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バットマン「グランド……オーダー?」
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227 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/27(月) 13:29:14.78 ID:wWUNcPLZo
ロビン死んでるのにジャスティスリーグがないとなると、丁度今やってるDC映画世界の設定だと丁度いいんじゃないか
ベンアフバットマンは本当に見た目最高だわ
あの筋肉と疲れきったブルースの雰囲気はたまらん
228 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/27(月) 19:47:43.65 ID:8d4jimxk0
………………
マシュ「……そんな……」
ジャンヌ「リヨンが、壊滅してる……」
マリー「……酷いわ、酷過ぎる。これじゃ、“竜殺し”さんも……」
アマデウス「ごめんよ、感傷におぼれてる暇も無さそうだ。辺りから何かが動き回る音が聞こえる」
マシュ「ドクター!」
ドクター『これは……リビングデッドだ。共食いしてるのか……!?』
マシュ「……まさかこの方たちは、元々はここの……」ジリッ
ジャンヌ「マシュ、悲しむのは後です。これ以上の非道を行わせてしまう前に、彼らを止めなければ」スッ
アマデウス「そうだね。鎮魂歌は僕の十八番だ、少しでも安らかに眠らせてあげるとしよう」
???「……安らぎ……安らぎを望むか……。それは、あまりに愚かな言動だ。
彼らの魂に安らぎはなく。我らサーヴァントに確実性は存在しない。この世界は、とうの昔に凍り付いている……」
マシュ「……サーヴァント!」
ジャンヌ「――何者ですか?」
???「然様。人は私を――オペラ座の怪人(ファントム・オブ・ジ・オペラ)と呼ぶ」
ファントム「“竜の魔女”の命により、この街は私の絶対的支配下に。
さあ、さあ、さあ。ここは、死者が蘇る地獄の只中。
――君たちは、どうする?」
マリー「国を蹂躙する貴方を放っておくわけにはいかないわ! 地獄ですって? いいえ、ここはフランスよ! 貴方達から取り戻し、輝きを灯してみせる!」
マシュ「その通りです、マリーさん! 行きます……!」ガシャッ
229 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/27(月) 19:48:24.56 ID:8d4jimxk0
――――
マシュ「はあっ、はあっ……敵サーヴァント、鎮圧完了……!」
ファントム「く……しかし、務めは果たしたぞ。報われぬ、まったく報われぬ務めだったが……私の歌はここで途絶える。されど、地獄はここから始まる」
ファントム「喝采せよ、聖女! おまえの邪悪は、おまえ以上に成長した!」
ジャンヌ「――黙りなさい。もう、喋るのも辛いでしょうに」
ファントム「これは言葉ではない。これは歌だ。おまえの先を嘆き、憂うためのな。
“竜殺し”は諦めろ。あれの呪いは、誰にも解けぬ」
ジャンヌ「……呪い?」
ファントム「呪いだ。生きているのも不思議なほどの大量の呪いが掛けられている……奴は遠からず死ぬ」……ジリジリジリ
ファントム(……そして貴様も、その呪いに掛かる……もう少し、もう少しだ……)
マシュ「ですが、呪いは解呪ができるハズ……聖人と呼ばれるジャンヌさんなら」
ジャンヌ「程度によります。特に、今の私の力は弱まっており……」クルッ
ファントム(今だ!)
ファントム「背中を見せたな! 油断を呪い、呪われろ! 『地獄にこそ響け我が愛の唄(クリスティーヌ・クリスティーヌ』!!」グオォォォォォォォ
ジャンヌ「なっ、しまっ……」
マシュ「ジャンヌさっ……」
???「……『幻想大剣・天魔失墜(バルムンク)』!」ドッガァァァァァァ‼‼
230 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/27(月) 19:49:45.33 ID:8d4jimxk0
ファントム「……な……んだと……」ドシャリ
???「うぐ……(やはり一発の宝具だけでもかなり無理がある)……無事か」
マシュ(け、剣で呪いごと切り裂いた……この人は一体)
ジャンヌ「助かりました、名も知らぬ剣士……いえ、まさか、貴方は……」
???「俺はジークフリート。呪いに耐え、近くの砦で忍んでいたら……俺の名を呼ぶのが聞こえたのでな。必要とされれば、来る」
マシュ「じ、ジークフリートさんだったのですね!」
ジャンヌ「とてもありがたいです。ですが、呪いが掛かっていると……」
ジークフリート「ああ、本来なら俺の宝具『バルムンク』は連発が可能な技。だが、今は一発ごとにインターバルを挟まねば……」
ドクター『ちょっと待った! マシュ、そちらにサーヴァントを上回る超極大の生命反応が接近中!』
マシュ「サーヴァントを上回る……!? そんな生命が存在するのですか!?」
ドクター『あるところにはあるものさ、世界は広いしね! って、そんな事より撤退を! サーヴァント反応も三騎、追随してきてる! くっ、撤退が間に合うか……』
マリー「……アマデウス、迎撃の準備をしましょう。……その、一緒に戦ってくれる?」
アマデウス「いま、しましょうって命令しただろ、君。いつものように、背筋を伸ばして笑顔でいればいい。
……なに、僕に気を遣う事はない。やばくなったらひとりで逃げるからな、僕は!」
マリー「そうね。それでこそアマデウスだわ。大丈夫、時間を稼ぐだけですもの。
わたしは死なないわ。まだ、ここではね」
マシュ(……来る! 空気の震えで、存在感が分かる……! 怪物が、来る!)
『グゴオオオオオオオオアアアアアアアアアアアァァァァァァ!!!!』
231 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/27(月) 19:50:35.00 ID:8d4jimxk0
マシュ「っっ……」ビリビリ
マシュ(吼えた、だけなのに……踏ん張らないと、吹き飛ばされそう……!)
黒龍「フシュルルルルル……」
ジャンヌ・ダルク?「どうしました、急に止まっ……おや、これはこれは。懐かしい顔ぶれですね」
ジャンヌ「……あれが、究極の竜種……」
ジャンヌ・ダルク?「丁度いいわ。焼き尽くしなさい、ファヴニール」
黒龍「ゴゥゥゥゥゥ……」シュシュシュシュシュ
マシュ「黒龍、上体を仰け反らせ始めました。あれは……周囲の空気を取り込んで……ブレスの準備をしています!」
ジャンヌ「今からの回避は間に合いません。一旦ここで受け止めるしか……」
マリー「やあっ!!」ザワザワザワ
アマデウス「時間は稼ぐよ、あとは頼む!」グワォォォォォォォォン
マシュ「あのお二人がブレスまでの時間を延ばしてくれている間に……宝具の魔力を、展開して……」
ジャンヌ「私も、いけます! 宝具を展開し、防御を! 戻って下さい、二人とも!」バササッ
マシュ「仮想宝具、展開!!」
ジャンヌ「『我が神は(リュミノジテ)……』
マシュ「『ロード・カルデアス』!!」ギュオォォォォォ
ジャンヌ「『ここにありて(エテルネッル)!』ズォォォォォォ
黒龍「ガァッ!!」ドグォォォォォォォォ‼
マシュ(お、重い……二人がかり、なのに!)ガガガガガガガガ
ジャンヌ(なんという熱量、エネルギー……! まともに受ければ、灰になる暇もなく溶かされていた! 抑え込むので、精一杯……!)ゴゴゴゴゴゴゴゴ
マリー「きゃっ!」
アマデウス「うわっと、こりゃあ激しいな……!」
マシュ(もうすぐ、もう少しのハズ……息継ぎすら難しい……!!)ガクガクガクガク
黒龍「……!!」ゴゴゴゴゴゴゴゴ……ピタッ
マシュ「っ、今です!! 走って!!」
ジャンヌ「行きましょう!!」ダダッ
マリー「ジークフリートさんは歩けないみたい! アマデウス、おぶってあげられる!?」
アマデウス「ああもう!! お代は後でもらうからな!」ガシッ
ジークフリート「すまない……本当にすまない……」ユッサユッサ
ジャンヌ・ダルク?「ククッ、地を這う虫じみてて本当に無様。追いなさい、ファヴニール!」
黒龍「ゴアアアアアアアアアア!!」ドシン、ドシン
232 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/27(月) 19:52:36.47 ID:8d4jimxk0
マシュ「お、追って来てます!!」
ジークフリート「……今、魔力を溜めてる……撃退の分の魔力を」ユッサユッサ
マリー「わたしの魔法も使ってるけど、あまり回復できてないみたい。やっぱり呪いが根幹まで届いちゃってるみたいだから、それを解かなきゃ」
ジャンヌ「くっ、私にもっと力があれば……!!」
アマデウス「ああもうっ、こんな時に! 前方にフランス軍だ、こっちに砲を向けてるぞ!」
マシュ「……!!」
ジャンヌ「くっ、私が居たら確実に魔女の一味だと勘違いされて……!!」
???「砲兵隊、撃て!! 狙いは後方、あの竜だ!」
ジャンヌ「!?」
233 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/27(月) 19:53:46.14 ID:8d4jimxk0
兵士達「「「発射―――――――!!!」」」
ドドドドドドン‼‼
黒龍「グゴ……」
ジャンヌ・ダルク?「ちっ、あれは……『染まってない方』じゃないの。面倒なのが居るわね」
ジャンヌ「あれは……ジル!」
ジル「まだだ! 火力を集中させろ!! 第二部隊展開! 一斉砲火!」
兵士達「「「砲火!!!」」」
ドドドドドドン‼‼
黒龍「ガアアアアアアッ!!」イライラ
ジークフリート「……いける。魔力が溜まった」
アマデウス「ようやくか、降ろすぞドラゴンスレイヤー!」
ジークフリート「ああ。感謝する。そして……久しいな、ファヴニール」
234 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/27(月) 19:55:02.04 ID:8d4jimxk0
黒龍「……」
ジャンヌ・ダルク?(何? ファヴニールが怯えてる……? まさか、この男は……!)
ジークフリート「二度蘇ったのなら、二度この宝具を打ち込むまで……!」
ジークフリート「蒼天の空に聞け! 我が真名はジークフリート! 汝をかつて打ち倒した者なり!」
ジークフリート「宝具解放……『幻想大剣・天魔失墜(バルムンク)』!!」ズォォォォォォ
ジャンヌ・ダルク?「回避しなさい、ファヴニール!! 上へ!!」
ファヴニール「グオォォッ!!」バサッ‼
ジークフリート「遅い!!」ヒュンッドシュウ‼
ファヴニール「グ……ガァァァァァァ!!」バサッバサッバサッ
235 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/27(月) 19:56:11.40 ID:8d4jimxk0
マシュ「あ、あの竜が空へ向けて撤退していきます!」
ジークフリート「……すまないが、今はこれが限界だ。戻って来ないうちに逃げてくれ……」
マリー「賛成よ、早く逃げましょう!」
アマデウス「よし来た、さっさと逃げるとしよう!」
ジル「ジャンヌ! お待ちを! 貴女は確かにジャンヌ・ダルク! “竜の魔女”ではない、正真正銘の聖女……!」
ジャンヌ「……」
マリー「……返答しなくて良いのですか?」
ジャンヌ「私が返答すれば、ジルの立場が危うくなります。現状、彼らに頼ることもないでしょう。……何より、かつて共に戦った人々に憎まれるのはさすがに堪えますから」
マリー「でも……本当に彼らは、憎んでいるのでしょうか」
ジャンヌ「――行きましょう」
ジル「……もう一度、“竜の魔女”について調べ直せ」
兵士「えっ……?」
ジル「シャルル七世を討ったのが、本当にジャンヌ・ダルクだったのか。悪質な偽物なのか。あるいは……」
ジル「ジャンヌ・ダルクはこの世界に二人存在するのか」
236 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/27(月) 19:57:55.87 ID:8d4jimxk0
マリー「……やっぱり駄目ね、治し切れない……というか、効果があるのかすら怪しいわ。ごめんなさい、ジークフリート」
ジークフリート「……いや、構わない」
ジャンヌ「彼には今、複数の呪いが掛かっています。……生きているのが、不思議なほどの」
マシュ「ジャンヌさんほどの力があっても……解呪はできないんですか?」
ジャンヌ「はい。これほどの呪いとなると、せめてあと一人の聖人が欲しい」
マシュ「聖人のサーヴァント……ですか」
ドクター『ああ、可能性はある。聖杯を持っているのが“竜の魔女”ジャンヌ・ダルクならば、その反動……抑止力のようなもので聖人が召喚されている可能性はある』
ドクター『現に聖女マルタが召喚されていたしね。それで、キミたちに聖人サーヴァントのあてはあるかい?』
マシュ「いえ……」
ジークフリート「俺も、敵以外だと君達が初めて出会うサーヴァントだ」
マリー「……うーん……あてもなく探す、というのも大変ですし。危険かもしれないけど、手分けして探すっていうのはどうかしら?」
ジャンヌ「……そうですね、私もそれが妥当だと思います」
アマデウス「で、組み合わせはどうやって決めるんだい? 仲の良い奴同士だと、僕が真っ先にはぶられちゃいそうだけど」
マリー「もちろん、こういう時はくじ引きよ! アマデウス、作って頂戴!」
アマデウス「くじを引きたいだけだろうキミは。……わかったよ、くじを作る。それでグループ分けをしよう」
237 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/27(月) 19:58:31.73 ID:8d4jimxk0
マシュ「……」ガチガチ
マリー「もう、マシュったらそんなに緊張しなくていいのに! ……本当よ?」
マシュ「い、いえ。何と言うか、発言一つで国際問題になりそうというか!」
マリー「んもぅ、大げさよ! ……アマデウス、ジャンヌさん達をお願いね」
アマデウス「正直、今キミと離れるのは不安だが……くじは運命によるもの。これに逆らうのはよけいに悪運を呼びそうだ」
アマデウス「まあ、キミの宝具は逃走に使える。マシュは守護に特化している。むしろ不安なのは怪我人を抱えたこちら側かな……」
ジークフリート「……すまない……本当にすまない……」
アマデウス「あ、いや違うんだ。今のはどちらかというと、自分の力不足を嘆いた言葉だよ」
マリー「アマデウス、仲良くするのよ。あなた、お友達に誤解されるタイプだから」
アマデウス「キミに言われたくはないよ。それより、マリア」
マリー「うん?」
アマデウス「……いや、何でもない。道中気を付けるように。空腹になったからって洋菓子店を探すんじゃないぞ」
238 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/27(月) 19:59:26.47 ID:8d4jimxk0
マリー「なあんだ! わたし、てっきりまたプロポーズされるかと思ってドキドキしていたわ!」
アマデウス「待て。なぜ今その話をするんだキミは!」
マシュ「プロポーズ……ですか? え? マリーさんと? アマデウスさんが?」
ドクター『あれ、知らないのかいマシュ? わりと有名な話だよ、それ』
ドクター『そちらにいらっしゃるミスター・アマデウスは六歳の時、七歳の彼女(マリー)にプロポーズしたんだよ』
マリー「ええ、転んだ彼にわたしが手を差し出すとキラキラした目で見つめて――」
マリー「『ありがとう、素敵な人。僕はアマデウスと言います。
もし、貴女のように美しい人に結婚の約束がないのなら、僕が最初でよろしいですか?』
……そう言ってくれたの! あんなにときめいたのは、生まれて初めてだったわ!」
アマデウス「まさか後世にまで伝わっているとは……悪夢だ……」
マリー「うふふ、それはそうでしょうとも。わたし、嬉しくって嬉しくって方々に広めたんですもの!」
アマデウス「君のせいか! 君のせいだったのか! 断ったクセに、なんて魔性の女なんだ!」
マリー「それは仕方ないわ。だってわたし、婚約相手は自分では決められなかったのだし。
それに――」
239 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/27(月) 19:59:59.48 ID:8d4jimxk0
マリー「その後のわたしの人生を知っているでしょう? わたしはあれで良かったの。断って良かったの」
マリー「だから貴方は音楽家として多くの人に愛される事になった。
だからわたしは愚かな王妃として命を終えた」
マリー「しょうがないの。しょうがないじゃない。だってわたし、いつだって恋に夢中なんだもの」
マリー「……わたし、きっと、フランスという国に恋をしていたのね。人々を愛さず、国そのものしか愛さなかった。
……そんな風に思い上がった女だから、最期はあんなふうに、国民たちの手で終わったのよ」
ジャンヌ「マリー、それは……」
アマデウス「……なんだそれ。馬鹿じゃないのか、君」
マリー「馬鹿なの、わたし?」
アマデウス「ああ。とんでもない勘違いだ。フランスという国に恋をしていた、だあ?」
アマデウス「それは違う。フランスという国が、君に恋をしていたんだ」
マリー「…………うん。ありがとう、モーツァルト」
240 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/27(月) 20:00:31.54 ID:8d4jimxk0
マリー「……あれ? でもそれっておかしくない? じゃあ私に恋をしてくれた人が、私を殺したってこと?」
アマデウス「ああ。人間とはそういうものだ。愛情は簡単に憎しみに切り替わる。君は愛されたからこそ、人々に憎まれたんだよ」
マシュ「……愛されたから憎まれた……恋しながら、その恋人を手にかけた……」
マリー「そっか。人間ってむつかしいのね。結局死んでも、愛には届かなかったわ……」
マリー「でも、今はそれでいいわ! 私はマリー・アントワネット、フランスに恋された女だもの!」
マリー「じゃあね、アマデウス! 行ってくるわ! 帰ったら久しぶりに、貴方のピアノを聞かせてちょうだい!」タッタッ
マシュ「あ、ジャンヌさん。連絡を一定時間ごとに取り合いましょう。カルデアの通信機をどうぞ。魔力で念話が可能になります」
ジャンヌ「分かりました。お預かりします……どうか、お気をつけて」
マシュ「そちらも、どうか……では、また」
聖人探索班
1 マシュ マリー
2 ジャンヌ アマデウス ジークフリート
241 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/27(月) 20:01:55.19 ID:8d4jimxk0
ブルース(…………)
ブルース(……口が……いや、口に何かを突っ込まれている)
ブルース(誰かに何かを咀嚼させられ、飲まされている……)
ブルース(これは毒か?)
バットマン「!!」ガバッガシィ‼
兵士C「うわああああ!! や、やめろ!! 看病してただけじゃねえか!!」ワタワタ
バットマン「……ここは……」
兵士C「お、起きるなり首引っ掴んできやがって、ビックリするだろ……ここはティエールだよ、アンタ、この宿に預けられたんだ。ツレはどっか行っちまったぞ」
バットマン「……すまなかった。助かった」
兵士C「い、いや、こっちも一回助けられた身だから何も言わねえけど……」
バットマン「マシュの……一緒にいた者の行き先は知らないか?」
兵士C「いや、何も言わずに出て行っちまったから……ただ、アンタを頼むとだけ言われて」
バットマン「……」
兵士C「何にせよ、回復したんなら良かった。起き上がれるか? 助けが要るか?」
バットマン「いや、大丈夫だ。礼を言……」
< コノッ‼ コノ、コノ、コノッ‼ ナマイキ‼ ナノヨ‼ キョクトウノ‼ ドイナカリスガ‼
< ウフフフフ。ナマイキナノハ、サテ、ドチラデショウ。
< ギャーギャー‼ ワーワー‼ オイオイケンカダゾ、シッポハエテル、ヒヲフイテル
バットマン「……礼は改めてさせてもらう」
兵士C「いーっていーって、こっちも助けられたんだ……から……」
シーン……
兵士C「き、消えた……!?」
242 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/27(月) 20:05:01.71 ID:8d4jimxk0
???「出来損ないの竜が、真の竜であるこのわたくしに……勝てるとお思いで。エリザベートさん?」
エリザベート「うーーーーーっ!! ムカつくったらありゃしないわ! カーミラの前に、まずはアンタを血祭りにしてあげる!」
バットマン(カーミラ? エリザベート? あの赤い髪の少女はまさか、あの時戦ったエルジェーベトの少女時代なのか? ならそのエリザベートと言い争っている、角の生えた女は……?)
エリザベート「この泥沼ストーカー!」
???「ストーカーではありません。『隠密的にすら見える献身的な後方警備』です」
バットマン(ストーカー……極東の雅な服装……あれはキモノか。駄目だ、歴史上で思い当たる人間は居ない……)
???「この清姫、愛に生きる女です故」
バットマン(……奴らに警戒心は無いのか……清姫。一晩を安珍と過ごし、帰って来ると約束したものの帰って来なかった彼を追い、恨みから大蛇に……そのまま、鐘に隠れた安珍を焼き殺した。その後入水自殺)
エリザベート「アンタの愛は人権侵害なのよ!」
清姫「血液拷問フェチのド変態に言われたくありませんね」
バットマン(という事は、あの赤髪はやはりエルジェーベトの少女時代。……エリザベート・バートリー……。
どうやら、未来の自分に敵意を持っているようだ。この喧嘩の発展具合によっては止め、説得してこちらの戦力に……いや、だがもう少し様子を……)
清姫「どうせ貴女のことです、アレしながらナニしてたんでしょう……?
エリザベート「ああああああああ! うるさいうるさいうるさい! 取り敢えず……殺す!」
清姫「返り討ちにさせて頂きます!」
二人「「たああああああああああ!!」」
バットマン(駄目だ、サーヴァント同士となると近隣の被害も見過ごせない。病み上がりだが行くしかない……!)
243 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/27(月) 20:06:27.27 ID:8d4jimxk0
バットマン「フッ!!」シュパパパパッ
清姫「!! シャアアッ!」ゴウ‼
エリザベート「何よ!」ガキキキィン‼
バットマン(投擲したバットラングを、清姫は炎を吐いて溶かし、エリザベートは槍で弾いたか……ふざけているように見えて、戦闘力は予想以上)
バットマン「落ち着け。今ここで争えば……」
清姫「いきなり出て来てなんですか貴方は! 猫のコスプレなんてして!」
エリザベート「そーよそーよ! 引っ込んでなさい、キャットファイトに猫は不要なのよ!」
バットマン「……」
清姫「喧嘩に混ざりたいなら話は別ですが!」シャーッ‼
エリザベート「やるっての!? じゃあやってやろうじゃない!!」キシャーッ‼
バットマン(駄目だ、完璧に頭に血が上っている。一旦落ち着かせるためにも、多少のショックを与える……どこまでやれるかは不明だが、幸いここは街の中)
バットマン「やってやろう。掛かって来い」
バットマン(建造物を利用すれば、勝ちの目はある)
244 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/27(月) 20:07:22.86 ID:8d4jimxk0
清姫「シャーーー!!」ゴゴゴウッ‼
バットマン「!」ババッ、バササササササ
エリザベート「ほんっと、逃げ足だけは一流ね! こ……のっ!!」ダンッ
バットマン「!!(凄まじい跳躍力……! 屋根の高さまで跳んだ!?)」
エリザベート「つっかまえたぁ!」ブンッ
バットマン「くっ……!」グルッシュパッ
エリザベート「なっ、マントで視界を……」グラッ
バットマン「ここだ……!」シュポッガシッ
エリザベート「きゃっ!? ちょっと、なんなのよこれ!? ま、巻き上げられて……」ギュルギュルギュルギュル
バットマン「フッ!」ドドッ
エリザベート「きゃあ!?」ゴロゴロッ
清姫「カアッ!!」ゴゴッ‼
バットマン「くっ……」バッシャァァァァァン
清姫「なかなか足掻かれますね、ただの人間にしては……」
清姫(炎を食らった瞬間、噴水の中に飛び込んだ……まさか、こちらの行動を予測尽くで動いていたとでも?)
エリザベート「ネコミミのくせして!!」ガバッ
エリザベート(ほんと何なのよアイツ……不気味すぎるわ。清姫が炎を吐くのを見越してたみたいに、私をブレスの軌道上から蹴り飛ばして……)
バットマン(…………さて、ここからどうするか。奴らの頭がどれだけ冷えたかにもよるが……サーヴァント相手の戦いというのはやりにくい……)
バットマン(……いや、待て。なんだ、この、気配は……)
ワイバーン達「「「ギャース!! ギャアアアアア!!」」」
ランスロット「Arrrrrrrrr……」
ランスロット「Arrrrrrrrthurrrrrrrrrrrr!!!!」
245 :
◆GmHi5G5d.E
[saga sage]:2017/11/27(月) 20:11:36.92 ID:8d4jimxk0
少なくて申し訳ない。今日の更新はここまでとさせて頂きます。
ベンアフバッメン良いよね……私ベールのスマートなバッメンも好きだけどベンアフのごっついバッメンも大好き……
時系列とか知名度は……ほら、アースいっぱいあるし。ウルトラマンとか居たし。ね。見逃して下さい。お願いします。
246 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/27(月) 21:26:55.85 ID:rn9+a6f8O
乙
てか清姫まで知ってるとは博識にもほどがあるぞブルース
247 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/27(月) 21:47:55.18 ID:QMb2Eqmd0
日本で修行したことあるしな
248 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/28(火) 08:00:24.10 ID:YAE6xsoSo
バットマンinc.はあるのだろうか
249 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/28(火) 10:48:00.41 ID:qKmcaCL40
常に手を考え続けたり、絶対に油断しないし、準備を怠らないのがブルースっぽくて良いよなぁ
ちゃんと仲間になったやつにも油断していないし
250 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/28(火) 22:14:16.40 ID:FFuuv2m50
バットマン「…………」スクッ
ワイバーン達「「「ゴギャアアアアアアアアア!!」」」
バットマン(上空にワイバーン多数。その内の一匹の背に乗るのは……)
???「Arrrrrrr……」
バットマン(鎧の騎士……剣を所持。兜で顔は見えない……あの存在感、間違いなくサーヴァント)
清姫「お知り合いですか?」
バットマン「……悪いが違う」
エリザベート「それじゃ、敵よね。どう考えても」
バットマン「恐らくそうだ」
ドクター『ちょちょ、ちょっとブルースくん! いつ目覚めたんだい!?』
バットマン「ドクター、あの騎士の解析を頼む」
ドクター『全くキミは、ちょっと目を離すとすぐにこれだ! 前回はトイレに行ったのかと思ってたら戦闘してるし、今回は寝てるかと思ったらよく知らないサーヴァントと並んでるし!』
バットマン「ドクター」
ドクター『わ、分かってるよ。解析解析……あの鞘に納められた剣の反応、かなり強固な霊子だ。刃こぼれには期待しない方が良さそう』
バットマン(……頑丈な剣を持つ騎士……駄目だ、候補が多すぎる)
???「Arrrrrr……Arrrrrrrrrthurrrrrrrr!!!!」バッ
ワイバーン達「「「ギャアアアアアアアア!!!!」」」バサバサバサバサッ‼
バットマン「来るぞ!」
清姫「ええ!」
エリザベート「言われなくても!」
251 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/28(火) 22:20:56.22 ID:FFuuv2m50
黒甲冑の騎士が降り立った。流麗な着地の後も数秒、彼はじっと動かなかった。
バットマンは警戒した。上空から舞い降りたワイバーン達が二人の間を荒れ狂う吹雪じみてよぎっても、二人は動かなかった。
エリザベートと清姫は既に冷静さを取り戻し、街を守るための戦いを開始している。周囲では炎が舞い、エリザベートの槍が打ち振られ、清姫の扇子が踊る。
だが、二人の騎士は動かなかった。兜のバイザーから漏れ出た赤い眼光と、マスクから覗く鋭い視線がかち合った。
バットマンはバットラングを投擲した。だが空中で火花が散った。剣が振られ、弾かれたのだ。それを理解した時には、騎士は既に蝙蝠の眼前に居た。
「!!!」
ブレーサーが掲げられ、振り下ろされた『それ』とぶつかり、火花を散らした。バットマンは力を受け流し、回転しながら拳を繰り出す。
騎士は横に構えた『それ』で受けた……木の枝で。
(馬鹿な)
折れない。頑丈すぎる木の枝に困惑したその一瞬の隙を突き、蹴りが叩き込まれた。
「ッ!?」
石畳を破砕しながら転がって威力を流し、バットマンは高速思考する。真名。真名は何だ。あの能力は何だ。木の枝にすら圧倒的な強度を付与するあの能力は。
それは伝説……何かの伝説に基づいた能力のハズだ。騎士の伝説……そう、例えば、拾った木の枝で、敵を打ち倒した伝説のような。
「Arrrrrrrthurrrrrrr!!」
あの叫び。Arthur(アーサー)。アーサー王伝説に近く、拾った物で敵を打ち倒す……。
(フェロット。フェロットの策に嵌まり、丸腰で戦う事になってしまい……楡の枝で敵を倒した騎士)
騎士が近付き、踏み込んだ突きを繰り出した。スピードがうねり、風となって周囲を走る。
バットマンは素早く身体を起こし、膝立ち状態で木の枝を受け流していた。ブレーサーの表面で枝が滑り、火花を散らす。
(ランスロット。湖畔の騎士)
眼光が輝いた。反撃のアッパーカットが繰り出された。
252 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/28(火) 22:25:06.66 ID:FFuuv2m50
…………
マシュ「では、私は酒場で情報の聞き込みを。マリーさんは街中の探索を」
マリー「ええ、分かったわ! ……ところで、アマデウスとジャンヌは無事かしら?」
マシュ「そ、そうですね。そろそろ連絡を取ってみましょう……もしもし、ジャンヌさん。そちらの首尾は如何でしょうか」
ジャンヌ『……ザザ……っエールから煙……ザザ……』
マシュ「ジャンヌさん? もしもし? 通信機の不調でしょうか……」
ジャンヌ『……ティエールから煙です、煙が上がっています!』
マシュ「なっ、ティエール……マスターは!? マスターは……ドクター、マスターはどうなっていますか!?」
ドクター『だ、大丈夫だ! 敵と交戦中だが、その場に居合わせたサーヴァント二騎と上手く協力して戦っている! だけど、もう少し火力が足りないみたいだ……』
ジャンヌ『今ティエールへ向かっています! もう少しで到着するのでそれまで持ちこたえるように伝えて下さい!』
ドクター『分かった! ブルースくんなら大丈夫、それよりマシュ、君もやるべき事を!』ブツッ
マシュ「マスター……」
マシュ(なんで一番大事な時に私が傍に居ないんですか……これじゃ、何も……)
マリー「マシュ? 大丈夫よ、ジャンヌはやると言ったらやるし……アマデウスも案外強いのよ? それに、私達もやるべき事があるでしょう?」
マシュ「……は、はい! 聖人の情報を手に入れ、ジークフリートさんを救います!」
マリー「ええ、行きましょう! ドラゴンスレイヤーさんを……フランスを救えるのは私達だけ、なんだから!」
253 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/28(火) 22:25:54.57 ID:FFuuv2m50
………………
マシュ「……」
マシュ(ひ、人に溶け込むためになるべく目立たない恰好を選んだのですが……このフード、ボロボロすぎますかね……)
マシュ(そ、そんな事を考えてる場合ではありませんでした! 酒場に入って、情報を集めなければ!)
マシュ「お、お邪魔します……?」
男A「……」
男B「……おい、あれ」
男C「ひゅうっ! 良い身体してるぜ、姉ちゃん!」
男D「……」ヒソヒソ
マシュ(お、お酒臭い……それに、肌に感じるほどの悪意の視線……長居は無用ですね……)
マシュ「すみません。お尋ねしたいのですが」
店主「……いらっしゃい、何にします?」
マシュ「いえ、飲み物は結構です。その、少しお尋ねしたい事が……きゃっ!?」ドッ
男A「いってえなあオイ! ぶつかりやがって、何処見てやがる!?」
マシュ「す、すみません。不注意でした」
男A「謝罪で済んだら世話ねえんだよ。責任取れや……ちょっと店の裏まで来い」
マシュ「そ、それは、その……」
男A「いいから来いって言ってんだよ!」ガシッ
マシュ「……っ……」
???「やめろ、でかい男がみっともない」
男A「あんだてめ……え……」
トゥーフェイス「……やめろって言ったんだが。聞こえなかったなら耳の風通しを良くしてやろうか?」
254 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/28(火) 22:28:11.22 ID:FFuuv2m50
男A「……ちっ、運が良かったな!」タッタッ
トゥーフェイス「三下が……お嬢さん、怪我はないか?」
マシュ(え? これは……き、気付かれてない……のでしょうか? へ、変装が効いてる?)
トゥーフェイス「……良いんだ、怪我は無かったようだな。男を代表して謝罪しとく、決してああいうのばっかりじゃあないんだ……すまんな……」
マシュ(そ、それに……この前とは人が変わったみたいに……)
マシュ「は、はい。助かりました、ありがとうございます」
トゥーフェイス「ああ、構わない。さっきのような現場を見てると、地方検事をやってた頃を思い出してな……つい、余計な正義感が頭をもたげる……いや、関係無い事だったな、お嬢さんには」
マシュ(地方検事……この方は一体……)
サンソン「トゥーフェイス、こんなところに居たのか。探させるなよ」
トゥーフェイス「良いだろうが、酒くらいは飲ませてくれ。この後の事を思うとやってられん」
サンソン「……一杯だけだぞ。それに、この付近にサーヴァントの気配がある。気を抜くな」
トゥーフェイス「ああ、平気だ。その気配も『聖人』のものだろう、さっさと片付けて戻るとしよう」
マシュ「……!」
255 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/28(火) 22:31:02.55 ID:FFuuv2m50
マシュ(駄目だ、今店主に聖人の事を尋ねたら私の正体がバレる……でも急がないと、この人達も聖人が目当て……)
トゥーフェイス「……聖人を殺す、か。いよいよもって公平さの欠片もない行いだ」
サンソン「仕方ないさ。召喚されたんだから、やるしかない。それに……殺しは問題じゃない。問題は、死が美しいかどうかだ」
トゥーフェイス「……理解しかねる」グビッ
サンソン「処刑人と地方検事じゃ、仕事が違うさ」
マシュ(……行かなきゃ。マリーさんと合流して、聖人を見つけ出して、この街を離れなきゃ)
トゥーフェイス「お嬢さん、そういえば店主に何か尋ねてたみたいだが」
マシュ「……っ……」
トゥーフェイス「いいのか? 俺達に気を遣う必要は無い、話すといい」
マシュ(どうする……この場を切り抜けるには、どうすれば……)
サンソン「……?」
マリー「マシュ、見つけたわ! この人が……」バタン‼
???「……私に用があると聞いたのだが」
サンソン「……王妃?」
マシュ「!!!!!」
トゥーフェイス「……?」
256 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/28(火) 22:32:17.08 ID:FFuuv2m50
マシュ(こうなったら!)
マシュ「やあああっ!!」ガッ‼
トゥーフェイス「なっ……」グラッ
サンソン「ちいっ!?」ドサッ
マシュ「マリーさん、逃げましょう!」ダダッ
マリー「え、ええ! そうね、そうしましょう! ゲオルギウスさん? どうかご一緒してくださいな!」ガシッタッタッ
ゲオルギウス「待ちなさい、まだ住民の避難が……待って下さい!」ズルズル
トゥーフェイス「野郎、嘗めた真似を……」ギリィ
サンソン「行くぞトゥーフェイス、追うんだ!」ムクリ
トゥーフェイス「ああ、公平さを教えてやる!」ダッ
257 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/28(火) 22:33:18.50 ID:FFuuv2m50
マシュ「……駄目です、街の外にワイバーンが大挙して……」
ゲオルギウス「……私はここに残ります。貴女達だけでも、どうか逃走を」
マシュ「で、でもゲオルギウスさん!」
ゲオルギウス「この街の市長と約束したのです。ここは守る、と」
マシュ「っ……」
ゲオルギウス「申し訳ない。たとえ大局を見失った行為だとしても、目の前の惨劇を見てみぬふりができるほど器用ではないのです」
マリー「……もう、ゲオルギウスさんったら。考え方も姿勢も、お髭まで硬い人なのね」
ゲオルギウス「なんですと?」
マリー「でも、そんなところがとってもキュート。わたし、感動しちゃったみたい」
マシュ「マリーさん……?」
マリー「逃げて、二人とも。わたしがここを守るわ、それで良いわよね?」
258 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/28(火) 22:34:51.48 ID:FFuuv2m50
マシュ「……それなら私も残ります。一人でダメでも、二人なら行けます」
マリー「ノン。駄目よ、マシュ。ゲオルギウスさんを送り届けるという役目があるでしょう?」
マリー「……それに、わたし、分かるの。今回召喚されたのは、このためだったんだ、って。今度こそ、命を懸けて、民を守るためだったんだ、って」
マリー「今度こそ……今度こそ、わたし、正しい事を、正しく行うの。この国を、フランスを守るために」
マリー「……だから、マシュ。また後で会いましょう。わたし、後で追いつくわ?」
マシュ「……っ……分かりました。後でお会いしましょう、マリーさん」ダッ
マリー「……ふう。ごめんなさい、アマデウス。ピアノ、また聴けないみたい……」ジリッ
サンソン「……ようやく会えたね、王妃(マリー)」スタスタ
259 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/28(火) 22:36:27.96 ID:FFuuv2m50
マリー「来たのね、サンソン」
サンソン「来たとも。処刑には資格がある。する側にも、される側にもだ。
僕以外に君を処刑する資格を持つ者はいない……それは君も実感しているはずだ、マリー」
マリー「……えーと、ちょっと待ってねサンソン。わたし、あなたが素晴らしい処刑人である事は知ってるわ。
だって残忍で冷酷で非人間だけど、あなたは深い敬意をもってギロチンの番をしていた」
マリー「でも、だからってあなただけがわたしを殺す資格を持つの? それっておかしくないかしら?」
サンソン「おかしくないとも。僕は処刑人の家に生まれ、処刑の事だけを教え込まれた」
サンソン「そこに妥協はない。心がけだけの話じゃない。なにより殺し方……処刑の技量にこだわった」
サンソン「いい処刑人が、罪人に苦しみを与えないのは当然だ。僕はその先を目指した」
サンソン「……つまり、快楽だ。その瞬間、まさに『死ぬほど気持ちいい』」
サンソン「僕はそんな斬首を心掛けたつもりだ。そして生涯最高の一振りが、君に向けた斬首だった」
マリー「……」
サンソン「だからこれは運命だ。僕はどうしても、もう一度君に会って尋ねたかった」
サンソン「だから聞かせてくれ、マリー」
サンソン「僕の断頭はどうだった? 君、最期に絶頂を迎えてくれたかい?」
260 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/28(火) 22:37:22.76 ID:FFuuv2m50
マリー「……あなたが本気で、心からわたしに敬意を表してくれているのはわかるわ、サンソン。
でもごめんなさい、ちょっと、それはムリ。とても口にはできない事だし……」
マリー「わたし、倒錯趣味の殿方はもう間に合っているの。申し訳ないけど、二度目の口づけは受けられないわ」
サンソン「うん、知ってる。でもきっと君は喜んでくれるよ。だって僕はあの時より、もっと巧くなった……」
サンソン「だからこそサーヴァントとして召喚された。君にもう一度、最期の恍惚を与えよう……!」
261 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/28(火) 22:38:14.42 ID:FFuuv2m50
…………
バットマン(ワイバーンはほぼ片付けた。あとはランスロットだけだ。だけだというのに)
ランスロット「Arrrrr!!!」
バットマン(いまひとつ、有効打がない……!)
バットマン「エリザベート! 躱せ!」
エリザベート「え? きゃっ!?」
ワイバーン「ゴアアアァァァァァァ!!」バサッ
清姫「この、しつこい……!」ゴッ
ワイバーン「ア……アァ……」ドサッ
バットマン(よし、これで全てのワイバーンを殲滅完了だ。あとはランスロット……何だ、この威圧感は……)
ランスロット「Arrrrr……Arrrrrrrrr!!!!!」
バットマン(嫌な予感がする)
バットマン「エリザベート! 清姫!! 伏せろ!」
エリザベート「なんなのよぉ!」バッ
清姫「えっ……」オロオロ
バットマン「くっ……」ガシッドサッ
清姫「え!?」ドサッ
ランスロット「Arrrrrrrrrrrrrthurrrrrrrrrrrrrrrrrr!!!!!!」ドドドドドドドドドドドドドドドドドド‼‼‼
バットマン「くっ……(ガトリングガンだと……? 時代錯誤にもほどがある……!)」チュゥン‼ チュィン‼
エリザベート「もーサイアク! 何なのよアイツ……キャッ!?」チュンッ‼
バットマン(駄目だ、凌ぎ切れない……)チュインッ‼
「『リュミノジテ・エテルネッル』!!」グォォォォォォォン
バットマン「!!」
ジャンヌ「遅れました!!」
アマデウス「無事だね、よし!」
ジークフリート「すまない……遅れた原因だ」
エリザベート「なんだか知らないけど反撃よぉーっ!!」
バットマン「……」ムクッ
ランスロット「Arrrrrrrrrrrr!!!!」シュウゥゥゥゥゥゥゥ……
262 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/28(火) 22:40:25.83 ID:FFuuv2m50
…………
ジャンヌ「はあっ……はあっ……や、やった……」
ランスロット「Arrrrrr……A……王よ、どうか私を……」シュウシュウシュウ……ドシャッ
ランスロット「……」シュゥゥゥゥゥゥゥ……
バットマン「……」
ジャンヌ「ご無事で何よりです」
バットマン「ああ。礼を言う。……マシュは何処に?」
アマデウス「マシュくんならマリアと一緒に行動してるよ、今は聖人を探して探索してると思うね」
バットマン「聖人……?」
ジークフリート「俺の呪いを解くための手段だ」
バットマン「……」
ジャンヌ「ええと、この人はドラゴンスレイヤーのジークフリートさんです。
ですが、彼は呪われていて……その呪いを解くには、私ともう一人の聖人が必要。なので今、その方を捜索しているのです」
バットマン「成程。マシュとマリー・アントワネットはそれを探しに行ったと……」
アマデウス「うーん……? この足音、噂をすればってヤツかな? マシュくんじゃない?」
マシュ「……マスター!」タッタッ
バットマン「マシュ。無事だったか」
アマデウス「マリアはどうした?」
マシュ「っ……それが……」
263 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/28(火) 22:42:04.81 ID:FFuuv2m50
サンソン(そんな、バカな……どうして僕が打ち負ける……!?)
サンソン(あの時から何人も殺して、何倍も強くなったのに、どうして……!?)
マリー「……やあっ!!」ガガッ‼
サンソン「くっ……」ドサッ
マリー「哀しいわね、シャルル=アンリ・サンソン。再会した時に言ってあげれば良かった」
マリー「あの時、既にあなたとの関係は終わっていたって……だって、本当に、貴方の刃は錆びついていたんだもの」
マリー「あなたは……」ドシュゥ
マリー「っぐ……」
トゥーフェイス「茶番は終わりだ、さっさとケリつけろサンソン」カチャリ
サンソン「トゥーフェイス……手を、出すなと……!」ギリッ
トゥーフェイス「いつまでもやられてるからだ。やれ、膝を撃ち抜いた。その女はもう立てねえ」
サンソン「……」スクッ、ガチャ
マリー(ああ、もう。最期まで思い通りにならないものね。
……でも、満足よ。きっとマシュはやり遂げる。マシュと、アマデウスと、ジャンヌと……ネコミミのあの人は、強いもの)
サンソン「真っ白な顔、真っ白なうなじまで、何一つ同じだ。同じなんだ、マリー。
でも、僕は強くなった。今度こそ、君を満足させてあげられるから……」グッ……
マリー「……サンソン。お馬鹿さんなんだから……」
サンソン「……だから、今度こそ、僕は失敗しない」
ヒュッ
ドシュッ
264 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/28(火) 22:43:05.77 ID:FFuuv2m50
…………
アマデウス「そうか。そう言って残ったのか。んー、なら仕方ないか……あ、気にしなくて良いよ。僕らがいたとしても彼女はそうしただろうし。
マリアは限りのない博愛主義者だからなあ。そういう生き方で、そういう死に方をする女だよ」
アマデウス「……それより、早くジークフリートの呪いを解いてやったら?」
ジャンヌ「は、はい!」
マシュ「アマデウスさん……」
アマデウス「いいんだって。こうなるってわかってたし。ほら。マリア、ピアノの話をしていただろ?
あれはさ、彼女なりの別れの言葉なんだ。生前、一度も叶わなかったからね……ピアノを聴かせて、なんて言われたら僕としては止めようがないさ」
アマデウス「でもまあ、二度目の別れは堪えるね。一度目より辛い。もう出会えないかと思うと余計にだ」
アマデウス「……ま、ともあれ、ちょっと疲れたな。しばらく席を外すから、出発の時は声を掛けてくれ」
マシュ「待っ……」
バットマン「マシュ」
マシュ「マスター、でも……」
265 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/28(火) 22:44:38.70 ID:FFuuv2m50
エリザベート「いいじゃない。誰だって一人になりたいときはあるわよ」
清姫「そうです、マシュとやら。男心が分かっておりません」
マシュ「そうですね。それはそれとして。
……何でいるのですか?」
エリザベート「別にいいじゃない。ねえ?」
清姫「わたくしたちがいて、何の不満が? 戦闘も手伝って差し上げますのに」
マシュ「はあ、それは有難いことですが……」
清姫「ところでマスター」
バットマン「……」
清姫「仮ですが、マスター契約を結んで下さいますか?」
バットマン「…………」
清姫「ええ、小指を出して下されば十分です」
バットマン「………………」
ガシッ……ミキミキミキミキ……
バットマン「……………………」グググググ
清姫「…………ゆーびきーりげーんまーんうそついたらはりせんぼんのーますー……」ググググググググ……
マシュ「えっ……」
清姫「これで契約完了です。
マスター契約は絶対なので、以降わたくしに嘘をついた場合、針を千本呑んで貰います。
よろしいですね? それでは、よろしくお願いいたします」パッ
バットマン「……」ジリッ
マシュ(どう見ても小指で鍔迫り合いをしていたような……)
266 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/28(火) 22:46:18.46 ID:FFuuv2m50
…………
マシュ「マスター、ジャンヌさんたちがジークフリートさんの解呪に成功したそうです!」
ジャンヌ「ええ、成功しました。……マリーのおかげです。やはり、ひとりではうまくいかなかったでしょう」
ジークフリート「……よし、動くようになった。骨を折ってもらって申し訳ない。そして、感謝しよう。これより、この身は剣であり、盾だ。
真名ジークフリート。竜を殺す以外には能の無いサーヴァントだが、使ってくれれば光栄だ」
ドクター『よし、これで可能な限りの戦力は揃った訳だ』
マシュ「そうですね、マスター」
バットマン「ああ。次はオルレアンへ攻め入る」
マシュ「はい、了解しましたマスター!」
エリザベート「……ふん。そういうコトなら手伝ってあげてもいいわよ、ネコミミ」
清姫「あらエリザベート。わたくしの旦那様(マスター)にネコミミとは失敬ですよ」
エリザベート「……アンタいま、とんでもない変換しなかった……?
ま、まあいいけど。わたしはそんな安いドラゴンじゃないし。とっておきのマスターにいつか必ず出会うんだし!」
清姫「あら。ヒン曲がっているのは頭の角だけじゃないのね。見果てぬ夢を見ているなんて、頭の中は大丈夫?」
エリザベート「見果てぬ夢じゃないってーの! これは確信! 確信だから!
きっとわたし好みの、わたしを大好きになってくれる、子ブタみたいなマスターと出会えるんだってば!」
清姫「はいはい、今日も頭は日本晴れですねぇ」
バットマン「…………」
ゲオルギウス「……賑やかで結構ですな、こちらの陣営は。もちろん、助力させていただきます」
アマデウス「おっと、もう出るのかい? じゃあ僕も付き合うよ、ここまで来たら最後までだ」
ジャンヌ「……今の私は、力無きサーヴァントです。それでも、この世界を守りたいと願っています。どうか、共に戦って下さい」
バットマン「……ああ、それが役割だ。こちらこそ、手を借りる」
ジャンヌ「……ええ、勿論! よろしくお願いします!」
267 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/28(火) 22:48:02.15 ID:FFuuv2m50
ジャンヌ「今夜はここで野営を取りましょう。明日の決戦に備えて」
バットマン「……」
マシュ「マスターは休んでいて下さい。私は見張りを」
アマデウス「あ、なら僕も行くよ。耳の良さには自信があるからね」
ジャンヌ「では、私は水を汲みに……」
バットマン「……」カチャリ……シュポッガシッ
バットマン「フッ!」ギュルギュルギュルギュルッ‼
――――
バットマン(恐らく、ここが森で一番高い木の上だ。そして、明日の戦場が一望できる……)スタッ
バットマン(……凹凸の少ない平野だ。だがくぼみが無い訳ではない。なら究極の竜種とやらの炎も少しは防げる……問題はどこが主戦場になるか、だ)
バットマン(……戦線が全て維持できるなどと期待してはならない。すべての戦線に、常に最悪を想定する……
もし、あそこに構えたラインが消えたなら……あそこのラインが敗走を開始したなら……ドラゴンスレイヤーが消えたなら……裏切りが、発生したなら?)
バットマン(……すべての可能性への対策は、必要だ)ギシッ……
268 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/28(火) 22:50:51.01 ID:FFuuv2m50
マシュ「……」
アマデウス「〜〜〜♪ 〜〜〜〜……
どうしたんだい、浮かない顔じゃないか。明日の決戦を前に、悩みでもあるのかい?」
マシュ「い、いえ……ただ、マスターに信頼されてるのかというのが、どうしても気になってしまって……
私、大事な時にマスターの傍を離れてしまいましたし……それに、何処かよそよそしい感じがするというか、何と言うか……」
アマデウス「……成程。まあ、傍から見ててもよく分かる程度にはあのマスターも偏屈な奴みたいだしね」
マシュ「そんな事は……いえ、否定できません」
アマデウス「そうだろう? 猫のコスプレをして中世をうろつく人間なんて、ちょっと正気を疑うよ」
マシュ「……」
アマデウス「まあ、信頼なんて依存の裏返しさ。悪い事とは言わないが、そこにはデメリットだってきっと付きまとう。
彼は多分、そういったものから何かを守ろうとしてるんだよ」
マシュ「守ろうとしてる……いったい、何をでしょうか」
アマデウス「……そこは分からないなぁ。彼には彼の世界がある訳だし。
ただまあ、理由の無い行動ってのは絶対にしないタイプだろうね、アレ。一種の狂人だよ、僕とは別ベクトルの」
マシュ「……」
アマデウス「……だからまあ、君が不安に思うのも分かる。彼も恐らく、どうしたら良いか分かってないハズだ。
君が味方だと心で分かっていても、頭の中では何千通りも裏切られるイメージが浮かんでるんだと思う。人間の善性というヤツを根本から信じられないんだ。
……うん、こう言うと僕に並ぶくらいには屑っぽいな」
マシュ「どうしたら……」
アマデウス「……うーん。それは僕には難しい問いだ。
だって僕も屑だからね、同じ屑を救う方法なんて、分かってたらとっくに自分で実践してるし」
マシュ「…………」
アマデウス「……大丈夫、あのマスターは悪いヤツじゃないさ。
途轍もなく不器用だろうけど、決してそれは悪い事じゃない。君が手を差し伸べれば、必ず応えは返るはずだ」
マシュ「……はい。ありがとうございます。……すみません、こんな事を聞かせて」
アマデウス「良いのさ。これが終わったら僕の愚痴も聞いてもらうとするよ、主にマリアとかその辺のね……」
269 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/28(火) 22:51:43.05 ID:FFuuv2m50
オルレアン決戦前夜
人理守護側戦力
バットマン
マシュ
ジャンヌ
アマデウス
ジークフリート
ゲオルギウス
清姫
エリザベート
人理焼却側戦力
ジャンヌ・ダルク(黒)
トゥーフェイス
ジル(黒)
ヴラド三世
エルジェーベト
サンソン
ファヴニール
デオン
270 :
◆GmHi5G5d.E
[saga sage]:2017/11/28(火) 22:53:50.15 ID:FFuuv2m50
今日の更新はここまでです、お付き合い有難うございました。
ブルースの知識量は変態的すぎて作者も扱いかねている。読者様の中にブルースとタメを張れる代行者は居ませんか
271 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/28(火) 23:00:35.75 ID:8pEJF+goo
乙
ブルースって前に誰かに裏切られたの?
そうでもないとここまで疑い深くならないよね
272 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/28(火) 23:24:30.98 ID:JA8M5/o2o
乙
>>271
単に「自分より強い者が敵に回った場合」を想定してるだけだゾ
想定し過ぎてパラノイアに片足突っ込んでる気があるだけだゾ
273 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/28(火) 23:50:11.20 ID:8pEJF+goo
>>272
oh…普通の人間が超人達と戦うためには頭を倍使わないといけないから
頭使いすぎておかしくなっちゃったってことか…
274 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/29(水) 00:01:33.28 ID:/jvv+m/Mo
それを突き詰めたからこそアーカムアライサムってキチガイじみた名作が産まれた訳だしまぁ
275 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/29(水) 01:19:37.46 ID:iGMMZubHo
ゴッサム・バイ・ガスライトみたいな時代に沿ったバットマンコスチューム好き
276 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/29(水) 01:27:53.10 ID:iGMMZubHo
>>274
バベルの塔も読んでおこう
277 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/29(水) 11:22:27.85 ID:a7xJ7zHI0
ただの人間のくせにライバルがあのスーパーマンだからね……
こうなるのもしょうがない
常に本気で全力疾走してるバットマン大好き
278 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/29(水) 14:40:00.04 ID:vzKux3jfo
映画見てる時も疑問だったけどなんであんなに人殺しを嫌がるんだろう
小悪党ならともかく極悪人ならいいだろって思うが
279 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/29(水) 19:02:24.27 ID:gSF+9+TIo
映画バットマンビギンズとダークナイトを観よう
280 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/29(水) 19:02:57.29 ID:gSF+9+TIo
もっとな
281 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/30(木) 21:39:44.87 ID:sSo3P/wF0
………………
黒ジャンヌ「……ふぅん、ケチな王妃一人を殺して逃げ帰って来たと」
トゥーフェイス「フン……」
サンソン「……」ギリッ……
黒ジャンヌ「まあ良いでしょう。所詮、生きていても虫けら以下の足掻きしかできないような連中です。所在さえ掴められれば……」
黒ジル「ジャンヌ、どうやらセイバーが戻って来たようです」
黒ジャンヌ「……セイバーが?」
デオン「帰還したよ」
黒ジャンヌ「何かしら。あなたには南東部の捜索を任せていたハズだけど」
デオン「奴らの居場所を特定した。オルレアンからすぐ南の森に潜伏してる。どうやら明日あたり、決戦を仕掛けて来る腹積もりのようだ」
黒ジャンヌ「……へえ?」
282 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/30(木) 21:45:58.95 ID:sSo3P/wF0
黒ジャンヌ「ここで出て来たという事は、勝算があるということね……」
デオン「ああ。だがキミも、決戦なら望むところだろう? あちらも、こちらも、戦力は随分と揃ったようだ。凄絶な戦いになるだろう」
黒ジャンヌ「楽しそうね?」
デオン「楽しいさ。何しろイカれてるからね、頭が。私としては、滅ぼすのもいいし滅ぼされるのも良い」
黒ジャンヌ「フン……ジル。すべてのサーヴァント、竜を呼び戻して。決戦に備えるわよ」
黒ジル「畏まりました。フランスに散った竜という竜を、サーヴァントというサーヴァントを招集しましょう」
283 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/30(木) 21:50:46.66 ID:sSo3P/wF0
黒ジャンヌ「……我々が勝てば、世界は滅びる。たとえ負けたとしても、それでどうなるものでもない」
黒ジャンヌ「世界はとうに終わっている。ここを修繕したところで、先は果てしない旅路だ」
黒ジャンヌ「それでも。……それでも、世界を肯定するのか。彼らとジャンヌ(わたし)は」
黒ジャンヌ「ならば、私は世界を叩き落す。この世界を繋がせはしない」
黒ジャンヌ「それが私の望み、そしてジルの望み。……そう、その筈。それが、私の望みの筈だ……」
284 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/30(木) 21:52:06.05 ID:sSo3P/wF0
「……」
「……」
「……彼女の、首を斬った時。僕は彼女の顔を見られなかった」
「……」
「僕は怖かった。自分が必死に、否定できない何かを否定しようとしている気持ちになっていた」
「……」
「……お前は、死が公平であるべきだと言ったな」
「……ああ、そうだ。死は公平に、裁きは公平に。俺達は皆、運の中でだけ平等だ」
「……僕は、運命があると思っていた。世界は運ではなく、もっと大きな流れの中にあるのだと。僕と彼女の世界は、そうあるべきだと思っていた。
だって、僕の……僕の、人生の一振りだったんだ。最高の一振りで、だから、僕は」
「……結局、俺達は損な役回りだったのさ。割り切れよ」
「……ひとつだけ、頼みがあるんだ」
「言ってみろ、聞いてやる」
「明日の決戦を、そのコインで占って欲しい」
「――あぁ、良いとも。俺も知りたいと思ってた。行くぞ……」キィン
285 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/30(木) 21:53:33.13 ID:sSo3P/wF0
バットマン「……ドクターによる地形計測に目測の修正を少し加えた結果、最終的な地形図はこうなった」
ジークフリート「成程、この地形……それなら、戦力は固めず、面のように広がって……」
バットマン「いや、それだと分断された時に囲まれる危険がある。むしろここは二手に分かれて動いた方が……」
ジークフリート「しかし、相手の出方が分からない以上……」
バットマン「……ある程度、サーヴァントとしての能力に寄りかかる戦い方もできる。だがそれは一人に対して一騎当千の働きを強いてしまいかねない」
清姫「あら旦那様、わたくし、少なくともその辺に居る雑魚ワイバーンなどよりよほど腕が立ちますよ? 心配して下さるのは有難いですが」
エリザベート「あ、ネコミミ。アタシ、ちょっと殴り合わなきゃ駄目なヤツが居るからそのつもりでよろしく」
バットマン「……未来のエルジェーベトか」
エリザベート「そーそー、年取った方のアタシ。……なんか分かりづらいからあっちの事は『カーミラ』って呼ぶわね」
バットマン「カーミラをやれるのか、一人で」
エリザベート「バカにしないでよね、泥啜ってでも殴り勝つわよ」
ジャンヌ「……わたしは……もうひとりの私をやります」
バットマン「勝てるのか」
ジャンヌ「……えぇ。必ず勝ってみせます」
バットマン「……そうか」
ジークフリート「……こう言っている以上、集団もそう多くは作れない」
バットマン「なら面攻撃か。次の問題はファヴニールの配置場所だが……」
ジークフリート「妥当な場所としては……」
バットマン「しかし、この位置だと……」
286 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/30(木) 21:54:59.55 ID:sSo3P/wF0
バットマン「……では、これで行こう」
ジークフリート「よし。朝日が昇り始めた。丁度良い、このまま進撃の準備をしよう」
ジャンヌ「……」スゥスゥ
清姫「……」シーン……(狸寝入り)
エリザベート「……」グゴォォォォォギリギリギリギリ
バットマン「……起きろ、そろそろ移動を開始するぞ」
287 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/30(木) 21:56:00.31 ID:sSo3P/wF0
マシュ「おはようございます、マスター!」
アマデウス「おはよう、快晴だね」
バットマン「何事も無かったか」
マシュ「はい! 無事に一夜を切り抜けました!」
アマデウス「うん、静かだ。昨日から不自然なほどにね。多分、あちらも決戦の準備を整えてるんだろう」
バットマン「……そうか」
ジャンヌ「うぅん……おはようございます」コシコシ
エリザベート「くわぁ〜……」
清姫「おはようございます、旦那様」
ゲオルギウス「うむ、準備万端だ」
ジークフリート「このまま森を迂回、平野で一度戦線を組むことになるだろう。
……戦闘の準備は怠らないでくれ。ここからは引き返せない」
バットマン「……ああ」
バットマン(さあ、どう来る)
288 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/30(木) 21:56:38.80 ID:sSo3P/wF0
ジークフリート「……そろそろ森を抜ける……見え始めたな」
マシュ「…………あれが、フランス中のワイバーン達……そして、ファヴニール……人理を、焼こうとする者達……」ゴクリ
バットマン「……行くぞ、マシュ。この世界を救う」
マシュ「……はい!」
289 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/30(木) 21:57:43.27 ID:sSo3P/wF0
黒ジャンヌ「あら、来たのね。尻尾を巻いて逃げ出すと思っていましたが」
ジャンヌ「ええ、来ました。貴女を止め、世界を守る。散っていったひとりひとりの仲間のためにも」
黒ジャンヌ「……」
バットマン「…………」
トゥーフェイス「よう、脇腹に開けてやった穴は痛むか? もう一発ぶち込めば楽になるぜ」
バットマン「お前達を止める。未来は取り戻す」
トゥーフェイス「できっこねえさ、壁は俺達だけじゃねえんだぜ?」
バットマン「すべて乗り越える。お前達はひとつめに過ぎない」
デオン「すまないな、名も知らぬ盾の騎士よ。本意ではないのだが、やはり剣技は所詮殺しの技術だ。君を殺したい衝動を抑えられそうにない」
マシュ「……そのための盾です。どうぞ遠慮なく、打ち込んで下さい。私が止めます」
デオン「期待しているよ。……どうか、止めてくれ」
ジークフリート「……死を跨ぎ、三度もまみえるとはな。よほど俺達の因縁は深いらしい」
ファヴニール「……」
ジークフリート「決着をつけるとしよう。ここで終わらせてやる」
サンソン「……」
アマデウス(うわあ、一番面倒なのに当たっちゃったな……いや、わざわざこっちに来てたから、あっちはそのつもりだったのか?)
サンソン「……マリーは、僕にとって特別な人だった」
アマデウス「……そうか? 君にとっては単なる処刑対象の一人じゃないのか?」
サンソン「黙れ! 僕は! マリーを……マリーを、今度こそ……!」ギリリッ
アマデウス「フン、笑わせないでくれ。マリアは君だけの特別じゃあない。
……僕にだって怒りというものはある。特別だ、開幕から終幕、アンコールまでたっぷり聴かせてやるさ」
エリザベート「……」
カーミラ「……ああ、嫌。嫌ね、本当に嫌だわ。目の前を飛ぶ蠅みたい、叩き潰して捨ててやりたいわ」
エリザベート「悪いけど、叩き潰されるのはアンタだから。覚悟しなさいよ、年増になんて絶対に負けない」
カーミラ「……このガキ」ピキッ
ヴラド三世「おお、その魂の輝き! 貴様の如く若き者こそ、我が槍が屠り、その血を啜るにふさわしい!」
清姫「あらあら、全く。血液趣味のド変態など、一人も居れば十分です。
どうか、抵抗なさらず。すぐに串焼きにして差し上げます」ニコッ
ゲオルギウス「……」
ワイバーン達「「「グルルルルォア……」」」
290 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/30(木) 22:00:24.27 ID:sSo3P/wF0
ワイバーン達「「「ゴギャアアアアアアアアア!!!」」」
291 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/30(木) 22:01:41.66 ID:sSo3P/wF0
その瞬間、聖女は走り出した。ほぼ同時に魔女も走り出す。二人の間にあった距離が縮まって行く。
黒ジャンヌの後方から光弾が飛んだ。敵の支援射撃を、ジャンヌは走りながらの旗の一振りで打ち払った。逸らされた魔法は地面を抉り、土くれが弾け飛ぶ。
同時に、ジャンヌの後方からも炎の塊が飛んだ。黒ジャンヌは鼻で笑い、旗で切り裂いて駆け抜ける。黒聖女の後方、切り裂かれた炎弾が爆発する。
瞬間の静寂。踏み込みが地面を砕き散らす。二人の旗がぶつかる。火花が散る。
一瞬遅れ、全軍が衝突。混沌が、戦争が始まった。
292 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/30(木) 22:03:46.42 ID:sSo3P/wF0
トゥーフェイス「どうした、まだウォーミングアップ中か!?」パァンパァン
バットマン「くっ……」バッババッ
マシュ「マスター、下がって……!」
デオン「余所見か、余裕だね!」ヒュンヒュンヒュンッ
マシュ「っ……」ガガッガッ
ジークフリート「ハァッ!」
ファヴニール「グオォォォォォォウル!!」ドォッ
ジークフリート「ちいっ」ダダッ
ワイバーン達「「「シャアッ!!」」」バサバサッ
ジークフリート「この……」
ゲオルギウス(駄目だ、ワイバーンの数が多すぎる! 手が回らない!)ズバッ‼ドシャッ‼
ワイバーンT「ゴアアアアアアア!!!」
ワイバーンU「ギャアアアアアアア!!」
ワイバーンV「ギギアアアアアアア!!」
ゲオルギウス(単純な物量で押し寄せられては……太刀打ちが出来ん!!)
黒ジャンヌ「こっちが押し気味じゃないの! 今のうちに降伏しとけば!?」ガガンッ‼ガインッ‼
ジャンヌ「いいえ、いいえ! 断ります! 世界が焼かれるのを伏せって見ているより、立って戦う事を選ぶ!!」ギィン‼ギャリィン‼
黒ジャンヌ「アンタたちが戦おうと戦うまいと、どうせ世界は焼かれるのよ!
ジャンヌ(わたし)が死ぬのを見捨てた、こんな世界ですら末端に過ぎない! アンタも分かってるでしょう! 私達を倒したところで、根本的な解決には……」ガッギィィィィ‼
ジャンヌ「なら、私の敵は貴女の中の『諦め』です!
世界は腐っていない! 人間は腐った部分だけではない! 必ず光の部分がある! 私はそれを信じます!」ギャギャギャッガァン‼
バットマン(……しかし、このままでは物量負けするのも確かだ。何処かに巻き返しの要素は無いか……)
???「騎兵隊、構えー!!! 突撃!!」
兵士達「「「うおおおおおおおおおおおおお!!!!」」」
ジャンヌ「……!! ジル!!」
293 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/30(木) 22:05:15.48 ID:sSo3P/wF0
ジル「ワイバーン達はお任せを! 必ず片付けます!」
兵士A「負けてたまるかァァァァァァ!!」
兵士B「押せ、押し切れ!!!」
兵士C「やっちまえええええええ!!!」
マシュ「……皆さん、あの時の……!」
ゲオルギウス「手が空いた! 助太刀に来たぞ!」
マシュ「助かります!」
デオン「ふっ、二対一でも譲る気はないさ!」ヒュォンッ
トゥーフェイス「ハン、こんな戦場に駆り出されるなんざ運の悪い連中だぜ。ひとりずつ、撃ち殺して……」カチャッ
バットマン「……」ヒュッ
トゥーフェイス「おっとぉ!」ザザァッ‼
バットマン「お前の相手は私だ」
トゥーフェイス「大口叩きやがる!」パァン
サンソン「ぐあああああああ!! うぐああああああああ!!」
アマデウス「まだまだ第一楽章だ、倒れられたら困るな! ここからが楽曲の真骨頂さ!」グォォォォン‼
サンソン「ぐ……うグ……」
サンソン(きょ、狂化が……これ以上精神攻撃を受ければ、理性のタガが外れる……)ガクガクガクガク
294 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/30(木) 22:06:23.57 ID:sSo3P/wF0
マシュ「やあっ!」ズガッ
デオン「!! くっ」ズサアッ
ゲオルギウス「ここで仕留める……! 『汝は竜、罪ありき!』」
デオン「しまっ……」
ゲオルギウス「『力屠る祝福の剣(アスカロン)』!」ズガガガッ‼
デオン「ぐあっ……っまだだ! 王妃に認められた者として、私はまだ終われない……!
『王家の百合、永遠なれ……』」グググググッ
マシュ「ゲオルギウスさんっ、危ない!」バッ
デオン「『百合の花咲く豪華絢爛(フルール・ド・リス)』!」ギュオオオオオオオオ
マシュ(……っ……力が、入らない……盾を支えていられないほどの脱力……これは、呪い!)
トゥーフェイス「どうやらもうすぐ佳境だな、この戦場も! こっちもそろそろ終わらせるか!?」ブゥン‼
バットマン「うぐっ……」ガッ、ドサァ……
トゥーフェイス「『ジャッジだ』!」
295 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/30(木) 22:09:22.33 ID:sSo3P/wF0
マシュはその叫びを聞き、後ろを振り向いた。
彼女のマスターがトゥーフェイスの宝具に縛られ、立ったまま苦悶の表情を浮かべているのを。二面の怪人が懐からコインを取り出すのを。
「テメエの罪はここで決まる。生存か、死刑か。陪審員の皆様はどうぞ静粛に……」
マシュは殆ど考える猶予も無く、ブルースの前に立った。未だデオンの宝具影響下にある彼女は、盾を構えられるほどの力が肢体に籠らない。
だが、それでも、背後に庇ったマスターは、命を懸ける価値があるのだと思えた。覚悟に唇を引き結んだ。
トゥーフェイスは一瞬驚いたような表情になり、すぐにまた、諦めたように冷酷な顔に戻った。
「公平な、裁きの時間だ」
キィン……コインが弾かれ、回転して宙を舞った。
その音は、アマデウスの演奏を切り裂き、サンソンの耳に届いた。サンソンは理性がほぼ消し飛んだ瞳で、それを見た。マスターを庇って立つマシュを。かつて二度処刑した王妃と同じ、真っ白な顔を。
その瞬間、卑怯な自己擁護を繰り返していたサンソンの理性は吹き飛び、ただ、自分は間違っていたのだという、どうしようもなく決定的な結論だけが、彼の剥き出しの心に突き刺さった。気が付けば彼は走り出していた。
トゥーフェイスはコインをキャッチし、掌のそれを見た。そして溜息を吐き、銃を向けた。
「……あばよ、お嬢さん」
二面の怪物は発砲した。
弾丸は真っ直ぐマシュを狙って飛び……飛び込んできた影が、それを受け止めた。サンソンだった。彼の心臓を貫き、弾丸は止まった。
トゥーフェイスは驚いたような表情でそれを見ていた。横からゲオルギウスに斬り付けられ、膝をついた時も、地面に倒れたサンソンをじっと見詰めていた。
「……たち、間違ってたんだ、僕達、間違ってたんだ……トゥーフェイス……トゥーフェイス、僕達、間違ってたんだよ……トゥーフェイス……」
嗚咽混じりの声が漏れる。トゥーフェイスは呆れたように溜め息を吐き、やがて仰向けに倒れた。底抜けの青い空が彼を見下ろしていた。
「……そんな事は、分かってんだよ……」
誰かが呟いた。悪人は、それが自分の口から出た言葉だと気付き、苦笑した。
296 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/30(木) 22:11:53.79 ID:sSo3P/wF0
バットマン「……」
マシュ「――デオン、トゥーフェイス、シャルル・アンリ・サンソン。消滅しました」
清姫「ファイヤーーーー!!」ゴゴウッ‼
ヴラド三世「ぐっ……」ボボボボッ
兵士達「「「撃て! ご婦人の援護に回れ!!」」」
ヴラド三世「おのれ……」シュウシュウシュウ
エリザベート「この!! 年増! アイドルは若いのがセンターやるって決まってんの!」ガッゴッガガッ
カーミラ「フン、大人の魅力を知らないなんて可哀想なちんちくりんですこと! 精々吼えてるが良いわ!」ギャンッギャリッギギギギッ‼
兵士達「「「耳栓を用意しろ! 一応、あの大人の方が敵だ!」」」
ファヴニール「グオォォォォォォル……」シュルシュルシュルシュル……
ジークフリート「……言ってなかったが、ここで終わりだ。『邪悪なる竜は失墜し、世界は今落陽に至る。撃ち落とす』……」
ファヴニール「ゴアアアアアアッ!!」ゴゴゴゴゴゥッ‼‼
ジークフリート「――『幻想大剣・天魔失墜(バルムンク)』!!」ジュゴゴゴゥッ、ズバァァァン‼
ファヴニール「……ゴ……ガ……」ドッサァァァァァン
ジークフリート「……さらばだ、ファヴニール」
297 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/30(木) 22:13:33.62 ID:sSo3P/wF0
黒ジャンヌ(趨勢は決まりつつある……このままでは負ける)
黒ジル「ジャンヌ! 一度砦へ撤退を! 新たなサーヴァントを召喚し、立て直しましょう!」
黒ジャンヌ「ジル……ええ、ここからでも十分巻き返せる……聖杯さえあれば!」ダダッ
ジャンヌ「待ちなさ……」
ワイバーン達「「「グギャアアアアアアアアス!!!」」」
ジャンヌ「くっ」
バットマン「ワイバーンを突破し、追うぞ。焦りで足並みを乱すな。このメンバーで突入する」
ジャンヌ「っはい!!」
マシュ「いきます!!」
298 :
◆GmHi5G5d.E
[saga sage]:2017/11/30(木) 22:16:31.21 ID:sSo3P/wF0
中途半端で申し訳ない。今回の更新はここまでです。
バットマンのスーツ良いですよね。円卓守ってた時のも好きです……
299 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/30(木) 22:26:30.49 ID:gLtuQvtRo
乙
300 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/01(金) 13:18:45.12 ID:tqsvSCobo
乙
サンソンとトゥーフェイスの言葉が凄いグッと来た
トゥーフェイスは根っからの悪人じゃなかったもんね…
301 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 20:17:38.61 ID:9GE5vrzP0
彼女が死んだのは、世界の冷たさゆえである。
両親が死んだのには何の理由も無い。
人の為にと立ち上がった彼女は、人がゆえに殺された。
私の為にと立ち向かった両親は、私が原因で殺された。
だからこそ、私は世界を憎む。世界は何一つ、彼女を顧みなかったのだから。
だからこそ、私は自身を憎む。闇の中で震え、世界を変えられなかった自分を。
302 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 20:24:11.12 ID:9GE5vrzP0
…………
黒ジル「ファヴニールは滅び、ワイバーンたちもこのままでは……」
黒ジャンヌ「わかっています。新たなサーヴァントを召喚しましょう」
黒ジル「おお! 私が時間稼ぎを受け持ちます、ゆるりと強力なサーヴァントを召喚なされるとよろしい。
そうですね……騎士王などはいかがでしょう?」ニコリ
黒ジャンヌ「……イングランドの騎士が召喚に応じるとは思えませんが。やるだけはやってみます。その間の守りは任せましたよ、ジル」
黒ジル「勿論です。では、行ってくるとしましょう」
黒ジャンヌ「武運を」
………………
バットマン「……砦の門を開く! 突入するぞ!」
マシュ「はい!!」
ジャンヌ「行きます!!」
303 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 20:31:22.68 ID:9GE5vrzP0
バットマン(……血の匂い。腐敗臭。これは……)
ゾンビ達「「「ぁー……」」」ガチャ、ガチャ
マシュ「くっ……ゾンビ兵です! 死した兵士が魔力によって操られています! それに……あ、足場が悪すぎる……」
ジャンヌ「破壊の痕跡をそのまま城の護りにしている……?」
バットマン「注意しろ、少しの過負荷で崩壊が起こる! フッ!」ガシッドシャア‼
ゾンビA「ぅぁー……」グッタリ
マシュ「ますた……」
ブォンッ
マシュ「!!」ガキィン‼
黒ジル「――おやおや、お久しぶりですな」
マシュ「……!」
304 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 20:34:46.01 ID:9GE5vrzP0
ジャンヌ「ジル……!」
黒ジル「まさかファヴニールを倒し、このオルレアンまで乗り込んでくるとは……」
黒ジル「正直に申し上げまして、感服致しました」
バットマン「……」
黒ジル「しかし! しかしだ! ああ、聖女よ! そしてその仲間たちよ!」
黒ジル「何故私の邪魔をする!?」
黒ジル「私の世界に土足で入り込み、あらゆるモノを踏みにじり、
あまつさえジャンヌ・ダルクを殺そうとするなど!」
305 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 20:39:58.21 ID:9GE5vrzP0
ジャンヌ「……その点に関して、、私はひとつ質問があるのです」
ジャンヌ「ジル・ド・レェ。彼女は本当に、ジャンヌ(わたし)なのですか?」
バットマン(……? ……!!)
黒ジル「……何と、何と何と何と許せぬ暴言!
聖女とて怒りを抱きましょう、聖女とて絶望しましょう!」
黒ジル「あれは、確かにジャンヌ・ダルク。その秘めたる闇の側面そのもの!」
バットマン(……そういう事だったのか。ようやく事のあらましが読めたぞ……)
ジャンヌ「――そうですか。ではいずれにせよ、闇ではない私は彼女と対決しなければ」
黒ジル「ジャンヌ。たとえ貴女といえども……その邪魔はさせませんぞ!」クワッ
ゾンビ達「「「ぁー……」」」ガシャ、ガシャ
マシュ「敵、来ます! マスター!」
バットマン「やるぞ。ここで止める」
マシュ「はい!」
ジャンヌ「ええ!」
306 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 20:53:38.82 ID:9GE5vrzP0
バットマン「フッ!」ドドッ
ゾンビB「あぁー……」バタッ
バットマン「……ハァッ!」ガガガッ
ゾンビC・D「「ぅああぁ……」」ドササッ
バットマン(動きは鈍い……対処は可能。問題は……)
ゾンビB「ぁー……」ムクリ
バットマン(……何度倒しても起き上がって来る。きりがない)
バットマン「……良いだろう」カチャッ、プシュー……
マシュ「やあっ!」ヒュゴッ
黒ジル「ぐぅっ……」ズザザ
ジャンヌ「はあぁっ!!」ブンッ
黒ジル「ぬぐ……まだだ!」ゴオッ
ジャンヌ「しまっ……」
マシュ「危ない!」ガァン‼
黒ジル「チィ……」
黒ジル(この盾の少女……厄介だ。このままでは押し負ける……)
黒ジル「かくなる上は……」
バットマン「……させん!」バッ、バサササササササ……ドドッ‼
307 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 21:03:00.08 ID:9GE5vrzP0
マシュ「マスター!?」
バットマン「フッ!」ヒュゴッ
黒ジル「チィッ、貴様は何だ!?」ガガッ
バットマン「知る必要は無い」プシュー……ガッ、シュドドッ
黒ジル(なんだ? 床に手をついた時、何かをスプレーした……? いや、それよりもこの巧みな攻め手……!)
黒ジル「何者かは知らないが、所詮は人間! 冒涜され、死ぬが良い!」
バットマン「……マシュ!」
マシュ「は、はい!」
バットマン「押し込め!」
マシュ「……? ……あ! はいっ!」ブォン‼
黒ジル「ぐわあっ!? おのれ、『螺湮城(プレラーティーズ)……』」
バットマン「そこだ……」ポチッ
床「」ドドドドドドォッ、ガラガラガラガラ……
黒ジル「なにっ……」ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥ…………
バットマン「……よし、成功した」
ジャンヌ「ゆ、床が爆発して……ジルが落ちて行った……?」
308 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 21:10:11.50 ID:9GE5vrzP0
バットマン「……アレは爆破ジェル。老朽化が激しかったからこその荒業だ。それと……」シュポッガシッ
ゾンビ達「「「ぁ……」」」
バットマン「……フンッ!」グイイイッ
ゾンビ達「「「ぁぁぁぁぁ……」」」ヒュゥゥゥゥゥゥ……
バットマン「……ゾンビ達も落としておく。あの男、ゾンビ兵からは距離を置いていたからな……恐らく、連中の細かな制御は出来ないんだろう。穴の中で互いに争う事になるハズだ、時間稼ぎにはなる」
マシュ「……は、はい」
バットマン「行くぞ。今の内に竜の魔女を倒す。この奥に居るはずだ、準備は良いか」
マシュ「はい、いつでもいけます!」
ジャンヌ「いけます。いきましょう。私(ジャンヌ)を止めます」
309 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 21:18:04.24 ID:9GE5vrzP0
……
黒ジャンヌ「……思っていたより、早かったですね。なら、術式を組み替えるしかありませんか――」
ジャンヌ「――“竜の魔女”」
黒ジャンヌ「とうとう、此処まで辿り着いてしまったのですね。
ジルは――まだ生きていますが足止めされましたか」
黒ジャンヌ「まあいいでしょう、こちらも準備は整っています」
バットマン「……始める前に、聞きたい」
黒ジャンヌ「何ですか。今更問いかけなど……」
バットマン「お前は、憎悪を持つ前の生活を覚えているのか?」
黒ジャンヌ「……え?」
ジャンヌ「…………」
310 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 21:21:55.64 ID:9GE5vrzP0
バットマン「……やはり」
ジャンヌ「えぇ。戦場での記憶がどれほど強烈であろうとも、私はただの田舎娘としての記憶の方が、はるかに多い……」
ジャンヌ「……たとえ私の闇の側面だとしても、あの牧歌的な生活を忘れられるはずがない」
ジャンヌ「いえ、忘れられないからこそ……裏切りや憎悪に絶望し、嘆き、憤怒したはず」
黒ジャンヌ「……私、は……」
ジャンヌ「……記憶が、ないのですね」
バットマン(……やはり、竜の魔女は……)
311 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 21:26:55.65 ID:9GE5vrzP0
黒ジャンヌ「それが……それが、どうした!」ギリィ
黒ジャンヌ「記憶があろうがなかろうが、私がジャンヌ・ダルクである事に変わりはない!」
ジャンヌ「確かに、その通りです。貴女に記憶があろうがなかろうが、関係ない。
……ですが、これで決めました。私は怒りではなく哀れみを以て“竜の魔女”を倒します」
黒ジャンヌ「――サーヴァント!」グワッ
影達「「「……」」」
マシュ「冬木で戦ったのと同じ……シャドウサーヴァントです! それもこんなに……」
バットマン「……」
黒ジャンヌ「通常のサーヴァントを召喚する暇はありませんでしたが、この程度ならば幾らでも量産できます」
黒ジャンヌ「では……屠れ!」
マシュ「マスター、来ます!」
バットマン「まずは周囲から片付ける」
マシュ「はい!」
312 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 21:35:59.36 ID:9GE5vrzP0
影A「……」ヒュォンッ
マシュ「っく……」ガガッ
マシュ(力任せに戦わず……)ドドッ、ドォッ
影B「……」ジャギィィィ‼
マシュ「ふっ……!」ギャリィン
マシュ(盾だけに、頼らず……!)ドガッ
影C「……」ギュオォォォッ‼
マシュ「……!!」ズォッドゴッ
マシュ(動きの無駄を減らし、限られた時間の中に身体をねじ込み……)ガシャリ
影D「……」スッ
マシュ「……やあっ!」ブォンッ
バットマン(駄目だ、あれはフェイント!やられる……! 間に合うか!?)ガシッ
影D「……ッ!」ガギリ
マシュ「……安易な手に掛からないよう、敵を、恐れる……!」ギリギリギリィ‼
バットマン「……!」
影D「……!!」ヒュンッ
マシュ(そして、足元を見れば、敵の考えは読める……!)
マシュ「やああっ!!」ドッゴォ
影達「「「……」」」シュゥゥゥゥゥゥゥ……
バットマン「……」
マシュ「やりました、マスター! 全シャドウサーヴァント、消滅!」
バットマン(凄まじい成長……一度戦場を経験しただけで、こんな……)
黒ジャンヌ「くっ……」ガギッ‼
ジャンヌ「はあっ!!」ギャリィン‼
313 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 21:48:01.85 ID:9GE5vrzP0
ジャンヌ「今度こそ決着の刻です、“竜の魔女”!」ギリギリギリ……
黒ジャンヌ「黙れ! ここからだ! ここから私の殺意を、絶望を! 見せてやる……ジャンヌ・ダルク!」ギャギャアン‼
マシュ「敵サーヴァント、魔力が急激に増大していきます……これは、宝具展開の前兆!」
バットマン「下がれマシュ……(いや、間に合わない。逃走経路……ジャンヌが殺される。ならば竜の魔女の妨害……この距離では不可能。残された手はひとつ)」
黒ジャンヌ「『これは憎悪によって磨かれた我が魂の咆哮……』!」
バットマン「『令呪をもって命ずる』! マシュ、宝具を展開しろ!」キィィィィィ……
マシュ「っはい! 真名、偽装登録……行けます!」
バットマン「ジャンヌ・ダルク!」シュポッガシッ、ギュルギュルギュルギュルッ‼
ジャンヌ「きゃあ!?」
黒ジャンヌ「『吼え立てよ、我が憤怒(ラ・グロンドメント・デュヘイン)!』」ゴゴゴゴゴゴゴゥッ‼
マシュ「はあああああああああっ!!!」ドォォォォォォォォォォォ……
314 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 21:53:01.22 ID:9GE5vrzP0
黒ジャンヌ「……ぐ……はあ、はあ……」
黒ジャンヌ「……ふ……あははははははっ、灰も残らないでしょう! あれだけの火力で、生き残るヤツなんて……」
黒ジャンヌ「……」
黒ジャンヌ「な……に……」
315 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 21:57:19.47 ID:9GE5vrzP0
マシュ「……敵宝具、受け切りました」シュウゥゥゥゥゥ……
黒ジャンヌ「そん、な。馬鹿な。有り得ない。嘘だ。だって、あれほど全力で撃って……」シュウシュウシュウ
黒ジャンヌ(肉体が崩れ始めるほどの魔力を込めたのに、受け切られただと……!?)シュウシュウシュウ
黒ジャンヌ「私は……聖杯を所有しているはず……! 聖杯を持つ者に、敗北はない。その筈なのに……!」
黒ジル「おお、ジャンヌ! ジャンヌよ! 何というお痛ましいお姿に……」ヨロヨロ
黒ジャンヌ「ジ、ル……」ドサリ
316 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 22:00:20.35 ID:9GE5vrzP0
黒ジル「ですが、このジル・ド・レェが参ったからにはもう安心ですぞ。
さあ、安心してお眠りなさい」
黒ジャンヌ「でも――私は、まだ、まだ、フランスを滅ぼせては……」
黒ジル「それは私が引き受けます。私に全てお任せを」
黒ジル「大丈夫、貴女が死ぬはずがない。
ただ、少しだけ……少しだけ、疲れただけ」
黒ジル「瞼を閉じ、眠りなさい。目覚めたときには、私が全て終わらせています」ニコリ
317 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 22:02:05.28 ID:9GE5vrzP0
黒ジャンヌ「……」
黒ジャンヌ「そう、そうよね」
黒ジャンヌ「ジル……貴方が戦ってくれるなら、安心して……」シュゥゥゥゥゥゥゥ……
聖杯「」カラン
黒ジル「……」
318 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 22:06:52.46 ID:9GE5vrzP0
ジャンヌ「……やはり、そうだったのですね」
黒ジル「勘の鋭い御方だ」
バットマン「……」
マシュ「あの、ジャンヌさん? いったい……」
ジャンヌ「聖杯を持っているのは、“竜の魔女”ではありません。
……いえ、そもそもあのサーヴァントは英霊の座には決して存在しないサーヴァントです」
ジャンヌ「私の闇の側面ではない以上、そう結論せざるを得ません」
ジャンヌ「……では、あの強力な力をどうやって手に入れたのか。
それは即ち、聖杯に他なりません。つまり“竜の魔女”そのものが……」
黒ジル「その通り。“竜の魔女”こそが、『我が願望』。すなわち、聖杯そのものです」
マシュ「な……!?」
バットマン「……」
319 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 22:20:52.89 ID:9GE5vrzP0
ジャンヌ「貴方は……ジャンヌ・ダルク(わたし)を作ったのですね。聖杯の力で」
バットマン(ジル・ド・レェ。軍人。初めはジャンヌ・ダルクの監視を命じられていたが、いつしか彼女に感化され、協力してオルレアンを守護……)
ジル「私は貴女を蘇らせようと願ったのです。心から、心底から願ったのですよ。当然でしょう?」
バットマン(……彼女が火刑に処された後は荒れた生活を送り……絞首刑)
黒ジル「……しかし、それは聖杯に拒絶されました。万能の願望器でありながら、それだけは叶えられないと!
だが、私の願望など貴女以外には無い! ならば、新しく創造する……!」ギリィ
黒ジル「私が信じる聖女を! 私が焦がれた貴女を! そうして、造り上げたのです!
ジャンヌ・ダルク――“竜の魔女”を。聖杯そのもので!」
ジャンヌ「……そう。彼女は無論、最後までそのことを知らなかったのでしょうね」
ジャンヌ「ジル。もし、私を蘇らせることができたとしても、私は“竜の魔女”になど、決してなりませんでしたよ」
ジャンヌ「確かに私は裏切られたのでしょう。嘲弄もされたでしょう。
無念の最後――と言えるかもしれません」
ジャンヌ「けれど、祖国を恨むはずがない。憎むはずがない。何故なら、この国には貴方たちがいたのですから」
320 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 22:24:18.22 ID:9GE5vrzP0
黒ジル「……お優しい。あまりにお優しいその言葉。
しかし、ジャンヌ」
黒ジル「その優しさゆえに、貴女はひとつ忘れておりますぞ。たとえ、貴女が祖国を憎まずとも――
私は、この国を、憎んだのだ……! 全てを裏切ったこの国を滅ぼそうと誓ったのだ!」」
ジャンヌ「ジル……」
黒ジル「貴女は赦すだろう。しかし、私は赦さない! 神とて、王とて、国家とて……!」ギシギシギシ
黒ジル「滅ぼしてみせる。殺してみせる。それが聖杯に託した我が願望……!」
黒ジル「我が道を阻むな、ジャンヌ・ダルクゥゥゥゥゥッ!!!」
321 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 22:28:35.82 ID:9GE5vrzP0
ジャンヌ「…………………そう、ですね。確かにその通りだ。
貴方が恨むのは道理で、聖杯で力を得た貴方が国を滅ぼそうとするのも、悲しいくらいに道理だ」
ジャンヌ「そして私は、それを止める。聖杯戦争における裁定者、ルーラーとして。
貴方の道を阻みます。ジル・ド・レェ……!」
黒ジル「ならば、今の貴女は私の敵だ。決着をつけよう。救国の聖女、ジャンヌ・ダルク――!」
ジャンヌ「望むところ……!」
マシュ「マスター、聖杯を確認しました。指示をお願いします!」
バットマン「ああ、最後の戦いだ。行くぞ」
マシュ「はい! これより、聖杯回収へ向かいます! マシュ・キリエライト……行きます!」
322 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 22:48:12.10 ID:9GE5vrzP0
彼の者のクラスはキャスターだ……そう報せる通信を受けながら、バットマンは腹部に光球を食らい、吹き飛んでいた。
マシュが入れ替わりに飛び込み、盾を突き出す。
ジルはまともに受け、吹き飛びながらも何事かを詠唱した。途端、マシュの身体がすくむ。おぞましい何かを覗き込んだ時のように……。
「どれほどあなた方が強かろうと、黒魔術は私が上だ。精神汚染を受けていない者など、話にならない」
ジャンヌが歯を食い縛り、恐怖を抑え込んで打ち込む。だが腰の引けた打撃は通用せず、魔術師に弾き返された。
「貴女もです、ジャンヌ・ダルク。貴女たちは純粋すぎる」
ジルは微笑み、瘴気を放つ闇を全身から放出した。ジャンヌは咄嗟に口を覆い、マシュはマスターを背に庇う。
「終幕です。フランスは滅ぼす。我が道は、ついに憎悪の果てへと到着する」
朗読じみたキャスターの声が響く。
(あれは詠唱だ)
バットマンは理解する。何かが来る。マシュの宝具を展開させるべきか……いや、これは。
「『螺湮城教本(プレラーティーズ・スペルブック)』!」
ジャンヌは見た。ジルが掲げた本から、冒涜的な、存在してはならない存在が飛び出すのを。
マシュは少し遅れて認識した。黒い触手がのたうち回り、津波じみて向かって来ているという事実を。
バットマンは直感した。アレはまだ、発端に過ぎない。いずれ本体が飛び出してくる。
「あ、あ、あ……」
「……え……」
聖女は膝をつき、マシュは頭を抱えてうなだれる。異様なまでに冒涜的な光景を目の当たりにした彼女らの精神は、汚染を防ぐため、シャットダウンを開始したのだ。
「仕方のない事です! 諦めなさい! フランスは終わる! この手で、必ず終わらせる!」
「そうはさせない」
キャスターはふと、おのれの呪文がもたらした触手の上を見た。一匹の巨大なコウモリが、意志の力に目を光らせ、こちらを睨んで立っていた。
「何故……」
何故、狂わない? キャスターは問おうとし、愚問を取りやめた。
簡単な事だ。ヤツは既に狂っている。狂人だったのだ。
バットラングが投擲され、ジルの腕に突き立った。激痛が彼の集中を遮り、呪文が消失した。
323 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 22:50:06.72 ID:9GE5vrzP0
ジャンヌ・ダルクの旗が振るわれ、甲高い音と共に血しぶきが舞った。
324 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 22:55:53.64 ID:9GE5vrzP0
黒ジル「馬鹿、な……! 聖杯の力を以てしても、届かなかった……だと……
そんな筈はない! そんな理不尽があってたまるか! 私、は、まだ……!」
ジャンヌ「ジル。もう、いいんです」
ジャンヌ「もう大丈夫です。休みなさい。貴方はよくやってくれた。
右も左も分からぬ小娘を信じて、この街の解放まで」
ジャンヌ「……今の貴方がどうあれ、私はあの時の貴方を信じている。
大丈夫。私は最後の最後まで、決して後悔しません。
私の屍が、誰かの道へ繋がっている。……ただ、それだけで良かったんです」
ジャンヌ「さあ、戻りましょう。在るべき時代へ」
黒ジル「……ジャンヌ。地獄に堕ちるのは、私だけで――」シュゥゥゥゥゥゥゥ……
聖杯「」カラン……
325 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 23:11:24.70 ID:9GE5vrzP0
ドクター『聖杯の回収を完了した! これより、時代の修正が始まるぞ!
レイシフト準備は整っている、すぐにでも帰還を!』
マシュ「了解しました、ドクター!」
バットマン「……」
ジャンヌ「もう、行かれるのですか?」
バットマン「ああ。まだやるべきことが残っている」
――――
エリザベート「……っはあ、この……」
カーミラ「いい加減、しぶと……あら?」シュウシュウシュウ
エリザベート「……アンタ」
カーミラ「ちっ、終わりみたいね。……まったく、鬱陶しい小娘だったわ……」
エリザベート「ふん、こっちこそ! 絶対にアンタみたいにならないんだから!」シュウシュウシュウ……
カーミラ(……まったく、終わった途端に狂化が消えるんだもの。次は、もっと……)
カーミラ「……選り好みできる立場でもないわよね。全く」シュゥゥゥゥゥゥゥ……
エリザベート「……馬鹿なやつよね、我ながら。ほんとに……」シュゥゥゥゥゥゥゥ……
…………
清姫「……あら?」シュウシュウシュウ
ヴラド三世「ふむ。終わりか」シュウシュウシュウ
清姫「……やってくれたようですわね。ワイバーン達が消えていきます」
ヴラド三世「敵ながらあっぱれ、と言っておこう。そして……礼を言う、名も知らぬ婦人」
清姫「あら、これはどういたしまして」
ヴラド三世「お前が居なければ、更に多くの無為なる魂を屠っていただろう。……次があれば、お前のように戦いたいものだ」シュゥゥゥゥゥゥゥ……
清姫「……手のかかる御人でした事。マスターは……もう、砦の中ですのね。いくさの勝利は妻も祝うものですのに、まったく」シュゥゥゥゥゥゥゥ……
…………
ゲオルギウス「……聖杯戦争、というにはあまりに歪んだ形でしたが。ともあれ、ドラゴンスレイヤーと共に戦えて光栄でした」
ジークフリート「俺の方こそ、名高き聖ゲオルギウスと同じ陣営で戦えるとはな……ともあれ、あのマスターの旅路はまだ続くだろう。
俺達も、もう一度助力できると良いのだが」シュゥゥゥゥゥゥゥ……
ゲオルギウス「フ……その日も遠くないでしょうな。ああ、待ち遠しいものだ」シュゥゥゥゥゥゥゥ……
アマデウス「ようやくお役目ゴメンか。ああ疲れた、働き尽くしでケツが痛い!
……っと、その手のネタはマリアから禁止されてたな。失敗失敗」
アマデウス「まあ、いい指揮だったよ、ネコミミさん。実に、実にやり甲斐のある仕事だった」シュゥゥゥゥゥゥゥ……
326 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 23:18:09.94 ID:9GE5vrzP0
――――
バットマン「……そろそろか」
マシュ「はい、マスター。空間が……」
ジャンヌ「……これは、夢のようなもの。世界の可能性から既に除外された、小さな枝葉のような世界。
恐らく、こうしてマシュさん達と出会った事も、戦った事も、失った命すら……無かったことになるのでしょうね。私はそれが、少し悲しい」
バットマン「……」
ジャンヌ「……もちろん、失ったはずの命が戻ってくるのは喜ばしいことでしょうけれど。
お二人とは、また何処かで会えそうな予感がします。私の勘は、結構当たるんですよ?」
マシュ「ジャンヌさん……」シュウシュウシュウ……
ジャンヌ「――さようなら。そして、有難う。
全てが虚空の彼方に消えるとしても、残るものが、きっと……」
バットマン「……」シュゥゥゥゥゥゥゥ……
ギュォォォォォォォォオオオオオッ
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