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魔王「召喚したら」御曹司ヒモ根暗ナンパマジメ「「「「「来ちゃった」」」」」
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59 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/17(日) 15:37:00.40 ID:ItR0Zimvo
乙
根暗とナンパはまだマシだが御曹司とヒモは死んだ方がいい
マジメは空気読めないのかもしれんがマジメに仕事やってるのに気の毒だ
60 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 17:50:23.21 ID:6K3j0xl80
『やばいねぼうしたさいかい』
じゅもんが ちがいます
→ぼうけんをする
おきのどくですが
ぼうけん の しょは
きえて しまいました
61 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 17:50:56.20 ID:6K3j0xl80
〜3年後〜
ヒモ「…………」
根暗「…………」
ナンパ「…………」
<オオサマノ オナーリー
御曹司「…………」
ブッ
御曹司「ちょっと、誰だいオナラしたの」
ヒモ「あ、すまん。俺」
ナンパ「wwwwwだめwwwwもうムリwwwww」
根暗「あーあ……、せっかく、笑うの…我慢してたのに……」
62 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 17:52:08.10 ID:6K3j0xl80
ヒモ「で? わざわざ俺たちを城にまで呼び寄せて、何の話だ?」
ソコノオマエ ナントブレイナ クチノキキカタヲ!>
御曹司「ああ、いいからいいから、気にしないで」
ムゥ>
御曹司「それで君たちを呼んだ件なんだけど、どうやら魔王が、この世界の侵略を始めたらしい」
ヒモ「ほう」
根暗「あの、魔王さんが……」
御曹司「ここ数ヶ月で、今までこの世界にはいなかった凶暴な生き物が各地で激増しているのは知っているよね」
御曹司「ぼくたちがこの世界に来た経緯を考えると、おそらく魔界の生物だと考えられるんだ」
ヒモ「あー、あれな。あいつら厄介なんだよなー。輸送隊が襲われるから、輸入物の入荷が遅れて困るんだよ」
ナンパ「うちのww交易隊もwww被害甚大wwwww」
ヒモ「で? それと俺らが呼ばれた理由に、何の関係があるんだ?」
御曹司「単刀直入に言うよ」
御曹司「ぼくらで、魔王を討伐しよう」
63 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 17:53:13.37 ID:6K3j0xl80
ヒモ「ハア?」
根暗「……、意味、不明……」
ナンパ「wwwww」
ヒモ「単刀直入なのはいいけどよ、もう少し説明してくれや」
御曹司「オッケー。じゃあまず聞くけど、君たち、あの魔王からもらった腕輪、最近外れたのは気づいているよね」
ヒモ「ああ、そりゃな」
ナンパ「ウンコしてたらwwパカッて外れてwwトイレにポチャンwww」
御曹司「根暗君。たぶん君も覚えていると思うけど、あの腕輪、外すための条件って、なんだった?」
根暗「……、魔王さんが、……死んだとき」
御曹司「そう。つまり、あの腕輪が外れたっていうことは、ぼくらが会ったあの魔王は、死んでしまったっていうことだ」
ナンパ「ご愁傷www様ですwww」
64 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 17:54:36.19 ID:6K3j0xl80
ヒモ「おう。……んで? それが、俺たちが魔王退治に行くのと、何の関係があるんだ? てか、魔王は死んだんだろ?」
御曹司「考えたんだ。いったい誰が、あの魔王を殺したんだろうって」
ヒモ「まあ、魔界にいる人間か魔物か、いずれにしろ、俺たちとは関係なくね?」
御曹司「それがどうやら、マジメが魔王を殺して、新たな魔王になったらしいんだ」
ヒモ「おおマジか…、そりゃあ意外……」
ヒモ「でもねえな」
根暗「……実は、彼が……、ぼくらの中で、一番陰湿だった……」
ナンパ「いわゆるww真面目系wクズwww」
ヒモ「あいつがダメなのは、仲間内を、相手のいないトコで腐すとこだよなあ」
根暗「ナンパ君のこと…、節操がない、女たらしだって……、ぼくにグチってた……」
ナンパ「御曹司さんがww女をとっかえひっかえするの最低だってw俺に言われてもwww」
御曹司「ぼくにはよくヒモのことを、女性を不幸せにする天性のダメンズだって言ってたね」
ヒモ「んで俺は、根暗がボソボソ話すの聞き取りづらくて嫌になるってサンザ聞かされたわ」
御曹司「きれいに1周したね」
65 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 17:55:40.64 ID:6K3j0xl80
ヒモ「まあそんな調子で、割とどこ行っても嫌われてたよな」
根暗「……初対面の、人当たりは……、いいんだけど、ね…」
ナンパ「合コンではww割と強かったww」
ヒモ「文句言うくせに、なんだかんだ良く来てたよな、合コン」
御曹司「まあ、そこで外れ引くのが、彼の役目だったけどね」
ヒモ「見た目やスタイルはいいけど、性悪の女に引っかかるの多すぎ」
御曹司「彼はほら、おっぱいと若い子が好きだから」
ナンパ「男の欲望にwww正直すぎるwww」
ヒモ「俺らはどこか一点が飛びぬけてクズいけど、マジメは全部が程々にクズいから最悪だったな」
根暗「でも……、そのおかげで……、ぼくらと波長が合った……」
ナンパ「クズ界のww頂点としてwww一目置けたッスwww」
御曹司「それに一応最年長だし、一定の敬う気持ちはあったね」
ヒモ「言っても俺の2個上、御曹司や根暗の1個上だから、普段はあまり意識しないけどな」
根暗「誰も……、彼に、敬語…使わない……」
ナンパ「いやいやwwww、俺はw使ってるッスよwww」
ヒモ「お前、俺には敬語使わねえだろ、1個下のくせに」
ナンパ「ヒモはww別にwいいかなってwwww」
66 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 17:56:31.15 ID:6K3j0xl80
御曹司「まあまあ。とにかくさ、そんなわけで、魔王退治にでも行こうよ」
ヒモ「行こうよって、そんな気軽に言うようなことか?」
ナンパ「ちょっとそこまでwwwピクニック気分www」
根暗「実際……、あまり深刻には、思えない……」
ヒモ「相手が、あのマジメだからな」
御曹司「あと一応、精霊からお告げもあってね。ぼく、勇者だから」
根暗「唐突な…、新情報……」
ヒモ「そういう重要そうなことは、後出しで言うのやめようぜ」
御曹司「それが、腕輪が外れてしばらくした後の夜に、とつぜん夢に出てきてね」
御曹司「この世界に害を為す魔王が現れたから、勇者として旅立ち、魔王を倒してくださいって」
ヒモ「それでお願いされて、素直に従っちゃうの?」
御曹司「さすがにさ、その精霊から、魔王は過去にあなた達の仲間でしたって聞かされたら、まあ、ね」
67 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 17:57:26.96 ID:6K3j0xl80
ヒモ「ああ、それで、マジメが魔王になったって分かったわけだ」
御曹司「そうそう。精霊いわく、前の魔王は魔界の統治に忙しくて、こっちの世界に手を出す暇がなかったから放っておいたけど」
御曹司「さすがに魔物をよそ様に派遣し始めたとなると、放置できないからよろしくって」
ヒモ「精霊ってヤツもノリが軽いなおい」
御曹司「今のはぼくが説明を要約したから。本当はもっと厳かに長ったらしい説明だったよ」
根暗「校長先生の……、挨拶みたい……」
御曹司「そんな感じ。正直、聞きづらくて眠かったな」
ナンパ「夢のwww中なのにwww」
御曹司「まあそんなわけで、魔王退治に行くからよろしく」
根暗「かるぅ〜い……」
ナンパ「wwwwwww」
ヒモ「おお、根暗がそういうツッコミするの珍しいな」
根暗「たまには、ぼくも……、おちゃらけてみたい……」
ナンパ「彼女さんできてwwww変わりましたねwww」
根暗「んふ……」
68 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 17:58:23.34 ID:6K3j0xl80
御曹司「それじゃあ旅立つ前に、君たちの戦闘上の職業を決めないとだね」
根暗「戦闘上の……、職業……?」
御曹司「一応、魔王討伐は国家事業として扱うから、経営者とか村長とか、戦闘と関係のない職業の人を討伐に出すと、手続き上の不備になるんだよ」
ヒモ「ふーん」
ナンパ「お役所仕事ッスねwww」
御曹司「ちなみに、ヒモは遊び人ね」
ナンパ「wwwwww」
ヒモ「ちょっとまて、なんで俺が遊び人なんだよ」
御曹司「君、私生活が遊び人だから」
ヒモ「いやいや、今働いてるし」
御曹司「それは冗談として聞き流すとして、君は泣かせた女の人が多すぎるっていうのが一番大きな理由だね」
ヒモ「働いてるのを冗談にされたのも聞き捨てならねえけど、泣かせた女が多いから遊び人ってのも意味がわからねえな」
御曹司「だって、もしそんな人達が思い余って君を刺しに来たら、君が戦士とか武闘家だと反撃しちゃうでしょ?」
69 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 17:59:33.02 ID:6K3j0xl80
ヒモ「ねーよ。今まで女に手を挙げたことは一度もねーぜ」
根暗「でも……、結婚を、迫られたら……」
御曹司「口封じに、闇に消しちゃうかもね」
ナンパ「刺されたらwww結婚wwwしなくちゃだしwww」
ヒモ「いや、刺される前に逃げ切ればノーカンだろ」
ヒモ「ていうかあの後大変だったんだからな。どっかのアホがほんとにおふれ出しやがるから、しばらくホームレス生活で逃げ隠れしてたんだぞ」
ナンパ「自業ww自得www」
根暗「口は……災いの元……」
御曹司「あまりに哀れだったから、とりあえず怪文書ってことにしておさめたけどね」
70 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 18:00:39.08 ID:6K3j0xl80
御曹司「まあというわけで、相手の安全のためにも君は遊び人で、武器の装備は禁止ね」
ヒモ「納得できねー。だいたい、遊び人なんて戦闘になんも関係ねーし、それこそ“手続き上の不備”になんじゃねーの?」
御曹司「大丈夫だよ、遊び人はオトリになるから戦闘職って、ぼくが通しておいたから」
根暗「強権……、発動……」
ヒモ「でたよ、王様特権」
御曹司「それに味方が役に立たないことより、身内の醜聞の方が、ぼくにとっては大ダメージだからね」
ナンパ「御曹司さんw王様ッスからねwww」
御曹司「そういうこと。だから、ぼくの権限で、君は遊び人にさせてもらうよ」
ヒモ「ちっ。しょーがねーなー」
71 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 18:01:39.29 ID:6K3j0xl80
御曹司「あと、これが選べる職業の一覧ね。ナンパ君、根暗君にも一枚渡してくれる?」
ナンパ「はいはいwww」
根暗「ありがとう……」
御曹司「で、君たちは何の職業にする?」
ナンパ「へえwww商人なんてwww職業あるんスねwww」
御曹司「魔王を倒す旅をするとき、戦闘能力だけじゃなく、道中の宿泊や食事なんかの金策をするスキルも必要でしょう?」
御曹司「国家事業だから予算つけていくらかもって出かけるけど、無限にお金を引き出せるわけじゃないからね」
ヒモ「まー、この国はべらぼうに金持ちかっていうと、そうでもないからな」
御曹司「そんなわけで、戦闘支援職として、商人もありなんだよ」
ナンパ「なるほどwwwじゃあ俺はwww商人ッスねwww」
御曹司「そうだね、適役だね」
72 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 18:02:34.73 ID:6K3j0xl80
根暗「ぼくは……、魔法使い、かな……」
ナンパ「もうww童貞じゃwwないのにwww」
ヒモ「ていうか、根暗は魔法とか使えるのか?」
根暗「……メラ」ボッ
ヒモ「おお! 火が出たぞ火が」
ナンパ「ライターみたいにwww小さいけどwww」
根暗「彼女に……、教えて、もらった……」
ナンパ「タバコ吸うときに便利ッスねwww誰もwwタバコ吸わないけどwww」
御曹司「とりあえず、根暗君は魔法使いでいいのかな。ぼくとしては、賢者でもいいと思うけど」
ヒモ「あれだろ、ナニする暇もないほど、彼女とイチャついてるってことだろ」
御曹司「ああ、なるほどね」
73 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 18:03:24.23 ID:6K3j0xl80
ナンパ「むしろww賢者ならwwヒモの方がwwお似合いwww」
ヒモ「年中シコって毎日が賢者タイムでーすってか? やかましいわ」
御曹司「それいいね。賢者は、遊び人の上位職ってことにしようか」
ヒモ「おいおい、遊び人から賢者とか、おもしろいじゃねーか」
根暗「遊びを極めた果てに……、俗世と欲望の虚しさを…悟ったら……、賢者になる……」
ヒモ「それじゃあ、まだ俺は賢者になれねーな。俗世と欲望が楽しすぎるから」
御曹司「悟りか。うん、何かに使えそうだね、覚えておくよ」
74 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 18:04:34.37 ID:6K3j0xl80
御曹司「さて、それじゃあ、旅立つ前に決めることは、これで以上かな」
ヒモ「まー、相手はあのマジメだし、サクッと行ってサクッと片付けようぜ」
ナンパ「またww趣味の悪い女の子の魔物をww側近にでもしてるんスかねwww」
根暗「そもそも……、部下がいるのかどうかすら……、あやしい……」
御曹司「じゃーそういうわけだから、しばらくの間、お城のことはよろしくね」
ショウチシマシタ>
御曹司「内政はとりあえず現状維持、外交は、適当な理由つけて、ぼくが帰るまで引き伸ばしておいて」
ココロエテオリマス>
御曹司「路銀は適当に、財政の人にもらって行くから。じゃあ、あと頼んだね」
ハイ、イッテラッシャイマセ>
ヒモ「道すがら、カジノや風俗があれば寄って行こうぜ」
ナンパ「きれいなネーチャンwwwいっぱいおっぱいwww」
根暗「……彼女の実家へのお土産、どこかで買いたいな……」
御曹司「いい娘がいたら、お城に連れて帰る手段を考えないと。入城許可証と名刺を何枚か持って――」
ワイワイガヤガヤ
ダイジョウブカナ…>
75 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 18:05:55.07 ID:6K3j0xl80
〜5日後〜
御曹司「はい、というわけで、魔王城に到着です」
ヒモ「はえーよ」
ナンパ「愉快なww道中www説明一切なしwww」
御曹司「いやだってさ、男4人の最低な旅路を話したところで、ちっともおもしろくないでしょ」
ヒモ「まあ、やることって言ったら、飲む打つ買うしかなかったからな」
ナンパ「カジノの不正暴いてwww慰謝料美味しかったですwww」
御曹司「それにしても、根暗君の彼女がドラゴンだとは、驚きだったね」
ヒモ「おかげで魔物に襲われもせず、移動も楽だったな」
根暗「彼女……、竜ちゃんにとって……、魔界は里帰りみたいなものだから……、乗せてくれた……」
御曹司「そうそう、前魔王さんが上の世界下の世界とか言っていたから、どうやって移動すればいいのか思案してたけど」
ヒモ「結局、根暗の彼女がひとっ飛びで連れてってくれてな。あっさり魔界に着いちまった」
根暗「後で、彼女にお礼……、言っておいてね……」
ヒモ「おう、その辺の礼儀は欠かさねーぜ」
ナンパ「いい肉ww調達してww行きますよwww」
76 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 18:06:46.35 ID:6K3j0xl80
御曹司「それじゃあ、早速魔王のところに向かおうか」
ヒモ「魔王っていうか、マジメな」
根暗「元気に……、してるかな……」
ナンパ「むしろww俺らといるよりwww元気だったりしてwww」
ヒモ「あー、ありえるありえる」
御曹司「なんて言ってる間に魔王の部屋の前まで来たから、扉をあけてご対面と行くよ」
ヒモ「たのもー」
ギギイイイィィィ
77 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 18:07:33.24 ID:6K3j0xl80
マジメ「ふわははははは! よくぞ来たな異界の勇者たちよ!」
マジメ「遠路はるばる足を運んだ結末としては気の毒だが、お前たちの旅は今日で終わりだ!」
マジメ「さあ、我の手にかかり、無残にその命、散らすがいい!!」
マジメ「ふわはははははははは!!!!!」
御曹司「…………」
ヒモ「…………」
根暗「…………」
ナンパ「…………」
マジメ「は!?」
78 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 18:08:21.80 ID:6K3j0xl80
御曹司「いやー……、痛いね」
ヒモ「いい大人が、ガキみたいに一人芝居か。笑えねーぜ」
根暗「黒マントに…、黒い鎧……、全然、似合ってない……」
ナンパ「草も生えないッス」
マジメ「ちょ、なんで君たちがここに!? ていうか、勇者は?!」
御曹司「あ、それぼく」
マジメ「ええ!!?」
御曹司「なんか、聖なる力がぼくにあるとかで、どこかの精霊さんが、ぼくに勇者の力を授けてくれたんだよね」
ヒモ「実態は、聖人君主どころか、鬼人暴君もいいとこだけどな」
ナンパ「www」
御曹司「うるさいなあ。まあ、そんなわけで君を倒しに来たから、おとなしく倒されてね」
マジメ「いやいやいやちょっとまって!」
79 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 18:09:09.68 ID:6K3j0xl80
ヒモ「なんだよガタガタと、往生際が悪りー」
根暗「とりあえず……、竜ちゃんに…齧ってもらう……?」
ナンパ「いッスねwwwバックリ行きましょwww」
マジメ「それ絶対痛いやつでしょ!? やめよ? 頼むから、ちょっと俺の話を聞いて?」
御曹司「しょうがないなあ。ぼくらもあまり暇じゃないから、手短に頼むよ」
マジメ「俺も、魔王なんか引き受けるつもりじゃなかったんだけど実は――」
〜〜回想〜〜
側近「魔王様! 見てください、すごい瘴気ですよ!」
魔王「うむ、やはり我が召喚したものたちの中から、次代の魔王が生まれたな」
マジメ「ブツブツブツブツ」シュウゥゥゥ
側近「どうやら、街の人間たちに嫌われ、迫害されたことで、憎悪の感情が膨れ上がり、魔王様と同じ力を得たようです」
魔王「以前、お前が言っていた喜ばしい報告とはこのことだったか」
側近「その通りです。しかし、ここまで強い瘴気を出すことができるとは……、人間の負の感情というものは恐ろしいですね」
80 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 18:10:03.72 ID:6K3j0xl80
魔王「これほど強い邪気を纏っているならば……。今こそ、あの計画を実行に移す機会かもしれぬ」
側近「あの計画?」
魔王「魔王の世代交代だ」
側近「世代交代って……、えっ! 魔王様、引退する気ですか!?」
魔王「魔界の平定も成し遂げた。あとは、上の世界への進出を果たし、征服するだけとなったが……」
側近「長年の夢がついに叶うじゃないですか。それがなぜ、引退など?」
魔王「今や我にとって、世界征服は心踊る崇高な使命ではなくなったのだ」
側近「そんな……。では、魔王様が一番に成し遂げたいものとは」
魔王「側近と、これからも居酒屋をまわり続けることだな」
側近「……え?」
81 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 18:11:06.48 ID:6K3j0xl80
魔王「側近と居酒屋での語らいを重ねるうち、我は、最も大切に想う者と、日々の営みをただ繰り返す安寧さに心を奪われてしまった」
魔王「もし世界征服などしてしまっては、そんな安らぎの日々からは遠のいてしまう」
魔王「だから我は、いつか、もし機会があれば、魔王を辞し市井の民となり、小さな幸せを感じながら余生を過ごすことを考えていた」
側近「魔王様……」
魔王「そしてできれば、その隣には」
側近「!」
魔王「側近、お前がいてほしい。我と一緒に、来てくれぬか」
側近「……、はいっ!」
マジメ「ブツブツ ラブコメハヨソデヤレ ブツブツ」シュウウゥゥゥゥゥウウゥゥウゥ
〜〜回想ここまで〜〜
マジメ「と、いうわけで……」
ヒモ「え、じゃあ、あの魔王死んでねーの?」
マジメ「うん。俺に魔王の力を移した後、側近さんと一緒に手を繋いで城を出て行ったよ」
82 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 18:12:12.65 ID:6K3j0xl80
根暗「じゃあ……、あの…、外れた腕輪は……?」
御曹司「魔王さんが死んだら外れるっていうあの腕輪。あれが外れたから、ぼくらは魔王さんが死んだと思ったんだけど」
マジメ「腕輪? ああ、あの腕輪なら、側近さんがなんかしていったね」
〜〜再回想〜〜
側近「それじゃあ、あの偵察用の腕輪はもう用済みでしょうし、解除しておきますね」
魔王「なにっ、あれは我が死なぬと外れぬのではなかったのか?」
側近「まあ、建前ではそう言ってますし、実際、魔王様が死ぬと外れるようにはなってますけど」
側近「こちらが任意で操作できない装備など愚の骨頂ですから、もちろん、私の一存で付け外しできるようにしていますよ」
魔王「そ、そうだったのか……」
〜〜再回想ここまで〜〜
マジメ「だって。何のためにつけてたのか、俺はよく知らないけど」
ヒモ「なんだそりゃ」
御曹司「あまり威厳のない人だとは思ってたけど、早速尻に敷かれそうだね」
ナンパ「つーかwww恋人と逃避行とかwww」
御曹司「意外とロマンチストな人だったんだなあ」
根暗「元から……、あまり魔王らしくはなかった……」
83 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 18:13:24.30 ID:6K3j0xl80
マジメ「そもそも、俺が魔王になったのだって、あの二人のイチャイチャを眼の前で見せつけられてイラってきたせいでもあるし」
御曹司「まあ、気持ちはわかるけれど」
ヒモ「だからって、魔物を俺らが住んでるところに派遣して、荒らすのはどうなんだよ」
マジメ「いやーそれが、魔王をやってみたら思いのほか楽しくて、よしじゃあ上の世界も征服しちゃおうかなーってさ」
根暗「で……、魔物をたくさん送って……攻め込んで見たと……」
マジメ「あまりに上手くいくから、ちょっと調子に乗っちゃってね。魔物も言うことをよく聞いてくれるし、面白くって」
ナンパ「事業がww上手くいっているときはww全力で攻めるのがw基本っスからねwww」
マジメ「そうそう、わかってくれる?」
ナンパ「wwwww」
マジメ「はははは」ニコニコ
ナンパ「○ね」パンチ
マジメ「んごふっ」
84 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 18:14:29.25 ID:6K3j0xl80
御曹司「だめだよナンパ君、勝手に魔王を攻撃しちゃあ」
ナンパ「あwwwすいませんッスwww」
マジメ「そうだそうだ! 暴力反対!」
御曹司「勇者がとどめ刺さないと魔王は倒せないんだから、ぼく以外が攻撃しても労力の無駄だよ」
ナンパ「そッスねwww」
マジメ「ええ!? 俺をかばったんじゃないの?」
ヒモ「今のお前に、かばってもらえるだけの価値はねーよ」
マジメ「はあ!?」
根暗「むしろ……、攻撃する価値すら……ない……」
マジメ「ちょっと!? 君たち勇者一行でしょ? 俺、魔王だよ? 俺を倒すのが使命なんじゃないの?」
ヒモ「いやいや、俺らにも、倒すべき敵を選ぶ権利ぐらいはあるだろ」
マジメ「はい?」
85 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 18:15:15.60 ID:6K3j0xl80
マジメ「なんだよ権利って、権利も何も、魔王と勇者一行なら、何は無くとも戦うのが常識だろ!?」
ヒモ「…………」
マジメ「それに俺は魔王だぞ!? 魔王って言ったらこの魔界で一番偉いんだから、もっとも価値があるってことだ! 攻撃する価値がないとか、意味が分からないよ!」
根暗「…………」
マジメ「だいたい、俺たちは友達だろ!? 友達だから戦えないっていうなら分かるけど、だったら、さっきいきなり殴られたのはなんなんだよ! おかしいだろ!」
ナンパ「…………」
マジメ「おい、何か言えよ!!」
86 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 18:16:50.82 ID:6K3j0xl80
ヒモ「じゃあ、言わせてもらうけど」
マジメ「う、うん」
ヒモ「このクズが」
マジメ「え」
根暗「2度と、顔も見たくない……」
マジメ「ちょ」
ナンパ「◯ねバーカ」
マジメ「まっ」
御曹司「…………」
御曹司「ぼくたちは、マジメのことだから、何か深い理由があってぼくらが今いる世界を攻めてると思ってたんだ」
ヒモ(一度も思ったことないけどな)
御曹司「なのに、話を聞けば、ただの面白半分で、ぼくたちのことを傷つけようと、傷ついても構わないと、魔物を送り込んでいたんだね」
根暗(ちっとも…、傷ついてないけれど……)
御曹司「実際、ヒモやナンパ君は、魔物のせいで商売に支障が出て、経済的な損失を受けているんだよ」
ナンパ(その代わりwww値段吊り上げてwww逆に大儲けッスwww)
マジメ「え、じゃあ……」
87 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 18:18:27.43 ID:6K3j0xl80
御曹司「本気でぼくたちの世界を征服するつもりだったならぼくらも本気で相手をしたけど」
御曹司「今の君は、ただ調子に乗って遊んでいるだけの裸の王様だ」
御曹司「そんなくだらない最低のお遊びに、ぼくたちが付き合う義理はないね」
マジメ「そんな……、でも、俺は……!」
御曹司「もう、何も言わなくていいよ。本当は、口も聞きたくないから」
御曹司「さようなら。絶交だ」
マジメ「あ……、あ……」
マジメ「あぁ…………」シュワー
ヒモ「おお、なんか黒い鎧やらなんやらが消えてったぞ」
御曹司「ぼくらに見捨てられたせいで更に魔王化するかと思ったら、魔王化する気も無くなるほど、ガックリ来ちゃったみたいだね」
根暗「そんなに……、友達がいなくなるの……、嫌なのかな……」
御曹司「周りの目を人一倍気にする人だったから、無価値だって言われたのが一番堪えたんじゃない?」
ヒモ「けっ、意気地なしが」
88 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 18:20:43.38 ID:6K3j0xl80
ナンパ「でもwww浄化できてwww結果オーライwww」
御曹司「あ、そっか。これが勇者の聖なる力なのか」
ヒモ「魔王を罵倒してなじるのが聖なる力かよ。勇者終わってんな」
御曹司「暴力で解決するより、よっぽど人道的で友愛的な手段だと思うけど」
根暗「人道……?」
ナンパ「友愛www」
マジメ「みんな、ごめん。俺をゆるしてください」
ヒモ「おーおー、魔王化が解けたと思ったら、随分としおらしくなっちゃってまあ」
根暗「想定……通り……」
御曹司「都合が悪くなると、とりあえず謝るクセあるよね」
ナンパ「マジメさんの土下座www天下一品ッスwww」
マジメ「心を入れ替えて、誠心誠意人のために働きますので、どうかご容赦を」
ヒモ「こいつ、いつもこんな調子で謝ってんのか」
御曹司「まあ、街の人に嫌われて追い出されるのも無理はないかな」
根暗「心が……こもってない……」
ナンパ「おざなりの謝罪はwww相手を怒らせるだけッスよwww」
マジメ「はい、本当にすいませんでした」フカブカトドゲザ
89 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 18:21:55.86 ID:6K3j0xl80
ヒモ「で、とりあえず魔王征伐もこれで終わりか?」
御曹司「そうだね、とりあえず帰るとしようか」
マジメ「え、俺たち、元の世界に戻れるの?」
ヒモ「は? 何言ってんのお前」
マジメ「え?」
根暗「彼は……、魔王さんの説明……、気絶してて、聞いてない……」
ヒモ「ああ、そうか」
ナンパ「マジメさんwww俺たちw元の世界にはww戻れないッスよwww」
マジメ「え、うそ……」
ナンパ「残念ながらwwwほんとッスwww」
マジメ「」
根暗「また……、気絶してる……」
御曹司「このメンタルでよく魔王になれたなあ。魔王化してる時の方が、心が強くなるのかなあ」
90 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 18:23:30.14 ID:6K3j0xl80
ヒモ「はあ。これでまた、居酒屋オーナーの日々に戻るのか」
ナンパ「俺もwww子作りと商売の日々にwww逆戻りwww」
御曹司「ああ、いやだな。魔物が出始めてから大人しくなったけど、隣国の王様が何かと厄介なんだよねえ」
ヒモ「なに、戦争?」
御曹司「そこまでは行かないけどさ、出自不明の王様がでかい顔するなって。ほら、最近うちの国、景気が良くなってきたからやっかんでるのさ」
ナンパ「うちもww新参の若者がw仕切るなってwwよく嫌味言われるwww」
ヒモ「俺もなあ。俺自身が嫌われるってことはねえけど、女同士がすげーギスギスして本業にさし障るんだよ」
ナンパ「おおむねwwwヒモのせいwww」
ヒモ「俺のせいか? 俺のせいか」
御曹司「どこも似たような感じだね。なんで、この世界の人たちって、こう仲が悪いんだろう」
ヒモ「さあ? どいつもこいつも自分のことばかり優先して、相手の気持ちなんか考えねーからじゃね?」
御曹司「あー」
ナンパ「ヒモはwww相手のことww考えてんのwww?」
ヒモ「当たり前だろ。いつもと違う化粧や香水してるってことはコッチの気を引こうとしてんだなとか、いつもと違う服を着てきたら、それをきっかけに話しかけて欲しいんだなとか」
ヒモ「将来の子育てや貯金の話をし出したら結婚したいんだなとか、今度ここに行きたいってデートコースに式場近くのスポット勧めてきたら結婚したいんだなとか」
ヒモ「相手のこと考えてなけりゃ結婚回避なんかできねえよ!」
ナンパ「切実www」
御曹司「いっそのこと、重婚可って法律つくろうかな」
根暗「無駄だと思う……、彼に、結婚する気がないから……」
御曹司「あ、そっか」
91 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 18:25:43.77 ID:6K3j0xl80
御曹司「それにしても、隣国の王様どうにかならないかなあ。いっそのこと、併合して自国に組み入れちゃおうかな」
御曹司「隣国の参謀さんとは仲良くしてるから、彼女にスキャンダル流してもらって王族を追放できれば、無血開城も不可能じゃないし」
根暗「平和的に……、物騒な……、お話……」
ヒモ「ナンパは、自分に嫌味言ってくる奴にはどうしてんだよ」
ナンパ「自分の村の住人だったらww一対一でお話をよく聞いてww”ご理解”してもらうwww」
ヒモ「ご理解ね」
ナンパ「他の村の村長だったらww輸入も輸出も締め付けてwww日干しwww」
ヒモ「他の村同士で交易しあったら、締め付けても効果ないんじゃね?」
ナンパ「俺がいなかったらwそもそも商売が成り立たないwww他の村同士wwすげー仲わりーwww」
ヒモ「ふーん。なんか村同士で嫌い合う事情でもあんの」
ナンパ「別にwwないwwwただww自分以外の村はwww嫌いなだけwww」
ヒモ「田舎の排他性ってやつか。悲しいなあ」
御曹司「なんで君が悲しがってるのさ」
ヒモ「俺は博愛主義者だからな。世の中の女は、みんな平等に俺のセフレだ」
ナンパ「わwけwわwかwめw」
92 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 18:26:58.19 ID:6K3j0xl80
根暗「……、なんか…すっかり……、おいてけぼり……」
根暗「みんな……色んな人との付き合いに…、大変そう……」
根暗「竜族の土地に…戻るから…、ぼくには、関係ないけど……」
竜「クルルル」
根暗「ん……?」
竜「…………」
根暗「……えっ?」
マジメ「――はっ! なんだ、もう朝か?」
マジメ「ミノタウロス(♀18歳)はどこだ? 寝起きのおっばいがないと一日の元気が出ないと、あれほど言っておいたのに」
マジメ「……あ、そうだ。俺、倒されたんだっけ」
93 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 18:27:45.54 ID:6K3j0xl80
ヒモ「お、起きたか、おっぱい星人」
ナンパ「毎朝wwwお楽しみですねwww」
マジメ「ん? なんのこと? 俺、何か言った?」
ヒモ「トボけんなよ、しっかり聞こえてたぞ」
ナンパ「このwwwむっつりさんwww」
マジメ「まあまあ、それはいいからさ、この後はどうするんだい?」
ヒモ「そうやって、聞かれたくない話題になるとすぐに話をはぐらかすの辞めようぜ」
御曹司「実際、大人気ないよね」
マジメ「それは後で聞くから、とりあえずこの後の予定を教えてよ」
ヒモ「はあ……」
94 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 18:29:22.66 ID:6K3j0xl80
御曹司「まあいいや。それでさ、この後のことで考えていたことがあるんだけど」
マジメ「さすが御曹司。頼りになるね!」
御曹司「……うん。とにかくさ、この世界の人たちはあまり仲良くないってことが、大体の問題の原因なわけじゃない」
マジメ「そうなんだよね。俺も、なんかよく分からないんだけど、そのせいで街を追い出されちゃったし、それで魔王にもなっちゃったし」
御曹司「……うん(苦笑)。でも、マジメが魔王になって上の世界に攻め込み初めてからは、前よりはマシになったと思わない?」
ヒモ「たしかに、うちにくる輸送隊、前は部隊の連中同士一緒に飯も食わねえって聞いてたのに」
ヒモ「魔物に襲われるようになってからは、お互いによく話しかけあったりして連携取るようになってたなあ」
ナンパ「うちの交易隊もw他の村に荷物運んでお茶の一つも出なかったのにwww」
ナンパ「魔物のせいで物資が届きづらくなってからwwおもてなしwしてもらえるようになったwww」
御曹司「やっぱり、身近に危機が迫ってないと、お互いに協力し合うって発想にはならないみたいだね」
マジメ「なるほどね。それでこの後、俺はどこに行けばいい? とりあえず、誰かの家にお世話になる感じ?」
御曹司「で、考えたんだけどさ。もし、ある程度の枠の中で、この危機的状況が維持できるとしたら、どう?」
ヒモ「あー、確かに、その方がいいのかもな」
ナンパ「ケンカばっかしてるよりwwwましッスねwww」
ヒモ「具体的には、どうするつもりだ?」
御曹司「それが思いつかなくってね。何か、都合のいい解決法があるといいんだけど」
マジメ「うん、あるといいね。それより早く帰ろう。今日はもう疲れたよ」
キラキラキラキラ
ヒモ「お、なんだなんだ?」
95 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 18:30:36.97 ID:6K3j0xl80
精霊「…………」シャラーン
御曹司「ああなんだ、ぼくの夢に出て来てお告げをくれた精霊か」
マジメ「え? 精霊?」
精霊「……、私は、この地を創造し、守護する者であります」
精霊「そなたらの尽力により、乱れ始めたこの世界の秩序が、再び安定を取り戻しました」
精霊「その功績をたたえ、ここに、感謝の意を表します」
ヒモ「なんか表彰状授与っぽいのが始まったぞ」
ナンパ「ウケるwww」
精霊「そなたらは、この地にたどり着くまでに多くの苦難を乗り越え、この世界に仇なそうとする悪を打ち倒しました」
ナンパ「苦難www」
根暗「あったっけ……?」
精霊「その尊き働きに報い、そなたらの願いをひとつ叶えましょう」
96 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 18:31:47.91 ID:6K3j0xl80
御曹司「へえ。それって、どんな願いでもいいんですか?」
精霊「もちろんです。聞けば、そなたらは異世界より召されし者達とか。私の力を持ってすれば、元の世界に戻すこともできましょう」
マジメ「え! やった、帰れるんだ!」
根暗「あの……、願いをひとつというのは…、一人ひとつずつと…いうこと……?」
精霊「その通り、と言いたいところですが、一度乱れた世界の理りを正すため力を使わざるを得ず、今は、そなたら皆でひとつの願いが限界です」
ヒモ「じゃあ、富と権力という願いをした場合はどうなるんだ?」
精霊「そうですね、富は均等に分け与えられますが、権力となると、そなたら皆でひとつの国を治めるようになるでしょう」
マジメ「つまり、個人的な願いより、みんなが共通に希望することを願った方がいいんですね!」
精霊「はい。この世界を救ったそなたらに、この程度の報いでは心苦しい限りですが…」
97 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 18:33:33.35 ID:6K3j0xl80
マジメ「なら、願い事はあれしかないね」
御曹司「うん、そうだね」
ヒモ「ご都合主義ってすげーなあ」
精霊「願いを限定するようで誠に申し訳ありません。せめて、そなたらの安寧をいつまでも願いましょう」
ヒモ「じゃあ王様、俺らを代表して精霊様に願いを伝えてくださいよ」
根暗「うん……」
ナンパ「お願いするッスwww」
御曹司「いいんだね。ぼくの願いは、アレしかないけど」
マジメ「もちろんさ。俺たちの願いはひとつしかないんだから、御曹司に任せるよ」
御曹司「じゃあ、言うよ」
ヒモ「……」コクッ
ナンパ「……」コクッ
根暗「……」コクッ
マジメ「www」コクッ
精霊「さあ、そなたらの願いを言いなさい」
御曹司「ぼくの願い、ぼくたちの願いは――」
魔王と人間の対立が永遠に続くことです。
98 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 18:34:26.10 ID:6K3j0xl80
精霊「」
ヒモ「……」ウンウン
根暗「……」ウンウン
ナンパ「www」ウンウン
マジメ「……」ポカーン
精霊「あ、あの…、そなたはいったい何を?」
御曹司「国を1つ治めてみて分かったけど、この世界の人間は他人を嫌いすぎているんだよね」
御曹司「やれ、あっちの国王が気に入らない、こっちの国民は薄汚い、そんな話ばっかりで辟易したよ」
ヒモ「俺の女共も、あの娘には負けたくないとかで次々に貢いできたからなあ。さすがに引いたわ」
ナンパ「街と街の物流をスムーズにしただけで救世主扱いww交易すらまともにできないとかwwドンだけ仲悪いんスかwww」
御曹司「マジメが上の世界を攻めて実害が出始めてからの方が、人々の間の不仲が緩和したからね」
99 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 18:36:02.50 ID:6K3j0xl80
御曹司「もし、また魔王がいなくなって、人間がお互いに嫌いあっているのがエスカレートしていったらどうなるだろう?」
御曹司「最終的には国を挙げての大戦争で、きっと人間は滅びちゃうんじゃないかな」
精霊「しかし…、そなたらの願いを叶えれば、この世界に平和は二度と訪れぬということに……」
御曹司「人間同士が烈しく争い、やがて滅びてしまう未来」
御曹司「魔王と人間が小競り合いを繰り返し、心は休まらないけど永遠に続く未来」
御曹司「果たして、人間にとってはどちらが幸せだろうね」
精霊「それは……」
根暗「ぼくの大事な竜ちゃん…、魔王がいないと弱って死んじゃうんだって…」サッキ キイタ…
御曹司「ああ、そういう事情もあるんだね。というわけで、この世界に魔王は必要なんだ」
御曹司「だからぼくは、魔王が復活し、人間と争い続けることを願うよ」
100 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 18:37:17.45 ID:6K3j0xl80
マジメ「ち、ちょっと待て! お前ら、元の世界には戻りたくないのかよ!?」
根暗「うわ……」
ナンパ「wwwww」
ヒモ「お前、もうちょっと空気読めって」
マジメ「え? いやちょ……、え??」
御曹司「逆に聞くけど、君は元の世界に戻りたいのかい?」
マジメ「そりゃあ、まあ……」
ヒモ「あのわがままで自己中なヒステリー女が、いつもお前を不機嫌にさせるあの世界に?」
ナンパ「上司のパワハラがひどくてwwwいつも胃薬飲んでたあの世界にwww?」
根暗「ママの監視が厳しくて……、自由に遊びにも行けないあの世界に……?」
御曹司「君は、本当に戻りたいのかい?」
マジメ「う……、う……」
マジメ「うおおおあああああ゙あ゙あ゙あ゙あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
根暗「あ……、また魔王化しそう……」
ヒモ「あいつの場合、言うこときかない俺らよりも、素直に言うこと聞く魔物に囲まれて暮らした方が幸せかもな」
ナンパ「言えてるwww」
マジメ「人間なんて大っ嫌いだーーー!!!」
101 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 18:38:39.20 ID:6K3j0xl80
御曹司「というわけで、新魔王は彼でお願いします」ニコッ
精霊「そなたは…、そなたらは……」
御曹司「さて、これから忙しくなるね。次の魔王退治は、ぼくら以外の人間を勇者に仕立て上げて行かせよう」
ナンパ「いいッスねww伝説のオーブとか伝説の剣とかでっち上げてww適当に各地に置いておくッスwww」
ナンパ「商人仲間に噂流してwwそれとなく勇者の耳に入るように仕組んどきますんでwww」
御曹司「伝説のアイテムか。上手くそそのかせば、街の1つでも作ってくれるかもしれないね」
ナンパ「それいいッスねwwいつか使わせてもらいますwww」
ヒモ「俺は居酒屋の女達を使って、パーティの仲間を紹介する組織を作ってみるかな」
ヒモ「人材派遣みたいな仕事もさせて、勇者以外にもイロイロと斡旋すればそれなりに儲かるだろ」
御曹司「あ、ぼくのところにも何人か連れてきてよ。とりあえず綺麗な子がいいな」
ヒモ「はいはい。契約金はたんまりもらいますよ」
102 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 18:39:31.02 ID:6K3j0xl80
根暗「ぼくは…誰もいないところで…、竜ちゃんと静かに暮らすよ……」
根暗「それで、ぼくたちの子供を……、作るんだ……」
ヒモ「え、なに、お前あのドラゴン孕ませる気?」
ナンパ「うはwww異種間交配とかまじパねえwww真の勇者が こwこwにwいwたwww」
御曹司「いやあ、あの聖獣をテゴメにするのか。鬼畜だねえ」
ヒモ「お前が言うか」
ナンパ「御曹司さんはww何するんスかwww」
御曹司「ぼくはそうだな。とりあえずは勇者作りかなあ」
御曹司「適齢の女性何人かに子供を産んでもらって、どこか適当な地方で育てさせて」
御曹司「育った子供は城に連れてきてまた産ませて。何代か続ければ、優良な勇者が出来ると思うんだよね」
103 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 18:40:42.47 ID:6K3j0xl80
ヒモ「お前、自分の娘や孫にまで種付けする気かよ」
御曹司「そりゃそうでしょ。勇者の適性があったぼくの遺伝子を残すことが最も確実なんだし」
御曹司「ああ、もちろん男の子だったら城に来る必要は無いね。育った所で家庭を作ればいいと思うよ」
ナンパ「さすがの俺でも、それは引くッス」
御曹司「えーそうかなあ」
根暗「それで……、勇者ができたら……どうする……?」
御曹司「うん、適当な武器と小銭を渡してサクッと旅立ってもらうよ」
ナンパ「意外とwケチッスねww」
御曹司「あまり頼られても困るしね。冷たく突き放すくらいがいいんじゃないかな」
104 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 18:41:26.82 ID:6K3j0xl80
ヒモ「相変わらずえげつねえなあ。たまの里帰りくらい、許してやれよ」
御曹司「いやだよ。跡継ぎの王子はきちんと別に作るつもりだし、身分の違いはしっかり区別しないと」
根暗「じゃあ…もし戻ってきたら…、出迎えはなんて言う……?」
御曹司「そうだなあ」
おお!しんでしまうとはふがいない!
御曹司「かなあ」
ヒモ「死ぬまで帰ってくんなってことか」
根暗「やっぱり……、御曹司が、一番鬼畜だ……」
ナンパ「wwwwww」
マジメ「ふは、ふはははははははははhげほっごほっ」
そして でんせつのはじまりが はじまった!
105 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 18:42:00.40 ID:6K3j0xl80
〜〜エンドロール〜〜
勇者 御曹司
遊び人 ヒモ
魔法使い 根暗
商人 ナンパ
魔王 マジメ
元魔王 魔王
元側近 側近
読者 You
作者 Me
END
106 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 18:42:52.56 ID:6K3j0xl80
最後に一言だけ。
怒らないでください。
では。ノシ
107 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/17(日) 19:15:14.07 ID:UBEsVxyr0
乙
屑しかいねえや
108 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/17(日) 22:21:47.74 ID:613N+3zn0
乙!屑!
面白かった!
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