サーバル「ジャパリスクールってなになにー!?たのしそー!!」

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107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 01:08:12.54 ID:Opb9nYyko
ビーバー「これがおれっちたちが歌う曲なんすね……」

プレーリードッグ「これも文字でありますか?」

かばん「これは音符っていうものですね」

ハシビロコウ「また知らないこと……」

トキ「歌というのはその音符のとおりに歌うの」

スナネコ「見方がわからないと歌えませんね」

トキ「私がお手本をみせるわ」

ハシビロコウ「それなら歌えるかも」

かばん「お願いします」

トキ「うふっ。歌うわね」

トキ「うぇ〜かむとぅ〜!! よぉ〜こそ〜じゃぱぁ〜りぱぁ〜く! きょ〜もぉどったぁんばぁ〜ったん! おぉ〜さぁ〜わぎぃ〜!!!」

サーバル「うみゃぁ……? 聞いたことあるような……ないような……」

かばん「これってペパプのみなさんが歌ってた曲じゃない?」

サーバル「え!? ホント!?」

かばん「もらった楽譜に前のライプで聞いた歌詞が書いてあるから、間違いないと思うよ」
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 01:20:16.97 ID:Opb9nYyko
サーバル「こんな歌だったっけ?」

かばん「トキさんのアレンジが入ってるのかも」

スナネコ「アレンジで原曲の原型がなくなるのはどうかと思いますけど」

トキ「らぁらぁらぁ〜!! あぁ〜つまれぇ〜とぉもだぁちぃ〜!!!」

カワウソ「わたし、うたっていい!? うたっていいよね!?」

トキ「いいわよ。一緒に歌いましょう」

カワウソ「わーい!!」

トキ・カワウソ「「うぇ〜かむとぅ〜!! よぉ〜こそ〜じゃぱぁ〜りぱぁ〜く! きょ〜もぉどったぁんばぁ〜ったん! おぉ〜さぁ〜わぎぃ〜!!!」」

サーバル「うみゃぁ!? 声がかさなったぁ!!」

ハシビロコウ「ペパプの曲ってこんな感じなんだ」

サーバル「全然違うよ!!」

ビーバー「イワビーさんがいるなら、歌ってもらえば……」

プレーリードッグ「呼んでくるでありますか」

かばん「待ってください。イワビーさんはあくまでも体育担当ですから。今はトキさんの授業ですし、このまま続けましょう」

トキ・カワウソ「「おぉ〜! ひがしぃへぇほえろぉ〜!! にぃしぃへぇ〜ほぉえぇろぉ〜!!」」
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/24(日) 10:30:06.13 ID:3D3PbN3Go
音楽の授業これ詰んでね?
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 12:35:35.88 ID:Opb9nYyko
トキ「あなた、すごくいいわ。才能あるんじゃい?」

カワウソ「ホント? それじゃあもう一回、うたお!」

トキ「アンコール、ということね」

カワウソ「あんこーるっ。あんこーるっ」

かばん「あの、ぼくも歌ってみたいんですけど」

サーバル「かばんちゃん!?」

トキ「もちろんよ。みんなで歌いましょう」

カワウソ「さぁー、うたうよー」

トキ・かばん・カワウソ「「うぇ〜かむとぅ〜!! よぉ〜こそ〜じゃぱぁ〜りぱぁ〜く! きょ〜もぉどったぁんばぁ〜ったん! おぉ〜さぁ〜わぎぃ〜!!!」」

サーバル「うぎゃー!!」

ビーバー「かばんさんもカワウソさんもすごいっすね。一度聞いただけで同じように歌えるなんて」

プレーリードッグ「私には真似できないであります」

ハシビロコウ「こんな歌じゃないなら、どんな歌なんだろう……」

ラッキービースト『……』ヨチヨチ

ハシビロコウ「ボス? どこにいくの?」
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 12:43:22.08 ID:Opb9nYyko
ラッキービースト『……』パカッ

サーバル「あれ? ボス、どうしたの? 確かそれって……」

ラッキービースト『……』ジャーン!!!!

トキ「え……?」

カワウソ「何の音ー?」

かばん「ラッキーさん?」

ラッキービースト『ヨキキイテイテネ カバン』

かばん「あ、はい」

ラッキービースト『――Welcome to ようこそジャパリパーク! 今日もドッタンバッタンお・お・さ・わ・ぎ!』

トキ「な……!?」

カワウソ「なになにー!? どこから音楽なってるのー!? ふしぎ、ふしぎー!」

サーバル「ボスが歌いだしたぁぁぁぁ!?」

ビーバー「すごいっす! ボスもうたえるんすね!」

プレーリードッグ「底が知れないであります!」

かばん「ピアノの鍵盤が勝手に動いてる……。ラッキーさんが弾いてるってこと……?」
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 12:50:21.32 ID:Opb9nYyko
ラッキービースト『ララララ ララララララ 素敵な旅立ち〜。ようこそ、ジャパリパーク!』ジャン

ラッキービースト『コノウタハ コウウタウヨ』

サーバル「すごーい!!」パチパチ

カワウソ「そうやってうたうんだー」

かばん「ペパプのみなさんは確かにそうやって歌っていましたね」

ハシビロコウ「素敵な歌」

トキ「私がまちがっていたの……」

かばん「トキさんの歌もとても力強くて、ぼくは好きですよ」

トキ「ありがとう。私のファンはやっぱりわかってくれるのね」

スナネコ「上手いかどうかは言わないんですね」

ラッキービースト『ツギハ オンガクダケヲ ナガスカラ ミンナデ ウタッテミテネ』

かばん「はい!」

ラッキービースト『ハジメルヨ』

サーバル「トキ、今度はボスの音楽に合わせて歌ってみようよ」

トキ「やってみるわ」
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 12:50:48.99 ID:Opb9nYyko
>>111
ラッキービースト『ヨキキイテイテネ カバン』

ラッキービースト『ヨクキイテイテネ カバン』
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 13:00:35.76 ID:Opb9nYyko
―プール―

『うー! がぉー!』

イワビー「お。やってるなぁ」

ワシミミズク「……」バサッバサッ

イワビー「じょ……じゃなかったな。きょーとー、どこいくんだー?」

ワシミミズク「気にすることはないのです」

イワビー「そうか?」

ワシミミズク「それより、イワビーは歌の指導もしてもいいのですよ?」

イワビー「トキの仕事だろ。どうしてもやりたいっていってたじゃねえか」

ワシミミズク「ちゃんと歌えるようになるのか不安なのです」

イワビー「ちゃんと歌えてるみたいだぜ」

『Welcome to ようこそジャパリパーク! 今日もドッタンバッタンお・お・さ・わ・ぎ!』

ワシミミズク「……なら、いいのです」

イワビー「ハカセたちってこの曲を絶対に歌わせるよな。ペパプのライブでも絶対に歌えって言ってきたし」

ワシミミズク「当たり前です。この歌はパークのテーマソングなのですよ」
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 13:12:42.71 ID:Opb9nYyko
―音楽室―

ラッキービースト『ナカナカ ヨクナッテキタネ』

かばん「ありがとうございます」

サーバル「歌って、たくさん歌うとハアハアするんだね」

ハシビロコウ「声がかすれてきたかも」

ビーバー「何事も簡単にはいかないっすねぇ」

トキ「このあとはアルパカの授業になっているから、喉の調子はすぐによくなるわ」

サーバル「アルパカの紅茶が飲めるのー?」

カワウソ「おー! 紅茶、のみたーい!」

スナネコ「こうちゃってなんですか?」

かばん「アルパカさんがカフェで出している飲み物です。美味しいんですよ」

スナネコ「へー。そうなんですかぁ。興味、あります」

トキ「もう一度、最初から歌ってみましょう」

プレーリードッグ「もうひと踏ん張りでありますな!」

ラッキービースト『オンガクヲ ナガスヨ』
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 13:18:42.88 ID:Opb9nYyko
カラーン!! カラーン!!

トキ「今日はこれでお終いね。続きは次の授業になるわね」

かばん「ありがとうございました、トキさん」

カワウソ「たのしかったよー」

トキ「次もみんなで歌いましょう」

サーバル「トキも練習しててね」

トキ「任せて。次に会うときは完璧に歌えるようにしておくから」

ハシビロコウ「努力家……」

ビーバー「勉強家なんっすよ」

プレーリードッグ「それではトキ殿ー! さよならでありまーす!」

トキ「バイバイ」

スナネコ「トキも途中から音楽に合わせて歌えるようになってきて――」

『うぇるかぁむとぉ〜よぉぉこぉそ〜じゃぁぱぁりぱぁぁく!』

スナネコ「音楽が流れていないとダメみたいですね」

サーバル「歌も難しいね」
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 13:28:00.09 ID:Opb9nYyko
―家庭科室―

サーバル「次はここだよねー?」ガチャ

アルパカ「ふわああぁ! いらっしゃぁい! よぉこそぉ! 家庭科室へ〜!」

かばん「よろしくお願いします」

スナネコ「どんな授業をするのですか」

アルパカ「もちろん、紅茶のいれかただよぉ。それよりも、みんな歌って疲れたでしょぉ? 今、紅茶いれるからにぇ。ちょっとまっててにぇ」

サーバル「わーい!」

カワウソ「こうちゃってどんなの、どんなの? どうやっていれるのー?」

アルパカ「お手本みせておかないとにぇ。こうやるんだよぉ。えへへぇ」

ビーバー「とても楽しそうっすね」

かばん「アルパカさんは紅茶の良さを知ってもらいたいみたいですし、こういう授業は本当に嬉しいんだと思います」

ハシビロコウ「……」

アルパカ「そんなに見つめられると緊張するよぉ」

ハシビロコウ「ごめんなさい」

アルパカ「あ、でも、見ていてくれるとうれしいなぁ」
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 13:36:20.61 ID:Opb9nYyko
アルパカ「はぁーい、紅茶、はいったよぉ。はい、どうぞぉ。はい、どうぞぉ」

かばん「いただきます」

カワウソ「ねえねえ、飲んでもいい? 飲んでも良い?」

アルパカ「めしあがれぇ」

カワウソ「いっただきまーす!」

サーバル「うみゃぁ……」

スナネコ「おいしい」

ハシビロコウ「落ち着く……」

プレーリードッグ「んぐっ……んぐっ……!! おかわりであります!!」

ビーバー「そんな一気に飲むものなんっすか?」

アルパカ「いいよぉいいよぉ。いくらでもあるからぁ、たぁくさん飲んでいってにぇ」

サーバル「私もおかわりー」

スナネコ「おかわりください」

アルパカ「わかったよぉ。ちょっとまっててにぇ。すぐにいれるからぁ」

かばん「あの、授業は……?」
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 13:55:13.45 ID:Opb9nYyko
アルパカ「それじゃあ、授業はじめるよぉ。紅茶の淹れ方なんだけどにぇ。ここのボタンを押すとぉ、お湯がでるんだぁ」

アルパカ「それでねぇ、この紅茶の元をカップにいれて、お湯を注ぐと……」タポポポ

アルパカ「はい、できあがりぃ。えへへぇ」

サーバル「わー! すっごーい!!」

カワウソ「できたの! これで紅茶、できたのー!!」

ハシビロコウ「さっきも見たけど、割と簡単にできるんだ」

アルパカ「そんなことないよぉ。見た目以上に結構むずかしいんだよぉ。お湯の注ぎ方とかぁ、紅茶の元の量とかぁ、そういうのがちょっと違うだけで味ががわっちゃうからぁ」

ビーバー「奥が深いっすね……」

プレーリードッグ「私たちも紅茶を淹れもいいでありますか」

アルパカ「いいよぉ。みんなの分の紅茶の元わたすねぇ」

スナネコ「枯れた葉っぱみたいですね。ここからあんなに美味しい紅茶ができるなんて」

アルパカ「できるんだよぉ。ふへへへぇ」

カワウソ「おゆいれちゃおーっと」

アルパカ「火傷しないように気を付けてにぇ」

カワウソ「はーい!」
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 14:07:23.80 ID:Opb9nYyko
サーバル「うみゃ……うみゃ……みゃ……みゃみゃ……」タポポポ

サーバル「みんみー!! できたー!!! かばんちゃん、のんでのんでー!!」

かばん「ぼくが飲むの? サーバルちゃんは?」

サーバル「私はかばんちゃんの淹れた紅茶がのみたいなー」

かばん「もう、サーバルちゃんたら。待ってて、淹れてくるよ」

サーバル「えへへへ。うれしいなぁ」

スナネコ「にがい……」

ハシビロコウ「味が薄い……」

ビーバー「失敗したらもったいないっすよね……。一回で成功させないといけないっすよね……。ボタンをおしたらお湯は一定量必ず出るから……うぅ……おせないっすぅ……」

プレーリードッグ「こうでありますな!!」タポポポポポポッ

プレーリードッグ「ぬおおお!! たくさんいれちゃったでありますー!!!」

アルパカ「零したらたいへんだよぉ。その場でのんでぇ」

プレーリードッグ「は、はい! んぐっ……んぐっ……!!」

プレーリードッグ「ぷっはぁ!! 味があまりしないであります!!」

アルパカ「それだけお湯を淹れちゃうとダメだねぇー」
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 14:23:31.71 ID:Opb9nYyko
カワウソ「おかしーなー。同じようにやったはずなのに、どうしてアルパカの紅茶と味が違うのー」

アルパカ「淹れ方がそれぞれ違うからだねぇ。私の淹れ方とカワウソの淹れ方は似てるようで全然ちがうのぉ」

カワウソ「それじゃあダメってこと? 私、アルパカみたいに美味しい紅茶をいれたいのに」

アルパカ「一回で美味しくは淹れられないよぉ。自分なりに美味しい淹れ方を研究しないとにぇ」

カワウソ「そーなんだ。もういっかいいれよーっと」

サーバル「スナネコー、私の紅茶のんでみてー。かばんちゃんが美味しいっていってくれたんだー」

スナネコ「いいですよ」

アルパカ「みんな楽しんでくれてるみたいでよかったよぉ。最初はこんなことでいいのかなっておもってたけどぉ」

かばん「アルパカさんが考えた授業じゃないんですか」

アルパカ「ちがうよぉ。ぜーんぶ、ハカセたちがかんがえたのぉ。これだけじゃないよぉ? すいえいもぉ、さんすぅも、みんなに学ばせたいからやってるみたい」

かばん「学ばせたい……」

アルパカ「私の授業は息抜きも兼ねてるんじゃなぁい? こくごとかさんすぅとか頭使うことばっかりやってたらつかれちゃうしぃ」

かばん「あぁ。そうかもしれませんね」

アルパカ「そぉだ、紅茶のおかわり、どぉ? ぅん?」

かばん「あ、はい。いただきます」
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/24(日) 17:41:35.33 ID:3D3PbN3Go
さんすぅで若干ゃ草
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 20:51:55.57 ID:Opb9nYyko
―校長室―

ワシミミズク「ハカセ。いえ、こーちょー」

オオコノハズク「どうしたのですか、助手。いえ、きょーとー」

ワシミミズク「今のところ、問題はないのです」

オオコノハズク「そうですか。それはよかったのです」

ワシミミズク「このまま何事もなくいけばいいですね」

オオコノハズク「我々はただ学校を復活させたいだけなのです。起こってほしくはないですね」

ワシミミズク「ここで失われていた教育をもう一度蘇らせるのです」

オオコノハズク「そうなれば、このパークもいずれ……」

ワシミミズク「ハカセ。そろそろ鐘を鳴らす時間ではないですか」

オオコノハズク「そうですね。行ってくるのです」

ワシミミズク「次は待ちに待ったきゅーしょくですね」

オオコノハズク「かばんを早く調理室に連れて行くのです」

ワシミミズク「今日は何にするのですか。じゅるり」

オオコノハズク「昨日、カレースープなる料理を見つけたのです。じゅるり」
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 21:01:06.46 ID:Opb9nYyko
―午後 昼休み 廊下―

ツチノコ「これでよしっと」

かばん「あれ? ツチノコさん?」

ツチノコ「お前か。今日は午後からの授業きちんと受けろよ」

かばん「はい。寝坊しないようにします」

ツチノコ「それじゃあな」

かばん「みんなの『作品』を貼り出してくれていたんですか」

ツチノコ「作品、なんて呼べる代物じゃないが、あいつらが初めて書いた文字だからなぁ」

かばん「ありがとうございます」

ツチノコ「こんな汚い字が未来のフレンズたちの目に触れるなんて、ただ恥ずかしいだけだろ」

かばん「そんなことないですよ。ここにサーバルちゃんたちがいたっていうことが分かるんですから」

ツチノコ「ふんっ」

かばん「ツチノコさんは残そうとしてくれているんですよね」

ツチノコ「なんのことかなぁ。さーて、俺も昼寝してくるかぁ」

かばん「お疲れ様です」
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 21:12:44.95 ID:Opb9nYyko
かばん「このままみんなが文字を書けて、読めるようになるだけでも色んなことができそう」

ラッキービースト『――多くのフレンズがここでヒトと同じことを学び、吸収していく』

かばん「……」

ラッキービースト『それはとても素晴らしいこと。だけど、同時に少しだけ寂しいこと』

ラッキービースト『私たちの手が必要なくなる。このパークはフレンズたちだけで運営できるようになる』

ラッキービースト『パークにヒトの手が入らなくなり、あるべき自然な姿へと変わっていくことでしょう』

ラッキービースト『ただ心配事が一つだけ。知識を得たフレンズがヒトのように愚かな歴史を築かないか……。私はフレンズたちを信じたいですけどね』

ラッキービースト『フレンズになれたんだからヒトのことをもっと知りたいと言ってくれた、みんなを』

ラッキービースト『さて、セルリアン対策に戻らないと。ここにあるみんなの成果や思い出も守らないとね』

かばん「思い出……」

ラッキービースト『……』

かばん「やっぱりここにはあったんだろうな。フレンズさんたちが過ごした証が」

かばん「ぼくも増やしたい。もっと、もっとたくさん」

ラッキービースト『カバン ソロソロ ゴゴノジュギョウガ ハジマルヨ』

かばん「ええと。それじゃあまずは鐘を鳴らしにいきましょうか。ハカセさんたち、寝ているかもしれないですし」
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/24(日) 21:19:36.86 ID:Opb9nYyko
呼称修正

>>17
かばん「教えてくれるのは多分、はかせさんになるかと」→「教えてくれるのは多分、ハカセになるかと」

>>31
かばん「はかせさんたちは先生ってことでいいんですよね? 今から授業を……?」→「ハカセたちは先生ってことでいいんですよね? 今から授業を……?」

>>89
かばん「あれってハカセさんが鳴らしていたんですか」→「あれってハカセが鳴らしていたんですか」

>>106
かばん「どうしてハカセさんはそんなことを……」→「どうしてハカセはそんなことを……」

>>125
かばん「ええと。それじゃあまずは鐘を鳴らしにいきましょうか。ハカセさんたち、寝ているかもしれないですし」→「ええと。それじゃあまずは鐘を鳴らしにいきましょうか。ハカセたち、寝ているかもしれないですし」
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 21:27:13.24 ID:Opb9nYyko
―美術室―

オオカミ「ようこそ。私のアトリエへ」

サーバル「絵を教えてくれるんでしょー」

カワウソ「おえかきしたーい! キャハハッ」

オオカミ「逸る気持ちもわかるけど、まずはどんな絵を描くのか。それを決めなくてはいけないんだよ」

ビーバー「家を建てるのと少し似てるっすね。おれっちもどんな家にするか決めてからでないと作業できないっすから」

オオカミ「その通りだ。いいかい? 創作するということは、頭に思い描いたことをそのまま形にするということなんだ」

オオカミ「それが如何に困難なのか。君たちは今から体感することになるだろう」

スナネコ「あきました。帰ってもいいですか?」

オオカミ「ぐっ……」

ハシビロコウ「スナネコ、そんなこと言ったらオオカミが可哀想だから」

スナネコ「そうですか」

オオカミ「おほん。今日はモデルを一人選んで、そのモデルの絵を描いてもらおうと思っている」

プレーリドッグ「モデルとはなんでありますか!」

オオカミ「絵のモデル。描かれる対象になってほしいということさ」
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/24(日) 21:28:06.81 ID:Opb9nYyko
>>127
プレーリドッグ「モデルとはなんでありますか!」

プレーリードッグ「モデルとはなんでありますか!」
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 21:32:18.98 ID:Opb9nYyko
かばん「みんなに自分の絵を描かれてしまうってことですか」

サーバル「おもしろそー! 私がやるー!!」

カワウソ「わたしもモデル、やってみたーい!」

オオカミ「できるかな」

サーバル「どーいうことー?」

オオカミ「モデルは絵を描かれている最中は絶対に動いてはいけないんだよ」

かばん「動くと絵が描きづらいからですか」

オオカミ「それもあるけど、もう一つ重要な理由があるのさ」

ビーバー「なんっすか?」

オオカミ「指の一本でも動かしてしまった時点で、絵の世界に引きずり込まれてしまうのさ……」

サーバル「えぇぇぇ!!!」

プレーリードッグ「モデルって危険すぎるであります!!」

スナネコ「誰もやりたくなくなりますよ」

かばん「オオカミさん、嘘ですよね」

オオカミ「勿論、冗談だよ。良い顔、頂きました」
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 21:36:28.96 ID:Opb9nYyko
サーバル「もう!! オオカミは酷いよ!!」

オオカミ「あはは。すまない。さて、このスケッチブックを配ろう。これにモデルの絵を描くといい」

カワウソ「だれがモデルするー?」

サーバル「動けなくなっちゃうのはつらいよー」

プレーリードッグ「私も絶対に我慢できなくなって動いてしまうであります」

ビーバー「おれっちも自信ないっすねぇ」

かばん「……あ」

ハシビロコウ「なに?」

かばん「ハシビロコウさんが適任じゃないですか」

ハシビロコウ「わ、私……? 私の絵をみんなが描くの?」

かばん「はい。そうなりますね」

ハシビロコウ「もっと可愛い子を描いたほうがいいと思うけど……」

サーバル「ハシビロちゃんは十分可愛いよ。睨まなければだけど」

スナネコ「いいのではないですか。ハシビロコウがモデルで」

ハシビロコウ「ええ……そ、そんな……」
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/24(日) 21:39:40.67 ID:+N7lGZo2O
もしかしてそーぷらんどのSSと同じ人かな?
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 21:43:53.09 ID:Opb9nYyko
オオカミ「モデルが決まったのなら、ここに座って前を向いていほしい」

ハシビロコウ「こ、こう?」

オオカミ「そのまま、じっとしているんだ」

ハシビロコウ「うん」

オオカミ「他のみんなは好きな位置からモデルを描いてみるといい。目の前にあるものを描けずして、頭にある景色は描けないからね」

サーバル「どこから描こうかなー?」

プレーリードッグ「この辺りから描くでありますか……」ズイッ

ハシビロコウ「ち、ちかいから……。それだと私の耳しか描けないと思う」

ビーバー「おれっちは後ろから全体を描くっす。オオカミさんもはいっちゃうっすけど、いいっすかね」

オオカミ「私はモデルじゃないからやめてほしいな。恥ずかしい」

スナネコ「恥ずかしいのですか。では、あえてぼくはオオカミを描きますね」

オオカミ「スナネコは私を追い込むのが趣味なのかい」

スナネコ「……」カキカキ

オオカミ「聞いてくれ」

かばん「ぼくは正面から描こうかな」
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 21:49:02.20 ID:Opb9nYyko
カワウソ「ふんふふーん。おーえかきー。おーえかきー」カキカキ

ハシビロコウ「……」

プレーリードッグ「むむー……」

ビーバー「うーん……ちょっとこっちのバランスが……」

サーバル「ハシビロちゃん、すごいねー。全然、動かないもん」

かばん「うん。やっぱりモデルにぴったりだったね」

スナネコ「できました」

オオカミ「もうかい? 早いね」

スナネコ「可愛く描けたでしょっ」

オオカミ「やはり私を描いたのか」

スナネコ「どうぞ」

オオカミ「あ、ありがとう。さて、ハシビロコウを――」

スナネコ「満足したので、寝ますね。終わったら起こしてください」

サーバル「自由すぎるよ!! 今更だけど!!」

オオカミ「このまま寝ていてもらうほうが私にとってはありがたいかもしれないね」
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 21:58:23.42 ID:Opb9nYyko
プレーリードッグ「できたであります!!!」

オオカミ「どれどれ、拝見」

プレーリードッグ「どうでありましょう!?」

オオカミ「うん。味のある絵だね。これからが楽しみだ」

プレーリードッグ「本当でありますか!! うおー!! がんばるであります!!」

カワウソ「でーきたー! はいっ」

オオカミ「おぉ。ハシビロコウの特徴を上手く捉えた絵だ。素晴らしい」

カワウソ「やったーほめられたー」

サーバル「うみゃ! オオカミ、みてみてー」

オオカミ「うむ。サーバルの性格が反映させている絵だね。とにかく元気だ」

サーバル「わーい! かばんちゃん、私の絵、元気なんだってー!!」

かばん「よかったね、サーバルちゃん」

オオカミ「そういうかばんの絵は、とても優しく、柔らかい。誰が見ても癒される絵といえるね」

かばん「そ、そんなにいいものじゃないとおもうんですけど……」

サーバル「かばんちゃんの絵、とっても素敵だね! 私も欲しいぐらいだよー!!」
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 22:01:56.29 ID:Opb9nYyko
ハシビロコウ「……」

ビーバー「むぅ……こうっすねぇ……」カキカキ

オオカミ「ほほぉ……」

ビーバー「ま、まだ完成してないっす……みないでほしいっす……」

オオカミ「実に良い。私のアシスタントにしたいぐらいだ」

ビーバー「や、やめてほしいっす……てれるっす……」

カワウソ「どんな絵なのー? ちょっとみーせてー!」

サーバル「私もみたいみたい!」

ビーバー「そ、そんな期待されるほどの絵じゃないっすからぁ」

かばん「うわぁ……」

スナネコ「おぉ」

プレーリードッグ「これは……!!」

サーバル「なにこれなにこれー!!」

カワウソ「すごーい!!」

ハシビロコウ(どんな絵なんだろう……気になる……)ウズウズ
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 22:10:37.58 ID:Opb9nYyko
ビーバー「かんせいっす……」

オオカミ「全員、描きおわったかな。お疲れさま、ハシビロコウ」

ハシビロコウ「疲れた……。じっとしてるのは得意だと思ってたのに」

オオカミ「見られているというだけで疲れるものだよ。さて、みんなの絵が気になっていることだろうから、是非とも見てあげてほしい」

ハシビロコウ「うん。実はすごく気になってて」

サーバル「みてみてー!」

カワウソ「ハシビロコウってこんなかんじだよねー」

ハシビロコウ「そう見えてるんだ……」

プレーリードッグ「私の絵も褒められたでありますよ!!」

ハシビロコウ「なるほど」

かばん「どうでしょうか」

ハシビロコウ「こんなに私、かわいいかな……」

ビーバー「自信はないっすけど……一応、かけたっす……」

ハシビロコウ「……これ、頂戴」

ビーバー「あ、いいっすけど?」
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 22:17:23.85 ID:Opb9nYyko
ハシビロコウ「……」ジーッ

ビーバー「おれっちの絵をそんなに凝視されると、なんか照れ臭いっすねぇ」

サーバル「やっぱりビーバーの絵にはまけちゃうよぉ」

かばん「紙の中にハシビロコウさんがそのまま写りこんだみたいだもんね」

カワウソ「すごいよねー。あんな風に描けたらなー」

オオカミ「練習次第だね。ビーバーはただ、みんなよりも少しだけ先にいただけさ。練習すればすぐに追いつけるよ」

サーバル「あんなに上手になれるまでどれぐらい練習しなきゃいけないんだろー?」

プレーリードッグ「たくさんしなければいけないでありますね!」

サーバル「そっかー。たくさんかー。よぉーし!! 絵もがんばるぞー!!」

カワウソ「おー!!」

ハシビロコウ「大切にする」

ビーバー「うれしいっす」

オオカミ「まだ時間はあるみたいだし、次は好きな人を描いてみようか」

ハシビロコウ「ビーバー、お礼に貴方の絵を描く」

ビーバー「はい。おれっちでよければ」
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 22:23:03.68 ID:Opb9nYyko
スナネコ「好きな人、ここにいました」ズイッ

オオカミ「か、顔が近いから。わかったよ、好きなだけ私を描いてくれ」

スナネコ「ありがとう」

サーバル「かばんちゃんのこと描いてもいい?」

かばん「うん。ぼくもサーバルちゃんのこと描いていい?」

サーバル「もちろんだよぉ!!」

プレーリードッグ「私はカワウソ殿を描くであります!!」

カワウソ「よろしくー」

ハシビロコウ「……」

ビーバー「あの……見つめるばっかりで、手がうごいてないっすよ……」

ハシビロコウ「あ、ごめん。私、ずっと見つめちゃう癖があるから」

ビーバー「でも、ハシビロコウさんの好きなように描けばいいっすよね。おれっち、出来上がるまで待つっすから」

ハシビロコウ「ありがとう。丁寧に描くから」

サーバル「うみゃみゃみゃー!! うみゃー? あっ! うみゃみゃみゃー!!!」カキカキ

かばん(これの絵、また飾ってもらおう)
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 22:28:51.44 ID:Opb9nYyko
―夕方 プール―

トキ「よぉぉこぉそ〜じゃぱぁぁりぱぁぁぁくぅぅぅ〜」

イワビー「全然、違うってば。うぇかむとぅ! ようこそジャパリパーク! 今日もドッタンバッタン、お、お、さ、わ、ぎっ! ――だぜ?」

トキ「難しいわね」

イワビー「腹から声を出すんだ」

トキ「お腹ね。かばんも同じことを言っていたわ」

アルパカ「ふたりともぉ。がんばってるにぇ」

トキ「あら、アルパカ。どうしたの」

アルパカ「トキがここで練習してるってハカセからきいてぇ、紅茶、もってきたよぉ」

トキ「ありがとう、アルパカ」

アルパカ「イワビーものむぅ?」

イワビー「おう!! もらうぜ!!」

アルパカ「お昼からここでずっと練習してたのぉ?」

トキ「ええ。みんなに完璧な歌を聞かせてあげたいもの」

アルパカ「あはぁ、そっかぁ。トキの努力、絶対に実を結ぶよぉ」
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 22:35:17.14 ID:Opb9nYyko
トキ「ねえ、いつかでいいから私もペパプと一緒に歌えないかしら」

イワビー「いいけど、何を歌うんだ?」

アルパカ「いいんだぁ」

トキ「もちろん、『ようこそジャパリパークへ』がいいわね」

イワビー「おう。マーゲイに相談してみるな」

トキ「うれしいわ。だったら、もっと練習しましょう。うぇぇかむとぅぅ〜!!」

イワビー「だーかーらー。うぇかむとぅー、だってば」

トキ「こうね。うえええかむぅ〜!!」

イワビー「ああ、もう!! どうおしえりゃあいいんだー!!」

トキ「こうでもないのね……」

アルパカ「あははぁ。紅茶はいくらでも用意できるから、安心してねぇ」

トキ「ええ」

イワビー「あれだな、他のメンバーも呼んでおいた方がよさそうだな、こりゃあ」

トキ「ペパプ全員で指導してくれるの?」

イワビー「そのほうが早い気がするからな」
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/24(日) 22:36:08.53 ID:Cq9hiChlo
フルルは教えれるのだろうか
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 22:42:30.02 ID:Opb9nYyko
―美術室―

ビーバー「……」

ハシビロコウ「うーん……こう……ちがう……こうかな……あぁ……変になっちゃった……」

スナネコ「すぅ……すぅ……」

プレーリードッグ「うへへ……もうほれないでありますぅ……」

カワウソ「よっと、ほっと」ヒョイッヒョイッ

かばん「すぅ……すぅ……」

サーバル「うみゃぁ……うみゃぁ……」

オオカミ「……おっ。いいネタを思いついた」カキカキ

ビーバー「……」

ハシビロコウ「ごめんね……こんなに時間かけて……わたし……絵が得意じゃないみたい……」

ビーバー「ハシビロコウさん」

ハシビロコウ「今日は、ここまでにしよう」

ビーバー「いいっすよ。完成するまでまってるっすから。ゆっくり描いてくださいっす」

ハシビロコウ「けど……もう夕方だし……みんなも……」
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 22:46:35.50 ID:Opb9nYyko
ビーバー「誰も気にしてないっすよ」

ハシビロコウ「これ以上、待たせるなんて……」

オオカミ「鐘はまだ鳴っていない。授業は継続中だよ」

ハシビロコウ「……」

ビーバー「おれっち、ハシビロコウさんの絵、すっごく楽しみっす」

ハシビロコウ「……ごめんね」

カワウソ「かけたのー?」

ハシビロコウ「ううん。まだ」

カワウソ「そっかー。それじゃあ、もうちょっとあそんどくねー」

ハシビロコウ「ごめんね……」

カワウソ「なんであやまるのー?」

ハシビロコウ「だって……」

カワウソ「私もハシビロコウの絵、気になるしぃ。友達を待つのは退屈じゃないもんねー」

ハシビロコウ「……ありがとう」

ビーバー「納得できるまで描き直していいっすから」
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 22:52:22.00 ID:Opb9nYyko
ハシビロコウ「できた……!」

ビーバー「おぉ!! おめでとうっすぅ!」

カワウソ「みせてー! いちばんにみせてー!!」テテテッ

ハシビロコウ「あ、ま、まって」

サーバル「うみゃ!? できたのー!! わたしもハシビロちゃんの絵、みたーい!!」

スナネコ「興味、あります」

かばん「ぼくも、いいですか?」

ハシビロコウ「ま、まって、じゅ、じゅんばんに……」

ビーバー「これがハシビロコウさんから見た、おれっちなんすね」

ハシビロコウ「ごめん。ビーバーみたいにはどうしてもできなくて……」

ビーバー「これ、貰ってもいいっすか」

ハシビロコウ「え……。そんな下手くそな……絵でいいの……」

ビーバー「全然、下手じゃないっす。ハシビロコウさんの渾身の絵っすよ、これぇ。もう一生ものっす」

ハシビロコウ「うれしい……」

オオカミ「おっ。とっても良い顔、いただきました」カキカキ
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 22:56:15.43 ID:Opb9nYyko
プレーリードッグ「羨ましいであります。ハシビロコウ殿、次は自分も描いてほしいであります」

サーバル「わたしもかいてよー」

ハシビロコウ「うん、また機会があれば」

スナネコ「約束ですよ」

オオコノハズク「いつまで残っているのですか」

ワシミミズク「良い子は早く帰るのです」

オオカミ「私は悪い子だからいいかな」

かばん「すみません。でも、鐘がならなかったような……」

ツチノコ「こーちょーたちは今まで寝てたからなぁ」

オオコノハズク「またしてもお昼寝をしてしまったのです」

ワシミミズク「かばんの作る料理でいつもお腹いっぱいになるのですよ」

かばん「ぼくの所為なんですか!?」

イワビー「おーい! ひがくれちまうぜー!!」

アルパカ「みんなぁー、はやくかえろぉー」

トキ「今日も1日、よくがんばったわね、みんな」
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 23:01:12.10 ID:Opb9nYyko
―正門―

サーバル「今日もたのしかったねー」

かばん「うんっ。明日はどんなことするのかな」

サーバル「きっと今日よりも楽しいことだよー」

かばん「あはは、そうだね」

カワウソ「さっきの絵、ろーかに飾ったんだー」

ツチノコ「持って帰ったらめちゃくちゃにするだろ、お前らは」

カワウソ「んー? そーかもー。キャハハッ」

ハシビロコウ「……」

プレーリードッグ「良い絵であります」

ビーバー「そんなに褒めないでくださいっす」

サーバル「いいなー。ハシビロちゃんもビーバーも。私もかばんちゃんに絵を描いてもらったけど、みんなにも描いてほしいなー」

オオカミ「だったら、モデルになればよかったのに」

サーバル「でも、動けなくなるのはちょっとやだなぁ。お互いに絵を描き合ってるならいいんだけどなぁ」

かばん「あはは。あれ? あれはハカセ……? 何をしてるんだろう」
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 23:04:21.30 ID:Opb9nYyko
オオコノハズク「分かったのです。引き続きお願いするのです」

かばん「ハカセ?」

オオコノハズク「かばんですか。何か?」

かばん「いえ、そこでなにをしているのかなって」

オオコノハズク「何でもないのです。ほら、早く帰るのです」

かばん「わ、わかりました」

サーバル「かばんちゃん、どうしたのー?」

かばん「なんでもないよー」

スナネコ「今日はどこでねようかなぁ」

カワウソ「屋根裏なんていいんじゃない?」

スナネコ「そこはまだでしたね」

オオコノハズク「……」

ワシミミズク「ハカセ……。いえ、こーちょー」

オオコノハズク「いつでも動けるようにしておくのですよ」

ワシミミズク「分かっているのです」
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 23:10:06.93 ID:Opb9nYyko
―森林―

アライグマ「もう一生出ることができない気がしてきたのだぁ……」

フェネック「うーん。アライさぁん。こっちはまだ行ったことのない道みたいだよー」

アライグマ「ちょっと疲れたのだ。休憩するのだ、フェネック」

フェネック「あいよー」

アライグマ「帽子泥棒に近づいているはずなのに、これじゃあまた遠ざかってしまうのだ」

フェネック「あとかばんさんにもねー」

アライグマ「そうなのだ!! かばんさんにも会いたいのだ!!」

フェネック「だったら、ここからすぐにでないとねー」

アライグマ「そうなのだぁ……でも……でられないのだぁ……」

フェネック「ん……?」ピクッ

アライグマ「……よし! 休憩終わりなのだ!! いくのだ、フェネック!!」

フェネック「アライさぁん、ちょっとまずいかもねー」

アライグマ「どうかしたのか?」

フェネック「セルリアンの臭いがするよー。ここ、あぶないかもねー」
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 23:14:21.41 ID:Opb9nYyko
アライグマ「セ、セルリアン……!! どこなのだ!? どこにいるのだ!?」

フェネック「……」

ガサガサガサガサ……

アライグマ「き、きたのか!?」

フェネック「下がって、アライさぁん」

セルリアン「……」

アライグマ「ホントにでたのだ!!」

フェネック「小さいのが一匹だけならなんとかなるかもねー」

ガサガサガサ……!!!

セルリアン「「……」」

アライグマ「た、たくさんいるのだぁ……!!」

フェネック「おー。よぉし、アライさぁん。良い考えがあるよー」

アライグマ「どうするのだ、フェネックぅ」

フェネック「にげろー!」

アライグマ「さ、さんせいなのだー!!」
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 23:23:19.85 ID:Opb9nYyko
―ジャパリスクール 屋上―

ツチノコ「……来たみたいだな」

オオコノハズク「まだ遠いですね」

ワシミミズク「カメレオンの報告だと、徐々に増えてきているみたいなのです。のんびりしていれば包囲されるのです」

ツチノコ「ここはやっぱり狙われやすんだな。まぁ、これだけフレンズが集まれば嫌でも寄ってくるか」

オオコノハズク「やはり、無理でしたね」

ワシミミズク「あと2日ぐらいなら余裕はありますね」

ツチノコ「何もかも中途半端だが、あいつらもきちんと学べるってことを知ったんだ。十分だろ」

ワシミミズク「ええ。教育はまたいずれにするしかないのです」

オオコノハズク「それでは卒業式の準備に入るのです」

ツチノコ「それがいいな」

ワシミミズク「残念です」

オオコノハズク「フレンズが料理を作れるようになれば、我々いつでもおかわりができるようになったのですが」

ツチノコ「火を怖がらないフレンズを探してくるんだなぁ」

オオコノハズク「知っている限りではヒグマあたりですね」
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 23:32:44.30 ID:Opb9nYyko
―かばん・サーバルの部屋―

サーバル「うみゃ……みゃみゃ……」カキカキ

かばん「字の練習?」

サーバル「うん! さーばるきゃっとまで書けるようになりたいの!」

かばん「手伝えることがあればいってね」

サーバル「これぐらい大丈夫だよ!! 私、夜行性だから!」

かばん「関係ないんじゃあ……」

ラッキービースト『……』

かばん「ラッキーさん、窓の外になにかあるんですか」

ラッキービースト『……』

かばん「ラッキーさん?」

ラッキービースト『セルリアン チュウイホウ トオクデ セルリアンノ ハッセイヲカンチシマシタ シュウイノ オキャクサマハ ゴチュウイクダサイ』

サーバル「セルリアン!?」

かばん「遠くにいるみたいだね」

サーバル「こっちにくるの?」
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 23:35:51.27 ID:Opb9nYyko
かばん「わからないけど……」

ラッキービースト『……』

かばん「ラッキーさん、大丈夫、なんですよね?」

ラッキービースト『マダ ダイジョウブ デモ チュウイハ シテネ カバン』

かばん「はい」

サーバル「私の爪でやっつけちゃうから、へーきだよ!! みゃ! みゃ!」

かばん「頼もしいね」

サーバル「えっへん!」

かばん「けど、こっちにくるなら……」

サーバル「嫌だね。学校もあるのに」

かばん「……」

サーバル「どうしたの?」

かばん「え、ううん。なんでも」

サーバル「そうなの?」

かばん(もし、過去と同じようなことが起こるなら……ここはとても危ない場所に……)
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 23:39:21.54 ID:Opb9nYyko
―翌日 教室―

サーバル「今日もこくご、するのかなぁ」

ハシビロコウ「さんすうかも」

プレーリードッグ「りかというものもあるらしいですよ。りかしつ、という場所で勉強するみたいであります」

スナネコ「なんですか、それ」

ビーバー「りかしつっすか。確かホネのフレンズがいたっすよね」

スナネコ「ホネ。興味あります」

サーバル「すっごく怖いんだよ!?」

かばん「……」

ハシビロコウ「サーバル」

サーバル「なぁに?」

ハシビロコウ「かばん、元気ないみたいだけど」

サーバル「え? そ、そそ、そーかなぁ。いいい、いつもとおなじだよー」

カワウソ「今日の授業まだかなー。まだかなー」

ツチノコ「おーし、席つけ―」
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 23:43:38.14 ID:Opb9nYyko
カワウソ「なにするのー! なにするのー!?」

ツチノコ「静かにしろぉ! えー……。残念だが、ジャパリスクールは今日までとする」

サーバル「えぇー!? なんでー!? どうしてー!?」

プレーリードッグ「急すぎるであります!!」

ビーバー「おれっちたち、まだ殆ど勉強してないっすけど」

ハシビロコウ「……」

かばん「……」

ハシビロコウ(あまり驚いてない……。知ってたのかな)

スナネコ「どうしてなのですか」

ツチノコ「昨日の夜、セルリアンが見つかった。それもかなりの大群だ」

カワウソ「それがどうしたのー?」

ツチノコ「そいつらはここを目指している。ここで勉強なんてしてたらセルリアンの群れに飲み込まれるぞ」

ビーバー「そ、それはこわいっすね……」

かばん「それは、ぼくたちが、学校にいたからですか?」

スナネコ「かばん?」
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 23:52:08.35 ID:Opb9nYyko
ツチノコ「それは否定できないな。過去にも似たようなことがあったし」

かばん「どうして、それを教えてくれなかったんですか」

ツチノコ「悪い。そんなことを言えば、怖がって誰も来なくなる可能性があったからだ」

ツチノコ「俺もハカセらも、フレンズは学べるってことを知ってほしかったんだ」

ツチノコ「学べば学ぶほど、色んなことを知る。そうしたらできることが多くなる」

ツチノコ「フレンズたちに野生以外の力が手に入る。知識っていう力がな」

ツチノコ「成長してほしかったんだ。ただただ動物のときと同じように寝て、食べて、また寝て。それはそれで幸せだと俺も思う」

ツチノコ「だが、フレンズになれたのならもっとできることがあるんだ。それを知っているのと知らないでは大きな差がある」

ツチノコ「黙っていたことは謝る。すまん」

かばん「……」

サーバル「逃げなきゃいけないの? やっつけちゃえばばなんとかなるんじゃない?」

ツチノコ「バカ野郎。逃げればなんの危険もないんだよ」

サーバル「そうだけど……」

ビーバー「もう学校には集まれないってことっすかね」

ツチノコ「そうなるな。ここはセルリアンを呼び寄せてしまうエリアみたいだ。だから、フレンズたちも自然とここをナワバリにはしなくなったんだろ」
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 23:58:05.06 ID:Opb9nYyko
スナネコ「もしにゅうがくしきのときにセルリアンが攻めてきていたらどうするつもりだったのですか?」

ツチノコ「この学校の周りには何重にも対策を講じてあった。いきなり襲われる心配はなかった」

ハシビロコウ「そうなんだ……」

ツチノコ「とにかくだ。ここにいたら危ない。全員、体育館に集まれ。卒業式を始めるぞ」

サーバル「そつぎょうしきって?」

ツチノコ「この学校で学ぶことはなくなったことを証明する儀式だな」

サーバル「まだまだたくさん勉強することあるよ!」

ツチノコ「ここから離れたら個人的に勉強させてやるよ!!」

プレーリードッグ「それならまぁ、いいでありますか」

ビーバー「みんな一緒がよかったっすけどね」

スナネコ「ここ、楽しいことが多かったので気に入っていたのですが……」

カワウソ「つまんなーい」

ツチノコ「いいから、移動しろ!!」

ハシビロコウ「……」

かばん「卒業式……」
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/25(月) 00:03:48.34 ID:fLW+dB+to
―体育館―

ワシミミズク「急なことで困惑しているかもしれないですが、事情はわかってくれているのですか」

サーバル「わかってるけど」

スナネコ「納得はしていませんよ」

オオコノハズク「きちんと謝るのです。我々の都合に付き合わせて申し訳ないのです」

ワシミミズク「ごめんなさいなのです」

トキ「歌……まだ完璧じゃなかったのに……」

イワビー「どうすんだよ……」

アルパカ「はぁーぁ……。もうおしまいかぁ……。ペェ!!」

オオカミ「フレンズたちがみんなで学ぶ。儚い夢、だったね」

プレーリードッグ「あの!! また学校で勉強がしたいであります!!」

オオコノハズク「約束はできないですが、安全が確保されたら勉強するのです。みんなで」

ツチノコ「フレンズが集まれば、そこにセルリアンが来てしまうって問題を解決できなきゃ無理だろうけどな……」

ワシミミズク「かばん、あなたから卒業生代表としての言葉をもらいたいので、こちらに来てもらえますか」

かばん「ぼくが代表なんですか!?」
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/25(月) 00:12:48.17 ID:fLW+dB+to
オオコノハズク「言ったはずなのです。かばんには大切なことを教えてほしいと」

かばん「ぼくが気が付くこともわかっていたんですか」

オオコノハズク「……お願いするのです」

かばん「はい……」

かばん「みなさん。ここは昔、数多くのフレンズさんたちが通っていて、色んなことがあったんだと思います」

かばん「楽しいこと、悲しいこと。きっと、想像できないくらい多くのことがあったはずです」

かばん「けど、それをセルリアンが奪ってしまった」

サーバル「……」

かばん「ここには無くなった思い出があります。もう直せない思い出です」

かばん「ぼくは、それを埋めたいって思いました。新しくぼくたちの思い出で無くなった部分に足したいって」

かばん「昨日の絵も飾りました。みんなが一生懸命書いた自分の名前も飾られています」

ツチノコ「……」

かばん「もっと、もっと、もっと、色んな思い出を飾りたかった」

かばん「昔のフレンズさんたちに負けないぐらい、楽しい思い出を」

カワウソ「だったら、もっと勉強しよーよ。なんでそつぎょーしちゃうのー?」
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/25(月) 00:20:28.73 ID:fLW+dB+to
かばん「それはセルリアンが……」

カワウソ「セルリアンは確かにこわいけどー。別にーここで一緒にやらなくてもいいじゃない? どこか違うところで一緒にやればいいよー」

カワウソ「そのときはジャガーちゃんも一緒がいいなー。わー、たーのしそー!」

ビーバー「いいっすねぇ。おれっちもそれがいいっす」

かばん「多分、長い時間多くのフレンズさんたちが集まっていること自体、とても危ないんだと思います」

カワウソ「えー……」

ツチノコ「まぁ、そこは試してみないことにはわからないけどなぁ。ここだけにセルリアンは集まってくる可能性もある」

プレーリードッグ「何事も試してみるでありますよ!! ひょっとしたらひょっとするであります!!」

オオコノハズク「どちらにせよ、ここからは退避するのです」

ワシミミズク「危ないので」

プレーリードッグ「うぅ……」

ハシビロコウ「……」

かばん「みなさん。ぼくだって納得はできていません。けれど、みなさんが傷ついてしまうのは嫌です。だから、今日で……卒業しましょう……」

サーバル「うんっ。そうだね。危ないなら、にげないと」

かばん「サーバルちゃん……」
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/25(月) 00:25:10.28 ID:fLW+dB+to
サーバル「みんな!! 楽しかったでしょ!? すっごく、すっごーく! 楽しかったでしょ!?」

サーバル「だったら、もういいじゃない! こんなに楽しいこと、ずっと味わってたら他の楽しいことがつまんなくなっちゃうかもしれないよ!?」

スナネコ「それは困りますね」

サーバル「でしょー!? だったら、今日ですっごーく楽しいことは終わりにして、明日からすごく楽しいことを探そうよ!」

サーバル「私はかばんちゃんと一緒なら、見つけられると思うから」

かばん「……」

トキ「そうね。我慢も時には必要なことね」

アルパカ「歌の練習はカフェでやればいいにぇ」

トキ「そうね」

イワビー「……」

オオカミ「まだ納得できないかい」

イワビー「いや、逃げるのはいいんだけどな」

カワウソ「あーあ、しかたないかー」

プレーリードッグ「サーバル殿のいうこともわかるであります」

ビーバー「そうっすね。もう二度と勉強できないわけじゃないっすもんね」
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/25(月) 00:30:26.27 ID:fLW+dB+to
オオコノハズク「それでは卒業式を終わるのです」

ワシミミズク「忘れ物がないように速やかに避難するのですよ」

ツチノコ「できるだけ遠くに逃げろよ。まだまだ時間はあるし、焦ることはないからなー」

カワウソ「はぁーい」

かばん「ありがとう、サーバルちゃん」

サーバル「どうして?」

かばん「皆を納得させてくれたから」

サーバル「私は思ったことを言っただけだよ」

かばん「そこがサーバルちゃんの良さなんだろうね」

サーバル「うみゃぁ?」

オオコノハズク「かばん」

かばん「はい?」

オオコノハズク「改めて、お詫びをするのです」

ワシミミズク「申し訳なかったのです」

かばん「いいんです。ハカセたちは、僕らの成長を考えてくれていたんですから。それに、短かったけど、すっごく楽しかったです」
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/25(月) 00:34:05.45 ID:fLW+dB+to
―正門―

カワウソ「がっこー!! まーたねー!!」

プレーリードッグ「絶対に戻ってくるでありまーす!!」

ビーバー「おれっちももどってくるっすー」

ハシビロコウ「……」

かばん「忘れ物はない?」

サーバル「大丈夫!!」

ラッキービースト『ジャパリバスデ ミンナヲ ハコブヨ』

かばん「お願いします」

トキ「それじゃあ、私たちは飛んで帰るわね」

アルパカ「またカフェにきてねぇー」

サーバル「うん!!」

イワビー「どうするかなぁ……。まぁ、どこかで会えるか……?」

ラッキービースト『ハッシャスルヨ』

かばん「はい」
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/25(月) 00:41:24.95 ID:fLW+dB+to
―ジャパリバス 車内―

サーバル「ねえねえ、文字の練習はどこでもできそうだよね」

スナネコ「そうですね。ぼくも飽きるまで練習しますよ」

サーバル「絶対に帰るまでに飽きてるでしょ、スナネコ」

ツチノコ「ちっ……。折角、アレをやろうとおもってたのになぁ……」

カワウソ「がっこー、またいきたいなー」

ハシビロコウ「あの」

かばん「はい?」

ハシビロコウ「私たちが避難したら、セルリアンはどこに行くの? 追ってこないの?」

かばん「そういえば……」

ツチノコ「大丈夫だろ。あいつらはサンドスターの濃度が濃いところへ移動していく。おれらがこうして移動していれば問題ない。残り香が蓄積している学校を目指すはずだ」

かばん「え……」

ハシビロコウ「それならよかった」

かばん「ツチノコさん……それって……今からセルリアンの大群は学校に進み続けるってことですか……」

ツチノコ「俺たちはずっとあそこにいたからなぁ。俺たちからこぼれ出た分のサンドスターを搾り取りにくるはずだ」
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/25(月) 00:45:11.15 ID:fLW+dB+to
サーバル「セルリアンってそこまでするんだねー」

スナネコ「食い意地がはっていますね。サーバルみたいです」

サーバル「私はそんなに食いしん坊じゃないよ!!」

かばん「ラッキーさん!! 止まって!!」

ラッキービースト『ワカッタヨ』キキッ

ツチノコ「な、なんだよ」

ビーバー「どうしたっすか……」

かばん「忘れ物を思い出しました」

ツチノコ「なに?」

かばん「みんなが書いた自分の名前。あと、絵です」

ツチノコ「お前……」

かばん「まだ時間はあるんですよね。今から戻れば……」

ツチノコ「待て! もう小型のセルリアンは到着しているかもしれないぞ!」

かばん「けど、もし……あの絵やみんなの名前が……セルリアンに奪われたら……」

サーバル「かばんちゃん……」
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/25(月) 00:51:16.24 ID:fLW+dB+to
イワビー「また描けばいいんじゃないか」

プレーリードッグ「そうであります」

ハシビロコウ「……」

ツチノコ「諦めろ。それに絶対に無くなるわけじゃない。運がよければ……」

かばん「でも……」

ハシビロコウ「それだけじゃないんじゃない?」

スナネコ「え?」

かばん「ハシビロコウさん……」

ハシビロコウ「私たちのモノより、守りたいものがあるんでしょ」

かばん「……」

カワウソ「それって、昔のフレンズが残した絵とか?」

かばん「ダメ、でしょうか」

ツチノコ「あぁ。ダメだな。会ったこともない、顔も知らないフレンズのためになんえ命をかけられる。しかも無くなるのは、ただの紙とそれに使われた塗料だけだぞ」

かばん「違います。無くなるのは、思い出なんです。あの学校に残った、思い出なんです」

サーバル「……」
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/25(月) 00:51:58.35 ID:fLW+dB+to
>>165
ツチノコ「あぁ。ダメだな。会ったこともない、顔も知らないフレンズのためになんえ命をかけられる。しかも無くなるのは、ただの紙とそれに使われた塗料だけだぞ」

ツチノコ「あぁ。ダメだな。会ったこともない、顔も知らないフレンズのためになんで命をかけられる。しかも無くなるのは、ただの紙とそれに使われた塗料だけだぞ」
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/25(月) 01:00:18.55 ID:fLW+dB+to
ツチノコ「思い出がなくなるからってなんだ」

かばん「……」

ツチノコ「当時のフレンズもヒトも、パークにはいない。守るだけの価値はない。歴史的価値はあるけどな」

かばん「ぼくはサーバルちゃんと出会って沢山助けられました」

かばん「カワウソさんやトキさんやビーバーさん……。みんなのことは、きっと誰かに伝えます」

かばん「こんなに素敵なフレンズさんがいるんですよって、広めたいから」

ツチノコ「何が言いたい」

かばん「当時のことを知っているヒトやフレンズさんはどこかにいるかもしれないじゃないですか。学校に通っていたヒトから聞いたかもしれないじゃないですか」

かばん「学校って楽しいところなんだって。学校はみんなが一緒に笑い合えたところなんだって」

ツチノコ「それを聞いたやつが学校に行って、絵がなくなっているのを見て悲しむ。そういいたいわけだな」

かばん「はい」

ツチノコ「冷静になれ。そんな奇跡みたいなことはない。このまま遠くにいくぞ」

かばん「失くしてはいけないと思うから」

ツチノコ「いい加減に……!」

かばん「ぼくには記憶がありませんでした。自分が何の動物なのかもわかりませんでした。サーバルちゃんたちが手伝ってくれて、ここまで来ることが出来ました。だから、ここで、このパークで手に入れたものが、ぼくの全てなんです」
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/25(月) 01:08:00.04 ID:fLW+dB+to
かばん「何一つ、奪われたくはないんです」

ツチノコ「ふざけんな。いいから逃げるぞ」

かばん「お願いします!! せめて! せめて! 昨日、みんなが描いた絵だけでも……!!」

ツチノコ「うるせええ!!!」

かばん「……!?」

ツチノコ「ここで描け。それで解決だろうが」

かばん「……」

ツチノコ「分かってくれよな……ったく……」

サーバル「戻ろうよ!」

かばん「え……」

サーバル「昨日、描いた絵なんて、もう一度描けないもん。取りに戻らなくちゃ」

ツチノコ「サーバル!!」

サーバル「かばんちゃんと出会った場所も、一緒に歩いた道も、一緒に登った山も、全部私にとっては大切な宝物だもん」

サーバル「これからかばんちゃんと行く場所だって、見てないところだって、全部宝物だもん」

サーバル「だから、あの絵だって、私の命よりも大切なものなの。たった一つしかない、かばんちゃんの絵なの」
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/25(月) 01:11:51.09 ID:fLW+dB+to
ツチノコ「おまえ……しにたいのかよ……!!」

サーバル「だいじょーぶ!! まだセルリアンは来てないんでしょ! 急いで戻るよ!」

ツチノコ「何があっても不思議じゃないんだぞ!?」

サーバル「行こう、かばんちゃん」

かばん「でも……」

サーバル「それとついでに守ろうよ。昔のフレンズの思い出」

かばん「サーバル……ちゃん……」

サーバル「私とかばんちゃんなら守れるよ!」

かばん「……ぼくのわがままだよ」

サーバル「うん」

かばん「危ないよ?」

サーバル「わかってるよ」

かばん「怪我じゃ済まないかもしれないよ」

サーバル「ぜーんぜん、こわくないよ! だって、かばんちゃんといっしょだもん!」

かばん「……ごめんなさい。ツチノコさん」
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/25(月) 01:15:19.45 ID:fLW+dB+to
ツチノコ「あ!? まて!!」

サーバル「いそごう!!」

かばん「うんっ!!」

ツチノコ「もどってこーい!!! シャー!!!」

カワウソ「あーあ、いっちゃったー」

ハシビロコウ「……」

プレーリードッグ「どうするでありますか」

オオカミ「さて、どうしようかな」

イワビー「ったく、しょうがねえなぁ」

ツチノコ「何をするつもりだよ」

イワビー「ハカセに言われてるんだよなぁ。教師は生徒を守らなくちゃいけないってよ」

オオカミ「そうだったのか。では、私もいかないとね」

ビーバー「いいんっすか」

イワビー「なんとかなるだろ。んじゃ、いってくるぜー」

ツチノコ「ば、ばかやろー!!!!」
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/25(月) 01:19:13.74 ID:fLW+dB+to
カワウソ「よいっしょっと」

ツチノコ「なんで降りた……」

カワウソ「んー? だってー、学校の方がおもしろそーなんだもーん! キャハハッ」

ツチノコ「お前らはどうして揃いも揃って……!!」

ハシビロコウ「カワウソ!」

カワウソ「なぁに?」

ハシビロコウ「私が運んでいく」

カワウソ「やったー、らーくちーん!」

プレーリードッグ「我々もいきましょう!!」

ビーバー「そうっすね」

ツチノコ「やめろって!!」

プレーリードッグ「すぐに戻ってくるでありますよ」

ビーバー「だいじょうぶっす」

ツチノコ「アホかぁぁぁ!!!」

ラッキービースト『カバン……』
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/25(月) 01:23:29.44 ID:fLW+dB+to
スナネコ「……」

ツチノコ「お前までいくのか?」

スナネコ「行きます」

ツチノコ「好きにしろよ……」

スナネコ「一緒にいきませんか」

ツチノコ「行くかっ」

スナネコ「そうですか。では、行ってきますね」

ツチノコ「おい」

スナネコ「はい?」

ツチノコ「かばんたちに伝えてくれ、頭を使えよってな」

スナネコ「はい。頭突きですね」

ツチノコ「ちがーう!!」

スナネコ「冗談ですっ。では」タタタッ

ツチノコ「まぁ、確かに時間には多少の余裕はある……。それまでにできることをしておくか。どうせあいつらすぐにもどってこないだろ……」

ラッキービースト『……』
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/25(月) 08:05:54.01 ID:wbJh0rRvo
わからん……ここから先どうなるか全然わからん!
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 15:30:34.85 ID:IRI4mxqMo
サーバル「結構、遠くまで来ちゃってたね。がっこーまで少しかかりそう。セルリアン出てくるかな」

サーバル「あ、でも、セルリアンが出てきても自慢の爪でやっつけちゃうから! 安心して、かばんちゃん!」

かばん「サーバルちゃん……。本当によかったの?」

サーバル「私もね、かばんちゃんの気持ち、わかるんだ」

かばん「え?」

サーバル「あの学校にあったものを見て「こんなことがあったんだー」って喜ぶフレンズだっているかもしれない」

サーバル「誰かに聞いただけだけど「ここではこんなに楽しいことをしてたんだー」って喜ぶ子だっているかもしれない」

かばん「……」

サーバル「あとね! 憶えてないし、知らないけど、学校とか絵とか勉強したノートを見て、なんだか懐かしくなって、嬉しくなって……」

サーバル「ちょっぴり、悲しくなるけど、でも、それでもたのしーって思える。そんな子だっているかもしれないよ」

かばん「それって、ロッジで見たミライさんの映像のこと……?」

サーバル「うーん、よくわかんないや」

かばん「えぇ……?」

サーバル「けど、かばんちゃんが出会ったことも見たことのないフレンズたちの思い出を守りたいって思えたのも、似たようなことなんじゃないかなって」

サーバル「学校にあったものを守りたいって思ったのはかばんちゃんがとっても優しいからってだけじゃないよ、きっと」
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 15:40:05.10 ID:IRI4mxqMo
かばん「それって……」

サーバル「かばんちゃんにとって、あの学校にはなにかあるんじゃないかな。私はそう思ってたんだけど」

かばん「ぼくにとって……。ぼくはあの学校を……」

サーバル「急ごうよ! かばんちゃん! セルリアンが来ちゃう前にツチノコのとこに戻らなきゃ、また怒られちゃうよ!!」

かばん「……うんっ」

サーバル「よーし!! がっこうまでいっちょくせんだー!! うみゃみゃみゃー!!」

かばん「まってよー!! サーバルちゃーん!!」

ガサガサ……

サーバル「かばんちゃん! 止まって!!」

かばん「え!?」

サーバル「……」

かばん「な、なにかいたの……?」

サーバル「あれー? 今、そこで何かが動いたような気がしたんだけどなー」

かばん「気のせい?」

サーバル「そうかも。ごめんね、さー、あらため、しゅっぱーつ!」
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 16:06:22.21 ID:IRI4mxqMo
―正門―

サーバル「ここまでセルリアンはいなかったね」

かばん「うんっ。まだ大丈夫みたいだね」

サーバル「まずはどうするの? 私たちの描いた絵を持ちだすだけじゃダメなんだよね?」

かばん「以前、ここにセルリアンがきたときに貼られていた作品は破れちゃったり、文字が掠れちゃってたりしたみたいだし」

かばん「セルリアンにちょっとでも当たっちゃうだけで影響が出ちゃうとしたら……」

かばん「サーバルちゃん、少し大変だけど大きな穴を掘りたい」

かばん「穴を? いいよ! どこに掘る?」

かばん「目立たなくて……ある程度の広さがあるところがいいけど……」

サーバル「どこにする?」

かばん「そうだね……。それじゃあ、あののぼりぼうの傍にしよっか」

サーバル「わかったー!」

かばん「穴を掘ったら、みんなの作品を集めて、穴の中に埋めちゃおう」

サーバル「それで隠すんだね!」

かばん「うん。けど、あの量だし、直接土の中には入れられないから、丁度いい箱か何かがあればいいんだけど」
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 16:15:36.82 ID:IRI4mxqMo
サーバル「それなら――」

ビーバー「材料さえあれば、つくれるっすね」

かばん「ビーバーさん!?」

プレーリードッグ「私も穴を掘るお手伝いをするであります!!」

かばん「どうして……」

ビーバー「おれっち、かばんさんにはお世話になったっすから。恩返しぐらいさせてほしいっす」

プレーリードッグ「私もであります。あと、学校で穴掘りがしてみたかったでありますよ」

サーバル「すみません。ぼくなんかのために」

ビーバー「急がないとセルリアンが来ちゃうっすよ」

プレーリードッグ「私が穴を掘って、ビーバー殿が入れ物を作るので、かばん殿たちは作品を回収してきてほしいであります」

サーバル「かばんちゃん」

かばん「うんっ。すみませんが、お願いします」

ビーバー「まかせてほしいっすぅ」

プレーリードッグ「がんばるであります!!」

かばん「行ってきます!」
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 16:21:44.14 ID:IRI4mxqMo
―廊下―

かばん「早速、全部集めよう」

サーバル「改めて見てみると、たっくさんあるねー」

かばん「うん。どれだけ時間がかかるかはわからないけど……」

サーバル「へーき、へーき! 私とかばんちゃんが集めればすぐだよ!」

かばん「ありがとう」

サーバル「さー! あつめるぞー!!」

カワウソ「おー!!」

ハシビロコウ「おー」

サーバル「うわぁぁ!?」

カワウソ「なになに!? 何かいた!? 何かいた!? セルリアン!?」

サーバル「カワウソとハシビロちゃんに驚いたんだよ!!」

かばん「ハシビロコウさん……カワウソさん……。追いかけてきてくれたんですか?」

カワウソ「うんっ。かばんたちを追いかけたほうが面白そうだったもんねー」

ハシビロコウ「ごめんね。けど、私でも手伝えることがあるかもしれないし……」
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 17:34:16.89 ID:IRI4mxqMo
カワウソ「わたしは楽しいことの味方だけどねー」

かばん「本当に、本当にありがとうございます。あの、それじゃあ……」

カワウソ「あつめちゃうぞー!」

ハシビロコウ「ここから絵をとっていけばいい?」

かばん「はい。ただ紙は破れやすいので注意してくださいね」

サーバル「わかったよ!」

カワウソ「やってみるねー」

ハシビロコウ「緊張するかも」

かばん「みんなで集めればセルリアンが来る前に全て回収できそうです」

ハシビロコウ「うん。早く終わらせないと」

カワウソ「わーい、かいしゅーかいしゅー。ほいっ、ほいっ」

サーバル「カワウソ、もうちょっと優しく剥がさないと破れちゃうよ」

カワウソ「だいじょーぶだってー。キャハハッ」

サーバル「もー破ってもしらな――」ビリッ

カワウソ「あっ」
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 19:11:40.15 ID:IRI4mxqMo
かばん「よいしょ……うーん……」

ハシビロコウ「高い位置にあるのは私に任せて」

かばん「すみません」

ハシビロコウ「気にしないで」

かばん「ありがとうございます」

ハシビロコウ「よっ……と……。まだまだあるね」

かばん「はい。けど……」

ハシビロコウ「ここにはヒトもいたんだよね」

かばん「フレンズさんはヒトに色々と教えてもらっていたみたいですから」

ハシビロコウ「あなたも……」

かばん「はい?」

ハシビロコウ「あなたも、ここに居たとか?」

かばん「わかりません。どこをみても、見覚えなんてありませんし」

ハシビロコウ「フレンズ化する前のあなたはここで何かを教えていた。だったら、素敵かも」

かばん「ぼくもそう思います」
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 19:18:33.18 ID:IRI4mxqMo
サーバル「かばんちゃん! かばんちゃん!!」

かばん「どうかしたの?」

サーバル「ごめん!! 一枚、やぶっちゃったの!!」

かばん「あー……」

カワウソ「ごめんねー。元にもどらない?」

サーバル「カワウソは謝らなくていいよ。私が破ったんだし……」

カワウソ「私も傍にいたからねー。謝っておかないとねー」

かばん「サーバルちゃん」

サーバル「は、はい!」ビクッ

かばん「元に戻す方法はあとで考えよう。今は集めることが大事だから」

サーバル「気を付けるね」

かばん「ううん。協力してくれるだけで嬉しいから、何も気にしないで」

カワウソ「がんばるねー」

ハシビロコウ「そういえば美術室にもたくさん絵があったような」

かばん「作品が飾られている教室自体、かなりありますから。一部屋一部屋回って、出来る限り多くの作品を回収したいですね」
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 19:23:14.26 ID:IRI4mxqMo
―グラウンド―

サーバル「よーいしょ、よーいしょ」

カワウソ「どこまではこぶのー」

かばん「プレーリーさんが穴を掘ってくれているので、そこまで持っていきます」

ハシビロコウ「埋めるんだ」

かばん「ビーバーさんが作品を仕舞うための箱を作ってくれています。箱に作品を入れて、埋めれば汚れることもないですから」

サーバル「まだまだ回収しなきゃいけないし、早く運んじゃおー」

カワウソ「おー!」

かばん「ビーバーさん、プレーリーさん、穴は――」

プレーリードッグ「かばん殿! 見ていただけますか!!」

かばん「お、おおきい……!? 短時間でこれだけ掘ったんですか!?」

スナネコ「満足?」

かばん「す、スナネコさん……」

スナネコ「バスで待っているのも飽きるので、追ってきました」

かばん「スナネコさんまで、ありがとうございます」
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 19:27:43.68 ID:IRI4mxqMo
ビーバー「うーん……。これぐらいの箱でいいっすかねぇ」

かばん「ビーバーさん」

ビーバー「あぁ、かばんさん。一応、試作品で箱を作ってみたっすけどぉ」

かばん「十分です。ありがとうございます」

ビーバー「本当ならプレーリーさんに頼むところなんっすけどね……。こんな出来で申し訳ないっす」

かばん「いえ、立派すぎるほどです。早速これに作品を保管しましょう」

ビーバー「はいっす」

かばん「まずは箱を穴に入れて……」

スナネコ「手伝います」

プレーリードッグ「私も持つであります」

ビーバー「これでいいっすね」

かばん「サーバルちゃん、カワウソさん、ハシビロコウさん。持ってきた作品を入れてください」

サーバル「うんっ!」

カワウソ「ここで投げちゃだめなんだよねー」

ハシビロコウ「うん。そっと置くほうがいいと思う」
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 19:34:37.61 ID:IRI4mxqMo
カワウソ「ぜーんぶ、いれたよー」

かばん「ありがとうございます。次の分を回収してもらえますか」

カワウソ「おっけー!」

ビーバー「ここからはおれっちたちも手伝うっす」

プレーリードッグ「任せてください!!」

スナネコ「飽きるまでがんばりますよ」

サーバル「飽きちゃだめだよ!!」

ハシビロコウ「手分けしたほうがいいかも。部屋が多いし」

かばん「そうですね。ええと……」

カワウソ「がっこーの部屋って何部屋あるのー?」

プレーリードッグ「たくさんであります」

ビーバー「学校は三階建てっすね。これを7で分けるとなると……」

カワウソ「階数ごとで2、2、3ってわかれるの?」

ビーバー「それがいいかもしれないっすね」

サーバル「よーし!! みんなであつめよー!!」
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 20:10:57.00 ID:IRI4mxqMo
―3階―

カワウソ「この教室って何につかうんだろー? ねえねえ、はいっていい? はいっていい?」

ハシビロコウ「作品が飾ってあるなら……」

カワウソ「入っちゃったー!!」

ハシビロコウ「この部屋は……」

スナネコ「教室の扉の上に文字がありますよ」

ハシビロコウ「この文字は……」

カワウソ「なになにー? なんてかいてあるのー?」

スナネコ「ぼくは習っていないので、わかりません」

カワウソ「最初の文字は「し」でしょー? ハシビロコウの「し」じゃない?」

ハシビロコウ「うん。次の字はツチノコの「ち」かな?」

スナネコ「小さな文字はわかりませんね」

カワウソ「その次はわかるよー。コツメカワウソの「う」でしょ!? ねーねー! 「う」だよねー!?」

ハシビロコウ「次はかばんちゃんの「か」。次がプレーリードッグの「ぐ」に点々がない文字みたい……」

スナネコ「あとは「し」と「ツチノコの「つ」。まとめると、しちうかくしつ、になりますね」
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 20:17:08.95 ID:IRI4mxqMo
―2階―

プレーリードッグ「はい、であります! はい、であります!」スッスッ

ビーバー「プレーリーさんは相変わらず仕事がはやいっすね」

プレーリードッグ「早く回収しないとセルリアンが来てしまうであります」

ビーバー「そうっすね」

プレーリードッグ「そういえば、オオカミ殿とイワビー殿はどうしたでありましょう。姿をみていないでありますが」

ビーバー「途中で見失ったっすねぇ。迷った、とは思えないっすけど」

プレーリードッグ「こっちは終了であります!! 次の教室に向かうであります!!」

ビーバー「はいっす」

プレーリードッグ「お邪魔するであります!!」ガチャ

ビーバー「ん……?」

プレーリードッグ「ビーバー殿、どうしたでありますか?」

ビーバー「あの……窓の外……。遠くから何か来てるような気がするっす……」

プレーリードッグ「え? あれは……」

ビーバー「セルリアン……。かなり近くまで来ちゃってるっす。急がないと」
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 20:35:23.71 ID:IRI4mxqMo
―1階―

サーバル「1階はこれでおしまいだね」

かばん「うん。箱に入れにいこうか」

サーバル「セルリアン、まだ来てないかな」

かばん「どうだろう。1日ぐらいの余裕はあるってツチノコさん言ってたけど」

サーバル「それならまだ大丈夫だね! いくよ、かばんちゃん!!」

ハシビロコウ「まって」バサッバサッ

サーバル「ハシビロちゃん! どうしたの? なんで降ってきたの?」

ハシビロコウ「窓から外をみたら、セルリアンが近づいているのが見えて……」

かばん「すぐに到着しそうなんですか」

ハシビロコウ「まだ大丈夫だと思うけど、全部の作品を回収する時間はないかもしれない」

かばん「……」

サーバル「できるところまででいいから、集めようよ」

かばん「そうだね。ギリギリまで集めたい」

ハシビロコウ「みんなに伝えてくる」バサッバサッ
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 20:49:24.17 ID:IRI4mxqMo
―グラウンド―

カワウソ「これでよーし!」

ビーバー「回収した分の作品、入れ終わったっす」

かばん「では、箱に蓋をして、穴を埋めて、ここから移動しましょう」

プレーリードッグ「残っている作品、まだまだあります。良いのですか?」

かばん「これ以上は危険すぎます。逃げましょう」

カワウソ「はぁーい!」

ハシビロコウ「……」

サーバル「かばんちゃん……」

かばん「どうしたの?」

サーバル「ううん」

プレーリードッグ「埋めたであります!!」

サーバル「はやっ!!」

かばん「す、すごいですね」

スナネコ「ぼくとプレーリーなら一瞬です」
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 20:53:39.31 ID:IRI4mxqMo
かばん「今度こそ、忘れものはありませんか」

カワウソ「プレーリーの絵、もってるよー」

プレーリードッグ「私もカワウソ殿が描いてくれた絵、大切にもっているであります!!」

スナネコ「ぼくもオオカミが描いてくれた絵を回収しました」

サーバル「私もかばんちゃんから貰った絵、もってるよ」

かばん「ありがとう。では、バスに戻りましょう」

ハシビロコウ「……」

ビーバー「はいっすぅ」

スナネコ「またここで、遊びましょ」

サーバル「そうだね! 私も遊びたい!」

カワウソ「わたしもー! キャハハッ」

プレーリードッグ「もっと掘りたかったでありますなぁ」

ビーバー「今度来た時はいくらでもほれるっすよ」

プレーリードッグ「楽しみであります!」

かばん「……」
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 20:58:19.51 ID:IRI4mxqMo
―森林―

カワウソ「バスどこだろー?」

ビーバー「もう少し先のはずっす」

プレーリードッグ「イワビー殿とオオカミ殿は戻っているのでしょうか」

スナネコ「学校には来ていませんね」

カワウソ「迷子になっちゃった!? イワビーとオオカミ、迷子になっちゃった!?」

ビーバー「それなら探さないと……」

サーバル「あれ!? かばんちゃん!? おーい!! かばんちゃーん!!」

プレーリードッグ「サーバル殿、かばん殿がどうしたでありますか」

サーバル「かばんちゃんがいないの!!」

カワウソ「なんで?」

サーバル「わからないよー!!」

スナネコ「ハシビロコウもいつの間にかいないような……」

サーバル「えー!? かばんちゃーん!! ハシビロちゃーん!!」

ビーバー「まさか……」
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 21:01:51.18 ID:IRI4mxqMo
―学校―

かばん「みんな……ごめんなさい……」

かばん「よいしょ……んー……」

ハシビロコウ「とってあげる」

かばん「え……!?」

ハシビロコウ「やっぱり、全部守りたかったんだ」

かばん「どうして……」

ハシビロコウ「……」

かばん「これ以上、ぼくの我儘に……」

ハシビロコウ「ともだち、だから」

かばん「……」

ハシビロコウ「思い出だけ残っても、ともだちがいなくなるのは、悲しいから」

かばん「……すみません」

ハシビロコウ「全部、守ろう。いざとなったら空も飛べるし、いつでも逃げられるよ」

かばん「は、い……ありが、とうござい……ます……」
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 21:10:41.57 ID:IRI4mxqMo
―体育館―

かばん「こっちのボールが沢山置いてある倉庫に仕舞います」

ハシビロコウ「ここなら残りの作品は全部隠せそうだね」

かばん「はい。あとはセルリアンが来るまでにどれだけ隠せるか、なんですけど」

ハシビロコウ「できるだけ急がないと」

かばん「あとは3階だけなのでなんとか間に合いそうです」

ハシビロコウ「さっき窓から見たときはもうすぐ到着しそうだったけど……」

かばん「そこまで近づいているんですか?」

ハシビロコウ「うん。見えたのは小型のセルリアンだけだったけど、それでもすごい数だった」

かばん「このままじゃ、いつセルリアンがきても……」

ハシビロコウ「……」

かばん「ハシビロコウさん?」

ハシビロコウ「最初のセルリアンが到着しちゃったみたい」

かばん「え……」

セルリアン「……」ポヨンポヨンッ
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 21:24:20.28 ID:IRI4mxqMo
かばん「うっ……」

ハシビロコウ「どうする」

かばん「もちろん、逃げましょう」

ハシビロコウ「……」

かばん「ハシビロコウさん……?」

ハシビロコウ「私の目を見て」

かばん「あの……」

ハシビロコウ「……」

セルリアン「……」ポヨンポヨンッ

かばん「ハシビロコウさん、セルリアンが近づいてます!!」

ハシビロコウ「分かった……」ザッ

かばん「え……!?」

ハシビロコウ「えいっ!!」バシッ!!!

パァーン!!

ハシビロコウ「――セルリアンは倒していく。かばんちゃん、ここに残る思い出たちを守ってあげて」
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 21:27:38.69 ID:IRI4mxqMo
かばん「そんなのダメです!!」

ハシビロコウ「いいの。私がそうしたいだけ。私の我儘だから」

かばん「け、けど……」

ハシビロコウ「早く3階に」

かばん「そんな……にげましょう……」

ハシビロコウ「納得していないでしょ。だから、行って」

かばん「……」

ハシビロコウ「お願い」

かばん「……はい!!」

ハシビロコウ「かばんちゃんの後ろは私が守る」

かばん「くっ……!!」タタタッ

セルリアン「……」ポヨンッ

ハシビロコウ「2匹め……!」ザンッ!!!

かばん「ハシビロコウさん!!!」

ハシビロコウ「心配しないで。あなたに、セルリアンは近づけさせない」
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 21:31:13.05 ID:IRI4mxqMo
かばん「すみません……!! すみません……!!」タタタッ

ハシビロコウ「――ここから先は通さない」

セルリアン「「……」」ポヨンポヨンッ

ハシビロコウ「ふっ!!」ザンッ!!!

パァーン!!!

ハシビロコウ「やぁ!」バシッ!!!

パァーン!!!

セルリアン「「……」」ゴゴゴッ

ハシビロコウ「増えてる……。でも、逃げない」

ハシビロコウ「ここで逃げたら、ヘラジカたちに笑われる」

セルリアン「……」ポヨンポヨンッ

ハシビロコウ「はっ!!」

セルリアン「……」バキッ!!!

ハシビロコウ「ぐっ……!?」

セルリアン「……」ポヨンポヨンッ
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 21:35:14.17 ID:IRI4mxqMo
ハシビロコウ「うぅ……いたい……」

セルリアン「……」ポヨンッ

ハシビロコウ「そっちに……! そっちに行かないで!!」ザンッ!!!

パァーン!!

ハシビロコウ「はぁ……はぁ……」

セルリアン「「……」」ゴゴゴゴッ

ハシビロコウ「かばんちゃんを守れるのは、私だけ……だから……」

ハシビロコウ「絶対に……!! 通さない!!」

セルリアン「……」グワッ!!!

ハシビロコウ「あぶないっ!」

セルリアン「……」バキッ!!!

ハシビロコウ「きゃぁ!?」

セルリアン「……」

ハシビロコウ「かずが……おおすぎ……る……もう……」

セルリアン「……」グワッ!!!
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 21:39:10.20 ID:IRI4mxqMo
パァーン!!!!

ハシビロコウ「……え?」

カワウソ「わーい! やっつけたぞー!! キャハハハッ!!」

ハシビロコウ「カワウソ……」

セルリアン「……」ポヨンッ

カワウソ「ハシビロコウ……。怪我した? ねえ、怪我しちゃった?」

ハシビロコウ「こ、これぐらいは……へいき……」

カワウソ「そっか。怪我しちゃったんだー」

ハシビロコウ「カ、カワウソ……?」

カワウソ「そっかぁー……」

セルリアン「……」ゴゴゴゴッ

カワウソ「よぉーし、セルリアン。怪我しちゃったハシビロコウの代わりに、私と遊んでいってよねー」

カワウソ「私が満足するまで遊んでもらうよー。キャハハハハッ」

ハシビロコウ「カワウソ……おこってるの……?」

カワウソ「いっくぞー!!! おおあばれだー!!!」
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 21:45:11.05 ID:IRI4mxqMo
―グラウンド―

ビーバー「いいっすか。セルリアンたちはこの学校を囲むように進んできてるっす。今から逃げても逃げ場はないっす」

プレーリードッグ「空を飛べればよかったであります」

スナネコ「ぼくたちに翼はありませんね」

ビーバー「けど、掘る力はあるっすよ」

スナネコ「はいっ」

ビーバー「学校を中心にして、円をかくっす。それで6等分にしちゃうっす」

ビーバー「プレーリードッグさんはこのエリア、スナネコさんはこのエリアに大きな落とし穴をつくってほしいっす。これだけでセルリアンの数を減らせるっすから」

プレーリードッグ「了解であります!!」

スナネコ「ツチノコのいっていた頭をつかえってこういうことですね」

ビーバー「おれっちはプレーリーさんに指示を出したいので一緒にいくっす。スナネコさんはわるいっすけど……」

スナネコ「だいじょうぶですっ」

ビーバー「すみません、よろしくおねがいするっす」

プレーリードッグ「出撃であります!!!」

スナネコ「久しぶりにがんばろうっと」テテテッ
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 21:49:45.31 ID:IRI4mxqMo
スナネコ「いってきますね」

オオカミ「ああ、よろしくね」

ツチノコ「さっさといってこい」

スナネコ「その前にあれをやっつけてください」

セルリアン「……」ポヨンポヨンッ

ツチノコ「これぐらい自分でやれー!!! どぉりゃぁぁぁ!!!」ドゴォッ!!!

パァーン!!!

オオカミ「道が開いたよ。急げ」

スナネコ「どうもです」テテテッ

ツチノコ「ちっ……。面倒だな」

オオカミ「歴史的建造物を守るためだろう」

ツチノコ「そうだよ」

オオカミ「私は、大切な友達を守るため、だけどね」

ツチノコ「おまえ!! 自分だけ良い子ぶるなよ!!!」

オオカミ「そんなつもりはないよ。っと、次が来たようだ。ふんばりどころだね。生きて戻らないと、アミメキリンが怒ってしまうな。生き返って早く続きをかけと」
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 21:56:17.99 ID:IRI4mxqMo
イワビー「おりゃぁぁぁ!!!!」パシンッ!!!

パァーン!!!

イワビー「くっそ……。こんだけがんばっても、何匹かは学校の中に入っちまうな……」

セルリアン「……」ポヨンポヨンッ

イワビー「でも、数を減らせば……!! このやろー!!!」パシンッ!!!

パァーン!!!

イワビー「中にいる奴らがなんとかしてくれるだろ。多分」

セルリアン「「……」」ゴゴゴゴッ

イワビー「今度はこっちかよ!!!」パシンッ!!!!

パァーン!!

イワビー「はぁ……はぁ……。どこまで増えるんだ……こんなの……無理だろ……」

セルリアン「「……」」ゴゴゴゴッ

イワビー「……泣き言いっても、始まらないか」

イワビー「こいよ、セルリアン。ペンギンの翼じゃあ、空は飛べないけどなぁ……」

イワビー「海で泳げて!! 友達も守れるんだぁぁ!!!」パシンッ!!!
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/27(水) 21:59:18.35 ID:sA8iqjmX0
全体的に死亡フラグを感じる
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 22:00:17.44 ID:IRI4mxqMo
―森林―

セルリアン「「……」」ゴゴゴゴゴッ

フェネック「このちほーセルリアンおおいねー、アライさぁん」ダダダッ

アライグマ「そんなこと言ってないでにげるのだー!!!」ダダダッ

パァーン!!!

フェネック「お?」

アライグマ「フェネック、倒してくれたのか!?」

フェネック「私じゃないねー」

オオコノハズク「ここまでセルリアンが来ていたのですか」

ワシミミズク「行きましょう、ハカセ」

アライグマ「ハカセたちなのだ! 助けてくれてありがとうなのだー!!」

オオコノハズク「貴方達は早く逃げるのです。これ以上は構っていられないのです」

ワシミミズク「助けに向かわなければいかないので」

フェネック「だれのことー?」

オオコノハズク「かばんたちがまだがっこーに残っているらしいのです」
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 22:05:35.50 ID:IRI4mxqMo
アライグマ「がっこーってなんなのだ? あとかばんさんがいるのか!! あいたいのだー!!」

ワシミミズク「説明している時間もないのです」

オオコノハズク「我々はいくのです」

アライグマ「アライさんたちも一緒にいきたいのだー!!」

フェネック「……」

アライグマ「フェネック!! ハカセたちを追うのだ!!」

フェネック「セルリアンが向かってる方向とハカセたちが向かった方向は同じみたいだねー」

アライグマ「それがどうかしたのか?」

フェネック「つまりー、かばんさんは今、大ピンチってことだよー、アライさぁん」

フェネック「がっこーってところにセルリアンの大群が押し寄せてるみたいだからねー」

アライグマ「えぇぇ!! かばんさんが危ないのだ!!!」

フェネック「どーする、アライさぁん」

セルリアン「……」ポヨンッポヨンッ

アライグマ「うーん……。決まってるのだ!! ここでセルリアンを倒して、かばんさんに近づけさせないようにするのだ!! かばんさんはアライさんの命の恩人なのだ!! 命がけで恩返しなのだー!!!」

フェネック「あぁー。そうなっちゃうかぁ。わかったよ、それじゃあ、最後までアライさんに付き合うよ」
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 22:10:07.20 ID:IRI4mxqMo
アライグマ「のだー!!!」バキッ

パァーン!!

フェネック「よっと」バキッ!!!

アライグマ「順調なのだー!! ワハハハ!! アライさんとフェネックなら無敵なのだー!!」

フェネック「アライさぁん、ちゃんと数を数えてよー」

アライグマ「え?」

セルリアン「「……」」ゴゴゴゴゴッ

アライグマ「いっぱいなのだ」

フェネック「10匹以上からは数えないようにしてる?」

アライグマ「けど、ここで逃げたらかばんさんのところに向かってしまうのだ」

フェネック「はいはい。わかったよー」

アライグマ「かばんさんのところにだけはいかせないのだー!!」

フェネック「無茶しちゃだめだよー。アライさぁん」

アライグマ「ぜーんぜん、へっちゃらなの――」

セルリアン「……」グワッ!!!
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 22:14:51.51 ID:IRI4mxqMo
フェネック「アライさん!!!」

アライグマ「ひっ……!!」

パァーン!!!

フェネック「あ……」

アライグマ「え……?」

オーロックス「お前ら、こんなところで何をしている?」

アライグマ「た、たすかったのだ」

オーロックス「このエリアは俺の管轄だ。どこかに隠れていろ」

アライグマ「だ、だいじょうぶなのだ!」

フェネック「オーロックスがいるってことはぁ……」

オーロックス「威勢がいいな。だったら、手伝ってくれ。正直、俺だけでは苦しいかもしれないからな」

アライグマ「まかせるのだ!!」

フェネック「そっかぁ……。よぉーし、安心したよー」

アライグマ「何がなのだ?」

フェネック「顔は見えないけど、みんながいるってことだよー、アライさぁん」
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 22:22:37.16 ID:IRI4mxqMo
カメレオン「――報告するでござる!! こちら側からも、反対側からもかなりの数が攻めてきているでござる!!」

ヘラジカ「ハカセたちの勘が当たったか」

ライオン「どーするぅ、ヘラジカぁ」

ヘラジカ「私たちは反対側に行こう。皆の者、ついてこーい!」

ヤマアラシ「おー!!」

シロサイ「いきますわー!!」

ライオン「いってらっしゃーい。たのむよー」

オリックス「大将、我々もセルリアンを迎え討ちましょう」

ライオン「いや、オリックとツキノワグマは学校のほうへいってあげて。かばんたちも不安になってるだろうしねぇ」

ツキノワグマ「いくら大将が強くても数が多くては……」

ライオン「だーいじょーぶぅ。ライオンが強い理由って知ってるぅ?」

オリックス「え……。ええと……」

ライオン「ぶっぶー。時間切れー。行って、ほら」

ツキノワグマ「わ、わかりました」

オリックス「大将……」
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