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魔王「召喚したら」御曹司ヒモ根暗ナンパマジメ「「「「「来ちゃった」」」」」
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1 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/16(土) 23:04:37.94 ID:ZfOohHAE0
【人物設定】
御曹司
良家のお坊ちゃん。
人当たりの良い笑顔と容赦ない断捨離の手腕で業績を上げライバルを次々に蹴落とし、幹部登用されている。
出会い系が好き。人妻などの素人を、お金を使った豪華な雰囲気で落とすのが得意(決して金では買わない)
人間の屑。
ヒモ
厳しい親から遊びを禁止されて育った反動で、大学デビュー後に大人の遊びにハマり、就職に失敗。
そのまま、当時の彼女の家で主夫をやった後、自分探しの旅に出る。
自分を甘やかしてくれる年上が好き。尻が大きければなおよし。
人間の屑。
根暗
一流の大学を卒業し一流の企業に勤め一流の給金をもらうエリート中のエリート。
しかし、女性経験が無いために自分は負け組だと思っている。
負け組だ負け組だと自分を卑下する割には、改善しようとする気は全くない。
人間の屑。
ナンパ
営業成績全国1位の猛者。
1日百人に声を掛ければ契約は取れるがモットー。
下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるの精神で何股もしている。
人間の屑。
マジメ
堅実に勉強し堅実に大学に入り堅実な会社に就職した。
マザコン気味で、風俗やギャンブルなど、母親が嫌がる危ない遊びには一切手を出さない。
巨乳の彼女がいるが、強烈に自己中な性格なので付き合ったことを後悔している。
実は人間の屑。
【人間関係】
5人とも同じ大学の同じサークルのメンツ。
職場はそれぞれ全く別。
【年齢順】
マジメ>御曹司=根暗>ヒモ>ナンパ
【本筋】
魔王「我の後継ぎを異世界から召喚しようと思う」
側近「はあ?」
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1505570677
2 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/16(土) 23:05:51.83 ID:ZfOohHAE0
側近「後継ぎ、ですか?」
魔王「そうだ、我の後継ぎだ」
側近「異世界から、ですか?」
魔王「そうだ、この世界と概念を異とする世界からだ」
側近「召喚、ですか?」
魔王「そうだ、召喚だ。……て、我が言ったことを繰り返すだけかお前は」
側近「だってですね……」
魔王「だって、なんだ。言ってみろ」
側近「おっしゃる意味がわかりません」
魔王「そうか? 我の後継ぎを異世界から連れてくる。簡単じゃないか」
側近「いや、言葉の意味じゃなくて」
魔王「ん?」
3 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/16(土) 23:06:48.83 ID:ZfOohHAE0
側近「まず、あなたは後継ぎが必要な歳ではないと思いますが?」
魔王「生前から墓を建てる阿呆もいるくらいだ。後継ぎくらい考えてもよかろう」
側近「では、異世界から呼び寄せる意味は?」
魔王「500年経ってなお、我を超える魔物が現れないからだ」
側近「つまり、この世界の魔物は弱いから、よその世界には強いものもいるだろうと」
魔王「そういうことだ」
側近「最後に、召喚する方法は?」
魔王「この文献にあった。文字が少なく、図が多用され解読は困難であったが、なんとか会得した」
側近(子供用の絵本じゃないですか)
魔王「なんだ、何か言いたげだな」
側近「いいえ、別に」
4 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/16(土) 23:08:00.15 ID:ZfOohHAE0
魔王「よし、ならば早速召喚を行うぞ」
側近「絶対失敗すると思いますけど」
魔王「心配はいらん。我に任せておけ」
側近(大丈夫かな)
魔王「ではいくぞ」
パルプンテ!
―――――――
―――
―
〜〜某年某日 東京都内某居酒屋にて〜〜
御曹司「では、久々の旧交を温める機会ということで、かんぱい」
マジメ「かんぱい!」
ヒモ「かんぱーい」
根暗「かんぱい…」
ナンパ「かwんwぱwいw」
5 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/16(土) 23:09:09.58 ID:ZfOohHAE0
御曹司「いやー久しぶりだね、みんなが全員そろうのは。何年ぶりになるかな?」
マジメ「俺が大学卒業した時以来だから、5年ぶりだね」
根暗「みんな……、仕事が忙しいから……、なかなか集まれない……」
ヒモ「俺なんか、去年まで日本最北の地でバイトしてたからな。飛行機の距離だとなかなか帰れねえよ」
ナンパ「こっちでw貢がせてた女からwww結婚迫られて逃げた奴がwww何か言ってるwww」
ヒモ「うっせ黙れ。悪魔が住む土地には誰だって近づきたくねえだろ」
ナンパ「帰れないじゃなくてwww帰りたくないの間違いwww」
御曹司「そういうナンパ君も、最近どうなんだい?」
6 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/16(土) 23:10:10.11 ID:ZfOohHAE0
ナンパ「ついにwww2000人切り達成www」
ヒモ「節操ないよなあ、お前」
ナンパ「女なんてw営業と同じwww街で1日100人に声かければww1人か2人はセイコウ余裕www」
御曹司「それと同じ方法で営業して、社内の営業成績全国1位で表彰されたんだろう? 大したものだよ」
ナンパ「いやいやww御曹司さんには敵わないwww人妻や婚活女子との女遊びとかwww俺には無理ッスwww」
御曹司「人妻は良いよ、手切れが楽だし。一晩の付き合いにはもってこいだね」
御曹司「婚活してる子は引っかけるのは楽だけど、切るのがめんどくさいのがアレかな」
ヒモ「相変わらず、浮世離れしてやがる」
ナンパ「さすがは良家の後継ぎwww座右の銘は”女は金で捨てろ”www」
7 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/16(土) 23:11:21.72 ID:ZfOohHAE0
御曹司「ちょっと待って、皆がみな、お金で解決してるわけじゃないよ。携帯解約すれば、自然消滅だって簡単なんだからさ」
ヒモ「うわ、最新スマホ3台常に持ち歩いてるやつが何か言ってるし」
ナンパ「仕事用wwwプライベート用www女用www」
根暗「……みんな、勝ち組で羨ましい……。ぼくなんか…誰とも付き合ったことがない……、負け組……」
ヒモ「お前なあ、一流企業の出世頭でそんだけ給料貰ってて、負け組とか言ったら世間から怒られるぞ」
根暗「でも…、童貞……」
ナンパ「人生女だけじゃないッスよwww今度合コン行きましょww根暗さんならすぐ彼女出来ますってwww」
御曹司「お、合コンやるならぼくも誘って。とりあえず綺麗な子がいいな」
ナンパ「御曹司さんはwww女の子が気に入らないとwその場で帰るからwwwダメッスwww」
ダンッ
マジメ「ったく。いつまでたっても変わらないな、お前ら」
8 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/16(土) 23:12:18.67 ID:ZfOohHAE0
マジメ「社会人になっても、女遊びの話だけじゃ恥ずかしいぞ?」ヒック
マジメ「もっと、政治経済とか仕事の話とか、大人な会話できるようになろうぜ」ヒック
マジメ「いつまでもそんな子供まんまじゃ、世間様に顔向けできないだろ」ウーィ
ヒモ「またか」
根暗「始まった……」
ナンパ「空気読めてないwww」
御曹司「まあまあみんな。マジメもそんな僻まないで、楽しく会話しようよ」
マジメ「僻んでなんかいないさ。ただ俺は、お前らがいつまでもそんな話じゃ恥ずかしいって言ってんだッよ」
根暗「……だいぶ酔ってる」
ヒモ「まだ1杯目なんだけどな」
ナンパ「ストレス溜めすぎwww」
御曹司「彼も大変だからなあ」
9 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/16(土) 23:13:23.05 ID:ZfOohHAE0
マジメ「ちっくしょー! ゴメンって言ったのにいつまでも愚痴愚痴うっせーんだよあのクソアマー!」
ヒモ「この前できたっていう、わがままで自己中なヒステリー彼女か。あいつ、女運ワリーよな」
根暗「でも、巨乳……」
ヒモ「おっぱい星人だからな」
マジメ「上司は上司でノルマノルマって説教ばかり……、パワハラで訴えてやるぞ!」
ナンパ「クソ上司とかwwwそいつより売上あげてww黙らせばいいだけwww」
御曹司「そんなこと簡単にできるのは君ぐらいだと思うよ?」
ナンパ「御曹司さんみたいにww気に入らない上司を鬱病にしてww辞めさせるよりは楽ッスwww」
マジメ「飲みに行こうとしても、すぐ母さんから『まだ帰ってこないの?』って電話くるし……。俺はマザコンじゃねー!」
ヒモ「あいつ、まだ実家住みかよ」
御曹司「一人息子で、昔から大事にされているからね」
ヒモ「親が嫌なら、家出りゃいいのに。このマザコンが」
10 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/16(土) 23:14:29.72 ID:ZfOohHAE0
マジメ「お前らはお前らで俺の言うことちっともきかねーしよー! サークルの主将だったんだから、ちっとは敬え!」
ナンパ「いやいやwww尊敬はしてるッスよwww」
根暗「嫌いだったら……、飲みに誘わない……」
マジメ「うるせー! お前ら、俺のことをバカにするなああああああ」
ピカァアアア!!!
ウオ! マブシッ
―
―――
―――――――
〜〜魔王城〜〜
フシュゥゥゥウウウゥゥゥ
マジメ「ああああぁぁぁあ……?」
ヒモ「……どこだ? ここ」
側近「…………」
魔王「……何だ? こ奴らは」
御曹司「…………」
根暗「…………」
ナンパ「wwwwww」
11 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/16(土) 23:15:21.80 ID:ZfOohHAE0
魔王「魔物……、では、ないな。普通の人間に見えるが……」
側近「だから失敗するって言ったんですよ。やっぱり止めさせておけばよかった」
魔王「まだ失敗したとは言えまい。こ奴らの中から、我をも凌ぐ強力な魔王が生まれる――」
側近「わけないじゃないですか! どうみたって非力なただの人間ですよ? 魔力の波動も感じないし」
魔王「うむ……」
御曹司「あの……」
12 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/16(土) 23:16:17.49 ID:ZfOohHAE0
魔王「なんだ」
御曹司「状況が分からないのですが、とりあえず初めまして」
御曹司「わたくし、御曹司と申しまして、あそこにいる友人たちは、左からヒモ、根暗、ナンパ、マジメと言います」
ドモ
ウィッスw
御曹司「わたくしの勤め先は、○○という会社です。あ、こちら名刺になります」
側近「あ、これはこれはご丁寧にどうも」
側近「私は側近と申しまして、魔王様の身の回りのお世話をさせて頂いております」
側近「こちらは魔王様で、この世界の支配を目指しています」
魔王「ん」
御曹司「それはそれは、ご立派なお仕事ですね。本日は、お会い出来まして光栄でございます」
魔王「はは、苦しゅうないぞ。近こうよれ」
13 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/16(土) 23:17:15.88 ID:ZfOohHAE0
御曹司「それで、お聞きしたいのですが…。ここは、いったいどこなのでしょうか?」
側近「ああ、そう言えば何も説明していませんでしたね」
魔王「側近よ、教えてやるがよい」
側近「はい。ええと、ここは魔王様が治める土地です」
側近「特に名前は無いですが…、とりあえず、魔界とします」
御曹司「魔界、ですか…」
側近「はい。このあたりにも人間は住んでいますが、ひとまず魔王様の統治下におかれています」
御曹司「さきほど、この世界の支配を目指している、とおっしゃいましたが、それは?」
魔王「その問いには我が直々に答えてやろう」
14 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/16(土) 23:18:24.37 ID:ZfOohHAE0
魔王「この魔界は地下世界である」
魔王「といっても、見て分かるように太陽はあるし、空もある」
魔王「どうやら、この魔界の上に別の世界が広がっているようでな」
魔王「我は、その上の世界の支配を目指しているというわけだ」
魔王「といっても、今は特に何も手出しはしておらん。この魔界の平定のため、すべきことが山ほど残っているからな」
御曹司「なるほど……」
御曹司「…………」
御曹司「ちょっと、友人と相談する時間を頂いてもよろしいでしょうか?」
魔王「許可しよう」
15 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/16(土) 23:19:27.27 ID:ZfOohHAE0
御曹司「と、いうわけなんだけど、どうする?」
ヒモ「どうするもなにも……。魔王? 魔界? 意味が分からねーよ」
根暗「ゲームの…世界に、来たみたい……」
ナンパ「やべえwwwラノベのイントロみてえwww俺の物語が はwじwまwっwたw」
御曹司「とりあえず、今後をどうするか決めたいんだけど、何か意見あるかな」
根暗「まずは……帰れるか、どうか……確認する……」
御曹司「そうだね。じゃあ、もし帰れなかったら?」
ヒモ「飲み食い出来て、寝れるところがあればどうでもいい」
ナンパ「女の人がwwいっぱい居る場所wwwどこッスかねwww」
根暗「一人で……、静かに、暮らしたい……」
御曹司「ブレないね君達は。もっと狼狽えたりするかと思ってたけど、いつも通りで安心したよ」
ヒモ「いやまあ、慌ててもしゃーないし」
ナンパ「いつでもwwどこでもww笑顔がモットーwwwですからwww」
根暗「笑顔っていうか……、あほヅラ?」
ナンパ「うはwwwこれは手厳しいwww」
16 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/16(土) 23:20:26.47 ID:ZfOohHAE0
ヒモ「ところで、さっきからずいぶん静かだけど、マジメはこの後どうすんだ?」
マジメ「」
ヒモ「あー、完全に逝っちまってらぁ」
御曹司「まあ、彼の常識では、この展開について来れないだろうからね」
根暗「……おとなしく、気絶してもらってた方が…、静かで、良い……」
御曹司「それじゃあ、もしあっちに帰れたらそのまま現地解散で、ダメだったら、こっちで衣食住を賄えるところを紹介してもらう感じでいいかな?」
オッケー×3
魔王「……ずいぶんと肝の座った人間どもだな……」
側近「まるで、これから行く居酒屋の相談でもしてるような気軽さですね」
魔王「うむ……」
魔王「……思わず同意したが、居酒屋とは、いったい何だ?」
側近「今度、連れてってあげます」
魔王「うむ、そうか」
17 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/16(土) 23:21:28.58 ID:ZfOohHAE0
御曹司「というわけで、ぼく達を元の世界に帰して下さい」
魔王「無理だ」
御曹司「では、ぼく達が生活できる国や街へ連れて行って下さい」
側近「切り替え早いですね」
御曹司「ダラダラしてても、状況が変わる訳ではないので」
側近「しかし、生活できる国や街といっても……。どうしましょうか」
魔王「というか、お前はこ奴らに何もせず、このまま解き放つつもりなのか?」
側近「は?」
魔王「いや、魔なる者が人間に何も危害を加えぬというのは、この世の条理にそぐわぬではないか」
側近「……、魔王様が、なんか魔王らしいこと言ってる……」ボソッ
魔王「おい、側近?」
側近「はいはい、いえ、何でもないですよ?」
18 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/16(土) 23:22:31.45 ID:ZfOohHAE0
側近「とはいえ、この人達はこちらの都合で呼び出してしまったのですし、何かする理由も特にないのですよね」
魔王「まあ、そうだが……」
側近「そうだ、それじゃあ、上の世界に行ってもらって、あっちの様子を報告してもらう偵察係として働いてもらうのはどうでしょう」
魔王「ああ、それはいいかもしれぬな」
魔王「よし、それではお前たち、とりあえず我の前に並べ」
御曹司「はい、分かりました」
ヒモ「ったく、めんどくせーなー」
ナンパ「一列に並ぶとかwww会社の朝礼みたいッスねwww」
根暗「……」
マジメ「」
ヒモ「てか、マジメのやつ、まだ気絶してんのか」
御曹司「根暗君、悪いけど彼をこっちに引っ張ってきてもらえるかい?」
根暗「……」コクッ
マジメ「」ズルズル
19 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/16(土) 23:23:16.90 ID:ZfOohHAE0
御曹司「というわけで、全員揃いました」
魔王「うむ。ではこれより、お前たちを上の世界の街に飛ばす。その前に、おい側近、例の物を配れ」
側近「はーい、かしこまりましたー」
魔王「今、側近から渡された腕輪は、お前たちの動向をこの魔界に伝えるための道具である」
魔王「それを身に着けていれば、お前たちが見た景色や、聞こえる音、話した会話が、この城にある水晶に記録される」
魔王「つまり、お前たちは日々の生活を普通に送るだけで、自然とそれが諜報活動となり、我らの役に立つのだ」
御曹司「特別何かをする必要が無いというのは、ぼくらにも負担が無くて嬉しいですね」
側近「そう言ってもらえると、作り手名利につきます」
20 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/16(土) 23:24:03.85 ID:ZfOohHAE0
魔王「ただし、制約はある。その腕輪は、一度つけると、我が死なぬ限り二度と外すことはできない」
魔王「身体に害はないが、お前らがとった行動は、全てこちらに伝わってくる」
魔王「それこそ、排泄、自慰、性交、ありとあらゆる痴態が、我らに伝わるのだ」
魔王「精神的な辱めを常に意識しなければならぬ覚悟を、持たなくてはならない」
御曹司「まあ、その程度のことでしたら、特に気にしませんよ」
ヒモ「俺らの人生、別に今さら恥ずかしがるようなこともないしな」
ナンパ「野外露出プレイみたいなものでしょwwwうはwwwおkwww」
根暗「知り合いなんか…誰もいないし……、誰に知られたところで、困らない……」
御曹司「そんなわけなので、どうぞ、やっちゃってください」
魔王「……ううん。なんというか、肝が据わっておるのう……」
側近「なんだか私も、実はすごい人たちなんじゃないかと思えてきました」
21 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/16(土) 23:25:06.52 ID:ZfOohHAE0
魔王「まあいい。それではいくぞ」
側近「あ、そこで寝ている人への説明はどうします? 恐らく皆さん、別々の場所に飛ばされてしまうのですが」
マジメ「」
御曹司「ああ、いいですよ。彼の場合、中途半端に現状を知るより、全く何も知らずにいたほうが素直に助けを周りに求められますから」
側近「そうですか」
魔王「では、目をつむり、体の力を抜け。少々気分が悪くなるやもしれんが、怪我や痛みは生じぬから安心するがよい」
魔王「ゆくぞ」
バシルーラ!
ビューーーーーーーーン
―――――――
―――
―
22 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/16(土) 23:25:46.16 ID:ZfOohHAE0
〜〜〜
御曹司「ここは……」
??「あのう、お怪我はございませんか?」
〜〜〜
ヒモ「いってぇ、ケツ打っちまった」
??「ああ? 誰だお前、どこから落ちてきやがった」
〜〜〜
根暗「…………」
??「グルルルルルル」
〜〜〜
ナンパ「うひょー! 女がいっぱいだーーー!!!」
??「おめさ、どこの村の人間だべか?」
〜〜〜
マジメ「」
??「突然現れた、この人はいったい……?」
〜〜〜
23 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/16(土) 23:26:59.99 ID:ZfOohHAE0
ここでいったんセーブします。
ふっかつのじゅもんは、
『あしたのあさおきたらさいかい』です。
24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/17(日) 02:29:59.65 ID:iZ/JFHHao
期待
25 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 09:08:51.13 ID:6K3j0xl80
『あさごはんおいしかったですさいかい』
じゅもんが ちがいます
26 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 09:09:17.64 ID:6K3j0xl80
〜数週間後〜
魔王「おい側近」
側近「はいはい、なんでございましょ?」
魔王「我が召喚したあの人間たちは、今どうなっている?」
側近「ああ、皆さん、それぞれうまくやってるみたいですよ」
魔王「では、上の世界からの情報はきちんと腕輪を通して水晶に伝わっているのだな」
側近「ええ、私が作った機構ですから。誤作動なんておこしません」
魔王「どれ、政務の息抜きがてら、奴らの現況でも聞くとしようか」
側近「ちょっと待ってくださいね。えーっと、まとめた資料がこのへんに……、あった」
側近「では、御曹司さんからお話ししますね」
魔王「うむ」
27 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 09:10:16.75 ID:6K3j0xl80
〜数週間後〜
魔王「おい側近」
側近「はいはい、なんでございましょ?」
魔王「我が召喚したあの人間たちは、今どうなっている?」
側近「ああ、皆さん、それぞれうまくやってるみたいですよ」
魔王「では、上の世界からの情報はきちんと腕輪を通して水晶に伝わっているのだな」
側近「ええ、私が作った機構ですから。誤作動なんておこしません」
魔王「どれ、政務の息抜きがてら、奴らの現況でも聞くとしようか」
側近「ちょっと待ってくださいね。えーっと、まとめた資料がこのへんに……、あった」
側近「では、御曹司さんからお話ししますね」
魔王「うむ」
28 :
◆FJWxn4j5O6
[ごめんね、二重で書き込んじゃった。]:2017/09/17(日) 09:11:35.81 ID:6K3j0xl80
側近「まず、御曹司さんですが、某国の城内に飛ばされたようですね」
側近「ある種の呪いにより記憶を失わされ、どことも知れぬ土地に魔法で飛ばされたと言って、保護を受けているようです」
魔王「なるほど、記憶をなくしたという話はうまい手だな。出自を明かす必要が無くなり、ボロを出す心配がなくなる」
魔王「さらに、魔法という真実を加えることで言葉の信憑性が良くなり、突然人が降ってくるという不可解な現象にも対応できる」
魔王「なかなかのやり手のようだ」
側近「そうですね、やり手なのは間違いないようです」
側近「もともと育ちも良かったのでしょう。立ち居振る舞いや所作、作法などが上品なことから、どこかの国の貴族だと思われています」
側近「人当たりも良く、多くの人間と円満な関係を築くよう気を配っているので、評判もすこぶる良好です」
魔王「ふうむ。ますます感心するな」
29 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 09:12:55.19 ID:6K3j0xl80
側近「さらに、呪いをかけられたのも嫉妬に狂う悪い魔女の逆恨みによるものと好意的に解釈され、一部の女性たちから、悲劇の主人公として慕われています」
側近「また、最初に彼を助けた人間が、その国の王女であったことも幸いしたのでしょう、王女との親密な交際が続けられており、将来は王女との婚約も噂されています」
魔王「ほほう。我が方の間者が一国の王となるか。それはおもしろい」
側近「私としては、この短期間でこれだけ有用な関係を数多く作った手腕に驚きますね」
側近「彼は上の世界に送らず、2人目の側近として魔王様の側におかれた方が良かったかと思います」
魔王「お前にそこまで言わせるとはな。恐れ入った」
30 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 09:14:02.44 ID:6K3j0xl80
側近「さて、次はヒモさんですね」
側近「彼は、御曹司さんと同じ国の城下町に飛ばされています」
側近「場末の飲み屋を経営する女性に保護され、なんやかんやあって、現在は同棲しながら彼女の店を手伝っています」
魔王「これはまた、親愛関係を作るのが早いな。御曹司のように、その働きにも期待できそうか?」
側近「それが、そうとも言えないですね」
側近「店の女の子やお客さんにちょっかいを出しては店主に叱られ、仕事もサボり気味」
側近「店にいるよりも家で寝ているだけの日の方が多く、情報収集の役には余りたっていません」
魔王「そうか。まあ、全ての人間が役に立つとはいかぬか」
側近「ただ、家事全般に精通していて、同棲している女性の生活は格段に向上しています」
側近「また、芸術音楽といった教養も高く、そういった方面の情報は期待できます」
側近「こういった自分にない部分に女性店主は惹かれているらしく、ほとんど彼を養うような形で、面倒を見続けていますね」
魔王「文化芸術方面に秀でているのなら結構だ。そういった情報も、いずれは役に立つだろう」
31 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 09:15:17.20 ID:6K3j0xl80
側近「続いて根暗さんですが、彼は、切り立った岩山に囲まれた盆地に飛ばされてしまいました」
側近「人が住む土地ではなく、外界から隔絶している為、人間社会の情報収集はまったく期待できません」
魔王「ううむ。彼には悪いことをしてしまったな」
魔王「人と話せぬ環境というものは、さぞ抑鬱されるものであろう」
側近「ところが、これがまた彼の好みに合致したらしく、この上なく心安らかな暮らしをしています」
魔王「なに?」
側近「どうやらその土地には竜の一族が居を構えており、外界の物珍しい生物がやって来たと手厚く保護を受けています」
側近「また、彼ら竜は人語を解すため、問題なく根暗さんとの意思疎通を図れています」
側近「人間と違い、静寂と穏やかさを貴ぶ彼ら竜族との暮らしに、彼は安寧を感じているようです」
魔王「なんとまあ……」
魔王「とにかく、上の世界に人間以外の意思ある生態があると分かったのは収穫だな」
32 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 09:16:19.26 ID:6K3j0xl80
側近「4人目、ナンパさんですが、彼は……」
魔王「どうした、報告を言い淀むとはただ事ではないな」
魔王「彼の身になにか不都合でも生じたか?」
側近「いえ、彼自身は無事です。無事どころか、元気すぎるというか……」
魔王「なんだ、言ってみろ。言わねば我とて分からぬ」
側近「そのですね、口にするのもはばかれるような生活を送っていまして」
側近「一言でいうと、女狂いです」
魔王「……、なんだって?」
33 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 09:17:16.71 ID:6K3j0xl80
側近「えー、ナンパさんなのですが、未開の部族が住む辺境の村に飛ばされたようで、そこの村娘に保護を受けています」
側近「で、その村ですが、疫病なのか狩りに失敗したのかは不明ですが、子どもと老人を除き男性がほとんどいません」
側近「そのため、村中の女性から求愛されており、何と言いますか、馬車馬の如く……、いえ」
側近「種馬の如く、熱心に働いています」
魔王「……、言葉もないな」
側近「彼に関しては、水晶の記録係から苦情が出ていまして、いわく――」
記録係『朝も昼も夜も嬌声が絶え間なく、最初は役に立ったのですが、もう苦痛でしかありません』
側近「とのことです」
魔王「何の役に立ったのかは、あえて聞かないでおこう」
側近「記録係から、異動の要望が出ていますが、どうしましょうか」
魔王「……、淫魔の部隊に要請しろ。業務の引き継ぎと調整は、お前に任せる」
側近「承知しました」
34 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 09:18:05.18 ID:6K3j0xl80
側近「最後にマジメさんです」
側近「彼は、何の変哲もない街で善良な市民の方に保護され人助けを主とした仕事をしながら平穏に暮らしています」
側近「以上」
魔王「なんだその報告は。もっと詳しく話せ」
側近「だって、彼の生活退屈なんですもん」
魔王「なんですもん、ではない。いったいなんだというのだ」
側近「いえですね、いたって普通の彼は、いたって普通に助けられ、いたって普通に暮らしているわけです」
側近「特に生活に変化もなく、特筆すべき非日常的な事も無く、特段変わった人物も近くにいなく」
側近「ある意味、もっとも人間的な生活をしていると言えますね」
魔王「なるほど。まあ、それでも何か役に立つ情報に触れる機会もあるやもしれん」
魔王「引き続き、監視と記録を怠らぬように」
側近「かしこまりました」
35 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 09:18:37.87 ID:6K3j0xl80
魔王「そういえば、例の居酒屋に行くとかいう話は、いったいどうなったのだ?」
側近「……ああ、えーっと……」
魔王「まさか、忘れていたのではあるまいな」
側近「まさかそんな。今、店を選定しているところです。なにしろ、魔王様が行かれるお店ですから、品位や格式、また、警護の段取りなど、調査しなくてはならないことが多くてですね――」アーダコーダ
36 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 09:19:46.40 ID:6K3j0xl80
〜〜〜
御曹司「この間の観劇は素晴らしかったですね。舞台俳優の心情が手に取るように伝わって――」
王女「まあ、うふふ」
〜〜〜
ヒモ「メシができたぞ。食え」
女店主「家に帰ればあったかい飯がある。ふふ、うれしいもんだね」
〜〜〜
根暗「…………」
竜「…………」
〜〜〜
ナンパ「ひゃっほーーーーう!」
村娘s「「「「あぁぁああーーーーーーん(ハート)」」」」
〜〜〜
マジメ「おばあちゃん、草刈終わりましたよ」
おばあちゃん「ありがとうねえ。はいこれ、今日のお駄賃よ」チャリン
マジメ(お駄賃……、ホントに少ないな……)
おばあちゃん「おや? 今、何か言ったかい?」
マジメ「いえ、何でもありません……」
〜〜〜
37 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 09:20:48.20 ID:6K3j0xl80
〜さらに数ヶ月後〜
側近「魔王様」
魔王「なんだ側近。どうした?」
側近「いえ、政務に精を出されるのも良いのですが、少しはお休みになられては?」
魔王「北方の領土で治安が乱れているからな。その制圧計画で忙しいのだ」
側近「では、上の世界に行ってもらった、例のみなさんの報告がてら、しばらく手を休まれては」
魔王「ああ、そういえば奴らのことを忘れておったな。いいだろう、聞かせてくれ」
側近「では、お茶を用意してきますね」
魔王「うむ」
38 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 09:22:02.82 ID:6K3j0xl80
魔王「さて、では期待のあの男から聞こうか。御曹司のその後はどうだ?」
側近「はい、御曹司さんですが、順調に王女との交際を発展させています」
側近「御曹司、王女、その父である王の三人での会食もたびたび催されており、王族への取り立てを内々に認める会話もあります」
側近「王女との結婚も秒読みと思われますね」
魔王「結構だ。いよいよこちらの手の者が敵方王家の者になる日が来るか。楽しみである」
側近「しかし、懸念点もあります」
魔王「ん?」
側近「王女との順調な交際に比例するように、城内にいる貴族の娘や侍女など、他の女たちとも親密になりつつあります」
側近「なかには、あからさまに御曹司へ恋をしていると思われる女もおり、御曹司もそれを止めることなく、むしろ煽るような言動をとっていますね」
魔王「うーむ、英雄色を好むというが、御曹司も例にもれず、権力の中枢に近づくにつれ、女を囲うことにも興味が出てきたのだろうか」
側近「それならまだ可愛らしいですが、彼の場合、どうも女扱いに相当手慣れているように思えます」
側近「ボロを出すことなく、修羅場を作ることも無く、しかし確実に、親密な関係の女性の数を増やす手腕は、素人のそれではありません」
側近「ある意味、人心掌握術としては目を見張るものがありますが、将来的に何らかの禍根が発生しないか、心配ではあります」
魔王「まあ、仮に王になれば妾の何人を囲うも当然ではある。なにより、あ奴自身に問題が発生したとしても、こちらに累が及ぶものでもない」
魔王「とりあえず、経過を観察せよ」
側近「はっ」
39 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 09:23:10.24 ID:6K3j0xl80
側近「では続いて、ヒモさんの報告です」
側近「彼は、いえ、彼も御曹司さんと同様、複数の女性に対する接近が目立っています」
側近「相変わらず飲み屋の店主のもとで同棲しておりますが、店主が不在の間、部屋に別の女性を連れ込み、情事に耽ることもしばしばです」
側近「女性と知り合ってから手を出すまでの期間が短く、性的な関係をより多く同時に結んでいる点で、御曹司さんより悪質と言わざるをえません」
魔王「ふうむ。側近がこうも静かに怒りをにじませることも珍しいな」
魔王「やはり、同じ雌型の魔物として、女を手玉に取るこ奴のような行動には嫌悪を覚えるか?」
側近「いえ、そんなことは……」
魔王「まあいい。しかし、同じようにナンパとかいう輩も複数の女性と性行為を行っているはずだが、以前の報告時、奴には特に何も言っていなかったな。なぜだ」
側近「まあ、彼の場合は周りに望まれてのことでもありますし、複数と関係を持っていることを周囲も認識し、それが自然と受け入れています」
側近「翻ってヒモさんの場合、彼は、複数の女性関係にあることを匂わせながら、それを利用して女性同士の対立関係を煽り、自らへの心酔度を異様に高めようとしています」
側近「まさに、女性の心を弄ぶという点で、彼ほど軽蔑できる男もいないでしょう」
魔王「なるほど、こやつに関しては、何か役に立つ情報が得られるというわけではなさそうだな」
魔王「唯一の収穫といえば、側近にも女らしい侮蔑の感情があると分かったことか」
側近「うっ……」
魔王「はっは! まあ恥じることでもあるまい。お前にも魔物らしい負の感情があると分かっただけでも、我は愉悦である」
側近「恐れ入ります……」
40 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 09:24:05.80 ID:6K3j0xl80
魔王「よし、次の者の報告を聞かせろ」
側近「続いては根暗さんです」
側近「彼は、とりたてて以前からの変化はありません。相変わらず、竜族の地で安住しています」
魔王「竜族の生態についてはどうだ」
側近「なかなか興味深いですね。どうやら、私たち魔物と何らかの繋がりがある様子がうかがえます」
側近「方法は分かりませんが、この魔界の何らかの力を用いて生存しているようです」
魔王「ほう、魔界の力を使って生きているのか」
魔王「確かに、山脈に囲まれた狭く資源の乏しい土地でどのように生息しているのか、気にはなっていたが」
側近「これは推測ですが、この魔界と、彼らを送り込んだ上の世界は、元は一つの世界だったのかもしれません」
側近「そして、世界が二つに分かれたとき、彼らは上の世界に取り残され、しかし、この魔界との繋がりを有していたため」
側近「この魔界の力を使った生存が可能だったと考えられます」
魔王「これは良い情報だ。となれば、上の世界に魔物を送っても、魔物たちは飢えることなく生きていくことが出来るのだな」
魔王「うむ。これで上の世界に魔物を送る算段が付いた。朗報である」
41 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 09:25:16.63 ID:6K3j0xl80
側近「さて、次はナンパさんですが」
魔王「奴か……。相変わらずの女狂いなのであろう?」
側近「それは、その通りなのですが、いささか趣が変わってきました」
魔王「ほう?」
側近「未開の部族の村であることは以前お伝えした通りですが、どうやら、彼はその村の村長に収まり、周辺の村との交易を始めています」
魔王「ふむ、続けろ」
側近「排他性の強い村だったらしく、周辺に複数の集落があるにもかかわらず、これまでは何の交流も無かったようです」
側近「そのため、村の男がいなくなる危機に際しても、他の集落に助けを求めるという考えはなく、当然、不足物資の援助を求めるといったこともなく」
側近「さすがにこのままでは村の存続にかかわると判断したナンパさんが、他の部族との交易を開始するといった経緯です」
魔王「奴にそんな商才があったとはな。いささか驚きではある」
側近「私自身も、ただの女たらしかと思いきや、人を動かし、物流を整える仕事ぶりに驚愕しました」
魔王「人は見かけによらぬものだな」
42 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 09:26:11.66 ID:6K3j0xl80
側近「さて、最後にマジメさんです」
魔王「お前が何の特徴もないと言った奴か」
側近「そうです。が、」
魔王「む?」
側近「こちらもどうやら、風向きが変わり始めました」
側近「詳細はまだ解析中ですが、次回、喜ばしい報告ができるかもしれません」
魔王「なるほど、もったいぶるな。ふむ、ならばここで、ありのままを全て聞いてしまうのは無粋であろう」
魔王「よし、ならば次の報告を楽しみに待つとしようか。我は、そろそろ政務に戻る。お前も仕事に戻れ」
側近「魔王様も、あまり無理をしないでください」
魔王「わかっておる。そろそろ我に反抗する輩に一暴れして、鬱憤を晴らしてくるつもりだ。心配するでない」
側近「心配はしていませんが、あまり無茶なことをして、私たちの仕事を増やさないでください。そっちの方が心配です」
魔王「はっは! 側近らしいな。わかった、せいぜい派手なことはせぬよう、気を引き締めよう」
側近「頼みますよ、ほんとに」
43 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 09:27:13.17 ID:6K3j0xl80
側近「そういえば、次はどこの居酒屋に行くか、ご希望は決まりましたか? そろそろ、予定を調整したいのですが」
魔王「そうだな、ここしばらくは肉や魚といった定番の居酒屋が多かった。次は、野菜を中心とした変わり種がいいな」
側近「では、こちらで候補をいくつか選定し、後ほど魔王様へお伝えいたします」
魔王「いや、今回は我が居酒屋を選んでみよう。数多の居酒屋を調べる中で、新たな出会いがあるやもしれぬ」
側近「ただでさえ忙しいのに、そのように無理をなさっても大丈夫ですか?」
魔王「なに、側近と飲みに行く楽しさを考えれば、その一手間も苦労ではない。任せておけ」
側近「ふふ。では、心待ちにしております」
44 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 09:28:10.37 ID:6K3j0xl80
〜〜〜
御曹司「今日は、一杯のブランデーを朝まで飲み明かすには良い月夜です。いかがですか? 是非、ぼくと一緒に」
高貴な娘「そんな、私なんかと……。でも、それじゃあ、すこしだけ……」
〜〜〜
ヒモ「あー、明日? ダメダメ、その日は夜に人と会う約束があんだよ」
お水っぽい女「ちょっと、あたし以外の女と遊んじゃイヤよ。ねぇ、明日はあたしとずっと一緒にいましょ?」
〜〜〜
根暗「…………いい、天気、だね」
竜「…………グルゥ」
〜〜〜
ナンパ「では、穀物の代価は次の冬までに支払うということで、こちらに署名を――」
隣村の村長「いやあ、ナンパ村長の手腕には目を見張りますなあ」
〜〜〜
マジメ「ちょっちょっと! 俺が一体何をしたっていうんだよ」
町人たち「うるせえ! お前みたいな奴はこの町から出ていけ!!」
マジメ「一体何なんだよ! 俺は何も――」
〜〜〜
45 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 09:28:52.65 ID:6K3j0xl80
〜それから更に数年後〜
御曹司「では、久々の顔合わせということで、かんぱい」
ヒモ「かんぱーい」
根暗「かんぱい…」
ナンパ「かwんwぱwいw」
46 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 09:30:09.93 ID:6K3j0xl80
御曹司「いやー久しぶりだね、みんなが全員そろうのは。何年ぶりになるかな?」
根暗「魔王さんに飛ばされて…、それぞれ落ち着いてから……4年ぐらい……?」
ナンパ「みんな忙しすぎwwwようやく居場所突き止めてww会う算段つけるのも一苦労www」
ヒモ「俺も、世話になってる酒屋の女店主に言われるまま、いつの間にか居酒屋のオーナーになっちまったからなあ」
ヒモ「まあ、今日は俺のおごりだ。好きなだけ飲み食いしてってくれ」
アザッスwww
御曹司「あのヒモ稼業やってた怠け者のキミが、まさか経営者になるとはね。まともに働く気になってくれて、ぼくは嬉しいよ」
根暗「まさに……、奇跡……」
ヒモ「心のこもってない激励、どうもありがとうございますー」
ナンパ「お店の女の子にはwww手を出していないんスかwww?」
ヒモ「バッカお前、うちはそういう店じゃないんだぞ?」
ヒモ「出してるに決まってるじゃねーか」
ナンパ「wwwwwwwwww」
47 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 09:31:06.87 ID:6K3j0xl80
御曹司「そういうナンパ君も、最近どうなんだい?」
ナンパ「ついにwww人口1万人突破www」
ヒモ「あの女たらしのお前が、今や街の顔役だってんだからなあ。世の中どうかしてるわ」
ナンパ「いやいやwww周りの村を合併してwww、ちょっと遠い街や村とはww物々交換してるだけwww」
御曹司「そういえば聞いた話だと、君の街の小さな子どもの半分くらいは、君の血が入ってるとか。本当なのかい?」
ナンパ「そッスwwwそれもあってww将来的に血を薄くするためにも村を合併してww男と子どもの補充が必要でしたwww」
御曹司「なるほどねえ、勉強になるなあ」
ヒモ「いったい何の勉強だよ。近親相姦の研究でもするってか?」
ナンパ「さすがは一国の王様www発想が違うwww」
48 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 09:32:02.39 ID:6K3j0xl80
御曹司「いやあ、王家ってさあ、一族の血っていうのを実際大事にするからね。やっぱり多いんだよ、そういう話しが」
御曹司「先王なんか、姪や孫まで側室にしてるから、そりゃあ、たまにはぼくみたいな余所者を迎えないとダメなわけだよ」
ヒモ「うわ、歴代の王様の中で、一番愛妾の数が多いやつがなんかボヤいてるし」
ナンパ「公務用www個人用www共用www」
ヒモ「ちょっとまて、共用ってなんだよ、誰との共用だ?」
御曹司「さあ、なんだろうね?」
49 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 09:33:10.43 ID:6K3j0xl80
ナンパ「そういえばw根暗さんはww彼女できましたwww?」
根暗「………………うん」
ヒモ「まじか!」
ナンパ「うっひょー!! まじで天地がひっくり返るッス!」
御曹司「今年一番のビックニュースだなあ。何はともあれ、おめでとう」
ナンパ「根暗さんの居場所つかむのがww一番苦労したからwwwそのかいもwwありましたwww」
ヒモ「じゃあもう、一発やったのか?」
根暗「もう…、童貞……、じゃない……」
ナンパ「これで根暗さんもww負け組脱出ッスねwww」
御曹司「いったい、どんな女の子なんだい?」
根暗「大きくて……、包容力のある……」
ナンパ「どこがww大きいかwww気wにwなwるw」
ヒモ「ところでさあ――」
ヒモ「マジメのやつ、どこいった?」
50 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 09:33:46.21 ID:6K3j0xl80
御曹司「…………」
根暗「…………」
ヒモ「…………」
ナンパ「………w」
51 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 09:35:00.19 ID:6K3j0xl80
ヒモ「ブハッ!」
御曹司「だめだ、フフッ、ちょっと、まっ、フフッ、て、フフフッ」
ナンパ「wwwwwwwwwwwwwww」
根暗「……、さすがに……、笑える……」ククッ
御曹司「いきなり真面目なキメ顔作って、何を言い出すかと思えば、そんなどうでもいいこと――」フフッフッ
ヒモ「あ゛ーー、あれだな、俺たちにシリアスで真面目な雰囲気は醸せないな」
ナンパ「wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
御曹司「ナンパ君、大丈夫かい? 軽く呼吸困難みたいになってるよ」
ナンパ「しwwwぬwww」ヒッヒッフー
根暗「でも…、どうして、そんな……、唐突に?」
ヒモ「いやあ、俺らの集まりには、いつもマジメがいたじゃん? だから、ちょっと違和感あってさ」
御曹司「そういえば、マジメはどこでどうしてるんだろうね。ナンパ君、何か聞いてる?」
ナンパ「それがww行方www不明www」
ヒモ「へー」 ヘー ヘー
52 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 09:36:06.19 ID:6K3j0xl80
ナンパ「なんかw住んでた街でw住民に嫌われてww追い出されたらしいwww」
根暗「相変わらず……、空気読めてない……」
ナンパ「でwww行方www知らずwww」
御曹司「まあ、彼らしいと言えば彼らしいね」
ヒモ「行方不明と聞いて誰も心配しないこの感じ」
ヒモ「正直、好きです」
御曹司「いやいや、一応敬意は払ってるよ? あれでも一応、ぼくたちサークルの主将だったんだから」
ヒモ「つっても、御曹司が一度潰したサークルのお情け主将だろ? 敬意も何も、そもそも偉いのかどうかすら分かんねえわ」
御曹司「まあねえ」
根暗「あれは…、きっと、彼なりの……罪滅ぼし……」
53 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 09:37:34.33 ID:6K3j0xl80
ナンパ「その辺の話wよく知らないんスよねwww」
ヒモ「ああそうか、ナンパは、潰した後のサークルに入ってきたから知らないのか」
御曹司「一番の最年少だものね」
ヒモ「あれはなあ……。まあ、簡単に言えば、マジメが主将になったせいでウェーイ系の奴らの統制がきかなくなって」
ヒモ「腹立てた御曹司が一度サークルを潰して、そういうウザい奴らを強制解散させたんだよ」
御曹司「別に法に触れようが何しようが構わないけど、品がないのだけはダメだね」
ヒモ「んで、解散させた後に、やっぱりあの緩い雰囲気が好きだったっていう物好きな連中が再結集して」
ヒモ「サークルを立ち上げ直して、マジメが再び主将になりましたとさ。めでたしめでたし」
御曹司「自由で、無責任で、かつ知的なサークルって、他になかなか無かったからね」
根暗「マジメさん…、自分のせいで…サークルが潰れたって、悔やんでた……」
ヒモ「サークル潰したのは御曹司なんだから、気に病む必要ないのにな」
御曹司「でも、あの真面目さが彼の唯一の良いところだし、だから君たちだって、なんだかんだ彼のことを慕っていたでしょう?」
ヒモ「まあな」
ナンパ「今のww話ww聞くとwww俺wwこのサークルにはww場違いwww」
ヒモ「いや、お前は別にいいんだよ」
御曹司「ナンパ君はオッケーだったね」
ナンパ「なwwぜww」
ヒモ「合コン開いてくれるから」
御曹司「そうそう」
ナンパ「wwwwww」
54 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 09:41:17.30 ID:6K3j0xl80
根暗「ぼくは…行かなかったけど……、フィールドワークが…うちの、主な活動……」
ヒモ「フィールドワークという名の、女遊びな」
御曹司「いやいや、異性間コミュニケーションっていう、れっきとした研究だよ」
ヒモ「いかに効率的にセックスして、いかに自分を悪者にせず相手を捨てるかっていうな」
御曹司「後々のことを考えると、自分が悪者にならないってのは大事だよ」
ナンパ「あとww彼女とのセックス1回あたりの単価とww風俗1回あたりの値段wwどっちが経済的かwよく議論したwww」
ヒモ「セックスに持ち込むまでの初期コストと、解約までのトータルコスト、あと飽きるまでの平均期間、回数。コスト意識の方がやっぱ大事だって」
御曹司「安かろう悪かろうで病気持ちを彼女にするリスクを考えたら、多少お金がかかっても、高品質で出自がしっかりした綺麗な子の方がぼくは安心だな」
ナンパ「御曹司さんwwwブランドものw好きッスよねwww」
御曹司「粗悪品相手にしたって時間の無駄だから。人生の時間は有限なんだし、美味しいものを食べるための労力や散財は惜しんじゃダメだよ」
55 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 09:42:36.85 ID:6K3j0xl80
ヒモ「そこだけは俺と意見が合わなかったよなー。女なんて数やったもん勝ちなんだから、とりあえず寝て、ウザくなったら別れて次行けばいいじゃん」
ナンパ「結果www手当たり次第ヤりすぎてwww地元に居場所がなくなるという末路www」
ヒモ「あれにはウンザリしたわ。生活圏に近いところで手は出しちゃダメだって、身に染みたな」
ナンパ「あれ?wwさっきwwお店の子にww手を出してるってwww」
ヒモ「後悔はしてる。反省はしてない」
御曹司「君、いつか本当に刺されるよ?」
ヒモ「そん時はそん時だ。むしろ、刺すほど思いつめさせた責任とって、結婚しなくちゃと思うね」
御曹司「つまり、刺されるまでは結婚しないと」
ヒモ「そりゃもちろん」
根暗「女の子たちに…教えてあげたら……、みんな、包丁持って…集まりそう……」
ヒモ「やめろよ? 絶対に言うなよ?」
御曹司「安心して、後でぼくがおふれ出しておくから」
ヒモ「いやー、勘弁してください。まじでお願いします」
ナンパ「wwwwww」
56 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 09:44:07.38 ID:6K3j0xl80
根暗「それにしても……、最低な……会話……」
ナンパ「アラサーなのにwwwヤッてることはww学生の時と同じwww」
御曹司「いいんじゃない。30過ぎてこんなバカみたいなこと話せる仲間は、なかなかいないよ」
ヒモ「ちょっとまて、俺はまだ30になってない。この場で30なのは、御曹司と根暗の二人だけだ」
御曹司「同じようなものさ。君だって、今年で30だろう?」
ナンパ「あきらめましょwww先輩www」
ヒモ「いーや、俺はまだ20代だ。30オヤジの戯言を聞く耳は無いね」
ナンパ「老害ならぬwww若害www」
御曹司「しかし、懐かしいなあ。この雰囲気、本当に昔を思い出すよ」
根暗「まさに……、自由で…、無責任で…、知的な…、サークル」
ヒモ御曹司ナンパ「「「それな」」」
ワハハハハ
魔王「ここは、なかなか繁盛しているようだな」
側近「そうですね。だいぶ賑やかですね」
魔王「酒もうまいし、小料理もうまい。当たりだな、この店は」
側近「この魚卵の塩漬けを乾燥させたもの、絶品ですよ。穀物を発酵させて作ったこの透明なお酒も、おいしいですね」
魔王「上の世界の居酒屋、なかなかにあなどれぬ。この世界を手にするのが、ますます楽しみになった」
側近「頑張りましょう、魔王様。魔界の平定も、もう間もなくですよ」
魔王「任せておけ。ふははははは!!」
57 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 09:45:06.39 ID:6K3j0xl80
―――――――
―――
―
もう、この世界には、いられない……。
俺を、必要としない世界には、もう……。
いや、必要ないのは、この世界の方だ。
58 :
◆FJWxn4j5O6
[saga]:2017/09/17(日) 09:45:57.50 ID:6K3j0xl80
ここでいったんセーブします。
ふっかつのじゅもんは、
『おひるをたべてひるねのあとさいかい』です。
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