レイシフト前、最後のミーティングを行います!」

職員達「「「はい!」」」


388 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/06(水) 23:30:03.93 ID:QnT/yd9k0

所長「今回のレイシフト先は古代ローマ。精確な年代特定は例の如くレイシフト後になると思います。到着後の行動には重々気を付けるように」

ブルース「分かった」

マシュ「了解です!」

清姫「分かりました……旦那様の束縛も無しで?」


所長「無しに決まってるでしょ、それにブルースはアンタの旦那じゃないわよ。ブルース、清姫の動向には目を光らせておいて」

ブルース「ああ」

清姫「むぅ……」

所長「まったく……今回のレイシフトも、令呪の数は三画に定めます。それ以上使うと存在証明式に危険が出るから、いいわねブルース」

ブルース「把握した」


所長「……頼んだわよ。それじゃあサポート班! 今回の動きを確認します!」

職員達「「「はい!」」」

ドクター「は、はい!」


389 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/06(水) 23:31:51.82 ID:QnT/yd9k0

…………

レオナルド「見てくれブルース、今回のスーツはちょっとした細工があってね。防御力はもちろんだが、このブレーサー。ちょっと意識して手のひらを開いてみてくれ」

ブルース「……こうか」

ブレーサー「」プシュッ‼

レオナルド「どうだい、スプレーが手のひらから発射できる優れものだ! キミの『爆破ジェル』が入った瓶もこのブレーサーに嵌め込んで使えるぜ! わざわざ取り出す手間が減るってものさ」

ブルース「成程……前腕の内側からノズルが流れているから衝撃にも強いと」

レオナルド「そういう事だ! 爆破ジェルだけじゃない、ビンの中身を入れ替えればオイルや水なんかもスプレーできる! このスプレーは結構広範囲に広がるから、狙ったものに当たらないって事はないと思うぜ」

ブルース「……役に立ちそうだ。礼を言う、レオナルド」

レオナルド「ふふん、天才だからね。今回も是非生きて帰ってくれたまえ、そしてスーツの使用感の感想を待ってるよ」

ブルース「ああ、勿論だ」


390 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/06(水) 23:33:17.82 ID:QnT/yd9k0


ブルース「……」ガチャガチャ、ガチッ

ブルース「……」ガチリ、シュッ。カチッ

マスク「」

ブルース「……」スッ

バットマン「……」



ドクター「よし、今回もバッチリだね。コフィンへ入ってくれ、そろそろ時間だ」

バットマン「ああ」

マシュ「はい!」

清姫「できれば旦那様と同じ筐体で……」

バットマン「駄目だ」

清姫「ああん、もう!」

391 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/06(水) 23:34:07.79 ID:QnT/yd9k0

ドクター「時刻、08:56。ブルース・ウェイン、マシュ・キリエライト、清姫の三名ともにコフィンにスタンバイ完了」

所長「……ふぉ、フォウは何処に行ったのかしら……」キョロキョロソワソワ


職員A「存在証明開始! 三名ともに証明続行中!」

職員B(あれ、一瞬だけスクリーンに緑のハテナマークが浮かんだような……き、気のせいだよね。疲れてるのかなぁ)

職員B「電子機器類に異常、ありません! こちらも良好!」

職員C「シバによる時代特定も良好です!」


所長「分かりました。古代ローマへのレイシフト、カウントダウン開始!」

職員達「「「了解、カウントダウン開始!」」」


ドクター「よし、今回もよろしく」

レオナルド「大雑把な八割は任せたまえ。大事な二割はキミの仕事だ」

ドクター「よぉし、やるぞ!」


392 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/06(水) 23:35:19.38 ID:QnT/yd9k0


コフィン内「」シーン……

バットマン「……」

ドクター『レイシフト10秒前! 9! 8! 7! 6! ……』

バットマン「……」

???「フォウ」

バットマン「……! 何故ここに入って来た……!?」

ドクター『3! 2! 1!』

フォウ「フォウ、フォーウ!」

バットマン「……くっ、離れるな!」ガシッ

フォウ「フォーウ!」


『0!』


393 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/06(水) 23:35:50.09 ID:QnT/yd9k0

第二章

永続狂気帝国 セプテム
394 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2017/12/06(水) 23:37:29.97 ID:QnT/yd9k0
今回の更新はここまでです。

最近バットマンの映画のサントラ聴きながら書くのがマイブームなんですけど良い曲とかありますかね……(クレクレ厨)
395 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/07(木) 00:19:51.62 ID:BJajrAoGO
ダークナイトのジョーカーのテーマはどうじゃろ?
396 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/07(木) 00:30:22.10 ID:JNXj2Zs6o
アズラエルとかもその内実写に出ないかな
397 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/07(木) 01:39:41.86 ID:sqilCQuDO
ダニー・エルフマンはダメか?
あるいはアニメ版のサントラとか
アニメ版はヴィランごとにテーマ曲があって最高じゃった
398 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/07(木) 03:01:27.13 ID:UqJxs+OcO

次はあれか、ナゾナゾ野郎か
399 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/07(木) 09:17:55.05 ID:43A+kITro
ダニー・エルフマンのバットマンの曲は最高だよな
400 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/07(木) 09:35:31.93 ID:sqilCQuDO
>>399
バットマンのテーマはまさに名曲
リターンズのBGMも良いけどね、暗いけど
401 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/07(木) 17:43:20.37 ID:o9yi+biV0
Batman: The Animated Series (Laughing Fish)
ttps://www.youtube.com/watch?v=f75q72uLhrI
402 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/10(日) 12:54:11.73 ID:gC0s5Gxu0
5章がきになるなぁ
バットマンもアメリカの人間だし
403 : ◆S0pw.EDnyA [sage saga]:2017/12/11(月) 03:51:11.34 ID:PeVAYcayO
バッツから見りゃエジソンだろうがなんだろうがイカれたヴィランにしか見えんだろう。
そしてヴィランなら狩るまで
404 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/11(月) 21:34:54.07 ID:oTsDgUNM0
5章はバットマンの友人の力が何かしらの影響あるかも
405 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/11(月) 21:43:54.75 ID:8w83XPLGO
5章はアベンジャーズにアッセンブルして欲しい
というかfate版アベンジャーズvsジャスティス・リーグが観たい
406 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2017/12/12(火) 00:34:47.62 ID:R49UtULq0
皆さん良い曲ばっかり知ってて作者のニワカぶりがバレちゃう……(畏怖)

あとこのSSにアベンジャーズは出ないんだ。すまんな。本当にすまん。
407 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/12(火) 00:35:44.96 ID:R49UtULq0

――――


レフ「……ふん、奴に引っ張られて余計な存在まで召喚されたようだが……まあいい。
ロムルス。『ローマ』を作れ」

ロムルス「無論である。召喚された理由も把握している。すなわち、この世界に消えることの無いローマを作る。それこそが我が使命」

レフ「良いぞ、それこそが貴様の使命。いや、貴様ら『ローマ皇帝』の使命だ! 頭に立つ者として、民を愛する者として、いずれ消える土台など不要! 永遠を築き上げろ!」

???「……なぞなぞだ」

レフ「……あ?」

???「なぞなぞだ。奴はどんな時でも必ずやってくる、しかし到達する事は決してない。それは何だ?」

レフ「……下らん事を言ってないで策を考えておけ」スタスタ

408 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/12(火) 00:36:35.36 ID:R49UtULq0

???「あ〜あ、行ってしまったか。アレは結構自信作だったんだが」

ロムルス「……『明日』だな」

???「なんだって?」

ロムルス「どんな時でも必ずやってきて、到達する事はできない。それは『明日』だ。我々は明日に届かない。そうだろう、リドラ―」

リドラ―「……まったく皮肉な事だが、大正解だね」

ロムルス「ふ……」

リドラ―「いいや、やってしまおう。消えないローマを作る。馬鹿げているが面白いじゃないか」

ロムルス「ああ、面白い。やってやろう、我々が永遠を証明する」

409 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/12(火) 00:37:17.08 ID:R49UtULq0

…………

「……シュ……おき……」ギィン‼ ガィン‼

「旦那様……あぶな……」

「うおおおお!!」
「あああああ!!」

マシュ「……う、うぅん……」ピクッ


「マシュ……くっ、目を覚まさ……」ギャリィン‼ ガァン‼

「旦那様、後ろを……」ガギャァン‼

「フォウ! フォーウ!!」


マシュ「……はっ」バッ


410 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/12(火) 00:37:57.09 ID:R49UtULq0

バットマン「! 起きたかマシュ! 戦闘が既に開始されている!」

ドクター『周囲をサーチ中! 魔力反応は両陣営から確認されている! キミたちは残念ながら戦争の真っ只中にレイシフトしてしまったようだ!』

清姫「それはおかしい話ですね、確か絢爛な首都が我々を出迎えてくれるはずでは!?」ゴゴウッ‼

ドクター『座標は固定してあったが……何者かが介入したのか、もしくは首都の位置がズレているか、だ! いずれにせよ、その窮地を脱してくれ!』

兵士A「おおおおお!!」キィン
兵士B「やああああ!!」ギィン
兵士C「たああああ!!」ガァン
兵士D「どらあああ!!」ギャァン


マシュ「あ……ど、どちらの陣営を……いえ、どちらも真紅と黄金の意匠があしらわれた鎧……非常に似ていて……」

バットマン「自分の身の安全をまず確保しろ! 突破口を開くのはその後だ!」ガシッ、ドッガァ‼

兵士A「おがあああ!?」ドサァン

マシュ「は、はいっ!」ガチャリ


411 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/12(火) 00:38:38.95 ID:R49UtULq0

兵士B「おらあああ!!」ブゥン‼

バットマン(真紅と黄金の意匠……古代ローマで好んで使われた色だ。レイシフトした場所に間違いは無いようだが、しかしこの戦争は……)ガシッ


バットマン「ドクター、年代特定を頼む。ローマでの内紛があった時代なのか?」グイッドスッ

兵士B「うごっ!?」ドシャァン

ドクター『……いや、そこは1世紀ごろのローマだ。そんな戦争は歴史にはない』

バットマン(ならば、歴史の異常による戦争の可能性が高いか……)

マシュ「やああっ!」ブォン‼

兵士C「ぐげっ!?」ドゴォン

清姫「カァァァッ!」ゴウッ‼

兵士D「あづぁづぁづぁ!?」ゴロゴロゴロッ


ワーワー‼ ギャリィン‼ ガァン‼


バットマン(キリが無い。少々強引でも、この混乱を突破して……)


???「我が!!!! 愛しき!!!! 妹の!!!!! 子よ!!!!!!」ゴォッ

バットマン「……!?」


412 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/12(火) 00:39:22.91 ID:R49UtULq0

マシュ「アレは……」

兵士E「カリギュラ様だ……テメェらもう終わりだぜ!」


カリギュラ「ネロォォォォォォ!!」

???「叔父上……!」


バットマン(何だ? 戦場の動きが硬直した? あの二人は一体……? いや、先程ネロ、カリギュラと……)


バットマン「ドクター、あの二人の分析を頼む」

ドクター『……男性の方はサーヴァントだ。女性の方は……奇妙だな、魔力はあるけどサーヴァントじゃない。魔術師か? いや、でもあの手に持った真っ赤な剣は……』


バットマン(あの二人の会話を鵜呑みにするならば、女性の方がネロ。男性の方がカリギュラだ。カリギュラはサーヴァントであり、ネロは生身……)

バットマン(ならば、歴史を乱そうとする陣営はあちらで合っている……のか?
だがこの物量差、カリギュラの陣営が圧倒的に人数が多い……)


バットマン「マシュ! 援護に……」

バットマン「っ」ゾクリ


清姫「旦那様!!!」


???「圧政!!!」ゴォッ

バットマン「っ!!」ババッ

ドッゴォォォォォォン‼


413 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/12(火) 00:40:30.98 ID:R49UtULq0

パラパラ……


???「キミからは圧政者の気配がする。すなわち、我が愛の対象である」

兵士F「す、スパルタクス!! てことは、ブーディカ様も……! へっ、俺達に分があるみてえだな!」

兵士E「くっ……」


スパルタクス「さあ、圧政者よ! 我が愛を! 受け取るがいい!!」

バットマン(……熱狂に呑まれた瞳。清姫と同じ、話を聞く者ではない。そして……)

地面「」グチャグチャ

バットマン(この膂力……ほぼ間違いなく、サーヴァント。さあ、いよいよどちらの陣営を援護したものか)

スパルタクス「ふははははははは!! さあ! さあ、黒き猫の扮装者よ!! 来るがいい!!」

バットマン「(正面からでは勝ち目が薄い)マシュ!」


マシュ「はい! マシュ・キリエライト、援護を……っ!?」ガガッ

???「だぁーめ。アンタはお姉さんが相手してあげるから」ヒュンヒュンッヒュンッ

マシュ「くっ……!?」ガガッガィン‼ ギュリィン‼


兵士G「ブーディカ様! いいぞ、やっちまえ!!」

ブーディカ「ふふ……」

マシュ「……退いて下さい!」

ブーディカ「退かせてみなさい」


414 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/12(火) 00:41:12.24 ID:R49UtULq0

清姫「旦那様、ここはわたくしが……!」

???「■■■■■■――――――!!!!!」ドォン‼

清姫「チッ……そこを退きなさい、無粋な……!」

兵士H「りょ、呂布様まで……やっぱり首都は堅牢なんだ!」


バットマン(……成程、読めたぞ。防衛戦だ。向こうに見える都市の影……こちらの陣営は守りを固めていたのか。そして、それを落とそうとする勢力の戦争……)


呂布「■■■■■■■■■―――――――!!!」ブゥン‼

清姫「ああもう……」ガガッ


バットマン(……冷静に考えろ。この時代の人物として正しいのは、ネロ・クラウディウスだ。史上では暴君ではあるが、それでも時代に合った皇帝だ。
だが今、その陣営に敵視されている……)

バットマン「……不味いか」

スパルタクス「ハハハハハハハ!」ドッガァァァァァァァ

バットマン「……」バッババッ

スパルタクス「素早いな、圧政者よ! だが同じように素早い者がこちらにも居るぞ!」

???「……」スタッ

バットマン「……」スッ

バットマン(この身のこなし。暗殺者か)


415 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/12(火) 00:42:04.39 ID:R49UtULq0

兵士I「け、荊軻様まで! やれるぞ! 物量差なんてメじゃねえ!」


荊軻「……堅物の匂いがするな。これまでの人生、遊びという言葉とは縁遠かった者の発する匂いだ」

バットマン「……」

荊軻「どうも、苦手だが……やるか」ヒュンッ

バットマン「っ」パシィ‼

バットマン(針……毒針)


荊軻「そこっ!」ヒュォン

バットマン「くっ……」ダッ、ゴロゴロッ

スパルタクス「圧政!」ドッゴォォォン‼

バットマン「ふっ!」シュポッガシッ、ギュルギュルギュルギュルッ

荊軻「遅い!」ヒュンッドガッ

バットマン「うっぐ……!?」ドッシャァァァ

スパルタクス「愛を! 愛を!! おお愛を受け取り給え!!」グワッ

荊軻「どう、どう。コイツは人間だ、殺さず捕縛するんだぞ」

スパルタクス「……至極不満である」


バットマン(油断しきっている……スモークペレット……いや、爆破ジェルで地面を砕いて……)スッ

荊軻「おっと、妙な真似はしてくれるなよ? 本当に殺す羽目になる」ガシッ

バットマン「……」ピタッ

416 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/12(火) 00:42:35.34 ID:R49UtULq0


マシュ「マスター!」

ブーディカ「ほら、余所見は危険だっての」ヒュンッ

マシュ「あぐっ……」ドサッ

ブーディカ「……まったく、可愛い顔してこんなに粘るんだもんなー。捕縛隊、ロープを……っ!?」

マシュ「……ふっ!」ガガァン‼

ブーディカ「狸寝入りなんてやってくれるじゃない!」ババッ

マシュ「マスターを助けます……そこを、退いて下さい!」ギリィ

ブーディカ「駄目じゃないのさ、女の子が血塗れで歯を剥き出したりしたら……嫌いじゃないけどね」ニッ



清姫「ああもう! しつこい殿方ですね!」

呂布「■■■■■■■――――!!!」

清姫「せめて人語を操ってはいかがです!?」

呂布「■■■■■■■■■■■■■■―――――!!!」ブゥン

清姫「うっく……」ガガッ

清姫(一発一発が重い……ふざけている余裕もなくなってきてしまいますね……)

清姫(そして、旦那様……ああもう、ここは宝具を……ああでも、それでは安珍様に被害が……)

清姫「あーもー!!!」キシャーーーー‼‼

呂布「■■■■■■■■■■■■■■―――!!」


417 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/12(火) 00:43:34.41 ID:R49UtULq0

マシュ「はあっ、はあっ……」ヨロッ

ブーディカ「……もうやめときなって。これ以上やっても結果は分かってるでしょ」

マシュ「……でも、私は……マスターの、盾に……守らなきゃ……」ヨロ、ヨロ

ブーディカ「……」


スパルタクス「おおおおおおおお!! か弱い少女を力でねじ伏せるのはまさに圧政者の如き振る舞い! しかし毒を以て毒を……」ドスドス

ブーディカ「……やめだよ、スパルタクス。この娘はもう戦えない。縛って連れて行くんだ」

スパルタクス「であれば納得である! 私はあくまで反抗者であり、それ以上になれば私は私を……」

ブーディカ「ほら、ロープ」

荊軻「……すまないな、ブーディカ。結局いつもキミがスパルタクスの操縦役になる」

ブーディカ「いいよ、慣れてるし」

マシュ「私は、まだ……!」

ブーディカ「ふっ」ガッ

マシュ「あぅっ……」ドシャッ

ブーディカ「……あーあ、いつから娘みたいな年頃の奴が戦うようになったんだかね」


418 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/12(火) 00:44:22.77 ID:R49UtULq0

清姫「……」

清姫(わたくし以外が撃沈しましたわね。ええ、見事に今回も行き遅れです。川があったら飛び込みたい。……自分のブラックジョークが身に染みますこと)

呂布「■■■■■■■……」ゴトッ

清姫「……あらあら、武器を置かれたりなんてして。『勝負あった』とでも仰るつもりですか?」

呂布「……」

清姫「……良いでしょう。女清姫、負けを勝ちと言い張るほど盲目ではないつもりです」

呂布「■■■■■■■■■■■■■■―――――!!!」

419 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/12(火) 00:45:46.28 ID:R49UtULq0


カリギュラ「……」

ネロ「……とった!」ザシュッ‼

カリギュラ「……撤退せよォォォォォォ……」スゥゥゥゥゥ……

ネロ「……くっ、今回もまたあの不可解な消え方か……トドメを刺し損ねた」


兵士E「クソッ、撤退、撤退ーーーー!!!」ダダダダダダダ

兵士達「「「撤退しろーーーー!!!」」」ダダダダダダッ



荊軻「今回もお疲れ様だな、皇帝殿」

ネロ「ああ。だが、このままではいずれやられてしまう……相手方の皇帝も一斉に出てくれば、こちらの勝ち目は薄いしな」

荊軻「……兵の消耗も激しい。それに今回捕らえた捕虜の事もある。一度首都に戻り、策を練ろう」

ネロ「うむ、それが最善であろう。多勢に無勢はいくさの常であろうが、余も少々疲れた。無勢の側は嫌になる」


420 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/12(火) 00:46:19.87 ID:R49UtULq0


ゴトゴト……ゴトゴト……

バットマン「……マシュ、居るか」

マシュ「はい、マスター。ここに居ます」

バットマン「……こちらは目隠しをされていて状況が把握できない。縛られていて身動きも取れないが、そっちはどうだ?」

マシュ「私もです……」

清姫「わたくしも……どうやら荷台の中のよう。炎を吐いたら旦那様を燃やしてしまうやも……あ、でもそれも良い」

バットマン「……とにかく、このまま連行されるぞ。ネロは味方である可能性が高い。話をする必要がある」

マシュ「でも危険が……」

バットマン「……危険はあるが、今はこれが最善だ」

清姫「……旦那様?」

バットマン「平気だ。危険は引き受ける」

清姫「旦那様」

バットマン「……もし駄目だったなら、清姫。お前に賭ける」


ゴトゴト……ゴトゴト……

421 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/12(火) 00:46:50.65 ID:R49UtULq0

………………

「さっさと歩け!」

マシュ(目隠ししてるままなのに、無理を言いますね……)ソロソロ

ブルース「……」スタスタ

清姫「……旦那様? 異様に歩くのがお早いですが、まさか旦那様だけ目隠しが外されてたりはしませんよね?」ソローリ

ブルース「……音と足裏の感触で大体の予測は可能だ」スタスタ

マシュ「……いや、無理では……」


「ここで装備は全て剥奪する! 抵抗はしないように!」ガチャガチャ

バットマン「……」

マシュ「……」

清姫「……あ、今誰かおしりを触りましたね? 後で燃やしますので。ええ、匂いで覚えました。逃げても無駄です。ええ」



422 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/12(火) 00:47:47.57 ID:R49UtULq0

…………

ブルース「……」ムクリ

マシュ「……おはようございます、マスター。牢の中で眠るのは初めてで、少し戸惑いましたが……
マスターはよく眠れましたか?」

ブルース「……ああ。最低限はな」


ブルース(地下牢の中だと時間を把握しにくいが……恐らく今が朝だ。そろそろ尋問に誰かが引き出される頃合いか)


ドクター『……駄目だな、その周囲に聖杯の反応はない。そっちの陣営は聖杯を所持していないようだ』

ブルース「……なら計算通りだ。今日の尋問でネロの信用を勝ち取る……」

マシュ「……マスター、やはり私が……」

ブルース「……お前はバックアップを」


兵士「男。出ろ」

ブルース「……」スクッ

清姫「……」

清姫(ご武運を)

ブルース(頼むぞ)


兵士「もたもたするな!」

ブルース「……」スタスタ


423 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/12(火) 00:48:39.52 ID:R49UtULq0

…………

兵士「捕虜を連行して来ました、ネロ様」

ネロ「うむ、ご苦労。行って良いぞ」

兵士「はっ」ススッ


ブルース「……」

ネロ「さて、この玉座の間へようこそ! どうだ? 赤と金の絨毯が映えるであろう? ふふん、この国最高峰の技術を持つ者共に作らせたのだ、当然最高に決まっておる!」

ブルース「……」

ネロ「おお、あの絵が気になるか? あれもこの国の最高の絵師に描かせたのだ! 余の美しさが溢れるようだ、うむ、つくづく素晴らしい仕事ぶりであるな!」

荊軻「皇帝殿」

ネロ「あ……ごほん。うむ、今回呼んだのは尋問のためだったな。よし、貴様! 名を何という?」

ブルース「……ブルースだ。ブルース・ウェイン」

ネロ「ぶるーすうぇい……ん。聞き慣れぬ名であるな。まあ良い、それではブルース。何故『連合』側についたのか、理由を述べよ!」

ブルース(連合……?)

荊軻「……」ジッ


424 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/12(火) 00:49:10.71 ID:R49UtULq0

ブルース「……少なくとも、どちらの側について戦った覚えもない」

ネロ「むぅ、隠し通せると思っているなら……」

荊軻「……嘘はついていないかと」

ネロ「むむむ、そうなのか? ……ケーキの勘は当たるゆえ、馬鹿には出来んな」

荊軻「あぁ、真偽と臆病者は見れば分かる。……あと、ケイカだ」

ネロ「ならばブルース! なにゆえあの場所に居た? 戦場の真っ只中で何をしていたというのだ?」

ブルース(……さて、ここからが正念場だが……)

ブルース「……これから話す事は、妄想でも出任せでもない。それをよく念頭においてくれ」

荊軻「それを判断するのは私の役目だが……良いだろう、聞いてみよう」

425 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/12(火) 00:49:50.10 ID:R49UtULq0

…………

ネロ「……未来から来た……それはまことか?」

荊軻「……」

ブルース「……ああ、本当だ」

ネロ「ううむ、事実だとしたら難儀な事よな。階段から転げ落ちでもしたか?」

ブルース「……狂ってはいない」

荊軻「……」

ネロ「しかしな……」

荊軻「ひとつ質問を許してくれ」

ブルース「……」

荊軻「お前の身のこなし……お前は暗殺者なのか?」

ブルース「……!」

426 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/12/12(火) 00:50:40.90 ID:R49UtULq0

荊軻「一目見た時から分かってはいた。……お前が私の事を暗殺者だと見抜いたように、私もまた見抜いた。
お前は修羅場を潜って来たのだろう。よく鍛えられた暗殺者だ」

ネロ「……それが本当ならば、今までの話は全て嘘八百だという事か? やはり、こやつは余を殺しに来たと?」

ブルース「……」

荊軻「いや……これまでの言葉に偽りはない。だからこそ、試させてほしい。一度、手合わせを。それで分かる」

ブルース(…………成程、不味い事になった……)ピッピッ


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