【ガルパン】ゆめおち

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/07(火) 21:04:59.10 ID:1QTXd7kI0
しほ(……みほが交通事故にあったその瞬間を、私は何度も何度も再生する。目を背けたいはずなのに)

しほ(私の少し前を歩いていたみほの背中。この子が熊本の家をを飛び出して以来、間近でみる数か月ぶりの身体。背中が少し、大きくなったような気がする。それなりに、頑張っているのだろうか。学校の勉強は順調なのかと、声をかけようとした次の瞬間)

しほ(信号無視をしてきたトラックが、この子の背中を横なぎに粉砕した)

しほ(その衝突はは人間の目にとらえうるような悠長なものではないはず。けれども私の目は確かにその刹那を認識してる。視界の端に突如現れるトラックの車体。無骨なトラックのフロントはみほの体よりもずっと大きい。そのフロントに、いかめしいバンパーがついていて、そう、それが、みほの肘のあたりに最初に激突をした)

しほ(瞬きをするまもない一瞬、私は何度も何度もその一瞬を繰り返しに見る。目に、焼き付いてしまっている。焼き付けて、しまった)

しほ(みほの体がくの字に歪んだ……ような気がした、次の瞬間、みほの背中があったはずのその空間が、トラックの圧倒的な車体に押し流されていく。いいえ、押し流す、だなんて表現では本当になまぬるい。ぬりつぶされる? 侵される? ……よくわからない。とにかく、轟音、爆風、排気ガスの匂い、頬に衝突する砂埃。それらの激流が、突如として私の視界を乱暴に満たす。そしてまた瞬間後にそれは過ぎ去って……そこにはもう何もない。横断歩道の向こうの景色が、不気味なほどにしっかりと見えている。みほの背中がない……私の娘は、どこ?)

しほ(彼女がトラックに轢かれたのだ、という事を、私の頭はまだ理解できていない。脳が、まだ情報を処理しきれていない。土石流のごとく浴びせかけられた知覚情報の衝撃が、脳を麻痺させてしまっている。)

しほ(けれど、脳の一部は理解し始めている。何が起こったのかを認め始めている。その理解の実体を、遠くにはっきりと感じる。なんだかそれがどんどん近づいてくる。『車』、『引かれた』、『みほが』断片的な言葉。恐ろしい現実の、その影が迫ってくる。でも、それはまだ、少し遠くにある)

しほ(ほとんど無意識に、激流の流れていった方向に目をやる。トラックが、ガードレールに激突して歩道に乗り上げるのが見える。気づく。トラックだ。これは事故なのだ)

しほ(気が付けば、理解の実態がすぐそこまで迫ってきている。それはものすごい恐怖だった。『みほは、どこ』。逃げなければならない、その実態につつまれる前に
みほを、助けなければならないから……)





しほ(……)

しほ(……あぁ、まったく、なんという夢なのですか。菊代め、目が覚めたら、あなたを絞め殺してやる……)

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