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京太郎「死んでも生きる」良子「死んでも一緒」
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158 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/08/24(月) 23:45:58.24 ID:ecS4atmg0
京太郎「そ、その……と、とりあえずそれは置いといて!」
良子「?」
京太郎「ま、麻雀! 麻雀強くなりたいっす!」
良子「え、あ……そ、そうですね。ではそれで……」
トシ(チィッ!)
トシ「チィッ!」
良子「ワッツ? なぜ舌打ち?」
トシ「いや、なんでも……」ジト
京太郎「うっ……」メソラシ
トシ「まぁ、とりあえず麻雀付き合ってやればいいんじゃないかい?」
良子「むぅ、生身になってからというう約束だったんですが……」
トシ「まぁいいじゃないか」
京太郎「す、すみません! でも、お願いします!」バッ
良子「嫌ではありませんよ……では、徹底的に仕込みますよ。戒能流を」ドヤッ
京太郎「あ、はい。お願いします!」バッ
京太郎(ドヤ顔かわいいな!)
トシ「ふぅ〜む……」
159 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/08/25(火) 00:10:50.79 ID:3l07QoVb0
良子「ではどこから……」
京太郎「あ、いや結構基本のほうからお願いできたら」
良子「でしたら……」
???「ん、誰かと思ったら」
良子「え、大沼さん」
良子(確か京太郎が見えるとか……むぅ、霊能力持ちというわけでもないのに)
京太郎「お、大沼……プロじゃないですか!」
秋一郎「おう、悪霊も元気そうだな」
京太郎「幽霊が元気なわけないじゃないっすか……てか悪霊やめてくださいよ!」
秋一郎「おう、考えとくわ」ケラケラ
良子「……」ジッ
秋一郎「?」
トシ「まったくあんたは……」
秋一郎「……あ〜なるほどな、悪いな悪りょ、須賀」
京太郎(お〜トシさんと一声!)
秋一郎「なんか微妙に複雑だなぁ」
京太郎「え、なにがっすか?」
秋一郎「さてな……また麻雀しようぜ須賀」
京太郎「え、マジっすか!?」
秋一郎「ああ」
京太郎「あざっす!」
良子「素質はあるよう、ですね」
秋一郎「まぁな、わかるやつにゃわかるだろ」
京太郎「部長にも言われました!」エヘンッ
良子(むぅ、少しかわいい)
秋一郎「社交辞令じゃなきゃいいな悪霊」
京太郎「ふぇあっ!?」ガーン
良子「大沼さん!」
秋一郎「冗談だよ冗談」
160 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/08/25(火) 00:26:38.08 ID:3l07QoVb0
―――【ホテル】
良子「まったく大沼さん」プンスコ
京太郎「ま、まぁまぁ」
良子「……とりあえず!」
京太郎「?」
良子「特訓です!」
京太郎「え、マジで付き合ってくれるんっすか!?」
良子「もちろんです!」
京太郎「おーそれでは、お願いします!」
良子「さて、ネトマにはなりますけど、キーは打てますよね?」
京太郎「……たぶん?」
良子「ま、まぁリモコンいけたしいけるでしょう」
京太郎「お、おっす!」
良子「ふふふ、京太郎を私カラーに染め上げましょう!」
京太郎(ちょっとエロいこと考えてしまった!)カァッ
良子(ちょっとエッチなこと考えてしまいました!)カァッ
161 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/08/25(火) 00:30:21.23 ID:3l07QoVb0
とりあえずここまでー
本筋が進んだような進んでないような
とりあえず成仏条件提示
まぁ今後もいろいろある予定
そんじゃまたー
162 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/08/25(火) 15:22:20.79 ID:AzBkP1Yk0
乙
この徐々に惹かれあってく感じいいね!
未練がなんなのか気になるとこだ
163 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/08/25(火) 21:54:08.18 ID:jWKRZ0yP0
おつです!
164 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/08/26(水) 09:45:24.49 ID:DA4DJBUy0
良い!良い!
165 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/08/26(水) 23:37:19.43 ID:5YibGIbc0
おっし投下開始してっくよー
頑張って進めてくゾイ
正直プロットもなにもなしに進めてるから不安極まりないけど
166 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/08/26(水) 23:47:31.16 ID:GHBj+OYOo
舞っていた
167 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/08/26(水) 23:53:26.58 ID:5YibGIbc0
―――【翌朝】
カタカカタ
京太郎「ふむ……一位を連続して取れたのは俺が強くなったか、相手がよかったか」
カタカタ ガチャッ
京太郎「うおっ!?」ビクッ
良子「ん……起きてたんですか?」
京太郎「え、あ……もう朝!?」
良子「イエス……まぁかまいませんが……ふぁ〜」
京太郎(寝起きの戒能さんがなんか、今までより意識してしまうっ!)
良子「寝なくて、平気ですか?」
京太郎「オフコース! モーマンタイです!」
良子「……なら、いいんですが」
京太郎「あ、そういえば今日はどうするんです?」
良子「ん〜個人戦、決勝は明日ですしねー」
良子(ワンチャ、未練が『個人戦の清澄の優勝が見たい』とかだったら、見ないわけにはいきませんし……)
京太郎「あ、てかこの時期なら仕事か」
良子「まぁ午前中は、ですけれど」
京太郎「なるほど……とりあえず、ついて行っても良いですか?」
良子「ええ、麻雀の勉強になることもあるでしょうし」クスッ
京太郎「ありがとーございます!」ニコッ
良子(っ……か、かわいい)
168 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/08/26(水) 23:59:37.57 ID:5YibGIbc0
―――【とあるホテル】
キュピーン
トシ「完落ち、いやちょっと手前か!」ハッ
?????「ン?」
?「気にしなくていいって、きっとこの歳になるといろいろ」
??「うちの村のそんちょーみたいな感じかなー?」
??「言い過ぎな気が」ダル
??「……誰も心配しないの?」
トシ(年寄扱い……いや、年寄なんだけど)
169 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/08/27(木) 00:16:30.20 ID:ad+YdYIv0
―――【テレビ局:スタジオ】
良子「くれぐれも、ムーヴしすぎないでくださいよ?」ボソボソ
京太郎「いやー子供じゃないんですから」
良子「……いや、子供ですから」ジト
京太郎「うっ、まぁまぁ……戒能さんのことずっと見てますから!」グッ
良子「っ!!?」カァッ
京太郎(あれ、なんか失敗した気がする)
良子「……お、おーけー、ともかくわかりましたっ」フイッ
京太郎「あ、はい」
良子「しっかりルックしていてください」フッ
京太郎「い、イエス!」
良子(なんてかっこつけてしまいましたけど、ただのコメンテーターなんですよね)
170 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/08/27(木) 00:26:25.43 ID:ad+YdYIv0
京太郎「ふぇ〜あ、はやりん出てきた……佐藤アナもだし、エロい……」
京太郎(てか、未練をなくして体に帰るかぁ……そんなことできるもんかねぇ)
ガヤガヤ
京太郎「俺の未練なんて、多すぎるしなぁ……」
片岡優希、原村和、竹井久、染谷まこ、そして宮永咲
そられに囲まれた夏
自らは当初、ただ原村和にあこがれて入部しただけであった麻雀部
ただ、今ではすっかり本気で……五人と共に全国に名を馳せて、そして……
京太郎「俺は、なにを求めてたんだろう……」
スタジオの、裏の方で座って良子が話をする姿を眺める
京太郎「俺の夢って、未練って……」
夢は呪いであると、誰かが言っていた
叶えることができなければずっと呪われ続けると
故に、呪われているのだ。自分は―――
京太郎「あぁ……それこそ俺って、文字通り―――未練がましいなぁ」
自己嫌悪に陥るのは、彼女に迷惑をかけていると思うから
もっと言うと、彼女だけではなく仲間たちにもだ
大好きだった麻雀部に帰りたい自分と、帰りづらい自分
京太郎「あ〜……麻雀うちてぇ」
幽霊となった自分にできることといえばそれぐらい、だろう
171 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/08/27(木) 00:43:33.49 ID:ad+YdYIv0
―――【病院:京太郎の病室】
咲「まだ起きないんだ……まったくもう」
京太郎「」
咲「みんな待ってるんだよ」
ググッ
咲「っ……京ちゃん、バカなのに物事、難しく考えすぎなんだよ」
和「……咲さん」
和(私も須賀君の手、ねっとり握りたいです)
咲「早く帰っておいでよ、みんな待ってるんだから……ね」
和「……三人が、下で待ってますよ」
咲「うん」コクリ
和「……ちょっと、ちょっとだけ残っていいですか?」
咲「……」
和「……」オソルオソル
咲「……」
和「……」
咲「……ダ・メ♪」
和「ええ!? なんでですかぁっ!?」
咲「寝てる相手をどうにかしようなんて卑怯だよ。正々堂々と誰かと競って、はい閉廷」
和「え〜!!」
咲「いい加減にしないとカンするよ!」クワッ
和「ひぇっ」ジワッ
172 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/08/27(木) 01:08:05.84 ID:ad+YdYIv0
―――【数時間後】
京太郎「はぁ〜」
良子「どうしました?」ボソッ
京太郎「ひゃっ!?」ビクッ
良子「なんですか、そのニューハーフチックな声」
京太郎「ず、ずいぶん具体的ですねぇ!?」
良子「なんかそんな別ディメンションの声が」
京太郎「どーしたんっすか!?
良子「……ん、いつも通りですね」クスッ
京太郎「え、あっ……す、すみません」
良子「そういうときはそーりーではないでしょう?」
京太郎「せ、センキュー」
良子「なぜイングリッシュ?」
京太郎「ああいや、なんとなく?」
良子「ふふっ……まぁ、とりあえず次の仕事場に移動しましょう」
京太郎「さすが売れっ子ですね」
良子「新人賞ですから……道中の車でネトマでもしましょう」
良子(須賀君のいう通り私が牌を切っていったりするだけのネトマですけど)
京太郎「はい!」ニッ
良子(それにしても、なにを悩んでたのか……)フム
173 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/08/27(木) 01:27:15.61 ID:ad+YdYIv0
―――【道中:車内】
京太郎(タクシー移動とかすごいなぁ……)
良子「ん」
京太郎「ああ次……四索?」
良子「ん……」タンッ
京太郎「お……じゃあリーチ」
良子「ふむ」タンッ
京太郎「……」ググッ
良子「ジャックポット、ですね」
京太郎「おっしゃリーチ一発!」
良子「ナイスです」
京太郎「俺もちったぁ進化したってことですかね!」エヘン
良子「昨日の須賀君しか知りませんけど……飲み込みが早いですね」
京太郎「ふふふ、褒めてもなんにも……なんかしか出ませんよ」
良子「なに出るんですか」
京太郎「え……エクトプラズム?」
良子「ちょっとなに言ってるかわからないです」
京太郎「あ、俺もです」
174 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/08/27(木) 01:41:43.27 ID:ad+YdYIv0
―――【テレビ局前】
京太郎「また別局って……多忙ですねー」
良子「まぁ多少は」
京太郎(やっぱ麻雀のスーパーエースって違うなぁ)
良子「今回の企画は……っ」ケホッ
京太郎「あ、ほらぁ治ってないんじゃないですか?」
良子「あ、ああいえ……」
京太郎「マジ気を付けてくださいよ?」
良子「……いざとなれば、助けてくれる、でしょう?」カァッ
京太郎「え、いや……もちろんっすけど!」
良子「ん、それで十分です」クスッ
京太郎「は、はい」コクリ
京太郎(誰よりもなによりも君だけを守りたい〜〜!!)
175 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/08/27(木) 02:01:03.88 ID:ad+YdYIv0
―――【スタジオ】
京太郎「俺は例によってみてるだけだけど……うへぇ、宇野沢栞のおっぱいでけ〜」
良子(む、須賀君……まさか……)ジトー
京太郎(こ、この距離でわかるのか!?)
スタッフA「やっぱしおりんいいよな〜」
スタッフB「俺はるねちんが……
ディレクター「ほら、黙って仕事しろ」
京太郎(テレビの仕事もおもしろそうだなー)
良子「ですのでこの場合ですが、こっちを切るということができれば」
京太郎(かっこいいな〜てか能力とかいいな〜)
良子「イグザクトリィ、完全な正解、というものはありませんから……」
京太郎(戒能さん……)
176 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/08/27(木) 02:23:18.57 ID:ad+YdYIv0
―――【収録終了後】
良子「ふぅ、お疲れ様でした」
「お疲れさまです!」
「さすがです戒能さん! 私の娘がファンでして!」
スタッフA「さすがだなぁ〜」
スタッフB「憧れちゃうな〜」
スタッフAB「かっこかわいいな〜」
京太郎(同意……さて、喋りかけないようにしつつ隣に)テクテク
良子(ん、須賀君……ちょっと気になるところはありましたが、ずいぶん真剣に見てましたね)
京太郎(頑張って戒能さんとちゃんと麻雀できるようになんないと!)グッ
ディレクター「戒能さん戒能さん」
京太郎(あ、さっきの偉そうな人)
良子「ん? どうしました?」
ディレクター「このあとなんだけど、一緒に食事でもどうかな?」
良子「あ、いや〜その……みなさんで?」
ディレクター「二人で」ボソッ
良子「い、いえでも」
ディレクター「浮いた噂もないし、その手のことはないっしょ?」
良子「まぁそうなんですが……」
ディレクター「なら……それとも狙ってる子いるとか?」
良子「はえっ!? の、ノーノー! そんなことはナッシング!」カァッ
ディレクター「あれ図星? ならうまく会えるようにしてあげるから」
京太郎(なんだこの女ぁ!)
スタッフA「あ〜悪い癖出てるねこれ」
スタッフB「まぁいつも通りっちゃそうだけど」
良子「と、ともかくすみませんっ。今回は」ケホッ
ディレクター「え〜いいじゃん〜」
良子「で、ですからっ」
ディレクター「男?」
良子「ち、ちがっ」
ディレクター「ノーカンってことでさ」
177 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/08/27(木) 02:31:04.06 ID:ad+YdYIv0
ディレクター「ね? ちょっとだけだから」
良子(うぅっ、す、須賀君っ……って前みたいなのは無理ですし)チラッ
京太郎「っ!」
ディレクター「ちょっとだけ! ちょっとだけ!」サワッ
良子「ひっ!?」ビクッ
京太郎「良子さんから手ぇはなせテメェっ!!」クワッ
パリンパリンパリン バコン
良子「っ!!?」ビクッ
ディレクター「きゃっ!?」
スタッフA「うわっ停電!?」
スタッフB「てか照明割れて、ってケガないですかみなさん!!?」
「うえ〜るねさぁん!」
「ちょ! 落ち着けっておい!」
良子「こ、これは……」
京太郎「え、これ……」
ディレクター「なにこっ……えほっえほっ、息苦しっ」バタッ
スタッフA「え、ええ!? 大丈夫ですか!!?」
スタッフB「救急車!」
京太郎「え……」
良子「す、須賀君……?」
京太郎「お、俺……が?」
178 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/08/27(木) 02:34:29.11 ID:ad+YdYIv0
とりあえず今回はここまでー
こっからちょっといろいろとあったりなかったり
ウルトラ面倒くさい感じになったりならなかったり
また近々投下しますでございますー
それじゃまたー
179 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/08/27(木) 09:10:43.28 ID:YgtPSf7d0
乙
お互いの距離感近づいてきていい感じになってきたけど
なんだか不穏な感じになってきたな
180 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/08/27(木) 13:45:01.51 ID:yHfHs1G20
別ディメンション…うっ頭が
181 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/08/28(金) 02:41:58.74 ID:ugT0Ig/J0
おつ
これはどうなるやら…
咲さんのお見舞いシーンがいじらしくてとても好き
182 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/08/29(土) 00:54:32.54 ID:/AzeQ1+m0
おっし、ちーっとだけ投下しよ!
臨海も進めんとあかんしね
ちょっとしめっぽい話があったりなかったりあったり
183 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/08/29(土) 01:07:04.55 ID:/AzeQ1+m0
京太郎「俺、こんなっ……」
良子「す、須賀君っ」ガシッ ダッ
京太郎「えっ」
スタッフA「え、戒能さん!?」
スタッフB「とりあえずDを!」
―――【階段踊り場】
京太郎「ここまでする気なんて」
良子「の、ノープログレム、わかってます」」
京太郎「でもっ、なんで突然こんなっ……」
良子「大丈夫、大丈夫ですから……」ギュッ
京太郎「だって……」
良子「大丈夫、たまたま感情が暴走してしまって、たまたまタイミングが悪かったんです」
京太郎「ほ、本当、ですか?」
良子「ええ」コクリ
京太郎「……あんなの、初めてなんですっ」
良子「助けてくれようと、したんですね?」
京太郎「そ、それはっ」
良子「……センキュー、ありがとう」
京太郎「っ」
良子「ね、平気ですから」ギュッ
京太郎「はぃ……」
良子(この子は、悪くない……そう、あえて言うなら)
京太郎「で、でもあの人っ」
良子「そちらも、それほど大事には至らないはずです。わかります」
京太郎「なら、よかったです……」
良子(この子を守って、体に返す、それまでは……)
京太郎「えと、そのっ」
良子(最初はなし崩しでしたが、今は違う……私はこの子を助けてあげたいと、そう……)
京太郎「か、戒能さんっ」
良子「ん、どうしました?」
京太郎「そのっ、さ、さすがにっ」
良子「あっ」
京太郎(あ、頭を抱きしめられるってのはそのっ、感触がっ、しゅんごいっ)
バッ
良子「そ、そーりー!!」
京太郎「い、いえいえ!」
京太郎(こちらはセンキューです!)
良子「それでは、戻りましょう?」
京太郎「は、はいっ」コクリ
184 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/08/29(土) 01:16:22.57 ID:/AzeQ1+m0
―――【ホテル】
トシ「んっ」キュピーン
?「どうしたんですか?」
トシ「いや、あんまよくない感覚がしたんでね」
?「えっと……」
トシ「いやボケとかじゃなくて」
?(まだなにも言ってない……)
トシ「ん〜これも因果、いや違うか……?」
?「ボケですか?」
トシ「違うって言ってるだろう」
?「でも……」
トシ「そのかわいそうなもの見る目をやめな」
???「おい」
トシ「ん? 大沼?」
秋一郎「ちょいとな……あのガキをなんとかする方法」
トシ「おや思ったより早かったね」
秋一郎「まぁな、ただ専門家曰く微妙な感じらしくてな」
トシ「園城寺とかと一緒かと思ったけど、それはないか?」
秋一郎「さてな、とりあえず……いくぞ」
トシ「はいよ……ってことで塞、行ってくる」
塞「え、なんかの予防施設ですか?」
トシ「ぶっとばすよ」
185 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/08/29(土) 01:26:50.46 ID:/AzeQ1+m0
―――【街中】
良子「大事ないようでよかったじゃないですか」
京太郎「そうですかねぇ」
良子「ええ、そうです」
京太郎「はぁ〜」
良子「ん、暗いですね」
京太郎「思うとこありますよぉ、自分のせいっすもん」
良子「……気分転換にデートでもしていきますか?」クスッ
京太郎「ちょっ、そ、そーやってからかわないでくださいよっ!?」カァッ
良子「ふふっ、かわいいのでつい」
京太郎「か、かわいいって……」
良子(私も羞恥心がないわけでもないんですが……)
京太郎「?」
良子「い、いえなんでもっ」フイッ
京太郎(ん〜?)
良子「なにはともあれ、なかなかに早い時間に帰れましたし……今日も麻雀、頑張りましょうか」クスッ
京太郎「うっす!」グッ
186 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/08/29(土) 01:35:31.34 ID:/AzeQ1+m0
―――【ホテル】
京太郎「ふぇ〜疲れた」
良子「ん、かなりものになってきましたね。もともと結構打てました?」
京太郎「いや、全然……ボッコボコにされてましたよ」
良子(まぁ清澄で、ですからね)
京太郎「もーちょっとなんとかして、あいつと、並べるくらい。せめてあいつらの練習になるぐらいの」
良子(考えすぎなのは元来のものか、そうなってしまったのか……)
ギュッ
京太郎「ふぇあっ!?」
良子「……大丈夫ですよ。貴方は十分強くなれる」ポンポン
京太郎(いやいや、座ってる後ろから抱きしめられたらその、またおっぱいが! ありがとうございます!)
良子「なんならミラクルパワー、発揮できちゃうかもしれませんよ?」
京太郎「へ?」
良子「千里山の園城寺怜がそんなことがあった気が」
京太郎「おお! それはいいこと聞いた!」
良子「ん、ですから頑張らないと」
京太郎「はいっ! ……えっと、でもですね」
良子「ん?」
京太郎「その、これ、恥ずかしいっていうか……」
良子「須賀君は、レディのバストばかり見てますからね……」
京太郎「ふぇあっ!? いいい、いやですからむしろ当たってるというか!」
良子「わざとです」マッカ
京太郎(え、どういう状況!?」
良子「……その、ご褒美、に……なりますか、ね?」
京太郎「は、はいっ……めっちゃ」カァッ
良子「そ、そうですか……では、あと、少しだけ……」ギュッ
京太郎(生殺し!)
187 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/08/29(土) 01:46:28.80 ID:/AzeQ1+m0
―――【その後】
京太郎(にしても、あんなことができるとは……)
京太郎「……いや、あんまり考えないように」
タンッ
京太郎「うあ〜一位浮上とはいかないかぁ」
カタッ
京太郎(でもまぁ、強くはなれたかな? でもこの数日で結構、見てた影響とかもあんのかね)
タコスを作った思い出が強い
それでも確かにみんなの麻雀を見て、竹井久たちの解説も聞いて
確かにためにはなった夏だったのだ
京太郎(来年こそ、か……来年、あるよな?)
京太郎「俺、このまま……って」
カタッ
京太郎「これ、まさか……えっ」
188 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/08/29(土) 01:56:30.48 ID:/AzeQ1+m0
―――【翌朝:ホテル】
良子「んぅ、おはようございます」ケホッ
京太郎「良子さん! 良子さんっ!」
良子「ん?」
京太郎「ほら、ほら!」
良子「それは……リモコン?」
京太郎「俺、モノを持ち上げられるようになったんですよ!
良子「え……あ、ほ、本当ですか?」
京太郎「はい! ノートパソコンも! ソファだって!」
良子「……」
京太郎「引き出しを出したりも!」
良子「……!!?」
京太郎「へへっ、おどろきましたか!? 水道出したりもできるしめっちゃ人間に近寄ってきましたよ!」
良子「た、確かに……」
京太郎「これで良子さんの役にも立てるし……もしかしたら戻れるようになるかも!?」
良子「そう、ですね」
京太郎「へへっ!」ニコッ
良子(ジーザス……)
ピンポーン
京太郎「お、来客! 俺も出れるかな?」
良子「さ、さすがに無理でしょう。声まで届けばそれはよっぽど」
京太郎「あ、そうですよね」
良子「そうですよ」ピッ
トシ『戒能ーいるかい?』
良子「熊倉さん?」
トシ『ん、いたか』
良子「ロックを解除しますので」ピッ
京太郎「こんな朝早くからどうしたんですかね?」
良子「さ、さぁ……
189 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/08/29(土) 02:06:39.68 ID:/AzeQ1+m0
ガチャッ
トシ「戒能、京ちゃんは?」
京太郎「あ、ここに!」
トシ「ん……その、手にもってるのは?」
京太郎「ああ、リモコンっす……持てるように!」
トシ「そっか、やばいね」
京太郎「なにがっすか?」
良子「や、ヤバイなんてこと……」ケホッ
トシ「……いや、ヤバイね」
良子「ですからっ」
トシ「戒能、あんた……なにが理由で?」
良子「り、理由なんてっ、助けたいと思ったからで」
トシ「それとこれとは話が別だろう?」
京太郎「え、なんの話で」
トシ「四六時中一緒にいるんだ。しかも徐々に力が強くなってんのに……あんたも限界で」
良子「ですからっ、彼が私を助けてくれたっ、私は彼を助けた。それで、十分でしょう?」
トシ「……酷な話だけどそれは」
良子「なにもっ……えほっげほっ」
京太郎「よ、良子さんっ!?」
トシ「京ちゃんも」
京太郎「へ?」
トシ「それが……霊体のままモノを持てるようになったのが、人間に近づいたと、思うかい?」
京太郎「……え?」
良子「っ」
トシ「戒能、これは違う……誰が幸せになる?」
良子「誰も不幸になりませ」
トシ「なるんだよ。みんな」
良子「っ……この子、須賀くんは、すべて忘れてしまいますよ?」
京太郎「えっ」
トシ「でもこのままではいられないだろう?」
良子「わかってます。でもっ」
トシ「先延ばしにしてもしようがないことさ……」
190 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/08/29(土) 02:14:33.07 ID:/AzeQ1+m0
京太郎「なんですかっ、どういうことっすか? 知ってたんですか?」
良子「そ、れは……どちらにしろ、まだ戻れる条件もわかって」
京太郎「でもどうしてっ、なんでそれなら麻雀教えたりなんて……未練を、なくすためですか?」
良子「それだけでは、ありませんっ」
トシ「京ちゃんが嬉しそうにするからとか、そういうことだろ?」
良子「っ」
京太郎「なんで、そんな……」
良子「私だって、よくわかりません」
京太郎(どう、すれば……」
トシ「京ちゃん……潮時だよ、本気であんたを“あの世へ送る”か“未練をなくして戻す”かの二択だ」
京太郎「そんな二択っ」
トシ「……いや、二択だ。どちらかを選ぶことになる」
京太郎「後者を選ぶに決まって」
トシ「期限があるよ。あんたもあんた自身の未練を本気でわかってない今は」
京太郎「だって、それでも期限まであがいて」
トシ「まぁそれも手っちゃ手だけど、わりと時間はないからね」
京太郎「な、なんで?」
トシ「ものを持てたねぇ……心霊現象でいうと物が浮いたって結構なことだよ?」
京太郎「っ……」
トシ「それに」
良子「熊倉さんっ」ケホッ
トシ「戒能……」
京太郎「隠さないでくださいよっ」
良子「す、須賀君……」
京太郎「いいです。だってもう……俺、テレビ局の照明を壊したり、偉い人を体調不良にし、た……り……」ハッ
良子「っ……須賀君っ」ゲホッ
トシ「京ちゃん……」
京太郎「お、俺か、俺のせい、なんですか?」
良子「い、いやっ、これは……!」
191 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/08/29(土) 02:16:57.88 ID:/AzeQ1+m0
京太郎「俺が、近くにいるから?」
秋一郎『悪霊連れてなにやってんだ』
京太郎「俺、悪霊なんですか?」
192 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/08/29(土) 02:17:56.72 ID:/AzeQ1+m0
今回はここまでー
また近々投下したりする所存ー
湿っぽい感じだけども
ではまたー
193 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/08/29(土) 03:11:58.34 ID:uOrwEt2O0
うおお展開的にも戒能さんのヒロイン力がすごい…
乙です
194 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/08/29(土) 16:33:46.32 ID:1pw4l2JHO
まあ幽霊として色々出来るようになるって事はその分だけ人間としての理から外れるって事だからなぁ
肉体って言う器というか重りが無い分、精神が不安定で暴走し易いだろうし
195 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/08/30(日) 03:08:28.00 ID:SBOR4KVM0
乙です
戒能さんの庇う様なセリフが辛い…。トシさんが真面目になってるとガチでヤバイ状態なんだなってなるね
196 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/08/31(月) 12:45:40.84 ID:OoBq44ac0
ゴォォストバスターズッ!!
197 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/02(水) 05:48:55.94 ID:nfKOcQbIo
乙!
198 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/09/15(火) 15:20:32.01 ID:y2PTvyFP0
よーやく時間が取れた
結構空けてしまったので昼間からひっそりと開始
イッチの書いてた非安価の中ではなかなかに早く終わりそう
199 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/09/15(火) 15:37:14.90 ID:y2PTvyFP0
京太郎「俺は……悪霊、なんですね?」
良子「ちがっ!」バッ
京太郎「こ、この状況でこれ以外にないでしょう!?」
トシ「……」
京太郎「なにが、助けたって……あんなん、ただのマッチポンプじゃねぇかっ!」クワッ
バチンッ
良子「きゃっ」
トシ「電気が……」
京太郎「っ!」
トシ「……ま、大体はあってるね。京ちゃんの言う通り、京ちゃんは現在、存在するだけで周囲のものを」
良子「熊倉さん!」
トシ「知らないままも残酷だよ。それになにかあってからじゃ、京ちゃんがまたこうなる」
京太郎「っ……話して、くださいよ」
トシ「ああ」コクリ
良子「す、須賀君はっ」
京太郎「……」
トシ「まぁ簡単に言えば悪霊……生命が輪廻転生する狭間」
京太郎「意味が、わかんないんですけど」
トシ「だろうね。結局、根本を説明したところですべて無意味。今の現状を再確認すべき、かね」
良子「な、なにを一人で納得しているんですかっ!」
トシ「私もこういう“パターン”は初めてだからね。困ってんだよ」
京太郎「つまりっ、俺はどうすれば、悪霊は、消えればさっさと成仏のプロセスを教えろって言ってんです!」
トシ「……戻る方法はさっき言ったろう。あんたが、未練を“思い出す”のさ」
京太郎「……そうじゃなくて」
トシ「戻る方法だよ京ちゃん」
良子「須賀君、なんで……死ぬんですよ? 体は生きている! まだあきらめるのはっ」
京太郎「……一人で、どうやって見つけるんですか、なら成仏させてもらったほうが」
良子「私がっ、私がいるじゃないですか!」
京太郎「それが嫌なんですよ!」
200 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/09/15(火) 15:50:51.55 ID:y2PTvyFP0
良子「え……」
京太郎「……戒能さん、優しいから、きっと生身に戻れるように俺のために、だからっ」
トシ「……」
京太郎「誰かを不幸にするぐらいなら、俺は」
トシ「本来の霊であるなら未練をなくして輪廻転生の輪に還す。だけど京ちゃんの場合は“肉体に帰る”ことになる」
京太郎「成仏、っていうか……その場合」
トシ「ああ、無理矢理に祓うっていう形であの世、というか輪廻転生に乗せるってことになるね」
京太郎「負の無限力」
良子「え、須賀君、なにを?」
京太郎「っ、いま……なにを?」
トシ「思い出さなくていい。ただタイムリミットは近いんじゃないかい」
京太郎「そ、そのタイムリミットがあるってのがわかんないんですよ!」
トシ「簡単さ、あんたはふつうじゃないからね。せいぜい二週間が限度、だろうね」
京太郎「なっ!?」
良子「た、タイムリミットになった場合、どうなるんです?」
トシ「さぁ、そこまでは……還るのか、それともその狭間で合一されるのか」
京太郎「っ……つまり、まともな状態ではいられない、と?」
トシ「そういうことさ」
京太郎「……」
トシ「でも、他人を不幸にするぐらいならそっちを選ぶんだろう?」
京太郎「っ……なんでも、知ってる風なことを言いますね」
トシ「さて、どうだったか」
201 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/09/15(火) 16:07:48.81 ID:y2PTvyFP0
良子「須賀君、まだ、二週間……」
京太郎「二週間っ! 二週間も一緒にいてみろ! 戒能さん、あんたがっ」」
良子「いいんです!」
京太郎「いいもんか! 俺がよくないっ! いやだ!」
トシ「京ちゃん……」
京太郎「いやなんですよっ、自分が無力なのも嫌だけど、それ以上にもっといやなのは!」
良子「すがくっ」
京太郎「誰かに迷惑かけてっ、その癖に期待に応えられなくてっ」
トシ「……」
京太郎「っ!」ダッ
良子「京太郎っ!!」
ダダダッ ガチャッ バタンッ
良子「っ……なんで、あんなことっ」
トシ「私だって言いたくなかったけど、しょうがないだろ。どうしようもない」
良子「どうかしようがっ」
トシ「いいや、答えはノーだ」
良子「っ……」
トシ「あの子、本来のルートなら結構ナイーブだからね。今回はあんたがしっかりやりな」
良子「え?」
トシ「あの子のこと、もうちょっと成長したらさ、いい男になるよ。外も内も……」
良子「……」
トシ「悪霊になっても悪霊を使っても……麻雀も、さ」
良子「熊倉さん、あなたは」
トシ「頼んだ」
良子「……thank you」
202 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/09/15(火) 16:56:35.97 ID:y2PTvyFP0
―――【交差点】
京太郎「ごめん咲、みんなっ……」
ガクリッ
京太郎「いつもいつもっ、俺は……!」
ガンッ
京太郎「みんなに迷惑かけてっ、弱くて、それでっ」
「迷惑だなんて、思ったこと、ありもしませんっ」
京太郎「……なんでっ!」バッ
良子「はぁっ、はぁっ……なんでなんで、今更、聞きますか……?」
203 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/09/15(火) 17:05:59.06 ID:y2PTvyFP0
京太郎「そりゃっ」
良子「なんで、なんてっ……関係、ないんです」
京太郎「ありますよ!」
良子「貴方は私を助けようとしてくれたっ」
京太郎「なにが!」
良子「電車でのことでしょう!」
京太郎「ひ、人を具合悪くするぐらいなら、あんなことっ」
良子「でもあなたは、あの時、本気で怒ってくれたでしょう?」
京太郎「マッチポンプですよっ」
良子「でも、あの感情と行動は、本物ですよね?」
京太郎「っ」
良子「……わかりやすい」クスッ
京太郎「ッ!!?」カァッ
204 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/09/15(火) 17:19:18.47 ID:y2PTvyFP0
京太郎「俺は、それでもっ」
良子「須賀君、ユーは……他人のために怒れる。他人を大事に思える」
京太郎「な、にを?」
良子「他人のために悲しめる。立派な人間です」
京太郎「そんなわけっ」
良子「しかし」
京太郎「っ」
良子「他人のために自分を卑下してしまう。少し、困った人です」クスッ
京太郎「戒能、さんっ」
良子「ですから、だからっ……それでもっ、私に、もうちょっとだけ付き合って、くれませんか?」
京太郎「……」
良子「なぜだかなんてわからない。それでも、あなたと一緒にいたいし、あなたと一緒に、あなたの生きる道を」
京太郎「戒能さんはっ!」
良子「……」
京太郎「戒能さんは、なんで……怖くないんですか? その先に、俺と一緒にいた先に、なにがあるかわかんないんですよ?」
良子「怖くありません」フッ
京太郎「っ」
良子「……一緒に、見つけませんか?」
京太郎「それはっ」
良子「未練、わかりませんが……見つけて、一緒に」
京太郎「なんでっ、俺なんかのためにっ」
良子「わかんないですよっ、それでも私はあなたに、なにかしてあげたいと思ってしまったんです」クスッ
205 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/09/15(火) 17:31:22.96 ID:y2PTvyFP0
京太郎「……そんなこと、言われたら、甘えますよ?」
良子「ええ」コク
京太郎「そんなこと言ったら、二週間つき合わせますよ?」
良子「ええ」コクリ
京太郎「そんなこと言ったら!」
良子「……」
京太郎「っ……俺、またこうやって逃げだすかもっ」
良子「そのたびに、私はこうやって追いかけて、何度でも……」
京太郎「っ」
良子「あなたを苦しめて、それで……幸せにしてあげたいと思います」ニコッ
京太郎「っ」
良子「まぁ、それはもとに戻してからの話になり、ますか」フフッ
京太郎「なんでっ」
良子「仕方ないじゃないですか、助けてあげたいって思っちゃったんですから」
京太郎「っ……助けて、もらって……いいですか?」
良子「オフコース もちろんです」ニコリ
206 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/09/15(火) 17:36:42.14 ID:y2PTvyFP0
ここまで!
ちなみに京ちゃんが見えないので見られたらやべーやつ扱いの戒能さんだよ!
最近になって怜読みだしたけどいいねあれ
とりあえず近々またやるーできれば明日か明後日にでもー
そんじゃまたー
207 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 21:20:58.27 ID:3YtfN4m60
かいのーさんマジ天使おつ
Tokiは小学生時代の泉が結構好き
208 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/16(水) 02:11:54.02 ID:hiQdNd6F0
ヒャッハー!京良だー!乙です!
やっぱりもう終盤なのか…生きがいが…
209 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/09/17(木) 16:05:57.22 ID:xVrXBpxw0
とりあえずちょっとだけやってくー
Tokiの泉いいよね、わかる
210 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/09/17(木) 16:20:09.07 ID:xVrXBpxw0
―――【ホテル】
トシ「で、仲良く手をつないで帰ってきたわけだけど」
京太郎「っ」カァッ
良子「あ、あれはなんというか、そう! え、エスケープされないための処置!」
トシ「あの感じじゃそれはないだろ、とかは言わないでおくけど」
良子「シャラップ!」
トシ「はいはい、それで協力して乗り切ろうってなったのはいいけども……いいんだね?」
良子「はい」コクリ
京太郎「それと、あの……」
トシ「わかってる……忘れるって話、だろ?」
良子「っ……」
京太郎「助けてもらうつもりです。それでもやっぱり……そんなの」
良子「私は見返りなんて求めな」
京太郎「そうじゃなくて、俺が……いやなんですよ」
良子「須賀君……」
京太郎「忘れるのは、絶対ですか?」
トシ「高確率、って話さ」
京太郎「絶対じゃ、ない?」
トシ「少なからず京ちゃんみたいに死の淵を漂いつつその時の記憶を持ってるなんてのは知らないね。園城寺でさえそうはなってない」
良子「園城寺怜……知り合いでした?」
トシ「“知り合いだったこともある”ってのが正確」
京太郎「えっと、と、とりあえずなんとかする方法とかは?」
トシ「知らない」
京太郎「……」
良子「とりあえず、それは須賀君がもとに戻れるようになってから考える。じゃあダメですか?」
京太郎「……わかり、ました」コクリ
211 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/09/17(木) 16:36:33.16 ID:xVrXBpxw0
トシ「さて、あと二週間と仮定して動き方を決めようか」
京太郎「俺の未練……」
トシ「不可能でなければなんでもいいよ。女の子にもてたいとか」
京太郎「そりゃこの状態じゃ無理ですね」ハハッ
良子「真面目に」
京太郎「ソーリー……えっと」
トシ「とりあえず今日一日はそれを熟考する日としようか」
京太郎「……良いんですか?」
トシ「焦ってもしょうがないだろ」
京太郎「……」コクリ
良子「では今まで通りで?」
トシ「いや、京ちゃんはあたしが連れてく」
京太郎「あ、はい」コクリ
良子「え、ど、どうして? なぜ? ホワイ?」
トシ「残酷だけど悪霊の類だからね、あんたとずっと一緒ってわけにも」
良子「わ、私のほうが体力ありますし! 熊倉さんマストダイですよ」
トシ「あたしそういうの無効にするから」
良子「!!?」
京太郎「えっと……戒能さん?」
良子「す、須賀君も私と一緒のほうが良いんじゃ!?」
京太郎(まぁ無効ならトシさんとの方が良いよなぁ、それに)チラッ
良子「ね!?」
京太郎(前までみたいに戒能さんと一緒にいて、大丈夫だろうか俺ってのもあるし)
京太郎「やっぱトシさんといきます。戒能さんになにかあってからじゃ遅いし」
良子「!?」
トシ「なに焦ってんだい戒能」ニヤ
良子「べ、別に!?」
212 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/09/17(木) 17:03:24.93 ID:xVrXBpxw0
―――【帰り道】
京太郎「ほんとに大丈夫なんですか?」
トシ「大丈夫だよ。いっとくけどそういう力の前じゃ戒能よか強い自信もあるし」
京太郎「そりゃ、すげーっすね」
トシ「まぁね、それに」
京太郎「ん?」
トシ「いやなんでも、なにはともあれ……あの場じゃああは言ったけど」
京太郎「……」
トシ「未練、そろそろピンときた?」
京太郎「……きてますよ。ずっと」
トシ「そっか」
京太郎「……トシさんってなんでも知ってますよね」
トシ「なんでもは知らない識ってることだけさ」ハッ
京太郎「その、修行つけてもらっていいですか?」
トシ「もちろんさ、そのためにあんた連れてきたんだから」
京太郎「うわ〜抜け目ないなぁ」
トシ「……」
京太郎「強くなっても、どーせ忘れるんですけどね」ハハッ
トシ「わかんないだろ?」
京太郎「ですけど、なんかそんな気がするんですよね」
トシ「そっか……」
ザッ
京太郎「大沼プロ」
秋一郎「おせぇよ悪霊とババァ」
トシ「うっさいよジジィ」
??「まるで妖怪大戦争ですね」
秋一郎「毒吐くんじゃねぇよ」
京太郎「あれ、そちらの方は?」
トシ「なんて説明しようか」
京太郎「あ! 松実さん! あれ、でもこないだの?」
トシ「あんたの同類」
京太郎「え?」
??「松実露子です♪」ニコッ
京太郎「……えぇっ!!?」
213 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/09/17(木) 17:20:18.48 ID:xVrXBpxw0
―――【どこかの雀荘】
京太郎「個室の雀荘……」
トシ「さてと」
秋一郎「よそから見たら二人ってのは笑えんな」
トシ「ま、なんでもいいけどね」
秋一郎「とりあえずどうすんだ。手加減したほうがいいか?」
露子「どうする?」
京太郎「えっと……そりゃもちろん」
トシ「いや、手加減は次から……少なからず一局目は全力、ただし飛ばさないように」
京太郎「鬼! オニババァ!」
トシ「祓うよ」
京太郎「ひぇ」
露子「山姥って言った方が妖怪感」
トシ「あんたも乗るんじゃないよ」
露子「はぁい」
京太郎「えっととりあえず……松実さんのお母さん」
露子「露子でいいのよ?」
京太郎「で、では露子さんも……お強い感じで?」
トシ「かなりね」
京太郎「俺にどうせいと」
秋一郎「まぁ死ぬほどしんどいかもしんねぇけど、死んでるし問題ないだろ」
京太郎「この人めっちゃ鬼!」
露子「じゃ、お見せしちゃおうかしら……龍神の力」ゴゴゴゴ
京太郎「ひぇっ」
トシ「大丈夫大丈夫、露子と京ちゃん戦わせれば吉って攻略本に出てたから」
京太郎「なんの!?」
トシ「ファ〇通」
京太郎「大丈夫!?」
露子「まぁ、お手並み拝見、かしら?」ニコニコ
京太郎(美人でおっぱい大きいけど……こえー!!!)
214 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/09/17(木) 17:21:49.64 ID:xVrXBpxw0
とりあえずここまでー
シリアス続きだったのでちょっと明るめに
また近々やりたい
そんじゃまたー
215 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/17(木) 22:10:45.99 ID:UwH0rwGJ0
乙
かいのーさんのヒロイン力高い
てか松実母絡むの珍しいな
216 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/18(金) 22:53:30.44 ID:Pptc8XQ+o
おつ
217 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/18(金) 23:55:08.79 ID:i+KbLSl20
乙です
露子さんだあぁぁぁぁ!!(歓喜)
なんか読んでていつも以上にテンション上がっちゃった
京ちゃんと一緒にいたくて食い下がるノーウェイさんかわいい
218 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/19(土) 05:35:14.11 ID:hu5q/U1FO
乙乙
読み返したらそういや確かに以前出てたんだなw
219 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/09/24(木) 00:24:47.10 ID:qsRQPJR80
ご唱和ください!スレの名を!
ってことで開始してく所存ー
220 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/09/24(木) 00:35:42.61 ID:qsRQPJR80
―――【雀荘】
京太郎「ぐへぇ〜」グテェ
トシ「まだ一局目、だろ」
京太郎「いやぁ、しんどいですって……」
トシ「なぁに、まだ十分力を出し切ってないだろう?」
京太郎「ええ〜戒能さんと鍛えた力、出し切りましたよ?」
トシ「いいやまださ、あの子と鍛えたならこの程度なわけないだろ」
京太郎「うぅ〜才能ないんですって」
秋一郎「才能がないってのは才能だ。こと麻雀に至ってはな」
京太郎「……皮肉っすか?」ジト
秋一郎「ちげぇよ。才能がないってのがまた別の力になるって話だ」
トシ「それに京ちゃんの場合、また違ってくるからね」
京太郎「?」
トシ「可能性は“幾らでもあった”んだから、そこから拾ってくればいいのさ……」
露子「トシさんってたまにわけわからないこと言うわよね」
京太郎「同感っす」
トシ「まぁわからなくてもいいよ。可能性は無限ってことさ」
京太郎「え〜なんか意味ありげで投げやり〜」
トシ「京ちゃん次第だから投げやりにもなるさね」
京太郎「……やりますか」
露子「あら、急にやる気」
京太郎「心配かけっぱなしってわけにもいかないっすからね、みんなにも……」
露子「ん、かっこいいぞ男の子〜」ナデナデ
京太郎「ちょっ、やめっ」カァッ
秋一郎「で、ほんとにやれんのか?」
トシ「まぁどっかの世界からなにかしら拾ってこれるか、それとも……」
秋一郎「ま、付き合ってやるけどよ」
トシ「優しいねぇ」
秋一郎「こういうガキは嫌いじゃねぇ」ハッ
221 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/09/24(木) 00:42:25.54 ID:qsRQPJR80
―――【その後】
京太郎「っ!」タンッ
トシ「ん……普通にやってて振込はほとんど回避してるね」
秋一郎「上等だな」
露子「え、それじゃあまた本気でやって良い?」
京太郎「俺、殺されます?」
露子「やだもう人聞き悪いんだから……ちゃんと半生のままにしておくから、ね?」ニコッ
京太郎「こえーんですけど」
トシ「ん〜もうすぐな感じなんだけどねぇ」
京太郎「……っし、もう一回!」
露子「ん、私に似た感じが一回した感じがしたんだけど」
トシ「あんたに? いや、そっちは違う……だから発現しなかった?」
京太郎「えっと……」
トシ「いや、であれば……やはり別口の力」
秋一郎「おい熊倉」
トシ「え……ああ、すまないね。やろうか」
京太郎「ん〜」
トシ(悪霊、霊……纏ろわぬ霊、ねぇ)
トシ「あ、そっちか」
京太郎「へ?」
トシ「ああいや……じゃ、本気でいくよ」ゴゥッ
秋一郎「はぁん、そこまでやんだったらこっちも」ドゥッ
露子「ん、京太郎くんのかっこいいとこ、みせてね?」ズォンッ
京太郎「ふえぇ」
222 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/09/24(木) 00:53:48.96 ID:qsRQPJR80
―――【三時間後】
トシ「ほう」
秋一郎「ったく」
露子「ふふっ」
京太郎「……16000オール!」
トシ「まぁこの一発はよかったかもね」
秋一郎「なにがきっかけだったんだ?」
トシ「自覚だろうね。歴とした自覚。死の淵を見るとわかる」
露子「現在進行形で見ている気が」
トシ「そっちとは別でさ……多元宇宙から力を呼び寄せるなんて“この京ちゃん”にはできなかったのさ」クスッ
京太郎「なに言ってんっすか」ゼェハァ
トシ「つまりこれはあんたが自ら呼び寄せた力。この世界のあんたはあんたが自ら悪霊の力をものにした。そういうこと」
京太郎「……意味がわかんないんっすけど」
トシ「今はいいよ。わかるときは……あんたが戻るとき、それでいい」
京太郎「?」
トシ「さて、雀荘を変えようか」
京太郎「まだやるんっすか!?」
トシ「なんてね、とりあえず解散……あんたは娘たちのとこ戻るといいよ」
露子「はぁ〜い……あ、京ちゃんにも私の娘たち、しっかり紹介しようかしら?」クスッ
京太郎「いやいや」
トシ「いいかもよ?」
京太郎「いやいやいや!」
露子「え〜そんなにいやぁ? 玄ちゃんも宥ちゃんもかわいいのに」
京太郎「知ってますけど、親に似てかわいいですね」ハァ
露子「お上手なんだから〜」ペシペシ
京太郎「?」
トシ「それじゃまた明日、いくよ京ちゃん」
京太郎「はーい……え、明日?」
223 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/09/24(木) 01:09:03.66 ID:qsRQPJR80
―――【さらに数時間:ホテル:トシの部屋】
京太郎「まさか宮守の宿泊しているホテルに来ることになろうとは」
トシ「そりゃまぁね……初めてだっけ?」
京太郎「え、そりゃまぁ」
トシ「そっかそっか、なんかあたしもボケはじめてるかも」
京太郎「ずっとそう思ってますけど」
トシ「祓うよ」
京太郎「いやいや冗談ですって!」アハハ
トシ「さてと、それじゃまずはおさらい」
京太郎「麻雀!?」
トシ「当然……戒能に良いとこ見せたいだろ?」
京太郎「え、まぁいやそりゃ……」メソラシ
トシ「……なら頑張るしかないだろうね。それに記憶さえ持ち越せるならば」
京太郎「あっ」
トシ「まぁその可能性は極めて低いけどやってみるか」
京太郎「……うっす!」ニッ
トシ(デッドエンドかバットエンドかビターエンドしか見えてないのに、よくやる……)
京太郎「頑張るぞー!」
トシ「さぁ京ちゃんそしたら質問だ」
京太郎「はい!」
トシ「あんたは悪霊、YESかNO」
京太郎「YES!」
トシ「……よし、やるか」
京太郎「え、なんの質問でした?」
トシ「心構えさ、心構え……」
224 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/09/24(木) 01:14:59.05 ID:qsRQPJR80
―――【そして昼】
京太郎(こんな麻雀漬けってのも久しぶりだなぁ)
トシ「ん、ほら」
京太郎「え、あ……!」
良子「須賀君……!」
テクテクテク
京太郎「え、えっと……」
良子「その、元気でした?」
京太郎「いやぁ、き、昨日の夜に別れたばっかですよ?」アハハ
良子「そ、ソーリー、確かにそうでした」カァッ
京太郎「……その、が、頑張ります!」
良子「へっ!? な、なにが、ですか?」
京太郎「あ、いや……」
トシ「なにやってんだい」
京良「!?」ビクッ
トシ「戒能はこのあとオフらしいし、京ちゃんは夜に伝えた場所ね」
京太郎「りょ、了解っす!」
トシ「……仲良いね」
225 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/09/24(木) 01:21:47.68 ID:qsRQPJR80
京太郎「えっと……どっか、いきます?」
良子「それじゃあやっぱり」
京太郎「?」
良子「帰り、ましょうか」クスッ
京太郎「……はい!」ニコッ
良子「えっと」モジモジ
京太郎「?」
良子「ま、また須賀君が逃げないように……て、手を、出してください」カァッ
京太郎「え、あ、に、逃げないですよもうっ」
良子「い、いいからっ、はりー!」
京太郎「う、うすっ」スッ
良子「ん」
ギュッ
良子「……さ、さぁ、帰りますよ」
京太郎「……はい」コクリ
良子「……」マッカ
京太郎「……」マッカ
226 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/09/24(木) 01:30:39.31 ID:qsRQPJR80
―――【ホテル】
京太郎(帰ってきたはいいが……なぜにいまだに手を繋いで!!)
良子(た、タイミングを逃しました!)
京太郎「……手を、洗ったほうがいいのでは?」
良子「確かに!」
パッ
京太郎「えっと、俺はいいよな」
良子(うぅ、私は一体なにをしてるんでしょう……)バシャバシャ
キュッ
良子「ふぅ……」ストン
京太郎(座るの、近くないだろうか……)
良子「……」
京太郎「……」
良子(しまった、なにも考えていない……)
良子「ま、麻雀、は?」
京太郎「あ、いやその……トシさんに猛特訓されてまして、今はちょっと」アハハ
良子「く、熊倉さんですか……」
京太郎(しまった! バッドコミニケーション!)
良子「それでは……」
京太郎(どうする俺ェ!)
良子「その、お話でも、しましょうか……」
京太郎「あ、はいトークですね」
良子「……」
京太郎(なにを……?)
良子「須賀君のこと、教えてください」
京太郎「へ?」
227 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/09/24(木) 01:33:26.13 ID:qsRQPJR80
京太郎「俺のこと、ですか?」
良子「はい、麻雀部でのことやなんでもない日常のこと、で」
京太郎「そんなことで、いいんですか?」
良子「そんなことでもいいんです」
京太郎「なんでまた」
良子「私が須賀君のこと知りたいから、じゃ……ダメ、ですか?」
京太郎「い、いや……そ、それじゃあ、あ、あれは去年の!」
京太郎(うわぁぁっ! 勘違いしてしまうぅぅ!!)マッカ
良子(わ、私はなにを恥ずかしいことを言って! うぅっ……)マッカ
228 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/09/24(木) 01:55:48.76 ID:qsRQPJR80
―――【数時間後】
京太郎「それじゃ……また、ですかね」
良子「はい、また明日、ですね」フフッ
京太郎「はい」
良子「なんだか、明日だっていうのに、寂しく、感じますね」
京太郎「……えっと」ポリポリ
良子(……また恥ずかしいこと言っちゃいました!!?)
京太郎「お、俺も、です」カァッ
良子「っ」
良子(うぅっ、か、かわいい……)
京太郎「ま、まぁ明日、また明日きますから!」
良子「約束、ですよ?」
京太郎「はい!」
良子「では、明日」
京太郎「また明日!」ニッ
バタンッ
良子「……でも麻雀、プレイしたかったです」ムゥ
229 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/09/24(木) 01:59:18.42 ID:qsRQPJR80
―――【雀荘】
京太郎「にしても、なんで今日もまた雀荘?」
トシ「まぁいいだろ」
露子「いろんな雀荘いけて楽しいわね」クス
京太郎「それなんすよ、なぜに別の雀荘?」
秋一郎「まぁいろいろな場所で色々経験するってのは大事だわな」
京太郎「なんとなく納得できないでもない」
露子「ふわふわした返答だね、幽霊だけに」
京太郎「え〜、まぁでも……今日もいいとこ見せますよ!」グッ
秋一郎「じゃあ最初は本気でいくか」
トシ「だね、そうじゃなきゃ意味ないし」
露子「ふふふっ、かっこいいとこ見せてね京ちゃん♪」
京太郎(俺は、生き残ることができるか……)トオイメ
230 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/09/24(木) 02:00:19.04 ID:qsRQPJR80
今回はここまでー
じわじわと最後の時が迫ってきたようでございます
思ったよりは長くなりそうなのだけれども
そんじゃまたー
231 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/24(木) 02:51:48.10 ID:5ImdSmfD0
乙です!
京良の初々しい感じとか手探りな感じがもう本当好き
232 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/24(木) 05:39:09.77 ID:dZFXvoj60
ふー!戒能さんとのやりとり甘酸っぺえたまんねえ!
233 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2020/09/28(月) 15:56:21.40 ID:NtXNaaqi0
ムラムラします
234 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/30(水) 04:36:11.97 ID:wCpmL1Zt0
乙
イッチの書くトシさんは全ての世界線の記憶持ってそうでこのスレの京太郎よりも普通に化け物感がやばい
235 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/10/05(月) 23:59:01.25 ID:vyxqLRD00
デスシウム投下!
正直思ったよりも長くなっている
とりあえずまこめしいいよまこめし
236 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/10/06(火) 00:14:33.29 ID:BlCY1y+r0
―――【雀荘】
京太郎「ぐへー」グテー
トシ「ま、こんなもんかね」
秋一郎「こいつぁ驚いたな」
露子「あれ、大沼プロがそんなこと言うなんて」
秋一郎「いやまぁ……“一週間”でここまでくるなんざ大したもんだろ。実際あったんだろ、才能が」
京太郎「……複雑ですけどね、才能って言葉を嫌っていた身としては」
秋一郎「才能ってのにも上下があるからな、それに伸ばし方なんかも」
京太郎「……」
秋一郎「まぁ上の下ってとこだなこの感じじゃプロレベルに勝つなんじゃ絶対無理だろ」ケラケラ
京太郎「ぐぅ、鬼じじぃ」
秋一郎「鬼じじぃの上を目指せよ若造」
京太郎「目指しますよ。目指しますとも……絶対ポイント上回っちゃる」
秋一郎「俺がくたばる前には頼むぜ?」ハハッ
露子「くたばってるのは京ちゃんだけれどね」クス
京太郎「うまいこと言った!」
トシ「はいはい、でも一週間よく食いついてきたよ……それでこそ京ちゃん」フッ
京太郎「いやトシさんはトシさんでなんなんっすか」
トシ「まぁ親切なおばあちゃんだよ」
京太郎「親切なおばあちゃんってレベルじゃねぇ気が」
トシ「なにはともあれいくつもの雀荘でやりあってはみたけど、どう?」
京太郎「ん……別に変化はなかったっすね。いや、なかったわけじゃないけど」
露子「“成長”って意味での変化だし、あまり場所は関係なさそう?」
京太郎「イエス!」
トシ「なら十分」コクリ
秋一郎「ん、十分ってことは」
トシ「京ちゃん……そろそろ、覚悟はしとこうか」
京太郎「……俺の未練わかってるんですか?」
トシ「ああ、今ならわかるよ……なんなら、京ちゃんよりもハッキリと」フッ
京太郎「俺の予想じゃ無理なんですけど」
トシ「無理じゃないさ、あと二日……いや三日、やりあおうか」
露子「大丈夫?」
京太郎「……オフコース、上等っす!」ニッ
237 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/10/06(火) 00:27:15.70 ID:BlCY1y+r0
―――【ホテル:良子の部屋】
京太郎「ん〜もうみんな帰っちゃうのかぁ」
良子「みたいです。あなたの須賀君のご両親も来ていて、本当にあと数日でボディも長野に」
京太郎「数日、ですか」
良子「ん?」
京太郎「いや、二日か三日、ですかね」
良子「ホワイ? どうして、そう思うんです?」
京太郎「トシさんがそう言ってたんで」
良子「あ〜イエス、納得しました」
京太郎「なるほどね、これは本格的にってことか」
良子「必ず、未練を見つけてもとに」
京太郎「未練はわかったんですよ。たぶん」
良子「ほんとですか!?」バッ
京太郎「うぇっ!? ま、マジです! リアルに!」
良子「……よかった」ホッ
京太郎「たぶんですけど、まぁなんとかなりそうな」
良子「もぉ、あんな良いご両親を心配かけてはだめですよ?」
京太郎「……えっ!? 会ったんですか!!?」
良子「え、ええまぁ……でないとボディのほうの話も聞けませんし」
京太郎「そ、そうっすよね、ね……」アタマカカエ
良子「あ、会ってはバットでした?」
京太郎「いや、いいんですけど……」
京太郎(起きたらめっちゃからかわれそう……)
238 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/10/06(火) 00:40:51.94 ID:BlCY1y+r0
良子「そういえば、個人戦のチャンプについてですけども」
京太郎「いや! まだ幸い耳に入ってきてないんで聞かないっす!」
良子「……リアルボディに戻ってから、ですか?」クスッ
京太郎「イエス! その時まで楽しみにしますよっ」ニッ
良子「ええ」フフッ
京太郎「まぁどーせ咲だろうけど」
良子「なぜそう?」
京太郎「そりゃ、俺の一番の親友……相棒?」
良子「男女で?」
京太郎「男女間の友情は成立するんっすよ? ジョージョーユウジョーっす!」グッ
良子「へ?」
京太郎「ですよね、そうなりますわ」
良子「むぅ……」
京太郎「な、なんっすか」
良子「なんだか、宮永さんには敵わないようで」ムゥ
京太郎「ど、どういうことで?」
良子「いいえ」
京太郎「え〜」
良子(うっ、私は私が思っているより面倒くさい性格っ!)
京太郎「な、なんか嫌なこと言っちゃいました?」
良子「いえ、別に……」
良子(だめです! ダメ! 嫌われてしまう! しっかり、ただでさえ最近、須賀君を熊倉さんにバンデッドされて……って!!!?)
良子「盗られてってなんですか!?」
京太郎「ひゃわっ!?」ビクッ
良子「あ……失礼」コホン
京太郎(顔赤いな)
239 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/10/06(火) 00:51:33.69 ID:BlCY1y+r0
京太郎「えっと、それでですね」
良子「ん、どうしました?」
京太郎「明後日、戒能さんって一日オフって聞いたんですけど」
良子「イグザクトリィ、そうですが」
京太郎「えっとですね……」ポリポリ
良子「?」
京太郎「その……」
良子「どうしました? なんでも言ってください」フフッ
京太郎「では」コホン
良子「はい」
京太郎「……デート、しませんか!?」
良子「グッド!」
京太郎「……え、マジですか!!?」
良子(……え!!!!!?????)
京太郎「よかったぁ……」エヘヘ
良子(ソゥ、キュート……じゃなくて!!)
良子「デートですか!!?」
京太郎「ひゃっ、そ、そうですけど……や、やっぱダメっすか?」
良子「だ、ダメじゃないです! 全然!」
京太郎「そ、そっか、よかった」アハハ
良子(でーと、でーと……デート! デート!!? デート!!!!)
良子「……」
京太郎「え、ほんと大丈夫ですか?」
良子「ゆあうぇるかむ!」
京太郎「よかったぁ」ニヘラ
良子(かわいい!!!)
240 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/10/06(火) 01:04:35.18 ID:BlCY1y+r0
京太郎「そ、それじゃあ明後日、ですからね?」
良子「もちろんです!」
京太郎「はぁ〜ドキドキしたぁ」フゥ
良子「……私が断るわけ、ないじゃないですか」クスッ
京太郎「へ? それって……」
良子「っ……もちろん、元の体に戻してあげるのが目的ですからね」フフッ
居太郎「……ありがとう、ございますっ」ニッ
良子「ええっ」フフッ
―――【〜〜ランド駅前】
良子(あれから二日!)
良子「……」ソワソワ
良子(う〜おかしいところはないでしょうか!? というよりデートとか初めて!?)ワタワタ
良子「リラックス……深呼吸です」フゥ
良子(にしても待たすなんて、と言いたいところですが一時間も前に来てしまいました)ハァ
良子「浮かれすぎ、でしょうか」
???「あれ!?」
良子「ひゃわっ!?」ビクッ
京太郎「早くないっすか!?」
良子「そそそ、そちらこそ!」
京太郎「いや、俺は誘った手前……」
良子(しまった!)
良子「い、今来たところです」キリッ
京太郎「え、あ、はい」
良子(ミステイク!)
241 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/10/06(火) 01:11:36.74 ID:BlCY1y+r0
良子(開幕、バッドコミュニケーション!)
京太郎「えっと、そのですね……へへっ」
良子「?」
京太郎「い、いや……一時間ですけど、戒能さんと一緒に入れる時間、増えるなって」ハハッ
良子( か わ い い )
京太郎「その、俺ほかの人には見えないんで戒能さんには迷惑かけると思うんですけど」
良子「気にしませんよ、一人遊園地だと思われようと私は……行きましょう、須賀君」フフッ
京太郎「はいっ!」ニッ
良子(というよりそんなとこ気にしてたんですね……気にしぃですね)
良子「というより周囲に目は配してたつもりだったんですが」
京太郎「なんと、飛べるようになりまして」
良子「……それはまぁ」
京太郎「あはは、そろそろやべぇっすけど……ま、気にしません。今日で、いや明日で全部終わらせますから」ニッ
良子(でもそれは……いえ、今は考えるべきじゃない)
京太郎「……たぶん」
良子「不安ですね」
京太郎「まぁ」アハハ
242 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/10/06(火) 01:25:30.57 ID:BlCY1y+r0
テクテクテク
京太郎(当然のように……)
良子(手を、つないでしましました……)
京太郎「暑いですね」
良子「ま、まぁ夏ですから」
京太郎「ですよねー陽が沈んできたとはいえさすがにっすね」
良子(にしても、デートには遅い時間ですが……まさか、このままホテルへ!?)
良子「っていつもホテル」
京太郎「へ、なにがですか?」
良子「あ、ああいえ……邪念を消し飛ばそうと」
京太郎「なにかありました?」
良子「いえいえ」
京太郎「……あ、あれ乗りましょうよ、ゆっくりできるし」
良子「え、ええ」
良子(邪念は捨てなくては! 今は須賀君とデート! デートです……これでは!)
京太郎(うぅっ、いつにもましてドキドキしてしまう……これでは!
京良(手汗が!!)
243 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/10/06(火) 01:35:58.53 ID:BlCY1y+r0
京太郎(結局、一個とはいえアトラクションに乗ったあとでも手をつないでしまっている……)
良子(むぅ、しかし手を離すのはその……いや、ですし)
京良(いっか!)
考えるのを止めた
京太郎「えっと、そういえばなんですけど」
良子「え、はい」
京太郎「その、またうちの両親とかとかちあったりとかは……」
良子「あ、はい昨日」
京太郎「昨日!!?」
良子「え、ええ」コクリ
京太郎「なんか、言ってました?」
良子「えっと……」カイソウ
須賀父「うちの京太郎、必ず起きると思いますので!」
須賀母「起きたらぜひ家へ来てくださいね!」
良子「え、あ、はい」コクリ
須賀父「やったー! 京太郎にこんな美人な知人がいるなんてな!」
須賀母「しかも絶対京ちゃんは好きなタイプ!」
良子「ふぇっ!? そ、そうなん、ですか?」カァッ
須賀母「はい!」
須賀父「俺と同じでおっぱいせいじ……母さん顔が、顔がこわい」
須賀母「……コホン、すみません変なことを」ペコリ
良子「の、ノープログレム、もーまんたいです」
須賀母「京ちゃんのこと、お願いします」
良子「へ、そ、それは?」
須賀母「あれ、そういう感じじゃ? 咲ちゃんとは全然違う雰囲気だったし」
良子「……そ、そのっ」マッカ
須賀母「……京ちゃん早く起きれ!」
良子「……な、なんでもありません」メソラシ
京太郎(あ〜なんかあったなぁこれ……うちの親、変なことしてないよなぁ……)
244 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/10/06(火) 01:41:12.82 ID:BlCY1y+r0
良子「あ、次はあれにしましょう」
京太郎「……ぜ、絶叫系、ですか」
良子「ええ、ダメ、ですか?」
京太郎「ああいや、全然……」
良子「怖いですか」クスッ
京太郎「ぜ、全然!」
良子「怖いならハンドでも握っていてあげましょうか」クスッ
京太郎「だから全然! っていうか、手はその……握りっぱなしじゃないですかぁ」
良子「あぅっ、た、確かに」カァッ
かと言って、離すわけでもない
京太郎「……い、いきますか」カァッ
良子「い、イエスっ」コクリ
245 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/10/06(火) 01:44:30.96 ID:BlCY1y+r0
とりあえずここまでー
中途半端だけどもここまでで、少し要点以外は端折っちゃっているけども
そろそろクライマックス! と言い続けてる気もする
そんじゃまた近々ー
246 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/06(火) 02:13:03.78 ID:GA7Jq7qL0
乙です!
デートに誘われてるときめっちゃ戒能さん百面相してるんだろうなあ
247 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/06(火) 04:46:15.13 ID:WBNDrU1I0
乙!
この世界線の須賀父はしっかり父親してるようでよかった
248 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/06(火) 04:53:38.65 ID:pUWRGBs80
おつー
はー戒能さんかわいい
249 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/10/07(水) 13:55:09.39 ID:yuX/0Nfh0
良いね
結末が気になるぜ
乙でした
250 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/07(水) 14:10:08.45 ID:hOb3jgx1O
希望が見えた
251 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sega]:2020/10/07(水) 14:14:14.74 ID:GA9zcL2YO
ヒノカミ神楽
252 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/10/08(木) 00:33:47.81 ID:iYX4OPw+0
まさかこんなペースで投下してくるとは思うまい!
多少雑把なとこは大目にみてやってつかぁさい
253 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/10/08(木) 00:38:19.22 ID:iYX4OPw+0
―――【その後】
京太郎「っ!」ゼェハァ
良子「っ……そ、そんなにっ」プルプル
京太郎「ひ、ひぇ……しょ、正直侮ってました」
良子「ふふふっ、空もフライできるのにっ」クスクス
京太郎「そ、そりゃあんな速度じゃっ……」
良子「また須賀君の新しいところを発見できました」フフッ
京太郎「っ」カァッ
良子「さて、次はどうしましょうか……もう一回乗ります?」
京太郎「い、いや次は死にます。もう死んでるけど」
良子「……」
京太郎(しまった! ブラックジョークが過ぎたか!?)
良子「……やっぱりやめましょうか」
京太郎「えっ」
良子「次は、ボディに戻った時に一緒に……ですね」フフッ
京太郎「う……うっす!」ニッ
254 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/10/08(木) 00:49:30.58 ID:iYX4OPw+0
良子「のんびりとしたのもグッドですね」
京太郎「そうっすね、ドールが動いたりとか退屈かと思ってましたけど、案外楽しい」
良子「須賀君、こういうのはその……経験あるんですか?」
京太郎「え、遊園地っすか?」
良子「いえ、そ、そうでなくて……その」
京太郎「?」
良子「で、デートです」カァッ
京太郎(なにこの初心な二十歳! かわいい!)
京太郎「ま、まさかぁ……」
良子「ほ、本当ですか?」
京太郎「なんで嘘つくんっすか」アハハ
良子「なんだか、慣れているように見えたので」
京太郎「こ、これでも緊張してるんっすよ?」
良子「……そ、そうですか」ウツムキ
京太郎(あれ、なんかミスった?)
良子(な、なぜかうれしい……なんででしょう、この感じ……)
京太郎「あ、そろそろ時間だ」
良子「え?」
京太郎「えっと……観覧車でも、乗りません?」
良子「い、いえす……」
良子(ロマンチック……というより完全にデート、デート……デートでした!)マッカ
255 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/10/08(木) 01:09:52.85 ID:iYX4OPw+0
―――【観覧車】
京太郎「おー高い、てか街が綺麗だ」
良子「本当ですね」クスッ
京太郎「さすがにこんな高さまでは飛べないしなぁ」
良子「そうなんですか?」
京太郎「……飛びたくない、ですかね。正確には」
良子(人というものから外れすぎた力への恐怖、ですか……)
京太郎「好きなんです」
良子「ふゅえっ!?」ビクッ
京太郎「うおっ!? あ、いやそうじゃなくて! そうじゃなくて!」マッカ
良子「ななな、なにがですか!? ワイッ!」マッカ
京太郎「す、すみません自分で勝手に完結しちゃったもんで……その、別のことです」
良子「え、えっと……コホン、どうぞ」
京太郎「……自分語りみたいで、恥ずかしいんですけど」
良子「言ったじゃないですか、私は須賀君のことをもっとたくさん、知りたいんです」ニコリ
京太郎「……その、麻雀やめようかなって思ってたんです」
良子「え?」
京太郎「いや今思えば馬鹿なって思いますけど……幼馴染の咲と一緒に麻雀できるようになって仲間に囲まれて」
ユラユラ
京太郎「正直、浮かれてて……なんの根拠もなしに俺はやれるって思って失敗して、その結果お情けで来させてもらってなんて」
良子(仲間たちはそうは思っていないんでしょうけれど、ナイーヴになっていたせい、でしょうね」
京太郎「結果こんなことになっちゃって、起きたらどうしようとか考えてて、やっぱりみんなから離れたほうがいいのかなと思って」
京太郎「そうやって考えたけど、やっぱり謝って許してもらって一緒にいたいんです」
良子「……」
京太郎「麻雀やって、青春して……みんなのこととか、麻雀とか好きなんだなって」
良子「……その」
京太郎「?」
良子「私とはどうですか?」
京太郎「え?」
良子「その、清澄のみんなが、仲間が大事というのはわかりました……それでは、私は?」
京太郎「か、戒能さん、は……」
良子「貴方にとって私は……」
256 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/10/08(木) 01:16:34.17 ID:iYX4OPw+0
京太郎「仲間とか、そういうんじゃないんですよ」
良子「っ」
京太郎「俺にとって戒能さんって……」
良子「……」ウツムキ
京太郎「短い間だったけど、一緒にいて……もっと、大事な人、です」
良子「……え?」
京太郎「っ、す、すみません! やっぱなんでもっ」
良子「聞かせてっ!」
京太郎「っ!」
良子「お願い、します」
京太郎(ゆ、夕日のせいか? 顔、赤い気が……)
良子「……」ジッ
京太郎「……」スーハー
257 :
◆Bc4KZX4MNU
[saga]:2020/10/08(木) 01:34:06.62 ID:iYX4OPw+0
そっと、胸を押さえて深呼吸
伝えるべきこと、伝わってほしいこと、頭の中で整理して吐き出すような器用な真似は今の京太郎にはできない
故に、対面に座る戒能良子を見つめて、言葉を紡ぐ
「戒能さんは俺の唯一なんです」
「唯一……?」
「はい、俺のことを知って助けてくれて、受け止めてくれて、一緒に考えてくれて」
半周を周り終えて、下るだけの観覧車
その風景など一切視界に入ることもなくただお互いがお互いの瞳を見つめあう
「それだけじゃなくて一緒に麻雀しようなんて言ってくれたり教えてくれたり、親身になってくれたり」
京太郎の膝の上の拳が握りしめられる
今までのことを思い出して感極まった、というのもあるがそれだけではなく
「そんな、そんなことしてもらって……逃げ出した俺を追いかけて、手を引っ張って連れてってくれて」
まっすぐに、それでも須賀京太郎は戒能良子の瞳を見続ける
彼女の潤んだ瞳、紅潮している頬、それらを視界にしっかりと焼き付けつつ、言葉を放っていく
悪霊として受け止められたのは彼女がいたからならば―――
「俺が生きたいって思うのは戒能さんといたいから、なんです」
「っ……」
「きっと、俺は戒能さんのこと……」
先ほど“違う”と言ったが結果的にはなにも相違なかった
事実は自分の中にあった。前からも、今も、きっとこれからも……
「ラブです……大好き、です」ニッ
「ッ〜! わ、私―――!」
ガタン、と揺れると同時に扉が開かれる
笑顔で迎えてくれる従業員になんとも言えぬ感情を抱く良子
しかし時間は戻らないし、これ以上は進めない
「降りましょう?」
「……はい」コクリ
そうして“一人で乗った観覧車”から降りて、“良くないモノ”の後ろを着いていく
繋がれていた手はすでに離れていて、手を何度か伸ばすが掴むに至らない
そしてそのまま、出口から遊園地を出る
「……帰りましょうか」フッ
「……はい」フッ
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